JP2015038184A - メイラード反応抑制機能または抗酸化機能を有する機能剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】植物から分離取得した成分からなる「メイラード反応抑制機能または/および抗酸化機能を有する機能剤」を提供することを目的とするものである。
【解決手段】減圧機構を備えた乾留装置を用いて低水分率の状態にある固体状の植物原料を低温かつ減圧条件下に乾留したときに留出する成分を「低温減圧乾留留出分(D)」としかつその低温減圧乾留操作後にその乾留装置内に残る固体状の残渣を「低温減圧乾留残渣(R)」と称するとき、前記の「低温減圧乾留残渣(R)」またはその「低温減圧乾留残渣(R)からの溶媒による抽出物(E)」を有効成分とするメイラード反応抑制機能または抗酸化機能を有する機能剤である。
【選択図】なし

Description

本発明は、植物から分離取得した成分からなる「メイラード反応抑制機能または/および抗酸化機能を有する機能剤」に関するものである。
[植物由来のメイラード反応抑制剤]
−1−
周知のように、メイラード反応とは、還元糖とアミノ化合物(アミノ酸、ペプチド、蛋白質など)とを加熱したときに生ずる褐色物質を生成する非酵素的な反応のことである。
この反応が進むと、食品の諸品質が低下するとされている。そこで、食品の品質低下を抑制するためには、メイラード反応を効果的に抑制する物質の開発が望まれる。
また、メイラード反応は生体内においても生じており、そのため老化の一因となっていたり、糖尿病合併症の一因となっていたりするものとされているので、この観点からも有効かつ安全なメイラード反応抑制剤の開発が望まれる。
−2−
このような背景下において、メイラード反応抑制物質(またはメイラード反応抑制剤)を天然物から取得する種々の試みがなされている。
以下にあげる文献のうち、特許文献1はメイラード反応抑制物質を「柑橘類の溶媒抽出または水蒸気蒸留」により取得することにつき記載のある文献である。
特許文献2〜6は、メイラード反応抑制物質を種々の植物の「溶媒による抽出」により取得することにつき記載のある文献である。
(特許文献1)
−1−
特開2004−35424号公報(特許第4315650号)(特許文献1)の請求項1には、「柑橘類の揮発性油状物を有効成分とするメイラード反応抑制物質。」が示されている。
そして、その柑橘類の揮発性油状物がメイラード反応抑制物質であることを示すために、その実施例2にかかる段落0039の表2およびその実施例3にかかる段落0042の表3においては、コントロールとしての10mMアミノグアニジンとの対比において、「ペントシジン生成阻害率(%)」を評価している。
また、その実施例4にかかる段落0049の表5においては、安息香酸量に着目してAGE−タンパク質架橋形成物モデルの切断活性についての評価を行い、「切断率(%)」を評価している。
さらに、その実施例6にかかる段落0052の表6においては、柑橘類の揮発性油状物に含まれる精油成分のうちのモノテルペン類、セスキテルペン類、モノテルペンアルコール類に関して「阻害率(%)」と「切断率(%)」の双方を評価しており、その「発明の効果」の箇所の段落0059においては、「発明によればメイラード阻害効果と共に、AGE−タンパク質架橋物質切断活性をも有するメイラード反応抑制物質が提供される」旨の記載がある。
そして、実施例7にかかる段落0054には、実施例1で調製した揮発性油状物の「切断活性」を確認したとの記載がある。
すなわち、特許文献1の柑橘類の揮発性油状物は、「阻害率(%)」と「切断率(%)」との双方の点で満足しうるものであることを述べている。
−2−
なお、特許文献1の段落0021においては、請求項1に言う「柑橘類」として、ユズ、ハッサク、ナツミカン、オレンジ、レモン、ミカンなどが挙げられるとしているが、その実施例において使用している柑橘類はユズのみである。その請求項4においては、請求項1に言う「柑橘類」がユズであることを限定している。
−3−
特許文献1の請求項2においては、請求項1における柑橘類の揮発性油状物が、柑橘類を非極性有機溶媒抽出又は水蒸気蒸留することによって得られるものである旨を限定している。ただし、この特許文献1には、「水蒸気蒸留」については記載があるものの、「乾留」については記載がなく、まして「減圧乾留」については記載がない。
−4−
この特許文献1の段落0009には、従来提案されている「天然成分」にかかるメイラード反応抑制剤は、プロアントシアニジン(特開平6−336430号公報)、フラボノイド化合物(特開平9−241165号公報)、フラバノン類(特開平7−324025号公報)などである旨の記載がある。そこで、これらの3文献については、特許文献2、3、4として、もう少し詳しく述べる。
(特許文献2)
特開平6−336430号公報(特許第3502415号)(特許文献2)の請求項1には、「プロアントシアニジンを有効成分として含有するメイラード反応阻害剤。」が示されている。その請求項2には、そのプロアントシアニジンがブドウ抽出物に含有されるものであることが示されている。
なお、その段落0016によれば、抽出溶媒としては、水、1価または多価のアルコール、エステル、炭化水素、エーテル、アセトンなどの溶媒を使用するとある。
(特許文献3)
特開平9−241165号公報(特許文献3)(特許第3872834号)の請求項1には、「オーロン骨格を有するフラボノイド化合物を有効成分とするメイラード反応抑制剤。」が示されている。ここでフラボノイド化合物の具体例は、請求項2に言うマリチメインや請求項3に言うスルフレチンである。
フラボノイド化合物の取得については、その段落0011に「これらは一般に入手可能な化合物である」との説明があり、実施例においてはエクストラシンセス社のマリチメインやスルフレチンを用いている。
(特許文献4)
特開平7−324025号公報(特許文献4)の請求項1には、「生体に塗布される外用剤であって、フラバノン類が有効に含有されていることを特徴とするメイラード反応抑制外用剤。」が示されている。フラバノン類の具体例は、請求項2に言うナリンギンやナリンゲニン、請求項3に言うリクイリチンやリクイリチゲニンである。
その段落0020には、「フラバノン類は所定の植物から溶媒としてメタノールを用いることにより容易に抽出可能である」との記載がある。その段落0040にも、「適宜フラバノン類を多く含有している植物を選択し、メタノールを溶媒として用いることで容易に抽出することが可能である」との記載がある。
実施例においては、ナリンギンを抽出する原料としてハッサクの果皮を使用しており(ハッサクのほか、ダイダイ、ナツミカン、スダチ、レモン、オレンジ等も好適に使用されるとの記載がある)、またリクイリチンやリクイリチゲニンを抽出する原料として甘草を使用している。
(特許文献5)
特開平10−152444号公報(特許文献5)の請求項1には、「白樺から得られる水溶性かつ親水性有機溶媒可溶性もしくは含水親水性有機溶媒可溶性の成分を有効成分とするメイラード反応抑制剤。」が示されている。
(特許文献6)
特開2012−67061号公報(特許文献6)の請求項1には、「ウスベニアオイの抽出物、セキセツソウの抽出物、ローヤルゼリー蛋白の加水分解物、及びノニ果汁から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とするメイラード反応阻害剤。」が示されている。
その段落0005には、メイラード反応阻害作用を有する植物の抽出物として、カルカデ、ハイビスカス、シャゼンシ、トウニン、マロニエ、ケイシ、ゴミシ、シコン、センナ、トシシ、及びビャッキュウから選択される抽出物(特開平11−106336号公報);イチイヨウの抽出物、キンオウシの抽出物、又はモクテンリョウの抽出物(特許第3695472号公報);鳳凰木の抽出物(特開2009−67747号公報);パパイヤの抽出物(特開2006−298812号公報);シモニロの抽出物(特開2006−219447号公報);などが提案されていることの記載がある。抽出溶媒としては、水や親水性有機溶媒を用いている。
[植物由来の抗酸化剤など]
以下にあげる特許文献7〜10は、種々の植物の「高温条件下における減圧乾留物」につき記載のある代表的な文献である。
このうち、特許文献7は抗酸化剤に関するものであり、特許文献8〜11は抗酸化剤、消臭剤、抗菌剤などに関するものである。
なお、これらの特許文献7〜11には、メイラード反応抑制剤(または阻害剤)については記載がない。
付言するに、高温で減圧乾留を行ったときの残渣は、炭化が起こって真っ黒な炭状のものになる。
(特許文献7)
特開2011−6623号公報(特許文献7)の請求項1には、「ヨモギを260〜350℃、100mmHg以下の減圧条件下に乾留して得られた乾留液を含有する抗酸化剤。」が示されている。
(特許文献8)
特開昭58−61751号公報(特許第1441878号)(特許文献8)には、茶を減圧条件下に乾留して得られる乾留分(沸点範囲が20mmHgの場合で180〜200℃の乾留分)を有効成分とする消臭剤が示されている。
(特許文献9)
特開平6−227931号公報(特許第2566515号公報(特許文献9)の請求項1には、「シソ、タケ、ショウキョウ、ヨモギおよびニンニクよりなる群から選ばれた植物の乾留物からなる抗菌性成分。」が示されている。その請求項3,4には、その抗菌性成分を、「乾留を温度120〜250℃にて100mmHgの減圧条件下に行う」ことにより製造することが示されている。
ここで「抗菌性成分」とは、その段落0015の記載によれば、抗菌剤、防腐剤、静菌剤、抗微生物剤、鮮度保持剤、寿命延長剤などの呼び方を問わず、抗菌力を発揮する成分の意味である。
(特許文献10)
特開平6−227932号公報(特許文献10)には、上記の特許文献9に記載された植物以外の極めて多種の植物の乾留物からなる抗菌性成分が示されている。その実施例においては、クマザサ、ルイボスティ、トウガラシ皮、ゴマ、パセリからの乾留分を用いた例が示されている。
[植物由来の機能剤にかかるその他の文献]
以下にあげる特許文献11〜12は、上記以外の特許文献にかかるものである。
(特許文献11)
特開2007−238464号公報(特許文献11)には、ミカン科ミカン亜科シトラス属のジャバラの水溶性溶媒抽出物または有機溶媒抽出物を抗酸化性有効成分として含有する化粧料が示されている。
その段落0014には、「抽出対象のジャバラとしては、例えば果実、葉、花、樹皮、樹幹・枝から選ばれる1部位以上のジャバラ植物体を採用することができる。」との記載がある。
その段落0021には、「ジャバラの抽出部位は、例えば果実、葉、花、種子、樹皮、樹幹、樹枝から選ばれる1部位以上のジャバラの植物体部分であり、さらに具体的に挙げれば、ジャバラの果実、果皮、果汁、果肉、花、花の苔、葉、枝、茎、幹などである。」との記載がある。
(特許文献12)
特開2005−179245号公報(特許文献12)には、木竹材(特に竹材)を130〜170℃で燻煙処理後、乾燥し、さらに350〜450℃で炭化処理し、この炭化処理中に排出される煙を凝結させて得られる粗竹酢液を減圧下に50〜60℃の低温で蒸留して得られる抗アレルギー組成物が示されている。
[上記の特許文献のまとめ]
上記の特許文献とそれらの文献に記載の事項をまとめると、次の表1のようになる。
































































特開2004−35424号公報 特開平6−336430号公報 特開平9−241165号公報 特開平7−324025号公報 特開平10−152444号公報 特開2012−67061号公報 特開2011−6623号公報 特開昭58−61751号公報 特開平6−227931号公報 特開平6−227932号公報 特開2007−238464号公報 特開2005−179245号公報
(特許文献1〜6について)
上述の特許文献1〜6においては、目的物であるメイラード反応抑制剤(抑制物質、阻害剤)を、植物原料を水や有機溶媒(有機溶剤)にて抽出することにより取得している。
なお、特許文献1においては抽出法のほかに水蒸気蒸留法も採用しうるとしており、その実施例2においてはユズの粉砕物を遠心分離して得た上清液を水蒸気蒸留してから、その水蒸気蒸留液を遠心分離して上層の油状物を回収し、揮発性油状物を取得している。
しかしながら、植物原料を水や有機溶媒にて抽出した抽出物は、本来の有効成分以外の成分を極めて多く含むものとなるため、メイラード反応抑制作用が不十分となりやすい。加えて、その抽出過程においては、抽出対象物の分解、変性、反応、重合などによる有用物質への変化はほとんど期待しえない。水蒸気蒸留品の場合も、抽出品の場合と同様の傾向がある。
そこで、上記の抽出物や水蒸気蒸留により得られる油状物をさらに精製することも考えられるが、今度はそれらの抽出物や油状物の中の本来の有効成分の割合が減じてしまうことになる。
(特許文献7〜10について)
一方、上述の特許文献7〜10は、植物の減圧乾留物(120〜350℃程度の高温下における100mmHg以下の減圧条件下における乾留物)にかかるものであるが、これらの文献の発明においては、その減圧乾留物が消臭剤や抗酸化剤(抗菌剤、防腐剤、静菌剤、抗微生物剤、鮮度保持剤、寿命延長剤など)として好適であることを見い出している。なお、これらの特許文献7〜10には、メイラード反応の抑制剤や抑制作用にかかる記載ないし示唆は見当たらない。
(特許文献11〜12について)
特許文献11は、水性溶媒または有機溶媒による抽出法にかかる通常手法についての文献であるにとどまる。
特許文献12は、燻煙処理後の竹材を炭化処理し、その炭化処理中に排出される煙を凝結させて得られる煙を凝結させて得られる粗竹酢液を、減圧下に50〜60℃の低温で蒸留して、抗アレルギー性を高めた精製竹酢蒸留液となすものであり、「乾留」とは無関係である。
(特許文献1〜12について)
上述のように、特許文献1〜12は、(ア)水蒸気蒸留法、(イ)水や有機溶媒による抽出法、(ウ)減圧下に120〜350℃程度の高温下に乾留する方法、(エ)粗竹酢液を減圧下に低温で蒸留して竹酢蒸留液を得る方法、にとどまるものである。
これらの(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)の手法が、植物原料からメイラード反応抑制作用や抗酸化作用を有する有効成分や抗アレルギー性成分を取得する従来法であるということができる。
(本出願人の先願について)
−1−
本出願人は、特願2013−57908として、次の発明につき出願を行っている。
その請求項1は、「植物原料を減圧条件下に乾留して得られる減圧乾留物を有効成分とするメイラード反応抑制剤。」である。上記の表1のように、植物の減圧乾留物を有効成分とするメイラード反応抑制剤は、従来知られていないものであると信じられる。
その請求項2は、「前記の減圧乾留物が、乾燥または非乾燥の状態にある植物原料を、常温から350℃の範囲内の温度条件下にかつ圧力100mmHg以下の減圧条件下に乾留して得られるものであることを特徴とする請求項1記載のメイラード反応抑制剤。」である。
その請求項3は、「ペントシジン生成阻害剤である請求項1または請求項2記載のメイラード反応抑制剤。」である。
−2−
この先願の発明によれば、ペントシジン生成阻害率の点で、
ア:その先願で言及の従来法にかかる図1の(A)(水蒸気蒸留による留出液、つまり常圧蒸留液)のペントシジン生成阻害率と、
イ:その先願の発明にかかる図1の(B)〜(D)(減圧乾留による留出液)のペントシジン生成阻害率、
との対比のように、前者の「常圧蒸留液」に比し後者の「減圧乾留による留出液」においては、植物の種類を問わず、雪崩(なだれ)を打つようにペントシジン生成阻害率を向上させることに成功している。
−3−
ところで、この先願の発明においては、「常温から350℃の範囲内の温度条件下に」減圧乾留した乾留液を用いているわけであるが、温度条件に着目すると、その先願の実施例4においては減圧(20mmHg)条件下に「40℃」という低い温度で減圧蒸留を行っているにもかかわらず、得られる減圧乾留液はその表6およびその図1(D)のようにすぐれたペントシジン生成阻害率を示している。
(本発明の特異性について)
−1−
このように、上記の先願における常温程度の減圧乾留物(留出する減圧乾留液のこと)がすぐれたペントシジン生成阻害率を示すことは驚異であるが、本発明においては、その「常温程度の減圧乾留」を行ったときに乾留装置内に残る固体状の残渣(低温減圧乾留残渣(R))に着目し、その残渣(R)からの溶媒による抽出物(E)が抗酸化機能または/およびペントシジン生成阻害率の点で、相応のあるいは顕著な効果を示すという予想外の事実を見い出したのである。
−2−
ここで「予想外」と形容したのは、植物原料に含まれる有効成分は減圧乾留液(留出液)の方に移行しかつ減圧乾留操作中に分解ないし変性により生じた有効成分も減圧乾留液(留出液)の方に移行し、減圧乾留残渣の側には有効成分は余り残らないと考えるのが常識的であるからである。
本発明のメイラード反応抑制機能または抗酸化機能を有する機能剤は、
減圧機構を備えた乾留装置を用いて含水状態にある植物原料を低温かつ減圧条件下に乾留したときに留出する成分を「低温減圧乾留留出分(D)」としかつその低温減圧乾留操作後にその乾留装置内に残る固体状の残渣を「低温減圧乾留残渣(R)」と称するとき、
前記の「低温減圧乾留残渣(R)そのもの」またはその「低温減圧乾留残渣(R)からの溶媒による抽出物(E)」を有効成分とすることを特徴とするものである。
ここで、上記のメイラード反応抑制機能を有する機能剤は、メイラード反応抑制剤、特にメイラード反応抑制剤の範疇の中のペントシジン生成阻害剤であることが特に好ましい。
また、上記の抗酸化機能を有する機能剤は、抗酸化剤であることが特に好ましい。
そして、上記の低温減圧乾留操作は、より具体的には、水分率が90重量%以下の含水状態にある植物原料を、60〜20℃の低温条件下にかつ水分率がゲージ圧で−88kPa(キロパスカル)以下の減圧条件下に行う乾留操作であることが特に好ましい。
−1−
植物原料を「高温減圧条件」下(より詳しくは120〜350℃程度の高温下における100mmHg以下の減圧条件下)に乾留して得られる減圧乾留物が消臭剤や抗酸化剤としての性能の点でも安全性の点でも好適であることは、本出願人の製造にかかる茶葉その他の植物の減圧乾留物を添加した商品がドラッグストアをはじめとして市場に広く出回っている上、上述の特許文献7〜10をはじめとする特許文献や一般文献によって周知となっている。
−2−
しかしながら、含水状態にある植物材料を「低温減圧条件下」(典型的には60〜20℃の低温条件下におけるゲージ圧で−88kPa以下の減圧条件下)に乾留することについては、当該分野において知られていないものと思われる上、そのような「低温減圧条件下の乾留操作後にその乾留装置内に残る固体状の残渣に着目すること」自体が従来は行われていなかったものと思われる。
−3−
そして、上にも述べたように、常識的には、植物原料中の有効成分は留出液である減圧乾留液中に移行すると共に、減圧乾留操作中に分解ないし変性により生じた有効成分も減圧乾留液(留出液)の方に移行するものと思われるが、本発明においては、偶々減圧乾留後の残渣について分析を行っていたところ、有効成分含有されているという事実に気付き、そこでその残渣の溶媒による抽出物についても分析を行いかつ評価実験を行ったところ、その残渣の溶媒による抽出物がすぐれたメイラード反応抑制剤(特にペントシジン生成阻害剤)および抗酸化機能を有することを見い出したのである。
−4−
しかも、後述の実施例2のように、たとえばバラの低温減圧乾留後の残渣からの溶剤(50%エタノール水)による抽出物には、信じられないほど高い抗酸化活性を示すものさえあるのである。
すなわち、従来の技術の説明の箇所で述べた特許文献7(特開2011−6623号公報)は本出願人の出願にかかるものであって、ヨモギを260〜350℃、100mmHg以下の減圧条件下に乾留して得られた乾留液を含有する抗酸化剤が「1003(nmol α−トコフェロール相当量/assay)」という特異的にすぐれた抗酸化性能を有することが示されているが、本発明のバラの低温減圧乾留後の残渣からの50%エタノール水による抽出物は、蒸留残渣から得たものでありながら、上記のヨモギの特異的な抗酸化活性を2倍以上も上回る2147とか2340(nmol α−トコフェロール相当量/assay)という驚異的な抗酸化活性が得られているのである。
−5−
このように、本発明は、
[技術的手段1]:含水状態にある植物原料の低温かつ減圧条件下の乾留を試み、
[技術的手段2]:そのときに留出する成分である「低温減圧乾留留出分(D)」のカウンターパート(相棒)、すなわち、その低温減圧乾留操作後にその乾留装置内に残る固体状の残渣である「低温減圧乾留残渣(R)」に着目し、
[技術的手段3]:さらには、その固体状の残渣である「低温減圧乾留残渣(R)」からの溶媒による抽出物(E)」に着目し、
[技術的手段4]:そして、その抽出物(E)」がメイラード反応抑制機能または抗酸化機能として好適であること、
を見い出したのである。
−6−
上記の技術的手段1〜4のうち、着想となる技術的手段1の「低温かつ減圧条件下の乾留」における「低温条件」は、如何に当業者であっても、通常は念頭に浮かばない技術思想であると思われる。
技術的手段2に関しては、たとえ技術的手段1を想到したと仮定しても、「低温減圧乾留留出分(D)」の方に関心があるのが通常であり、固体状の残渣である「低温減圧乾留残渣(R)」の方に関心を抱くとは想い難い。
従って、技術的手段3のように、固体状の残渣である「低温減圧乾留残渣(R)」からの溶媒による抽出物(E)を得るということは、当業者にとって念頭に浮かばない技術思想であると思われる。
まして、技術的手段4のように、「低温減圧乾留残渣(R)からの溶媒による抽出物(E)」が、メイラード反応抑制機能または抗酸化機能として好適であることが想定できるはずがないのである。
−7−
すなわち、上記の「技術的手段1」そのものの着想に新しさがあり、上記の「技術的手段1→技術的手段2」の認識には創造性があるものと信じられる。(なお、この段階までは、先に述べた本出願人の「先願」で着想しかつ立証したところである。)
加えて、上記の「技術的手段2→技術的手段3」にも独創的な飛躍があり、さらには上記の「技術的手段3→技術的手段4」の機能(メイラード反応抑制機能、抗酸化機能)の発見と立証にも、従来は考えられてもいなかった創造性があるものと信じられる。
(植物原料)
−1−
本発明においては、植物原料の種類には特に限定はなく、種々様々の植物を用いることができる。植物の種類を問わないことが本発明の特徴の一つでもある。
後述の実施例においては、ジャバラ、ショウガ、ミカン、秋ウコン、黒ウコン、シークワーサー、バラ、月桃葉、月桃根を用いた例をあげてある。特にバラを原料とした場合に、極めてすぐれた結果が得られる。
−2−
植物の部位に関しては、全草、葉部、茎部、根茎、根部、花部、種子、殻、果実などのいずれであってもよい。
−3−
植物原料の減圧乾留を行うにあたっては、事前に植物材料を乾燥、細断しておいたりすることもできる。
−4−
植物原料の任意の部位の絞り粕や切り屑、あるいは抽出または蒸留後の残渣をはじめ、通常であれば産業廃棄物として焼却または埋設処分されるものであっても、そこから有用成分を取得できること(つまり再資源化がなされること)が、本発明のメリットの一つでもある。
(低温減圧乾留時の水分率の条件)
本発明においては、減圧機構を備えた乾留装置を用いて含水状態にある植物原料を低温かつ減圧条件下に乾留する。ただし、水分率が余りに高いときは乾留に長時間を要し、工業性を欠くことになるので、水分率は90重量%以下にとどめることが望ましい。
(低温減圧乾留時の温度条件と圧力条件)
−1−
低温減圧乾留を行うときの温度条件としては、60〜20℃程度の範囲内の低温が適当であり、より好ましい範囲は55〜25℃、さらに好ましい範囲は50〜30℃である。
温度条件が60℃を越えるような条件で減圧乾留を行うと、乾留装置内に残る固体状の残渣を溶媒で抽出してもその抽出物(E)中の有効成分の量が少なくなる上、取得した抽出物(E)を用いたときのメイラード反応抑制機能や抗酸化機能が不足するようになる傾向がある。
−2−
低温減圧乾留を行うときの圧力条件(減圧条件)としては、ゲージ圧表記で、−88kPa以下(−660mmHg以下)、通常は−96〜−100kPa(−720〜−750mmHg)とすることが好ましい。
絶対圧表記では、13.3kPa以下(100mmHg以下)、通常は1.3〜5.3kPa(10〜40mmHg)とすることが好ましい。
減圧の度合いが上記範囲よりも緩くなると(減圧度が不足すると)乾留に長時間を要することになり、一方、減圧の度合いを余りに大きくすることは真空装置上の制約があるので、いずれも工業性を欠くことになる。
−3−
上述のような条件下での低温減圧乾留により、所期の目的物を工業的に効率良く取得できる。
(低温減圧乾留残渣(R))
−1−
上記のようにして低温減圧乾留を行ったときに乾留装置内に残る固体状の残渣である「低温減圧乾留残渣(R)」が本発明の目的物である。
また、その「低温減圧乾留残渣(R)からの溶媒による抽出物(E)」も本発明の目的物である。ここで溶媒としては種々の溶媒が使用できるが、水、エタノール、これらの混合物が特に好適である。
−2−
前者の「低温減圧乾留残渣(R)」はそれ自体が製品となるが、その製品の購入者はいずれその残渣(R)を用いて溶媒による抽出を行って抽出物(E)となし、その抽出物(E)を自ら使用して二次製品や三次製品を製造・販売したり、その抽出物(E)をさらに第三者に販売することになる。
後者の「低温減圧乾留残渣(R)からの溶媒による抽出物(E)」は、メイラード反応抑制機能または抗酸化機能としての好ましい性能を有するので(ちなみに双方の機能を併せ有することも多い)、極めて有用である。
(低温減圧乾留留出分(D))
一方、上記の低温減圧乾留による「低温減圧乾留留出分(D)」は、本発明の目的物ではないが、それ自体もメイラード反応抑制機能または抗酸化機能としての性能を有する上、他の機能も期待できるので、有用な物質である。
次に、実施例(さらには参考例や比較例)をあげて本発明をさらに説明する。
[植物原料の準備]
植物原料として、次のものを準備した。いずれも冷凍保存品である。
1:ジャバラ(その果実のジュース製造時の絞り粕で、水分は80重量%程度)
2:ショウガ(商品化時の切り屑で、水分は60重量%程度)
3:ミカン(その果実のジュース製造時の絞り粕で、水分は80重量%程度)
4:秋ウコン(商品化時の切り屑で、水分は60重量%以下)
5:黒ウコン(商品化時の切り屑で、水分は60重量%以下)
6:シークワーサー(その果実のジュース製造時の絞り粕で、水分は80重量%程度)
7:バラ1/ダマスクローズ(ガク付きのバラ花で、水分は80重量%程度)
8:バラ2/ダマスクローズ(ガク付きのバラ花で、水分は80重量%程度;バラ1とバラ2は産地は同じであるが収穫年度が相違)
9:冷凍バラ(参考例として使用;冷凍バラをそのまま、EtOH、50%EtOH水、水でそれぞれ抽出した液について試験)
10:月桃葉(月桃水製造時の絞粕で、水分は80重量%程度)
11:月桃根(月桃根そのもので、水分は60重量%程度)
[低温減圧蒸留操作]
−1−
上で準備した植物原料の約30kgを、減圧機構を備えた槽状の乾留装置の槽内に投入して、攪拌下、低温(35〜40℃)かつ減圧(ゲージ圧で−98kPa(−735mmHg)、絶対圧では3.3kPa(25mmHg))条件下に乾留した。
乾留に要する時間は、原料の仕込みや槽内の残渣の取り出しに要する時間と、減圧に要する時間や常圧に戻す時間とを除き、おおよそ8時間である。
−2−
乾留装置から留出する液が「低温減圧乾留液」である。
ちなみに、この「低温減圧乾留液」は、従来技術の箇所で述べた本出願人の先願である特願2013−57908の実施例4(20mmHg×40℃での低温減圧乾留)における留出液に対応するものである。
−3−
一方、上記の低温減圧乾留操作後に乾留装置(乾留釜)内に残る固体状の残渣が、本発明における「低温減圧乾留残渣(R)」である。
この低温減圧乾留残渣(R)は、フレーク状の塊りないしその塊りが崩れたものである。また、この残渣は、仕込み時の植物原料に含まれる水分は減圧乾留液側に入り込むので、その水分率が1〜2重量%程度以下の事実上の乾燥体である。(なお、上記残渣がフレークの塊りであっても、容易に粒子状または粉末状に砕くことができる。)
[その1:抗酸化機能の試験方法]
(試験液の準備)
上記の低温減参考例となる上記の冷凍バラについても、それぞれ5.0g宛を秤量して同様に処理を行い、試験液とした。
上記の低温減圧蒸留操作により得られた10種の固体状の低温減圧乾留残渣(R)を各5.0g秤量し、それぞれに50mLの「水、50%エタノール水、またはエタノール」を加え、室温で4時間攪拌抽出した。抽出後、濾紙を用いて濾過し、濾液を試験液とした。
参考例となる上記の冷凍バラについても、それぞれ5.0g宛を秤量して同様に処理を行い、試験液とした。
(試験方法)
(1)400μM DPPH(1,1−diphenyl−2−picrylhydrazyl)EtOH溶液の調製
DPPH3.94mgを秤量し、EtOH25mLに攪拌溶解する。
(2)検量線の作成
ア:400μM DPPHのEtOH溶液をさらにEtOHで3倍に希釈し、その希釈液0.9mLを試験管に分注する。
イ:希釈液の入った試験管に300、250,200、150,100μLのEtOHをn=2で添加する。
ウ:0.2mM α−トコフェロールEtOH溶液(8.6mgのα−トコフェロールをEtOH100mLに溶解したもの)を、上記のイで加えたEtOHと0.2mM α−トコフェロールEtOH溶液との合計が300μLになるように試験管(n=2)に添加し、攪拌する。この場合、α−トコフェロールの量は、0、10、20、30、40nmol/assayとなる。
エ:添加20分後に、516nmにおける吸光度を測定する。
オ:横軸にα−トコフェロール量(nmol/assay)、縦軸に吸光度をとり、最小二乗法により検量線を作成する。
(3)試験液の測定
ア:DPPH希釈液0.9mLを試験管に分注し、それにEtOH250μLを添加する。
イ:試験液50μLを試験管(n=2)に添加し、攪拌する。
ウ:添加20分後に、516nmでの吸光度を測定する。
エ:得られた吸光度より、検量線を用いてα−トコフェロール相当量を算出する。
(4)試験結果
抗酸化活性の測定結果を下記の表2に示す。































(5)考察
表2のように、抗酸化活性については、特にバラの50%EtOH抽出液が、極めて強い活性を示した。
バラの水抽出液も、強い抗酸化活性を示した。また、月桃葉の50%EtOH抽出液も、強い抗酸化活性を示した。
[その2:メイラード反応抑制活性(ペントシジン生成阻害活性)の測定方法]
(1)方法
下記に示す組成の反応液を1.5mL容量のプラスチックチューブに調製し、60℃にて24時間ヒートブロック上でインキュベートした。
「反応液組成と添加量」
・50mMのリボース………………………………………………100μL
・50mMのリジン…………………………………………………100μL
・50mMのアルギニン……………………………………………100μL
・100mMのリン酸水素二ナトリウム(pH7.4)………100μL
・試料溶液またはブランク…………………………………………100μL
(注:ブランクは水を使用)
「ペントシジン生成阻害率の測定」
反応終了後、反応液100μLに400μLの精製水を加え、その希釈液をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)分析することにより得られるペントシジンのピーク面積を測定し、次式に従ってペントシジン生成阻害率(必要に応じ「阻害率」と略称する)を求めた。
また、10mMアミノグアニジン塩酸塩水溶液を調製し、陽性コントロールとした。
阻害率(%)=100−100×(試料溶液のペントシジンのピーク面積/Blankのペントシジンのピーク面積)
「HPLC分析条件」
・カラム:YMC−Pack ODSA−312 150×6mmI.D.
・溶出液:3%アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)
・流量:1.0mL/min.
・カラム温度:40℃
・検出器:分光蛍光検出器 EX(励起波長)335nm、EM(蛍光波長)380nm
・注入量:20μL
・保持時間:約12分
(2)試験液の準備
上記の低温減圧蒸留操作により得られた固体状の低温減圧乾留残渣(R)を5.0g宛秤量し、それに「50mLの水」または「50%エタノール水」または「エタノール」をそれぞれ加え、室温で4時間攪拌抽出した。抽出後、濾紙濾過し、濾液を試験液とした。冷凍バラについても5.0g秤量し、同様に処理を行い試験液とした。
(3)ペントシジン生成阻害率の測定結果
上記で調製した試料溶液についてのペントシジン生成阻害率の結果を、下記の表3に示す。






























(4)考察
表3のように、ペントシジン生成阻害率については、バラの50%EtOH抽出液とバラの水抽出液が、強い活性を示した。また、月桃葉の50%EtOH抽出液、月桃葉の水抽出液、月桃根の50%EtOH抽出液も、強い活性を示した。
[その3:AGE−タンパク質架橋形成物モデル切断活性の測定法]
「方法」
S.Vasanらの方法(Nature,Vol.382,p.275−278,1996)に従って、AGE−タンパク質架橋形成物モデルの切断活性を測定した。
すなわち、下記に示す組成の反応液を1.5mL容量のプラスチックチューブに調製し、37℃にて4時間振とうした(振い動かした)。
「反応液組成と添加量」
・500mMのリン酸水素二ナトリウム(pH7.4)………800μL
・100mMの1−フェニル−1,2−プロパンジオン………100μL
・試料溶液……………………………………………………………100μL
「切断率の測定」
反応終了後、2N HClを200μL加えて攪拌し、反応を停止した。
その液を0.2μmのフィルターで濾過し、HPLC分析試料溶液とした。
「HPLC分析条件」
・カラム:YMC−Pack ODSA−312 150×6mmI.D.
・溶出液:40%MeOH/0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)
・流量:1.0mL/min.
・カラム温度:40℃
・検出器:UV波長 273nm
・注入量:20μL
・保持時間:約12分
「切断率の求め方」
切断率は、全ての1−フェニル−1,2−プロパンジオンが切断された場合は10mMの安息香酸が遊離すると仮定できるので、以下の式に従って算出した。
切断率(%)=100×(各分析試料から発生する安息香酸のピーク面積/10mM安息香酸のピーク面積)
「試験液の準備」
上記の低温減圧蒸留層他により得られた固体状の
上記の低温減圧蒸留操作により得られた8種の固体状の低温減圧乾留残渣(R)のそれぞれを各5.0g秤量し、それぞれに50mLの「水、50%エタノール水、またはエタノール」を加え、室温で4時間撹拌抽出した。抽出後、濾紙を用いて濾過し、濾液を試験液とした。
参考例となる上記の冷凍バラについても、それぞれ5.0g宛を秤量して同様に処理を行い、試験液とした。
「切断率の測定結果」
上記で調製した試料溶液についての切断率の結果を次の表4に示す。
注:PTBは文献(Nature,Vol.382,p.275−278,1996)に記載の通りに調製し、100mM PTB水溶液を試料溶液として反応に用いた。






























「考察」
表4のように、切断率については、バラの50%EtOH抽出液が、比較的強い活性を示した。
植物原料の低温減圧乾留残渣(R)からの溶媒による抽出物(E)を有効成分とする本発明の機能剤は、好ましいメイラード反応抑制機能を有するので、皮膚の弾力性の維持、しわやクスミの皮膚のしわ寄りの抑制、弾力性の低下の抑制、くすみの抑制をはじめとする老化の進行の防止に有効であり、化粧品をはじめとする外用剤として有用である。
また、本発明の機能剤はすぐれた抗酸化機能を有するので、この点からも、食品、化粧品、医薬部外品などへの添加剤として有用である。

Claims (5)

  1. 減圧機構を備えた乾留装置を用いて含水状態にある植物原料を低温かつ減圧条件下に乾留したときに留出する成分を「低温減圧乾留留出分(D)」としかつその低温減圧乾留操作後にその乾留装置内に残る乾燥状態の粉末ないしフレーク状の残渣を「低温減圧乾留残渣(R)」と称するとき、
    前記の「低温減圧乾留残渣(R)そのもの」またはその「低温減圧乾留残渣(R)からの溶媒による抽出物(E)」を有効成分とすること、
    を特徴とするメイラード反応抑制機能または抗酸化機能を有する機能剤。
  2. 前記の機能剤がメイラード反応抑制剤である請求項1記載の機能剤。
  3. 前記のメイラード反応抑制剤がペントシジン生成阻害剤である請求項2記載の機能剤。
  4. 前記の機能剤が抗酸化剤である請求項1記載の機能剤。
  5. 前記の低温減圧乾留操作が、水分率が90重量%以下の含水状態にある植物原料を、60〜20℃の低温条件下にかつゲージ圧で−88kPa以下の減圧条件下に行う乾留操作であることを特徴とする請求項1記載の機能剤。

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