JP2015040359A - アクリル繊維原液の製造方法およびフィルタハウジング - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の濾過装置では、収納するフィルターの数が増えるに従って、濾過流体が各円筒型フィルターに均等に分配され難くなる。その結果、各フィルターの濾過面に垂直な方向の膜透過速度がそれぞれ異なることとなり、フィルターの閉塞が早まり、長期間の使用を困難せしめていた。【解決手段】この問題は円筒型フィルターの開口端を基部と接合し、正三角形配列にて等間隔で収納し、フィルター接合基部上部の液流路を液排出口に向けて凸面で10%の皿型鏡板で閉止することにより達成される。【選択図】図1
Description
本発明は、溶融ポリマー、樹脂組成物の溶融体等の粘性流体を効率よく濾過処理し、フィルターの閉塞速度を遅くすることで長期間の使用が可能となるアクリル繊維原液の製造方法とそれを実現するフィルタハウジングを提供する。
従来から、アクリル系ポリマーを用いて製造されるアクリル繊維原液は図2に示すような濾過装置により製造されている。
特許文献1には、少量の洗浄液でフィルター再生が可能な濾過装置および濾過方法についての技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1では開示されている図面上のフィルター本数に関して、1本でもよいが、複数本のものを略均等に配置してもよいとの記述があり、複数本配置の際の挙動について不明であるという問題がある。通常は、上記従来の形状の濾過装置では、収納するフィルターの数が増えるに従って、濾過流体が各フィルターに均等に分配され難くなる傾向がある。その結果、各フィルターの濾過面に垂直な方向の膜透過速度がそれぞれ異なることとなり、フィルターの閉塞が早まり、長期間の使用を困難せしめる可能性がある。
このような実情に鑑み、本発明は、収納するフィルターの数が増大しても、長期間の使用が可能なアクリル繊維原液を製造する方法とそれを実現する濾過装置を提供することを目的とする。
本発明は、長さ方向の一端に開口を有する円筒型フィルターを少なくとも100本有し、流体導入口と流体導出口を有し、前記円筒型フィルターの開口が接続される接続基部により、流体導入側と流体導出側が仕切られる濾過装置において、接続基部と流体導出口との間であって、流体導出口に向けて凸面で5%以上15%以下の皿型鏡板の形状の流路を有し、75℃における粘度が150ポアズ以上350ポアズ以下である流体がフィルターの外側から、円筒内部に濾過され、接続基部に接続されている開口から導出され、各開口から導出される流体の速度差が5%以下である濾過工程を有するアクリル繊維原液の製造方法であり、この製造方法を用いれば上記目的を達成することが可能である。
各フィルターはその上端をそれぞれ基部に個別に支持され、基部上部の液流路空間が十分に確保されるため圧力損失を生じず、濾過流体が各円筒型フィルターに均等に分配される。
その結果、各フィルター開口を流れる流体のフィルター間での速度差の最大値が5 %以下となるため膜透過速度が各フィルターで均一となることによりフィルターの閉塞速度が遅くなり、長期間の使用が可能となる。
また、濾過流体が各円筒型フィルターに均等に分配されるため容器底部に存在していたゲル状の異物発生の温床となっていた滞留部が解消され、原液の品質が向上する。
以下、本発明の濾過装置の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1はこの発明のフィルタハウジングにおける断面図である。円筒型フィルター2は、支柱穴3を有する接続基部1に接続される。図ではフィルターの数が1本の場合を示している。
円筒型フィルター2は有底の筒状体であり、実際には接続基部1に100本以上接続される。100本以上であれば総濾過面積が向上し、寿命が長期化するという点で好ましく、200本以上が好ましい。上限としては、空間的制約から800本以下が好ましい。
この円筒型フィルターには例えば、ステンレス鋼、ニッケル、チタン等種々金属ないし合金による金属繊維や金属粉末を用いた多孔質な金属焼結体の他、ハイメッシュ製の金網等、従来公知の種々濾材を用いることができる。円筒型フィルター2の特性は直径10〜20mm、目開き5〜100μmのものが好ましい。直径を上記に限定したのは20mm以下であれば通過するポリマー量が過剰にはならず異常滞留を抑制できる点で好ましい。一方で、直径10mm以上であればフィルターの耐圧を抑制できる点で好ましい。同様の理由から目開きを上記に限定したのは5μm以上であればフィルターの耐圧を抑制できる点で好ましく、 100μm以下であれば異物の除去や被濾過流体の各成分の分散が十分となる点で好ましい。更に好ましくは直径12〜18mmとする。
この円筒型フィルターには例えば、ステンレス鋼、ニッケル、チタン等種々金属ないし合金による金属繊維や金属粉末を用いた多孔質な金属焼結体の他、ハイメッシュ製の金網等、従来公知の種々濾材を用いることができる。円筒型フィルター2の特性は直径10〜20mm、目開き5〜100μmのものが好ましい。直径を上記に限定したのは20mm以下であれば通過するポリマー量が過剰にはならず異常滞留を抑制できる点で好ましい。一方で、直径10mm以上であればフィルターの耐圧を抑制できる点で好ましい。同様の理由から目開きを上記に限定したのは5μm以上であればフィルターの耐圧を抑制できる点で好ましく、 100μm以下であれば異物の除去や被濾過流体の各成分の分散が十分となる点で好ましい。更に好ましくは直径12〜18mmとする。
基部1上部にはフィルターを通過した濾過流体の流路空間4が設けられており、流路内壁面は5%以上15%以下の皿型鏡板6で溶接されている。皿型鏡板は5%以上であると十分な流路空間が確保され、また15%以下とすることで異常滞留を抑制できることができ、7〜13%であることがより好ましい。5%以上15%以下の皿型鏡板の形状が始まる間の流路長さは14mm以上100mm以下であることが好ましい。流路長さを上記に限定したのは14mm以上であると流路空間が十分であり圧力損失の影響を受けない点で好ましく、100mm以下であれば異常滞留を抑制できる点で好ましい。上記フィルターおよび上記形状の流路を用いることで各開口から導出される流体の速度差を5%以下とすることが可能である。流体の速度差が5%以下であると各フィルターの閉塞速度が均一になり、フィルター寿命が向上し、経済的負荷が低減するという点で好ましい。
なお、ここでx%皿型とは内径y(mm)の鏡板に対してすみの円みの半径をr(mm)とするとr=x/100×yの関係が成り立つものを言う。
なお、ここでx%皿型とは内径y(mm)の鏡板に対してすみの円みの半径をr(mm)とするとr=x/100×yの関係が成り立つものを言う。
被処理流体は図1下部の液導入口7より導入され、各円筒型フィルター2に分配される。分配されたポリマーは、フィルター表面の濾材により濾過され接続基部1内、ハウジング内流路4の順に通り液排出口5より外部へ排出される。
本装置では、75℃における粘度が150〜350ポアズ(P)の流体、例えば、化学工業におけるポリマー、モノマー、オリゴマー、あるいは高粘度の食品、その他一般の高粘度流体を対象とし、その中に含有される異物の除去のための濾過が行われる。濾過対象の流体粘度を上記のように定めたのは、75℃における粘度が150ポアズ(P)以上となると、流体の流動性が悪いため濾過機内で滞留が発生し、本発明の対処すべきところであり、粘度が350ポアズ(P)未満であれば装置の運転条件においても許容圧力範囲内であり高度な送液手段を必要とせず、経済的負担が軽減できる点で好ましい。
以下、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
ここで、以下の検討では図1に示す液排出口に向けた壁面が10%皿型鏡板、皿型鏡板が始まるまでの間の流路長さが14mmである濾過装置を用いて、流体粘度208ポアズ、フィルター本数637本配置時のフィルター最内周と最外周の各開口から導出される流体の流速比を、ANSYS社製のシミュレーションソフトGAMBIT及びFLUENTを用いて測定した。
ここで、以下の検討では図1に示す液排出口に向けた壁面が10%皿型鏡板、皿型鏡板が始まるまでの間の流路長さが14mmである濾過装置を用いて、流体粘度208ポアズ、フィルター本数637本配置時のフィルター最内周と最外周の各開口から導出される流体の流速比を、ANSYS社製のシミュレーションソフトGAMBIT及びFLUENTを用いて測定した。
具体的にはGAMBITを用いて形状を作成し、作成した形状をもとに粘度208ポアズ、密度980kg/m3の流体とし、ハウジング入口流量1.7m3/hの条件でFLUENTを用いて流動解析を行った。
その結果を表1に示す。
その結果を表1に示す。
[比較例1]
形状の差異が流速に及ぼす影響について判断するため、図2の角型のフィルタハウジング形状を同様にGAMBITにて作成し、上記同様の条件で該流速比を測定した。
その結果を表1に示す。
形状の差異が流速に及ぼす影響について判断するため、図2の角型のフィルタハウジング形状を同様にGAMBITにて作成し、上記同様の条件で該流速比を測定した。
その結果を表1に示す。
表1より本発明にて提供した形状を用いることでフィルター最内周と最外周の各点でのフィルターの開口から導出される流体の速度差が5%以下となることが分かる。
また、フィルターの差圧、すなわち図1中の5と7の地点の差圧が600KPaになるまでの到達日数を比較して表1に示した。表1より流体導出側の流路が角型となっているフィルターと比較して本発明の方が長期的な使用が可能であることが分かる。
[実施例2〜4]
以下の検討では図1に示す液排出口に向けた壁面が5%皿型鏡板、鏡板が始まるまでの液流路長さが14mm、28mm、100mmの濾過装置を用いて、フィルター本数637本配置時のフィルター最内周と最外周の各開口から導出される流体の流速比を実施例1と同様にした測定した。
以下の検討では図1に示す液排出口に向けた壁面が5%皿型鏡板、鏡板が始まるまでの液流路長さが14mm、28mm、100mmの濾過装置を用いて、フィルター本数637本配置時のフィルター最内周と最外周の各開口から導出される流体の流速比を実施例1と同様にした測定した。
その結果を表2に示す。本発明にて提供した形状を用いることでフィルター最内周と最外周の各点でのフィルター開口から導出される流体の速度差が5%以下となることが分かる。
1:接続基部
2:円筒型フィルター
3:支柱穴
4:ハウジング内液流路
5:液排出口
6:10%皿型鏡板
7:液導入口
8:液導入口
9:ハウジング内液流路
10:円筒型フィルター
11:液排出口
2:円筒型フィルター
3:支柱穴
4:ハウジング内液流路
5:液排出口
6:10%皿型鏡板
7:液導入口
8:液導入口
9:ハウジング内液流路
10:円筒型フィルター
11:液排出口
Claims (5)
- 長さ方向の一端に開口を有する円筒型フィルターを少なくとも100本有し、流体導入口と流体導出口を有し、前記円筒型フィルターの開口が接続される接続基部により、流体導入側と流体導出側が仕切られる濾過装置において、
接続基部と流体導出口との間であって、流体導出口に向けて凸面で5%以上15%以下の皿型鏡板の形状の流路を有し、
75℃における粘度が150ポアズ以上350ポアズ以下である流体がフィルターの外側から、円筒内部に濾過され、接続基部に接続されている開口から導出され、
各開口から導出される流体の速度差が5%以下である濾過工程を有するアクリル繊維原液の製造方法。 - 長さ方向の一端に開口を有する円筒型フィルターを少なくとも100本有し、流体導入口と流体導出口を有し、前記円筒型フィルターの開口が接続される接続基部により、流体導入側と流体導出側が仕切られる濾過装置において、
前記開口は、接続基部に正三角形の配列にて等間隔に配され、
接続基部と流体導出口との間であって、流体導出口に向けて凸面で10%の皿型鏡板の形状の流路を有するアクリル繊維原液の濾過装置。 - 接続基部面と凸面で5%以上15%以下の皿型鏡板の形状が始まる間の流路長さが14mm以上10mm以下である請求項2に記載のアクリル繊維原液の濾過装置。
- 円筒型フィルターの直径が10mm以上20mm以下である請求項2または3に記載のアクリル繊維原液の濾過装置。
- 円筒型フィルターの目開きが、5μm以上10μm以下である請求項2〜4のいずれか一項に記載のアクリル繊維原液の濾過装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013172264A JP2015040359A (ja) | 2013-08-22 | 2013-08-22 | アクリル繊維原液の製造方法およびフィルタハウジング |
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Publications (1)
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- 2013-08-22 JP JP2013172264A patent/JP2015040359A/ja active Pending
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