JP2015020106A - 排ガス処理設備及びこれを用いた排ガス処理方法 - Google Patents

排ガス処理設備及びこれを用いた排ガス処理方法 Download PDF

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Tomoaki Shibata
智明 柴田
淳平 菊田
Junpei Kikuta
淳平 菊田
櫻井 雄一
Yuichi Sakurai
雄一 櫻井
江川 善雄
Yoshio Egawa
善雄 江川
大田 秀樹
Hideki Ota
秀樹 大田
正秀 永富
Masahide Nagatomi
正秀 永富
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Abstract

【課題】金属還元処理設備に供給される原料の組成及び量が変動しても、当該設備から排出される排ガスの処理を柔軟に実施できるとともに、保守点検のために操業を停止せざるを得ない期間を最小限にとどめることができ高い稼働率を実現できる排ガス処理設備を提供する。
【解決手段】本発明に係る排ガス処理設備は、金属還元処理設備から排出され且つ揮発成分を含む排ガスを処理対象とするものであり、金属還元処理設備からの排ガスと冷媒との熱交換を、伝熱面を介して行う熱交換器と、金属還元処理設備からの排ガスに水を吹きかけることによって排ガスを冷却する冷却器と、熱交換器及び冷却器の一方又は両方に排ガスが導入されるように排ガスの流路を切り替える切換え弁とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属還元処理設備から排出され且つ揮発成分を含む排ガスを処理対象とする排ガス処理設備及びこれを用いた排ガス処理方法に関する。
回転炉床炉やトンネル炉などの金属還元処理設備からは、原料に含まれる揮発成分を含んだ排ガスが排出される。揮発成分としては、亜鉛、鉛、塩素等が挙げられる。これらの揮発成分を含む排ガスは、排ガス処理設備に送られる。排ガス処理設備は、高温の排ガスからの熱回収を目的として廃熱回収装置(ボイラ、レキュペレータなど)を備え、これらの装置内において伝熱面を介して高温の排ガスと冷媒との熱交換が行われる。
揮発成分を含む排ガスの温度が低下すると揮発成分が固化してダストが発生し、これが熱交換器の伝熱面に付着する。ダストの付着量が増大すると熱交換器の熱回収率が低下し、更にこれが進行するとガス流路が閉塞して操業停止につながる。これを未然に防ぐため、定期的に排ガス処理設備を停止して清掃する必要がある。しかし、高い頻度で排ガス処理設備を清掃しなければならない場合、金属還元処理設備の稼働率が著しく低下する。
排ガス処理設備の高い稼働率、ひいては金属還元処理設備の高い稼働率を維持するため、例えば、下記特許文献1に示されるように、熱交換器の上流側の排ガス経路内に冷媒(空気又は水)を供給する対策が知られている。熱交換器に導入される排ガス温度を低下させることで、熱交換器の伝熱面にダストが強固に付着するのを防止できる。
特開2001−33173号公報
しかし、揮発成分を高濃度に含む排ガスを処理する場合、上記特許文献1の設備であっても未だ改善の余地があった。具体的には、以下のような課題がある。
(1)排ガスに空気を加えても、誘導吸引ファン(IDF)の能力によっては十分に排ガス温度を下げられず、ダスト固着の低減に限界がある。
(2)排ガスに水を加えると、排ガス中の水分増加につながり、結露やバグフィルタでの含水ダストの固着につながる。
(3)排ガス温度が高く、ダスト量が少ない場合、不要であるにも関わらず排ガスに冷媒(空気又は水)を供給することで、回収熱量の低下及びランニングコストの増大を招来する。
また、回転炉床炉などの金属還元処理設備の処理対象物は製鉄廃棄物であるため、その量や成分が大きく変動する可能性がある。処理対象物の変動は、上記排ガスから発生するダスト量の変動につながり、特に多量のダストが発生する条件が重なったとき、従来の排ガス設備では十分に対応することができない可能性があった。
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、金属還元処理設備に供給される原料の組成及び量が変動しても、当該設備から排出される排ガスの処理を柔軟に実施できるとともに、保守点検のために操業を停止せざるを得ない期間を最小限にとどめることができ高い稼働率を実現できる排ガス処理設備及びこれを用いた排ガス処理方法を提供することを目的とする。
本発明に係る排ガス処理設備は、金属還元処理設備から排出され且つ揮発成分を含む排ガスを処理対象とするものであり、金属還元処理設備からの排ガスと冷媒との熱交換を、伝熱面を介して行う熱交換器と、金属還元処理設備からの排ガスに水を吹きかけることによって排ガスを冷却する冷却器と、熱交換器及び冷却器の一方又は両方に排ガスが導入されるように排ガスの流路を切り替える切換え弁とを備える。
上記排ガス処理設備は、熱交換器と、水を利用した冷却器と、切換え弁とを備え、排ガスから発生するダスト量の応じて適した装置(熱交換器又は冷却器)を選択できる。このため、金属還元処理設備に供給される原料の組成及び量の変動に伴ってダストの発生量が大きく変動しても、適切に排ガス処理を実施できる。例えば、ダスト量が少ないときには熱交換器を使用し、ダスト量が多いときには水を利用した冷却器を使用してもよいし熱交換器と冷却器とを併用してもよい。なお、水を用いた冷却が必要な場合にのみ上記冷却器を使用することで、結露及び含水ダストに起因するトラブルを最小限にとどめることができる。
また、本発明によれば、保守点検のために操業を停止せざるを得ない期間を最小限にとどめることができ高い稼働率を実現できる。例えば、冷却器を使用して排ガスの冷却を行っているときに熱交換器の清掃作業を行うことができるし、熱交換器を使用して排ガスの冷却を行っているときに冷却器の清掃作業を行うことができる。ダスト量が少ないときに、冷却器を使用して排ガスの冷却を行い、その間に熱交換器の清掃作業を実施することもできる。
上記排ガス処理設備は、熱交換器の上流側にボイラを更に備え、ボイラを通過した排ガスが熱交換器及び冷却器の両方又は一方に供給されるように構成されていてもよい。かかる位置にボイラを配置することで、高温の排ガスから熱を効率的に回収できる。熱交換器の上流側にボイラを設けた場合、ボイラ及び熱交換器をバイパスする管路を設け、当該管路の途中に冷却器を設けてもよい。すなわち、金属還元処理設備からの排ガスであってボイラを通過前の排ガスがボイラ及び熱交換器、あるいは、冷却器に供給されるように排ガスの流路を切り替える可能としてもよい。当該構成はボイラ内におけるダストの固着が顕著なることが予想される場合やボイラの清掃作業による運転停止時にも操業を継続する場合などに有用である。
上記金属還元処理設備の例として回転炉床炉、トンネル炉、ロータリーキルン、シャフト炉を挙げることができる。金属還元処理設備からは揮発成分として亜鉛、鉛、アルカリ金属などの揮発性金属、及び、塩素などを含む高温(900〜1200℃程度)の排ガスが排出される。
本発明において、熱交換器として以下の構成のものを採用してもよい。すなわち、ダストの発生量が多い場合の好適な熱交換器は、排ガスの流路が上方から下方に延びる第一エレメントと、第一エレメントの後段に配置され且つ排ガスの流路が下方から上方に延びる第二エレメントと、第一エレメントと第二エレメントの接続部をなすとともに、発生したダストを捕集するダスト捕集部と、最後段のエレメントから最前段の第一エレメントに向けて冷却用の空気を流すための空気用流路とを有する。
上記熱交換器は複数のエレメントからなる。通常、最初に高温の排ガスが導入される最前段のエレメント(第一エレメント)において排ガスの温度低下によって多量のダストが固化し、後段のエレメントにいくに従ってダストの発生量は少なくなる。このため、第一エレメントで大量に発生するダストがダスト捕集部に捕集されやすいように、第一エレメント内には排ガスが上方から下方に流れるように流路を設け、その後段の第二エレメント内には排ガスが下方から上方に流れるように流路を設け、これらの流路の間にダスト捕集部を設けることが好ましい。
冷媒として空気を利用した熱交換器においては、高い熱回収率の観点から、上述のとおり、最後段のエレメントから最前段の第一エレメントに向けて冷却用の空気を流すのが一般的である。本発明においては、排ガスを急冷する必要が生じた場合などのために、第一エレメントから最後段のエレメントに向けて空気用流路を空気が流れるように、つまり、排ガスの流れと並行流となるように、空気の流れ方向を変更自在としてもよい。排ガスを急冷することによって、排ガスに含まれる揮発成分が一気に固化してダストとなり、ダストが伝熱面に融着するのを抑制できる。これに対し、排ガスの急冷が不十分であると、揮発成分が液化したものが伝熱面に融着し、伝熱面上で固化する。伝熱面上に融着した固化物は伝熱面に強固に付着し、その除去作業に多大な労力と時間を要する。
上記熱交換器は、排ガス側の伝熱面に向けて空気を噴射するノズルを有してもよい。ノズルから連続的又は断続的に空気を噴射することで、伝熱面に付着したダストを取り除くことができ、これにより、高い熱回収率を維持できる。
上記排ガス処理設備は、熱交換器の上流側の排ガス流路に設けられた冷風又は加圧水の供給用開口を更に備えてもよい。かかる開口を設けることで、熱交換器に排ガスが導入されるに先立って排ガスの温度を下げることができ、熱交換器の伝熱面に揮発成分が融着するのを抑制できる。
本発明は、上記排ガス処理設備を用いた排ガス処理方法を提供する。当該排ガス処理方法は、排ガスから発生するダスト量に応じて、熱交換器及び冷却器の一方又は両方を使用するかを選択する。なおボイラ及び熱交換器をバイパスする管路を設け当該管路の途中に冷却器を設けた場合も同様である。例えば、金属還元処理設備に供給される原料の亜鉛濃度に応じて、熱交換器及び冷却器の一方又は両方を使用するかを選択してもよい。
本発明に係る排ガス処理方法は、熱交換器及び冷却器のうちの一方を使用して排ガス処理設備の操業を継続しながら、他方の清掃作業を行うものであってもよい。本発明によれば、保守点検のために操業を停止せざるを得ない期間を最小限にとどめることができ高い稼働率を実現できる。
本発明によれば、金属還元処理設備に供給される原料の組成及び量が変動しても、当該設備から排出される排ガスの処理を柔軟に実施できるとともに、保守点検のために操業を停止せざるを得ない期間を最小限にとどめることができ高い稼働率を実現できる。
本発明に係る排ガス処理設備の好適な実施形態を模式的に示す概略構成図である。 レキュペレータ(熱交換器)の内部構造を模式的に示す断面図である。 レキュペレータの1〜4段目の各エレメント内において固化する揮発分の量を示すグラフである。 レキュペレータの1段目のエレメント内における排ガスとダストの移動方向を示す模式図である。 (a)はレキュペレータにおいて排ガスと冷却空気とを対向流とした状態を示す模式図であり、(b)は排ガスと冷却空気とを並行流とした状態を示す模式図である。 レキュペレータ内の排ガス及び冷却空気の温度を示すグラフである。 原料の亜鉛濃度に応じて取るべきダスト付着防止対策の例を示すリストである。 本発明に係る排ガス処理設備の他の実施形態を模式的に示す概略構成図である。 本発明に係る排ガス処理設備の他の実施形態を模式的に示す概略構成図である。 従来の排ガス処理設備の一例を示す概略構成図である。 従来のレキュペレータの1段目のエレメント内における排ガスとダストの移動方向を示す模式図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
<排ガス処理設備>
図1は、本発明に係る排ガス処理設備の好適な実施形態を模式的に示す概略構成図である。同図に示す排ガス処理設備50は、回転炉床炉(金属還元処理設備)1からの排ガスから熱を回収するとともに、排ガスからダストを分離除去するためのものである。ここでは、回転炉床炉1からの排ガスを処理する場合を例示するが、回転炉床炉1以外の金属還元処理設備からの排ガス処理に排ガス処理設備50を使用してもよい。
回転炉床炉1は、酸化金属を還元して金属を回収するための装置である。回転炉床炉1は環状の炉床を有し、その上に原料ペレットが敷き詰められ、この状態で炉床が回転することによって高温の炉内を原料ペレットが移動する。原料ペレットは、酸化金属を含む粉体と炭素系還元剤との混合物をペレット状にしたものである。炉床上において原料ペレットが1200〜1350℃程度の温度で5〜20分程度にわたって熱処理されると、還元剤が酸化金属を還元して金属が得られる。この還元剤の燃焼と、炉内を加熱するための燃料の燃焼によって高温の排ガスが発生する。排ガスの温度は、回転炉床炉1の出口(ダクト2の入口)において900〜1200℃程度である。排ガスは原料ペレットから揮発した成分を含有する。揮発成分の具体例としては、亜鉛、鉛、アルカリ金属などの揮発性金属、及び、塩素などが挙げられる。
排ガス処理設備50は、回転炉床炉1のダクト2に接続されたボイラ3と、レキュペレータ(熱交換器)5と、スプレー冷却塔(冷却器)6と、バグハウス7と、誘引ファン8と、煙突9とを備える。ボイラ3の出口に接続された管路L1は途中で分岐し、一方の管路L1aはレキュペレータ5に接続され、他方の管路L1bはスプレー冷却塔6に接続されている。レキュペレータ5の出口に接続された管路L2aと、スプレー冷却塔6の出口に接続された管路L2bは合流して一つの管路L2となり、バグハウス7に至る。管路L1a,L1b及び管路L2a,L2bの途中には開閉弁(切換え弁)V1−V4が設けられており、これらを操作することで排ガスの流路を切り換えられるようになっている。バグハウス7の出口と煙突9は管路L3で接続されており、管路L3の途中に誘引ファン8が設けられている。
排ガス処理設備50においては、レキュペレータ5とスプレー冷却塔6が並列に設けられ且つ開閉弁V1−V4が管路に配設されている。これにより、排ガスから発生するダスト量に応じて排ガスの行き先をレキュペレータ5とするか、又はスプレー冷却塔6にするか選択することができ、更にレキュペレータ5及びスプレー冷却塔6の両方に排ガスを流入させることもできる。このため、回転炉床炉1に供給される原料の組成及び量の変動に伴ってダストの発生量が大きく変動しても、適切に排ガス処理を実施できる。以下、各構成について説明する。
ボイラ3は、高温の排ガスの熱を利用して水蒸気を発生させるためのものである。ボイラ3は、ダクト2の出口と接続されている。
レキュペレータ5は、伝熱面を介して排ガスと冷却空気(冷媒)との熱交換を行うためのものである。レキュペレータ5によって、排ガスの熱が回収されるとともに、温度が低下した排ガスから揮発成分が凝固し、これをダストとして分離除去できる。本実施形態におけるレキュペレータ5は、4つのエレメントE1−E4からなる。図2は、一段目のエレメントE1の内部構造を模式的に示す横断面図である。同図に示すように、エレメントE1内には複数の扁平管路5aが設けられており、これらの管路5a内を冷却空気が流れ、管路5aの外面(伝熱面)5bと外枠の内面5cによって画される流路5dを排ガスが流れる。エレメントE2−4はエレメントE1と同様の構成を有する。レキュペレータ5の各エレメントは、管路5aの外面5bに向けて空気を噴射するノズル5eを有してもよい。ノズル5eから連続的又は断続的に空気を噴射することで、管路5aの外面5bに付着したダストを取り除くことができ、これにより高い熱回収率を維持できる。高い熱回収率を維持するため、管路5aの外面5bに付着したダストを機械的に掻き落とす機構を採用してもよい。なお、ボイラ3における排ガスの管路内にノズル5eと同様のノズル(図示せず)を設置してもよい。
4つのエレメントE1−E4は、直列に配置されており、排ガスの流路の最も上流側にエレメント(第一エレメント)E1が設けられ、その後段にエレメントE2(第二エレメント)及びエレメントE3が続き、排ガスの流路の最も下流側にエレメントE4が設けられている。なお、エレメントの数は4つに限定されるものではない。
高温の排ガスが導入されるエレメントE1では、排ガスの温度低下によって多量のダストが発生する。その後のエレメントE2−E4においては、エレメントE1と比較するとダスト発生量は少ない(図3参照)。本実施形態においては、図4に示すように、エレメントE1内の流路5d内を排ガスが上方から下方に流れ、エレメントE2内の流路5d内を排ガスが下方から上方に流れる。白い矢印Gは排ガスの流れ方向を示し、グレーの矢印Dはダストの移動方向を示す。エレメントE1とエレメントE2の接続部、すなわち、排ガスの流れが下方から上方に変化する部分にダスト捕集部5fが設けられている。かかる構成により、温度低下に伴って排ガスから発生したダストをダスト捕集部5fにおいて効率的に分離できる。エレメントE3とエレメントE4の接続部にもダスト捕集部5fが設けられている。ダスト捕集部5fにはダスト排出用装置5gが設けられている。ダスト排出用装置5gは、例えば、ダスト捕集部5f内に配置したスクリューコンベアと、これによって運ばれたダストを排出するロータリーバルブと備えた構成とすることができる。
エレメントE1で十分量のダストを発生させる観点から、エレメントE1の出口における排ガス温度は好ましくは500〜400℃である。
冷却空気は、ファン10によってエレメントE4に導入され、エレメントE3,E2,E1を順次通過し、熱を吸収した空気がエレメントE1から排出される。高い熱回収率の観点から、エレメントE4からエレメントE1に向けて冷却空気を流すのが一般的である(図5(a)参照)。本実施形態においては、排ガスを急冷する必要が生じた場合などのために、エレメントE1からエレメントE4に向けて流路を空気が流れるように、つまり、排ガスの流れと並行流となるように、空気の流れ方向を変更できるように構成されている(図5(b))。具体的には、冷却空気用の管路に複数の弁を設け、レキュペレータ5に対する冷却空気の入口と出口とを切り替えることができるようにすればよい。
図6は、レキュペレータ5内の排ガス及び冷却空気の温度を示すグラフである。実線は冷却空気の流れが排ガスに対して対向流とした場合を示し、一点鎖線は冷却空気の流れを排ガスと並行流とした場合を示す。図6に示すように、並行流とすることによって回収熱量が低下する反面、エレメントE1(1段目)における排ガスの温度低下が顕著となる。排ガスを急冷することによって、排ガスに含まれる揮発成分が一気に固化してダストとなり、ダストが管路5aの外面5bに融着するのを抑制できる。これにより、レキュペレータ5の清掃作業に要する労力及び時間を軽減できる。
レキュペレータ5で十分量のダストを発生させる観点から、レキュペレータ5の出口(エレメントE4の出口)における排ガス温度は好ましくは300℃以下である。レキュペレータ5に導入される排ガスの温度を事前に下げられるように、レキュペレータ5の上流側の排ガス流路(例えば管路L1)に冷風又は加圧水の供給用開口5hを設けてもよい。開口5hから冷風又は加圧水を供給することで、レキュペレータ5に排ガスが導入されるに先立って排ガスの温度を下げることができ、レキュペレータ5の伝熱面に揮発成分が融着するのを抑制できる。
なお、図10は従来の排ガス処理設備の一例を示す概略構成図である。同図に示す排ガス処理設備60は、スプレー冷却塔6を具備せず、またレキュペレータ5´の4つのエレメントの配置が本実施形態に係る排ガス処理設備50と相違する。まず、スプレー冷却塔6を具備しないため、ボイラ3を出た排ガスを常にレキュペレータ5´に導入せざるを得ず、ダスト発生量の変動に対して柔軟に対応することができない。また、排ガス処理設備60においては、敷地面積削減の観点から、エレメントE1´,E2´が縦方向に並び、エレメントE3´,E4´も縦方向に並んでいる。図11に示すとおり、ボイラ3からの排ガスはエレメントE1´内を上方に流れる。一方、エレメントE1´内で発生したダストは重力によって下方に落ちようとする。しかし、上向きの排ガスによってダストが沈降しにくく、ダストの分離除去を十分効率的に行うことができないおそれがある。
スプレー冷却塔6は、レキュペレータ5と並列に設けられており、必要に応じて排ガスを急冷するためのものである。スプレー冷却塔6においては、水が排ガスに対して噴射される。スプレー冷却塔6においてどの程度にまで排ガス温度を低下させるかによるが、水の噴射量は結露及び含水ダストに起因するトラブルが生じないように必要最小限にとどめることが好ましい。
バグハウス7は、その内部にバグフィルタが収容されており、管路L2から導入される排ガスの除塵処理を行うためのものである。バグハウス7の入口における排ガス温度は好ましくは120〜190℃であり、より好ましくは150〜180℃である。排ガス温度が120℃未満であるとバグハウス7内において酸腐食が発生しやすく、他方、190℃を超えるとバグフィルタの焼損が生じやすい。管路L2には空気供給用ダクト7aが設けられており、ダクト7aから管路L2内に空気を導入することによってバグハウス7に供給される排ガス温度を低下させることができる。なお、バグハウス7の代わりに、他の集塵機を採用してもよく、例えば、湿式スクラバー、電気集塵機などが挙げられる。
バグハウス7からの排ガスは管路L3を介して煙突9に導入され、煙突9の先端から大気に放出される。なお、レキュペレータ5において排ガスによって加熱された空気は、例えば、回転炉床炉1に送られ、燃料を燃焼させるための空気として利用される。
<排ガス処理方法>
次に、上記排ガス処理設備50によって排ガスを処理する方法について説明する。本実施形態に係る排ガス処理方法は、排ガスから発生するダスト量に応じて、より具体的には、回転炉床炉1に供給される原料の亜鉛濃度に応じて、レキュペレータ5及びスプレー冷却塔6の一方又は両方を使用するかを選択する。図7は、原料の亜鉛濃度を4段階の領域に分けた場合、各段階において実施すべき操業対策のリストである。なお、以下の対策は、原料の亜鉛濃度に依らず適宜実施してもよいし、あるいは、実施しなくてもよい。
(1)冷風吹込み及び(2)加圧水吹込みは、原料の亜鉛濃度が少量(例えば0.6質量%超1.5質量%以下)であるときに実施される対策である。開口5hから冷風及び/又は加圧水を導入することで、排ガス温度を低下させ、排ガス中ダストを積極的に固化させて、揮発成分が設備に融着するのを防止する。排ガス風量を少なく抑えるため、吹込み量当たりの温度低減効果の高い加圧水を、排ガス水分が所定のレベル(例えば10%)に到達するまでは優先して使用し、以降、冷風にてガス温度を低減することが好ましい。排ガス水分が10%を超えてまで加圧水を導入すると、バグハウス7において、水分による目詰まりや結露による不具合が生じやすくなる。
(3)冷却空気量増加は、原料の亜鉛濃度が中程度(例えば1.5質量%超4.0質量%以下)であるときに実施される対策である。レキュペレータ5の冷却空気量を増加させることで管路5aの外面温度を下げ、管路5aの外面5bにおいてダストを積極的に固化させて、揮発成分が設備に融着するのを防止する。レキュペレータ5における排ガスの圧力損失をモニタリングし、その値が増大したときに適宜実施してもよい。
(4)冷却空気吹込み方向変更は、原料の亜鉛濃度が中程度(例えば1.5質量%超4.0質量%以下)であるときに実施される対策である。レキュペレータ5のエレメントE1において排ガスを急冷することによって、排ガスに含まれる揮発成分が一気に固化してダストとなり、ダストが管路5aのダスト捕集部5bに融着するのを抑制できる(図5,6参照)。
(5)スプレー冷却塔(併用/切換)は、原料の亜鉛濃度が多量(例えば4.0質量%超)であるときに実施される対策である。ダスト付着が激しいレキュペレータ5を使用しないため、あるいは、レキュペレータ5による排ガス処理量を低減するため、排ガスの全量又は一部をスプレー冷却塔6に導入し、スプレー冷却塔6において排ガスの冷却を行う。
(6)オンラインエアパージは、図7に示すように、常時、実施することができる対策であり、ボイラ3又はレキュペレータ5内の排ガスが流れる管路の壁面に向けてノズル(例えばノズル5e)から空気を噴射することによって付着したダストを吹き飛ばすことができる。
(7)レキュペレータバイパスは、レキュペレータ5の清掃作業をする際、排ガスを一時的にスプレー冷却塔6に導入することによって、レキュペレータ5の清掃時においても操業を継続するための対策である。
(8)オフラインスートブローは、ボイラの清掃時間を短縮するための対策である。原料の亜鉛濃度が中程度以上の場合にボイラ3においてスートブローを実施する。
本実施形態に係る排ガス処理方法においては、レキュペレータ5及びスプレー冷却塔6のうちの一方を使用して排ガス処理設備50の操業を継続しながら、他方の清掃作業を行うことができる。本実施形態によれば、保守点検のために操業を停止せざるを得ない期間を最小限にとどめることができ高い稼働率を実現できる。
本実施形態によれば、揮発成分含有量が0.1〜10質量%もしくはこれ以上の範囲で変動し得る排ガスが処理対象であっても、レキュペレータ5及びスプレー冷却塔6の一方又は両方に排ガスを導入するように流路を切り換えることで、柔軟に排ガス処理を実施することができる。例えば、ダスト量が少ないときにはレキュペレータ5を使用し、ダスト量が多いときにはスプレー冷却塔6を使用し、ダスト量が更に多いときにはレキュペレータ5とスプレー冷却塔6とを併用することもできる。なお、スプレー冷却塔6による冷却が必要な場合にのみ実施することで、結露及び含水ダストに起因するトラブルを最小限にとどめることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、ボイラ3を通過した後の排ガスの移送先をレキュペレータ5又はスプレー冷却塔6に切り替え可能の態様を例示したが、図8に示すようにダクト2からの管路を途中で分岐して一方の管路2aをボイラ3に接続し、他方の管路2bをスプレー冷却塔6に接続するとともに、これらの管路内に開閉弁Va,Vbをそれぞれ設けることで、ダクト2からの排ガスの移送先を切り替えが可能としてもよい。例えば開閉弁Vaを閉じ、開閉弁Vbを開くことによって、排ガスをスプレー冷却塔6に導入することができ、ボイラ3及びレキュペレータ5をバイパスさせることができる。当該構成はボイラ3内におけるダストの固着が顕著なることが予想される場合やボイラ3の清掃作業による運転停止時にも操業を継続する場合などに有用である。図9に示すように分岐した管路2bを管路L1bに連通させてもよい。この場合、開閉弁Va,Vbを含む複数の開閉弁を操作することによってダスト発生状況等に合わせて排ガスの移送先を柔軟に変更することが可能となる。
また、上記実施形態において、金属還元処理設備として回転炉床炉1を例示し、回転炉床炉1からの排ガスを排ガス処理設備50で処理する場合を説明したが、トンネル炉、ロータリーキルン又はシャフト炉からの排ガスを排ガス処理設備50で処理してもよい。
更に、上記実施形態においては、特に好ましい例として、冷媒として空気を使用するレキュペレータ5を採用した場合を挙げたが、レキュペレータ5の代わりに、排ガスとの熱交換が可能な熱交換器を採用してもよい。例えば、冷媒として空気の代わりに水などの液体を使用する熱交換器を使用してもよい。また、上記実施形態において、ダストを効率的に除去する観点から、複数のエレメントが図5に示すように配置されたレキュペレータを使用する場合を例示したが、ダストの分離除去を十分効率的に行える場合は熱交換器として従来のレキュペレータ(例えば図10におけるレキュペレータ5´)や、一般的なチューブ式、スパイラル式の熱交換器を採用してもよい。
1…回転炉床炉(金属還元処理設備)、3…ボイラ、5…レキュペレータ(熱交換器)、5a…扁平管路(空気用流路)、5b…扁平管路の外面(伝熱面)、5d…排ガスの流路、5e…ノズル、5f…ダスト捕集部、5h…供給用開口、6…スプレー冷却塔(冷却器)、50…排ガス処理設備、E1…エレメント(第一エレメント)、E2…エレメント(第二エレメント)、E3…エレメント、E4…エレメント(最後段のエレメント)、A…空気の流れを示す矢印、D…ダストの沈降方向を示す矢印、G…排ガスの流れを示す矢印、V1,V2,V3,V4,Va,Vb…開閉弁(切換え弁)。

Claims (11)

  1. 金属還元処理設備から排出され且つ揮発成分を含む排ガスを処理対象とする排ガス処理設備であって、
    前記金属還元処理設備からの排ガスと冷媒との熱交換を、伝熱面を介して行う熱交換器と、
    前記金属還元処理設備からの排ガスに水を吹きかけることによって排ガスを冷却する冷却器と、
    前記熱交換器及び前記冷却器の一方又は両方に前記排ガスが導入されるように前記排ガスの流路を切り替える切換え弁と、
    を備える排ガス処理設備。
  2. 前記熱交換器における冷却用の空気の流れは、前記排ガスに対して対向流又は並行流となるように切り替え可能である、請求項1に記載の排ガス処理設備。
  3. 前記熱交換器は、
    排ガスの流路が上方から下方に延びる第一エレメントと、
    前記第一エレメントの後段に配置されており且つ排ガスの流路が下方から上方に延びる第二エレメントと、
    前記第一エレメントと前記第二エレメントの接続部をなすとともに、発生したダストを捕集するダスト捕集部と、
    最後段のエレメントから最前段の前記第一エレメントに向けて冷却用の空気を流すための空気用流路と、
    を有する、請求項1又は2に記載の排ガス処理設備。
  4. 前記熱交換器の上流側にボイラを更に備え、前記ボイラを通過した排ガスが前記熱交換器及び前記冷却器の一方又は両方に供給される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の排ガス処理設備。
  5. 前記熱交換器の上流側にボイラを更に備え、前記金属還元処理設備からの排ガスであって前記ボイラを通過前の排ガスが前記ボイラ及び前記熱交換器、あるいは、前記冷却器に供給される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の排ガス処理設備。
  6. 前記金属還元処理設備は、回転炉床炉、トンネル炉、ロータリーキルン及びシャフト炉からなる群から選ばれる設備である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の排ガス処理設備。
  7. 前記熱交換器の上流側の排ガス流路に設けられた冷風又は加圧水の供給用開口を更に備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載の排ガス処理設備。
  8. 前記熱交換器は、排ガス側の伝熱面に向けて空気を噴射するノズルを有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の排ガス処理設備。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の排ガス処理設備を用いた排ガス処理方法であり、
    前記排ガスから発生するダスト量に応じて、前記熱交換器及び前記冷却器の一方又は両方を使用するかを選択する、排ガス処理方法。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の排ガス処理設備を用いた排ガス処理方法であり、
    金属還元処理設備に供給される原料の亜鉛濃度に応じて、前記熱交換器及び前記冷却器の一方又は両方を使用するかを選択する、排ガス処理方法。
  11. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の排ガス処理設備を用いた排ガス処理方法であり、
    前記熱交換器及び前記冷却器のうちの一方を使用して前記排ガス処理設備の操業を継続しながら、他方の清掃作業を行う、排ガス処理方法。
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