JP2015024458A - 刃先交換式回転切削工具及びインサート - Google Patents

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Abstract

【課題】 クーラントによる冷却効果を向上させたインサートを装着した刃先交換式回転切削工具を提供する。
【解決手段】 工具本体のインサート取付座に円形インサート等の側面部を拘束するとともに、工具本体に設けたクーラントを流すクーラント流路孔の流出孔を形成したクーラント供給壁面を設ける。インサートにはその側面部からねじ挿通孔まで貫通するクーラントを流すためのクーラント貫通孔を複数設け、これらクーラント貫通孔の第1のクーラント孔はインサート取付座にインサートを固定したときに、クーラント供給壁面側のクーラント流出孔と対面する位置に形成し、クーラント流路孔の流出孔とインサートのクーラント孔とはシール部材を介して連通させる。クーラント貫通孔に流入したクーラントを、インサートのねじ挿通孔とクランプねじとの間に形成された微小な隙間が生じている箇所を介して、他のクーラント貫通孔の第1のクーラント孔から噴出させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、工具本体の先端部に形成したインサート取付座に切れ刃を備えたインサートを着脱自在に装着するとともに、工具本体に設けたクーラント流通孔内を流れるクーラントを、このインサートの側面部からインサートの内部に設けたクーラント貫通孔に導いて、切れ刃に向けて噴出させる手段を備えた刃先交換式回転切削工具、及びこの刃先交換式回転切削工具に着脱自在に装着するインサートに関するものである。
切れ刃を備えた複数のインサートを着脱自在に工具本体(工具ホルダ)に装着した刃先交換式回転切削工具は、被削材の切削加工を高速度で実施することが可能になる。しかし、高速度の切削加工を実施すると、切削加工により発生する加工熱は高温度になるのでインサートの温度が上昇して、切屑の切れ刃への付着などによって切れ刃の寿命が低下するとともに、多量に生成される切屑の排出が不十分になり、切屑詰りの発生、あるいは切屑が仕上げ加工を施した加工面に付着して加工面の品質を低下させるという不具合が発生し易くなる。このような不具合の発生を防止するために、従来から、インサートの冷却と、生成された切屑の外部への排出性を高めるために、インサートの切れ刃に向けてクーラント(切削油など)を噴出(又は噴射)させる手段を備えた各種の刃先交換式回転切削工具が提案され、実用化されている。
なお、「切れ刃を備えたインサート」のことを「切削インサート」と呼ぶ場合もあるが、以下の説明では単に「インサート」と記載する。
刃先交換式回転切削工具に装着したインサートに向けてクーラントを噴出するための手段としては、例えば、クーラント供給源から導いたクーラントを、工具本体内に形成したクーラント流路孔を介してインサートに形成した溝部に導き、この溝部を介してインサートの切れ刃に向けて噴出させる方法、あるいは、工具本体内に形成したクーラント流路孔を介してインサートの内部に形成したクーラント供給孔に導き、このクーラント供給孔を介してインサートの切れ刃に向けて噴出させる方法などが提案されている。例えば、下記の特許文献1〜5に記載の発明が提案されている。
特許文献1(特開昭59−42205号公報)には、台座(12)、平坦な三角形状をなすインサート(14)、チップブレーカ(16)、クランプ手段(22)を備えた金属加工用工具において、切削インサート(14)を冷却するための冷却用流体を供給する手段を備えた発明が提案されている。
特許文献1に記載の金属加工用工具は、インサート(14)の下側表面に設けた流体入口ポート(42)から上側表面(46)に設けた出口ポート(44)に延在するインサート流体供給流路(40)を設けるとともに、下側表面に設けた流体入口ポート(42)はインサート(14)の逃げ面(52)に設けた流体出口ポート(50)に連通する流路(48)を設けて冷却用流体を供給することにより、流路(48)を流れる冷却用流体はインサートの切れ刃領域(金属加工用領域)を冷却するようにした工具である。また、インサート流体供給流路(40)を介してチップブレーカ(16)の室(58)に達した冷却用流体を、インサート(14)の上側表面(46)から切れ刃方向に流れる手段を備えている。
特許文献2(特開平8−39387号公報)には、切れ刃を確実に潤滑して冷却し、さらに、切屑を切削液とともに流出させることができるようにしたスローアウェイチップ、及びこれを用いたフライスカッタに関する発明が提案されている。
特許文献2に記載のスローアウェイチップは、フライスカッタのチップ取り付け座面(31)に着脱自在に取り付けられる板状のスローアウェイチップ(10)において、チップ取り付け座面に密着させる密着面と反対側となる逃げ面(12)と、このチップの側面部となるすくい面(14)とにより形成される交差稜に、これらすくい面と密着面とにそれぞれ開口する切削液供給溝(15)を形成した構成を備えている。
特許文献3(特開平5−116008号公報)には、冷却液の流れを用いてインサートの切削縁(切れ刃)の摩耗を制限し、金属切削チップ(切屑)の有効な除去を行う金属切削工具に関する発明が提案されている。
特許文献3に記載の金属切削工具は、インサート保持器(工具本体)(2)内に形成された冷却液供給穴(16)に連通した貫通穴15を、インサート(1)のすくい面に開口させて、冷却液を切れ刃方向に供給するようにした切削工具である。
特許文献4(特開2009−107046号公報)には、インサート着脱式切削工具において、インサート(11)の取付孔17の周りの被挟持面(13)にこのインサートの厚さ方向に貫通する貫通孔(18)を、間隔をおいて複数設けてこれら貫通孔(18)にクーラントを流すことにより、インサートを内部から冷却する手段を備えている発明が提案されている。また、工具本体にクーラントの供給路を形成して、このクーラント供給路を貫通孔(18)に連通させることが記載されている。
特許文献5(特表2010−516484号公報)には、インサートを着脱自在に装着するフライス工具において、クーラントをインサートのエッジ(切れ刃)に直接噴射する機構に関する発明が提案されている。
特許文献5に記載の発明は、フライス本体(42)の各ポケット部(52)にフライスインサート組立体(150)を収容したフライス工具において、フライスインサート組立体(150)を、インサート(170)、シム(160)、クランプ(280)、及びネジ部材(164)から構成するとともに、インサート(170)はその本体内部に方向変換プレート(174)を一体に装着した構成としている。さらに、インサート(170)には、その底面の中心に半径方向に向かって等間隔に形成した丸い張り出し孔を有するクーラント流路を設け、このクーラント流路は、インサート(170)の底面からインサート(170)の内壁面と方向変換プレート(174)との間を介して形成した構成(内部チャンネル)からなっている。そして、インサートの切れ刃の近くに、クーラント流路の流出口(270)を設けている。これにより、クーラント供給源から供給されるクーラントを、インサートの対応する切れ刃に直接噴射することを可能にしている。
特開昭59−42205号公報 特開平8−39387号公報 特開平5−116008号公報 特開2009−107046号公報 特表2010−516484号公報
上記した特許文献1〜特許文献3に記載の発明には、インサートの底面から逃げ面又はすくい面に開口するクーラント供給用の貫通孔又は溝部を設けることが開示さているが、
インサートの厚さ方向と直交する方向にクーラントを流すための貫通孔を設けることは開示されていない。インサートにクーラントを供給する貫通孔を設ける場合、このクーラント用の貫通孔は、インサートの内部であってこのインサートの厚さ方向と直交する方向に形成すると、インサートの冷却効果はより向上する。
特許文献4に記載の発明には、インサートの取付孔の周りの被挟持面に、このインサートの厚さ方向に貫通するクーラント供給用の貫通孔を、間隔をおいて複数設けることが記載されている。このクーラント供給用貫通孔は、極めて薄い板状のインサートの冷却手段として有効であると判断できるが、特許文献4に開示されているインサートと比較して厚さが大きくなるインサート、例えば、平面視で円形をなすインサート、あるいは多角形(三角形、略平行四角形など)をなすインサートに対しては有効な冷却手段ではない。
特許文献5に記載の発明には、平面視で四角形をなすインサートの底面の中心に半径方向に向かって等間隔に形成した丸い張り出し孔を有するクーラント流路を設け、このクーラント流路を、インサートの底面から切削インサートの内壁面と方向変換プレートとの間を介して形成した構成として、インサートの切れ刃の近くにクーラント流路の流出口を設けることが記載されている。このインサートにおいては、クーラント流路は切削インサートの内部に形成されているのでインサートの冷却効果は向上すると考えられるが、方向変換プレートなどの部材を必要とするために、インサートの製造工程が極めて複雑になる。また、このインサートの冷却手段を、円形インサートに対して適用するための手段などについては開示されていない。
本発明の目的は、刃先交換式回転切削工具が備えているインサート取付座に着脱自在に装着するインサートについて、その側面部からねじ挿通孔に向けてこのインサートの厚さ方向と直交する方向にクーラントを流すための複数のクーラント貫通孔を設けておく。そして、工具本体のインサート取付座に装着したインサートのクーラント貫通孔に対して、このインサート取付座側からクーラントを流入させる手段を設けることにより、特に、インサート全体の冷却効果を向上させるとともに、切削加工により生成された切屑の排出性を良好にする手段を備えた刃先交換式回転切削工具と、この刃先交換式回転切削工具に装着するインサートを提供することにある。
本発明の請求項1に記載の発明は、ねじ挿通孔を備えたインサートを、クーラントを流すためのクーラント流路孔を有する工具本体のインサート取付座の着座面に、前記ねじ挿通孔を挿通させたクランプねじの締め付けにより、着脱自在に固定する刃先交換式回転切削工具であって、
前記インサートは、
その側面部に所定の間隔をおいて形成した複数のクーラント流入面と、
前記クーラント流入面に開口する第1のクーラント孔から前記ねじ挿通孔の内周面に開口する第2のクーラント孔まで貫通するクーラント貫通孔を備え、
前記インサート取付座は、
前記インサートの前記クーラント流入面を拘束するとともに、前記クーラント流路孔の出口となるクーラント流出孔が形成された少なくとも1つのクーラント供給壁面を備え、
前記インサートを前記インサート取付座に装着して固定するために前記インサートを前記インサート取付座に位置合せを行ったときに、
前記クーラント流出孔を備えた前記クーラント供給壁面は、その前記クーラント流出孔が、前記インサートに形成した複数の前記クーラント流入面のうちの少なくとも一つに対応する前記第1のクーラント孔と対面する位置に配置されるように前記インサート取付座に形成されており、
前記クランプねじの締め付けにより前記インサートを前記インサート取付座に装着して固定した状態において、
前記クーラント流路孔のクーラント流出孔と、このクーラント流出孔と対面する前記クーラント孔とを気密に連通させる手段と、
前記インサートの前記ねじ挿通孔側の前記第2のクーラント孔と、前記クランプねじの外周面との間に微小な隙間が生じている箇所を形成する手段を備えており、
前記工具本体のクーラント流路孔を流れる前記クーラントは、前記クーラント流出孔と対面する前記クーラント貫通孔に流入して前記微小な隙間が生じている箇所に流れ込み、前記微小な隙間が生じている箇所に流れ込んだ前記クーラントは別の前記クーラント貫通孔に流入して前記別のクーラント貫通孔の第1のクーラント孔から噴出するようになされていることを特徴としている。
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の刃先交換式回転切削工具に係り、前記クーラント貫通孔は、前記インサートの前記側面部から前記インサートの厚さ方向と直交する方向に形成されていることを特徴としている。
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の刃先交換式回転切削工具に係り、前記微小な隙間が生じている箇所を形成する手段は、前記インサートを前記インサート取付座の前記着座面に載置して、前記インサートを前記インサート取付座に装着するための位置合せを実施した状態において、
前記クランプねじとねじ嵌合させるために前記着座面に形成したねじ孔の中心線P2を、前記位置合せを行った前記円形インサートの前記ねじ挿通孔の中心線P1に対して所定の方向に間隔α偏心させたねじ孔偏心手段であることを特徴としている。
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の刃先交換式回転切削工具に係り、前記微小な隙間が生じている箇所を形成する手段により形成された前記微小な隙間が生じている箇所は、前記ねじ挿通孔の中心線P1と平行になる方向に形成されており、
前記クランプねじの円柱部が挿入される前記ねじ挿通孔の径をd1、前記クランプねじの円柱部の径をd2としたときに(d1−d2)は、
0.1mm≦(d1−d2)≦1.0mm
に設定されていることを特徴とすることを特徴としている。
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の刃先交換式回転切削工具に係り、
前記微小な隙間が生じている箇所を形成する手段は、前記インサートの前記ねじ挿通孔の内周面と係合する前記クランプねじが備えている手段であって、前記クーラント貫通孔の前記第2のクーラント孔と対向する位置となる前記クランプねじの円柱部の外周面の全周に、所定の幅と深さを有する溝部を設けた手段であることを特徴としている。
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の刃先交換式回転切削工具に係り、前記クーラント流出孔と前記第1のクーラント孔とを気密に連通させる手段は、前記クーラント流出孔と前記第1のクーラント孔との間に介在させたシール部材からなることを特徴としている。
本発明の請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の刃先交換式回転切削工具に係り、前記工具本体の前記クーラント流路孔の径をr1、前記インサートの前記クーラント貫通孔の径をr2としたときに、r1>r2に設定されていることを特徴としている。
本発明の請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載の刃先交換式回転切削工具に係り、前記インサートは、上面視において円形をなす円形インサートから構成されており、前記円形インサートを前記インサート取付座に装着して固定したときに、
前記インサート取付座は、前記円形インサートの側面部に形成された複数の前記クーラント流入面のうちの2つのクーラント流入面と対応する位置にそれぞれ形成された2つの前記クーラント供給壁面を備えるとともに、
前記2つのクーラント供給壁面の間に、前記円形インサートの側面部を拘束するインサート側面拘束壁面を備えていることを特徴としている。
本発明の請求項9に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載の刃先交換式回転切削工具に係り、前記インサートは、上面視において円形をなす円形インサートから構成されており、前記円形インサートを前記インサート取付座に装着して固定したときに、
前記インサート取付座は、前記円形インサートの側面部に形成された複数の前記クーラント流入面のうちの2つのクーラント流入面と対応する位置にそれぞれ形成された2つの前記クーラント供給壁面を備えるとともに、
前記2つのクーラント供給壁面の間に、前記円形インサートの側面部を拘束するインサート側面拘束壁面を備え、
前記円形インサートを前記インサート取付座の前記着座面に載置して、前記円形インサートを前記インサート取付座に装着するための位置合せを実施した状態において、
前記クランプねじとねじ嵌合させるために前記着座面に形成したねじ孔の中心線P2を、前記位置合せを行った前記円形インサートの前記ねじ挿通孔の中心線P1に対して前記インサート側面拘束壁面の方向に間隔α偏心させていることを特徴としている。
る。
本発明の請求項10に記載の発明は、請求項8又は請求項9に記載の刃先交換式回転切削工具に係り、前記円形インサートは、前記ねじ挿通孔の中心線P1を中心として前記側面部の方向に90°間隔で配置された前記クーラント貫通孔を備えていることを特徴としている。
本発明の請求項11に記載の発明は、請求項8から請求項10のいずれかに記載の刃先交換式回転切削工具に係り、前記円形インサートは、ネガティブ型の円形インサートからなることを特徴としている。
本発明の請求項12に記載の発明は、請求項1から請求項11のいずれかに記載の刃先交換式回転切削工具のインサート取付座に着脱自在に装着して固定し、上面視で多角形又は円形形状をなすインサートであって、上面部と、下面部と、前記上面部と前記下面部とを繋ぐ側面部と、少なくとも前記上面部と前記側面部との稜線部に形成された切れ刃と、前記インサート取付座に固定するためにクランプねじを挿通させるために前記上面部から前記下面部まで貫通するねじ挿通孔とを備えており、
前記インサートは、
前記側面部に、所定の間隔をおいて形成した複数のクーラント流入面と、
それぞれの前記クーラント流入面の第1のクーラント孔から前記ねじ挿通孔の内周面に開口する第2のクーラント孔まで、前記インサートの内部を貫通した複数のクーラント貫通孔を備え、
前記クーラント貫通孔は、前記インサートを前記インサート取付座に着脱自在に装着して固定したときに、前記刃先交換式回転切削工具の前記工具本体に形成されたクーラント流路孔を流れるクーラントを、前記インサート取付座を介して前記第1のクーラント孔から流入させるための貫通孔とされていることを特徴としている。
本発明の請求項13に記載の発明は、請求項12又は請求項13に記載のインサートに係り、前記クーラント貫通孔は、前記インサートの厚さ方向と直交する方向に形成されていることを特徴としている。
本発明の請求項14に記載の発明は、請求項12又は請求項13に記載のインサートに係り、前記クーラント貫通孔は、前記インサートの厚さ方向の中央部に形成されていることを特徴としている。
本発明の請求項15に記載の発明は、請求項12から請求項14のいずれかに記載のインサートに係り、前記インサートは、上面視において円形をなすポジティブ型又はネガティブ型の円形インサートであって、
前記クーラント貫通孔は、前記ねじ挿通孔の中心線P1を中心として前記側面部の方向に90°間隔で配置されていることを特徴としている。
本発明は、次の効果を奏することができる。
(1)本発明の刃先交換式回転切削工具は、インサート取付座に装着する円形インサートを含むインサートはその側面部からねじ挿通孔までこのインサートの内部を貫通する複数のクーラント貫通孔を備えている。そして、インサート取付座に装着したインサートに対して、工具本体のクーラント流路孔内を流れているクーラントを、インサート取付座のクーラント供給壁面に対向するインサートの側面部の第1のクーラント孔から、クーラント貫通孔に流入させて、ねじ挿通孔とクランプねじとの間に形成した微小な隙間に流れ込むようにしている。さらに、この微小な隙間に流れ込んだクーラントを他のクーラント貫通孔の第1のクーラント孔から切れ刃に対して噴出させる手段を備えている。
これにより、切削加工により生成された切屑の排出性を良好にするとともに、切削加工に寄与している切れ刃を冷却することが可能になる。さらに、複数のクーラント貫通孔はインサートの内部であって厚さ方向と直交する方向に形成しているので、加工熱により高温度になったインサートの冷却効果をより向上させることができる。この効果により、高速度切削を行っても切れ刃の寿命を長くすることが可能なインサート、特に上面視で円形のインサートを装着した刃先交換式回転切削工具を提供することができる。
(2)本発明の刃先交換式回転切削工具に装着する超硬合金製のインサートは、その側面部からねじ挿通孔までインサートの内部を貫通する複数のクーラント貫通孔を備えた構成としている。このような複数のクーラント貫通孔を備えたインサートの粉末成形体の製造は、金型を用いた多軸のプレス成形機(粉末成形装置)により可能になる。そして、この粉末成形装置を用いて、上記クーラント貫通孔を複数備えた種々の形態のインサート、例えば、ポジティブ型の円形インサート、あるいはネガティブ型の円形インサート、上面視で多角形状をなすインサートを製造することができる。これにより、従来のこれらのインサートと比較して格段に長寿命のインサートを装着した先交換式回転切削工具を提供することが可能になる。
本発明の刃先交換式回転切削工具の実施形態を示す図であって、工具本体のインサート取付座にインサートを装着する前の状態を示す斜視図である。 図1に示す工具本体のインサート取付座に、ネガティブ型円形インサートを装着したときの状態を示す部分平面図である。 図2に示すネガティブ型円形インサートについて、その構成を説明するための斜視図である。 図3に示すネガティブ型円形インサートの平面図である。 図4に示すに示すネガティブ型円形インサートを矢印Aの方向から見たときの側面図である。 (a)は図4に示すネガティブ型円形インサートについて、図4に示すB−B線における断面図、(b)は同じくC−C線における断面図である。 (a)は図1に示すインサート取付座の構成を説明するための部分拡大斜視図、(b)は(a)に示すクーラント供給壁面5aの構成を説明するための拡大正面図、(c)は(b)に示すD−D線における断面図、(d)は(c)に示すシール部材挿入溝にシール部材を挿入したときの状態を示す図である。 インサート取付座の着座面に、クランプねじとねじ嵌合させるねじ孔の中心線の位置を予め決めるために、インサート取付座にネガティブ型円形インサートを装着してこのインサートの位置合決めの操作を行ったときの状態を示す断面図である。 本発明の刃先交換式回転切削工具の実施形態において、インサート取付座の着座面にインサートを装着して固定しときに、このインサートのねじ挿通孔の内周面とクランプねじとの係合関係についてその一例を説明するための図である。 (a)は図2に示すE−E線における断面図、(b)は図2に示すF−F線における断面図である。 工具本体に形成したクーラント流路孔と円形インサートのクーラント貫通孔とをシール部材を用いて密に連通させる手段について他の例を説明する図であって、(a)はクーラント流路孔とクーラント貫通孔とをシール部材を用いて密に連通させたときの状態を示す断面図、(b)は(a)に示すシール部材の一方のパイプ状部をクーラント流路孔のクーラント流出孔に挿入したときの状態を示す断面図、(c)は(b)に示す状態からシール部材の他方のパイプ状部をインサートのクーラント貫通孔の第1のクーラント孔に挿入したときの状態を示す断面図である。 本発明の刃先交換式回転切削工具において、インサート取付座の着座面に円形インサートを装着して固定しときに、この円形インサートのねじ挿通孔側の第2のクーラント孔とクランプねじの外周面の間に、微小な隙間が生じている箇所を形成する手段について他の手段を説明するための断面図である。 (a)は、本発明の刃先交換式回転切削工具のインサート取付座に装着・固定することができる円形インサートについて、そのプレス成形体を成形するための粉末成形装置の基本的な構成例を説明するための模式図、(b)は(a)に示す粉末成形装置により円形インサートのプレス成形体を成形したときの装置の状態を示す図である。 図13(b)に示す粉末成形装置を、上方からみた平面図である。 (a)〜(d)は、図13に示す粉末成形装置により本発明に係る円形インサートを成形するための手順を説明するための図である。 本発明の刃先交換式回転切削工具に装着することができるインサートについて他の例を示す図であって、(a)は上面視で三角形状をなすインサート、(b)は上面視で八角形状をなすインサートを示す。
本発明は、平面視(上面視)で円形(丸駒型)、又は多角形状をなし、上面部と下面部とを繋ぐ側面部を備えるとともに、少なくとも上面部と側面部との稜線部に切れ刃が形成されたインサートであって、さらに、クーラントを流すための複数のクーラント貫通孔を、側面部からインサートのねじ挿通孔まで形成したインサートを、工具本体のインサート取付座に着脱自在に装着可能とした刃先交換式回転切削工具、及びこのインサート取付座に装着するインサートに関するものである。
上記した平面視(上面視)で多角形状をなすインサートとは、三角形、略三角形、四角形、略四角形、略平行四辺形、六角形、略六角形、八角形、略八角形、等の形状をなすインサートを示す。さらに、これら平面視で多角形状をなすインサートにおいて、隣接する直線状の切れ刃の間にコーナR刃を形成したインサートも、本発明に係る多角形状をなすインサートに含まれ、本発明の刃先交換式回転切削工具のンサート取付座に装着することが可能である。
特に、本発明の刃先交換式回転切削工具においては、工具本体のインサート取付座に円形インサート又は多角形状をなすインサートを装着して固定したときに、インサートが備えている複数のクーラント貫通孔のうちの少なくとも一つのクーラント貫通孔から流入させたクーラントを、他のクーラント貫通孔に流入させてインサートの切れ刃に向けて噴出させる手段を備えている。このため、従来の円形インサート又は多角形状をなすインサートをインサート取付座に装着して固定した刃先交換式回転切削工具と比較して、その工具寿命を格段に向上させることが可能になる。
なお、上記した円形インサートとは、上面部と側面部との稜線部に切れ刃を形成したポジティブ型(片面型)の円形インサート、及び、上面部と側面部との稜線部と、下面部と側面部との稜線部に切れ刃を形成したネガティブ型(両面型)の円形インサート(ネガティブ型円形インサート)を含むものである。
また、上記したクーラントを流すためのクーラント貫通孔とは、インサートの側面部からこのインサートの厚さ方向と直交する方向であってインサートの内部を直線状に、インサートが備えているねじ挿通孔まで貫通させた貫通孔を示し、このクーラント貫通孔はインサートの側面部に所定の間隔をおいて複数設けている。以下の説明において、この「クーラントを流すためのクーラント貫通孔」のことを単に「クーラント貫通孔」と記載する。なお、クーラント貫通孔の径(内径)は所定の径(r2)を有するように形成されている。
また、本発明に係るインサートにおいて、このクーラント貫通孔は上記したように複数形成されており、工具本体に設けたインサート取付座にこのインサートを装着して固定したときに、インサート取付座は、工具本体が備えているクーラント流路孔を流れるクーラントを、インサートの側面部から複数のクーラント貫通孔のうちの少なくとも一つ、望ましくは二つのクーラント貫通孔に流入させる手段を設けている。
なお、上記した「インサートを装着して固定する」とは、インサートをインサート取付座に装着してクランプねじにより固定するとき、先ず、このインサートをインサート取付座の着座面に載置して、インサートの位置合せ(位置決め)を行うが、この操作のことを「装着」とし、この装着したインサートを、クランプねじの締め付けにより固定することを「固定」としている。以下の説明において「インサートを装着して固定する」ことを、単に「インサートを装着・固定する」と記載する場合がある。
また、上記「インサートの位置合せ」とは、新しいインサートをインサート取付座に装着・固定するとき、あるいは切れ刃のうちの未使用の切れ刃を使用するためにインサートをインサート取付座に再装着・固定するときに事前に行う操作であって、インサート取付座の着座面にインサートの切れ刃が切削加工を行うために適切な位置になるようにインサートの位置決めを行う操作である。
(第1の実施形態)
続いて、本発明の実施形態について説明する。以下に説明する第1の実施形態として、ネガティブ型(両面型)の円形インサートを着脱自在に装着可能とした刃先交換式回転切削工具とこのネガティブ型円形インサートの構成について説明する。
図1〜図3はこの実施形態の基本的な構成を示す図である。なお、図1は刃先交換式回転切削工具1の構成を示す図であって、工具本体(工具ホルダ)2の先端部に設けたインサート取付座3に、ネガティブ型の円形インサート7を装着・固定する前の状態を示す斜視図である。図2は工具本体2のインサート取付座3にネガティブ型の円形インサート7を装着したときの状態を示す部分平面図、図3は図2に示すネガティブ型の円形インサート7の斜視図である。
以下の説明において、「ネガティブ型の円形インサート」のことを単に「ネガティブ型円形インサート」と記載して説明する場合がある。
図1に示すように、刃先交換式回転切削工具1は、工具本体2(刃先交換式切削工具1)の回転軸心O方向の先端部に形成されたインサート取付座3を備えている。図1に示す工具本体2においては、工具本体2の先端部であって回転軸心Oを中心とした対称な位置に4つのインサート取付座3を設けた例を示している。それぞれのインサート取付座3は、ネガティブ型円形インサート7の上面部(下面部)を着脱自在に装着・固定するための着座面4を備えており、ネガティブ型円形インサート7はクランプねじ18のねじ締め付けにより着座面4に着脱自在に装着・固定される。着座面4には、クランプねじ18のねじ部をねじ込むためのねじ孔19を設けている。
インサート取付座3は、着座面4と、着座面4の後方側、すなわち回転軸心O側に設けた立ち壁24に形成した2つのクーラント供給壁面5a、5bと、これら2つのクーラント供給壁面5a、5bの間に設けたインサート側面拘束壁面6から構成している。着座面4は、インサート取付座3にネガティブ型円形インサート7を装着して固定するときに、ネガティブ型円形インサート7の上面部8又は下面部9を着座させるための平面状をなす座面である。
クーラント供給壁面5a、5bは、立ち壁24から着座面4の方向に若干突出した平面形状をなす面としている。また、クーラント供給壁面5a、5bのそれぞれの中央部又は中央部近傍には、工具本体2に形成したクーラント流路孔20(図2参照)の出口となるクーラント流出孔20a、20bを設けている。クーラント流路孔20は、例えば、本発明の刃先交換式回転切削工具を取り付ける3軸制御(5軸制御)の加工機が備えているクーラント供給装置から所定の供給圧力をもって供給されるクーラントを流すための孔(流路孔)である。なお、本発明においてこのクーラントとしては、水溶性切削液、油性切削液、水、ミスト、空気(エアー)などのいずれかを使用することができるので、本発明においてクーラントとは、これら水溶性切削液、油性切削液、水、ミスト、空気(エアー)などのいずれかを示す。
クーラント流出孔20a、20bの周囲には、シール手段として、例えば、円環状の凹状溝からなるシール部材挿入溝21(図7(b)、(c)参照)を形成している。シール部材挿入溝21は、インサート取付座3にネガティブ型円形インサート7を装着・固定するときに、例えば、リング状のシール部材22を挿入するための溝である。
クーラント供給壁面5a、5bに設けたクーラント流出孔20a、20bは、インサート取付座3にネガティブ円形インサート7を装着・固定したときに、後述するネガティブ型円形インサート7に設けた複数のクーラント貫通孔のいずれか(少なくとも一つ)と連通させるためのクーラント流路孔20の出口(流出)孔である。これにより、インサート取付座3にネガティブ型円形インサート7を装着して固定したときには、上記したシール手段となるリング状のシール部材22により、工具本体2に形成したクーラント流路孔20と、ネガティブ型円形インサート7に形成したクーラント貫通孔のいずれか(少なくとも一つ)とは密に連通されて、クーラント流路孔20を流れているクーラントは、クーラント貫通孔の少なくとも一つに流入することになる。
図1(図7(a))に示しているように、2つのクーラント供給壁面5a、5bの間に設けたインサート側面拘束壁面6は、インサート取付座3にネガティブ型円形インサート7を装着・固定したときに、クランプねじ18の締め付けによりネガティブ型円形インサート7の側面部と強固に圧着させるための壁面であって、立ち壁24から着座面4方向に若干突出した表面部を備えている。これにより、被削材の切削加工中に発生する加工負荷によりネガティブ型円形インサート7の回動を防止することが可能になる。なお、インサート側面拘束壁面6の表面部の形状は、ネガティブ円形インサート7の側面部の形状に対応させて円弧形状に形成するか、あるいは平面状に形成する。
上記したクーラント供給壁面5a、5bとインサート側面拘束壁面6は、それぞれ着座面4に対して所定の高さほど立設させている。
続いて、ネガティブ型円形インサート7が備えている基本的な構成を、図2及び図3に基づいて説明する。この基本的な構成は、ポジティブ型円形インサート、及び前記した多角形状をなすインサートについても同様になる。
ネガティブ型円形インサート7は、上面視で円形状をなす上面部8と、同じく上面視で円形状をなす下面部9と、上面部8と下面部9との間に形成されこれら上下面8、9を繋ぐ側面部10と、上面部8と側面部10とがなす円形状の稜線部の全周にわたって形成された切れ刃11と、下面部9と側面部10とがなす円形状の稜線部の全周にわたって形成された切れ刃12と、円筒状の周面をなす側面部10の周方向に所定の間隔をおいて形成された平面形状をなす複数のクーラント流入面15(図2に点線で示す15a、15b、15c、15d)と、上面部8の中央部からネガティブ型円形インサート7の厚さ方向に向けて下面部9まで貫通するねじ挿通孔13と、それぞれのクーラント流入面15からねじ挿通孔13まで、このインサート7の厚さ方向と直交する方向に向けて貫通するクーラント貫通孔16(図2に点線で示す16a、16b、16c、16d)を備えている。クーラント貫通孔16はクーラントを流すための孔である。
ネガティブ型円形インサート7の上面部8には、切れ刃11からねじ挿通孔13の開口部に向けて所定の幅を有する傾斜面部(すくい面)8aと、傾斜面部8aに隣接してねじ挿通孔13の方向に形成した平面部8bを設けている。平面部8bは、ネガティブ型円形インサート7をインサート取付座3に装着・固定したときに、平面状をなす着座面4と密着させる部位になる。
下面部9の構成も上記した上面部8の構成と同様であって、切れ刃12からねじ挿通孔13の開口部に向けて所定の幅を有する傾斜面部(すくい面)9aと、傾斜面部9aに隣接した平面部9bを設けている。平面部9bは、ネガティブ型円形インサート7をインサート取付座3に装着して固定したときに、平面状をなす着座面4と密着する部位になる。
また、図3に示すネガティブ型円形インサート7の構成例においては、切れ刃11及び12側から側面部10に向かって、それぞれ、所定の幅を有する傾斜側面部10a、10bを設けている。この傾斜側面部10a(10b)がネガティブ型円形インサート7の厚さ方向に対してなす傾斜角度は、5°程度にしている。なお、ネガティブ型円形インサート7には、上記した傾斜側面部10a、10bを設けても、設けなくてもよい。
図3に示すように、これら傾斜面部10a、10bの間に位置する円筒状の周面部10cには、その周面に沿って所定の間隔をおいて複数のクーラント流入面15(図2に示す15a、15b、15c、15d)を形成している。クーラント流入面15は平坦な平面形状、例えば、平面視で所定の縦横の長さを有する長方形をなす平面もしくは正方形をなす平面とし、図2に示すように、それぞれのクーラント流入面15a、15b、15c、15dの中央部もしくは中央部近傍から、ねじ挿通孔13まで貫通する、クーラント貫通孔16a、16b、16c、16dを設けている。
図2及び図3に示すネガティブ型円形インサート7では、周面部10cに4つのクーラント流入面15(15a、15b、15c、15d)を等間隔で形成している。また、それぞれのクーラント流入面15は、ネガティブ型円形インサート7の厚さ方向(ねじ挿通孔13の中心線P1と平行となる方向)に形成している。そして、4つのクーラント流入面15a、15b、15c、15dには、それぞれのクーラント流入面からねじ挿通孔13まで貫通する4つのクーラント貫通孔16a、16b、16c、17dを設けた例を示している。また、4つのクーラント貫通孔16a、16b、16c、17dは、ねじ挿通孔13の中心線P1に対して90°間隔で形成した例を示している。
なお、以下の説明において、ネガティブ型円形インサート7の各クーラント流入面15からねじ挿通孔13まで貫通するクーラント貫通孔16において、クーラント流入面15に開口するクーラント貫通孔16の開口孔のことを「第1のクーラント孔17a」と記載し、ねじ挿通孔13の内周面に開口するクーラント貫通孔16の開口孔のことを「第2のクーラント孔17b」と記載する。図2(図3)に示すネガティブ型円形インサート7は、4つのクーラント貫通孔16(16a〜17d)を設けているので4つの第1のクーラント孔17a(図2に示す17a1〜17a4)と、4つの第2のクーラント孔17b(図2に示す17b1〜17b4)が存在することになる。
円形インサートを装着した刃先交換式回転切削工具を用いて被削材の切削加工を実施するときに、円形をなす切れ刃11(12)のうちの切削加工に使用した切れ刃部分が摩耗すると、クランプねじ18を緩めてこのインサートを所定角度(図2に示すインサート7では90°)回転させてインサート取付座3に再度装着・固定(インサートの再装着)して、未使用の切れ刃11(12)の部分を切削加工に使用する。また、ネガティブ型円形インサート7の場合には、円形をなす切れ刃11が摩耗すると、下面部9の切れ刃12を使用するためにインサートの再装着の操作を行うことになる。
ここで、本発明の刃先交換式回転切削工具は、上記円形インサートの再装着において、次のような構成上の特徴を備えている。
各クーラント貫通孔16が備えるそれぞれの第1のクーラント孔17a(17a1〜17a4)は、ネガティブ型円形インサート7の再装着を行うごとに、インサート取付座3側のクーラント流出孔20a(20b)から、クーラントをクーラント貫通孔16に流入させる機能と、このクーラント貫通孔16に流入したクーラントを他のクーラント貫通孔16の第1のクーラント孔17aから切れ刃11(12)方向に噴出させる機能を備えている。
上記した、インサート取付座3側のクーラント流出孔20a(20b)からクーラントをクーラント貫通孔16に流入させて、他のクーラント貫通孔16の第1のクーラント孔17aから噴出させる機能は本発明の特徴となるものであって、この機能を実現するための手段については後述する。
図2に示すように、ネガティブ型円形インサート7をインサート取付座3に装着して、クランプねじ18の締め付けによりこのインサート7を固定したときには、インサート取付座3のインサート側面拘束壁面6はインサート7の周面部10cと強固な圧着状態で密着する。さらに、周面部10cを介して隣接する2つのクーラント流入面15aと15bのそれぞれは、インサート取付座3のクーラント供給壁面5a、5bと、リング状のシール部材22を介して密着するとともに、クーラント供給壁面5a、5bに設けたクーラント流出孔20aと20bのそれぞれは、インサート7側のクーラント流入面15aと15bの第1のクーラント流入孔17a1、17a2と気密状態で連通することになる。これにより、工具本体2のクーラント流路孔20を流れているクーラントをネガティブ型円形インサート7のクーラント貫通孔16a、16bに導くことが可能になる。
クーラント貫通孔16a、16bに流入したクーラントは、後述するように、ねじ挿通孔13の内周面とクランプねじ18の外周面との間に形成されている微小な隙間が生じている箇所26(図9参照)に流れ込み、さらに、この微小な隙間が生じている箇所26を介して他のクーラント貫通孔16c、16dに流入してその第1のクーラント孔17a3、17a4から噴出する。被削材の切削加工中において第1のクーラント孔17a3、17a4から噴出したクーラントは、切削加工に使用されている切れ刃11(12)の方向に流れて切れ刃の冷却と、生成された切屑の排出を行う。
このように、本発明の刃先交換式回転切削工具に装着する円形インサートの一例となるネガティブ型円形インサート7は、その側面部10の周方向に所定の間隔をおいて平面形状をなす4つのクーラント流入面15a、15b、15c、15dを設けるとともに、これら各クーラント流入面の中央部からねじ挿通孔13までクーラント貫通孔16を設けている。さらに、4つのクーラント貫通孔16(16a〜16d)は、ねじ挿通孔13の中心線(P1)を中心として90°間隔で、この円形インサート7の厚さ方向の中央部、すなわち、ネガティブ型円形インサート7の内部を横断するように、このインサート7の厚さ方向と直交する方向に設けていることに特徴がある。
(ネガティブ型円形インサートの構成)
続いて、上記したネガティブ型円形インサート7の詳細な構成を、図4、図5及び図6を参照して説明する。なお、図4はネガティブ型円形インサート7を上面部8の方向からみた平面図、図5は図4に示すネガティブ型円形インサート7を矢印A方向からみた側面部、図6(a)は図4に示すネガティブ型円形インサート7についてB−B線における断面図、図6(b)は図4に示すネガティブ型円形インサート7についてC−C線における断面図である。ネガティブ型円形インサート7を下面部9の方向からみた平面図は、図4に示す構成と同一になる。
図6(a)、(b)に示すように、ネガティブ型円形インサート7の上面部8から下面部9まで貫通するねじ挿通孔13は、径がd1でネガティブ型円形インサート7の厚さ方向の長さがL1となる挿通孔13aと、挿通孔13aの上端部及び下端部から上面部8、及び下面部9に向けて径を徐々に拡大させたテーパ状孔13b、13cから構成されている。
ネガティブ型円形インサート7を工具本体2のインサート取付座3の着座面4に装着して、ねじ挿通孔13を挿通させたクランプねじ18の締め付けによりこのインサート7を固定したときには、クランプねじ18の頭部18aの外側面(図10参照)がねじ挿通孔13のテーパ状孔13b(13c)に強固に密着し、さらに、クランプねじ18の円柱部18bがねじ挿通孔13の挿通孔13aに対応する内周面14aに強固に密着することになる。
また、ネガティブ型円形インサート7をインサート取付座3の着座面4に装着してクランプねじ18の締め付けにより固定したときには、後述するが、クランプねじ18の締め付け力は、ネガティブ型円形インサート7を、インサート側面拘束壁面6、又はクーラント供給壁面5aもしくは5bの方向に移動させる作用(以下、「圧着移動作用」という)を生じさせる。この圧着移動作用により、ネガティブ型円形インサート7の側面部10cであって2つのクーラント流入面15(図2に示す例では、隣接するクーラント流入面15aと15b)の間に位置する周面部10cは、インサート取付座3のインサート側面拘束壁面6に強固に圧着され、切削加工中においてネガティブ型円形インサート7の回動を防止する作用を発揮することになる。
図4において、符号15a〜15dに対応して点線で示した直線は、ネガティブ型円形インサート7の側面部10の周面部10cに形成した4つのクーラント流入面15のそれぞれを示している。クーラント流入面15a〜15dは、平面状に、かつ、ネガティブ型円形インサート7の厚さ方向に対してねじ挿通孔13の中心線P1と平行になるように形成することが望ましい。図4においては、4つのクーラント流入面15a〜15dを、ねじ挿通孔13の中心線P1を中心にして、側面部10の周面部10cに沿って等間隔で形成した例を示している。
なお、図5に示すネガティブ型円形インサート7の側面図では、4つのクーラント流入面15のうちの2つのクーラント流入面15cと15dが示され、これら隣接するクーラント流入面15cと15dの間には周面部10cが存在し、4つのクーラント流入面15a〜15dは周面部10cに沿って等間隔で形成されていることを示している。
また、図4において、符号16a〜16dに対応して点線で示した直線は、4つクーラント貫通孔16のそれぞれを示している。4つのクーラント貫通孔16a〜16dは、それぞれクーラント流入面15a〜15dの第1のクーラント孔17a1〜17a4から、ねじ挿通孔13の第2のクーラント孔17b1〜17b4まで、ネガティブ型円形インサート7の内部を貫通している。さらに、前記したように、4つのクーラント貫通孔16a〜16dは、クーラント流入面15a〜15dのそれぞれの中央部(又は中央部近傍)の第1のクーラント孔17a1〜17a4からねじ挿通孔13まで、ネガティブ型円形インサート7の厚さ方向の中央部、すなわち、ネガティブ型円形インサート7の内部であって、このネガティブ型円形インサート7の厚さ方向と直交する方向に直線状に設けている。図4に示す例では、4つのクーラント貫通孔16a、16b、16c、16dのそれぞれは、ねじ挿通孔13の中心線P1を中心として円周方向(側面部10方向)に90°間隔で配置した例を示している。
図4に示すネガティブ型円形インサート7のB−B線における断面図である図6(a)に基づいて、ネガティブ型円形インサート7のねじ挿通孔13の形状、クーラント貫通孔16の形成位置などについて、さらに説明する。
図6(a)に示すように、クーラント貫通孔16aは、クーラント流入面15aの中央部(中央部近傍)の第1のクーラント孔17a1からねじ挿通孔13まで、ネガティブ型円形インサート7の厚さ方向の中央部を貫通するように形成している。また、クーラント貫通孔16aのねじ挿通孔13側の出口(第2のクーラント孔17b1)は、ねじ挿通孔13を構成する挿通孔13aの長さL1の長さ方向の中央部に位置するように形成している。他のクーラント貫通孔16b、16c、16dについても、上記したクーラント貫通孔16aと同様に形成している。なお、クーラント貫通孔16a〜16dの径(r2)は、インサートの強度低下を考慮して最大1mm程度に設定することが望ましい。
ネガティブ型円形インサート7は、切削加工を行うときに、下面部9をインサート取付座3の着座面4に装着・固定して上面部8と側面部10との稜線部に形成された切れ刃11を切削加工に使用する場合と、上面部8をインサート取付座3の着座面4に装着・固定して下面部9と側面部10との稜線部に形成された切れ刃12を切削加工に使用することができるという特徴を備えている。さらに、切削加工に使用した切れ刃11又は切れ刃12の切れ刃部分が摩耗すると、前記したように、クランプねじ18を緩めてこのインサートを、90°回転させてインサート取付座3に再装着して、未使用の切れ刃11(12)の部分を切削加工に使用することができるので、一つのネガティブ型円形インサート7の寿命を、ポジティブ型円形インサートと比較して長くすることができるという長所を備えている。
本発明の実施形態に係るネガティブ型円形インサート7は、側面部10からねじ挿通孔13まで貫通する4つのクーラント貫通孔16を備え、これらクーラント貫通孔16はインサート7の厚さ方向の中央部を貫通させている。さらに、4つのクーラント貫通孔16は、図4に示すように、ねじ挿通孔13の中心線(P1)を中心として90°間隔で側面部10方向に直線的に配置している。
これにより、切削加工中において4つのクーラント貫通孔16内を流れるクーラントによるネガティブ型円形インサート7に対する冷却作用の向上とその均一化を図ることが可能になる。また、切れ刃11を使用した切削加工と、切れ刃12を使用した切削加工において、クーラントによるネガティブ型円形インサート7への冷却作用には差異が生じないようにすることができる。その結果、従来のネガティブ型円形インサートと比較して本発明に係るネガティブ型円形インサート7はその寿命をさらに向上させることが可能になる。
(クーラント供給壁面の構成)
続いて、本発明の実施形態となる刃先交換式回転切削工具1が備えているインサート取付座3を構成する、クーラント供給壁面5a、5bの特徴について説明する。本発明の刃先交換式回転切削工具において、このクーラント供給壁面は下記の機能1〜3を発揮させるために設けている。
(機能1)
この機能1は、ネガティブ型円形インサート7をインサート取付座3の着座面4に装着して、ねじ挿通孔13を挿通させたクランプねじ18の締め付けによりこのインサート7を固定するときに、ネガティブ型円形インサート7の側面部10をクーラント供給壁面5a、5bに当接させて、このネガティブ型円形インサート7を、切削加工を行うための正常な位置に位置合せ(位置決め)を行うための機能である。
この「切削加工を行うための正常な位置に位置合せを行う」とは、ネガティブ型円形インサート7の側面部10が備えている2つのクーラント流入面のそれぞれを、2つのクーラント供給壁面5a、5bに当接させて、切れ刃11(12)が着座面4に対して外側に所定の量ほど突出させる、前記した位置合せの操作を示す。
(機能2)
この機能2は、インサート取付座3に装着して固定したネガティブ型円形インサート7が、切削加工中において回動することを防止する機能である。
ネガティブ型円形インサート7を装着・固定した刃先交換式回転切削工具1においては、前記したように、インサート側面拘束壁面6が主としてネガティブ型円形インサート7の回動を防止する機能を発揮するが、2つのクーラント供給壁面5a、5bもインサート7の回動を防止する機能を発揮する。この理由は、クーラント供給壁面5a、5bは着座面4の回転軸心O側から着座面4に対して立設させているので、ネガティブ型円形インサート7をインサート取付座3に装着・固定したときに、図2に示すように、平面形状をなし、所定の間隔をおいて離れている2つのクーラント供給壁面5a、5bと、インサート7側の隣接する2つのクーラント流入面15(15a、15b)とは、シール部材22を介して2ケ所、すなわち、ねじ挿通孔13の中心線P1に対して約90度(°)離れた位置で密着せることが可能になり、ネガティブ型円形インサート7の回動を防止する機能を発揮するからである。
なお、上記したクーラント供給壁面5a、5bと隣接する2つのクーラント流入面15(15a、15b)との密着をより確実にするためには、後述するように、円形インサート7をインサート取付座3に装着・固定するための位置合せを行ったときに、クランプねじ18とねじ嵌合させるために着座面4に形成したねじ孔19の中心線P2を、位置合せを行った円形インサート7のねじ挿通孔13の中心線P1に対して、インサート側面拘束壁面6の方向に所定の間隔(α)ほど偏心させておく。
(機能3)
機能3は、ネガティブ型円形インサート7をインサート取付座3の着座面4にクランプねじ18の締め付けにより固定したときに、工具本体2のクーラント流路孔20内を流れているクーラントを、このネガティブ型円形インサート7に形成しているクーラント貫通孔16a、16b、16c、16dのいずれかに流入させるための機能である。
この機能3を実施するためには、インサート取付座3にクーラント供給壁面を少なくとも1つ設ければよいが、インサート7側のクーラント貫通孔に流入させるクーラントの量を十分に確保し、かつ、上記した(機能1)及び(機能2)をより確実に実現するためには、図2(図7(a))に示すように2つのクーラント供給壁面5a、5bを、所定の間隔を置いて設けることが望ましい。
上記(機能1)〜(機能3)のうち、(機能1)と(機能2)は円形インサートを装着する従来の刃先交換式回転切削工具に採用されている機能であるが、上記(機能3)は本発明が備えている特有の機能である。本発明はこの(機能3)を備えていることにより、円形インサートを着脱自在に装着する刃先交換式回転切削工具において、このインサートの側面部の第1のインサート孔17aからねじ挿通孔13の第2のクーラント孔17bまで貫通する複数のクーラント貫通孔16a、16b、・・・のうち、少なくとも一つのクーラント貫通孔にクーラントを流入させ、このクーラント貫通孔に流入したクーラントを他のクーラント貫通孔に導いて、この他のクーラント貫通孔の第1のクーラント孔17aから噴出させて切れ刃11(12)の冷却と、切削加工により生成された切屑の排出性を向上させることを可能にしている。
続いて、インサート取付座3を構成する着座面4、クーラント供給壁面5a、5b、インサート側面拘束壁面6の構成とその配置例を、図7(a)〜図7(d)に基づいて説明する。なお、図7(a)は図1に示すインサート取付座3付近の構成を拡大して示した部分図、図7(b)は2つのクーラント供給壁面5a、5bのうちのクーラント供給壁面5aを拡大した正面図、図7(c)は図7(b)のD−D線における断面図、図7(d)は図7(c)に示すシール部材挿入溝にリング状のシール部材を挿入したときの状態を示す図である。
図7(a)に示すように、クーラント供給壁面5a、5b、及びインサート側面拘束壁面6は、着座面4に対して回転軸心O寄りの後方側から、溝部23を介して着座面4に対して立設した平面形状をなす立ち壁24上に形成している。立ち壁24の着座面4方向の面は、例えば、2つの平面状の前面部24a、24aとし、これら前面部24aに、それぞれ平面形状をなすクーラント供給壁面5a、5bを形成している。さらに、これらクーラント供給壁面5aと5bとの間には、円弧形状をなすインサート側面拘束壁面6を形成している。
クーラント供給壁面5a及び5bは、平面状の前面部24aから着座面4方向に若干突出させており、正面視で四角形状(長方形又は正方形)とし、それぞれの中央部にはクーラント流路孔20の出口となるクーラント流出孔20a、20bを形成している。さらに、クーラント流出孔20a、20bの周辺部には、図7(b)に示すように円環状をなすシール部材挿入溝21を形成している。シール部材挿入溝21は、リング状のシール部材22、例えば、Oリングを挿入するための溝(段差部)であって、図7(d)はシール部材挿入溝21にシール部材22としてOリングを挿入したときの状態を示している。なお、Oリングをシール部材挿入溝21に挿入したときには、図7(d)に示すようにOリングの一部がシール部材挿入溝21からクーラント供給壁面5aの前方側に露出させた状態にする。シール部材22は、弾力性を備え、かつ耐熱性の高い部材であって、例えば、シリコンゴム製のシール部材、又はフッ素ゴム製のシール部材を使用する。
インサート側面拘束壁面6の着座面4方向を向く面の形状は、着座面4方向に凹状をなす円弧形状の面とし、例えば、図5に示すネガティブ型円形インサート7の周面部10cの周面の形状に対応させた形成にすることが望ましい。また、この周面部10cの周面の形状に対応させた長さは、ネガティブ型円形インサート7の側面部10において隣接するクーラント流入面15の間に存在する周面部10cの長さの2/3程度にすればよい。なお、インサート側面拘束壁面6の形状は、平面形状としてもよい。
図7(a)に示すように、前面部24aには紙面の右側からクーラント供給壁面5a、インサート側面拘束壁面6、クーラント供給壁面5bを、この順序で配置している。これらの具体的な配置とその形状は次のようにする。
すなわち、図5に示すように、ネガティブ型円形インサート7の側面部10の周面部10cに沿って等間隔で形成している複数のクーラント流入面15のうち、隣接する2つのクーラント流入面(図5に示す例ではクーラント流入面15cと15d)の形状、同じく、隣接する2つのクーラント流入面間に存在する周面部10cの形状と、これらの配置に対応するように、前面部24aにクーラント供給壁面5aと、インサート側面拘束壁面6と、クーラント供給壁面5bを形成する。さらに、ネガティブ型円形インサート7の隣接するクーラント流入面15に設けているそれぞれの第1のクーラント孔17aの位置と対応するように、クーラント供給壁面5a、5bにそれぞれクーラント流出孔20a、20bを設ける。
インサート取付座3にクーラント供給壁面5a、インサート側面拘束壁面6、クーラント供給壁面5bを上記した配置で形成することにより、ネガティブ型円形インサート7をインサート取付座3の着座面4に装着して、ねじ挿通孔13を挿通させたクランプねじ18の締め付けによりこのインサート7を固定したときに、下記(1)〜(3)に記載の作用を確実に発揮させることが可能になる。
(1)インサート取付座3にネガティブ型円形インサート7を装着・固定するときに、ネガティブ型円形インサート7の周面部10cの周方向に形成している複数のクーラント流入面15のうち、隣接する2つのクーラント流入面と、インサート取付座3側の2つのクーラント供給壁面5a、5bとの位置合せ、及び、これら隣接する2つのクーラント流入面が備えている第1のクーラント孔17aと、インサート取付座3側の2つのクーラント供給壁面5a、5bがそれぞれ備えているクーラント流出孔20a、20bとの正確な位置合せが可能になる。また、インサート側面拘束壁面6も、上記インサート7の位置合せに使用することができるので、前記したようにシール部材22を介して、工具本体2側のクーラント流路孔20とネガティブ型円形インサート7側の2つのインサート貫通孔16とを連通させることがより確実になる。
(2)インサート取付座3にネガティブ型円形インサート7を装着・固定したときに、ネガティブ型円形インサート7の隣接する2つのクーラント流入面の間に存在する周面部10cを、インサート取付座3のインサート側面拘束壁面6に強固に圧着させる作用が確実になる。これにより、切削加工中において、ネガティブ型円形インサート7の回動をより確実に防止することが可能になる。
(3)切削加工の実施により、ネガティブ型円形インサート7の切れ刃11(12)の一部が摩耗して未使用の切れ刃部分を使用するために、円形インサート7を90°向きを変えて再装着の操作を行っても、インサート7側の隣接する2つのクーラント流入面がそれぞれ備えている第1のクーラント孔17aと、インサート取付座3側の2つのクーラント供給壁面5a、5bがそれぞれ備えているクーラント流出孔20a、20bとの正確な位置合せが可能になる。
上記したネガティブ型円形インサート7を装着する刃先交換式回転切削工具1においては、インサート取付座3に2つのクーラント供給壁面5a、5bを設け、さらに、これらクーラント供給壁面5a、5bのそれぞれにクーラント流路孔20の出口となるクーラント流出孔20a、20bを設けた例について説明したが、2つのーラント供給壁面5a、5bのうちのいずれか一つにクーラント流出孔(20a又は20b)を設けた構成にしてもよい。このような構成を採用した刃先交換式回転切削工具1では、切削加工中において、クーラント流出孔を設けていないクーラント供給壁面(5a又は5b)に対向するインサート7側のクーラント流入面15における第1のクーラント孔17aからクーラントが噴出する可能性があるが、これらクーラント供給壁面(5a又は5b)とクーラント流入面15とは密に接触した状態にすることができるので、クーラントが噴出してもその噴出は微小な量になるので、悪影響を与えることはない。
(クランプねじ、及び着座面に形成したねじ孔の構成)
上記したクランプねじ18は、工具本体2と同様に、例えば合金工具鋼であるSKD11、又はSKD61製のクランプねじを用いる。クランプねじ18の構成は、図10に示すように、頭部18aと、円柱部18bと、ねじを刻設したねじ部18cから構成されている。円柱部18bの径(d2)は、ネガティブ型円形インサート7のねじ挿通孔13に設けている挿通孔13aの径(d1)より0.1mm〜1.0mm程度小さくする。すなわち、(d1−d2)は、「0.1mm≦(d1−d2)≦1.0mm」を満足するように設定する。
本発明の刃先交換式回転切削工具1において、ネガティブ型円形インサート7をインサート取付座3の着座面4に装着して、インサート7のねじ挿通孔13を挿通させたクランプねじ18の締め付けによりこのインサート7を固定するときには、クランプねじ18のねじ部18cと着座面4に形成したねじ孔19とをねじ嵌合させる。このねじ嵌合においては、予め、着座面4に形成するねじ孔19の位置(ねじ孔19の中心線P2の位置)を、例えば、次の手順で決定しておいて、ねじ孔19を刻設する。この手順を説明すると、下記(1)〜(2)に記載の通りになる。
(1)ネガティブ型円形インサート7の上面部8(下面部9)をインサート取付座3の着座面4に載置し、ネガティブ型円形インサート7の隣接する2つのクーラント流入面15のそれぞれを、インサート取付座3のクーラント供給壁面5a、5bと対面させ、かつ互いに接触するように位置合せを行うとともに、さらに、ネガティブ型円形インサート7のこれら2つのクーラント流入面15の間に存在する周面部10cをインサート取付座3のインサート側面拘束壁面6に当接させた状態にする。この状態におけるインサート7のインサート取付座3における位置が、装着するインサート7の取付座3に対する位置合せを行った位置になる。このとき、クーラント供給壁面5a、5bのシール部材挿入溝21にはシール部材22を挿入していない状態で位置合せを行う。
(2)上記(1)により、ネガティブ型円形インサート7の位置合せを行った状態において、図8に示すように、着座面4に形成するねじ19の中心線P2は、ネガティブ型円形インサート7のねじ挿通孔13の中心線P1に対して所定の間隔(偏心量)αほど偏心させる。この偏心させる向きは中心線P2をクーラント供給壁面5a又は5b方向に偏心させてもよいが、インサート側面拘束壁面6方向に偏心させることが望ましい。そして、このようにして決定した偏心量αに基づいて、予め工具本体2の着座面4に、ねじ孔19を刻設する。
上記した着座面4に形成するねじ19の中心線P2を、ネガティブ型円形インサート7のねじ挿通孔13の中心線P1に対してインサート側面拘束壁面6側(方向)に偏心させる場合、その偏心量αは、0.07mm〜0.53mmの範囲に設定することが望ましい。例えば、ネガティブ型円形インサート7のねじ挿通孔13の径(d1)が4.35mm、クランプねじ18の円柱部18bの径(d2)を4.00mmとした場合、偏心量αは0.2mm程度に設定する。
なお、上記したネガティブ型円形インサート7の位置合せを行った状態において、着座面4に形成するねじ19の中心線P2を、ネガティブ型円形インサート7のねじ挿通孔13の中心線P1に対して偏心量αほど、例えば、インサート側面拘束壁面6側に偏心させる手段は、本発明において微小な隙間が生じている箇所(26)を形成する手段の「ねじ孔偏心手段」になる。
本発明の第1の実施形態において、ネガティブ型円形インサート7をインサート取付座3の着座面4に装着して、このインサート7のねじ挿通孔13にクランプねじ18を挿通させて、クランプねじ18の締め付けによりインサート7を固定するときには、下記の操作(装着・固定の操作(1)〜(3))を実施する。
(装着・固定の操作(1))
まず、クーラント供給壁面5a、5bのシール部材挿入溝21にシール部材22を挿入する。
(装着・固定の操作(2))
ネガティブ型円形インサート7の上面部8(下面部9)をインサート取付座3の着座面4に載置し、この円形インサート7の隣接する2つのクーラント流入面15のそれぞれを、シール部材22を介してインサート取付座3のクーラント供給壁面5a、5bと対面するように位置合せを行う。このとき、円形インサート7のこれら2つのクーラント流入面15の間に存在する周面部10cを、インサート取付座3のインサート側面拘束壁面6に当接させるか、インサート側面拘束壁面6に近接させて、装着・固定するネガティブ型円形インサート7のインサート取付座3に対する位置合せを行う。
(装着・固定の操作(3))
続いて、クランプねじ18をネガティブ型円形インサート7のねじ挿通孔13に挿通させた後に、クランプねじ18に所定の回転トルクを付加してクランプねじ18のねじ部18cと着座面4のねじ孔19とをねじ嵌合させる。この操作により、ネガティブ型円形インサート7をインサート取付座3に固定することができる。
上記の(装着・固定の操作(3))を実施すると、着座面4に形成したねじ孔19の中心線P2とネガティブ型円形インサート7のねじ挿通孔13の中心線P1とは上記したように、中心線P2は中心線P1に対してインサート側面拘束壁面6側に偏心量αほど偏心しているので、クランプねじ18の締め付けにつれてクランプねじ18の頭部18aと円柱部18bには、ネガティブ型円形インサート7をインサート側面用拘束壁面6方向に移動させる作用(押圧力)が発生する。
この押圧力は、ネガティブ型円形インサート7をインサート側面拘束壁面6方向に若干の距離ほど移動させる力として作用するので、インサート取付座3にネガティブ型円形インサート7の固定操作が終了したときには、ネガティブ型円形インサート7の隣接する2つのクーラント流入面15の間に存在する周面部10cはインサート側面拘束壁6に強固に圧着された状態が保持される。そして、インサート7をインサート取付座3に固定した後においては、図9、図10に示すように、クランプねじ18の頭部18a及び円柱部18bと、このインサート7のねじ挿通孔13の内周面との間には、両者が強固に圧着されている箇所25と、微小な隙間が生じている箇所(クーラント流路用隙間)26、27が発生する。図10(b)は、上記したクランプねじ18とインサート7のねじ挿通孔13とが強固に圧着されている箇所25を示している。
図2のE−E線における断面図である図10(a)に示しているように、微小な隙間が生じている箇所26は、クランプねじ18の円柱部18bに沿って中心線P2方向に生じている。そして、微小な隙間が生じている箇所26の中心線P2と直交する方向の幅は、クランプねじ18の左側(図10(a)の左側に示す符号「26」)がクランプねじ18の右側(図10(a)の右側に示す符号「26」)より大きくなっている。同じく、クランプねじ18の頭部18aの側面部とねじ挿通孔13との間に生じる微小な隙間が生じている箇所27の発生状況も、上記した微小な隙間が生じている箇所26と同様になる。これら微小な隙間が生じている箇所26、27は、クーラントが流れる隙間(クーラント流路用隙間)になる。
図10(b)は、図2のF−F線における断面図である。図10(b)はインサート側面拘束面6とインサート7の中心線P1を通る断面図であるので、強固に圧着されている箇所25と、微小な隙間が生じている箇所26、27が示されている。
上記した強固に圧着されている箇所25と、微小な隙間が生じている箇所26、27は、前記したねじ孔偏心手段により発生する。また、これら強固に圧着されている箇所25と微小な隙間が生じている箇所26、27は、クランプねじ18の長手方向(ねじ挿通孔13の中心線P1方向、又はねじ孔19の中心線P2方向)に発生することになる。さらに、微小な隙間が生じている箇所26、27の幅(W)は、図9に示すように差を有することになる。
本発明の実施形態となる刃先交換式回転切削工具1において、上記した押圧力の作用により、前記したようにクランプねじ18の長手方向であって、この長手方向と直交する方向に微小な隙間が生じている箇所26、27が発生すると、ネガティブ型円形インサート7に形成した4つのクーラント貫通孔16a〜16dの第2のクーラント孔17b(17b1〜17b4)は、図9に示すように微小な隙間が生じている箇所26、27と連通することになる。
(ネガティブ型円形インサートをインサート取付座に装着・固定したときの状態)
続いて、上記した本発明の刃先交換式回転切削工具1において、インサート取付座3の着座面4にネガティブ型円形インサート7を装着して、クランプねじ18の締め付けによりこのインサート7を固定したときの状態を、図9及び図10(a)、(b)を参照してさらに詳細に説明する。
ネガティブ型円形インサート7をインサート取付座3の着座面4に装着してクランプねじ18の締め付けにより固定したときには、前記したように、クランプねじ18の円柱部18bとネガティブ型円形インサート7のねじ挿通孔13における挿通孔13aの内周面14aとが、強固に圧着されている箇所25と、クーラント流路用隙間となる微小な隙間が生じている箇所26、27が発生する。また、強固に圧着されている箇所25と、微小な隙間が生じている箇所26、27は、前記したように、ねじ用挿通孔13の中心線P1方向に発生する。
この微小な隙間が生じている箇所26、27における微小な隙間の幅が最大になる箇所、すなわち、図9に示すねじ挿通孔13の径方向における微小な隙間の幅(w)が最大になる箇所は、前記したねじ孔偏心手段により中心線P2を中心線P1に対してインサート側面拘束壁面6側に偏心量αほど偏心させた場合には、中心線P1に対してインサート側面拘束壁面6(強固に圧着されている箇所25)と反対側に生じることになり、図10(b)は、このときの状態を示している。
上記したように、ネガティブ型円形インサート7をインサート取付座3の着座面4に装着・固定したときには、図9に示しているように、4つのクーラント貫通孔16a〜16dの第2のインサート孔17b1〜17b4は、微小な隙間が生じている箇所26、27と連通する。このとき、クーラントが微小な隙間が生じている箇所26、27に向かって矢印方向に流入するクーラント貫通孔16a、16bの第2のインサート孔17b1、17b2においては、微小な隙間が生じている箇所26の幅(W)は、他のクーラント貫通孔16c、16dの第2のインサート孔17b3、17b4における幅(W)より小さくなるが、クーラント貫通孔16a、16bから微小な隙間が生じている箇所26へのクーラントの流入に支障が生じないように幅(W)の範囲を設定する。
このためには、ネガティブ型円形インサート7のねじ挿通孔13に形成している挿通孔13aの径(d1)、クランプねじ18の円柱部18bの径(d2)を適切に設定して、(d1−d2)を前記したように「0.1mm≦(d1−d2)≦1.0mm」を満足させること、及び前記した偏心量αを適切な値になるように設定して、幅(W)が適切な範囲に設定されるようにする。なお、幅(W)の最大値は、0.5mm〜1mm程度にすることが望ましい。
前記したように、インサート取付座3にネガティブ型円形インサート7を装着・固定すると、ネガティブ型円形インサート7の4つのクーラント貫通孔16a〜16dはインサート7のねじ挿通孔13に沿って形成された微小な隙間が生じている箇所26、27と連通する。さらに、図10(a)に示すように、クーラント供給壁面5a、5bのシール部材挿入溝21a、21bに挿入したリング状のシール部材22は、ネガティブ型円形インサート7のクーラント流入面15a、15bに押圧されて圧縮した状態になる。これにより、クーラント流路孔20のクーラント流出孔20aと20bは、ネガティブ型円形インサート7のクーラント貫通孔16a、16bの第1のクーラント孔17a1、17a2と、シール部材22を介して気密状態で連通される。
その結果、工具本体2のクーラント流路孔20内を流れるクーラントは、ネガティブ型円形インサート7に形成している4つのクーラント貫通孔16a〜16dのうちの2つのクーラント貫通孔16a、16bに流入させることが可能になる。そして、クーラント貫通孔16a、16bに流入したクーラントは、微小な隙間が生じている箇所26に流れ込み、さらに、図9、図10(a)に示すように、微小な隙間が生じている箇所26から他のクーラント貫通孔16c、16dに流入して矢印で示す方向に流れ、これら他のクーラント貫通孔16c、16dの第1のクーラント孔17a3、17a4からクーラントを噴出させることが可能になる。
そして、切削加工中において、クーラント貫通孔16c、16dの第のクーラント孔17a3、17a4から噴出したクーラントは、切削加工に使用されている切れ刃11(12)方向に流れてこの切れ刃11(12)を冷却する作用を行うとともに、切削加工により生成された切屑の排出を良好にする作用を行う。
また、本発明の実施形態に係る刃先交換式回転切削工具1においては、ネガティブ型円形インサート7の厚さ方向の中央部を横断するようにクーラントを流す4つのクーラント貫通孔16a〜16dを形成しているので、クーラント貫通孔16a〜16d内を流れるクーラントの冷却作用により、加工熱により高温度になった円形インサート7の全体を効率良く冷却することが可能になる。
これにより、上面部8と側面部10の稜線部と、下面部9と側面部10の稜線部に切れ刃11、12を備えているネガティブ型円形インサート7を装着した刃先交換式回転切削工具1の寿命を一層向上させることが可能になる。
さらに、本発明の刃先交換式回転切削工具1において、ネガティブ型円形インサート7をインサート取付座3への装着・固定が完了したときには、ねじ孔偏心手段により、クランプねじ18の頭部18aの側面部とインサート(ネガティブ型円形インサート7)のねじ挿通孔13のテーパ状内周面14b(14c)との間にも、微小な隙間が生じている箇所27(図10参照)が生じる。
前記したように、この微小な隙間が生じている箇所27は、同じく微小な隙間が生じている箇所26と連通しているので、微小な隙間が生じている箇所26に流入したクーラントを微小な隙間が生じている箇所27に流入することになる。そして、隙間27にしたクーラントは、インサートの上面部8(下面部9)に流出させて、インサート7の切れ刃11(12)方向に流すことが可能になる。
このように、ネガティブ型円形インサート7の上面部8(又は下面部9)からもクーラントを流出(噴出)させると、切削加工中におけるインサート全体の冷却、切れ刃11(12)の冷却、及び生成された切屑の排出性をより向上させることが可能になる。なお、インサート7の上面部8(又は下面部9)にクーラントを噴出させる場合には、上面部8又は下面部9の平面部8b又は9bであってねじ挿通孔13の開口部から切れ刃11(12)方向に向かう微小な幅を有するV字状(又はU字状)の溝を複数設けて、噴出したクーラントを切れ刃11(12)方向に導くようにすることが望ましい。
(シール部材の他の実施形態)
続いて、前記したシール部材について、他の実施形態について説明する。前記したシール部材22については、リング状のシール部材を用いる例について説明したが、図11に示すように、鍔付きの中空状のシール部材28を用いてもよい。
このシール部材28は、図11(a)に示すように、フランジ状の鍔部28aと、鍔部28aの一方の側にパイプ状部28b、鍔部28aの他方の側にパイプ状部28cを一体構造として構成したシール部材である。また、パイプ状部28bの外径はクーラント貫通孔16(クーラント流入孔17)の径(r2)と等しくし、パイプ状部28cの外径はクーラント流路孔20の径(r1)と等しくする。
そして、インサートをインサート取付座3へ装着・固定するときには次の操作を行う。
最初に、シール部材28のパイプ状部28cを、クーラント供給壁面5aのクーラント流出孔20aからクーラント流路孔20内に挿入し、さらに、鍔部28aをクーラント流出壁のシール部材挿入溝21に挿入する。クーラント供給壁面5bのクーラント流出孔20bについても、上記と同様な操作を行う。このとき、図11(b)に示すように、鍔部28aはそのパイプ状部28b側が所定の厚さほどシール部材挿入溝21から外側に露出するようにする。続いて、シール部材28のパイプ状部28bを、インサート7の第1のクーラント孔17a1からクーラント貫通孔16a内に挿入する。インサート7の第1のクーラント孔17a2についても同様の操作を行う。
続いて、この状態で、インサート7のインサート取付座3に対する位置合せを行った後に、クランプねじ18の締め付けによりインサート7をインサート取付座3に固定する。図11(c)は、クランプねじ18の締め付け前の状態を示している。図11(c)に示す状態からクランプねじ18の締め付けを行うと、シール部材28の鍔部28aはクーラント流入面15aにより圧縮されて、図11(a)に示す状態になって、インサート取付座3側のクーラント流路孔20とインサート7側のクーラント貫通孔16aは密に連通し、クーラント流路孔20内を流れているクーラントはクーラント貫通孔16a内に流入することになる。同様に、インサート取付座3側のクーラント流路孔20とインサート7側のクーラント貫通孔16bも密に連通して、クーラント貫通孔16a内にクーラントが流入することになる。
なお、本発明において、図11(a)に示すように、工具本体2に設けたクーラント流路孔20の径をr1、インサート7に設けるクーラント貫通孔16(上記したネガティブ型円形インサート7のクーラント貫通孔16a〜16d)の径をr2としたとき、r1>r2にする。この理由は、r1>r2にすることにより、インサート7のクーラント貫通孔16内を流れるクーラントの流速と圧力を高くすることができ、クーラント7によるインサートの冷却効果とその噴出状態を良好にすることができるからである。
なお、クーラント流路孔20の径(r1)は例えば2.5mm、クーラント貫通孔16の径(r2)は1.0mmとし、径(r1)は径(r2)の2〜3倍程度大きくすることが望ましい。
(第2の実施形態)
続いて、本発明の刃先交換式回転切削工具の特徴の一つとなる、円形インサート7のねじ挿通孔側の第2のクーラント孔17bと前記クランプねじの外周面の間に、微小な隙間が生じている箇所26を形成するための他の手段を、図12を参照して説明する。図12は、円形インサート7をインサート取付座3に装着・固定したときの状態を示している。
図12に示す微小な隙間が生じている箇所26を形成する手段は、クランプねじ18の円柱部18bの外周面であって、クーラント貫通孔16aの第2のクーラント孔17b1、及びクーラント貫通孔16cの第2のクーラント孔17b3と対向する位置に、円柱部18bの全周に所定の幅と深さを有する凹状の溝部29(クーラント流路用の微小な隙間)を設けたことにある。凹状の溝部29の深さは1mm程度、クランプねじ18の長手方向の幅はクーラント貫通孔の径(r2)の1〜2倍程度として、溝部29を設けた円柱部18bの径d3が小さくなり過ぎてクランプねじ18の強度が低下しないようにする。また、溝部29の底部はU字状に形成することが望ましい。なお、凹状の溝部29は、他のクーラント貫通孔16b、16dの第2のクーラント孔17b2、17b4と対向する位置にも円柱部18bに設けた溝部29が存在することになる。
上記した第2の実施形態において、クランプねじ18の円柱部18bに溝部29を設けることにより、第1のクーラント孔17a1及び17a2からクーラント貫通孔16a、16bに流入したクーラントは、クランプねじ18の円柱部18bに形成した溝部29に流れ込み、溝部29に流れ込んだクーラントを他のクーラント貫通孔16c、17dに流入させて、これらのクーラント貫通孔16c、17dの第1のクーラント孔17a3、17a4から噴出させることが可能になる。
なお、クランプねじ18の円柱部18bに溝部29を設けた実施例においても、着座面4に形成するねじ19の中心線P2は、位置合せを行ったときのネガティブ型円形インサート7のねじ挿通孔13の中心線P1からインサート側面拘束壁面6方向に、若干偏心させておくことが望ましい。
(工具本体の製造)
工具本体2の製造は、次の加工手順(1)〜(3)に従って実施することができる。
(加工手順(1))
SKD61等の合金工具鋼からなる丸棒素材の先端部に、エンドミル等を用いた切削加工によって、インサート取付座3を形成する。インサート取付座3の細部形状は、小径のエンドミル等を使用することもある。丸棒素材の先端部には、所定の数量のインサート取付座3が形成される。
(加工手順(2))
次に、小径ドリルを用いて、クーラント供給壁面(5a、5b)から丸棒素材の内部に向かって、クーラント流路孔(20)を穿孔する。その時、クーラント流出孔(20a)から延びるクーラント流路孔(20)と、クーラント流出孔(20b)から延びるクーラント流路孔(20)とは、延出方向が90度異なるので、穿孔方法が異なる。この穿孔方法は、次の(2a)、(2b)に記載の方法を採用することができる。
(2a)クーラント流出孔(20b)から延びるクーラント流路孔(20)は、クーラント供給壁面(5b)から丸棒素材の中心軸と垂直方向に、中心軸近傍まで穿孔し、止り孔(1)を、1つの工程で形成する。
(2b)一方、クーラント流出孔(20a)から延びるクーラント流路孔(20)は、2つの工程によって形成する。まず第1の工程は、クーラント流出孔(20a)から丸棒素材の中心軸と平行な方向に所定の長さ穿孔し、止り孔(2)形成する。その後、第2の工程は、先に穿孔した止り孔(2)の端部と交差するように、丸棒素材の外周面から中心軸と垂直方向に、中心軸近傍まで穿孔して、止り孔(3)を形成する。
(加工手順(3))
次に、丸棒素材にインサート取付座3を形成した先端面とは反対の端面から、中心軸(回転軸心O)に沿って、インサート取付座3のある先端近傍まで穿孔し、止り孔(4)を形成する。ここで、止り孔(4)は、上記の加工手順(1)、(2)で形成した止り孔(2)と止り孔(3)との端部と中心軸(回転軸心O)近傍で交差し、お互いに連通するように調整する。最後に、止り孔(3)における丸棒素材の外周面側の解放部を、封止部材によって封止する。
(ネガティブ型円形インサートの成形方法)
本発明の刃先交換式回転切削工具に装着するネガティブ型円形インサートを含む円形インサート、多角形状をなすインサートは、WC(炭化タングステン)粉末にCo粉末及びバインダーを添加した超硬合金粉末を、粉末成形装置で加圧成形することによりプレス成形体を製造する成形工程と、このプレス成形体を1300°〜1400℃近くの温度で所定時間焼成して高硬度な焼結体を得る焼結工程を経て製造される。また、焼結した成形体については、仕上げ加工を必要とする部位にはダイヤモンド砥石などを用いて仕上げ加工を行う。
これらの成形工程と焼結工程は、従来から広く実施されている製造技術を適用することができるが、上記したネガティブ型円形インサート7は、側面部10に傾斜側面部10a、10b設けていること、側面部10に設けた4つのクーラント流入面15からねじ挿通孔13の中心線P1方向に90°間隔で形成していることなどにより、成形工程においては多軸の粉末成形装置を用いてプレス成形体を製造する必要がある。
続いて、上記したネガティブ型円形インサート7を製造するための多軸の粉末成形装置の基本的な構成とその製造方法を、図13〜図15を参照して説明する。
なお、図13(a)はネガティブ型円形インサート7の粉末成形体を成形するための粉末成形装置100の構成を示す模式図、図13(b)は図13(a)に示す粉末成形装置によりネガティブ型円形インサートの粉末成形体を成形したときに、粉末成形装置の各構成要素の位置を示す図、図14は図13(b)に示す状態における粉末成形装置100を上方からみた上面図、図15は図13に示す粉末成形装置100を用いてネガティブ型円形インサート7を成形する手順を示す図である。
図13(a)に示す多軸の粉末成形装置100は、次のような構成を備えている。ベースプレート101の中央部には円形をなす貫通孔102を設け、貫通孔102内を上下方向(矢印U1方向)に摺動可能とした円柱形状をなす成形体取出しロッド103を設けるとともに、ベースプレート101上には上下方向(矢印U2方向)に移動可能とした下パンチ104を設けている。また、下パンチ104の中央部には上下方向に貫通した貫通孔105が形成され、この貫通孔105内を成形体取出しロッド103が上下方向(矢印U1方向)に摺動可能になっている。
成形体取出しロッド103の上端部は円形状の平面部103aとし、平面部103aと成形体取り出しロッド103の外周面とながすコーナ部103bは、図6(a)に示すネガティブ型円形インサート7に設けているねじ挿通孔13のテーパ状孔部13cの外周面14cの形状に対応する形状にしている。
図13、図14に示すように、ベースプレート101の上面部には、所定の高さを有する縦割型の4つの側面形成用分割ダイス106aと106b、及び107aと107bを摺動可能に配置している。図13はこれら4つの側面形成用分割ダイスを一つのダイスとして型合せを行った状態を示している。側面形成用分割ダイス106a、106b、107a、107bは、円筒形状をなす型材を縦方向に4分割した形状からなり、その内周面の縦方向の中央部から所定の上下方向の範囲内の形状は、ネガティブ型円形インサート7の側面部10の形状に対応させた形状を備えている。
図13(a)、(b)に示す符号「108」は、ネガティブ型円形インサート7の側面部が備えているクーラント流入面15の形状に対応する突出部、符号「109a」、「109b」は、ネガティブ型円形インサート7が備えているクーラント貫通孔を形成するための挿通孔形成用ロッドである。挿通孔形成用ロッド109a、109b、109c、109dは、それぞれ側面形成用分割ダイス106a、106b、107a、107bに固定され、突出部108から水平方向に所定の長さほど突出させている。なお、挿通孔形成用ロッドは硬質金属などからなる丸棒部材(線材)を用いる。
なお、図13(a)には示されていないが、側面形成用分割ダイス107a、107bの構成も上記した側面形成用分割ダイス106a、106bの構成と同一の構成を備えている。従って、図14に示すように、4つの側面形成用分割ダイスの型合せを行ったときには、その分割ダイスの縦方向の内周面における中央部から所定の上下方向の範囲における形状(周囲の形状)は、ネガティブ型円形インサート7の側面部10の形状に対応するようにしている。
下パンチ104の上方には、上下方向(矢印U3方向)に移動可能な上パンチ110を設けている。上パンチ110の中央部には円形をなす貫通孔111を垂直方向に設け、この貫通孔111内を摺動する挿通孔形成用ロッド112を配置している。挿通孔形成用ロッド112は、第1円柱状部112aと、長さL1を有する第2円柱状部112bから構成している。第1円柱状部112aは、貫通孔111内を上下方向(矢印U4方向)に摺動可能になっている。第2円柱状部112bの外周面の形状は、図6(a)、(b)に示しているネガティブ型円形インサート7が備えているクランプねじ挿通孔13の挿通孔13aの形状に対応し、さらに、第1円柱状部112aと第2円柱状部112bとを繋ぐテーパ状部112cは、同じく図6(a)、(b)に示すねじ挿通孔13のテーパ状孔部13bの周面14bの形状に対応した形状を備えている。
図13(a)に示した上記下パンチ104、上パンチ110、側面形成用分割ダイス106a、106b、107a、107b、成形体取出しロッド103、挿通孔形成用ロッド112を駆動させるための駆動装置は、粉末成形装置100が備えている。そして、粉末成形装置が備えている制御装置の制御により各駆動装置が駆動して、下パンチ104、上パンチ110、側面形成用分割ダイス106a、・・・等の粉末成形装置100の各構成要素が作動することになる。
続いて、図13(a)に示す粉末成形装置100を用いてネガティブ型円形インサート7を粉体成形するための手順(成形サイクル)の一例を、図15を参照して説明する。この粉体成形する手順の実行は、図15の(a)〜(d)の順になる。
(成形サイクルの初期状態)
成形サイクルの初期状態においては、粉末成形装置100の制御に基づいて、ベースプレート101上に、下パンチ104、上パンチ110、側面形成用分割ダイス106a〜107b、成形体取出しロッド103、挿通孔形成用ロッド112などの各構成要素を、例えば、図15(a)に示す初期位置に配置する制御を行う。この初期位置の状態では、ベースプレート101及び成形体取り出しロッド103の上端部と、側面形成用分割ダイス106a〜107bに囲まれた箇所には上方部が開放された空間部S1が形成される。
(粉末の供給)
図15(a)に示す初期状態から、挿通孔形成用ロッド112を下降させて第2円柱部112bの下端部を成形体取出しロッド103の上端部となる平面部103aに当接させる。続いて、4つの側面形成用分割ダイス106a〜107bを、ベースプレート101上を摺動させて下パンチ104方向に移動させて、下パンチ104の外周側面部に当接させる。これにより、4つの側面形成用分割ダイス106a〜107bが一つのダイスとして合体させた型合せが行われるとともに、4つの貫通孔形成用ロッド109a〜109dの先端部を挿通孔形成用ロッド112の第2円柱部112bの外周面に当接させる。図13(b)はこの状態を示している。4つの側面形成用分割ダイス106a〜107bロッド109a〜109dが一つのダイスに合体したダイス内部には、上方部が解放された空間部S2が生じる。続いて、粉末供給装置(図示せず)から所定量の成形用粉末(CP)を空間部S2に供給する。
(粉末の加圧成形)
図15(b)に示す状態から、上パンチ110を下方方向に所定量ほど下降させた後、下パンチ104と上パンチ110に同一の所定の加圧力を付与しながら、下パンチ104を所定量ほど上方に、上パンチ110を所定量ほど下方に移動させて粉体(CP)を加圧成形する。この加圧成形が終了したときの下パンチ104の上面部と上パンチ110の下面部間の間隔が、ネガティブ型円形インサート7の上面部8と下面部9との厚さに対応することになる。これにより、空間部S2内の成形用粉末Pは圧縮成形されて、図15(c)に示すように、貫通孔形成用ロッド109a〜109dが挿入された状態のネガティブ型円形インサート7に対応するプレス成形体Kが成形される。
下パンチ104の上面部の形状は、インサート7の下面部9の形状に対応し、上パンチ110の下面部の形状は、インサート7の上面部8の形状に対応した形状を備えている。
続いて、図15(c)に示す状態から、4つの側面形成用分割ダイス106a〜107bを後退させて、プレス成形体Kから貫通孔形成用ロッド109a〜109dを引き抜く。続いて、成形体取出しロッド103を上方に所定の高さまで、すなわち、プレス成形体Kの取出し位置まで上昇させる。図15(d)は、このときの状態を示している。なお、成形体取出しロッド103を上方に移動させると、プレス成形体Kも成形体取り出しロッド103の上端部の平面部103aとコーナ部103b上に安定した状態で載置されて取出し位置まで上昇する。
そして、取出し位置に移動したプレス成形体Kは、例えば、自動取出装置により取り出す。プレス成形体Kの取り出しが終了すると、粉末成形装置50の制御装置の制御により、各構成要素を図15(a)に示す初期状態の位置に位置決めする。上記手順(a)〜(d)の実行により、1サイクルの成形が終了する。
なお、プレス成形体Kは焼成して高硬度な焼結体にすると収縮するので、プレス成形体Kの寸法は、この収縮量を考慮した寸法を備えたプレス成形体Kを成形する必要がある。
また、上記したネガティブ型円形インサート7の成形方法は一例であって、各種の形式の粉末成形装置を用いて、ネガティブ型円形インサートを含む円形インサート、及び多角形状をなすインサートを、他の成形方法を用いて成形することもできる。
また、上記した複数のクーラント貫通孔16を備えたネガティブ型円形インサート7の成形方法は、複数のクーラント貫通孔16を備えて本発明の刃先交換式回転切削工具に装着することができるポジティブ型円形インサートの他に、上面部と下面部の径が異なるポジティブ型円形インサートにも適用することができる。
上記した本発明の実施形態では、側面部からねじ挿通孔までインサートの内部を貫通するクーラント貫通孔を複数備えた円形インサートのうち、ネガティブ型円形インサートを着脱自在に装着する刃先交換式回転切削工具について説明したが、本発明は、ポジティブ型円形インサートを含む種々の形態の円形インサートの他に、平面視(上面視)で多角形状をなすインサート、例えば、三角形、略三角形、四角形、略四角形、略平行四辺形、六角形、略六角形、八角形、略八角形、等の形状をなすインサートを装着する刃先交換式回転切削工具にも適用することができる。
図16(a)は、上記した多角形状をなすインサートのうち、平面視で三角形をなすインサート30を示している。この三角形をなすインサート30は、上面部に直線状の切れ刃31a、31b、31cを備え、側面部(図示せず)からねじ挿通孔32まで貫通するクーラント貫通孔33a、33b、33cを設けたインサートである。また、クーラント貫通孔33a、33b、33cは、インサート30の側面部からインサート30の厚さ方向の中央部を貫通するようにねじ挿通孔32まで形成している。
図16(b)は、平面視で八角形をなすインサート40を示している。インサート40は、上面部に直線状の切れ刃41a、41b、・・・、41hと、側面部(図示せず)からねじ挿通孔42まで貫通するクーラント貫通孔43a、43b、・・・、43hを設けたインサートである。
なお、図16(b)に示すインサート40は、隣り合う切れ刃の間(例えば、切れ刃41aと41bの間)にコーナ刃(コーナR刃)を形成したインサートとしてもよい。
図16(a)、(b)に示した多角形状をなすインサートを装着・固定する工具本体2のインサート取付座3には、インサートの側面部を拘束するクーラント供給壁面を複数設け、そのうち少なくとも一つのクーラント供給壁面には工具本体2のクーラント流路孔20を流れるクーラントをインサート側のクーラント貫通孔に流入させるためのクーラント流出孔を設けるようにする。
1:刃先交換式回転切削工具
2:工具本体
3:インサート取付座
4:着座面
5a、5b:クーラント供給壁面
6:インサート側面拘束壁面
7:ネガティブ型円形インサート
8:上面部
8a:傾斜面部、8b:平面部
9:下面部
9a:傾斜面部、9b:平面部
10:側面部
10a、10b:傾斜側面部、10c:周面部
11:切れ刃
12:切れ刃
13:ねじ挿通孔
13a:挿通孔、13b、13c:テーパ状孔部
14a:挿通孔13aの内周面、14b、14c:テーパ状内周面
15、15a、15b、15c、15d:クーラント流入面
16、16a、16b、16c、16d:クーラント貫通孔
17a、17a1、17a2、17a3、17a4:第1のクーラント孔
17b、17b1、17b2、17b3、17b4:第2のクーラント孔
18:クランプねじ、
18a:頭部、18b:円柱部、18c:ねじ部
19:ねじ孔
20:クーラント流路孔
20a、20b:クーラント流出孔
21:シール部材挿入溝
22:シール部材
23:溝部
24:立ち壁
24a:円弧状をなす前面部
25:強固に圧着している箇所
26:微小な隙間が生じている箇所(クーラント流路用隙間)
27:微小な隙間が生じている箇所(クーラント流路用隙間)
28:シール部材
28a:鍔部、28b、28c:パイプ状部
29:溝部(微小な隙間が生じている箇所)
30:三角形状をなすインサート
31a、31b、31c:直線状の切れ刃
32:ねじ挿通孔
33a、33b、33c:クーラント貫通孔
40:八角形状をなすインサート
41a、41b、41c、41d、41e、41f、41g、41h:直線状の切れ刃
42:ねじ挿通孔
43a、43b、43c、43d、43e、43f、43g、43h:クーラント貫通

100:粉末成形装置
101:ベースプレート
102:貫通孔
103:成形体取り出しロッド、103a:平面部、103b:コーナ部
104:下パンチ、 104a、104b:傾斜面部、104c:平面部、
104d:垂直平面部
105:貫通孔
106a、106b:側面形成用分割ダイス
107a、107b:側面形成用分割ダイス
108:突出部
109a、109b、109c、109d:貫通孔形成用ロッド
110:上パンチ
111:貫通孔
112:挿通孔形成用ロッド
112a:第1円柱部、112b:第2円柱部、112c:テーパ状部
K:プレス成形体
O:回転軸心
d1:ねじ挿通孔の挿通孔の径
d2:クランプねじの円柱部の径
P1:インサート取付座において、インサートの位置合せを行ったときのこのインサー
トのねじ挿通孔の中心線
P2:着座面に設けたねじ孔の中心線
r1:クーラント流路孔の径
r2:クーラント貫通孔の径
α:偏心量

Claims (15)

  1. ねじ挿通孔を備えたインサートを、クーラントを流すためのクーラント流路孔を有する工具本体のインサート取付座の着座面に、前記ねじ挿通孔を挿通させたクランプねじの締め付けにより、着脱自在に固定する刃先交換式回転切削工具であって、
    前記インサートは、
    その側面部に所定の間隔をおいて形成した複数のクーラント流入面と、
    前記クーラント流入面に開口する第1のクーラント孔から前記ねじ挿通孔の内周面に開口する第2のクーラント孔まで貫通するクーラント貫通孔を備え、
    前記インサート取付座は、
    前記インサートの前記クーラント流入面を拘束するとともに、前記クーラント流路孔の出口となるクーラント流出孔が形成された少なくとも1つのクーラント供給壁面を備え、
    前記インサートを前記インサート取付座に装着して固定するために前記インサートを前記インサート取付座に位置合せを行ったときに、
    前記クーラント流出孔を備えた前記クーラント供給壁面は、その前記クーラント流出孔が、前記インサートに形成した複数の前記クーラント流入面のうちの少なくとも一つに対応する前記第1のクーラント孔と対面する位置に配置されるように前記インサート取付座に形成されており、
    前記クランプねじの締め付けにより前記インサートを前記インサート取付座に装着して固定した状態において、
    前記クーラント流路孔のクーラント流出孔と、このクーラント流出孔と対面する前記クーラント孔とを気密に連通させる手段と、
    前記インサートの前記ねじ挿通孔側の前記第2のクーラント孔と、前記クランプねじの外周面との間に微小な隙間が生じている箇所を形成する手段を備えており、
    前記工具本体のクーラント流路孔を流れる前記クーラントは、前記クーラント流出孔と対面する前記クーラント貫通孔に流入して前記微小な隙間が生じている箇所に流れ込み、前記微小な隙間が生じている箇所に流れ込んだ前記クーラントは別の前記クーラント貫通孔に流入して前記別のクーラント貫通孔の第1のクーラント孔から噴出するようになされていることを特徴とする刃先交換式回転切削工具。
  2. 前記クーラント貫通孔は、前記インサートの前記側面部から前記インサートの厚さ方向と直交する方向に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の刃先交換式回転切削工具。
  3. 前記微小な隙間が生じている箇所を形成する手段は、前記インサートを前記インサート取付座の前記着座面に載置して、前記インサートを前記インサート取付座に装着するための位置合せを実施した状態において、
    前記クランプねじとねじ嵌合させるために前記着座面に形成したねじ孔の中心線P2を、前記位置合せを行った前記円形インサートの前記ねじ挿通孔の中心線P1に対して所定の方向に間隔α偏心させたねじ孔偏心手段であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の刃先交換式回転切削工具。
  4. 前記微小な隙間が生じている箇所を形成する手段により形成された前記微小な隙間が生じている箇所は、前記ねじ挿通孔の中心線P1と平行になる方向に形成されており、
    前記クランプねじの円柱部が挿入される前記ねじ挿通孔の径をd1、前記クランプねじの円柱部の径をd2としたときに(d1−d2)は、
    0.1mm≦(d1−d2)≦1.0mm
    に設定されていることを特徴とすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の刃先交換式回転切削工具。
  5. 前記微小な隙間が生じている箇所を形成する手段は、前記インサートの前記ねじ挿通孔の内周面と係合する前記クランプねじが備えている手段であって、前記クーラント貫通孔の前記第2のクーラント孔と対向する位置となる前記クランプねじの円柱部の外周面の全周に、所定の幅と深さを有する溝部を設けた手段であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の刃先交換式回転切削工具。
  6. 前記クーラント流出孔と前記第1のクーラント孔とを気密に連通させる手段は、前記クーラント流出孔と前記第1のクーラント孔との間に介在させたシール部材からなることを特徴する請求項1に記載の刃先交換式回転切削工具。
  7. 前記工具本体の前記クーラント流路孔の径をr1、前記インサートの前記クーラント貫通孔の径をr2としたときに、r1>r2に設定されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の刃先交換式回転切削工具。
  8. 前記インサートは、上面視において円形をなす円形インサートから構成されており、前記円形インサートを前記インサート取付座に装着して固定したときに、
    前記インサート取付座は、前記円形インサートの側面部に形成された複数の前記クーラント流入面のうちの2つのクーラント流入面と対応する位置にそれぞれ形成された2つの前記クーラント供給壁面を備えるとともに、
    前記2つのクーラント供給壁面の間に、前記円形インサートの側面部を拘束するインサート側面拘束壁面を備えていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の刃先交換式回転切削工具。
  9. 前記インサートは、上面視において円形をなす円形インサートから構成されており、前記円形インサートを前記インサート取付座に装着して固定したときに、
    前記インサート取付座は、前記円形インサートの側面部に形成された複数の前記クーラント流入面のうちの2つのクーラント流入面と対応する位置にそれぞれ形成された2つの前記クーラント供給壁面を備えるとともに、
    前記2つのクーラント供給壁面の間に、前記円形インサートの側面部を拘束するインサート側面拘束壁面を備え、
    前記円形インサートを前記インサート取付座の前記着座面に載置して、前記円形インサートを前記インサート取付座に装着するための位置合せを実施した状態において、
    前記クランプねじとねじ嵌合させるために前記着座面に形成したねじ孔の中心線P2を、前記位置合せを行った前記円形インサートの前記ねじ挿通孔の中心線P1に対して前記インサート側面拘束壁面の方向に間隔α偏心させていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の刃先交換式回転切削工具。
  10. 前記円形インサートは、前記ねじ挿通孔の中心線P1を中心として前記側面部の方向に90°間隔で配置された前記クーラント貫通孔を備えていることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の刃先交換式回転切削工具。
  11. 前記円形インサートは、ネガティブ型の円形インサートからなることを特徴する請求項8又は請求項9に記載の刃先交換式回転切削工具。
  12. 請求項1から請求項11のいずれかに記載の刃先交換式回転切削工具のインサート取付座に着脱自在に装着して固定し、上面視で多角形又は円形形状をなすインサートであって、上面部と、下面部と、前記上面部と前記下面部とを繋ぐ側面部と、少なくとも前記上面部と前記側面部との稜線部に形成された切れ刃と、前記インサート取付座に固定するためにクランプねじを挿通させるために前記上面部から前記下面部まで貫通するねじ挿通孔とを備えており、
    前記インサートは、
    前記側面部に、所定の間隔をおいて形成した複数のクーラント流入面と、
    それぞれの前記クーラント流入面の第1のクーラント孔から前記ねじ挿通孔の内周面に開口する第2のクーラント孔まで、前記インサートの内部を貫通した複数のクーラント貫通孔を備え、
    前記クーラント貫通孔は、前記インサートを前記インサート取付座に着脱自在に装着して固定したときに、前記刃先交換式回転切削工具の前記工具本体に形成されたクーラント流路孔を流れるクーラントを、前記インサート取付座を介して前記第1のクーラント孔から流入させるための貫通孔とされていることを特徴とするインサート。
  13. 前記クーラント貫通孔は、前記インサートの厚さ方向と直交する方向に形成されていることを特徴とする請求項12に記載のインサート。
  14. 前記クーラント貫通孔は、前記インサートの厚さ方向の中央部に形成されていることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載のインサート。
  15. 前記インサートは、上面視において円形をなすポジティブ型又はネガティブ型の円形インサートであって、
    前記クーラント貫通孔は、前記ねじ挿通孔の中心線P1を中心として前記側面部の方向に90°間隔で配置されていることを特徴とする請求項12から請求項14のいずれかに記載のインサート。
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