JP2018091875A - シート状物、静電容量型センサシート、及び、衣服 - Google Patents

シート状物、静電容量型センサシート、及び、衣服 Download PDF

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Katsuhiro Kaneko
加津寛 金子
大高 秀夫
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秀夫 大高
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Abstract

【課題】 高い伸長率を有し、繰り返し使用した際の信頼性にも優れ、静電容量型センサに用いられる絶縁性のシート状物を提供する。
【解決手段】 誘電層と前記誘電層の両面に設けられた電極層とを備え、面方向に変形する静電容量型センサに用いられる、絶縁性のシート状物であって、ポリエーテルポリオールをポリオール成分とし、HDI系ポリイソシアネートをイソシアネート成分とするウレタンゴムを含有するエラストマー組成物からなる、シート状物。
【選択図】 図1

Description

本発明は、静電容量型センサシート、及び、これを用いた静電容量型センサに関する。
静電容量型センサシートは、一対の電極層間の静電容量変化から測定対象物の凸凹形状等を検出することができ、面圧分布センサや歪みゲージ等のセンサに用いることができる。一般に、静電容量型センサにおける静電容量(キャパシタンス)は、以下の式(1)で表される。
C=εεS/d・・・(1)
ここで、Cはキャパシタンス、εは自由空間の誘電率、εは誘電層の比誘電率、Sは電極層面積、dは電極間距離である。
従来、面圧分布センサとして使用する静電容量型センサシートとして、例えば、エラストマー製の誘電層と、エラストマーと導電性フィラーとを含んで形成された一対の電極層(表側電極及び裏側電極)とを備え、一対の電極層が誘電層を挟むように形成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このようなセンサシートは、誘電層がエラストマーからなるものであるため、静電容量の変化が比較的大きいとの特性を有する。
しかしながら、従来の面圧分布センサに用いられる静電容量型センサシートでは、測定対象物の荷重分布は測定することができるが、荷重による変形歪み量は知ることはできなかった。
例えば、センサシートをクッションのような柔軟物に取り付け、センサシートに荷重を加えた場合、クッションがどのように変形したかを計測することはできなかった。
また、面圧分布センサとして使用する静電容量型センサシートは、通常、測定時の誘電層の変位量(伸長率)が数%程度である。そのため、柔軟性を有している誘電層でも、屈曲性は有しているが、伸長率は数%程度である。
これに対して、変形歪み量や変形歪み分布の測定に使用する静電容量型センサシートでは、その使用態様にもよるが、測定時の誘電層の変位量(伸長率)が100%を超えることも珍しくない。
そのため、変形歪み量等の測定に使用する静電容量型センサシートにおいて、誘電層は、高い伸長率を有することが要求される。また、上記静電容量型センサシートにおいて、電極層は、誘電層を伸長させた際に、それに追従でき、かつ導電性が維持される(電気抵抗が増加しない)ことが要求される。
特開2010−43881号公報
しかしながら、特許文献1に記載の静電容量型センサシートでは、このような要求を充分に満足することができず、変形歪み量や変形歪み分布の測定に用いる静電容量型センサシートとしては使用することが困難であった。
特に、誘電層において高い伸長率を確保しつつ、繰り返し変形させた際の信頼性を確保することが困難であるとの課題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い伸長率を有し、繰り返し変形させた際の信頼性にも優れ、変形歪み量の測定に好適に用いることができる静電容量型センサシート、及び、このセンサシートを備えた静電容量型センサを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、誘電層を特定のウレタンゴムを含有するエラストマー組成物からなるものとし、電極層をカーボンナノチューブを含有する導電性組成物からなるものとすることにより、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成した。
本発明の静電容量型センサシートは、エラストマー組成物からなる誘電層と、上記誘電層の表面に積層された表側電極層と、上記誘電層の裏面に積層された裏側電極層とを備え、上記表側電極層と上記裏側電極層とが上記誘電層を挟んで少なくとも一部が対向しており、
上記表側電極層と上記裏側電極層とが上記誘電層を挟んで対向している部分を検出部とする静電容量型センサシートであって、
上記表側電極層及び上記裏側電極層は、カーボンナノチューブを含有する導電性組成物からなり、
上記エラストマー組成物は、ポリエーテルポリオールをポリオール成分とし、HDI系ポリイソシアネートをイソシアネート成分とするウレタンゴムを含有することを特徴とする。
上記静電容量型センサシートにおいて、上記エラストマー組成物は、可塑剤を含有することが好ましい。
上記静電容量型センサシートは、一軸引張りに耐えられる伸長率が100%以上であることが好ましい。
本発明の静電容量型センサは、上記静電容量型センサシートと、
計測装置と、
上記静電容量型センサシートが備える表側電極層及び裏側電極層のそれぞれと、上記計測装置とを接続する外部配線とを備え、
上記静電容量型センサシートが有する検出部における静電容量の変化を計測することにより、変形歪み量を測定することを特徴とする。
本発明の静電容量型センサシートは、平面方向に高い伸長率を有し、変形歪み量の測定に好適に使用することができる。
また、本発明の静電容量型センサシートを構成する誘電層は、大きく変形させた後の永久ひずみが小さく、かつ繰り返し変形(伸縮)させても残留ひずみが発生しにくいため、上記静電容量型センサシートは、繰り返し使用した際の信頼性(長期信頼性)にも優れる。
また、本発明の静電容量型センサは、本発明の静電容量型センサシートを備えているため、センサシートが平面方向に大きく変形する場合でも変形量を測定することができ、かつ、長期間に渡って正確に変形量を測定することができる静電容量型センサである。
(a)は、本発明の静電容量型センサシートの一例を模式的に示す斜視図であり、(b)は、(a)に示した静電容量型センサシートのA−A線断面図である。 (a)は、本発明の静電容量型センサシートの別の一例を模式的に示す平面図であり、(b)は、(a)に示した静電容量型センサシートのB−B線断面図である。 図2に示した静電容量型センサシートを備えた静電容量型センサの一例を示す平面図である。 本発明の静電容量型センサシートが備える誘電層の作製に使用する成形装置の一例を説明するための模式図である。 (a)〜(d)は、実施例におけるセンサ素子の作製工程を説明するための斜視図である。 実施例1のセンサシートの信頼性評価で算出した静電容量の比(C/C)と伸縮の繰り返し回数との関係を示す片対数グラフである。 比較例1のセンサシートの信頼性評価で算出した静電容量の比(C/C)と伸縮の繰り返し回数との関係を示す片対数グラフである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明の静電容量型センサシートは、エラストマー組成物からなる誘電層と、上記誘電層の表面に積層された表側電極層と、上記誘電層の裏面に積層された裏側電極層とを備え、上記表側電極層と上記裏側電極層とが上記誘電層を挟んで少なくとも一部が対向しており、上記表側電極層と上記裏側電極層とが上記誘電層を挟んで対向している部分を検出部とする静電容量型センサシートであって、上記表側電極層及び上記裏側電極層は、カーボンナノチューブを含有する導電性組成物からなり、上記エラストマー組成物は、ポリエーテルポリオールをポリオール成分とし、HDI系ポリイソシアネートをイソシアネート成分とするウレタンゴムを含有することを特徴とする。
本発明の静電容量型センサシートは、検出部を1つ備えるものであっても良いし、複数の検出部を備えるものであっても良い。
以下、本明細書においては、「静電容量型センサシート」を単に「センサシート」と称する。
(第1実施形態:検出部を1つ備えるセンサシート)
図1(a)は本発明のセンサシートの一例を模式的に示す斜視図であり、(b)は(a)のA−A線断面図である。
本発明に係るセンサシート101は、図1(a)及び(b)に示すように、エラストマー組成物からなるシート状の誘電層102と、誘電層102の表面(おもて面)に積層された表側電極層103Aと、誘電層102の裏面に積層された裏側電極層103Bと、表側電極層103Aに連結された表側配線104Aと、裏側電極層103Bに連結された裏側配線104Bと、表側配線104Aの表側電極層103Aと反対側の端部に取り付けられた表側接続部105Aと、裏側配線104Bの裏側電極層103Bと反対側の端部に取り付けられた裏側接続部105Bと、誘電層102の表側及び裏側のそれぞれに積層された表側保護層106A及び裏側保護層106Bとを備える。
ここで、表側電極層103Aと裏側電極層103Bとは、同一の平面視形状を有しており、誘電層102を挟んで表側電極層103Aと裏側電極層103Bとは全体が対向している。センサシート101では、表側電極層103Aと裏側電極層103Bとの対向した部分が検出部となる。
本発明のセンサシートにおいて、センサシートが備える表側電極層と裏側電極層とは、必ずしも誘電層を挟んでその全体が対向している必要はなく、少なくともその一部が対向していればよい。
なお、本発明のセンサシートにおいて、保護層は必ずしも形成されている必要はなく、必要に応じて形成されていればよい。
上記センサシートでは、誘電層がエラストマー組成物からなるため、平面方向に変形(伸縮)可能であり、誘電層が平面方向(誘電層に表裏面の面積が変化する方向)に変形した際には、その変形に追従して表側電極層及び裏側電極層(以下、両者を合わせて単に電極層ともいう)、並びに、表側保護層及び裏側保護層(以下、両者を合わせて単に保護層ともいう)が変形する。
そして、センサシートの変形に伴い、上記検出部の静電容量が誘電層の変形量と相関をもって変化する。よって、静電容量の変化を検出することで、センサシート(誘電層)の変形量を検出することができる。
上記静電容量の変化は、後述するように計測装置と接続して静電容量型センサとすることで測定することできる。
本実施形態に係る検出部を1つ備えたセンサシートを用いた静電容量型センサでは、センサシートの変形量を検出することができるため、例えば、上記センサシートを測定対象物に貼り付けることにより、測定対象物表面の変形量を計測することができる。
(第2実施形態:複数の検出部を備えるセンサシート)
図2(a)は、本発明のセンサシートの一例を模式的に示す平面図であり、(b)は、(a)に示したセンサシートのB−B線断面図である。
図2(a)、(b)に示すように、本発明のセンサシート1は、シート状の誘電層2と、誘電層2の表面(おもて面)に積層された複数列の帯状の表側電極層01A〜16Aと、誘電層2の裏面に積層された複数列の帯状の裏側電極層01B〜16Bと、表側電極層01A〜16Aの一端に設けられた外部配線と接続するための表側接続部01A1〜16A1と、裏側電極層01B〜16Bの一端に設けられた外部配線と接続するための裏側接続部01B1〜16B1とを備える。
上記表側電極層と上記裏側電極層とが誘電層2を挟んで対向する部分が検出部C0101〜C1616となる。なお、検出部の符号「C○○△△」中、上2桁の「○○」は表側電極層01A〜16Aに対応し、下2桁の「△△」は裏側電極層01B〜16Bに対応する。
複数列の表側電極層01A〜16Aの各列は、それぞれ帯状を呈しており、誘電層2の表面に合計16本積層されている。表側電極層01A〜16Aは、それぞれX方向(図2(a)中、左右方向)に延在している。表側電極層01A〜16Aは、それぞれY方向(図2(a)中、上下方向)に所定間隔ごとに離間して、互いに略平行となるように配置されている。
複数列の裏側電極層01B〜16Bの各列は、それぞれ帯状を呈しており、誘電層2の裏面に合計16本積層されている。裏側電極層01B〜16Bは、それぞれ表側電極層01A〜16Aと表裏方向(誘電層の厚さ方向)から見て略直角で交差する(直交する)ように配置されている。即ち、裏側電極層01B〜16Bは、それぞれY方向に延在している。また、裏側電極層01B〜16Bは、X方向に所定間隔ごとに離間して、互いに略平行となるように配置されている。
検出部C0101〜C1616は、表側電極層01A〜16Aと、裏側電極層01B〜16Bとが誘電層を挟んで対向する部分(誘電層の厚さ方向で重複する部分)である。検出部C0101〜C1616は、センサシート1では、合計256個(=16個×16個)配置されており、かつ、センサシート1の略全面に亘って、略等間隔に配置されている。
表側電極層01A〜16A及び裏側電極層01B〜16Bをこのように配置することにより、測定対象物の変形の位置及び大きさを測定するに際し、電極層の配置数及び電極配線数を少なくすることができる。即ち、上記態様の場合、検出部が効率良く配置されていることとなる。
図2に示した例では、表側電極層と裏側電極層とが誘電層を挟んで対向している検出部が、16×16=256で256箇所存在するが、256箇所の検出部をそれぞれ独立して形成した場合には、各検出部につき表側電極と裏側電極とが存在するため、検出部の静電容量を検出するためには256×2で512本の配線が必要となる。これに対して、図2に示した例のように、表側電極層及び裏側電極層のそれぞれが、平行に配置された複数列の帯状体からなり、この表側電極層及び裏側電極層の各列が誘電層の厚さ方向(誘電層の表裏方向)に見て略直交するように配置されている場合には、各検出部の静電容量を検出するための配線が16+16の32本で済む。そのため、上記の通り検出部が効率良く配置されていることとなる。
このような構成を備えたセンサシートは、後述するように計測装置と接続して静電容量型センサとし、各16本の配線をそれぞれ外部の切替回路で切り替えることで、256箇所の検出部を1箇所ずつ切り替えながら各検出部の静電容量を測定することができる。
そして、各検出部の静電容量に基づき、センサシート内の変形歪み量は勿論のこと、センサシート内の変形歪み分布や変形歪み位置等の情報を検知することができる。
このように、本発明のセンサシートは、検出部を1つだけ備えたセンサシートであってもよいし、複数の検出部を備えたセンサシートであってもよい。
勿論、本発明のセンサシートにおいて、検出部の数や配置は図1、2に示したものに限定されるわけではなく、センサシートの使用目的や要求特性に応じて、適宜選択すればよい。
また、センサシートの平均厚み、幅及び長さ等の外観形状もまた特に限定されず、センサシート1の使用目的や要求特性に応じて適宜選択すればよい。
本発明のセンサシートは、一軸引張りに耐えられる伸長率が100%以上であることが好ましく、200%以上であることがより好ましい。
上記センサシートでは、誘電層がポリエーテルポリオールをポリオール成分とし、HDI系ポリイソシアネートをイソシアネート成分とするウレタンゴムを含有するエラストマー組成物からなるため、上記一軸引張りに耐えられる伸長率が大きくなり、この伸長率が大きくなることで、柔軟な測定対象物の変形や動作に対する追従性が向上し、正確にかつ広い測定レンジで静電容量の変化を測定することができる。
なお、本発明において、一軸引張りに耐えられる伸長率とは、JIS K 7312に準拠した引張試験において、破断時伸び以下の伸長率であって、かつ、引張荷重を開放後元の状態に復元する伸長率をいい、例えば、一軸引張りに耐えられる伸長率が100%であるとは、一軸方向に100%伸長させた際に破断に至らず、かつ、引張荷重を開放した後に元の状態に復元する(即ち、弾性変形範囲にある)ことを意味する。
このようなセンサシートは、上記センサシートが備える表側電極層及び裏側電極層のそれぞれを外部配線を介して計測装置と接続することにより静電容量型センサとして使用することができる。
上記センサシートと計測装置とが外部配線を介して接続された静電容量型センサもまた本発明の1つである。
上記計測装置は、上記誘電層の変形に応じて変化する上記検出部の静電容量Cを測定する機能を有する。上記静電容量Cを測定する方法としては従来公知の方法を用いることができ、例えば、LCRメータや自動平衡ブリッジ回路のような交流信号でのインピーダンスを計測して静電容量を計測する方法、シュミットトリガ発振回路を用いる方法、シュミットトリガ発振回路とF/V変換回路を組み合わせて用いる方法、反転増幅回路を利用したCV変換回路を用いる方法、半波倍電圧整流回路を利用したCV変換回路を用いる方法等を用いることができる。上記計測装置は、そのために必要となる静電容量測定回路、演算回路、増幅回路、電源回路等を備えている。
上記静電容量Cを測定する方法としては、交流インピーダンスを用いた測定方法が好ましい。交流インピーダンスを用いた測定方法では、高い周波数信号を用いた測定でも繰返し精度に優れ、高い周波数信号を用いることで、インピーダンスが大きくなり過ぎないため計測精度をより高めることができるばかりでなく、静電容量計測に要する時間を短縮することができ、センサとしては時間あたりの計測回数を増加させることが可能となる。そのため、例えば、測定対象物の歪み(変形)を時間分解して計測することで、動きの速さ(変形の速さ)なども測定することができる。
更に、上記計測装置は、測定した静電容量の変化を表示する表示部や、静電容量の変化を記憶するための記憶部を備えていてもよく、そのために必要となるモニター、演算回路、増幅回路、RAM、ROM、HDD等を備えていてもよい。
上記表示部を備えることにより静電容量の変化(測定対象物の変形歪み量)をリアルタイムで確認することができる。また、上記記憶部を備えることにより、測定対象物の変形歪みデータを蓄積し、本発明の静電容量型センサに用途に合わせて蓄積されたデータを後から利用することができる。
図3は、図2に示したセンサシート1を用いた静電容量型センサの一例を示す平面図である。
図3に示す静電容量型センサ201は、図2に示したセンサシート1と、外部配線202及び203と、計測装置204とからなる。
センサシート1の表側接続部01A1〜16A1のそれぞれは、複数(16本)の配線が結束された外部配線203を介して計測装置204と接続されている。また、裏側接続01B1〜16B1のそれぞれは、複数(16本)の配線が結束された外部配線202を介して計測装置204と接続されている。
計測装置204は、上述したように、検出部の静電容量を測定するための各種回路や、表示部、記憶部等を必要に応じて備えている。
なお、外部配線は、図3に示すように表側電極層及び裏側電極層を構成する各帯状体の片端にのみ接続されていればよいが、場合によっては両端に接続されていても良い。
以下、上記センサシートの各構成部材について説明する。
<誘電層>
上記誘電層は、シート状であり、エラストマー組成物からなる。なお、その平面視形状は特に限定されず、図1、2に示すように矩形状であってもよいし、円形状等の他の形状であってもよい。
上記エラストマー組成物は、ポリエーテルポリオールをポリオール成分とし、HDI系ポリイソシアネートをイソシアネート成分とするウレタンゴムを含有する。
このようなウレタンゴムを用いることにより、他のポリオール成分やイソシアネート成分を用いたウレタンゴムを用いる場合に比べて、高い伸長率を有し、かつ、引張永久ひずみ及び残留ひずみが小さいため繰り返し変形させた際の信頼性に優れる誘電層となる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、ポリプロピレンテトラオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレントリオール、これらを合成するための環状エーテル等のモノマー材料を共重合させて得た共重合体等のポリアルキレングリコール、これらに側鎖を導入したり分岐構造を導入したりした誘導体、変性体、さらにはこれらの混合物等が挙げられる。
これらのなかでは、ポリテトラメチレングリコールが好ましい。その理由は、機械的特性が優れるためである。
上記ポリエーテルポリオールとしては、市販品を使用することもできる。市販品の具体例としては、例えば、PTG−2000SN(保土谷化学工業社製)、ポリプロピレングリコール、プレミノールS3003(旭硝子社製)、パンデックスGCB−41(DIC社製)等が挙げられる。
上記ポリエーテルポリオールは、数平均分子量(Mn)が1800〜2200であることが好ましい。この範囲にあれば、引張永久ひずみ及び残留ひずみを小さくするのにより適しているからである。一方、数平均分子量が小さすぎると、破断時伸びが低下することがあり、また、数平均分子量が大きすぎると、引張永久ひずみや、残留ひずみを小さく抑えることが困難になることがある。
上記HDI系ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)又はその変性体であり、分子内に複数のイソシアネート基を有する化合物である。
上記ヘキサメチレンジイソシアネートの変性体としては、具体的には、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートをイソシアヌレート変性したもので、平均官能基数が2.5〜3.5のもの等が挙げられる。
また、上記ウレタンゴムは、上記ポリオール成分及び上記イソシアネート成分以外に、更に必要に応じて、鎖延長剤、架橋剤、触媒、加硫促進剤等を含有する混合物を反応させて得られたものでも良い。
上記エラストマー組成物は、更に可塑剤を含有することが好ましい。
可塑剤を配合することにより、誘電層における残留ひずみをより小さくすることができる。その結果、本発明のセンサシートは、大きな変形(高い伸長率での変形)を伴うような測定を繰り返し行ったとしても、繰り返し測定時に測定精度が低下することがなく、高精度で長期間繰り返し測定を行うことができる。
上記可塑剤としては特に限定されず、従来公知の可塑剤を使用することができ、その具体例としては、例えば、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)等のジアルキルフタレート;ジオクチルアジペート(DOA)等のジアルキルアジペート;ジオクチルセバケート(DOS)等のジアルキルセバケート;トリス(2−エチルヘキシル)トリメリテート等のトリメリット酸エステル;アルキル置換ジフェニルエーテル等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上併用してもよい。
これらのなかでは、ジオクチルセバケート(DOS)が好ましい。残留ひずみを低減させるのに特に適しているからである。
上記可塑剤の含有量は、ウレタンゴム100重量部に対して、10〜40重量部が好ましい。10重量部未満では、残留ひずみを低減させる効果が小さく、一方、40重量部を超えると、使用時に可塑剤がブリードアウトするおそれがある。より好ましい配合量は、30〜40重量部である。
上記エラストマー組成物は、上記ウレタンゴムや可塑剤以外に、酸化防止剤、老化防止剤、着色剤等の添加剤、誘電フィラー等を含有してもよい。
上記誘電層の平均厚さは、静電容量Cを大きくして検出感度の向上を図る観点、及び、測定対象物への追従性の向上を図る観点から、10〜1000μmであることが好ましく、30〜200μmであることがより好ましい。
上記誘電層の常温における比誘電率は、2以上が好ましく、5以上がより好ましい。誘電層の比誘電率が2未満であると、静電容量Cが小さくなり、静電容量型センサとして充分な感度が得られないおそれがある。
上記誘電層のヤング率は、0.1〜1MPaであることが好ましい。ヤング率が0.1MPa未満であると、誘電層が軟らかすぎ、高品質な加工が難しく、充分な測定精度が得られないことがある。一方、ヤング率が1MPaを超えると、誘電層が硬すぎ、測定対象物の変形荷重が小さい場合に測定対象物の変形動作を阻害してしまい、計測目的に対して計測結果がそぐわないおそれがある。
上記誘電層の硬さは、JIS K 7312に準拠したスプリング硬さ試験のタイプCの硬さで、10〜55°が好ましく、20〜45°がより好ましい。
上記硬さが10°未満では、誘電層が軟らかすぎるため高品質な加工が難しく、充分な測定精度を確保することができない場合があり、一方、55°を超えると、誘電層が硬すぎるため、測定対象物の変形荷重が小さい場合に測定対象物の変形動作を阻害してしまい、計測目的に対して測定結果がそぐわないおそれがある。
上記誘電層は、JIS K 7312に準拠した引張試験における切断時伸びが400%以上であることが好ましい。
上記破断時伸びが400%未満では、200%の伸長率で繰り返し伸長させた際に耐久性に劣り、破断にするおそれがある。
一方、上記破断時伸びの上限は特に限定されず大きくても構わないが、ポリエーテルポリオールをポリオール成分とし、HDI系ポリイソシアネートをイソシアネート成分とするウレタンゴムの場合、通常、その上限は1100%程度である。
上記誘電層は、JIS K 7312に準拠した引張永久ひずみ試験における引張永久ひずみ率が1.0%以下であることが好ましい。
上記引張永久ひずみ率が1.0%を超えると、誘電層を繰り返し変形させた際の測定精度が低下することがある。
上記誘電層は、下記の方法で測定した残留ひずみ値が、10%以下であることが好ましい。まず、上記残留ひずみ値の測定方法について説明する。
上記残留ひずみ値の測定は、引張速さを200mm/minとした以外はJIS K 7312における引張ヒステリシス損失試験と同様の方法を用いて、試験片を伸び100%に達するまで引っ張り、直後に同じ速さで荷重を0まで戻す変形を1回行い、荷重を0に戻した際の変形ひずみ量(伸び量)を算出する(単位:%)ことにより行った。
このような測定方法を用いて残留ひずみ値を測定することにより、短時間で変形した際の残留ひずみ量の大小を評価することができる。そして、上記残留ひずみ値が小さい場合には、誘電層が短時間で伸縮変形した際に誘電層にひずみが残りにくいことを意味する。そのため、上記残留ひずみ値の小さい誘電層を用いたセンサシートは、応答性により優れたセンサシートとなる。
上記残留ひずみ値は、5%以下であることがより好ましい。
<表側電極層/裏側電極層>
電極層(表側電極層及び裏側電極層)は、ともにカーボンナノチューブを含有する導電性組成物からなる。そのため、上記電極層では、誘電層の変形に合わせて大きく変形しても電極層に導電性の増加やバラツキが発生しにくい。
上記表側電極層及び裏側電極層は通常同一の導電性組成物を用いて形成されるが、必ずしも同一の組成の導電性組成物を用いる必要はない。
上記カーボンナノチューブとしては公知のカーボンナノチューブを使用することができる。上記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ(SWNT)であってもよいし、また、2層カーボンナノチューブ(DWNT)又は3層以上の多層カーボンナノチューブ(MWNT)であってもよい(本明細書では、両者を合わせて単に多層カーボンナノチューブと称する)。更には、層数の異なるカーボンナノチューブを2種以上併用してもよい。
また、各カーボンナノチューブの形状(平均長さや繊維径、アスペクト比)も特には限定されず、センサシートの使用目的や、センサシートに要求される導電性や耐久性、更には電極層を形成するための処理や費用を総合的に判断して適宜選択すればよい。
上記カーボンナノチューブの平均長さは、10μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましい。
繊維長さが長いカーボンナノチューブを用いて形成された電極層は、導電性に優れ、誘電層の変形に追従して変形した際(特に伸長した際)に電気抵抗がほとんど増大せず、更に、繰り返し伸縮しても電気抵抗のバラツキが小さい、との優れた特性を有する。
これに対し、カーボンナノチューブの平均長さが10μm未満では、電極層の変形に伴って電気抵抗が増大したり、電極層を繰返し伸縮させた際に電気抵抗のバラツキが大きくなったりする場合がある。特に、センサシートの変形量が大きくなった場合にこのような不都合が発生しやすくなる。
一方、上記カーボンナノチューブの平均長さの好ましい上限は1000μmである。平均長さが1000μmを超えるカーボンナノチューブは、現時点では、その製造、入手が困難であり、また、後述するように、カーボンナノチューブの分散液を塗布して電極層を形成する場合に、カーボンナノチューブの分散性が不充分なため導電パスが形成されにくく、結果的に電極層の導電性が不充分となることが懸念されるからである。
上記カーボンナノチューブの平均長さの下限は100μmが好ましく、上限は600μmが好ましい。上記カーボンナノチューブの平均長さが上記範囲内にあると、導電性に優れ、伸長時に電気抵抗がほとんど増大せず、繰り返し伸縮時に電気抵抗のバラツキが小さい、との優れた特性を高いレベルでより確実に確保することができる。
上記カーボンナノチューブの繊維長さは、カーボンナノチューブを電子顕微鏡で観察し、その観察画像から測定すればよい。
また、その平均長さは、例えば、カーボンナノチューブの観察画像から無作為に選んだ10箇所のカーボンナノチューブの繊維長さに基づき平均値を算出すればよい。
上記カーボンナノチューブの平均繊維径は特に限定されないが、0.5〜30nmが好ましい。上記繊維径が0.5nm未満では、カーボンナノチューブの分散が悪くなり、その結果、導電パスが広がらず、電極層の導電性が不充分になることがあり、一方、30nmを超えると、同じ重量でもカーボンナノチューブの本数が少なくなり、導電性が不充分になることがある。カーボンナノチューブの平均繊維径は5〜20nmがより好ましい。
上記カーボンナノチューブは、多層カーボンナノチューブの方が単層カーボンナノチューブよりも好ましい。
単層カーボンナノチューブを用いた場合、上述した好ましい範囲の平均長さを有するカーボンナノチューブを用いた場合でも、電気抵抗が高くなったり、伸長時に電気抵抗が大きく増大したり、繰り返し伸縮時に電気抵抗が大きくばらついたりすることがある。
これについては次のように推測している。即ち、単層カーボンナノチューブは、通常、金属性カーボンナノチューブと半導体性カーボンナノチューブとの混合物として合成されるため、この半導体性カーボンナノチューブの存在が、電気抵抗が高くなったり、伸長時に電気抵抗が大きく増大したり、繰り返し伸縮時に電気抵抗が大きくばらついたりする原因となっていると推測している。
なお、金属性カーボンナノチューブと半導体性カーボンナノチューブとを分離し、平均長さの長い金属性の単層カーボンナノチューブを用いれば、平均長さの長い多層カーボンナノチューブを用いた場合と同様の電気特性を備えた電極層を形成することができる可能性があるが、金属性カーボンナノチューブと半導体性カーボンナノチューブとの分離は容易ではなく(特に、繊維長さの長いカーボンナノチューブにおいて)、両者の分離には煩雑な作業が必要となるため、電極層を形成する際の作業容易性、及び、経済性の観点からも上述した通り、上記カーボンナノチューブとしては多層カーボンナノチューブが好ましい。
上記カーボンナノチューブは、炭素純度が99重量%以上であることが好ましい。カーボンナノチューブは、その製造工程において、触媒金属や分散剤等が含まれることがあり、このようなカーボンナノチューブ以外の成分(不純物)を多量に含有するカーボンナノチューブを用いた場合、導電性の低下や、電気抵抗のバラツキを引き起こすことがある。
上記カーボンナノチューブの製造方法は特に限定されず、従来公知の製造方法で製造されたものであればよいが、基板成長法により製造されたものが好ましい。
基板成長法は、CVD法の1種であり、基板上に塗布した金属触媒に炭素源を供給することで成長させてカーボンナノチューブを製造する方法である。基板成長法は、比較的繊維長さが長く、かつ、繊維長さの揃ったカーボンナノチューブを製造するのに適した製造方法であるため、本発明で使用するカーボンナノチューブとして適している。
上記カーボンナノチューブが基板製造法により製造されたものである場合、カーボンナノチューブの繊維長さは、CNTフォレストの成長長さと実質的に同一であり、電子顕微鏡を用いて繊維長さを測定する場合は、CNTフォレストの成長長さを測定すればよい。
上記導電性組成物は、カーボンナノチューブ以外に、例えば、バインダー成分を含有していてもよい。
上記バインダー成分はつなぎ材料として機能し、上記バインダー成分を含有させることにより、誘電層との密着性、及び、電極層自体の強度を向上させることができ、更に、後述の方法で電極層を形成する際にカーボンナノチューブの飛散を抑制することができるため、電極層形成時の安全性も高めることができる。
上記バインダー成分としては、例えば、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ポリスチレン、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、アクリルゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)等が挙げられる。
また、上記バインダー成分としては、生ゴム(天然ゴム及び合成ゴムの加硫させていない状態のもの)も使用することができ、このように比較的弾性の弱い材料を用いることで、誘電層の変形に対する電極層の追従性も高めることができる。
上記バインダー成分は、特に、誘電層を構成するエラストマーと同種のものが好ましい。誘電層と電極層との密着性を顕著に向上させることができるからである。
上記導電性組成物は、カーボンナノチューブ及びバインダー成分以外に、更に各種添加剤を含有してもよい。上記添加剤としては、例えば、カーボンナノチューブの分散性を高めるための分散剤、バインダー成分のための架橋剤、加硫促進剤、加硫助剤、更には、老化防止剤、可塑剤、軟化剤、着色剤等が挙げられる。
上記センサシートでは、電極層が実質的にカーボンナノチューブのみで形成されていてもよい。この場合も誘電層との間で充分な密着性を確保することができる。カーボンナノチューブと誘電層とはファンデルワールス力等により強固に密着する。
上記電極層中のカーボンナノチューブの含有量は導電性が発現する濃度であれば特に限定されず、バインダー成分を含有する場合にはバインダー成分の種類によっても異なるが、電極層の全固形成分に対して0.1〜100重量%であることが好ましい。
また、カーボンナノチューブの含有量を高めれば、電極層の導電性を向上させることができる。そのため、電極層を薄くしても要求される導電性を確保することができ、その結果、電極層を薄くしたり、電極層の柔軟性を確保したりすることがより容易になる。
上記電極層の平均厚さは、0.1〜10μmであることが好ましい。電極層の平均厚さが上記範囲にあることで、電極層が誘電層の変形に対してより優れた追従性を発揮することができる。
一方、上記平均厚さが0.1μm未満では、導電性が不足し、センサとしての測定精度が低下するおそれがあり、10μmを超えるとカーボンナノチューブの補強効果によりセンサシートが硬くなり、センサシートの伸縮性が低下することがある。
本発明において、「電極層の平均厚さ」はレーザー顕微鏡(例えば、キーエンス社製、VK−9510)を用いて測定することができる。具体的には、例えば、誘電層の表面に形成された電極層の厚さ方向を0.01μm刻みでスキャンし、その3D形状を測定した後、誘電層上の電極層が積層されている領域及び積層されていない領域において、それぞれ縦200×横200μmの矩形領域の平均高さを計測し、その平均高さの段差を電極層の平均厚さとすればよい。
(他の実施形態)
本発明のセンサシートの構成は、図1、2に示したセンサシートの構成に限定されるわけではない。
具体的には、例えば、図2に示したセンサシートにおいても、その表側及び/又は裏側に保護層が形成されていてもよい。
また、例えば、図2に示した実施形態におけるセンサシート1では、表側電極層01A〜16A及び裏側電極層01B〜16Bの配置数を16個としているが、この配置数は特に限定されない。また、上記実施形態における表側電極層01A〜16Aと裏側電極層01B〜16Bの交差角度も特に限定されない。
次に、本発明のセンサシートを製造する方法について説明する。
上記センサシートは、例えば、
(1)エラストマー組成物からなる誘電層を形成する工程(以下、「工程(1)」ともいう)、及び、
(2)カーボンナノチューブ等の導電性材料及び分散媒を含む組成物の塗布により、上記誘電層の表面及び裏面に電極層を形成する工程(以下、「工程(2)」ともいう)
を経ることより製造することができる。以下、工程順に説明する。
[工程(1)]
本工程では、エラストマー組成物からなる誘電層を形成する。まず、エラストマー組成物として、上記ウレタンゴム(又はその原料)に、必要に応じて、誘電フィラー、可塑剤、鎖延長剤、架橋剤、加硫促進剤、触媒、酸化防止剤、老化防止剤、着色剤等の添加剤をそれぞれ適宜のタイミングで配合してエラストマー組成物を調製する。
上記誘電層の成形方法としては特に限定されず、原料組成物を調製した後、従来公知の方法で成形することにより誘電層を形成することができる。
具体的には、例えば、ポリオール成分、可塑剤及び酸化防止剤を計量し、加熱、減圧下において一定時間撹拌混合し、混合液を調製する。次に、混合液を計量し、温度を調整した後、触媒を添加しアジター等で撹拌する。その後、所定量のイソシアネート成分を添加し、アジター等で撹拌後、即座に混合液(原料組成物)を図4に示す成形装置に注入し、保護フィルムでサンドイッチ状にして搬送しつつ架橋硬化させ、保護フィルム付きの所定厚みのロール巻シートを得る。その後、さらに炉で一定時間架橋反応させることで誘電層を製造することができる。
図4は、誘電層の作製に使用する成形装置の一例を説明するための模式図である。
図4に示した成形装置40では、原料組成物43を、離間して配置された一対のロール42、42から連続的に送り出されるポリエチレンテレフタレート(PET)製の保護フィルム41の間隙に流し込み、その間隙に原料組成物43を保持した状態で硬化反応(架橋反応)を進行させつつ、加熱装置44内に導入し、原料組成物43を一対のPETフィルム41間で保持した状態で熱硬化させ、シート状の誘電層45を成形する。
また、原料組成物を調製した後、各種コーティング装置、バーコート、ドクターブレードなどの汎用の成膜装置や成膜方法を用いて誘電層を形成してもよい。
[工程(2)]
本工程では、導電性材料及び分散媒を含む組成物の塗布により、上記誘電層の表面及び裏面に電極層を形成する。
まず、カーボンナノチューブを分散媒に添加する。このとき、必要に応じてバインダー成分(又はバインダー成分の原料)や分散剤、その他各種添加剤を添加してもよい。
次に、カーボンナノチューブを含む各成分を湿式分散機を用いて分散媒中に分散(又は溶解)させることより塗布液を調製する。ここでは、例えば、超音波分散機、ジェットミル、ビーズミルなど既存の分散機を用いて分散させればよい。
上記分散媒としては、例えば、メチルイソブチルケトン(MIBK)、トルエン、アルコ−ル類、水等を用いることができる。これらの分散媒は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
また、上記塗布液において、上記カーボンナノチューブの濃度は、0.01〜10重量%とすることが好ましい。0.01重量%未満では、カーボンナノチューブの濃度が薄すぎて繰返し塗布する必要が生じる場合があり、一方、10重量%を超えると、塗布液の粘度が高くなりすぎ、また再凝集によりカーボンナノチューブの分散性が低下し、均一な電極層を形成することが困難となる場合がある。
続いて、エアブラシ等を用い、上記誘電層の表面の所定の位置に調製した塗布液を塗布して乾燥させる。このとき、必要に応じて、誘電層表面の電極層を形成しない位置をマスキングしてから塗布液を塗布してもよい。
上記塗布液の乾燥条件は特に限定されず、分散媒の種類等に応じて適宜選択すればよい。
上記塗布液を塗布する方法は、エアブラシを用いた方法に限定されるわけではなく、その他、スクリーン印刷法、インクジエット印刷法等も採用することができる。
また、カーボンナノチューブとともにバインダー成分を含有する電極層を形成する場合には、最初にカーボンナノチューブ及び分散媒を含み、バインダー成分は含有しない組成物を塗布し乾燥させ、その後、バインダー成分(又はその原料)及び分散媒を含有する塗布液を塗布し乾燥させることで電極層を形成してもよい。
この場合、バインダー成分(又はその原料)を分散させるための分散媒として、カーボンナノチューブを分散させるための分散媒とは異なる分散媒を使用することができるため、分散媒の選択の制約が少なく、バインダー成分(又はその原料)が確実に分散された塗布液を調製することができる。
上記バインダー成分を分散させるための分散媒としては、上述したカーボンナノチューブを分散させる分散媒以外に、例えば、ヘキサン、アセトン、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
また、上記工程(2)を終えた後、必要に応じて保護層を形成してもよい。
上記保護層の形成は、例えば、上記(1)の工程と同様の方法を用いてエラストマー組成物からなるシート状物を作製した後、所定のサイズに裁断し、それをラミネートすること等により行えばよい。
また、保護層を備えたセンサシートを作製する場合は、裏側の保護層から出発し、その上に順次構成部材(裏側電極層、誘電層、表側電極層、表側保護層)を積層することにより、センサ素子を作製してもよい。
このような工程を経ることにより本発明のセンサシートを製造することができる。
本発明のセンサシートでは、誘電層が変形する際にその前後で静電容量Cを測定し、その測定結果から変形前後の静電容量の変化量ΔCを算出することで、変形時のセンサシートの変形歪み量を測定することができる。そのため、本発明のセンサシートは、例えば、測定対象物の変形量を求めるための静電容量型センサに用いることができる。
また、上記センサシートが複数の検出部を備える場合には、測定対象物の変形歪み分布を求めるための静電容量型センサに用いることもできる。
本発明のセンサシートを用いた静電容量型センサは、例えば、エキスパンダーやリハビリチューブ、ゴムボール等の伸縮物や、クッションや靴底インナー等の柔軟物などを測定対象物とし、この測定対象物にセンサシートを貼り付けて、測定対象物に変形を計測するためのセンサとして使用することができる。
また、本発明の静電容量型センサは、例えば、人等の動物を測定対象物とし、その動きを計測するセンサ等として使用することができる。具体的には、例えば、関節、橈骨動脈や頚動脈等の脈が触れるところ、手の平や手の甲、足の裏や足の甲、胸部や腹部、頬や口の周囲など身体表面の任意の箇所にセンサシートを貼り付けて使用することで、身体表面の変形(動き)を計測するためのセンサとして使用することができる。
また、本発明の静電容量型センサは、例えば、衣服を着用して、その衣服の表面にセンサシートを貼り付けて使用することで、衣服の変形(伸縮)の仕方や、衣服の身体に対する追従性を計測するためのセンサとして使用することもできる。
また、本発明の静電容量型センサは、例えば、ユーザーが能動的にセンサシートを変形させてもよい。その場合、上記静電容量型センサは、ユーザーの意志を反映した情報を静電容量の変化に基づいて作製し、その情報を発信するための装置に使用することもできる。
また、本発明の静電容量型センサにおいて、センサシートが多数の検出部を備える場合、上記静電容量型センサは、測定対象物がセンサシートに接触した状態で移動した際の位置情報を検出するためのセンサとして使用することができる。更に、例えば、タッチパネル用の入力インターフェイスとしても使用することができる。
なお、本発明の静電容量型センサは、既存のセンサである光学式のモーションキャプチャーでは測定できない光の遮蔽部位での測定にも利用することが可能である。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)ポリエーテルポリオール(パンデックスGCB−41、DIC社製)100重量部、触媒(Fomrez catalyst UL−28、Momentive社製)0.05重量部を計量し、自転公転ミキサー(泡取り練太郎ARE−310、THINKY社製)により2000rpmで1.5分間撹拌した。得られた混合物に、HDI系ポリイソシアネート(パンデックスGCA−11、DIC社製)16.52重量部を添加し、自転公転ミキサー(泡取り練太郎ARE−310)を用いて2000rpmで1.5分間撹拌混合し、3分間脱泡し、誘電層用の原料組成物を調製した後、これを図4に示した成形装置40に注入し、保護フィルム41でサンドイッチ状にして搬送しつつ、炉内温度70℃、炉内時間30分間の条件で架橋硬化させ、保護フィルム付きの所定厚みのロール巻シートを得た。その後、70℃に調節した炉で12時間後架橋させ、ウレタンゴムからなる厚さ50μmのシート状物を得た。
(2)上記工程(1)とは別にカーボンナノチューブ分散液を調製した。
即ち、基板成長法により製造した多層カーボンナノチューブである、大陽日酸社製の高配向カーボンナノチューブ(層数4〜12層、繊維径10〜20nm、繊維長さ150〜300μm、炭素純度99.5%)50mgと、イソプロピルアルコール(IPA)49.5gとを計量、混合し(カーボンナノチューブ濃度:0.1重量%)、更に、10分間の超音波処理と、ジェットミル(ナノジェットパル JN10−SP003、常光社製)を用いた湿式分散処理(条件:吐出圧力60MPa、パス回数1パス)とを行い、その後、分散液を50gのイソプロピルアルコール(IPA)で希釈し、カーボンナノチューブ分散液10倍に希釈して濃度0.01重量%のカーボンナノチューブ分散液を得た。
(3)次に、図5(a)〜(d)に示した作製工程を経てセンサシートを作製した。
(3−1)上記工程(1)で作製したシート状物を20mm×74mm×厚さ50μmに裁断し、裏側保護層126Bとした。この裏側保護層126Bの片面(表面)に、離型処理されたPETフィルムに所定の形状の開口部が形成されたマスク(図示せず)を貼り付けた。上記マスクには、裏側電極層及び裏側配線に相当する開口部が設けられており、開口部のサイズは、裏側電極層に相当する部分が幅16mm×長さ60mm、裏側配線に相当する部分が幅5mm×長さ10mmである。
(3−2)次に、上記(2)の工程で調製したカーボンナノチューブ分散液4gを10cmの距離からエアブラシを用いて塗布し、自然乾燥後、100℃で30分間加熱乾燥させ、裏側電極層123B及び裏側配線124Bを形成した。その後、マスクを剥離した(図5(a)参照)。なお、エアブラシとしては、エアテックス社製KIDS−102を使用し、ノズルは完全に閉じた状態から1回転分のみ解放して塗布を行った。
(3−3)次に、裏側電極層123Bの全体及び裏側配線124Bの一部を被覆するように、誘電層122を裏側保護層126B上に貼り合わせることにより積層した。
誘電層122は、上記工程(1)で作製したシート状物を20mm×74mm×厚さ50μmに裁断し、更に、角部の一か所を10mm×7mm×厚さ50μmのサイズで切り落とすことにより作製した。
(3−4)次に、誘電層122に表側に、裏側電極層123B及び裏側配線124Bの形成と同様の方法を用いて、表側電極層123A及び表側配線124Aを形成した(図5(b)参照)。
(3−5)次に、表側電極層123A及び表側配線124Aを形成した誘電層122の表側に、表側電極層123Aの全体及び表側配線124Aの一部を被覆するように表側保護層126Aをラミネートにより積層した。なお、表側保護層126Aは、上記工程(1)で作製したシート状物を20mm×67mm×厚さ50μmに裁断して作製した。
更に、表側配線124A及び裏側配線124Bのそれぞれの端部に導電接着剤付き銅箔テープを取り付けて、表側接続部125A及び裏側接続部125Bとした(図5(c)参照)。その後、表側接続部125A及び裏側接続部125Bに外部配線となるリード線130を半田で固定した。
(3−6)次に、表側接続部125A及び裏側接続部125Bの裏側保護層126B上に位置する部分に、厚さ100μmのPETフィルム128をアクリル粘着テープ(3M社製、Y−4905(厚さ0.5mm))127を介して貼り付けて補強した。
更に、PETフィルム128の誘電層122を挟んだ反対側にも、同様のPETフィルム129を裏側保護層のタックを利用して貼り付け、センサシート121を作製した(図5(d)参照)。
(実施例2)
下記の方法で作製したウレタンゴムのシート状物を使用して、誘電層及び保護層を形成した以外は、実施例1と同様にしてセンサシートを作製した。
ポリエーテルポリオール(パンデックスGCB−41)100重量部に、可塑剤(ジオクチルセバケート(DOS)、株式会社ゴードー社製)40重量部、触媒(UL−28)0.05重量部を計量し、自転公転ミキサー(THINKY社製、以下の実施例及び比較例でも同様)を用いて2000rpmで3分間撹拌混合した。次に得られた混合物にHDI系ポリイソシアネート(パンデックスGCA−11)17.62重量部を添加し、自転公転ミキサーを用いて2000rpmで1.5分間撹拌混合し、3分間脱泡し、誘電層用の原料組成物を調製した後、これを図4に示した成形装置40に注入し、保護フィルム41でサンドイッチ状にして搬送しつつ、炉内温度70℃、炉内時間30分間の条件で架橋硬化させ、保護フィルム付きの所定厚みのロール巻シートを得た。その後、70℃に調節した炉で12時間後架橋させ、ウレタンゴムからなるシート状物を作製した。
(実施例3)
下記の方法で作製したウレタンゴムのシート状物を使用して、誘電層及び保護層を形成した以外は、実施例1と同様にしてセンサシートを作製した。
ポリエーテルポリオール(PTG−2000SN、保土谷化学工業社製)100重量部、触媒(UL−28)0.07重量部を計量し、自転公転ミキサーにより2000rpmで1.5分間撹拌した。得られた混合物に、HDI系ポリイソシアネート(パンデックスGCA−11)15.26重量部を添加し、自転公転ミキサーを用いて2000rpmで1.5分間撹拌混合し、3分間脱泡し、誘電層用の原料組成物を調製した後、これを図4に示した成形装置40に注入し、保護フィルムでサンドイッチ状にして搬送しつつ、炉内温度70℃、炉内時間30分間の条件で架橋硬化させ、保護フィルム付きの所定厚みのロール巻シートを得た。その後、70℃に調節した炉で12時間後架橋させ、ウレタンゴムからなるシート状物を作製した。
(比較例1)
下記の方法で作製したウレタンゴムのシート状物を使用して、誘電層及び保護層を形成した以外は、実施例1と同様にしてセンサシートを作製した。
ポリエーテルポリオール(パンデックスGCB−41)100重量部に、トリレンジイソシアネート(コロネートT−80、日本ポリウレタン社製)7.04重量部を添加し、自転公転ミキサーを用いて2000rpmで1.5分間撹拌混合し、3分間脱泡し、誘電層用の原料組成物を調製した後、これを図4に示した成形装置40に注入し、保護フィルム41でサンドイッチ状にして搬送しつつ、炉内温度150℃、炉内時間90分間の条件で架橋硬化させ、保護フィルム付きの所定厚みのロール巻シートを得た。その後、80℃に調節した炉で12時間後架橋させ、ウレタンゴムからなるシート状物を作製した。
(比較例2)
下記の方法で作製したウレタンゴムのシート状物を使用して、誘電層及び保護層を形成した以外は、実施例1と同様にしてセンサシートを作製した。
ポリエーテルポリオール(パンデックスGCB−41)100重量部、触媒(UL−28)0.07重量部を計量し、自転公転ミキサーにより2000rpmで1.5分間撹拌した。得られた混合物に、イソホロンジイソシアネート(デスモジュールI、住化バイエルウレタン社製)9.00重量部を添加し、自転公転ミキサーを用いて2000rpmで1.5分間撹拌混合し、3分間脱泡し、誘電層用の原料組成物を調製した後、これを図4に示した成形装置40に注入し、保護フィルムでサンドイッチ状にして搬送しつつ、炉内温度70℃、炉内時間30分間の条件で架橋硬化させ、保護フィルム付きの所定厚みのロール巻シートを得た。その後、70℃に調節した炉で12時間後架橋させ、ウレタンゴムからなるシート状物を作製した。
(比較例3)
下記の方法で作製したウレタンゴムのシート状物を使用して、誘電層及び保護層を形成した以外は、実施例1と同様にしてセンサシートを作製した。
ポリエーテルポリオール(PTG−2000SN)100重量部に、トリレンジイソシアネート(コロネートT−80)7.60重量部を添加し、自転公転ミキサーを用いて2000rpmで1.5分間撹拌混合し、3分間脱泡し、誘電層用の原料組成物を調製した後、これを図4に示した成形装置40に注入し、保護フィルム41でサンドイッチ状にして搬送しつつ、炉内温度150℃、炉内時間90分間の条件で架橋硬化させ、保護フィルム付きの所定厚みのロール巻シートを得た。その後、80℃に調節した炉で12時間後架橋させ、ウレタンゴムからなるシート状物を作製した。
(比較例4)
下記の方法で作製したウレタンゴムのシート状物を使用して、誘電層及び保護層を形成した以外は、実施例1と同様にしてセンサシートを作製した。
ポリエーテルポリオール(PTG−2000SN)100重量部、触媒(UL−28)0.07重量部を計量し、自転公転ミキサーにより2000rpmで1.5分間撹拌した。得られた混合物に、イソホロンジイソシアネート(デスモジュールI)8.32重量部を添加し、自転公転ミキサーを用いて2000rpmで1.5分間撹拌混合し、3分間脱泡し、誘電層用の原料組成物を調製した後、これを図4に示した成形装置40に注入し、保護フィルム41でサンドイッチ状にして搬送しつつ、炉内温度100℃、炉内時間30分間の条件で架橋硬化させ、保護フィルム付きの所定厚みのロール巻シートを得た。その後、70℃に調節した炉で12時間後架橋させ、ウレタンゴムからなるシート状物を作製した。
(比較例5)
下記の方法で作製したウレタンゴムのシート状物を使用して、誘電層及び保護層を形成した以外は、実施例1と同様にしてセンサシートを作製した。
水添水酸基末端液状ポリオレフィンポリオール(エポール、出光興産株式会社製)100重量部、触媒(UL−28)0.07重量部を計量し、自転公転ミキサーにより2000rpmで1.5分間撹拌した。得られた混合物に、HDI系ポリイソシアネート(パンデックスGCA−11)13.76重量部を添加し、自転公転ミキサーを用いて2000rpmで1.5分間撹拌混合し、3分間脱泡し、誘電層用の原料組成物を調製した後、これを図4に示した成形装置40に注入し、保護フィルム41でサンドイッチ状にして搬送しつつ、炉内温度100℃、炉内時間30分間の条件で架橋硬化させ、保護フィルム付きの所定厚みのロール巻シートを得た。その後、70℃に調節した炉で12時間後架橋させ、ウレタンゴムからなるシート状物を作製した。
(比較例6)
下記の方法で作製したウレタンゴムのシート状物を使用して、誘電層及び保護層を形成した以外は、実施例1と同様にしてセンサシートを作製した。
ポリカーボネートポリオール(クラレポリオールC−3090、クラレ社製)100重量部、触媒(UL−28)0.005重量部を計量し、自転公転ミキサーにより2000rpmで1.5分間撹拌した。得られた混合物に、HDI系ポリイソシアネート(パンデックスGCA−11)10.25重量部を添加し、自転公転ミキサーを用いて2000rpmで1.5分間撹拌混合し、3分間脱泡し、誘電層用の原料組成物を調製した後、これを図4に示した成形装置40に注入し、保護フィルム41でサンドイッチ状にして搬送しつつ、炉内温度100℃、炉内時間30分間の条件で架橋硬化させ、保護フィルム付きの所定厚みのロール巻シートを得た。その後、70℃に調節した炉で12時間後架橋させ、ウレタンゴムからなるシート状物を作製した。
(比較例7)
下記の方法で作製したウレタンゴムのシート状物を使用して、誘電層及び保護層を形成した以外は、実施例1と同様にしてセンサシートを作製した。
水添水酸基末端液状ポリオレフィンポリオール(エポール)100重量部、アルキル置換ジフェニルエーテルを主成分とした可塑剤(モレスコハイルーブLB−100、MORESCO社製)100重量部を計量し、自転公転ミキサーを用いて2000rpmで3分間撹拌混合した。次に、得られた混合物に触媒(UL−28)0.07重量部を添加し、自転公転ミキサーにより2000rpmで1.5分間撹拌した。その後、イソホロンジイソシアネート(デスモジュールI)11重量部を添加し、自転公転ミキサーで3分間撹拌し、1.5分間脱泡し、誘電層用の原料組成物を調製した後、これを図4に示した成形装置40に注入し、保護フィルム41でサンドイッチ状にして搬送しつつ、炉内温度110℃、炉内時間30分間の条件で架橋硬化させ、保護フィルム付きの所定厚みのロール巻シートを得た。その後、80℃に調節した炉で12時間後架橋させ、ウレタンゴムからなるシート状物を作製した。
(比較例8)
下記の方法で作製したウレタンゴムのシート状物を使用して、誘電層及び保護層を形成した以外は、実施例1と同様にしてセンサシートを作製した。
ポリカーボネートポリオール(クラレポリオールC−3090)100重量部、触媒(UL−28)0.005重量部を計量し、自転公転ミキサーにより2000rpmで1.5分間撹拌した。得られた混合物に、イソホロンジイソシアネート(デスモジュールI)6.55重量部を添加し、自転公転ミキサーを用いて2000rpmで1.5分間撹拌混合し、3分間脱泡し、誘電層用の原料組成物を調製した後、これを図4に示した成形装置40に注入し、保護フィルム41でサンドイッチ状にして搬送しつつ、炉内温度110℃、炉内時間30分間の条件で架橋硬化させ、保護フィルム付きの所定厚みのロール巻シートを得た。その後、80℃に調節した炉で12時間後架橋させ、ウレタンゴムからなるシート状物を作製した。
実施例及び比較例で作製した誘電層の組成については表1にまとめて示す。
(誘電層の物性の測定)
実施例及び比較例で作製した各シート状物について、硬さ試験(タイプC硬さ)、引張試験(M50、M100、破断応力、破断時伸び)、及び、引張永久ひずみ試験を行った。これらの測定はいずれもJIS K 7312に準拠して行った。
また、残留ひずみ値の測定(伸び:100%)を行った。なお、残留ひずみ値の測定方法については既に説明した通りである。
更に、各シート状物の比誘電率を測定した。比誘電率は、20mmΦの電極でシート状の測定試料(シート状物)を挟み、LCRハイテスタ(日置電機製、3522−50)を用いて計測周波数1kHzで静電容量を測定し、電極面積と測定試料の厚さから算出した。結果を表2に示した。
(センサシートの信頼性評価)
実施例及び比較例で作製した各センサシートをLCRハイテスタ(日置電機社製、3522−50)にリード線を介して接続し、センサシートを無伸長状態からセンサシートの長手方向に100%伸長させる伸縮を10000回繰り返しながら検出部の静電容量を測定した。このとき、LCRハイテスタの測定条件は、Vol.=1V、Ave.=8、Speed=SLOWとした。
そして、1回のみ伸縮させた後の無伸長状態での検出部の静電容量Cと、n回伸縮させた後の無伸長状態での検出部の静電容量Cとを測定し、その静電容量Cの比(C/C)を算出した。そして、静電容量Cに対する10000回伸縮させた後の無伸長状態での検出部の静電容量C10000の比(C10000/C)を表2に示した。
また、実施例1及び比較例1で算出した上記静電容量Cの比(C/C)と伸縮の繰り返し回数の関係を示す片対数グラフを図6、7に示した。
表2に示した通り、特定のウレタンゴムを用いた誘電層は、平面方向に高い伸長率を有し、引張永久ひずみが小さく、かつ繰り返し変形(伸縮)させても残留ひずみが発生しにくいため、上記誘電層を備えた本発明の静電容量型センサシートは、平面方向に大きく変形する場合にも使用することができ、かつ繰り返し使用した際の信頼性(長期信頼性)にも優れることが明らかとなった。
本発明の静電容量型センサシートは、変形歪み量を計測するための静電容量型センサに用いることができる。
1、101、121 センサシート
2、102、122 誘電層
01A〜16A、103A、123A 表側電極層
01B〜16B、103B、123B 裏側電極層
01A1〜16A1、105A、125A 表側接続部
01B1〜16B1、105B、125B 裏側接続部
C0101〜C1616 検出部
40 成形装置
41 保護フィルム
42 ロール
43 原料組成物
44 加熱装置
45 誘電層
104A、124A 表側配線
104B、124B 裏側配線
106A、126A 表側保護層
106B、126B 裏側保護層
127 アクリル粘着テープ
128 PETフィルム
130 リード線
201 静電容量型センサ
202、203 外部配線
204 計測装置

Claims (4)

  1. 誘電層と前記誘電層の両面に設けられた電極層とを備え、面方向に変形する静電容量型センサに用いられる、絶縁性のシート状物であって、
    ポリエーテルポリオールをポリオール成分とし、HDI系ポリイソシアネートをイソシアネート成分とするウレタンゴムを含有するエラストマー組成物からなる、シート状物。
  2. 前記エラストマー組成物は、可塑剤を含有する請求項1に記載のシート状物。
  3. 請求項1又は2に記載のシート状物を用いた誘電層と、
    前記誘電層の表面に積層された表側電極層と、
    前記誘電層の裏面に積層された裏側電極層とを備え、
    前記表側電極層と前記裏側電極層とは前記誘電層を挟んで少なくとも一部が対向しており、前記表側電極層と前記裏側電極層とが前記誘電層を挟んで対向している部分を検出部とする静電容量型センサシートであって、
    前記表側電極層及び前記裏側電極層は、カーボンナノチューブ及びバインダー成分を含有する導電性組成物からなる、静電容量型センサシート。
  4. 請求項3に記載の静電容量型センサシートが貼り付けられた衣服。
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