JP2015041686A - リアクトルとその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本明細書は、ボビンにコイルが巻回されているリアクトルに関し、分割ボビンを採用した際に、ボビンとコイルの相対位置の精度の低下を抑制する技術を提供する。
【解決手段】本明細書が開示するリアクトル2は、全体がリング状をなしているコア30と、コアの平行部分を覆う2本の筒部を有するとともに、2本の筒部の両端がフランジで連結されているボビン10と、ボビンの夫々の筒部に巻回されているコイル3を備える。ボビン10は筒部の長手方向で第1パーツ10aと第2パーツ10bに分割されている。第1パーツの筒部の外側に、コイルの径方向の位置を決める凸部が設けられているとともに、第2パーツの筒部の外周全体にわたってコイルとの間に隙間が設けられている。また、コイルとボビンとコアが樹脂でモールドされている。
【選択図】図1

Description

本発明は、リアクトルとその製造方法に関する。リアクトルとは、コイルを利用した受動素子であり、「インダクタ」と呼ばれることもある。
ハイブリッド車を含む電気自動車のモータ駆動系では電圧コンバータなどの回路にリアクトルが用いられることがある。リアクトルは、コイルと、コイルを巻回するためのボビンと、ボビンの内側を通るコアを備える。なお、コアには、金属軟磁性粉末や電磁鋼板、またはフェライトなどが用いられる。ボビンは樹脂で作られることが多い。
リアクトルの構造の一つの典型として、一部が平行なリング状のコアのその平行部位の夫々にボビンが備えられ、そのボビンにコイルを巻回するものが知られている。特許文献1にその一例が開示されている。そのリアクトルは、複数に分割されたリング状のコアと、コアの平行な部位の夫々を覆う2本のボビンと、夫々のボビンに巻回されるコイルを備えている。なお、コイルは平角線をエッジワイズに巻回したものであり、コイル無しでも形状を保持できるため、「ボビンに巻回されたコイル」と表現はしているが、実際にはコイルを先に形成し、後からボビンを通す。ボビンにはその両端にフランジが設けられている。前述したように、コイルを先に形成し後からフランジ付きのボビンを通すため、ボビンはその筒の軸線方向で2分割されている。従ってコイルの両端の夫々からボビンのパーツを通す。特許文献1のリアクトルは、分割されたボビンの筒部の先端同士がいわゆるスナップフィットで係合する。「スナップフィット」とは、一方の部品に設けた凸部を、部材の弾性を利用して他方側の部材の凹部に嵌め込んで引っ掛けることにより機械的な係合を実現する構造である。
特開2011−198847号公報
組み立て精度の要求は高まるばかりである。例えば、コアとコイルとの相対位置がずれると磁束の流れが微妙に変化し、リアクトルの性能が低下する。ボビンを分割すると、分割したボビンパーツの寸法公差により、ボビンを介したコアとコイルの位置決め精度が低下する。例えば、第1のボビンパーツとコイルは精度よく組み立てられているが第2のボビンパーツの組み立て精度が低いリアクトルと、第2のボビンパーツとコイルは精度よく組み立てられているが第1のボビンパーツの組み立て精度が低いリアクトルでは、寸法のばらつきが大きくなる。別言すれば、ボビンに対するコイルの位置のばらつきは、第1のボビンパーツの寸法公差と第2のボビンパーツの寸法公差とコイルの寸法公差の3種類の寸法公差が関わることになる。本明細書は、分割ボビンを採用した際に、ボビンとコイルの相対位置の精度の低下を抑制する技術を提供する。ボビンとコイルの相対位置精度が確保できれば、コイルとコアの相対位置精度の低下を回避することができる。
本明細書の技術が対象とするリアクトルは、全体がリング状のコアと、コアの一部を覆うボビンと、ボビンに巻回されるコイルを備える。コアは、先端同士を対向させて配置された一対のU字型コアパーツと、その一対のU字型コアパーツの先端の間に配置される一対のI字型コアパーツに分割されている。ボビンは、その一対のI字型コアパーツの夫々を収容する2本の筒部を有する。2本の筒部の両端はフランジで連結されている。ボビンは筒部の長手方向で第1パーツと第2パーツに分割されている。コイルは、ボビンの夫々の筒部に巻回されている。コイルは物理的には2個であるが、1本の巻き線で形成されているので電気的には一つのコイルと見なせる。そして、コイルとボビンとコアが樹脂でモールドされている。より詳しくは、コイルとボビンの隙間、コアのボビンから露出している部位、及び、ボビンが樹脂でモールドされている。コイル、ボビン、コアは、全体が完全に樹脂でモールドされていてもよいが、一部が樹脂モールドから露出している場合もある。
コイルやコアの相対位置精度は、分割コアを採用しているリアクトルでは特に重要である。本明細書が開示する技術では、ボビンの第1パーツの筒部の外側に、コイルの径方向の位置を決める凸部が設けられているとともに、ボビンの第2パーツの筒部の外周の全体にわたってコイルとの間に隙間が設けられている。別言すれば、第1パーツは、筒部の一部にコイル内径と等しい外径を有する。他方、第2パーツは、筒部の全周にわたって筒部の外径がコイルの内径よりも小さい。この第1パーツと第2パーツのサイズの相違により、コイルは必ず第1パーツで位置決めされ、第2パーツで位置決めされることはない。即ち、第2パーツはボビンに対するコイルの位置決めに寄与しない。従って、コイルとボビンの位置のばらつきは、常に第1パーツの寸法公差とコイルの寸法公差で定まる。即ち、ボビンとコイルの相対位置のばらつきは、コイルを分割しない場合と同じように扱える。ボビンを分割したことによる部品の相対位置のばらつきの拡大を抑制できる。
なお、ボビンの第1パーツとコイルとの相対的な位置決めの精度を高めるには、凸部は、筒部軸線方向に伸びる凸条をなしているとよい。また、凸部(あるいは凸条)は、筒部の横断面でみたときにと少なくとも3箇所、周方向に等間隔に設けられているとよい。筒部の断面が円形の場合は、凸部(凸条)は周方向に等間隔に3箇所あれば、ボビンの第1パーツを基準としたコイルの径方向の位置が定まる。筒部が矩形の場合は、凸部(凸条)は、横断面の矩形の各辺に計4箇所あれば、コイルの径方向の位置が定まる。
ボビンの第2パーツがコイルの径方向の位置決めに寄与しない上記のリアクトルは、その構造に適した製造方法がある。その製造方法は、コアとボビンとコイルのアセンブリを組み立てる工程と、組み立てたアセンブリのボビンの第1パーツを治具で挟持するとともにコアを治具で挟持して第1パーツとコアの相対位置を保持しつつアセンブリを接着剤で固着する工程と、固着したアセンブリを樹脂でモールドする工程と、を含む。上記の製造方法では、第1パーツとコアが正確に位置決めされる。逆に言えば、組み立て時に第2パーツを正確に位置決めする必要がない。第1パーツの筒部外周の凸部により、第1パーツとコイルの正確な位置決めが確保されているので、第1パーツとコアが正確に位置決めされれば、コアとコイルの正確な相対位置が確保できる。上記の製造方法は、分割ボビンを採用しているが、ボビンの第2パーツを位置決めする治具が不要となり、組み立てコストが抑えられる。
本明細書が開示する技術によれば、分割ボビンを採用した際に、ボビンとコイルの相対位置の精度の低下を抑制することができる。
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
実施例のリアクトルの分解斜視図である。 リアクトルの斜視図である(樹脂モールドは除く)。 図2のIII−III線における断面図である。 図2のIV−IV線における断面図である。 図5(A)は、図4のVA−VA線における断面図である。図5(B)は、図4におけるVB−VB線における断面図である。 リアクトルの斜視図である(樹脂モールドを含む)。 リアクトルの製造工程を説明する図である。
図面を参照して実施例のリアクトルを説明する。図1に、樹脂モールド前のリアクトル2の分解斜視図を示し、図2に樹脂モールド前のリアクトル2の斜視図を示す。リアクトル2は、例えば、電気自動車においてバッテリ電圧をモータ駆動に適した電圧まで昇圧する電圧コンバータに用いられる。そのようなリアクトル2は、100[A]以上の電流許容値が要求されるため、コイルの巻き線に平角線が用いられる。平角線は、断面が矩形の導線であり、電気抵抗が小さい。リアクトル2では、平角線の幅広の面をコイル長手方向に向けて巻く。別言すれば、幅の狭い面をコイル半径方向に向けて巻く。そのような巻き方はエッジワイズ、あるいは、縦巻きと呼ばれる。
リアクトル2の構造を概説する。リアクトル2は、電気的には直列に接続されているとともに物理的には軸線が平行となるように配置された2連のコイル3と、コイル3に挿通されるボビン10と、ボビン10の筒の内側を通るリング状のコア30を備える。
リング状のコア30は、一対のU字型コアパーツ31a、31bと、一対のI字型コアパーツ32で構成される。いずれのコアパーツも、絶縁材でコーティングされたフェライトの粒子を樹脂とともに焼結したものである。一対のU字型コアパーツ31a、31bは、その先端同士を対向させて配置される。2個のI字型コアパーツ32の夫々は、一対のU字型コアパーツ31a、31bの先端の間に配置される。平行に並ぶ2個のI字型コアパーツ32が、リング状コア30における平行部分を構成する。U字型コアパーツ31a、31bの端面とI字型コアパーツ32の間には、スペーサ板33が配置される。スペーサ板33は、セラミックスで作られている。
ボビン10は、コイル軸線方向で、第1パーツ10aと第2パーツ10bの2つに分割されている。コイルの軸線方向は、図に記された座標系のX軸方向に相当する。第1パーツ10aと第2パーツ10bは、ともに、2個の筒部12が、2連のコイル3に合わせて平行となるようにフランジ19a(19b)に固定された構造を有する。フランジ19a(19b)は、コイル巻回範囲の一方の端を規定する。コイル3は、平角線を略矩形に巻回した形状であり、筒部12も略矩形である。第1パーツ10aのそれぞれの筒部12の先端からは2本の舌部13が伸びている。その舌部13が、第2パーツ10bのそれぞれの筒部12の先端で筒部内側に設けられた凹部14と嵌合する。なお、図1では、平行な筒部12のうち、手前の筒部にのみ符号13(舌部)と符号14(凹部)を付し、奥側の筒部の舌部と凹部には符号を省略している。
舌部13は、筒部12の矩形断面の対向する2辺から伸びており、舌部13と凹部14が嵌合すると、第1パーツ10aと第2パーツ10bが正確な相対位置で結合する。即ち、舌部13と凹部14は、ボビン10を構成する第1パーツ10aと第2パーツ10bを正確に位置合わせする。
リアクトル2の組立工程では、第1パーツ10aと第2パーツ10bを組み合わせる前に、コイル3に筒部12を通すとともに、筒部12の内側にI字型コアパーツ32とスペーサ板33が配置される。コイル3を挟んで第1パーツ10aと第2パーツ10bを組み合わせ、ボビン10が完成すると、一対のフランジ19a、19bがコイル巻回範囲を規定する。別言すれば、一対のフランジ19a、19bが、コイル3の端面を覆う。一対のU字型コアパーツ31a、31bは、ボビン10の両側から筒部12へ差し込まれる。
第1パーツ10aのフランジ19aには、コイル3のリード部3aが通るスリット11が設けられている。リード部3aはスリット11を通るのであるが、スリット11とリード部3aとの間には小プレート4が配置される。小プレート4には孔が設けられており、その孔にリード部3aが通される。小プレート4はその周囲に段差が設けられており、その段差部分が、スリット11に設けられた段差と係合する。小プレート4は段差を境に小径部と大径部で構成され、大径部がコイル3に面し、小径部がコイル3の反対側に位置する。小プレート4の孔はリード部3aと密に嵌合する大きさであり、小プレート4によりリード部3aの周囲が密封される。また、小プレート4の大径部がコイル側からスリット11の周縁に当接し、スリットを塞ぐ。後述するように、一対のフランジ19a、19bの間でコイル3が樹脂でモールドされるが、図2に示す樹脂モールド前のリアクトル2を金型に入れて一対のフランジ19a、19bの間に樹脂を射出する際、小プレート4が、スリット11とリード部3aの間から樹脂が漏れることを防止する。
図3−図5を参照して、リング状コア30とボビン10の関係を説明する。図3は、図2のIII−III線における断面を示し、図4は、図2のIV−IV線における断面を示す。
筒部12の内側には、突起16が設けられている。突起16は、筒部12の内周を一巡するように設けられている。突起16は、筒部12の先端側から挿入されるI字型コアパーツ32の筒部軸線方向(コイル軸線方向であり、図中のX軸方向)の位置を定める。また、突起16は、フランジ19a(19b)側から挿入されるU字型コアパーツ31a(31b)の筒部軸線方向の位置を定める。このように、筒部12の内側の突起16が、I字型コアパーツ32とU字型コアパーツ31a、31bの筒部軸線方向の位置を定める。
また、U字型コアパーツ31a(31b)の端面とI字型コアパーツ32との間にスペーサ板33が配置される。図3、図4によく示されているように、スペーサ板33は、筒部12の内周を一巡している突起16の内側に配置される。
図3、図4には、ボビンの第1パーツ10aの筒部先端から伸びる舌部13が第2パーツ10bの筒部先端の内側に設けられた凹部14に嵌合している状態が示されている。舌部13は、一つの筒部12において矩形断面の対向する二辺に設けられているので、舌部13が凹部14に嵌合すると、第1パーツ10aと第2パーツ10bの相対位置が正確に定まる。
図5(A)は、図4におけるVA−VA線に沿った断面を示しており、図5(B)は、図4のVB−VB線に沿った断面を示している。図1、図5に示すように、筒部12は、矩形断面の外周の各辺に、凸条15を有する。なお、第1パーツ10aにおける凸条を符号15aで表し、第2パーツ10bにおける凸条を符号15bで表す、第1パーツ10aと第2パーツ10bに関係なく凸条を表す場合には凸条15と表記する。
凸条15は、筒部軸線方向に沿って伸びている(図1参照)。また、凸条15は、筒部12の矩形外周の四辺の夫々に設けられている。第1パーツ10aに設けられた4箇所の凸条15aは、その頭頂面がコイル3の内面に接している(図5(A)参照)。凸条15aは、コイル3の径方向(コイル軸線に直交する方向)の位置を定める。他方、第2パーツ10bに設けられた4箇所の凸条15bの頭頂面はコイル3に接していない(図5(B)参照)。第1パーツ10aでは、図5(A)によく表れているように、筒部12の外周とコイル内周との間の隙間Spが凸条15aによって4つに区画されている。他方、図5(B)によく表れているように、第2パーツ10bでは、筒部12の外周全体にわたってコイル3との間に隙間Spが形成される。図4にも、第1パーツ10aの凸条15aの頭頂面はコイル3の内周面に接し、第2パーツ10bの凸条15bとコイル3の内周面との間には隙間Spが形成されることが示されている。なお、符号Spが示す空間は、コイル3を覆う樹脂モールド40a(後述)を射出成形する際に樹脂で満たされる。
前述したように、第1パーツ10aでは筒部外周の凸条15aがコイル3の径方向の位置を定める。他方、第2パーツ10bの筒部はコイル3に接触しない。即ち、第2パーツ10bは、コイル3の径方向の位置決めに寄与しない。このことは、ボビン10とコイル3との位置決め精度に関係するが、この点は後述する。
図6に、樹脂モールド後のリアクトル2、即ち、完成品のリアクトルの斜視図を示す。図6に示すように、コイル3とコア30とボビン10が樹脂でモールドされる。コイル3は、一対のフランジ19a、19bの間で、樹脂でモールドされる。符号40aが、コイル3を覆う樹脂モールドを示している。ただし、樹脂モールド40aは、上方に窓41を有し、その窓からコイル3の一部が露出している。また、コイル3の下側も樹脂モールド40aから露出している。符号42は、ゲート跡である。ゲート跡とは、射出成形のために、樹脂モールド前のリアクトルを金型に入れた際に、金型のキャビティ面に設けられた樹脂射出孔に相当するものである。
樹脂モールド40aは、フランジ19aの厚みのコイル側約半分までを覆っている。前述したように、フランジ19aに形成されたリード部引き出し用のスリット11は、小プレート4により密封されているので、スリット11とリード部3aの間から樹脂が漏れることはない。
リアクトル2では、フランジ19a(19b)の外側(コイル3とは反対側)にてU字型コアパーツ31a、31bも樹脂で覆われる。符号40bが、一対のU字型コアパーツ31a、31bを覆う樹脂モールドを示している。樹脂モールド40bは、リアクトル2を筐体に固定するための固定リブ43を有する。樹脂モールド40bも射出成形によって製造される。
以上説明したように、リアクトル2は、ボビン10が第1パーツ10aと第2パーツ10bに分割されている。第1パーツ10aの筒部先端から舌部13が伸びており、第1パーツ10bの筒部先端内側の凹部14に嵌合するので、第1パーツ10aと第2パーツ10bが正確に位置合わせされる。また、筒部の内側に内周を一巡する突起16が設けられており、この突起が、I字型コアパーツ32とU字型コアパーツ31a、31bの筒部軸線方向の位置を定める。さらに、筒部の外側に筒部軸線方向に沿って伸びている凸条15が設けられており、第1パーツ10aの凸条15aがコイル3の径方向の位置を定める。なお、第2パーツ10bの凸条15bはコイル3の径方向の位置決めに寄与しない。このようにリアクトル2のボビン10は、正確に組み合わせることができる2個の部品(10a、10b)に分割されているとともに、他の部品(U字型コアパーツ、I字型コアパーツ、コイル)の位置を正確に定める突起16や凸条15aを備えている。リアクトル2は、分割ボビンの一方、即ち第1パーツ10aを基準として他の部品が位置決めされる。それゆえ、第1パーツ10aと他の部品の夫々との位置決めが正確であれば、いずれの2つの部品の相対位置も正確に定まる。例えば、コイル3とコア30は、夫々が第1パーツ10aに対して位置決めされる。その結果、コイル3とコア30との相対位置も正確に定まる。
リアクトル2では、ボビン10の第1パーツ10a、第2パーツ10bが共に凸条15を有しているが、第1パーツ10aの凸条15aがコイル3の径方向の位置決めに寄与する。第2パーツ10bの凸条15bがコイルの位置決めに寄与しないことのメリットを、リアクトルの製造方法とともに説明する。
図7は、リアクトル2の製造方法を説明する断面図である。図7におけるリアクトル2の断面図は、図4の断面図と同じである。リアクトル2の製造方法においては、まず、コア30、ボビン10(第1パーツ10a、第2パーツ10b)、及び、コイル3が組み合わされる(組み立て工程)。以下、組み合わされた結合体をアセンブリと称する。アセンブリは、図1の分解図に従って組み立てられる。組み立ての際、ボビン10に接着剤が塗布される。接着剤は、ボビン10の筒部12の内外面に塗布される。筒部12の外周面の接着剤はコイル3を固定するためであり、内周面の接着剤は各コアパーツとスペーサ板33を固定するために塗布される。接着剤を塗布して組み立てた後、ボビン10とコア30の位置が正確に定まるように、アセンブリを治具50で固定する(図7参照)。治具50は、ベース51、コア押圧部52、54、ボビン押圧部53を備える。各押圧部は、図示しないアクチュエータでベース51に向けて伸展する。ベース51にアセンブリが載置されると、アセンブリの両端のコア部分(U字型コアパーツ31a、31b)の下面がベース51に支持される。このとき、ボビンの第1パーツ10aのフランジ19aの下端もベース51に当接する。その状態でコア押圧部52、54が下降し、一対のU字型コアパーツ31a、31bが治具50に挟持される。次にボビン押圧部53が下降し第1パーツ10aのフランジ19aの上端を押圧する。第1パーツ10aも、治具50のベース51とボビン押圧部53で挟持される。こうして、第1パーツ10aとコア30の相対位置がしっかり固定される。治具50は、接着剤が固化するまでアセンブリを保持する(固着工程)。接着剤が固化した後、アセンブリを金型に入れ、コアとコイルの周囲、及び、ボビンとコイルの間の隙間Spに樹脂を射出し、樹脂モールドを成形する(モールド工程)。すなわち、アセンブリを樹脂でモールドする。
図7によく示されているように、固着工程では、ボビンの第2パーツ10bは治具で固定されない。すなわち、コア30とボビン10の相対位置決めは、ボビンの第1パーツ10aが担当する。このことは、コア30とボビン10の組み立て精度のばらつき(相対位置精度のばらつき)が、コア30の寸法公差と第1パーツ10aの寸法公差で定まり、第2パーツ10bの寸法公差に依存しないことを意味する。リアクトルで特に重要なのは、コイルとコアの相対位置関係である。コイル3はボビンの第1パーツ10aを基準に位置が定められ、コア30も第1パーツ10aに対してその位置が定められる。その結果、コイル3とコア30は、第1パーツ10aを介してその相対位置が定められる。このことは、分割ボビンを採用しながら各部品の相対位置精度は分割しないボビンの場合と同等となることを意味する。一般に部品点数が多くなれば部品間の相対位置のばらつきは大きくなるが、本実施例のリアクトルは、ボビンを分割したにも関わらず、その寸法精度は、分割しないボビンの寸法精度と同等である。また、第2パーツ10bを治具で固定する必要がなく、治具の部品点数を削減することができる。
実施例で説明した技術に関する留意点を述べる。実施例のリアクトル2では、舌部13は、筒部12の矩形断面に対向する2辺から伸びている。舌部13は、筒部12の矩形断面の3辺から、あるいは、4辺から伸びていてもよい。また、筒部12の断面は、矩形であることが好ましいが、楕円形や円であってもよい。筒部12の断面形状は、コイル3の断面における内周の形状に応じて定められる。
実施例の凸条15a、15bが、筒部外側に設けられた凸部の一例に相当する。また、コイルの径方向の位置を定める凸条15aは、実施例では4箇所であった。筒部12の断面形状が円である場合、凸条15aは、筒部外周に沿って等間隔の3箇所に設けられればよい。コイルの位置決めに寄与しない第2パーツ10bの凸条は無くともよい。ボビンの筒部に対してコイルを位置決めするには筒部外側に設ける凸部は凸条であることが好ましいが、細長の凸条に限られず、長さと幅が共に短い突起であってもよい。
実施例のリアクトル2のボビン10は、筒部12の長手方向(軸線方向)で2つのパーツ(第1パーツ10a、第2パーツ10b)に分割する。ボビンの分割数は3個以上であってもよい。例えば、フランジ19a(19b)が、筒部12から分割可能であってもよい。実施例のリアクトル2は、コイル3の一部、及び、ボビン10の一部(フランジ)が樹脂モールドから露出している。リアクトルは、このように、コイルとボビンとコアのまとまりの一部を残して樹脂でモールドされていてもよいし、全部が完全に樹脂でモールドされていてもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:リアクトル
3:コイル
3a:リード部
4:小プレート
10:ボビン
10a:第1パーツ
10b:第2パーツ
11:スリット
12:筒部
13:舌部
14:凹部
15a、15b:凸条(凸部)
16:突起
19a、19b:フランジ
30:リング状コア
31a、31b:U字コア
32:I字コア
33:スペーサ板
40a、40b:樹脂モールド
50:治具
51:ベース
52、54:コア押圧部
53:ボビン押圧部
Sp:隙間

Claims (2)

  1. 先端同士を対向させて配置された一対のU字型コアパーツと当該一対のU字型コアパーツの先端の間に配置される一対のI字型コアパーツに分割されており、全体がリング状をなしているコアと、
    前記一対のI字型コアパーツの夫々を収容する2本の筒部を有するとともに、2本の筒部の両端がフランジで連結されているボビンと、
    ボビンの夫々の筒部に巻回されているコイルと、
    を備えており、
    ボビンが筒部の長手方向で第1パーツと第2パーツに分割されており、
    第1パーツの筒部の外側に、コイルの径方向の位置を決める凸部が設けられているとともに、第2パーツの筒部の外周全体にわたってコイルとの間に隙間が設けられており、
    コイルとボビンとコアが樹脂でモールドされている、ことを特徴とするリアクトル。
  2. リアクトルの製造方法であり、当該リアクトルは、
    先端同士を対向させて配置された一対のU字型コアパーツと当該一対のU字型コアパーツの先端の間に配置される一対のI字型コアパーツに分割されており、全体がリング状をなしているコアと、
    前記一対のI字型コアパーツの夫々を収容する2本の筒部を有するとともに、2本の筒部の両端がフランジで連結されているボビンと、
    ボビンの夫々の筒部に巻回されているコイルと、
    を備えており、
    ボビンが筒部の長手方向で第1パーツと第2パーツに分割されており、
    第1パーツの筒部の外側に、コイルの径方向の位置を決める凸部が設けられているとともに、第2パーツの筒部の外周全体にわたってコイルとの間に隙間が設けられており、
    コイルとボビンとコアが樹脂でモールドされており、
    当該製造方法は、
    コアとボビンとコイルのアセンブリを組み立てる工程と、
    組み立てたアセンブリにおけるボビンの第1パーツを治具で挟持するとともにコアを治具で挟持して第1パーツとコアの相対位置を保持しつつ前記アセンブリを接着剤で固着する工程と、
    固着したアセンブリを樹脂でモールドする工程と、
    を含むことを特徴とするリアクトルの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016034004A (ja) * 2014-07-31 2016-03-10 株式会社タムラ製作所 リアクトル
JP2016171192A (ja) * 2015-03-12 2016-09-23 株式会社豊田自動織機 誘導機器

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