JP2015020665A - 車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】NV性能を向上させることができる車両の制御装置を提供する。【解決手段】機関および第1回転機ならびに第2回転機を駆動力源とする車両であって、前記駆動力源と前記駆動軸との間で動力を分割もしくは合成して伝達する動力分割機構と、伝達トルク容量を連続的に変化させることが可能な係合装置の前記伝達トルク容量を制御することにより前記機関の出力トルクを変速する変速機構とを備えた車両の制御装置において、前記機関の出力を用いて前記車両を後進走行させる場合に、前記係合装置を差回転状態に制御して機関回転数を上昇させる差回転制御手段(ステップS6)を設けた。【選択図】図8
Description
この発明は、走行のための駆動力源として、機関すなわちエンジン、および回転機すなわち発電機能のあるモータを備えている車両(ハイブリッド車両)の走行を制御する制御装置に関するものである。
ハイブリッド車両は、駆動力源としてガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関(以下、エンジン)、および発電機能のあるモータを搭載した車両である。そして、エンジンとモータとが持つそれぞれの特性を生かすことにより、燃費を向上させることができ、また排気ガスの低減を図ることができる車両である。そのようなハイブリッド車両に関する発明の一例が特許文献1に記載されている。
この特許文献1に記載されているハイブリッド車両は、エンジン、第1モータ・ジェネレータ、第2モータ・ジェネレータ、および、3つの回転要素を有する遊星歯車機構から構成される動力分割機構を備えている。さらに、エンジンが出力した動力を変速して動力分割機構に伝達する変速機を備えている。そして、その変速機には、低速側の変速段(直結段)と高速側の変速段(オーバードライブ段)とを選択的に設定するための切替機構が設けられている。
なお、特許文献2および特許文献3には、エンジン、第1モータ・ジェネレータ、第2モータ・ジェネレータ、および、3つの回転要素を有する遊星歯車機構から構成される動力分割機構、ならびに、エンジンの出力軸を回転不可能に固定するクラッチを備えた構成のハイブリッド車両が記載されている。そして、この特許文献2および特許文献3に記載されているハイブリッド車両は、クラッチを係合してエンジンの出力軸を固定することにより、動力分割機構を減速機構もしくは増速機構として機能させた状態で、第1モータ・ジェネレータおよび第2モータ・ジェネレータの両方を駆動させるモータ走行が可能な構成となっている。
上記の特許文献1に記載されているハイブリッド車両では、オーバードライブ段を選択して設定することの可能な変速機が設けられていることにより、例えば、高速巡航時にオーバードライブ段を設定し、エンジン回転数を増大させることなく動力分割機構に対する入力回転数を増大させることができる。したがって、車速に応じて動力分割機構の出力回転数が高くなる場合であっても、動力分割機構の入力回転数を相対的に高回転数にしておくことができる。そのため、第1モータ・ジェネレータの回転数が0に近い回転数となるので、その第1モータ・ジェネレータを発電機として機能させる場合、あるいはモータとして機能させる場合のいずれであっても、第1モータ・ジェネレータの発電量もしくは出力が小さくなる。その結果、電気的な負荷が小さくなるため、電力損失などの車両の動力損失を少なくして、車両全体としての動力伝達効率を向上させることができる、とされている。
一方、上記の特許文献1に記載されているハイブリッド車両のように、低速側の直結段と高速側のオーバードライブ段とを選択して設定することが可能な構成では、機関(エンジン)の出力を利用して後進走行する際に、低速側の直結段を設定するとともに、第2回転機(モータ・ジェネレータ)を逆回転させる、すなわち機関の回転方向と反対の方向に回転させることにより、後進方向の駆動トルクを出力するようになっている。そして、上記のように機関の出力を利用して後進走行する際に車速が上昇すると、機関回転数が低下することになる。機関は、その回転数が低くなると、機関の回転や固有振動数に起因する振動や騒音が発生し易くなる。したがって、上記の特許文献1に記載されているような構成のハイブリッド車両においては、機関の出力を利用した後進走行時に、車両のNV性能が低下してしまう可能性があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、機関および2つの回転機を駆動力源とする車両において、車両のNV性能を向上させることができる車両の制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、機関および第1回転機ならびに第2回転機を駆動力源とする車両であって、第1回転要素と、前記第1回転要素が回転する際に反力要素となるとともに前記第1回転機が連結された第2回転要素と、前記第1回転要素および前記第2回転要素の回転速度に基づいて決まる回転速度で回転するとともに前記第2回転機および駆動軸が連結された第3回転要素とを有する差動歯車装置から構成されて、前記駆動力源と前記駆動軸との間で動力を分割もしくは合成して伝達する動力分割機構と、係合状態と開放状態との間で伝達トルク容量を連続的に変化させることが可能な係合装置の前記伝達トルク容量を制御することにより前記機関の出力トルクを変速して前記第1回転要素に伝達する変速機構とを備えた車両の制御装置において、前記機関の出力を用いて前記車両を後進走行させる場合に、前記係合装置を前記係合状態と前記開放状態との間の差回転状態に制御して機関回転数の低下を抑制するもしくは前記機関回転数を上昇させる差回転制御手段を備えていることを特徴とする制御装置である。
なお、この発明における前記差回転制御手段は、前記変速機構で用いるオイルの油温が所定範囲よりも低い場合、もしくは前記所定範囲よりも高い場合に、前記係合装置を前記差回転状態に制御することを禁止する手段を含ませることもできる。
また、この発明における前記差回転制御手段は、前記機関で用いる冷却水の水温が所定値よりも低い場合に、前記係合装置を前記差回転状態に制御することを禁止する手段を含ませることもできる。
また、この発明における前記差回転制御手段は、前記係合装置を前記差回転状態に制御する際に、前記第2回転要素に作用するトルクと前記機関の出力トルクとの差である差回転トルクを推定し、前記差回転トルクが大きいほど前記係合装置における差回転数が小さくなるように、前記係合装置を制御する手段を含ませることもできる。
この発明によれば、例えばエンジンなどの機関の出力を用いて車両を後進走行させる場合に、変速機構のクラッチやブレーキなどの係合装置を差回転状態(スリップ状態)に制御することにより、機関回転数の低下が抑制される、もしくは機関回転数が上昇させられる。機関回転数が低くなると機関の回転や固有振動数に起因する振動や騒音が発生する場合があるが、上記のように機関回転数が低下しないよう制御されることにより、振動や騒音の発生を防止もしくは抑制することができる。そのため、車両のNV性能を向上させることができる。
次に、この発明を、図を参照して具体的に説明する。この発明は機関(エンジン)および回転機(モータ)を駆動力源として備えた車両を制御対象とする制御装置に関する発明である。特に、その車両は、エンジンの回転数やトルクを制御するモータと、駆動力を発生するモータとの2つのモータを有するいわゆる2モータ式のハイブリッド車両である。
上記の機関すなわちエンジンとしては、ガソリンエンジンが最も一般的であるが、この発明におけるエンジンは、ディーゼルエンジンやガスエンジンなど、ガソリン以外の燃料を使用する内燃機関であってよい。また、回転機すなわちモータは、発電機能あるモータ(すなわちモータ・ジェネレータ)であることが好ましいが、エンジンの制御に作用するモータをモータ・ジェネレータによって構成し、他のモータは発電機能を備えていないモータであってもよい。
さらに、この発明で対象とするハイブリッド車両もしくはその制御装置は、エンジンが出力する動力で走行する走行モードと、バッテリに蓄えられた電力でモータを駆動して走行する走行モードとを選択できるように構成されている。エンジンが出力する動力で走行する走行モードは、その動力の一部を駆動輪に伝達し、かつその動力の他の一部でモータ・ジェネレータを駆動して発電し、その電力で他のモータを駆動して走行するモードや、エンジンで発電機を駆動して発電し、その電力でモータを駆動して走行するモードなどを設定するように構成されていてよい。また、バッテリからモータに電力を供給して走行するモードは、いずれか1つのモータで走行するモードや、2つのモータ(もしくはモータ・ジェネレータ)を共に駆動して走行するモードなどを設定するように構成されていてよい。
図1に、この発明で対象とすることのできるハイブリッド車両Veにおけるパワートレーンの例をスケルトン図で示してある。ここに示す例は、エンジン1が出力した動力を第1モータ・ジェネレータ2側と駆動軸4側とに分割し、かつ第1モータ・ジェネレータ2で発生した電力を第2モータ・ジェネレータ3に供給して第2モータ・ジェネレータ3の駆動力を駆動軸4に加えるように構成された、いわゆる2モータ式のハイブリッド車両Veである。ここに示すハイブリッド車両Veで用いられている動力分割機構5は、3つの回転要素を有する差動機構によって構成されている。より具体的には、3つの回転要素のうちの第1回転要素としてサンギヤ、第2回転要素としてキャリヤ、そして、第3回転要素としてリングギヤを有する遊星歯車機構によって構成されている。この図1に示す例では、シングルピニオン型の遊星歯車機構が用いられている。
上記の動力分割機構5を構成する遊星歯車機構は、エンジン1と同一の軸線上に配置され、サンギヤ6に第1モータ・ジェネレータ2が連結されている。なお、第1モータ・ジェネレータ2は、動力分割機構5に隣接してエンジン1とは反対側に配置されていて、そのロータ2aがサンギヤ6に連結されている。このサンギヤ6に対して同心円上にリングギヤ7が配置されている。そして、これらサンギヤ6とリングギヤ7とに噛み合っているピニオンギヤがキャリヤ8によって自転および公転できるように保持され、そのキャリヤ8がエンジン1の出力軸1aに連結されている。さらに、リングギヤ7にドライブギヤ9が連結されている。このドライブギヤ9は、エンジン1と動力分割機構5との間に配置されている。
上記の動力分割機構5や第1モータ・ジェネレータ2などの回転中心軸線と平行に、カウンタシャフト10が配置されている。そして、上記のドライブギヤ9に噛み合っているカウンタドリブンギヤ11が、このカウンタシャフト10に一体となって回転するように取り付けられている。このカウンタドリブンギヤ11は、ドライブギヤ9よりも小径のギヤによって構成されている。したがって、動力分割機構5からカウンタシャフト10に向けてトルクを伝達する場合に減速作用(トルクの増幅作用)が生じるようになっている。
さらに、上記の動力分割機構5から駆動軸4に伝達されるトルクに、第2モータ・ジェネレータ3が出力するトルクを付加できるように構成されている。すなわち、上記のカウンタシャフト10と平行に第2モータ・ジェネレータ3が配置されていて、そのロータ3aに連結されたリダクションギヤ12が、上記のカウンタドリブンギヤ11に噛み合っている。そのリダクションギヤ12は、カウンタドリブンギヤ11より小径のギヤによって構成されている。したがって、第2モータ・ジェネレータ3が出力するトルクを増幅してカウンタドリブンギヤ11もしくはカウンタシャフト10に伝達するように構成されている。
カウンタシャフト10には、カウンタドライブギヤ13が一体となって回転するように設けられていて、そのカウンタドライブギヤ13が、終減速機であるデファレンシャルギヤ14のリングギヤ15に噛み合っている。図1では作図の都合上、デファレンシャルギヤ14の位置を図1での右側にずらして記載してある。
なお、第1モータ・ジェネレータ2および第2モータ・ジェネレータ3は、それぞれ、図示しないインバータなどのコントローラを介してバッテリに接続されている。そして、これら第1モータ・ジェネレータ2および第2モータ・ジェネレータ3は、いずれも、モータもしくは発電機として機能するように電流が制御される。また、エンジン1は、そのスロットル開度や点火時期が制御されるように構成されていて、さらには自動停止、および、始動ならびに再始動の制御が行われるように構成されている。
さらに、エンジン1と動力分割機構5との間に変速部16が設けられている。この変速部16は、直結段と増速段すなわちオーバードライブ(O/D)段とに切り替えられるように構成されている。この変速部16は、シングルピニオン形の遊星歯車機構を備えており、そのキャリヤ17にエンジン1の出力軸1aが連結され、リングギヤ18が前述した動力分割機構5のキャリヤ8に一体となって回転するように連結されている。そして、サンギヤ19とキャリヤ17との間に、これらサンギヤ19とキャリヤ17とを連結し、またその連結を解除するクラッチC1が設けられている。また、サンギヤ19を回転不可能な状態に固定し、またその固定を解除するブレーキB1が設けられている。これらのクラッチC1およびブレーキB1は、例えば油圧によって係合する摩擦係合機構によって構成することができる。
上記の変速部16は、クラッチC1を係合させることにより、遊星歯車機構のサンギヤ19とキャリヤ17とが連結される。その結果、遊星歯車機構の全体が一体となって回転し、増速作用および減速作用の生じないいわゆる直結状態となる。したがって、クラッチC1に加えてブレーキB1を係合させることにより、変速部16の全体が一体となって固定され、動力分割機構5におけるキャリヤ8およびエンジン1の回転が止められる。これに対して、ブレーキB1のみを係合させることにより、変速部16におけるサンギヤ19が固定要素となり、またキャリヤ17が入力要素となる。そのため、出力要素であるリングギヤ18が、キャリヤ17よりも高回転数で、かつキャリヤ17と同方向に回転する。すなわち、変速部16が増速機構として機能する。言い換えれば、O/D段が設定される。
これらの各走行モードや後進状態でのクラッチC1およびブレーキB1の係合および開放の状態、および、第1モータ・ジェネレータ2および第2モータ・ジェネレータ3の動作の状態を図2にまとめて示してある。各動作状態について簡単に説明すると、図2で「EV」はモータ走行モードを示している。いわゆる「シングルモータ走行モード」ではクラッチC1およびブレーキB1が開放させられるとともに、第2モータ・ジェネレータ3がモータ(M)として動作させられ、かつ第1モータ・ジェネレータ2が発電機(G)として機能させられる。なお、第1モータ・ジェネレータ2は空転させてもよい。この「シングルモータ走行モード」で動力源ブレーキ作用(エンブレ作用)を生じさせる場合には、クラッチC1およびブレーキB1の両方が係合させられて、動力分割機構5におけるキャリヤ8が回転不可能な状態に固定される。この状態を図3に共線図で示してある。
また、モータ走行モードのうち「ツインモータ走行モード」では、第1モータ・ジェネレータ2および第2モータ・ジェネレータ3が、いずれも、モータとして機能させられる。そして、第1モータ・ジェネレータ2のトルクがドライブギヤ9からカウンタドリブンギヤ11に出力されるようにするために、クラッチC1およびブレーキB1が共に係合させられて、動力分割機構5のキャリヤ8が回転不可能な状態に固定される。そのため、動力分割機構5が減速機として機能し、第1モータ・ジェネレータ2のトルクが増幅されて9からカウンタドリブンギヤ11に出力される。この状態を図4に共線図で示してある。
一方、図2で「HV」はエンジン1を駆動しているハイブリッド駆動状態を示している。車両Veが軽負荷かつ中高車速で走行している状態では、変速部16がO/D段(High)に設定される。すなわち、クラッチC1が開放させられ、ブレーキB1が係合させられる。この状態を図5に共線図で示してある。この状態では、前述したように、第1モータ・ジェネレータ2によってエンジン回転数が燃費の良好な回転数に制御される。その場合、第1モータ・ジェネレータ2が発電機として機能させられることにより生じた電力が第2モータ・ジェネレータ3に供給される。その結果、第2モータ・ジェネレータ3がモータとして動作し、駆動トルクを出力する。また、低車速でアクセル開度が大きくなるなど、大きい駆動力が要求されている場合には、変速部16は直結(Low)状態に制御される。すなわち、クラッチC1が係合させられ、かつブレーキB1が開放させられて、変速部16の全体が一体となって回転する状態になる。なお、第1モータ・ジェネレータ2が発電機として動作させられ、かつ第2モータ・ジェネレータ3がモータとして動作させられることに変わりはない。
そして、上記のようなエンジン1の運転制御、第1モータ・ジェネレータ2ならびに第2モータ・ジェネレータ3の運転制御、および、クラッチC1ならびにブレーキB1の係合・開放制御などを行う電子制御装置(ECU)20が設けられている。そして、その電子制御装置20の制御系統を図6にブロック図で示してある。
この発明における電子制御装置20は、走行のための全体的な制御を行うハイブリッド制御装置(HV−ECU)21、第1モータ・ジェネレータ2および第2モータ・ジェネレータ3を制御するためのモータ・ジェネレータ制御装置(MG−ECU)22、および、エンジン1を制御するためのエンジン制御装置(E/G−ECU)23が設けられている。これらの各制御装置21,22,23は、それぞれ、マイクロコンピュータを主体にして構成され、入力されたデータおよび予め記憶させられているデータを使用して演算を行い、その演算結果を制御指令信号として出力するように構成されている。
電子制御装置20に入力される入力データの例を挙げると、例えば、車速、アクセル開度、第1モータ・ジェネレータ2の回転数、第2モータ・ジェネレータ3の回転数、リングギヤ7の回転数(出力軸回転数)、エンジン1の回転数、バッテリのSOCなどが、ハイブリッド駆動装置21に入力されるようになっている。また、電子制御装置20から出力される指令信号の例を挙げると、例えば、第1モータ・ジェネレータ2のトルク指令値、第2モータ・ジェネレータ3のトルク指令値、エンジン1のトルク指令値、および、クラッチC1の油圧指令値PC1、ならびに、ブレーキB1の油圧指令値PB1などが、ハイブリッド駆動装置21から出力されるようになっている。
また、上記の第1モータ・ジェネレータ2のトルク指令値および第2モータ・ジェネレータ3のトルク指令値は、モータ・ジェネレータ制御装置22に制御データとして入力されるようになっている。そして、モータ・ジェネレータ制御装置22は、これらのトルク指令値に基づいて演算を行い、第1モータ・ジェネレータ2および第2モータ・ジェネレータ3の電流指令信号を出力するように構成されている。また、エンジントルク指令信号は、エンジン制御装置23に制御データとして入力されるようになっている。そして、エンジン制御装置23は、そのエンジントルク指令信号に基づいて演算を行い、電子スロットルバルブ(図示せず)に対するスロットル開度信号、および点火時期を制御する点火信号などを出力するように構成されている。
前述したように、エンジン1と第1モータ・ジェネレータ2および第2モータ・ジェネレータ3とを駆動力源として上記のように構成されたハイブリッド車両Veでは、エンジン1の出力を用いて後進走行する場合に、エンジン1の回転数が低くなり、騒音や振動が発生してしまう可能性があった。
具体的には、エンジン1を駆動して後進走行する場合、従来技術では、クラッチC1が係合させられ、変速部16が直結(Low)状態に制御される。そして、また第1モータ・ジェネレータ2が発電機として動作させられ、かつ第2モータ・ジェネレータ3がモータとして動作させられる。この場合の駆動軸4の回転方向は、第1モータ・ジェネレータ2および第2モータ・ジェネレータ3の回転方向や回転数を制御することにより、後進走行方向に制御される。この状態を図7に共線図で示してある。この状態で後進方向に車速が上昇すると、キャリヤ8の回転数が低下する。そして、キャリヤ8の回転数が低下すると、エンジン回転数Neも低下することになる。したがって、従来技術では、エンジン1の出力を用いて後進走行する場合には、車速が増加するとエンジン回転数Neが低くなり、その結果、エンジン1の回転に起因する騒音や振動が発生してしまう場合があった。
そこで、この発明におけるハイブリッド車両の制御装置では、上記のように構成されたハイブリッド車両Veを制御対象にして、以下の図8のフローチャートに示す制御を実行するように構成されている。
この図8のフローチャートで示すルーチンは、所定の短時間毎に繰り返し実行される。図8のフローチャートにおいて、先ず、車両Veが「エンジン走行モード」で走行しているか否かが判断される(ステップS1)。車両Veの走行モードが「エンジン走行モード」でないことにより、このステップS1で否定的に判断され場合は、以降の制御を実行することなく、このルーチンを一旦終了する。
これに対して、車両Veの走行モードが「エンジン走行モード」であることにより、ステップS1で肯定的に判断され場合には、ステップS2へ進む。そして、車両Veのシフトポジションがリバース(R)に選択されて設定されているか否かが判断される。車両Veのシフトポジションが未だリバース(R)に設定されていないことにより、このステップS2で否定的に判断された場合は、以降の制御を実行することなく、このルーチンを一旦終了する。
これに対して、車両Veのシフトポジションがリバース(R)に設定されたことにより、ステップS2で肯定的に判断された場合には、ステップS3へ進む。そして、動力分割機構5や変速部16で使用されているオイルの油温Teaが、閾値として予め定めた所定油温Tea1よりも低いか否かが判断される。油温Teaが所定油温Tea1よりも低い極低温状態では、後述するクラッチC1のスリップ制御(もしくは差回転制御)を実施することが困難である。そのため、このステップS3では、油温Teaを基にスリップ制御の実施の可否を判断している。
したがって、油温Teaが所定油温Tea1よりも低いことにより、このステップS3で否定的に判断された場合は、ステップS4へ進み、クラッチC1に対するスリップ制御の実行が禁止される。そしてその後、このルーチンを一旦終了する。
一方、油温Teaが所定油温Tea1以上であることにより、ステップS3で肯定的に判断された場合には、ステップS5へ進む。そして、エンジン1の冷却水の水温Teeが、閾値として予め定めた所定水温Tee1よりも低いか否かが判断される。水温Teeが所定水温Tee1よりも低い極低温状態では、後述するクラッチC1のスリップ制御を実施することが困難である。そのため、このステップS5では、水温Teeを基にスリップ制御の実施の可否を判断している。
したがって、水温Teeが所定水温Tee1よりも低いことにより、このステップS5で否定的に判断された場合は、ステップS4へ進む。そして、前述のステップS3で油温Teaが所定油温Tea1よりも低いことにより否定的に判断された場合と同様に、クラッチC1に対するスリップ制御の実行が禁止される。そしてその後、このルーチンを一旦終了する。
そして、水温Teeが所定水温Tee1以上であることにより、ステップS5で肯定的に判断された場合には、ステップS6へ進み、クラッチC1に対するスリップ制御(もしくは差回転制御)が実行される。具体的には、エンジン回転数Neに基づいて、クラッチC1が完全係合状態と完全開放状態との間のスリップ状態(もしくは差回転状態)に制御される。その結果、図7の共線図に一点鎖線で示すように、エンジン回転数Neを上昇させる、もしくはエンジン回転数Neの低下を抑制することができる。
なお、この発明における差回転制御すなわちスリップ制御は、上記のようにエンジン回転数Neに基づいて実行される以外に、クラッチC1の差回転数とスリップトルクとの関係に基づいて実行することもできる。具体的には、第1モータ・ジェネレータ2が担っている反力トルクからキャリヤ8に作用しているトルクを推定する。また、エンジン1の回転数およびスロットル開度からエンジン1の出力トルクを推定する。また、これらエンジン1の出力トルクとキャリヤ8のトルクとの差をスリップトルク(もしくは差回転トルク)と定義する。そして、そのスリップトルクとクラッチC1における差回転数との関係が、図9のマップ示すような関係になるように、すなわち、スリップトルクが大きくなるほど差回転数が小さくなるように、クラッチC1のスリップ係合状態を制御してもよい。なお、この図9のマップに示すスリップトルクと差回転数との関係は、例えば、車速毎に複数設定することもできる。あるいは、車速や油温などの走行状態に応じた変数として設定することもできる。
上記のようにエンジン1の騒音や振動を抑制するためのクラッチC1のスリップ制御を実行する場合、差回転数が大きく、エンジン回転数Neが高くなる方が、騒音や振動を抑制する点では有利になる。ただし、差回転数が大きく、またスリップトルクが大きい状態でクラッチC1のスリップ制御を実施することは、クラッチC1の耐久性が低下する要因になる。そのため、上記の例では、スリップトルクが大きくなるほど差回転数が小さくなるようにクラッチC1のスリップ制御を実行するようにしている。
上記のようにしてこのステップS6でクラッチC1のスリップ制御が実行されると、その後、このルーチンを一旦終了する。
上記のような図8のフローチャートに示す制御を実行した場合の、エンジン回転数および第1モータ・ジェネレータ2ならびに第2モータ・ジェネレータ3の回転数やトルクなどの変化の一例を、図10のタイムチャートに示してある。具体的には、この図10のタイムチャートでは、車両Veのシフトポジションがニュートラル(N)からリバース(R)に切り替えられた際に、クラッチC1をスリップ係合状態に制御して差回転を可能にする状態を示している。
ニュートラル(N)が設定されている状態では、クラッチC1が係合されて変速部16は直結(Low)状態にされている。その状態から時刻t1でニュートラル(N)からリバース(R)へ車両Veのシフトポジションが切り替えられると、そのシフトポジションの切り替えに伴って、時刻t2でクラッチC1に対するスリップ制御が開始される。具体的には、時刻t2から時刻t3にかけて、クラッチC1の係合油圧が低下させられる。このとき係合油圧は0までは低下させられない。したがって、クラッチC1は、係合油圧が0になる完全開放状態と完全係合状態との間のスリップ係合状態になり、クラッチC1における差回転数が上昇する。
クラッチC1がスリップ係合状態に制御されて差回転数が発生することにより、エンジン回転数が上昇する。従来技術では、変速部16を直結(Low)状態にしたままリバース(R)が設定されると、例えば、エンジン回転数がエンジンの固有振動数付近の回転数まで低下し、その結果、騒音や振動が発生する可能性があった。これに対して、この発明では、上記のようなスリップ制御が行われることにより、リバース(R)を設定することに伴うエンジン回転数の低下を防止することができ、そのため、騒音や振動の発生を防止することができる。
上記のように、リバース(R)の設定時にスリップ制御が実行されている状態で、時刻t4でリバース(R)からニュートラル(N)へ車両Veのシフトポジションが切り替えられると、そのシフトポジションの切り替えに伴って、クラッチC1に対するスリップ制御が終了させられる。具体的には、時刻t4から時刻t5にかけて、クラッチC1の係合油圧が、リバース(R)を設定する以前のレベルまで増大させられる。
以上のように、この発明に係る車両の制御装置によれば、エンジン1の出力を用いて車両Veを後進走行させる場合に、変速部16のクラッチ1をスリップ状態に制御することにより、エンジン回転数Neの低下が抑制される、もしくはエンジン回転数Neが上昇させられる。エンジン回転数Neが低くなるとエンジン1の回転や固有振動数に起因する振動や騒音が発生する場合があるが、この発明に係る制御装置では、上記のようにエンジン回転数Neが低下しないよう制御されることにより、振動や騒音の発生を防止もしくは抑制することができる。そのため、車両VeのNV性能を向上させることができる。
なお、上述した具体例では、この発明で制御の対象とする車両として、エンジン1と、第1モータ・ジェネレータ2および第2モータ・ジェネレータ3とを駆動力源として備えた、いわゆる2モータタイプのハイブリッド車両の構成を例に挙げて説明したが、例えば、エンジンおよび3基以上の複数のモータ・ジェネレータを備えたハイブリッド車両であってもよい。また、外部電源から直接バッテリを充電することが可能ないわゆるプラグイン・ハイブリッド車両であってもよい。
1…エンジン(機関;ENG)、 1a…出力軸、 2…第1モータ・ジェネレータ(第1回転機;MG1)、 3…第2モータ・ジェネレータ(第2回転機;MG2)、 4…駆動軸、 5…動力分割機構、 6…サンギヤ、 7…リングギヤ、 8…キャリヤ、 9…ドライブギヤ、 10…カウンタシャフト、 11…カウンタドリブンギヤ、 12…リダクションギヤ、 13…カウンタドライブギヤ、 16…変速部、 17…キャリヤ、 18…リングギヤ、 19…サンギヤ、 20…電子制御装置(ECU)、 21…ハイブリッド制御装置(HV−ECU)、 22…モータ・ジェネレータ制御装置(MG−ECU)、 23…エンジン制御装置(E/G−ECU)、 B1…ブレーキ(係合装置)、 C1…クラッチ(係合装置)、 Ve…ハイブリッド車両。
Claims (1)
- 機関および第1回転機ならびに第2回転機を駆動力源とする車両であって、第1回転要素と、前記第1回転要素が回転する際に反力要素となるとともに前記第1回転機が連結された第2回転要素と、前記第1回転要素および前記第2回転要素の回転速度に基づいて決まる回転速度で回転するとともに前記第2回転機および駆動軸が連結された第3回転要素とを有する差動歯車装置から構成されて、前記駆動力源と前記駆動軸との間で動力を分割もしくは合成して伝達する動力分割機構と、係合状態と開放状態との間で伝達トルク容量を連続的に変化させることが可能な係合装置の前記伝達トルク容量を制御することにより前記機関の出力トルクを変速して前記第1回転要素に伝達する変速機構とを備えた車両の制御装置において、
前記機関の出力を用いて前記車両を後進走行させる場合に、前記係合装置を前記係合状態と前記開放状態との間の差回転状態に制御して機関回転数の低下を抑制するもしくは前記機関回転数を上昇させる差回転制御手段を備えていることを特徴とする車両の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013151920A JP2015020665A (ja) | 2013-07-22 | 2013-07-22 | 車両の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013151920A JP2015020665A (ja) | 2013-07-22 | 2013-07-22 | 車両の制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015020665A true JP2015020665A (ja) | 2015-02-02 |
Family
ID=52485485
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013151920A Pending JP2015020665A (ja) | 2013-07-22 | 2013-07-22 | 車両の制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2015020665A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3159580A3 (en) * | 2015-10-20 | 2017-05-24 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Control system of power transmission system |
JP2017088069A (ja) * | 2015-11-13 | 2017-05-25 | トヨタ自動車株式会社 | ハイブリッド車両の駆動力制御装置 |
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2013
- 2013-07-22 JP JP2013151920A patent/JP2015020665A/ja active Pending
Cited By (4)
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US10351141B2 (en) | 2015-10-20 | 2019-07-16 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Control system of power transmission system |
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