JP2015048363A - ポリアリルアミン誘導体の製造方法 - Google Patents

ポリアリルアミン誘導体の製造方法 Download PDF

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淳 井上
正徳 村上
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Abstract

【課題】イミダゾリン環構造を分子内に有するアゾ化合物をラジカル重合開始剤として用いた場合における、エチレンジアミン誘導体が放出されないポリアリルアミン誘導体の製造方法及び重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩からエチレンジアミン誘導体を放出する方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、アゾ化合物又はその酸付加塩をラジカル重合開始剤として、アリルアミン誘導体の酸付加塩を単独重合させるか又は上記アリルアミン誘導体の酸付加塩のモノマーと他のモノマーとを共重合させることにより、重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩を得る重合工程と、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩に、塩基性水溶液を作用させて重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体を得る中和工程と、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体に、塩基性水溶液を加えて40〜100℃で加熱して上記イミダゾリン環構造を加水分解し、エチレンジアミン誘導体を放出させて、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有しないポリアリルアミン誘導体を得る加水分解工程とを備えるポリアリルアミン誘導体の製造方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアリルアミン誘導体の製造方法に関する。
ポリアリルアミン誘導体は工業的に有用なポリマーであり、様々な用途で使用されている。ポリアリルアミン誘導体は、通常の重合条件では合成できないが、カチオン性窒素原子をもつ基とアゾ基とを分子中に有するラジカル重合開始剤の存在下、モノマーであるアリルアミン類の酸付加塩を水又は極性溶媒中で重合させることにより合成できる(特許文献1)。ポリアリルアミン誘導体の重合に使用するラジカル重合開始剤としては、イミダゾリン環構造を分子内に有するアゾ化合物が適しており、ポリアリルアミン誘導体の収率が高いことが知られている(特許文献1及び2)。
一方、アリルアミン類の酸付加塩を重合した際には、ポリアリルアミン誘導体にモノマーが残留するため、ポリアリルアミン誘導体に酸と当量の塩基を加えて中和した後に減圧下で加熱し、モノマーを留去することが必要となる(特許文献3)。
特公平2−14364号 国際公開第2009/008480号 国際公開第2000/052070号
しかしながら、ラジカル重合開始剤としてイミダゾリン環構造を分子内に有するアゾ化合物を用いた場合には、得られたポリアリルアミン誘導体の重合開始末端にイミダゾリン環構造が結合するため、ポリアリルアミン誘導体の保管中にイミダゾリン環構造部位が分解し、不純物となるエチレンジアミン誘導体が放出されることとなる。ポリアリルアミン誘導体を医薬として開発する場合には、エチレンジアミン誘導体の混入が品質管理上及び人体への安全上の観点で大きな問題となる。
そこで本発明は、イミダゾリン環構造を分子内に有するアゾ化合物をラジカル重合開始剤として用いた場合における、エチレンジアミン誘導体が放出されないポリアリルアミン誘導体の製造方法及び重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩からエチレンジアミン誘導体を放出する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体に塩基性水溶液を作用されることにより、比較的温和な加熱条件でイミダゾリン環構造を加水分解し、エチレンジアミン誘導体を予め放出させ除去できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の一般式(I)で示されるアゾ化合物又はその酸付加塩をラジカル重合開始剤として、以下の一般式(II)で示されるアリルアミン誘導体の酸付加塩を単独重合させるか又は上記アリルアミン誘導体の酸付加塩のモノマーと他のモノマーとを共重合させることにより、重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩を得る重合工程と、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩に、塩基性水溶液を作用させて重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体を得る中和工程と、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体に、塩基性水溶液を加えて40〜100℃で加熱して上記イミダゾリン環構造を加水分解し、以下の一般式(III)で示されるエチレンジアミン誘導体を放出させて、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有しないポリアリルアミン誘導体を得る加水分解工程とを備える、ポリアリルアミン誘導体の製造方法を提供する。
Figure 2015048363
[式中、R及びRは、それぞれ独立に、メチル、エチル、シアノ又はヒドロキシメチルを表し、Rは、水素、メチル又はヒドロキシエチルを表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素又は炭素数1〜4のアルキルを表す。]
Figure 2015048363
[式中、Rは、水素又は炭素数1〜4のアルキルを表す。]
Figure 2015048363
[式中、R〜Rは、上記定義と同じである。]
この製造方法により、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体から、エチレンジアミン誘導体が放出されないポリアリルアミン誘導体を得ることができる。
また本発明は、上記の一般式(I)で示されるアゾ化合物又はその酸付加塩をラジカル重合開始剤として、上記の一般式(II)で示されるアリルアミン誘導体の酸付加塩を単独重合させるか又は上記アリルアミン誘導体の酸付加塩のモノマーと他のモノマーとを共重合させることにより、重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩を得る重合工程と、
上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有する上記ポリアリルアミン誘導体の酸付加塩に対して1.1当量以上の塩基を加えて40〜100℃で加熱し、上記の一般式(III)で示されるエチレンジアミン誘導体を放出させて、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有しないポリアリルアミン誘導体を得る中和・加水分解工程と、を備える、ポリアリルアミン誘導体の製造方法を提供する。
この製造方法により、上記中和工程と上記加水分解工程とを一工程で行い、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体から、エチレンジアミン誘導体が放出されないポリアリルアミン誘導体を得ることができる。
上記のポリアリルアミン誘導体の製造方法は、R及びRがメチルであり、R〜Rが水素であることが好ましく、上記の重合工程は、アリルアミンの酸付加塩とN,N’−ジアリル−1,3−ジアミノプロパンの酸付加塩とを共重合させることによって、重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩を得る工程であることが好ましい。
これにより、エチレンジアミン誘導体が放出されないコポリ(アリルアミン/N,N’−ジアリル−1,3−ジアミノプロパン)を得ることが出来る。
また、上記の加水分解工程又は中和・加水分解工程では、55〜95℃で加熱することがより好ましい。
これにより、3〜10時間で加水分解が完結し、製造時の効率が良くなる。
さらに本発明は、重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩からエチレンジアミン誘導体を放出する方法であり、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩に塩基性水溶液を作用させて重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体を得る中和工程と、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体に、塩基性水溶液を加えて40〜100℃で加熱して上記イミダゾリン環構造を加水分解し、以下の一般式(III)で示されるエチレンジアミン誘導体を放出する放出工程と、を備える、エチレンジアミン誘導体を放出する方法を提供する。
Figure 2015048363
[式中、R〜Rは、上記定義と同じである。]
この方法により、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体を、エチレンジアミン誘導体が放出されないポリアリルアミン誘導体に変換することができる。
また本発明は、重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩からエチレンジアミン誘導体を放出する方法であり、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有する上記ポリアリルアミン誘導体の酸付加塩に対して1.1当量以上の塩基を加えて40〜100℃で加熱し、上記の一般式(III)で示されるエチレンジアミン誘導体を放出させて、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有しないポリアリルアミン誘導体を得る中和・加水分解工程を備える、エチレンジアミン誘導体を放出する方法を提供する。
上記の重合開始末端にイミダゾリン環構造を有する上記ポリアリルアミン誘導体の酸付加塩は、以下の一般式(I)で示されるアゾ化合物又はその酸付加塩をラジカル重合開始剤として、以下の一般式(II)で示されるアリルアミン誘導体の酸付加塩を単独重合させるか又は上記アリルアミン誘導体の酸付加塩のモノマーと他のモノマーとを共重合させることによって得られたものであることが好ましく、アリルアミンの酸付加塩とN,N’−ジアリル−1,3−ジアミノプロパンの酸付加塩とを共重合させることによって得られたものであることがより好ましい。
Figure 2015048363
[式中、R及びRは、それぞれ独立に、メチル、エチル、シアノ又はヒドロキシメチルを表し、Rは、水素、メチル又はヒドロキシエチルを表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素又は炭素数1〜4のアルキルを表す。]
Figure 2015048363
[式中、Rは、水素又は炭素数1〜4のアルキルを表す。]
この方法により、上記中和工程と上記放出工程とを一工程で行い、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体を、エチレンジアミン誘導体が放出されないポリアリルアミン誘導体に変換することができる。
また上記のラジカル重合開始剤は、R及びRがメチルであり、R〜Rが水素であることが好ましく、上記の放出工程では、55〜95℃で加熱することが好ましい。
これにより、3〜10時間で加水分解が完結し、製造時の効率が良くなる。
本発明のポリアリルアミン誘導体の製造方法又はエチレンジアミン誘導体を放出する方法によれば、イミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体をエチレンジアミン誘導体が放出されないポリアリルアミン誘導体に変換できる。こうして得られたポリアリルアミン誘導体は、保管中にイミダゾリン環構造部位が分解してエチレンジアミン誘導体を放出することがないので、エチレンジアミン誘導体が不純物として混入することなく、ポリアリルアミン誘導体の品質低下を防ぐことができる。
実施例2におけるエチレンジアミンの生成量を示す図である。 比較例1におけるエチレンジアミンの生成量を示す図である。
本発明のポリアリルアミン誘導体の製造方法の第一の実施形態は、以下の一般式(I)で示されるアゾ化合物又はその酸付加塩をラジカル重合開始剤として、以下の一般式(II)で示されるアリルアミン誘導体の酸付加塩を単独重合させるか又は上記アリルアミン誘導体の酸付加塩のモノマーと他のモノマーとを共重合させることにより、重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩を得る重合工程と、
上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩に、塩基性水溶液を作用させて重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体を得る中和工程と、
上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体に、塩基性水溶液を加えて40〜100℃で加熱して上記イミダゾリン環構造を加水分解し、以下の一般式(III)で示されるエチレンジアミン誘導体を放出させて、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有しないポリアリルアミン誘導体を得る加水分解工程と、を備えることを特徴としている。
Figure 2015048363
[式中、R及びRは、それぞれ独立に、メチル、エチル、シアノ又はヒドロキシメチルを表し、Rは、水素、メチル又はヒドロキシエチルを表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素又は炭素数1〜4のアルキルを表す。]
Figure 2015048363
[式中、Rは、水素又は炭素数1〜4のアルキルを表す。]
Figure 2015048363
[式中、R〜Rは、上記定義と同じである。]
上記重合工程でラジカル重合開始剤として用いる一般式(I)で示されるアゾ化合物又はその酸付加塩(以下、「ラジカル重合開始剤(I)」)は、市販品として入手できるが、化学合成することもできる。
ラジカル重合開始剤(I)は、R及びRがメチルであることが好ましく、R〜Rについては、それぞれ独立に、水素又はメチルであることが好ましく、いずれもが水素であることがより好ましい。
ラジカル重合開始剤(I)のうち酸付加塩を形成するために付加する酸としては、アミンと塩を形成する酸であれば特に限定されず、例えば、塩酸又は硫酸が挙げられるが、塩酸が好ましい。
上記重合工程で用いる上記一般式(II)で示されるアリルアミン誘導体の酸付加塩(以下、「アリルアミン誘導体(II)」)は、市販品として入手できるが、化学合成することもできる。
アリルアミン誘導体(II)における「炭素数1〜4のアルキル」とは、炭素数1〜4の直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル又はシクロブチルが挙げられる。
アリルアミン誘導体(II)において、Rは、水素又はメチルであることが好ましく、水素であることがより好ましい。
酸付加塩であるアリルアミン誘導体(II)を形成するために付加する酸としては、アミンと塩を形成する酸であれば特に限定されず、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸又はp−トルエンスルホン酸が挙げられるが、塩酸、硫酸又はリン酸が好ましく、塩酸又はリン酸がより好ましい。
上記重合工程における単独重合及び共重合は、公知の方法を用いることができる。
上記重合工程で用いる他のモノマーは、公知のものを使用できる。上記重合工程で用いる他のモノマーとしては、二重結合を有しアリルアミンと共重合するものであれば特に限定されず、例えば、アリルアルコール、アリルスルホン酸誘導体、ジアリルアミン誘導体の酸付加塩、アリルチオ尿素、N−アリルグアニジン誘導体、N,N’−ジアリル−1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパンの酸付加塩又はN,N’−ジアリル−1,3−ジアミノプロパンの酸付加塩が挙げられるが、N,N’−ジアリル−1,3−ジアミノプロパンの酸付加塩が好ましい。また、上記重合工程で用いる他のモノマーとして、異なる別のアリルアミン誘導体(II)を用いてもよい。
上記重合工程で得られる「重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩」とは、ラジカル重合開始剤(I)を用いた上記重合工程における単独重合又は共重合を行った結果得られる、ラジカル重合開始剤(I)由来のイミダゾリン環構造が末端に結合したポリアリルアミン誘導体の酸付加塩を意味する。
上記中和工程で用いる反応溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に限定されず、例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール又はこれらの混合溶液が挙げられるが、水が好ましい。
上記中和工程で用いる塩基性水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化バリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、アンモニア水又はこれらの混合物が挙げられるが、水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液が好ましく、水酸化ナトリウム水溶液がより好ましい。上記中和工程で用いる塩基性水溶液中の塩基の使用量は、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体のアミノ基に対して1〜10当量が好ましく、1〜6当量がより好ましく、1〜4当量がさらに好ましい。
上記中和工程の反応温度は、高過ぎると反応熱による温度上昇による危険があり、低過ぎれば生成する無機塩の析出が起こるため、通常は0〜80℃で行うが、20〜80℃が好ましく、20〜65℃がより好ましい。上記中和工程の反応時間は、反応温度等の条件により適宜選択できるが、10分間〜24時間が好ましく、0.5〜8時間がより好ましく、0.5〜2時間がさらに好ましい。
上記中和工程で得られる「重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体」は、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩を解塩して得られたフリー体のポリアリルアミン誘導体を意味する。
上記加水分解工程で用いる反応溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に限定されず、例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール又はこれらの混合溶液が挙げられるが、水が好ましい。
上記加水分解工程で用いる塩基性水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化バリウム水溶液又はこれらの混合水溶液が挙げられるが、水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液が好ましく、水酸化ナトリウム水溶液がより好ましい。上記加水分解工程で用いる塩基性水溶液中の塩基の使用量は、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体のアミノ基に対して0.1〜50当量が好ましく、0.1〜5当量がより好ましく、0.1〜3当量がさらに好ましい。
上記加水分解工程で加熱する温度は、低過ぎれば分解の速度が遅くイミダゾリン環構造を十分に加水分解するには長時間を要し、高過ぎても上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体、及び/又は、上記ポリアリルアミン誘導体の分解、変質、着色等の懸念があるため、通常は30〜100℃で行うが、40〜100℃が好ましく、55〜95℃がより好ましい。
上記加水分解工程の反応時間は、反応温度等の条件により適宜選択できるが、1から100時間が好ましい。また、反応時間は、上記加水分解工程で放出された上記一般式(III)で示されるエチレンジアミン誘導体(以下、エチレンジアミン誘導体(III))の量を分析し、上記加水分解工程の進行具合を確認して決定することが好ましい。
上記加水分解工程で放出されるエチレンジアミン誘導体(III)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素又はメチルであることが好ましく、いずれも水素であることがより好ましい。
上記加水分解工程で放出されたエチレンジアミン誘導体(III)を除去する方法は、特に限定されないが、上記ポリアリルアミン誘導体が水溶性である場合は、減圧留去、透析など公知の方法が利用できる。一方、上記ポリアリルアミン誘導体が水に不溶である場合は、水で洗浄する、濾過を繰り返すことで除去することができる。
また、本発明のポリアリルアミン誘導体の製造方法の第二の実施形態は、上記の一般式(I)で示されるアゾ化合物又はその酸付加塩をラジカル重合開始剤として、上記の一般式(II)で示されるアリルアミン誘導体の酸付加塩を単独重合させるか又は上記アリルアミン誘導体の酸付加塩のモノマーと他のモノマーとを共重合させることにより、重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩を得る重合工程と、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩に対して1.1当量以上の塩基を加えて40〜100℃で加熱し、上記の一般式(III)で示されるエチレンジアミン誘導体を放出させて、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有しないポリアリルアミン誘導体を得る中和・加水分解工程と、を備えることを特徴としている。
すなわち、上記中和工程において、塩基を過剰に用いて加熱することで、上記中和工程と上記加水分解工程とを一工程で行うことができる。この場合の塩基の使用量は、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩のアミノ基に対して1.1〜50当量が好ましく、1.1〜6当量がより好ましく、1.1〜4当量がさらに好ましい。加熱する温度及び反応時間は、上記加水分解工程と同じである。
一般的に、イミダゾリン環構造の加水分解は、スキーム1に示すように、アミド体を経由して二段階で進行すると考えられ、このアミド体からエチレンジアミンを放出する二段階目の反応は、カルボニル基のα位が四級炭素であることから容易には進行せず、通常過酷な条件が必要であると考えられる。しかしながら、ポリアリルアミン誘導体の末端に結合したイミダゾリン環構造においては、スキーム2に示すように、ポリマー中のアミノ基の隣接基の関与により、速やかに加水分解が進行すると推察される。このことから、アミノ基の求核性が重要であり、プロトン化されていると求核性が低下することから、塩基性条件で加水分解することが、温和な条件で反応を進行させる上で重要であると考えられたので採用した。
Figure 2015048363
一方、本発明のエチレンジアミン誘導体を放出する方法の第一の実施形態は、重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩からエチレンジアミン誘導体を放出する方法であり、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩に塩基性水溶液を作用させて重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体を得る中和工程と、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体に、塩基性水溶液を加えて40〜100℃で加熱して上記イミダゾリン環構造を加水分解し、以下のエチレンジアミン誘導体(III)を放出する放出工程と、を備えることを特徴としている。
上記の重合開始末端にイミダゾリン環構造を有する上記ポリアリルアミン誘導体の酸付加塩は、ラジカル重合開始剤(I)を用いて、アリルアミン誘導体(II)を単独重合させるか又はアリルアミン誘導体(II)と他のモノマーとを共重合させることによって得られたものであることが好ましく、アリルアミンの酸付加塩とN,N’−ジアリル−1,3−ジアミノプロパンの酸付加塩とを共重合させることによって得られたものであることがより好ましい。
また上記のラジカル重合開始剤(I)は、R及びRがメチルであり、R〜Rが水素であることが好ましく、上記の放出工程では、55〜95℃で加熱することが好ましい。
ラジカル重合開始剤(I)のうち酸付加塩を形成するために付加する酸としては、アミンと塩を形成する酸であれば特に限定されず、例えば、塩酸又は硫酸が挙げられるが、塩酸が好ましい。
アリルアミン誘導体(II)は、市販品として入手できるが、化学合成することもできる。
アリルアミン誘導体(II)における「炭素数1〜4のアルキル」とは、炭素数1〜4の直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル又はシクロブチルが挙げられる。
アリルアミン誘導体(II)において、Rは、水素又はメチルであることが好ましく、水素であることがより好ましい。
酸付加塩であるアリルアミン誘導体(II)を形成するために付加する酸としては、アミンと塩を形成する酸であれば特に限定されず、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸又はp−トルエンスルホン酸が挙げられるが、塩酸、硫酸又はリン酸が好ましく、塩酸又はリン酸がより好ましい。
上記単独重合及び共重合は、公知の方法を用いることができる。
上記共重合で用いる他のモノマーは、公知のものを使用できる。上記共重合で用いる他のモノマーとしては、二重結合を有しアリルアミンと共重合するものであれば特に限定されず、例えば、アリルアルコール、アリルスルホン酸誘導体、ジアリルアミン誘導体の酸付加塩、アリルチオ尿素、N−アリルグアニジン誘導体、N,N’−ジアリル−1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパンの酸付加塩又はN,N’−ジアリル−1,3−ジアミノプロパンの酸付加塩が挙げられるが、N,N’−ジアリル−1,3−ジアミノプロパンの酸付加塩が好ましい。また、上記共重合で用いる他のモノマーとして、異なる別のアリルアミン誘導体(II)を用いてもよい。
上記中和工程で用いる反応溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に限定されず、例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール又はこれらの混合溶液が挙げられるが、水が好ましい。
上記中和工程で用いる塩基性水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化バリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、アンモニア水又はこれらの混合物が挙げられるが、水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液が好ましく、水酸化ナトリウム水溶液がより好ましい。上記中和工程で用いる塩基性水溶液中の塩基の使用量は、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体のアミノ基に対して1〜10当量が好ましく、1〜6当量がより好ましく、1〜4当量がさらに好ましい。
上記中和工程の反応温度は、高過ぎると反応熱による温度上昇による危険があり、低過ぎれば生成する無機塩の析出が起こるため、通常は0〜80℃で行うが、20〜80℃が好ましく、20〜65℃がより好ましい。上記中和工程の反応時間は、反応温度等の条件により適宜選択できるが、10分間〜24時間が好ましく、0.5〜8時間がより好ましく、0.5〜2時間がさらに好ましい。
上記中和工程で得られる「重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体」は、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩を解塩して得られたフリー体のポリアリルアミン誘導体を意味する。
上記放出工程で用いる反応溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に限定されず、例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール又はこれらの混合溶液が挙げられるが、水が好ましい。
上記放出工程で用いる塩基性水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化バリウム水溶液又はこれらの混合水溶液が挙げられるが、水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液が好ましく、水酸化ナトリウム水溶液がより好ましい。上記放出工程で用いる塩基性水溶液中の塩基の使用量は、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体のアミノ基に対して0.1〜50当量が好ましく、0.1〜5当量がより好ましく、0.1〜3当量がさらに好ましい。
上記放出工程で加熱する温度は、低過ぎれば分解の速度が遅くイミダゾリン環構造を十分に加水分解するには長時間を要し、高過ぎても上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体、及び/又は、上記ポリアリルアミン誘導体の分解、変質、着色等の懸念があるため、通常は30〜100℃で行うが、40〜100℃が好ましく、55〜95℃がより好ましい。
上記放出工程の反応時間は、反応温度等の条件により適宜選択できるが、1から100時間が好ましい。また、反応時間は、上記放出工程で放出されたエチレンジアミン誘導体(III)の量を分析し、上記放出工程の進行具合を確認して決定することが好ましい。
上記放出工程で放出されるエチレンジアミン誘導体(III)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素又はメチルであることが好ましく、いずれも水素であることがより好ましい。
上記放出工程で放出されたエチレンジアミン誘導体(III)を除去する方法は、特に限定されないが、上記ポリアリルアミン誘導体が水溶性である場合は、減圧留去、透析など公知の方法が利用できる。一方、上記ポリアリルアミン誘導体が水に不溶である場合は、水で洗浄する、濾過を繰り返すことで除去することができる。
また本発明のエチレンジアミン誘導体を放出する方法の第二の実施形態は、重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩からエチレンジアミン誘導体を放出する方法であり、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩に対して1.1当量以上の塩基を加えて40〜100℃で加熱し、エチレンジアミン誘導体(III)を放出させて、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有しないポリアリルアミン誘導体を得る中和・加水分解工程を備えることを特徴としている。
すなわち、上記中和工程において、塩基を過剰に用いて加熱することで、上記中和工程と上記放出工程とを一工程で行うことができる。この場合の塩基の使用量は、上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩のアミノ基に対して1.1〜50当量が好ましく、1.1〜6当量がより好ましく、1.1〜4当量がさらに好ましい。加熱する温度及び反応時間は、上記放出工程と同じである。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(測定機器、測定方法及び分析条件)
反応液中のエチレンジアミン(エチレンジアミン誘導体(III)において、R〜Rが、いずれも水素である場合に相当)は、塩化2,6−ジクロロベンゾイルを用いてエチレンジアミンの二つのアミノ基を2,6−ジクロロベンズアミド化し、高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLC)で定量した。分析条件は、以下の通りである。
装置:島津製作所社製、LC−10A
カラム:ワイエムシイ社製、AS−303
カラムサイズ:250mm×4.6mmI.D.
カラム温度:40℃
移動相:A液:10mmol/L リン酸二水素ナトリウム水溶液
B液:アセトニトリル
展開条件:A液/B液=60/40(0〜5分)〜30/70(5〜10分;直線グラジェント)〜30/70(10〜15分)〜60/40(15〜17分;直線グラジェント)〜60/40(17〜30分)
流量:1.0mL/分
注入量:20μL
検出波長:UV 210nm
検量線:エチレンジアミンのビス(2,6−ジクロロベンズアミド)誘導体を用い、1.2〜16.0μg/mLの範囲で作成した。
また、HPLC分析用サンプルの調製は、以下の手順で行った。
1)100mLメスフラスコに塩化2,6−ジクロロベンゾイル197mgを秤量し、アセトニトリルで定容し、誘導化剤溶液を調製する。
2)反応液約2mLを綿栓したパスツールピペットで濾過する。
3)濾液約1gを10mLメスフラスコに入れ秤量してこれをサンプリング量とし、水で定容して試料溶液とする。
4)50mLフラスコに1項で調製した誘導化剤溶液と3項で調製した試料溶液とを5mLずつ入れる。
5)マグネチックスターラーを用いて室温で30分間撹拌する。
6)100mLメスフラスコに全量を移し、メタノール/蒸留水=4/6の混合溶媒で定容する。
上記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩として、重合開始末端に2−イミダゾリン−2−イル基を有するコポリ(アリルアミン/N,N’−ジアリル−1,3−ジアミノプロパン)リン酸塩(以下、CPAP)を用い、塩基として水酸化ナトリウムを用いた場合、生成したエチレンジアミンの量は、以下の式により算出する。HPLC分析用サンプル中のエチレンジアミンのビス(2,6−ジクロロベンズアミド)誘導体の濃度(以下、誘導体濃度)(mg/mL)は、上記検量線を用いて算出する。
反応上清全重量(g)=CPAP仕込量(g)+水仕込量(g)+48%水酸化ナトリウム水溶液仕込量(g)−{(CPAP仕込量(g)/160.81)×62.82}
エチレンジアミン生成量(g)=誘導体濃度(mg/mL)×200×(反応上清全重量(g)/サンプリング量(g))×(60.10/406.09)/1000
この値をCPAP仕込量(g)で除し百万を乗じて、CPAP仕込みに対するppm値として評価する。
(実施例1)CPAPの合成:
3L三口フラスコにモノラウリン酸ソルビタン17.9g、ヘプタン1.26kgを入れ、フラスコ内を窒素で置換した。撹拌しながら窒素を30分間バブリングさせた。200mL三口フラスコに2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩12.9gと水25mLとを入れ、撹拌しながらフラスコ内を窒素で置換した。メカニカルスターラーと温度計とを備えた5L四口フラスコにリン酸二水素アリルアンモニウム155g、N,N’−ジアリル−1,3−ジアミノプロパン二リン酸塩70.1g、水75mLを入れて内温50℃で加熱溶解させ、フラスコ内を窒素で置換した。先に調製した2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩の水懸濁液を入れ、続いて先に調製したモノラウリン酸ソルビタンのヘプタン溶液を入れた。内温50〜55℃で20時間撹拌した後、室温に冷却した。エタノール500mLを入れて濾過し、エタノール500mLで3回、水500mLで7回、エタノール500mLで2回洗浄した。得られた固体を50℃で減圧乾燥し、CPAPを218g得た。
(実施例2)CPAPに過剰の塩基性水溶液を作用させた際のエチレンジアミン生成量:
実施例1で得たCPAP5.00gを蒸留水62.5mLに懸濁させ、室温で20%水酸化ナトリウム水溶液20mLを入れた。これを40℃、60℃、70℃で加熱し、経時的に溶液中のエチレンジアミン生成量を定量した。結果を図1に示す。この結果より、40℃から70℃の範囲でエチレンジアミンの生成が完結し、その所要時間は、温度により異なるが、22時間で十分であった。
(比較例1)CPAPを水中で加熱した際のエチレンジアミン生成量:
実施例1で得たCPAP10.0gを蒸留水100mLに懸濁させ、これを40℃、90℃で加熱し、経時的に溶液中のエチレンジアミン生成量を定量した。結果を図2に示す。この結果より、塩基を加えずに水中で加熱した場合はエチレンジアミンの生成量が実施例2と比べて少なく、加水分解が不十分であった。
(実施例3)CPAPの合成:
400LのSUS製反応器にリン酸二水素アリルアンモニウム140kg、N,N’−ジアリル−1,3−ジアミノプロパン二リン酸塩63kg、水70kgを入れて内温70℃で加熱溶解させ、反応器内を窒素で置換し、モノマー溶液を調製した。50LのSUS製反応器に2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩7.6kgと水23.7kgとを入れ、内温10℃で撹拌しながら溶解させ、反応器内を窒素で置換し、開始剤溶液を調製した。1500LのSUS製反応器(重合槽)にモノラウリン酸ソルビタン12kg、シクロヘキサン684kgを入れ、反応器内を窒素で置換した。撹拌しながら窒素を50分間バブリングさせた後、内温50〜55℃に加熱した。モノマー溶液を3.9kg/分、開始剤溶液を0.447kg/分の速度で、それぞれポンプで60分間送液し、スタティックミキサーでこれら二液を混合しながら重合槽に入れた。内温50〜55℃で20時間撹拌した後、室温に冷却した。メタノール87kgを入れて濾過した。メタノール182kgを入れて2時間撹拌した後に濾過する操作を2回、15%(w/w)メタノール水溶液244kgを入れて1時間撹拌した後に濾過する操作を3回行った後、メタノール87kgで洗浄した。得られた固体を40℃のコニカル乾燥機で減圧乾燥し、CPAPを168kg得た。
(実施例4)CPAPに過剰の塩基性水溶液を作用させて加熱することによりイミダゾリン環構造を加水分解して得たポリアリルアミン誘導体の品質評価:
実施例3で得たCPAP160kgを水800kgに懸濁させ、室温で48%水酸化ナトリウム水溶液258kgを入れた後、60〜65℃で加熱撹拌した。60℃到達後5、6、7、8時間後にサンプリングを行い、エチレンジアミンの生成量を定量した。結果を表1に示す。エチレンジアミンの生成量に変化が無く、加水分解が完了したと判断し10時間で加熱を止めた。
Figure 2015048363
加熱終了後直ちに加圧濾過器に水80kgを用いて移し、窒素で加圧して濾過した。濾物を水480kgに懸濁させて30分撹拌し、遠心濾過器で濾過する、という操作を8回繰り返し、エチレンジアミン、水酸化ナトリウム及びリン酸のナトリウム塩を洗浄除去した。含水の濾物全量197kgを水273kgに懸濁させ、酢酸22.7kgを水72kgに溶解させたものを入れた。室温で1時間撹拌した後、遠心濾過器で濾過した。2−プロパノール80kgに浸して濾過する操作を2回繰り返し、ポリマー中に含浸している水を除去した。濾物をコニカル乾燥機で減圧乾燥し、コポリ(アリルアミン/N,N’−ジアリル−1,3−ジアミノプロパン)の40%酢酸塩を82kg得た。
得られたコポリ(アリルアミン/N,N’−ジアリル−1,3−ジアミノプロパン)の40%酢酸塩1gをメタノール20mLと濃塩酸1.2mLとを混合した溶液に懸濁させて25℃で3時間撹拌し、メンブランフィルター(親水性PTFE)で濾過した。濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮残渣中に含まれるエチレンジアミンをHPLCで定量したところ、33ppmであった。
また、得られたコポリ(アリルアミン/N,N’−ジアリル−1,3−ジアミノプロパン)の40%酢酸塩を室温で8ヶ月保管したサンプル1gをメタノール20mLと濃塩酸1.2mLとを混合した溶液に懸濁させて25℃で3時間撹拌し、メンブランフィルター(親水性PTFE)で濾過した。濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮残渣中に含まれるエチレンジアミンをHPLCで定量したところ、エチレンジアミンは36ppmであり、保管中のエチレンジアミンの増加はほとんど見られなかった。
(比較例2)CPAPを水中で加熱し過剰の塩基性水溶液を室温で作用させて得たポリアリルアミン誘導体の品質評価:
実施例3と同様の方法で得たCPAP4.6kgを水46kgに懸濁させ、40℃で16時間加熱撹拌した。サンプリングを行い、エチレンジアミンの生成量を定量したところ83ppmであった。水10Lと20%水酸化ナトリウム水溶液22.8kgを入れた後、25℃で1時間撹拌した。遠心濾過器に移して濾過した。濾物を水10kgに懸濁させて30分撹拌し、遠心濾過器で濾過する、という操作を8回繰り返し、エチレンジアミン、水酸化ナトリウム及びリン酸のナトリウム塩を洗浄除去した。エタノール10Lに浸して遠心濾過器で濾過する操作を3回繰り返してポリマー中に含浸している水を除去した。真空オーブンで減圧乾燥し、54%含水のフリー体を得た。全量3.3kgを水16kgに懸濁させ、酢酸0.68kgを水1.5kgに溶解させたものを入れた。室温で0.5時間撹拌した後、加圧濾過器で濾過した。水3Lに浸して濾過した後、エタノール3Lに浸して濾過する操作を3回繰り返し、ポリマー中に含浸している水を除去した。濾物を真空オーブンで減圧乾燥し、コポリ(アリルアミン/N,N’−ジアリル−1,3−ジアミノプロパン)の40%酢酸塩を2.6kg得た。
得られたコポリ(アリルアミン/N,N’−ジアリル−1,3−ジアミノプロパン)の40%酢酸塩1gをメタノール20mLと濃塩酸1.2mLとを混合した溶液に懸濁させて25℃で3時間撹拌し、メンブランフィルター(親水性PTFE)で濾過した。濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮残渣中に含まれるエチレンジアミンをHPLCで定量したところ、321ppmであった。
得られたコポリ(アリルアミン/N,N’−ジアリル−1,3−ジアミノプロパン)の40%酢酸塩を40℃、60℃で1ヶ月保管したサンプルそれぞれ1gをメタノール20mLと濃塩酸1.2mLとを混合した溶液に懸濁させて25℃で3時間撹拌し、メンブランフィルター(親水性PTFE)で濾過した。濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮残渣中に含まれるエチレンジアミンをHPLCで定量したところ、エチレンジアミンはそれぞれ444ppm、934ppmであった。CPAPを水中で加熱し、その後、塩基性水溶液で加熱する際に加熱しなかった場合は、製品中にエチレンジアミンが多く含まれ、保管中にも温度依存的にエチレンジアミンの増加が見られた。
本発明の製造方法によれば、製造中、あるいは製品の保管中に重合開始末端のイミダゾリン環構造が分解してエチレンジアミン誘導体が放出されない、品質の高いポリアリルアミン誘導体が製造できるため、医薬品等の高品質が求められる分野においてポリアリルアミン誘導体の工業的生産に利用できる。

Claims (11)

  1. 以下の一般式(I)で示されるアゾ化合物又はその酸付加塩をラジカル重合開始剤として、以下の一般式(II)で示されるアリルアミン誘導体の酸付加塩を単独重合させるか又は前記アリルアミン誘導体の酸付加塩のモノマーと他のモノマーとを共重合させることにより、重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩を得る重合工程と、
    Figure 2015048363
    [式中、R及びRは、それぞれ独立に、メチル、エチル、シアノ又はヒドロキシメチルを表し、Rは、水素、メチル又はヒドロキシエチルを表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素又は炭素数1〜4のアルキルを表す。]
    Figure 2015048363
    [式中、Rは、水素又は炭素数1〜4のアルキルを表す。]
    前記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩に、塩基性水溶液を作用させて重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体を得る中和工程と、
    前記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体に、塩基性水溶液を加えて40〜100℃で加熱して前記イミダゾリン環構造を加水分解し、以下の一般式(III)で示されるエチレンジアミン誘導体を放出させて、前記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有しないポリアリルアミン誘導体を得る加水分解工程と、
    Figure 2015048363
    [式中、R〜Rは、前記定義と同じである。]
    を備える、ポリアリルアミン誘導体の製造方法。
  2. 以下の一般式(I)で示されるアゾ化合物又はその酸付加塩をラジカル重合開始剤として、以下の一般式(II)で示されるアリルアミン誘導体の酸付加塩を単独重合させるか又は前記アリルアミン誘導体の酸付加塩のモノマーと他のモノマーとを共重合させることにより、重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩を得る重合工程と、
    Figure 2015048363
    [式中、R及びRは、それぞれ独立に、メチル、エチル、シアノ又はヒドロキシメチルを表し、Rは、水素、メチル又はヒドロキシエチルを表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素又は炭素数1〜4のアルキルを表す。]
    Figure 2015048363
    [式中、Rは、水素又は炭素数1〜4のアルキルを表す。]
    前記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有する前記ポリアリルアミン誘導体の酸付加塩に対して1.1当量以上の塩基を加えて40〜100℃で加熱し、以下の一般式(III)で示されるエチレンジアミン誘導体を放出させて、前記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有しないポリアリルアミン誘導体を得る中和・加水分解工程と、
    Figure 2015048363
    [式中、R〜Rは、前記定義と同じである。]
    を備える、ポリアリルアミン誘導体の製造方法。
  3. 及びRは、メチルであり、R〜Rは、水素である、請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 前記重合工程は、アリルアミンの酸付加塩とN,N’−ジアリル−1,3−ジアミノプロパンの酸付加塩とを共重合させることによって、重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩を得る、請求項1〜3のいずれか一項記載の製造方法。
  5. 前記加水分解工程又は前記中和・加水分解工程では、55〜95℃で加熱する、請求項1〜4のいずれか一項記載の製造方法。
  6. 重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩からエチレンジアミン誘導体を放出する方法であり、
    前記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩に塩基性水溶液を作用させて重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体を得る中和工程と、
    前記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体に、塩基性水溶液を加えて40〜100℃で加熱して前記イミダゾリン環構造を加水分解し、以下の一般式(III)で示されるエチレンジアミン誘導体を放出する放出工程と、
    Figure 2015048363
    [式中、R〜Rは、前記定義と同じである。]
    を備える、エチレンジアミン誘導体を放出する方法。
  7. 重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩からエチレンジアミン誘導体を放出する方法であり、
    前記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有する前記ポリアリルアミン誘導体の酸付加塩に対して1.1当量以上の塩基を加えて40〜100℃で加熱し、以下の一般式(III)で示されるエチレンジアミン誘導体を放出させて、前記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有しないポリアリルアミン誘導体を得る中和・加水分解工程を備える、エチレンジアミン誘導体を放出する方法。
    Figure 2015048363
    [式中、R〜Rは、前記定義と同じである。]
  8. 前記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有するポリアリルアミン誘導体の酸付加塩は、以下の一般式(I)で示されるアゾ化合物又はその酸付加塩をラジカル重合開始剤として、以下の一般式(II)で示されるアリルアミン誘導体の酸付加塩を単独重合させるか又は前記アリルアミン誘導体の酸付加塩のモノマーと他のモノマーとを共重合させることによって得られたものである、請求項6又は7記載の方法。
    Figure 2015048363
    [式中、R及びRは、それぞれ独立に、メチル、エチル、シアノ又はヒドロキシメチルを表し、Rは、水素、メチル又はヒドロキシエチルを表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素又は炭素数1〜4のアルキルを表す。]
    Figure 2015048363
    [式中、Rは、水素又は炭素数1〜4のアルキルを表す。]
  9. 及びRは、メチルであり、R〜Rは、水素である、請求項8記載の方法。
  10. 前記重合開始末端にイミダゾリン環構造を有する前記ポリアリルアミン誘導体の酸付加塩は、アリルアミンの酸付加塩とN,N’−ジアリル−1,3−ジアミノプロパンの酸付加塩とを共重合させることによって得られたものである、請求項8又は9記載の方法。
  11. 前記放出工程又は前記中和・加水分解工程では、55〜95℃で加熱する、請求項6〜10のいずれか一項記載の方法。
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