JP6554657B2 - 静電容量型センサ、及び、回転角度の測定方法 - Google Patents
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Description
モーションキャプチャは、運動解析に汎用されている手段であり、全身の運動解析を行う場合には有効な手段である。しかしながら、モーションキャプチャによる計測では、大掛かりな設備(例えば、専用スタジオ等)が必要であり、計測可能な場所や空間に制限がある。また、設備が高額である、測定前に煩雑な準備が必要である点で、誰もが容易に測定を行なえるわけではない。また、モーションキャプチャによる計測は、カメラから影になる部分の計測は行うことができないとの欠点があった。
また、デジタル角度計、ゴニオメータ等も用いた計測では、被験者に測定器を取り付けた場合に、被験者の自然な動作を阻害してしまうことがあった。
この特許文献1に記載された静電容量型センサでは、誘電層を拘束部材に固定した状態で誘電層を変形させ、誘電層の厚さの変化に応じた静電容量の変化を計測し、曲げ量を算出している。
また、引用文献1に記載のセンサは、円周角の考えを用いて、曲げ方向と曲げひずみ量との測定を行っている。そのため、測定対象物の曲がりを円弧状であるとしたうえで、その円弧の中心とセンサ(誘電層)の中心との位置合わせを行う必要があり、測定時の位置合わせを厳密に行う必要があり、簡便な測定が困難であった。
エラストマー製の誘電層と、上記誘電層の上面に形成された第1電極層と、上記誘電層の下面に形成された第2電極層とを含み、上記第1電極層及び上記第2電極層の対向する部分を検出部とし、可逆的に変形可能で、かつ、変形に応じて上記検出部の静電容量が変化するセンサシートと、
上記第1電極層及び上記第2電極層に接続され、上記検出部の静電容量を測定する計測部と、
上記検出部の静電容量に基づいて上記測定対象物の回転角度を算出する演算部と
を備え、
上記センサシートを上記測定対象物に貼り付けて使用することを特徴とする。
よって、本発明の静電容量型センサでは、検出部の静電容量に基づいて測定対象物の回転角度を測定することができる。
また、上記センサシートは誘電層がエラストマー製であり、柔軟で伸縮性に富むため、測定対象物の曲げ変形を阻害することなく、測定対象物の回転角度を容易に測定することができる。
また、上記静電容量型センサにおいて、上記測定対象物の回転角度は、生体の関節角度であることが好ましい。
上記第2電極層と上記第3電極層とが電気的に接続された状態で、上記計測部に接続されることが好ましい。
上記センサシートは、エラストマー製の誘電層と、上記誘電層の上面に形成された第1電極層と、上記誘電層の下面に形成された第2電極層とを含み、上記第1電極層及び上記第2電極層の対向する部分を検出部とし、可逆的に変形可能で、かつ、変形に応じて上記検出部の静電容量が変化するセンサシートであり、
上記測定対象物が曲げ変形した際に、上記曲げ変形に伴う上記検出部の静電容量の変化量ΔCを測定する工程と、
上記静電容量の変化量ΔCに基づいて、曲げ変形後の上記測定対象物の回転角度θを算出する工程と
を含むことを特徴とする。
よって、本発明の測定方法では、検出部の静電容量の変化量ΔCに基づいて測定対象物の回転角度を測定することができる。
また、上記センサシートは誘電層がエラストマー製であり、柔軟で伸縮性に富むため、本発明の測定方法によれば、測定対象物の曲げ変形を阻害することなく、測定対象物の回転角度を容易に測定することができる。
θ=aΔC+b
に基づいて算出することが好ましい。
加えて、上記回転角度の測定方法は、測定対象物の回転角度に対応した上記一次関数を求めるために、予めキャリブレーションを行う工程を含むことが好ましい。
本発明の静電容量型センサは、本発明の静電容量型センサは、測定対象物の回転角度の測定に用いられる静電容量型センサであって、
エラストマー製の誘電層と、上記誘電層の上面に形成された第1電極層と、上記誘電層の下面に形成された第2電極層とを含み、上記第1電極層及び上記第2電極層の対向する部分を検出部とし、可逆的に変形可能で、かつ、変形に応じて上記検出部の静電容量が変化するセンサシートと、
上記第1電極層及び上記第2電極層に接続され、上記検出部の静電容量を測定する計測部と、
上記検出部の静電容量に基づいて上記測定対象物の回転角度を算出する演算部と
を備え、
上記センサシートを上記測定対象物に貼り付けて使用することを特徴とする。
図2(a)は、本発明の静電容量型センサを構成するセンサシートの一例を模式的に示す斜視図であり、(b)は、(a)のA−A線断面図である。
計測部3は、静電容量Cを周波数信号Fに変換するためのシュミットトリガ発振回路3a、周波数信号Fを電圧信号Vに変換するF/V変換回路3b、電源回路(図示せず)を備えており、センサシート2の検出部で検出された静電容量Cを周波数信号Fに変換した後、更に電圧信号Vに変換し、演算部4に送信する。なお、後述するように、計測部3の構成はこのような構成に限定されるわけではない。
演算部4は、演算回路4aに加えて、モニター4b、記憶部4cを備えており、計測部3で測定された上記静電容量Cの計測値に基づいて、測定対象回転角度を算出するとともに、静電容量Cの計測値及び算出された回転角度を、モニター4bに表示させたり、記憶部に記録データとして記憶させたりする。演算部4としては、CPU、RAM,ROM,HDD等の記憶部、モニター、各種入出力インターフェイス等を備えたコンピュータを用いることができる。
なお、本発明において、センサシートが備える表側電極層と裏側電極層とは、必ずしも誘電層を挟んでその全体が対向している必要はなく、少なくともその一部が対向していればよい。
また、センサシート2では、表側電極層12Aが第1電極層に、裏側電極層12Bが第2電極層に、それぞれ相当する。
そして、センサシート2の変形に伴い、上記検出部の静電容量が誘電層11の変形量と相関をもって変化する。よって、静電容量の変化を検出することで、センサシート2の変形状態を把握することができる。
また、上記静電容量型センサでは、連続的又は断続的に測定対象物の回転角度を測定することにより、測定対象物の曲げ動作(回転動作)を追跡することができる。
よって、本発明では屈曲運動可能なものが測定対象物となる。
また、このような測定対象物に対して、上記センサシートを上記連結部を覆うように貼り付けて回転角度の測定を行う場合、センサシートの検出部の静電容量と、測定対象物の回転角度とが線形の関係にあるため、簡便、かつ容易に測定対象物の回転角度を計測することができる。これについては後に詳述する。
この場合、測定対象物の回転角度とは、2本のリンク相当部が成す角度をいう。
これらのなかでは、生体の関節角度が好ましい。上記センサシートは、測定対象物の曲げ運動を阻害しないことを特徴の1つとしており、この点で、生体の関節角度の測定との相性が良好だからである。
ここで、例えば、対象となる関節が手首の場合には、手及び前腕が上記リンク相当部に該当し、手首の関節が上記連結部に該当する。また。例えば、対象となる関節が肘である場合には、前腕及び上腕が上記リンク相当部に該当し、肘の関節が上記連結部に該当する。
上記センサシートを生体に貼り付けた状態で、関節を可動させつつ上記検出部の静電容量を測定すると、関節角度の変化に応じて上記検出部の静電容量の値が変化することとなる。そのため、上記静電容量の測定値に基づいて関節角度を算出することができる。
(式中、Cは静電容量[pF]、ε0は真空の誘電率[F/m]、εrは比誘電率、hは電極層の重なっている部分の長さ(長手方向の長さ)[m]、wは電極層の重なっている部分の幅(短手方向の長さ)[m]、dは電極層間の距離(誘電層の厚さ)[m]である。)
となる(ここで、h0は伸長前の長さ、d0は伸長前の距離、W0は伸長前の幅である。)。そのため、伸長前後において、距離dに対する幅Wの比:w/dは、一定値をとる。よって、上記静電容量Cは、下記式(2)で表すことができる。
(ここで、k1は定数である。)
即ち、上記センサシートの静電容量Cは、上記センサシートが長手方向に伸縮する場合、上記電極層の長さと比例関係にある。そのため、上記センサシートが長手方向にn倍伸長した場合には、その静電容量もn倍に大きくなり、伸長率nで伸長した際のセンサシートの静電容量Cnは、Cn=nC0(ここで、C0は伸長前の静電容量である。)で表される。
本発明の静電容量型センサでは、上記センサシートが有するこのような性質を利用して上記測定対象物の回転角度を測定する、
本発明の静電容量型センサを用いて回転角度を計測する場合、図3に示すような、連結部51で連結された2本のリンク相当部52,53を有し、各リンク相当部52,53のそれぞれが連結部51(連結部51の中心51a)を回転軸として回転可能に構成されたものが測定対象物50となる。
上記静電容量型センサによる回転角度の測定では、このような測定対象物50に対し、センサシート2を連結部51を覆うように2本のリンク相当部52,53のそれぞれの一部にセンサシート2を貼り付ける。
図3に示したように、リンク相当部52とリンク相当部53が一直線上にある場合を初期状態とし、この状態からリンク相当部53が連結部51を回転軸にして下方に回転した場合(回転角θ(rad))、このリンク相当部53の回転に伴って、センサシート2は伸長し、その伸び量はrθであるため、リンク相当部53が回転した際のセンサシートにおける電極層の重なっている部分の長さhの変化量Δhは、下記式(3)で表される。
そして、リンク相当部53の回転角がθの場合のセンサシート2における静電容量Cの変化量ΔCは、上記式(3)を上記式(2)に代入することにより、下記式(4)で表される。
(ここで、k2及びk3はいずれも定数である。)
θ=aΔC+b・・・(5)
に、センサシートに検出部で検出された静電容量の変化量を代入することにより、曲げ変形後の測定対象物の回転角度を算出することができる。また、上記回転角度の算出を連続的又は断続的に行うことにより、測定対象物の回転角度の変化を追跡することができる。
具体的には、実際の測定と同様に、測定対象物にセンサシートを貼り付けた後、測定精度の確立された手法、例えば、デジタル角度計、ゴニオメータ、モーションキャプチャ等で測定対象物の回転角度を測定するともに、そのときのセンサシートの検出部における静電容量を測定する。ここで、上記測定精度確立された手法による回転角度の測定は、少なくとも2箇所(例えば、回転角度0°の位置と90°の位置)で行う。また、上記測定精度確立された手法による測定の測定箇所を増やすことにより、キャリブレーションの精度を向上させることができる。
その後、得られた回転角度及び静電容量の値に基づいて、上記式(5)における傾きaと切片bを算出することにより、上記式(5)を求めることができる。
なお、上記センサシートを曲げ変形可能な測定対象物に貼り付けておき、上記測定対象物が曲げ変形した際に、上記曲げ変形に伴う上記検出部の静電容量の変化量ΔCを測定する工程と、上記静電容量の変化量ΔCに基づいて、曲げ変形後の上記測定対象物の回転角度θを算出する工程とを含む、上述したような回転角度の測定方法は本発明の1つである。
センサシート2′は、エラストマー製でシート状の裏側誘電層(誘電層(以下、第1誘電層ともいう))21Bと、裏側誘電層21Bの表面(おもて面:図4中、上側)に形成された中央電極層(第1電極層)22Aと、裏側誘電層21Bの裏面(図4中、下側)に形成された裏側電極層(第2電極層)22Cと、中央電極層22Aの表側(図4中、上側)に積層された表側誘電層(第2誘電層)21Aと、表側誘電層21Aの表面に形成された表側電極層(第3電極層)22Bとを備える。
更に、センサシート2′は、中央電極層22Aに連結された中央配線23Aと、表側電極層22Bに連結された表側配線23Bと、裏側電極層22Cに連結された裏側配線23Cと、中央配線23Aの中央電極層22Aと反対側の端部に取り付けられた中央接続部24Aと、表側配線23Bの表側電極層22Bと反対側の端部に取り付けられた表側接続部24Bと、裏側配線23Cの裏側電極層22Cと反対側の端部に取り付けられた裏側接続部24Cとを備える。
また、センサシート2′では、表側誘電層21Aの表側及び裏側誘電層21Bの裏側のそれぞれに表側保護層(第1保護層)25A及び裏側保護層(第2保護層)25Bが設けられ、更に裏側保護層25Bに積層された粘着層28が設けられている。
なお、上記センサシートにおいて、中央電極層と表側電極層、及び、中央電極層と裏側電極層のそれぞれは、必ずしも誘電層を挟んでその全体が対向している必要はなく、少なくともその一部が対向していればよい。
そのため、センサシート2′では、表側電極層22B(表側接続部24B)と裏側電極層22C(裏側接続部24C)とが電気的に接続した状態(短絡した状態)でリード線等を介して計測部3の端子に接続され、中央電極層22A(中央接続部24A)がリード等を介して計測部3の別の端子に接続される。
そして、センサシート2′の変形に伴い、各検出部の静電容量が誘電層(表側誘電層21A及び裏側誘電層21B)の変形量と相関をもって変化する。よって、センサシート2′を用いた場合も、センサシート2を用いた場合と同様、測定対象物の回転角度を計測することができる。
静電容量型センサを使用する場合、電磁ノイズや電源ノイズが入りやすい場所や、センサシートの電極層が導体と接触又は近接する環境で使用すると、使用状況によって検出部の静電容量の測定値が変動することがある。例えば、センサシートとしてセンサシート2を使用した場合には、センサシートの上面側からノイズが入りこむか(上面側がノイズ源に近接するか)、又は、下面側からノイズが入りこむか(下面側がノイズ源に近接するか)によって、静電容量の測定値が異なることがある。
更に、上面側の電極層及び下面側の電極層の両方に導体が近接し、上面側に近接した導体と下面側に近接した導体とが電気的に接続されている場合(例えば、電極層上に保護層が積層されたセンサシートの両側を水や身体で触れる場合や、電極層上に保護層が積層されたセンサシートの両側を電気的に接続された金属板で挟む場合等)にも、静電容量の測定値が異なることがある。この場合では、上面側の電極層とこれに近接した導体との間の静電容量、及び、下面側の電極層とこれに近接した導体との間の静電容量が、直列で接続された2つの静電容量の合成静電容量として、センサシートの本来の検出部の静電容量に加算されて測定されることとなる。
また、センサシート2′の上面側及び下面側の両側から、第3電極層及び第2電極層のそれぞれに、互いに電気的に接続された導体が近接した場合(例えば、水に浸かる、身体で保護層が積層されたセンサシートの両側を触れる、接続された2枚の金属板で保護層が積層されたセンサシートを挟む)でも、各電極層を所定の向きで計測部に接続している限り静電容量の測定値は略同一の値となる。この場合、第3電極層と第2電極層とは、同一の電位となるため、それぞれの外側電極層(第3電極層及び第2電極層)と近接した導体との間の静電容量が介入する経路が形成されず、近接する導体と各外側電極層との間の静電容量が加算されて測定されることがないからである。
よって、上述した通り、センサシート2′を用いることにより、ノイズによる静電容量の測定値の変動を抑えることができる。
なお、本発明において、外側電極層に導体が近接するとは、金属部材等の導電性の部材が近接する場合は勿論のこと、生体表面が近接する場合や、水や汗、体液等の導電性を有する液体が外側電極層に付着する場合等を含む概念である。
なお、以下の説明では、第1誘電層及び第2誘電層の説明に関して特に両者を区別する必要がない場合は、単に「誘電層」と表記することがあり、表側電極層、裏側電極層及び中央電極層の説明に関して特に各電極層を区別する必要がない場合は、単に「電極層」と表記することがある。
<<誘電層>>
上記センサシートは、エラストマー製の誘電層を備える。これらの誘電層は、エラストマー組成物を用いて形成することができる。
また、上記センサシートが第1誘電層と第2誘電層とを備える場合、両者は、同一のエラストマー組成物を用いて形成されていても良いし、異なるエラストー組成物を用いて形成されていても良い。両者は、同一のエラストマー組成物を用いて形成されていることが好ましい。変形時に同様の挙動を示すからである。
上記エラストマーとしては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、水素添加ニトリルゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。
これらのなかでは、ウレタンゴム、シリコーンゴムが好ましい。永久歪み(または永久伸び)が小さいからである。更に、シリコーンゴムに比べてカーボンナノチューブとの密着性に優れるため、電極層がカーボンナノチューブを含有する場合にはウレタンゴムが特に好ましい。
また、上記エステル系ポリオールとしては、例えば、ポリライト8651(DIC社製)等が挙げられる。
また、上記エーテル系ポリオールとしては、例えば、ポリオキシテトラメチレングリコール、PTG−2000SN(保土谷化学工業社製)、ポリプロピレングリコール、プレミノールS3003(旭硝子社製)、パンデックスGCB−41(DIC社製)等が挙げられる。
また、上記ウレタンゴムを合成する際には、その反応系中に必要に応じて、鎖延長剤、架橋剤、触媒、加硫促進剤等を加えても良い。
ここで、面積が30%以上増大するように変形可能であるとは、荷重を掛けて面積を30%増大させても破断することがなく、かつ、荷重を解放すると元の状態に復元する(即ち、弾性変形範囲にある)ことを意味する。上記誘電層の面積の変形可能な範囲は、50%以上増大するように変形可能であることがより好ましく、100%以上増大するように変形可能であることが更に好ましく、200%以上増大するように変形可能であることが特に好ましい。
なお、上記誘電層の面方向の変形可能な範囲は誘電層の設計(材質や形状等)により制御することができる。
誘電層が軟らかすぎると高品質な加工が難しく、充分な測定精度を確保することができない場合があり、誘電層が硬すぎると、測定対象物の曲げ変形を阻害する恐れがある。
上記電極層は、導電材料を含有する導電性組成物からなる。
ここで、各電極層のそれぞれは、同一組成の導電性組成物から構成されていてもよいし、異なる組成の導電性組成物から構成されていてもよい。
上記導電材料としては、カーボンナノチューブが好ましい。誘電層の変形に追従して変形する電極層の形成に適しているからである。
また、各カーボンナノチューブの形状(平均長さや繊維径、アスペクト比)も特には限定されず、静電容量型センサの使用目的や、センサシートに要求される導電性や耐久性、更には電極層を形成するための処理や費用を総合的に判断して適宜選択すればよい。
これに対し、カーボンナノチューブの平均長さが10μm未満では、電極層の変形に伴って電気抵抗が増大したり、電極層を繰返し伸縮させた際に電気抵抗のバラツキが大きくなったりする場合がある。特に、センサシート(誘電層)の変形量が大きくなった場合にこのような不都合が発生しやすくなる。
また、その平均長さは、例えば、カーボンナノチューブの観察画像から無作為に選んだ10箇所のカーボンナノチューブの繊維長さに基づき平均値を算出すればよい。
上記繊維径が0.5nm未満では、カーボンナノチューブの分散が悪くなり、その結果、導電パスが広がらず、電極層の導電性が不充分になることがあり、一方、30nmを超えると、同じ重量でもカーボンナノチューブの本数が少なくなり、導電性が不充分になることがある。カーボンナノチューブの平均繊維径は5〜20nmがより好ましい。
単層カーボンナノチューブを用いた場合、上述した好ましい範囲の平均長さを有するカーボンナノチューブを用いた場合でも、電気抵抗が高くなったり、伸長時に電気抵抗が大きく増大したり、繰り返し伸縮時に電気抵抗が大きくばらついたりすることがある。
これについては次のように推測している。即ち、単層カーボンナノチューブは、通常、金属性カーボンナノチューブと半導体性カーボンナノチューブとの混合物として合成されるため、この半導体性カーボンナノチューブの存在が、電気抵抗が高くなったり、伸長時に電気抵抗が大きく増大したり、繰り返し伸縮時に電気抵抗が大きくばらついたりする原因となっていると推測している。
なお、金属性カーボンナノチューブと半導体性カーボンナノチューブとを分離し、平均長さの長い金属性の単層カーボンナノチューブを用いれば、平均長さの長い多層カーボンナノチューブを用いた場合と同様の電気特性を備えた電極層を形成することができる可能性があるが、金属性カーボンナノチューブと半導体性カーボンナノチューブとの分離は容易ではなく(特に、繊維長さの長いカーボンナノチューブにおいて)、両者の分離には煩雑な作業が必要となるため、電極層を形成する際の作業容易性、及び、経済性の観点からも上述した通り、上記カーボンナノチューブとしては多層カーボンナノチューブが好ましい。
基板成長法は、CVD法の1種であり、基板上に塗布した金属触媒に炭素源を供給することで成長させてカーボンナノチューブを製造する方法である。基板成長法は、比較的繊維長さが長く、かつ、繊維長さの揃ったカーボンナノチューブを製造するのに適した製造方法であるため、本発明で使用するカーボンナノチューブとして適している。
上記カーボンナノチューブが基板製造法により製造されたものである場合、カーボンナノチューブの繊維長さは、CNTフォレストの成長長さと実質的に同一であり、電子顕微鏡を用いて繊維長さを測定する場合は、CNTフォレストの成長長さを測定すればよい。
上記バインダー成分はつなぎ材料として機能し、上記バインダー成分を含有させることにより、誘電層との密着性、及び、電極層自体の強度を向上させることができる。更に、後述の方法で電極層を形成する際にカーボンナノチューブ等の導電材料の飛散を抑制することができるため、電極層形成時の安全性も高めることができる。
また、上記バインダー成分としては、生ゴム(天然ゴム及び合成ゴムの加硫させていない状態のもの)も使用することができ、このように比較的弾性の弱い材料を用いることで、誘電層の変形に対する電極層の追従性も高めることができる。
上記バインダー成分は、特に誘電層を構成するエラストマーと同種のものが好ましい。誘電層と電極層との密着性を顕著に向上させることができるからである。
上記センサシートでは、上記導電材料がカーボンナノチューブである場合、電極層が実質的にカーボンナノチューブのみで形成されていてもよい。この場合も誘電層との間で充分な密着性を確保することができる。カーボンナノチューブと誘電層とはファンデルワールス力等により強固に密着する。
また、カーボンナノチューブの含有量を高めれば、電極層の導電性を向上させることができる。そのため、電極層を薄くしても要求される導電性を確保することができ、その結果、電極層を薄くしたり、電極層の柔軟性を確保したりすることがより容易になる。
一方、上記平均厚さが0.1μm未満では、導電性が不足し、センサシートとしての測定精度が低下するおそれがある。一方、10μmを超えるとカーボンナノチューブ等の導電材料の補強効果によりセンサシートが硬くなり、センサシートの伸縮性が低下し、測定対象物の変形や動きに追従した変形が阻害されることがある。また、センサシートが硬くなると、測定対象物の曲げ変形等を阻害することがある。
上記センサシートを構成する、各電極層の導電性は特に限定されない。
本発明の静電容量型センサが備えるセンサシートは、図2、4に示した例のように、保護層(表側保護層及び裏側保護層)が積層されていることが好ましい。上記保護層を設けることにより、電極層等を外部から電気的に絶縁することができる。また、上記保護層を設けることにより、センサシートの強度や耐久性を高めることができる。
上記保護層の材質は特に限定されず、その要求特性に応じて適宜選択すればよい。上記保護層の材質の具体例としては、例えば、上記誘電層の材質と同様のエラストマー組成物等が挙げられる。
上記センサシートは、図2、4に示した例のように、通常、各電極層と接続された各配線が形成されている。
各配線は、誘電層の変形を阻害せず、かつ、誘電層が変形しても導電性が維持されるものであればよく、その具体例としては、例えば、上記電極層と同様の導電性組成物からなるものが挙げられる。
また、上記の各配線は必要とされる導電性が確保される範囲でその線幅が狭いことが好ましい。
上記粘着層としては特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等からなる層が挙げられる。
ここで、各粘着剤は、溶剤型であってもよいし、エマルジョン型であってもよいし、ホットメルト型でもよい。上記粘着剤は、静電容量型センサの使用態様等に応じて適宜選択して用いればよい。ただし、上記粘着層は、上記誘電層の伸縮を阻害しない柔軟性が必要である。
なお、上記粘着層は、センサシートの表側の最外層にも形成されていてもよい。
上記センサシートは、例えば、下記(1)〜(3)の工程を経ることにより作製することができる。
まず、ポリオール成分、可塑剤及び酸化防止剤を計量し、加熱、減圧下において一定時間撹拌混合し、混合液を調製する。次に、混合液を計量し、温度を調整した後、触媒を添加しアジター等で撹拌する。その後、所定量のイソシアネート成分を添加し、アジター等で撹拌後、即座に混合液を図5に示す成形装置に注入する。上記成形装置では、上記混合液を保護フィルムでサンドイッチ状にして搬送しつつ架橋硬化させ、保護フィルム付きの所定厚みのシートを得る。その後、炉で一定時間後架橋させることで誘電層を製造することができる。
上述した通り、保護層は、誘電層の作製と同様の方法で作製すればよい。
ここでは、上記塗布液として、カーボンナノチューブ等の導電材料及び分散媒を含む組成物を調製する。
具体的には、まず、カーボンナノチューブ等の導電材料を分散媒に添加する。このとき、必要に応じて、バインダー成分(又は、バインダー成分の原料)等の上述した他の成分や分散剤を更に添加してもよい。
次に、導電材料を含む各成分を湿式分散機で分散媒中に分散(又は溶解)させることより電極層の形成に用いる塗布液を調製する。ここでは、例えば、超音波分散機、ジェットミル、ビーズミルなどの既存の分散機を用いて分散させればよい。
ここで、上記塗布液の乾燥条件は特に限定されず、分散媒の種類やエラストマー組成物の組成等に応じて適宜選択すればよい。
また、上記塗布液を塗布する方法は、スプレーコートに限定されるわけではなく、その他、例えば、スクリーン印刷法、インクジエット印刷法等も採用することができる。
更に、上記塗布液を塗布する際には、電極層を形成しない位置をマスキングしてから上記塗布液を塗布してもよい。
その後、表側配線13A及び裏側配線13Bのそれぞれの端部に銅箔を取り付けて、表側接続部14A及び裏側接続部14Bとする(図6(c)参照)。
また、本発明で用いるセンサシートでは、表側接続部14Aや裏側接続部14Bの裏側保護層15B上にPETフィルム等の補強フィルム17を粘着テープ16を介して貼り付けてもよい。これにより各接続部を補強することができる(図6(d)参照)。
なお、図6(d)に示すように、上記センサシートでは、表側接続部14A及び裏側接続部14Bに外部配線となるリード線19を半田で固定する。
上記計測部は、上記センサシートと電気的に接続されており、上記誘電層の変形に応じて変化する上記検出部の静電容量Cを測定する機能を有する。上記静電容量Cを測定する方法としては従来公知の方法を用いることができ、上記計測部は、そのために必要となる静電容量測定回路、演算回路、増幅回路、電源回路等を備えている。上記静電容量Cを測定する方法としては、例えば、LCRメータなどの計測器で計測する方法、自動平衡ブリッジ回路を利用したCV変換回路を用いて計測する方法、反転増幅回路を利用したCV変換回路を用いて計測する方法、半波倍電圧整流回路を利用したCV変換回路を用いて計測する方法、シュミットトリガ発振回路を用いたCF発振回路を用いて計測する方法、シュミットトリガ発振回路とF/V変換回路などにより静電容量を電圧や周波数に変換した後に、電圧測定器や周波数カウンター等の計測器で計測する方法、等が挙げられる。
この場合には、表側電極層を計測部内の発振ブロック(検出ブロック)に接続し、裏側電極層を接地し(GND側に接続し)、かつ、上記センサシートを裏面側が測定対象物に近接するように貼り付けることが好ましい。
このような向きでセンサシートを測定対象物に貼り付け、上記のようにセンサシートと計測部とを接続することにより、ノイズの影響を排除し、より正確に静電容量の変化を計測することができる。
この場合には、表側電極層を計測部内の検出ブロックに接続し、裏側電極層を交流信号を生成するブロックに接続し、かつ、上記センサシートを裏面側が測定対象物に近接するように貼り付けることが好ましい。
このような向きでセンサシートを測定対象物に貼り付け、上記のようにセンサシートと計測部とを接続することにより、ノイズの影響を排除し、より正確に静電容量の変化を計測することができる。
この場合には、第1電極層を発振ブロック(検出ブロック)に接続し、第2電極層及び第3電極層を電気的に接続された状態(短絡した状態)で接地する(GND側に接続する)ことが好ましい。
このようにセンサシートと計測部とを接続することにより、センサシートの表側及び裏側のいずれを測定対象物に近接するように接続してもノイズの影響を排除し、より正確に静電容量の変化を計測することができる。
この場合には、第1電極層を検出ブロックに接続し、第2電極層及び第3電極層を電気的に接続された状態(短絡した状態)で交流信号を生成するブロックに接続することが好ましい。
このようにセンサシート2′と計測部とを接続することにより、センサシートの表側及び裏側のいずれを測定対象物に近接するように接続してもノイズの影響を排除し、より正確に静電容量の変化を計測することができる。
本発明の静電容量型センサは、センサシートの検出部の静電容量に基づいて測定対象物の回転角度を算出する演算部を備えている。具体的な回転角度の算出手法は、既に説明した通りである。
上記演算部は、演算回路、増幅回路、電源回路、RAM、ROM、HDD等の記憶部、モニター等を備えている。
上記演算部としては、例えば、パソコン、スマートフォン、タブレット等の端末機器を利用することができる。
そのため、医療分野や介護/リハビリ分野、健康管理分野、アパレル分野、ロボット分野、アミューズメント分野、計測分野、機器制御分野、スポーツ分野、インタフェース・コミュニケーション分野等、種々の分野で用いることができる。
(1)誘電層の作製
水添水酸基末端液状ポリオレフィンポリオール(エポール、出光興産株式会社製)100質量部、アルキル置換ジフェニルエーテルを主成分とした高温用潤滑油(モレスコハイルーブLB−100、MORESCO社製)100質量部を計量し、自転公転ミキサー(THINKY社製)を用いて2000rpmで3分間撹拌混合した。次に、得られた混合物に触媒(Fomrez catalyst UL−28、Momentive社製)0.07質量部を添加し、自転公転ミキサーで1.5分間撹拌した。その後、イソホロンジイソシアネート(デスモジュールI、住化バイエルウレタン社製)11質量部を添加し、自転公転ミキサーで3分間撹拌し、1.5分間脱泡した後、図5に示した成形装置30に注入し、保護フィルムでサンドイッチ状にして搬送しつつ、炉内温度110℃、炉内時間30分間の条件で架橋硬化させ、保護フィルム付きの所定厚みのロール巻シートを得た。その後、80℃に調節した炉で12時間後架橋させて、オレフィン系ウレタンゴムを含むエラストマー組成物からなる層厚50μmの誘電層を作製した。得られたウレタンシートを14mm×85mm×厚さ50μmに裁断し、更に、角部の一か所を7mm×7mm×厚さ50μmのサイズで切り落とし、誘電層を作製した。
ここで、破断時伸びは、JIS K 6251に準拠して測定した。
体積抵抗率は、JIS K 6911に準拠し、測定機器としてハイレスタUP MCP−HT450型(三菱化学アナリテック社製)を、プローブとしてURSプローブ MCP−HTP14を使用して測定した。
比誘電率は、JIS K 6911に準拠し、測定機器としてLCRハイテスタ3522−50(日置電機株式会社製)を使用して測定した。
基板成長法により製造した多層カーボンナノチューブである、大陽日酸社製の高配向カーボンナノチューブ(層数4〜12層、繊維径5〜20nm、繊維長さ150〜300μm、炭素純度99.5%)30mgを2−プロパノール30gに添加し、ジェットミル(ナノジェットパル JN10−SP003、常光社製)を用いて湿式分散処理を施し、10倍に希釈して濃度0.05重量%のカーボンナノチューブ分散液を得た。
上述した、(1)誘電層の作製、と同様の方法を用いてポリオレフィン系ウレタンゴム製で、14mm×85mm×厚さ50μmの裏側保護層と、14mm×77mm×厚さ50μmの表側保護層とを作製した。
粘着剤(綜研化学社製、SKダイン1720)50重量部に、メチルエチルケトン(MEK)50重量部及び硬化剤(綜研化学社製、L−45)2質量部を添加し、あわとり練太郎(Thinky社製、型番:ARE−310)で混合(2000rpm、120秒)、脱泡(2000rpm、120秒)して混合物を得た。次に、得られた混合物を、表面が離型処理されたPETフィルム(藤森工業社製、50E−0010KF)にマルチコータを用いて200μmのウエット膜厚で成膜した後、送風式のオーブンを用いて100℃、10分間の条件で硬化させ、硬化後の厚さが35μmの粘着層を作製した。
図6(a)〜(d)に示した作製工程を経てセンサシートを作製した。
まず、上記(3)の工程で作製した裏側保護層15Bの片面(表面)に、離型処理されたPETフィルムに所定の形状の開口部が形成されたマスク(図示せず)を貼り付けた。
上記マスクには、裏側電極層及び裏側配線に相当する開口部が設けられており、開口部のサイズは、裏側電極層に相当する部分が幅10mm×長さ60mm、裏側配線に相当する部分が幅3.5mm×長さ20mmである。
更に、誘電層11に表側に、裏側電極層12B及び裏側配線13Bの形成と同様の方法を用いて、表側電極層12A及び表側配線13Aを形成した(図6(b)参照)。
更に、表側配線13A及び裏側配線13Bのそれぞれの端部に銅箔を取り付けて、表側接続部14A及び裏側接続部14Bとした(図6(c)参照)。その後、表側接続部14A及び裏側接続部14Bに外部配線となるリード線19を半田で固定した。
最後に、裏側保護層15Bの裏面側に上記(4)で作製した粘着層18をハンドローラーにより貼り付けてセンサシート2を完成した(図6(d)参照)。
図7(a)に示すように、手首の外側に上記センサシートを貼り付けた。この状態で手首を背屈方向(図7(a)中、−方向)及び掌屈方向(図7(a)中、+方向)に約2秒周期で背屈・掌屈させ、その時のセンサシートの検出部における静電容量を測定した。なお、静電容量の測定は、リード線を介してセンサシートと接続したLCRメータ(日置電機社製、LCRハイテスタ3522−50)により行った。
その後、計測された静電容量に基づき、上記手首の関節角度(前腕と手の甲とのなす角度)を算出した。
一方、上述した静電容量の計測と同時に、モーションキャプチャシステムによる関節角度の測定を行った。具体的には、センサシートの周囲にマーカーを取り付けておき、上述した手首の背屈・掌屈の際に、上記モーションキャプチャシステムにてマーカーの3次元座標を計測し、上記手首の関節角度を算出した。
上記静電容量型センサにより取得された関節角度、及び、モーションキャプチャシステムにより取得された関節角度、の測定結果を図7(b)に示した。
まず、手首の3往復分の回転運動(屈曲運動)について、モーションキャプチャシステムで計測した関節角度と静電容量型センサで計測した静電容量の値を用いて、関節角度θを算出するための1次関数を算出した。このとき、モーションキャプチャシステムで計測した関節角度と静電容量型センサで計測した静電容量との組み合わせの数は、300組とした。なお、1次関数の決定(1次関数における係数の決定)は、最小二乗法により行った。
その結果、関節角度θを算出するための1次関数として、下記式(A)
θ=−1.7719×C+340.1102・・・(A)
を得た。
その後、静電容量の計測値及び上記式(A)に基づいて、手首の関節角度を算出した。
なお、本実施例では、上記式(A)におけるCとして、静電容量の変化量ΔCと初期静電容量(未伸長時の静電容量)C0との和を用いた。即ち、式(A)においては、C=ΔC+C0である。
なお、図7(b)中、実線はモーションキャプチャにより測定した関節角度であり、破線は静電容量型センサにより測定した関節角度である。
図8(a)に示すように、肘に上記センサシートを貼り付けた。この状態で肘を約2秒周期で屈曲・伸展させ、その時のセンサシートの検出部における静電容量を測定した。ただし、屈曲方向は図8(a)中、(+)の方向である。なお、静電容量の測定は、実施例1と同様、LCRメータにより行った。
その後、計測された静電容量に基づき、上記肘の関節角度(前腕と上腕とのなす角度)を算出した。
一方、上述した静電容量の計測と同時に、モーションキャプチャシステムによる関節角度の測定を行った。具体的には、センサシートの周囲にマーカーを取り付けておき、上述した肘の屈曲・伸展の際に、上記モーションキャプチャシステムにてマーカーの3次元座標を計測し、上記肘の関節角度を算出した。
上記静電容量型センサにより取得された関節角度、及び、モーションキャプチャシステムにより取得された関節角度、の測定結果を図8(b)に示した。
まず、肘の3往復分の回転運動(屈曲運動)について、モーションキャプチャシステムで計測した関節角度と静電容量型センサで計測した静電容量の値を用いて、関節角度θを算出するための1次関数を算出した。このとき、モーションキャプチャシステムで計測した関節角度と静電容量型センサで計測した静電容量との組み合わせの数は、300組とした。なお、1次関数の決定(1次関数における係数の決定)は、最小二乗法により行った。
その結果、関節角度θを算出するための1次関数として、下記式(B)
θ=0.6989×C−136.1294・・・(B)
を得た。
その後、静電容量の計測値及び上記式(B)に基づいて、肘の関節角度を算出した。
なお、本実施例でも、上記式(B)におけるCとして、静電容量の変化量ΔCと初期静電容量(未伸長時の静電容量)C0との和を用いた。即ち、式(B)においては、C=ΔC+C0である。
なお、図8(b)中、実線はモーションキャプチャにより測定した関節角度であり、破線は静電容量型センサにより測定した関節角度である。
また、上記回転角度(関節角度)が、静電容量の変化を変数とする1次式で表されることも確認された。
2 センサシート
3 計測部
4 演算部
11 誘電層
12A 表側電極層(第1電極層)
12B 裏側電極層(第2電極層)
13A 表側配線
13B 裏側配線
14A 表側接続部
14B 裏側接続部
15A 表側保護層
15B 裏側保護層
18、28 粘着層
21A 表側誘電層(第2誘電層)
21B 裏側誘電層(第1誘電層)
22A 中央電極層(第1電極層)
22B 表側電極層(第3電極層)
22C 裏側電極層(第2電極層)
23A 中央配線
23B 表側配線
23C 裏側配線
24A 中央接続部
24B 表側接続部
24C 裏側接続部
50 測定対象物
51 連結部
52、53 リンク相当部
Claims (8)
- 測定対象物の回転角度の測定に用いられる静電容量型センサであって、
エラストマー製の誘電層と、前記誘電層の上面に形成された第1電極層と、前記誘電層の下面に形成された第2電極層とを含み、
前記第1電極層及び前記第2電極層の対向する部分を検出部とし、
可逆的に変形可能で、かつ、変形に応じて前記検出部の静電容量が変化するセンサシートと、
前記第1電極層及び前記第2電極層に接続され、前記検出部の静電容量を測定する計測部と、
前記誘電層の表裏面の面積が変化するように前記センサシートが変形した際の前記検出部の静電容量に基づいて前記測定対象物の回転角度を算出する演算部と
を備え、
前記センサシートを前記測定対象物に貼り付けて使用することを特徴とする静電容量型センサ。 - 前記測定対象物は、連結部で連結された2本のリンク相当部を有し、各リンク相当部のそれぞれが上記連結部を回転軸として回転可能に構成されたものであり、
前記センサシートは、前記測定対象物の前記連結部を覆うように貼り付けて使用する請求項1に記載の静電容量型センサ。 - 前記測定対象物の回転角度は、生体の関節角度である請求項1又は2に記載の静電容量型センサ。
- 前記センサシートは、更に、前記第1電極層上に積層されたエラストマー製の第2誘電層と、前記第2誘電層の上面に積層された第3電極層とを含み、
前記第1電極層及び前記第3電極層の対向する部分を第2検出部とし、
前記第2電極層と前記第3電極層とが電気的に接続された状態で、前記計測部に接続される請求項1〜3のいずれかに記載の静電容量型センサ。 - 前記電極層は、いずれもカーボンナノチューブを含有する導電性組成物からなる請求項1〜4のいずれかに記載の静電容量型センサ。
- センサシートを曲げ変形可能な測定対象物に貼り付けて、前記測定対象物の回転角度を測定する方法であって、
前記センサシートは、エラストマー製の誘電層と、前記誘電層の上面に形成された第1電極層と、前記誘電層の下面に形成された第2電極層とを含み、前記第1電極層及び前記第2電極層の対向する部分を検出部とし、可逆的に変形可能で、かつ、変形に応じて前記検出部の静電容量が変化するセンサシートであり、
前記測定対象物が曲げ変形した際に、前記曲げ変形に伴って前記誘電層の表裏面の面積が変化するように変形した前記センサシートにおける前記検出部の静電容量の変化量ΔCを測定する工程と、
前記静電容量の変化量ΔCに基づいて、曲げ変形後の前記測定対象物の回転角度θを算出する工程と
を含むことを特徴とする回転角度の測定方法。 - 前記測定対象物の回転角度θは、前記静電容量の変化量ΔCを変数とする下記一次関数
θ=aΔC+b
に基づいて算出する請求項6に記載の回転角度の測定方法。 - 測定対象物の回転角度に対応した前記一次関数を求めるために、予めキャリブレーションを行う工程を含む請求項7に記載の回転角度の測定方法。
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