(第1実施形態)
以下、図1〜図6に従って第1実施形態を説明する。
図1に示すように、半導体装置は、位相同期ループ(PLL:Phase Locked Loop)回路10と、PLL回路10が有するキャパシタの容量値を制御する容量制御回路20とを有している。
PLL回路10は、基準クロック信号CLKに基づいて制御電圧VTを生成するPLLブロック11と、制御電圧VTに基づいた周波数を持つ出力信号Voutを生成する電圧制御発振回路(VCO:Voltage-controlled oscillator)12とを有している。ここで、基準クロック信号CLKは、所定の周期T(図5(a)参照)を有する周期信号である。基準クロック信号CLKは、例えばデューティ比が50%のパルス信号である。
PLLブロック11には、VCO回路12で生成された出力信号Voutが帰還される。そして、PLLブロック11は、基準クロック信号CLKと出力信号Voutに基づいて制御電圧VTを生成し、その制御電圧VTをVCO回路12に供給する。このようなPLLブロック11の内部構成は特に限定されない。例えば、PLLブロック11は、出力信号Voutを分周して比較信号を生成する分周回路、比較信号と基準クロック信号CLKを比較し、両信号の位相差に応じた位相差信号を生成する位相比較器、位相差信号を積分して制御電圧VTを生成するループフィルタなどを有している。
VCO回路12は、制御電圧VTに基づいて発振周波数fを制御する。例えば、VCO回路12は、制御電圧VTの電圧値が高いほど発振周波数fの高い出力信号Voutを生成する。すなわち、出力信号Voutの発振周波数fは、制御電圧VT(例えば、基準クロック信号CLKと出力信号Voutの位相差)に基づいて調整される。
次に、VCO回路12の内部構成の一例について説明する。
図2に示すように、VCO回路12は、インダクタ部13と、容量部14とによるLC発振回路と、差動対16と、電流源19とを有している。
インダクタ部13は、インダクタL1とインダクタL2とを有している。これらインダクタL1,L2の第1端子は、高電位側電源電圧(電源電圧)VCCが供給される電源線(以下、VCC電源線とも称する)に接続されている。また、インダクタL1,L2の第2端子は、容量部14及び差動対16に接続されている。
容量部14は、上記制御電圧VTによって容量値が可変される可変容量C1,C2と、容量制御回路20により容量値が制御される固定容量部15とを有している。なお、以下の説明では、固定容量部15の容量値を「容量値C15」と称する。
可変容量C1の第1端子はインダクタL1の第2端子に接続されている。可変容量C1の第2端子には制御電圧VTが供給される。また、可変容量C2の第1端子はインダクタL2の第2端子に接続されている。可変容量C2の第2端子には制御電圧VTが供給される。
固定容量部15の第1端子は、可変容量C1とインダクタL1との間のノードN1に接続されている。また、固定容量部15の第2端子は、可変容量C2とインダクタL2との間のノードN2に接続されている。
ここで、固定容量部15の内部構成の一例について説明する。
図3に示すように、固定容量部15は、並列に接続された複数個(ここでは、12個)の単位キャパシタVC1〜VC12を有している。各単位キャパシタVC1〜VC12は、互いに同じ容量値を有するキャパシタである。なお、以下の説明では、各単位キャパシタVC1〜VC12の容量値を「容量値VC」と称する。
本例では、12個の単位キャパシタVC1〜VC12のうち図中上から8個の単位キャパシタVC1〜VC8は、その第1端子がノードN1に直接接続され、第2端子がノードN2に直接接続されている。一方、12個の単位キャパシタVC1〜VC12のうち残りの4個の単位キャパシタVC9〜VC12は、第1端子がスイッチを介してノードN1に接続され、第2端子がスイッチを介してノードN2に接続されている。具体的には、単位キャパシタVC9の第1端子はスイッチSW1を介してノードN1に接続され、単位キャパシタVC9の第2端子はスイッチSW1を介してノードN2に接続されている。単位キャパシタVC10の第1端子はスイッチSW2を介してノードN1に接続され、単位キャパシタVC10の第2端子はスイッチSW2を介してノードN2に接続されている。単位キャパシタVC11の第1端子はスイッチSW3を介してノードN1に接続され、単位キャパシタVC11の第2端子はスイッチSW3を介してノードN2に接続されている。単位キャパシタVC12の第1端子はスイッチSW4を介してノードN1に接続され、単位キャパシタVC12の第2端子はスイッチSW4を介してノードN2に接続されている。
スイッチSW1の制御端子には、容量制御回路20から制御信号Vsw1が供給され、スイッチSW2の制御端子には、容量制御回路20から制御信号Vsw2が供給される。スイッチSW3の制御端子には、容量制御回路20から制御信号Vsw3が供給され、スイッチSW4の制御端子には、容量制御回路20から制御信号Vsw4が供給される。これらスイッチSW1〜SW4は、制御信号Vsw1〜Vsw4に応じてオンオフ制御される。例えば、Lレベルの制御信号Vsw1〜Vsw4に応答してスイッチSW1〜SW4がそれぞれオフされ、Hレベルの制御信号Vsw1〜Vsw4に応答してスイッチSW1〜SW4がそれぞれオンされる。
容量制御回路20による容量値C15の制御が行われる前の固定容量部15では、スイッチSW1〜SW4が全てオフされている。このため、この場合における固定容量部15の容量値C15は、VC×8となる。そして、固定容量部15では、スイッチSW1〜SW4のオンオフ制御により、固定容量部15の容量値C15を、上記容量値(VC×8)とは異なる4段階の容量値に切り替えることができる。
図2に示すように、差動対16は、NPNトランジスタ17,18を有している。NPNトランジスタ17のコレクタ端子は上記ノードN1に接続されるとともに、NPNトランジスタ18のベース端子に接続されている。また、NPNトランジスタ18のコレクタ端子は上記ノードN2に接続されるとともに、NPNトランジスタ17のベース端子に接続されている。これらNPNトランジスタ17,18のエミッタ端子は、定電流I1を流す電流源19の第1端子に接続されている。この電流源19の第2端子は、低電位電源電圧が供給される電源線(ここでは、グランドGND)に接続されている。そして、NPNトランジスタ17のコレクタ端子(ノードN1)から上記出力信号Voutが出力される。
以上説明したVCO回路12では、インダクタ部13のインダクタンスLと、容量部14の容量値Cとに基づく発振周波数f(下記式参照)を持つ出力信号VoutがノードN1に生成される。
このため、上記発振周波数fは、可変容量C1,C2の容量値が制御電圧VTにより可変されると、その容量値の変動に伴って変化する。したがって、出力信号Voutの発振周波数fは、制御電圧VTによって調整される。
図1に示すように、容量制御回路20は、所定のキャパシタを充電して充電電圧Vo1を生成する充電電圧生成回路30と、所定周期における充電電圧Vo1の変化量(総変化量)に基づいて、上記固定容量部15の容量値C15を制御(補正)する上記制御信号Vsw1〜Vsw4を生成する制御信号生成回路40とを有している。
次に、充電電圧生成回路30の内部構成の一例について説明する。
図4に示すように、充電電圧生成回路30は、電流源31と、NチャネルMOSトランジスタ(トランジスタ)32と、キャパシタ33とを有している。
電流源31は、電流I2を流す。電流I2は、例えば電流値が一定の定電流である。この電流源31の第1端子は、VCC電源線に接続されている。電流源31の第2端子は、トランジスタ32の第1端子(例えば、ドレイン端子)に接続されている。トランジスタ32の第2端子(例えば、ソース端子)は、グランドGNDに接続されている。トランジスタ32の制御端子(例えば、ゲート端子)には、基準クロック信号CLKが供給される。
電流源31とトランジスタ32との間のノードN3には、キャパシタ33の第1端子が接続されている。キャパシタ33の第2端子はグランドGNDに接続されている。
ここで、キャパシタ33は、上記各単位キャパシタVC1〜VC12(図3参照)と同一の素子構造を有することが好ましい。例えば、本例のキャパシタ33と各単位キャパシタVC1〜VC12とは、電極板として共通の導電層を使用しており、極間層として使用している絶縁層も共通である。したがって、キャパシタ33と各単位キャパシタVC1〜VC12とは、製造ばらつきに関して同一の傾向を持っている。キャパシタ33の容量値VCaは特に限定されない。例えば、キャパシタ33の容量値VCaは、各単位キャパシタVC1〜VC12の容量値VCと同一であってもよいし、上記容量値VCの倍数の容量値(2×VC、3×VC等)であってもよいし、上記容量値VCとは関係のない容量値であってもよい。なお、本例のキャパシタ33の容量値VCaは、各単位キャパシタVC1〜VC12の容量値VCと同一に設定されている。
そして、キャパシタ33の第1端子(ノードN3)は、制御信号生成回路40内の比較回路41の非反転入力端子に接続されている。これにより、比較回路41の非反転入力端子には、ノードN3の電圧、つまりキャパシタ33の充電電圧Vo1が供給される。
以上説明した充電電圧生成回路30では、基準クロック信号CLKがHレベル(例えば、電源電圧VCCレベル)であると、トランジスタ32がオンされる。このようにトランジスタ32がオンされると、キャパシタ33の両端子がグランドGNDに接続されるため、キャパシタ33の充電電圧Vo1がグランドGNDレベルになる。一方、基準クロック信号CLKがLレベル(例えば、グランドGNDレベル)であると、トランジスタ32がオフされる。このため、キャパシタ33は、電流源31から供給される電流I2により充電される。この結果、充電電圧Vo1は、グランドGNDレベルからキャパシタ33の容量値VCaに応じた傾斜で上昇する。すなわち、基準クロック信号CLKがLレベルとなる期間TL(図5参照)における充電電圧Vo1の変化量ΔVo1は、電流I2の電流値をI2とし、基準クロック信号CLKのLレベルの期間TL(つまり、基準クロック信号CLKの周期の1/2)の時間幅をtとすると、下記式で表わすことができる。
このとき、電流I2の電流値と期間TLの時間幅tとは固定値である。このため、上記期間TLにおける充電電圧Vo1の変化量ΔVo1は、キャパシタ33の容量値VCaに依存する。具体的には、キャパシタ33の容量値VCaが大きくなるほど、充電電圧Vo1の変化量ΔVo1(つまり、期間TLにおける充電電圧Vo1の電圧上昇量)が小さくなる。ここで、キャパシタ33の容量値VCaは製造ばらつきにより変動するため、上記期間TLにおける充電電圧Vo1の変化量ΔVo1はキャパシタ33の製造ばらつきを反映した値になる。上述したように、キャパシタ33と各単位キャパシタVC1〜VC12とは同一の傾向の製造ばらつきを有するため、上記期間TLにおける充電電圧Vo1の変化量ΔVo1は、各単位キャパシタVC1〜VC12の製造ばらつきと対応している。
次に、制御信号生成回路40の内部構成の一例について説明する。
制御信号生成回路40は、充電電圧Vo1と電圧値可変の基準電圧Vrefとを比較する比較回路41と、比較回路41による比較結果に基づいて上記制御信号Vsw1〜Vsw4を生成する信号生成回路42と、上記基準電圧Vrefを生成する基準電圧生成回路47とを有している。
比較回路41の非反転入力端子には上記充電電圧Vo1が供給され、比較回路41の反転入力端子には基準電圧Vrefが供給される。比較回路41は、充電電圧Vo1と基準電圧Vrefとの比較結果に応じた制御信号Vo2を生成する。例えば、比較回路41は、充電電圧Vo1が基準電圧Vrefよりも高い場合にHレベル(例えば、電源電圧VCCレベル)の制御信号Vo2を生成する。また、比較回路41は、充電電圧Vo1が基準電圧Vrefよりも低い場合にLレベル(例えば、グランドGNDレベル)の制御信号Vo2を生成する。この制御信号Vo2は、信号生成回路42に供給される。
次に、信号生成回路42の内部構成の一例について説明する。
信号生成回路42は、複数のラッチ回路43〜46を有している。例えば、信号生成回路42は、制御信号Vsw1〜Vsw3に基づいて電圧値が可変される度に、基準電圧Vrefと充電電圧Vo1との比較結果(つまり、制御信号Vo2)を順次ラッチする複数のラッチ回路43〜46を有している。各ラッチ回路43〜46は、例えばリセット端子Rを有するD−フリップフロップ回路(D−FF回路)である。例えば、信号生成回路42は、上記固定容量部15が有するスイッチSW1〜SW4(図3参照)の個数に対応する個数(本例では、4個)のラッチ回路43〜46を有している。すなわち、信号生成回路42内のラッチ回路43〜46の個数は、スイッチSW1〜SW4と接続された単位キャパシタVC9〜VC12の個数と同数となる。
ラッチ回路43〜46のクロック端子には、比較回路41から制御信号Vo2が供給される。ラッチ回路43〜46の入力端子Dには、VCC電源線が接続されており、電源電圧VCCが供給される。ラッチ回路43のリセット端子には、例えばパワーオンリセット信号PORが供給される。ここで、パワーオンリセット信号PORは、電源電圧VCCの投入等の時に該電源電圧VCCが所定電圧以上に達するまで装置全体が動作しないように制御する信号である。例えば、本例のパワーオンリセット信号PORは、電源電圧VCCが所定の電圧に到達するまでの間、Lレベル(例えば、グランドGNDレベル)に維持され、電源電圧VCCが所定電圧以上となった後にHレベル(例えば、電源電圧VCCレベル)に維持される信号である。
ラッチ回路43は、Lレベルのパワーオンリセット信号POR(リセット信号)に応答して、Lレベル(例えば、グランドGNDレベル)固定の制御信号Vsw1を出力端子Qから出力する(リセット状態)。また、ラッチ回路43は、Hレベルのパワーオンリセット信号PORに応答して、リセット状態を解除し、クロック入力(例えば、制御信号Vo2の立ち上がりエッジ)を待つアクティブ状態になる。そして、上記ラッチ回路43は、Hレベルのパワーオンリセット信号PORが入力されている期間に、制御信号Vo2の立ち上がりエッジに応答して、電源電圧VCCレベルの信号をラッチするとともに、電源電圧VCCレベル(Hレベル)の制御信号Vsw1を出力する。この制御信号Vsw1は、上記固定容量部15のスイッチSW1(図3参照)の制御端子と、次段のラッチ回路44のリセット端子Rと、基準電圧生成回路47内のスイッチSW11の制御端子とに供給される。
ラッチ回路44は、Lレベルの制御信号Vsw1(リセット信号)に応答して、Lレベル(例えば、グランドGNDレベル)固定の制御信号Vsw2を出力端子Qから出力する(リセット状態)。また、ラッチ回路44は、前段のラッチ回路43から出力されるHレベルの制御信号Vsw1に応答して、リセット状態を解除し、クロック入力(例えば、制御信号Vo2の立ち上がりエッジ)を待つアクティブ状態になる。そして、上記ラッチ回路44は、Hレベルの制御信号Vsw1が入力されている期間に、制御信号Vo2の立ち上がりエッジに応答して、電源電圧VCCレベルの信号をラッチするとともに、電源電圧VCCレベル(Hレベル)の制御信号Vsw2を出力する。この制御信号Vsw2は、上記固定容量部15のスイッチSW2(図3参照)の制御端子と、次段のラッチ回路45のリセット端子Rと、基準電圧生成回路47内のスイッチSW12の制御端子とに供給される。
ラッチ回路45は、Lレベルの制御信号Vsw2(リセット信号)に応答して、Lレベル(例えば、グランドGNDレベル)固定の制御信号Vsw3を出力端子Qから出力する(リセット状態)。また、ラッチ回路45は、前段のラッチ回路44から出力されるHレベルの制御信号Vsw2に応答して、リセット状態を解除し、クロック入力(例えば、制御信号Vo2の立ち上がりエッジ)を待つアクティブ状態になる。そして、上記ラッチ回路45は、Hレベルの制御信号Vsw2が入力されている期間に、制御信号Vo2の立ち上がりエッジに応答して、電源電圧VCCレベルの信号をラッチするとともに、電源電圧VCCレベル(Hレベル)の制御信号Vsw3を出力する。この制御信号Vsw3は、上記固定容量部15のスイッチSW3(図3参照)の制御端子と、次段のラッチ回路46のリセット端子Rと、基準電圧生成回路47内のスイッチSW13の制御端子とに供給される。
ラッチ回路46は、Lレベルの制御信号Vsw3(リセット信号)に応答して、Lレベル(例えば、グランドGNDレベル)固定の制御信号Vsw4を出力端子Qから出力する(リセット状態)。また、ラッチ回路46は、前段のラッチ回路45から出力されるHレベルの制御信号Vsw3に応答して、リセット状態を解除し、クロック入力(例えば、制御信号Vo2の立ち上がりエッジ)を待つアクティブ状態になる。そして、上記ラッチ回路46は、Hレベルの制御信号Vsw3が入力されている期間に、制御信号Vo2の立ち上がりエッジに応答して、電源電圧VCCレベルの信号をラッチするとともに、電源電圧VCCレベル(Hレベル)の制御信号Vsw4を出力する。この制御信号Vsw4は、上記固定容量部15のスイッチSW4(図3参照)の制御端子に供給される。
次に、基準電圧生成回路47の内部構成の一例について説明する。
基準電圧生成回路47は、複数個(ここでは、5個)の抵抗R1〜R5と、複数個(ここでは、3個)のスイッチSW11,SW12,SW13とを有している。スイッチSW11〜SW13の個数は、例えば上記固定容量部15が有するスイッチSW1〜SW4(図3参照)の個数に対応する個数(本例では、4個)から1を減算した個数に設定されている。すなわち、基準電圧生成回路47内のスイッチSW11〜SW13の個数は、スイッチSW1〜SW4と接続された単位キャパシタVC9〜VC12の個数から1を減算した個数に設定されている。
抵抗R1〜R5は、VCC電源線とグランドGNDとの間に直列に接続されている。本例では、抵抗R1の第1端子がVCC電源線に接続され、抵抗R1の第2端子が抵抗R2の第1端子に接続され、抵抗R2の第2端子が抵抗R3の第1端子に接続されている。また、抵抗R3の第2端子が抵抗R4の第1端子に接続され、抵抗R4の第2端子が抵抗R5の第1端子に接続され、抵抗R5の第2端子がグランドGNDに接続されている。
スイッチSW11〜SW13は、抵抗R1〜R5のうち一部の抵抗R2〜R4とそれぞれ並列に接続されている。すなわち、スイッチSW11は抵抗R2と並列に接続され、スイッチSW12は抵抗R3と並列に接続され、スイッチSW13は抵抗R4と並列に接続されている。
スイッチSW11は、制御信号Vsw1に応じてオンオフ制御される。例えばスイッチSW11は、Lレベルの制御信号Vsw1に応答してオフされ、Hレベルの制御信号Vsw1に応答してオンされる。同様に、スイッチSW12は、制御信号Vsw2に応じてオンオフ制御され、スイッチSW13は、制御信号Vsw3に応じてオンオフ制御される。
そして、抵抗R4(又はスイッチSW13)と抵抗R5との間のノードN4が上記比較回路41の反転入力端子に接続されている。このため、ノードN4の電圧が上記基準電圧Vrefとして比較回路41の反転入力端子に供給される。
基準電圧生成回路47では、スイッチSW11〜SW13のオンオフ動作により、ノードN4の電圧(つまり、基準電圧Vref)の電圧値が可変される。すなわち、基準電圧生成回路47では、スイッチSW11〜SW13のオンオフ動作により、ノードN4とVCC電源線との間の抵抗成分(第1抵抗成分)の抵抗値が可変され、ノードN4に生じる基準電圧Vrefの電圧値が可変される。例えば、スイッチSW11〜SW13が全てオフした場合には、基準電圧Vrefの電圧値V1(図5参照)が最も低くなる。この電圧値V1は、例えば上記キャパシタ33の容量値VCaが設計値(仕様)の+15%以下の値であるか否かを判断するための閾値になる。すなわち、電圧値V1は、キャパシタ33の容量値VCaが設計値の+15%となる場合の上記充電電圧Vo1の変化量ΔVo1と一致する電圧値である。
スイッチSW11〜SW13のうちスイッチSW11のみがオンした場合の基準電圧Vrefの電圧値V2(図5参照)は、上記電圧値V1よりも高くなる。この電圧値V2は、例えば上記キャパシタ33の容量値VCaが設計値の+5%以下の値であるか否かを判断するための閾値になる。スイッチSW11〜SW13のうち2つのスイッチSW11,SW12がオンした場合の基準電圧Vrefの電圧値V3(図6参照)は、上記電圧値V2よりも高くなる。この電圧値V3は、例えばキャパシタ33の容量値VCaが設計値の−5%以下であるか否かを判断するための閾値になる。スイッチSW11〜SW13が全てオンした場合の基準電圧Vrefの電圧値V4(図6参照)は、上記電圧値V3よりも高くなる。この電圧値V4は、例えばキャパシタ33の容量値VCaが設計値の−15%以下であるか否かを判断するための閾値になる。
なお、本実施形態において、VCO回路12は第1回路の一例、固定容量部15は補正対象容量及び容量の一例、電流源31は電流源の一例、電流I2は電流の一例、キャパシタ33は基準容量の一例、制御信号Vsw1〜Vsw4は制御信号の一例である。また、期間TLは所定期間の一例、基準クロック信号CLKは周期信号の一例、周期Tは第1周期の一例、制御信号Vo2は比較結果の一例、電源電圧VCCは第1電源電圧の一例、ラッチ回路43は第1ラッチ回路の一例、ラッチ回路44〜46は第2ラッチ回路の一例である。ラッチ回路43のリセット端子Rは第1リセット端子の一例、ラッチ回路43のクロック端子は第1クロック端子の一例、ラッチ回路43の入力端子Dは第1入力端子の一例である。ラッチ回路44〜46のリセット端子Rは第2リセット端子の一例、ラッチ回路44〜46のクロック端子の一例は第2クロック端子の一例、ラッチ回路44〜46の入力端子Dは第2入力端子の一例である。電源電圧VCCとグランドGNDとの電位差は所定電圧の一例、抵抗R1〜R4は第1抵抗成分の一例、抵抗R5は第2抵抗成分の一例である。
次に、図5及び図6に従って容量制御回路20の動作について説明する。なお、図5及び図6において、縦軸及び横軸は、説明を簡潔にするため、適宜拡大、縮小して示している。以下では、キャパシタ33の容量値VCaの設計値(設計容量)を1pF、各単位キャパシタVC1〜VC12の容量値VCの設計値を1pF、固定容量部15の容量値C15の設計値を10pFに設定した場合について説明する。
まず、図5(a)に従って、キャパシタ33の容量値VCaが製造ばらつきにより設計値(設計容量)に対して+10%の容量値である場合の動作について説明する。このとき、各単位キャパシタVC1〜VC12の容量値VCも、キャパシタ33の容量値VCaと同様に、設計値に対して+10%の容量値となる。このため、キャパシタ33の実際の容量値VCaが1.1pFとなり、各単位キャパシタVC1〜VC12の実際の容量値VCが1.1pFとなる。
今、時刻t1では、パワーオンリセット信号PORがLレベルである。このLレベルのパワーオンリセット信号PORに応答して、ラッチ回路43は、リセット状態となる。このため、制御信号Vo2の信号レベルに関わらず、ラッチ回路43からLレベル固定の制御信号Vsw1が出力される。このLレベルの制御信号Vsw1に応答して、ラッチ回路44は、リセット状態となり、Lレベル固定の制御信号Vsw2を出力する。このLレベルの制御信号Vsw3に応答して、ラッチ回路45は、リセット状態となり、Lレベル固定の制御信号Vsw3を出力する。このLレベルの制御信号Vsw3に応答して、ラッチ回路46は、リセット状態となり、Lレベル固定の制御信号Vsw4を出力する。このように、制御信号Vsw1がLレベルである場合には、ラッチ回路44〜46がリセット状態となるため、残りの制御信号Vsw2〜Vsw4もLレベルとなる。
また、上記Lレベルの制御信号Vsw1〜Vsw3に応答してスイッチSW11〜SW13がオフされる。このため、電源電圧VCCとグランドGNDとの電位差を抵抗R1〜R4と抵抗R5とによって分圧した電圧が基準電圧Vrefとなる。このときの基準電圧Vrefの電圧値はV1となる。
続いて、時刻t2において、パワーオンリセット信号PORがLレベルからHレベルに遷移すると、そのHレベルのパワーオンリセット信号PORに応答して、ラッチ回路43のリセット状態が解除され、ラッチ回路43のみがクロック入力を待つアクティブ状態となる。その一方で、制御信号Vsw1がLレベルであるため、ラッチ回路43以外のラッチ回路44〜46はリセット状態となる。このため、ラッチ回路44〜46では、制御信号Vo2の信号レベルがLレベルからHレベルに遷移した場合であっても、その信号レベルの変化が受け付けられない。
次いで、時刻t3において、基準クロック信号CLKがHレベルからLレベルに遷移すると、そのLレベルの基準クロック信号CLKに基づいてトランジスタ32がオフされる。これにより、充電電圧Vo1が、グランドGNDレベルからキャパシタ33の実際の容量値VCaに基づく傾斜で上昇する。
この充電電圧Vo1が基準電圧Vref(電圧値V1)よりも高くなると(時刻t4参照)、比較回路41からHレベルの制御信号Vo2が出力される。ここで、基準電圧Vrefの電圧値V1は、上述したように、上記キャパシタ33の容量値VCaが設計値の+15%以下であるか否かを判断することのできる値に設定されている。具体的には、基準クロック信号CLKがLレベルとなる期間TLにおいて、充電電圧Vo1が電圧値V1よりも高くなった場合には、キャパシタ33の実際の容量値VCaが設計値の+15%以下であると判断することができる。したがって、本例では、時刻t4において、キャパシタ33における製造ばらつきが設計値の+15%以下であると判断することができる。
また、上記Hレベルの制御信号Vo2に応答して、ラッチ回路43は、電源電圧VCCレベルの信号をラッチするとともに、Hレベルの制御信号Vsw1を出力する。このHレベルの制御信号Vsw1に応答してスイッチSW11がオンされる。このため、基準電圧生成回路47では、電源電圧VCCとグランドGNDとの電位差を抵抗R1,R3,R4と抵抗R5とによって分圧した電圧が基準電圧Vrefとなる。これにより、基準電圧Vrefの電圧値が電圧値V1から電圧値V2に上昇する。このとき、基準電圧Vrefが充電電圧Vo1よりも高くなると(時刻t5)、比較回路41から出力される制御信号Vo2がHレベルからLレベルに遷移する。
また、上記Hレベルの制御信号Vsw1に応答して、ラッチ回路44は、リセット状態が解除され、制御信号Vo2の次の信号レベルの変化(LレベルからHレベルへの遷移)を待つアクティブ状態となる。その一方で、制御信号Vsw2,Vsw3がLレベルであるため、ラッチ回路45,46はリセット状態に維持される。このため、次に制御信号Vo2がLレベルからHレベルに遷移した場合には、制御信号Vsw2の信号レベルのみ変化し、制御信号Vsw3,Vsw4の信号レベルは変化しない。
但し、本例では、充電電圧Vo1が基準電圧Vref(電圧値V2)に到達する前に、基準クロック信号CLKがLレベルからHレベルに遷移する(時刻t6参照)。すると、Hレベルの基準クロック信号CLKに応答してトランジスタ32がオンされるため、充電電圧Vo1がグランドGNDレベルにリセットされる。ここで、基準電圧Vrefの電圧値V2は、上述したように、上記キャパシタ33の容量値が設計値の+5%以下であるか否かを判断することのできる値に設定されている。具体的には、基準クロック信号CLKがLレベルとなる期間TLにおいて、充電電圧Vo1が電圧値V2よりも高くなった場合には、キャパシタ33の実際の容量値VCaが設計値の+5%以下であると判断することができる。一方、上記期間TLにおいて、充電電圧Vo1が電圧値V2に到達しない場合には、キャパシタ33の実際の容量値VCaが設計値の+5%よりも大きいと判断することができる。したがって、本例では、時刻t6において、キャパシタ33における製造ばらつきが設計値の+5%よりも大きく、且つ+15%以下であると判断することができる。
以上説明した動作により、上記期間TLにおける充電電圧Vo1の変化量ΔVo1(つまり、時刻t6における充電電圧の電圧値と時刻t3における充電電圧の電圧値との差分)に基づいて、固定容量部15の容量値C15を制御する制御信号Vsw1〜Vsw4を生成することができる。すなわち、本例のように上記変化量ΔVo1が電圧値V1よりも高く電圧値V2よりも低い場合には、キャパシタ33の容量値VCaが設計値の+5%〜+15%の範囲の値となるため、Hレベルの制御信号Vsw1と、Lレベルの制御信号Vsw2〜Vsw4とが生成される。そして、Hレベルの制御信号Vsw1によりスイッチSW1がオンされ、Lレベルの制御信号Vsw2〜Vsw4によりスイッチSW2〜SW4がオフされる。これにより、固定容量部15が、9個の単位キャパシタVC1〜VC9が並列接続された構成となるため、固定容量部15の容量値C15がVC×9となる。ここで、上述したように、本例における各単位キャパシタVC1〜VC12の実際の容量値VCが1.1pFであるため、固定容量部15の実際の容量値C15が9.9pF(=1.1pF×9)となる。このため、制御信号Vsw1〜Vsw4により固定容量部15の容量値C15を制御することにより、その容量値C15の設計値からの誤差が−1%に抑えられる。このように、製造ばらつきにより各単位キャパシタVC1〜VC12の容量値VCが設計値の+10%になった場合であっても、並列接続する単位キャパシタの個数を調整することにより、固定容量部15の容量値C15の設計値からの誤差(ずれ量)を小さく抑えることができる。
なお、容量制御回路20を有さず固定容量部15の容量値C15が固定の場合には、固定容量部15の実際の容量値C15が11pF(=1.1pF×10)となる。このため、この場合には、固定容量部15の容量値C15が設計値の+10%となる。すなわち、この場合には、製造ばらつきによる各単位キャパシタの容量値の変動がそのまま固定容量部15の容量値C15に反映されてしまう。
また、上記信号生成回路42(ラッチ回路43〜46)では、パワーオンリセット信号PORが次にHレベルからLレベルに遷移するまで、上記設定された制御信号Vsw1〜Vsw4の信号レベルが保持される。すなわち、信号生成回路42では、Hレベルの制御信号Vsw1及びLレベルの制御信号Vsw2〜Vsw4が保持される。
次に、図5(b)に従って、キャパシタ33の容量値VCaが製造ばらつきにより設計値(設計容量)に対して+20%の容量値である場合の動作について説明する。このため、キャパシタ33の実際の容量値VCaが1.2pFとなり、各単位キャパシタVC1〜VC12の実際の容量値VCが1.2pFとなる。
キャパシタ33の容量値VCaが設計値の+20%の場合には、基準クロック信号CLKがLレベルの期間TL(時刻t7〜t8参照)における充電電圧Vo1の単位時間当たりの電圧上昇量が、上述した+10%の場合(図5(a)参照)よりも小さくなる(傾きが緩やかになる)。このため、期間TLにおける充電電圧Vo1の変化量ΔVo1が、上述した+10%の場合(図5(a)参照)よりも小さくなる。これにより、充電電圧Vo1が基準電圧Vref(電圧値V1)に到達する前に、基準クロック信号CLKがLレベルからHレベルに遷移する。すなわち、充電電圧Vo1が電圧値V1まで上昇する前に、期間TLが終了する。このように、期間TLにおいて、充電電圧Vo1が電圧値V1に到達しない場合には、キャパシタ33の実際の容量値VCaが設計値の+15%よりも大きいと判断することができる。このとき、期間TLにおいて、制御信号Vo2は一度もHレベルに遷移しないため、制御信号Vsw1〜Vsw4は初期値であるLレベルに維持される。このため、期間TLにおける充電電圧Vo1の変化量ΔVo1が電圧値V1よりも低い場合(つまり、キャパシタ33の実際の容量値VCaが設計値の+15%以上の場合)には、Lレベルの制御信号Vsw1〜Vsw4とが生成される。そして、Lレベルの制御信号Vsw1〜Vsw4によりスイッチSW1〜SW4がオフされる。これにより、固定容量部15が、8個の単位キャパシタVC1〜VC8が並列接続された構成となるため、固定容量部15の容量値C15がVC×8となる。ここで、上述したように、本例における各単位キャパシタVC1〜VC12の実際の容量値VCが1.2pFであるため、固定容量部15の実際の容量値C15が9.6pF(=1.2pF×8)となる。このため、制御信号Vsw1〜Vsw4により固定容量部15の容量値C15を制御することにより、その容量値C15の設計値からの誤差が−4%に抑えられる。
次に、図6(a)に従って、キャパシタ33の容量値が設計値に一致する場合の動作について説明する。このため、キャパシタ33の実際の容量値VCaが1pFとなり、各単位キャパシタVC1〜VC12の実際の容量値VCが1pFとなる。
今、時刻t10において期間TLが開始されると、充電電圧Vo1が、グランドGNDレベルからキャパシタ33の容量値VCaに基づく傾斜で上昇する。このとき、キャパシタ33の容量値VCaが設計値と一致する値となるため、期間TLにおける充電電圧Vo1の単位時間当たりの電圧上昇量が、上述した+10%の場合(図5(a)参照)よりも大きくなる(傾きが急峻になる)。このため、期間TLにおける充電電圧Vo1の変化量ΔVo1が、上述した+10%の場合(図5(a)参照)よりも大きくなる。
この充電電圧Vo1が基準電圧Vref(電圧値V1)よりも高くなると(時刻t11)、Hレベルの制御信号Vo2が出力され、制御信号Vsw1がHレベルに設定される。このHレベルの制御信号Vsw1に基づいて、基準電圧Vrefが電圧値V1から電圧値V2に上昇され、ラッチ回路44のリセット状態が解除される。
続いて、充電電圧Vo1が基準電圧Vref(電圧値V2)よりも高くなると(時刻t12)、Hレベルの制御信号Vo2が出力される。このHレベルの制御信号Vo2に応答して、ラッチ回路44は、電源電圧VCCレベルの信号をラッチするとともに、Hレベルの制御信号Vsw2を出力する。このHレベルの制御信号Vsw2に応答してスイッチSW12がオンされる。このため、基準電圧生成回路47では、電源電圧VCCとグランドGNDとの電位差を抵抗R1,R4と抵抗R5とによって分圧した電圧が基準電圧Vrefとなる。これにより、基準電圧Vrefの電圧値が電圧値V2から電圧値V3に上昇する。このとき、基準電圧Vrefが充電電圧Vo1よりも高くなると、制御信号Vo2がHレベルからLレベルに遷移する。
また、上記Hレベルの制御信号Vsw2に応答して、ラッチ回路45は、リセット状態が解除され、制御信号Vo2の次の信号レベルの変化(LレベルからHレベルへの遷移)を待つアクティブ状態となる。その一方で、制御信号Vsw3がLレベルであるため、ラッチ回路46はリセット状態に維持される。このため、次に制御信号Vo2がLレベルからHレベルに遷移した場合には、制御信号Vsw3の信号レベルのみ変化し、制御信号Vsw4の信号レベルは変化しない。
但し、本例では、充電電圧Vo1が基準電圧Vref(電圧値V3)に到達する前に、基準クロック信号CLKがLレベルからHレベルに遷移する(時刻t13参照)。すると、Hレベルの基準クロック信号CLKに応答してトランジスタ32がオンされるため、充電電圧Vo1がグランドGNDレベルにリセットされる。ここで、基準電圧Vrefの電圧値V3は、上述したように、上記キャパシタ33の容量値VCaが設計値の−5%以下であるか否かを判断することのできる値に設定されている。具体的には、基準クロック信号CLKがLレベルとなる期間TLにおいて、充電電圧Vo1が電圧値V3よりも高くなった場合には、キャパシタ33の実際の容量値VCaが設計値の−5%以下であると判断することができる。一方、上記期間TLにおいて、充電電圧Vo1が電圧値V3に到達しない場合には、キャパシタ33の実際の容量値VCaが設計値の−5%よりも大きいと判断することができる。したがって、本例では、時刻t13において、キャパシタ33における製造ばらつきが設計値の−5%よりも大きく、且つ+5%以下であると判断することができる。
以上説明した動作により、Hレベルの制御信号Vsw1,Vsw2と、Lレベルの制御信号Vsw3,Vsw4とが生成される。すなわち、上記期間TLにおける充電電圧Vo1の変化量ΔVo1が電圧値V2よりも高く電圧値V3よりも低い場合(つまり、キャパシタ33の実際の容量値VCaが設計値の−5%〜+5%の範囲である場合)には、Hレベルの制御信号Vsw1,Vsw2と、Lレベルの制御信号Vsw3,Vsw4とが生成される。そして、Hレベルの制御信号Vsw1,Vsw2によりスイッチSW1,SW2がオンされ、Lレベルの制御信号Vsw3,Vsw4によりスイッチSW3,SW4がオフされる。これにより、固定容量部15が、10個の単位キャパシタVC1〜VC10が並列接続された構成となるため、固定容量部15の容量値C15がVC×10となる。ここで、上述したように、本例における各単位キャパシタVC1〜VC12の実際の容量値VCが1pFであるため、固定容量部15の実際の容量値C15は10pF(=1pF×10)となる。このため、キャパシタ33の実際の容量値VCaが設計値に一致する場合には、固定容量部15の容量値C15も設計値に一致させることができる。
次に、図6(b)に従って、キャパシタ33の容量値が製造ばらつきにより設計値に対して−10%の容量値である場合の動作について説明する。このため、キャパシタ33の実際の容量値VCaが0.9pFとなり、各単位キャパシタVC1〜VC12の実際の容量値VCが0.9pFとなる。
今、時刻t15において期間TLが開始されると、充電電圧Vo1が、グランドGNDレベルからキャパシタ33の容量値VCaに基づく傾斜で上昇する。このとき、キャパシタ33の容量値VCaが設計値の−10%となるため、期間TLにおける充電電圧Vo1の単位時間当たりの電圧上昇量が、上述した±0%の場合(図6(a)参照)よりも大きくなる(傾きが急峻になる)。このため、期間TLにおける充電電圧Vo1の変化量ΔVo1が、上述した±0%の場合(図6(a)参照)よりも大きくなる。
この充電電圧Vo1が基準電圧Vref(電圧値V1)よりも高くなると(時刻t16)、Hレベルの制御信号Vo2が出力され、制御信号Vsw1がHレベルに設定される。このHレベルの制御信号Vsw1に基づいて、基準電圧Vrefが電圧値V1から電圧値V2に上昇され、ラッチ回路44のリセット状態が解除される。
続いて、充電電圧Vo1が基準電圧Vref(電圧値V2)よりも高くなると(時刻t17)、Hレベルの制御信号Vo2が出力され、制御信号Vsw2がHレベルに設定される。このHレベルの制御信号Vsw2に基づいて、基準電圧Vrefが電圧値V2から電圧値V3に上昇され、ラッチ回路45のリセット状態が解除される。
次いで、充電電圧Vo1が基準電圧Vref(電圧値V3)よりも高くなると(時刻t18)、Hレベルの制御信号Vo2が出力される。このHレベルの制御信号Vo2に応答して、ラッチ回路45は、電源電圧VCCレベルの信号をラッチするとともに、Hレベルの制御信号Vsw3を出力する。このHレベルの制御信号Vsw3に応答してスイッチSW13がオンされる。このため、基準電圧生成回路47では、電源電圧VCCとグランドGNDとの電位差を抵抗R1と抵抗R5とによって分圧した電圧が基準電圧Vrefとなる。これにより、基準電圧Vrefの電圧値が電圧値V3から電圧値V4に上昇する。このとき、基準電圧Vrefが充電電圧Vo1よりも高くなると、制御信号Vo2がHレベルからLレベルに遷移する。
また、上記Hレベルの制御信号Vsw3に応答して、ラッチ回路46は、リセット状態が解除され、制御信号Vo2の次の信号レベルの変化(LレベルからHレベルへの遷移)を待つアクティブ状態となる。
但し、本例では、充電電圧Vo1が基準電圧Vref(電圧値V4)に到達する前に、基準クロック信号CLKがLレベルからHレベルに遷移する(時刻t19参照)。すると、Hレベルの基準クロック信号CLKに応答してトランジスタ32がオンされるため、充電電圧Vo1がグランドGNDレベルにリセットされる。ここで、基準電圧Vrefの電圧値V4は、上述したように、上記キャパシタ33の容量値が設計値の−15%以下であるか否かを判断することのできる値に設定されている。具体的には、基準クロック信号CLKがLレベルとなる期間TLにおいて、充電電圧Vo1が電圧値V4よりも高くなった場合には、キャパシタ33の実際の容量値VCaが設計値の−15%以下であると判断することができる。一方、上記期間TLにおいて、充電電圧Vo1が電圧値V4に到達しない場合には、キャパシタ33の実際の容量値VCaが設計値の−15%よりも大きいと判断することができる。したがって、本例では、時刻t19において、キャパシタ33における製造ばらつきが設計値の−15%よりも大きく、且つ−5%以下であると判断することができる。
以上説明した動作により、Hレベルの制御信号Vsw1,Vsw2,Vsw3と、Lレベルの制御信号Vsw4とが生成される。すなわち、上記期間TLにおける充電電圧Vo1の変化量ΔVo1が電圧値V3よりも高く電圧値V4よりも低い場合(つまり、キャパシタ33の実際の容量値VCaが設計値の−15%〜−5%の範囲である場合)には、Hレベルの制御信号Vsw1,Vsw2,Vsw3と、Lレベルの制御信号Vsw4とが生成される。そして、Hレベルの制御信号Vsw1,Vsw2,Vsw3によりスイッチSW1,SW2,SW3がオンされ、Lレベルの制御信号Vsw4によりスイッチSW4がオフされる。これにより、固定容量部15が、11個の単位キャパシタVC1〜VC11が並列接続された構成となるため、固定容量部15の容量値C15がVC×11となる。ここで、上述したように、本例における各単位キャパシタVC1〜VC12の実際の容量値VCが0.9pFであるため、固定容量部15の実際の容量値C15が9.9pF(=0.9pF×11)となる。このため、制御信号Vsw1〜Vsw4により固定容量部15の容量値C15を制御することにより、その容量値C15の設計値からの誤差が−1%に抑えられる。
次に、図6(c)に従って、キャパシタ33の容量値が製造ばらつきにより設計値に対して−20%の容量値である場合の動作について説明する。このため、キャパシタ33の実際の容量値VCaが0.8pFとなり、各単位キャパシタVC1〜VC12の実際の容量値VCが0.8pFとなる。
今、時刻t20において期間TLが開始されると、充電電圧Vo1が、グランドGNDレベルからキャパシタ33の容量値VCaに基づく傾斜で上昇する。このとき、キャパシタ33の容量値VCaが設計値の−20%となるため、期間TLにおける充電電圧Vo1の単位時間当たりの電圧上昇量が、上述した−10%の場合(図6(b)参照)よりも大きくなる(傾きが急峻になる)。このため、期間TLにおける充電電圧Vo1の変化量ΔVo1が、上述した−10%の場合(図6(b)参照)よりも大きくなる。
この充電電圧Vo1が基準電圧Vref(電圧値V1)よりも高くなると(時刻t21)、Hレベルの制御信号Vo2が出力され、制御信号Vsw1がHレベルに設定される。このHレベルの制御信号Vsw1に基づいて、基準電圧Vrefが電圧値V1から電圧値V2に上昇され、ラッチ回路44のリセット状態が解除される。
続いて、充電電圧Vo1が基準電圧Vref(電圧値V2)よりも高くなると(時刻t22)、Hレベルの制御信号Vo2が出力され、制御信号Vsw2がHレベルに設定される。このHレベルの制御信号Vsw2に基づいて、基準電圧Vrefが電圧値V2から電圧値V3に上昇され、ラッチ回路45のリセット状態が解除される。
次いで、充電電圧Vo1が基準電圧Vref(電圧値V3)よりも高くなると(時刻t23)、Hレベルの制御信号Vo2が出力され、制御信号Vsw3がHレベルに設定される。このHレベルの制御信号Vsw3に基づいて、基準電圧Vrefが電圧値V3から電圧値V4に上昇され、ラッチ回路46のリセット状態が解除される。
続いて、充電電圧Vo1が基準電圧Vref(電圧値V4)よりも高くなると(時刻t24)、Hレベルの制御信号Vo2が出力される。このHレベルの制御信号Vo2に応答して、ラッチ回路46は、電源電圧VCCレベルの信号をラッチするとともに、Hレベルの制御信号Vsw4を出力する。
なお、その後、基準クロック信号CLKがLレベルからHレベルに遷移すると(時刻t25)、充電電圧Vo1がグランドGNDレベルにリセットされる。すると、充電電圧Vo1が基準電圧Vref(電圧値V4)よりも低くなるため、制御信号Vo2がHレベルからLレベルに遷移する。
以上説明した動作により、Hレベルの制御信号Vsw1〜Vsw4が生成される。すなわち、上記期間TLにおける充電電圧Vo1の変化量ΔVo1が電圧値V4よりも高い場合(つまり、キャパシタ33の実際の容量値VCaが設計値の−15%以下である場合)には、Hレベルの制御信号Vsw1〜Vsw4が生成される。そして、Hレベルの制御信号Vsw1〜Vsw4によりスイッチSW1〜SW4がオンされる。これにより、固定容量部15が、12個の単位キャパシタVC1〜VC12が並列接続された構成となるため、固定容量部15の容量値C15がVC×12となる。ここで、上述したように、本例における各単位キャパシタVC1〜VC12の実際の容量値VCが0.8pFであるため、固定容量部15の実際の容量値C15が9.6pF(=0.8pF×12)となる。このため、制御信号Vsw1〜Vsw4により固定容量部15の容量値C15を制御することにより、その容量値C15の設計値からの誤差が−4%に抑えられる。
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)所定期間(ここでは、基準クロック信号CLKがLレベルとなる期間TL)における充電電圧Vo1の変化量ΔVo1に基づいて、制御信号Vsw1〜Vsw4を生成するようにした。このため、例えば期間TLの時間幅を短く設定することにより、制御信号Vsw1〜Vsw4を生成する時間(つまり、固定容量部15の容量値C15を補正する時間)を短くすることができる。これにより、VCO回路12の発振周波数fが安定化するまでの時間を短くすることができる。なお、本例の場合には、基準クロック信号CLKの周期Tの1/2の時間で固定容量部15の容量値C15を補正することができる。
(2)所定期間内で基準電圧Vrefの電圧値を可変するようにし、その基準電圧Vrefと充電電圧Vo1とを1つの比較回路41で比較するようにした。これにより、回路規模を小さくすることができ、さらに低消費電力化に貢献することができる。すなわち、例えば互いに異なる電圧値を有する複数の基準電圧を生成し、それら複数の基準電圧の各々と充電電圧Vo1とを比較する複数の比較回路を設ける場合に比べて、回路規模を小さくすることができ、さらに低消費電力化に貢献することができる。
(3)制御信号Vsw1〜Vsw3に基づいて電圧値が順次変化(V1→V2→V3→V4)する基準電圧Vrefと充電電圧Vo1との比較結果を順次ラッチする複数のラッチ回路43〜46を設けるようにした。すなわち、電圧値V1の基準電圧Vrefと充電電圧Vo1との比較結果をラッチ回路43がラッチし、電圧値V2の基準電圧Vrefと充電電圧Vo1との比較結果をラッチ回路44がラッチする。また、電圧値V3の基準電圧Vrefと充電電圧Vo1との比較結果をラッチ回路45がラッチし、電圧値V4の基準電圧Vrefと充電電圧Vo1との比較結果をラッチ回路46がラッチする。これにより、期間TLにおける充電電圧Vo1の変化量ΔVo1と基準電圧Vrefとの比較結果(つまり、変化量ΔVo1の大きさ)をラッチ回路43〜46に保持することができる。このため、制御信号Vsw1〜Vsw4の信号レベル(つまり、固定容量部15の容量値C15の補正値)を保持するための消費電力を低減することができる。
(4)初段のラッチ回路43のリセット端子Rにパワーオンリセット信号PORを供給し、2段目以降のラッチ回路44〜46のリセット端子Rに、前段のラッチ回路43〜45の出力信号である制御信号Vsw1〜Vsw3を供給するようにした。これにより、ラッチ回路43〜46のリセット状態が1つずつ順番に解除させることができる。詳述すると、まず、Hレベルのパワーオンリセット信号PORに応答してラッチ回路43のリセット状態が解除され、制御信号Vsw1がHレベルになると(つまり、基準電圧Vrefの電圧値が電圧値V1から電圧値V2に可変されると)ラッチ回路44のリセット状態が解除される。以後も同様に、制御信号Vsw2がHレベルになるとラッチ回路45のリセット状態が解除され、制御信号Vsw3がHレベルになるとラッチ回路46のリセット状態が解除される。このように、基準電圧Vrefの電圧値が可変される度に、ラッチ回路44→ラッチ回路45→ラッチ回路46の順番に1つずつリセット状態を解除させることができる。これにより、ラッチ回路43,44,45,46の各々に、各電圧値V1,V2,V3,V4の基準電圧Vrefと充電電圧Vo1との比較結果を確実に保持させることができる。
(5)PLL回路10に使用される基準クロック信号CLKをトランジスタ32に供給するようにした。このため、容量制御回路20のみで使用されるクロック信号を、基準クロック信号CLKと別個に生成する必要がない。
(第2実施形態)
以下、図7〜図10に従って第2実施形態を説明する。先の図1〜図6に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。
図7に示すように、容量制御回路20は、充電電圧生成回路30と、制御信号生成回路40と、それら充電電圧生成回路30及び制御信号生成回路40の動作開始・動作停止を制御する制御回路50とを有している。
制御回路50は、基準クロック信号CLKに基づいて、充電電圧生成回路30及び制御信号生成回路40の動作開始及び動作停止を制御する制御信号SG1を生成する。また、制御回路50は、基準クロック信号CLKに基づいて、充電電圧Vo1の生成開始を制御する制御信号SG2を生成する。
次に、制御回路50の内部構成の一例について説明する。
図8に示すように、制御回路50は、アンド回路51と、D−FF回路52と、遅延回路53と、D−FF回路54と、アンド回路55と、遅延回路56と、ナンド回路57とを有している。
アンド回路51は、基準クロック信号CLKと、パワーオンリセット信号PORとを論理積演算した結果を持つ出力信号S1をD−FF回路52のクロック端子に供給する。
D−FF回路52の入力端子Dには、VCC電源線が接続されており、電源電圧VCCレベルの信号が供給される。D−FF回路52のリセット端子Rには、パワーオンリセット信号PORが供給される。そして、D−FF回路52の出力端子Qから出力信号S2が遅延回路53に出力される。
D−FF回路52は、Lレベルのパワーオンリセット信号POR(リセット信号)に応答して、Lレベル(例えば、グランドGNDレベル)固定の出力信号S2を出力する(リセット状態)。また、D−FF回路52は、Hレベルのパワーオンリセット信号PORに応答して、リセット状態を解除し、クロック入力(例えば、出力信号S1の立ち上がりエッジ)を待つアクティブ状態になる。そして、上記D−FF回路52は、Hレベルのパワーオンリセット信号PORが入力されている期間に、出力信号S1の立ち上がりエッジに応答して、電源電圧VCCレベルの信号をラッチするとともに、電源電圧VCCレベル(Hレベル)の出力信号S2を出力する。
遅延回路53は、出力信号S2を所定時間(例えば、微小時間)だけ遅延させた遅延信号S3を生成する。遅延回路53は、生成した遅延信号S3を、D−FF回路54のリセット端子Rに供給するとともに、アンド回路55に供給する。
D−FF回路54の入力端子Dには、VCC電源線が接続されており、電源電圧VCCレベルの信号が供給される。D−FF回路54のクロック端子には、基準クロック信号CLKが供給される。そして、D−FF回路54の反転出力端子XQから出力信号S4がアンド回路55に出力される。
D−FF回路54は、Lレベルの遅延信号S3(リセット信号)に応答して、Hレベル(例えば、電源電圧VCCレベル)固定の出力信号S4を出力する(リセット状態)。また、D−FF回路54は、Hレベルの遅延信号S3に応答して、リセット状態を解除し、クロック入力(例えば、基準クロック信号CLKの立ち上がりエッジ)を待つアクティブ状態になる。そして、上記D−FF回路54は、Hレベルの遅延信号S3が入力されている期間に、基準クロック信号CLKの立ち上がりエッジに応答して、電源電圧VCCレベルの信号をラッチするとともに、Lレベル(例えば、グランドGNDレベル)の出力信号S4を出力する。
アンド回路55は、遅延回路53から出力される遅延信号S3と、D−FF回路54の出力信号S4とを論理積演算した結果を持つ出力信号S5を遅延回路56に供給する。
遅延回路56は、出力信号S5を所定時間(例えば、微小時間)だけ遅延させた上記制御信号SG1を生成する。遅延回路56は、生成した制御信号SG1をナンド回路57に供給する。
ナンド回路57は、基準クロック信号CLKを論理反転して生成された反転クロック信号XCLKと、制御信号SG1とを否定論理積演算した結果を持つ上記制御信号SG2を生成する。
次に、図9に従って、充電電圧生成回路30の内部構成の一例について説明する。
充電電圧生成回路30は、電流源31と、トランジスタ32と、キャパシタ33と、スイッチ34とを有している。
スイッチ34は、VCC電源線と電流源31の第1端子との間に接続されている。すなわち、スイッチ34の第1端子がVCC電源線に接続され、スイッチ34の第2端子が電流源31の第1端子に接続されている。このスイッチ34の制御端子には、上記制御回路50から制御信号SG1が供給される。スイッチ34は、制御信号SG1に応じてオンオフ制御される。例えば、スイッチ34は、Hレベルの制御信号SG1(例えば、電源電圧VCCレベル)に応答してオンし、Lレベル(例えば、グランドGNDレベル)の制御信号SG1に応答してオフする。
トランジスタ32の制御端子には、上記制御回路50から制御信号SG2が供給される。トランジスタ32は、Hレベル(例えば、電源電圧VCCレベル)の制御信号SG2に応答してオンし、Lレベル(例えば、グランドGNDレベル)の制御信号SG2に応答してオフする。
次に、制御信号生成回路40の内部構成の一例について説明する。
制御信号生成回路40は、比較回路41と、信号生成回路42と、基準電圧生成回路47と、スイッチ48とを有している。
比較回路41には、制御信号SG1が供給される。例えば、比較回路41は、Hレベルの制御信号SG1に応答して動作開始し、Lレベルの制御信号SG1に応答して動作を停止する。
スイッチ48は、基準電圧生成回路47とグランドGNDとの間に接続されている。例えば、スイッチ48は、抵抗R5の第2端子とグランドGNDとの間に接続されている。すなわち、スイッチ48の第1端子が抵抗R5の第2端子に接続され、スイッチ48の第2端子がグランドGNDに接続されている。このスイッチ48の制御端子には、上記制御回路50から制御信号SG1が供給される。スイッチ48は、制御信号SG1に応じてオンオフ制御される。例えば、スイッチ48は、Hレベルの制御信号SG1に応答してオンし、Lレベルの制御信号SG1に応答してオフする。
本実施形態において、制御回路50及びスイッチ34,48は停止回路の一例である。
次に、図10に従って容量制御回路20(特に、制御回路50)の動作について説明する。なお、図10において、縦軸及び横軸は、説明を簡潔にするため、適宜拡大、縮小して示している。
今、図10(a)に示す時刻t30では、遅延回路56からLレベルの制御信号SG1が出力され、ナンド回路57からHレベルの制御信号SG2が出力されている。このときの充電電圧生成回路30では、Lレベルの制御信号SG1に応答してスイッチ34がオフされるとともに、Hレベルの制御信号SG2に応答してトランジスタ32がオンされる。スイッチ34がオフされると、電流源31がVCC電源線から切り離されるため、電流源31による電流I2の供給が停止される。また、このとき、トランジスタ32がオン状態であるため、キャパシタ33が放電される放電状態が維持される。換言すると、充電電圧生成回路30は、Lレベルの制御信号SG1に応答して動作が停止されている。一方、制御信号生成回路40では、Lレベルの制御信号SG1に応答して、比較回路41の動作が停止されるとともに、基準電圧生成回路47内のスイッチ48がオフされる。スイッチ48がオフされると、基準電圧生成回路47がグランドGNDから切り離されるため、基準電圧生成回路47の動作が停止状態となる。
続いて、時刻t31において、基準クロック信号CLKがHレベルである期間にパワーオンリセット信号PORがLレベルからHレベルに遷移すると、アンド回路51の出力信号S1がLレベルからHレベルに遷移する。また、D−FF回路52は、Hレベルのパワーオンリセット信号POR及び出力信号S1の立ち上がりエッジに応答して、電源電圧VCCレベルの信号をラッチし、Hレベルの出力信号S2を出力する。この出力信号S2のLレベルからHレベルへの遷移から所定時間経過すると(時刻t32参照)、遅延信号S3がLレベルからHレベルに遷移される。このHレベルの遅延信号S3に応答して、D−FF回路54は、リセット状態が解除され、クロック入力(ここでは、基準クロック信号CLKの次の立ち上がりエッジ)を待つアクティブ状態となる。
また、上記Hレベルの遅延信号S3と、D−FF回路54から出力されるHレベルの出力信号S4とに応答して、アンド回路55の出力信号S5がLレベルからHレベルに遷移する。この出力信号S5のLレベルからHレベルへの遷移から所定時間経過すると(時刻t33参照)、制御信号SG1がLレベルからHレベルに遷移される。
このHレベルの制御信号SG1に応答して、充電電圧生成回路30内のスイッチ34がオンされ、電流源31による電流I2の供給が開始される。これにより、充電電圧生成回路30の動作が開始される。また、Hレベルの制御信号SG1に応答して、制御信号生成回路40内のスイッチ48がオンされ、基準電圧生成回路47による基準電圧Vrefの生成が開始される。さらに、Hレベルの制御信号SG1に応答して、比較回路41の動作が開始される。
次いで、時刻t34において、基準クロック信号CLKがHレベルからLレベルに遷移すると、つまり反転クロック信号XCLKがLレベルからHレベルに遷移すると、ナンド回路57からLレベルの制御信号SG2が出力される。このLレベルの制御信号SG2に応答して、トランジスタ32がオフされ、キャパシタ33の充電動作が開始される。これにより、制御信号生成回路40において、固定容量部15の容量値C15を制御(補正)する制御信号Vsw1〜Vsw4が生成される。
その後、時刻t35において、基準クロック信号CLKがLレベルである期間TLが終了すると、つまり基準クロック信号CLKがLレベルからHレベルに遷移すると、ナンド回路57からHレベルの制御信号SG2が出力される。また、D−FF回路54は、基準クロック信号CLKの立ち上がりエッジに応答して、電源電圧VCCレベルの信号をラッチし、Lレベルの出力信号S4を出力する。このLレベルの出力信号S4の立ち下がりエッジから所定時間経過すると(時刻t36)、制御信号SG1がHレベルからLレベルに遷移する。このLレベルの制御信号SG1に応答して、充電電圧生成回路30の動作が停止されるとともに、比較回路41及び基準電圧生成回路47の動作が停止される。
このように、本例の制御回路50は、キャパシタ33の充電電圧Vo1に基づいて制御信号Vsw1〜Vsw4を生成する期間TLが開始される前に、充電電圧生成回路30、比較回路41及び基準電圧生成回路47の動作を開始させるHレベルの制御信号SG1を生成する。また、本例の制御回路50は、上記期間TLが終了した後に、充電電圧生成回路30、比較回路41及び基準電圧生成回路47の動作を停止させるLレベルの制御信号SG1を生成する。これにより、制御信号Vsw1〜Vsw4が生成された後、つまり固定容量部15の容量値C15が補正された後に、容量制御回路20における消費電流を大幅に低減することができる。さらに、本例の制御回路50は、制御信号SG1がHレベルの期間にのみLレベルの制御信号SG2を生成する。
ここで、図10(b)に示すように、制御回路50では、基準クロック信号CLKがLレベルの期間にパワーオンリセット信号PORがHレベルに遷移した場合には(時刻t37参照)、上記Lレベルの期間(時刻t37〜t38参照)において出力信号S1〜S5及び制御信号SG1,SG2の信号レベルが遷移しない。詳述すると、パワーオンリセット信号PORがHレベルに遷移した場合に、基準クロック信号CLKがLレベルである場合には、アンド回路51の出力信号S1がLレベルに維持されるとともに、その出力信号S1がHレベルに遷移するまではD−FF回路52の出力信号S2がLレベルに維持される。このため、遅延信号S3もLレベルに維持され、アンド回路55の出力信号S5もLレベルに維持される。したがって、遅延回路56から出力される制御信号SG1がLレベルに維持されるため、ナンド回路57から出力される制御信号SG2がHレベルに維持される。
その後の時刻t38以降は図10(a)で説明した動作と同様にして制御信号SG1,SG2が生成される。すなわち、基準クロック信号CLKがHレベルの期間に、制御信号SG1がLレベルからHレベルに遷移され(時刻t39)、基準クロック信号CLKの次のLレベルの期間TLに、制御信号SG2がHレベルからLレベルに遷移される(時刻t40)。そして、基準クロック信号CLKの次のHレベルの期間に、制御信号SG2がLレベルからHレベルに遷移された後に、制御信号SG1がHレベルからLレベルに遷移される(時刻t41)。
以上説明した実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(5)の効果に加えて以下の効果を奏することができる。
(6)充電電圧Vo1の変化量ΔVo1に基づいて制御信号Vsw1〜Vsw4を生成する期間TLが終了した後に、充電電圧生成回路30、比較回路41及び基準電圧生成回路47の動作を停止させるようにした。これにより、制御信号Vsw1〜Vsw4が生成された後、つまり固定容量部15の容量値C15が補正された後に、容量制御回路20における消費電流を大幅に低減することができる。
(7)基準クロック信号CLKがHレベルの期間に、制御信号SG1がLレベルからHレベルに遷移され、基準クロック信号CLKの次のLレベルの期間TLに、制御信号SG2がHレベルからLレベルに遷移されるようにした。そして、基準クロック信号CLKの次のHレベルの期間に、制御信号SG2がLレベルからHレベルに遷移されるとともに、制御信号SG1がHレベルからLレベルに遷移されるようにした。これにより、基準クロック信号CLKがLレベルの期間に、パワーオンリセット信号PORがLレベルからHレベルに遷移する場合であっても、制御信号SG2のLレベルの期間が短くなることを抑制できる。
(他の実施形態)
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・上記各実施形態では、信号生成回路42内の初段のラッチ回路43のリセット端子Rにパワーオンリセット信号PORを供給するようにしたが、これに限定されない。
例えば図11に示すように、基準クロック信号CLKの立ち上がりエッジに同期して信号レベルがLレベルからHレベルに遷移し(時刻t50参照)、それ以降その信号レベル(つまり、Hレベル)を保持する信号PORaを生成し、その信号PORaをラッチ回路43のリセット端子Rに供給するようにしてもよい。また、基準クロック信号CLKの立ち下がりエッジに同期して上記信号PORaを生成するようにしてもよい。
・上記各実施形態における基準電圧生成回路47では、電源電圧VCCとグランドGNDとの電位差を、ノードN4とVCC電源線との間の第1抵抗成分(抵抗R1〜R4)と、ノードN4とグランドGNDとの間の第2抵抗成分(抵抗R5)とによって分圧して基準電圧Vrefを生成している。そして、基準電圧生成回路47では、上記第1抵抗成分の抵抗値を可変させることにより、基準電圧Vrefの電圧値を可変させるようにした。これに限らず、例えば上記第2抵抗成分の抵抗値を可変させることにより、基準電圧Vrefの電圧値を可変させるようにしてもよい。また、例えば上記第1抵抗成分の抵抗値と上記第2抵抗成分の抵抗値の双方を可変させることにより、基準電圧Vrefの電圧値を可変させるようにしてもよい。
・上記各実施形態では、電圧値可変の基準電圧Vrefと充電電圧Vo1とを1つの比較回路41で比較するようにした。これに限らず、例えば1つの比較回路41の代わりに、互いに異なる電圧値を有する複数の基準電圧を生成し、それら複数の基準電圧の各々と充電電圧Vo1とを比較する複数の比較回路を設けるようにしてもよい。例えば、電圧値V1の基準電圧と充電電圧Vo1とを比較する第1比較回路と、電圧値V2の基準電圧と充電電圧Vo1とを比較する第2比較回路と、電圧値V3の基準電圧と充電電圧Vo1とを比較する第3比較回路と、電圧値V4の基準電圧と充電電圧Vo1とを比較する第4比較回路とを設けるようにしてもよい。この場合には、例えば第1比較回路の出力信号をラッチ回路43でラッチし、第2比較回路の出力信号をラッチ回路44でラッチし、第3比較回路の出力信号をラッチ回路45でラッチし、第4比較回路の出力信号をラッチ回路46でラッチすることができる。この場合には、ラッチ回路43〜46のリセット端子Rを省略することができる。
また、上記第1〜第4比較回路の出力信号をそれぞれ上記制御信号Vsw1〜Vsw4としてもよい。この場合には、ラッチ回路43〜46(信号生成回路)を省略することができる。
・上記各実施形態の充電電圧生成回路30では、単位キャパシタVC1〜VC12とは別のキャパシタ33を設けるようにした。これに限らず、例えば単位キャパシタVC1〜VC12のうちの一部の単位キャパシタを充電電圧生成回路30に利用してもよい。すなわち、この場合の充電電圧生成回路30は、上記一部の単位キャパシタに電流I2を供給し、上記一部の単位キャパシタの充電電圧Vo1を比較回路41に供給する。なお、この場合には、上記一部の単位キャパシタが基準容量の一例となる。
・上記第2実施形態の制御回路50では、制御信号SG1と併せて、キャパシタ33の充電動作の開始を制御する制御信号SG2を生成するようにしたが、制御信号SG2の生成を省略してもよい。この場合には、トランジスタ32の制御端子には、基準クロック信号CLKを供給する。
・上記第2実施形態におけるスイッチ34を省略してもよい。
・上記第2実施形態におけるスイッチ48を省略してもよい。
・上記第2実施形態における比較回路41への制御信号SG1の供給を省略してもよい。
・上記第2実施形態の制御回路50において生成される制御信号SG1は、充電電圧Vo1の変化量ΔVo1に基づいて制御信号Vsw1〜Vsw4を生成する期間TLの終了後にLレベルに保持される信号であれば十分である。例えば、上記期間TLの前の信号レベルは特に限定されない。
・上記各実施形態における基準電圧Vrefの電圧値V1,V2,V3,V4を、キャパシタ33の実際の容量値VCaが設計値の+15%,+5%,−5%,−15%である場合の充電電圧Vo1の期間TLにおける変化量ΔVo1に一致する値に設定した。しかし、上記電圧値V1,V2,V3,V4はこれに限定されない。例えば電圧値V1,V2,V3,V4を、キャパシタ33の実際の容量値VCaが設計値の+20%,+10%,±0%,−10%である場合の充電電圧Vo1の期間TLにおける変化量ΔVo1に一致する値に設定してもよい。
・上記各実施形態では、固定容量部15内のスイッチSW1〜SW4を、それぞれの対応する単位キャパシタVC9〜VC12の両側に設けているが、片側だけに設けるようにしてもよい。但し、回路の寄生容量の影響をより効果的に低減するためには、図3に示したように単位キャパシタVC9〜VC12の両側に設ける方が好ましい。
・上記各実施形態では、スイッチSW1〜SW4と接続される単位キャパシタVC9〜VC12の個数を「4」とし、その個数に合わせて制御信号Vsw1〜Vsw4の個数を「4」とした。さらに、上記個数に合わせて、基準電圧Vrefの電圧値を「4段階」に可変させるようにした。これらの個数は「4」に限定されない。例えば、上記個数を多くすることにより、固定容量部15の容量値C15のばらつき補正のステップを細かくすることができる。あるいは、固定容量部15の容量値C15の補正可能な範囲を広げることができる。
・上記各実施形態では、PLL回路10で使用される基準クロック信号CLKを容量制御回路20でも利用するようにした。これに限らず、基準クロック信号CLKの代わりに、基準クロック信号CLKとは別のクロック信号(周期信号)を容量制御回路20で利用するようにしてもよい。このようなクロック信号は、例えば容量制御回路20内で生成するようにしてもよいし、容量制御回路20の外部で生成するようにしてもよい。
・上記各実施形態では、第1回路の一例としてVCO回路12を挙げたが、これに限定されない。例えば、補正対象容量を含む第1回路としては、VCO回路以外の発振回路や、GMCフィルタ等のフィルタ回路、タイマ回路、遅延回路、増幅回路などを挙げることができる。