JP2015045584A - 振動信号取得装置及び振動監視システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 プラント等の施設の改修が不要であるとともに、被検査装置の状態を長期間にわたって監視する際の労力を大幅に削減することを可能とした振動信号取得装置及び振動監視システムを提供する。【解決手段】 振動信号取得装置10は、被検査装置が発する振動を検出してアナログの振動信号を生成するセンサ部111と、アナログの振動信号をデジタルに変換するA/D変換部112と、デジタルに変換した後の振動信号を無線送信する無線送信部113と、を備える本体部11と、自然エネルギを電力に変換して発電する発電部12と、を備える。体部11及び発電部12は、被検査装置に近接した位置に配置され、本体部11が消費する電力が、発電部12が発電する電力によって賄われる。【選択図】 図1
Description
本発明は、被検査装置が発する振動を検出して振動信号を取得する振動信号取得装置と、当該振動信号取得装置によって取得される振動信号に基づいて被検査装置の状態を監視する振動監視システムに関する。
ポンプに代表される回転機器などの被検査装置において、被検査装置の動作(例えば、回転運動)に伴って発生する振動を検出することで得られる振動信号に基づいて、当該被検査装置の状態の検査が行われることが多い。通常、このような検査は、測定員が、被検査装置に対して測定機器のプローブを押し当てて振動信号を取得することによって行われる。
しかし、プラントなどの大規模な施設では、多数の被検査装置が広範囲にわたって配置されている。このような施設では、被検査装置の状態を長期間にわたって監視しようとする場合、測定員が定期的に被検査装置を1つずつ検査しなければならず、多大な労力が必要になってしまう。
そこで、例えば特許文献1では、被検査装置に対してセンサを据え付け、当該センサとパソコンとの間を同軸ケーブル等の信号線で接続することによって、パソコンにおいて振動信号を常時取得可能とした軸受診断装置が提案されている。
しかし、特許文献1で提案されている軸受診断装置のように、同軸ケーブル等の信号線でセンサとパソコンとを接続するシステムでは、信号線を敷設するためにプラント等の施設を大幅に改修することが必要となるため、多大な費用及び労力が必要になるという問題が生じる。さらに、プラント等の施設に信号線を敷設するためには、信号線を長くしたり曲げたりする必要があるため、信号線によって伝送される振動信号が減衰したりノイズが重畳したりする問題も生じる。
そこで、例えば特許文献2では、無線通信ユニットを搭載したセンサを被検査装置に取り付け、当該無線通信ユニットによって送信される振動信号を受信することによって、大規模な信号線の敷設を不要とした携帯型振動診断装置が提案されている。
しかしながら、特許文献2で提案されている携帯型振動診断装置は、電源として電池を使用していることから、定期的に電池を交換することが必要になる。そのため、被検査装置の状態を長期間にわたって監視する目的でこの携帯型振動診断装置を用いた場合、定期的に被検査装置を1つずつ測定するという労力を不要とすることはできるが、定期的に携帯型振動診断装置の電池を1つずつ交換するという労力が新たに必要となることから、監視に伴う労力を十分に削減することができなくなってしまう。
そこで、本発明は、プラント等の施設の改修が不要であるとともに、被検査装置の状態を長期間にわたって監視する際の労力を大幅に削減することを可能とした振動信号取得装置及び振動監視システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、被検査装置が発する振動を検出してアナログの振動信号を生成するセンサ部と、アナログの前記振動信号をデジタルに変換するA/D変換部と、デジタルに変換した後の前記振動信号を無線送信する無線送信部と、を備える本体部と、自然エネルギを電力に変換して発電する発電部と、を備え、前記本体部及び前記発電部は、前記被検査装置に近接した位置に配置され、前記本体部が消費する電力が、前記発電部が発電する電力によって賄われることを特徴とする振動信号取得装置を提供する。
この振動信号取得装置によれば、生成した振動信号が無線送信される。そのため、振動信号を伝送するための信号線(同軸ケーブルやツイストペアケーブルなど)を要することなく、振動信号を伝送することができる。さらに、この振動信号取得装置によれば、枯渇することがない自然エネルギを変換して発電した電力により、振動信号の生成から無線送信までに必要となる電力が賄われる。そのため、電池の交換などの設置後のメンテナンスを、大幅に削減することができる。
さらに、上記特徴の振動信号取得装置において、前記発電部が、太陽光を電力に変換して発電するものであると、好ましい。
この振動信号取得装置によれば、日光が差し込む場所に発電部を設置すればよいため、発電部の設置の自由度を向上させることができる。そこで、例えば、発電部と本体部とを接続する電力供給用の配線が邪魔にならないように、発電部を容易に配置することが可能となる。
さらに、上記特徴の振動信号取得装置において、前記発電部が、前記本体部にのみ電力を供給するものであると、好ましい。
この振動信号取得装置によれば、本体部との位置関係に基づいて発電部を配置すればよいため、発電部の設置の自由度を向上させることができる。そこで、例えば、発電部と本体部とを接続する電力供給用の配線が邪魔にならないように、発電部を容易に配置することが可能となる。
さらに、上記特徴の振動信号取得装置において、前記発電部が、前記自然エネルギを電力に変換して出力する電力出力部と、前記電力出力部が出力する電力を一時的に蓄積する蓄電部と、を備え、前記蓄電部に蓄積された電力が、前記本体部に供給されてもよい。
この振動信号取得装置によれば、自然現象に依るために電力出力部が出力する電力は不安定と成り得るが、当該電力を蓄電部によって一時的に蓄積することで、本体部に対して安定して電力を供給することが可能となる。さらに、電力出力部における電力の出力状態(即ち、自然現象の状態)にかかわらず、所望のタイミングで本体部を動作させることが可能となる。
または、上記特徴の振動信号取得装置において、前記発電部が、前記自然エネルギを電力に変換して出力する電力出力部を備え、前記電力出力部が出力する電力が、前記本体部に直接的に供給されてもよい。
この振動信号取得装置によれば、発電部の構成を簡素化することが可能となる。
また、本発明は、上記の振動信号取得装置と、前記振動信号取得装置が無線送信する前記振動信号を受信するとともに、当該振動信号を処理してその処理結果を示す出力データを生成する振動信号処理装置と、を備えることを特徴とする振動監視システムを提供する。
さらに、上記特徴の振動監視システムにおいて、前記被検査装置が、回転軸と、当該回転軸を支持する軸受と、当該回転軸と一体となって回転する回転駆動体と、を備えた回転機器であり、前記振動信号処理装置が、前記軸受に起因した振動を示す出力データを生成すると、好ましい。
具体的には、上記特徴の振動監視システムにおいて、前記振動信号処理装置が、所定の周波数以上である特定周波数または特定周波数帯域における加速度の大きさを示す前記出力データを生成すると、好ましい。
さらに具体的には、上記特徴の振動監視システムにおいて、前記振動信号処理装置が、前記特定周波数または前記特定周波数帯域における加速度の大きさの時系列的な変遷を示す前記出力データを生成すると、好ましい。
回転機器の軸受の損傷(例えば、摩耗)は、長い期間をかけて徐々に進行する。そのため、被検査装置を長期間にわたって監視する必要はあるが、振動信号を頻繁に取得する必要はなく、振動信号を取得することができない期間が生じることすら許容される。そのため、自然現象に依るために供給する電力は不安定となり得るが設置の自由度が高い発電部を、何ら問題なく利用することができる。
さらに、上記特徴の振動監視システムにおいて、前記振動信号処理装置が、前記振動信号取得装置が無線送信した前記振動信号を受信する無線受信部と、前記無線受信部が受信した前記振動信号を記録する記録部と、前記記録部から読み出された前記振動信号を処理する信号処理部と、前記振動信号の処理結果に基づいて前記出力データを生成する出力部と、を備えると、好ましい。
この振動信号取得装置によれば、振動信号処理装置において、無線受信部が受信した振動信号が、そのまま記録部に記録される。そのため、信号処理部において、加工前の振動信号に対し所望の処理を施すことが可能になるとともに、出力部において所望の出力データを生成することが可能になる。
上記特徴の振動信号取得装置及び振動監視システムによれば、振動信号を伝送するための信号線をプラント等の施設に敷設する必要がなく、さらに設置後のメンテナンスも大幅に削減することができる。したがって、プラント等の施設の改修が不要であるとともに、被検査装置の状態を長期間にわたって監視する際の労力を大幅に削減することが可能となる。
<全体構成例>
最初に、本発明の実施形態に係る振動監視システムの構成の一例について、図1を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る振動監視システムの構成の一例を示すブロック図である。
最初に、本発明の実施形態に係る振動監視システムの構成の一例について、図1を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る振動監視システムの構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、振動監視システム1は、振動信号取得装置10と、振動信号処理装置20と、を備える。
振動信号取得装置10は、被検査装置が発する振動を検出して振動信号を生成し、当該振動信号を無線送信する。また、振動信号処理装置20は、振動信号取得装置10が無線送信する振動信号を受信するとともに、当該振動信号を処理してその処理結果を示す出力データを生成する。
振動信号取得装置10は、本体部11と、発電部12と、を備える。さらに、本体部11は、センサ部111と、アンプ部112と、A/D変換部113と、無線送信部114と、を備える。
センサ部111は、被検査装置が発する振動を検出してアナログの振動信号を生成する。センサ部111として、例えば、圧電式の加速度センサを適用することができる。なお、加速度センサに加えて(または、代えて)、速度センサや変位センサをセンサ部111に適用してもよい。ただし、加速度を積分することで速度を導出することが可能であり、速度を積分することで変位を導出することが可能である。そのため、センサ部111に加速度センサのみを適用する場合でも、振動信号処理装置20(特に、後述する信号処理部23)において、速度や変位を示す振動信号を生成することが可能である。
アンプ部112は、センサ部111が出力するアナログの振動信号を増幅する。また、A/D変換部113は、アンプ部112によって増幅されたアナログの振動信号を、デジタルの振動信号に変換する。
無線送信部114は、A/D変換部113によってアナログからデジタルに変換された後の振動信号を無線送信する。例えば、無線送信部114は、デジタルの振動信号を符号化するとともに所定の通信規格に従って構築することで送信データを生成し、当該送信データに基づいて変調した電磁波を送信する。
発電部12は、自然エネルギを電力に変換して発電する。自然エネルギとは、例えば、太陽光や太陽熱、風力、水力、地熱など、自然現象によって発生するエネルギであって、枯渇することなく永続的に取得することができるエネルギである。
振動信号取得装置10において、本体部11及び発電部12は、被検査装置に近接した位置に配置される。例えば、本体部11及び発電部12は、被検査装置に隣接した位置であって、被検査装置の動作や従業員の動線を阻害しない位置に配置される。
また、振動信号取得装置10において、本体部11が消費する電力(即ち、振動信号の生成から無線送信までに必要となる電力)は、発電部12が発電する電力によって賄われる。なお、図1では、アンプ部112、A/D変換部113及び無線送信部114のそれぞれが動作するために必要な電力が、発電部12が発電する電力によって賄われる場合について例示している。
また、振動信号処理装置20は、無線受信部21と、記録部22と、信号処理部23と、出力部24と、を備える。さらに、信号処理部23は、周波数選択処理部231と、FFT処理部232と、波形処理部233と、を備える。
無線受信部21は、振動信号取得装置10が無線送信した振動信号を受信する。例えば、無線受信部21は、無線送信部114が送信した電磁波を受信して復調することで受信データを生成し、所定の通信規格に従って構築されている受信データを解体するとともに復号化することで、デジタルの振動信号を取得する。
記録部22は、無線受信部21が受信した振動信号を記録する。例えば、記録部22は、ハードディスクや不揮発性半導体メモリなどの記録装置から構成される。このように、無線受信部21が受信した振動信号が、そのまま記録部22に記録される構成とすると、信号処理部23において、加工前の振動信号に対し所望の処理を施すことが可能になるとともに、出力部24において、所望の出力データを生成することが可能になるため、好ましい。
信号処理部23は、記録部22から読み出された振動信号を処理する。このとき、信号処理部23は、例えばユーザが指示した方法(または、ユーザが指示した検査目的に適合した方法)で、振動信号を処理する。なお、図1では、信号処理部23が、周波数選択処理部231と、FFT処理部232と、波形処理部233と、の各部を備えるものであるかのように図示しているが、これは信号処理部23の各機能について説明する便宜のために過ぎない。信号処理部23は、CPU(Central Processing Unit)などの1つの演算装置で構成され得る。
周波数選択処理部231は、振動信号から必要な周波数帯域を選択的に取得する。例えば、被検査装置が回転機器であって、軸受等の摩耗系の異常を検出する場合、高周波数帯域における加速度の大きさを確認すると、好ましい。この場合、周波数選択処理部231は、加速度を示す振動信号に対して、所定の周波数(例えば、1000Hzや2000Hz)以上となる周波数帯域を選択的に取得する。また例えば、被検査装置が回転機器であって、軸振れやアンバランスなどの機構系の異常を検出する場合、低周波数藍域における速度や変位の大きさを確認すると、好ましい。この場合、周波数選択処理部231は、速度や変位を示す振動信号に対して、所定の周波数(例えば、1000Hzや2000Hz)以下となる周波数帯域を選択的に取得する。
FFT処理部232は、周波数選択処理部231が選択した周波数帯域の振動信号に対して、FFT(Fast Fourier Transform)処理を行うことで、時間軸の信号から周波数軸の信号へと変換する。なお、周波数選択処理部231及びFFT処理部232は、処理の順番の前後を入れ替えてもよい。
波形処理部233は、周波数選択処理部231及びFFT処理部232による処理を経た周波数軸の振動信号に対して、振動信号の特徴を明確化するための処理(例えば、ノイズを除去する処理や包絡線を検出する処理など)を施す。
出力部24は、信号処理部23による振動信号の処理結果に基づいて、出力データを生成する。例えば、出力データとは、振動信号の処理結果を視覚的に表現したグラフのデータである。出力部24は、振動信号の処理結果をユーザが容易に把握することができるように、振動信号の処理結果の一部(例えば、特定周波数または特定周波数帯域における振動信号の値)のみを抜き出す処理や、いくつかの振動信号の処理結果を対照的に並べる処理などを、必要に応じて行う。なお、信号処理部23及び出力部24は、CPUなどの1つの演算装置で構成されていてもよい。
上述の振動信号取得装置10では、生成された振動信号が無線送信される。そのため、振動信号を伝送するための信号線(同軸ケーブルやツイストペアケーブルなど)を要することなく、振動信号を伝送することができる。さらに、上述の振動信号取得装置10では、枯渇することがない自然エネルギを変換して発電した電力により、振動信号の生成から無線送信までに必要となる電力が賄われる。そのため、電池の交換などの設置後のメンテナンスを、大幅に削減することができる。
以上のように、本発明の実施形態に係る振動監視システム1及び振動信号取得装置10では、振動信号を伝送するための信号線をプラント等の施設に敷設する必要がなく、さらに設置後のメンテナンスも大幅に削減することができる。したがって、プラント等の施設の改修が不要であるとともに、被検査装置の状態を長期間にわたって監視する際の労力を大幅に削減することが可能となる。
なお、図1では、図示の簡略化のために、1つの振動信号取得装置10が送信する振動信号を1つの振動信号処理装置20が受信する構成について例示しているが、振動信号処理装置20は、複数の振動信号取得装置10が送信する振動信号を受信し得る。この場合、例えば、振動信号取得装置10が、振動信号を生成したセンサ部111や振動信号取得装置10の識別情報を付加した送信データを生成するとともに、振動信号処理装置20が、得られた受信データに付加されている識別情報を参照する構成にすると、振動信号処理装置20が、受信した振動信号がどこのセンサ部111や振動信号取得装置10で生成されたものであるのかを把握することができる。
<具体的実施例>
次に、上述した振動信号取得装置10の具体的な実施例について、図面を参照して説明する。図2は、振動信号取得装置の具体的な実施例について示す模式的な斜視図である。なお、図2では、被検査装置が、液化天然ガスなどの流体を吸込み吐出するポンプである場合について例示している。
次に、上述した振動信号取得装置10の具体的な実施例について、図面を参照して説明する。図2は、振動信号取得装置の具体的な実施例について示す模式的な斜視図である。なお、図2では、被検査装置が、液化天然ガスなどの流体を吸込み吐出するポンプである場合について例示している。
図2に示す実施例において、振動信号取得装置10は、汎用のPDA(Personal Digital Assistant)115を利用した構成になっている。具体的に、この実施例では、図1に示したアンプ部112、A/D変換部113及び無線送信部114のそれぞれが、汎用のPDA115が本来的に有する機器によって実現されている。なお、アンプ部112の一部または全部が、センサ部111と一体的に設けられ、PDA115によって実現されない構成であってもよい。
また、図2に示す実施例において、発電部12は、太陽光発電パネル121(電力出力部)と、蓄電部122と、を備える。太陽光発電パネル121は、入射した太陽光のエネルギを電力に変換して出力するものである。また、蓄電部122は、太陽光発電パネル121が出力する電力を一時的に蓄積するものである。また、図2に示す実施例において、発電部12は、PDA115(本体部11)にのみ電力を供給するものであって、自在に持ち運び及び設置することができるものである。
このように、発電部12が太陽光発電を行うものであると、日光が差し込む場所に発電部12を設置すればよいため、発電部12の設置の自由度を向上させることができる。また、発電部12が、PDA115(本体部11)にのみ電力を供給するものであると、PDA115(本体部11)との位置関係に基づいて発電部12を配置すればよいため、発電部12の設置の自由度を向上させることができる。そこで、例えば、発電部12とPDA115(本体部11)とを接続する電力供給用の配線が邪魔にならないように、発電部12を容易に配置することが可能となる。
また、天気(晴天、雨天等)や日照時間などの自然現象に依るために、太陽光発電パネル121が出力する電力は不安定と成り得るが、当該電力を蓄電部122によって一時的に蓄積することで、PDA115(本体部11)に対して安定して電力を供給することが可能となる。さらに、太陽光発電パネル121における電力の出力状態(即ち、自然現象の状態)にかかわらず、所望のタイミングでPDA115(本体部11)を動作させることが可能となる。
PDA115は、信号線(例えば、同軸ケーブルやツイストペアケーブル等)で接続されたセンサ部111から、アナログの振動信号を取得する。ただし、この信号線は、センサ部111とPDA115との間を接続するのみであるため、極めて短いもので足りる。そのため、上述したような、信号線の敷設に伴う問題や、振動信号の減衰及びノイズの重畳の問題は、生じない。
ポンプ50は、回転軸51と、軸受52と、モータの回転子(回転駆動体)531と、インペラ532と、筐体54と、を備える。回転軸51は、軸受52において回転可能な状態で支持されている。また、回転子531は、回転軸51に取り付けられ、回転軸51と一体となって回転する。そして、この回転軸51の回転によって、インペラ532が回転駆動される。
また、図2では、センサ部111が、軸受52に起因する振動を検出するための加速度センサである場合について、例示している。そのため、図2では、センサ部111が、筐体54の外表面の中で軸受52に近い位置に取り付けられている。なお、センサ部111の取り付け位置は、検出すべき振動の発生源である軸受52に近いほど、当該振動の減衰が小さくなるため、好ましい。そのため、可能であれば(例えば、センサ部111を取り付けるためのポンプ50の改造が容易であれば)、筐体54の内部の、軸受52のハウジング表面などにセンサ部111を取り付けると、好ましい。
振動信号取得装置10は、定時に(例えば、「1回/週」以上「3回/日」以下となる程度の頻度で)、振動を検出して振動信号を生成して無線送信する。このとき、PDA115は、内蔵するCPU等の制御部が、例えばタイマーアプリ等を実行することで時間の管理を行い、所定の時刻になるとスリープ状態から復帰して振動信号の生成及び送信を行う。このとき、振動信号処理装置20は、例えば振動信号取得装置10から送信される送信要求を受けた後、振動信号取得装置10に対して応答することによって通信を確立してから、振動信号を無線受信する。なお、振動信号取得装置10及び振動信号処理装置20の無線通信において、汎用のPDA115でも利用可能である、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)などの標準的な通信規格を採用すると、好ましい。
上記の例において、1回の振動信号の生成及び送信に1分程度要すると仮定して、その時のPDA115の消費電力が20Wと仮定すると、1回の振動信号の生成及び送信に必要な電力量は0.3Wh程度であり、消費する蓄電部122の蓄電量は0.003Ah(蓄電部122がAC100Vで電力を供給する場合)に過ぎない。そのため、蓄電部122に要求される蓄電容量は、スリープ状態を維持するための電力量の確保を考慮したとしても、極めて僅かなもので足りる。
特に、ポンプ50などの回転機器の軸受52の損傷(例えば、摩耗)は、長い期間をかけて徐々に進行する。そのため、このような損傷を検出しようとする場合は、被検査装置を長期間にわたって監視する必要はあるが、振動信号を頻繁に取得する必要はなく、振動信号を取得することができない期間が生じることすら許容される。したがって、自然現象に依るために供給する電力は不安定となり得るが設置の自由度が高い発電部12を、何ら問題なく利用することができる。さらに、場合によっては蓄電量が枯渇するほど蓄電容量が小さい蓄電部122であっても、何ら問題なく利用することができる。
次に、振動信号処理装置20が生成する出力データの一例について、図面を参照して説明する。図3は、出力データの一例について示すグラフである。なお、図3(a)は、特定周波数帯域(例えば、2000Hz以上)における加速度の大きさの時系列的な変遷を示すグラフである。また、図3(b)は、特定周波数(図3(a)における周波数F1)における加速度の大きさの時系列的な変遷を示すグラフである。また、図3(a)及び(b)に示す出力データは、図2に示した振動信号取得装置10が生成及び送信した振動信号に基づいて生成された出力データの一例を示すものである。
例えば、上述のように、ポンプ50などの回転機器の軸受52は、時間の経過とともに摩耗などの損傷が徐々に進行することによって、加速度が序々に大きくなる。特に、図3(a)及び(b)に示すように、特定周波数F1において、加速度の増大が顕著となる。
そこで、出力部24は、図3(a)及び(b)に示すような、特定周波数F1または特定周波数帯域における加速度の大きさを示す出力データ(特に、時系列的な変遷を示すデータ)を生成する。これにより、被検査装置を監視する者が、被検査装置の損傷が現に発生していることや損傷の兆候を明確に把握することが可能になる。
<変形等>
[1] 発電部12が、太陽光発電パネル121(電力出力部)の他に、蓄電部122をも備えている構成である場合について例示したが、発電部12が、太陽光発電パネル121のみを備える構成であってもよい。即ち、発電部12が、蓄電部122を備えていない構成であってもよい。この場合、発電部12の構成を簡素化することが可能となる。
[1] 発電部12が、太陽光発電パネル121(電力出力部)の他に、蓄電部122をも備えている構成である場合について例示したが、発電部12が、太陽光発電パネル121のみを備える構成であってもよい。即ち、発電部12が、蓄電部122を備えていない構成であってもよい。この場合、発電部12の構成を簡素化することが可能となる。
ただし、太陽光発電パネル121は、所定の自然現象下(例えば、晴天かつ昼間など)でなければ電力を出力することができない。そのため、発電部12が蓄電部122を備えていない場合、発電部12が電力を出力することができる機会が、限定的となる。即ち、振動信号取得装置10が振動信号を生成及び送信できる機会が、限定的となる。
しかし、例えば、ポンプ50などの回転機器の軸受52の損傷(例えば、摩耗)を検出しようとする場合は、上述のように振動信号を取得することができない期間が生じることすら許容される。そのため、発電部12が、蓄電部122を備えていない構成であっても、何ら問題はない。
[2] 振動信号取得装置10及び振動信号処理装置20が通信を確立する際に、振動信号取得装置10が振動信号処理装置20に対して送信要求を送信する構成について例示したが、振動信号処理装置20が振動信号取得装置10に対して受信要求を送信する構成であってもよい。
この場合、例えばユーザが振動信号処理装置20を操作することによって、任意のタイミングで、振動信号取得装置10に対して振動信号を生成及び送信させることが可能となる。
ただし、この場合、振動信号取得装置10が受信可能な状態を維持することで消費電力が増大する問題や、振動信号取得装置10をスリープ状態から復帰させる何らかの方法が必要になることでシステムの構成が複雑化するなどの問題が生じる。したがって、これらの問題を生じさせないという観点では、振動信号取得装置10及び振動信号処理装置20が通信を確立する際に、振動信号取得装置10が振動信号処理装置20に対して送信要求を送信する構成とした方が、好ましい。
[3] 振動信号取得装置10が、ポンプなどの被検査装置の動作状態(例えば、稼働中または停止中)に応じて、振動信号の生成及び送信の有無を決定してもよい。例えば、振動信号取得装置10が、被検査装置が稼働中であることを示す制御信号を受け取っている場合(または、被検査装置が停止中であることを示す制御信号を受け取っていない場合)や、センサ部111が生成する振動信号が所定の大きさ以上であることを確認する場合に限って、振動信号の生成及び送信を行うように構成してもよい。
このように構成すると、被検査装置が停止している間において、振動信号の生成及び送信を停止させることができる。この場合、不要な振動信号が振動信号処理部20の記録部22に蓄積されることを防止することが可能になる。そのため、被検査装置を監視する者が、振動信号処理部20が生成する出力データを得ることによって、被検査装置の損傷が現に発生していることや損傷の兆候を、より明確に把握することが可能になる。
[4] 1つのPDA115(アンプ部112、A/D変換部113及び無線送信部114)に対して1つのセンサ部111が設けられる構成について例示したが、1つのPDA115に対して複数のセンサ部111が設けられる構成であってもよい。
また、1つの発電部12に対して1つのPDA115(本体部11)が設けられる構成について例示したが、1つの発電部12に対して複数のPDA115が設けられる構成であってもよい。
本発明は、回転機器などの被検査装置が発する振動を検出して振動信号を取得する振動信号取得装置や、当該振動信号取得装置によって取得される振動信号に基づいて被検査装置の状態を監視する振動監視システムに対して、適用することができる。
1 : 振動監視システム
10 : 振動信号取得装置
11 : 本体部
111 : センサ部
112 : アンプ部
113 : A/D変換部
114 : 無線送信部
115 : PDA
12 : 発電部
121 : 太陽光発電パネル(電力出力部)
122 : 蓄電部
20 : 振動信号処理装置
21 : 無線受信部
22 : 記録部
23 : 信号処理部
231 : 周波数選択処理部
232 : FFT処理部
233 : 波形処理部
24 : 出力部
50 : ポンプ
51 : 回転軸
52 : 軸受
531 : 回転子(回転駆動体)
532 : インペラ
54 : 筐体
10 : 振動信号取得装置
11 : 本体部
111 : センサ部
112 : アンプ部
113 : A/D変換部
114 : 無線送信部
115 : PDA
12 : 発電部
121 : 太陽光発電パネル(電力出力部)
122 : 蓄電部
20 : 振動信号処理装置
21 : 無線受信部
22 : 記録部
23 : 信号処理部
231 : 周波数選択処理部
232 : FFT処理部
233 : 波形処理部
24 : 出力部
50 : ポンプ
51 : 回転軸
52 : 軸受
531 : 回転子(回転駆動体)
532 : インペラ
54 : 筐体
Claims (10)
- 被検査装置が発する振動を検出してアナログの振動信号を生成するセンサ部と、アナログの前記振動信号をデジタルに変換するA/D変換部と、デジタルに変換した後の前記振動信号を無線送信する無線送信部と、を備える本体部と、
自然エネルギを電力に変換して発電する発電部と、を備え、
前記本体部及び前記発電部は、前記被検査装置に近接した位置に配置され、
前記本体部が消費する電力が、前記発電部が発電する電力によって賄われることを特徴とする振動信号取得装置。 - 前記発電部が、太陽光を電力に変換して発電するものであることを特徴とする請求項1に記載の振動信号取得装置。
- 前記発電部が、前記本体部にのみ電力を供給するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の振動信号取得装置。
- 前記発電部が、
前記自然エネルギを電力に変換して出力する電力出力部と、
前記電力出力部が出力する電力を一時的に蓄積する蓄電部と、を備え、
前記蓄電部に蓄積された電力が、前記本体部に供給されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の振動信号取得装置。 - 前記発電部が、前記自然エネルギを電力に変換して出力する電力出力部を備え、
前記電力出力部が出力する電力が、前記本体部に直接的に供給されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の振動信号取得装置。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の振動信号取得装置と、
前記振動信号取得装置が無線送信する前記振動信号を受信するとともに、当該振動信号を処理してその処理結果を示す出力データを生成する振動信号処理装置と、
を備えることを特徴とする振動監視システム。 - 前記被検査装置が、回転軸と、当該回転軸を支持する軸受と、当該回転軸と一体となって回転する回転駆動体と、を備えた回転機器であり、
前記振動信号処理装置が、前記軸受に起因した振動を示す出力データを生成することを特徴とする請求項6に記載の振動監視システム。 - 前記振動信号処理装置が、所定の周波数以上である特定周波数または特定周波数帯域における加速度の大きさを示す前記出力データを生成することを特徴とする請求項7に記載の振動監視システム。
- 前記振動信号処理装置が、前記特定周波数または前記特定周波数帯域における加速度の大きさの時系列的な変遷を示す前記出力データを生成することを特徴とする請求項8に記載の振動監視システム。
- 前記振動信号処理装置が、
前記振動信号取得装置が無線送信した前記振動信号を受信する無線受信部と、
前記無線受信部が受信した前記振動信号を記録する記録部と、
前記記録部から読み出された前記振動信号を処理する信号処理部と、
前記振動信号の処理結果に基づいて前記出力データを生成する出力部と、
を備えることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の振動監視システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013177202A JP2015045584A (ja) | 2013-08-28 | 2013-08-28 | 振動信号取得装置及び振動監視システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013177202A JP2015045584A (ja) | 2013-08-28 | 2013-08-28 | 振動信号取得装置及び振動監視システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015045584A true JP2015045584A (ja) | 2015-03-12 |
Family
ID=52671193
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013177202A Pending JP2015045584A (ja) | 2013-08-28 | 2013-08-28 | 振動信号取得装置及び振動監視システム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015045584A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019230088A1 (ja) * | 2018-05-31 | 2019-12-05 | 日本電気株式会社 | 監視システム及び監視方法 |
-
2013
- 2013-08-28 JP JP2013177202A patent/JP2015045584A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019230088A1 (ja) * | 2018-05-31 | 2019-12-05 | 日本電気株式会社 | 監視システム及び監視方法 |
JPWO2019230088A1 (ja) * | 2018-05-31 | 2021-05-20 | 日本電気株式会社 | 監視システム及び監視方法 |
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