JP2015021035A - 再剥離用水分散型アクリル系粘着剤組成物、粘着シート及び光学部材 - Google Patents

再剥離用水分散型アクリル系粘着剤組成物、粘着シート及び光学部材 Download PDF

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Abstract

【課題】良好なピックアップ性及び良好なカール調整性を発揮する粘着シートの粘着剤層を形成する再剥離用水分散型アクリル系粘着剤組成物を提供する。
【解決手段】上記再剥離用水分散型アクリル系粘着剤組成物は、アクリルエマルション系重合体、非水溶性架橋剤、アセチレンジオール系化合物及びエーテル基含有ポリシロキサンを含有し、
上記アクリルエマルション系重合体が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びカルボキシル基含有不飽和単量体を必須の原料モノマーとして構成され、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量が原料モノマー全量に対して70〜99.5重量%であり、上記カルボキシル基含有不飽和単量体の含有量が原料モノマー全量に対して0.5〜10.0重量%であり、
上記非水溶性架橋剤の含有量が上記アクリルエマルション系重合体100重量部に対してX重量部であり、上記エーテル基含有ポリシロキサンの含有量がアクリルエマルション系重合体100重量部に対してY重量部であり、下記式(1)で求められる値(A)が3以上であることを特徴とする。
値(A)=X+(Y×3) (1)
【選択図】なし

Description

本発明は、再剥離が可能な粘着剤層を形成し得る水分散型アクリル系粘着剤組成物に関する。また、該粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する粘着シート、及び、該粘着シートが貼付された光学部材に関する。
偏光板、位相差板、反射防止板などの光学フィルムをはじめとする光学部材(光学材料)の製造・加工工程においては、表面の傷、汚れ防止、切断加工性向上、クラック抑制などの目的で、表面保護フィルムが、光学部材の表面に貼付されて用いられている。これら表面保護フィルムとしては、プラスチックフィルム基材の表面に再剥離性の粘着剤層を設けた、再剥離性の粘着シートが用いられている(特許文献1、2参照)。
特開2008−69261号公報 特開平11−116927号公報
このような表面保護フィルムは、表面が高極性の光学部材(例えば、高極性表面の偏光板など)に対しては、良好なピックアップ性(表面保護フィルムが貼付された光学部材において光学部材より表面保護フィルムを引き剥がす際における、きっかけの取りやすさを示す性質)を発揮した。しかし、表面が低極性の光学部材(例えば、低極性表面の偏光板など)に対しては、良好なピックアップ性を発揮できない場合があった。
このため、貼付面が高極性の被着体に加えて、貼付面が低極性の被着体に対しても、良好なピックアップ性を発揮できる粘着シート及び該粘着シートの有する粘着剤層を形成する粘着剤組成物が求められている。
また、表面保護フィルムには、光学部材に貼付した際に、表面保護フィルムを貼付した光学部材において不必要なカールや意図しないカール(カールとは反り返る現象をいい、例えば平板状のものがどちらか一方の面側に全体的に反り返る現象、平板状のものが全体的に波打つように反り返る現象など)を生じないことが強く求められてきている。カールを生じやすい光学部材が多く用いられるようになってきており、不必要なカールや意図しないカールの発生は光学部材が用いられた製品(例えば、液晶パネルなど)を作製する工程において不良を生じる原因となるからである。
このため、粘着シートを貼付した被着体(例えば、光学部材など)において不必要なカールや意図しないカールの発生を調整できる粘着シート及び該粘着シートの有する粘着剤層を形成する粘着剤組成物が求められている。
しかし、上記ピックアップ性と上記のカール調整とは、トレードオフの関係であり、両特性を満足するものは得られていないのが現状である。
従って、本発明の目的は、貼付面の極性にかかわらず良好なピックアップ性を発揮でき、かつ、良好なカール調整性を発揮できる粘着シートの粘着剤層を形成する再剥離用水分散型アクリル系粘着剤組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、貼付面の極性にかかわらず良好なピックアップ性を発揮でき、かつ、良好なカール調整性を発揮できる粘着シート、及び、該粘着シートが貼付されている光学部材を提供することにある。
そこで、本発明者らが、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、水分散型アクリル系粘着剤組成物を、特定の原料モノマーを構成モノマー成分とするアクリルエマルション系重合体、非水溶性架橋剤、エーテル基含有ポリシロキサン及びアセチレンジオール系化合物を含み、上記非水溶性架橋剤の含有量と上記エーテル基含有ポリシロキサンの含有量との関係が特定の関係を有する組成物とすると、貼付面が低極性であっても、貼付面が高極性であっても、良好なピックアップ性を発揮でき、かつ、良好なカール調整性を発揮できる粘着シートの粘着剤層を形成できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、アクリルエマルション系重合体、非水溶性架橋剤、アセチレンジオール系化合物及びエーテル基含有ポリシロキサンを含有し、
上記アクリルエマルション系重合体が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びカルボキシル基含有不飽和単量体を必須の原料モノマーとして構成され、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量が原料モノマー全量に対して70〜99.5重量%であり、上記カルボキシル基含有不飽和単量体の含有量が原料モノマー全量に対して0.5〜10.0重量%であり、
上記非水溶性架橋剤の含有量が上記アクリルエマルション系重合体100重量部に対してX重量部であり、上記エーテル基含有ポリシロキサンの含有量がアクリルエマルション系重合体100重量部に対してY重量部であり、下記式(1)で求められる値(A)が3以上であることを特徴とする再剥離用水分散型アクリル系粘着剤組成物を提供する。
値(A)=X+(Y×3) (1)
上記アクリルエマルション系重合体は、分子中にラジカル重合性官能基を有する反応性乳化剤を用いて重合された重合体であることが好ましい。
上記非水溶性架橋剤の含有量は、上記アクリルエマルション系重合体100重量部に対して2.15〜3.0重量部であることが好ましい。
上記エーテル基含有ポリシロキサンの含有量は、上記アクリルエマルション系重合体100重量部に対して0.16〜0.50重量部であることが好ましい。
さらに、本発明は、上記再剥離用水分散型アクリル系粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有することを特徴とする粘着シートを提供する。
さらに、本発明は、上記粘着シートが貼付されていることを特徴とする光学部材を提供する。
本発明の再剥離用水分散型アクリル系粘着剤組成物によれば、貼付面の極性にかかわらず良好なピックアップ性を発揮でき、かつ、良好なカール調整性を発揮できる粘着シートの粘着剤層を形成できる。
また、本発明の粘着シートは、上記再剥離用水分散型アクリル系粘着剤組成物により形成された粘着剤層を有するので、貼付面の極性にかかわらず良好なピックアップ性を発揮でき、かつ、良好なカール調整性を発揮できる。
[再剥離用水分散型アクリル系粘着剤組成物]
本発明の再剥離用水分散型アクリル系粘着剤組成物は、アクリルエマルション系重合体、非水溶性架橋剤、アセチレンジオール系化合物、エーテル基含有ポリシロキサンを少なくとも含有する。本明細書では、本発明の再剥離用水分散型アクリル系粘着剤組成物を、単に、「本発明のアクリル系粘着剤組成物」と称する場合がある。
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、「水分散型」の粘着剤組成物である。なお、「水分散型」とは、水性媒体に分散可能なことをいう。すなわち、本発明のアクリル系粘着剤組成物は、水性媒体に分散可能な粘着剤組成物である。上記水性媒体は、水を必須成分とする媒体(分散媒)であり、水単独のほかに、水と水溶性有機溶媒との混合物であってもよい。なお、本発明のアクリル系粘着剤組成物は、上記水性媒体を用いた分散液であってもよい。
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、粘着シートが有する粘着剤層を形成する組成物である。本発明のアクリル系粘着剤組成物により形成された粘着剤層を有する粘着シートは、再剥離性を有し、被着体に貼付後剥がす際に、粘着シートの破壊や被着体の破壊を生じることなく、粘着剤を被着体表面に残さないで剥がすことができる。なお、本明細書では、「粘着テープ又はシート(感圧接着性テープ又はシート)」を、単に「粘着テープ(感圧接着性テープ)」や「粘着シート(感圧性接着性シート)」と称する場合がある。
(アクリルエマルション系重合体)
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、アクリルエマルション系重合体を少なくとも含有する。上記アクリルエマルション系重合体は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、「アクリル及び/又はメタクリル」を意味する。
本発明のアクリル系粘着剤組成物中のアクリルエマルション系重合体の含有量は、特に限定されないが、本発明のアクリル系粘着剤組成物の固形分全量(固形分全重量、100重量%)に対して、80重量%以上であることが好ましく、より好ましくは85重量%以上である。
上記アクリルエマルション系重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びカルボキシル基含有不飽和単量体を必須の原料モノマーとして形成される重合体である。いいかえれば、上記アクリルエマルション系重合体は、構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びカルボキシル基含有不飽和単量体を少なくとも含有する。
また、上記アクリルエマルション系重合体では、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量が原料モノマー全量に対して70〜99.5重量%であり、上記カルボキシル基含有不飽和単量体の含有量が原料モノマー全量に対して0.5〜10.0重量%である。いいかえれば、上記アクリルエマルション系重合体では、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量が上記アクリルエマルション系重合体を構成するモノマー成分全量(全重量、100重量%)に対して70〜99.5重量%であり、上記カルボキシル基含有不飽和単量体の含有量が上記アクリルエマルション系重合体を構成するモノマー成分全量(全重量、100重量%)に対して0.5〜10.0重量%である。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アクリルエマルション系重合体を構成する主たるモノマー成分であり、主に接着性、剥離性などの粘着剤(又は粘着剤層)としての基本特性を発現する役割を担う。中でも、アクリル酸アルキルエステルはベースポリマーとなるアクリルエマルション系重合体に柔軟性を付与し、粘着剤層に密着性、粘着性を発現させる効果を発揮する傾向があり、メタクリル酸アルキルエステルはベースポリマーとなるアクリルエマルション系重合体に硬さを与え、粘着剤層の再剥離性を調節する効果を発揮する傾向がある。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、特に限定されないが、炭素数が1〜20の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく挙げられる。なお、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
中でも、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、炭素数が1〜16の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルが好ましく挙げられる。上記アクリル酸アルキルエステルにおいて、アルキル基の炭素数の上限は、より好ましくは12以下、さらに好ましくは10以下である。一方、上記アルキル基の炭素数の下限は、より好ましくは2以上、さらに好ましくは4以上である。
上記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸1−メチルエチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸s−ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ペンタデシル、アクリル酸ヘキサデシルなどが挙げられる。中でも、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−ブチルが好ましい。なお、上記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
さらに、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、炭素数が1〜16のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルが好ましく挙げられる。上記メタクリル酸アルキルエステルにおいて、アルキル基の炭素数の上限は、より好ましくは12以下、さらに好ましくは10以下である。
上記メタクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸1−メチルエチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸s−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸イソノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸ヘキサデシルなどの直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルが挙げられる。さらには、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ボルニル、メタクリル酸イソボルニル等の脂環式のメタクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。中でも、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルが好ましい。なお、上記メタクリル酸アルキルエステルは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記アクリルエマルション系重合体は、本発明のアクリル系粘着剤組成物により形成された粘着剤層において、非水溶性架橋剤のハジキを少なくして、良好な被着体に対する密着性(特に凹凸面に対する密着性や追従性)を得る点より、原料モノマーとしての(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アクリルエステルとを含むことが好ましい。特に、原料モノマーとして、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルと直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルとを含むことがより好ましく、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−ブチルからなる群より選択される少なくとも一つの直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルと、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルからなる群より選択される少なくとも一つの直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルとを含むことがさらに好ましい。
上記アクリルエマルション系重合体の原料モノマーとしてアクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アクリルエステルとを併用する場合、その割合(重量基準)は、特に限定されないが、(アクリル酸アルキルエステル)/(メタクリル酸アクリルエステル)で、99/1〜70/30が好ましく、より好ましくは99/1〜80/20である。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、アクリルエマルション系重合体を構成する原料モノマーの総量(全量)(全原料モノマー)(100重量%)に対して70〜99.5重量%である。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量の上限は、より好ましくは99重量%以下、さらに好ましくは98重量%以下である。また、その下限は、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは85重量%以上である。上記含有量が70重量%未満であると、アクリル系粘着剤組成物により形成された粘着剤層の接着性や再剥離性が低下する場合がある。一方、上記含有量が99.5重量%を超えるとカルボキシル基含有不飽和単量体の含有量が低下することにより、アクリル系粘着剤組成物により形成された粘着剤層の投錨性、低汚染性やエマルションの安定性が低下する場合がある。
上記アクリルエマルション系重合体は、原料モノマーとして、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとともに、カルボキシル基含有不飽和単量体を含有する。上記カルボキシル基含有不飽和単量体は、アクリルエマルション系重合体からなるエマルション粒子表面に保護層を形成し、粒子の剪断破壊を防ぐ機能を発揮することができる。これはカルボキシル基を塩基で中和することによってさらに向上する。なお、粒子の剪断破壊に対する安定性は、より一般的には機械的安定性という。また、カルボキシル基と反応する多官能化合物(例えば、多官能性エポキシ化合物)を1種あるいは2種以上組み合わせることで、水除去による粘着剤層形成段階での架橋点としても作用することもできる。さらに多官能化合物を介し、密着性(投錨性)を向上させることもできる。
上記カルボキシル基含有不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸(アクリル酸、メタクリル酸)、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレートなどが挙げられる。なお、カルボキシル基含有不飽和単量体には、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有不飽和単量体も含むものとする。これらの中でも、粒子表面での相対濃度が高く、より高密度な保護層を形成し易いことから、アクリル酸が好ましい。なお、上記カルボキシル基含有不飽和単量体は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記カルボキシル基含有不飽和単量体の含有量は、上記アクリルエマルション系重合体を構成する原料モノマーの全量(全原料モノマー)(100重量%)に対して0.5〜10.0重量%である。
上記カルボキシル基含有不飽和単量体の含有量の上限は、5.0重量%以下が好ましく、より好ましくは4.0重量%以下である。また、その下限は、1.0重量%以上が好ましく、より好ましくは2.0重量%以上である。上記含有量が10重量%を超える場合には、カルボキシル基含有不飽和単量体(例えば、アクリル酸)は一般的に水溶性であるため、水中で重合して増粘(粘度増加)を引き起こす場合がある。さらには、粘着剤組成物から粘着剤層を形成した後、被着体表面の官能基との相互作用が増大して、経時で粘着力が増大、剥離が困難となり、ピックアップ性が低下する場合がある。一方、上記含有量が0.5重量%未満では、エマルション粒子の機械的安定性が低下する場合がある。また、密着性(投錨性)が低下し、糊残りの原因となる場合がある。
上記アクリルエマルション系重合体は、構成するモノマー成分(原料モノマー)として、特定の機能付与を目的として、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び上記カルボキシル基含有不飽和単量体とともに、「その他のモノマー」(上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルや上記カルボキシル基含有不飽和単量体以外の他のモノマー成分)を含んでいてもよい。なお、上記その他のモノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
例えば、上記アクリルエマルション系重合体は、凝集力向上の目的で、原料モノマーとして、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマーやN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマーからなる群より選択される少なくとも1つのその他のモノマーを、上記アクリルエマルション系重合体を構成する原料モノマーの全量(全原料モノマー)(100重量%)に対して、0.1〜15重量%含有していてもよい。
また、上記アクリルエマルション系重合体は、屈折率調整、リワーク性などの目的で、原料モノマーとして、(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;スチレン等のスチレン系モノマーからなる群より選択される少なくとも1つのその他のモノマーを、上記アクリルエマルション系重合体を構成する原料モノマーの全量(全原料モノマー)(100重量%)に対して、15重量%以下含有していてもよい。
さらに、上記アクリルエマルション系重合体は、エマルション粒子内架橋および凝集力向上の目的で、原料モノマーとして、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマーやトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンからなる群より選択される少なくとも1つの多官能モノマーを、上記アクリルエマルション系重合体を構成する原料モノマーの全量(全原料モノマー)(100重量%)に対して、5重量%未満含有していてもよい。
さらにまた、上記アクリルエマルション系重合体は、ヒドラジド系架橋剤を併用してヒドラジド架橋を形成し、特に低汚染性を向上させる目的で、原料モノマーとして、ダイアセトンアクリルアミド(DAAM)、アリルアセトアセテート、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート等のケト基含有不飽和単量体を、上記アクリルエマルション系重合体を構成する原料モノマーの全量(全原料モノマー)(100重量%)に対して、10重量%未満(好ましくは0.5〜5重量%)含有していてもよい。
他にも、上記他のモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル等のヒドロキシル基含有不飽和単量体が挙げられる。なお、上記ヒドロキシル基含有不飽和単量体は、単独では又は2種以上組み合わせて用いられる。
上記ヒドロキシル基含有不飽和単量体の含有量は、白化汚染をより低減する観点からは少ない方が好ましい。具体的には、上記ヒドロキシル基含有不飽和単量体の含有量は、上記アクリルエマルション系重合体を構成する原料モノマーの全量(全原料モノマー)(100重量%)に対して、1重量%未満が好ましく、より好ましくは0.1重量%未満、さらに好ましくは実質的に含まないこと(例えば、0.05重量%未満)である。ただし、水酸基とイソシアネート基の架橋や金属架橋の架橋等の架橋点の導入を目的とする場合には、0.01〜10重量%であってもよい。
特に、上記アクリル系エマルション系重合体は、本発明のアクリル系粘着剤組成物より得られる粘着シートや本発明のアクリル系粘着剤組成物から形成された粘着剤層の外観を向上させる点より、構成するモノマー成分(原料モノマー)として、メタクリル酸メチル、イソボルニルアクリレート、N,N−ジエチルアクリルアミド及び酢酸ビニルからなる群より選ばれた少なくとも1つのモノマーを含有することが好ましく、特にメタクリル酸メチルを含有することが好ましい。アクリルエマルション系重合体を構成する原料モノマーの総量(全原料モノマー)(100重量%)中の、上記モノマー(メタクリル酸メチル、イソボルニルアクリレート、N,N−ジエチルアクリルアミド及び酢酸ビニルからなる群より選ばれたモノマー)の含有量は、0.5〜15重量%が好ましく、より好ましくは1〜10重量%、さらに好ましくは2〜5重量%である。上記含有量が0.5重量%未満であると外観を向上させる効果が得られない場合があり、また、上記含有量が15重量%を超えると粘着剤組成物により形成される粘着剤層が、密着性の低下を引き起こす場合がある。なお、アクリルエマルション系重合体を構成する原料モノマー中に、メタクリル酸メチル、イソボルニルアクリレート、N,N−ジエチルアクリルアミド及び酢酸ビニルからなる群より選ばれた2以上のモノマーが含まれる場合には、メタクリル酸メチル、イソボルニルアクリレート、N,N−ジエチルアクリルアミド及び酢酸ビニルの含有量の合計量(合計含有量)が上記の範囲を満たせばよい。
上記アクリルエマルション系重合体は、上記原料モノマーを重合することにより得られる。具体的には、上記アクリルエマルション系重合体は、上記原料モノマーを少なくとも含む混合物(モノマー混合物)を重合させることにより得られることが好ましい。また、その重合方法は、特に限定されないが、エマルション重合が好ましい。例えば、上記アクリルエマルション系重合体は、上記原料モノマー及び乳化剤(界面活性剤)を含む混合物を、エマルション重合させることにより得られることが好ましい。上記混合物は必要に応じて重合開始剤を含んでいてもよく、また、上記アクリルエマルション系重合体の分子量を調整する点より、連鎖移動剤が含まれていてもよい。
上記乳化剤は、特に限定されないが、乳化剤由来の汚染を低減する点より、反応性乳化剤(反応性界面活性剤)が好ましい。上記反応性乳化剤は、反応性を有し、原料モノマーと反応して重合体(重合体内)に取り込まれる乳化剤のことをいう。なお、上記乳化剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記反応性乳化剤としては、特に限定されないが、分子中にラジカル重合性官能基を有する反応性乳化剤が好ましい。つまり、上記アクリルエマルション系重合体は、分子中にラジカル重合性官能基を有する反応性乳化剤を用いて重合された重合体であることが好ましい。なお、本明細書では、「分子中にラジカル重合性官能基を有する反応性乳化剤」を単に「反応性乳化剤」と称する場合がある。
上記の分子中にラジカル重合性官能基を有する反応性乳化剤におけるラジカル重合性官能基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ビニルエーテル基(ビニルオキシ基)、アリルエーテル基(アリルオキシ基)などが挙げられる。
上記反応性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどのノニオンアニオン系乳化剤(非イオン性の親水性基を持つアニオン系乳化剤)にプロペニル基やアリルエーテル基等のラジカル重合性官能基(ラジカル反応性基)が導入された形態を有する(又は該形態に相当する)反応性乳化剤が挙げられる。なお、本明細書では、アニオン系乳化剤にラジカル重合性官能基が導入された形態を有する反応性乳化剤を「アニオン系反応性乳化剤」と称する場合があり、また、ノニオンアニオン系乳化剤にラジカル重合性官能基が導入された形態を有する反応性乳化剤を「ノニオンアニオン系反応性乳化剤」と称する場合がある。
特に、上記反応性乳化剤は、より低汚染性を向上させることができる点より、アニオン系反応性乳化剤好ましく、より好ましくはノニオンアニオン系反応性乳化剤である。
また、上記アニオン系反応性乳化剤(中でも、ノニオンアニオン系反応性乳化剤)は、後述の非水溶性架橋剤がエポキシ基を有する多官能性エポキシ系架橋剤である場合には、その触媒作用により架橋剤の反応性を向上させることができる。なお、上記アニオン系反応性乳化剤を使用しない場合、アクリル系粘着剤組成物により形成された粘着剤層において、エージングでは架橋反応が終了せず、経時で、粘着力が変化する問題が生じる場合がある。さらに、未反応のカルボキシル基により被着体との粘着力が経時で上昇する問題が生じる場合がある。また、上記アニオン系反応性乳化剤は重合体中にとりこまれるため、エポキシ系架橋剤の触媒として一般的に使用される、第4級アンモニウム化合物(例えば、特開2007−31585号公報参照)のように被着体の表面に析出しないため、白化汚染の原因になり得ないため好ましい。
このような反応性乳化剤としては、商品名「アデカリアソープSE−10N」「アデカリアソープSE−20N」「アデカリアソープSR−10」「アデカリアソープSR−20」(株式会社ADEKA製)、商品名「アクアロンHS−05」「アクアロンHS−10」「アクアロンHS−1025」(第一工業製薬株式会社製)、商品名「ラテムルPD−104」(花王株式会社製)などの市販品を用いることも可能である。
上記アクリルエマルション系重合体を得る際に、上記原料モノマーを含む混合物に配合される(使用される)乳化剤の量は、特に限定されないが、上記アクリルエマルション系重合体を構成する原料モノマーの全量(全原料モノマー)100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましい。例えば、上記乳化剤が上記反応性乳化剤である場合、その配合量(使用量)は、上記アクリルエマルション系重合体を構成する原料モノマーの全量(全原料モノマー)100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜6重量部、さらに好ましくは1.0〜4.5重量部である。上記配合量が少なすぎると、安定した乳化が維持できない場合がある。また、上記配合量が多すぎると、アクリル系粘着剤組成物により形成された粘着剤(粘着剤層)の凝集力が低下して被着体への汚染量が増加したり、また乳化剤による汚染が起こる場合がある。
上述のように、上記アクリルエマルション系重合体を得るための上記原料モノマーを含む混合物には、必要に応じて、重合開始剤が含まれていてもよい。上記重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2´−アゾビス(N,N´−ジメチレンイソブチルアミジン)などのアゾ系重合開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素などの過酸化物系重合開始剤;過酸化物と還元剤との組み合わせによるレドックス系開始剤などが挙げられる。上記レドックス系開始剤としては、例えば、過酸化物とアスコルビン酸との組み合わせ(過酸化水素水とアスコルビン酸との組み合わせ等)、過酸化物と鉄(II)塩との組み合わせ(過酸化水素水と鉄(II)塩との組み合わせ等)、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組み合わせによるレドックス系重合開始剤などが挙げられる。なお、上記重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記アクリルエマルション系重合体を得る際に、上記原料モノマーを含む混合物に配合される(使用される)上記重合開始剤の量は、特に限定されないが、上記アクリルエマルション系重合体を構成する原料モノマーの全量(全原料モノマー)100重量部に対して、0.01〜1重量部が好ましく、より好ましくは0.02〜0.5重量部である。
上述のように、上記アクリルエマルション系重合体を得るための上記原料モノマーを含む混合物には、上記アクリルエマルション系重合体の分子量を調整する点より、連鎖移動剤が含まれていてもよい。上記連鎖移動剤としては、特に限定されないが、例えば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメチルカプト−1−プロパノールなどが挙げられる。なお、上記連鎖移動剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記アクリルエマルション系重合体を得る際に、上記原料モノマーを含む混合物に配合される(使用される)上記連鎖移動剤の量は、特に限定されないが、上記アクリルエマルション系重合体を構成する原料モノマーの全量(全原料モノマー)100重量部に対して、0.001〜0.5重量部が好ましい。
上記アクリルエマルション系重合体を得る際のエマルション重合は、一般的な一括重合、連続滴下重合、分割滴下重合など任意の方法を用いることができ、その方法は特に限定されない。なお、低汚染化の観点からは、一括重合でかつ低温(例えば55℃以下、好ましくは30℃以下)で重合することが望ましい。このような条件で重合を行うと、高分子量体が得られやすく、低分子量体が少なくなるため、汚染が減少するものと推定される。
上記アクリルエマルション系重合体の溶剤不溶分(溶剤不溶成分の割合、「ゲル分率」と称する場合もある)は、特に限定されないが、70%(重量%)以上が好ましく、より好ましくは75重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上である。上記溶剤不溶分が70重量%未満であると、アクリルエマルション系重合体(A)中に低分子量体が多く含まれるため、架橋の効果のみでは十分に粘着剤層中の低分子量成分を低減できないため、低分子量成分等に由来する被着体汚染が生じたり、粘着力が高くなりすぎる場合がある。上記溶剤不溶分は、重合開始剤、反応温度、乳化剤や原料モノマーの種類等により制御できる。上記溶剤不溶分の上限値は、特に限定されないが、例えば、99重量%である。
なお、上記アクリルエマルション系重合体の溶剤不溶分は、以下の「溶剤不溶分の測定方法」により算出される値である。
(溶剤不溶分の測定方法)
アクリルエマルション系重合体:約0.1gを採取し、平均孔径0.2μmの多孔質テトラフルオロエチレンシート(商品名「NTF1122」、日東電工株式会社製)に包んだ後、凧糸で縛り、その際の重量を測定し、該重量を浸漬前重量とする。なお、該浸漬前重量は、アクリルエマルション系重合体(上記で採取したもの)と、テトラフルオロエチレンシートと、凧糸の総重量である。また、テトラフルオロエチレンシートと凧糸の合計重量も測定しておき、該重量を包袋重量とする。
次に、上記のアクリルエマルション系重合体をテトラフルオロエチレンシートで包み凧糸で縛ったもの(「サンプル」と称する)を、酢酸エチルで満たした50ml容器に入れ、23℃にて7日間静置する。その後、容器からサンプル(酢酸エチル処理後)を取り出して、アルミニウム製カップに移し、130℃で2時間、乾燥機中で乾燥して酢酸エチルを除去した後、重量を測定し、該重量を浸漬後重量とする。
そして、下記の式から溶剤不溶分を算出する。
溶剤不溶分(重量%)=(a−b)/(c−b)×100
(上記式において、aは浸漬後重量であり、bは包袋重量であり、cは浸漬前重量である。)
(非水溶性架橋剤)
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、非水溶性架橋剤を少なくとも含む。上記非水溶性架橋剤は、非水溶性であり、分子中(1分子中)にカルボキシル基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物である。なお、上記非水溶性架橋剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、非水溶性架橋剤を含むので、粘着剤組成物により形成された粘着剤層の架橋密度を高めることができ、粘着剤層と被着体との粘着力が経時で上昇することを防ぐことができる。また、粘着剤層において、ベースポリマーであるアクリルエマルション系重合体が拘束されるので、粘着剤層中の官能基(特にカルボキシル基)が被着体面に偏析して、粘着剤層と被着体との粘着力が経時で上昇することを防ぐことができる。このように、本発明のアクリル系粘着剤組成物は、粘着剤組成物により形成された粘着剤層と被着体との粘着力が経時で上昇することを防ぐことができるので、粘着剤組成物により形成された粘着剤層において良好なピックアップ性を得ることができる。さらに、粘着剤組成物により形成された粘着剤層の架橋密度を高めることができ、粘着剤層の剛性を大きくすることができるので、良好なカール調整性を得ることができる。
加えて、本発明のアクリル系粘着剤組成物は、上記非水溶性架橋剤を含むので、粘着剤組成物から形成された粘着剤層のぬれ広がりを防ぐことができる。
上記非水溶性架橋剤におけるカルボキシル基と反応し得る官能基の数は、2個以上である限り特に限定されないが、好ましくは2個〜6個であり、より好ましくは2〜5個であり、さらに好ましくは3〜5個である。なお、上記カルボキシル基と反応し得る官能基の数が多すぎると、ゲル化物が生じる場合があり、好ましくない。
上記非水溶性架橋剤におけるカルボキシル基と反応しうる官能基としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ基、イソシアネート基、カルボジイミド基などが挙げられる。中でも、反応性が高く、架橋反応における未反応物が残りにくく低汚染性に有利である点や粘着剤層中の未反応のカルボキシル基により被着体との粘着力が経時で上昇することを防止して、良好なピックアップ性を得る点より、エポキシ基が好ましく、より好ましくはグリシジルアミノ基である。つまり、非水溶性架橋剤は、カルボキシル基と反応しうる官能基としてエポキシ基を有するエポキシ系架橋剤であることが好ましく、より好ましくはカルボキシル基と反応しうる官能基としてグリシジルアミノ基を有する架橋剤(グリシジルアミノ系架橋剤)である。なお、上記非水溶性架橋剤がエポキシ系架橋剤(特にグリシジルアミノ系架橋剤)である場合、1分子中のエポキシ基(特にグリシジルアミノ基)の個数は2個以上であり、好ましくは2個〜6個であり、より好ましくは2〜5個であり、さらに好ましくは3〜5個である。
上記非水溶性架橋剤は、非水溶性の化合物である。なお、「非水溶性」とは、25℃における水100重量部に対する溶解度(水100重量部に溶解しうる化合物(架橋剤)の重量)が5重量部以下であることをいい、好ましくは3重量部以下、さらに好ましくは2重量部以下である。非水溶性の架橋剤を使用することにより、架橋せずに残存した架橋剤が、高湿度環境下で被着体上に生じる白化汚染の原因となりにくく、低汚染性が向上する。水溶性架橋剤のみで架橋させる場合には、高湿度環境下では、残存した架橋剤が水分に溶けて被着体に転写しやすくなるため、白化汚染を引き起こしやすい。また、非水溶性架橋剤は、水溶性架橋剤と比較して、架橋反応(カルボキシル基との反応)への寄与が高く、粘着力の経時上昇防止効果が高い。さらに、非水溶性架橋剤は架橋反応の反応性が高いため、エージングで速やかに架橋反応が進行し、粘着剤層中の未反応のカルボキシル基により被着体との粘着力が経時で上昇することを防止できる。粘着剤層の粘着力が経時で上昇することを防止できると、良好なピックアップ性が得やすくなる。
なお、上記の架橋剤の水に対する溶解度は、例えば、以下のようにして測定することができる。
(水に対する溶解度の測定方法)
同重量の水(25℃)と架橋剤を、攪拌機を用いて回転数300rpm、10分の条件で混合し、遠心分離により水相と油相に分ける。次いで、水相を採取し120℃で1時間乾燥して、乾燥減量から水相中の不揮発分(水100重量部に対する不揮発成分の重量部)を求める。
具体的には、上記非水溶性架橋剤としては、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(例えば、三菱ガス化学株式会社製、商品名「TETRAD−C」等)[25℃における水100重量部に対する溶解度2重量部以下]、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)ベンゼン(例えば、三菱ガス化学株式会社製、商品名「TETRAD−X」等)[25℃における水100重量部に対する溶解度2重量部以下]等のグリシジルアミノ系架橋剤;Tris(2,3−epoxypropyl)isocyanurate(例えば、日産化学工業株式会社製、商品名「TEPIC−G」等)[25℃における水100重量部に対する溶解度2重量部以下]などが挙げられる。
本発明のアクリル系粘着剤組成物の作製時に上記非水溶性架橋剤を配合する際には、非水溶性架橋剤は、液状の非水溶性架橋剤をそのまま添加(配合)してもよいし、有機溶剤で溶解及び/又は希釈して添加してもよい(但し、有機溶剤の使用量はなるべく少ない方が好ましい)。なお、非水溶性架橋剤を乳化剤により乳化して添加する方法は、乳化剤がブリードして、汚染(特に白化汚染)を引き起こしやすく好ましくない。
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、アクリルエマルション系重合体、非水溶性架橋剤、アセチレンジオール系化合物及びエーテル基含有ポリシロキサンを少なくとも含有するが、本発明のアクリル系粘着剤組成物中の上記非水溶性架橋剤の含有量は、上記非水溶性架橋剤の含有量が上記クリルエマルション系重合体100重量部に対してX重量部とし、上記エーテル基含有ポリシロキサンの含有量がアクリルエマルション系重合体100重量部に対してY重量部とする場合、下記式(1)で求められる値(A)が3以上となる量である。
値(A)=X+(Y×3) (1)
本発明のアクリル系粘着剤組成物中の上記非水溶性架橋剤の含有量が、式(1)で求められる値(A)が3未満となるような量であると、トレードオフの関係であるピックアップ性とカール調整性との両方の特性を同時に得ることができないからである。
具体的には、上記非水溶性架橋剤の含有量は、上記アクリルエマルション系重合体100重量部に対して、0.8〜5.0重量部であることが好ましく、より好ましくは1.5〜4.0重量部、さらに好ましくは2.15〜3.0重量部である。上記非水溶性架橋剤の含有量が0.8重量部以上であると、粘着剤組成物により形成された粘着剤層と被着体との粘着力が経時で上昇することを防ぐことができ、粘着剤組成物により形成された粘着剤層において良好なピックアップ性が得やすくなり好ましい。また、粘着剤組成物により形成された粘着剤層の架橋密度を高めることができ、粘着剤層の剛性を大きくすることができ、良好なカール調整性が得やすくなり、好ましい。また、上記非水溶性架橋剤の含有量が5.0重量部以下であると、粘着剤層により形成された粘着剤層において、非水溶性架橋剤が架橋せずに残存して汚染の原因となることを有効に防止でき、好ましい。
(アセチレンジオール系化合物)
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、アセチレンジオール系化合物を少なくとも含む。本発明のアクリル系粘着組成物は、アセチレンジオール系化合物を含むので、粘着剤組成物により形成された粘着剤層において上記非水溶性架橋剤由来の凹み欠点による外観不良の発生を抑制できる。これは、上記アセチレンジオール系化合物が上記非水溶性架橋剤のアクリル系粘着剤組成物中への分散性の向上や粘着剤層形成時のレベリング効果に作用するためと推測される。なお、上記アセチレンジオール系化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記アセチレンジオール系化合物としては、例えば、下記式(I)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015021035
上記式(I)中のR1、R2、R3およびR4は、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでいてもよい。なお、R1、R2、R3およびR4は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(I)中のR1、R2、R3およびR4は、直鎖状または分岐鎖状のいずれの構造であってもよい。
中でも、上記式(I)において、R1およびR4は、炭素数2〜10のアルキル基が好ましく、特に、炭素数4のn−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基が好ましい。また、R2およびR3は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、特に、炭素数1又は2のメチル基やエチル基が好ましい。
上記式(I)で表されるアセチレンジオール系化合物の具体例としては、例えば、7,10−ジメチル−8−ヘキサデシン−7,10−ジオール、4,7−ジメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオールなどが挙げられる。
また、本発明のアクリル系粘着剤組成物の作製時に、上記式(I)で表されるアセチレンジオール系化合物を配合する際には、上記式(I)で表されるアセチレンジオール系化合物を各種溶媒に分散または溶解したものを用いてもよい。このような溶媒としては、例えば、2−エチルヘキサノール、ブチルセルソルブ、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロパノールなどが挙げられる。中でも、エマルション系への分散性の観点から、エチレングリコール、プロピレングリコールが好ましい。また、配合の際のアセチレンジオール系化合物を溶媒に分散または溶解したもの(100重量%)に対する溶媒含有率は、エチレングリコールを溶媒として用いる場合には、40重量%未満(例えば、15〜35重量%)が好ましく、プロピレングリコールを溶媒として用いる場合には70重量%未満(例えば、20〜60重量%)が好ましい。
上記式(I)で表されるアセチレンジオール系化合物は、市販品であってもよい。このような市販品としては、例えば、エアープロダクツ社製のサーフィノール104シリーズが挙げられる。より具体的には、「サーフィノール104E」、「サーフィノール104H」、「サーフィノール104A」、「サーフィノール104BC」、「サーフィノール104DPM」、「サーフィノール104PA」、「サーフィノール104PG−50」などが挙げられる。
さらに、上記アセチレンジオール系化合物としては、例えば、下記式(II)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015021035
上記式(II)中のR5、R6、R7およびR8は、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでいてもよい。なお、R5、R6、R7およびR8は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、上記式(II)中のp及びqは0以上の整数であり、pとqの和[p+q]は1以上であり、1〜20が好ましく、より好ましくは1〜9である。なお、p及びqは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。p及びqは、アセチレンジオール系化合物(C)のHLB値が13未満になるように調整される数である。また、pが0の場合[−O−(CH2CH2O)pH]は水酸基[−OH]であり、qについても同じである。
上記式(II)中のR5、R6、R7およびR8は、直鎖状または分岐鎖状のいずれの構造であってもよい。中でも、R5およびR8は、炭素数2〜10のアルキル基が好ましく、特に、炭素数4のn−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基が好ましい。また、R6およびR7は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、特に、炭素数1又は2のメチル基やエチル基が好ましい。
上記式(II)で表されるアセチレンジオール系化合物の具体例としては、例えば、7,10−ジメチル−8−ヘキサデシン−7,10−ジオールのエチレンオキシド付加物、4,7−ジメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエチレンオキシド付加物、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエチレンオキシド付加物、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオールのエチレンオキシド付加物などが挙げられる。なお、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエチレンオキシド付加物のエチレンオキシドの平均付加モル数は、9以下が好ましい。
上記式(II)中のp及びqは、アセチレンジオール系化合物のHLB値が13未満になるように調整される数である。例えば、上記式(II)で表されるアセチレンジオール系化合物が2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエチレンオキシド付加物である場合には、pとqの合計は9以下が好ましい。
本発明のアクリル系粘着剤組成物の作製時に、上記式(II)で表されるアセチレンジオール系化合物エチレンオキシド付加アセチレンジオール系化合物)を配合する際には、溶媒を用いず化合物のみを配合することが好ましいが、配合作業性を向上させる目的で、上記のアセチレンジオール系化合物を各種溶媒に分散または溶解したものを用いてもよい。上記溶媒としては、2−エチルヘキサノール、ブチルセルソルブ、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロパノールなどが挙げられる。これらの溶媒の中でもエマルション系への分散性の観点からエチレングリコール、プロピレングリコールが好ましく用いられる。
上記式(II)で表されるアセチレンジオール系化合物は市販品であってもよい。このような市販品としては、例えば、エアープロダクツ社製のサーフィノール400シリーズが挙げられる。より具体的には、「サーフィノール420」、「サーフィノール440」などが挙げられる。
上記アセチレンジオール系化合物のHLB値(単に「HLB」と称する場合もある)は、13未満であり、好ましくは1〜10、より好ましくは3〜8、さらに好ましくは3〜5である。HLB値が13以上では、被着体への汚染性が悪くなる。なお、HLB値は、GriffinによるHydrophile−Lipophile Balanceであり、界面活性剤の水や油への親和性の程度を表す値である。HLB値の定義については、W.C.Griffin:J.Soc.Comestic Chemists,1,311(1949)や、高橋越民、難波義郎、小池基生、小林正雄 共著、「界面活性剤ハンドブック」、第3版、工学図書株式会社出版、昭和47年11月25日、p179〜182などに記載されている。
本発明のアクリル系粘着剤組成物中の上記アセチレンジオール系化合物の含有量は、特に限定されないが、上記アクリルエマルション系重合体100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜7重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。上記アセチレンジオール系化合物の含有量が0.01重量部以上であると、上記非水溶性架橋剤の凹み欠点による外観不良を有効に抑制でき好ましい。また、上記アセチレンジオール系化合物の含有量が10重量部以下であると、アセチレンジオール系化合物による被着体への汚染を有効に抑制でき、好ましい。
(エーテル基含有ポリシロキサン)
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、エーテル基含有ポリシロキサンを少なくとも含む。エーテル基含有ポリシロキサンは、分子中(1分子中)にエーテル結合を有するポリシロキサンである。なお、上記エーテル基含有ポリシロキサンは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、エーテル基含有ポリシロキサンを含むので、粘着剤組成物により形成された粘着剤層において、粘着剤層と被着体との粘着力が経時で上昇することを防ぐことができるので、粘着剤組成物により形成された粘着剤層において良好なピックアップ性を得ることができる。これは、エーテル基含有ポリシロキサンが、経時での粘着力上昇を抑えながら、粘着剤層表面にブリードアウトしやすいためと推測される。
上記エーテル基含有ポリシロキサンとしては、例えば、下記式(III)で表される化合物が好ましく挙げられる。
Figure 2015021035
上記式(III)中のR9は1価の有機基を表し、R10、R11及びR12はアルキレン基を表し、R13は水酸基又は有機基を表す。mは、0〜1000の整数である。nは、1〜1000の整数である。a及びbは0〜100の整数であり、aとbは同時に0となることはない。
上記R9としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基又はベンジル基;フェネチル基などが好ましく挙げられる。上記R9は、水酸基等の置換基を含む1価の有機基であってもよい。
また、上記R10、R11及びR12としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などの炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく挙げられる。また、上記R10、R11及びR12は、水酸基等の置換基を含んでいてもよい。
さらに、上記R13が有機基である場合、上記R13は、1価の有機基(例えば、メチル基、プロピル基等のアルキル基又はアセチル基、プロピオニル基等のアシル基など)が好ましく挙げられ、水酸基等の置換基を含む1価の有機基であってもよい。
また、上記エーテル基含有ポリシロキサンは、分子中に、(メタ)アクリロイル基、アリル基、水酸基などの反応性置換基を有していてもよい。
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、アクリルエマルション系重合体、非水溶性架橋剤、アセチレンジオール系化合物及びエーテル基含有ポリシロキサンを少なくとも含有するが、本発明のアクリル系粘着剤組成物中の上記エーテル基含有ポリシロキサンの含有量は、上記非水溶性架橋剤の含有量が上記クリルエマルション系重合体100重量部に対してX重量部とし、上記エーテル基含有ポリシロキサンの含有量がアクリルエマルション系重合体100重量部に対してY重量部とする場合、下記式(1)で求められる値(A)が3以上となる量である。
値(A)=X+(Y×3) (1)
本発明のアクリル系粘着剤組成物中の上記エーテル基含有ポリシロキサンの含有量が、式(1)で求められる値(A)が3未満となるような量であると、トレードオフの関係であるピックアップ性とカール調整性との両方の特性を同時に得ることができないからである。
具体的には、上記エーテル基含有ポリシロキサンの含有量は、上記アクリルエマルション系重合体100重量部に対して、0.01〜1.0重量部であることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.8重量部、さらに好ましくは0.16〜0.50重量部である。上記エーテル基含有ポリシロキサンの含有量が0.01重量部以上であると、粘着剤組成物により形成された粘着剤層と被着体との粘着力が経時で上昇することを防ぐことができ、粘着剤組成物により形成された粘着剤層において良好なピックアップ性が得やすくなり好ましい。また、上記エーテル基含有ポリシロキサンの含有量が1.0重量部以下であると、粘着剤層により形成された粘着剤層において、エーテル基含有ポリシロキサンが汚染の原因となることを有効に防止でき、好ましい。
(その他の添加剤)
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、各種添加剤(上記非水溶性架橋剤、アセチレンジオール系化合物及びエーテル基含有ポリシロキサン以外の成分)を含有してもよい。各種添加剤としては、例えば、顔料、充填剤、分散剤、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、老化防止剤、防腐剤などが挙げられる。なお、このような添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、上記アクリルエマルション系重合体、上記非水溶性架橋剤、上記アセチレンジオール系化合物及び上記エーテル基含有ポリシロキサンを混合することにより作製することができる。なお、必要に応じて、上記のその他の添加剤が配合されていてもよい。上記混合方法は、公知慣用のエマルションの混合方法を用いることができ、特に限定されないが、例えば、攪拌機を用いた攪拌が好ましい。攪拌条件は、特に限定されないが、例えば、温度は10〜50℃が好ましく、より好ましくは20〜35℃である。攪拌時間は5〜30分が好ましく、より好ましくは10〜20分である。攪拌回転数は、10〜2500rpmが好ましく、より好ましくは30〜2000rpmである。
本発明のアクリル系粘着剤組成物は、良好なピックアップ性を発揮でき、かつ、良好なカール調整性を発揮できる粘着剤層を形成できる。また、低極性表面を有する光学部材のような表面が低極性の被着体に対しても、高極性表面を有する光学部材のような表面が高極性の被着体に対しても、良好なピックアップ性を発揮でき、かつ、良好なカール調整性を発揮できる粘着剤層を形成できる。さらに、良好な再剥離性を有し、環境面に優れ、低汚染性の粘着剤層を形成できる。
[粘着シート]
本発明の粘着シートは、上記の本発明のアクリル系粘着剤組成物から形成された粘着剤層を少なくとも有する粘着シートである。本発明の粘着シートは、基材の少なくとも一方の面側に粘着剤層を有する基材付き粘着シートであってもよく、粘着剤層のみから構成される基材レス粘着シートであってもよい。特に、本発明の粘着シートは、後述のように表面保護用に用いられることが好ましいことから、基材付き粘着シートであることが好ましく、より好ましくは基材の一方の面側に粘着剤層を有する基材付き片面粘着シートであることが好ましい。
本発明の粘着シートは、片面粘着シートであってもよいし、両面粘着シートであってもよい。また、本発明の粘着シートは、粘着シートが積層している積層形態を有していてもよいし、ロール状に巻回している形態を有していてもよい。
本発明の粘着シートは、上記の本発明のアクリル系粘着剤組成物を用いて、公知乃至慣用の方法で、粘着剤層を形成することにより作製される。例えば、上記基材付き片面粘着シートは、基材の少なくとも片面側に、上記の本発明のアクリル系粘着剤組成物を塗布して塗布層を設け、加熱乾燥させることにより粘着剤層を形成することにより作製される(直写法)。また、上記基材付き片面粘着シートは、剥離ライナー上に一旦粘着剤層を設けた後、基材の少なくとも片面側に上記粘着剤層を転写することにより作製される(転写法)。なお、必要に応じて、加熱乾燥工程後にさらに加温すること等を行ってもよい。例えば、より架橋度を上げるために、乾燥工程での脱水、乾燥後に粘着シートを加温することを行ってもよい。中でも、上記基材付き片面粘着シートは、いわゆる直写法により作製されることが好ましい。転写法では、基材との間で十分な投錨性(密着性)が得られない場合があるからである。
本発明の粘着シートの粘着剤層(特に上記本発明のアクリル系粘着剤組成物から形成された粘着剤層)の厚みは、特に限定されないが、1〜50μmが好ましく、より好ましくは1〜35μm、さらに好ましくは3〜25μmである。
本発明の粘着シートの粘着剤層(特に上記本発明のアクリル系粘着剤組成物から形成された粘着剤層)の溶剤不溶分(ゲル分率)は、特に限定されないが、90%(重量%)以上が好ましく、より好ましくは95重量%以上である。溶剤不溶分が90重量%以上であると、被着体への汚染物の転写が増加して生じる白化汚染や、再剥離性の不足(重剥離化)をより抑制でき、好ましい。
なお、上記粘着剤層の溶剤不溶分は、前述のアクリルエマルション系重合体の溶剤不溶分の測定方法と同様の方法で測定することができる。具体的には、前述の「溶剤不溶分の測定方法」において、「アクリルエマルション系重合体」を「粘着剤層」に読み替えた方法で測定することができる。
また、本発明の粘着シートの粘着剤層(特に上記本発明のアクリル系粘着剤組成物から形成された粘着剤層)におけるベースポリマー(アクリル系ポリマー)のガラス転移温度は、特に限定されないが、−70〜−10℃が好ましく、より好ましくは−70〜−20℃、さらに好ましくは−70〜−40℃である。ガラス転移温度が−10℃以下であると、粘着力の不足により加工時などに浮きや剥がれが生じることをより抑制でき好ましい。また、−70℃以上であると、より高速の剥離速度(引張速度)領域で重剥離化して作業効率が低下することを抑制でき好ましい。この粘着層を形成するポリマーのガラス転移温度は、例えば、アクリルエマルション系重合体を調製する際のモノマー組成によっても調整できる。
本発明の粘着シートが基材付き粘着シートである場合の基材としては、特に限定されないが、高い透明性を有する粘着シートが得られる観点から、プラスチック基材(例えば、プラスチックフィルムやプラスチックシート)が好ましい。プラスチック基材の素材としては、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン(ポリオレフィン系樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル(ポリエステル系樹脂)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、アクリル、ポリスチレン、アセテート、ポリエーテルスルホン、トリアセチルセルロースなどの透明樹脂が好ましい。これらの樹脂は、1種または2種以上を組み合わせて用いられてもよい。中でも、ポリエステル系樹脂やポリオレフィン系樹脂が好ましく、生産性、成型性の面からポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンおよびポリエチレンがより好ましい。上記のポリプロピレンとしては、特に限定されないが、単独重合体であるホモタイプ、α−オレフィンランダム共重合体であるランダムタイプ、α−オレフィンブロック共重合体であるブロックタイプのものが挙げられる。ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、リニア低密度ポリエチレン(L−LDPE)が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。なお、上記基材の厚みは、特に限定されないが、10〜150μmが好ましく、より好ましくは30〜100μmである。
また、上記基材の粘着剤層を設ける側の表面には、粘着剤層との密着力の向上等の目的で、酸処理、アルカリ処理、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの易接着処理が施されていることが好ましい。また、基材と粘着剤層の間に、中間層を設けてもよい。この中間層の厚みとしては、例えば0.01〜1μmが好ましく、より好ましくは0.1〜1μmである。
本発明の粘着シートは、粘着剤層表面(粘着面)が剥離ライナー(セパレータ)により保護されていてもよい。また、本発明の粘着シートは、上述のように巻回体とすることができ、剥離ライナーで粘着剤層を保護した状態でロール状に巻き取ることができる。さらには、本発明の粘着シートが基材付き片面粘着シートである場合、粘着シートの基材の背面(粘着剤層が設けられた側とは反対側の面)にはシリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系若しくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等による、離型処理及び/又は防汚処理を施し、背面処理層(離型処理層、防汚処理層など)が設けられていてもよい。そして、巻回体とし、基材の背面で粘着面を保護する形態であってもよい。本発明の粘着シートは、粘着剤層/基材/背面処理層の積層形態を有していてもよい。
本発明の粘着シートの粘着力(23℃、50%RHの環境下、引張速度0.3m/分、180°剥離)(特に上記本発明のアクリル系粘着剤組成物から形成された粘着剤層により提供される面での粘着力)は、特に限定されないが、良好な再剥離性及び良好なピックアップ性を得る点より、0.035N/25mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.030N/25mm以下である。また、上記粘着力の下限は、特に限定されないが、被着体からの粘着シートの浮きや剥がれを抑制する点より、0.010N/25mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.015N/25mm以上である。
特に、本発明の粘着シートの上記粘着力は、表面の極性によらず、つまり表面が低極性であっても、高極性であっても、光学部材(後述の光学部材、例えば偏光板など)に対して良好な再剥離性及び良好なピックアップ性を得る点より、0.035N/25mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.030N/25mm以下である。また、上記粘着力の下限は、特に限定されないが、0.010N/25mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.015N/25mm以上である。なお、上記粘着力が0.035N/25mm以下であると、光学部材や光学部材を用いた製品(例えば偏光板や液晶表示装置など)の製造工程で、粘着シートが剥離しにくくなり、生産性、取り扱い性が低下するという問題が生じにくくなり、好ましい。また、0.010N/25mm以上であると、光学部材や光学部材を用いた製品(例えば偏光板や液晶表示装置など)の製造工程で、粘着シートの浮きや剥がれが発生する不具合を抑制しやすくなり、好ましい。
また、本発明の粘着シートでは、良好な粘着力上昇防止性を得て、良好な再剥離性及び良好なピックアップ特性を得る点より、「初期粘着力」(製造直後の粘着シートの粘着力)及び「40℃3日間保存後粘着力」(製造後、40℃の環境下で3日間保存した粘着シートの粘着力)の両方について、0.035N/25mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.030N/25mm以下である。
本発明の粘着シートは、上記の本発明のアクリル系粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有するので、良好なピックアップ性を発揮でき、かつ、良好なカール調整性を発揮できる。また、貼付面が低極性であっても、高極性であっても、良好なピックアップ性を発揮でき、かつ、被着体に対して良好なカール調整性を発揮できる。
また、本発明の粘着シートは、上記の本発明のアクリル系粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有するので、良好な再剥離性を有し、環境面に優れ、被着体に貼付しても白化汚染などの汚染を生じることなく、低汚染性に優れる。
本発明の粘着シートは、再剥離される用途[例えば、建築養生用マスキングテープ、自動車塗装用マスキングテープ、電子部品(リードフレーム、プリント基板等)用マスキングテープ、サンドブラスト用マスキングテープなどのマスキングテープ類、アルミサッシ用表面保護フィルム、光学プラスチック用表面保護フィルム、光学ガラス用表面保護フィルム、自動車保護用表面保護フィルム、金属板用表面保護フィルムなどの表面保護フィルム類、バックグラインドテープ、ペリクル固定用テープ、ダイシング用テープ、リードフレーム固定用テープ、クリーニングテープ、除塵用テープ、キャリアテープ、カバーテープなどの半導体・電子部品製造工程用粘着テープ類、電子機器や電子部品の梱包用テープ類、輸送時の仮止めテープ類、結束用テープ類、ラベル類]等に好ましく用いられる。
特に、本発明の粘着シートは、カール調整性に優れ、被着体に貼付した際にカールの発生を抑制できる。また、貼付面が低極性であっても、高極性であっても、良好なピックアップ性を発揮でき、さらに、低汚染性に優れる。このため、本発明の粘着シートは、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)、フィールドエミッションディスプレイなどのパネルを構成する偏光板、位相差板、反射防止板、波長板、光学補償フィルム、輝度向上フィルムなど光学部材(光学プラスチック、光学ガラス、光学フィルム等)の表面保護用途(光学部材用の表面保護フィルム等)として好ましく用いられる。ただし、用途はこれに限定されるものではなく、半導体、回路、各種プリント基板、各種マスク、リードフレームなどの微細加工部品の製造の際の表面保護や破損防止、あるいは異物等の除去、マスキング等にも使用することができる。
[光学部材]
本発明の光学部材は、上記の粘着シートが貼付されている構造を有する。つまり、本発明の光学部材は、光学部材と本発明の粘着シートとの積層構造を有する。
本発明の光学部材は、その表面に上記粘着シートが貼付されているので、その表面が粘着シートにより保護されている構造を有する。このため、表面に傷やクラックが発生しにくい。また、粘着シートが台紙や支持母材の役割を果たすことができるので、切断加工等の加工の際に、優れた作業性を発揮する。
また、本発明の光学部材は、カール調整性に優れる本発明の粘着シートとの積層構造を有するので、カールの発生が抑制されている。このため、光学部材が用いられた製品(例えば、液晶パネルなど)を作製する工程において工程不良が発生しにくい。このように、本発明の光学部材は、光学部材が用いられた製品の歩留まり向上に寄与する。さらに、本発明の光学部材において貼付されている粘着シートは光学部材からのピックアップ性に優れるので、本発明の光学部材は、良好な作業性を発揮する。このことも、光学部材が用いられた製品の歩留まり向上に寄与する。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例
(アクリルエマルション重合体の調製)
容器に、水90重量部、及び、表1に示した配合量の原料モノマー、反応性界面活性剤(第一工業製薬株式会社製、商品名「アクアロンHS−1025、分子内にラジカル重合性官能基を有する反応性乳化剤)を配合した後、ホモミキサーにより攪拌混合し、モノマーエマルションを調製した。
次いで、冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、水50重量部、重合開始剤(過硫酸アンモニウム)0.01重量部、及び、上記で調製したモノマーエマルションのうち10重量%にあたる量を添加し、攪拌しながら、75℃で1時間乳化重合した。その後、さらに重合開始剤(過硫酸アンモニウム)0.07重量部を添加し、次いで、攪拌しながら、残りのモノマーエマルションの全て(90重量%にあたる量)を3時間かけて添加して、その後、75℃で3時間反応させた。次いで、これを30℃に冷却して、濃度10重量%のアンモニア水を加えてpH8に調整して、アクリルエマルション系重合体の水分散液(アクリルエマルション系重合体の濃度:41重量%)を調製した。
(再剥離用水分散型アクリル系粘着剤組成物の調製)
上記で得られたアクリルエマルション系重合体の水分散液(41重量%)244重量部(アクリルエマルション系重合体100重量部)に対して、表1に示した量の非水溶性架橋剤であるエポキシ系架橋剤(三菱ガス化学株式会社製、商品名「テトラッド−C」、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、エポキシ当量:110、官能基数:4)、表1に示した量のHLB値が4のアセチレンジオール系化合物(組成物)(エアープロダクツ社製、商品名「サーフィノール420」、有効成分100重量%)、表1に示した量のエーテル基含有ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製、商品名「変性シリコーンオイル KF−353」)、表1で示した量のエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合型界面活性剤(株式会社ADEKA製、商品名「アデカプルロニック25R−1」)を、攪拌機を用いて、23℃、2000rpm、10分の攪拌条件で攪拌混合し、再剥離用水分散型アクリル系粘着剤組成物を調製した。
なお、表1において、「−」は、使用しなかったことを示す。
(粘着剤層の形成、粘着シートの作製)
さらに、上記で得られた再剥離用水分散型アクリル系粘着剤組成物を、PETフィルム(東洋紡株式会社製、商品名「E7415」、厚み:38μm)のコロナ処理面上に、テスター産業株式会社製アプリケーターを用いて、乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、その後、熱風循環式オーブンで120℃で2分間乾燥させ、さらにその後、23℃で5日間養生(エージング)して粘着シートを得た。
評価
実施例及び比較例で得られた粘着シートについて、下記の測定方法又は評価方法により評価を行った。その結果は、表1に示した。
粘着力
(初期粘着力)
粘着シートより、幅25mm、長さ100mmのシート状の測定用サンプルを得た。次に、該測定用サンプルを、貼り合わせ機(テスター産業株式会社製、小型貼り合せ機)を用いて、0.26MPa、0.3m/分の条件で、板状の被着体に貼り合わせた。そして、23℃、50%RHの環境下、30分間放置した。
放置後、引張試験機を用いて、23℃、50%RHの環境下、引張速度0.3m/分で、180°剥離試験を行い、粘着力(剥離力)(N/25mm)を測定した。そして、その粘着力を、「初期粘着力」とした。
上記被着体としては、偏光板(商品名「SEG1425DU」、日東電工株式会社製、表面が高極性、トリアセチルセルロース製偏光板)(単に「高極性表面偏光板」と称する場合がある)、及び、表面が低極性のトリアセチルセルロース製偏光板(表面にアンチグレアコーティング処理が施されている)(単に「低極性表面偏光板」と称する場合がある)を使用した。
得られた初期粘着力について、高極性表面偏光板に対する粘着力は表1の「初期粘着力 高極性表面偏光板」の欄に示し、低極性表面偏光板に対する粘着力は表1の「初期粘着力 低極性表面偏光板」の欄に示した。
(40℃3日間保存後粘着力)
粘着シートより、幅25mm、長さ100mmのシート状の測定用サンプルを得た。次に、該測定用サンプルを、貼り合わせ機(テスター産業株式会社製、小型貼り合せ機)を用いて、0.26MPa、0.3m/分の条件で、板状の被着体に貼り合わせた。そして、40℃の環境に3日間保存した後、23℃、50%RHの環境下、2時間放置した。
放置後、引張試験機を用いて、23℃、50%RHの環境下、引張速度0.3m/分で、180°剥離試験を行い、粘着力(剥離力)(N/25mm)を測定した。そして、その粘着力を、「40℃3日間保存後粘着力」とした。
上記被着体としては、上記高極性表面偏光板、及び、上記低極性表面偏光板を使用した。
得られた40℃3日間保存後粘着力について、高極性表面偏光板に対する粘着力は表1の「40℃3日間保存後粘着力 高極性表面偏光板」の欄に示し、低極性表面偏光板に対する粘着力は表1の「40℃3日間保存後粘着力 低極性表面偏光板」の欄に示した。
ピックアップ性
粘着シート幅25mm、長さ100mmを、貼り合わせ機(テスター産業株式会社製、小型貼り合せ機)を用いて、0.26MPa、0.3m/分の条件で、幅40mm、長さ40mmの板状の被着体に、圧着して貼り合わせた。そして、23℃、50%RHの環境下、30分間放置した。
放置後、粘着シート端部の角付近にマスキングテープ(商品名「No.720A」、日東電工株式会社)を手で貼り合わせ、直ちに上記マスキングテープを引っ張り上げた。
そして、マスキングテープを引っ張り上げることにより粘着シートが被着体から剥がれる場合を「良好」(○)と評価し、一方、マスキングテープを引っ張り上げても粘着シートが被着体から剥がれない場合を「不良」(×)と評価した。
上記被着体としては、上記高極性表面偏光板、及び、上記低極性表面偏光板を使用した。
評価したピックアップ性について、高極性表面偏光板に対するピックアップ性は表1の「ピックアップ性 高極性表面偏光板」の欄に示し、低極性表面偏光板に対するピックアップ性は表1の「ピックアップ性 低極性表面偏光板」の欄に示した。
カール調整性
金属板上に静置した上記高極性表面偏光板(幅140mm、長さ200mm、厚さ0.2mm)に、上記高極性表面偏光板よりやや大きめにカットした粘着シートを、貼り合わせ機(テスター産業株式会社製、小型貼り合せ機)を用いて、0.26MPa、0.3m/分の条件で、上記高極性表面偏光板の長さ方向と上記粘着シートの長さ方向が一致するように、貼り合わせた。なお、貼り合わせの際には、粘着シートを引っ張りながら貼り合わせた。貼り合わせ後、上記高極性表面偏光板からはみ出た粘着シートをカットした。そして、高極性表面偏光板表面が粘着シートにより保護された構造を有する評価用サンプルを得た。
次に、上記評価用サンプルを平坦面上に置き、4つの角のそれぞれについて、平坦面からの距離(高さ方向の距離)を測定した。そして、これらの値から平均値を求め、その平均値を「初期カール高さ」とした。
「初期カール高さ」を求めた後、上記評価用サンプルを、23℃、50%RHの環境下、20時間放置した。放置後、上記評価用サンプルを平坦面上に置き、4つの角のそれぞれについて、平坦面からの距離(高さ方向の距離)を測定した。そして、これらの値から平均値を求め、その平均値を「20時間後カール高さ」とした。
そして、「初期カール高さ」と「20時間後カール高さ」との差([(初期カール高さ)−(20時間後カール高さ)]、「カール高さの差」と称する場合がある)を求めた。上記カール高さの差が、8mm以上である場合を「良好」(○)と評価し、一方、8mm未満である場合を「不良」(○)と評価した。
評価したカール調整性について、「初期カール高さ」は表1の「カール調整性 初期カール高さ」の欄に示し、「20時間後カール高さ」は表1の「カール調整性 20時間後カール高さ」の欄に示し、「カール高さの差」は表1の「カール調整性 カール高さの差」の欄に示した。
なお、上記カール調整性が良好であると、粘着シートを貼付した光学部材においてカールを調整し、光学部材が用いられた製品を作製する工程における工程不良の発生を防止できる。一方、上記カール調整性が不良であると、粘着シートを貼付した光学部材においてカールを十分に調整できず、光学部材が用いられた製品を作製する工程における工程不良が発生する場合がある。
Figure 2015021035
表1で用いた略号は以下のとおりである。表1において、アクリル系粘着剤組成物の各成分の配合量は、実配合量(商品の配合量)で示した。なお、アクリルエマルション系重合体は固形分の重量で示した。
(原料モノマー)
2EHA : 2−エチルヘキシルアクリレート
MMA : メチルメタクリレート
AA : アクリル酸
(乳化剤)
HS−1025 : 第一工業製薬株式会社製、商品名「アクアロンHS−1025」(反応性界面活性剤、分子内にラジカル重合性官能基を有する反応性乳化剤)
(アセチレンジオール系化合物)
サーフィノール420 : エアープロダクツ社製、商品名「サーフィノール420」(HLB値4、有効成分100重量%)
(非水溶性架橋剤)
TETRAD−C : 三菱ガス化学株式会社製、商品名「TETRAD−C(テトラッド−C)」(1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、エポキシ当量:110、官能基数:4)
(エーテル基含有ポリシロキサン)
KF−353 : 信越化学工業株式会社製、商品名「変性シリコーンオイル KF−353」
(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合型界面活性剤)
25R−1 : 株式会社ADEKA製、商品名「アデカプルロニック25R−1」

Claims (6)

  1. アクリルエマルション系重合体、非水溶性架橋剤、アセチレンジオール系化合物及びエーテル基含有ポリシロキサンを含有し、
    前記アクリルエマルション系重合体が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びカルボキシル基含有不飽和単量体を必須の原料モノマーとして構成され、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量が原料モノマー全量に対して70〜99.5重量%であり、前記カルボキシル基含有不飽和単量体の含有量が原料モノマー全量に対して0.5〜10.0重量%であり、
    前記非水溶性架橋剤の含有量が前記アクリルエマルション系重合体100重量部に対してX重量部であり、前記エーテル基含有ポリシロキサンの含有量がアクリルエマルション系重合体100重量部に対してY重量部であり、下記式(1)で求められる値(A)が3以上であることを特徴とする再剥離用水分散型アクリル系粘着剤組成物。
    値(A)=X+(Y×3) (1)
  2. 前記アクリルエマルション系重合体が、分子中にラジカル重合性官能基を有する反応性乳化剤を用いて重合された重合体である請求項1記載の再剥離用水分散型アクリル系粘着剤組成物。
  3. 前記非水溶性架橋剤の含有量が、前記アクリルエマルション系重合体100重量部に対して2.15〜3.0重量部である請求項1又は2記載の再剥離用水分散型アクリル系粘着剤組成物。
  4. 前記エーテル基含有ポリシロキサンの含有量が、前記アクリルエマルション系重合体100重量部に対して0.16〜0.50重量部である請求項1〜3の何れか1項に記載の再剥離用水分散型アクリル系粘着剤組成物。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の再剥離用水分散型アクリル系粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有することを特徴とする粘着シート。
  6. 請求項5記載の粘着シートが貼付されていることを特徴とする光学部材。
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