JP2015044215A - シリーズスポット溶接またはインダイレクトスポット溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】2枚以上重ねた鋼板の重ね合わせ部の片面から当接して重ね合わせ部に電流を流す電極1と、電極1の先端外周からの距離が5mm以内で、電極1の先端外周の全周囲の20%以上の領域[a1+a2+a3]において重ね合わせ部を加圧するとともに、電極1の先端外周の全周囲のうち加圧しない領域[b1,b2,b3]が、連続して電極1の先端外周の全周囲の20%以下となる加圧部材2と、を備えたスポット溶接装置を用いて、重ね合わせ部を電極1にて100N以上の荷重で挟み込むとともに、加圧部材2にて電極1の周りを電極1による荷重の5〜1000%の荷重で加圧しておき、溶接電流を通電し、必要により、さらに所定の条件で後通電処理を行う。
【選択図】 図1
Description
特許文献1には、円錐状の先端を備え、その先端の角度が大きく、かつ、円錐先端に直径1.5〜3.0mmの平坦部を備えた抵抗溶接電極を用いることで、平坦部に電流を集中させることにより初期の電流密度を高めて早期に加熱軟化させて金属板表面に電極をなじませつつ、先端角を大きくしたことで通電後に円錐面を押し当てられるようにすることにより、クラックやバリ、板隙の発生を防止できるとしたシリーズスポット溶接用の電極が開示されている。
特許文献2には、矩形波の電流でピーク値を均一とし、単位時間に流れる電流を平均化するとともに、溶接電流の通電を時間的に分割して間に無通電時間を設けることで、圧痕の小さな径の大きく溶けこみの深いナゲットを形成することができ、従来不可能であった、比較的薄い板材同士の溶接が可能になるインダイレクトスポット溶接方法が開示されている。
特許文献3〜7には、通電してから溶接が完了するまでの間に、電流と加圧力のいずれか、または、双方を変化させることで、碁石状のナゲット形成を実現させるスポット溶接方法が開示されている。
特許文献8には、鋼板の間に絶縁性を有する粘稠な物質を介在させることで、電極で押し込んだ領域だけ鋼板同士が接触し導通できるようにし、安定してナゲットを確保することができるインダイレクトスポット溶接方法が、特許文献9には、溶接部のみ導電できるように他の部分を絶縁することで、安定してナゲットを確保することができるインダイレクトスポット溶接方法が、それぞれ開示されている。
0≦WTi≦200 ・・・式(1)
0.20×WC≦PCi≦0.90×WC ・・・式(2)
10≦PTi≦200 ・・・式(3)
TT=Σ(WTi+PTi)≦500 ・・・式(4)
ただし、i:1〜Nの整数、WC:溶接電流(kA)、WTi:i回目の通電待機時間(ms)、PCi:i回目の後通電電流(kA)、PTi:i回目の後通電時間、TT:後処理合計時間をそれぞれ示す。
0≦WTi≦200 ・・・式(1)
0.20×WC≦PCi≦0.90×WC ・・・式(2)
10≦PTi≦200 ・・・式(3)
TT=Σ(WTi+PTi)≦500 ・・・式(4)
ただし、i:1〜Nの整数、WC:溶接電流(kA)、WTi:i回目の通電待機時間(ms)、PCi:i回目の後通電電流(kA)、PTi:i回目の後通電時間、TT:後処理合計時間をそれぞれ示す。
まず、上記第1発明に係る実施形態について説明する。
図1に、本発明に係るスポット溶接装置の一実施形態に係る電極および加圧部材の概略構成を示す。ここに、符号1は電極を示し、先端の直径Dの円柱状である先端平滑型電極を例示している。また、符号2は加圧部材を示し、中心角a1、a2、a3で厚みtの扇形断面を有する瓦状の部材3枚からなる例を示している。この3枚の加圧部材2は、平面視で、電極1の先端外周から距離cだけ間を空けるとともに、電極1の中心軸廻りに中心角b1、b2、b3ずつ間隔を置いて、電極1の周囲を取り囲むように配置されている。
まず、電極1は、2枚以上重ねた鋼板の重ね合わせ部の片面側(本例では上面側)から当接して該重ね合わせ部に電流を流すものである。電極1の形状としては、DR型、先端平滑型など、スポット溶接で一般的に用いられる電極形状を用いることができる。また、電極1の材料としては、純銅、クロム銅、アルミナ分散銅など、スポット溶接で一般的に用いられる電極材料を用いることができる。なお、本発明のスポット溶接方法で接合される、2枚以上重ねた鋼板としては、その種類について特に限定する必要がなく、DP鋼板、TRIP鋼板、熱間プレス鋼板等、いずれの種類の鋼板であってもよい。また、鋼板の板厚についても、特に限定する必要はないが、スポット溶接に適した0.3〜3.0mmの範囲のものが推奨される。引張強度については、900〜1850MPaの範囲の高強度鋼板に対して特に強度向上効果が大きい。また、鋼板の表面に施されるめっきの種類についても、Zn系のものであれば、特に限定するものではなく、例えば、Zn、Zn−Fe、Zn−Ni、Zn−Al、Sn−Zn等いずれのものでもよい。また、めっき付与の方法についても、電気めっき、溶融めっき、合金化溶融めっき等いずれの方法でもよい。また、同種同板厚同士の組み合わせに限定されるものではなく、同種異板厚、異種同板厚、異種異板厚のいずれの組み合わせであってもよい。
つぎに、加圧部材2は、電極1の先端外周からの距離cが5mm以内で、該電極1の先端外周の全周囲の20%以上の領域〔a1+a2+a3〕において前記重ね合わせ部を加圧するとともに、該電極1の先端外周の全周囲のうち加圧しない領域〔b1,b2,b3〕が、連続して該電極1の先端外周の全周囲の20%以下(0%を含む)となるように構成する。
加圧部材2を電極1に可能な限り近接して配置し、通電中において電極1の先端外周のごく近傍を加圧部材2により冷却することで、溶融領域が金属板の表面まで拡がることを阻止し、表チリの発生を防止するためである。このような効果を有効に発揮させるためには、距離cを5mm以内とする。加圧部材2の材料としては、通電時の高温状態における耐荷重強度を必要とするため、電極1と同様の純銅、クロム銅の他、チタン、窒化アルミニウム、窒化シリコンなどが挙げられる。なお、加圧部材2は電極1の先端外周と接する状態(すなわち、距離c=0mm)としてもよいが、その場合には、加圧部材2を介して金属板に電流が流れないように、加圧部材2自体をセラミックスなどの絶縁材料で製作するか、電極1と接する側の加圧部材2表面に絶縁材料を被覆するなどの方策が必要となる。
電極周囲のできるだけ広い領域を加圧することで、電極1周囲を押さえ付けて中チリの発生を防止すると同時に、電極1周囲を冷却して表チリの発生を防止するためである。図1に示すように、加圧領域を分割して、加圧部材2を複数個(本例では3個)設けてもよいが、上記効果を有効に発揮させるためには、加圧領域の合計A〔=a1+a2+a3〕を全周囲(中心角で360°)の20%以上(中心角で72°以上)とする必要がある。もちろん、加圧領域を全周囲の100%とするのが、チリ発生の防止の観点からは最も好ましい。この場合、加圧部材2は、円周方向に切れ目のない、円環状断面を有する円筒状の部材1つだけで構成されることとなる。
また、図1に示すように、加圧領域を分割して、加圧部材2を複数個(本例では3個)設ける場合には、加圧しない連続領域、すなわち、b1,b2,b3のうち最大のものが、全周囲の20%以下(中心角で72°以下)となるようにすることで、重ね合わせた金属板同士の隙間の拡大を抑制して板間からの溶融物の飛び散りを阻止するためである。
加圧部材2の厚みtは、通電時の高温状態における荷重に耐えるように、該加圧部材2の材料の種類や荷重の大きさに応じて0.1〜2.0mmの範囲で適宜設定すればよい。
[電極外周加圧工程]
前記電極1にて100N以上の荷重FCで押さえ込むとともに、前記加圧部材2にて前記電極1の周りを前記電極1による荷重FCの5〜1000%の荷重FEで加圧しておく。
スポット溶接後に十分な継手強度が得られるように、電極1による荷重FCは100N以上とする。そして、加圧部材2によるFEは、中チリの発生を防止するため、前記電極1による荷重FCの5%以上とする。加圧部材2による荷重FEは、中チリ発生防止の観点からは大きければ大きいほど好ましいが、その上限は、スポット溶接機の設備能力で制約され、荷重FCの1000%とした。
前記電極1から前記重ね合わせ部に溶接通電を施す。溶接電流WC(単位:kW)および本通電時間(単位:ms)は、接合する鋼板の材質・厚さなどに応じて、チリが発生しない範囲でナゲット径が確保できるように適宜設定すればよい。
つぎに、上記第2発明に係る実施形態について説明する。
上記第1実施形態においては本通電だけを行う(すなわち、後通電を付与しない)場合について例示したが、本実施形態では、本通電の後にさらに後通電を付与する場合について例示する。なお、スポット溶接装置の構成および本通電工程までは、上記実施形態1と共通であるので説明を省略し、以下、後処理工程(「通電待機工程+後通電工程」の1回または複数回繰り返しの工程)についてのみ説明を行う。
上記本通電工程の終了直後に、下記式(1)を満たす通電待機時間を置く通電待機工程、ならびにそれに引き続き下記式(2)および式(3)を満たすように前記電極から前記重ね合わせ部に後通電する後通電工程の組み合わせを、下記式(4)を満たすようにN回(ただし、Nは1〜5)繰り返してスポット溶接継手の強度を向上させる。
0≦WTi≦200 ・・・式(1)
0.20×WC≦PCi≦0.90×WC ・・・式(2)
10≦PTi≦200 ・・・式(3)
TT=Σ(WTi+PTi)≦500 ・・・式(4)
ただし、i:1〜Nの整数、WC:溶接電流(kA)、WTi:i回目の通電待機時間(ms)、PCi:i回目の後通電電流(kA)、PTi:i回目の後通電時間、TT:後処理合計時間をそれぞれ示す。
このように、後通電を1回でまとめて付与するか、または複数回に分けて繰り返し行うことで、冷却速度をよりきめ細かく制御できるとともに、焼入れ・焼戻し効果がより確実に得られるようになり、スポット溶接継手の強度をさらに向上させることができる。ただし、繰り返しの回数Nを多くしすぎると1回あたりのスポット溶接の時間が長くなりすぎ、溶接作業全体の生産性が低下するので、その上限は5回とした。また、本通電後の後処理の時間が長くなりすぎると、同じくスポット溶接の時間が長くなりすぎて溶接作業全体の生産性が低下するので、後処理合計時間TTの上限は500msとした。
なお、上記式(1)、式(2)および式(3)における数値限定の理由は、以下に説明するとおりである。
上記本通電工程の終了直後、および、各後通電工程の終了直後に、下記式(1)を満たす通電待機時間WTi(単位:ms)を置く。
0≦WTi≦200 ・・・式(1)
ただし、i:1〜Nの整数を示す。
ここに、WTi=0は、通電待機時間を設けずに、本通電終了ののち、または前回の後通電終了ののち、直ちに今回の後通電を行うことを意味する。通電待機時間が短くても、あるいは、通電待機時間を設けなくても、急速冷却に対する緩和作用が得られるので、通電待機時間WTiの下限は0msとした。ただし、1点あたりのスポット溶接にかける時間を長くしすぎることは溶接作業全体の生産性低下に繋がるため、通電待機時間WTiの上限は200msとした。
上記通電待機工程に引き続き下記式(2)および式(3)を満たすように前記電極から前記重ね合わせ部に後通電してスポット溶接継手の強度を向上させる。
0.20×WC≦PCi≦0.90×WC ・・・式(2)
10≦PTi≦200 ・・・式(3)
ただし、i:1〜Nの整数、PCi:後通電電流(kA)、PTi:後通電時間をそれぞれ示す。
後通電電流が低すぎると加熱が不足し急冷緩和作用や焼戻し作用が十分に発揮されなくなり、一方、後通電電流が高すぎるとナゲット部が再溶融したり逆変態したりして、その後、再度急速冷却されることでナゲット部が脆くなり、いずれの場合も後通電の効果が得られなくなる。したがって、後通電電流PCiは、溶接電流WCの20〜90%の範囲とした。
また、後通電時間が短すぎると加熱が不足し急冷緩和作用や焼戻し作用が十分に発揮されなくなり、一方、後通電時間が長すぎるとナゲット部が再溶融したり逆変態したりして、その後、再度急速冷却されることでナゲット部が脆くなり、いずれの場合も後通電の効果が得られなくなる。したがって、後通電時間PTiは、10〜200msの範囲とした。
2…加圧部材
3…鋼板
4…非導電性皮膜
5…弾性部材
21a,21b…厚鋼板
22…電極通過孔
23a…突起
23b…広穴
24…ボルト穴
25…ボルト
26…ナット
Claims (2)
- 2枚以上重ねた鋼板の重ね合わせ部を片面側から電極を押し当てて溶接電流を通電して接合するシリーズスポット溶接またはインダイレクトスポット溶接方法であって、
前記重ね合わせ部の片側の面から該重ね合わせ部に加圧しながら通電する電極と、
該電極の先端外周からの距離が2mm以内で、該電極の先端外周の全周囲の20%以上の領域において前記重ね合わせ部を加圧するとともに、該電極の先端外周の全周囲のうち加圧しない領域が、連続して該電極の先端外周の全周囲の20%以下(0%を含む)となる加圧部材と、
を備えたスポット溶接装置を用いて、
前記重ね合わせ部を、前記電極にて片面側から100N以上の荷重で押さえ込むとともに、前記外周加圧部にて、前記電極の周りを前記電極による荷重の5〜1000%の荷重で加圧しておく電極外周加圧工程と、
前記電極から前記重ね合わせ部に溶接通電を施す本通電工程と、
を備えたことを特徴とするシリーズスポット溶接またはインダイレクトスポット溶接方法。 - 2枚以上重ねた鋼板の重ね合わせ部を片面側から電極を押し当てて溶接電流を通電して接合するシリーズスポット溶接またはインダイレクトスポット溶接方法であって、
前記重ね合わせ部の片側の面から該重ね合わせ部に加圧しながら通電する電極と、
該電極の先端外周からの距離が2mm以内で、該電極の先端外周の全周囲の20%以上の領域において前記重ね合わせ部を加圧するとともに、該電極の先端外周の全周囲のうち加圧しない領域が、連続して該電極の先端外周の全周囲の20%以下(0%を含む)となる加圧部材と、
を備えたスポット溶接装置を用いて、
前記重ね合わせ部を、前記電極にて片面側から100N以上の荷重で押さえ込むとともに、前記外周加圧部にて、前記電極の周りを前記電極による荷重の5〜1000%の荷重で加圧しておく電極外周加圧工程と、
前記電極から前記重ね合わせ部に溶接通電を施す本通電工程と、
その直後に、下記式(1)を満たす通電待機時間を置く通電待機工程、ならびにそれに引き続き下記式(2)および式(3)を満たすように前記電極から前記重ね合わせ部に後通電する後通電工程の組み合わせを、下記式(4)を満たすようにN回(ただし、Nは1〜5)繰り返してスポット溶接継手の強度を向上させる後処理工程と、
を備えたことを特徴とするスポット溶接方法。
0≦WTi≦200 ・・・式(1)
0.20×WC≦PCi≦0.90×WC ・・・式(2)
10≦PTi≦200 ・・・式(3)
TT=Σ(WTi+PTi)≦500 ・・・式(4)
ただし、i:1〜Nの整数、WC:溶接電流(kA)、WTi:i回目の通電待機時間(ms)、PCi:i回目の後通電電流(kA)、PTi:i回目の後通電時間、TT:後処理合計時間をそれぞれ示す。
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2013
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