以下、本発明の実施形態について、図を用いて説明する。以下の説明は、実施例1は請求項1に、実施例2は請求項2に、実施例3は請求項3に、実施例4は請求項4ないし6に、実施例5は請求項7に、実施例6は請求項8に、それぞれ対応する。なお、本発明の内容は、以下の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得る。
本発明の対象である除染装置は、車両の荷台の前端部又は後端部から順に、濁水分級装置、凝集撹拌装置、フロック整流水槽、フロック沈降分離槽、フロック濃縮槽、脱水部の全部または一部を配置したものである。
「濁水分級装置」とは、汚染物質が付着している物質と清浄化した物質に振り分ける装置を意味する。例えば、放射性物質により汚染された物質の除染を例にとると、セシウムが付着している粘土・シルトと、粘土・シルトが剥離されて清浄化した砂・礫と、に振り分ける装置を意味する。
本発明において「濁水」とは、微粒子が混ざることで濁った状態になっている水をいう。本発明においては特に放射性セシウムを含む粘土を微粒子として含む濁水を念頭に置いているが、本発明に係る沈降分離装置の処理対象は、これに限られるものではなく、上に述べたような沈降分離工程によってより多くのフロックを含む状態にすることができるような微粒子を含む水が広く対象となり得る。
「凝集撹拌装置」とは、配管内で凝集剤を添加することによって、配管内で凝集のための攪拌混合工程を行うための装置である。除染における凝集工程は、移動可能となるように、なるべくコンパクトな装置によって行うことが望ましい。除染における凝集工程においては、凝集剤を添加して攪拌する作業が必要であるところ、通常、その作業は、攪拌水槽を用いて行われる。しかし、攪拌水槽が必要となると大きなスペースが必要となり、かつ、移動式にするのが困難となる。他方、配管内で凝集のための攪拌混合工程を行えば、攪拌水槽を用いない分、コンパクトとなり、移動式にすることにも繋がる。そのため、除染における凝集工程は、配管内で凝集剤を添加することによって、配管内で凝集のための攪拌混合工程を行うための装置である凝集攪拌装置を用いることが望ましい。
「フロック整流水槽」とは、濁水を整流してフロックを効率的に凝集沈降層に送り込むための水槽である。
「フロック沈降分離槽」とは、フロック整流水槽から取り入れられた原濁水に対して凝集沈降処理を行うための槽である。
「フロック濃縮槽」とは、前記凝集沈降によって得られた凝集物の濃縮を行うための槽である。
「脱水部」とは、汚染物質を脱水することで減容化する工程である。例えば、放射性物質により汚染された物質の除染を例にとると、粘土・シルトを脱水して減容化する工程である。
これらの配置は、工程間の流れがスムーズになる順序のものであることが望ましい。工程の流れは、濁水分級装置、凝集撹拌装置、フロック整流水槽、フロック沈降分離槽、フロック濃縮槽、脱水部の順番である。そうすると、配置の順序に関しても、工程間の流れに沿って規則正しく配置されている、具体的には、濁水分級装置、凝集撹拌装置、フロック整流水槽、フロック沈降分離槽、フロック濃縮槽、脱水部の順番であれば、工程間の流れがスムーズになる。そのため、配置の順序は、濁水分級装置、凝集撹拌装置、フロック整流水槽、フロック沈降分離槽、フロック濃縮槽、脱水部の順番であることが望ましい。配置の順序を示す前記「順に」とは、工程間の流れがスムーズになるように規則正しく配置されていることを意味する。
例えば、図10は、各工程において使用される装置の配置関係を示した概念図にしたものである。あくまで概念図であるので、実際の各装置の形状や大きさなどは異なるものである。図10のaのように、濁水分級装置(1001)、凝集撹拌装置(1002)、フロック整流水槽(1003)、フロック沈降分離槽(1004)、フロック濃縮槽(1005)、脱水部(1006)という順番で、車両の前部から後部に向かって、斜めに順次進んでも良い。また、図10のbのように、最前部に濁水分級装置(1001)と凝集撹拌装置(1002)が並行し、次にフロック整流水槽(1003)とフロック沈降分離槽(1004)が並行し、最後部にフロック濃縮槽(1005)と脱水部(1006)が並行し、凝集撹拌装置(1002)とフロック整流水槽(1003)が隣接し、フロック沈降分離槽(1004)とフロック濃縮槽(1005)が隣接するという並び方で配置されていても良い。
配置される各装置の向いている方向についても、各工程間の繋がりが良いものであることが望ましい。通常、各装置は、配管やホースなどで結ばれる。そのため、各工程間の繋がりを良くするためには、前工程に用いる装置の終点が後工程に用いる装置の始点に隣接するのが望ましい。
また、各工程の間に調整槽を配置しても良い。調整槽とは、前行程を終了した処理物について、後工程に移行するまでの間、処理物を貯留するための槽である。調整槽を配置することにより、各工程間での作業効率の差を調整することができる。
この調整槽は、運搬や設置撤去のコストがかからないものであることが望ましい。組立て不可能な鋼製水槽であれば、運搬の際に場所をとってしまい、かつ、設置撤去にクレーンなどを用いる必要があるためコストがかかる。他方、組立式角型水槽であれば、組立て前のコンパクトな状態で運搬すれば場所をとらず、かつ、設置撤去にクレーンなどを用いる必要もないため設置撤去費用も安い。そのため、調整槽は、組立式角型水槽を用いることが望ましい。
また、上記の装置に加えて、浚渫装置を配置しても良い。浚渫装置は、車両の荷台に搭載されている濁水分級装置と濁水の水源とをつなぐための装置である。
浚渫装置は、通常、駆動ポンプと浚渫エジェクターと浚渫吸引装置とを備える。そして、除染作業における浚渫工程は、港湾・河川・運河などの底面を浚って除染対象である土砂などを取り去る最初の工程であり、全体の除染効率は、その浚渫効率に依存する。そのため、浚渫工程においては、効率よく土砂を取り去るための工夫をすることが望ましい。
浚渫エジェクター内において内径に違いがあれば、運搬効率は、内径の狭いところに依存するため下がってしまう。他方、浚渫エジェクター内おいて内径が均一であれば、運搬効率は下がらない。さらに、浚渫エジェクターの吸引口から排出口までの形状として、曲部の角度が90度であると運搬効率が下がってしまう。他方、曲部の角度が125度から145度の範囲内であれば、運搬効率が下がらない。そのため、浚渫エジェクターは、内径が均一であり、かつ、曲部の角度が125度から145度の範囲内であることが望ましい。
図9は、浚渫エジェクターの断面図である。エジェクターの入口部分(0904)から礫(0908)や砂(0909)や粘土(0910)が入り込み、空気(0901)とともに配管内に送出される高圧水(0902)によって、出口部分(0903)から外部に送出される。この場合において、曲部(0905)と直部(0906)とでは内径が均一であり、かつ、曲部の角度(0907)は、135度となっている。このような構造を取ることによって、運搬効率のよい浚渫エジェクターを提供することができる。
さらに、浚渫エジェクターの濁水の水源側先端部分を水源に到達させる方法としては、例えば放射性物質の除染の場合には、放射性物質による被ばくを避けるため、可能な限り人を現地に動員しなくていい方法が望ましい。浚渫エジェクターにGPSを搭載し、かつ、遠隔操作リモコン等で遠隔地にて操作する方法によれば、浚渫エジェクターの濁水の水源側先端部分が、車両から水源に到達して、水源においても全ての濁水を吸い上げることは可能であり、かつ、人が現地に動員される必要はなくなる。そのため、浚渫エジェクターの濁水の水源側先端部分を水源に到達させる方法としては、浚渫エジェクターにGPSを搭載し、かつ、遠隔操作リモコン等で遠隔地にて操作する方法であることが望ましい。
また、除染装置は通常電動式であるため、それを動かすためには、発電機が必要である。各装置間の移動や凝集攪拌装置においては、高圧の空気を送出する必要があり、そのためには、例えばコンプレッサを利用することなどが考えられる。発電機やコンプレッサを含めた除染装置一式を移動式にできれば場所に依存することなく除染することができるので、この発電機やコンプレッサについても、荷台に搭載できるものであることが望ましい。これにより、もともと発電機やコンプレッサが存在しない場所でも除染することができる。もっとも、発電機やコンプレッサは、特徴を備えたものである必要はないので、既存のもので足り、現地で調達しても良い。
各装置を結合する配管やホースなどについては、装置間の運搬効率が高いものが望ましい。そして、前記のように、内径が均一であれば装置間の運搬効率が高いので、各装置を結合するものが配管の場合、その配管は、内径が均一なものであることが望ましい。
また、運搬方法としては、機動性の高いものであることが望ましい。4tトラックであれば、上記の装置を載せることができ、かつ、機動性も高い。そのため、運搬方法としては、4tトラックを用いるのが望ましい。そして、4tトラックであれば、その除染の規模などに応じて、2台以上に分けて除染装置を運搬しても良い。
本発明の対象である除染装置は、前記の構成に加え、濁水分級装置が、スクリュー分級装置であって、車載移動時にはスクリュー部分を折りたたみ可能とする折りたたみ機構を有していても良い。
濁水分級の方式としては、分離を確実に行えて、かつ、コンパクトであるものが望ましい。一般的に、濁水分級の方法としては、遠心分離方式、沈降分離方式、振動篩方式、スクリュー方式が考えられる。
遠心分離方式は、遠心力エネルギーを利用した分級方式である。しかし、セシウムなどの放射性物質による汚染物を除染する場合を例にとると、この方式であれば、セシウム付着粘土やセシウムイオンが拡散する危険性があり、かつ、粘土を単粒子化するだけの遠心力エネルギーも欠くので、確実な分離を実現できない。そのため、この方式は、セシウムなどの放射性物質による汚染物を除染する場合には望ましくない。
沈降分離方式は、土粒子径による水中での粒子沈降速度を利用した分級方式である。そのため、細かい粒子を分級しようとすれば、それだけ大きな水槽が必要となる。そして、分級点が0.1mm程度であれば、水槽をコンパクトに保つことができる。そのため、沈降分離方式であれば、その分級点は、0.1mm程度であることが望ましい。
他方、振動篩方式及びスクリュー方式であれば、分離を確実に行えて、かつ、装置がコンパクトで済む。
以上より、セシウムなどの放射性物質による汚染物を除染する場合には、振動篩方式、スクリュー方式、分級点が0.1mm程度の沈降分離方式であることが望ましい。
これらの分級装置については、移動容易となるように、コンパクトになるための工夫がされていることが望ましい。分級装置は、通常、横に出っ張っている凸部が存在する。しかし、凸部が存在すると、移動するために車両の荷台などに載せた場合に荷台から凸部がはみ出してしまうことから、移動式に適さない。他方、凸部が折りたたみ可能又は伸縮可能であれば、移動するために車両の荷台などに載せた場合であっても荷台から横にはみ出さないので、移動式に適する。そのため、これらの分級装置については、凸部が折りたたみ可能となるように折りたたみ機構を有するか、又は、凸部が伸縮可能となるように伸縮機構を有することが望ましい。
図18は、折りたたみ可能な分級装置を示す図である。車両の荷台に搭載されている状態では、稼働時(b)に比べて、折りたたまれることでコンパクトになっている(a)。図19は、伸縮可能な分級装置を示す図である。車両の荷台に搭載されている状態では、稼働時(b)に比べて、縮んで収納されることでコンパクトになっている(a)。
≪基本的な構成≫
本発明の対象である凝集攪拌装置は、流路管本体と、排出路と、流路管本体側から見て排出路より先に設けられる凝集撹拌部とからなる混合管と、流路管本体に設けられ泥などで濁った濁水を前記凝集撹拌部にて撹拌するように取り入れる濁水取入部と、流路管本体又は/及び凝集撹拌部に凝集剤を取り入れる凝集剤取入部と、からなる。図1は、この場合の凝集攪拌装置の一例を示す図である。図1における凝集攪拌装置は、流路管本体(0108)と、排出路(0107)と、流路管本体側から見て排出路より先に設けられる凝集撹拌部(0103)とからなる混合管(0109)と、流路管本体に設けられ泥などで濁った濁水を前記凝集撹拌部にて撹拌するように取り入れる濁水取入部(0105)と、流路管本体に凝集剤を取り入れる凝集剤取入部(0101)と、から構成されている。以下では、この図1の構造からなる凝集攪拌装置を念頭に置いて説明するが、本発明は、その範囲に限られるものではない。
流路管本体(0108)とは、濁水が流れる配管部分であって濁水が取り入れられてから排出路に至るまでの部分を意味する。濁水が流路管本体を流れるにあたっては、高圧エアが用いられる場合、あるいは、駆動水が用いられる場合などがある。濁水は、高圧エアや駆動水の影響により、流路管本体から排出路や凝集攪拌部が存在している方に向かって流れる。
排出路(0107)とは、凝集剤投入後の濁水などが攪拌後に混合管の外部に排出される部分のことを意味する。
さらに、排出路は、攪拌前の濁水については排出が少なく、攪拌後の濁水を効率よく排出する形状を有することが望ましい。流路管本体内の流れの向きから戻る方向に斜めに流路を有していれば、凝集攪拌部で攪拌前の濁水の水流の逆方向に排出路が向いているので凝集攪拌部で攪拌される前の濁水は排出されず、他方、攪拌後の濁水の水流の方向に排出路が向いているので凝集攪拌部で攪拌された後の濁水は排出される。そのため、排出路は、流路管本体内の流れの向きから戻る方向に斜めに流路を有していることが望ましい。図2は、この場合の排出路を示す図である。排出路は、流路管本体内の流れの向きから戻る方向に斜めに流路を有している(0201)。
凝集攪拌部(0103)とは、流路管本体から見て排出路より先にある部分であって、かつ、配管内で凝集攪拌を行う部分のことを意味する。
配管内で凝集攪拌を行うための構造としては、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において多様なものが考えられるが、例えば、凝集攪拌部の配管の端部に蓋(0104)をすることによって、蓋に衝突して跳ね返る力、及び、流路管本体から流れてくる濁水との衝突の際に生じる力を利用する方法が考えられる。
凝集攪拌部の端部に蓋をする場合であっても、蓋や配管の内壁面は、可能な限り攪拌に適した形状であることが望ましい。蓋や配管の内壁面に細かい凹凸があれば、濁水が凝集攪拌部を流れる際にも凹凸との接触により攪拌が促進される。そのため、蓋や配管の内壁面には、攪拌用の細かい凹凸が設けられていることが望ましい。図3は、この場合の凝集攪拌部を示す図である。凝集攪拌部(0301)には攪拌用の細かい凹凸が設けられている(0302)。
配管内における濁水の流れの向きを逆行させる方法で攪拌を行う場合、凝集攪拌部を流れる濁水の量は、流路管本体を流れる濁水の量よりも多くなる。そのため、効率よく攪拌を行って排出路から外部に排出されるためには、凝集攪拌部の内径は、流路管本体の内径よりも大きいことが望ましい。
流路管本体から見て排出部よりも先にある凝集攪拌部の配管の軸線方向における長さは、凝集のための攪拌が十分に行われ、かつ、装置全体がコンパクトに収まる範囲であることが望ましい。配管の内径が15cmから30cmの範囲内であって濁水の流量又は高圧エアと濁水の合計量が毎分200リットルから500リットルの範囲内である場合でいえば、凝集攪拌部の配管の軸線方向における長さが、20cm未満であると凝集のための攪拌が不十分であり、他方、80cmを超えると装置が大きくなりすぎることに加えてポンプの圧力を大きくする必要が生じる。これらに対して、凝集攪拌部の配管の軸線方向における長さが20cmから80cmの範囲内であれば、凝集のための攪拌が十分に行われ、かつ、装置全体がコンパクトに収まる。そのため、配管の内径が15cmから30cmの範囲内であって流量が毎分200リットルから500リットルの範囲内である場合でいえば、凝集攪拌部の配管の軸線方向における長さは、20cmから80cmの範囲内であること、さらには、35cmから65cmの範囲内であることが望ましい。
濁水取入部(0105)とは、流路管本体に設けられ、泥などで濁った濁水を前記凝集撹拌部にて撹拌するように取り入れる部分のことを意味する。流路管本体からみた場合、凝集攪拌部は、排出路よりも先にある。そのため、取り入れた濁水などを凝集攪拌部まで到達させるためには、濁水等が一定の勢いを伴っていることが望ましい。具体的には、高圧エアなどを用いることにより濁水取入部が濁水を取り入れる圧力を高圧にする、あるいは、駆動水を高圧で取り入れることで濁水の勢いをよくする、などの工夫をすることが望ましい。
配管内における濁水の流れの向きを逆行させる方法で攪拌を行う場合、凝集攪拌部を流れる濁水の量は、流路管本体を流れる濁水の量よりも多くなる。そして、濁水が多くなり、凝集攪拌部が濁水のみで飽和状態となると、流路管本体から流れてくる濁水の凝集攪拌部への侵入が妨げられる。そのため、凝集攪拌部が濁水のみで飽和状態とならないための工夫をすることが望ましい。濁水等に一定の勢いをつけるために駆動水を用いれば、駆動水も水分として濁水の一部となるので、凝集攪拌部が濁水のみで飽和状態となることを防げない。他方、濁水等に一定の勢いをつけるために高圧エアを用いれば、濁水の中に空気が入り込むので、凝集攪拌部の濁水にも空気が含まれることになり、凝集攪拌部が濁水のみで飽和状態となることを防げる。そのため、濁水等に一定の勢いをつけるための工夫としては、高圧エアを用いる方法が望ましい。もっとも、大気開放状態のもとにある駆動水を用いることによっても、濁水に空気が含まれることになるので問題ない。
効率よく凝集・攪拌を行うため、濁水取入部から取り入れられる濁水の量は、一定量で安定していることが望ましい。そのため、調整槽などを用いることによって、取り入れるための濁水を貯留しておくことが望ましい。
この調整槽は、例えば鋼製水槽や組立式角型水槽などが考えられるが、運搬や設置撤去のコスト削減を考えると、組立式角型水槽であることが望ましい。
凝集剤取入部(0101)は、濁水に凝集剤を取り入れる部分のことを意味する。凝集剤は、濁水中に懸濁している微粒子を集めて互いにくっつけることでより大きな塊であるフロックを生成するために添加される薬剤である。例えば、放射性セシウムを捕獲した状態の粘土を含む濁水の場合、アルミニウムミョウバン又は硫酸アルミニウムなどの凝集剤を濁水に加えて撹拌することで、粘土粒子(粒径4μm以下)どうしがくっつくことで30μm程度の大きさのフロックが生成される。
この凝集剤取入部から如何なる方法で凝集剤を取り入れるかについては、本発明の要旨を逸脱しない範囲で特に限定されるものではなく、機械を用いて圧縮空気を調整するなどして自動的に取り入れても良く、あるいは、手動で取り入れても良い。
配管相互は、それぞれフランジ(0102)により結合されており、分解が可能である。例えば、図1の流路管本体は、濁水と凝集剤が合流する濁水凝集剤合流部(0110)と追加配管部(0106)がフランジにより結合されている状態であり、分解することも可能である。
図1は本発明に係る凝集攪拌装置の一例であるが、この一部を変更しても良い。例えば、図6のように、追加配管部を1つ追加して(0601)フランジで結合することで、路管本体の部分を長くしても良い(0602)。また、図7のように、フランジにより追加配管部(0702)を結合して凝集攪拌部を延長することで、凝集攪拌部の部分を長くしても良い(0701)。さらに、流路管本体で一定の攪拌をしたいというのであれば、濁水凝集剤合流部よりも内径が狭い追加配管部を用いれば良い。このように、配管相互をフランジにより結合して分解可能にすることにより、濁水の濁り具合いや投入する凝集剤に応じて様々な工夫をすることができる。
≪実施例3の応用的実施≫
本発明の対象である凝集攪拌装置は、前記の構成に加え、さらに濁水取入部と凝集剤取入部が一体である一体取入部をなしており、かつ、大気開放であっても良い。図4及び5は、この場合の一例を示す図である。図4は、混合管(0407)と、駆動水取入部又は高圧エア送出部(0404)と、一体取入部(0406)と、凝集剤(0401)と調整槽(0405)にある濁水を投入するために大気開放状態(0403)となっているホッパー(0402)と、からなる凝集装置を示している。また、図5は、混合管(0510)と、駆動水取入部又は高圧エア送出部(0501)と、一体取入部(0509)と、吸引管(0502)と、凝集剤(0508)を投入するために大気開放状態(0504)となっている滞留槽(0506)と、凝集剤入濁水吸込口(0505)と、スカート状取入枠(0507)と、からなる凝集装置を示している。以下、順に説明する。
〈図4の説明〉
一体取入部(0406)とは、濁水と凝集剤が一体となって取り入れられる部分のことを意味する。
また、取り入れる方法としては、凝集を効率よく行うためには、間断なく取り入れられることが望ましい。例えば、ホッパー(0402)を設置して、そのホッパー内に常に一定量の濁水が存在するようにすれば、そのホッパー内の濁水が重力に従って流路管本体に間断なく取り入れられる。そのため、取り入れる方法として望ましい1つの例として、ホッパーを設置して、そのホッパー内に常に一定量の濁水が存在するようすることが挙げられる。
ホッパーの形状は、凝集剤と濁水を容易に投入することができる形状であることが望ましい。ホッパーの上部の全部又は一部が大気開放状態であれば、凝集剤を機械的又は人為的に投入すること、及び、濁水を投入することが容易である。そのため、ホッパーの形状は、上部の全部又は一部が大気開放状態であることが望ましい。
取り入れられた濁水は、凝集攪拌部に向かって勢いよく流れることが望ましい。凝集攪拌部に向かって勢いよく流れるためには、高圧エアが用いられる場合、あるいは、駆動水が用いられる場合などがある。濁水は、高圧エア送出部から送出された高圧エアや駆動水取入部から取り入れられた駆動水の影響により、流路管本体から排出路や凝集攪拌部が存在している方向に向かって流れる。そのため、高圧エア送出部又は駆動水取入部を設けることが望ましい。
配管内における濁水の流れの向きを逆行させる方法で攪拌を行う場合、凝集攪拌部を流れる濁水の量は、流路管本体を流れる濁水の量よりも多くなる。そして、濁水が多くなり、凝集攪拌部が濁水のみで飽和状態となると、流路管本体から流れてくる濁水の凝集攪拌部への侵入が妨げられる。そのため、凝集攪拌部が濁水のみで飽和状態とならないための工夫をすることが望ましい。濁水等に一定の勢いをつけるための工夫としては、前記のとおり、高圧エア送出部を設けることが望ましい。もっとも、大気開放状態のもとにある駆動水を用いることによっても、濁水に空気が含まれることになるので問題ない。
このように高圧エア送出部又は駆動水取入部を設ける場合、一体取入部は、効率的な濁水等の取り入れを実現できるように配置されていることが望ましい。一体取入部が流路管本体の壁面に対して垂直、又は、高圧エア送出部若しくは駆動水取入部に向かって斜めに配置されていると、一体取入部内の水面が上がってしまう可能性がある。そうすると、効率的な濁水等の取り入れを実現できない。他方、一体取入部が凝集攪拌部に向かって斜めに配置されていると、高圧エアや駆動水によって流路管本体への取入れが促進される関係になり、効率的な濁水等の取り入れを実現できる。そのため、一体取入部は、凝集攪拌部に向かって斜めに配置されていることが望ましい。図8は、一体取入部を凝集攪拌部に向かって斜めに配置した場合の図である。一体取入部(0801)は、凝集攪拌部(0802)に向かって斜めに配置されている。
〈図5の説明〉
一体取入部(0509)とは、濁水と凝集剤が一体となって取り入れられる部分のことを意味する。
取り入れる方法としては、凝集を効率よく行うためには、間断なく取り入れられることが望ましい。例えば、流路管本体から滞留槽(0506)に対して下りている吸引管(0502)を設置し、滞留槽内に常に一定量の濁水が存在するようにすれば、吸引することによって、濁水を間断なく取り入れられることができる。そのため、取り入れる方法として望ましい1つの例として、流路管本体から滞留槽に対して下りている吸引管を設置し、滞留槽内に常に一定量の濁水が存在するようすることが挙げられる。
取り入れられた濁水は、凝集攪拌部に向かって勢いよく流れることが望ましい。凝集攪拌部に向かって勢いよく流れるためには、高圧エアが用いられる場合、あるいは、駆動水が用いられる場合などがある。濁水は、高圧エア送出部から送出された高圧エアや駆動水取入部から取り入れられた駆動水の影響により、流路管本体から排出路や凝集攪拌部が存在している方向に向かって流れる。そのため、高圧エア送出部又は駆動水取入部を設けることが望ましい。
配管内における濁水の流れの向きを逆行させる方法で攪拌を行う場合、凝集攪拌部を流れる濁水の量は、流路管本体を流れる濁水の量よりも多くなる。そして、濁水が多くなり、凝集攪拌部が濁水のみで飽和状態となると、流路管本体から流れてくる濁水の凝集攪拌部への侵入が妨げられる。そのため、凝集攪拌部が濁水のみで飽和状態とならないための工夫をすることが望ましい。濁水等に一定の勢いをつけるための工夫としては、前記のとおり、高圧エア送出部を設けることが望ましい。もっとも、大気開放状態のもとにある駆動水を用いることによっても、濁水に空気が含まれることになるので問題ない。
滞留槽の形状は、凝集剤と濁水を容易に投入することができる形状であることが望ましい。滞留槽の上部の全部又は一部が大気開放状態であれば、凝集剤を機械的又は人為的に投入すること、及び、濁水を投入することが容易である。そのため、滞留槽の形状は、上部の全部又は一部が大気開放状態であることが望ましい。
凝集剤を投入するための投入口の位置は、凝集の必要がある濁水に多く行き渡る場所であることが望ましい。そして、スカート状取入枠(0507)が滞留槽底面付近をわずかに残して下ろされた状態で存在することにより、滞留槽内に取り入れられた濁水が吸引口に辿り着くためには一度滞留槽底面付近を通過する必要があることになり、凝集の必要のない大きな礫などが滞留槽底面付近まで沈む。そのため、スカート状取入枠内の濁水は、凝集が不要な大きな礫などが比較的少なくなっている。そうすると、凝集剤を投入するための投入口の位置は、スカート状取入枠内上部の大気開放状態(0504)の部分であることが望ましい。
凝集剤入濁水吸込口の位置は、大きな礫などを吸い込みにくい位置であることが望ましい。スカート状取入枠外の濁水には、沈む前の大きな礫などが含まれている。スカート状取入枠内の濁水には、大きな礫などが比較的少なくなっている。他方、スカート状取入枠内であっても、滞留槽底部付近には、一度滞留槽底面付近まで沈んだ凝集の必要のない大きな礫などが存在する。そのため、凝集剤入濁水吸込口の位置は、スカート状取入枠内の上部濁水水面近辺に設けられていることが望ましい。
もっとも、上部濁水水面近辺とはいっても、一度滞留槽底面付近まで沈んだ凝集の必要のない大きな礫などを大量に吸い込まない程度に水面に近い部分であれば良く、濁水を間断なく吸い込むため、滞留槽の半分より下部にまで至っていたとしても問題ない。
≪基本的な構成≫
本実施例の凝集剤添加後濁水の沈降分離装置は、フロック整流水槽と、凝集沈降槽と、濃縮槽とを有する凝集剤添加後濁水の沈降分離装置であり、フロック整流水槽で濁水を整流してフロックを効率的に凝集沈降槽に送り込むとともに、沈降させたフロックを含む濁水を濃縮槽でさらに濃縮して、より水分の少ない状態とすることができる装置であり、これによって減容化のより図られた濁水を次の脱水工程に送り込むことができるようにしたものである。
<構成>
図11は、本実施例の凝集剤添加後濁水の沈降分離装置(以下、単に「沈降分離装置」ということがある)の構成の一例を垂直断面図の状態で示した概念図である。あくまで概念図であるので、実際の沈降分離装置の外観、形状を正確に表したものではない。
凝集剤添加後濁水の沈降分離装置1100は、凝集剤が添加された後の濁水の沈降分離工程を行うための装置である。沈降分離工程は、濁水の凝集撹拌工程と脱水工程の間の工程である。沈降分離工程では、凝集撹拌工程を終えてフロックを含んだ状態の濁水は本発明にかかる沈降分離装置に取り入れられ、フロックを沈降させて上澄水と分離することでフロックをより多く含む状態とされた後、さらに脱水を行うために脱水装置に対して送出される。
本実施例の沈降分離装置1100は、フロック整流水槽1110と、凝集沈降槽1120と、濃縮槽1130とを有する。以下各槽の構成について順次説明する。
フロック整流水槽は、濁水を整流してフロックを効率的に凝集沈降槽に送り込むための水槽であり、原濁水槽1111と、原濁水導入口1112と、原濁水送出口113と、フロック上昇抑圧板1114とを有する。
凝集撹拌工程によってフロックを含む状態となった濁水は、例えば凝集撹拌装置を構成する配管(図示されない)から原濁水導入口に取り入れられる。本実施例では、この状態の濁水を原濁水と呼ぶ。即ち、原濁水は、濁水のうち未だ凝集沈降槽における処理がなされていない状態のものである。本実施例では、便宜上、濁水をその状態によって区別するため、凝集撹拌工程によってフロックを含む状態となったものを原濁水と呼び、原濁水をろ過して1次上澄水と分離した状態のものを1次濁水と呼び、1次濁水を沈降させたものを2次濁水と呼び、2次濁水を濃縮槽で静置することにより沈降させたものを3次濁水と呼ぶ。
原濁水導入口への原濁水の取入れに際しては、凝集撹拌工程における処理ペースと凝集分離工程における処理ペースの整合を図るため、流量制御装置などによって単位時間当たりの取入れ量を制御しながら取り入れるようにしてもよい。
原濁水導入口は、原濁水が原濁水槽底面に向かう流をつくるように原濁水を原濁水槽に導入するためのものである。原濁水槽は、フロック整流水槽の本体をなす槽であり、原濁水導入口から送出された原濁水を一時収容して、凝集沈降槽に送出するための槽である。
原濁水が原濁水槽底面に向かう流をつくるようにするための具体的な構成の一例としては、例えば、図11に示すように、原濁水導入口1112が原濁水槽1111内の略中央に長手方向を上下して配置され、上端及び下端にそれぞれ開口1112a、1112bを備えた管状部材であるものが考えられる。この場合、原濁水はすべて上端開口1112aから管内に取り入れられ、原濁水槽内の底部付近に設けられた下端開口1112bから原濁水槽に放出される。このような構成により、凝集剤添加後の原濁水を途中原濁水槽内の濁水と混合させることなく原濁水槽内の底部付近まで導くことができる。図中矢印は、原濁水の流れの方向を示す。本図には、原濁水導入口の上端開口から取り入れられた原濁水が原濁水導入口の管内を下方に誘導されて下端開口から原濁水槽内の底部付近に放出される流れの方向が示されている。
また、原濁水槽の底面付近にはフロック上昇抑圧板が設けられる。フロック上昇抑圧板は、原濁水導入口から排出された原濁水中に含まれるフロックが底部から翻って原濁水槽内を上昇しづらくするためのものである。図11の例では、フロック上昇抑圧板1114は、原濁水導入管の原濁水送出口付近の外壁に外径方向に張り出した板状部材として設けられている。原濁水槽の底面付近に放出された原濁水は、本図に矢印で示すように、フロック上昇抑圧板の位置付近まで上昇しても、当該フロック上昇抑圧板によりそれ以上に原濁水槽内を上昇することが妨げられる。このため、原濁水槽に放出された原濁水は槽内の底部付近にとどまった状態となり、原濁水送出口から配管1140などを通じて凝集沈降槽に対してポンプ等(図示されない)を用いて送出される。
以上のように構成することで、原濁水に含まれるフロックを原濁水槽内底部付近まで確実に運んだ上で、フロックのほとんど全部を凝集沈降槽に送り出すことができる。しかも、原濁水槽内のフロックをほぼ底部付近に集約した状態を保ちつつこの送出を行うことができるため、フロックとともに凝集沈降槽に送り込まれる水の量を相対的に少なくして、効率的にフロックを凝集沈降槽に送り込むことが可能となり、これにより凝集沈降槽における処理対象となる原濁水の減容化を図ることができる。
凝集沈降槽は、フロック整流水槽から取り入れられた原濁水に対して凝集沈降処理を行うための槽であり、凝集沈降槽本体1121と、原濁水取入口1122と、振動篩1123と、2次濁水送出口1124とを有する。
原濁水取入口は、凝集沈降槽本体にフロック整流水槽から整流されたフロックを含む原濁水を取り入れるためのものである。
振動篩は、原濁水取入口から取り入れた原濁水をろ過し、相対的にフロックを多く含まない1次上澄水とフロックをより多く含んだ1次濁水に分離するためのものである。振動篩とすることで、篩目に付着したフロックの沈降を促進し、篩目がフロックで目詰まりすることを防止することができる。
各篩目のサイズは、篩分けの対象となるフロックのサイズなどに応じて適切に設計される。例えば、フロックが放射性セシウムと粘土の結合物である場合には、前述のように、放射性セシウムが粘土に強く吸着され、かつフロックの大きさが30μm程度であることから、各篩目のサイズを当該フロックがほとんど通過しない程度のサイズである30μm程度以下とすることで、1次上澄水として、フロックがほとんど含まれない、即ち放射性セシウムがほとんど含まれない上澄水を得ることができる。このような上澄水は、これをそのまま水田等に戻して再利用することもできる。
図12は、凝集沈降槽の形状の一例を示す図である。本図の凝集沈降槽1220は、放射性セシウム及び粘土を含むフロックを含む濁水の凝集沈降処理のための凝集沈降槽の一例を示し、凝集沈降槽本体0221の大きさはドラム缶の大きさ(直径約60cm×高さ約90cm)程度のコンパクトなものである。振動篩1223の近傍には振動篩を振動させるための小型の振動モータ1225(縦約10cm×横約20cm×高さ約10cm)が備えられている。また、振動篩の各篩目のサイズは30μm程度以下である。これにより、振動篩によってろ過された1次上澄水にはほとんどフロックが含まれない状態とすることができる。原濁水に含まれる水分の約80%は、この1次上澄水と1次濁水の分離の段階で1次上澄水に含ませることができる。この結果、1次濁水に含まれる水の量を大幅に減らすことができ、その後の沈降、濃縮及び脱水処理をコンパクトな装置によって効率的に行う上で大きく貢献することができる。
振動篩によって1次上澄水と分離された1次濁水は、凝集沈降槽本体内で沈降し、1次濁水よりもさらにフロックを多く含む2次濁水の状態となる。2次濁水は、凝集沈降槽本体の底部近辺に設けられた2次濁水送出口から濃縮槽に対して送出される。この送出はポンプ等を用いずに、凝集沈降槽本体内の水位(1次上澄水を含めた水位)と濃縮槽内の水位の水位差のみを利用してなるべく静かに行うことが望ましい。そうすることで、凝集沈降槽内の1次濁水が撹拌されるのを抑えることができ、沈降した状態の2次濁水の濃度をなるべく薄めることなく濃縮槽に送りだすことができる。また、濃縮槽内に取り込まれる2次濁水の撹拌をできるだけ抑えることもでき、濃縮槽内での静置による上澄水(2次上澄水)と濁水(3次濁水)の分離をより短時間で円滑に行うことが可能となる。
図11に戻り、濃縮槽は、前記凝集沈降によって得られた凝集物の濃縮を行うための槽であり、2次濁水取入口1131と、濃縮槽本体1132と、3次濁水送出口1133とを有する。
2次濁水取入口は、凝集沈降槽の2次濁水送出口から送出された2次濁水を濃縮槽本体内に取り入れるためのものである。濃縮槽本体内に取り入れられた2次濁水は、静置されることで、相対的にフロックを多く含まない2次上澄水と、相対的にフロックをより多く含んで沈降する3次濁水とに分離される。分離された3次濁水は、3次濁水送出口から例えば脱水装置に対して送出される。
凝集沈降槽とは別に濃縮槽を設ける意義は、濁水の減容化をさらに促進することにある。即ち、凝集沈降槽内で得られる2次濁水は、振動篩による振動が加えられてある程度撹拌された状態であるため、フロックの濃縮度が未だ十分とは言えず、2次濁水には依然としてある程度の水分が含まれている。そこで、これを静置してさらにフロックを沈降させることで、2次濁水よりもさらに相対的に水分を多く含まない(相対的にフロックをより多く含む)濁水を得ることができる。そこで、凝集沈降槽とは別に濃縮槽を設けて2次濁水をさらに濃縮するための静置、沈降処理を行うようにしたものである。
凝集沈降槽の2次濁水送出口と濃縮槽の2次濁水取入口の間には例えば両者をつなぐ配管が設けられるところ、当該配管には、配管内の流路を開閉するためのバルブが備えられていてもよい。図11にも凝集沈降槽とから濃縮槽に対して2次濁水を送出するための配管1150が設けられるとともに、当該配管にバルブ1151が備えられている例が示されている。このような構成により、濃縮槽内で静置・沈降処理がなされている最中にはバルブ1151を閉めておくことで凝集沈降槽から2次濁水が流入して濃縮槽内が撹拌されてしまうことを防ぐことができる。また、濃縮槽内で得られた3次濁水を槽外に送出する際にもこのバルブ1151を閉めておくことで、送出中の3次濁水に凝集沈降槽からの2次濁水が混入してしまうことを防ぐことができる。
濃縮槽には、2次上澄水の水質を観察可能な透明管を設けてもよい。この観察の目的は、透明管内の上澄水の水質をみることで2次上澄水と3次濁水とに分離された状態になったかどうかを判断することにある。観察の結果、透明管内の上澄水の水質が十分に透明な状態になっていれば、2次上澄水と3次濁水とに分離された状態になったと判断できるので、この透明管内の2次上澄水を水田などに戻すために濃縮槽から放出しても差支えないとの判断が可能となる。また、この結果、十分に濃縮され、減容化が図られた3次濁水が得られたこともわかるので、これを脱水装置での脱水処理のために送出するとの判断を行うことも可能となる。
なお、この2次上澄水の水質を観察可能な透明管は、凝集沈降槽の稼働時における1次上澄水の水面よりも高位置の2次上澄水の水質を観察するためのもの(これをフロック観察透明管と称する)であってもよいが、その具体的な構成については、次実施例にて後述する。
本実施例にかかる沈降分離装置を用いることで、沈降分離装置における各工程で濁水の減容化を図ることができる。また、この結果、その後の脱水処理の対象となる濁水の減容化も図ることができるので、脱水装置をコンパクトにすることが可能となる。さらに、本発明の発明者は、他の工程における減容化を図るための方法についても発明を行ったところであり、これらにより、除染装置全体のコンパクトを図ることも可能にした。かかる除染装置は、例えば4トン車に搭載可能な程度にコンパクト化されたものであり、大型車両のアクセスが困難な場所へも移動可能で、しかも短時間に設置・撤収することができる除染装置を提供することが可能となる。
図14は、参考までに、本発明に係る沈降分離装置を含むコンパクトな除染装置の一例を示す概観図であって、4トン車に搭載可能な除染装置の外観の一例を示したものである。(a)は平面図であり、(b)は側面図である(いずれもおよそのイメージを示したものであり、両者は必ずしも厳密には整合していない)。本発明に係る沈降分離装置1400は、除染装置の他の構成要素である洗浄装置1401、分級装置1402、凝集分離工程において凝集剤添加を含む工程を行うための凝集剤供給器1403、脱水装置1404とともに、鋼製の床板1405に載置される形で4トン車の荷台(幅2m程度×長さ5m程度)に搭載された状態が示されている。
<効果>
本実施例の発明により、凝集分離工程における濁水の減容化を図ることが可能な凝集剤添加後濁水の沈降分離装置を提供することが可能となる。より詳細には、濁水を整流してフロックを効率的に沈降分離工程に送り込むことができるとともに、沈降分離工程において沈降させたフロックをより多く含む濁水をさらに濃縮して、より水分の少ない状態の濁水とすることが可能な凝集剤添加後濁水の沈降分離装置を提供することができる。これにより、例えば次の脱水工程における処理対象をより減容化することも可能となり、装置全体のコンパクト化に資することが可能となる。
≪実施例4の応用的実施1≫
実施例4の応用的実施1の凝集剤添加後濁水の沈降分離装置は、前記の基本的な構成の装置と基本的に共通するが、フロック観察透明管及び上澄水連絡管をさらに設けた点に特徴がある。
<構成>
実施例4の応用的実施1における凝集剤添加後濁水の沈降分離装置は実施例4の基本的な構成における沈降分離装置と基本的に共通する。ただし、本実施例の沈降分離装置の濃縮槽は、これに連通して、濃縮槽本体上部に凝集沈降槽の稼働時1次上澄水の水面よりも高位置の2次上澄水の水質を観察可能に設けられたフロック観察透明管と、濃縮槽本体又は/及びフロック観察透明管に対して凝集沈降槽本体の振動篩より上側と連結されたバルブにて開閉可能な上澄水連絡管とをさらに有する。以下、フロック観察透明管及び上澄水連絡管の構成について説明する。その余の構成は実施例4の基本的な構成と同様であるので、説明を省略する。
フロック観察透明管は、2次上澄水の水質を観察可能な管であり、例えば透明アクリル樹脂製のものが用いられる。図11にもかかるフロック観察透明管1134が設けられている例を示した。
観察対象となる2次上澄水は、凝集沈降槽の稼働時における1次上澄水の水面よりも高位置の2次上澄水である。観察対象をこのように限定する意義は、特に、上澄水連絡管及びフロック観察透明管と濃縮槽本体の間などにバルブを備える場合に発揮されるものであるので、以下にまず上澄水連絡管及びかかるバルブの構成について説明し、その後改めて観察対象をこのように限定する意義について説明する。
上澄水連絡管は、凝集沈降槽内の1次上澄水と濃縮槽本体又は/及びフロック観察透明管内の2次上澄水とが連絡可能となるように設けられる管である。図11にもかかる上澄水連絡管1160が設けられている例を示した。上澄水連絡管には、管の開閉を行うためのバルブ1161が設けられる。
この上澄水連絡管の目的は、凝集沈降槽内の1次上澄水を濃縮槽内に取り込み、濃縮槽内の2次上澄水と一緒に排出することで、上澄水の排出を一つの排出口から効率的に行えるようにすることにある。凝集沈降槽内の1次上澄水だけを濃縮槽内に取り込むようにするため、上澄水連絡管は、濃縮槽本体又は/及びフロック観察透明管に対して凝集沈降槽本体の振動篩1123より上側と連結される。また、凝集沈降槽から取り込んだ1次上澄水及び濃縮槽内の2次上澄水の排出は、濃縮槽に設けられた上澄水排出口1137から行われる。この上澄水排出口にも開閉のためのバルブ1138が備えられる。また、上澄水排出口は上澄水連絡管1160よりも低い位置に設けられる。
凝集沈降槽内の1次上澄水を濃縮槽内に取り込むためには、上澄水連絡管のバルブ1161を開放する必要がある。ところが、このときに濃縮槽内の水位の方が凝集沈降槽内の水位よりも高いと、濃縮槽内の高水位部分の2次上澄水が凝集沈降槽に逆流することになる。この場合、濃縮槽内の当該部分の2次上澄水が1次上澄水と同程度もしくはそれ以上にフロックを含まない状態になっていれば、このような逆流が生じても特に問題はない。しかし、2次上澄水が1次上澄水よりも汚れている状態の場合には、このような逆流により、折角ろ過及び沈降によってきれいになった1次上澄水が濁ってしまう。そこで、かかる高水位の2次上澄水の水質を観察するために設けられるのがフロック観察透明管である。
ここで、どのような場合に濃縮槽内の水位の方が凝集沈降槽内の水位よりも高くなることが想定されるかについて簡単に説明する。上澄水連絡管及びフロック観察透明管を備える構成において、濃縮槽本体上部に凝集沈降槽の稼働時1次上澄水の水面よりも2次上澄水の水面の方が高位置になる場合としては、以下に示すような二つのケースが考えられる(便宜上、ケース1、ケース2とする)。
(ケース1)
図15は、実施例4の応用的実施1における上澄水連絡管及びフロック観察透明管の意義について説明するための図であり、ケース1における意義を説明する図である。本図(a)において、凝集沈降槽本体1521と濃縮槽本体1532が配管1550で連結され、配管にバルブ1551が備えられている。また、二つの槽本体の間には上澄水連絡管1560も設けられ、当該管にもバルブ1561が備えられている。上澄水連絡管は、凝集沈降槽内の1次上澄水だけを濃縮槽へ連絡し、1次濁水及び2次濁水が混入することがないように、振動篩1523より高い位置に設けられる。
本図において、配管及び上澄水連絡管の二つのバルブ1551、1561のうち少なくともどちらか一方は開放された状態である。なお、凝集沈降槽本体には槽内の水(1次上澄水)を排出するための排出口1526及びこれを開閉するためのバルブ1527も備えられており、本図では当該バルブ1527は閉鎖された状態である。従って、本図では凝集沈降槽、濃縮槽の両槽内の水位1525、1535は同じ高さである。
次に(b)は、二つのバルブ1551、1561が閉鎖された状態で、バルブ1527を開放し、凝集沈降槽本体内の水(1次上澄水)を凝集沈降槽の振動篩より高い位置に設けられた排出口1526から排出している状態を示す。この排出により凝集沈降槽内の水位1525bが(a)の状態の水位1525aより下がるが、このとき凝集沈降槽と濃縮槽の間に設けられている前記二つのバルブ1551、1561は閉鎖されており、濃縮槽内の水が凝集沈降槽内に流入することはない。この結果、濃縮槽のフロック観察透明管内の水位1535は元の状態を保ったままとなり、濃縮槽内の水位(フロック観察透明管内の水位)の方が凝集沈降槽内の水位より高い状態となる。これがケース1である。
(ケース2)
図16は、同じく実施例4の応用的実施1における上澄水連絡管及びフロック観察透明管の意義について説明するための図であり、ケース2における意義を説明する図である。図16(a)でも、図15の場合と同様に配管1650及び上澄水連絡管1660が設けられ、それぞれにバルブ1651、1661が備えられる。さらに本図では、濃縮槽内にフロック観察透明管1634が設けられ、フロック観察透明管と濃縮槽本体の間にもバルブ1636が備えられている。図6(a)では、三つのバルブ1651、1661、1636はすべて開放された状態であり、凝集沈降槽、濃縮槽の両槽内の水位1625a、1635は同じ高さである。
次に図16(b)は、フロック観察透明管と濃縮槽本体の間のバルブ1636及び上澄水連絡管のバルブ0661を閉鎖し、配管のバルブ1651を開放した状態で、凝集沈降槽本体内の水(1次上澄水)を排出口1626から槽外に排出している状態を示す。この排出により凝集沈降槽本体内の水位1625bは(a)に示した排出前の水位1625aよりも下がる(最も低い場合排出口1626の下端1626aまで下がり得る)。一方、濃縮槽においてはフロック観察透明管と濃縮槽本体の間のバルブ1636が閉鎖されているため、フロック観察透明管の水位は変わらず、(a)のときと同じ水位1635を保ったままとなる。この結果、濃縮槽内の水位1635の方が凝集沈降槽内の水位1625bよりも高い状態となる。これがケース2である。
(フロック観察透明管、上澄水連絡管の意義)
次に、実施例4の応用的実施1におけるフロック観察透明管、上澄水連絡管の意義は以下のとおりである。
上のケース1、2のように濃縮槽内の2次上澄水の水位の方が凝集沈降槽内の1次上澄水の水位よりも高い状態において、上澄水連絡管1560(1660)のバルブ1561(1661)を開放しても差支えないためには、2次上澄水の水質が1次上澄水と同程度かそれより澄んだ状態(即ち、フロックを1次上澄水よりも多く含まない状態)になっていることが必要である。そこで、フロック観察透明管を設けて1次上澄水の水面よりも高位置の2次上澄水の水質を観察可能とした。
観察の結果、1次上澄水の水面よりも高位置の2次上澄水の水質が1次上澄水と同等以上に澄んだ状態であれば、上澄水連絡管のバルブを開放状態にしても差支えない。そして、かかる澄んだ状態の2次上澄水は、濃縮槽に備えられた上澄水排出口1537(1637)からそのまま水田等に戻して再利用するために排出口から排出することができる(図11にも、濃縮槽に2次上澄水排出口1137が設けられるとともに、その開閉のためのバルブ1138が備えられている例を示した)。
(上澄水排出口)
上澄水排出口は、上述のように2次上澄水を排出するために濃縮槽本体又は/及びフロック観察透明管に設けられる。この場合、上澄水排出口を2次濁水取入口よりも上位置に設けることが望ましく、これにより2次上澄水の排出時に2次濁水取入口から2次濁水が混入することを防止することができる。かかる例については実施例4の応用的実施2で説明する。
また、上澄水排出口は上澄水連絡管よりも下位置に設けられることが望ましい。かかる例についても次実施例で説明する。
<効果>
実施例4の応用的実施1により、凝集沈降槽内の1次上澄水と濃縮槽本体又は/及びフロック観察透明管内の2次上澄水の両方を一つの排出口からまとめて排出することが可能となる。これにより、効率的な上澄水の排出を行うことができるため、濁水の減容化に資することが可能となる。
≪実施例4の応用的実施2≫
実施例4の応用的実施2の凝集剤添加後濁水の沈降分離装置は、実施例4の基本的な構成又は応用的実施1の装置と基本的に共通する。ただし、実施例4の応用的実施2では、沈降分離装置が、上澄水連絡管よりも下位置で2次濁水取入口よりも上側に設けられた上澄水排出口を有する点に特徴がある。
<構成>
実施例4の応用的実施2における凝集剤添加後濁水の沈降分離装置は、実施例4の基本的な構成又は応用的実施1における凝集剤添加後濁水の沈降分離装置と基本的に共通するが、前記濃縮槽本体又は/及びフロック観察透明管に対して連結された上澄水連絡管よりも下位置で前記2次濁水取入口よりも上側に設けられた上澄水排出口を有する。
実施例4の応用的実施2の目的は、上澄水の適切な排出処理を行うことにある。上澄水は、フロックを相対的に多く含まず、特に、放射性セシウムを含む汚染土壌の処理の場合のように、汚染物質をほとんど含まない場合もあることから、これを元の場所に戻すだけで直ちに再利用が可能な場合もある。このためには、上澄水がフロックを多く含む濁水と混ざらないようにして排出する必要がある。実施例4の応用的実施2の上澄水排出口は、実施例4の応用的実施1で述べた上澄水連絡管の構成と相まって、このような目的を実現するために構成されたものである。以下、前出の図11を用いて上澄水連絡管及び上澄水排出口について説明する。その余の構成は、実施例4の基本的な構成又は応用的実施1で説明したところと同様であるので説明を省略する。
実施例4の応用的実施2でも、上澄水連絡管1160は、濃縮槽又は/及びフロック観察透明管に対して(本図の例ではフロック観察透明管1134に対して)凝集沈降槽本体1121の振動篩1123より上側と連結される。これにより、凝集沈降槽本体内の1次上澄水を濃縮槽本体又は/及びフロック観察透明管に取り入れることが可能となる。また、上澄水連絡管は、バルブ1161にて開閉可能に構成されている。これは、濃縮槽内の沈降処理が行われている最中は、上澄水連絡管を閉じることにより、凝集沈降槽本体内の1次上澄水が濃縮槽に流入して濃縮槽内の静置状態が損なわれないようにするためである。
上澄水排出口1137は、前記濃縮槽本体又は/及びフロック観察透明管に対して連結された上澄水連絡管1160よりも下位置で前記2次濁水取入口1131よりも上側に設けられる。
上澄水排出口を上澄水連絡管よりも下位置に設けることで、沈降凝集槽内の1次上澄水の水位が上澄水連絡管の下端1160aに達するまで1次上澄水を濃縮槽側に送出することができるため、凝集沈降槽内の1次上澄水を最大限に排出することが可能となる。
また、上澄水排出口を2次濁水取入口よりも上側に設けることで、上澄水の排出時に2次濁水が混入して上澄水が濁ってしまうことを防止することができる。
<効果>
実施例4の応用的実施2により、凝集沈降槽内の1次上澄水と濃縮槽本体又は/及びフロック観察透明管内の2次上澄水の両方を一つの排出口からまとめて排出することが可能となり、効率的な上澄水の排出を行うことができる。その際、上澄水に濁水に混入することを防止しつつ、上澄水を最大限に排出して濁水の減容化に資することが可能となる。
≪実施例4の応用的実施3≫
実施例4の応用的実施3の凝集剤添加後濁水の沈降分離装置は、実施例4の応用的実施2の装置と基本的に共通するが、本実施例では、上澄水排出口の下側に3次濁水と2次上澄水の分離機構を設けた点に特徴がある。
<構成>
実施例4の応用的実施3における凝集剤添加後濁水の沈降分離装置は実施例4の応用的実施2における凝集剤添加後濁水の沈降分離装置と基本的に共通する。ただし、実施例4の応用的実施3の沈降分離装置は、前記上澄水排出口よりも下側に設けられた3次濁水をそれよりも上側の2次上澄水と分離可能とするための分離機構を有する。
分離機構の具体的構成の一例は、すでに図11を用いて述べたように、フロック観察透明管1134と濃縮槽本体1132の間に備えられたバルブ1136である。この場合、フロック観察透明管内のフロックの多くが沈降して濃縮槽本体内に移った状態、即ち、フロック観察透明管内にはフロックを相対的に多く含まない2次上澄水だけが存在する状態となった後にバルブが閉じられることで、以後、バルブが閉じられている間はフロック観察透明管内にフロックを相対的に多く含む3次濁水が混入することがなくなる。そこで、フロック観察透明管内の2次上澄水だけをフロック観察透明管に設けられた上澄水排出口1137から排出することが可能となる。
あるいは、図示は省略するが、分離機構は、例えば濃縮槽内全体を上下に仕切る仕切り板であって、濃縮槽内の水を上下に連通可能とするための開閉可能な開口部を備えたものであってもよい。このような構成によっても、仕切り板より高位に存在している2次上澄水だけを、濃縮槽の仕切り板より高位に設けられた上澄水排出口から排出することが可能となる。
実施例4の応用的実施3の構成によれば、上澄水連絡管から濃縮槽本体又は/及びフロック観察透明管に対して取り入れた1次上澄水も一緒に上澄水排出口から排出することができる。図11の例に即せば、凝集沈降槽内の1次上澄水の水位がフロック観察透明管又は濃縮槽本体内の2次上澄水の水位よりも高い場合に、上澄水連絡管に備えられたバルブを開けて凝集沈降槽内の1次上澄水を2次上澄水に混入したものを上澄水排出口から排出することができる。特に、放射性セシウムを含む汚染土壌の処理の場合のように、1次上澄水も2次上澄水も汚染物質をほとんど含まないという点では等価である場合には、このような処理により排出口を一つに集約することができ、装置のコンパクト化により資することができるので、有用である。
<効果>
実施例4の応用的実施3により、上澄水の排出に際して濃縮槽内の濁水が上澄水に混入することを防止しつつ上澄水の排出を効率的に行うことができるため、濁水の減容化に資することが可能となる。
本発明の対象である除染装置は、前記の構成に加え、前記脱水部が減圧吸着バッグに前記フロック濃縮槽からの二次凝集懸濁水に含まれるフロックを脱水槽に貯留した後、減圧吸着して濃縮する減圧バッグ機構と、減圧バッグ機構が、減圧バッグを脱水槽から引上げ後、直ちに口空きフレキシブルコンテナバッグ上に移動し、減圧バッグを加圧することでフレキシブルコンテナバッグに脱水フロックを落下する落下機構と、を有していても良い。
除染装置の脱水部は、汚染物質を十分に除去することができるものであることが望ましい。例えばセシウムに汚染された濁水の浄化を例にすると、規制値以上のセシウムを含んだ濁水は、濁水中のss濃度を一定以下に下げれば、放流可能となる。そして、スクリュープレス、サイクロン、遠心力分離などの方法であれば、分離した溶液中に残ったセシウムイオンやサブミクロン以下のss成分を完全に除去できないので、分離水のセシウム濃度を規制値以下に下げることが困難となる。他方、フィルタープレスや膜式真空脱水装置などを用いた差圧式濾過方法であれば、濾過膜と濾過膜に付着した微細土粒子とがフィルターとなり、セシウムイオンやサブミクロン以下のss成分を完全に除去でき、分離水のセシウム濃度を規制値以下に下げることが可能となる。そのため、除染装置の脱水部は、フィルタープレスや膜式真空脱水装置などを用いた差圧式濾過方法によることが望ましい。
さらに、除染装置の脱水部は、コンパクトであることが望ましい。前記フィルタープレスは、装置が大きくなってしまうため、コンパクトではない。他方、前記膜式真空脱水装置は、コンパクトである。そのため、除染装置の脱水部は、差圧式濾過方法の中でも、特に膜式真空脱水装置を用いることが望ましい。
この膜式真空脱水装置とは、前記脱水部が減圧吸着バッグに前記フロック濃縮槽からの二次凝集懸濁水に含まれるフロックを脱水槽に貯留した後、減圧吸着して濃縮する減圧バッグ機構と、減圧バッグ機構が、減圧バッグを脱水槽から引上げ後、直ちに口空きフレキシブルコンテナバッグ上に移動し、減圧バッグを加圧することでフレキシブルコンテナバッグに脱水フロックを落下する落下機構と、を有している装置である。
このような構成を有する膜式真空脱水装置を利用することにより、コンパクトかつ十分な除染処理を行うことが可能となる。
本発明の対象である除染装置は、前記の構成に加え、荷台を有する車両が、4tトラックであり、前記荷台が、車両のエンジンと駆動輪を有する車両本体から離脱可能とする離脱機構を有していても良い。
運搬方法としては、機動性の高いものであることが望ましい。4tトラックであれば、上記の装置を載せることができ、かつ、機動性も高い。そのため、運搬方法としては、4tトラックを用いるのが望ましい。そして、4tトラックであれば、その除染の規模などに応じて、2台以上に分けて除染装置を運搬しても良い。
通常、除染作業は、数日間にわたり行われ、その間除染が断続的に行われるので移動の必要はない。そのため、除染作業中、4tトラックを効率的に利用することができる機構を有していることが望ましい。4tトラックとその荷台が固定式であれば、移動の必要がない除染作業中、4tトラックは、除染装置の場所に固定される。そうすると、除染作業中、4tトラックを効率的に利用できない。他方、4tトラックの荷台が、車両のエンジンと駆動輪を有する車両本体から離脱可能であれば、除染作業中、離脱して4tトラックは独自に移動可能なので、4tトラックを効率的に利用できる。そのため、4tトラックの荷台は、車両のエンジンと駆動輪を有する車両本体から離脱可能とする離脱機構を有していることが望ましい。
また荷台を車両から離脱した場合であっても、後に車両と荷台の復帰が容易になるように、4tトラック上に存在していたときと同じ高さに保つことが望ましい。取り付け可能な支柱を用いれば、4tトラック上に存在していたときと同じ高さに保つことができる。そのため、荷台を車両から離脱した場合、その荷台に取り付け可能な支柱を備えることが望ましい。
図17は、離脱可能な車両を示す図である。移動時には車両(1701)上に荷台(1702)が搭載されているが、作業をする際には、車両は不要になるので、その車両を他の用途に用いるため、車両を荷台から離脱する。その離脱の方法としては、例えば、支柱(1703)を用いて荷台(1704)全体を持ち上げ、車両との間に空間を設けた上で、車両を前方向に走らせるという方法が考えられる。
さらに、この4tトラックは、遠隔操作リモコン等を用いて遠隔地にて操作可能な車両であっても良い。そうすれば、放射性物質の除染の場合にも、人を現地に動員させなくて良くなる。