JP2015022090A - 液晶光学素子および液晶光学素子の製造方法 - Google Patents

液晶光学素子および液晶光学素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
光学的に高品質な液晶光学素子をより簡便に製造することにある。
【解決手段】
当該液晶光学素子は、対向配置され、少なくとも一方が可撓性を有する一対の基板と、前記一対の基板に狭持され、該一対の基板の法線方向から見たときに、該一対の基板の周縁に沿って閉じた形状で設けられ、内側側面が外側に向かって窪む凹部を有するシール部材と、前記一対の基板および前記シール部材により画定される空間に封入される液晶部材と、を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液晶光学素子、およびその製造方法に関する。
一対の基板と、該一対の基板に狭持される液晶部材と、該液晶部材の横溢を抑止するシール部材と、を含む液晶セルは、光学素子や表示素子などに応用されている。たとえば特許文献1,2には、液晶セル内にプリズムを形成し、光偏向を行う液晶光学素子が提案されている。特許文献1に記載される液晶光学素子は、車両用灯具に利用され、特許文献2に記載される液晶光学素子は、立体表示装置に利用されている。また、たとえば特許文献3には、プレート状の基板上にシール枠を形成し、該シール枠内に液晶部材を配置し、該シール枠内の空気を押し出すようにしてロール状の基板(フィルム基板ないしフレキシブル基板)を貼合して製造される液晶表示装置が提案されている。
特開2006−147377号公報 特開2012−133128号公報 特許5067972号公報
本発明の主な目的は、光学的に高品質な液晶光学素子をより簡便に製造することにある。
本発明の一観点によれば、対向配置され、少なくとも一方が可撓性を有する一対の基板と、前記一対の基板に狭持され、該一対の基板の法線方向から見たときに、該一対の基板の周縁に沿って閉じた形状で設けられ、内側側面が外側に向かって窪む凹部を有するシール部材であって、該凹部を有する第1の縁部と、該第1の縁部に対向する第2の縁部と、該第1および第2の縁部の一端側および他端側とそれぞれ連続する第3および第4の縁部と、を含む該シール部材と、前記一対の基板および前記シール部材により画定される空間に封入される液晶部材と、を備える液晶光学素子、が提供される。
本発明の他の観点によれば、a)第1の領域を有するフィルム状またはプレート状の第1の基板、および、該第1の基板と貼合した際に、該第1の領域と対向する第2の領域を有するフィルム状の第2の基板、を準備する工程と、b)前記第1の基板表面に、前記第1の領域を囲うシール部材を形成するか、または、前記第2の基板表面に、前記第2の領域を囲うシール部材を形成する工程であって、実線部および切れ目部を含む破線状の第1の縁部と、前記第1の縁部に対向する第2の縁部と、前記第1および第2の縁部の一端側および他端側とそれぞれ連続する第3および第4の縁部と、を有する前記シール部材を形成する工程と、c)前記第1の基板の第1の領域内に、液晶部材を滴下する工程と、d)前記第1および第2の基板を、前記シール部材および前記液晶部材を挟んで、前記第1および第2の領域が対向するように貼合する工程であって、前記第1および第2の基板は、前記シール部材の第2の縁部側から第1の縁部側に向かって貼合され、前記第1および第2の基板の貼合によって前記第1の縁部の実線部が押し潰されて、前記第1の縁部の切れ目部が閉塞することにより、前記第1および第2の基板、ならびに、前記シール部材により画定される空間に前記液晶部材が封入される工程と、を有する液晶光学素子の製造方法、が提供される。
光学的に高品質な液晶光学素子をより簡便に得ることができる。
図1A〜図1Cは、実施例による液晶光学素子を示す断面図、平面図および拡大平面図である。 図2Aは、フィルム基板にプリズムを形成する様子を示す断面図であり、図2Bは、フィルム基板にプリズムを形成する際に用いるロール状金型を示す斜視図である。 図3Aは、フィルム基板にスペーサを形成する様子を示す断面図であり、図3Bは、フィルム基板にスペーサを形成する際に用いるロール状金型を示す斜視図である。 図4A〜図4Cは、スペーサ基板にシール部材を形成する様子を示す断面図、平面図および拡大平面図である。 図5Aおよび図5Bは、スペーサ基板に液晶部材を滴下する様子を示す断面図および平面図である。 および、 図6A〜図6Cは、プリズム基板とスペーサ基板とを貼り合せる様子を示す断面図および平面図であり、図6Dは、プリズム基板およびスペーサ基板を貼り合わせた後のシール枠および液晶部材を示す観察写真である。 図7Aおよび図7Bは、シール部材およびそのシール部材を押し潰して形成したシール枠の他の例を示す拡大平面図である。
以下、図1を参照して、本発明の実施例による液晶光学素子1の構造および光学的機能について説明する。
図1Aおよび図1Bは、液晶光学素子1を概略的に示す断面図および平面図である。なお、図中に示す各構成要素の相対的なサイズは、実際のものとは異なっている。
液晶光学素子1は、図1Aに示すように、主に、対向配置され、可撓性(フレキシブル性)を有する上側および下側基板10,20と、上側および下側基板10,20に狭持されるシール枠30および液晶部材40と、を備える構成である。なお、シール枠30は、図1Bに示すように、上側および下側基板10,20の周縁に沿って閉じた形状で設けられており、液晶部材40は、上側および下側基板10,20、ならびに、シール枠30により画定される空間41に封入されている。
なお、図1Bにおいて、上側基板10は破線により示されており、また、便宜的に、上側および下側基板10,20は上下方向にずらして示されている。さらに、シール枠30は斜線模様によって示され、液晶部材40は斑点模様によって示されている。
上側基板10は、たとえば、上側ベースフィルム11aの表面に、上側電極11bおよび複数のプリズム12pを含む光機能層12が積層する構成を有する。なお、上側ベースフィルム11aおよび上側電極11bは、上側フィルム基板11を構成する。
また、下側基板20は、たとえば、下側ベースフィルム21aの表面に、下側電極21bおよび突起体(スペーサ)22pを含む突起層22が積層する構成を有する。なお、下側ベースフィルム21aおよび下側電極21bは、下側フィルム基板21を構成する。
上側および下側ベースフィルム11a,21aには、たとえば、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタレート(PET)などで形成された、透光性を有するプラスチックフィルムが用いられる。また、上側および下側電極11b,21bは、たとえば、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)、グラフェンなど、透光性および導電性を有する部材により構成される。なお、上側および下側電極11b,21bは、所望の平面形状に成形(パターニング)されていてもよい。
光機能層12は、たとえば、紫外線硬化型の透光性樹脂部材により構成される。光機能層12は、たとえば、一方向に延在する複数のプリズム12pがピッチ20μm程度で配列する片鋸状の形状を有する。また、光機能層12を構成する個々のプリズム12pは、たとえば、底角15°および90°,頂角75°,高さ5μm程度の三角柱状である。なお、光機能層12は、プリズムに限らず、たとえばフレネルレンズなどにより構成されていてもよい。
突起層22は、たとえば、紫外線硬化型の透光性樹脂部材により構成される。突起層22を構成する突起体(スペーサ)22pは、上側基板10(光機能層12)にまで到達しており、上側および下側基板10,20の間隔(セル厚)を規定する。突起体22pは、たとえば直径10μm〜15μm,高さ10μm程度の円柱状である。また、突起体22pは、下側フィルム基板21面内に一様に分布しており、単位面積を占める突起体22pの面積の割合(密度)は、たとえば3.9%程度である。
シール枠30は、たとえば、紫外線硬化型の透光性樹脂部材により構成される。シール枠30は、たとえば、第1〜第4の枠縁部31〜34を有する矩形枠状の全体的平面形状を有する。第1および第2の枠縁31,32は相互に対向しており、第1および第2の枠縁31,32の一端側に第3の枠縁33が接続し、第1および第2の枠縁31,32の他端側に第4の枠縁34が接続している。
第1〜第4の枠縁31〜34のうちいずれか1つの枠縁部、たとえば第1の枠縁部31は、波線状に成形されており、残りの枠縁部、つまり第2〜第4の枠縁部32〜34は、略直線状に成形されている。なお、光機能層22のプリズム22pは、シール枠30の第1および第2の枠縁部31,32をわたす方向Apに延在して設けられている。
図1Cは、第1の枠縁部31を拡大して示す平面図である。第1の枠縁部31の内側側面には、シール枠30の外側に向かって窪む微小な凹部31xが形成されている。内側側面の凹部31xに相対する外側側面は、シール枠30の外側に向かって膨らむように成形されている。第1の枠縁部31に、このような内側側面が窪み、外側側面が膨らむ部分(閉塞部)が形成される過程については、後述する(図6)。
図1Aおよび図1Bに戻って説明を続ける。
液晶部材40は、たとえば、誘電率異方性が正(Δε>0)であるネマチック液晶により構成される。上側および下側基板10,20、ならびに、シール枠30により画定される空間41には、空気(気泡)が混入していないことが好ましく、液晶部材40が充満していることが好ましい。
上側および下側基板10,20の間隙に配置されるシール枠30および液晶部材40を、便宜的に、封止液晶層50と呼ぶこととする。実施例では、上側および下側基板10,20の間隙に、単一の封止液晶層50が配置された構成を示すが、複数の封止液晶層50が配列する構成であってもかまわない。
なお、光機能層12表面ないし突起層22表面には、配向処理(ラビング処理等)が施された配向膜を設けてもかまわない。配向膜には、たとえばポリイミドなどを用いることができる。
電圧無印加状態(定常状態)における液晶部材40の屈折率が、電圧印加状態(上側および下側電極11b,21bの間に電圧を印加した状態)における液晶部材40の屈折率と異なっており、また、光機能層12(プリズム12p)の屈折率と等しい場合を想定する。
電圧無印加状態において、液晶部材40の屈折率はプリズム12pの屈折率と等しいため、液晶光学素子1に入射される光は偏向されずに直進する。一方、電圧印加状態において、液晶部材40の屈折率はプリズム12pの屈折率と異なるため、液晶光学素子1に入射される光は、プリズム12pおよび液晶部材40の界面(傾斜面)において屈折し、偏向される。
なお、電圧無印加状態における液晶部材40の屈折率は、プリズム12pの屈折率と異なっていてもかまわない。電圧無印加状態における液晶部材40およびプリズム12pの屈折率差と、電圧印加状態における液晶部材40およびプリズム12pの屈折率差と、が異なっていればよい。
このように、液晶光学素子1は、光偏向制御素子として利用することができる。このような液晶光学素子1は、各種照明装置、車両用前照灯、(例えば、携帯電子機器、ゲーム機器、パーソナルコンピュータ、立体表示機器等の)液晶表示装置用バックライト、各種ストロボ等に応用することができる。
以下、図2〜図6を参照して、液晶光学素子1の製造方法について説明する。実施例において、液晶光学素子1は、シート状のフィルム基板(フレキシブル基板)を所定の方向に搬送しながら各種部材の形成や加工などを逐次的に行う、いわゆるロールトゥロール方式と呼ばれる方式に基づいて製造される。
最初に、ベースフィルム(図1Aにおける上側および下側ベースフィルム11a,21aに相当)表面に電極(図1Aにおける上側および下側電極11b,21bに相当)が形成されたシート状のフィルム基板11,21(図1Aにおける上側および下側フィルム基板11,21に相当)を2枚準備する。必要に応じて、フィルム基板11,21表面の電極を、エッチング法やレーザアブレーション法などにより、所望の平面形状にパターニングしておく。
なお、ベースフィルムには、たとえば、ポリカーボネートやPETなどで形成されたプラスチックフィルムを用いることができる。また、電極には、たとえば、ITOやIZO、グラフェンなどを用いることができる。
次に、図2Aおよび図2Bを参照して、フィルム基板11に光機能層12を形成する工程について説明する。図2Aおよび図2Bは、フィルム基板11表面に光機能層12を形成する様子を示す断面図、および、光機能層12を形成する際に用いる、プリズム(三角柱状)パターンが形成されたロール状金型102を示す斜視図である。
図2Aに示すように、まず、シート状のフィルム基板11を長さ方向に、たとえば0.1m/s程度の速度で搬送しながら、供給ヘッド(インクジェットヘッド,ディスペンサ等)101により、フィルム基板11上(ベースフィルム表面に形成された電極上)に、光機能層12を構成する樹脂部材12aを塗布する。樹脂部材12aには、たとえば、アクリル系やアリル系、エポキシ系などの紫外線硬化性樹脂を用いることができる。
続いて、フィルム基板11上に塗布された樹脂部材12aを、ニップロール103によりロール状金型102に押し付けて、ロール状金型102を回転させながら、樹脂部材12aにプリズムパターンを転写する。その後、フィルム基板11側から樹脂部材12aに、紫外線照射装置104から出射される紫外線を照射して、樹脂部材12aを硬化させる。これにより、フィルム基板11表面に複数のプリズム12pを含む光機能層12が形成される。以降、光機能層12(プリズム12p)が形成されたフィルム基板11を、プリズム基板10と呼ぶこととする。
図2Bに示すように、ロール状金型102は円柱状の全体形状を有し、その側面には、円周方向に延在し、回転軸方向に配列する複数の三角柱状体が設けられている。三角柱状体は、たとえば、高さが5μm、頂角が75°、底角が15°および90°であり、ピッチが約20μmで配列している。このようなロール状金型102を用いて、三角柱状体のパターンを樹脂部材12aに転写することにより、当該三角柱状体に対応するプリズム12pが、フィルム基板11の搬送方向に沿って延在し、当該搬送方向と直交する方向に配列する光機能層12を得ることができる。なお、プリズムが延在する方向を調整したい場合、また、光機能層としてフレネルレンズなどを形成したい場合には、それらのパターンに対応したロール状金型を用いればよい。
次に、図3Aおよび図3Bを参照して、フィルム基板21に突起層22を形成する工程について説明する。図3Aおよび図3Bは、フィルム基板21表面に突起層22を形成する様子を示す断面図、および、突起層22を形成する際に用いる、突起(円柱穴状)パターンが形成されたロール状金型202を示す斜視図である。
図3Aに示すように、まず、シート状のフィルム基板21を長さ方向に、たとえば0.1m/s程度の速度で搬送しながら、供給ヘッド(インクジェットヘッド,ディスペンサ等)201により、フィルム基板21上(ベースフィルム表面に形成された電極上)に、突起層22を構成する樹脂部材22aを塗布する。樹脂部材22aには、たとえば、アクリル系やアリル系、エポキシ系などの紫外線硬化性樹脂を用いることができる。
続いて、フィルム基板21上に塗布された樹脂部材22aを、ニップロール203によりロール状金型202に押し付けて、ロール状金型202を回転させながら、樹脂部材22aに突起パターンを転写する。その後、フィルム基板21側から樹脂部材22aに、紫外線照射装置204から出射される紫外線を照射して、樹脂部材22aを硬化させる。これにより、フィルム基板21表面に複数の突起体22pを含む突起層22が形成される。以降、突起層22(突起体ないしスペーサ22p)が形成されたフィルム基板21を、スペーサ基板20と呼ぶこととする。
図3Bに示すように、ロール状金型202は円柱状の全体形状を有し、その側面には、複数の円柱穴が分布して設けられている。円柱穴は、たとえば、深さが10μm程度、直径が10〜15μmであり、単位面積を占める円柱穴の面積の割合(密度)は、1%〜10%、たとえば3.9%程度である。このようなロール状金型202を用いて、円柱穴のパターンを樹脂部材22aに転写することにより、フィルム基板22表面に当該円柱穴に対応した突起体(スペーサ)22pが一様に分布する突起層22を得ることができる。
次に、図4A〜図4Cを参照して、プリズム基板10およびスペーサ基板20のいずれか一方の基板、たとえばスペーサ基板20に、シール枠30を構成するシール部材30aを形成する工程について説明する。図4Aおよび図4Bは、スペーサ基板20表面にシール部材30aを塗布(パターニング)する様子を示す断面図および平面図であり、図4Cは、シール部材30aの一部を拡大して示す平面図である。
図4Aに示すように、引き続きスペーサ基板20を長さ方向に搬送しながら、供給ヘッド(インクジェットヘッド,ディスペンサ等)205により、スペーサ基板20上(フィルム基板表面に形成された突起層上)にシール部材30aを塗布する。シール部材30aには、紫外線硬化性樹脂部材を用いることができる。なお、シール部材30aの高さ(厚み)は、0.1mm程度である。
図4Bに示すように、スペーサ基板20上に塗布されるシール部材30aは、第1〜第4の縁部31a〜34aを含み、矩形枠状の全体的平面形状を有する。シール部材30aの全体的平面形状は、たとえば、各縁部の幅Wが1mm程度であり、一辺の長さDが50mm程度の正方形状である。
第1の縁部31aは、実線部31bおよび切れ目部31cを含む破線状であり、スペーサ基板20の搬送方向に対して後方に形成される。第2の縁部32aは、第1の縁部31aと対向し、スペーサ基板20の搬送方向に対して前方に形成される。第3の縁部33aは、第1および第2の縁部31a,32aの一端側に、スペーサ基板20の搬送方向に沿って形成される。第4の縁部34aは、第1および第2の縁部31a,32aの他端側に、スペーサ基板20の搬送方向に沿って形成される。
図4Cに示すように、第1の縁部31aは、実線部31bおよび切れ目部31cを含む。個々の実線部31bは、両端の幅Hが中央の幅Wよりも広く、両端がシール部材30aの外側に向かって張り出る凹状の平面形状を有している。なお、実線部31bの両端の幅Hは2mm程度であり、中央の幅Wは1mm程度である。また、実線部31bの長さ(ないし切れ目部31cの間隔)Lは10mm程度であり、切れ目部31cの長さ(ないし実線部31bの間隔)Bは2mm程度である。
次に、図5Aおよび図5Bを参照して、スペーサ基板20のシール部材30aに囲まれる領域に、液晶部材40を滴下する工程について説明する。図5Aおよび図5Bは、スペーサ基板20表面のシール部材30aに囲まれた領域に液晶部材40を滴下する様子を示す断面図および平面図である。
図5Aに示すように、引き続きスペーサ基板20を長さ方向に搬送しながら、供給ヘッド(インクジェットヘッド,ディスペンサ等)206から、スペーサ基板20上のシール部材30aに囲まれる領域に、液晶部材40を滴下する。液晶部材40には、たとえばΔε>0のネマチック液晶を用いることができる。
図5Bに示すように、液晶部材40は、スペーサ基板20の搬送方向に対してより前方に、つまりシール部材30aの第2の縁部32aに近い領域に集中して滴下されることが好ましい。これは、後工程(図6)でスペーサ基板20にプリズム基板10を貼り合わせた際に、プリズム基板10、スペーサ基板20およびシール部材30a(シール枠30)により画定される液晶充填空間に空気(気泡)が残留しにくくなるためである。
なお、液晶部材40は、シール部材30aが形成されていない基板、つまりプリズム基板10に滴下されてもかまわない。この場合、液晶部材40は、プリズム基板10表面であって、後工程(図6)でプリズム基板10およびスペーサ基板20を貼り合わせた際に、シール部材30aの第2の縁部32aに近い領域に滴下されることが好ましい。
ただし、液晶部材40をプリズム基板10に滴下する場合、液晶部材40がプリズムの溝に沿って一定の方向に流動してしまう可能性がある。これにより、プリズム基板10およびスペーサ基板20を貼り合わせた際、液晶充填空間に均等に液晶部材40が充填されない可能性がある。したがって、液晶部材40は、スペーサ基板20に滴下することが好ましいであろう。
次に、図6A〜図6Cを参照して、プリズム基板10とスペーサ基板20とを貼り合わせて、プリズム基板10、スペーサ基板20およびシール部材30a(シール枠30)により画定される液晶充填空間41に液晶部材40を封入する工程について説明する。図6A〜図6Cは、プリズム基板10とスペーサ基板20とを貼り合せる様子を示す断面図および平面図である。
図6Aに示すように、引き続きプリズム基板10およびスペーサ基板20を搬送しながら、シール部材30aおよび液晶部材40を挟み込むように、プリズム基板10をスペーサ基板20に貼り合せる。その際、プリズム基板10およびスペーサ基板20は、ニップロール301により加圧されながら、搬送方向に対して前方から後方に向かって、つまりシール部材30aの第2の縁部32a側から第1の縁部31a側に向かって貼合される。その後、プリズム基板10側からシール部材30aに、紫外線照射装置302から出射される紫外線を照射して、シール部材30aを硬化させる(シール枠30)。
図6Bに示すように、プリズム基板10およびスペーサ基板20は、シール部材30aの第2の縁部32a側から第1の縁部31a側に向かって貼合される。このとき、シール部材30aは、プリズム基板10およびスペーサ基板20にかかる圧力により押し潰される。また、液晶部材40は、シール部材30aの第2の縁部32aから第1の縁部31aに向かって広げられる。
プリズム基板10およびスペーサ基板20の貼合が、シール部材30aの第1の縁部31aにまで到達したとき、余剰な液晶部材40は、空気とともに、切れ目部31cから枠状のシール部材30a(シール枠30)の外側に押し出される。そして、実線部31bがプリズム基板10およびスペーサ基板20にかかる圧力によって押し潰されることにより、切れ目部31cが閉塞する。
図6Cに示すように、シール枠30において、押し潰される前の切れ目部31cに対応する位置には、内側側面が外側に向かって窪む凹部31xが形成される。また、当該凹部31xに相対する外側側面は、外側に向かって膨らむように成形される。なお、シール枠30の外側には、余剰な液晶部材40が若干付着している。
以上により、プリズム基板10、スペーサ基板20および押し潰された後に紫外線が照射されたシール部材30a、つまりシール枠30により画定される液晶充填空間41に、空気(気泡)を残すことなく、液晶部材40を封入することができる。なお、液晶充填空間41に気泡が残留することをさらに抑制するために、プリズム基板10およびスペーサ基板20の貼合を、低圧環境下ないし真空環境下で実施してもかまわない。
図6Dは、図6Cに示す液晶光学素子において、シール枠の第1の枠縁部と第3の枠縁部とが連結する部分を拡大して示す観察写真である。なお、この観察写真は、液晶光学素子の表裏面に一対の偏光板を配設して撮影されたものである。
図中において、相対的に暗く示されている部分がシール枠に対応し、縦方向に延在する波線状の枠縁部が第1の枠縁部31に、第1の枠縁部31と連続して横方向に延在する直線状の枠縁部が第3の枠縁部33に対応する。また、相対的に明るく示されている部分が、液晶部材40に対応する。
この観察写真から、シール枠の第1の枠縁部31において、内側側面がシール枠の外側に向かって窪む凹部31xが形成されていることがわかる。この凹部31xは、押し潰される前の切れ目部31cに対応する部分である。また、当該凹部31xに相対する外側側面は、シール枠の外側に向かって膨らむように成形されていることがわかる。
さらに、シール枠の内側および外側の一部には液晶部材40が配設されていることがわかる。シール枠の外側に付着している液晶部材40は、押し潰される前の切れ目部31cから流出した余剰な液晶部材である。
シール枠の内側に気泡が残留している場合、つまりシール枠内の液晶部材40に気泡が混入している場合、その気泡は暗い像として出現する。しかしながら、この観察写真によれば、そのような暗い像は確認することができない。このことにより、シール枠の内側には気泡が残留しておらず、液晶部材40が充満していることがわかる。
図6Cに戻って、液晶光学素子を完成させる工程について説明する。搬送方向に対して前方側および後方側のプリズム基板10およびスペーサ基板20を切断し、シール枠30の外側にはみ出した液晶部材40を洗浄して除去する。これにより、液晶光学素子1が完成する(図1Aおよび図1B参照)。
従来のロールトゥロール方式を用いた液晶光学素子の製造方法では、貼合・切断したプリズム基板およびスペーサ基板の側端面に、液晶部材を封止するためのシール部材(エンドシール部材)を別途設ける必要があった。しかしながら、実施例による液晶光学素子の製造方法では、プリズム基板およびスペーサ基板の貼合の際に、同時的に、プリズム基板、スペーサ基板およびシール部材により画定される空間に液晶部材を封入することができる。つまり、エンドシール部材を設けるための工程が不要であり、液晶光学素子をより簡便に製造することができる。
また、プリズム基板およびスペーサ基板を、シール部材の断続的に形成された縁部に向かって貼合することにより、当該縁部の切れ目部から余剰な液晶部材とともに空気が押し出されるため、液晶部材が封入される空間には空気(気泡)が残留しにくい。このため、光学的に品質が高い液晶光学素子を製造することができる。
なお、完成した液晶光学素子1において、プリズム基板10に形成されるプリズム12pは、シール枠30の第1の枠縁部31から第2の枠縁部32に向かって延在している。しかしながら、プリズム12pが延在する方向は、この方向に限らず、たとえばシール枠30の第3の枠縁部33から第4の枠縁部34に向かう方向でもかまわない。ただし、本発明者らによる検討によれば、液晶部材40に混入しうる気泡の抑制の観点から、プリズム12pが延在する方向は、シール枠30の第1の枠縁部31から第2の枠縁部32に向かう方向が好ましいことがわかっている。
また、実施例では、ロールトゥロール方式に基づく液晶光学素子の製造方法について説明したが、他の方式に基づいて液晶光学素子を製造してもかまわない。このとき、プリズム基板ないしスペーサ基板のどちらか一方の基板を、可撓性を有さないプレート状の基板にしてもよい。プレート状の基板を用いる場合には、プレート状の基板に液晶部材を滴下して、当該基板にフィルム状の基板を、図6で説明したように、貼り合せることになるであろう。
図7Aおよび図7Bは、断続的に形成されるシール部材の第1の縁部、および、当該シール部材を押し潰してシール枠とした際の第1の枠縁部の他の例を示す拡大平面図である。
断続的に形成されるシール部材30aの第1の縁部31aにおいて、その実線部31bの平面形状は、凹状に限らず、図7Aに示すように、たとえばダンベル(亜鈴)状であってもかまわない。実線部31bの平面形状は、両端の幅Hが中間の幅Wよりも広い形状であればよい。なお、切れ目部31cの最適な寸法(幅Bないし間隔L)は、シール部材の高さや基板貼合圧力、液晶部材の性質(粘性等)などによって異なるため、製造条件に合わせて適宜調整することが好ましいであろう。
シール部材30aの実線部31bをダンベル状とし、プリズム基板10およびスペーサ基板20を図6で説明したように貼合した場合、シール部材30aが押し潰されて形成されるシール枠30の第1の枠縁部31は、図7Bに示すような形状となる。つまり、内側側面がシール枠30の外側に向かって窪む凹部31xを含み、その凹部31xに相対する外側側面がシール枠30の内側に向かって窪むような形状となる。なお、凹部31xは、押し潰される前の切れ目部31cに対応している。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
1…液晶光学素子、10…上側(プリズム)基板、11…上側フィルム基板、11a…上側ベースフィルム、11b…上側電極、12…光機能層(プリズム層)、12p…プリズム、12a…紫外線硬化性樹脂部材、20…下側(スペーサ)基板、21…下側フィルム基板、21a…下側ベースフィルム、21b…下側電極、22…突起層、22p…突起体(スペーサ)、22a…紫外線硬化性樹脂部材、30…シール枠、31〜34…第1〜第4の縁部、31x…凹部、30a…シール部材、31a〜34a…第1〜第4の縁部、31b…実線部、31c…切れ目部、40…液晶部材、41…液晶充填空間、50…封止液晶層、101…樹脂部材供給ヘッド、102…ロール状金型、103…ニップロール、104…紫外線照射装置、201…樹脂部材供給ヘッド、202…ロール状金型、203…ニップロール、204…紫外線照射装置、205…シール部材供給ヘッド、206…液晶部材供給ヘッド、301…ニップロール、302…紫外線照射装置。

Claims (5)

  1. 対向配置され、少なくとも一方が可撓性を有する一対の基板と、
    前記一対の基板に狭持され、該一対の基板の法線方向から見たときに、該一対の基板の周縁に沿って閉じた形状で設けられ、内側側面が外側に向かって窪む凹部を有するシール部材であって、該凹部を有する第1の縁部と、該第1の縁部に対向する第2の縁部と、該第1および第2の縁部の一端側および他端側とそれぞれ連続する第3および第4の縁部と、を含む該シール部材と、
    前記一対の基板および前記シール部材により画定される空間に封入される液晶部材と、
    を備える液晶光学素子。
  2. さらに、前記一対の基板のうちいずれか一方の基板の表面に設けられ、前記シール部材の第1の縁部から第2の縁部に向かって延在する複数のプリズムと、を備える請求項1記載の液晶光学素子。
  3. a)第1の領域を有するフィルム状またはプレート状の第1の基板、および、該第1の基板と貼合した際に、該第1の領域と対向する第2の領域を有するフィルム状の第2の基板、を準備する工程と、
    b)前記第1の基板表面に、前記第1の領域を囲うシール部材を形成するか、または、前記第2の基板表面に、前記第2の領域を囲うシール部材を形成する工程であって、実線部および切れ目部を含む破線状の第1の縁部と、前記第1の縁部に対向する第2の縁部と、前記第1および第2の縁部の一端側および他端側とそれぞれ連続する第3および第4の縁部と、を有する前記シール部材を形成する工程と、
    c)前記第1の基板の第1の領域内に、液晶部材を滴下する工程と、
    d)前記第1および第2の基板を、前記シール部材および前記液晶部材を挟んで、前記第1および第2の領域が対向するように貼合する工程であって、前記第1および第2の基板は、前記シール部材の第2の縁部側から第1の縁部側に向かって貼合され、前記第1および第2の基板の貼合によって前記第1の縁部の実線部が押し潰されて、前記第1の縁部の切れ目部が閉塞することにより、前記第1および第2の基板、ならびに、前記シール部材により画定される空間に前記液晶部材が封入される工程と、
    を有する液晶光学素子の製造方法。
  4. 前記工程c)において、前記液晶部材は、前記第1の基板の第1の領域内であって、前記工程d)で前記第1および第2の基板を貼合した際に、前記シール部材の第2の縁部に近い領域に滴下される請求項3記載の液晶光学素子の製造方法。
  5. 前記工程a)において、前記第2の基板は、該第2の基板表面に設けられ、一方向に延在する複数のプリズムを含み、
    前記工程d)において、前記第1および第2の基板を貼合した際に、前記プリズムは、前記シール部材の第1の縁部から第2の縁部に向かって延在している請求項3または4記載の液晶光学素子の製造方法。
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