JP2015039424A - Mri装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】傾斜磁場コイルの異常の兆候を早期に検出し、故障による稼働停止を回避するMRI装置を提供する。
【解決手段】MRI装置100は、傾斜磁場コイルと、前記傾斜磁場コイルに電流を供給する傾斜磁場電源2と、傾斜磁場電源2により測定用の電流が前記傾斜磁場コイルに供給された場合、前記傾斜磁場電源2からの出力される電流および電圧を測定する測定部3と、前記測定を実施する測定シーケンスおよび被検体を撮像する撮像シーケンスを制御するシーケンス制御部6と、前記測定部3で測定された電流および電圧から、前記傾斜磁場コイルのインピーダンスを算出する演算部21と、前記インピーダンスに基づき、前記傾斜磁場コイルの異常の有無を判定する判定部23と、前記判定結果を表示する表示部40と、を備える。
【選択図】図3

Description

本発明の一態様としての実施形態は、MRI装置に関する。
磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置は、静磁場中に置かれた患者の原子核スピンをラーモア周波数の高周波(RF:Radio Frequency)信号で励起し、励起に伴って患者から発生する磁気共鳴信号を再構成して画像を生成する撮像装置である。MRI装置は、非侵襲に体内の検査を行うことができるため、現在の医療において不可欠である。
近年、MRI装置の高性能化により解像度の高い良質な画像を取得できるようになり、正確かつ精密な検査が画像判定によって可能となった。このようなMRI装置が適正に使用されるためには、定期的な保守点検や定期交換部品の管理が必要である。特に、MRI装置は、交換部品が多く、異常が発生した時の不具合箇所の発見が難しいため、異常が発生する前にそれを検知することが重要である。
そこで、MRI装置から収集されたデータに基づきMRI装置に使用されている部品等の一元管理を行い、MRI装置に異常を早期に発見するMRI装置およびそのメンテナンス支援装置が提供されている(たとえば、特許文献1等)。
特開2003−260039号公報
しかしながら、傾斜磁場コイルの異常は、画像にアーティファクトが現れるまで検出することが難しく、異常が発生する前にその兆候を捉えて、修理することが難しいという問題があった。
近年のMRI装置は高分解能撮像に伴い傾斜磁場を発生させる傾斜磁場コイルの高性能化がすすめられており、それに伴い、傾斜コイルに発生する振動が大きくなっている。この傾斜磁場コイルに発生する振動が大きくなると、傾斜磁場コイルと傾斜磁場電源とを接続するケーブルの信号締結部および端子も振動により緩みが生じる。また、傾斜磁場コイルには大きな電流が流れるため、傾斜磁場コイル内部線材や、これに接続するケーブルには、強力な静電磁場の電流によるローレンツ力が働き、傾斜磁場コイル内の繰り返し応用による劣化やケーブルの信号締結部および端子の緩みや破損の原因となっている。
また、傾斜磁場コイルの高性能化に伴い、傾斜磁場コイルの消費電力が非常に大きくなってきている。そのため、傾斜磁場コイル内部線材や線材固定材、傾斜磁場コイルと傾斜磁場電源とを接続するケーブル、信号締結部および端子に劣化や損傷が発生していた場合、傾斜磁場コイルに使用している膨大な電力により急速に劣化や損傷が進み、漏れ電流の増加や、最終的には短絡といった故障が発生する可能性がある。ケーブルやケーブル締結部などの緩みや損傷による故障は、MRI装置を稼働中に急速に進行するため、定期点検を実施していても発見が難しいという問題がある。
このような故障が撮像中に発生すると、MRI装置の被検体である患者は、再度別の日に検査を受けることになり、造影剤などを使用した検査の途中であった場合は、特に大きな負担になる。また、故障が発生してから修理を行う場合、部品の調達や人員の手配などに時間を要するため、その間MRI装置による検査ができなくなるという問題もある。
そこで、傾斜磁場コイルの異常の兆候を早期に検出し、故障による稼働停止を回避するMRI装置が要望されている。
本実施形態に係るMRI装置は、傾斜磁場コイルと、前記傾斜磁場コイルに電流を供給する傾斜磁場電源と、記傾斜磁場電源により測定用の電流が前記傾斜磁場コイルに供給された場合、前記傾斜磁場電源からの出力される電流および電圧を測定する測定部と、前記測定を実施する測定シーケンスおよび被検体を撮像する撮像シーケンスを制御するシーケンス制御部と、前記測定部で測定された電流および電圧から、前記傾斜磁場コイルのインピーダンスを算出する演算部と、前記インピーダンスに基づき、前記傾斜磁場コイルの異常の有無を判定する判定部と、前記判定結果を表示する表示部と、を備えたことを特徴とする。
実施形態に係るMRI装置の一例を示す概念的な構成図。 傾斜磁場コイルの一例を示す図。 実施形態に係るMRI装置の機能構成例を示す機能ブロック図。 実施形態に係るMRI装置の動作の一例を示すフローチャート。 傾斜磁場コイルの等価回路を説明する図。 傾斜磁場コイルに印加される電流および電圧を説明する図。 実施形態に係るMRI装置の傾斜磁場コイルに供給される台形波について説明する図。 傾斜磁場コイルに供給される台形波の第1の測定シーケンスを示す図。 傾斜磁場コイルに供給される台形波の第2の測定シーケンスを示す図。 傾斜磁場コイルに供給される台形波の第3の測定シーケンスを示す図。 傾斜磁場コイルに供給される台形波の第4の測定シーケンスを示す図。 傾斜磁場コイルに正弦波の電流を供給し、測定部で電流と電圧を測定する測定シーケンスを説明する図。 傾斜磁場コイルに正弦波および台形波が供給される測定シーケンスを説明する図。 MRI装置における従来の運転スケジュールを説明する図。 実施形態に係るMRI装置の第1の運転スケジュールを説明する図。 実施形態に係るMRI装置の第2の運転スケジュールを説明する図。 実施形態に係るMRI装置の第3の運転スケジュールを説明する図。
以下で、MRI装置の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
(1)構成
図1は、実施形態に係るMRI装置の一例を示す概念的な構成図である。図1が示すように、実施形態に係るMRI装置100は、静磁場を発生させる静磁場電源1、静磁場に位置情報を付加するための、傾斜磁場電源2(2X、2Y、2Z)、傾斜磁場電源2から出力される電流および電圧を測定する測定部3(3X、3Y、3Z)、高周波信号を送受信するRF受信器4およびRF送信器5、所定のパルスシーケンスを実行するシーケンス制御部6、MRI装置全体のコントロールを担うコンピュータ7、被検体(患者)を載せる寝台部8、騒音遮蔽用容器9(以下、容器9という)、磁石架台10を備えた構成である。
磁石架台10は、静磁場磁石11、傾斜磁場コイル12、RFコイル13等を有しており、これらの構成品は円筒状の筐体に収納されている。
磁石架台10の静磁場磁石11は、概略円筒形状をなしており、被検体の撮像領域であるボア(静磁場磁石11の円筒内部の空間)内に静磁場を発生させる。静磁場磁石11は超電導コイルを内蔵し、励磁モードでは静磁場電源1から供給される電流を超電導コイルに印加することで静磁場を発生する。その後、永久電流モードに移行すると、静磁場電源1は切り離される。静磁場磁石11は、液体ヘリウムによって超電導コイルが極低温に冷却されており、静磁場磁石11内部を極低温に保つための熱シールドを低温に保持するための液体ヘリウムによって冷却される。
傾斜磁場コイル12も概略円筒形状をなし、静磁場磁石11の内側に固定されている。この傾斜磁場コイル12は、傾斜磁場電源2(2Y、2Y、2Z)から供給される電流によりX軸,Y軸,Z軸の方向に傾斜磁場を印加する。傾斜磁場コイル12は容器9に格納されている。
シーケンス制御部6は、MRI装置100における撮像シーケンスの制御に加えて、傾斜磁場電源2の測定シーケンスの制御を行う。シーケンス制御部6は、測定シーケンスに従って、傾斜磁場電源2および測定部3に、傾斜磁場コイル12のインピーダンスを測定するための測定用電流の印加タイミングや測定用電流の種別、測定部3での測定のタイミングなどを命令する。
コンピュータ7は、その内部構造として主制御部20、入力部30、表示部40、記憶部50、などを備えた構成である。コンピュータ7は、MRI装置のシーケンス制御部6などの制御に加えて、傾斜磁場コイル12のインピーダンスの算出を行う。
記憶部50に格納されたプログラムが、主制御部20によって実行されることで、インピーダンスが算出される。また、記憶部50には算出されたインピーダンス等のデータが格納される。記憶部50は、RAMとROMをはじめとする記憶媒体などにより構成され、磁気的もしくは光学的記憶媒体または半導体メモリなどの、主制御部20により読み取り可能な記憶媒体を含んだ構成を有する。
入力部30は、たとえばキーボード、タッチパネル、テンキー、マウスなどの一般的な入力装置により構成される。
表示部40は、たとえば液晶ディスプレイやOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイなどの一般的な表示装置により構成されるほか、主制御部20の制御に従って傾斜磁場コイル12の状態を示すインピーダンスなどを表示する。
図2は、傾斜磁場コイル12の一例を示す図である。傾斜磁場コイル12は、容器9に収納される傾斜磁場コイル本体(図示せず)のほか、信号締結部A、ケーブルB、端子Cを有している。以下、これらを含めて傾斜磁場コイル12と呼ぶものとする。ケーブルBの一端は信号締結部Aを介して傾斜磁場コイル本体に接続される一方、ケーブルBの他端は端子Cを介して傾斜磁場電源2に接続しており、傾斜磁場電源2から傾斜磁場コイル本体に電流を供給している。傾斜磁場コイル12に電流が印加されると、静磁場の影響によって傾斜磁場コイル12の各部にはローレンツ力が発生すると共に振動も発生する。このようなローレンツ力や振動は、傾斜磁場コイル12の信号締結部Aおよび端子Cの緩みの原因となったり、ケーブルBの断線・短絡の原因となったりする。
同様に、傾斜磁場コイル本体には、傾斜磁場コイル内部線材にかかるローレンツ力による応力により疲弊劣化や、線材固定材の歪劣化が発生する。さらに、傾斜磁場コイル12の絶縁層に電圧が印加されることで進展する部分放電などの電気的劣化や、運転中の発熱による絶縁層内に剥離やクラックが進展する熱劣化などが発生する。
このような傾斜磁場コイル本体の劣化やケーブルB、信号締結部A、端子C等の劣化は、信号締結部Aから見た傾斜磁場コイル本体のインピーダンスや、端子Cから見た傾斜磁場コイル本体のインピーダンスを、インピーダンス系統の測定器を用いて測定することで把握することができる。しかしながら、このような測定は別途測定機を用意する必要がある。また、信号締結部Aや端子Cは、円筒状の磁石架台10の内部に収容されており、通常外部に露出していない。そのため、測定器をアクセス可能な状態にするのに手間がかかり、さらに実際の測定にも時間を要し、結果的にユーザに大きな作業負担を強いることになる。
一方、傾斜磁場コイル12における損傷は、画像のアーティファクトとなって出現するが、アーティファクトが出現する時点で、MRI装置100での撮像に支障をきたし、傾斜磁場コイル12の修理が必要となる。また、いったん傾斜磁場コイル12に損傷が生じると、傾斜磁場電源2から供給される高い電流によって急速に劣化が進行するため、損傷を早急に発見することが重要である。
そこで、本発明は、傾斜磁場電源2から出力される電流と電圧を用いて、傾斜磁場電源2の出力端から見た傾斜磁場コイル12のインピーダンスを算出することで、MRI装置100における撮像が実施できなくなる前に、ユーザに特別な作業負担を強いることなく傾斜磁場コイル12の異常を早急に検出する技術を提供する。傾斜磁場電源2から出力される電流と電圧を用いて、インピーダンスを算出する方法は後述する。
図3は、実施形態に係るMRI装置100の機能構成例を示す機能ブロック図である。図3に示すように、MRI装置100は傾斜磁場電源2と、測定部3と、シーケンス制御部6と、演算部21と、判定部23と、表示部40と記憶部50とから構成される。このうち、演算部21および判定部23は図1に示した記憶部50に格納されたプログラムが、主制御部20によって実行されることで実現される機能である。
シーケンス制御部6は、図1に示した主制御部20の制御に従って、撮像シーケンスおよび測定シーケンスを制御する。測定シーケンスは、傾斜磁場電源2から所定のタイミングでインピーダンス測定用電流を供給し、測定部3は所定のタイミングで傾斜磁場コイル12にインピーダンス測定用電流およびその電圧(以下、単に電流、電圧というときは、傾斜磁場コイル12のインピーダンス測定用の電流および電圧を指すものとする)をサンプリングする、一連のシーケンスから構成される。シーケンス制御部6は、測定シーケンスを制御し、傾斜磁場コイル12に適切なタイミングで電流が供給され、必要なサンプリングが行えるように、傾斜磁場電源2および測定部3を制御する。測定シーケンスの詳細は後述する。
傾斜磁場電源2は、シーケンス制御部6の制御に基づき、X軸、Y軸、Z軸用の傾斜磁場コイル12に電流を供給する。
測定部3は、シーケンス制御部6の制御に基づき、X軸、Y軸、Z軸用の傾斜磁場コイル12に供給される電流および電圧を、傾斜磁場電源2の出力端で測定する。
演算部21は、測定部3が取得した電流および電圧などのデータに基づいて、傾斜磁場コイル12のインピーダンスZを算出する。算出するインピーダンスZは、抵抗値Rのみの場合もあるし、抵抗値RとインダクタンスLの両方を含めたインピーダンスZの場合もある。抵抗値R、インダクタンスLおよびインピーダンスZの算出方法は後述する。
判定部23は、演算部21で算出したインピーダンスZをもとに、傾斜磁場コイル12の異常の有無を判定する。インピーダンスの増加や減少、値の乱れなどによって、傾斜磁場コイル12の異常を判定する。判定部23が、MRI装置100における撮像を停止すべきと判定した場合は、その判定結果に基づき、シーケンス制御部6がその後の撮像シーケンスを停止する。
記憶部50は、測定シーケンスごとに、算出された過去のインピーダンスや判定結果などを記憶する。
表示部40は、判定部23の判定結果や演算部21で算出されたインピーダンスZを表示する。また、判定結果に合わせて、異常の有無やその程度を表示する。また、異常の程度が高く、MRI装置100の運転を見合わせるべき場合は、その旨を表示し、前述したように、シーケンス制御部6がその後の撮像シーケンスを停止してもよいし、ユーザがその表示をもとにMRI装置100を停止するか否かを判断してもよい。さらに、異常の可能性があるがすぐに停止する必要がない状態の場合は、その旨を表示し、ユーザがその表示をもとに、次の検査の長さなどによって運転を継続すべきか否か判断する。
(2)動作
図4は、実施形態に係るMRI装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
図4のST101では、傾斜磁場電源2が、シーケンス制御部6の制御に従って、傾斜磁場コイル12に電流の供給を開始する。
図5は、傾斜磁場コイル12の等価回路を説明する図である。傾斜磁場コイル12は、図2で示したように、静磁場に空間的位置を付与するための傾斜磁場を発生させるための傾斜磁場コイル本体と、信号締結部Aや端子Cなどから構成されている。これらの構成から、傾斜磁場コイル12は、図5に示すように、コイル(L:インダクタンス)と抵抗Rが電源である傾斜磁場電源2に接続した等価回路に近似することができる。実際の傾斜磁場電源2と傾斜磁場コイル12とを結ぶ回路において、インピーダンスを検討するには、近接効果による内部および外部の渦電流の存在や、X軸、Y軸、Z軸用の各傾斜磁場コイル12間のカップリングなどがあるため、非常に複雑である。しかし、これらの要因は、個々のMRI装置100においては、抵抗値Rが温度によって変化することを除けば、時間的にそれほど変化しない要因であり、図5に示した等価回路におけるインピーダンスを定期的に測定し、その変化量から異常の有無を測定することができる。
図5で示した、インダクタンスLのコイルと、抵抗Rとが直列に接続された回路に電流Iを流す場合、インダクタンスLに磁場が発生させるために、誘導電圧が必要となる。この誘導電圧は、このインダクタンスLと、電流Iの時間変化率(dI/dt)との積で規定される。したがって、図5で示した回路に電流Iを印加した場合の電圧Vは、以下の式(1)で表される。
Figure 2015039424
また、インピーダンスZは、回路に供給される電流が角周波数(ω)の交流である場合、以下の式(2)で表される。
Figure 2015039424
したがって、傾斜磁場コイル12のインピーダンスZを算出するためには、傾斜磁場コイル12の電流Iと電圧VとからインダクタンスLと抵抗Rとを算出し、その算出した値をもとに、式(2)から求めることができる。
本発明の実施形態におけるMRI装置100では、傾斜磁場電源2から出力される電流および電圧を、傾斜磁場電源2に設けた測定部3を用いて測定することにより、傾斜磁場コイル12のインピーダンスを算出する。
図6は、傾斜磁場コイル12に印加される電流および電圧を説明する図である。図6において、縦軸は電流および電圧、横軸は時間を示している。図5で示した回路に台形波状の電流を供給した時、図6の期間Aが示すように、電流が供給された瞬間に電圧が一気に上昇する。図6の期間Bでは、電流の時間変化率(dI/dt)とインダクタンスLの積で定まる誘導電圧(L(dI/dt))が発生する。電流の変化率は台形の前縁の傾きであるため、図6の期間Bの間は、誘導電圧は一定である。一方、期間Bの間は、電流Iが直線的に上昇しているため、抵抗Rと電流Iの積(RI)は上昇し、このRIが上記の誘導電圧に加算されて電圧Vとなるため、電圧は緩やかに上昇する。電流の立ち上がり時間を過ぎた台形の平坦部分では、電流Iは一定値となる一方、電流の時間変化率はゼロとなる。このため、インダクタンスLによる誘導圧もゼロとなり、図6の期間Cが示すように、電圧Vは、電流Iと抵抗Rの積(RI)でのみ定まる一定の値となる。したがって、電流の立ち上がり時間経過後に電流および電圧を取得すれば、抵抗Rを算出できる。
なお、台形の立下り期間では、電流の時間変化率(台形の後縁の傾き)はマイナスとなるため、誘導電圧は逆起電圧となりマイナスとなる。このマイナスの逆起電圧に、直線的に減少する電流Iと抵抗Rの積を加算した値が、立下り期間の電圧Vとなる。
しかしながら、前述したように、実際のMRI装置100では、傾斜磁場コイル12において、電流および電圧の変化は、図6で示したグラフのようにはならない。傾斜磁場コイル12の電流および電圧は、近接効果による内部および外部の渦電流の存在や、X軸、Y軸、Z軸用の各傾斜磁場コイル12間のカップリングなどにより、影響を受けるからである。
図7は、実施形態に係るMRI装置100の傾斜磁場コイル12に供給される台形波について説明する図である。前述したとおり、傾斜磁場コイル12は、渦電流などの影響により、図6で示した期間Aから期間Bにおける変化、または、期間Bから期間Cにおける変化のように、電圧は急激に変化せず、図7の矢印Dで示したように、緩やかに変動する。したがって、電流の立ち上がり時間が経過してから遅れて、電圧が一定になる。図6で示すように電流の立ち上がり時間経過後、電圧が一定になるまでの期間を「整定時間」とし、この整定時間経過後にサンプリングを行うことで、より正確な抵抗Rを求めることができる。
図7で示した整定時間は、過去の実測データ等から、約1ms(1000分の1秒)程度であることがわかっている。そこで、本実施形態に係るMRI装置100では、傾斜磁場電源2から傾斜磁場コイル12に電流が供給されてから約1ms以上経過後に電流および電圧のサンプリングを行うものとする。
図4のST103では、測定部3が、シーケンス制御部6の制御に従って、傾斜磁場電源2から出力される電流と電圧を測定する。電流と電圧の測定回路自体は図に限定するものではなく、公知の測定回路を使用することができる。
傾斜磁場電源2はX軸、Y軸、Z軸に対応した電源(2X、2Y、2Z)を備えており、出力される電流と電圧を測定する測定部3も同様にそれぞれX軸、Y軸、Z軸に対応した測定部(3X、3Y、3Z)を備えている。これらの傾斜磁場電源2からの電流の供給および、測定部3での電流および電圧のサンプリングタイミングは、測定シーケンスに基づきシーケンス制御部6によって制御されている。たとえば、前述したように、整定時間経過後にサンプリングを実施する場合、測定シーケンスには電流を供給するタイミングと、整定時間経過後のサンプリングタイミングとが設定されており、シーケンス制御部6はその設定に基づき、傾斜磁場電源2および、測定部3を制御する。また、サンプリング回数は、1回でもよいが、より精度を高めるために複数回程行ってもよい。そのようなサンプリングの回数や、サンプリングの間隔なども測定シーケンスに設定されている。なお、複数回サンプリングした場合は、取得した複数の電流と電圧のそれぞれから複数のインピーダンスを算出し、それら複数のインピーダンスを平均してもよいし、複数のインピーダンスの中央値を求めてもよい。また、取得した複数の電流と電圧のそれぞれを平均した平均電流と平均電圧からインピーダンスを算出してもよいし、電流と電圧の中央値からインピーダンスを算出しても算出してもよい。
また、各傾斜磁場コイル12に対する電流および電圧のサンプリングのための電流の供給は、X軸、Y軸、Z軸の傾斜磁場コイル12それぞれに対して複数回実施されてもよい。このような、測定における電流の印加やサンプリングのタイミングを規定している測定シーケンスについて、以下で例を挙げて説明する。
図8は、傾斜磁場コイル12に供給される台形波の第1の測定シーケンスを示す図である。図8の縦軸は、傾斜磁場コイル12のX軸、Y軸、Z軸それぞれの電流および電圧を示している。図8の横軸は時間を示している。図8の測定シーケンスの例では、X軸、Y軸、Z軸の傾斜磁場コイル12それぞれに対して1回ずつ電流が供給される例を示している。供給される電流は、図7で示した正の台形波である。図8に示すように、X軸、Y軸、Z軸の傾斜磁場コイル12に順に台形波が供給され、電流が供給されてから整定時間経過後である斜線で示した時間帯に、X軸、Y軸、Z軸にそれぞれに対応する測定部3が電流および電圧のサンプリングを行う。
図8に示した例では、電流が供給されていない傾斜磁場コイル12に対しても、電流が供給されている傾斜磁場コイル12におけるサンプリング時間(斜線で示した時間帯)に、同時にサンプリングが行われる。通常、電流が供給されていない傾斜磁場コイル12では電流や電圧が発生しない。また、コイル間のカップリングによって電流や電圧が発生したとしても、その値は非常に小さいものである。したがって、このようなサンプリングによってこれらの傾斜磁場コイル12に所定の値以上の電流や電圧が観察された場合は、何らかの異常が発生していると判断することができる。より多角的に傾斜磁場コイル12の状態を把握するために、電流が供給されていない傾斜磁場コイルについても同時にサンプリングを行うことは、有益である。また、サンプリングを常時行い、取得したデータの中から所定の間隔でデータを採用してもよい。電流量に加えて、極性を変えた電流を供給してもよい。
図9は、傾斜磁場コイル12に供給される台形波の第2の測定シーケンスを示す図である。図9も、図8と同様に、縦軸は、傾斜磁場コイル12のX軸、Y軸、Z軸それぞれの電流および電圧、横軸は時間を示している。図9の測定シーケンスの例では、X軸、Y軸、Z軸の傾斜磁場コイル12それぞれに対して、2回電流を供給する例を示している。図9では、正の台形波と負の台形波が連続して供給される例が示されている。このように、極性の異なる台形波を供給することで、誤差を減らし、より早い段階で傾斜磁場コイル12の異常を検出することができる。
また、図8と同様に電流が供給されていない傾斜磁場コイル12について、電流が供給されている傾斜磁場コイル12についてサンプリングするのと同じタイミングで電流および電圧を取得してもよい。また、サンプリングを常時行い、取得したデータの中から所定の間隔でデータを採用してもよい。電流量に加えて、極性を変えた電流を供給してもよい。
図10は、傾斜磁場コイル12に供給される台形波の第3の測定シーケンスを示す図である。図10も、図8と同様に、縦軸は、傾斜磁場コイル12のX軸、Y軸、Z軸それぞれの電流および電圧、横軸は時間を示している。図10の測定シーケンスの例では、X軸、Y軸、Z軸の傾斜磁場コイル12それぞれに対して、2回電流を供給する例を示している。図10に示すように、1回目の電流と2回目の電流とは、供給される電流量が異なる。このように、流量を変化させることによって、図9において例示した、極性を変化させるのと同様に誤差を減らし、より早い段階で傾斜磁場コイル12の異常を検出することができる。
また、図8と同様に電流が供給されていない傾斜磁場コイル12について、電流が供給されている傾斜磁場コイル12についてサンプリングするのと同じタイミングで電流および電圧を取得してもよい。また、サンプリングを常時行い、取得したデータの中から所定の間隔でデータを採用してもよい。電流量に加えて、極性を変えた電流を供給してもよい。
図8乃至図10では、X軸、Y軸、Z軸の傾斜磁場コイル12に対して、電流を1回または2回供給する例が示されているが、電流を流す回数は2回以上であってもよい。また、図8乃至図10で示した測定シーケンスにおける電流の供給方法(電流量、極性など)はいずれの組み合わせであってもよい。さらに、X軸、Y軸、Z軸の傾斜磁場コイル12に順に流しているが、それぞれの傾斜磁場コイル12に1つずつ電流を供給するのであれば、順序は問わない。
図8乃至図10では、整定時間経過後に電流および電圧のサンプリングを実施する。整定時間経過後は、電流Iは一定値となる一方、電流の時間変化率はゼロとなる。そのため、式(1)および式(2)において、電圧Vは、インダクタンスLの影響を受けず、抵抗Rと電流I(一定値の電流)の積によってのみ定まる。したがって、整定時間経過後に台形の平坦部分で測定した電流と電圧から算出されるインピーダンスZは、インダクタンスLを含まない抵抗Rのみとなる。後述するように、本実施形態では算出したインピーダンスZを用いて傾斜磁場コイル12の異常判定を行っているが、傾斜磁場コイル12の抵抗値のみを用いて異常判定を行っても十分にその目的を達成できる場合は多い。また、上述した方法は、整定時間経過後に台形の平坦部分で電流、電圧を測定しているために、電流、電圧の測定精度は高く、抵抗値Rも高精度で算出することができる。したがって、抵抗値のみを用いて異常判定を行ったとしても、信頼性の高い判定結果を得ることができる。
次に、測定用の電流波形として、台形波(より具体的には、図9に示す台形波と同じ台形波)を使用しつつも、インダクタンスLと抵抗Rの双方を含むインピーダンスZを算出する方法について説明する。
図11は、傾斜磁場コイル12に供給される台形波の第4の測定シーケンスを示す図である。図11に示す例では、傾斜磁場コイル12のX軸を例として、電流および電圧の継時的な変化を示している。図8乃至図10と異なり、図11では電流および電圧をサンプリングするタイミングが異なる例を示している。図11に示す例では、正の台形波の前方の傾斜部分と平坦部分の境界、すなわち、正の台形波が最大値となるタイミングをサンプリングタイミング1、正の台形波の平坦部分の任意の1つ、または複数のタイミングをサンプリングタイミング2としている。また、負の台形波の前方の傾斜部分と平坦部分の境界、すなわち、負の方向に電圧が最大となるタイミングをサンプリングタイミング3、負の台形波の平坦部分の任意の1つ、または複数のタイミングをサンプリングタイミング4としている、さらに、負の台形波の後端、すなわち、負の台形波の電流がゼロとなる点を、サンプリングタイミング5としている。
式(1)におけるdI/dtが一定であり、dI/dtを制御できるとき、すなわち、dI/dtの値が既知である場合には、図11の測定シーケンスにおいて測定したデータを式(1)に当てはめることで、抵抗RおよびインダクタンスLを求めることができる。
たとえば、図11に示した測定シーケンスに従ってサンプリングを行った場合において、サンプリングタイミング1、3および5で取得した電圧をそれぞれ、V、VおよびV、サンプリングタイミング2および4で取得した電流をそれぞれIおよびIとする(図4のST103)。これらを式(1)に当てはめると、
Figure 2015039424
Figure 2015039424
Figure 2015039424
となる。式(3)および式(4)の左辺と右辺をそれぞれ減算することにより、R=(V−V)/(I−I)となり、抵抗Rを求めることができる。
また、dI/dtが既知であることから、この値を式(3)乃至(5)の何れかに代入することで、インダクタンスLを算出することができる。
このようにして、台形の電流波形によっても、抵抗RおよびインダクタンスLの両方を含むインピーダンスZを算出することができる(図4のST105)。
図4のST107では、算出されたインピーダンスに基づき、判定部23が傾斜磁場コイル12に異常が発生しているか否かを判定する。
判定部23における異常か否かの判定は、たとえば、異常となるインピーダンスの数値を閾値として、その数値を上回っているか否かによって判定してもよいし、異常の程度を、たとえば、「正常」、「異常の可能性あり」、「異常」のように3段階に分け、それぞれについて閾値を定めて判断してもよい。
さらに、算出したインピーダンスを記憶部50に蓄積しておき、前回の測定シーケンスとの差や、継時的な変化に基づき、インピーダンスが増大してきたことを指標として異常を判定してもよい。
また、記憶部50に格納した過去のインピーダンス等について統計的な解析を行い、統計的に処理した結果に基づき、異常か否か判定してもよい。たとえば、過去のインピーダンスの標準偏差(σ)を算出し、判定の対象となるインピーダンスの標準偏差が2.0σ未満なら「正常」2.0σ以上3.0σ未満なら「異常の可能性あり」、3.0σ以上なら「異常」と判定するようにしてもよい。
図4のST109では、判定部23の判定結果をもとに、表示部40が表示を生成し、表示する。
表示部40には、算出されたインピーダンスの値を表示してもよいし、判定部23で判定した結果を表示してもよい。たとえば、異常の程度を上述したように、「正常」、「異常の可能性あり」、「異常」のように3段階に設定した場合、これらの段階に合わせてその文言を表示してもよいし、それらの段階を表す色や図形を表示してもよい。また、継時的にインピーダンスを測定している場合は、その継時的な変化を表すグラフを表示してもよい。
(その他の測定シーケンス)
上述した実施形態では、傾斜磁場コイル12に台形波を供給することで、インピーダンスを算出する方法について説明したが、実施形態における測定シーケンスはこれに限られるものではない。たとえば、傾斜磁場電源2から供給される電流は連続波(たとえば、正弦波)であってもよい。連続波を用いて傾斜磁場コイル12のインピーダンスを算出するMRI装置100について、以下で説明する。
図12は、傾斜磁場コイル12に正弦波の電流を供給し、測定部3で電流と電圧を測定する測定シーケンスを説明する図である。図12では、図11と同様に、X軸に電流が供給される場合を例として、縦軸は電流および電圧、横軸は時間を示している。図12は、周波数および振幅が異なる2種類の正弦波を、順に供給する例を示している。
図12の例では、振幅の異なる、単一の周波数成分を持った異なる2種類の周波数の電流を順に供給する例を示しているが、複数の周波数成分を含む正弦波を供給してもよい。
図12で示した正弦波における電流および電圧の測定は、被測定周波数より2倍以上高いサンプリング周波数でサンプリングすることで、正しく分析することができる。また、電流および電圧の測定は、正弦波の印加時からすぐにサンプリングを行い、インピーダンスを算出する際に、電流が印加されてから整定時間経過後(たとえば、1ms後)のデータを抽出してもよいし、整定時間後にサンプリングを開始してもよい。電流および電圧の周波数は、一般的に、取得した電流および電圧の測定値からフーリエ変換により求めることができる。たとえば、異なる時間で複数サンプリングした、V(t)=Vi(ωt+θ1)およびI(t)=Ii(ωt+θ2)をフーリエ変換することで、電流および電圧の周波数をそれぞれ求めることができる。
なお、図12では、異なる2種類の周波数の正弦波を供給する例を示したが、同じ周波数を2回以上供給することで、測定の精度を上げることができる。
図12の例では、式(6)からインピーダンスZを算出することができる。
Figure 2015039424
式(6)において、ω(=2πf)は電圧および電流の角周波数であり、(θ−θ)は電圧と電流の位相差である。
電流と電圧のサンプリングは、デジタル(AD:Analog to digital)変換する前に処理を行うことが一般的であるため、サンプリング時間の差による誤差が存在することがある。この差による誤差の影響は周波数が高くなればなるほど大きくなる。たとえば、電流と電圧のサンプリング時間に10μsの差異があった場合、数100Hzの周波数で計測した時に、電流と電圧の間には、位相として1度程度の時間のずれが生じることとなる。予めこのずれを測定しておき、必要に応じて補正することで、より正確な計算によりインピーダンスを算出できる。インピーダンスの位相角は電流を基準に求めるため、式(6)における電流の位相角θを、上記の補正値により補正する。
上記式(6)の実部が抵抗値Rを示し、虚部がインダクタンスLを示す。それぞれの値は以下の式(7)および式(8)で表せる。
Figure 2015039424
Figure 2015039424
2種類の正弦波を使用して測定する場合には、抵抗値RとインダクタンスLがそれぞれの正弦波測定から得られるが、この場合は、得られた2つの抵抗値RおよびインダクタンスLをそれぞれ平均することによって、測定精度が向上する。
図13は、傾斜磁場コイル12に正弦波および台形波が供給される測定シーケンスを説明する図である。図13に示す例は、図12で説明した連続波の供給と、図8乃至図10で説明した台形波とを組み合わせた例である。図13では、2種類の正弦波から成る連続波の後に、台形波が供給される例を示している。図8乃至図10で説明した台形波を用いた測定シーケンスでは算出される抵抗Rは、図12の測定シーケンスで算出される値より正確である。したがって、図13に示した測定シーケンスでは、台形波から算出された抵抗Rの値を用いて、式(7)からインピーダンスZを求めることができる。このように、正弦波による測定と台形波による測定とを組み合わせることにより、より正確なインピーダンスを算出することができる。
上記測定で使用する正弦波の周波数は特に限定するものではなく、たとえば、数100Hzから数kHz程度の周波数で測定することができる。
ところで、傾斜磁場コイル12のインピーダンスZの異常は、MRI装置100で通常使用される周波数よりも高い周波数で検出される場合もある。エコプラナーイメージング(EPI:echo planar imaging)法は、MRI装置で通常使用される傾斜磁場パルスのうち、最も高い部類の繰り返し周波数を用いる撮像法であり、たとえば、約800Hz程度のパルス繰り返し周波数が用いられる。本実施形態に係るMRI装置100では、EPI法よりも高い周波数、たとえば、1kHzから1.3kHzの範囲において、傾斜磁場コイル12のインピーダンスZの異常が検出される場合がある。
傾斜磁場コイル12の異常、あるいは、そのインピーダンスZの異常の有無は、MRI装置で撮像される画像からもある程度判断することができる。しかしながら、MRI装置で通常使用される周波数よりも高い周波数で傾斜磁場コイル12のインピーダンスZの異常が発生した場合には、その異常を撮像画像から認識することはできない。このような場合、上述した正弦波によるインピーダンス測定を、MRI装置100で通常使用される周波数よりも高い周波数、たとえば、1kHzから1.3Hzの範囲、あるいは、この範囲を超える高い周波数で実施することにより、傾斜磁場コイル12の異常を早期に発見することができる。
(MRI装置の運転スケジュール)
いったん傾斜磁場コイル12に損傷が生じたら、傾斜磁場電源から供給される高い電流によって急速に劣化が進行するため、損傷を早急に発見することが重要である。そこで、上述した測定シーケンスを、MRI装置100を運転するにあたり、どのようなスケジュールで行うかも重要である。以下に、MRI装置100における測定シーケンスと撮像シーケンスとから構成される運転スケジュールについて説明する。
図14は、MRI装置100における従来の運転スケジュールを説明する図である。図14において横軸は時間を示しており、1人の被検体に対する1回の検査として、複数の撮像シーケンスが実施されることを示している。図14に示すように、1人の被検体について検査が行われる場合、撮像シーケンスが実施される前に、その被検体における補正データの取得などを行うプレスキャンが実施される。このプレスキャンは被検体が変更になるたびに実施される。プレスキャンのあとに、実際の撮像シーケンスがいくつか実施され、1人の被検体についての検査が終了する。MRI装置100は、このような運転スケジュールで複数の被検体について検査を実施している。
図15は、実施形態に係るMRI装置100の第1の運転スケジュールを説明する図である。図15は、被検体1人1人の検査ごとに、測定シーケンスを実施する例を示している。図15では、プレスキャンの後に測定シーケンスが示されている。このように、被検体の補正データを取得するプレスキャンと測定シーケンスを組み合わせることで、被検体が変更となるたびに、測定シーケンスが実行される。また、被検体に対して実施される複数の撮像シーケンスのいずれかの撮像シーケンスの前後に、測定シーケンスを実施してもよい。さらに、被検体の検査が終わってから、次の被検体の検査が実施されるまでの間で、検査が予定されていない時間に測定シーケンスを実施してもよい。
図16は、実施形態に係るMRI装置100の第2の運転スケジュールを説明する図である。図16は、撮像シーケンスを実施する前に、測定シーケンスを実施する例を示している。
図17は、実施形態に係るMRI装置100の第3の運転スケジュールを説明する図である。図17は、撮像シーケンスを実施した後に、測定シーケンスを実施する例を示している。
図16および図17では、図15と異なり、撮像シーケンスの都度、その前後に測定シーケンスを実施する例を示している。すなわち、1人の被検体について複数回測定シーケンスが実施される。なお、奇数または偶数回目の撮像シーケンスの前後に測定シーケンスを実施するなど、所定の間隔で測定シーケンスを実施してもよい。
測定シーケンスは撮像シーケンスに比べて非常に短い時間で実施されるため、撮像シーケンスごとに行っても、被検体に対する負荷は少ない。たとえば、整定時間までは約1msである。その後の測定も数msで実施することが可能であるため、台形波が1回供給される時間は、数msから数10msとなる。図8で示したようなX軸、Y軸、Z軸にそれぞれ1回ずつ台形波を供給する測定パターンの場合、約30msから100ms程度で実施することができる。
傾斜磁場コイル12の劣化は急速に進むため、図16および図17のように、撮像シーケンスごとに測定シーケンスを実施することにより、異常の兆候を早期に発見することができる。傾斜磁場コイル12の異常の程度が、「正常」、「異常の可能性あり」、「異常」のように段階ごとに設定されている場合、たとえば、前回の測定で「異常の可能性あり」と判定された時、あと何回か撮像シーケンスを実施することが可能であるが、いつ「異常」と判定される状態に移行するか判断することは難しい。このような場合は、撮像シーケンスごとに測定シーケンスを実施することで、インピーダンスの上昇の程度を、前回測定シーケンスとの差や変化率などの指標により表すことで、いつ運転を停止すべきか判断することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 静磁場電源
2 傾斜磁場電源
2X X軸傾斜磁場電源
2Y Y軸傾斜磁場電源
2Z Z軸傾斜磁場電源
3 測定部
3X X軸測定部
3Y Y軸測定部
3Z Z軸測定部
4 RF受信器
5 RF送信器
6 シーケンス制御部
7 コンピュータ
8 寝台部
9 騒音遮蔽用容器(容器)
10 磁石架台
11 静磁場磁石
12 傾斜磁場コイル
13 RFコイル
20 主制御部
21 演算部
23 判定部
30 入力部
40 表示部
50 記憶部
100 MRI装置

Claims (23)

  1. 傾斜磁場コイルと、
    前記傾斜磁場コイルに電流を供給する傾斜磁場電源と、
    前記傾斜磁場電源により測定用の電流が前記傾斜磁場コイルに供給された場合、前記傾斜磁場電源からの出力される電流および電圧を測定する測定部と、
    前記測定を実施する測定シーケンスおよび被検体を撮像する撮像シーケンスを制御するシーケンス制御部と、
    前記測定部で測定された電流および電圧から、前記傾斜磁場コイルのインピーダンスを算出する演算部と、
    前記インピーダンスに基づき、前記傾斜磁場コイルの異常の有無を判定する判定部と、
    前記判定結果を表示する表示部と、
    を備えたことを特徴とするMRI装置。
  2. 前記シーケンス制御部は、前記測定シーケンスに設定された条件に基づき、前記傾斜磁場電源および、前記測定部を制御すること、
    を特徴とする請求項1に記載のMRI装置。
  3. 前記測定シーケンスは、前記測定用の電流の供給対象となる傾斜磁場コイルの順番、前記測定用の電流の供給タイミング、前記測定用の電流の供給回数、前記測定用の電流の種類、測定対象となる傾斜磁場コイル、前記測定部の電流および電圧のサンプリングタイミングおよび、前記測定部の電流および電圧のサンプリング回数が、少なくとも設定されていること、
    を特徴とする請求項2に記載のMRI装置。
  4. 前記測定用の電流の供給対象となる傾斜磁場コイルの順番は、X軸、Y軸、Z軸の傾斜磁場コイルそれぞれについて、順不同で、
    前記測定用の電流の供給タイミングは、前記X軸、Y軸、Z軸用の傾斜磁場コイルについてそれぞれ別々であり、
    前記測定用の電流の供給回数は、前記X軸、Y軸、Z軸用の傾斜磁場コイルについてそれぞれ1回以上であること、
    を特徴とする請求項3に記載のMRI装置。
  5. 前記測定対象となる傾斜磁場コイルは、X軸、Y軸、Z軸の傾斜磁場コイルうち、電流が供給されている傾斜磁場コイルのみであり、
    前記演算部は、前記電流が供給されている傾斜磁場コイルについてのインピーダンスを算出し、
    前記判定部は、前記電流が供給されている傾斜磁場コイルについて異常の有無を判定すること、
    を特徴とする請求項3に記載のMRI装置。
  6. 前記測定対象となる傾斜磁場コイルは、電流の供給の有無にかかわらず、X軸、Y軸、Z軸のすべての傾斜磁場コイルであり、
    前記演算部は、前記すべての傾斜磁場コイルについてインピーダンスを算出し、
    前記判定部は、前記すべての傾斜磁場コイルについて異常の有無を判定すること、
    を特徴とする請求項3に記載のMRI装置。
  7. 前記判定部で前記傾斜磁場コイルの異常を検出した場合、
    前記シーケンス制御部は、前記被検体の撮像を停止すること、
    を特徴とする請求項1に記載のMRI装置。
  8. 前記判定部は前記傾斜磁場コイルの異常の程度が、複数の段階のうちどの段階に属するかを判断し、
    前記表示部は、前記段階によって異なる警告を表示すること、
    を特徴とする請求項1に記載のMRI装置。
  9. 演算部によって算出された前記インピーダンスを記憶する、記憶部をさらに備え、
    前記判定部は、前記記憶部に格納された過去のインピーダンスを統計的に処理した結果に基づき、前記傾斜磁場コイルについて異常の有無を判定すること、
    を特徴とする請求項1に記載のMRI装置。
  10. 前記測定用の電流の種類が台形波であること、
    を特徴とする請求項3に記載のMRI装置。
  11. 前記測定用の電流の供給回数が複数回である場合、
    前記測定用の電流の種類は、極性および電流量の少なくともいずれか一方が異なること、
    を特徴とする請求項10に記載のMRI装置。
  12. 前記測定部の電流および電圧のサンプリングイミングは、前記台形波が印加されてから整定時間経過後に1回以上であること、
    を特徴とする請求項10に記載のMRI装置。
  13. 前記演算部は、前記サンプリングが2回以上実施された場合に、取得した電流および電圧の平均からインピーダンスを算出すること、
    を特徴とする請求項10に記載のMRI装置。
  14. 前記演算部は、前記サンプリングが2回以上実施された場合に、取得した電流および電圧の中央値からインピーダンスを算出すること、
    を特徴とする請求項10に記載のMRI装置。
  15. 前記演算部は、前記サンプリングが2回以上実施された場合に、複数算出されたインピーダンスの平均値または中央値を算出すること、
    を特徴とする請求項10に記載のMRI装置。
  16. 前記測定部は、前記台形波の印加時、常時サンプリングを行い、
    前記演算部は、サンプリングした前記電流および電圧のうち、整定時間経過後の電流および電圧を用いて、インピーダンスを算出すること、
    を特徴とする請求項10に記載のMRI装置。
  17. 前記測定用の電流の種類は、所定の周波数および振幅の正弦波であること、
    を特徴とする請求項3に記載のMRI装置。
  18. 前記測定用の電流の種類は、所定の周波数および振幅の正弦波と台形波との組み合わせであること、
    を特徴とする請求項3に記載のMRI装置。
  19. 前記測定用の電流の供給回数が複数回である場合、
    前記測定用の電流の種類は、前記所定の周波数および振幅の少なくともいずれか一方が異なること、
    を特徴とする請求項17または請求項18に記載のMRI装置。
  20. 前記所定の周波数は、前記MRI装置の撮像において通常使用される周波数よりも高い周波数であること、
    を特徴とする請求項17または請求項18に記載のMRI装置。
  21. 前記測定シーケンスは、前記撮像シーケンスの前に毎回実行されること、
    を特徴とする請求項1に記載のMRI装置。
  22. 前記測定シーケンスは、前記撮像シーケンスの後に毎回実行されること、
    を特徴とする請求項1に記載のMRI装置。
  23. 前記測定シーケンスは、前記被検体ごとに毎回実行されること、
    を特徴とする請求項1に記載のMRI装置。
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