JP2015042715A - (メタ)アクリレート混合物及びこれを含む硬化型組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
尚、本明細書においては、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリレート、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と呼ぶ。
ところで、活性エネルギー線硬化型インキ用組成物は、空気雰囲気下で速硬化が求められるが、一般に粘度が低い組成物は酸素の拡散速度が大きいため酸素阻害による硬化速度の低下が起こる。そのため、当該技術では、インキの表面硬化性に問題がある。
インキにおける速硬化性と表面硬化性を向上させるためには、粘度を高くすることが考えられるが、この場合、塗工性に問題が生じる。インキにおける速硬化性と表面硬化性を向上させる方法として、粘度を高くする以外に、原料多官能(メタ)アクリレートとして水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート使用することが考えられる。
即ち、特許文献2によれば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートとを反応させることで多官能(メタ)アクリレート混合物を得ている。当該特許公報には得られた組成物の粘度は記載されていないものの、特許文献1記載のトリメチロールプロパントリアクリレートよりも高粘度であることが容易に予測される。
特許文献2に開示されている多官能(メタ)アクリレート組成物は良好な硬化性を有することが示されているが、一方で、水酸基価が高いものは耐乳化性が低下すると指摘されている。
即ち、本発明は、水酸基と2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「水酸基含有多官能(メタ)アクリレート」という〕を含む混合物であって、
水酸基価35〜80mgKOH/g、かつ(メタ)アクリロイル基当量97〜130mgKOH/gである
(メタ)アクリレート混合物に関する。
さらに、後記する通り、2種の水酸基含有多官能(メタ)アクリレートを混合して得られる組成物は、目的とする(メタ)アクリレート混合物を簡便に製造することが可能となる。
水酸基価35〜80mgKOH/g、かつ(メタ)アクリロイル基当量97〜130mgKOH/gである
(メタ)アクリレート混合物に関する。
尚、本発明において、水酸基価、(メタ)アクリロイル基当量及び割合等の数値範囲を表す「X〜Y」の記載は、特に断りのない限り、「X以上Y以下」(X<Yの場合)、又は、「X以下Y以上」(X>Yの場合)を意味する。即ち、端点であるX及びYを含む数値範囲を意味する。
以下、(メタ)アクリレート混合物、硬化型組成物及び使用方法について説明する。
(メタ)アクリレート混合物は、水酸基含有多官能(メタ)アクリレートを主成分とするもので、水酸基価35〜80mgKOH/g、かつ(メタ)アクリロイル基当量97〜130mgKOH/gである。
(メタ)アクリレート混合物の水酸基価が35mgKOH/gに満たないと、耐乳化性は良好であるが硬化速度が遅いため、UV−LEDのような照射エネルギーが不十分な光源を使用する場合や、ラインスピードが速い高速印刷には対応できない。一方、(メタ)アクリレート混合物の水酸基価が80mgKOH/gを超えると、硬化速度は速いものの、耐乳化性が不十分となってしまう。
尚、本発明において水酸基価とは、JIS K0070−1992に定められた方法に準じて測定した値を意味する。
(メタ)アクリレート混合物の(メタ)アクリロイル基当量が97mgKOH/gに満たないと、硬化膜表面にべたつきが残るおそれがあり、一方、(メタ)アクリレート混合物の(メタ)アクリロイル基当量が130mgKOH/gを超えると、硬化膜が基材から剥離しやすくなってしまう。
尚、本発明において(メタ)アクリロイル基当量とは、(メタ)アクリレート混合物の液体クロマトグラフィーを測定し、(メタ)アクリロイル基数が異なる各(メタ)アクリレート成分の面積比から組成を見積もり、その結果から計算により求めた値を意味する。尚、液体クロマトグラフィーにおいて、溶離液としてはリン酸水−メタノール混合液を用い、検出器としては210nmの紫外線(UV)を用いる。
水酸基含有多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート及び多価アルコールアルキレンオキサイド付加物のポリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
多価アルコールのポリ(メタ)アクリレートとしては、より具体的には、トリメチロールプロパンのジ(メタ)アクリレート、グリセリンのジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのジ、トリ、テトラ又はペンタ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
多価アルコールアルキレンオキサイド付加物のポリ(メタ)アクリレートとしては、より具体的には、トリメチロールプロパンアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、グリセリンアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールアルキレンオキサイド付加物のジ又はトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンアルキレンオキサイド付加物のジ又はトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンアルキレンオキサイド付加物のジ又はトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールアルキレンオキサイド付加物のジ、トリ、テトラ又はペンタ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
この場合のアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
(メタ)アクリレート混合物は水酸基含有多官能(メタ)アクリレートを主成分とするものであり、前記した水酸基価及び(メタ)アクリロイル基当量を満たすのであれば水酸基含有単官能(メタ)アクリレートや水酸基を有しない多官能(メタ)アクリレートを含んでいても良い。
尚、本発明において粘度とは、25℃においてE型粘度計を用いて測定した値を意味する。
○製法1
下記(a1)と(a2)を混合する方法。
(a1):水酸基価10〜70mgKOH/g、かつ(メタ)アクリロイル基当量90〜120mgKOH/gである水酸基含有多官能(メタ)アクリレート
(a2):水酸基価80〜200mgKOH/g、かつ(メタ)アクリロイル基当量100〜190mgKOH/gである水酸基含有多官能(メタ)アクリレート
○製法2
5〜8個の水酸基を有するアルコール(以下、「アルコールa1」という)と2〜4個の水酸基を有するアルコール(以下、「アルコールa2」という)の混合物と(メタ)アクリル酸をエステル化するか、又はアルコールa1とa2の混合物をエステル交換反応する製造方法。
製法1は、下記(a1)と(a2)を混合する製造方法である。
(a1):水酸基価90〜120mgKOH/g、かつ(メタ)アクリロイル基当量100〜190mgKOH/gである水酸基含有多官能(メタ)アクリレート
(a2):水酸基価80〜200mgKOH/g、かつ(メタ)アクリロイル基当量100〜190mgKOH/gである水酸基含有多官能(メタ)アクリレート
(メタ)アクリレート混合物の製造方法としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸を反応させ、目的の水酸基価及び(メタ)アクリロイル基当量となるように反応を制御する方法が考えられる。
しかしながら、例えば5価以上の多価アルコールから得られる水酸基含有多官能(メタ)アクリレートは、塗工性や硬化性に優れる比較的粘度が高いものが得られやすく、ジペンタエリスリトールの場合には、粘度が2,000〜10,000mPa・s程度となる。しかしながら、水酸基価を目的の値に調整しようとしても、一分子中に2個以上の水酸基を持つ(メタ)アクリレートは水との親和性が強いために、脱水エステル化反応後の水洗工程で水層に溶出してしまい、目的とする水酸基含有多官能(メタ)アクリレートの水酸基価の制御が困難となったり、水酸基含有多官能(メタ)アクリレートの収率が低下してしまう場合があった。
水酸基価が高くかつ(メタ)アクリロイル基当量が低い化合物〔(a2)〕、例えば、ペンタエリスリトールを原料とする多官能(メタ)アクリレートは、水酸基価が高くとも製造が容易である。
(a1)としては、ジペンタエリスリトールのジ、トリ、テトラ又はペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
さらに、(a1)としては、ジペンタエリスリトールを原料とする(メタ)アクリレートであって、水酸基価10〜80mgKOH/gであり、かつ(メタ)アクリロイル基当量90〜120mgKOH/gである水酸基含有多官能(メタ)アクリレートが好ましい。
(a1)としては、2種以上の化合物を併用することもできる。
これらの中でも、ペンタエリスリトールのジ又はトリ(メタ)アクリレートが好ましい。
さらに、(a2)としては、ペンタエリスリトールを原料とする(メタ)アクリレートであって、水酸基価80〜170mgKOH/gであり、かつ(メタ)アクリロイル基当量100〜190mgKOH/gである水酸基含有多官能(メタ)アクリレートが好ましい。
(a2)としては、2種以上の化合物を併用することもできる。
しかも、(a1)及び(a2)の水酸基価を調整することで、粘度や目的に応じた耐乳化性を得ることができる。
例えば、高粘度の組成物にしたい場合には、水酸基価が高い(a1)と、任意の(a2)を混合すればよい。
又、低粘度の組成物にしたい場合は、水酸基価が低い(a1)を用いればよいが、硬化性が低下するため(a2)を添加することで低粘度かつ高硬化性のアクリレートを得ることができる。
製法2は、アルコールa1とa2の混合物と(メタ)アクリル酸をエステル化するか、又はアルコールa1とa2の混合物をエステル交換反応する製造方法である。
アルコールa1としては、ジペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトールアルキレンオキサイド付加物等を挙げられる。
アルコールa2は、2〜4個の水酸基を有するアルコールである。
アルコールa2としては、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールプロパンアルキレンオキサイド付加物、グリセリンアルキレンオキサイド付加物、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド付加物、ペンタエリスリトールアルキレンオキサイド付加物、ジグリセリンアルキレンオキサイド付加物、ジトリメチロールプロパンアルキレンオキサイド付加物等が挙げられ、ペンタエリスリトールが好ましい。
この様な場合には、市販のペンタエリスリトールをそのまま使用することができる。
以下、エステル化反応及びエステル交換反応について説明する。
エステル化反応としては、常法に従えば良く、酸触媒の存在下にアルコールa1及びa2及び(メタ)アクリル酸を加熱・攪拌して方法が挙げられる、
酸触媒の使用割合としては、アルコール性水酸基のモル数に対して0.05mol%〜10mol%が好ましい。
反応温度は、使用する原料及び目的に応じて適宜設定すればよいが、反応時間の短縮と重合防止の観点から65〜140℃が好ましく、75〜120℃がより好ましい。反応温度を65℃以上とすることでエステル化反応を迅速に行い、収率の低下を防止することができ、一方反応温度を140℃以下とすることで、(メタ)アクリル酸又は生成した(メタ)アクリレートの熱重合を防止することができる。
好ましい有機溶媒としては、例えばトルエン、ベンゼン及びキシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン及びヘプタン等の脂肪族炭化水素、並びにメチルエチルケトン等のケトン等が挙げられる。
有機溶媒の使用量は、前記アルコールと(メタ)アクリル酸の合計量に対して10〜75重量%となる割合、より好ましくは15〜55重量%となる割合が好ましい。
エステル交換反応は、常法に従えばよく、アルコールa1及びa2、並びにアルキル(メタ)アクリレートを、触媒の存在下に加熱・攪拌する方法等が挙げられる。
具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
触媒の使用割合としては、アルコール性水酸基のモル数に対して0.05mol% 〜20mol%が好ましい。
又、重合を抑制する他の効果的な方法として、酸素含有気体の雰囲気下で反応したり、酸素含有気体を反応液中に導入しながら反応する方法がある。
反応温度は生成アルコールや原料アルキル(メタ)アクリレート、反応溶媒等に依存するが、生成アルコールの沸点以上に調節するのが好ましい。反応温度は原料であるアルキル(メタ)アクリレートや反応溶媒の選定、圧力の制御(加圧又は減圧)によってある程度は調節できる。好ましい反応温度は60〜160℃であり、80〜150℃が更に好ましい。反応温度が60℃未満では反応速度が遅く、160℃を越えると着色やゲル化が起こりやすい。
本発明の(メタ)アクリレート混合物は、硬化型組成物の原料として好ましく使用することができる。
硬化型組成物は、活性エネルギー線硬化型組成物として好ましく使用することができる。
硬化型組成物は、種々の用途に使用することができ、被覆材として好ましく、具体的にはインキ及びコーティング材が挙げられる。本発明の組成物は、硬化性及び耐乳化性に優れるため、特にインキ用途に好ましく使用できるものである。
具体的には、前記した(メタ)アクリレート混合物を構成する水酸基含有多官能(メタ)アクリレート、前記した水酸基含有多官能(メタ)アクリレート以外のラジカル重合性化合物(B)〔以下、(B)成分という〕、光ラジカル重合開始剤(C)〔以下、(C)成分という〕、重合禁止剤、着色剤、分散剤及び界面活性剤等が挙げられる。
前記した(メタ)アクリレート混合物を構成する水酸基含有多官能(メタ)アクリレートとは、水酸基含有多官能(メタ)アクリレートを単独で別途配合することを意味する。但し、硬化型組成物においても、水酸基価35〜80mgKOH/gであることが好ましいため、水酸基含有多官能(メタ)アクリレートを単独で別途配合する場合には、組成物がこの範囲を満たす様配合することが好ましい。
以下、それぞれの成分について説明する。
(B)成分のラジカル重合性化合物としては、水酸基含有多官能(メタ)アクリレート以外で分子中に少なくとも一個のラジカル重合性基を有する化合物であれば種々の化合物が使用できる。
(B)成分の具体例としては、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド及びN−メトキシブチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリロイル基を有する化合物;N−ビニルピロリドン等のビニル基を有する化合物;フマル酸モノブチルエステル及びマレイン酸モノブチルエステル等の不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル;並びに無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物等が挙げられる。
上記のアルキルとは、分岐があっても良い低級アルキル基であり、具体的には、エチル及びプロピル等のような炭素数1〜6のものである。又、上記のアルキレンとは、分岐があっても良い低級アルキル基であり、具体的には、エチレン及びプロピレン等のような炭素数1〜6のものである。又、上記のアルキレンオキサイドとは、エチレン及びプロピレンのような分枝があっても良い低級アルキレンよりなるもの等を挙げることができる。
多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールのジ(メタ)アクリレート及びノナンジオールのジ(メタ)アクリレート等のジオールのジ(メタ)アクリレート;エチレンオキサイド変性ビスフェノールFのジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート及びプロピレンオキサイド変性ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート等のアルキレンオキサイド変性ビスフェノール型ジオールのジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート及びトリメチロールプロパン(メタ)アクリル酸安息香酸エステル等のポリオールと(メタ)アクリル酸及びこれ以外のカルボン酸とのエステル;ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等の脂環式ジオールのジ(メタ)アクリレート;並びにエチレンオキサイド変性イソシアヌル酸のジ(メタ)アクリレート及びエチレンオキサイド変性イソシアヌル酸のトリ(メタ)アクリレート等のアルキレンオキサイド変性イソシアヌル酸のポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
オリゴマーの具体例としては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート及びエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ここで、ポリオールとしては、低分子量ポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオール等がある。低分子量ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール及び3−メチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、これら低分子量ポリオール又は/及びポリエーテルポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分との反応物が挙げられる。ポリカーボネートポリオールとしては、1,6−ヘキサンジオールのポリカーボネートジオール等が挙げられる。
有機ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(B)成分の配合割合としては、組成物中に0〜80重量%が好ましく、より好ましくは3〜70重量%である。
硬化型組成物を活性エネルギー線硬化型組成物として使用する場合、(C)成分を配合することが好ましい。
(C)成分の光ラジカル重合開始剤は、紫外線等の活性エネルギーにより開始種を発生することが出来ればよく、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(C)成分の具体例としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルメタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,4−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、1,2−オキタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル],1−(O−アセチルオキシム)]及び2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
これら(C)成分は、2種以上を併用しても良い。
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンと1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンの混合物〔イルガキュア−1000〕、
ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンの混合物〔イルガキュア−1700〕、
ビス(2,6−ジメトロキベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイドと1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトンの混合物〔イルガキュア−1800〕
ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイドと1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンの混合物〔イルガキュア−1850〕
等がある
増感剤としては、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体等を挙げることができる。その他、紫外から近赤外領域にかけての光に対して吸収を示す色素や増感剤が挙げられる。
具体的には、ベンゾフェノン誘導体としては、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4,4’−ジメチルベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等を挙げることができ、チオキサントン誘導体としては、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサント、2,4−ジクロロチオキサントン及び2−イソプロピルチオキサントン等を挙げることができ、クマリン誘導体としては、クマリン1、クマリン338及びクマリン102等を挙げることができる。
増感剤は、2種以上併用することもできる。
本発明の組成物には、保存時の重合防止の目的で重合禁止剤を添加することができる。
重合禁止剤としては、フェノール類、ニトロソアミン類等を挙げることができる。その他、ラジカル捕捉剤が挙げられ、これらは必要に応じて任意の比率で二種以上用いても構わない。具体的には、フェノール類として、ハイドロキノン、メトキシキノン、ジブチルヒドロキシトルエン等を挙げることができ、ニトロソアミン類としては、等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
着色剤としては、耐候性に優れ、色再現性に富んだ顔料及び油溶性染料が好ましく、溶解性染料等の公知の着色剤から任意に選択して使用することができる。
顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム等の無彩色の顔料又は有彩色の有機顔料が挙げられる。
有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーで例示すると、C.I.ピグメントエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、109、110、117、120、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、177、180、192、202、206、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントブラウン23、25、26等が挙げられる。
又、本発明の組成物には、顔料の分散性及びインクの保存安定性を向上させるために顔料分散剤を添加することが好ましい。
顔料分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアミドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアミドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート等を用いることができる。
具体的には、Anti−Terra−U、Anti−Trra−203/204、DisperBYK−101、102、103、106、107、110、111、130、161、162、163、164、165、166、167、168、170、171、174、182、400、Bykumen(BYKケミー社)、EFKA745、4010、40046、4080、5010、5207、5244、6745、6750、7414、7462、7500、7570、7575、7580(エフカアディティブ社)、ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150、#7004(楠本化成社)、ソルスパーズ5000、13940、17000、24000GR、32000、33000、39000、41000、53000(アビシア社)等が挙げられる。
又、本発明の組成物は、基材への濡れ性を向上させるために界面活性剤を添加することが好ましい。
界面活性剤の具体例としては、BYK-300、301、302、306、307、310、315、320、322、323、325、330、331、333、337、340、341、344、345、346、347、348、349、350、352、354、355、356、358N、361N、380、380N、392、394、UV3500、UV3510、UV3570、SILCLEAN3700、DYNDYNWET800(BYKケミー社)、Tegorad−2100、2200N、2250、2500、2700(エボニック社)等が挙げられる。これら界面活性剤は、一種又は必要に応じて二種以上用いてもよい。
本発明の組成物には、前記以外にも、さらに重合を促進する目的で、アミン、チオール及びジスルフィド等に代表される重合促進剤を添加することができる。又、その他成分としては、連鎖移動剤、充填剤、密着性付与剤、安定剤及び架橋剤等も目的に応じて配合することができる。
本発明の組成物は、種々の用途に使用することができ、被覆材として好ましく、具体的にはインキ及びコーティング材が挙げられる。本発明の組成物は、硬化性及び耐乳化性に優れるため、特にインキ用途に好ましく使用できるものである。
本発明の組成物は、活性エネルギー線硬化型組成物として好ましく使用することができる。以下、活性エネルギー線硬化型組成物としての好ましい使用方法、より好ましくはインキ用活性エネルギー線硬化型組成物の使用方法について説明する。
本発明の組成物は、特に紙及びプラスチックフィルムに対して好適に用いられる。
硬化手段が紫外線である場合には、硬化を促進させるために前記した(C)成分や増感剤を配合する。硬化手段が電子線やγ線のような電離性放射線の場合には、(C)成分及び増感剤を配合する必要は必ずしもない。
電子線により硬化させる場合には、コックロフトワルトシン型、バンデグラフ型又は共振変圧器型等を使用することができ、通常は好ましくは50〜1000keV、より好ましくは100〜300keVのエネルギーを持つ電子線が用いられる。
水酸基含有多官能(メタ)アクリレートとして、下記化合物を使用した。
・M−402;ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレート混合物〔東亞合成(株)製アロニックスM−402、水酸基価30mgKOH/g、アクリロイル基当量100mgKOH/g〕
・M−306:ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレート混合物〔東亞合成(株)製アロニックスM−306、水酸基価160mgKOH/g、アクリロイル基当量102mgKOH/g〕
・M−401B:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレート混合物〔東亞合成(株)製アロニックスM−401B、水酸基価3mgKOH/g、アクリロイル基当量97mgKOH/g〕
(a1)及び(a2)として、それぞれ前記M−402及びM−306を使用し、表1に示す割合で撹拌混合して、アクリレート混合物を得た。
得られたアクリレート混合物について、水酸基価、アクリル基当量及び粘度を下記した方法に従い測定した。それらの結果を表1に示す。
・水酸基価:JIS K0070−1992に従い測定した。
・アクリロイル基当量:アクリレート混合物の液体クロマトグラフィー〔溶離液;リン酸水−メタノール混合液、検出器;210nmの紫外線(UV)〕を測定し、アクリロイル基数が異なる各(メタ)アクリレート成分の面積比から組成を見積もり、その結果から計算により求めた。
・粘度:25℃においてE型粘度計を用いて測定した。
水酸基含有多官能アクリレートとしてM−401Bのみを使用した。
M−401Bの100部に対して、Irg184の2部を添加・混合し、活性エネルギー線硬化型組成物を調製した。
水酸基含有多官能アクリレートとしてM−306のみを使用した。
M−306の100部に対して、Irg184の2部を添加・混合し、活性エネルギー線硬化型組成物を調製した。
1)硬化性
得られた組成物をボンデライト鋼板に膜厚10μmとなるよう塗工した。紫外線照射は、アイグラフィックス(株)製紫外線照射機(高圧水銀ランプ)を使用し、ランプ高さを24cm、コンベア速度17m/分で照射した。
1パス当りの照射エネルギーは、EIT社製のUV POWER PUCKのUV−A領域で、100mJ/cm2であった。又、ピーク照度はUV−A領域で220mW/cm2であった。
硬化膜を触指によりタックがなくなるまでのパス数、及び硬化に要する照射エネルギー量で硬化性を評価した。パス数が少ないものほど硬化性が良好であることを意味する。
得られた組成物の各3.3g、パラキシレン6.6g、純水9.9gを試験管に入れた。
試験管上部をゴム栓でふさぎ、30秒かけて上下を反転させて10往復した後に静置した。
耐乳化性の判定は、静置してから有機層と水層が分離するのに要した時間と、両層が分離した時点での有機層と水層の透明度を目視で評価し、以下の◎、○、△及び×で判定した。
◎:透明
○:やや濁りがある。
△:濁りがあるが、試験管を通しても向こう側が見通せる。
×:白濁し、試験管の向こう側が全く見通せない。
一方、アクリレート混合物の水酸基価が本発明の下限に満たない比較例1の組成物は、耐乳化性は良好であるものの、硬化性が不十分なものであった。即ち、比較例1の組成物はパス数3(300mJ/cm2)であり、これに対して、実施例1の組成物はパス数2(200mJ/cm2)であり、実施例1の組成物の方が、比較例1の組成物に対して生産性が1.5倍となる。
又、アクリレート混合物の水酸基価が本発明の上限を超える比較例2の組成物は、硬化性は良好であるものの、耐乳化性が不十分であった。
Claims (12)
- 水酸基と2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「水酸基含有多官能(メタ)アクリレート」という〕を含む混合物であって、
水酸基価35〜80mgKOH/g、かつ(メタ)アクリロイル基当量97〜130mgKOH/gである
(メタ)アクリレート混合物。 - (メタ)アクリレート混合物が、下記(a1)と(a2)の混合物である請求項1記載の(メタ)アクリレート混合物。
(a1):水酸基価10〜70mgKOH/g、かつ(メタ)アクリロイル基当量90〜120mgKOH/gである水酸基含有多官能(メタ)アクリレート
(a2):水酸基価80〜200mgKOH/g、かつ(メタ)アクリロイル基当量100〜190mgKOH/gである水酸基含有多官能(メタ)アクリレート - 前記(a1)が、ジペンタエリスリトールを原料とする(メタ)アクリレートであって、水酸基価10〜80mgKOH/gであり、かつ(メタ)アクリロイル基当量90〜120mgKOH/gである水酸基含有多官能(メタ)アクリレートであり、
前記(a2)が、ペンタエリスリトールを原料とする(メタ)アクリレートであって、水酸基価80〜170mgKOH/gであり、かつ(メタ)アクリロイル基当量100〜190mgKOH/gである水酸基含有多官能(メタ)アクリレートである
請求項2記載の(メタ)アクリレート混合物。 - 前記(a1)の40〜98重量%と前記(a2)の2〜60重量%を含む請求項2又は請求項3に記載の(メタ)アクリレート混合物。
- 粘度が2,000〜6,500である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の(メタ)アクリレート混合物。
- 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の(メタ)アクリレート混合物を含む硬化型組成物。
- 請求項6に記載の組成物を含むインキ用硬化型組成物。
- 請求項6に記載の組成物を含む活性エネルギー線硬化型組成物。
- さらに、光重合開始剤を含む請求項8記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
- 請求項8又は請求項9に記載の組成物を含むインキ用活性エネルギー線硬化型組成物。
- 水酸基含有多官能(メタ)アクリレートを含み、水酸基価35〜80mgKOH/g、かつ(メタ)アクリロイル基当量97〜130mgKOH/gである(メタ)アクリレート混合物の製造方法であって、
下記(a1)及び(a2)を混合する
(メタ)アクリレート混合物の製造方法。
(a1):ジペンタエリスリトールを原料とする(メタ)アクリレートであって、水酸基価10〜80mgKOH/gであり、かつ(メタ)アクリロイル基当量90〜120mgKOH/gである水酸基含有多官能(メタ)アクリレート、
(a2):ペンタエリスリトールを原料とする(メタ)アクリレートであって、水酸基価80〜170mgKOH/gであり、かつ(メタ)アクリロイル基当量100〜190mgKOH/gである水酸基含有多官能(メタ)アクリレート - 前記(a1)の40〜98重量部と前記(a2)の2〜60重量部を混合する請求項11に記載の(メタ)アクリレート混合物の製造方法。
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