JP2015041419A - 伸縮性電極及びセンサシート - Google Patents

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Abstract

【課題】 導電性に優れ、かつ、繰返し伸縮時の導電性(電気抵抗)のバラツキが小さいとの優れた特性を有する伸縮性電極を提供すること。
【解決手段】 本発明の伸縮性電極は、エラストマー組成物からなる基材と、上記基材と一体化されたカーボンナノチューブからなる電極本体とを備え、上記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブと多層カーボンナノチューブとの混合物であり、上記単層カーボンナノチューブと上記多層カーボンナノチューブとの合計量に対する、上記単層カーボンナノチューブの含有量は、20〜70重量%であることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、伸縮性電極、及び、この伸縮性電極を備えたセンサシートに関する。
近年、伸縮可能でフレキシブルな電極が、ソフトセンサや各種アクチュエータ、フレキシブル表示デバイスなどの電子デバイス分野をはじめ、伸縮性が必要な人工筋肉や人工皮膚などメディカル材料分野において求められている。
このような伸縮可能でフレキシブルな電極として、例えば、特許文献1では、ポリウレタン分散液と銀粒子等の金属粒子とからなる導電性ペーストを乾燥させて形成された配線、及び、可撓性基板を備えた導電部材が提案されている。
また、特許文献2では、柔軟性及び導電性に優れた柔軟電極として、エラストマー中に、直径0.5〜80nmの炭素繊維から構成され、中心部位から炭素繊維が三次元的に延びているカーボンナノチューブによる連続的な導電路が形成されてなる柔軟電極が提案されている。
特開2012−54192号公報 特開2008−198425号公報
しかしながら、特許文献1に記載された導電部材では、導電部材としての伸縮性は確保されているものの、導電性を担う配線部分が銀粒子を含む導電性ペーストを用いて形成されているため、伸長時に、導電パスが切断され電気抵抗が大きく上昇してしまうことがあり、更に、伸縮変化を繰り返した際に電気抵抗のバラツキが大きくなることがあった。
また、特許文献2に記載された柔軟電極では、柔軟性は確保されているものの、伸縮性に劣り、高伸長時に電気抵抗が増大したり、繰返し伸縮時に電気抵抗にバラツキが生じたりするとの課題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、柔軟性及び伸縮性に優れ、繰返し伸縮させた際に電気抵抗の増大やバラツキが発生することを抑制することができる伸縮性電極を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、単層カーボンナノチューブと多層カーボンナノチューブをブレンドしたカーボンナノチューブの混合物を用いて電極本体を形成することにより、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成した。
本発明の伸縮性電極は、エラストマー組成物からなる基材と、上記基材と一体化されたカーボンナノチューブからなる電極本体とを備え、
上記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブと多層カーボンナノチューブとの混合物であり、
上記単層カーボンナノチューブと上記多層カーボンナノチューブとの合計量に対する、上記単層カーボンナノチューブの含有量は、20〜70重量%であることを特徴とする。
上記伸縮性電極において、上記単層カーボンナノチューブは、平均長さが100〜700μmの単層カーボンナノチューブであることが好ましい。また、上記多層カーボンナノチューブは、繊維径が5〜15nmの多層カーボンナノチューブであることが好ましい。
また、上記伸縮性電極は、センサシートに好適に用いることができる。
本発明のセンサシートは、本発明の伸縮性電極を備えたことを特徴とする。
本発明の伸縮性電極は、単層カーボンナノチューブと多層カーボンナノチューブとが特定の比率でブレンドされたカーボンナノチューブの混合物からなる電極本体を備えているため、導電性、特に初期の導電性(無伸長(伸長率=0%)状態での導電性)に優れ、かつ、繰返し伸縮時の導電性(電気抵抗)のバラツキが小さいとの優れた特性を有する。
本発明のセンサシートは、上述した特性を有する本発明の伸縮性電極を備えるため、長期信頼性に優れたセンサ提供することができる。
(a)は本発明の伸縮性電極の一例を模式的に示す斜視図であり、(b)は(a)のA−A線断面図である。 (a)〜(c)はそれぞれ本発明の伸縮性電極の別の一例を模式的に示す断面図である。 シート状の基材の作製に使用する成形装置の一例を説明するための模式図である。 (a)は、本発明の伸縮性電極を備えたセンサシートの一例を模式的に示す上面図であり、(b)は、(a)に示したセンサシートのA−A線断面図である。 図4に示したセンサシートを用いた静電容量型センサの一例を示す模式図である。 実施例及び比較例における繰返し伸縮時の電気抵抗の測定方法を説明するための模式図である。 比較例1において、繰返し伸縮に対する電気抵抗の変化の測定を行った測定結果を示すグラフである。 比較例2において、繰返し伸縮に対する電気抵抗の変化の測定を行った測定結果を示すグラフである。 実施例1において、繰返し伸縮に対する電気抵抗の変化の測定を行った測定結果を示すグラフである。 実施例2において、繰返し伸縮に対する電気抵抗の変化の測定を行った測定結果を示すグラフである。 実施例3において、繰返し伸縮に対する電気抵抗の変化の測定を行った測定結果を示すグラフである。 比較例3において、繰返し伸縮に対する電気抵抗の変化の測定を行った測定結果を示すグラフである。 比較例4において、繰返し伸縮に対する電気抵抗の変化の測定を行った測定結果を示すグラフである。 実施例及び比較例の結果をまとめたグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明の伸縮性電極は、エラストマー組成物からなる基材と、上記基材と一体化されたカーボンナノチューブからなる電極本体とを備え、
上記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブと多層カーボンナノチューブとの混合物であり、
上記単層カーボンナノチューブと上記多層カーボンナノチューブとの合計量に対する、上記単層カーボンナノチューブの含有量は、20〜70重量%であることを特徴とする。
図1(a)は本発明の伸縮性電極の一例を模式的に示す斜視図であり、(b)は(a)のA−A線断面図である。
図1(a)、(b)に示す伸縮性電極100では、エラストマー組成物からなるシート状の基材101の上面全体にカーボンナノチューブからなる電極本体102が積層され、一体化されている。
上記基材はエラストマー組成物からなるものであり、これにより伸縮性を確保することができる。
上記エラストマー組成物としては、エラストマーと、必要に応じて他の任意成分とを含有するものが挙げられる。
上記エラストマーとしては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、水素添加ニトリルゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。
これらのなかでは、ウレタンゴム又はシリコーンゴムが好ましい。永久歪み(または永久伸び)が小さいからである。
更に、シリコーンゴムに比べ、カーボンナノチューブとの密着性に優れる点から、ウレタンゴムが特に好ましい。
上記ウレタンゴムとしては特に限定されず、オレフィン系ポリオールをポリオール成分とするオレフィン系ウレタンゴム、エステル系ポリオールをポリオール成分とするエステル系ウレタンゴム、エーテル系ポリオールをポリオール成分とするエーテル系ウレタンゴム、カーボネート系ポリオールをポリオール成分とするカーボネート系ウレタンゴム、ひまし油系ポリオールをポリオール成分とするひまし油系ウレタンゴム等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上併用してもよい。
また、上記ウレタンゴムは、2種以上の上記ポリオール成分を併用したものであってもよい。
上記オレフィン系ポリオールとしては、例えば、エポール(出光興産社製)等が挙げられる。
また、上記エステル系ポリオールとしては、例えば、ポリライト8651(DIC社製)等が挙げられる。
また、上記エーテル系ポリオールとしては、例えば、ポリオキシテトラメチレングリコール、PTG−2000SN(保土谷化学工業社製)、ポリプロピレングリコール、プレミノールS3003(旭硝子社製)等が挙げられる。
また、上記エラストマー組成物はエラストマー以外に、誘電フィラー、可塑剤、鎖延長剤、架橋剤、触媒、加硫促進剤、酸化防止剤、老化防止剤、着色剤等の添加剤を含有してもよい。
また、上記エラストマー組成物は、伸縮性電極の用途に応じて、更に他の成分を含有してもよい。
具体的には、例えば、本発明の伸縮性電極を静電容量型センサシートとして用いる場合には、チタン酸バリウムなどの誘電フィラーを含有してもよい。これにより、静電容量Cを大きくすることができ、その結果、静電容量型センサシートの検出感度を高めることができるからである。
上記誘電フィラーを含有する場合、上記エラストマー組成物中におけるその含有量は、通常、0体積%より多く、25体積%以下程度である。
誘電フィラーの含有量が25体積%を超えると、基材の硬度が高くなったり、永久歪みが大きくなったりすることがある。また、ウレタンゴム製の基材の成形に際して硬化前の液粘度が高くなるため高精度の薄膜形成が難しくなることがある。
上記電極本体はカーボンナノチューブからなり、上記カーボンナノチューブとしては、単層カーボンナノチューブと多層カーボンナノチューブとの混合物を用いる。
このような2種類のカーボンナノチューブの混合物を用いることにより、電極本体の導電性、特に初期の導電性を高める(電気抵抗を低くする)とともに、繰返し伸縮時の導電性(電気抵抗)のバラツキを抑えることができる。
より詳細には、単層カーボンナノチューブを用いることにより伸縮時の電気抵抗のバラツキを抑えることができるとともに、多層カーボンナノチューブを用いることにより、電気抵抗(特に初期の電気抵抗)を低く抑えることができる。
なお、本明細書において、単に「カーボンナノチューブ」とのみ表記した場合には、単層カーボンナノチューブと多層カーボンナノチューブとの混合物を意味するものとする。
上記単層カーボンナノチューブ(SWCNT)は、直径(繊維径)がより小さくアスペクト比がより大きい単層カーボンナノチューブが好ましい。
上記単層カーボンナノチューブの平均長さの下限は、10μmが好ましく、100μmがより好ましく、300μmがさらに好ましく、600μmが特に好ましい。一方、上記平均長さの上限は、700μmが好ましい。
特に、平均長さが100〜700μmの単層カーボンナノチューブを使用することにより、伸縮時の電気抵抗のバラツキを顕著に抑制することができる。
また、上記単層カーボンナノチューブのアスペクト比は、100以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましく、10000以上であることが更に好ましく、30000以上であることが特に好ましい。
このような長尺の単層カーボンナノチューブを含有させることで、電極本体を繰返し伸縮させた際に、電気抵抗の変動(バラツキ)が少なくなる。その結果、長期信頼性にも優れる。この理由は、長尺の単層カーボンナノチューブの場合、カーボンナノチューブ自体が伸縮しやすく、電極本体が基材に追従して伸長した時に導電パスがより切断されにくいためと考えられる。また、カーボンナノチューブを用いて電極本体を形成した場合、導電性はカーボンナノチューブ同士が接触する(電気接点を形成する)ことにより発現する。ここで、長尺のカーボンナノチューブを用いた場合、1本のカーボンナノチューブにおける他のカーボンナノチューブとの電極接点数が多くなるためより高次元な電気的ネットワークを形成することができ、このことも導電パスが切断されにくくなる理由と考えられる。
なお、本発明において、単層カーボンナノチューブとして、どのような形状(平均長さやアスペクト比)のカーボンナノチューブを使用するかは、伸縮性電極の用途や、要求特性、費用等を総合的に判断して適宜選択すればよい。
上記単層カーボンナノチューブは、純度が99重量%以上であることが好ましい。
カーボンナノチューブは、その製造工程において、触媒金属やナノチューブ化されていない炭素物質(アモルファスカーボン、グラファイト等)、分散剤等が含まれることがあり、このようなカーボンナノチューブ以外の成分(不純物)を多量に含有する単層カーボンナノチューブを用いた場合、単層カーボンナノチューブを含有させる効果、即ち、繰返し伸縮時の電気抵抗のバラツキを抑制する効果に劣る場合があるからである。
上記多層カーボンナノチューブは、2層カーボンナノチューブ(DWNT)であっても良いし、3層以上の多層カーボンナノチューブ(MWNT)であってもよい(本明細書では、両者を合わせて単に多層カーボンナノチューブと称する。)が、両者のうちでは、3層以上の多層カーボンナノチューブが好ましい。
上記多層カーボンナノチューブの繊維径は、5〜15nmが好ましい。
上記繊維径が5nm未満では、多層カーボンナノチューブの分散が悪くなり、その結果導電パスが広がらず、導電性が不充分になることがあり、一方、15nmを超えると、同じ重量でもカーボンナノチューブの本数が少なくなり、導電性が不充分になることがある。
上記多層カーボンナノチューブの平均長さは、1〜10μmが好ましい。多層カーボンナノチューブの平均長さが、1μm未満では、導電パス中でのカーボンナノチューブ同士の接触が多くなり、その結果、接触抵抗が増加して導電性が低くなることがあり、一方、10μmを超えると、カーボンナノチューブの分散が悪くなり、その結果、導電パスが広がらず導電性が低くなることがある。
より好ましくは1〜5μmであり、更に好ましくは1〜3μmである。
また、上記多層カーボンナノチューブのアスペクト比は、50〜2000が好ましい。
上記単層カーボンナノチューブと多層カーボンナノチューブとの混合物において、上記単層カーボンナノチューブと上記多層カーボンナノチューブとの合計量に対する、上記単層カーボンナノチューブの含有量は、20〜70重量%である。
上記単層カーボンナノチューブの含有量が20重量%未満では、伸縮性電極を繰返し伸縮させた際の導電性(電気抵抗)のバラツキが大きくなり、一方、上記単層カーボンナノチューブの含有量が70重量%を超えると、電気抵抗(特に初期の電気抵抗)が高くなるからである。
上記単層カーボンナノチューブの含有量の下限は、より確実に電気抵抗のバラツキを抑制することができる点から30重量%が好ましい。
上記電極本体は、カーボンナノチューブ以外に、カーボンナノチューブのつなぎ材料として、バインダー成分を含んでいてもよい。
上記バインダー成分を含有させることにより、基材との密着性、及び、電極本体自体の強度を向上させることができ、さらに、後述した方法で電極本体を形成する際にカーボンナノチューブの飛散を抑制することができるため、電極本体形成時の安全性も高めることができる。
上記バインダー成分としては、例えば、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ポリスチレン、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、アクリルゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。
また、上記バインダー成分としては、生ゴム(天然ゴム及び合成ゴムの加硫させていない状態のもの)も使用することができ、このように比較的弾性の弱い材料を用いることで、伸縮時の基材の変形に対する電極本体の追従性も高めることができる。
上記バインダー成分は、その溶解度パラメータ(SP値[cal/cm1/2])が基材を構成するエラストマーと近いものが好ましく、両者の溶解度パラメータ(SP値)の差の絶対値が1以下のものがより好ましい。溶解度パラメータが近いほど、基材と電極本体との密着性が向上するからである。
なお、本発明において、上記SP値はFedorsの推算法により算出した値である。
上記バインダー成分は、特に、基材を構成するエラストマーと同種のものが好ましい。基材と電極本体との密着性を顕著に向上させることができるからである。
上記電極本体は、カーボンナノチューブ及びバインダー成分以外に、各種添加剤を含有してもよい。上記添加剤としては、バインダー成分のための架橋剤、加硫促進剤、加硫助剤、老化防止剤、可塑剤、軟化剤、着色剤等が挙げられる。
ここで、上記電極本体が可塑剤を含有し、かつ、上記基材もまた可塑剤を含有する場合には、両者の可塑剤濃度は同一であることが好ましい。基材と電極本体と間での可塑剤の移行を防止し、これにより伸縮性電極における反りやシワの発生を抑制することができるからである。
また、本発明の伸縮性電極では、上記電極本体は実質的にカーボンナノチューブのみで形成されていてもよい。この場合も基材との間で充分な密着性を確保することができるからである。この場合、カーボンナノチューブと基材とはファンデルワールス力により強固に密着することとなる。
上記電極本体におけるカーボンナノチューブの含有量は、導電性が発現する濃度であれば特に限定されず、バインダー成分を含有する場合にはバインダー成分の種類によっても異なるが、電極本体の全固形成分に対して0.1〜100重量%であることが好ましい。
カーボンナノチューブの含有量を高めることにより、繰返し伸縮させた際の電極本体の導電性低下(電気抵抗の増加)を抑制することができ、耐久性を向上させることができる。
上記電極本体は、その形状が図1に示したような層状である場合、その平均厚さ0.1〜10μmであることが好ましい。電極本体の平均厚さが上記範囲であると、伸縮時に電極本体が基材の伸縮に対し優れた追従性を発揮することができるからである。
これに対して、上記平均厚さが0.1μm未満では、導電性が不足するおそれがあり、一方、10μmを超えるとカーボンナノチューブの補強効果により伸縮性電極自体が硬くなり、伸縮性が不充分となるおそれがある。
なお、電極本体の形状が層状である場合、電極本体の平均厚さはレーザー顕微鏡(例えば、キーエンス社製、VK−9510)を用いて測定することができる。
具体的には、例えば、基材の表面の一部に電極本体を積層した場合には、基材の表面に積層された電極本体の厚さ方向を0.01μm刻みでスキャンし、その3D形状を測定した後、誘電層の表面に電極層が積層されている領域及び積層されていない領域において、それぞれ縦200×横200μmの矩形領域の平均高さを計測し、その平均高さの段差を電極本体の平均厚さとすればよい。
本発明の伸縮性電極の形状は、図1に示した形状に限定されるわけではなく、例えば、図2(a)〜(c)に示したような形状を有するものであってもよい。
図2(a)〜(c)はそれぞれ本発明の伸縮性電極の別の一例を模式的に示す断面図である。
図2(a)に示す伸縮性電極110は、2枚のシート状の基材111a、111bで電極本体112が挟持された形状を有している。伸縮性電極がこのような形状を有する場合、電極本体に外部からの衝撃等による破損が発生しにくくなる。
図2(b)に示す伸縮性電極120は、は、2枚のシート状の基材121a、121bと2層の電極本体122a、122bとが交互に積層された形状を有しており、電極本体が多層構造を有している。
なお、電極本体が多層構造を有している場合、その総数は図2(b)に示したように2層に限定されず、3層以上であってもよい。また、層状の電極本体はその上下面が基材で保護されていてもよい。
図2(c)に示す伸縮性電極130は、シート状の基材131の上面に2本の電極本体132a、132bが積層された形状を有している。シート状の基材の一面に電極本体を積層する場合、2本に限らず複数本の電極本体が積層されていても良いし、電極本体として、カーボンナノチューブからなる回路パターンが形成されていてもよい。
勿論、本発明の伸縮性電極の形状は、ここまで図示した形状に限定される訳ではなく、伸縮性電極の設計に応じた種々の形状を採用することができる。
本発明の伸縮性電極は、上述した構成を備えているため、導電性、特に初期(無伸長(伸長率=0%)状態)の導電性に優れ(電気抵抗が低く)、かつ、繰返し伸縮時の導電性(電気抵抗)のバラツキが小さいとの優れた特性を有する。
ここで、上記伸縮性電極は、無伸長状態から一軸方向に100%伸長させた後、無伸長状態に戻すサイクルを1サイクルとする伸縮を1000サイクル繰返した際に、2サイクル目の100%伸長時の上記電極本体の抵抗と1000サイクル目の100%伸長時の上記電極本体の抵抗との差が2kΩ以下であることが好ましい。
ここで、1サイクル目の100%伸長時ではなく、2サイクル目の100%伸長時と1000サイクル目の100%伸長時とを比較している理由は、未伸長状態から伸長させた1回目(1サイクル目)の伸長時には、伸長時の電極本体の挙動(電気抵抗の変動の仕方)が2回目(2サイクル目)以降の伸縮時と大きく異なるからであり、この理由は、伸縮性電極を作製した後、1回伸長させることによって初めて電極本体を構成するカーボンナノチューブの状態が安定化するからだと推測している。
従って、本発明の伸縮性電極を使用する際には、製造した後、少なくとも1回は伸縮させた後使用することが好ましい。
上記伸縮性電極は、無伸長状態から一軸方向に伸長させた際に、一軸引張りに耐えられる伸長率は大きい程好ましく、具体的には30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、100%以上であることがさらに好ましく、200%以上であることが特に好ましい。
上記伸長率を大きくすることで、種々の用途に使用することが可能となるからである。
一軸引張りに耐えられる伸長率とは、JIS K 6251に準拠した引張り試験において、破断時伸び以下の伸長率であって、かつ、引張荷重を開放後元の状態に復元する伸長率をいい、例えば、一軸引張りに耐えられる伸長率が100%以上であるとは、一軸方向に100%伸長させた際には破断に至らず、かつ、引張荷重を開放した後に元の状態に復元する(即ち、弾性変形範囲にある)ことを意味する。
上記一軸引張りに耐えられる伸長率は、基材の設計(材質や形状等)により制御することができる。
次に、本発明の伸縮性電極の製造方法について説明する。
本発明の伸縮性電極は、例えば、
(1)エラストマー組成物からなる基材を作製する工程(以下、「工程(1)」ともいう)、及び
(2)カーボンナノチューブ及び分散媒を含む組成物を塗布し、上記基材と一体化された電極本体を形成する工程(以下、「工程(2)」ともいう)
を経ることより製造することができる。
以下、シート状の基材と層状の電極本体とを備えた伸縮性電極を例に、伸縮性電極の製造方法を工程順に説明する。
[工程(1)]
本工程では、エラストマー組成物からなる基材を成形する。まず、原料組成物としてエラストマー(又はその原料)に、必要に応じて、誘電フィラー、可塑剤、鎖延長剤、架橋剤、加硫促進剤、触媒、酸化防止剤、老化防止剤、着色剤等の添加剤を配合した原料組成物を調製する。
上記基材の成形方法としては特に限定されず、上記原料組成物を調製した後、従来公知の方法で成形することにより基材を成形することができる。
具体的には、基材としてウレタンゴムを含む基材を成形する場合には、例えば、ポリオール成分、可塑剤及び酸化防止剤を計量し、加熱、減圧下において一定時間撹拌混合し、混合液を調製する。次に、混合液を計量し、温度を調整した後、触媒を添加しアジター等で撹拌する。その後、所定量のイソシアネート成分を添加し、アジター等で撹拌後、即座に混合液を図3に示す成形装置に注入し、保護フィルムでサンドイッチ状にして搬送しつつ架橋硬化させ、保護フィルム付きの所定厚みのロール巻シートを得る。そのあと、さらに炉で一定時間架橋反応させることで基材を製造することができる。
なお、図3は、シート状の基材の作製に使用する成形装置の一例を説明するための模式図である。図3に示した成形装置30では、原料組成物33を、離間して配置された一対のロール32、32′から連続的に送り出されるポリエチレンテレフタレート(PET)製の保護フィルム31の間隙に流し込み、その間隙に原料組成物33を保持した状態で硬化反応(架橋反応)を進行させつつ、加熱装置34内に導入し、原料組成物33を一対の保護フィルム31間で保持した状態で熱硬化させ、シート状の基材35を成形する。
また、上記基材は、原料組成物を調製した後、各種コーティング装置、バーコート、ドクターブレードなどの汎用の成膜装置や成膜方法を用いて作製してもよい。
[工程(2)]
本工程では、カーボンナノチューブ及び分散媒を含む組成物(カーボンナノチューブ分散液)の塗布により、上記基材と一体化されたカーボンナノチューブからなる電極本体を形成する。
具体的には、まず、カーボンナノチューブを分散媒に添加する。このとき、さらに必要に応じてバインダー成分(又はバインダー成分の原料)や分散剤、その他各種添加剤を添加してもよい。
次に、カーボンナノチューブを含む各成分を湿式分散機を用いて分散媒中に分散(又は溶解)させることより塗布液を調製する。ここでは、例えば、超音波分散機、ジェットミル、ビーズミルなど既存の分散機を用いて分散させればよい。
このとき、(a)単層カーボンナノチューブと多層カーボンナノチューブとを別々の分散媒に添加し、湿式分散機を用いてそれぞれの分散媒中に分散(又は溶解)させた後、単層カーボンナノチューブの分散液と多層カーボンナノチューブの分散液とを混合して塗布液としても良いし、(b)単層カーボンナノチューブと多層カーボンナノチューブとを1つの分散媒に同時に添加し、湿式分散機を用いて分散媒中に分散(又は溶解)させて塗布液としても良い。
上記分散媒としては、例えば、トルエン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、アルコール類、水等が挙げられる。これらの分散媒は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
上記塗布液において、上記カーボンナノチューブの濃度は、0.01〜10重量%が好ましい。
0.01重量%未満では、カーボンナノチューブの濃度が薄すぎて繰返し塗布する必要が生じる場合があり、一方、10重量%を超えると、塗布液の粘度が高くなりすぎ、また再凝集によりカーボンナノチューブの分散性が低下し、均一な電極本体を形成することが困難となる場合がある。
続いて、エアブラシ等を用いて上記基材の表面の所定の位置に塗布液を塗布して乾燥させる。このとき、必要に応じて、基材表面の電極本体を形成しない位置をマスキングしてから塗布液を塗布してもよい。
上記塗布液の乾燥条件は特に限定されず、分散媒の種類等に応じて適宜選択すればよい。
また、上記塗布液を塗布する方法は、エアブラシを用いた方法に限定されるわけではなく、その他、スクリーン印刷法、インクジエット印刷法等も採用することができる。
なお、場合によっては基材の表面に電極本体を形成する前に、両者の密着性を高めるべく、基材の表面に前処理を施してもよいが、カーボンナノチューブからなる電極本体と基材とは極めて優れた密着性を有しているため、何ら前処理を施すことなく、基材と電極本体との間で充分な密着性を確保することができる。
このような工程を経ることにより、図1や図2(c)に示したような形状の伸縮性電極を製造することができる。
また、図2(a)に示したような形状の伸縮性電極を製造する場合には、例えば、上述した方法で基材の一面に電極本体を形成した後、各種コーティング装置、バーコート、ドクターブレードなどの汎用の成膜装置や成膜方法等を用いて上記原料組成物を塗布し、その後、熱硬化させることにより製造することができる。また、上記基材を作製するための原料組成物を架橋または半架橋させて得たシート(基材)を別途作製し、一の面に電極本体が形成された基材にラミネートすることにより製造することも可能であり、半架橋の場合にはラミネート後に完全架橋させてもよい。
また、図2(b)に示した伸縮性電極のような基材及び電極本体が多層構造を有する伸縮性電極を製造する場合には、最初に基材を作製した後、その上に電極本体と別の基材とを上述した方法で順次積層して、多層構造を有する伸縮性電極を製造すればよい。
このような本発明の伸縮性電極は、例えば、センサシートとして好適に使用することができる。勿論、本発明の伸縮性電極の用途はセンサシートに限定される訳ではなく、その他、導電配線材としては勿論のこと、アクチュエータやジェネレータ、更には、伸縮柔軟性が求められる箇所での各種信号線や小電力の電力線等、種々の用途に使用することができる。
次に、上記伸縮性電極を備えた本発明のセンサシートについて図面を参照しながら説明する。
図4(a)は、本発明の伸縮性電極を備えたセンサシートの一例を模式的に示す上面図であり、(b)は、(a)に示したセンサシートのA−A線断面図である。
図4(a)、(b)に示すセンサシート1は、静電容量型センサシートであり、シート状の誘電層2と、誘電層2の表面(おもて面)に積層された帯状の表側電極層01A〜16Aと、誘電層2の裏面に積層された帯状の裏側電極層01B〜16Bと、表側電極層01A〜16Aの一端に設けられた外部配線と接続するための表側接続部01A1〜16A1と、裏側電極層01B〜16Bの一端に設けられた外部配線と接続するための裏側接続部01B1〜16B1とを備える。
上記表側電極層と裏側電極層とが表裏方向(誘電層の厚さ方向)で交差する部分が検出部C0101〜C1616となる。なお、検出部の符号「C○○△△」中、上2桁の「○○」は、表側電極層01A〜16Aに対応し、下2桁の「△△」は、裏側電極層01B〜16Bに対応する。
表側電極層01A〜16Aは、それぞれ帯状を呈しており、誘電層2の表面に合計16本積層されている。表側電極層01A〜16Aは、それぞれX方向(図4(a)中、左右方向)に延在している。表側電極層01A〜16Aは、それぞれY方向(図4(a)中、上下方向)に所定間隔ごとに離間して、互いに略平行となるようにそれぞれ配置されている。
裏側電極層01B〜16Bは、それぞれ帯状を呈しており、誘電層2の裏面に合計16本積層されている。裏側電極層01B〜16Bは、それぞれ表側電極層01A〜16Aと表裏方向から見て略直角で交差するように配置されている。すなわち、裏側電極層01B〜16Bは、それぞれY方向に延在している。また、裏側電極層01B〜16Bは、X方向に所定間隔ごとに離間して、互いに略平行となるようにそれぞれ配置されている。
表側電極層01A〜16A及び裏側電極層01B〜16Bのそれぞれをこのように配置することにより、測定対象物の変形の位置や大きさを測定するに際し、電極層の配置数及び電極配線数を少なくすることができる。即ち、上記態様の場合、検出部が効率良く配置されていることとなる。
もう少し詳しく説明すると、図4に示した例では、表側電極層と裏側電極層とが厚さ方向で交差する検出部が、16×16=256で256箇所存在するが、256箇所の検出部をそれぞれ独立して形成した場合には、各検出部につき表側電極と裏側電極とが存在するため、検出部の静電容量を検出するためには256×2で512本の配線が必要となるのに対して、図4に示した例のように、表側電極層及び裏側電極層がそれぞれ平行に配置された複数の帯状体からなり、この表側電極層と裏側電極層とが表裏方向から見て略直角で交差するように配置されている場合には、検出部の静電容量を検出するための配線が16+16の32本で済むのである。そのため、上記の通り検出部が効率良く配置されていることとなる。
そして、図4(a)、(b)に示したセンサシート1においては、誘電層2が本発明の伸縮性電極における基材に相当し、表側電極層01A〜16A及び裏側電極層01B〜16Bのそれぞれが本発明の伸縮性電極における電極本体に相当する。
このような構成を備えたセンサシート1は、後述するように計測手段と接続して静電容量型センサとし、各16本の配線をそれぞれ外部の切替回路で切り替えることで、256箇所の検出部を1箇所ずつ切り替えながら各検出部の静電容量を測定することができる。
そして、各検出部の静電容量に基づき、静電容量型センサシート内の歪み分布や歪み位置、面圧分布等の情報を検知することができる。
上記静電容量型センサシートにおいて、上記誘電層の平均厚さは、静電容量Cを大きくして検出感度の向上を図る観点、及び測定対象物への追従性の向上を図る観点から、10〜1000μmであることが好ましく、30〜200μmであることがより好ましい。
また、上記誘電層の常温における比誘電率は、2以上が好ましく、5以上がより好ましい。誘電層の比誘電率が2未満であると、静電容量Cが小さくなり、静電容量型センサとして使用した際に充分な感度が得られないおそれがある。
なお、上記センサシートにおいて、誘電層(基材)や表側電極層及び裏側電極層(電極本体)のそれぞれの平均厚さ、幅、長さ等の外観形状は、用いられるセンサシートの用途によって適宜設計変更可能である。
また、本発明の伸縮性電極を静電容量型センサシートとして使用する場合、上記基材のヤング率は、0.1〜1MPaであることが好ましい。ヤング率が0.1MPa未満であると、基材が軟らかすぎ、高品質な加工が難しく、充分な測定精度が得られないことがある。一方、ヤング率が1MPaを超えると、基材が硬すぎ、測定対象物の変形荷重が小さい場合に測定対象物の変形動作を阻害してしまい、計測目的に対して計測結果がそぐわないおそれがある。
また、上記伸縮性電極を静電容量型センサシートとして使用する場合、上記基材の硬さは、JIS K 6253に準拠したタイプAデュロメータを用いた硬さ(JIS A硬さ)で、0〜30°であるか、又は、JIS K 7321に準拠したタイプCデュロメータを用いた硬さ(JIS C硬さ)で10〜55°が好ましい。
上記C硬さが10°未満では、基材が軟らかすぎるため高品質な加工が難しく、充分な測定精度を確保することができない場合があり、一方、55°を超えると、基材が硬すぎるため、測定対象物の変形荷重が小さい場合に測定対象物の変形動作を阻害してしまい、計測目的に対して測定結果がそぐわないおそれがある。
このような構成からなる静電容量型センサシートは後述するように、表側電極層と裏側電極層のそれぞれを外部配線を介して計測手段と接続することにより静電容量型センサとなる。
図4に示したセンサシート(伸縮性電極)1を用いた静電容量型センサとしては、例えば、図5に示したような構成を備えたものが挙げられる。
図5は、図4に示したセンサシート(伸縮性電極)を用いた静電容量型センサの一例を示す模式図である。
図5に示す静電容量型センサ201は、図4に示したセンサシート1と、外部配線202及び203と、計測手段204とを備えている。
センサシート1の表側接続部01A1〜16A1のそれぞれは、複数(16本)の配線が結束された外部配線203を介して計測手段204と接続されており、また、裏側接続部01B1〜16B1のそれぞれは、複数(16本)の配線が結束された外部配線202を介して計測手段204と接続されている。
なお、外部配線は、図5に示すように表側電極層及び裏側電極層の片端にのみ接続されていればよいが、場合によっては両端に接続されていても良い。
計測手段204は、図示しないが、電源回路、演算回路、静電容量、測定回路、画素切替回路及び表示装置等を必要に応じて備えており、その具体例としては、例えば、LCRメータ等が挙げられる。
このような静電容量型センサ201では、測定対象物載置前の静電容量Cと測定対象物載置後の静電容量Cから静電容量の変化量ΔCを検出し、その静電容量の変化量ΔCに基づき、変形歪み量や変形歪み分布、面圧分布を求めることができる。
また、上記センサシート(伸縮性電極)は、伸長率が高く、1軸方向に30%以上繰り返し伸長させることが可能であり、柔軟な測定対象物の変形や動作に追従することが可能で、かつ伸縮変形や繰り返し変形に対する耐久性に優れるため、上記センサシートを備えた静電容量型センサでは、例えば、測定対象物の形をトレースしたり、測定対象物の動きを直接的に検知すること等ができる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<カーボンナノチューブ分散液の調製>
(1)単層カーボンナノチューブ分散液の調製
単層カーボンナノチューブとして、スーパーグロースCNT(繊維径の中央値が約3nm、成長長さ500μm〜700μm、アスペクト比約100,000、炭素純度99.9%、産業技術総合研究所提供、SGCNTとも表記する)50mgをメチルイソブチルケトン24.95gに添加し、ジェットミル(ナノジェットパル JN10−SP003、常光社製)を用いて湿式分散処理を施し、さらにメチルイソブチルケトン25gを添加し、濃度0.1重量%の単層カーボンナノチューブ分散液を得た。
なお、カーボンナノチューブの成長長さとは、カーボンナノチューブを作製する際に成長基板上で成長したフォレストの高さをいい、実質的にカーボンナノチューブの平均長さに相当する。
(2)多層カーボンナノチューブ分散液の調製
多層カーボンナノチューブとして、ナノシル社製、NC7000(繊維径9.5nm、平均長さ1.5μm、アスペクト比158、炭素純度90%)50mgをメチルイソブチルケトン24.95gに添加し、ジェットミル(ナノジェットパル JN10−SP003、常光社製)を用いて湿式分散処理を施し、さらにメチルイソブチルケトン25gを添加し、濃度0.1重量%の多層カーボンナノチューブ分散液を得た。
(比較例1)
(1)水添水酸基末端液状ポリオレフィンポリオール(エポール、出光興産社製)100質量部、アルキル置換ジフェニルエーテルを主成分とした高温用潤滑油(モレスコハイルーブLB−100、MORESCO社製)100質量部を計量し、自転公転ミキサー(THINKY社製)を用いて2000rpmで3分間撹拌混合した。次に、得られた混合物に触媒(Fomrez catalyst UL−28、Momentive社製)0.07質量部を添加し、自転公転ミキサーで1.5分撹拌した。その後、イソホロンジイソシアネート(デスモジュールI、住化バイエルウレタン社製)11質量部を添加し、自転公転ミキサーで3分間撹拌し、1.5分間脱泡し、基材用の原料組成物を調製した後、これを図3に示した成形装置30に注入し、保護フィルムでサンドイッチ状にして搬送しつつ、炉内温度110℃、炉内時間30分間の条件で架橋硬化させ、保護フィルム付きの所定厚みのロール巻シートを得た。その後、80℃に調節した炉で12時間後架橋させ、層厚50μmの基材シートを得た。
次に、得られた基材シートを裁断し、90mm×90mm×50μmの基材と90mm×60mm×50μmの基材とを1枚ずつ作製した。
(2)次に、1枚(90mm×90mm×50μm)の基材の片面の中央部に多層カーボンナノチューブ分散液8gをエアブラシで帯状に塗布し、100℃で30分間乾燥させることにより、幅20mm、長さ80mm、厚さ1μmの電極本体を形成した。
さらに、基材用の原料組成物と同配合の組成物をトルエンに溶解した0.1重量%トルエン溶液を調製し、この0.1重量%トルエン溶液8gをプライマーとして電極本体上にエアブラシで帯状に塗布し、100℃で30分間乾燥させた。
その後、電極本体を挟み込むように、電極本体が形成された基材をもう1枚(90mm×60mm×50μm)の基材と貼り合わせて伸縮性電極を得た。
(評価:繰返し伸縮に対する電気抵抗の変化の測定)
比較例1で得られた伸縮性電極につき、図6に示した評価装置を用いて、無伸長状態から一軸方向(電極本体の長手方向)に100%伸長させた後、無伸長状態に戻すサイクルを1サイクルとする伸縮を1000サイクル繰返し行い、2〜3サイクル目、10サイクル目、100サイクル目、500サイクル目及び1000サイクル目における電極本体の上記電気抵抗を測定した。
具体的には、図6に示すように、基材51及び電極本体52を備えた伸縮性電極50の電極本体52に垂直な2辺を樹脂フレーム53で拘束し、電極本体52の端部のそれぞれをリード54を介してマルチメーター(ADVANTEST社製、R6441C)55と接続し、フレーム間を1軸方向(図中、矢印の方向)に伸長させた後、無伸長状態に戻す伸縮を繰返し行い、電気抵抗の変化を測定した。
測定結果については、縦軸に電極抵抗、横軸に伸長率をプロットしたグラフとして図7に示した。
(比較例2)
多層カーボンナノチューブ分散液に代えて、多層カーボンナノチューブ分散液と単層カーボンナノチューブ分散液とを90:10(重量比)で混合して得たカーボンナノチューブ混合液を塗布した以外は比較例1と同様にして伸縮性電極を得た。
得られた伸縮性電極につき、比較例1と同様にして繰返し伸縮に対する電気抵抗の変化を測定した。結果を図8に示した。
(実施例1)
多層カーボンナノチューブ分散液に代えて、多層カーボンナノチューブ分散液と単層カーボンナノチューブ分散液とを70:30(重量比)で混合して得たカーボンナノチューブ混合液を塗布した以外は比較例1と同様にして伸縮性電極を得た。
得られた伸縮性電極につき、比較例1と同様にして繰返し伸縮に対する電気抵抗の変化を測定した。結果を図9に示した。
(実施例2)
多層カーボンナノチューブ分散液に代えて、多層カーボンナノチューブ分散液と単層カーボンナノチューブ分散液とを50:50(重量比)で混合して得たカーボンナノチューブ混合液を塗布した以外は比較例1と同様にして伸縮性電極を得た。
得られた伸縮性電極につき、比較例1と同様にして繰返し伸縮に対する電気抵抗の変化を測定した。結果を図10に示した。
(実施例3)
多層カーボンナノチューブ分散液に代えて、多層カーボンナノチューブ分散液と単層カーボンナノチューブ分散液とを30:70(重量比)で混合して得たカーボンナノチューブ混合液を塗布した以外は比較例1と同様にして伸縮性電極を得た。
得られた伸縮性電極につき、比較例1と同様にして繰返し伸縮に対する電気抵抗の変化を測定した。結果を図11に示した。
(比較例3)
多層カーボンナノチューブ分散液に代えて、多層カーボンナノチューブ分散液と単層カーボンナノチューブ分散液とを10:90(重量比)で混合して得たカーボンナノチューブ混合液を塗布した以外は比較例1と同様にして伸縮性電極を得た。
得られた伸縮性電極につき、比較例1と同様にして繰返し伸縮に対する電気抵抗の変化を測定した。結果を図12に示した。
(比較例4)
多層カーボンナノチューブ分散液に代えて、単層カーボンナノチューブ分散液を塗布した以外は比較例1と同様にして伸縮性電極を得た。
得られた伸縮性電極につき、比較例1と同様にして繰返し伸縮に対する電気抵抗の変化を測定した。結果を図13に示した。
実施例及び比較例の結果を図14にまとめた。
図14は、実施例及び比較例の結果をまとめたグラフであり、横軸を単層カーボンナノチューブ(SGCNT)と多層カーボンナノチューブ(NC7000)との合計量(全CNT量)に対するSGCNTの割合(重量%)とし、縦軸を伸縮性電極の初期抵抗(R)及び2サイクル目と1000サイクル目の100%伸長時の電気抵抗の差(ΔR)とした。
図7〜14に示し結果から明らかなように、比較例1、2の伸縮性電極では、多層カーボンナノチューブの含有量が多いため、2サイクル目と1000サイクル目の100%伸長時の電気抵抗の差(ΔR)が2kΩを超える値となり、伸縮時における電気抵抗のバラツキが大きくなった。
また、比較例3、4の伸縮性電極では、単層カーボンナノチューブの含有量が多いため、初期抵抗(R)が大きくなった。
これに対して、単層カーボンナノチューブと多層カーボンナノチューブとの合計量に対する、単層カーボンナノチューブの含有量を20〜70重量%とすることにより、初期抵抗(R)及び2サイクル目と1000サイクル目の100%伸長時の電気抵抗の差(ΔR)を低く抑えることができた。
本発明の伸縮性電極は、センサシート、導電配線材、アクチュエータ、ジェネレータ、更には伸縮柔軟性が求められる箇所での各種信号線や小電力の電力線等、種々の用途に使用することができ、静電容量型センサ等の伸縮性及び柔軟性が要求されるソフトセンサのセンサシートとして好適に使用することができる。
1 静電容量型センサシート
2 誘電層
01A1〜16A1 表側接続部
01A〜16A、01D〜16D 表側電極層
01B1〜16B1 裏側接続部
01B〜16B、01E〜16E 裏側電極層
C0101〜C1616、F0101〜F1616 検出部
50、100、110、120、130 伸縮性電極
51、101、111a、111b、121a、121b、131 基材
52、102、112、122a、122b、132a、132b 電極本体
201 静電容量型センサ
202、203 外部配線
204 計測手段

Claims (5)

  1. エラストマー組成物からなる基材と、
    前記基材と一体化されたカーボンナノチューブからなる電極本体とを備え、
    前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブと多層カーボンナノチューブとの混合物であり、
    前記単層カーボンナノチューブと前記多層カーボンナノチューブとの合計量に対する、前記単層カーボンナノチューブの含有量は、20〜70重量%であることを特徴とする伸縮性電極。
  2. 前記単層カーボンナノチューブの平均長さは、100〜700μmである請求項1に記載の伸縮性電極。
  3. 前記多層カーボンナノチューブの繊維径は、5〜15nmである請求項1又は2に記載の伸縮性電極。
  4. センサシートに用いる請求項1〜3のいずれかに記載の伸縮性電極。
  5. 請求項1〜4のいずれか記載の伸縮性電極を備えたことを特徴とするセンサシート。
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