JP2015041813A - 画像処理装置、画像処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】入力画像をアップコンバートして画像の画素数を増大させるとともに、入力画像を表す入力画像信号に含まれる周波数成分より高い周波数成分を生成して入力画像を鮮鋭化する際に、乗算器の個数を減らし、大幅な機器の小型化とコストの削減を実現する。【解決手段】入力画像信号をアップコンバートする基本画像側の経路と、入力画像信号について非線形演算処理を行う鮮鋭化処理側の経路とを有し、前記鮮鋭化処理側の経路において、少なくとも一つのフィルタの後段にアップコンバータを設け、その後に前記非線形演算処理を行う。なお、前記少なくとも一つのフィルタは、ノイズ除去用の2次元低域通過フィルタであっても、入力信号の周波数成分の少なくとも直流成分を除去する高域通過フィルタであってもよい。【選択図】図6

Description

本発明は、画像を鮮鋭化して画質を改善するための画像処理装置及び画像処理方法に関し、特に、元の画像信号を拡大表示した動画の鮮鋭化に好適な画像処理装置及び画像処理方法に関する。
フルハイビジョン(HDTV:High Definition Television、1080×1920画素)のテレビジョン受信機で、解像度がHDTVに満たない画像信号を拡大表示する場合には、画像がぼやけて表示される。また、HDTVの解像度を持つ画像信号をより高精細な解像度(例えば4000×2000画素程度の4K解像度)に拡大した場合も同様に画像がぼやけて表示される。このため、従来のテレビジョン受像機において、表示される画像の輪郭部に相当する映像信号の立ち上がりや立ち下がりを急峻にする輪郭補償が行われている。この輪郭補償では、入力画像信号(輝度信号)の高周波成分を抽出し、その高周波成分を増幅して入力画像信号に加算することにより、視覚上の画質を向上させている。
しかしながら、従来の画像強調処理は、線形のデジタル信号処理に基づくものであることから、ナイキスト周波数よりも高い周波数成分、すなわち対象となる画像のサンプリング周波数の1/2よりも高い周波数成分を生成することができない。このため、画質改善のために、ナイキスト周波数を超える周波数成分を生成、利用して画像を鮮鋭化することはできなかった。
以下、画像の拡大、強調処理による周波数成分の変化を図14により説明する。図14(A)は、サンプリング周波数がfsであるデジタル画像信号の周波数スペクトルを示し、図14(B)は、このデジタル画像信号をアップコンバートして画素数を水平方向に2倍に拡大した場合の周波数スペクトルである。拡大処理後のサンプリング周波数Fbsは元のサンプリング周波数fsの2倍となる(Fbs=2・fs)。ここで、図14(B)に示すとおり、アップコンバート後のデジタル画像信号においては、元のサンプリング周波数fsに対応するナイキスト周波数fs/2と、新たなサンプリング周波数Fbsに対応する新たなナイキスト周波数Fbs/2=fsとの間には、周波数成分が存在しない。
図14(C)は、アップコンバート後のデジタル画像信号に対し、従来の線形デジタル信号処理による画像強調処理を行った場合の周波数スペクトルを示している。図示のとおり、線形デジタル信号処理による画像強調処理により、元のナイキスト周波数fs/2近傍の周波数成分は増大している。しかし、従来の線形デジタル信号処理による画像強調処理では、元のナイキスト周波数fs/2を超える周波数成分が生成されることはない。すなわち、アップコンバート後のデジタル画像信号に対し、画質改善のために、ナイキスト周波数を超える周波数成分を生成、利用して画像を鮮鋭化することはできなかった。
これに対して、非線形演算処理によりナイキスト周波数を超える高域周波数成分を生成する鮮鋭化処理が提案された(特許文献1)。これは、入力画像信号(輝度信号)の高周波成分を抽出し、その高周波成分を非線形関数により処理することにより、元の入力画像信号に存在しない新たな周波数成分を生成するものである。この処理により、例えば図14(D)に例示するように、元のナイキスト周波数fs/2を超えて、新たなナイキスト周波数Fbs/2近傍の周波数成分が生成することができる。
しかしながら、このような鮮鋭化処理を2次元画像に適用したとき、すなわち、画像の水平方向及び垂直方向の高周波成分に鮮鋭化処理を施すことにより、鮮鋭化処理後の画像において斜め線がギラギラして見える現象が発生するという問題が生じた。
図15は、ナイキスト周波数を超える高域周波数成分を生成する鮮鋭化処理を垂直方向及び水平方向に連続して行う構成を示す図であり、図16は各段階における信号の周波数成分を示す図である。図16(a)は水平方向のサンプリング周波数がfh、垂直方向のサンプリング周波数がfvであるデジタル画像の入力画像信号Sinの周波数成分を示す。デジタル画像のナイキスト周波数は、水平方向がfh/2、垂直方向がfv/2となり、図示のとおり、ナイキスト周波数を超える範囲に周波数成分は存在しない。入力画像信号Sinの垂直方向に鮮鋭化処理を施すと、図16(b)のとおり、鮮鋭化処理後の信号S1において、垂直方向のナイキスト周波数fv/2を越える広域に周波数成分が生成される。この信号S1にさらに水平方向の鮮鋭化処理を施すと、図16(c)のとおり、鮮鋭化処理後の出力画像信号Soutにおいて水平方向のナイキスト周波数fh/2を越える広域に周波数成分が生成される。図示のとおり、出力画像信号Soutの周波数成分の4隅、即ち水平方向及び垂直方向がいずれも高周波数となる領域は、水平方向及び垂直方向の鮮鋭化処理が重複して行われ、画像のギラギラ感が強調されてしまう。
かかるギラギラ感の解消のため、水平方向及び垂直方向の鮮鋭化処理の前段に2次元フィルタを配置する技術が提案されている(特許文献2)。
特許文献2は、図17のように、水平方向及び垂直方向の鮮鋭化処理の前段に2次元フィルタを配置している。図18は、2次元フィルタの周波数特性の一例を示す図である。図示のとおり、2次元フィルタは入力画像信号Sinの水平及び垂直方向の高周波成分を減衰させる特性を持つ。
図17の回路により生成される出力画像信号Soutは、図16(c)の信号よりは悪化の程度が少ないものの、水平方向及び垂直方向がいずれも高周波数となる領域において、水平方向で高調波が生成された信号に対してさらに垂直方向で高調波が生成されるため、依然としてギラギラ/チラチラした画像になりやすいという問題がある。またここで、ギラギラ/チラチラ感を取り除くために2次元フィルタでの通過領域を狭く設定すると、鮮鋭化に供する信号成分が少なくなるため、効果的な鮮鋭化ができないという問題もある。
そこで、本発明者らは、入力画像の水平方向及び垂直方向の周波数成分をいずれも超える周波数領域において水平方向及び垂直方向の鮮鋭化処理の重複による周波数成分を生成することなく画像を鮮鋭化することが可能な画像処理装置及び画像処理方法を既に提案した。
すなわち、本発明者らによる、先行する特許出願である特願2013−035186号において、図19及び図20に示すような、入力画像を表す入力画像信号に含まれる周波数成分より高い周波数成分を生成して入力画像を鮮鋭化する画像処理装置であって、少なくとも入力画像信号に含まれる水平方向の高周波部分において、入力画像信号の垂直方向の周波数成分の高周波部分を除去する垂直フィルタ(又は2次元フィルタ)と、入力画像信号に含まれる水平方向の周波数成分より高い周波数成分を含む水平方向の高調波を生成する水平鮮鋭化処理部FEhと、少なくとも入力画像信号に含まれる垂直方向の高周波部分において、入力画像信号の水平方向の周波数成分の高周波部分を除去する水平フィルタ(又は2次元フィルタ)と、入力画像信号に含まれる垂直方向の周波数成分より高い周波数成分を含む垂直方向の高調波を生成する垂直鮮鋭化処理部FEvと、を備え、前記水平鮮鋭化処理部FEhの前段に前記垂直フィルタが配置された水平方向処理部と、前記垂直鮮鋭化処理部FEvの前段に前記水平フィルタが配置された垂直方向処理部とが、直列(図19)又は並列(図20)に接続され入力画像を鮮鋭化することを提案した。
さらに、図21に示すとおり、並列に接続された前記水平方向処理部及び前記垂直方向処理部のいずれか一方の後段と、いずれか他方の前段とに接続された増幅器(ただし、増幅率βについて、0≦β≦1)を備えることも提案した。
また、図21の画像処理装置のバリエーションとして、図22に示すとおり、前記水平鮮鋭化処理部FEhの前段に2次元LPF(水平用)が配置された水平方向処理部と、前記垂直鮮鋭化処理部FEvの前段に2次元LPF(垂直用)が配置された垂直方向処理部とを並列に接続し、前記水平鮮鋭化処理部FEh及び前記垂直鮮鋭化処理部FEvのいずれか一方の後段と、いずれか他方の前段(他方の鮮鋭化処理部と2次元LPFとの間)との間に前記増幅器(ただし、増幅率βについて、0≦β≦1)を接続しても良い。
なお、2次元LPF(水平用)及び2次元LPF(垂直用)は、それぞれ図23(a)及び(b)に示すような周波数特性を有しており、(a)の2次元LPF(水平用)は「少なくとも入力画像信号に含まれる水平方向の高周波部分において、入力画像信号の垂直方向の周波数成分の高周波部分を除去するフィルタ」であって垂直LPFの特性に近く、また、2次元LPF(垂直用)は「少なくとも入力画像信号に含まれる垂直方向の高周波部分において、入力画像信号の水平方向の周波数成分の高周波部分を除去する水平フィルタ」であって水平LPFの特性に近いものである。
国際公開第2010/140281号 国際公開第2012/043407号
このような画像の鮮鋭化処理を、元の画像信号を拡大表示した画像に対して行う場合、一般的には、入力画像に対してアップコンバート(補間技術等を用いて画素数を拡大する処理)を行って画素数を増大させた後、画像信号処理装置(フィルタと鮮鋭化処理部とを含む装置)により原信号に含まれない高周波成分を付加する鮮鋭化処理を施すことが、従来から行われている(特許文献2参照)。
例えば、拡大された画像に対して上記の図22の鮮鋭化処理を行うために、図24のように、入力信号に対して直ちにアップコンバートをすることが検討された。この回路はアップコンバータ(アップコンバート処理を行う演算部)が1個で済み、回路図的には単純である。しかしながら、現実の回路設計においては、アップコンバータやフィルタの設計には、乗算器等の演算素子を多数使用するが、演算処理が複雑になるほど回路規模が大きくなる。例えば、図24の場合、水平及び垂直方向のアップコンバートを行うアップコンバータ1個に乗算器4個(水平、垂直方向の処理に、それぞれ2個の乗算器)、アップコンバートされた画像に対する2個の2次元LPF(15×15tap)に、それぞれ乗算器が64個必要であり、鮮鋭化処理前のフィルタ処理の段階で、132個(64個×2+4個)の多数の乗算器が必要であり、回路規模が大型化してしまう。
これまでは、アップコンバータによる画像の拡大処理を、どの段階で行うのが全体の演算処理として適切であるのか、回路設計の観点から検討されたことはなかった。
従って、上記のような問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、アップコンバータやフィルタを適切に配置することにより、回路規模が小さく、コストも低減され、小型で高性能な画像処理装置及び画像処理方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る画像処理装置は、入力画像をアップコンバートするとともに画像を鮮鋭化した出力画像を生成する画像処理装置であって、前記入力画像を表す入力画像信号をアップコンバートして画素数が増大した第1信号を生成する基本画像側の経路と、前記入力画像を表す入力画像信号に含まれる周波数成分より高い周波数成分を生成する非線形演算部を含む鮮鋭化処理部により、前記入力画像を鮮鋭化する第2信号を生成する鮮鋭化処理側の経路と、前記第1信号と前記第2信号とを加算して、前記出力画像を表す出力画像信号を生成する加算器と、を備え、前記鮮鋭化処理側の経路において、少なくとも一つのフィルタの後段にアップコンバータを設け、その後に前記非線形演算部を設けたことを特徴とする。
また、前記基本画像側の経路は、第1のアップコンバータを備え、前記鮮鋭化処理側の経路は、少なくとも入力画像信号に含まれる水平方向の高周波部分において、入力画像信号の垂直方向の周波数成分の高周波部分を除去する垂直フィルタと、前記垂直フィルタの出力をアップコンバートする第2のアップコンバータと、入力画像信号に含まれる水平方向の周波数成分より高い周波数成分を含む水平方向の高調波を生成する水平鮮鋭化処理部と、少なくとも入力画像信号に含まれる垂直方向の高周波部分において、入力画像信号の水平方向の周波数成分の高周波部分を除去する水平フィルタと、前記水平フィルタの出力をアップコンバートする第3のアップコンバータと、入力画像信号に含まれる垂直方向の周波数成分より高い周波数成分を含む垂直方向の高調波を生成する垂直鮮鋭化処理部と、を備え、前記垂直フィルタ、前記第2のアップコンバータ、前記水平鮮鋭化処理部の順に配置された水平方向処理部と、前記水平フィルタ、前記第3のアップコンバータ、前記垂直鮮鋭化処理部の順に配置された垂直方向処理部とが、並列に接続されることが望ましい。
また、前記水平鮮鋭化処理部及び前記垂直鮮鋭化処理部のいずれか一方の後段と、いずれか他方の前段とに接続された増幅器を備えることが望ましい。
また、前記基本画像側の経路は、第1のアップコンバータを備え、前記鮮鋭化処理側の経路は、少なくとも入力画像信号に含まれる水平方向及び垂直方向の周波数成分の高周波部分を除去する2次元フィルタと、前記2次元フィルタの出力をアップコンバートする第2のアップコンバータと、入力画像信号に含まれる水平方向の周波数成分より高い周波数成分を含む水平方向の高調波を生成する水平鮮鋭化処理部と、入力画像信号に含まれる垂直方向の周波数成分より高い周波数成分を含む垂直方向の高調波を生成する垂直鮮鋭化処理部と、を備え、前記2次元フィルタ、前記第2のアップコンバータ、前記水平鮮鋭化処理部と前記垂直鮮鋭化処理部との並列回路の順に接続されることが望ましい。
また、前記水平鮮鋭化処理部及び前記垂直鮮鋭化処理部のいずれか一方の後段と、いずれか他方の前段とに接続された増幅器を備えることが望ましい。
また、前記増幅器の増幅率βは0≦β≦1であることが望ましい。
また、前記基本画像側の経路は、第1のアップコンバータを備え、前記鮮鋭化処理側の経路は、水平方向の周波数成分の少なくとも直流成分を除去する水平高域通過フィルタと、前記水平高域通過フィルタの出力をアップコンバートする第2のアップコンバータと、入力画像信号に含まれる水平方向の周波数成分より高い周波数成分を含む水平方向の高調波を生成する第1の非線形演算部と、垂直方向の周波数成分の少なくとも直流成分を除去する垂直高域通過フィルタと、前記垂直高域通過フィルタの出力をアップコンバートする第3のアップコンバータと、入力画像信号に含まれる垂直方向の周波数成分より高い周波数成分を含む垂直方向の高調波を生成する第2の非線形演算部と、を備え、前記水平高域通過フィルタ、前記第2のアップコンバータ、前記第1の非線形演算部をこの順に含む水平方向鮮鋭化処理部と、前記垂直高域通過フィルタ、前記第3のアップコンバータ、前記第2の非線形演算部をこの順に含む垂直方向鮮鋭化処理部とが、並列に接続されることが望ましい。
また、前記水平方向鮮鋭化処理部は、前記第1の非線形演算部の後段にリミッタをさらに含み、前記垂直方向鮮鋭化処理部は、前記第2の非線形演算部の後段にリミッタをさらに含むことが望ましい。
また、前記鮮鋭化処理側の経路は、少なくとも入力画像信号に含まれる水平方向の高周波部分において、入力画像信号の垂直方向の周波数成分の高周波部分を除去する垂直フィルタと、少なくとも入力画像信号に含まれる垂直方向の高周波部分において、入力画像信号の水平方向の周波数成分の高周波部分を除去する水平フィルタと、をさらに備え、前記水平方向鮮鋭化処理部の前段に、前記垂直フィルタを配置し、前記垂直方向鮮鋭化処理部の前段に、前記水平フィルタを配置することが望ましい。
また、前記鮮鋭化処理側の経路は、少なくとも入力画像信号に含まれる水平方向及び垂直方向の周波数成分の高周波部分を除去する2次元フィルタと、をさらに備え、前記2次元フィルタの後段に、前記水平方向鮮鋭化処理部と前記垂直方向鮮鋭化処理部とが並列に接続されることが望ましい。
また、前記基本画像側の経路は、第1のアップコンバータを備え、前記鮮鋭化処理側の経路は、水平方向及び垂直方向の周波数成分の少なくとも直流成分を除去する2次元高域通過フィルタと、前記2次元高域通過フィルタの出力をアップコンバートする第2のアップコンバータと、入力画像信号に含まれる水平方向及び垂直方向の周波数成分より高い周波数成分を含む水平方向及び垂直方向の高調波を同時に生成する非線形演算部と、を少なくとも備え、前記2次元高域通過フィルタ、前記第2のアップコンバータ、前記非線形演算部の順に接続されることが望ましい。
また、前記鮮鋭化処理側の経路は、前記非線形演算部の後段にリミッタをさらに含むことが望ましい。
また、前記鮮鋭化処理側の経路は、少なくとも入力画像信号に含まれる水平方向及び垂直方向の周波数成分の高周波部分を除去する2次元低域通過フィルタを、前記2次元高域通過フィルタの前段にさらに含むことが望ましい。
上記課題を解決するために本発明に係る画像処理方法は、入力画像をアップコンバートするとともに画像を鮮鋭化した出力画像を生成する画像処理装置における画像処理方法であって、前記入力画像を表す入力画像信号をアップコンバートして画素数が増大した第1信号を生成するステップと、前記入力画像を表す入力画像信号に含まれる周波数成分より高い周波数成分を生成する非線形演算処理を含む鮮鋭化処理を行い、前記入力画像を鮮鋭化する第2信号を生成するステップと、前記第1信号と前記第2信号とを加算して、前記出力画像を表す出力画像信号を生成するステップと、を備え、前記第2信号を生成するステップにおいて、少なくとも一つのフィルタ処理の後に、アップコンバートを行い、その後に前記非線形演算処理を行うことを特徴とする。
また、前記第1信号を生成するステップは、第1のアップコンバートを行うステップを含み、前記第2信号を生成するステップは、少なくとも入力画像信号に含まれる水平方向の高周波部分において、入力画像信号の垂直方向の周波数成分の高周波部分を除去し、次いで第2のアップコンバートを行い、その後、入力画像信号に含まれる水平方向の周波数成分より高い周波数成分を含む水平方向の高調波を生成する水平鮮鋭化処理を行う水平方向処理ステップと、少なくとも入力画像信号に含まれる垂直方向の高周波部分において、入力画像信号の水平方向の周波数成分の高周波部分を除去し、次いで第3のアップコンバートを行い、その後、入力画像信号に含まれる垂直方向の周波数成分より高い周波数成分を含む垂直方向の高調波を生成する垂直鮮鋭化処理を行う垂直方向処理ステップと、を含み、前記水平方向処理ステップと、前記垂直方向処理ステップとを、並列に実行することが望ましい。
また、前記水平鮮鋭化処理及び前記垂直鮮鋭化処理を、直列に実行するか並列に実行するかを増幅率βにより切り替えるステップを含むことが望ましい。
また、前記第1信号を生成するステップは、第1のアップコンバートを行うステップを含み、前記第2信号を生成するステップは、少なくとも入力画像信号に含まれる水平方向及び垂直方向の周波数成分の高周波部分を除去し、次いで第2のアップコンバートを行い、その後、入力画像信号に含まれる水平方向の周波数成分より高い周波数成分を含む水平方向の高調波を生成する水平鮮鋭化処理と、入力画像信号に含まれる垂直方向の周波数成分より高い周波数成分を含む垂直方向の高調波を生成する垂直鮮鋭化処理とを、並列に実行することが望ましい。
また、前記水平鮮鋭化処理及び前記垂直鮮鋭化処理を、直列に実行するか並列に実行するかを増幅率βにより切り替えるステップを含むことが望ましい。
また、前記増幅率βは0≦β≦1であることが望ましい。
また、前記第1信号を生成するステップは、第1のアップコンバートを行うステップを含み、前記第2信号を生成するステップは、水平方向の周波数成分の少なくとも直流成分を除去し、次いで第2のアップコンバートを行い、その後、入力画像信号に含まれる水平方向の周波数成分より高い周波数成分を含む水平方向の高調波を生成する第1の非線形演算処理を行う水平方向鮮鋭化処理ステップと、垂直方向の周波数成分の少なくとも直流成分を除去し、次いで第3のアップコンバートを行い、その後、入力画像信号に含まれる垂直方向の周波数成分より高い周波数成分を含む垂直方向の高調波を生成する第2の非線形演算処理を行う垂直方向鮮鋭化処理ステップと、を含み、前記水平方向鮮鋭化処理ステップと、前記垂直方向鮮鋭化処理ステップとを、並列に実行することが望ましい。
また、前記水平方向鮮鋭化処理ステップは、前記第1の非線形演算処理の後にリミッタ処理をさらに含み、前記垂直方向鮮鋭化処理ステップは、前記第2の非線形演算処理の後にリミッタ処理をさらに含むことが望ましい。
また、前記第2信号を生成するステップは、前記水平方向鮮鋭化処理ステップの前に、少なくとも入力画像信号に含まれる水平方向の高周波部分において、入力画像信号の垂直方向の周波数成分の高周波部分を除去するステップをさらに含み、前記垂直方向鮮鋭化処理ステップの前に、少なくとも入力画像信号に含まれる垂直方向の高周波部分において、入力画像信号の水平方向の周波数成分の高周波部分を除去するステップをさらに含むことが望ましい。
また、前記第2信号を生成するステップは、少なくとも入力画像信号に含まれる水平方向及び垂直方向の周波数成分の高周波部分を除去するステップをさらに含み、その後に、前記水平方向鮮鋭化処理ステップと前記垂直方向鮮鋭化処理ステップとを並列に実行することが望ましい。
また、前記第1信号を生成するステップは、第1のアップコンバートを行うステップを含み、前記第2信号を生成するステップは、水平方向及び垂直方向の周波数成分の少なくとも直流成分を除去し、次いで第2のアップコンバートを行い、その後、入力画像信号に含まれる水平方向及び垂直方向の周波数成分より高い周波数成分を含む水平方向及び垂直方向の高調波を同時に生成する非線形演算処理を行うことが望ましい。
また、前記第2信号を生成するステップは、前記非線形演算処理の後にリミッタ処理をさらに含むことが望ましい。
また、前記第2信号を生成するステップは、水平方向及び垂直方向の周波数成分の少なくとも直流成分を除去する前に、少なくとも入力画像信号に含まれる水平方向及び垂直方向の周波数成分の高周波部分を除去するステップをさらに含むことが望ましい。
本発明に係る画像処理装置及び画像処理方法によれば、入力画像のアップコンバート後のフィルタ処理に比べて、フィルタ処理を行った後に画像をアップコンバートすることにより、フィルタに用いる乗算器の数を大幅に減少させることができ、フィルタ回路規模を小さくすることができる。さらに、本発明により、画像処理回路全体として、回路規模を小さくでき、コストも低減され、小型で高性能な画像処理装置が実現できる。
本発明に係る画像処理装置及び画像処理方法によれば、ナイキスト周波数を越える高周波域の補償が可能であることから、高精細テレビジョン(HDTV)の受信機のディスプレイで、標準画質テレビジョン(SDTV:Standard Definition Television)の画像信号に拡大処理を施して画像を表示する場合や、HDTV用の画像信号をアップコンバートしてこの4kディスプレイで表示する場合に、リアルタイムで表示される動画を簡単な構成で十分に鮮鋭化できるという点で大きな効果を奏する。
本発明に係る鮮鋭化処理部の第1の構成を示す図である。 鮮鋭化処理に係る画像の水平方向の信号レベルの波形を示す図である。 高域通過フィルタの構成の一例を示す図である。 低域通過フィルタにより構成した高域通過フィルタの一例を示す図である。 本発明に係る鮮鋭化処理部の第2の構成を示す図である。 本発明の第1実施例に係る画像処理装置の構成を示す図である。 本発明の第2実施例に係る画像処理装置の構成を示す図である。 本発明の第3実施例に係る画像処理装置の構成を示す図である。 本発明の第4実施例に係る画像処理装置の構成を示す図である。 本発明の第5実施例に係る画像処理装置の構成を示す図である。 本発明の第5実施例における鮮鋭化処理の周波数特性を示す図である。 本発明の第6実施例に係る画像処理装置の構成を示す図である。 本発明の第7実施例に係る画像処理装置の構成を示す図である。 画像の拡大、強調処理による周波数成分の変化を示す図である。 従来の画像の水平方向及び垂直方向の鮮鋭化処理を示す図である。 従来の鮮鋭化処理による周波数成分の変化を示す図である。 2次元フィルタを用いた従来の鮮鋭化処理を示す図である。 従来の2次元フィルタの周波数特性を示す図である。 提案済みの画像鮮鋭化に好適な画像処理装置(直列型)を示す図である。 提案済みの画像鮮鋭化に好適な画像処理装置(並列型)を示す図である。 提案済みの画像鮮鋭化に好適な画像処理装置(切替型)を示す図である。 提案済みの画像鮮鋭化に好適な画像処理装置(切替型)の変形例を示す図である。 2次元フィルタ(水平用)と2次元フィルタ(垂直用)の周波数特性を示す図である。 画像処理装置(切替型)の前段にアップコンバータを加えた構成を示す図である。
以下、諸図面を参照しながら、本発明の実施の態様を詳細に説明する。
各実施形態に係る画像処理装置(集積回路)は、概略的に言えば、入力画像信号に対するフィルタ処理を行った後に、アップコンバート処理を行い、その後に画像の水平方向(横方向、主走査方向)の周波数成分及び垂直方向(縦方向、副走査方向)の周波数成分に対して、画像を鮮鋭化するための鮮鋭化処理を施す装置である。
画像処理装置が施す鮮鋭化処理とは、入力画像を表す信号(以下、入力画像信号と表記する)に対して非線形演算処理を施すことによって、入力画像に含まれる輪郭部分(エッジ)に相当する信号の立ち上がり及び立ち下がりを高度に急峻にする(エンハンスする)処理である。本発明の画像処理装置が施す鮮鋭化処理は、従来の増幅処理等の線形演算を用いる鮮鋭化処理では利用することができない高周波数成分を画像信号に付加することができるため、画像を高度に(強く)鮮鋭化することができる。
まず、後述する各実施形態における画像処理装置の主要な構成要素である鮮鋭化処理部の概要について説明する。なお、鮮鋭化処理部は、後述する水平鮮鋭化処理部及び垂直鮮鋭化処理部のいずれであってもよい。本明細書では、水平鮮鋭化処理部及び垂直鮮鋭化処理部を区別しないとき、単に、「鮮鋭化処理部」と表記する。
(鮮鋭化処理部の第1の構成例)
まず、本発明で用いられる鮮鋭化処理部について説明する。図1は、本発明の鮮鋭化処理部FEの第1の構成例を示すブロック図である。この鮮鋭化処理部FEは、画像を表すデジタル信号として外部から入力される入力画像信号Sinに対し、その入力画像信号Sinの表す画像を鮮鋭化するための処理を施す装置であって、HPF(High-pass Filter:高域通過フィルタ)10と、非線形演算部20(非線形関数)と、リミッタ30とを備えている。
入力画像信号Sinの表す画像は、静止画であってもよいし動画であってもよく、入力画像信号Sinが動画を表す場合、その動画は、例えば標準画質テレビジョン(SDTV:Standard Definition Television)又は高精細テレビジョン(HDTV:High Definition Television)の受像機においてリアルタイムで表示される動画であってもよい。本発明においては、特に、アップコンバートされた入力画像信号Sinが対象となる。
以下、図2に示す画像の水平方向の信号レベル(輝度値)の波形を例に、各構成部の動作及び出力される波形の説明を行う。なお、以下の説明では、画像の水平方向の信号レベルの波形について各構成部の説明を行うが、画像の垂直方向の信号レベルの波形や、動画像における画像間の時間方向の信号レベルの波形についても、各構成部は水平方向と同等の処理で鮮鋭化処理を行うことが可能である。
図2(A)は、入力画像信号Sinの水平方向の信号レベルの波形を示す図であり、特に、水平方向に信号レベルが変化するエッジに相当する部分の波形を示す図である。入力画像信号Sinの解像度は、出力画像信号Soutの解像度に対応するものであり、出力画像の解像度が元の入力画像の解像度より高い場合、入力画像信号Sinは、元の入力画像の解像度を出力画像信号Soutの解像度にアップコンバートしたものである。例えば、画像処理装置によりSDTVの画像をHDTVの画像として出力する場合、入力画像信号Sinは、元のSDTVの画像を既存の線形変換によりHDTVの解像度に変換した信号となる。
HPF10は、入力画像信号Sinに含まれる周波数成分の少なくとも直流成分を除去することにより高周波信号である第1信号S1を生成する。具体的には、HPF10は、入力画像信号Sinの表す画像における輪郭成分を含む高周波成分を抽出し、図2(A)の入力画像信号Sinから、図2(B)の第1信号S1を抽出する。
図3は、このHPF10の構成を示すブロック図である。図3のとおり、HPF10は、m−1個の単位遅延素子111〜11(m−1)と、m個の乗算器121〜12mと、1個の加算器131とから構成されるmタップ(mは3以上)のトランスバーサル型のデジタルフィルタとして構成することができる。この場合、各乗算器12j(j=1〜m、以下同じ)は、入力される信号に係数Cjを乗算してその結果を加算器131に出力し、係数Cjは、HPF10が、輪郭成分を含む高周波成分を抽出するように設定されている(例えば、m=3、C1=0.5、C2=−1、C3=0.5)。なお、一般に、高域通過フィルタを実現するよりも低域通過フィルタを実現する方が容易である。図4は、低域通過フィルタにより構成した高域通過フィルタの一例を示す図である。図4のとおり、低域通過フィルタ(Low-pass Filter、以下「LPF」という)101と減算器102を用いた構成により、図1に示すHPF10を実現することができる。
非線形演算部20は、第1信号S1に対して、第2信号S2が原点を通る連続した非線形関数で表されるような非線形演算処理を行うことにより第2信号S2を生成する。なお、この非線形演算処理は、原点に対して点対称となる非線形関数を用いることもできるが、第1信号S1に対して、第1信号S1の正負で非対称となる非線形演算処理を行うことにより第2信号S2を生成するようにすると、人間の視覚特性に対応した鮮鋭化処理が可能となる。第1信号S1は、図2(B)に示すように正方向の輪郭成分と負方向の輪郭成分とを含むものである。
ここで、正負で非対称となる非線形関数について説明する。第1信号S1の正方向及び負方向は、画素的にはそれぞれ白方向及び黒方向となる。両方向について同じ(対称的な)非線形演算処理を適用するよりも、異なる(非対称となる)非線形演算処理を適用することにより、より人間の視覚特性にあったエッジ強調が可能となる。すなわち、非線形演算部20として、第1信号S1の正方向の輪郭成分と、負方向の輪郭成分とに異なる(非対称となる)非線形演算処理を行うことができる。これ以降、第1信号S1の正負で非対称となる非線形演算処理を、特に、「非対称非線形演算処理」と称するものとする。本発明においては、非線形演算処理として、非対称非線形演算処理に限定するものではないが、原点対称な非線形関数による処理よりも、非対称非線形演算処理の方が、視覚的に自然な鮮鋭化処理が可能である。
非線形演算部20としての非対称非線形演算処理は、第1信号S1の原点(値がゼロとなる点)を中心に、正の領域に適用する非線形演算処理と負の領域に適用する非線形演算処理との値が連続している限り、あらゆる非線形演算処理を組み合わせることができる。本実施形態において、非線形演算部20は、例えば、第1信号S1が正の場合には、第1信号S1を3乗して第2信号S2を生成し(S2=S1)、第1信号S1が負の場合には、第1信号S1を2乗して符号を負としたものを第2信号S2として生成する(S2=−S1)ものとする。図2(C)は、非線形演算部20による非対称非線形演算処理による第2信号S2の波形を示す図である。図示のとおり、第2信号S2は、正の波形が大きく増幅されることになる。また、後述するとおり、第1信号S1の正負で非対称となる非線形演算処理を行うことにより、第1信号S1の正負で非対称となる周波数成分を生成することが可能となる。
非線形演算部20が第1信号S1の正負で非対称となる非線形演算処理を行うことにより、人間の知覚特性に合った画像鮮鋭化処理が可能になる。例えば、人間の感覚に基づく法則として、ヴェーバー‐フェヒナーの法則が知られている。この法則を画像認識に当てはめると、輝度が低い領域における輪郭(輝度変化)は、輝度が高い領域における輪郭に比べて知覚されやすいといえる。そのため、例えば、非線形演算部20は、信号レベル(輝度)が低い領域に対して第1信号S1の負領域で増幅が小さい非線形演算部20の処理を適用することにより、第1信号S1におけるエッジ成分を適切に強調して輪郭を知覚させることが可能となり、同時に輝度が低い領域でのノイズを抑制できる。また、非線形演算部20は、輝度が高い領域の輪郭がより鮮鋭化されるように正の波形が大きく増幅されるため、処理前のエッジ成分が微小であっても、輝度の高い領域において輪郭がより知覚されやすくすることができる。また、いずれの領域においても、非線形演算処理により高周波の周波数成分を生成することが可能となる。
なお、非線形演算部20による非対称非線形演算処理は、2乗演算及び3乗演算の組み合わせに限定されず、他の非線形演算処理を行うことが可能である。例えば、第1信号S1の正負各領域での非線形演算処理は、式(1)により表現することができる。各演算部による非線形演算処理は、p/qで表される一般的な有理数の指数乗をすべて包含する。なお、かかる冪乗演算処理においては、第1信号S1の正負は維持されるものであり、例えば、冪乗演算処理として偶数乗(例えば2乗)を行う場合でも、第1信号S1が負の場合には、冪乗演算処理後の値の符号は負に維持される(例えば、S2=−S1)。
Figure 2015041813
さらに、非線形演算部20は、非対称非線形演算処理について、三角関数(例えばS2=Sin(S1))、対数関数(例えばS2=log(|S1|+1))、ガンマ補正関数(例えばS2=S11/2)など、種々の非線形関数を適宜組み合わせて利用することができる。
また、非線形演算部20は、予め第1信号S1の信号レベル毎の加算値をテーブルなどで保持しておき、例えば、最小値0から最大値255までの値をとる8ビットの信号レベルである場合、第1信号S1の信号レベルに応じて±10の範囲の値を加算するなど、式(1)に示す一般式によらない非線形演算処理を行うことも可能である。
リミッタ30は、第2信号S2の振幅(信号レベル)の調整器として機能するものであり、第2信号S2を調整して出力画像信号Soutを生成する。具体的には、第2信号S2の振幅が所定の上限値以下となるようにクリップ処理を行ったり、第2信号S2に0≦α<1となるゲインαを乗算することにより当該第2信号S2のレベルのゲイン調整を行ったりする。また、リミッタ30は、ノイズ除去のため、第2信号S2における所定の下限値以下の信号値を0とする丸め処理を行うこともできる。リミッタ30は、クリップ処理、ゲイン調整、丸め処理などを行った第2信号S2を出力画像信号Soutとして出力する。
図示していない加算器により、図2(C)に示す出力画像信号Soutを画像の鮮鋭化のための補償用信号として図2(A)に示す入力画像信号Sinに加算することにより、図2(D)に示す信号が生成される。この信号(Sin+Sout)におけるエッジ部の立ち上がり変化は、入力画像信号Sinのエッジ部の立ち上がり変化よりも急になる。即ち、入力画像信号Sinよりも鮮鋭な画像を得ることができる。
(鮮鋭化処理部の第2の構成例)
図5は、本発明の鮮鋭化処理部の第2の構成例を示すブロック図である。この鮮鋭化処理部FEは、非線形演算部40(非線形関数)と、HPF10と、リミッタ30とを備えている。なお、以下の説明では、画像の水平方向の信号レベルの波形について各構成部の説明を行うが、画像の垂直方向の信号レベルの波形や、動画像における画像間の時間方向の信号レベルの波形についても、各構成部は水平方向と同等の処理で鮮鋭化処理を行うことが可能である。
非線形演算部40は、入力画像信号Sinに対して、第1信号S1が連続した非線形関数で表されるような非線形演算処理を行うことにより第1信号S1を生成する。非線形演算部40による非線形演算処理は、画像の輪郭を鮮鋭化することを目的とするものであり、例えば、入力画像信号Sinを、信号レベルにおいてエッジの立ち上がり変化が急な第1信号S1にする処理を行うものである。
入力画像を表す入力画像信号Sinには直流成分が含まれており、これは画像の輝度レベルに相当する。非線形演算部40は、直流成分を含んだ入力画像信号Sinに対して非線形関数を割り当てるものであり、入力画像信号Sinに無い周波数成分となる高調波の発生と、入力画像信号Sinの輝度レベルに応じた高調波の強度制御を同時に実現できる。
入力画像信号Sinの直流成分は、人間の目には画像の「明るさ」として認識され、この直流成分を含んだ入力画像信号Sinを非線形演算処理した場合、直流成分によって高調波の発生度合いが異なることから、画像の「明るさ」に対応して、画質改善のための周波数成分を生成することができ、人間の視覚特性に応じた画像強調処理を行なうことができる。
非線形演算部40による入力画像信号Sinから第1信号S1を生成する処理は、式(2)により一般化することができる。非線形演算部40による非線形演算処理は、p/qで表される一般的な有理数の指数乗をすべて包含する。
Figure 2015041813
例えば、非線形演算部40は、入力画像信号Sinの冪乗を第1信号S1として生成する。非線形演算部40が入力画像信号Sinをn乗して第1信号S1を生成する場合、S1=Sin となる。入力画像信号Sinはデジタル信号(離散化された信号)であるので、より詳しくは、入力画像信号Sinを構成するデータ列をX1,X2,X3,…としたとき、第1信号S1は、データ列X1,X2,X3,…によって構成されるデジタル信号である。なお、nは任意の実数である。
例えば、入力画像信号Sinが8ビットのデジタル信号であれる場合、各画素の信号レベルは0〜255の値をとる。このとき、非線形演算部40が、入力画像信号Sinを2乗すると、エッジ部の立ち上がり変化が急になるため、画像の輪郭がより強調されることになる。
また、例えば、非線形演算部40は、入力画像信号Sinの冪乗根を第1信号S1として生成する。非線形演算部40が入力画像信号Sinのn乗根を第1信号S1として生成する場合、S1=Sin 1/nとなる。入力画像信号Sinはデジタル信号(離散化された信号)であるので、より詳しくは、入力画像信号Sinを構成するデータ列をX1,X2,X3,…としたとき、第1信号S1は、データ列X11/n,X21/n,X31/n,…によって構成されるデジタル信号である。なお、nは任意の実数である。
入力画像信号Sinの冪乗根を第1信号S1として生成する非線形演算処理は、人間の知覚特性に基づく輪郭抽出に適している。例えば、輝度が低い領域の微小なエッジ成分を強調して輪郭を知覚させるため、非線形演算部40は、例えばガンマ補正関数(例えば、S1=Sin 1/2)により、輝度が高い画素より、輝度が低い画素をより引き上げる非線形演算処理を行う。
この場合、非線形演算部40は、式(3)により、mビットのデジタル信号の画素値Xを正規化した値であるX’を算出すると良い。式(3)による正規化後のX’の値は0〜1の間の値となる。
Figure 2015041813
ここで、非線形演算部40は、正規化後のX’に式(4)示すガンマ補正関数を適用し、非線形演算処理後の値Yを算出する。
Figure 2015041813
式(4)により、X’の値が小さい場合、非線形演算処理後のYの値がX’に比べて高く引き上げられることになる。すなわち、輝度が高い画素より、輝度が低い画素がより引き上げられる。これにより、エッジの鮮鋭化において、特に輝度が低い領域のエッジ強調成分が大きくなるため、特に輝度の低い領域の画像の輪郭がより強調されることになる。
HPF10は、第1信号S1に含まれる周波数成分の少なくとも直流成分を除去することにより高周波信号である第2信号S2を生成する。具体的には、HPF10は、入力画像信号Sinを非線形演算処理して得られた画像の輪郭成分を含む高周波成分を抽出する処理として、第1信号S1から第2信号S2を抽出する。
この鮮鋭化処理部では、直流まで含む入力画像信号Sinに対して非線形演算処理を行うことから、高調波を生みだす信号の非線形演算処理の動作中心点が輝度レベルによって変化するため、輝度レベルに応じて高調波の発生度合いが変わる。また、非線形演算処理の動作中心点から見た非線形カーブが高輝度側と低輝度側で異なるため、非線形演算処理後にHPF10を通した高調波信号は正負で非対称となる。よって、人間の視覚特性に応じた適切な鮮鋭化処理が可能となる。
リミッタ30は、第2信号S2の振幅(信号レベル)の調整器として機能するものであり、第2信号S2を調整して出力画像信号Soutを生成する。リミッタ30は、クリップ処理、ゲイン調整、丸め処理などを行った第2信号S2を出力画像信号Soutとして出力する。
図示していない加算器により、出力画像信号Soutを画像の鮮鋭化のための補償用信号として入力画像信号Sinに加算することにより、鮮鋭化処理の行われた画像信号が生成される。この信号(Sin+Sout)におけるエッジ部の立ち上がり変化は、入力画像信号Sinのエッジ部の立ち上がり変化よりも急になる。即ち、入力画像信号Sinよりも鮮鋭な画像を得ることができる。
これ以降、画像をアップコンバートするとともに、上述した鮮鋭化処理部FEを備え、画像の水平方向(横方向、主走査方向)の周波数成分及び垂直方向(縦方向、副走査方向)の周波数成分を鮮鋭化する画像処理装置について詳述する。各実施形態における入力画像信号Sinは、水平方向のサンプリング周波数がfh、垂直方向のサンプリング周波数がfvとし、ナイキスト周波数は水平方向がfh/2、垂直方向がfv/2であるものとする。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態は、ノイズ除去用のLPFと鮮鋭化処理部との間にアップコンバータを挿入するものである。なお、本発明において、アップコンバータは、水平方向と垂直方向にアップコンバートを行う2次元アップコンバータを用いている。
図6は、本発明の第1実施例に係る画像処理装置1の構成を示す図である。画像処理装置1は、ノイズ除去用の第1の2次元LPF(水平用)11及び第2の2次元LPF(垂直用)12と、3個のアップコンバータ21,22,23と、水平鮮鋭化処理部FEh及び垂直鮮鋭化処理部FEvと、増幅器31(切替器)と、第1加算器32、第2加算器33及び第3加算器34とを備える。画像処理装置1は、基本画像信号の経路となる入力と出力の間にアップコンバータ21を配置する。また、第1の2次元LPF11の後段にアップコンバータ22を配置し、その後段に水平鮮鋭化処理部FEhが配置された構成を水平方向処理部とし、第2の2次元LPF12の後段にアップコンバータ23を配置し、その後段に垂直鮮鋭化処理部FEvが配置された構成を垂直方向処理部とする。そして、水平鮮鋭化処理部FEhの出力端と垂直鮮鋭化処理部FEvの入力端とに接続された切替器として機能する増幅器31を備え、増幅器31の設定(増幅率β)により、水平方向処理部と垂直方向処理部の並列接続(β=0)及び直列接続(β=1)を切り替えるものである。なお、増幅器31の増幅率βは0≦β≦1の範囲の値となるため、増幅率βが0<β<1の場合には、増幅器31は並列接続及び直列接続のいずれか一方に厳密に切り替えるものではなく、並列接続及び直列接続をそれぞれ含む回路構成とすることができる。
ここで、第1の2次元LPF(水平用)11及び第2の2次元LPF(垂直用)12は、入力画像信号Sinの2次元周波数スペクトルにおける四隅のナイキスト周波数限界付近のほぼノイズのような信号成分に対して、後段の鮮鋭化処理で不要な高調波を発生させないような特性を有する。第1の2次元LPF(水平用)11は、少なくとも入力画像信号Sinに含まれる水平方向の高周波部分において、入力画像信号Sinの垂直方向の周波数成分の高周波部分を除去するものであり、入力画像信号Sinの垂直方向成分の高域を部分的に減衰させる垂直LPFとして機能するものである(図23(a)参照)。また、第2の2次元LPF(垂直用)12は、少なくとも入力画像信号Sinに含まれる垂直方向の高周波部分において、入力画像信号Sinの水平方向の周波数成分の高周波部分を除去するものであり、入力画像信号Sinの水平方向成分の高域を部分的に減衰させる水平LPFとして機能するものである(図23(b)参照)。なお、ここで言う高周波部分とは、ギラギラ感の原因となる水平方向及び垂直方向がいずれも高周波数となる領域で鮮鋭化処理による高周波成分が発生することを防ぐために除去又は減衰させるものであって、2次元LPF後段の鮮鋭化処理部(FEv、FEh)の鮮鋭化特性を考慮して当業者が適宜設定できるものである。
例えば2K画像からなる入力画像信号Sinは、アップコンバータ21に入力され、例えば4K画像にアップコンバートされた第1信号S1となって、第3加算器34に出力される。この経路が、本発明における、入力画像を表す入力画像信号をアップコンバートして画素数が増大した第1信号を生成する基本画像側の経路に相当し、以下の実施例においても同様である。
第1の2次元LPF11は、入力画像信号Sinの垂直方向成分の高域を部分的に減衰させて、第2信号S2をアップコンバータ22に出力する。
アップコンバータ22は、第2信号S2を、例えば4K画像にアップコンバートされた第3信号S3に変換して、水平鮮鋭化処理部FEhに出力する。
水平鮮鋭化処理部FEhは、入力信号に含まれる水平方向の周波数成分より高い周波数成分を含む水平方向の高調波を生成するものであり、アップコンバータ22からの第3信号S3で表される画像の水平方向について鮮鋭化処理を施し、第4信号S4を増幅器31(切替器)に出力する。水平鮮鋭化処理部FEhにより、水平方向にナイキスト周波数を超える周波数成分を含む水平方向の高調波が生成される。
第2の2次元フィルタ12は、入力画像信号Sinの水平方向成分の高域を部分的に減衰させて、第5信号S5をアップコンバータ23に出力する。
アップコンバータ23は、第5信号S5を、例えば4K画像にアップコンバートされた第6信号S6に変換して、第1加算器32に出力する。
第1加算器32は、アップコンバータ23からの第6信号S6と、水平鮮鋭化処理部FEhからの第4信号S4を増幅器31(切替器)の増幅率βで増幅した信号とを、加算して第7信号S7を生成する。
垂直鮮鋭化処理部FEvは、入力信号に含まれる垂直方向の周波数成分より高い周波数成分を含む垂直方向の高調波を生成するものであり、第1加算器32からの第7信号S7で表される画像の垂直方向について鮮鋭化処理を施し、第8信号S8を第2加算器33に出力する。垂直鮮鋭化処理部FEvにより、垂直方向にナイキスト周波数を超える周波数成分を含む垂直方向の高調波が生成される。
第2加算器33は、水平鮮鋭化処理部FEhからの第4信号S4と、垂直鮮鋭化処理部FEvからの第8信号S8とを加算して第9信号S9を生成する。
第3加算器34は、アップコンバータ21からの第1信号S1と、第2加算器33からの第9信号S9とを加算して出力画像信号Soutを生成する。
なお、入力端から、入力画像信号Sinを鮮鋭化処理(非線形演算処理)し、第3加算器34に出力するまでの経路が、本発明における、入力画像を表す入力画像信号に含まれる周波数成分より高い周波数成分を生成する非線形演算部を含む鮮鋭化処理部により、前記入力画像を鮮鋭化する信号を生成する鮮鋭化処理側の経路に相当する。以下の実施例においても同様である。
第1実施例の画像処理装置1は、鮮鋭化処理前のフィルタ処理の段階で、入力画像信号Sinに対する2個の2次元LPF(7×7tap)に、それぞれ乗算器が16個必要であり、3個のアップコンバータにそれぞれ乗算器4個を用い、したがって、44個(16個×2+4個×3)の乗算器で構成できる。したがって、鮮鋭化処理の経路の前段階でアップコンバートする図24の画像処理装置(乗算器計132個)と比較すると、アップコンバータは3個必要となるが、乗算器の個数で比較した場合、大幅に乗算器の個数を減らすことができる。したがって、大幅な機器の小型化とコストの削減が実現できる。
本実施例によれば、上記の回路規模の縮小という効果に加えて、水平鮮鋭化処理部FEh及び垂直鮮鋭化処理部FEvの前段に2次元LPFが配置されているため、入力画像の水平方向及び垂直方向の周波数成分をいずれも超える周波数領域において水平方向及び垂直方向の鮮鋭化処理の重複による周波数成分を生成することなく画像を鮮鋭化することが可能となり、画像のギラギラ/チラチラ感を低減できる。また、本手法では、水平の高調波生成および垂直の高調波生成において各々の必要とする帯域に絞ったフィルタが個別に選べるため、ノイズ感を伴うことなく、水平方向及び垂直方向それぞれの良好な高調波が得られて、くっきりした画像に鮮鋭化できる。
また、画像処理装置1において、切替器である増幅器31は、水平方向処理部及び垂直方向処理部の直列接続及び並列接続を切り替えることができる。これにより、増幅率を0として並列接続とした場合には、水平方向及び垂直方向の鮮鋭化処理それぞれで生成された高周波成分の和が画像の鮮鋭化に働くため、人工的なギラギラ感の発生を防ぐことができる。また、増幅率を1として直列接続とした場合には、入力画像信号Sinがすでに斜め成分を除去されたようなボケた感じでも、水平方向及び垂直方向で2次元的に高周波成分の生成が行われるため、鮮鋭化により入力画像を華やかな感じに仕立てることが可能になる。
また、画像処理装置1において、増幅器31を直列接続及び並列接続の切替器としているため、入力画像信号Sinの特性に合わせて増幅率βを設定することにより、直列処理及び並列処理による周波数成分を組み合わせ、より適切な鮮鋭化処理を行うことが可能になる。
また、切替器は増幅器31のみに限られず、スイッチ回路などを適宜用いることができるものである。
また、各加算器(32,33,34)は各経路から入力された同一フレームの画像信号を加算するものであるから、タイミングを調整するための遅延素子を必要に応じて備えるものである。
本実施例は、ナイキスト周波数を越える高周波域の補償も可能であることから、高精細テレビジョン(HDTV)の受信機のディスプレイで、標準画質テレビジョン(SDTV:Standard Definition Television)の画像信号に拡大処理を施して画像を表示する場合や、HDTV用の画像信号をアップコンバートしてこの4kディスプレイで表示する場合に、リアルタイムで表示される動画を簡単な構成で十分に鮮鋭化できるという点で大きな効果を奏する。
なお、画像処理装置1において、水平方向及び垂直方向の鮮鋭化処理の順番を入れ替えても良い。すなわち、水平方向の鮮鋭化処理に係る構成(2次元LPF11、水平鮮鋭化処理部FEh)と、垂直方向の鮮鋭化処理に係る構成(2次元LPF12、垂直鮮鋭化処理部FEv)との配置を入れ替えて入力画像信号Sinを処理することができる。
また、2次元LPFの代わりに、垂直LPF及び水平LPFを用いても良い。この場合、水平鮮鋭化処理部FEhの前段には、垂直LPFを用い、また、垂直鮮鋭化処理部FEvの前段には水平LPFを用いることが好ましい。
また、第3加算器34の後段にさらに2次元LPFを備え、より確実に高域成分を減衰させる構成としても良い。かかる2次元LPFは、出力画像信号Soutの周波数成分のうち、水平方向及び垂直方向がいずれも高周波数となる領域を除去するものが好ましい。
(フィルタ構成と乗算器の関係)
ここで、本発明において、必要な乗算器の算出の前提となるフィルタ構成と乗算器の関係について、補足説明する。本発明では2次元のフィルタ処理を行う際に、アップコンバート前の画像処理においては、水平垂直共に処理対象とする画素の前後それぞれ3画素の画像情報を参照する。すなわち、対象とする画素Xijについて、Xkl(k=i-3,i-2,i-1,i,i+1,i+2,i+3、l=j-3,j-2,j-1,j,j+1,j+2,j+3)による7×7の画素情報を処理する。また、アップコンバート後の画像処理においては、必要な(画像拡大前と同等な)特性を得るためには多くの画素情報が必要となるため、水平垂直共に処理対象とする画素の前後それぞれ15画素の画像情報を参照する。すなわち、対象とする画素Xijについて、Xkl(k=i-7〜i-1,i,i+1〜i+7、l=j-7〜j-1,j,j+1〜j+7)による15×15の画素情報を処理している。
7×7の画素情報を処理する場合に、2次元フィルタの各フィルタ係数Aklに何らの相関も無ければ、フィルタ処理結果の値ΣAklklを計算するために、7×7=49の乗算器が必要となる。しかし、通常の画像フィルタ特性は左右対称・上下対称であるため(例えば、図23参照)、係数列も左右対称・上下対称となっている。この性質を利用して、フィルタ係数AをAkl(k=1〜4、l=1〜4)の16要素で代表させることができ、乗算器を16個に圧縮できる。
また更に、2次元フィルタが、水平処理にも垂直処理にも共通で用いられる「共通2次元フィルタ」であれば、上下方向と左右方向に同じ係数がならぶことから(例えば、図18の対角線を軸とした対称性を参照)、上記の7×7のフィルタ係数Aを(A11,A12,A13,A14,A22,A23,A24,A33,A34,A44)の10要素で代表させることができ、乗算器を10個に圧縮できる。
同様に、アップコンバート後に使用される15×15tapの2次元フィルタは、対称性を利用して、通常の2次元フィルタであれば、64個の乗算器で実現でき、さらに「共通2次元フィルタ」であれば、36個の乗算器で実現できる。一次元フィルタについても同様に、フィルタ係数の対称性を利用して設計している。
なお、アップコンバータは、4タップの垂直補間と4タップの水平補間が縦接続されたものを使用し、垂直・水平で各2個(計4個)の乗算器を使用する。
本発明では、このような前提に基づいて、乗算器の必要個数で各実施例の回路規模を評価している。
第2実施例は、第1実施例において、それぞれ別々に設けていた水平用の2次元LPFと垂直用の2次元LPFとを、共通化した回路に関するものである。
図7(a)は、本発明の第2実施例に係る画像処理装置2の構成を示す図である。画像処理装置2は、ノイズ除去用の2次元LPF(共通)13と、2個のアップコンバータ21,22と、水平鮮鋭化処理部FEh及び垂直鮮鋭化処理部FEvと、増幅器31(切替器)と、第1加算器32、第2加算器33及び第3加算器34とを備える。画像処理装置2は、基本画像信号の経路となる入力と出力の間にアップコンバータ21を配置する。また、2次元LPF13の後段にアップコンバータ22を配置し、その後段に水平鮮鋭化処理部FEh及び垂直鮮鋭化処理部FEvを配置する。そして、水平鮮鋭化処理部FEhの出力端と垂直鮮鋭化処理部FEvの入力端とに接続された切替器として機能する増幅器31を備え、増幅器31の設定(増幅率β)により、水平方向処理部と垂直方向処理部の並列接続(β=0)及び直列接続(β=1)を切り替えるものである。なお、増幅器31の増幅率βは0≦β≦1の範囲の値となるため、増幅率βが0<β<1の場合には、増幅器31は並列接続及び直列接続のいずれか一方に厳密に切り替えるものではなく、並列接続及び直列接続をそれぞれを含む回路構成とすることができる。
ここで、2次元LPF13は、入力画像信号Sinの2次元周波数スペクトルにおける四隅のナイキスト周波数限界付近の信号成分に対しても鮮鋭化処理によって適切な高調波を発生させることが可能な特性を有し、且つ、後段の鮮鋭化処理で不要な高調波を発生させないように、少なくとも入力画像信号Sinに含まれる水平方向及び垂直方向の周波数成分の高周波部分を除去するものである。すなわち、ノイズ除去用のフィルタである。なお、ここで言う高周波部分とは、ギラギラ感の原因となる水平方向及び垂直方向がいずれも高周波数となる領域で鮮鋭化処理による高周波成分が発生することを防ぐために除去又は減衰させるものであって、2次元LPF後段の鮮鋭化処理部(FEv、FEh)の鮮鋭化特性を考慮して当業者が適宜設定できるものである。
例えば2K画像からなる入力画像信号Sinは、アップコンバータ21に入力され、例えば4K画像にアップコンバートされた第1信号S1となって、第3加算器34に出力される。
2次元LPF13は、入力画像信号Sinの垂直方向成分及び水平方向成分の高域を部分的に減衰させて、第2信号S2をアップコンバータ22に出力する。
アップコンバータ22は、第2信号S2を、例えば4K画像にアップコンバートされた第3信号S3に変換して、水平鮮鋭化処理部FEh及び第1加算器32に出力する。
水平鮮鋭化処理部FEhは、入力信号に含まれる水平方向の周波数成分より高い周波数成分を含む水平方向の高調波を生成するものであり、アップコンバータ22からの第3信号S3で表される画像の水平方向について鮮鋭化処理を施し、第4信号S4を増幅器31(切替器)に出力する。水平鮮鋭化処理部FEhにより、水平方向にナイキスト周波数を超える周波数成分を含む水平方向の高調波が生成される。
第1加算器32は、アップコンバータ22からの第3信号S3と、水平鮮鋭化処理部FEhからの第4信号S4を増幅器31(切替器)の増幅率βで増幅した信号とを加算して、第5信号S5を生成する。
垂直鮮鋭化処理部FEvは、入力信号に含まれる垂直方向の周波数成分より高い周波数成分を含む垂直方向の高調波を生成するものであり、第1加算器32からの第5信号S5で表される画像の垂直方向について鮮鋭化処理を施し、第6信号S6を第2加算器33に出力する。垂直鮮鋭化処理部FEvにより、垂直方向にナイキスト周波数を超える周波数成分を含む垂直方向の高調波が生成される。
第2加算器33は、水平鮮鋭化処理部FEhからの第4信号S4と、垂直鮮鋭化処理部FEvからの第6信号S6とを加算して第7信号S7を生成する。
第3加算器34は、アップコンバータ21からの第1信号S1と、第2加算器33からの第7信号S7とを加算して出力画像信号Soutを生成する。
第2実施例の画像処理装置2は、鮮鋭化処理前のフィルタ処理の段階で、入力画像信号Sinに対する1個の2次元LPF(7×7tap)に乗算器が10個必要であり、2個のアップコンバータにそれぞれ乗算器4個、したがって、18個(10個+4個×2)の乗算器で鮮鋭化処理前のフィルタ処理及びアップコンバートが実現できる。
比較のために、入力画像信号Sinを直ちに(鮮鋭化処理の経路の前に)アップコンバートする図7(b)の画像処理装置と対比する。図7(b)は、第2実施例に対応する回路構成を有し、従来のように最初にアップコンバートを行う画像処理装置の構成を示す図である。画像処理装置は、1個のアップコンバータ21と、ノイズ除去用の2次元LPF13と、水平鮮鋭化処理部FEh及び垂直鮮鋭化処理部FEvと、増幅器31(切替器)と、第1加算器32、第2加算器33及び第3加算器34とを備える。画像処理装置の回路構成は、第2実施例のものと基本的に同じであるが、2次元LPFはアップコンバートされた画像を処理するため、15×15tapのものを使用する。
比較のための画像処理装置は、入力画像信号Sinを直ちに(鮮鋭化処理の経路の前に)、アップコンバータ21によりアップコンバートし、2次元LPF13と第3加算器に出力する。2次元LPF13はアップコンバートされた画像信号の垂直方向成分及び水平方向成分の高域を部分的に減衰させるフィルタ処理をする。その後、水平鮮鋭化処理部FEh及び垂直鮮鋭化処理部FEvは、それぞれ水平方向、垂直方向の鮮鋭化処理を行う。なお、水平鮮鋭化処理部FEhの出力端には切替器として機能する増幅器31が配置されており、増幅器31の設定(増幅率β)により、水平鮮鋭化処理部FEhの出力をβ倍した信号を、2次元LPFからの信号に加えて垂直鮮鋭化処理部FEvの処理を行う。
この場合は、1個のアップコンバータに4個、2次元LPF(15×15tap)に36個の乗算器が必要であり、したがって、鮮鋭化処理前の段階で、40個の乗算器が必要となる。したがって、図7(a)の第2実施例は、図7(b)の画像処理装置と比較して、大幅に乗算器の個数を減らすことができる。
また、本実施例によれば、水平鮮鋭化処理部FEh及び垂直鮮鋭化処理部FEvの前段に2次元LPFが配置されているため、入力画像の水平方向及び垂直方向の周波数成分をいずれも超える周波数領域において水平方向及び垂直方向の鮮鋭化処理の重複による周波数成分を生成することなく画像を鮮鋭化することが可能となり、画像のギラギラ/チラチラ感を低減できる。
なお、画像処理装置2において、水平方向及び垂直方向の鮮鋭化処理の順番(配置)を入れ替えても良い。
また、第3加算器34の後段にさらに2次元LPFを備え、より確実に高域成分を減衰させる構成としても良い。かかる2次元LPFは、出力画像信号Soutの周波数成分のうち、水平方向及び垂直方向がいずれも高周波数となる領域を除去するものが好ましい。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は、鮮鋭化処理部の内部のHPFと非線形演算部との間にアップコンバータを挿入するものである。すなわち、ノイズ除去用の2次元LPFと、鮮鋭化処理部の水平HPF及び垂直HPFの全てのフィルタ処理を、アップコンバート処理の前に行う。なお、ここでは、鮮鋭化処理部として、前述の第1の構成例を用いる。
図8は、図20で説明した、水平鮮鋭化処理部FEhの前段に垂直フィルタが配置された水平方向処理部と、垂直鮮鋭化処理部FEvの前段に水平フィルタが配置された垂直方向処理部とが、並列に接続され入力画像を鮮鋭化する画像処理装置に対して、アップコンバートを行うものである。
図8(a)は、本発明の第3実施例に係る画像処理装置3の構成を示す図である。画像処理装置3は、ノイズ除去用の第1の2次元LPF(水平用)11及び第2の2次元LPF(垂直用)12と、水平鮮鋭化処理部FEhを構成する水平HPF14、非線形演算部20及びリミッタ30と、垂直鮮鋭化処理部FEvを構成する垂直HPF15、非線形演算部20及びリミッタ30と、3個のアップコンバータ21,22,23と、第1加算器32及び第2加算器33とを備える。画像処理装置3は、水平鮮鋭化処理部FEhの前段に第1の2次元LPF11が配置された構成を水平方向処理部とし、垂直鮮鋭化処理部FEvの前段に第2の2次元LPF12が配置された構成を垂直方向処理部とすると、水平方向処理部と垂直方向処理部とが並列に接続された構成となる。画像処理装置3は、基本画像信号の経路となる入力と出力の間にアップコンバータ21を配置する。また、水平鮮鋭化処理部FEh内において、水平HPF14と非線形演算部20の間にアップコンバータ22を配置し、垂直鮮鋭化処理部FEv内において、垂直HPF15と非線形演算部20の間にアップコンバータ23を配置する。
例えば2K画像からなる入力画像信号Sinは、アップコンバータ21に入力され、例えば4K画像にアップコンバートされた第1信号S1となって、第2加算器33に出力される。
第1の2次元LPF(水平用)11は、入力画像信号Sinの垂直方向の周波数成分の高周波部分を除去するものであり、入力画像信号Sinの垂直方向成分の高域を部分的に減衰させ、第2信号S2を水平鮮鋭化処理部FEhに出力する。なお、ここで言う高周波部分又は高域とは、ギラギラ感の原因となる水平方向及び垂直方向がいずれも高周波数となる領域で鮮鋭化処理による高周波成分が発生することを防ぐために除去又は減衰させるものであって、後段の水平鮮鋭化処理部FEhの鮮鋭化特性を考慮して当業者が適宜設定できるものである。
水平鮮鋭化処理部FEhは、入力画像信号Sinに含まれる水平方向の周波数成分より高い周波数成分を含む水平方向の高調波を生成するものであり、第1の2次元LPF11からの第2信号S2で表される画像の水平方向について鮮鋭化処理を施す。なお、本実施例では、水平鮮鋭化処理部FEhの内部でアップコンバートを行う。
水平鮮鋭化処理部FEhの内部において、水平HPF14は、第2信号S2に含まれる周波数成分の少なくとも直流成分を除去することにより高周波信号である第3信号S3を生成する。アップコンバータ22は、第3信号S3を、例えば4K画像にアップコンバートされた第4信号S4に変換して、非線形演算部20に出力する。非線形演算部20は、第3信号S3に対して、原点を通り正負で非対称となる連続した非線形関数で表されるような非線形演算処理を行うことにより、第5信号S5を生成する。この非線形演算処理により、水平方向にナイキスト周波数を超える周波数成分を含む水平方向の高調波が生成される。リミッタ30は、第5信号S5の振幅(信号レベル)の調整器として機能するものであり、第5信号S5を調整して第6信号S6を生成し、第1加算器32に出力する。
第2の2次元LPF(垂直用)12は、入力画像信号Sinの水平方向の周波数成分の高周波部分を除去するものであり、入力画像信号Sinの水平方向成分の高域を部分的に減衰させ、第7信号S7を垂直鮮鋭化処理部FEvに出力する。なお、ここで言う高周波部分又は高域とは、ギラギラ感の原因となる水平方向及び垂直方向がいずれも高周波数となる領域で鮮鋭化処理による高周波成分が発生することを防ぐために除去又は減衰させるものであって、後段の垂直鮮鋭化処理部FEvの鮮鋭化特性を考慮して当業者が適宜設定できるものである。
垂直鮮鋭化処理部FEvは、入力画像信号Sinに含まれる垂直方向の周波数成分より高い周波数成分を含む垂直方向の高調波を生成するものであり、第2の2次元LPF12からの第7信号S7で表される画像の垂直方向について鮮鋭化処理を施す。なお、本実施例では、垂直鮮鋭化処理部FEvの内部でアップコンバートを行う。
垂直鮮鋭化処理部FEvの内部において、垂直HPF15は、第7信号S7に含まれる周波数成分の少なくとも直流成分を除去することにより高周波信号である第8信号S8を生成する。アップコンバータ23は、第8信号S8を、例えば4K画像にアップコンバートされた第9信号S9に変換して、非線形演算部20に出力する。非線形演算部20は、第9信号S9に対して、原点を通り正負で非対称となる連続した非線形関数で表されるような非線形演算処理を行うことにより、第10信号S10を生成する。この非線形演算処理により、垂直方向にナイキスト周波数を超える周波数成分を含む垂直方向の高調波が生成される。リミッタ30は、第10信号S10の振幅(信号レベル)の調整器として機能するものであり、第10信号S10を調整して第11信号S11を生成し、第1加算器32に出力する。
第1加算器32は、水平鮮鋭化処理部FEhからの第6信号S6と、垂直鮮鋭化処理部FEvからの第11信号S11とを加算して第12信号S12を生成する。
第2加算器33は、アップコンバータ21からの第1信号S1と、第1加算器32からの第12信号S12とを加算して出力画像信号Soutを生成する。
第3実施例の画像処理装置3は、非線形演算部前の段階で、入力画像信号Sinに対する2個の2次元LPF(7×7tap)に乗算器がそれぞれ16個用いられ、水平HPF(7tap)及び垂直HPF(7tap)それぞれに乗算器が4個用いられ、3個のアップコンバータにそれぞれ乗算器4個が用いられ、したがって、全体で52個(16個×2+4個×5)の乗算器で非線形演算処理前のフィルタ処理及びアップコンバートが実現できる。
比較のために、入力画像信号Sinを直ちに(鮮鋭化処理の経路の前に)アップコンバートする図8(b)の画像処理装置と対比する。図8(b)は、第3実施例に対応する回路構成を有し、従来のように最初にアップコンバートを行う画像処理装置の構成を示す図である。画像処理装置は、1個のアップコンバータ21と、ノイズ除去用の第1の2次元LPF(水平用)11及び第2の2次元LPF(垂直用)12と、水平鮮鋭化処理部FEhを構成する水平HPF14、非線形演算部20及びリミッタ30と、垂直鮮鋭化処理部FEvを構成する垂直HPF15、非線形演算部20及びリミッタ30と、第1加算器32及び第2加算器33とを備える。画像処理装置の回路構成は、第3実施例のものと基本的に同じであるが、2次元LPFはアップコンバートされた画像を処理するため、15×15tapのものを使用し、水平HPF及び垂直HPFはそれぞれ15tapのものを使用する。
比較のための画像処理装置は、入力画像信号Sinを直ちに(鮮鋭化処理の経路の前に)、アップコンバータ21によりアップコンバートし、2次元LPF11,12に出力する。第1の2次元LPF11はアップコンバートされた画像信号の垂直方向成分の高域を部分的に減衰させるフィルタ処理をし、第2の2次元LPF12はアップコンバートされた画像信号の水平方向成分の高域を部分的に減衰させるフィルタ処理をする。その後、水平鮮鋭化処理部FEh(水平HPF14、非線形演算部20、及びリミッタ30)及び垂直鮮鋭化処理部FEv(垂直HPF15、非線形演算部20、及びリミッタ30)は、それぞれ水平方向、垂直方向の鮮鋭化処理を行う。その後、第1加算器32と第2加算器33により、鮮鋭化処理された信号と入力画像信号Sinをアップコンバートした信号とを加算する。
この場合は、1個のアップコンバータに4個、2次元LPF(15×15tap)に64個、水平HPF(15tap)及び垂直HPF(15tap)にそれぞれ8個の乗算器が必要であり、したがって、非線形演算部前の段階で、148個(4個+64個×2+8個×2)の乗算器が必要となる。したがって、図8(a)の第3実施例は、図8(b)の画像処理装置と比較して、大幅に乗算器の個数を減らすことができる。
また、本実施例によれば、水平鮮鋭化処理部FEh及び垂直鮮鋭化処理部FEvの前段にそれぞれ2次元LPFが配置されているため、入力画像の水平方向及び垂直方向の周波数成分をいずれも超える周波数領域において水平方向及び垂直方向の鮮鋭化処理の重複による周波数成分を生成することなく画像を鮮鋭化することが可能となり、画像のギラギラ/チラチラ感を低減できる。また、本手法では、水平の高調波生成および垂直の高調波生成において各々の必要とする帯域に絞ったフィルタが個別に選べるため、ノイズ感を伴うことなく、水平方向及び垂直方向それぞれの良好な高調波が得られて、くっきりした画像に鮮鋭化できる。
また、2次元LPFの代わりに、垂直LPF及び水平LPFを用いても良い。この場合、水平鮮鋭化処理部FEhの前段には、垂直LPFを用い、また、垂直鮮鋭化処理部FEvの前段には水平LPFを用いることが好ましい。
また、第2加算器33の後段にさらに2次元LPFを備え、より確実に高域成分を減衰させる構成としても良い。かかる2次元LPFは、出力画像信号Soutの周波数成分のうち、水平方向及び垂直方向がいずれも高周波数となる領域を除去するものが好ましい。
第4実施例は、第3実施例において、それぞれ別々に設けていた水平用の2次元LPFと垂直用の2次元LPFとを、共通化した回路に関するものである。
図9(a)は、本発明の第4実施例に係る画像処理装置4の構成を示す図である。画像処理装置4は、ノイズ除去用の2次元LPF13と、水平鮮鋭化処理部FEhを構成する水平HPF14、非線形演算部20及びリミッタ30と、垂直鮮鋭化処理部FEvを構成する垂直HPF15、非線形演算部20及びリミッタ30と、3個のアップコンバータ21,22,23と、第1加算器32及び第2加算器33とを備える。画像処理装置4は、水平鮮鋭化処理部FEh及び垂直鮮鋭化処理部FEvの前段に、共通の2次元LPF13が配置されている。画像処理装置4は、基本画像信号の経路となる入力と出力の間にアップコンバータ21を配置する。また、水平鮮鋭化処理部FEh内において、水平HPF14と非線形演算部20の間にアップコンバータ22を配置し、垂直鮮鋭化処理部FEv内において、垂直HPF15と非線形演算部20の間にアップコンバータ23を配置する。
例えば2K画像からなる入力画像信号Sinは、アップコンバータ21に入力され、例えば4K画像にアップコンバートされた第1信号S1となって、第2加算器33に出力される。
2次元LPF13は、入力画像信号Sinの2次元周波数スペクトルにおける四隅のナイキスト周波数限界付近の信号成分に対しても鮮鋭化処理によって適切な高調波を発生させることが可能な特性を有し、且つ、後段の鮮鋭化処理で不要な高調波を発生させないように、少なくとも入力画像信号Sinに含まれる水平方向及び垂直方向の周波数成分の高周波部分を除去するものである。すなわち、ノイズ除去用のフィルタである。なお、ここで言う高周波部分とは、ギラギラ感の原因となる水平方向及び垂直方向がいずれも高周波数となる領域で鮮鋭化処理による高周波成分が発生することを防ぐために除去又は減衰させるものであって、2次元LPF後段の鮮鋭化処理部(FEv、FEh)の鮮鋭化特性を考慮して当業者が適宜設定できるものである。2次元LPF13は、入力画像信号Sinの垂直方向成分及び水平方向成分の高域を部分的に減衰させて、第2信号S2を水平鮮鋭化処理部FEh及び垂直鮮鋭化処理部FEvに出力する。
水平鮮鋭化処理部FEhは、入力信号に含まれる水平方向の周波数成分より高い周波数成分を含む水平方向の高調波を生成するものであり、2次元LPF13からの第2信号S2で表される画像の水平方向について鮮鋭化処理を施す。なお、本実施例では、水平鮮鋭化処理部FEhの内部でアップコンバートを行う。
水平鮮鋭化処理部FEhの内部において、水平HPF14は、第2信号S2に含まれる周波数成分の少なくとも直流成分を除去することにより高周波信号である第3信号S3を生成する。アップコンバータ22は、第3信号S3を、例えば4K画像にアップコンバートされた第4信号S4に変換して、非線形演算部20に出力する。非線形演算部20は、第4信号S4に対して、原点を通り正負で非対称となる連続した非線形関数で表されるような非線形演算処理を行うことにより、第5信号S5を生成する。この非線形演算処理により、水平方向にナイキスト周波数を超える周波数成分を含む水平方向の高調波が生成される。リミッタ30は、第5信号S5の振幅(信号レベル)の調整器として機能するものであり、第5信号S5を調整して第6信号S6を生成し、第1加算器32に出力する。
垂直鮮鋭化処理部FEvは、入力信号に含まれる垂直方向の周波数成分より高い周波数成分を含む垂直方向の高調波を生成するものであり、2次元LPF13からの第2信号S2で表される画像の垂直方向について鮮鋭化処理を施す。なお、本実施例では、垂直鮮鋭化処理部FEvの内部でアップコンバートを行う。
垂直鮮鋭化処理部FEvの内部において、垂直HPF15は、第2信号S2に含まれる周波数成分の少なくとも直流成分を除去することにより高周波信号である第7信号S7を生成する。アップコンバータ23は、第7信号S7を、例えば4K画像にアップコンバートされた第8信号S8に変換して、非線形演算部20に出力する。非線形演算部20は、第8信号S8に対して、原点を通り正負で非対称となる連続した非線形関数で表されるような非線形演算処理を行うことにより、第9信号S9を生成する。この非線形演算処理により、垂直方向にナイキスト周波数を超える周波数成分を含む垂直方向の高調波が生成される。リミッタ30は、第9信号S9の振幅(信号レベル)の調整器として機能するものであり、第9信号S9を調整して第10信号S10を生成し、第1加算器32に出力する。
第1加算器32は、水平鮮鋭化処理部FEhからの第6信号S6と、垂直鮮鋭化処理部FEvからの第10信号S10とを加算して第11信号S11を生成する。
第2加算器33は、アップコンバータ21からの第1信号S1と、第1加算器32からの第11信号S11とを加算して出力画像信号Soutを生成する。
第4実施例の画像処理装置4は、非線形演算部前の段階で、入力画像信号Sinに対する2次元LPF(7×7tap)に乗算器が10個用いられ、水平HPF(7tap)及び垂直HPF(7tap)それぞれに乗算器が4個用いられ、3個のアップコンバータにそれぞれ乗算器4個が用いられ、したがって、全体で30個(10個×2+4個×5)の乗算器で非線形演算処理前のフィルタ処理及びアップコンバートが実現できる。
比較のために、入力画像信号Sinを直ちに(鮮鋭化処理の経路の前に)アップコンバートする図9(b)の画像処理装置と対比する。図9(b)は、第4実施例に対応する回路構成を有し、従来のように最初にアップコンバートを行う画像処理装置の構成を示す図である。画像処理装置は、1個のアップコンバータ21と、ノイズ除去用の2次元LPF13と、水平鮮鋭化処理部FEhを構成する水平HPF14、非線形演算部20及びリミッタ30と、垂直鮮鋭化処理部FEvを構成する垂直HPF15、非線形演算部20及びリミッタ30と、第1加算器32及び第2加算器33とを備える。画像処理装置の回路構成は、第4実施例のものと基本的に同じであるが、2次元LPFはアップコンバートされた画像を処理するため、15×15tapのものを使用し、水平HPF及び垂直HPFはそれぞれ15tapのものを使用する。
比較のための画像処理装置は、入力画像信号Sinを直ちに(鮮鋭化処理の経路の前に)、アップコンバータ21によりアップコンバートし、2次元LPF13に出力する。2次元LPF13はアップコンバートされた画像信号の垂直方向成分及び水平方向成分の高域を部分的に減衰させるフィルタ処理をする。その後、水平鮮鋭化処理部FEh(水平HPF14、非線形演算部20、及びリミッタ30)及び垂直鮮鋭化処理部FEv(垂直HPF15、非線形演算部20、及びリミッタ30)は、それぞれ水平方向、垂直方向の鮮鋭化処理を行う。その後、第1加算器32と第2加算器33により、鮮鋭化処理された信号と入力画像信号Sinをアップコンバートした信号とを加算する。
この場合は、1個のアップコンバータに4個、2次元LPF(15×15tap)に36個、水平HPF(15tap)及び垂直HPF(15tap)にそれぞれ8個の乗算器が必要であり、したがって、非線形演算部前の段階で、56個(4個+36個+8個×2)の乗算器が必要となる。したがって、図9(a)の第4実施例は、図9(b)の画像処理装置と比較して、大幅に乗算器の個数を減らすことができる。
また、本実施例によれば、水平鮮鋭化処理部FEh及び垂直鮮鋭化処理部FEvの前段に2次元LPFが配置されているため、入力画像の水平方向及び垂直方向の周波数成分をいずれも超える周波数領域において水平方向及び垂直方向の鮮鋭化処理の重複による周波数成分を生成することなく画像を鮮鋭化することが可能となり、画像のギラギラ/チラチラ感を低減できる。
また、第2加算器33の後段にさらに2次元LPFを備え、より確実に高域成分を減衰させる構成としても良い。かかる2次元LPFは、出力画像信号Soutの周波数成分のうち、水平方向及び垂直方向がいずれも高周波数となる領域を除去するものが好ましい。
第5実施例は、第4実施例において、それぞれ別々に設けていた水平鮮鋭化処理部FEhと垂直鮮鋭化処理部FEvとを、2次元HPFを用いて、共通化した回路に関するものである。
図10は、本発明の第5実施例に係る画像処理装置5の構成を示す図である。画像処理装置5は、ノイズ除去用の2次元LPF13と、鮮鋭化処理部FEを構成する2次元HPF16、非線形演算部20及びリミッタ30と、2個のアップコンバータ21,22と、第1加算器32とを備える。画像処理装置5は、水平鮮鋭化処理部FEh及び垂直鮮鋭化処理部FEvの機能が1つの鮮鋭化処理部FEで実現され、その前段に、2次元LPF13が配置されている。画像処理装置5は、基本画像信号の経路となる入力と出力の間にアップコンバータ21を配置する。また、鮮鋭化処理部FE内において、2次元HPF16と非線形演算部20の間にアップコンバータ22を配置する。
例えば2K画像からなる入力画像信号Sinは、アップコンバータ21に入力され、例えば4K画像にアップコンバートされた第1信号S1となって、第1加算器32に出力される。
2次元LPF13は、第4実施例で用いた2次元LPF13と同じであり、入力画像信号Sinの2次元周波数スペクトルにおける四隅のナイキスト周波数限界付近の信号成分に対しても鮮鋭化処理によって適切な高調波を発生させることが可能な特性を有し、且つ、後段の鮮鋭化処理で不要な高調波を発生させないように、少なくとも入力画像信号Sinに含まれる水平方向及び垂直方向の周波数成分の高周波部分を除去するものである。すなわち、ノイズ除去用のフィルタである。なお、ここで言う高周波部分とは、ギラギラ感の原因となる水平方向及び垂直方向がいずれも高周波数となる領域で鮮鋭化処理による高周波成分が発生することを防ぐために除去又は減衰させるものであって、2次元LPF後段の鮮鋭化処理部(FE)の鮮鋭化特性を考慮して当業者が適宜設定できるものである。2次元LPF13は、入力画像信号Sinの垂直方向成分及び水平方向成分の高域を部分的に減衰させて、第2信号S2を鮮鋭化処理部FEに出力する。
鮮鋭化処理部FEは、入力信号に含まれる水平方向の周波数成分より高い周波数成分を含む水平方向の高調波と、垂直方向の周波数成分より高い周波数成分を含む垂直方向の高調波を1回の非線形演算処理で同時に生成するものであり、2次元LPF13からの第2信号S2で表される画像の2次元的な鮮鋭化処理を施す。なお、本実施例では、鮮鋭化処理部FEの内部でアップコンバートを行う。
鮮鋭化処理部FEの内部において、2次元HPF16は、第2信号S2に含まれる水平及び垂直の周波数成分の少なくとも直流成分(低周波部分)を除去することにより高周波信号である第3信号S3を生成する。アップコンバータ22は、第3信号S3を、例えば4K画像にアップコンバートされた第4信号S4に変換して、非線形演算部20に出力する。非線形演算部20は、第3信号S3に対して、原点を通り正負で非対称となる連続した非線形関数で表されるような非線形演算処理を行うことにより、第5信号S5を生成する。この非線形演算処理により、水平方向及び垂直方向にナイキスト周波数を超える周波数成分を含む高調波が生成される。リミッタ30は、第5信号S5の振幅(信号レベル)の調整器として機能するものであり、第5信号S5を調整して第6信号S6を生成し、第1加算器32に出力する。
第1加算器32は、鮮鋭化処理部FEからの第6信号S6と、アップコンバータ21からの第1信号S1と、を加算して出力画像信号Soutを生成する。
図11に2次元HPFを利用して鮮鋭化を行ったときの各段階における信号の周波数成分を示す。図11(a)は水平方向のサンプリング周波数がfh、水平方向のサンプリング周波数がfvであるデジタル画像の入力画像信号Sinの周波数成分を示す。図でハッチングの部分が、周波数成分の存在する領域である。デジタル画像のナイキスト周波数は、水平方向がfh/2、垂直方向がfv/2となり、図示のとおり、ナイキスト周波数を超える範囲に周波数成分は存在しない。図11(b)は、入力画像信号Sinに2次元HPF処理を施した後の信号S0である。鮮鋭化処理部FEに用いられる2次元HPF16は、少なくとも直流成分を含む水平周波数及び垂直周波数の低周波数領域(0Hz周辺)に遮断領域を有するフィルタ特性を示す。したがって、2次元HPF処理を施した後の画像信号S0は、0Hz周辺の低周波数成分が除去される。この画像信号S0に対して、非線形演算部20で非線形関数による鮮鋭化処理を施すと、図11(c)のとおり、鮮鋭化処理後の出力画像信号Soutにおいて、垂直方向のナイキスト周波数fv/2を越える広域及び水平方向のナイキスト周波数fh/2を越える広域に周波数成分が生成される。図示のとおり、出力画像信号Soutの周波数成分の4隅、即ち水平方向及び垂直方向がいずれも高周波数となる領域も、一度の非線形演算処理で生成されるため、演算処理の効率が高まると共に、従来のように水平方向及び垂直方向の鮮鋭化処理が重複して行われ、画像のギラギラ感が強調されてしまう現象は生じない。
第5実施例の画像処理装置5は、非線形演算部前の段階で、入力画像信号Sinに対する2次元LPF(7×7tap)に乗算器が10個用いられ、2次元HPF(7×7tap)に乗算器が10個用いられ、2個のアップコンバータにそれぞれ乗算器4個が用いられ、したがって、全体で28個(10個×2+4個×2)の乗算器で非線形演算処理前のフィルタ処理及びアップコンバートが実現できる。これは、図9(b)に示す従来の画像処理装置(乗算器を56個使用)と比較して、大きな乗算器の減少である。さらに、本実施例は、図9の画像処理装置で2系統必要であった非線形演算部を1系統にすることができる。一般に、非線形関数上の前後4個の代表点からの補間処理を行う方式では、1系統の非線形演算部に27個の乗算器が必要となるが、これを1系統省略できることは、図9(b)に示す従来の画像処理装置と比較して、大幅に乗算器の個数を減らすことができる。
また、本実施例によれば、鮮鋭化処理部FEの前段に2次元LPFが配置されているため、入力画像の水平方向及び垂直方向の周波数成分をいずれも超える周波数領域において水平方向及び垂直方向の鮮鋭化処理の重複による周波数成分を生成することなく画像を鮮鋭化することが可能となり、画像のギラギラ/チラチラ感を低減できる。
また、本実施例によれば、鮮鋭化処理を水平方向と垂直方向の2系統用意する代わりに、2次元で処理を行う鮮鋭化処理部FEの1系統に、まとめることができるため、非線形演算処理の演算回数と減らすことができ、その結果、回路量とともに消費電力も低減することができる。
また、第1加算器32の後段にさらに2次元LPFを備え、より確実に高域成分を減衰させる構成としても良い。かかる2次元LPFは、出力画像信号Soutの周波数成分のうち、水平方向及び垂直方向がいずれも高周波数となる領域を除去するものが好ましい。
これまでは、鮮鋭化処理部FEの前段に2次元LPFが配置された画像処理装置について説明してきたが、フィルタ処理をアップコンバータの前で行う本発明の特徴は、ノイズ除去用の2次元LPFを有していない画像処理装置にも適用できる。
第6実施例は、第3実施例及び第4実施例において、ノイズ除去用の2次元LPFを省略した回路に関するものである。
図12(a)は、本発明の第6実施例に係る画像処理装置6の構成を示す図である。画像処理装置6は、水平鮮鋭化処理部FEhを構成する水平HPF14、非線形演算部20及びリミッタ30と、垂直鮮鋭化処理部FEvを構成する垂直HPF15、非線形演算部20及びリミッタ30と、3個のアップコンバータ21,22,23と、第1加算器32及び第2加算器33とを備える。画像処理装置6は、基本画像信号の経路となる入力と出力の間にアップコンバータ21を配置する。また、水平鮮鋭化処理部FEh内において、水平HPF14と非線形演算部20の間にアップコンバータ22を配置し、垂直鮮鋭化処理部FEv内において、垂直HPF15と非線形演算部20の間にアップコンバータ23を配置する。
例えば2K画像からなる入力画像信号Sinは、アップコンバータ21に入力され、例えば4K画像にアップコンバートされた第1信号S1となって、第2加算器33に出力される。
水平鮮鋭化処理部FEhは、入力信号に含まれる水平方向の周波数成分より高い周波数成分を含む水平方向の高調波を生成するものであり、入力画像信号Sinの水平方向について鮮鋭化処理を施す。なお、本実施例では、水平鮮鋭化処理部FEhの内部でアップコンバートを行う。
水平鮮鋭化処理部FEhの内部において、水平HPF14は、入力画像信号Sinに含まれる周波数成分の少なくとも直流成分を除去することにより高周波信号である第2信号S2を生成する。アップコンバータ22は、第2信号S2を、例えば4K画像にアップコンバートされた第3信号S3に変換して、非線形演算部20に出力する。非線形演算部20は、第3信号S3に対して、原点を通り正負で非対称となる連続した非線形関数で表されるような非線形演算処理を行うことにより、第4信号S4を生成する。この非線形演算処理により、水平方向にナイキスト周波数を超える周波数成分を含む水平方向の高調波が生成される。リミッタ30は、第4信号S4の振幅(信号レベル)の調整器として機能するものであり、第4信号S4を調整して第5信号S5を生成し、第1加算器32に出力する。
垂直鮮鋭化処理部FEvは、入力信号に含まれる垂直方向の周波数成分より高い周波数成分を含む垂直方向の高調波を生成するものであり、入力画像信号Sinの垂直方向について鮮鋭化処理を施す。なお、本実施例では、垂直鮮鋭化処理部FEvの内部でアップコンバートを行う。
垂直鮮鋭化処理部FEvの内部において、垂直HPF15は、入力画像信号Sinに含まれる周波数成分の少なくとも直流成分を除去することにより高周波信号である第6信号S6を生成する。アップコンバータ23は、第6信号S6を、例えば4K画像にアップコンバートされた第7信号S7に変換して、非線形演算部20に出力する。非線形演算部20は、第7信号S7に対して、原点を通り正負で非対称となる連続した非線形関数で表されるような非線形演算処理を行うことにより、第8信号S8を生成する。この非線形演算処理により、垂直方向にナイキスト周波数を超える周波数成分を含む垂直方向の高調波が生成される。リミッタ30は、第8信号S8の振幅(信号レベル)の調整器として機能するものであり、第8信号S8を調整して第9信号S9を生成し、第1加算器32に出力する。
第1加算器32は、水平鮮鋭化処理部FEhからの第5信号S5と、垂直鮮鋭化処理部FEvからの第9信号S9とを加算して第10信号S10を生成する。
第2加算器33は、アップコンバータ21からの第1信号S1と、第1加算器32からの第10信号S10とを加算して出力画像信号Soutを生成する。
第6実施例の画像処理装置6は、非線形演算部前の段階で、水平HPF(7tap)及び垂直HPF(7tap)それぞれに乗算器が4個用いられ、3個のアップコンバータにそれぞれ乗算器4個が用いられ、したがって、全体で20個(4個×5)の乗算器で非線形演算処理前のフィルタ処理及びアップコンバートが実現できる。
参考までに、入力画像信号Sinを直ちに(鮮鋭化処理の経路の前に)アップコンバートする図12(b)の画像処理装置と対比する。図12(b)は、第6実施例に対応する回路構成を有し、従来のように最初にアップコンバートを行う画像処理装置の構成を示す図である。画像処理装置は、1個のアップコンバータ21と、水平鮮鋭化処理部FEhを構成する水平HPF14、非線形演算部20及びリミッタ30と、垂直鮮鋭化処理部FEvを構成する垂直HPF15、非線形演算部20及びリミッタ30と、第1加算器32及び第2加算器33とを備える。画像処理装置の回路構成は、第6実施例のものと基本的に同じであるが、アップコンバートされた画像を処理するため、水平HPF及び垂直HPFはそれぞれ15tapのものを使用する。
比較のための画像処理装置は、入力画像信号Sinを直ちに(鮮鋭化処理の経路の前に)、アップコンバータ21によりアップコンバートし、その後、水平鮮鋭化処理部FEh(水平HPF14、非線形演算部20、及びリミッタ30)及び垂直鮮鋭化処理部FEv(垂直HPF15、非線形演算部20、及びリミッタ30)は、それぞれ水平方向、垂直方向の鮮鋭化処理を行う。その後、第1加算器32と第2加算器33により、鮮鋭化処理された信号と入力画像信号Sinをアップコンバートした信号とを加算する。
この場合は、1個のアップコンバータに4個、水平HPF(15tap)及び垂直HPF(15tap)にそれぞれ8個の乗算器が必要であり、したがって、非線形演算部前の段階で、20個(4個+8個×2)の乗算器が必要となる。図12(a)の第6実施例は、図12(b)の画像処理装置と比較して、全体の乗算器の個数としては変わらないが、アップコンバータの前に配置することにより、水平HPF及び垂直HPFの回路規模を小型化できるとともに処理速度を低くして省電力化ができ、経済性が高い。すなわち、アップコンバータの後の回路はアップコンバータの前に比べて画素処理レートが4倍となっているため、アップコンバータの後の回路が多いほど電力消費が大きい。さらに、もし、4倍の画素処理レートで乗算器が動作できず、2倍の画素処理レートで動作させざるを得ない場合は、同じ回路を2個用いて並列に動作させることになり、回路が増加する。つまり、同じ機能となる回路がアップコンバータの前にある方が、小型で省電力という観点で優れていると言える。
また、第2加算器33の後段にさらに2次元LPFを備え、より確実に高域成分を減衰させる構成としても良い。かかる2次元LPFは、出力画像信号Soutの周波数成分のうち、水平方向及び垂直方向がいずれも高周波数となる領域を除去するものが好ましい。
第7実施例もノイズ除去用の2次元LPFを有していない画像処理装置に本発明を適用したものであり、第7実施例は、第6実施例において、それぞれ別々に設けていた水平鮮鋭化処理部FEhと垂直鮮鋭化処理部FEvとを、2次元HPFを用いて、共通化した回路に関するものである。
図13は、本発明の第7実施例に係る画像処理装置7の構成を示す図である。画像処理装置7は、鮮鋭化処理部FEを構成する2次元HPF16、非線形演算部20及びリミッタ30と、2個のアップコンバータ21,22と、第1加算器32とを備える。画像処理装置7は、水平鮮鋭化処理部FEh及び垂直鮮鋭化処理部FEvの機能が1つの鮮鋭化処理部FEで実現されている。画像処理装置7は、基本画像信号の経路となる入力と出力の間にアップコンバータ21を配置する。また、鮮鋭化処理部FE内において、2次元HPF16と非線形演算部20の間にアップコンバータ22を配置する。
例えば2K画像からなる入力画像信号Sinは、アップコンバータ21に入力され、例えば4K画像にアップコンバートされた第1信号S1となって、第1加算器32に出力される。
鮮鋭化処理部FEは、入力信号に含まれる水平方向の周波数成分より高い周波数成分を含む水平方向の高調波と、垂直方向の周波数成分より高い周波数成分を含む垂直方向の高調波を1回の非線形演算処理で同時に生成するものであり、入力画像信号Sinの2次元的な鮮鋭化処理を施す。なお、本実施例では、鮮鋭化処理部FEの内部でアップコンバートを行う。
鮮鋭化処理部FEの内部において、2次元HPF16は、入力画像信号Sinに含まれる水平及び垂直の周波数成分の少なくとも直流成分(低周波部分)を除去することにより高周波信号である第2信号S2を生成する。アップコンバータ22は、第2信号S2を、例えば4K画像にアップコンバートされた第3信号S3に変換して、非線形演算部20に出力する。非線形演算部20は、第3信号S3に対して、原点を通り正負で非対称となる連続した非線形関数で表されるような非線形演算処理を行うことにより、第4信号S4を生成する。この非線形演算処理により、水平方向及び垂直方向にナイキスト周波数を超える周波数成分を含む高調波が同時に生成される。なお、この高調波が生成される過程は、図11に説明したとおりである。リミッタ30は、第4信号S4の振幅(信号レベル)の調整器として機能するものであり、第4信号S4を調整して第5信号S5を生成し、第1加算器32に出力する。
第1加算器32は、鮮鋭化処理部FEからの第6信号S6と、アップコンバータ21からの第1信号S1と、を加算して出力画像信号Soutを生成する。
第7実施例の画像処理装置7は、非線形演算部前の段階で、入力画像信号Sinに対する2次元HPF(7×7tap)に乗算器が10個用いられ、2個のアップコンバータにそれぞれ乗算器4個が用いられ、したがって、全体で18個(10個+4個×2)の乗算器で非線形演算処理前のフィルタ処理及びアップコンバートが実現できる。したがって、図12(b)に示す従来の画像処理装置(乗算器を20個使用)と比較して、乗算器の個数を減らすことができる。さらに、本実施例は、図12の画像処理装置で2系統必要であった非線形演算部を1系統にすることができる。一般に、非線形関数上の前後4個の代表点からの補間処理を行う方式では、1系統の非線形演算部に27個の乗算器が必要となるが、これを1系統省略できることは、図12(b)に示す従来の画像処理装置と比較して、大幅に乗算器の個数を減らすことができる。
また、本実施例によれば、出力画像信号Soutの周波数成分の4隅、即ち水平方向及び垂直方向がいずれも高周波数となる領域も、一度の非線形演算処理で生成されるため、演算処理の効率が高まると共に、従来のように水平方向及び垂直方向の鮮鋭化処理が重複して行われ、画像のギラギラ感が強調されてしまう現象は生じない。
また、本実施例によれば、鮮鋭化処理を水平方向と垂直方向の2系統用意する代わりに、2次元で処理を行う鮮鋭化処理部FEの1系統に、まとめることができるため、非線形演算処理の演算回数と減らすことができ、その結果、回路量とともに消費電力も低減することができる。
また、第1加算器32の後段にさらに2次元LPFを備え、より確実に高域成分を減衰させる構成としても良い。かかる2次元LPFは、出力画像信号Soutの周波数成分のうち、水平方向及び垂直方向がいずれも高周波数となる領域を除去するものが好ましい。
(非線形演算処理による高周波成分生成の説明)
以下、参考のため、図1及び図5鮮鋭化処理部FEにおいて、サンプリング周波数がfsである入力画像のナイキスト周波数fs/2を越える高周波域の補償が可能となる点について説明する。
いま、入力画像信号Sinが(水平方向)位置xの関数f(x)で表現されるものとし、入力画像信号Sinの基本角周波数をωとすると、このf(x)は式(5)のようなフーリエ級数で表現することができる。
Figure 2015041813
ここで、Nは、(画像拡大処理前の)サンプリング周波数fsに対応するナイキスト周波数fs/2を越えない最高周波数の高調波の次数である。すなわち、
Nω/(2π)<fs/2≦(N+1)ω/(2π)
である。
例えば、非線形演算部(20、40)が、入力画像信号Sinを2乗することにより、第1信号S1を生成する場合、第1信号S1における各項は下記式(6a)〜(6c)のいずれかで表現される。
Figure 2015041813
(i=±1,±2,…,±N;j=±1,±2,…,±N)
三角関数に関する公式を用いると、上記式(6a)〜(6c)は、下記の式(7a)〜(7c)にそれぞれ書き直すことができる。
Figure 2015041813
上記式より(f(x))2は、(N+1)ω,(N+2)ω,…,2Nω等の角周波数成分を含むので、ナイキスト周波数fs/2よりも高い周波数成分を含む。このため、第1信号S1も、周波数2Nω/(2π)という高調波成分等のようにナイキスト周波数fs/2よりも高い周波数成分を含む。
また、例えば、非線形演算部(20、40)が、正の第1信号S1を3乗することにより、第2信号S2を生成する場合、第2信号S2における各項は下記式(8a)〜(8d)のいずれかで表現される。
Figure 2015041813
(i=±1,±2,…,±N;j=±1,±2,…,±N;k=±1,±2,…,±N)
いま、例えばi=j=k=Nの項のうち上記式(8a)(8d)で示される下記の項に着目すると、これらの項は、三角関数の公式より次のように書き換えることができる。
Figure 2015041813
また、例えばi=j=k=−Nの項のうち上記式(8a)(8d)で示される下記の項に着目すると、この項は、三角関数の公式より次のように書き換えることができる。
Figure 2015041813
上記式(9a)(9d)(10a)(10d)より、(g(x))3は、基本角周波数ωの3N倍の周波数成分や−3N倍の周波数成分を含む。(g(x))3における他の項についても三角関数の公式によって書き換えることにより、(g(x))3は、基本角周波数ωの−3N倍から3N倍までの種々の周波数成分を含むことがわかる。
上記のとおり、非線形演算部(20、40)による非線形演算処理により、鮮鋭化処理部FEにおいて、サンプリング周波数がfsである入力画像のナイキスト周波数fs/2を越える高周波域の補償が可能となる。また、非対称型非線形関数を用いる非線形演算部20は、ハイパスフィルタ処理後の信号の正負で非対称となる非線形演算処理を行うことにより、正負で非対称となる周波数成分を生成することが可能となる。
本発明は、画像を鮮鋭化して画質を改善するための画像処理装置に適用されるものであり、例えば高精細テレビジョン(HDTV)の受信機のディスプレイで、標準画質テレビジョン(SDTV:Standard Definition Television)の画像信号に拡大処理を施して画像を表示する場合や、HDTV用の画像信号をアップコンバートしてこの4kディスプレイで表示する場合に、リアルタイムで表示される動画を簡単な構成で十分に鮮鋭化するための画像処理装置に適用することができる。
また、本発明は、監視カメラの画像鮮鋭化処理に適用可能であり、例えば、画像の一部を拡大した際のボケを低減することが可能となる。
さらに、本発明は、遠距離から撮像した映像の解像度改善に適用することができる。例えば、接近することが困難な事故現場などを遠方から撮影した画像や、衛星画像などに対し、画像を拡大して輪郭を鮮鋭化する画像処理が可能になる。
さらに、本発明は、アナログコンテンツのハイビジョン化に適用することができる。即ち、既存のアナログコンテンツをハイビジョンコンテンツに変換する際、アップコンバートされた画像の輪郭を鮮鋭化する画像処理を行うことにより、アナログコンテンツをより高精細なデジタルコンテンツとして再製することが可能となる。例えば、アナログテレビコンテンツをハイビジョンコンテンツに変換したり、古い映画コンテンツをより高精細なデジタルコンテンツ(例えばBlu−ray(登録商標)コンテンツ)に変換したりする際に適用可能である。
さらに、本発明は、医療分野にも適用可能である。例えば、内視鏡等による患部の拡大画像をより高精細な画像へと変換したり、遠隔医療などにおいて、解像度の低い患部の映像をより高精細な画像へと変換したりすることが可能となる。
さらに、本発明は、コンピュータで視聴可能な動画コンテンツの高精細化に適用可能である。インターネット上には動画コンテンツを配信するサイトが多数存在し、既に多数の動画コンテンツが保存されている。本発明により、既存の動画コンテンツを拡大画像とし、さらに高精細、高解像度のコンテンツに変換し、視聴品質を向上させることが可能となる。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、本発明について装置を中心に説明してきたが、本発明は装置が備えるプロセッサにより実行される方法、プログラム、又はプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
1、2、3、4、5、6、7 画像処理装置
10 HPF
111〜11(m−1) 単位遅延素子
121〜12m 乗算器
131 加算器
101 LPF
102 減算器
11 2次元LPF(水平用)
12 2次元LPF(垂直用)
13 2次元LPF
14 水平HPF
15 垂直HPF
20、40 非線形演算部
21、22、23 アップコンバータ
30 リミッタ
31 増幅器(切替器)
32 第1加算器
33 第2加算器
34 第3加算器

Claims (26)

  1. 入力画像をアップコンバートするとともに画像を鮮鋭化した出力画像を生成する画像処理装置であって、
    前記入力画像を表す入力画像信号をアップコンバートして画素数が増大した第1信号を生成する基本画像側の経路と、
    前記入力画像を表す入力画像信号に含まれる周波数成分より高い周波数成分を生成する非線形演算部を含む鮮鋭化処理部により、前記入力画像を鮮鋭化する第2信号を生成する鮮鋭化処理側の経路と、
    前記第1信号と前記第2信号とを加算して、前記出力画像を表す出力画像信号を生成する加算器と、を備え、
    前記鮮鋭化処理側の経路において、少なくとも一つのフィルタの後段にアップコンバータを設け、その後に前記非線形演算部を設けたことを特徴とする画像処理装置。
  2. 請求項1に記載の画像処理装置において、
    前記基本画像側の経路は、第1のアップコンバータを備え、
    前記鮮鋭化処理側の経路は、
    少なくとも入力画像信号に含まれる水平方向の高周波部分において、入力画像信号の垂直方向の周波数成分の高周波部分を除去する垂直フィルタと、
    前記垂直フィルタの出力をアップコンバートする第2のアップコンバータと、
    入力画像信号に含まれる水平方向の周波数成分より高い周波数成分を含む水平方向の高調波を生成する水平鮮鋭化処理部と、
    少なくとも入力画像信号に含まれる垂直方向の高周波部分において、入力画像信号の水平方向の周波数成分の高周波部分を除去する水平フィルタと、
    前記水平フィルタの出力をアップコンバートする第3のアップコンバータと、
    入力画像信号に含まれる垂直方向の周波数成分より高い周波数成分を含む垂直方向の高調波を生成する垂直鮮鋭化処理部と、を備え、
    前記垂直フィルタ、前記第2のアップコンバータ、前記水平鮮鋭化処理部の順に配置された水平方向処理部と、
    前記水平フィルタ、前記第3のアップコンバータ、前記垂直鮮鋭化処理部の順に配置された垂直方向処理部とが、並列に接続される画像処理装置。
  3. 請求項2に記載の画像処理装置において、前記水平鮮鋭化処理部及び前記垂直鮮鋭化処理部のいずれか一方の後段と、いずれか他方の前段とに接続された増幅器を備える画像処理装置。
  4. 請求項1に記載の画像処理装置において、
    前記基本画像側の経路は、第1のアップコンバータを備え、
    前記鮮鋭化処理側の経路は、
    少なくとも入力画像信号に含まれる水平方向及び垂直方向の周波数成分の高周波部分を除去する2次元フィルタと、
    前記2次元フィルタの出力をアップコンバートする第2のアップコンバータと、
    入力画像信号に含まれる水平方向の周波数成分より高い周波数成分を含む水平方向の高調波を生成する水平鮮鋭化処理部と、
    入力画像信号に含まれる垂直方向の周波数成分より高い周波数成分を含む垂直方向の高調波を生成する垂直鮮鋭化処理部と、を備え、
    前記2次元フィルタ、前記第2のアップコンバータ、前記水平鮮鋭化処理部と前記垂直鮮鋭化処理部との並列回路の順に接続される画像処理装置。
  5. 請求項4に記載の画像処理装置において、前記水平鮮鋭化処理部及び前記垂直鮮鋭化処理部のいずれか一方の後段と、いずれか他方の前段とに接続された増幅器を備える画像処理装置。
  6. 請求項3又は5に記載の画像処理装置において、前記増幅器の増幅率βは0≦β≦1である画像処理装置。
  7. 請求項1に記載の画像処理装置において、
    前記基本画像側の経路は、第1のアップコンバータを備え、
    前記鮮鋭化処理側の経路は、
    水平方向の周波数成分の少なくとも直流成分を除去する水平高域通過フィルタと、
    前記水平高域通過フィルタの出力をアップコンバートする第2のアップコンバータと、
    入力画像信号に含まれる水平方向の周波数成分より高い周波数成分を含む水平方向の高調波を生成する第1の非線形演算部と、
    垂直方向の周波数成分の少なくとも直流成分を除去する垂直高域通過フィルタと、
    前記垂直高域通過フィルタの出力をアップコンバートする第3のアップコンバータと、
    入力画像信号に含まれる垂直方向の周波数成分より高い周波数成分を含む垂直方向の高調波を生成する第2の非線形演算部と、を備え、
    前記水平高域通過フィルタ、前記第2のアップコンバータ、前記第1の非線形演算部をこの順に含む水平方向鮮鋭化処理部と、
    前記垂直高域通過フィルタ、前記第3のアップコンバータ、前記第2の非線形演算部をこの順に含む垂直方向鮮鋭化処理部とが、並列に接続される画像処理装置。
  8. 請求項7に記載の画像処理装置において、
    前記水平方向鮮鋭化処理部は、前記第1の非線形演算部の後段にリミッタをさらに含み、
    前記垂直方向鮮鋭化処理部は、前記第2の非線形演算部の後段にリミッタをさらに含む、画像処理装置。
  9. 請求項7に記載の画像処理装置において、
    前記鮮鋭化処理側の経路は、
    少なくとも入力画像信号に含まれる水平方向の高周波部分において、入力画像信号の垂直方向の周波数成分の高周波部分を除去する垂直フィルタと、
    少なくとも入力画像信号に含まれる垂直方向の高周波部分において、入力画像信号の水平方向の周波数成分の高周波部分を除去する水平フィルタと、をさらに備え、
    前記水平方向鮮鋭化処理部の前段に、前記垂直フィルタを配置し、
    前記垂直方向鮮鋭化処理部の前段に、前記水平フィルタを配置した、画像処理装置。
  10. 請求項7に記載の画像処理装置において、
    前記鮮鋭化処理側の経路は、
    少なくとも入力画像信号に含まれる水平方向及び垂直方向の周波数成分の高周波部分を除去する2次元フィルタと、をさらに備え、
    前記2次元フィルタの後段に、前記水平方向鮮鋭化処理部と前記垂直方向鮮鋭化処理部とが並列に接続された画像処理装置。
  11. 請求項1に記載の画像処理装置において、
    前記基本画像側の経路は、第1のアップコンバータを備え、
    前記鮮鋭化処理側の経路は、
    水平方向及び垂直方向の周波数成分の少なくとも直流成分を除去する2次元高域通過フィルタと、
    前記2次元高域通過フィルタの出力をアップコンバートする第2のアップコンバータと、
    入力画像信号に含まれる水平方向及び垂直方向の周波数成分より高い周波数成分を含む水平方向及び垂直方向の高調波を同時に生成する非線形演算部と、を少なくとも備え、
    前記2次元高域通過フィルタ、前記第2のアップコンバータ、前記非線形演算部の順に接続される画像処理装置。
  12. 請求項11に記載の画像処理装置において、
    前記鮮鋭化処理側の経路は、
    前記非線形演算部の後段にリミッタをさらに含む、画像処理装置。
  13. 請求項11に記載の画像処理装置において、
    前記鮮鋭化処理側の経路は、
    少なくとも入力画像信号に含まれる水平方向及び垂直方向の周波数成分の高周波部分を除去する2次元低域通過フィルタを、前記2次元高域通過フィルタの前段にさらに含む、画像処理装置。
  14. 入力画像をアップコンバートするとともに画像を鮮鋭化した出力画像を生成する画像処理装置における画像処理方法であって、
    前記入力画像を表す入力画像信号をアップコンバートして画素数が増大した第1信号を生成するステップと、
    前記入力画像を表す入力画像信号に含まれる周波数成分より高い周波数成分を生成する非線形演算処理を含む鮮鋭化処理を行い、前記入力画像を鮮鋭化する第2信号を生成するステップと、
    前記第1信号と前記第2信号とを加算して、前記出力画像を表す出力画像信号を生成するステップと、を備え、
    前記第2信号を生成するステップにおいて、少なくとも一つのフィルタ処理の後に、アップコンバートを行い、その後に前記非線形演算処理を行うことを特徴とする画像処理方法。
  15. 請求項14に記載の画像処理方法において、
    前記第1信号を生成するステップは、第1のアップコンバートを行うステップを含み、
    前記第2信号を生成するステップは、
    少なくとも入力画像信号に含まれる水平方向の高周波部分において、入力画像信号の垂直方向の周波数成分の高周波部分を除去し、次いで第2のアップコンバートを行い、その後、入力画像信号に含まれる水平方向の周波数成分より高い周波数成分を含む水平方向の高調波を生成する水平方向鮮鋭化処理を行う水平方向処理ステップと、
    少なくとも入力画像信号に含まれる垂直方向の高周波部分において、入力画像信号の水平方向の周波数成分の高周波部分を除去し、次いで第3のアップコンバートを行い、その後、入力画像信号に含まれる垂直方向の周波数成分より高い周波数成分を含む垂直方向の高調波を生成する垂直方向鮮鋭化処理を行う垂直方向処理ステップと、を含み、
    前記水平方向処理ステップと、前記垂直方向処理ステップとを、並列に実行する画像処理方法。
  16. 請求項14に記載の画像処理方法において、前記水平鮮鋭化処理及び前記垂直鮮鋭化処理を、直列に実行するか並列に実行するかを増幅率βにより切り替えるステップを含む、画像処理方法。
  17. 請求項14に記載の画像処理方法において、
    前記第1信号を生成するステップは、第1のアップコンバートを行うステップを含み、
    前記第2信号を生成するステップは、
    少なくとも入力画像信号に含まれる水平方向及び垂直方向の周波数成分の高周波部分を除去し、次いで第2のアップコンバートを行い、その後、入力画像信号に含まれる水平方向の周波数成分より高い周波数成分を含む水平方向の高調波を生成する水平鮮鋭化処理と、入力画像信号に含まれる垂直方向の周波数成分より高い周波数成分を含む垂直方向の高調波を生成する垂直鮮鋭化処理とを、並列に実行する画像処理方法。
  18. 請求項17に記載の画像処理方法において、前記水平鮮鋭化処理及び前記垂直鮮鋭化処理を、直列に実行するか並列に実行するかを増幅率βにより切り替えるステップを含む、画像処理方法。
  19. 請求項16又は18に記載の画像処理方法において、前記増幅率βは0≦β≦1である画像処理方法。
  20. 請求項14に記載の画像処理方法において、
    前記第1信号を生成するステップは、第1のアップコンバートを行うステップを含み、
    前記第2信号を生成するステップは、
    水平方向の周波数成分の少なくとも直流成分を除去し、次いで第2のアップコンバートを行い、その後、入力画像信号に含まれる水平方向の周波数成分より高い周波数成分を含む水平方向の高調波を生成する第1の非線形演算処理を行う水平方向鮮鋭化処理ステップと、
    垂直方向の周波数成分の少なくとも直流成分を除去し、次いで第3のアップコンバートを行い、その後、入力画像信号に含まれる垂直方向の周波数成分より高い周波数成分を含む垂直方向の高調波を生成する第2の非線形演算処理を行う垂直方向鮮鋭化処理ステップと、を含み、
    前記水平方向鮮鋭化処理ステップと、前記垂直方向鮮鋭化処理ステップとを、並列に実行する画像処理方法。
  21. 請求項20に記載の画像処理方法において、
    前記水平方向鮮鋭化処理ステップは、前記第1の非線形演算処理の後にリミッタ処理をさらに含み、
    前記垂直方向鮮鋭化処理ステップは、前記第2の非線形演算処理の後にリミッタ処理をさらに含む、画像処理方法。
  22. 請求項20に記載の画像処理方法において、
    前記第2信号を生成するステップは、
    前記水平方向鮮鋭化処理ステップの前に、少なくとも入力画像信号に含まれる水平方向の高周波部分において、入力画像信号の垂直方向の周波数成分の高周波部分を除去するステップをさらに含み、
    前記垂直方向鮮鋭化処理ステップの前に、少なくとも入力画像信号に含まれる垂直方向の高周波部分において、入力画像信号の水平方向の周波数成分の高周波部分を除去するステップをさらに含む、画像処理方法。
  23. 請求項20に記載の画像処理方法において、
    前記第2信号を生成するステップは、
    少なくとも入力画像信号に含まれる水平方向及び垂直方向の周波数成分の高周波部分を除去するステップをさらに含み、その後に、前記水平方向鮮鋭化処理ステップと前記垂直方向鮮鋭化処理ステップとを並列に実行する画像処理方法。
  24. 請求項14に記載の画像処理方法において、
    前記第1信号を生成するステップは、第1のアップコンバートを行うステップを含み、
    前記第2信号を生成するステップは、
    水平方向及び垂直方向の周波数成分の少なくとも直流成分を除去し、次いで第2のアップコンバートを行い、その後、入力画像信号に含まれる水平方向及び垂直方向の周波数成分より高い周波数成分を含む水平方向及び垂直方向の高調波を同時に生成する非線形演算処理を行う画像処理方法。
  25. 請求項24に記載の画像処理方法において、
    前記第2信号を生成するステップは、
    前記非線形演算処理の後にリミッタ処理をさらに含む、画像処理方法。
  26. 請求項24に記載の画像処理方法において、
    前記第2信号を生成するステップは、
    水平方向及び垂直方向の周波数成分の少なくとも直流成分を除去する前に、少なくとも入力画像信号に含まれる水平方向及び垂直方向の周波数成分の高周波部分を除去するステップをさらに含む、画像処理方法。

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