JP2015019543A - 電力消費量算出方法、電力消費量算出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】需要者についての詳細な情報を用いずに電力消費量の変動を算出できる電力消費量算出方法を提供する。
【解決手段】時間帯別の最適な電力消費量をコンピュータが算出する電力消費量算出方法であって、時間帯別の電力単価および電力消費量の実績値を取得する第一の取得ステップと、前記時間帯別の電力単価および電力消費量の実績値に基づいて、電力消費についての効用を表す関数である電力効用関数を推定する効用関数推定ステップと、推定した前記電力効用関数に基づいて、効用が一定という条件の下で、時間帯別の最適な電力消費量を求める消費量算出ステップと、を含む。
【選択図】図1
【解決手段】時間帯別の最適な電力消費量をコンピュータが算出する電力消費量算出方法であって、時間帯別の電力単価および電力消費量の実績値を取得する第一の取得ステップと、前記時間帯別の電力単価および電力消費量の実績値に基づいて、電力消費についての効用を表す関数である電力効用関数を推定する効用関数推定ステップと、推定した前記電力効用関数に基づいて、効用が一定という条件の下で、時間帯別の最適な電力消費量を求める消費量算出ステップと、を含む。
【選択図】図1
Description
本発明は、時間帯別の最適な電力消費量を算出する方法に関する。
近年、節電意識の高まりとともに、電力消費の効率化が注目されている。電力消費を効率化させることで、需要者の支出を削減できるとともに、電力供給側の設備効率を向上させ、社会システム全体のエネルギーコストを削減することができる。電力消費の効率化は、電力を使用する時間帯をシフトさせる方法(ピークシフト)や、各需要者が節電を行うことによって実現することができる。
時間帯別の電力単価の変更など、電力供給者が何らかの施策を実施した場合に、時間帯別の電力消費量がどの程度変動するかを見積もりたい場合がある。電力消費量の変動を予測することで、過剰な電力供給量をカットし、発送電設備を効率的に運用することができるためである。
これに対応する発明として、例えば、特許文献1には、過去の電力需要量とそれに影響を及ぼす要因間の関係をモデル化することで、将来の電力需要量を予測できる電力需要量予測装置が記載されている。
これに対応する発明として、例えば、特許文献1には、過去の電力需要量とそれに影響を及ぼす要因間の関係をモデル化することで、将来の電力需要量を予測できる電力需要量予測装置が記載されている。
特許文献1に記載のシステムのように、電力需要量を予測するためのシステムでは、需要を予測するためのデータを予め取得しなければならない。これは、需要家の消費行動や消費環境が一様ではないためである。例えば、需要家における設備機器に関する情報を、HEMS(ホームエネルギー管理システム)等を経由して取得し、消費モデルを生成したうえでシミュレーションを行う必要がある。しかし実際は、全ての需要家におけるデータを取得することは困難であるため、限られた情報に基づいて消費モデルを生成しなければならず、精度の高い予測を行うことができなかった。
一方、補助金を交付したり、インセンティブを付与したりすることで、電力需要量を変動させるという方法もある。しかし、この方法を用いると、需要家の所得が増えるため、エネルギー需給とは無関係の経済効果(所得効果)が発生してしまい、電力供給者が施策を実施した場合の純粋な効果を測定することができない。
本発明は上記の課題を考慮してなされたものであり、需要者についての詳細な情報を用いずに電力消費量の変動を算出できる電力消費量算出方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る電力消費量算出方法は、
時間帯別の最適な電力消費量をコンピュータが算出する電力消費量算出方法であって、時間帯別の電力単価および時間帯別の電力消費量の実績値を取得する第一の取得ステップと、前記時間帯別の電力単価および時間帯別の電力消費量の実績値に基づいて、電力消費についての効用を表す関数である電力効用関数を推定する効用関数推定ステップと、推定した前記電力効用関数に基づいて、時間帯別の最適な電力消費量を求める消費量算出ステ
ップと、を含むことを特徴とする。
時間帯別の最適な電力消費量をコンピュータが算出する電力消費量算出方法であって、時間帯別の電力単価および時間帯別の電力消費量の実績値を取得する第一の取得ステップと、前記時間帯別の電力単価および時間帯別の電力消費量の実績値に基づいて、電力消費についての効用を表す関数である電力効用関数を推定する効用関数推定ステップと、推定した前記電力効用関数に基づいて、時間帯別の最適な電力消費量を求める消費量算出ステ
ップと、を含むことを特徴とする。
本発明に係る電力消費量算出方法は、電力消費についての効用を表す関数である電力効用関数を用いて、時間帯別の最適な電力消費量を求める。電力消費についての効用とは、電力を消費することによって得られる消費者の満足度を表す概念である。電力需給に関するパラメータを変化させても、需要者は、得られる効用が同一となるように電力消費を行うと推定することができる。すなわち、電力効用関数を用いることで、他のパラメータを変更した場合であっても、需要者が変更前と同じ効用を求めた結果の電力消費量を得ることができる。
なお、本発明における“最適”とは、電力供給者または電力需要者における好ましい状態であり、例えば「ピーク時の電力消費量を抑える」「需要者の支払額を抑える」「同一の支払額でより多くの効用を得る」などである。
なお、本発明における“最適”とは、電力供給者または電力需要者における好ましい状態であり、例えば「ピーク時の電力消費量を抑える」「需要者の支払額を抑える」「同一の支払額でより多くの効用を得る」などである。
また、前記電力効用関数は、時間帯別の電力消費量の組み合わせを入力として、効用を出力とする関数であり、前記効用関数推定ステップでは、前記第一の取得ステップで得られた時間帯別の電力単価および時間帯別の電力消費量の実績値を用いて、各需要者の実際の消費行動と、関数から求まる最適な消費行動との差の合計が最小となるような関数を求め、電力効用関数とすることを特徴としてもよい。
電力効用関数は、時間帯別の電力消費量の組み合わせから得られる効用を表す関数である。電力効用関数と、得られるべき効用を取得することで、電力需給に関するパラメータを変更した場合における、時間帯別の電力消費量の組み合わせを得ることができる。
電力効用関数の推定においては、「需要者は、経済的に最も合理的、すなわち、所定の効用を得るための電気料金を最小限にするような電力消費を行う」ものと仮定することができる。そこで、効用関数推定ステップでは、時間帯別の電力単価および時間帯別の電力消費量の実績を用いて、各需要者の実際の消費行動と、経済的に最も合理的であると仮定した消費行動(最適消費行動)との差の合計が最小となるような関数を求める。求めた関数が、推定すべき電力効用関数である。
なお、消費行動とは、時間帯別の電力消費量の組み合わせである。すなわち、効用関数推定ステップでは、時間帯別の最適な電力消費量がより実績値と近くなるように電力効用関数を推定する。
電力効用関数の推定においては、「需要者は、経済的に最も合理的、すなわち、所定の効用を得るための電気料金を最小限にするような電力消費を行う」ものと仮定することができる。そこで、効用関数推定ステップでは、時間帯別の電力単価および時間帯別の電力消費量の実績を用いて、各需要者の実際の消費行動と、経済的に最も合理的であると仮定した消費行動(最適消費行動)との差の合計が最小となるような関数を求める。求めた関数が、推定すべき電力効用関数である。
なお、消費行動とは、時間帯別の電力消費量の組み合わせである。すなわち、効用関数推定ステップでは、時間帯別の最適な電力消費量がより実績値と近くなるように電力効用関数を推定する。
また、前記効用関数推定ステップでは、二次の対数多項式によって前記電力効用関数を近似し、非線形最小二乗法を用いて、各需要者の実際の消費行動と、関数から求まる最適な消費行動との差の二乗和が最小となるように、電力効用関数の係数を推定することを特徴としてもよい。
電力効用関数の推定は、具体的には、求めるべき電力効用関数を二次の対数多項式によって近似し、多項式を構成する係数を、非線形最小二乗法を用いて特定することで行う。
また、前記時間帯は、昼間および夜間の二種類とし、昼間の電力消費量の実績値をxD、夜間の電力消費量の実績値をxN、昼間の電力単価をpD、夜間の電力単価をpNとした場合に、前記電力効用関数は、数式Aで近似され、
(数式A)
前記効用関数推定ステップでは、βD+βN=1,βDD+βDN=0,βNN+βDN=0の条件の下で、数式Bの需要者ごとの二乗和の合計が最小となるような係数βD,
βN,βDD,βDN,βNNを決定することで前記電力効用関数を求めることを特徴としてもよい。
(数式B)
(数式A)
前記効用関数推定ステップでは、βD+βN=1,βDD+βDN=0,βNN+βDN=0の条件の下で、数式Bの需要者ごとの二乗和の合計が最小となるような係数βD,
βN,βDD,βDN,βNNを決定することで前記電力効用関数を求めることを特徴としてもよい。
(数式B)
また、本発明に係る電力消費量算出方法は、時間帯別の第二の電力単価を取得する第二の取得ステップをさらに含み、前記消費量算出ステップでは、前記推定した電力効用関数と、前記時間帯別の第二の電力単価に基づいて、時間帯別の電力単価を変更した場合に、需要者が得られる効用が同等となり、かつ、需要者が支出する金額が最小となるような、時間帯別の電力消費量を算出することを特徴としてもよい。
電力消費量の算出には三つの類型がある。第一の類型は、時間帯別の電力単価を変更した場合に、当該時間帯別の電力消費量がどのように変化するかを算出する類型である。
時間帯別の電力単価が変更された場合であっても、需要者は、電力消費によって得られる効用が同一となるような消費行動をするものと考えられる。そこで、推定した電力効用関数と、電力単価変更前の効用を用いることで、電力単価変更後において、同等の効用を得られ、かつ、需要者の支出が最も少なくなるような、時間帯別の電力消費量を算出することができる。
時間帯別の電力単価が変更された場合であっても、需要者は、電力消費によって得られる効用が同一となるような消費行動をするものと考えられる。そこで、推定した電力効用関数と、電力単価変更前の効用を用いることで、電力単価変更後において、同等の効用を得られ、かつ、需要者の支出が最も少なくなるような、時間帯別の電力消費量を算出することができる。
また、本発明に係る電力消費量算出方法は、蓄電設備の蓄電可能容量を取得する第三の取得ステップをさらに含み、前記消費量算出ステップでは、前記推定した電力効用関数と、前記蓄電可能容量に基づいて、前記蓄電設備がある場合と無い場合とで、需要者が得られる効用が同等となり、かつ、需要者が使用できる電力量が同等となるような、前記蓄電設備導入後の時間帯別の電力消費量を算出することを特徴としてもよい。
第二の類型は、需要者が蓄電設備を導入した場合に、時間帯別の電力消費量がどのように変化するかを算出する類型である。
蓄電設備とは、電力単価が安い時間帯に蓄電を行い、電力単価が高い時間帯に放電することで、電力を消費する時間帯をシフトする設備である。本類型においても、需要者は、電力消費によって得られる効用が同一となるように蓄電設備を使用するものとする。すなわち、推定した電力効用関数と、蓄電設備導入前の効用と、蓄電可能容量を用いることで、蓄電設備導入後の、時間帯別の電力消費量を算出することができる。なお、算出する電力消費量とは、供給側から購入して消費する電力を指し、蓄電池の放電による消費は含まない。
蓄電設備とは、電力単価が安い時間帯に蓄電を行い、電力単価が高い時間帯に放電することで、電力を消費する時間帯をシフトする設備である。本類型においても、需要者は、電力消費によって得られる効用が同一となるように蓄電設備を使用するものとする。すなわち、推定した電力効用関数と、蓄電設備導入前の効用と、蓄電可能容量を用いることで、蓄電設備導入後の、時間帯別の電力消費量を算出することができる。なお、算出する電力消費量とは、供給側から購入して消費する電力を指し、蓄電池の放電による消費は含まない。
また、前記消費量算出ステップでは、前記推定した電力効用関数と、前記時間帯別の電力消費量の実績値に基づいて、需要者が得る効用が同等となり、かつ、需要者が支出する金額が最小となるような、時間帯別の電力消費量を算出することを特徴としてもよい。
第三の類型は、需要者が節電を行った場合に、時間帯別の電力消費量がどのように変化するかを算出する類型である。
ある電力消費状態があった場合、当該状態が経済的に最も適正な状態(すなわち最大の効用を得ている状態)であるとは限らない。例えば、電力を消費する時間帯をシフトさせることで、現在と同じレベルの効用を得つつ、支出額を減らせる場合がある。そこで、電力効用関数と、電力消費量の実績値を用いることで、同一の効用を得られる範囲で電気料金が最も安くなる、時間帯別の電力消費量を算出することができる。
ある電力消費状態があった場合、当該状態が経済的に最も適正な状態(すなわち最大の効用を得ている状態)であるとは限らない。例えば、電力を消費する時間帯をシフトさせることで、現在と同じレベルの効用を得つつ、支出額を減らせる場合がある。そこで、電力効用関数と、電力消費量の実績値を用いることで、同一の効用を得られる範囲で電気料金が最も安くなる、時間帯別の電力消費量を算出することができる。
このように、本発明に係る電力消費量算出方法は、電力効用関数に基づいて、電力需給
に関するパラメータを変更した場合における、時間帯別の電力消費量を算出する。消費者は、電力単価、蓄電設備の有無、節電の有無が異なっても、従前と同一の効用を得られるように行動するものと仮定することで、電力消費を表すモデルを作成しなくても、電力消費量を予測することができる。また、本発明に係る電力消費量算出方法は、個別の需要者に関する詳細なデータを収集してシミュレーションを行う必要がないため、計算量およびデータ量を削減することができる。加えて、インセンティブによって需要を制御するものではないため、消費の効率化における純粋な効果を測定することができる。
に関するパラメータを変更した場合における、時間帯別の電力消費量を算出する。消費者は、電力単価、蓄電設備の有無、節電の有無が異なっても、従前と同一の効用を得られるように行動するものと仮定することで、電力消費を表すモデルを作成しなくても、電力消費量を予測することができる。また、本発明に係る電力消費量算出方法は、個別の需要者に関する詳細なデータを収集してシミュレーションを行う必要がないため、計算量およびデータ量を削減することができる。加えて、インセンティブによって需要を制御するものではないため、消費の効率化における純粋な効果を測定することができる。
なお、本発明は、上記ステップの少なくとも一部を含む電力消費量算出方法として特定することができる。また、前記電力消費量算出方法を実行する電力消費量算出装置や、前記電力消費量算出装置を含む電力消費量算出システムとして特定することもできる。上記処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
本発明によれば、需要者についての詳細な情報を用いずに電力消費量の変動を算出できる電力消費量算出方法を提供することができる。
(第一の実施形態)
<システムの概要>
第一の実施形態に係る電力消費量算出システムの概要について説明する。本実施形態に係る電力消費量算出システムは、時間帯別の電力単価および電力消費量の実績値を取得し、時間帯別の電力単価を変更した場合に、時間帯別の電力消費量がどのように変化するかを算出するシステムである。算出処理の概要について、図1を参照しながら説明する。
<システムの概要>
第一の実施形態に係る電力消費量算出システムの概要について説明する。本実施形態に係る電力消費量算出システムは、時間帯別の電力単価および電力消費量の実績値を取得し、時間帯別の電力単価を変更した場合に、時間帯別の電力消費量がどのように変化するかを算出するシステムである。算出処理の概要について、図1を参照しながら説明する。
本実施形態では、時間帯とは、昼間および夜間の二種類である。各時間帯の開始時刻および終了時刻は、特に限定されない。例えば、毎日7時から23時までを昼間とし、それ以外の時間帯を夜間としてもよい。
図1の縦軸は昼間の電力消費量であり、横軸は夜間の電力消費量である。以下、昼間の電力消費量と夜間の電力消費量の組み合わせを、電力消費状態、または単に電力消費量と称する。例えば、ある需要者における電力消費状態を点Aで表す。この場合、当該需要者は、昼間においてxDA[kWh]、夜間においてxNA[kWh]の電力を消費していることを意味する(以下、単位は省略)。なお、ある需要者とは、契約者単位であってもよいし、管轄地域(送電対象地域)全体であってもよい。ここでは管轄地域全体とする。
図1の縦軸は昼間の電力消費量であり、横軸は夜間の電力消費量である。以下、昼間の電力消費量と夜間の電力消費量の組み合わせを、電力消費状態、または単に電力消費量と称する。例えば、ある需要者における電力消費状態を点Aで表す。この場合、当該需要者は、昼間においてxDA[kWh]、夜間においてxNA[kWh]の電力を消費していることを意味する(以下、単位は省略)。なお、ある需要者とは、契約者単位であってもよいし、管轄地域(送電対象地域)全体であってもよい。ここでは管轄地域全体とする。
ここで、電力供給者(例えば電力会社)が、時間帯別の電力単価を変更することで、電力需要のピークシフトを促す施策を行うとする。すなわち、夜間の電力単価を安く、昼間の電力単価を高くすることで、ピーク時の電力消費量を抑制しようとしたとする。
従来の技術では、夜間にシフトする電力量がどれほどあるかを見積もるためには、需要者側の設備に関する情報など、個別のデータを収集する必要であった。これに対し、本実施形態に係る電力消費量算出システムでは、電力消費についての効用を用いて、電力単価変更後の需要を予測する。
従来の技術では、夜間にシフトする電力量がどれほどあるかを見積もるためには、需要者側の設備に関する情報など、個別のデータを収集する必要であった。これに対し、本実施形態に係る電力消費量算出システムでは、電力消費についての効用を用いて、電力単価変更後の需要を予測する。
電力消費についての効用とは、電力を消費することによって得られる需要者の満足度を表す概念である。図1中のUは、同一の効用を得られる、時間帯別の電力消費量の組み合わせをプロットしたものである。すなわち、点Aという電力消費状態において需要者が得られる効用と、点Bという電力消費状態において需要者が得られる効用は同じであることを意味する。言い換えると、(xDA,xNA)という電力消費量の組み合わせが、(xDB,xNB)という組み合わせに変化したとしても、需要者の総合的な満足度は変化しない。以降の説明において、電力消費についての効用を表す値を効用値と称する。効用値は無次元の値である。
ところで、需要者は、電力需給についての条件が変更されたとしても、効用(すなわち満足度)を変化させるような消費行動はとらないと仮定することができる。電力需給についての条件とは様々なものがあるが、本実施形態では時間帯別の電力単価とする。
このような仮定に立つと、電力単価の変更後における、時間帯別の電力消費量は、変更前の効用を表す曲線U上に位置すると推定することができる。
本実施形態に係る電力消費量算出システムは、このように、需要者が求める効用が変化しないという前提に基づいて電力消費量を算出するものであり、電力消費についての効用を表す関数(本発明における電力効用関数)を推定し、電力単価の変更後における、時間帯別の電力消費量を算出するシステムである。
以下、電力効用関数を推定する方法と、電力消費状態がどのように変化するかを算出する方法について説明する。
このような仮定に立つと、電力単価の変更後における、時間帯別の電力消費量は、変更前の効用を表す曲線U上に位置すると推定することができる。
本実施形態に係る電力消費量算出システムは、このように、需要者が求める効用が変化しないという前提に基づいて電力消費量を算出するものであり、電力消費についての効用を表す関数(本発明における電力効用関数)を推定し、電力単価の変更後における、時間帯別の電力消費量を算出するシステムである。
以下、電力効用関数を推定する方法と、電力消費状態がどのように変化するかを算出する方法について説明する。
<システム構成>
本実施形態に係る電力消費量算出システムのシステム構成について、図2を参照しながら説明する。本実施形態に係る電力消費量算出システムは、電力消費量算出装置100、ネットワーク200、電力管理システム300からなる。
本実施形態に係る電力消費量算出システムのシステム構成について、図2を参照しながら説明する。本実施形態に係る電力消費量算出システムは、電力消費量算出装置100、ネットワーク200、電力管理システム300からなる。
電力消費量算出装置100は、プロセッサ、主記憶装置、補助記憶装置を有するコンピュータであり、補助記憶装置に記憶されたプログラムが主記憶装置にロードされ、プロセッサによって実行されることによって、後述する各手段が機能する(プロセッサ、主記憶装置、補助記憶装置はいずれも不図示)。
制御部101は、電力消費量算出装置100の動作を制御する手段である。具体的には、電力効用関数を推定するために必要な情報を収集する処理と、収集した情報に基づいて電力効用関数を推定する処理、推定した電力効用関数を用いて、電力単価変更後における、時間帯別の電力消費量を算出する処理をそれぞれ実行する。具体的な処理の詳細については後述する。
制御部101は、電力消費量算出装置100の動作を制御する手段である。具体的には、電力効用関数を推定するために必要な情報を収集する処理と、収集した情報に基づいて電力効用関数を推定する処理、推定した電力効用関数を用いて、電力単価変更後における、時間帯別の電力消費量を算出する処理をそれぞれ実行する。具体的な処理の詳細については後述する。
入出力部102は、利用者が行った入力操作を受け付け、利用者に対して情報を提示する手段である。タッチスクリーン等の手段によって、情報の入出力を行うことができる。
通信部103は、ネットワーク200経由で、電力管理システム300との通信を行う手段である。有線または無線通信によって情報を送受信することができれば、使用するプロトコルおよび通信方法は特に限定されない。
通信部103は、ネットワーク200経由で、電力管理システム300との通信を行う手段である。有線または無線通信によって情報を送受信することができれば、使用するプロトコルおよび通信方法は特に限定されない。
電力管理システム300は、需要者に対する電力供給を制御する手段である。本実施形態では、過去における電力消費量の実績値を時間帯別に取得することができる。取得対象となる電力消費量の実績値とは、管轄地域全体の電力消費量であってもよいし、スマート
グリッドやスマートメーターが利用可能な場合は、契約者個々の電力消費量であってもよい。
グリッドやスマートメーターが利用可能な場合は、契約者個々の電力消費量であってもよい。
<電力効用関数の推定方法>
次に、電力効用関数を推定する方法について説明する。
本実施形態では、時間帯別の電力消費から得られる効用を表す関数をU(xD,xN)として、対数変換した上で、二次多項式で数式1のように近似する。ここで、xDは昼間の電力消費量であり、xNは夜間の電力消費量である。βD,βN,βDD,βNN,βDNはそれぞれ係数である。
次に、電力効用関数を推定する方法について説明する。
本実施形態では、時間帯別の電力消費から得られる効用を表す関数をU(xD,xN)として、対数変換した上で、二次多項式で数式1のように近似する。ここで、xDは昼間の電力消費量であり、xNは夜間の電力消費量である。βD,βN,βDD,βNN,βDNはそれぞれ係数である。
数式1は、電力消費状態(xD,xN)における効用を表す関数である。ここで、消費者は、支払う電気料金に対して得られる効用が最大となるように電力を消費するものと仮定すると、数式1を最大化するための必要条件は、数式3のようになる。ここで、pDは昼間の電力単価、pNは夜間の電力単価である。換言すると、数式3は、ある電力消費状態(xD,xN)と、電力単価(pD,pN)があった場合に、得られる効用が、支出額一定という条件の下で最大となるための条件である。また、数式3の条件は、さらに数式4で表すことができる。
本実施形態に係る電力消費量算出装置は、複数の需要者における電力消費量の実績値を取得し、非線形最小二乗法によって、数式4の左辺と右辺の差が最も小さくなるような係数βを特定する。
例えば、電力効用関数を算出するために、100世帯からなる需要者のグループ(以下、効用推定グループ)を構成し、電力消費量のサンプルを、昼夜一セットとして100組取得したとする。すると、数式4が100個立てられるので、数式4の左辺と右辺の誤差の二乗和が最小となるように、係数βを特定する。非線形最小二乗法については既知の手法であるため、詳細な説明は省略する。
このようにして求めた電力効用関数は、効用推定グループ全体を代表する効用関数である。
例えば、電力効用関数を算出するために、100世帯からなる需要者のグループ(以下、効用推定グループ)を構成し、電力消費量のサンプルを、昼夜一セットとして100組取得したとする。すると、数式4が100個立てられるので、数式4の左辺と右辺の誤差の二乗和が最小となるように、係数βを特定する。非線形最小二乗法については既知の手法であるため、詳細な説明は省略する。
このようにして求めた電力効用関数は、効用推定グループ全体を代表する効用関数である。
<電力消費量の算出方法>
次に、時間帯別の電力単価を変更した場合に、当該時間帯別の電力消費量がどのように変化するかを算出する方法について説明する。
前述したように、需要者が求める効用は、電力単価を変更した前後で同一である。すなわち、求めた電力効用関数U(xD,xN)を用いて、効用が同一となるような電力消費状態を特定すればよい。
電力単価を変更した後における電力消費状態の特定は、次の三つのステップによって行うことができる。
(1)電力単価変更前における最適な電力消費状態を求める
(2)特定した電力消費状態における効用値を取得する
(3)効用値が同一という条件で、電力単価変更後における最適な電力消費状態を求める
次に、時間帯別の電力単価を変更した場合に、当該時間帯別の電力消費量がどのように変化するかを算出する方法について説明する。
前述したように、需要者が求める効用は、電力単価を変更した前後で同一である。すなわち、求めた電力効用関数U(xD,xN)を用いて、効用が同一となるような電力消費状態を特定すればよい。
電力単価を変更した後における電力消費状態の特定は、次の三つのステップによって行うことができる。
(1)電力単価変更前における最適な電力消費状態を求める
(2)特定した電力消費状態における効用値を取得する
(3)効用値が同一という条件で、電力単価変更後における最適な電力消費状態を求める
以下、図3を参照しながら、前述したステップを順に説明する。なお、pD0,pN0は、電力単価の変更前における昼夜それぞれの電力単価であり、pD1,pN1は、電力単価の変更後における昼夜それぞれの電力単価である。
<<単価変更前における最適な電力消費状態の特定>>
ここで、算出を行う対象需要者の電力消費量の実測値が(xD0,xN0)であったものとする。ここで取得する電力消費量は、算出を行う対象グループ(以下、算出対象グループ)における合計値である。グループは、一世帯からなってもよいし、管轄地域の全世帯であってもよい。
取得した電力消費状態(xD0,xN0)は、最適な消費状態(一定の支出額に対して最大の効用を得ることができる状態)であるとは限らない。そこで、最適な電力消費状態を(xDA,xNA)とし、当該状態における、昼夜の電力消費比率をλ0=xDA/xNAとおき、λ0を求める。
ここで、数式3をλ0によって表すと、数式5のようになる。効用は、数式5の左辺と右辺が等しいときに最大となるため、数式6を定義し、Vを最大化するλを求めることで、λ0を特定することができる。
ここで、算出を行う対象需要者の電力消費量の実測値が(xD0,xN0)であったものとする。ここで取得する電力消費量は、算出を行う対象グループ(以下、算出対象グループ)における合計値である。グループは、一世帯からなってもよいし、管轄地域の全世帯であってもよい。
取得した電力消費状態(xD0,xN0)は、最適な消費状態(一定の支出額に対して最大の効用を得ることができる状態)であるとは限らない。そこで、最適な電力消費状態を(xDA,xNA)とし、当該状態における、昼夜の電力消費比率をλ0=xDA/xNAとおき、λ0を求める。
ここで、数式3をλ0によって表すと、数式5のようになる。効用は、数式5の左辺と右辺が等しいときに最大となるため、数式6を定義し、Vを最大化するλを求めることで、λ0を特定することができる。
具体的には、V(λ0)≦0を最大化、すなわちV(λ0)の最大値が0となるようなλ0を任意のアルゴリズムによって求める。すると、最適な電力消費状態(xDA,xNA)は、(λ0xN0,xN0)と表すことができる。以降、最適な電力消費状態を表す点Aを、最適消費点と称する。
<<特定した電力消費状態における効用値の取得>>
次に、点Aにて得ることができる効用値を取得する。
最適消費点Aにおける対数効用値は、数式7によって表すことができる。また、最適消費点における電力効用関数は、数式8のように表すことができる。図3の曲線31が、最適消費点Aで得られる効用値を表す。
次に、点Aにて得ることができる効用値を取得する。
最適消費点Aにおける対数効用値は、数式7によって表すことができる。また、最適消費点における電力効用関数は、数式8のように表すことができる。図3の曲線31が、最適消費点Aで得られる効用値を表す。
<<単価変更後における最適な電力消費状態の特定>>
次に、電力単価が変更された場合に、前ステップで取得した効用値を得るための最適消費点Bを求める。
ここで、最適消費点Bにおける電力消費量を(xDB,xNB)とし、当該最適消費点における昼夜の電力消費比率をλ1=xDB/xNBとおく。λ1とxNBを求めれば、最適消費点Bにおける電力消費量、すなわち電力単価変更後における最適な電力消費量を得ることができる。
次に、電力単価が変更された場合に、前ステップで取得した効用値を得るための最適消費点Bを求める。
ここで、最適消費点Bにおける電力消費量を(xDB,xNB)とし、当該最適消費点における昼夜の電力消費比率をλ1=xDB/xNBとおく。λ1とxNBを求めれば、最適消費点Bにおける電力消費量、すなわち電力単価変更後における最適な電力消費量を得ることができる。
具体的には、W(λ0,xNB)≦0を最大化、すなわちW(λ0,xNB)の最大値が0となるようなλ0およびxNBを任意のアルゴリズムによって求める。
最終的に、点Bにおける昼間の電力消費量xDBはλ1xNBであり、夜間の電力消費量はxNBであると決定することができる。
最終的に、点Bにおける昼間の電力消費量xDBはλ1xNBであり、夜間の電力消費量はxNBであると決定することができる。
<処理フローチャート>
以上に説明した演算を実行するための、電力消費量算出装置100の処理フローチャートを、図4および図5を参照しながら説明する。
以上に説明した演算を実行するための、電力消費量算出装置100の処理フローチャートを、図4および図5を参照しながら説明する。
図4に示した処理(ステップS11〜S13)は、電力効用関数を推定する処理である。
まず、制御部101が、時間帯別の電力単価を実績値として取得する(ステップS11)。実績値は、入出力部102を通して利用者から取得してもよいし、特定の値が記憶されている場合は、それを用いてもよい。
次に、制御部101が、ネットワーク200を経由して、電力管理システム300から効用推定グループにおける電力消費量の実績値を取得する(ステップS12)。ここで取得する実績値は、効用推定グループ内における需要者ごとの、昼間および夜間の電力消費量の組み合わせである。なお、電力効用関数は、サンプル数が多いほど正確に推定できるため、効用推定グループ内の需要者数はある程度多いほうが好ましいが、多すぎると計算量が過大となるため、サンプル数はバランスをとった値であることが好ましい。
まず、制御部101が、時間帯別の電力単価を実績値として取得する(ステップS11)。実績値は、入出力部102を通して利用者から取得してもよいし、特定の値が記憶されている場合は、それを用いてもよい。
次に、制御部101が、ネットワーク200を経由して、電力管理システム300から効用推定グループにおける電力消費量の実績値を取得する(ステップS12)。ここで取得する実績値は、効用推定グループ内における需要者ごとの、昼間および夜間の電力消費量の組み合わせである。なお、電力効用関数は、サンプル数が多いほど正確に推定できるため、効用推定グループ内の需要者数はある程度多いほうが好ましいが、多すぎると計算量が過大となるため、サンプル数はバランスをとった値であることが好ましい。
次に、制御部101が、取得した電力単価および電力消費量の実績値に基づいて、数式1〜4を用いて、前述した方法で電力効用関数を推定する(ステップS13)。算出した電力効用関数は、不図示の補助記憶装置に記憶される。
一度算出した電力効用関数は、需要者の数や、電力を消費する環境が大きく変動しない限り、再利用することができる。従って、既に電力効用関数が算出され、記憶されている場合は、ステップS11〜S13は省略してもよい。
一度算出した電力効用関数は、需要者の数や、電力を消費する環境が大きく変動しない限り、再利用することができる。従って、既に電力効用関数が算出され、記憶されている場合は、ステップS11〜S13は省略してもよい。
図5に示した処理(ステップS21〜S24)は、電力効用関数に基づいて、電力単価変更後の電力消費量を予測する処理である。
まず、制御部101が、変更後の時間帯別の電力単価を取得する(ステップS21)。変更後の時間帯別の電力単価は、入出力部102を通して利用者から取得してもよいし、特定の値が記憶されている場合は、それを用いてもよい。
次に、制御部101が、ネットワーク200を経由して、電力管理システム300から算出対象グループにおける電力消費量の実績値を取得する(ステップS22)。ここで取得する実績値は、算出対象グループ内の需要者における電力消費量を、時間帯別に合計したものである。もし、算出対象グループが、効用推定グループと同一である場合は、ステップS12で取得した実績値を再利用してもよい。
まず、制御部101が、変更後の時間帯別の電力単価を取得する(ステップS21)。変更後の時間帯別の電力単価は、入出力部102を通して利用者から取得してもよいし、特定の値が記憶されている場合は、それを用いてもよい。
次に、制御部101が、ネットワーク200を経由して、電力管理システム300から算出対象グループにおける電力消費量の実績値を取得する(ステップS22)。ここで取得する実績値は、算出対象グループ内の需要者における電力消費量を、時間帯別に合計したものである。もし、算出対象グループが、効用推定グループと同一である場合は、ステップS12で取得した実績値を再利用してもよい。
次に、制御部101が、ステップS13で推定した電力効用関数およびステップS22で取得した電力消費量の実績値に基づいて、数式6を用いて、前述した方法で最適消費点を推定する(ステップS23)。
そして、数式7,8を用いて効用値を取得し、数式11を用いて、電力単価変更後における最適消費点を取得する(ステップS24)。そして、当該最適消費点における、時間帯別の電力消費量を、入出力部102を通して利用者に提示する。この際、電力単価を変更したことによる経済効果を表す指標を算出し、一緒に提示するようにしてもよい。例えば、減少した電力消費量を、対象時間帯の長さで除したものを経済効果として提供するようにしてもよい。
そして、数式7,8を用いて効用値を取得し、数式11を用いて、電力単価変更後における最適消費点を取得する(ステップS24)。そして、当該最適消費点における、時間帯別の電力消費量を、入出力部102を通して利用者に提示する。この際、電力単価を変更したことによる経済効果を表す指標を算出し、一緒に提示するようにしてもよい。例えば、減少した電力消費量を、対象時間帯の長さで除したものを経済効果として提供するようにしてもよい。
第一の実施形態によると、電力単価を変更したことによって、電力消費量がどのように変化するかを推定することができ、これにより、経済効果の算出や、発送電設備の稼働率調整などを適切に行うことができるようになる。
また、計算に用いるのは、変更前後の電力単価と、変更前の電力消費量のみであるため、消費者側の設備や消費行動についての詳細なデータが無くても結果を得ることができる。さらに、インセンティブを与えることによって需要者側にピークシフトを促すものではないため、所得効果が発生しないという利点がある。
また、計算に用いるのは、変更前後の電力単価と、変更前の電力消費量のみであるため、消費者側の設備や消費行動についての詳細なデータが無くても結果を得ることができる。さらに、インセンティブを与えることによって需要者側にピークシフトを促すものではないため、所得効果が発生しないという利点がある。
(第二の実施形態)
第一の実施形態では、電力単価を変更した場合における需要の変動量を算出した。これに対して第二の実施形態は、需要者側に蓄電設備を導入した場合における需要の変動量を算出する実施形態である。
第二の実施形態に係る電力消費量算出システムのシステム構成は、第一の実施形態と同様である。以下、第一の実施形態との処理の相違点について説明する。
第一の実施形態では、電力単価を変更した場合における需要の変動量を算出した。これに対して第二の実施形態は、需要者側に蓄電設備を導入した場合における需要の変動量を算出する実施形態である。
第二の実施形態に係る電力消費量算出システムのシステム構成は、第一の実施形態と同様である。以下、第一の実施形態との処理の相違点について説明する。
蓄電設備を導入することによる効果について、図6を参照しながら説明する。
例えば、ある需要者において、点Aで表された電力消費状態があったものとする。すなわち、昼間の電力消費量はxDAであり、夜間の電力消費量はxNAである。この場合、電力供給者は、ピーク消費量であるxDAに合わせて発送電容量を確保する必要がある。
ここで、当該需要者について、容量がSである蓄電設備を導入すると仮定する。蓄電設備とは、夜間に蓄電を行い、昼間に放電を行う設備である。すなわち、蓄電設備の容量がSである場合、昼間に消費していた電力量Sを、夜間にシフトさせることができる。
例えば図6の例では、夜間に電力量Sを蓄電し、昼間に放電することで、昼間の電力消費量をxDAからxDBに減らすことができる。昼間の消費電力量がxDBである場合、同一の効用を得ることができる電力消費状態は点Bであり、このときの夜間の消費電力量はxNBとなる。
例えば、ある需要者において、点Aで表された電力消費状態があったものとする。すなわち、昼間の電力消費量はxDAであり、夜間の電力消費量はxNAである。この場合、電力供給者は、ピーク消費量であるxDAに合わせて発送電容量を確保する必要がある。
ここで、当該需要者について、容量がSである蓄電設備を導入すると仮定する。蓄電設備とは、夜間に蓄電を行い、昼間に放電を行う設備である。すなわち、蓄電設備の容量がSである場合、昼間に消費していた電力量Sを、夜間にシフトさせることができる。
例えば図6の例では、夜間に電力量Sを蓄電し、昼間に放電することで、昼間の電力消費量をxDAからxDBに減らすことができる。昼間の消費電力量がxDBである場合、同一の効用を得ることができる電力消費状態は点Bであり、このときの夜間の消費電力量はxNBとなる。
第二の実施形態に係る電力消費量算出装置は、このように、需要者が蓄電設備を導入した場合に、電力消費についての効用が変化しないという条件下で、需要者が消費する時間帯別の消費電力量がどのように変化するかを予測する装置である。
第二の実施形態に係る電力消費量算出装置が行う処理のフローチャートを、図7に示す。図7の処理は、電力効用関数の推定処理(ステップS11〜S13)に引き続いて実行される。電力効用関数の推定処理は、第一の実施形態と同様である。
まず、制御部101が、蓄電可能な電力容量(蓄電可能容量)を取得する(ステップS31)。蓄電可能容量は、入出力部102を通して利用者から取得してもよいし、特定の値が記憶されている場合は、それを用いてもよい。ここで取得する蓄電可能容量は、算出対象グループ内の需要者が導入する蓄電設備の総容量である。算出対象グループは、単独の需要者であってもよいし、管轄地域全体であってもよい。
まず、制御部101が、蓄電可能な電力容量(蓄電可能容量)を取得する(ステップS31)。蓄電可能容量は、入出力部102を通して利用者から取得してもよいし、特定の値が記憶されている場合は、それを用いてもよい。ここで取得する蓄電可能容量は、算出対象グループ内の需要者が導入する蓄電設備の総容量である。算出対象グループは、単独の需要者であってもよいし、管轄地域全体であってもよい。
ステップS32およびS33の処理は、ステップS22およびS23と同様である。ここでは、蓄電設備導入前の最適消費点として、点A(xDA,xNA)が取得できているものとして説明を続ける。
ステップS34では、制御部101が、点Bにおける電力消費量を求める。まず、点Aにおける効用の対数値LUは、数式12で表すことができる。
ステップS34では、制御部101が、点Bにおける電力消費量を求める。まず、点Aにおける効用の対数値LUは、数式12で表すことができる。
次に、点Bにおける昼間の電力消費量xDBを、xDB=xDA−Sの式によって求める。
最後に、昼間の電力消費量がxDBである場合の、効用値が変化しないような夜間の電力消費量xNBを求める。
具体的には、数式13のようなZ(x)を定義し、Z(xNB)≦0を最大化、すなわちZ(xNB)の最大値が0となるようなxNBを任意のアルゴリズムによって求める。これにより、点Bにおける電力消費状態(xDB,xNB)を取得することができる。
最後に、昼間の電力消費量がxDBである場合の、効用値が変化しないような夜間の電力消費量xNBを求める。
具体的には、数式13のようなZ(x)を定義し、Z(xNB)≦0を最大化、すなわちZ(xNB)の最大値が0となるようなxNBを任意のアルゴリズムによって求める。これにより、点Bにおける電力消費状態(xDB,xNB)を取得することができる。
以上に述べたように、第二の実施形態によると、需要者が蓄電設備を導入した場合に、電力消費状態がどのように変化するかを推定することができる。
(第三の実施形態)
第一の実施形態では、効用が最大となる点(最適消費点)があった場合に、当該効用を得ることができる、時間帯別の電力消費量の組み合わせを算出した。これに対して第三の実施形態は、効用が最大ではない電力消費状態があった場合に、消費を最適化することで、より支出額が少なくなるような、時間帯別の電力消費量の組み合わせを算出する実施形態である。
第三の実施形態に係る電力消費量算出システムのシステム構成は、第一の実施形態と同様である。以下、第一の実施形態との処理の相違点について説明する。
第一の実施形態では、効用が最大となる点(最適消費点)があった場合に、当該効用を得ることができる、時間帯別の電力消費量の組み合わせを算出した。これに対して第三の実施形態は、効用が最大ではない電力消費状態があった場合に、消費を最適化することで、より支出額が少なくなるような、時間帯別の電力消費量の組み合わせを算出する実施形態である。
第三の実施形態に係る電力消費量算出システムのシステム構成は、第一の実施形態と同様である。以下、第一の実施形態との処理の相違点について説明する。
電力消費を最適化することによる効果について、図8を参照しながら説明する。
例えば、ある需要者において、点Aで表された電力消費状態があったものとする。すなわち、昼間の電力消費量はxDAであり、夜間の電力消費量はxNAである。また、ここで得られている効用値は、最大値ではないものとする。つまり、電力消費に無駄がある状態である。換言すれば、電力を使用する時間帯を適切にシフトすることで、得られる効用を変化させることなく、より支出を減らすことができる状態である。
例えば、ある需要者において、点Aで表された電力消費状態があったものとする。すなわち、昼間の電力消費量はxDAであり、夜間の電力消費量はxNAである。また、ここで得られている効用値は、最大値ではないものとする。つまり、電力消費に無駄がある状態である。換言すれば、電力を使用する時間帯を適切にシフトすることで、得られる効用を変化させることなく、より支出を減らすことができる状態である。
図8における直線81の傾きは、昼間と夜間の電力単価の比を表す。この傾きは不変であるため、直線の切片を小さくすることで、需要者の支出額を減らすことができる。点Aと同じ効用を得ることができ、かつ、支出が最小となる点が点Bである。すなわち、図8の例では、需要者の消費行動を最適化することで、点Aが点Bにシフトする。これにより、昼間の電力消費量をxDAからxDBに減らすことができる。
第三の実施形態に係る電力消費量算出装置は、このように、電力を使用する時間帯をシフトさせた場合に、支出額が最小となる時間帯別の消費電力量を算出する装置である。
以下、点A(xDA,xNA)が既知である場合に、点B(xDB,xNB)を求める方法について説明する。
以下、点A(xDA,xNA)が既知である場合に、点B(xDB,xNB)を求める方法について説明する。
第三の実施形態に係る電力消費量算出装置が行う処理のフローチャートを、図9に示す。図9の処理は、電力効用関数の推定処理(ステップS11〜S13)に引き続いて実行される。電力効用関数の推定処理は、第一の実施形態と同様である。
まず、制御部101が、ネットワーク200を経由して、電力管理システム300から算出対象グループにおける電力消費量の実績値を取得する(ステップS41)。ここで取得する実績値は、算出対象グループ内の需要者における電力消費量を、時間帯別に合計したものである。ここでは、(xDA,xNA)という電力消費状態があったものとする。
まず、制御部101が、ネットワーク200を経由して、電力管理システム300から算出対象グループにおける電力消費量の実績値を取得する(ステップS41)。ここで取得する実績値は、算出対象グループ内の需要者における電力消費量を、時間帯別に合計したものである。ここでは、(xDA,xNA)という電力消費状態があったものとする。
次に、制御部101が、取得した実績値における効用値を算出する(ステップS42)。
本ステップでは、電力消費状態(xDA,xNA)における対数効用値LUを、数式14によって求める。ただし、μA=xDA/xNAである。
本ステップでは、電力消費状態(xDA,xNA)における対数効用値LUを、数式14によって求める。ただし、μA=xDA/xNAである。
次に、制御部101が、消費効率が最大となる点Bを取得する(ステップS43)。まず、点Bにおける昼夜の電力消費比率をμB=xDB/xNBとおき、μBを求める。
ここで、数式3をμBによって表すと、数式15のようになる。効用は、数式15の左辺と右辺が等しいときに最大となるため、数式16を定義し、Jを最大化するμを求めることで、μBを特定することができる。
ここで、数式3をμBによって表すと、数式15のようになる。効用は、数式15の左辺と右辺が等しいときに最大となるため、数式16を定義し、Jを最大化するμを求めることで、μBを特定することができる。
具体的には、J(μ)≦0を最大化、すなわちJ(μB)の最大値が0となるようなμBを任意のアルゴリズムによって求める。
次に、算出したμBに基づいて、点Bにおける夜間の電力消費量xNBを求める。xNBは、数式17によって表すことができるため、当該式を解くことで、xNBを算出することができる。また、xDB=μBxNBであるため、これにより、点Bにおける電力消費状態(xDB,xNB)を取得することができる。
以上に述べたように、第三の実施形態によると、需要者が節電によって電力消費行動を最適化した場合に、電力消費状態がどのように変化するかを推定することができる。
上述した実施形態はあくまでも一例であって、本発明はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。需要者における効用が変化しないことを条件として、時間帯別の電力消費量を算出することができれば、他にどのような条件を加えてもよい。
また、実施形態の説明では、時間帯を昼間および夜間の二種類としたが、時間帯は三つ以上であってもよい。
また、実施形態の説明では、時間帯を昼間および夜間の二種類としたが、時間帯は三つ以上であってもよい。
100・・・電力消費量算出装置
101・・・制御部
102・・・入出力部
103・・・通信部
200・・・ネットワーク
300・・・電力管理システム
101・・・制御部
102・・・入出力部
103・・・通信部
200・・・ネットワーク
300・・・電力管理システム
Claims (8)
- 時間帯別の最適な電力消費量をコンピュータが算出する電力消費量算出方法であって、
時間帯別の電力単価および時間帯別の電力消費量の実績値を取得する第一の取得ステップと、
前記時間帯別の電力単価および時間帯別の電力消費量の実績値に基づいて、電力消費についての効用を表す関数である電力効用関数を推定する効用関数推定ステップと、
推定した前記電力効用関数に基づいて、時間帯別の最適な電力消費量を求める消費量算出ステップと、
を含む、電力消費量算出方法。 - 前記電力効用関数は、時間帯別の電力消費量の組み合わせを入力として、効用を出力とする関数であり、
前記効用関数推定ステップでは、前記第一の取得ステップで得られた時間帯別の電力単価および時間帯別の電力消費量の実績値を用いて、各需要者の実際の消費行動と、関数から求まる最適な消費行動との差の合計が最小となるような関数を求め、電力効用関数とする、
請求項1に記載の電力消費量算出方法。 - 前記効用関数推定ステップでは、二次の対数多項式によって前記電力効用関数を近似し、非線形最小二乗法を用いて、各需要者の実際の消費行動と、関数から求まる最適な消費行動との差の二乗和が最小となるように、電力効用関数の係数を推定する、
請求項2に記載の電力消費量算出方法。 - 時間帯別の第二の電力単価を取得する第二の取得ステップをさらに含み、
前記消費量算出ステップでは、前記推定した電力効用関数と、前記時間帯別の第二の電力単価に基づいて、時間帯別の電力単価を変更した場合に、需要者が得られる効用が同等となり、かつ、需要者が支出する金額が最小となるような、時間帯別の電力消費量を算出する、
請求項1から4のいずれかに記載の電力消費量算出方法。 - 蓄電設備の蓄電可能容量を取得する第三の取得ステップをさらに含み、
前記消費量算出ステップでは、前記推定した電力効用関数と、前記蓄電可能容量に基づいて、前記蓄電設備がある場合と無い場合とで、需要者が得られる効用が同等となり、かつ、需要者が使用できる電力量が同等となるような、前記蓄電設備導入後の時間帯別の電力消費量を算出する、
請求項1から4のいずれかに記載の電力消費量算出方法。 - 前記消費量算出ステップでは、前記推定した電力効用関数と、前記時間帯別の電力消費量の実績値に基づいて、需要者が得る効用が同等となり、かつ、需要者が支出する金額が最小となるような、時間帯別の電力消費量を算出する、
請求項1から4のいずれかに記載の電力消費量算出方法。 - 時間帯別の最適な電力消費量を算出する電力消費量算出装置であって、
時間帯別の電力単価および時間帯別の電力消費量の実績値を取得する第一の取得手段と、
前記時間帯別の電力単価および時間帯別の電力消費量の実績値に基づいて、電力消費についての効用を表す関数である電力効用関数を推定する効用関数推定手段と、
推定した前記電力効用関数に基づいて、時間帯別の最適な電力消費量を求める消費量算出手段と、
を含む、電力消費量算出装置。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2020230276A1 (ja) * | 2019-05-14 | 2020-11-19 | 三菱電機株式会社 | エネルギー需給シミュレーション装置、エネルギー需給シミュレーション方法、およびエネルギー需給シミュレーションプログラム |
WO2023090145A1 (ja) * | 2021-11-18 | 2023-05-25 | アズビル株式会社 | 情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム |
-
2013
- 2013-07-12 JP JP2013146710A patent/JP2015019543A/ja active Pending
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---|---|---|---|---|
WO2020230276A1 (ja) * | 2019-05-14 | 2020-11-19 | 三菱電機株式会社 | エネルギー需給シミュレーション装置、エネルギー需給シミュレーション方法、およびエネルギー需給シミュレーションプログラム |
WO2023090145A1 (ja) * | 2021-11-18 | 2023-05-25 | アズビル株式会社 | 情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム |
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