以下、発明を実施するための形態(以下、これを実施の形態と呼ぶ)について、図面を用いて詳細に説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.プリンタ共有システムのシステム構成]
第1の実施の形態について説明する。図1に、印刷ジョブ管理システムとしてのプリンタ共有システム1のシステム構成を示す。この図1に示すように、プリンタ共有システム1は、印刷ジョブ生成装置としてのパーソナルコンピュータ2と、印刷ジョブ管理装置としてのプリンタ3とを有している。
本実施の形態では、一例として、1台のプリンタ3に、ネットワーク4を介して複数のパーソナルコンピュータ2が接続されていて、各パーソナルコンピュータ2のユーザがプリンタ3を共有使用するようになっている。
また、本実施の形態では、一例として、パーソナルコンピュータ2のユーザが、プリンタ共有システム1を利用している会社の社員であり、社員の各々には、社員証としてのICカードが発行されているものとする。さらに、各ICカードは、例えば、非接触での読み取りが可能な非接触型であり、ICカードの持ち主である社員を識別する為の社員番号が記録されているものとする。
[1−2.プリンタの機能構成]
次に、プリンタ3の機能構成について図2を用いて説明する。尚、図2は、プリンタ3の各機能をブロックで表したブロック図である。この図2に示すように、プリンタ3は、操作パネル部10と、印刷部11と、印刷ジョブ受信部12と、制御部13と、記憶部14と、ICカード読取部15とを有している。
操作パネル部10は、各種画面を表示する表示部としての機能と、プリンタ3に対するユーザ操作を受け付ける操作部としての機能を有している。具体的には、制御部13から供給される画面データに基づく画面を表示すると共に、ユーザによるタッチ操作が行われたときのタッチ位置を制御部13に通知するようになっている。
印刷ジョブ受信部12は、パーソナルコンピュータ2で生成され、ネットワーク4を介して送信されてくる印刷ジョブを受信して、制御部13に送る。ここで、パーソナルコンピュータ2から送信されてくる印刷ジョブには、詳しくは後述するが、認証情報が付与されていて印刷する際にこの認証情報を用いた認証が必要な認証印刷ジョブと、この認証情報が付与されていない一般印刷ジョブとの2種類がある。
制御部13は、受信した印刷ジョブの種類と、記憶部14に保存されている一般印刷ジョブの処理方法(詳しくは後述する)とに基づいて、印刷ジョブを直ちに印刷部11に印刷させるか、記憶部14に保存するかを判断して、どちらかを実行するようになっている。
印刷部11は、印刷ジョブをラスタライズ化してラスタライズデータに変換し、このラスタライズデータに基づく印刷画像を記録紙に印刷する。実際、プリンタ3が電子写真方式の場合、印刷部11は、ラスタライズデータに基づいて、感光ドラム上に静電潜像を形成して、その静電潜像をトナーにより現像して記録紙に写し取ることで印刷を行う。
ここで、パーソナルコンピュータ2からプリンタ3へと送信される印刷ジョブの中身について、詳しく説明する。まず、認証印刷ジョブについて説明する。図3(A)に示すように、認証印刷ジョブは、テキストデータでなる制御データD1と、バイナリデータでなる実体データD2とで構成される。
制御データD1は、PJL(Printer Job Language:プリンタジョブ言語)の集合体であり、プレーンテキストからなるデータである。尚、図3(A)では、制御データD1の各行の先頭に行番号とコロンを付しているが、これは、各行の説明を簡単にする為に付したものであり、実際の制御データD1には付されていない。
制御データD1は、「@PJL」から始まる1行が1つのPJLコマンドとなっていて、1以上のPJLコマンドで構成される。各PJLコマンドは、行の先頭の「@PJL」の後に変数名が記述され、変数名の後の「=」に続けて変数の内容が記述されるようになっている。尚、2行目から8行目と10行目の「AUXJOBINFO DATA」変数は、拡張変数であり、変数名「AUXJOBINFO DATA」の後の「=」に続けて、さらに変数名、「=」、変数の内容が順に記述されるようになっている。
図3(A)に示す例では、制御データD1の1行目に、認証印刷ジョブの名称を表す変数「JOB NAME」と、その内容となる「仕様書」が記述されている。さらに、2行目には、拡張変数として、認証印刷ジョブを作成したコンピュータの名称を表す変数「ComputerName」と、その内容となる「PC1」が記述されている。尚、本実施の形態の場合、コンピュータとは、パーソナルコンピュータ2のことである。
さらに、3行目には、拡張変数として、認証印刷ジョブを作成したコンピュータ(パーソナルコンピュータ2)のユーザ名を表す変数「UserName」と、その内容となる「OkiTaro」が記述されている。尚、本実施の形態の場合、ユーザ名とは、社員名のことである。さらに、4行目には、拡張変数として、認証印刷ジョブを作成したコンピュータ(パーソナルコンピュータ2)のユーザのIDを表す変数「UserID」と、その内容となる「abcd1234」が記述されている。尚、本実施の形態の場合、ユーザのIDと社員番号は異なるものである。
さらに、5行目には、拡張変数として、認証印刷ジョブの作成日時を表す変数「Date」と、その内容となる「11:11:11 2011/11/11」が記述されている。さらに、6行目には、拡張変数として、認証印刷ジョブの元になったコンピュータ(パーソナルコンピュータ2)上でのファイルのファイル名を表す変数「DocumentName」と、その内容となる「特許提案書」が記述されている。さらに、7行目には、拡張変数として、認証印刷ジョブを印刷した場合に出力されるページ数を表す変数「Page」と、その内容となる「10」が記述されている。
さらに、8行目には、拡張変数として、認証印刷ジョブが要求する記録紙のサイズを表す変数「MediaSize」と、その内容となる「A4」が記述されている。さらに、9行目には、認証印刷ジョブに含まれる実体データD2の記述言語を表す変数「Language」と、その内容となる「Original Printer Language」が記述されている。さらに、10行目には、拡張変数として、認証印刷ジョブの認証情報を表す変数「AuthenticationData」と、その内容となる「12345678」が記述されている。
尚、本実施の形態では、社員番号を認証情報として利用するようになっている。ゆえに、制御データD1には、変数「AuthenticationData」の内容として、社員番号(例えば「12345678」)が記述されるようになっている。
一方、一般印刷ジョブは、図3(B)に示すように、実体データD2のみで構成され、認証情報は付与されていない。認証印刷ジョブと一般印刷ジョブの中身は、このような構成となっている。ちなみに、一般印刷ジョブの実体データD2には、例えば、先頭部分に、一般印刷ジョブに関する情報として、実体データD2の記述言語などが記述されている。また、図3に示す認証印刷ジョブ及び一般印刷ジョブの構成はあくまで一例であり、他の構成であっても構わない。例えば、制御データD1がバイナリデータで、実体データD2がテキストデータであっても構わず、要は、プリンタ3側で認識可能な構成であればよい。
ここで、再び、プリンタ3の機能構成の説明に戻る。図2に示すように、プリンタ3の制御部13は、プリンタ3の各部を制御することにくわえて、印刷ジョブ保存実行部13A、社員番号保存実行部13B、認証印刷実行部13C、一般印刷ジョブ処理方法保存実行部13Dとして機能するようになっている。
制御部13は、印刷ジョブ保存実行部13Aとして、印刷ジョブ受信部12が受信した認証印刷ジョブと一般印刷ジョブを、印刷ジョブ保存部としての記憶部14に保存する。また、制御部13は、社員番号保存実行部13Bとして、ユーザ(社員)の識別情報である社員番号を、社員番号保存部としての記憶部14に保存する。尚、詳しくは後述するが、記憶部14に保存されている社員番号を持つユーザ(社員)のみが、記憶部14に保存されている一般印刷ジョブの印刷をプリンタ3に実行させることができるようになっている。
実際、図4に示すように、記憶部14には、社員番号のリスト(これを社員番号リストと呼ぶ)が保存されるようになっていて、この社員番号リストに記載されている社員番号を持つユーザ(社員)が、記憶部14に保存されている一般印刷ジョブの印刷をプリンタ3に実行させることができるユーザ(社員)となる。すなわち、図4に示す例の場合、社員番号「12345678」のユーザと、社員番号「87654321」のユーザが、記憶部14に保存されている一般印刷ジョブの印刷をプリンタ3に実行させることができるユーザとなる。
ちなみに、記憶部14に保存されている社員番号はユーザによって変更可能となっている。具体的には、例えば、ユーザがパーソナルコンピュータ2を操作して、社員番号リストと社員番号リストの書き換え命令をネットワーク4を介してプリンタ3に送信することで、記憶部14に保存されている社員番号リストをプリンタ3に書き換えさせたり、ユーザがパーソナルコンピュータ2を操作して、プリンタ3に割り当てられているアドレスにネットワーク4を介してHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)接続することで、記憶部14に保存されている社員番号リストをパーソナルコンピュータ2側から書き換えたりすることが可能となっている。
また、例えば、プリンタ3の制御部13が、操作パネル部10に社員番号リストを変更する為の画面を表示させ、ユーザがこの画面に対するタッチ操作を行うことで、記憶部14に保存されている社員番号リストをプリンタ3側から直接変更できるようにしてもよい。尚、記憶部14に保存されている社員番号を誰でも変更できるようにしてしまうと、セキュリティを確保できないので、例えば、設定されたパスワードを入力しないと変更できないようにすることが望ましい。
ICカード読取部15は、社員証でもあるICカードから、ユーザ(社員)の識別情報であり認証情報でもある社員番号を読み取る。具体的に、ICカード読取部15は、例えば、プリンタ3の筐体の所定箇所に設けられたカードリーダ(図示せず)にICカードが近づけられると、カードリーダがそのICカードを検出して社員番号を読み取り、その社員番号を制御部13に送るようになっている。
制御部13は、認証印刷実行部13Cとして、認証印刷を実行する。尚、認証印刷とは、認証が必要な印刷のことである。具体的に、認証印刷実行部13Cとして機能する制御部13は、ICカード読取部15によってICカードから読み取られた社員番号を受け取り、この社員番号が、記憶部14に保存されている認証印刷ジョブに認証情報として付与されている社員番号に対応するか(例えば、一致するか)どうかを判定する(すなわち認証を行う)。
そして、制御部13は、ICカードから読み取った社員番号と、記憶部14に保存されている認証印刷ジョブに認証情報として付与されている社員番号とが一致すると、この認証印刷ジョブの印刷を、印刷部11に実行させる。
また、制御部13は、記憶部14に保存されている社員番号リストの中に、ICカードから読み取られた社員番号と一致する番号があるかどうかを判定する(すなわち認証を行う)。そして、制御部13は、記憶部14に保存されている社員番号リストの中に、ICカードから読み取った社員番号と一致する番号がある場合、記憶部14に保存されている一般印刷ジョブの印刷を、印刷部11に実行させる。このようにして、制御部13は、認証印刷実行部13Cとして機能する。
また、制御部13は、一般印刷ジョブ処理方法保存実行部13Dとして、一般印刷ジョブの処理方法を、一般印刷ジョブ処理方法保存部としての記憶部14に保存する。一般印刷ジョブの処理方法は、プリンタ3が受信した一般印刷ジョブを直ちに印刷するようにする処理方法と、プリンタ3が受信した一般印刷ジョブを保存して認証後に印刷するようにする処理方法との2つがある。ゆえに、実際、記憶部14には、一般印刷ジョブの処理方法として、2つの処理方法のうちのどちらが設定されているかを示す情報(例えばフラグ)が保存されている。
ちなみに、記憶部14に保存されている処理方法もユーザによって変更可能となっている。具体的には、例えば、ユーザがパーソナルコンピュータ2を操作して、処理方法と処理方法の書き換え命令をネットワーク4を介してプリンタ3に送信することで、記憶部14に保存されている処理方法をプリンタ3に書き換えさせたり、ユーザがパーソナルコンピュータ2を操作して、プリンタ3に割り当てられているアドレスにネットワーク4を介してHTTP接続することで、記憶部14に保存されている処理方法をパーソナルコンピュータ2側から書き換えたりすることが可能となっている。
また、例えば、プリンタ3の制御部13が、操作パネル部10に一般印刷ジョブの処理方法を変更する為の画面を表示させ、ユーザがこの画面に対するタッチ操作を行うことで、記憶部14に保存されている処理方法をプリンタ3側から直接変更できるようにしてもよい。尚、この処理方法についても、例えば、設定されたパスワードを入力しないと変更できないようにすることが望ましい。
プリンタ3は、このような機能構成となっている。尚、操作パネル部10、印刷部11、印刷ジョブ受信部12、記憶部14、ICカード読取部15は、それぞれ対応するハードウェアによってプリンタ3に実装されている。具体的には、例えば、操作パネル部10はタッチパネル、印刷部11は電子写真方式の印刷ユニット、印刷ジョブ受信部12は通信チップ、記憶部14はハードディスク又は不揮発性メモリ、ICカード読取部15はカードリーダによって、プリンタ3に実装されている。
また、制御部13は、対応するハードウェアとプログラムによってプリンタ3に実装されている。具体的には、例えば、CPU及びメモリ(ROM、RAMなど)と、CPUによりメモリから読み出されて実行されるプログラムとによって、プリンタ3に実装されている。
[1−3.プリンタの動作]
[1−3−1.受信動作]
次に、プリンタ3の動作について説明する。まず、プリンタ3がパーソナルコンピュータ2から印刷ジョブを受信したときに行う動作(以下、これを受信動作とも呼ぶ)について、図5に示すフローチャートを用いて説明する。この受信動作は、プリンタ3の印刷ジョブ受信部12が印刷ジョブを受信すると開始される動作である。
ステップSP1において、制御部13は、印刷ジョブ受信部12が受信した印刷ジョブを印刷ジョブ受信部12から受け取り、この印刷ジョブが認証印刷ジョブであるかどうかを判別する。具体的には、制御部13は、印刷ジョブに制御データD1が含まれていれば認証印刷ジョブ、含まれていなければ認証印刷ジョブではなく一般印刷ジョブと判別するようになっている。
ここで、受信した印刷ジョブが認証印刷ジョブである場合、制御部13は、ステップSP1で肯定結果を得て、ステップSP2に移る。ステップSP2において、制御部13は、印刷ジョブ保存実行部13Aとして、受信した認証印刷ジョブを記憶部14に保存して、受信動作を完了する。
一方、受信した印刷ジョブが認証印刷ジョブではなく、一般印刷ジョブである場合、制御部13は、ステップSP1で否定結果を得て、ステップSP3に移る。ステップSP3において、制御部13は、記憶部14に保存されている一般印刷ジョブの処理方法を参照し、その処理方法として、受信した一般印刷ジョブを保存して認証後に印刷するようにする処理方法が設定されているかどうかを判別する。
一般印刷データの処理方法として、受信した一般印刷ジョブを保存して認証後に印刷するようにする処理方法が設定されている場合、制御部13は、ステップSP3で肯定結果を得て、ステップSP2に移り、印刷ジョブ保存実行部13Aとして、受信した一般印刷ジョブを記憶部14に保存して、受信動作を完了する。
これに対して、一般印刷ジョブの処理方法として、受信した一般印刷ジョブを直ちに印刷するようにする処理方法が設定されている場合、制御部13は、ステップSP3で否定結果を得て、ステップSP4に移る。ステップSP4において、制御部13は、受信した一般印刷ジョブを、印刷部11へと送り、一般印刷ジョブの印刷を直ちに実行させ、受信動作を完了する。プリンタ3がパーソナルコンピュータ2から印刷ジョブを受信したときの受信動作は、このような動作となっている。
[1−3−2.認証印刷動作]
次に、プリンタ3が記憶部14に保存されている印刷ジョブを印刷するときの動作(これを認証印刷動作と呼ぶ)について、図6及び図7に示すフローチャートを用いて説明する。この認証印刷動作は、ICカード読取部15がユーザ(社員)のICカードを検出して、その旨を制御部13に通知すると開始される動作であり、制御部13が、認証印刷実行部13Cとして行う動作である。
ステップSP10において、認証印刷実行部13Cは、ICカード読取部15にユーザのICカードから認証情報としての社員番号を読み取らせて、次のステップSP11に移る。ステップSP11において、認証印刷実行部13Cは、認証情報(社員番号)の読み取りに成功したかどうかを判別する。認証情報の読み取りに失敗した場合、認証印刷実行部13Cは、ステップSP11で否定結果を得て、ステップSP10に戻り、再度、ICカード読取部15に認証情報の読み取りを行わせる。尚、認証情報の読み取りに失敗したら、その時点で、認証印刷動作を終了させるようにしてもよい。
これに対して、認証情報の読み取りに成功することにより、ステップSP11で肯定結果を得ると、認証印刷実行部13Cは、ステップSP12に移る。ステップSP12において、認証印刷実行部13Cは、記憶部14から、ICカードから読み取った認証情報と一致する認証情報を有する認証印刷ジョブを検索して、次のステップSP13に移る。尚、認証印刷実行部13Cは、認証印刷ジョブの制御データD1内に記述されている認証情報を参照することで、ICカードから読み取った認証情報と一致する認証情報を有する認証印刷ジョブを検索するようになっている。
ステップSP13において、認証印刷実行部13Cは、ステップSP12での検索の結果、記憶部14に、ICカードから読み取った認証情報と一致する認証情報を有する認証印刷ジョブが保存されているかどうかを判別する。記憶部14に、ICカードから読み取った認証情報と一致する認証情報を有する認証印刷ジョブが保存されていることにより、このステップSP13で肯定結果を得ると、認証印刷実行部13Cは、ステップSP14に移る。
ステップSP14において、認証印刷実行部13Cは、認証印刷ジョブを印刷するかどうかをユーザに確認する。すなわち、認証印刷実行部13Cは、操作パネル部10に、認証印刷ジョブを印刷するかどうか選択する為の画面を表示させ、この画面に対するユーザ操作により、認証印刷ジョブを印刷する旨がユーザに選択されたかどうかを判別する。
ユーザが認証印刷ジョブを印刷する旨を選択したことにより、このステップSP14で肯定結果を得ると、認証印刷実行部13Cは、ステップSP15に移る。ステップSP15において、認証印刷実行部13Cは、ICカードから読み取った認証情報と一致する認証情報を有する認証印刷ジョブを印刷部11へと送り、その認証印刷ジョブの印刷を実行させ、次のステップSP16に移る。
ステップSP16において、認証印刷実行部13Cは、印刷された認証印刷ジョブ(すなわちICカードから読み取った認証情報と一致する認証情報を有する認証印刷ジョブ)を、記憶部14から削除して、次のステップSP17(図7)に移る。尚、ステップSP14の処理を省略して、認証印刷ジョブを印刷するかどうかをユーザに確認することなく、自動的に認証印刷ジョブを印刷して削除するようにしてもよい。
一方、記憶部14に、ICカードから読み取った認証情報と一致する認証情報を有する認証印刷ジョブが保存されていないことにより、ステップSP13で否定結果を得た場合、認証印刷実行部13Cは、ステップSP14〜SP16の処理を飛ばしてステップSP17に移る。また、ユーザが認証印刷ジョブを印刷しない旨を選択したことにより、ステップSP14で否定結果を得た場合、認証印刷実行部13Cは、ステップSP15、SP16の処理を飛ばして認証印刷ジョブを印刷せずにステップSP17に移る。
尚、記憶部14に、ICカードから読み取った認証情報と一致する認証情報を有する認証印刷ジョブが保存されている場合に、認証印刷実行部13Cが、例えば、その認証印刷ジョブの一覧を操作パネル部10に表示させ、一覧の中からユーザ操作により任意の認証印刷ジョブを印刷対象として指定できるようにし、指定された認証印刷ジョブのみを印刷部11に印刷させ、その後削除するようにしてもよい。
また、例えば、操作パネル部10に表示させた認証印刷ジョブの一覧の中からユーザ操作により任意の認証印刷ジョブを削除対象として指定できるようにし、指定された認証印刷ジョブについては、印刷せずに記憶部14から削除するようにしてもよい。
さらに、記憶部14に、ICカードから読み取った認証情報と一致する認証情報を有する認証印刷ジョブが保存されていない場合に、認証印刷実行部13Cが、例えば、印刷可能な認証印刷ジョブが存在しない旨を示す警告メッセージを、操作パネル部10に表示させるようにしてもよい。
ステップSP17において、認証印刷実行部13Cは、記憶部14に一般印刷ジョブが保存されているかどうかを判別する。記憶部14に一般印刷ジョブが保存されていない場合、認証印刷実行部13Cは、ステップSP17で否定結果を得て、認証印刷動作を終了する。
これに対して、記憶部14に一般印刷ジョブが保存されている場合、認証印刷実行部13Cは、ステップSP17で肯定結果を得て、ステップSP18に移る。ステップSP18において、認証印刷実行部13Cは、記憶部14に保存されている社員番号リストを取得して、次のステップSP19に移る。ステップSP19において、認証印刷実行部13Cは、取得した社員番号リストの中に、ステップSP10でICカードから読み取った社員番号と一致する番号が存在するかどうかを判別する。
取得した社員番号リストの中に、ICカードから読み取った社員番号と一致する番号が存在しない場合、このことは、ICカードをかざしたユーザに、一般印刷ジョブを印刷する権限が与えられていないことを意味する。この場合、認証印刷実行部13Cは、ステップSP19で否定結果を得て、一般印刷ジョブの印刷を行わずに、認証印刷動作を終了する。
これに対して、取得した社員番号リストの中に、ICカードから読み取った社員番号と一致する番号が存在する場合、このことは、ICカードをかざしたユーザに、一般印刷ジョブを印刷する権限が与えられていることを意味する。この場合、認証印刷実行部13Cは、ステップSP19で肯定結果を得て、ステップSP20に移る。ステップSP20において、認証印刷実行部13Cは、一般印刷ジョブを印刷するかどうかをユーザに確認する。すなわち、認証印刷実行部13Cは、操作パネル部10に、一般印刷ジョブを印刷するかどうか選択する為の画面を表示させ、この画面に対するユーザ操作により、一般印刷ジョブを印刷する旨がユーザに選択されたかどうかを判別する。
ユーザが認証印刷ジョブを印刷する旨を選択したことにより、このステップSP20で肯定結果を得ると、認証印刷実行部13Cは、ステップSP21に移る。ステップSP21において、認証印刷実行部13Cは、記憶部14に保存されている一般印刷ジョブを印刷部11へと送り、その一般印刷ジョブの印刷を実行させ、次のステップSP22に移る。ステップSP22において、認証印刷実行部13Cは、記憶部14に保存されている一般印刷ジョブを記憶部14から削除して、認証印刷動作を終了する。尚、ステップSP20の処理を省略して、一般印刷ジョブを印刷するかどうかをユーザに確認することなく、自動的に一般印刷ジョブを印刷して削除するようにしてもよい。
一方で、ユーザが一般印刷ジョブを印刷しない旨を選択したことにより、ステップSP20で否定結果を得た場合、認証印刷実行部13Cは、一般印刷ジョブの印刷を行わずに、認証印刷動作を終了する。プリンタ3が記憶部14に保存されている印刷データを印刷するときの認証印刷動作は、このような動作となっている。
尚、取得した社員番号リストの中に、ICカードから読み取った社員番号と一致する番号が存在する場合に、認証印刷実行部13Cが、例えば、一般印刷ジョブの一覧を操作パネル部10に表示させ、一覧の中からユーザ操作により任意の一般印刷ジョブを印刷対象として指定できるようにし、指定された一般印刷ジョブのみを印刷部11に印刷させるようにしてもよい。また、この場合、印刷した一般印刷ジョブのみを削除するか、全ての一般印刷ジョブを削除するか、一般印刷ジョブを削除しないかを、ユーザ操作により選択できるようにしてもよい。
また、例えば、操作パネル部10に表示させた一般印刷ジョブの一覧の中からユーザ操作により任意の一般印刷ジョブを削除対象として指定できるようにし、指定された一般印刷ジョブについては、印刷せずに記憶部14から削除するようにしてもよい。
さらに、記憶部14に、一般印刷ジョブが保存されていない場合に、認証印刷実行部13Cが、例えば、印刷可能な一般印刷ジョブが存在しない旨を示す警告メッセージを、操作パネル部10に表示させるようにしてもよい。
ここで、上述の認証印刷動作のうち、ステップSP10〜SP11の動作を認証情報読取動作と呼び、ステップSP12〜SP16の動作を認証印刷ジョブ印刷動作と呼び、ステップSP17〜SP23の動作を一般印刷ジョブ印刷動作と呼ぶ。そして、上述の例では、認証情報読取動作、認証印刷ジョブ印刷動作、一般印刷ジョブ印刷動作の順で、認証印刷動作を行ったが、これに限らず、認証印刷ジョブ印刷動作と一般印刷ジョブ印刷動作の順を入れ替え、認証情報読取動作、一般印刷ジョブ印刷動作、認証印刷ジョブ印刷動作の順で、認証印刷動作を行うようにしてもよい。
また、認証印刷ジョブ動作と一般印刷ジョブ動作のどちらを先に行うのかをユーザ操作により選択できるようにしてもよい。この場合、例えば、プリンタ3の制御部13が、操作パネル部10に、認証印刷ジョブ動作と一般印刷ジョブ動作のどちらを先に行うのかをユーザに選択させる為の画面を表示させ、この画面に対するユーザ操作に応じて、先に行う動作を設定する。
ところで、上述したように、記憶部14に保存されている一般印刷ジョブの処理方法は、ユーザによって変更可能となっている。ここで、実際、一般印刷ジョブの処理方法が、受信した一般印刷ジョブを保存して認証後に印刷するようにする処理方法から、受信した一般印刷ジョブを直ちに印刷するようにする処理方法に変更された場合、プリンタ3は以下の動作をする。
すなわち、制御部13は、処理方法が変更されると、この時点までに記憶部14に保存されている一般印刷ジョブを印刷して、記憶部14から削除する。また、これに限らず、処理方法が変更されると、この時点までに記憶部14に保存されている一般印刷ジョブを印刷も削除もせずに記憶部14に保存し続けるようにし、この一般印刷ジョブについては、上述の一般印刷ジョブ印刷動作が行われたときに印刷して削除するようにしてもよい。さらに、これら2つの動作のうち、どちらの動作をするか、ユーザ操作により選択できるようにしてもよい。
[1−4.第1の実施の形態のまとめ]
上述したように、プリンタ3は、認証情報が付与された認証印刷ジョブを受信すると、これを記憶部14に保存する。その後、プリンタ3は、ユーザによりICカードがかざされると、このICカードから認証情報(社員番号)を読み取り、読み取った認証情報と、記憶部14に保存されている認証印刷ジョブに付与されている認証情報とが一致する場合に、この認証印刷ジョブを印刷する。
このように、プリンタ3は、認証印刷ジョブについては、従来と同様、認証後に印刷を行うことで、認証印刷ジョブの印刷結果として出力する印刷物の取り忘れを防止して、印刷物が放置されてしまうような状況を防ぐことができ、認証印刷ジョブに対するセキュリティを確保できる。
くわえて、プリンタ3は、認証情報が付与されていない一般印刷ジョブを受信すると、一般印刷ジョブに対する処理方法として、保存して認証後に印刷するようにする処理方法が設定されている場合、受信した一般印刷ジョブを記憶部14に保存する。
その後、プリンタ3は、ユーザによりICカードがかざされると、このICカードから認証情報としての社員番号を読み取り、読み取った社員番号が、記憶部14に保存されている社員番号、すなわち一般印刷ジョブの印刷を許可されているユーザ(社員)の社員番号と一致する場合に、一般印刷ジョブを印刷する。
このように、プリンタ3は、認証情報が付与されていない一般印刷ジョブについても、ICカードから読み取った認証情報と、記憶部14に保存されている一般印刷ジョブの印刷を許可されているユーザ(社員)の社員番号とを利用して認証を行った後に印刷を行うことで、一般印刷ジョブの印刷結果として出力される印刷物の取り忘れを防止して、印刷物が放置されてしまうような状況を防ぐことができ、一般印刷ジョブに対するセキュリティを確保できる。
以上の構成によれば、プリンタ3は、認証印刷ジョブについてだけでなく一般印刷ジョブについても、印刷結果として出力する印刷物の取り忘れを防止して、印刷物が放置されてしまうことを防ぐことができ、かくして従来と比して、一段とセキュリティを向上させることができる。
[2.第2の実施の形態]
次に第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、一般印刷ジョブの印刷を許可されているユーザは、全ての一般印刷ジョブを印刷することができたが、この第2の実施の形態では、一般印刷ジョブの印刷を許可されているユーザは、当該ユーザに対して設定されている印刷条件に合致する一般印刷ジョブのみを印刷することができるようになっている。この点が、第1の実施の形態と異なる点である。
[2−1.プリンタの機能構成]
ここで、第2の実施の形態のプリンタ20の機能構成について図8を用いて説明する。尚、プリンタ共有システム1のシステム構成については、プリンタ3の代わりにプリンタ20を設けた点を除けば、第1の実施の形態と同じである為、説明を省略する。
図8に示すように、プリンタ20は、第1の実施の形態のプリンタ3に設けられていた制御部13の代わりに、制御部13とは異なる機能を有する制御部21が設けられている。この制御部21以外の構成、すなわち、操作パネル部10、印刷部11、印刷ジョブ受信部12、記憶部14、ICカード読取部15については、プリンタ3と同じである為、詳しい説明は省略する。また、パーソナルコンピュータ2からプリンタ20へと送信される印刷ジョブの中身についても、第1の実施の形態と同じである為、詳しい説明は省略する。
本実施の形態のプリンタ20では、一般印刷ジョブを印刷する権限が与えられたユーザに対して、印刷条件として一般印刷ジョブの記述言語が設定されている。つまり、一般印刷ジョブの印刷を許可されているユーザは、印刷条件として設定されている記述言語で記述された一般印刷ジョブのみを印刷することができるようになっている。
具体的に、プリンタ20の記憶部14には、図9に示すように、一般印刷ジョブの印刷を許可されているユーザ(社員)の社員番号と共に、当該社員番号を持つユーザ(社員)に対して設定される印刷条件として、一般印刷ジョブの記述言語が保存されている。尚、図9に示すように、記憶部14には、社員番号と印刷条件との組でなる情報のリスト(これを社員番号印刷条件リストと呼ぶ)が保存されている。
すなわち、図9に示す例の場合、社員番号「12345678」のユーザは、記憶部14に記憶されている一般印刷ジョブのうち、PostScript(登録商標)で記述された一般印刷ジョブのみの印刷をプリンタ3に実行させることができるユーザであり、社員番号「87654321」のユーザは、記憶部14に保存されている一般印刷ジョブのうち、PCL(Printer Control Language)で記述された一般印刷ジョブのみの印刷をプリンタ3に実行させることができるユーザとなる。また、記憶部14に保存されている社員番号及び印刷条件は、第1の実施の形態の記憶部14に保存されている社員番号と同様にして変更可能となっている。
プリンタ20の制御部21は、印刷ジョブ保存実行部21A、社員番号印刷条件保存実行部21B、条件認証印刷実行部21C、一般印刷ジョブ処理方法保存実行部21Dとして機能するようになっている。印刷ジョブ保存実行部21A及び一般印刷ジョブ処理方法保存実行部21Dの機能は、第1の実施の形態のプリンタ3の印刷ジョブ保存実行部13A及び一般印刷ジョブ処理方法保存実行部13Dの機能と同じである為、説明を省略する。
制御部21は、社員番号印刷条件保存実行部21Bとして、図9に示すような、社員番号と印刷条件(一般印刷ジョブの言語)を、社員番号印刷条件保存部としての記憶部14に保存する。また、制御部21は、条件認証印刷実行部21Cとして、認証印刷ジョブについては、第1の実施の形態と同じ認証印刷を実行する一方で、一般印刷ジョブについては、第1の実施の形態とは異なり、条件付きの認証印刷を実行する。
認証印刷ジョブに対する認証印刷は、第1の実施の形態と同じである為、説明を省略する。ゆえに、ここでは、一般印刷ジョブに対する条件付きの認証印刷についてのみ説明する。具体的に、条件認証印刷実行部21Cとして機能する制御部21は、ICカード読取部15によってICカードから読み取られた社員番号を受け取り、記憶部14に保存されている社員番号印刷条件リストの中に、ICカードから読み取った社員番号と一致する番号があるかどうかを判定する(すなわち認証を行う)。
そして、制御部21は、記憶部14に保存されている社員番号印刷条件リストの中に、ICカードから読み取った社員番号と一致する番号がある場合、記憶部14に保存されている一般印刷ジョブのうち、ICカードから読み取った社員番号に対して設定されている印刷条件(記述言語)に合致する一般印刷ジョブの印刷を、印刷部11に実行させる。
プリンタ3は、このような機能構成となっている。尚、制御部21は、対応するハードウェアとプログラムによってプリンタ20に実装されている。具体的には、例えば、CPU及びメモリ(ROM、RAMなど)と、CPUによりメモリから読み出されて実行されるプログラムとによって、プリンタ20に実装されている。
[2−2.プリンタの動作]
次に、プリンタ20の動作について説明する。尚、プリンタ20がパーソナルコンピュータ2から印刷ジョブを受信したときに行う動作(受信動作)については、第1の実施の形態と同じである為、説明を省略する。ゆえに、ここでは、プリンタ20が記憶部14に保存されている印刷ジョブを印刷するときの認証印刷動作について、図10及び図11に示すフローチャートを用いて説明する。
この認証印刷動作は、ICカード読取部15がユーザ(社員)のICカードを検出して、その旨を制御部21に通知すると開始される動作である。尚、この認証印刷動作は、制御部21が、条件認証印刷実行部21Cとして行う動作である。
ステップSP30において、条件認証印刷実行部21Cは、ICカード読取部15にユーザのICカードから認証情報としての社員番号を読み取らせて、次のステップSP31に移る。ここで、ステップSP30〜SP31の認証情報読取動作と、ステップSP32〜SP36の認証印刷ジョブ印刷動作は、主体が条件認証印刷実行部21Cである点を除けば、第1の実施の形態と同じである為、説明を省略する。ゆえに、ここでは、ステップSP37〜SP45の一般印刷ジョブ印刷動作についてのみ説明する。
図11に示すステップSP37において、条件認証印刷実行部21Cは、記憶部14に一般印刷ジョブが保存されているかどうかを判別する。記憶部14に一般印刷ジョブが保存されていない場合、条件認証印刷実行部21Cは、ステップSP37で否定結果を得て、認証印刷動作を終了する。
これに対して、記憶部14に一般印刷ジョブが保存されている場合、条件認証印刷実行部21Cは、ステップSP37で肯定結果を得て、ステップSP38に移る。ステップSP38において、条件認証印刷実行部21Cは、記憶部14に保存されている社員番号印刷条件リストを取得して、次のステップSP39に移る。ステップSP39において、条件認証印刷実行部21Cは、取得した社員番号印刷条件リストの中に、ステップSP30でICカードから読み取った社員番号と一致する番号が存在するかどうかを判別する。
取得した社員番号印刷条件リストの中に、ICカードから読み取った社員番号と一致する番号が存在しない場合、条件認証印刷実行部21Cは、ステップSP39で否定結果を得て、一般印刷ジョブの印刷を行わずに、認証印刷動作を終了する。
これに対して、取得した社員番号印刷条件リストの中に、ICカードから読み取った社員番号と一致する番号が存在する場合、条件認証印刷実行部21Cは、ステップSP39で肯定結果を得て、ステップSP40に移る。ステップSP40において、条件認証印刷実行部21Cは、社員番号印刷条件リストを参照することにより、ICカードから読み取った社員番号に対応付けられている印刷条件を特定して、ステップSP41に移る。
ステップSP41において、条件認証印刷実行部21Cは、記憶部14から、ステップSP40で特定した印刷条件に合致する一般印刷ジョブを検索して、次のステップSP42に移る。尚、印刷条件が一般印刷ジョブの記述言語である場合、条件認証印刷実行部21Cは、一般印刷ジョブの実体データD2の先頭部分に記述されている一般印刷ジョブに関する情報から記述言語を特定することで、印刷条件に合致する一般印刷ジョブを検索するようになっている。
ステップSP42において、条件認証印刷実行部21Cは、ステップSP41での検索の結果、記憶部14に、印刷条件に合致する一般印刷ジョブが保存されているかどうかを判別する。記憶部14に、印刷条件に合致する一般印刷ジョブが保存されていることにより、このステップSP42で肯定結果を得ると、条件認証印刷実行部21Cは、ステップSP43に移る。
ステップSP43において、条件認証印刷実行部21Cは、一般印刷ジョブを印刷するかどうかをユーザに確認する。すなわち、条件認証印刷実行部21Cは、操作パネル部10に、一般印刷ジョブを印刷するかどうか選択する為の画面を表示させ、この画面に対するユーザ操作により、一般印刷ジョブを印刷する旨がユーザに選択されたかどうかを判別する。ユーザが一般印刷ジョブを印刷する旨を選択したことにより、このステップSP43で肯定結果を得ると、条件認証印刷実行部21Cは、ステップSP44に移る。
ステップSP44において、条件認証印刷実行部21Cは、記憶部14に保存されている一般印刷ジョブのうち、印刷条件に合致する一般印刷ジョブを印刷部11へと送り、その一般印刷ジョブの印刷を実行させ、次のステップSP45に移る。ステップSP45において、条件認証印刷実行部21Cは、印刷された一般印刷ジョブ(すなわち印刷条件に合致する一般印刷ジョブ)を記憶部14から削除して、認証印刷動作を終了する。尚、ステップSP43の処理を省略して、一般印刷ジョブを印刷するかどうかをユーザに確認することなく、自動的に印刷条件に合致する一般印刷ジョブを印刷して削除するようにしてもよい。
一方で、記憶部14に、印刷条件に合致する一般印刷ジョブが保存されていないことにより、ステップSP42で否定結果を得た場合と、ユーザが一般印刷ジョブを印刷しない旨を選択したことにより、ステップSP43で否定結果を得た場合、条件認証印刷実行部21Cは、一般印刷ジョブの印刷を行わずに、認証印刷動作を終了する。プリンタ20が記憶部14に保存されている印刷ジョブを印刷するときの認証印刷動作は、このような動作となっている。
尚、上述の例では、認証情報読取動作、認証印刷ジョブ印刷動作、一般印刷ジョブ印刷動作の順で、認証印刷動作を行ったが、これに限らず、認証印刷ジョブ印刷動作と一般印刷ジョブ印刷動作の順を入れ替え、認証情報読取動作、一般印刷ジョブ印刷動作、認証印刷ジョブ印刷動作の順で、認証印刷動作を行うようにしてもよい。また、第1の実施の形態と同様にして、認証印刷ジョブ動作と一般印刷ジョブ動作のどちらを先に行うのかをユーザ操作により選択できるようにしてもよい。
さらに、一般印刷ジョブの処理方法が、受信した一般印刷ジョブを保存して認証後に印刷するようにする処理方法から、受信した一般印刷ジョブを直ちに印刷するようにする処理方法に変更された場合のプリンタ20の動作については、第1の実施の形態と同じであるので、説明を省略する。
[2−3.第2の実施の形態のまとめ]
上述したように、プリンタ20は、認証情報が付与されていない一般印刷ジョブを受信すると、一般印刷ジョブに対する処理方法として、保存して認証後に印刷するようにする処理方法が設定されている場合、受信した一般印刷ジョブを記憶部14に保存する。
その後、プリンタ20は、ユーザによりICカードがかざされると、このICカードから認証情報としての社員番号を読み取り、読み取った社員番号が、記憶部14に保存されている社員番号と一致すると、この社員番号に対して設定されている印刷条件を参照する。そして、プリンタ20は、記憶部14に保存されている一般印刷ジョブのうち、ICカードから読み取った社員番号に対して設定されている印刷条件に合致する一般印刷ジョブのみを印刷する。
こうすることで、プリンタ20では、一般印刷ジョブの印刷を許可されているユーザ(社員)ごとに、印刷可能な一般印刷ジョブを、設定されている印刷条件に合致する一般印刷ジョブのみに限定することができる。
[3.他の実施の形態]
[3−1.他の実施の形態1]
尚、上述した第1及び第2の実施の形態では、認証印刷ジョブの制御データD1に認証情報としての社員番号が記述されていて、この社員番号と、ICカードから読み取った認証情報としての社員番号とを利用して、認証印刷ジョブの認証を行うようにした。これに限らず、例えば、認証印刷ジョブの制御データD1に認証情報を記述せずに、代わりに実体データD2を認証情報としての社員番号を暗号鍵として共通暗号化方式で暗号化するようにしてもよい。
この場合、例えば、プリンタ3では、受信した認証印刷ジョブを暗号化されたままの状態で記憶部14に保存する。その後、プリンタ3は、ICカードがかざされると、ICカードから読み取った社員番号を復号鍵として、記憶部14に保存されている認証印刷ジョブの復号を試みることで認証を行い、正常に復号できた認証印刷ジョブのみを印刷するようにする。
[3−2.他の実施の形態2]
また、上述した第1及び第2の実施の形態では、ICカードに認証情報としての社員番号を記憶させ、プリンタ3及び20がこのICカードから認証情報としての社員番号を読み取るようにした。これに限らず、例えば、ICタグに認証情報としての社員番号を記憶させ、プリンタ3及び20がこのICタグから認証情報としての社員番号を読み取るようにしてもよい。この場合、プリンタ3及び20に、ICタグの読取機能を設ければよい。
さらに、上述した第1及び第2の実施の形態では、認証情報として社員番号を利用したが、これに限らず、ユーザを識別できる情報であれば、ICカードのシリアル番号やユーザの指紋などを、認証情報として利用するようにしてもよい。尚、ユーザの指紋を認証情報として利用する場合には、指紋の読取機能をプリンタ3及び20に設ければよい。
[3−3.他の実施の形態3]
また、上述した第1及び第2の実施の形態では、認証印刷ジョブ印刷動作内で、認証印刷ジョブを印刷するかどうかユーザに確認し、さらに一般印刷ジョブ印刷動作内で、一般印刷ジョブを印刷するかどうかユーザに確認するようにした。これに限らず、例えば、認証印刷ジョブについては、ICカードをかざしたユーザが印刷するよう指示した印刷ジョブであることから、印刷するかどうかをユーザに確認することなく自動的に印刷するようにし、一般印刷ジョブについては、ICカードをかざしたユーザが印刷するよう指示した印刷ジョブであるとは限らないことから、印刷するかどうかをユーザに確認するようにしてもよい。
また、これに限らず、認証印刷ジョブについては、印刷するかどうかをユーザに確認するようにして、一般印刷ジョブについては、確認せずに自動的に印刷するようにしてもよく、さらに、認証印刷ジョブと一般印刷ジョブの両方とも、印刷するかどうかの確認をせずに自動的に印刷するようにしてもよい。
また一方で、認証印刷ジョブ印刷動作及び一般印刷ジョブ印刷動作を行う前に、認証印刷ジョブ印刷動作と一般印刷ジョブ印刷動作の両方を行うか、認証印刷ジョブ印刷動作のみを行うか、一般印刷ジョブ印刷動作のみを行うかをユーザに選択させるようにしてもよい。この場合、プリンタ3の制御部13は、例えば、認証印刷動作を開始して、認証情報読取動作を行った後、操作パネル部10に、認証印刷ジョブ印刷動作と一般印刷ジョブ印刷動作の両方を行うか、認証印刷ジョブ印刷動作のみを行うか、一般印刷ジョブ印刷動作のみを行うかをユーザに選択させる為の画面を表示させ、この画面に対するユーザ操作に応じて、その後、認証印刷ジョブ印刷動作と一般印刷ジョブ印刷動作の両方、認証印刷ジョブ印刷動作のみ、一般印刷ジョブ印刷動作のみのいずれかを行う。
このようにすれば、認証印刷動作内でユーザにとって必要ない動作を省略することができ、印刷待ち時間を短縮することができる。また、この場合、認証印刷ジョブ印刷動作内の認証印刷ジョブを印刷するかどうかの確認、及び一般印刷ジョブ印刷動作内での一般印刷ジョブを印刷するかどうかの確認を省略するようにしてもよい。
[3−4.他の実施の形態4]
さらに、上述した第1及び第2の実施の形態では、記憶部14に記憶されている認証印刷ジョブと一般印刷ジョブを、印刷後に自動的に削除するようにした。これに限らず、印刷後に認証印刷ジョブを削除するかどうかをユーザに選択させ、ユーザが削除すると選択した場合にのみ、印刷後に認証印刷ジョブを削除するようにしてもよい。一般印刷ジョブについても同様である。
[3−5.他の実施の形態5]
さらに、上述した第2の実施の形態では、一般印刷ジョブの記述言語を、一般印刷ジョブを印刷するときの印刷条件とした。これに限らず、例えば、一般印刷ジョブの送信元(すなわちパーソナルコンピュータ2)のネットワークアドレス(例えばIPアドレス)、一般印刷ジョブのデータサイズ、ページ数、用紙サイズなどを印刷条件としてもよく、要は、一般印刷ジョブを分類できる情報であればよい。また、印刷条件が複数設定されていてもよく、この場合、複数の印刷条件のうちのいずれか一つに合致する一般印刷ジョブを印刷するようにしてもよいし、複数の印刷条件のうちの全てに合致する一般印刷ジョブを印刷するようにしてもよい。
[3−6.他の実施の形態6]
さらに、上述した第1の実施の形態では、プリンタ3の記憶部14に、社員番号リストを保存して、プリンタ3にICカードがかざされると、プリンタ3が、このICカードから読み取った社員番号と、記憶部14に保存されている社員番号リストをもとに、認証を行うようにした。これに限らず、例えば、社員番号リストを、ネットワーク4に接続されたサーバなどの記憶装置(図示せず)に保存して、プリンタ3にICカードがかざされると、プリンタ3が、ネットワーク4を介して記憶装置から社員番号リストを取得し、ICカードから読み取った社員番号と、記憶装置から取得した社員番号リストをもとに、認証を行うようにしてもよい。
第2の実施の形態についても同様に、社員番号印刷条件リストを、ネットワーク4に接続されたサーバなどの記憶装置(図示せず)に保存して、プリンタ20にICカードがかざされると、プリンタ20が、ネットワーク4を介して記憶装置から社員番号印刷条件リストを取得し、ICカードから読み取った社員番号と、記憶装置から取得した社員番号印刷条件リストをもとに、認証を行うようにしてもよい。
さらに、上述した第1の実施の形態では、プリンタ3が、ICカードから読み取った社員番号と、記憶部14に保存されている社員番号リストをもとに認証を行い、認証結果に応じて印刷ジョブの印刷を行うようにした。これに限らず、例えば、認証については、ネットワーク4に接続された認証用の端末装置(図示せず)側で行うようにし、印刷ジョブの印刷のみをプリンタ3に行わせるようにしてもよい。
この場合、例えば、パーソナルコンピュータ2のうちの1台を認証用の端末装置とする。ただし、この端末装置は、プリンタ3の操作パネル部10、印刷ジョブ受信部12、制御部13及びICカード読取部15と同様の機能を有しているものとする。この端末装置は、認証後に、印刷すべき印刷ジョブのみをプリンタ3に送信して、プリンタ3に印刷させる。尚、この場合、プリンタ3は、ネットワーク4を介して端末装置と接続されていてもよいし、端末装置に直接接続されていてもよい。このようにすれば、認証機能を有するプリンタ3を新たに用意することなく、既存のパーソナルコンピュータと認証用のプログラムとプリンタとで、第1の実施の形態のプリンタ共有システム1と同様のシステムを構築することができる。第2の実施の形態についても同様に、認証については、認証用の端末装置側で行うようにしてもよい。
[3−7.他の実施の形態7]
さらに、上述した第1及び第2の実施の形態では、認証印刷ジョブ印刷動作内で、認証印刷ジョブの印刷と削除を行った後、一般印刷ジョブ印刷動作内で、一般印刷ジョブの印刷と削除を行うようにした。これに限らず、認証印刷ジョブ印刷動作内で、認証印刷ジョブの印刷を行った後、一般印刷ジョブ印刷動作内で、一般印刷ジョブの印刷を行い、最後に、印刷した認証印刷ジョブと一般印刷ジョブの削除を行うようにしてもよい。このように、全ての印刷が完了してから、印刷ジョブの削除を行うようにすれば、印刷待ち時間を短縮することができる。
[3−8.他の実施の形態8]
さらに、上述した第1及び第2の実施の形態では、印刷ジョブ管理装置としてのプリンタ3及び20に本発明を適用したが、これに限らず、プリンタ3及び20と同様、一般印刷ジョブを扱う装置であれば、ファクシミリ、MFP(Multi Function Product:複合機)、コピー機などの装置にも適用することができる。
また、上述した第1及び第2の実施の形態では、印刷ジョブ管理システムとして、印刷ジョブ生成部としてのパーソナルコンピュータ2と、印刷ジョブ管理装置としてのプリンタ3又はプリンタ20とで構成されるプリンタ共有システム1に本発明を適用したが、これに限らず、プリンタ共有システム1と同様、印刷ジョブ生成装置と印刷ジョブ管理装置とで構成され、且つ一般印刷ジョブを扱うシステムであれば、他のシステムにも適用することができる。
[3−9.他の実施の形態9]
さらに、上述した第1及び第2の実施の形態では、一般印刷ジョブの印刷が許可されているユーザを認証する為の認証情報を取得する認証情報取得部の具体例として、制御部13を用いるようにした。これに限らず、認証情報取得部として機能するものであれば、制御部13の代わりに、他の機能部を用いるようにしてもよい。
さらに、上述した第1及び第2の実施の形態では、一般印刷ジョブを取得する印刷ジョブ取得部の具体例として、印刷ジョブ受信部12を用いるようにした。これに限らず、印刷ジョブ取得部として機能するものであれば、印刷ジョブ受信部12の代わりに、他の機能部を用いるようにしてもよい。
さらに、上述した第1及び第2の実施の形態では、認証情報を入力する認証情報入力部の具体例として、ICカード読取部15を用いるようにした。これに限らず、認証情報入力部として機能するものであれば、ICカード読取部15の代わりに、他の機能部を用いるようにしてもよい。
[3−10.他の実施の形態10]
さらに、本発明は、上述した第1及び第2の実施の形態と、上述した他の実施の形態とに限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した第1及び第2の実施の形態と上述した他の実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。