JP2015019538A - 系統用蓄電装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の機能をそのまま有しながら、需要家用蓄電装置相当の充電電力を電力系統制御箇所から調整できる系統用蓄電装置の提供。
【解決手段】需要家用蓄電装置と直流線路で接続され、電力系統制御箇所からの指令値に基づき電力系統の周波数や電圧を調整する系統用蓄電装置において、系統用蓄電装置が、電力系統送電線と交流母線とを接続する変圧器と、交流母線に接続される複数の蓄電装置ユニットと、蓄電装置ユニット制御装置とを備え、各蓄電装置ユニットが、それぞれ双方向インバータ、蓄電池および蓄電池制御装置を備え、蓄電装置ユニットの1つ以上を需要家用蓄電装置のインバータと直流線路で接続して需要家兼用蓄電装置ユニットを構成し、蓄電装置ユニット制御装置が、蓄電池を介さずに、需要家兼用蓄電装置ユニットの双方向インバータから需要家用蓄電装置のインバータに直流電力を供給する直接供給手段を備える系統用蓄電装置。
【選択図】図12
【解決手段】需要家用蓄電装置と直流線路で接続され、電力系統制御箇所からの指令値に基づき電力系統の周波数や電圧を調整する系統用蓄電装置において、系統用蓄電装置が、電力系統送電線と交流母線とを接続する変圧器と、交流母線に接続される複数の蓄電装置ユニットと、蓄電装置ユニット制御装置とを備え、各蓄電装置ユニットが、それぞれ双方向インバータ、蓄電池および蓄電池制御装置を備え、蓄電装置ユニットの1つ以上を需要家用蓄電装置のインバータと直流線路で接続して需要家兼用蓄電装置ユニットを構成し、蓄電装置ユニット制御装置が、蓄電池を介さずに、需要家兼用蓄電装置ユニットの双方向インバータから需要家用蓄電装置のインバータに直流電力を供給する直接供給手段を備える系統用蓄電装置。
【選択図】図12
Description
本発明は、系統用蓄電装置と需要家用蓄電装置とを直流線路で接続した蓄電装置システムを構成する系統用蓄電装置であって、需要家用蓄電装置のインバータに直流電力を供給する手段を備える系統用蓄電装置に関する。
東日本大震災以降、蓄電池から一定時間電力を供給することができる蓄電装置の活用が期待されている。電力系統に接続される蓄電装置は、大別すると、(A)系統用蓄電装置と(B)需要家用蓄電装置がある。
(A)系統用蓄電装置
太陽光発電や風力発電の大量導入により、これらの発電量が多い時間帯に、電力系統周波数調整の多くの部分を担っている火力発電の運転台数が減少し、電力系統周波数調整能力が不足するため、これを補うために大型の蓄電装置からなる系統用蓄電装置が設置されている。系統用蓄電装置としては、例えば図1に示す構成のものが一般に知られている。図1の系統用蓄電装置110は、蓄電制御装置1、蓄電池2および双方向インバータ3から構成される蓄電装置ユニットを複数備えている。充放電電流制約および短絡電流制約から、蓄電装置ユニットは、数百kW単位に分割され、交流側で複数並列接続されることが多い。
(A)系統用蓄電装置
太陽光発電や風力発電の大量導入により、これらの発電量が多い時間帯に、電力系統周波数調整の多くの部分を担っている火力発電の運転台数が減少し、電力系統周波数調整能力が不足するため、これを補うために大型の蓄電装置からなる系統用蓄電装置が設置されている。系統用蓄電装置としては、例えば図1に示す構成のものが一般に知られている。図1の系統用蓄電装置110は、蓄電制御装置1、蓄電池2および双方向インバータ3から構成される蓄電装置ユニットを複数備えている。充放電電流制約および短絡電流制約から、蓄電装置ユニットは、数百kW単位に分割され、交流側で複数並列接続されることが多い。
電力系統周波数調整のための比較的短時間のkW調整を主目的として運用されることから、蓄電池容量は、蓄電池容量(kWh)/双方向インバータ出力(kW)=2〜3程度が選択される。また、インバータ効率は90%程度、蓄電池充放電効率は93%程度、交流端での蓄電装置効率は75%程度である。
電力系統電圧調整のための無効電力送電量調整も系統用蓄電装置の重要な役目であるが、インバータの無効電力量を調整するだけであり、蓄電池の運用には影響がないため以下の説明では省略する。
電力系統電圧調整のための無効電力送電量調整も系統用蓄電装置の重要な役目であるが、インバータの無効電力量を調整するだけであり、蓄電池の運用には影響がないため以下の説明では省略する。
なお、系統用蓄電装置を揚水発電と同様のkWh調整(深夜に充電した電力を昼間に連続的に送電して電力需要全体の負荷率向上を目的とした電力需給調整を行う)に利用することももちろん可能であるが、蓄電池容量は、蓄電池容量(kWh)/双方向インバータ出力(kW)=7〜10程度(kW調整を主目的とした場合の3〜5倍の大きさ)と非常に大きなものとなる。その場合も下記のkW調整に関する機能は変わりない。
この系統用蓄電装置は、主として下記の運用目的(1)〜(5)に基づき運用される。
この系統用蓄電装置は、主として下記の運用目的(1)〜(5)に基づき運用される。
(1)短周期(数十秒〜数分周)周波数変動の吸収
火力発電、大型水力発電で吸収できなかった周波数変動を吸収するため、周波数低下時は蓄電装置を放電し、周波数上昇時は充電を行う。充放電が相殺し、結果的に蓄電装置SOC(State Of Charge:充電残量)値は数分周期で数%の幅で振れるだけで平均すると大きな変化は無い。
火力発電、大型水力発電で吸収できなかった周波数変動を吸収するため、周波数低下時は蓄電装置を放電し、周波数上昇時は充電を行う。充放電が相殺し、結果的に蓄電装置SOC(State Of Charge:充電残量)値は数分周期で数%の幅で振れるだけで平均すると大きな変化は無い。
(2)急激に電力需要が変動する時間帯の電力需給調整
7時30分〜9時頃の急激な需要増加(変化幅、変化速度とも最大)、12時〜13時の昼休み開始終了時の需要減少および増加、17時〜18時頃の需要減少、23時頃の需要増加(深夜電力利用機器の通電開始)、6時〜7時頃の需要減少(深夜電力利用機器の通電終了)など、急激に電力需要が変動する時間帯の周波数調整を支援するため、蓄電装置の充放電量を調整する。
7時30分〜9時頃の急激な需要増加(変化幅、変化速度とも最大)、12時〜13時の昼休み開始終了時の需要減少および増加、17時〜18時頃の需要減少、23時頃の需要増加(深夜電力利用機器の通電開始)、6時〜7時頃の需要減少(深夜電力利用機器の通電終了)など、急激に電力需要が変動する時間帯の周波数調整を支援するため、蓄電装置の充放電量を調整する。
(3)深夜時間帯の電力需給調整
電力需要の少ない深夜時間帯は火力発電の運転台数が減少し、特に火力発電最低出力の制限から需要減少に対する調整能力が不足する。特に電力需要が少ない時間帯に蓄電装置の充電を行い電力需要のかさ上げを行う。
(4)太陽光発電余剰の吸収
太陽光発電量が多くなる時間帯(10時〜14時)に蓄電装置の充電を行い、余剰分を吸収する。
(5)緊急時対応
電力が不足する際に蓄電装置を放電して不足分を補う。
電力需要の少ない深夜時間帯は火力発電の運転台数が減少し、特に火力発電最低出力の制限から需要減少に対する調整能力が不足する。特に電力需要が少ない時間帯に蓄電装置の充電を行い電力需要のかさ上げを行う。
(4)太陽光発電余剰の吸収
太陽光発電量が多くなる時間帯(10時〜14時)に蓄電装置の充電を行い、余剰分を吸収する。
(5)緊急時対応
電力が不足する際に蓄電装置を放電して不足分を補う。
ここで、電力系統の周波数調整方法を説明する。電力系統は下記周波数特性を有している。
(発電量−電力需要量)/発電量=K×周波数偏差
ここでKは系統定数と呼ばれる係数で、1%/0.1Hz程度である。また、電力需要量の瞬時の計測は難しく、発電量と周波数は容易に計測できる。電力系統の周波数の調整は、周波数の偏差から発電量と電力需要量の差異を検出し、発電量を調整することで行われる。周波数の調整においては現時点の発電量は関係なく、どれだけ発電量を変化させることができるかが重要である。特に系統用蓄電装置では充放電が可能なため、充電から放電あるいは放電から充電への切替え時の電力変化が大きく、周波数調整効果が高い。
上記の目的のために、電力系統制御箇所からは数秒〜数十秒周期で電力系統との連系箇所の送電電力(蓄電装置放電)あるいは受電電力(蓄電装置充電)の指令値が専用通信回線を用いて伝送される。蓄電装置からは送受電電力測定値、蓄電装置平均SOC値や異常の有無など運転状況を電力系統制御箇所に報告する。複数の蓄電装置ユニットを並列運転するため、それぞれの蓄電池のSOC値が同じになるように制御される。ただし、蓄電装置ユニットの充放電電力指令値は双方向インバータ交流端電力値であるので、電力系統制御箇所からの連系点送電・受電電力指令値に変圧器の損出分を考慮する必要がある。具体的には、下記式1により制御される。
(発電量−電力需要量)/発電量=K×周波数偏差
ここでKは系統定数と呼ばれる係数で、1%/0.1Hz程度である。また、電力需要量の瞬時の計測は難しく、発電量と周波数は容易に計測できる。電力系統の周波数の調整は、周波数の偏差から発電量と電力需要量の差異を検出し、発電量を調整することで行われる。周波数の調整においては現時点の発電量は関係なく、どれだけ発電量を変化させることができるかが重要である。特に系統用蓄電装置では充放電が可能なため、充電から放電あるいは放電から充電への切替え時の電力変化が大きく、周波数調整効果が高い。
上記の目的のために、電力系統制御箇所からは数秒〜数十秒周期で電力系統との連系箇所の送電電力(蓄電装置放電)あるいは受電電力(蓄電装置充電)の指令値が専用通信回線を用いて伝送される。蓄電装置からは送受電電力測定値、蓄電装置平均SOC値や異常の有無など運転状況を電力系統制御箇所に報告する。複数の蓄電装置ユニットを並列運転するため、それぞれの蓄電池のSOC値が同じになるように制御される。ただし、蓄電装置ユニットの充放電電力指令値は双方向インバータ交流端電力値であるので、電力系統制御箇所からの連系点送電・受電電力指令値に変圧器の損出分を考慮する必要がある。具体的には、下記式1により制御される。
[式1]
ある蓄電装置ユニットの充放電電力(双方向インバータ交流端入出力)指令値
= 連系箇所送受電電力指令値(送電は放電、受電は充電に相当)×ある蓄電装置ユニット蓄電池の放電容量/蓄電装置ユニット蓄電池放電容量合計×係数
ある蓄電装置ユニットの充放電電力(双方向インバータ交流端入出力)指令値
= 連系箇所送受電電力指令値(送電は放電、受電は充電に相当)×ある蓄電装置ユニット蓄電池の放電容量/蓄電装置ユニット蓄電池放電容量合計×係数
ここで、係数は双方向インバータと連系箇所間の損失を意味し、受電時0.98、送電時1.02程度の値となる。実際の充放電電力が指令値と等しくなるよう系統との連系箇所にある電力センサの測定値をフィードバックし、偏差分を式1の連系箇所充放電電力指令値に加味して個々の蓄電装置ユニットの充放電電力指令値を調整する。図2に蓄電装置ユニットの充放電電力の制御方法を示す。また、一部の蓄電装置ユニットの充電切れや早めの満充電を防止するため、それぞれの蓄電装置ユニットの蓄電池容量(kWh)/双方向インバータ容量(kW)の比は同じとして運用される(式1に従えばkWh/kW比は同じとして扱われる)。また、それぞれの蓄電池のSOC値はそれぞれの蓄電池に付属する制御装置で計測される。
上記運用方法では理論上は各蓄電池のSOC値に差異は発生しないが、インバータの応答速度の差異やインバータ出力の誤差により各蓄電池のSOC値に若干のばらつきが発生する。ばらつきを減らすように式1で求まるそれぞれの蓄電装置の充放電電力に一定のバイアスをかけて、SOC値が高い場合は充電電力を減らし放電電力を増やし、SOC値が低い場合は充電電力を増やし放電電力を減らす。なお、電池間で電力をやりとりしてSOC値を調整することも考えられるが、蓄電池の放電電力で蓄電池を充電することは損失が大きくなるため実施しない。具体的には、下記の要領で充放電電力指令値を調整する。
蓄電装置ユニットを構成するすべての蓄電池の平均SOC値(加重平均)
= (ある蓄電池のSOC値×ある蓄電池の放電容量)の合計値/蓄電池の放電容量の合計値
ある蓄電装置ユニットの充放電電力補正係数
充電かつ蓄電池SOC値が平均SOC値より大きい場合 補正係数k1を適用
充電かつ蓄電池SOC値が平均SOC値より小さい場合 補正係数k2を適用
放電かつ蓄電池SOC値が平均SOC値より大きい場合 補正係数k2を適用
放電かつ蓄電池SOC値が平均SOC値より小さい場合 補正係数k1を適用
ただし、0<k1<1 1<k2 例えばk1=0.95 k2=1.05
調整後のある蓄電装置ユニットの充放電電力指令値
=式1で求まる充放電電力指令値×充放電電力補正係数
= (ある蓄電池のSOC値×ある蓄電池の放電容量)の合計値/蓄電池の放電容量の合計値
ある蓄電装置ユニットの充放電電力補正係数
充電かつ蓄電池SOC値が平均SOC値より大きい場合 補正係数k1を適用
充電かつ蓄電池SOC値が平均SOC値より小さい場合 補正係数k2を適用
放電かつ蓄電池SOC値が平均SOC値より大きい場合 補正係数k2を適用
放電かつ蓄電池SOC値が平均SOC値より小さい場合 補正係数k1を適用
ただし、0<k1<1 1<k2 例えばk1=0.95 k2=1.05
調整後のある蓄電装置ユニットの充放電電力指令値
=式1で求まる充放電電力指令値×充放電電力補正係数
蓄電池には、充電時には充電電流上限および電池電圧上限の制約が、放電時には放電電流上限および電池電圧下限の制約がある。この制約を反映した蓄電池充放電電力最大値の例を図3に示す。蓄電池容量を蓄電池容量(kWh)/双方向インバータ出力(kW)=2〜3程度としているため、相対的に蓄電池容量が大きくSOC値の上下限付近を除き制限値がインバータ容量を下回らないが、SOC値上下限付近は制約を受ける。このため、蓄電池のSOC運用範囲を通常時は15〜90%程度とすることが一般的である。双方向インバータは指令値を受けて出力を制御するが、充電時は蓄電池の電圧が上限値を超える場合は上限値以下になるよう出力を絞り込み、放電時は蓄電池の電圧が下限値を下回る場合は下限値以上になるよう出力を絞り込む。このインバータ出力を絞り込む機能により、蓄電池SOC値が上下限に近い領域でもインバータは運転可能であり、緊急時等はSOC値の限界近くまで充放電可能である。
一方で、双方向インバータが蓄電池電圧の制約により出力を絞り込むと、電力系統制御箇所からの運転指令値と実際の出力に大きな乖離が発生し、本来の目的が果たせず非常に具合が悪い。そこで、蓄電池SOC値が上下限値に近づいた場合は電力系統制御箇所からの充放電電力指令値を制限する。指令値制限の例を図4に示す。
一方で、双方向インバータが蓄電池電圧の制約により出力を絞り込むと、電力系統制御箇所からの運転指令値と実際の出力に大きな乖離が発生し、本来の目的が果たせず非常に具合が悪い。そこで、蓄電池SOC値が上下限値に近づいた場合は電力系統制御箇所からの充放電電力指令値を制限する。指令値制限の例を図4に示す。
また、系統用蓄電装置の双方向インバータの直流側は蓄電池により、交流側は電力系統により電圧が安定しているため、出力が目標値になるよう直流あるいは交流出力電流を制御すれば良く、出力制御は安定して行える。ただし、停電により直流あるいは交流電圧がない場合は、双方向インバータは運転できない。
従来の系統用蓄電装置110における系統全体の電力需要の例を図5に、系統用蓄電装置の蓄電池の運用例(太陽光余剰なし)を図6に、太陽光余剰時の蓄電池の運用例を図7に示す。ここでは、系統用蓄電装置110は数千〜数万kWであり、それを構成する蓄電装置ユニットが1000kWh、400kWである場合を想定している。なお、図6では、充放電電力を30分単位の平均電力としているため、例えば10時から10時30分の平均充放電電力を10時30分の値とし、蓄電池SOC値は10時30分の値を示すようにしている。また、系統用蓄電装置の運用目的の(1)短周期周波数変動の吸収により、充放電電力および蓄電池SOC値は細かく変動するが、充放電が相殺して平均すると影響ないため、この変動は表示していない。
電力系統制御箇所においては、翌日の電力需要想定や各発電所の発電予想に基づき、図6あるいは図7のごとき系統用蓄電装置の運転計画を策定する。当日の電力需要や発電所の発電量は運転計画とは一致しないため、系統用蓄電装置の運転も前日策定した運転計画どおりにはならないが、蓄電池が満充電や充電切れにならないよう、蓄電池SOC値がほぼ計画値どおりとなるように充放電電力を調整する。
(B)需要家用蓄電装置
需要家用蓄電装置としては、例えば図8に示す構成のものが一般に知られている。この需要家用蓄電装置120は、蓄電池制御装置11、蓄電池12および双方向インバータ13から構成される蓄電装置ユニットを備えている。なお、図8では1台の蓄電池12に1台の双方向インバータ13を接続しているが、1台の蓄電池に複数の双方向インバータを接続し複数の負荷に供給することも可能である。この需要家用蓄電装置120は、主として下記の運用目的(1)〜(3)に基づき運用される。いずれの場合も、kWの調整とともにkWhの調整も行うことから蓄電池容量は大きめが必要で、蓄電池容量(kWh)/双方向インバータ出力(kW)=3〜5程度が選択される。
需要家用蓄電装置としては、例えば図8に示す構成のものが一般に知られている。この需要家用蓄電装置120は、蓄電池制御装置11、蓄電池12および双方向インバータ13から構成される蓄電装置ユニットを備えている。なお、図8では1台の蓄電池12に1台の双方向インバータ13を接続しているが、1台の蓄電池に複数の双方向インバータを接続し複数の負荷に供給することも可能である。この需要家用蓄電装置120は、主として下記の運用目的(1)〜(3)に基づき運用される。いずれの場合も、kWの調整とともにkWhの調整も行うことから蓄電池容量は大きめが必要で、蓄電池容量(kWh)/双方向インバータ出力(kW)=3〜5程度が選択される。
(1)昼間の需要が高い時間帯の受電電力低減(kWピークカット)
電力需要の多い時間帯に蓄電装置を放電し、受電電力(kW)を一定値以下に制限する。
(2)深夜電力を昼間に利用(kWhシフト)
安価な深夜電力で充電し、電気代の高価な昼間に放電して昼間の受電電力量(kWh)を減少させる。
(3)停電補償
停電時に蓄電装置から重要負荷に供給する。
電力需要の多い時間帯に蓄電装置を放電し、受電電力(kW)を一定値以下に制限する。
(2)深夜電力を昼間に利用(kWhシフト)
安価な深夜電力で充電し、電気代の高価な昼間に放電して昼間の受電電力量(kWh)を減少させる。
(3)停電補償
停電時に蓄電装置から重要負荷に供給する。
図9に需要家電力需要の例を、図10に需要家用蓄電装置(1000kWh、200kW)の蓄電池の運用例を示す。
図8に示すように、電力系統との接続箇所には電力センサ18(通常はスマートメータがこの役目を果たす)が設置されている。制御装置17は、電力センサ18により測定された有効電力(受電電力:kW)が契約電力を超えないように、双方向インバータ13の送電量(蓄電池は放電)を制御する。充電に関しては指定した時間帯(通常は料金が割安な23時〜7時)に指定された電力(通常は0.15〜0.2C(5〜7時間で満充電)程度、図10の例では150kW)で充電される。
また、停電発生時は停電補償負荷を系統分離用遮断器16を使って電力系統から短時間で切り離し、双方向インバータ13を運転して停電補償負荷に電力を供給する。ただし、時間帯によっては(図10の運用例であれば夕刻)蓄電装置の蓄電量が少なく停電補償できる電力量は限られる。停電補償する場合は、補償に必要な電力量を予め定め、必要分は蓄電装置に確保する必要がある(図10の運用例ではSOC値25%相当約200kWhが停電補償に利用できる。)。
図8に示すように、電力系統との接続箇所には電力センサ18(通常はスマートメータがこの役目を果たす)が設置されている。制御装置17は、電力センサ18により測定された有効電力(受電電力:kW)が契約電力を超えないように、双方向インバータ13の送電量(蓄電池は放電)を制御する。充電に関しては指定した時間帯(通常は料金が割安な23時〜7時)に指定された電力(通常は0.15〜0.2C(5〜7時間で満充電)程度、図10の例では150kW)で充電される。
また、停電発生時は停電補償負荷を系統分離用遮断器16を使って電力系統から短時間で切り離し、双方向インバータ13を運転して停電補償負荷に電力を供給する。ただし、時間帯によっては(図10の運用例であれば夕刻)蓄電装置の蓄電量が少なく停電補償できる電力量は限られる。停電補償する場合は、補償に必要な電力量を予め定め、必要分は蓄電装置に確保する必要がある(図10の運用例ではSOC値25%相当約200kWhが停電補償に利用できる。)。
需要家用双方向インバータ13は、通常は系統用蓄電装置用双方向インバータ3と同様に直流・交流側とも電圧が安定しているため、出力が目標値になるよう直流あるいは交流出力電流を制御すれば良い。ただし、需要家用双方向インバータ13は停電補償のため、交流側が停電した場合にも蓄電池12を使って交流側に電力を供給する必要がある。交流側停電時の停電補償運転時には、出力電圧一定制御(出力電力は負荷にあわせるため制御できない)として運転できる機能を設ける必要がある。また、直流側が停電した場合は系統用蓄電装置と同様に運転できない。
なお、需要家用蓄電装置においても、受電電力の力率調整のため双方向インバータの無効電力量を調整するが、蓄電池の運用には影響がないため以下の説明では省略する。
なお、需要家用蓄電装置においても、受電電力の力率調整のため双方向インバータの無効電力量を調整するが、蓄電池の運用には影響がないため以下の説明では省略する。
ところで、出願人は、今後、再生可能エネルギー由来の発電電力量は増加し、平準化対策を発電側で分担し、相対取引をするとの考えのもと、特許文献1において、再生可能エネルギー発電装置と、再生可能エネルギー由来の電力を蓄電する蓄電装置と、再生可能エネルギー発電装置からの出力電力を所定電圧に変換する発電装置用DC−DCコンバータと、蓄電装置および発電装置用DC−DCコンバータが接続される直流母線と、蓄電装置からの直流電力を電力系統と連系可能な交流電力に逆変換し負荷および電力系統に供給するインバータを有する系統連系装置と、発電量の予想データを受信可能な制御装置と、を備え、前記制御装置が、発電量の予想データおよび消費電力予想に基づき充電残量の目標値を設定し、充電残量の目標値と実績値に基づき系統連系装置の出力を一定時間単位で変化させる制御を行う再生可能エネルギーの蓄電システムを提案している。
従来の蓄電装置には、次の課題がある。
(1)費用
系統用蓄電装置、需要家用蓄電装置とも蓄電池が高価なため、設備費用が高額となるこという課題がある。
(1)費用
系統用蓄電装置、需要家用蓄電装置とも蓄電池が高価なため、設備費用が高額となるこという課題がある。
(2)需要家用蓄電装置を電力系統需給調整に利用する試みにおける課題
系統用蓄電装置のコスト低減のため、需要家用蓄電装置を電力系統需給調整に利用する試みが行われている。すでに、需要家用蓄電装置を電力系統の緊急時(電力不足時)に放電させて、停電を防止する実験が行われている。そこでは、電力系統運用会社と個々の需要家用蓄電装置を通信で接続して、緊急時に信号(単純な1ビットの緊急時か緊急時でないかを区別する信号でよい)を発して可能な範囲で需要家用蓄電装置を放電させている。さらに、太陽光発電余剰時に需要家用蓄電装置に蓄電する実験も行われている。
電力系統運用会社が個々の需要家設置蓄電装置を、本来の需要家の運用目的(需要家用蓄電装置の運用3目的)に加えて、系統用蓄電装置と同じ運用目的(系統用蓄電装置の運用5目的)でも活用する場合の課題(コストを除く)を表1に示す。
系統用蓄電装置のコスト低減のため、需要家用蓄電装置を電力系統需給調整に利用する試みが行われている。すでに、需要家用蓄電装置を電力系統の緊急時(電力不足時)に放電させて、停電を防止する実験が行われている。そこでは、電力系統運用会社と個々の需要家用蓄電装置を通信で接続して、緊急時に信号(単純な1ビットの緊急時か緊急時でないかを区別する信号でよい)を発して可能な範囲で需要家用蓄電装置を放電させている。さらに、太陽光発電余剰時に需要家用蓄電装置に蓄電する実験も行われている。
電力系統運用会社が個々の需要家設置蓄電装置を、本来の需要家の運用目的(需要家用蓄電装置の運用3目的)に加えて、系統用蓄電装置と同じ運用目的(系統用蓄電装置の運用5目的)でも活用する場合の課題(コストを除く)を表1に示す。
[表1]
すでに検討されている(5)緊急時対応以外の実現はきわめて困難である。
さらに、太陽光発電に余剰が発生する時間帯(10〜14時)は、需要家の電力需要が大きい時間帯であり蓄電装置は放電運転している。余剰吸収のために放電停止やさらに充電を行うとその分の受電電力が大きくなり、受電電力(kW)を大幅に超過するという問題が生じる。このことを図11を参照しながら説明する。なお、図11では、簡単のために損失を無視している。
さらに、太陽光発電に余剰が発生する時間帯(10〜14時)は、需要家の電力需要が大きい時間帯であり蓄電装置は放電運転している。余剰吸収のために放電停止やさらに充電を行うとその分の受電電力が大きくなり、受電電力(kW)を大幅に超過するという問題が生じる。このことを図11を参照しながら説明する。なお、図11では、簡単のために損失を無視している。
図11の例では、(a)通常時は、電力系統からPr[kW]受電し蓄電池からPd[kW]放電している。需要家の電力需要はPr+Pd[kW]である。ここで、(b)太陽光発電余剰吸収のために蓄電池をPc[kW]で充電するとする。この場合の電力系統からの受電電力は、電力需要と充電電力の合計Pr+Pd+Pc[kW]となる。受電電力最大値(契約電力)は蓄電池を使ってピークカット運転していることからPr[kW]程度であり、太陽光発電余剰の吸収を行うとPd+Pc[kW]程度契約電力を超過する。
また、需要家用蓄電装置の日々の充放電の運用に関して電力系統運用会社が関与するためには、需要家の需要や蓄電装置の状況を常時監視する必要があり、膨大な通信量やデータ処理が必要なため非常なコスト高となり、経済性の面でも実現は非常に難しい。
また、需要家用蓄電装置の日々の充放電の運用に関して電力系統運用会社が関与するためには、需要家の需要や蓄電装置の状況を常時監視する必要があり、膨大な通信量やデータ処理が必要なため非常なコスト高となり、経済性の面でも実現は非常に難しい。
そこで、本発明は、上述した課題を解決可能な系統用蓄電装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、需要家側に配置される需要家用蓄電装置と直流線路で接続され、電力系統制御箇所からの指令値に基づき電力系統の周波数や電圧を調整する系統用蓄電装置において、系統用蓄電装置が、電力系統送電線と交流母線とを接続する変圧器と、交流母線に接続される複数の蓄電装置ユニットと、蓄電装置ユニット制御装置とを備え、需要家用蓄電装置が、電力系統送電線と交流母線とを接続する変圧器と、受電した直流電力を交流電力に変換して交流母線に供給するインバータと、インバータ制御装置とを備え、系統用蓄電装置の各蓄電装置ユニットが、それぞれ双方向インバータ、蓄電池および蓄電池制御装置を備え、系統用蓄電装置の蓄電装置ユニットの1つ以上を需要家用蓄電装置のインバータと直流線路で接続して需要家兼用蓄電装置ユニットを構成し、系統用蓄電装置の蓄電装置ユニット制御装置が、蓄電池を介さずに、需要家兼用蓄電装置ユニットの双方向インバータから需要家用蓄電装置のインバータに直流電力を供給する直接供給手段を備えることを特徴とする系統用蓄電装置である。
第2の発明は、第1の発明において、前記蓄電装置ユニット制御装置が、電力系統制御箇所からの指令値に基づき各蓄電装置ユニットが分担する充放電電力値を、各蓄電装置ユニット蓄の電池容量に応じて割り当て、各蓄電装置ユニットの蓄電池SOC値が同じになるように各蓄電装置ユニットの充放電電力値を調整することにより、電力系統との連系点における送受電電力を、電力系統制御箇所からの指令値どおりに制御可能であることを特徴とする。
第3の発明は、第1の発明において、前記蓄電装置ユニット制御装置が、電力系統制御箇所からの指令値に基づき各蓄電装置ユニットが分担する充放電電力値を、需要家供給を行っていない蓄電装置ユニットは、電力系統制御箇所からの指令値を各蓄電装置ユニット蓄の電池容量に応じて割り当てた電力値とし、需要家供給を行っている蓄電装置ユニットは、電力系統制御箇所からの指令値を各蓄電装置ユニットの蓄電池容量に応じて割り当てた電力値に当該蓄電装置ユニットが直流線路で接続された需要家への供給電力値の一部または全部を加えた電力値とし、各蓄電装置ユニットの蓄電池SOC値が同じになるように各蓄電装置ユニットの充放電電力値を調整することにより、電力系統との連系点送受電電力を、電力系統制御箇所からの指令値に、直流線路で接続される需要家への供給電力値の一部または全部を加えた値に制御可能であることを特徴とする。
第4の発明は、第1の発明において、前記蓄電装置ユニット制御装置が、下記の[A方式]および[B方式]を切り替え可能であることを特徴とする。
[A方式]前記蓄電装置ユニット制御装置が、電力系統制御箇所からの指令値に基づき各蓄電装置ユニットが分担する充放電電力値を、各蓄電装置ユニット蓄の電池容量に応じて割り当て、各蓄電装置ユニットの蓄電池SOC値が同じになるように各蓄電装置ユニットの充放電電力値を調整することにより、電力系統との連系点における送受電電力を、電力系統制御箇所からの指令値どおりに制御すること。
[B方式]前記蓄電装置ユニット制御装置が、電力系統制御箇所からの指令値に基づき各蓄電装置ユニットが分担する充放電電力値を、需要家供給を行っていない蓄電装置ユニットは、電力系統制御箇所からの指令値を各蓄電装置ユニット蓄の電池容量に応じて割り当てた電力値とし、需要家供給を行っている蓄電装置ユニットは、電力系統制御箇所からの指令値を各蓄電装置ユニットの蓄電池容量に応じて割り当てた電力値に当該蓄電装置ユニットが直流線路で接続された需要家への供給電力値の一部または全部を加えた電力値とし、各蓄電装置ユニットの蓄電池SOC値が同じになるように各蓄電装置ユニットの充放電電力値を調整することにより、電力系統との連系点送受電電力を、電力系統制御箇所からの指令値に、直流線路で接続される需要家への供給電力値の一部または全部を加えた値に制御すること。
第5の発明は、第3または4の発明において、前記需要家兼用蓄電装置ユニットに、双方向インバータと並列に接続される交流−直流変換コンバータを設け、前記蓄電装置ユニット制御装置が、需要家兼用蓄電装置ユニットの容量不足時に交流−直流変換コンバータを稼動させることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、前記蓄電装置ユニット制御装置が、電力系統制御箇所からの指令値に基づき各蓄電装置ユニットが分担する充放電電力値を、各蓄電装置ユニット蓄の電池容量に応じて割り当て、各蓄電装置ユニットの蓄電池SOC値が同じになるように各蓄電装置ユニットの充放電電力値を調整することにより、電力系統との連系点における送受電電力を、電力系統制御箇所からの指令値どおりに制御可能であることを特徴とする。
第3の発明は、第1の発明において、前記蓄電装置ユニット制御装置が、電力系統制御箇所からの指令値に基づき各蓄電装置ユニットが分担する充放電電力値を、需要家供給を行っていない蓄電装置ユニットは、電力系統制御箇所からの指令値を各蓄電装置ユニット蓄の電池容量に応じて割り当てた電力値とし、需要家供給を行っている蓄電装置ユニットは、電力系統制御箇所からの指令値を各蓄電装置ユニットの蓄電池容量に応じて割り当てた電力値に当該蓄電装置ユニットが直流線路で接続された需要家への供給電力値の一部または全部を加えた電力値とし、各蓄電装置ユニットの蓄電池SOC値が同じになるように各蓄電装置ユニットの充放電電力値を調整することにより、電力系統との連系点送受電電力を、電力系統制御箇所からの指令値に、直流線路で接続される需要家への供給電力値の一部または全部を加えた値に制御可能であることを特徴とする。
第4の発明は、第1の発明において、前記蓄電装置ユニット制御装置が、下記の[A方式]および[B方式]を切り替え可能であることを特徴とする。
[A方式]前記蓄電装置ユニット制御装置が、電力系統制御箇所からの指令値に基づき各蓄電装置ユニットが分担する充放電電力値を、各蓄電装置ユニット蓄の電池容量に応じて割り当て、各蓄電装置ユニットの蓄電池SOC値が同じになるように各蓄電装置ユニットの充放電電力値を調整することにより、電力系統との連系点における送受電電力を、電力系統制御箇所からの指令値どおりに制御すること。
[B方式]前記蓄電装置ユニット制御装置が、電力系統制御箇所からの指令値に基づき各蓄電装置ユニットが分担する充放電電力値を、需要家供給を行っていない蓄電装置ユニットは、電力系統制御箇所からの指令値を各蓄電装置ユニット蓄の電池容量に応じて割り当てた電力値とし、需要家供給を行っている蓄電装置ユニットは、電力系統制御箇所からの指令値を各蓄電装置ユニットの蓄電池容量に応じて割り当てた電力値に当該蓄電装置ユニットが直流線路で接続された需要家への供給電力値の一部または全部を加えた電力値とし、各蓄電装置ユニットの蓄電池SOC値が同じになるように各蓄電装置ユニットの充放電電力値を調整することにより、電力系統との連系点送受電電力を、電力系統制御箇所からの指令値に、直流線路で接続される需要家への供給電力値の一部または全部を加えた値に制御すること。
第5の発明は、第3または4の発明において、前記需要家兼用蓄電装置ユニットに、双方向インバータと並列に接続される交流−直流変換コンバータを設け、前記蓄電装置ユニット制御装置が、需要家兼用蓄電装置ユニットの容量不足時に交流−直流変換コンバータを稼動させることを特徴とする。
本発明の系統用蓄電装置は、従来の系統用蓄電装置が有していた電力系統需給調整機能および従来の需要家蓄電装置としての機能をそのまま有しながら、需要家用蓄電装置相当の充電電力を電力系統制御箇所から調整することが可能となる。また、電力系統からの交流電力を直流電力に変換して直接需要家に供給する手段を設けることで、需要家の契約電力(交流kW)を増加することなく太陽光発電等余剰電力の吸収能力を向上することができる。
また、系統用蓄電装置と需要家用蓄電装置をそれぞれ単独で設置する従来の方式と比べて、トータル費用を減少させることが可能である上、従来の設備をそのまま利用することが可能である。
本発明を実施するための形態例を以下に示す。
[実施形態例1]
(1)装置構成
図12は、本発明の実施形態例1に係る蓄電装置システムの構成図である(制御装置7は図示省略)。この蓄電装置システムは、系統用蓄電装置10と、需要家用蓄電装置20と、直流線路30とを主要な構成要素としている。
実施形態例1に係る系統用蓄電装置10は、1台の双方向インバータ3と1台の蓄電池2からなる蓄電装置ユニット(例えば、400kW、1000kWh)を4つ備えている。このうちの1つ以上の蓄電装置ユニットを、需要家兼用ユニットとする。全ての蓄電装置ユニットを、需要家兼用ユニットとすることも可能である。実施形態例1では、双方向インバータ3dおよび蓄電池2dを需要家兼用蓄電装置ユニットとしている。蓄電池2dは、従来の需要家用蓄電装置120に相当する容量以上の容量とする必要があり、例えば数百〜数千kWhの容量の蓄電池により蓄電装置ユニットを構成する。なお、需要家が必要とする蓄電装置ユニットの容量が系統用蓄電装置の1個の蓄電装置ユニットの容量を超過する場合は、系統用蓄電装置の複数の蓄電装置ユニットからそれぞれの蓄電装置ユニット専用の直流線路および需要家用インバータを使って需要家に供給する。
[実施形態例1]
(1)装置構成
図12は、本発明の実施形態例1に係る蓄電装置システムの構成図である(制御装置7は図示省略)。この蓄電装置システムは、系統用蓄電装置10と、需要家用蓄電装置20と、直流線路30とを主要な構成要素としている。
実施形態例1に係る系統用蓄電装置10は、1台の双方向インバータ3と1台の蓄電池2からなる蓄電装置ユニット(例えば、400kW、1000kWh)を4つ備えている。このうちの1つ以上の蓄電装置ユニットを、需要家兼用ユニットとする。全ての蓄電装置ユニットを、需要家兼用ユニットとすることも可能である。実施形態例1では、双方向インバータ3dおよび蓄電池2dを需要家兼用蓄電装置ユニットとしている。蓄電池2dは、従来の需要家用蓄電装置120に相当する容量以上の容量とする必要があり、例えば数百〜数千kWhの容量の蓄電池により蓄電装置ユニットを構成する。なお、需要家が必要とする蓄電装置ユニットの容量が系統用蓄電装置の1個の蓄電装置ユニットの容量を超過する場合は、系統用蓄電装置の複数の蓄電装置ユニットからそれぞれの蓄電装置ユニット専用の直流線路および需要家用インバータを使って需要家に供給する。
系統用蓄電装置10と需要家用蓄電装置20とは、直流線路30により接続されており、これにより系統用蓄電装置10の備える1つ以上の蓄電池2を需要家用蓄電装置20の蓄電池として共用している。すなわち、需要家用蓄電装置20の蓄電池(例えば1000kWh)を省略することを可能としている。系統用蓄電装置10の機能は従来とまったく変わらない。また、需要家から見れば蓄電池2が物理的に遠くに配置されただけで、需要家用蓄電装置20の蓄電装置としての機能は従来と同じである。
ここで、実施形態例1の蓄電装置システムは、従来の需要家用蓄電装置が備えていた蓄電池を系統用蓄電装置側に移動したようにも見え、準備する蓄電池の合計容量は従来の系統用蓄電装置110と従来の需要家用蓄電装置120の合計容量となるようにも思える。しかし、本システムでは、詳細は後述の(2)運用方法で説明するが、需要家用蓄電装置20の蓄電池を不要としながらも、系統用蓄電装置10の蓄電池容量を増加させる必要はない。なお、当然のことながら系統用蓄電装置10の蓄電池容量を増加させることも可能であるが、それは系統用蓄電装置10の増強であり、本発明の目的実現とは別の話である。
現在普及している技術では採用できる直流電圧が400V程度であるため、直流線路30による実用的な送電距離は数km、1回線あたりの送電容量は数百kWである。しかし、今後の技術進歩による直流電圧の上昇とともに、送電距離および送電容量は増加できると見込まれる。なお、需要家蓄電装置20のニーズ箇所は大規模建屋および工場と予想され、比較的都市部に存在することから数kmの送電距離でも十分用は足り、直流回線数を複数にすることで送電容量も確保できると考えられる。
本発明では、蓄電池の充電は需要家で行う必要がないため、需要家のインバータ23は一方向(直流→交流)で良く、需要家は放電制御のみ行えば良い。インバータ23を介するが、電力系統の交流電源と同様に直流電源を使うことができ、需要家にとって非常に使い勝手の良い電源となる。
本発明では、蓄電池の充電は需要家で行う必要がないため、需要家のインバータ23は一方向(直流→交流)で良く、需要家は放電制御のみ行えば良い。インバータ23を介するが、電力系統の交流電源と同様に直流電源を使うことができ、需要家にとって非常に使い勝手の良い電源となる。
系統用蓄電装置10は、充放電制御に関して装置や機能の追加は不要であり、需要家向けの供給を考慮した制御を行えば足りる。これにより、従来の需要家用蓄電装置相当の充電時間帯や充電電力は、電力系統制御箇所が完全に制御できるようになる。放電制御に関しては、需要家の放電にあわせた充電量の確保が必要であるが、需要家への供給を交流側から双方向インバータ3dを介して直接行うこともできる。すなわち、需要家への供給を蓄電池2を一切介さずに全て交流側から供給することが可能である。需要家への供給の制約は、需要家停電補償分の蓄電量さえ確保しておけば双方向インバータ3dの出力電力容量以外特になく、双方向インバータ3dの出力を調整するだけで従来の系統用蓄電装置10の本来的機能をそのまま維持することができる。
なお、交流側から直接供給する場合は蓄電池を介さない分、蓄電池の充放電損失(5〜8%程度)は減少するが、時間帯によっては電力量単価が高くなるという経済的な課題が存在する。このことは、電力系統用蓄電装置10の本来的機能を優先するか、電力量単価を優先するかという選択肢があることを示しており、その時々の電力系統全体の電力需要の状況に応じて対応する必要がある。電力需給調整のニーズが高い日は、電力系統用蓄電装置10の本来的機能を優先し、そうでない日は経済性を優先すれば良い。
さらに、従来のように、系統用蓄電装置110と需要家用蓄電装置120をそれぞれ単独に設置した場合、需要家側では対応が不可能であった太陽光発電余剰時対応も可能となる。すなわち、需要家には系統用蓄電装置10の交流側から蓄電池を介さずに直接供給することで、系統用蓄電池2は変わらず蓄電を行える上に、需要家に直流で供給する分だけ余剰吸収力が向上することになる。
図13を参照しながら、太陽光等余剰電力の吸収量を説明する。なお、図13では説明の便宜上、損失を無視している。
(a)は、従来の独立した系統用蓄電装置110および需要家用蓄電装置120の受電電力を説明する図である。(a)では、系統用蓄電装置110は蓄電池充電のためにPg[kW]受電している。また、需要家はPr[kW]受電し、蓄電池12からPd[kW]の供給を受けている(需要家の電力需要はPr+Pd[kW])。すなわち、系統用蓄電装置110と需要家蓄電装置120の受電電力を合計するとPg+Pr[kW]となる。
(b)は、実施形態例1に係る系統用蓄電装置10および需要家用蓄電装置20の受電電力を説明する図である。実施形態例1において、系統用蓄電装置10から蓄電池2を介さずに直接直流で需要家に供給する場合、系統用蓄電装置10は蓄電池2の充電のために必要なPg[kW]に、需要家用蓄電装置20に供給するPd[kW]を加えたPg+Pd[kW]を受電する。需要家は直流からPd[kW]の供給を受けるため、受電はPr[kW]で変わらない。すなわち、系統用蓄電装置10と需要家蓄電装置20の受電電力を合計するとPg+Pd+Pr[kW]となる。
(a)は、従来の独立した系統用蓄電装置110および需要家用蓄電装置120の受電電力を説明する図である。(a)では、系統用蓄電装置110は蓄電池充電のためにPg[kW]受電している。また、需要家はPr[kW]受電し、蓄電池12からPd[kW]の供給を受けている(需要家の電力需要はPr+Pd[kW])。すなわち、系統用蓄電装置110と需要家蓄電装置120の受電電力を合計するとPg+Pr[kW]となる。
(b)は、実施形態例1に係る系統用蓄電装置10および需要家用蓄電装置20の受電電力を説明する図である。実施形態例1において、系統用蓄電装置10から蓄電池2を介さずに直接直流で需要家に供給する場合、系統用蓄電装置10は蓄電池2の充電のために必要なPg[kW]に、需要家用蓄電装置20に供給するPd[kW]を加えたPg+Pd[kW]を受電する。需要家は直流からPd[kW]の供給を受けるため、受電はPr[kW]で変わらない。すなわち、系統用蓄電装置10と需要家蓄電装置20の受電電力を合計するとPg+Pd+Pr[kW]となる。
このように(a)従来例ではPg+Pr[kW]であった受電電力の合計値が、(b)実施形態例1の方式によればPg+Pd+Pr[kW]となり、Pd[kW]の分、太陽光等余剰電力の吸収力が向上したことになる。そして、本発明では需要家用蓄電装置20の蓄電機能を系統用蓄電装置10に統合し、かつ、系統用蓄電装置10の従来機能はそのまま維持しているので、需要家用蓄電装置を電力系統需給調整に利用するといった概念すら存在せず、その際の課題(表1)も本発明では一切存在しない。
(2)需要家供給がある場合の系統用蓄電装置の運用・制御
通常の系統用蓄電装置の運用方法や制御方法については先に記載した。電力系統制御箇所から見た系統用蓄電装置は、蓄電装置ユニットを統合して1つの蓄電池と見なし、需要家供給も合計して1つの需要家と見なす。簡単のため損失を無視した需要家供給がある場合の系統用蓄電装置10の電力バランスを図14に示す。(a)は受電時において充電のために必要なPg[kW]が需要家用蓄電装置20に供給するPd[kW]を上回る場合の説明図であり、(b)は受電時において充電のために必要なPg[kW]が需要家用蓄電装置20に供給するPd[kW]を下回る場合の説明図であり、(c)は需要家用蓄電装置20に供給するの共に電力系統に送電する場合の説明図である。蓄電池2は連系点の送受電電力と需要家供給電力の差分を充放電で吸収する。したがって、需要家供給が少ない場合は蓄電池2で需要家供給を吸収できるが、需要家供給が多くなると連系点の送受電電力を調整する必要が生じる。
本発明においても、系統用蓄電装置10から需要家に供給する場合も基本的な運用や制御方法は同じであるが、従来の系統用蓄電装置110と相異するのは、下記の2点を考慮した運用および制御方法を実現する必要があることである。
(ア)需要家供給により、受電時には連系点電力は蓄電池充電電力より多くなり、送電時には連系点電力は蓄電池放電電力より少なくなる。
(イ)蓄電池充放電量の調整なしに需要家供給を行うと、需要家供給を行っている蓄電装置ユニットの蓄電池のSOCが相対的に低くなる。
通常の系統用蓄電装置の運用方法や制御方法については先に記載した。電力系統制御箇所から見た系統用蓄電装置は、蓄電装置ユニットを統合して1つの蓄電池と見なし、需要家供給も合計して1つの需要家と見なす。簡単のため損失を無視した需要家供給がある場合の系統用蓄電装置10の電力バランスを図14に示す。(a)は受電時において充電のために必要なPg[kW]が需要家用蓄電装置20に供給するPd[kW]を上回る場合の説明図であり、(b)は受電時において充電のために必要なPg[kW]が需要家用蓄電装置20に供給するPd[kW]を下回る場合の説明図であり、(c)は需要家用蓄電装置20に供給するの共に電力系統に送電する場合の説明図である。蓄電池2は連系点の送受電電力と需要家供給電力の差分を充放電で吸収する。したがって、需要家供給が少ない場合は蓄電池2で需要家供給を吸収できるが、需要家供給が多くなると連系点の送受電電力を調整する必要が生じる。
本発明においても、系統用蓄電装置10から需要家に供給する場合も基本的な運用や制御方法は同じであるが、従来の系統用蓄電装置110と相異するのは、下記の2点を考慮した運用および制御方法を実現する必要があることである。
(ア)需要家供給により、受電時には連系点電力は蓄電池充電電力より多くなり、送電時には連系点電力は蓄電池放電電力より少なくなる。
(イ)蓄電池充放電量の調整なしに需要家供給を行うと、需要家供給を行っている蓄電装置ユニットの蓄電池のSOCが相対的に低くなる。
(ア)および(イ)への対応方法として、下記3とおりの制御方式がある。また、状況に応じて3とおりの方式を使い分けて運用・制御することもできる。
<第一方式>系統用蓄電装置の設備は変更せず、制御装置7において需要家への供給量にかかわらず実際の連系点送受電電力値を電力系統制御箇所からの送受電電力指令値とあわせる方式
<第二方式>系統用蓄電装置の設備は変更せず、制御装置7において実際の連系点送受電電力値を電力系統制御箇所からの連系点送受電電力指令値に需要家への供給電力を加えた電力量値とする方式
<第三方式>系統用蓄電装置の需要家供給を行う蓄電装置ユニットの双方向インバータの容量を需要家供給分増強し、制御装置7において実際の連系点送受電電力値を電力系統制御箇所からの連系点送受電電力指令値に需要家への供給電力を加えた電力量値とする方式
<第一方式>系統用蓄電装置の設備は変更せず、制御装置7において需要家への供給量にかかわらず実際の連系点送受電電力値を電力系統制御箇所からの送受電電力指令値とあわせる方式
<第二方式>系統用蓄電装置の設備は変更せず、制御装置7において実際の連系点送受電電力値を電力系統制御箇所からの連系点送受電電力指令値に需要家への供給電力を加えた電力量値とする方式
<第三方式>系統用蓄電装置の需要家供給を行う蓄電装置ユニットの双方向インバータの容量を需要家供給分増強し、制御装置7において実際の連系点送受電電力値を電力系統制御箇所からの連系点送受電電力指令値に需要家への供給電力を加えた電力量値とする方式
第一ないし第三方式を図15を参照しながら説明する。図15では、簡単のために損失を無視し、双方向インバータ3および蓄電池2を同容量2台とし、その内の1台から需要家供給を行うものとする。
<第一方式>連系点送受電電力値を電力系統制御箇所からの送受電電力指令値とあわせる方式
電力系統制御箇所は個別の需要家供給量は監視しておらず、電力系統全体の周波数を維持するために必要な系統用蓄電装置の送電・受電電力を指令する。電力系統制御箇所では、運用計画を策定する際に実績に基づいた時間帯別の需要家供給電力合計値および1日の需要家供給電力量合計値を織り込んで、特に充電電力および充電電力量が不足しないよう計画を策定する必要がある。
各蓄電装置ユニットの双方向インバータの充放電指令値は従来の系統用蓄電装置と同様に式1で算出する。
<第一方式>連系点送受電電力値を電力系統制御箇所からの送受電電力指令値とあわせる方式
電力系統制御箇所は個別の需要家供給量は監視しておらず、電力系統全体の周波数を維持するために必要な系統用蓄電装置の送電・受電電力を指令する。電力系統制御箇所では、運用計画を策定する際に実績に基づいた時間帯別の需要家供給電力合計値および1日の需要家供給電力量合計値を織り込んで、特に充電電力および充電電力量が不足しないよう計画を策定する必要がある。
各蓄電装置ユニットの双方向インバータの充放電指令値は従来の系統用蓄電装置と同様に式1で算出する。
需要家に供給している蓄電装置ユニット(2b、3b)では需要家供給に伴い、供給していない蓄電装置ユニット(2a、3a)に比べ蓄電池のSOC値が低下する。需要家に供給している蓄電装置ユニットが複数ある場合、蓄電装置ユニット間でも需要家供給量に応じて蓄電池のSOC値に差異が生じる。すなわち、本方式では各蓄電装置ユニット間で蓄電池SOC値に大きな差異が発生するため、個々の蓄電装置ユニットの充放電量を調整して各蓄電池のSOC値を均等化させる必要がある。従来の系統用蓄電装置110でも個々の蓄電装置ユニットの充放電量を調整して各蓄電池のSOC値を均等化させる機能を有しているが、この機能では需要家供給時に調整力が不足する。そこで、本式では調整力を強化するため、平均SOC値との差異に応じた充放電電力調整を行う。
具体的な例として、各蓄電池のSOC値と平均SOC値との差異に比例して蓄電装置ユニットの双方向インバータ3の出力指令値を補正する方法を図16を参照しながら説明する。
具体的な例として、各蓄電池のSOC値と平均SOC値との差異に比例して蓄電装置ユニットの双方向インバータ3の出力指令値を補正する方法を図16を参照しながら説明する。
蓄電装置ユニットを構成するすべての蓄電池の平均SOC値(加重平均)
= Σ(ある蓄電池のSOC値×ある蓄電池の放電容量)/Σ(ある蓄電池の放電容量)
比例分補正係数
ある蓄電池の補正係数Kp=Gp×(ある蓄電池の現在SOC値−現在平均SOC値)
0<Gp 例えばGp=0.05
充電時
ある蓄電池の補正係数 K=−Kp
放電時
ある蓄電地の補正係数 K=Kp
調整後のある蓄電装置ユニットの充放電電力指令値
=式1で求まる充放電電力指令値×(1+K)
= Σ(ある蓄電池のSOC値×ある蓄電池の放電容量)/Σ(ある蓄電池の放電容量)
比例分補正係数
ある蓄電池の補正係数Kp=Gp×(ある蓄電池の現在SOC値−現在平均SOC値)
0<Gp 例えばGp=0.05
充電時
ある蓄電池の補正係数 K=−Kp
放電時
ある蓄電地の補正係数 K=Kp
調整後のある蓄電装置ユニットの充放電電力指令値
=式1で求まる充放電電力指令値×(1+K)
さらに、SOC値の差異の変化率に比例した補正係数を追加しても良い。
この方式は、需要家供給を原則蓄電池2から行う。蓄電池容量が需要家供給に十分な量あるかないかで適用可能かどうかが決まる。また、需要家への交流からの蓄電池2を介さない直接供給や図13に示した余剰電力発生時の吸収力向上には対応しない。ただし、需要家への供給がある場合に蓄電池2を充電する際は、需要家供給部分は系統からの電力を双方向インバータ3を介して需要家に直接供給することになる。
蓄電池2の電圧制限による双方向インバータ3の出力制限は、従来の系統用蓄電装置110と同じである。
需要家供給電力値が大きく、双方向インバータ3が放電運転の場合、蓄電池2からの供給電力は双方向インバータ3の容量を上回ることもあるが、図3に示すとおり蓄電池2に余裕があるため通常は問題ない。需要家供給電力値は、双方向インバータ3の放電側最大運転時に蓄電池2の最大電力値を下回るように設定する必要がある。
この方式は、電力系統制御箇所は運用計画策定時には需要家供給を考慮する必要があるが、運用中は需要家供給電力の運用への反映は必要なく、系統用蓄電装置10の送受電電力指令値と実際の送受電電力が一致するなど従来の系統用蓄電装置110と同じように扱える。この方式は系統用蓄電装置10の容量に対する需要家供給電力の割合が小さい場合に適している。
この方式は、需要家供給を原則蓄電池2から行う。蓄電池容量が需要家供給に十分な量あるかないかで適用可能かどうかが決まる。また、需要家への交流からの蓄電池2を介さない直接供給や図13に示した余剰電力発生時の吸収力向上には対応しない。ただし、需要家への供給がある場合に蓄電池2を充電する際は、需要家供給部分は系統からの電力を双方向インバータ3を介して需要家に直接供給することになる。
蓄電池2の電圧制限による双方向インバータ3の出力制限は、従来の系統用蓄電装置110と同じである。
需要家供給電力値が大きく、双方向インバータ3が放電運転の場合、蓄電池2からの供給電力は双方向インバータ3の容量を上回ることもあるが、図3に示すとおり蓄電池2に余裕があるため通常は問題ない。需要家供給電力値は、双方向インバータ3の放電側最大運転時に蓄電池2の最大電力値を下回るように設定する必要がある。
この方式は、電力系統制御箇所は運用計画策定時には需要家供給を考慮する必要があるが、運用中は需要家供給電力の運用への反映は必要なく、系統用蓄電装置10の送受電電力指令値と実際の送受電電力が一致するなど従来の系統用蓄電装置110と同じように扱える。この方式は系統用蓄電装置10の容量に対する需要家供給電力の割合が小さい場合に適している。
<第二方式>連系点送受電電力値を電力系統制御箇所からの送受電電力指令値に需要家への供給電力を加えた電力量値とする方式
電力系統制御箇所は個別の需要家供給量は監視しておらず、電力系統全体の周波数を維持するために必要な系統用蓄電装置の送電・受電電力を指令することは同じであるが、実際の連系点送受電電力の値は指令値に需要家への供給電力を加えた電力値とする。電力系統の周波数調整のためには充放電電力の時間変化が重要であることは先に述べた。系統用蓄電装置10は電力系統制御箇所からの連系点送受電電力指令値に需要家供給電力を上乗せして運用してもまったく問題ない。
個別の蓄電装置ユニットの充放電電力指令値は、電力系統制御箇所からの指令値で決まる値(式1で算出)にその時点の需要家供給電力を加える。ただし、蓄電装置ユニットの充放電電力指令値は双方向インバータ3の交流端電力値であるので、電力系統制御箇所からの連系点送電・受電電力指令値は変圧器等の損出を、需要家供給電力は双方向インバータ3の損失を考慮する必要がある。また、需要家供給電力の値を加えるため電力の流れの向きをそろえる必要があり、需要家供給と同じ向きの受電(充電)を+、送電(放電)を−で表現する(蓄電池の充放電の向きにおける充電+、放電−と同じ向きであり整合性がとれる。)。その場合の蓄電装置ユニットの充放電電力(双方向インバータ交流端入出力)指令値は、下記式2により算出される。
電力系統制御箇所は個別の需要家供給量は監視しておらず、電力系統全体の周波数を維持するために必要な系統用蓄電装置の送電・受電電力を指令することは同じであるが、実際の連系点送受電電力の値は指令値に需要家への供給電力を加えた電力値とする。電力系統の周波数調整のためには充放電電力の時間変化が重要であることは先に述べた。系統用蓄電装置10は電力系統制御箇所からの連系点送受電電力指令値に需要家供給電力を上乗せして運用してもまったく問題ない。
個別の蓄電装置ユニットの充放電電力指令値は、電力系統制御箇所からの指令値で決まる値(式1で算出)にその時点の需要家供給電力を加える。ただし、蓄電装置ユニットの充放電電力指令値は双方向インバータ3の交流端電力値であるので、電力系統制御箇所からの連系点送電・受電電力指令値は変圧器等の損出を、需要家供給電力は双方向インバータ3の損失を考慮する必要がある。また、需要家供給電力の値を加えるため電力の流れの向きをそろえる必要があり、需要家供給と同じ向きの受電(充電)を+、送電(放電)を−で表現する(蓄電池の充放電の向きにおける充電+、放電−と同じ向きであり整合性がとれる。)。その場合の蓄電装置ユニットの充放電電力(双方向インバータ交流端入出力)指令値は、下記式2により算出される。
[式2]
ある蓄電装置ユニットの充放電電力(双方向インバータ交流端入出力)指令値
= 連系箇所送受電電力指令値(送電は放電、受電は充電に相当)×ある蓄電装置ユニット蓄電池の放電容量/蓄電装置ユニット蓄電池放電容量合計×係数1
+ある蓄電装置ユニットの需要家供給電力×係数2
ある蓄電装置ユニットの充放電電力(双方向インバータ交流端入出力)指令値
= 連系箇所送受電電力指令値(送電は放電、受電は充電に相当)×ある蓄電装置ユニット蓄電池の放電容量/蓄電装置ユニット蓄電池放電容量合計×係数1
+ある蓄電装置ユニットの需要家供給電力×係数2
ここで、係数1は双方向インバータと連系箇所間の損失を意味し、受電時0.98、送電時1.02程度の値となる。係数2は双方向インバータ効率を意味し、1.11程度の値となる。
実際の充放電電力が指令値と等しくなるよう系統との連系箇所にある電力センサ18の測定値をフィードバックし、偏差分を式2の連系箇所充放電電力指令値に加味して個々の蓄電装置ユニットの充放電電力指令値を調整することは通常の系統用蓄電装置と同じであるが、偏差は需要家供給分(需要家供給電力を連系点電力に換算するには係数1,2を考慮する必要がある)を除いて算出する必要がある(図17参照)。
このように各蓄電装置ユニットの充放電電力指令値に需要家供給分を上乗せすれば、理論上は各蓄電池間にSOC値の差異は発生しないが、実際にはインバータ出力の誤差や需要家供給電力追従誤差により第一方式よりは少ないものの、通常の系統用蓄電装置より蓄電池間のSOC値差異ははるかに大きくなる。SOC値差異への対応方法として、第一方式と同様に各蓄電池SOC値と平均SOC値との差異に応じた充放電電力調整を行う必要がある。
実際の充放電電力が指令値と等しくなるよう系統との連系箇所にある電力センサ18の測定値をフィードバックし、偏差分を式2の連系箇所充放電電力指令値に加味して個々の蓄電装置ユニットの充放電電力指令値を調整することは通常の系統用蓄電装置と同じであるが、偏差は需要家供給分(需要家供給電力を連系点電力に換算するには係数1,2を考慮する必要がある)を除いて算出する必要がある(図17参照)。
このように各蓄電装置ユニットの充放電電力指令値に需要家供給分を上乗せすれば、理論上は各蓄電池間にSOC値の差異は発生しないが、実際にはインバータ出力の誤差や需要家供給電力追従誤差により第一方式よりは少ないものの、通常の系統用蓄電装置より蓄電池間のSOC値差異ははるかに大きくなる。SOC値差異への対応方法として、第一方式と同様に各蓄電池SOC値と平均SOC値との差異に応じた充放電電力調整を行う必要がある。
この方式は、電力系統制御箇所は運用計画策定時には需要家供給を考慮する必要がある上に、運用中は系統用蓄電装置の送受電電力値とあわせて需要家供給電力合計値も受信して、本来の指令値に対する出力状況(連系点送受電電力値−需要家供給電力合計値×係数2/受電時係数1)を確認するとともに、特に受電時の指令値が双方向インバータ容量合計値を超過しないよう指令値を制限する必要がある。具体的には、
連系点受電可能最大電力値=(双方向インバータ容量−需要家供給電力合計値×係数2)/受電時係数1
連系点受電可能最大電力値=(双方向インバータ容量−需要家供給電力合計値×係数2)/受電時係数1
なお、電力系統制御箇所からの指令値に需要家供給電力合計値を足しあわせることも可能であるが、指令値の更新周期が数秒〜数十秒周期のため需要家供給電力変動に追従遅れが生じることから、需要家供給電力の補正は系統用蓄電装置側で行う方が良い。
また、これまでの説明では需要家供給電力全量を双方向インバータ指令値に加えたが、需要家供給電力の一定割合を加えることも可能であり、その割合を時系列で0〜100%の間で変更しても良い。その場合の蓄電装置ユニット充放電電力指令値は、下記式3により算出される。
また、これまでの説明では需要家供給電力全量を双方向インバータ指令値に加えたが、需要家供給電力の一定割合を加えることも可能であり、その割合を時系列で0〜100%の間で変更しても良い。その場合の蓄電装置ユニット充放電電力指令値は、下記式3により算出される。
[式3]
ある蓄電装置ユニットの充放電電力(双方向インバータ交流端入出力)指令値
= 連系箇所送受電電力指令値(送電は放電、受電は充電に相当)×ある蓄電装置ユニット蓄電池の放電容量/蓄電装置ユニット蓄電池放電容量合計×係数1
+ある蓄電装置ユニットの需要家供給電力×係数2×係数3
ある蓄電装置ユニットの充放電電力(双方向インバータ交流端入出力)指令値
= 連系箇所送受電電力指令値(送電は放電、受電は充電に相当)×ある蓄電装置ユニット蓄電池の放電容量/蓄電装置ユニット蓄電池放電容量合計×係数1
+ある蓄電装置ユニットの需要家供給電力×係数2×係数3
ここで、係数1は双方向インバータと連系箇所間の損失を意味し、受電時0.98、送電時1.02程度の値となる。係数2は双方向インバータ効率を意味し、1.11程度の値となる。係数3は需要家供給電力の加算率であり0〜1の値を選択可能である。なお、図17の電力系統制御箇所からの送受電電力指令値と実際の送受電電力値を比較する際にもこれらの係数を加味する必要がある。
第一方式は係数3=0に相当しており、第一方式から第二方式への移行時などは急激な変動をさける意味でも徐々に係数3を変更することが望ましい。
需要家供給電力値が大きく、双方向インバータ3bが放電運転の場合、蓄電池2bからの供給電力は双方向インバータの容量を上回ることもあるが、図3に示すとおり蓄電池に余裕があるため通常は問題ない。需要家供給電力値は、双方向インバータ3bの放電側最大運転時に蓄電池2bの最大電力値を下回るように設定する必要がある。
この方式は、需要家供給の全量あるいは一部を交流からの双方向インバータ3bによる直接供給で行う。ただし、交流からの直接供給電力と蓄電池2bの放電電力が相殺するため、蓄電池2bの放電電力が多い場合は蓄電池2bから供給しているように見える場合もある。本方式は、需要家への直接供給や図13に示した余剰電力発生時の吸収力向上に対応できる。本方式では蓄電池2bの需要家供給に伴う負担は小さいが、双方向インバータ3bに需要家供給の負担がかかるため、双方向インバータ3bの容量が十分かどうかで適用の可能性が決まる。通常は蓄電池充電(夜間が多い)と需要家供給(昼間が多い)が重ならないため、双方向インバータ3bの容量が制約となるケースは少ない。
この方式は、電力系統制御箇所は運用計画策定時に需要家供給を考慮することに加え、運用中は需要家供給電力を監視し、需要家供給による連系点受電可能最大電力の制限を運用へ反映する必要があるが、それ以外は通常の系統用蓄電装置と同じように扱える。この方式は大抵の場合に適用でき、最も汎用性が高い。
需要家供給電力値が大きく、双方向インバータ3bが放電運転の場合、蓄電池2bからの供給電力は双方向インバータの容量を上回ることもあるが、図3に示すとおり蓄電池に余裕があるため通常は問題ない。需要家供給電力値は、双方向インバータ3bの放電側最大運転時に蓄電池2bの最大電力値を下回るように設定する必要がある。
この方式は、需要家供給の全量あるいは一部を交流からの双方向インバータ3bによる直接供給で行う。ただし、交流からの直接供給電力と蓄電池2bの放電電力が相殺するため、蓄電池2bの放電電力が多い場合は蓄電池2bから供給しているように見える場合もある。本方式は、需要家への直接供給や図13に示した余剰電力発生時の吸収力向上に対応できる。本方式では蓄電池2bの需要家供給に伴う負担は小さいが、双方向インバータ3bに需要家供給の負担がかかるため、双方向インバータ3bの容量が十分かどうかで適用の可能性が決まる。通常は蓄電池充電(夜間が多い)と需要家供給(昼間が多い)が重ならないため、双方向インバータ3bの容量が制約となるケースは少ない。
この方式は、電力系統制御箇所は運用計画策定時に需要家供給を考慮することに加え、運用中は需要家供給電力を監視し、需要家供給による連系点受電可能最大電力の制限を運用へ反映する必要があるが、それ以外は通常の系統用蓄電装置と同じように扱える。この方式は大抵の場合に適用でき、最も汎用性が高い。
<第三方式>双方向インバータの容量を需要家供給分増強し、連系点送受電電力値を電力系統制御箇所からの連系点送受電電力指令値に需要家への供給電力を加えた電力量値とする方式
第二方式では、双方向インバータ容量に対する需要家供給電力値の割合が大きくかつ蓄電池充電と需要家供給が同時に行われる場合、双方向インバータ3bの容量のかなりの部分が需要家供給に使われ、蓄電池充電に回せる容量が不足して蓄電池への充電が十分行えなくなり、需要家供給を行っている蓄電池2bのSOC値が低下してしまう恐れがある。出力指令値は適切な値となっているが、指令値が双方向インバータ3bの容量を上回ってしまうことが原因である。これに対応するには、双方向インバータ3bを需要家供給電力に見合う分増強すれば良い。ただし、容量が不足するのは充電時(交流→直流)のみであるので、増強分はAC/DCコンバータ22で十分である。コンバータ22は運転ロスを減少させるため、双方向インバータ3bの容量が不足する時だけの運転で良い。これ以外の運用・制御は第二方式と同じである。
第二方式では、双方向インバータ容量に対する需要家供給電力値の割合が大きくかつ蓄電池充電と需要家供給が同時に行われる場合、双方向インバータ3bの容量のかなりの部分が需要家供給に使われ、蓄電池充電に回せる容量が不足して蓄電池への充電が十分行えなくなり、需要家供給を行っている蓄電池2bのSOC値が低下してしまう恐れがある。出力指令値は適切な値となっているが、指令値が双方向インバータ3bの容量を上回ってしまうことが原因である。これに対応するには、双方向インバータ3bを需要家供給電力に見合う分増強すれば良い。ただし、容量が不足するのは充電時(交流→直流)のみであるので、増強分はAC/DCコンバータ22で十分である。コンバータ22は運転ロスを減少させるため、双方向インバータ3bの容量が不足する時だけの運転で良い。これ以外の運用・制御は第二方式と同じである。
上記3方式の適用であるが、需要家供給が少ない間は第一方式で十分である。需要家供給が増えてきた段階で第二方式に移行する。第一方式から第二方式への移行は制御の変更(需要家供給分を双方向インバータ出力に加える)のみであるので容易である。さらに需要家供給が増え設備対応が必要な場合に第三方式に移行する。第三方式に移行後も、需要家供給電力が少ない時間帯は第一方式あるいは第二方式(増設したコンバータは停止)で運用しても良い。また、通常は第一方式で運用し、需要家直接供給が必要な場合や余剰電力発生時に第二方式で運用することで、運用性を向上できる。このように同一系統用蓄電装置で3方式を使い分けることで最も効率的な運用が可能となる。
(3)蓄電池の運用方法
実施形態例1の系統用蓄電装置10により、従来の系統用蓄電装置110としての運用(図6)と従来の需要家用蓄電装置120としての運用(図10)を兼用する場合の運用例を説明する。以下では、系統用蓄電装置10は数千〜数万kWであり、それを構成する蓄電装置ユニットが1000kWh、400kWである場合を想定している。また、需要家用蓄電装置20が放電運用する9時〜12時および13時〜17時30分の間は需要家用蓄電装置20の運用を優先し、それ以外の時間帯は系統用蓄電装置10としての運用を優先するものとする。
実施形態例1の系統用蓄電装置10を用いて(a)需要家に供給しない場合、(b)需要家への供給を蓄電池2からのみ行う場合(交流側から直流に変換した上で需要家に直接供給しない場合)および(c)需要家に交流電力を直流電力に変換して直接供給する場合(すなわち需要家への供給を蓄電池2から行わない場合)を検討する。
図18は、需要家への供給を蓄電池2からのみ行う場合(前記(b)の場合)の蓄電池の運用例であり、図19は系統用蓄電装置10の交流側から直流に変換した上で需要家に直接供給する場合(前記(c)の場合)の蓄電池の運用例である。また、図20は、(a)需要家に供給しない場合(細い実線)、(b)需要家に直流で直接供給しない場合(点線)および(c)需要家に直流で直接供給する場合(太い実線)における系統用蓄電装置10から電力系統への送受電電力である。
実施形態例1の系統用蓄電装置10により、従来の系統用蓄電装置110としての運用(図6)と従来の需要家用蓄電装置120としての運用(図10)を兼用する場合の運用例を説明する。以下では、系統用蓄電装置10は数千〜数万kWであり、それを構成する蓄電装置ユニットが1000kWh、400kWである場合を想定している。また、需要家用蓄電装置20が放電運用する9時〜12時および13時〜17時30分の間は需要家用蓄電装置20の運用を優先し、それ以外の時間帯は系統用蓄電装置10としての運用を優先するものとする。
実施形態例1の系統用蓄電装置10を用いて(a)需要家に供給しない場合、(b)需要家への供給を蓄電池2からのみ行う場合(交流側から直流に変換した上で需要家に直接供給しない場合)および(c)需要家に交流電力を直流電力に変換して直接供給する場合(すなわち需要家への供給を蓄電池2から行わない場合)を検討する。
図18は、需要家への供給を蓄電池2からのみ行う場合(前記(b)の場合)の蓄電池の運用例であり、図19は系統用蓄電装置10の交流側から直流に変換した上で需要家に直接供給する場合(前記(c)の場合)の蓄電池の運用例である。また、図20は、(a)需要家に供給しない場合(細い実線)、(b)需要家に直流で直接供給しない場合(点線)および(c)需要家に直流で直接供給する場合(太い実線)における系統用蓄電装置10から電力系統への送受電電力である。
蓄電池2から供給する場合(前記(b)の場合)、午前中に予定されている需要家への蓄電池からの供給(放電)に対応するために放電量が制約され、7時30分〜9時の電力需要急増時の対応能力が低下している(図20(b))。また、需要家に午後に供給する電力量をまかなうために、12時〜13時の間に充電を行う必要がある。さらに、17時〜18時頃の電力需要急減時も需要家供給を優先するため、電力系統需給調整能力が低下している(図20(b))。
蓄電池2を介さず直接供給する場合(前記(c)の場合)、需要家に午後に供給する電力量をまかなうため12時〜13時間で充電を行うこと、9時〜10時、16時〜17時30分の間需要家に直接供給すること以外は、需要家への供給がない従来の系統用蓄電装置110とほぼ同等の電力系統に対する送受電が行えることが確認できた。
図21は、実施形態例1に係る需要家に直接供給する場合(前記(c)の場合)の需要家供給電力例を示すグラフである。蓄電池2は7時30分〜9時の間電力需要急増時に放電しているため、12時〜13時の間に充電をしても需要家に供給できるだけの蓄電量が確保できない。そのため、電力系統全体の需要が比較的小さい9時〜10時、16時〜17時30分の間、需要家に直流で直接供給を行っている(図21参照)。
図21は、実施形態例1に係る需要家に直接供給する場合(前記(c)の場合)の需要家供給電力例を示すグラフである。蓄電池2は7時30分〜9時の間電力需要急増時に放電しているため、12時〜13時の間に充電をしても需要家に供給できるだけの蓄電量が確保できない。そのため、電力系統全体の需要が比較的小さい9時〜10時、16時〜17時30分の間、需要家に直流で直接供給を行っている(図21参照)。
図22は、蓄電池2を介さず直接供給する場合(前記(c)の場合)において太陽光の余剰がある際の蓄電池の運用例である。
図23は、需要家に供給しない場合(前記(a)の場合)および蓄電池2を介さず直接供給する場合(前記(c)の場合)において太陽光の余剰がある際の系統用蓄電装置10から電力系統への送受電電力である。
図24は、蓄電池2を介さず直接供給する場合(前記(c)の場合)における需要家供給電力例((1)太陽光余剰なし、(2)太陽光余剰あり)を示す。
図23は、需要家に供給しない場合(前記(a)の場合)および蓄電池2を介さず直接供給する場合(前記(c)の場合)において太陽光の余剰がある際の系統用蓄電装置10から電力系統への送受電電力である。
図24は、蓄電池2を介さず直接供給する場合(前記(c)の場合)における需要家供給電力例((1)太陽光余剰なし、(2)太陽光余剰あり)を示す。
太陽光発電の多い9時〜15時の間の需要家向け蓄電装置放電を全て系統用蓄電装置の交流側からの直接供給に置き換えるため、需要家向けの直接供給量は大幅に増加することが図24から分かる。
系統用蓄電装置10は、従来の運用例(図7)と同様に10時〜14時の間は蓄電池2を充電し、太陽光発電は減少するが電力系統全体の電力需要は多い15時〜17時30分の間で蓄電池2を放電させ蓄電量を調整する。以降の運用は太陽光発電の余剰がない場合と同じである。図23から、太陽光発電の余剰がある時間帯の系統用蓄電装置10の受電量が増加しており、需要家受電電力の制約を受けずに太陽光余剰分を需要家で消費できる分、余剰対応能力が向上することが確認できた。
系統用蓄電装置10は、従来の運用例(図7)と同様に10時〜14時の間は蓄電池2を充電し、太陽光発電は減少するが電力系統全体の電力需要は多い15時〜17時30分の間で蓄電池2を放電させ蓄電量を調整する。以降の運用は太陽光発電の余剰がない場合と同じである。図23から、太陽光発電の余剰がある時間帯の系統用蓄電装置10の受電量が増加しており、需要家受電電力の制約を受けずに太陽光余剰分を需要家で消費できる分、余剰対応能力が向上することが確認できた。
なお、上記の実施形態例1に係わる運用例は、系統用蓄電装置容量と需要家が必要とする蓄電装置容量が等しく、さらに需要家供給電力最大値が双方向インバータ容量の40%と割合が大きく、運用としては最も厳しい場合である。通常は蓄電装置の容量は需要家が必要とする容量より大きく、需要家供給がこの運用例より相対的に少なくなるため、充放電量やSOC変動の低減など運用の緩和が可能となる。また、この運用例では系統用蓄電装置の1台の蓄電装置ユニットだけで系統用蓄電装置と需要家用蓄電装置の機能を両立させており、これは系統用蓄電装置10のすべての蓄電装置ユニットが需要家向け供給を行う場合に相当しており、この意味においても運用としては最も厳しい場合である。系統用蓄電装置10の蓄電装置ユニット中に需要家向け供給を行わない系統専用の蓄電装置ユニットがあれば、系統専用の蓄電装置ユニットに多めに系統用蓄電装置の本来的機能を負わせることで、需要家向け供給を行っている蓄電装置ユニットの系統用蓄電装置の本来的機能を軽減できる分、充放電量やSOC変動の低減など運用の緩和が可能となる。さらに、蓄電装置容量に対して需要家向け供給がかなり少ない場合は、運用例のように系統用蓄電装置、需要家用蓄電装置の機能を時間帯別に優先させる必要も無く、単純にそれぞれの運用を重ね合わせることでも運用可能となる。
(4)系統用蓄電装置と需要家間の制御方法
実施形態例1において、系統用蓄電装置側で従来から追加になる制御項目は、需要家向けの直流線路の電流計測および短絡・過電流や地絡発生時の直流線路の遮断機能である。また、元々ある直流電圧測定値と線路電流測定値を使って、送電電力および電力量を計測する。
需要家側インバータ13の制御で考慮すべき内容は下記のとおりである。
実施形態例1において、系統用蓄電装置側で従来から追加になる制御項目は、需要家向けの直流線路の電流計測および短絡・過電流や地絡発生時の直流線路の遮断機能である。また、元々ある直流電圧測定値と線路電流測定値を使って、送電電力および電力量を計測する。
需要家側インバータ13の制御で考慮すべき内容は下記のとおりである。
(4−1)需要家が利用できる蓄電装置出力(kW)の制限
需要家が利用できる蓄電装置出力(kW)が制限される。
(4−2)需要家が1日に利用できる蓄電装置容量(利用できるkWh)の制限
1日単位の充放電サイクルとして、1日に利用できる電力量(kWh)が制限される。停電補償を行う場合は、停電補償で利用できる電力量(kWh)が制限される。
(4−3)蓄電池電圧の制限
蓄電池2の電圧には許容範囲があり上限は充電時の、下限は放電時の制約となる。系統用蓄電装置10と需要家用蓄電装置20を接続する場合は、需要家は電池の電圧下限の制約を受け、下限値以下となった場合はインバータ13の運転を停止する必要がある。
(4−4)蓄電池異常時
需要家と接続している蓄電装置ユニットの蓄電池に温度上昇などの異常を検知した場合は、蓄電池を遮断するとともに、系統用蓄電装置の双方向インバータ3および需要家インバータ13の運転を停止する必要がある。
(4−5)短絡・過電流発生時
直流回路で短絡・過電流が発生した場合は、蓄電池2、系統用蓄電装置の双方向インバータ3、需要家用蓄電装置のインバータ13を直ちに停止する必要がある。
(4−6)地絡発生時
直流回路で地絡が発生した場合は、蓄電池2、系統用蓄電装置の双方向インバータ3、需要家用蓄電装置のインバータ13を停止する必要がある。制御方式として、系統用蓄電装置10と需要家用蓄電装置20を通信で連係する方式(i)と、本方式の特性を利用して通信を利用せずそれぞれが直流電圧・電流等を監視して制御する方式(ii)が考えられる。
需要家が利用できる蓄電装置出力(kW)が制限される。
(4−2)需要家が1日に利用できる蓄電装置容量(利用できるkWh)の制限
1日単位の充放電サイクルとして、1日に利用できる電力量(kWh)が制限される。停電補償を行う場合は、停電補償で利用できる電力量(kWh)が制限される。
(4−3)蓄電池電圧の制限
蓄電池2の電圧には許容範囲があり上限は充電時の、下限は放電時の制約となる。系統用蓄電装置10と需要家用蓄電装置20を接続する場合は、需要家は電池の電圧下限の制約を受け、下限値以下となった場合はインバータ13の運転を停止する必要がある。
(4−4)蓄電池異常時
需要家と接続している蓄電装置ユニットの蓄電池に温度上昇などの異常を検知した場合は、蓄電池を遮断するとともに、系統用蓄電装置の双方向インバータ3および需要家インバータ13の運転を停止する必要がある。
(4−5)短絡・過電流発生時
直流回路で短絡・過電流が発生した場合は、蓄電池2、系統用蓄電装置の双方向インバータ3、需要家用蓄電装置のインバータ13を直ちに停止する必要がある。
(4−6)地絡発生時
直流回路で地絡が発生した場合は、蓄電池2、系統用蓄電装置の双方向インバータ3、需要家用蓄電装置のインバータ13を停止する必要がある。制御方式として、系統用蓄電装置10と需要家用蓄電装置20を通信で連係する方式(i)と、本方式の特性を利用して通信を利用せずそれぞれが直流電圧・電流等を監視して制御する方式(ii)が考えられる。
(i)通信で連係する方式
図25は、系統用蓄電装置の制御装置7と需要家蓄電装置20の制御装置17を通信で連係し、運転情報や異常情報をやりとりする方式を説明する図である。本方式を実現するためには、系統用蓄電装置の制御装置7と需要家用蓄電装置の制御装置17間で通信を行うための通信装置を、各蓄電装置側に設ける必要がある。
本方式での制御項目(3−1)〜(3−6)への対応方法は下記のとおりである。なお、この方式では、直流線路30を途中で分岐して複数の需要家に供給することも可能である。
図25は、系統用蓄電装置の制御装置7と需要家蓄電装置20の制御装置17を通信で連係し、運転情報や異常情報をやりとりする方式を説明する図である。本方式を実現するためには、系統用蓄電装置の制御装置7と需要家用蓄電装置の制御装置17間で通信を行うための通信装置を、各蓄電装置側に設ける必要がある。
本方式での制御項目(3−1)〜(3−6)への対応方法は下記のとおりである。なお、この方式では、直流線路30を途中で分岐して複数の需要家に供給することも可能である。
(i−1)需要家が利用できる蓄電装置出力(kW)の制限
需要家インバータ13に出力(kW)制限機能を設ける。
(i−2)需要家が1日に利用できる蓄電装置容量(利用できるkWh)の制限
系統用蓄電装置10の需要家向け直流線路30の電流計測値を使って、系統用蓄電装置の制御装置7で1日の利用電力量を測定する(直流電力は短周期で測定した電圧・電流の積で求め、直流電力量は直流電力を積算することで求める。)。積算電力量データを需要家インバータを制御する制御装置17に連係し、制御装置17は1日に利用できる電力量を制限し、予め設定された制限値を超えないようインバータ13の出力を制御する。また、停電が発生した場合は、停電中に使用した電力量を積算し、停電時に利用できる電力を制限する。制御装置17は、制限値に達した場合は、需要家インバータ13を停止する。
需要家インバータ13に出力(kW)制限機能を設ける。
(i−2)需要家が1日に利用できる蓄電装置容量(利用できるkWh)の制限
系統用蓄電装置10の需要家向け直流線路30の電流計測値を使って、系統用蓄電装置の制御装置7で1日の利用電力量を測定する(直流電力は短周期で測定した電圧・電流の積で求め、直流電力量は直流電力を積算することで求める。)。積算電力量データを需要家インバータを制御する制御装置17に連係し、制御装置17は1日に利用できる電力量を制限し、予め設定された制限値を超えないようインバータ13の出力を制御する。また、停電が発生した場合は、停電中に使用した電力量を積算し、停電時に利用できる電力を制限する。制御装置17は、制限値に達した場合は、需要家インバータ13を停止する。
(i−3)蓄電池電圧の制限
蓄電池2の電圧は系統用蓄電装置の制御装置7で監視しており、電圧が低下した場合は充電操作を行うため、通常は電圧が下限値に達することはない。ただし、系統用蓄電装置10の交流側(電力系統側)が停電となった場合は充電できないため、電圧が下限値に達する可能性がある。系統用蓄電装置の制御装置7から需要家インバータを制御する制御装置17に蓄電池2の電圧を伝送し、制御装置17は電圧が下限近くになった場合は需要家インバータ13の出力を減少させ、蓄電池の電圧が下限値に達した場合は需要家インバータ13を停止する。なお、需要家停電時に利用できる電力分は蓄電量を確保する設定としているため、通常は需要家の停電補償に支障はない。
蓄電池2の電圧は系統用蓄電装置の制御装置7で監視しており、電圧が低下した場合は充電操作を行うため、通常は電圧が下限値に達することはない。ただし、系統用蓄電装置10の交流側(電力系統側)が停電となった場合は充電できないため、電圧が下限値に達する可能性がある。系統用蓄電装置の制御装置7から需要家インバータを制御する制御装置17に蓄電池2の電圧を伝送し、制御装置17は電圧が下限近くになった場合は需要家インバータ13の出力を減少させ、蓄電池の電圧が下限値に達した場合は需要家インバータ13を停止する。なお、需要家停電時に利用できる電力分は蓄電量を確保する設定としているため、通常は需要家の停電補償に支障はない。
(i−4)蓄電池異常時
蓄電池2の異常は系統用蓄電装置の制御装置7で監視しており、異常発生時は蓄電池を遮断するとともに、直流線路30との接続を遮断し、双方向インバータ3を停止する。また、系統用蓄電装置の制御装置7から需要家蓄電装置の制御装置17に蓄電池異常を伝送して、需要家インバータ13を停止する。
(i−5)短絡・過電流発生時
直流回路で短絡・過電流が発生した場合は、蓄電池2、双方向インバータ3はそれぞれに対応して設けられたセンサで過電流を検知して蓄電池2との接続を遮断し、双方向インバータ3を停止し、さらに直流線路30との接続を遮断する。需要家インバータ13は、直流主回路に逆電流防止用ダイオードが設置されているため、インバータ13から直流側への電流供給がなく、需要家側からは短絡を検知できない。系統用蓄電装置の制御装置7から需要家蓄電装置の制御装置17に短絡情報を伝送して、直流線路30との接続を遮断し需要家インバータ13を停止する。
蓄電池2の異常は系統用蓄電装置の制御装置7で監視しており、異常発生時は蓄電池を遮断するとともに、直流線路30との接続を遮断し、双方向インバータ3を停止する。また、系統用蓄電装置の制御装置7から需要家蓄電装置の制御装置17に蓄電池異常を伝送して、需要家インバータ13を停止する。
(i−5)短絡・過電流発生時
直流回路で短絡・過電流が発生した場合は、蓄電池2、双方向インバータ3はそれぞれに対応して設けられたセンサで過電流を検知して蓄電池2との接続を遮断し、双方向インバータ3を停止し、さらに直流線路30との接続を遮断する。需要家インバータ13は、直流主回路に逆電流防止用ダイオードが設置されているため、インバータ13から直流側への電流供給がなく、需要家側からは短絡を検知できない。系統用蓄電装置の制御装置7から需要家蓄電装置の制御装置17に短絡情報を伝送して、直流線路30との接続を遮断し需要家インバータ13を停止する。
(i−6)地絡発生時
直流回路の地絡検出方式として、電源側(実施形態例1の場合は系統用蓄電装置側)で正極・負極回路をそれぞれ高抵抗接地して、抵抗に流れる電流変化で地絡を検出する方式が一般的である。この方式で地絡を検出する地絡検出装置40の回路構成図を図26に示す。
直流回路で地絡が発生した場合は感電事故の恐れがあることから、系統用蓄電装置の制御装置7がこれを検知し、蓄電池2との接続を遮断し、双方向インバータ3を停止し、直流線路30との接続を遮断する。短絡と同様に需要家側からは地絡を検知できないため、系統用蓄電装置の制御装置7から需要家蓄電装置20の制御装置17に地絡情報を伝送して、直流線路30との接続を遮断し需要家インバータ13を停止する。なお、交流側地絡の影響を避けるため、系統用蓄電装置の双方向インバータ3および需要家インバータ13は絶縁型(通常は商用周波変圧器絶縁)とすることが望ましい。
直流回路の地絡検出方式として、電源側(実施形態例1の場合は系統用蓄電装置側)で正極・負極回路をそれぞれ高抵抗接地して、抵抗に流れる電流変化で地絡を検出する方式が一般的である。この方式で地絡を検出する地絡検出装置40の回路構成図を図26に示す。
直流回路で地絡が発生した場合は感電事故の恐れがあることから、系統用蓄電装置の制御装置7がこれを検知し、蓄電池2との接続を遮断し、双方向インバータ3を停止し、直流線路30との接続を遮断する。短絡と同様に需要家側からは地絡を検知できないため、系統用蓄電装置の制御装置7から需要家蓄電装置20の制御装置17に地絡情報を伝送して、直流線路30との接続を遮断し需要家インバータ13を停止する。なお、交流側地絡の影響を避けるため、系統用蓄電装置の双方向インバータ3および需要家インバータ13は絶縁型(通常は商用周波変圧器絶縁)とすることが望ましい。
(ii)通信を利用しない方式
図27は、系統用蓄電装置の制御装置7と需要家蓄電装置の制御装置17を通信で連係せず、それぞれが直流電圧・電流等を監視して制御を行う方式を説明する図である。回路構成が単純なため、この方式でも通信を利用する方式と同等の制御が可能である。また、需要家側での直流電圧・電流の測定はインバータ制御用に設置している計測器が利用可能であるので、追加費用はほとんど発生しない。ただし、蓄電池2と需要家蓄電装置20とは、1対1の専用線路で接続されている必要がある。
図27は、系統用蓄電装置の制御装置7と需要家蓄電装置の制御装置17を通信で連係せず、それぞれが直流電圧・電流等を監視して制御を行う方式を説明する図である。回路構成が単純なため、この方式でも通信を利用する方式と同等の制御が可能である。また、需要家側での直流電圧・電流の測定はインバータ制御用に設置している計測器が利用可能であるので、追加費用はほとんど発生しない。ただし、蓄電池2と需要家蓄電装置20とは、1対1の専用線路で接続されている必要がある。
(ii−1)需要家が利用できる蓄電装置出力(kW)の制限
需要家インバータ13に出力(kW)制限機能を設ける。(通信連係方式と同じ)
(ii−2)需要家が1日に利用できる蓄電装置容量(利用できるkWh)の制限
需要家インバータ13の制御用直流電圧・電流センサ32の測定データを制御装置17に伝送して、制御装置17で1日の利用電力量を測定する。制御装置17は1日に利用できる電力量を制限し、予め設定された制限値を超えないようインバータ13の出力を制御する。また、停電が発生した場合は、制御装置17は停電中に使用した電力量を積算し、停電時に利用できる電力を制限する。制御装置17は、制限値に達した場合は、インバータ13を停止する。
なお、副次的な影響として、電気料金算定のための利用電力量計測のために、需要家の積算値を調査する必要が生じる(通信を利用する場合は系統用蓄電池側での計測のため、需要家での調査は不要)。
(i−3)蓄電池電圧の制限
需要家インバータ13で測定した直流電圧・電流と、あらかじめ計測している直流線路30の直流抵抗値から線路での電圧降下を加味して蓄電池2の電圧を推定する。回路が単純なため推定精度は極めて高い。蓄電池電圧推定値の算出式を下記式4に示す。
需要家インバータ13に出力(kW)制限機能を設ける。(通信連係方式と同じ)
(ii−2)需要家が1日に利用できる蓄電装置容量(利用できるkWh)の制限
需要家インバータ13の制御用直流電圧・電流センサ32の測定データを制御装置17に伝送して、制御装置17で1日の利用電力量を測定する。制御装置17は1日に利用できる電力量を制限し、予め設定された制限値を超えないようインバータ13の出力を制御する。また、停電が発生した場合は、制御装置17は停電中に使用した電力量を積算し、停電時に利用できる電力を制限する。制御装置17は、制限値に達した場合は、インバータ13を停止する。
なお、副次的な影響として、電気料金算定のための利用電力量計測のために、需要家の積算値を調査する必要が生じる(通信を利用する場合は系統用蓄電池側での計測のため、需要家での調査は不要)。
(i−3)蓄電池電圧の制限
需要家インバータ13で測定した直流電圧・電流と、あらかじめ計測している直流線路30の直流抵抗値から線路での電圧降下を加味して蓄電池2の電圧を推定する。回路が単純なため推定精度は極めて高い。蓄電池電圧推定値の算出式を下記式4に示す。
[式4]
蓄電池電圧推定値=需要家直流電圧測定値+需要家直流電流測定値×線路(往復)の抵抗値
蓄電池電圧推定値=需要家直流電圧測定値+需要家直流電流測定値×線路(往復)の抵抗値
制御装置17は、蓄電池電圧推定値が下限近くになった場合は需要家インバータ13の出力を減少させ、蓄電池の電圧が下限値に達した場合は需要家インバータ13を停止する。
(ii−4)蓄電池異常時
蓄電池2の異常は系統用蓄電装置の制御装置7で監視しており、異常発生時は蓄電池2との接続を遮断するとともに、直流線路30を遮断し、系統用蓄電装置の双方向インバータ13を停止する。需要家蓄電装置20では蓄電池異常を検知できないが、直流側に逆電流防止用ダイオードが設置されるためインバータから直流側への電流供給はない。また、直流線路30の遮断により需要家直流側の電圧がなくなるため、制御装置17は直流電圧なしで異常を検知して需要家インバータ13を停止する。
(ii−5)短絡・過電流発生時
直流回路で短絡・過電流が発生した場合は、蓄電池2、系統用蓄電装置の双方向インバータ3はそれぞれに対応して設けられたセンサで過電流を検知して蓄電池2との接続を遮断し、双方向インバータ3を停止し、さらに直流線路30との接続を遮断する。需要家インバータ13は、直流側に逆電流防止用ダイオードが設置されているため、インバータ13から直流側への電流供給がなく、需要家側からは短絡を検知できない。しかし、直流線路30との接続の遮断により需要家直流側の電圧がなくなるため、制御装置17は直流電圧なしで異常を検知して需要家インバータ13を停止する。
(ii−6)地絡発生時
直流回路で地絡が発生した場合は、系統用蓄電装置の制御装置7がこれを検知し、蓄電池2との接続を遮断し、双方向インバータ3を停止し、直流線路30との接続を遮断する。短絡と同様に需要家側からは地絡を検知できないが、直流線路30との接続の遮断により需要家直流側の電圧がなくなるため、制御装置17は直流電圧なしで異常を検知して需要家インバータ13を停止する。
蓄電池2の異常は系統用蓄電装置の制御装置7で監視しており、異常発生時は蓄電池2との接続を遮断するとともに、直流線路30を遮断し、系統用蓄電装置の双方向インバータ13を停止する。需要家蓄電装置20では蓄電池異常を検知できないが、直流側に逆電流防止用ダイオードが設置されるためインバータから直流側への電流供給はない。また、直流線路30の遮断により需要家直流側の電圧がなくなるため、制御装置17は直流電圧なしで異常を検知して需要家インバータ13を停止する。
(ii−5)短絡・過電流発生時
直流回路で短絡・過電流が発生した場合は、蓄電池2、系統用蓄電装置の双方向インバータ3はそれぞれに対応して設けられたセンサで過電流を検知して蓄電池2との接続を遮断し、双方向インバータ3を停止し、さらに直流線路30との接続を遮断する。需要家インバータ13は、直流側に逆電流防止用ダイオードが設置されているため、インバータ13から直流側への電流供給がなく、需要家側からは短絡を検知できない。しかし、直流線路30との接続の遮断により需要家直流側の電圧がなくなるため、制御装置17は直流電圧なしで異常を検知して需要家インバータ13を停止する。
(ii−6)地絡発生時
直流回路で地絡が発生した場合は、系統用蓄電装置の制御装置7がこれを検知し、蓄電池2との接続を遮断し、双方向インバータ3を停止し、直流線路30との接続を遮断する。短絡と同様に需要家側からは地絡を検知できないが、直流線路30との接続の遮断により需要家直流側の電圧がなくなるため、制御装置17は直流電圧なしで異常を検知して需要家インバータ13を停止する。
《実施形態例1の効果》
系統用蓄電装置と需要家用蓄電装置の蓄電池を共用化する実施形態例1の効果は下記のとおりである。
(i)電力系統需給調整機能の向上
実施形態例1の蓄電装置システムは、系統用蓄電装置をベースとするため、系統用蓄電装置10が有する電力系統需給調整機能は従来と同じものをそのまま有しており、同様に需要家蓄電装置20としての機能も従来と同じものをそのまま有している。さらに、下記の電力系統需給調整機能が向上するという有利な効果がある。
(i−1)需要家用蓄電装置相当の充電電力調整
従来の需要家用蓄電装置120相当の充電電力を電力系統制御箇所から調整可能となる。
(i−2)太陽光発電等余剰電力吸収能力の向上
電力系統から直流に変換して直接需要家に供給することで、需要家の契約電力(交流kW)を増加することなく太陽光発電等余剰電力の吸収能力を向上できる(太陽光発電等余剰電力を需要家で消費できる。)。
系統用蓄電装置と需要家用蓄電装置の蓄電池を共用化する実施形態例1の効果は下記のとおりである。
(i)電力系統需給調整機能の向上
実施形態例1の蓄電装置システムは、系統用蓄電装置をベースとするため、系統用蓄電装置10が有する電力系統需給調整機能は従来と同じものをそのまま有しており、同様に需要家蓄電装置20としての機能も従来と同じものをそのまま有している。さらに、下記の電力系統需給調整機能が向上するという有利な効果がある。
(i−1)需要家用蓄電装置相当の充電電力調整
従来の需要家用蓄電装置120相当の充電電力を電力系統制御箇所から調整可能となる。
(i−2)太陽光発電等余剰電力吸収能力の向上
電力系統から直流に変換して直接需要家に供給することで、需要家の契約電力(交流kW)を増加することなく太陽光発電等余剰電力の吸収能力を向上できる(太陽光発電等余剰電力を需要家で消費できる。)。
(ii)設備の簡略化および費用低減
実施形態例1は、系統用蓄電装置と需要家用蓄電装置をそれぞれ単独で設置する場合と比べて、主に直流線路30の分費用が上昇し、需要家用蓄電池12が不要となる分費用が減少する。通常は直流線路30の費用より蓄電池12の費用が高価なため、トータル費用は減少する。また、このことから直流線路30が短いほど経済性が向上する。なお、費用低減の観点からは、制御方式はほとんど費用の発生しない通信を利用しない方式の採用が望ましい。
また、需要家用蓄電装置に系統用蓄電装置の機能を一部持たせるためには、電力系統運用会社は個々の需要家用蓄電装置に制御用通信回線を設置し、蓄電池の状況を監視しながら制御する必要がある。実施形態例1の方式であれば元々ある系統用蓄電装置制御のための通信回線や制御装置をそのまま利用でき、追加設備や費用は必要ない。系統用蓄電装置容量は数万kWが想定されており、1装置から最大100カ所程度の需要家に供給できることから、電力系統制御箇所から制御する蓄電装置数が個々の需要家用蓄電装置を制御するより1/100程度になり、制御や通信量も格段に簡略化できる。
実施形態例1は、系統用蓄電装置と需要家用蓄電装置をそれぞれ単独で設置する場合と比べて、主に直流線路30の分費用が上昇し、需要家用蓄電池12が不要となる分費用が減少する。通常は直流線路30の費用より蓄電池12の費用が高価なため、トータル費用は減少する。また、このことから直流線路30が短いほど経済性が向上する。なお、費用低減の観点からは、制御方式はほとんど費用の発生しない通信を利用しない方式の採用が望ましい。
また、需要家用蓄電装置に系統用蓄電装置の機能を一部持たせるためには、電力系統運用会社は個々の需要家用蓄電装置に制御用通信回線を設置し、蓄電池の状況を監視しながら制御する必要がある。実施形態例1の方式であれば元々ある系統用蓄電装置制御のための通信回線や制御装置をそのまま利用でき、追加設備や費用は必要ない。系統用蓄電装置容量は数万kWが想定されており、1装置から最大100カ所程度の需要家に供給できることから、電力系統制御箇所から制御する蓄電装置数が個々の需要家用蓄電装置を制御するより1/100程度になり、制御や通信量も格段に簡略化できる。
[実施形態例2および3]
実施形態例2および3の蓄電装置システムは、直流線路30にDC−DCコンバータ41を介して接続される直流発電機42を備える点で実施形態例1の蓄動装置システムと相違する。
図28は、実施形態例2に係る蓄電システムの構成図であり、DC−DCコンバータ41および直流発電機42が直流線路30から分岐して接続されている。図29は、実施形態例3に係る蓄電システムの構成図であり、系統用蓄電装置10と需要家用蓄電装置20とを接続する直流線路30とは別に、DC−DCコンバータ41および直流発電機42を接続するための専用の直流線路33を有している。
実施形態例2および3の蓄電装置システムは、直流線路30にDC−DCコンバータ41を介して接続される直流発電機42を備える点で実施形態例1の蓄動装置システムと相違する。
図28は、実施形態例2に係る蓄電システムの構成図であり、DC−DCコンバータ41および直流発電機42が直流線路30から分岐して接続されている。図29は、実施形態例3に係る蓄電システムの構成図であり、系統用蓄電装置10と需要家用蓄電装置20とを接続する直流線路30とは別に、DC−DCコンバータ41および直流発電機42を接続するための専用の直流線路33を有している。
直流発電機42は、例えば、太陽光発電、永久磁石発電機を用いた周波数制御機能のないマイクロ風力・マイクロ水力などの再生可能エネルギーの直流発電機であり、複数台接続される場合もある。直流発電機42を、DC−DCコンバータ41を介して接続すると、それぞれの発電機の電力系統(交流)との連系が不要になり、交流連系に伴う高価な費用や煩雑な手続きを簡略化できる。小型の直流発電機が多数ある場合は特に有利であり、拡張性に優れた構成であるといえる。
また、これら再生可能エネルギー発電は出力変動が大きいという特徴を有するが、系統用蓄電装置10と並列接続することで系統用蓄電装置10が変動分を吸収し、交流側への出力は安定したものとなる。また、交流側が停電しても直流側単独で運転継続可能であり、需要家はインバータ13を介して交流電力を利用できるという有利な効果がある。さらには、災害時など交流側が長時間停電する場合も長時間停電しないシステムを構築すること可能である。
また、これら再生可能エネルギー発電は出力変動が大きいという特徴を有するが、系統用蓄電装置10と並列接続することで系統用蓄電装置10が変動分を吸収し、交流側への出力は安定したものとなる。また、交流側が停電しても直流側単独で運転継続可能であり、需要家はインバータ13を介して交流電力を利用できるという有利な効果がある。さらには、災害時など交流側が長時間停電する場合も長時間停電しないシステムを構築すること可能である。
このようなシステムでは、直流発電機42が接続される蓄電装置は必ずしも系統用蓄電装置である必要はなく、電力系統とつながった双方向インバータと蓄電池を有する蓄電装置であれば良い。例えば、特許文献1に記載の再生可能エネルギー発電装置を有する蓄電装置(蓄電システム)と接続することが開示される。このような蓄電装置から他の需要家への供給は、蓄電池につながるインバータの一部が遠方になるだけであり、蓄電池容量や受電電力の制約の範囲内で実施可能である。
実施形態例2では、直流線路30の途中に直流発電機42を接続するので線路長を短縮することができるが、需要家側から蓄電池2の電圧の推定ができなくなるため、需要家の制御方式として通信で連係する方式を採用する必要がある。直流発電機42は、異常発生時に直流線路30を遮断しても、発電量と需要量がバランスした場合はそのまま運転を継続するため、直流発電機42についても同様に通信で連係する方式を採用する必要がある。なお、実施形態例2では直流線路30に複数の直流発電機を接続可能であり、小型の発電機が多数ある場合に特に有利となる。
実施形態例3では、需要家蓄電装置20や直流発電機をそれぞれ専用の直流線路33で接続すると、需要家蓄電装置20の制御方式として通信で連係しない方式が採用できる。同様に、直流発電機42についても通信で連係しない制御方式を採用できる。具体的な方法は、次のとおである。
(i)蓄電池電圧の制限
発電機側で測定した直流電圧・電流と、あらかじめ計測している直流線路30の直流抵抗値から線路の電圧降下を加味して蓄電池2の電圧を推定する。回路が単純なため推定精度は極めて高い。蓄電池電圧推定値の算出式を下記式5に示す。
(i)蓄電池電圧の制限
発電機側で測定した直流電圧・電流と、あらかじめ計測している直流線路30の直流抵抗値から線路の電圧降下を加味して蓄電池2の電圧を推定する。回路が単純なため推定精度は極めて高い。蓄電池電圧推定値の算出式を下記式5に示す。
[式5]
蓄電池電圧推定値=発電機直流電圧測定値−発電機直流電流測定値×線路(往復)の抵抗値
蓄電池電圧推定値=発電機直流電圧測定値−発電機直流電流測定値×線路(往復)の抵抗値
発電機用DC−DCコンバータ41と対応する各運転制御装置(図示せず)は、蓄電池2の電圧推定値が上限近くになった場合は発電機42の出力を減少させるとともに、蓄電池2の電圧が上限値に達した場合は、発電機DC−DCコンバータ41を停止する。
(ii)蓄電池異常時
蓄電池2の異常は系統用蓄電装置の制御装置7で監視しており、異常発生時は蓄電池2との接続を遮断するとともに、発電機用直流線路33との接続を遮断し、系統用蓄電装置の双方向インバータ13を停止する。発電機側では蓄電池2の異常を検知できないが、発電機用直流線路33の遮断により発電機直流側の出力電流がなくなるため、発電機の運転制御装置(図示せず)は直流電流なしで異常を検知してDC−DCコンバータ41を停止する。
(ii)蓄電池異常時
蓄電池2の異常は系統用蓄電装置の制御装置7で監視しており、異常発生時は蓄電池2との接続を遮断するとともに、発電機用直流線路33との接続を遮断し、系統用蓄電装置の双方向インバータ13を停止する。発電機側では蓄電池2の異常を検知できないが、発電機用直流線路33の遮断により発電機直流側の出力電流がなくなるため、発電機の運転制御装置(図示せず)は直流電流なしで異常を検知してDC−DCコンバータ41を停止する。
(iii)短絡・過電流発生時
直流回路で短絡・過電流が発生した場合は、DC−DCコンバータ41から短絡電流が供給されるため、発電機の運転制御装置(図示せず)はセンサで過電流を検知して発電機DC−DCコンバータ41を停止し、直流線路30との接続を遮断する。蓄電池2および系統用蓄電装置の双方向インバータ13はそれぞれに対応して設けられたセンサで過電流を検知して蓄電池2との接続を遮断し、双方向インバータ13を停止し、発電機用直流線路33との接続を遮断する。
(iv)地絡発生時
直流回路で地絡が発生した場合は、系統用蓄電装置の制御装置7がこれを検知し、蓄電池2との接続を遮断し、発電機用直流線路33との接続を遮断し、双方向インバータ13を停止する。発電機側からは地絡を検知できないが、発電機用直流線路33の遮断により発電機直流側の電流がなくなるため、発電機の運転制御装置(図示せず)は直流電流なしで異常を検知してDC−DCコンバータ41を停止する。なお、発電機側の地絡の影響をさけるため、DC−DCコンバータ41は絶縁型とすることが望ましい。
実施形態例2(図28)、実施形態例3(図29)のいずれかの方式をとるかは、線路設置費用と制御装置費用を比較して決定すれば良い。
直流回路で短絡・過電流が発生した場合は、DC−DCコンバータ41から短絡電流が供給されるため、発電機の運転制御装置(図示せず)はセンサで過電流を検知して発電機DC−DCコンバータ41を停止し、直流線路30との接続を遮断する。蓄電池2および系統用蓄電装置の双方向インバータ13はそれぞれに対応して設けられたセンサで過電流を検知して蓄電池2との接続を遮断し、双方向インバータ13を停止し、発電機用直流線路33との接続を遮断する。
(iv)地絡発生時
直流回路で地絡が発生した場合は、系統用蓄電装置の制御装置7がこれを検知し、蓄電池2との接続を遮断し、発電機用直流線路33との接続を遮断し、双方向インバータ13を停止する。発電機側からは地絡を検知できないが、発電機用直流線路33の遮断により発電機直流側の電流がなくなるため、発電機の運転制御装置(図示せず)は直流電流なしで異常を検知してDC−DCコンバータ41を停止する。なお、発電機側の地絡の影響をさけるため、DC−DCコンバータ41は絶縁型とすることが望ましい。
実施形態例2(図28)、実施形態例3(図29)のいずれかの方式をとるかは、線路設置費用と制御装置費用を比較して決定すれば良い。
1 蓄電池制御装置
2 蓄電池
3 双方向インバータ
4 変圧器
5 変圧器
6 高速スイッチ
7 制御装置
8 電力センサ(スマートメータ)
9 電流センサ
10 系統用蓄電装置
11 蓄電池制御装置
12 蓄電池
13 双方向インバータ
14 変圧器
16 高速スイッチ
17 制御装置
18 電力センサ(スマートメータ)
19 電圧センサ
20 需要家用蓄電装置
22 AC/DCコンバータ
23 インバータ
30 直流線路
41 DC−DCコンバータ
42 直流発電機
33 (発電機用)直流線路
40 地絡検出装置
110 従来の系統用蓄電装置
120 従来の需要家用蓄電装置
2 蓄電池
3 双方向インバータ
4 変圧器
5 変圧器
6 高速スイッチ
7 制御装置
8 電力センサ(スマートメータ)
9 電流センサ
10 系統用蓄電装置
11 蓄電池制御装置
12 蓄電池
13 双方向インバータ
14 変圧器
16 高速スイッチ
17 制御装置
18 電力センサ(スマートメータ)
19 電圧センサ
20 需要家用蓄電装置
22 AC/DCコンバータ
23 インバータ
30 直流線路
41 DC−DCコンバータ
42 直流発電機
33 (発電機用)直流線路
40 地絡検出装置
110 従来の系統用蓄電装置
120 従来の需要家用蓄電装置
Claims (5)
- 需要家側に配置される需要家用蓄電装置と直流線路で接続され、電力系統制御箇所からの指令値に基づき電力系統の周波数や電圧を調整する系統用蓄電装置において、
系統用蓄電装置が、電力系統送電線と交流母線とを接続する変圧器と、交流母線に接続される複数の蓄電装置ユニットと、蓄電装置ユニット制御装置とを備え、
需要家用蓄電装置が、電力系統送電線と交流母線とを接続する変圧器と、受電した直流電力を交流電力に変換して交流母線に供給するインバータと、インバータ制御装置とを備え、
系統用蓄電装置の各蓄電装置ユニットが、それぞれ双方向インバータ、蓄電池および蓄電池制御装置を備え、
系統用蓄電装置の蓄電装置ユニットの1つ以上を需要家用蓄電装置のインバータと直流線路で接続して需要家兼用蓄電装置ユニットを構成し、系統用蓄電装置の蓄電装置ユニット制御装置が、蓄電池を介さずに、需要家兼用蓄電装置ユニットの双方向インバータから需要家用蓄電装置のインバータに直流電力を供給する直接供給手段を備えることを特徴とする系統用蓄電装置。 - 前記蓄電装置ユニット制御装置が、電力系統制御箇所からの指令値に基づき各蓄電装置ユニットが分担する充放電電力値を、各蓄電装置ユニット蓄の電池容量に応じて割り当て、各蓄電装置ユニットの蓄電池SOC値が同じになるように各蓄電装置ユニットの充放電電力値を調整することにより、電力系統との連系点における送受電電力を、電力系統制御箇所からの指令値どおりに制御可能であることを特徴とする請求項1の系統用蓄電装置。
- 前記蓄電装置ユニット制御装置が、電力系統制御箇所からの指令値に基づき各蓄電装置ユニットが分担する充放電電力値を、需要家供給を行っていない蓄電装置ユニットは、電力系統制御箇所からの指令値を各蓄電装置ユニット蓄の電池容量に応じて割り当てた電力値とし、需要家供給を行っている蓄電装置ユニットは、電力系統制御箇所からの指令値を各蓄電装置ユニットの蓄電池容量に応じて割り当てた電力値に当該蓄電装置ユニットが直流線路で接続された需要家への供給電力値の一部または全部を加えた電力値とし、各蓄電装置ユニットの蓄電池SOC値が同じになるように各蓄電装置ユニットの充放電電力値を調整することにより、電力系統との連系点送受電電力を、電力系統制御箇所からの指令値に、直流線路で接続される需要家への供給電力値の一部または全部を加えた値に制御可能であることを特徴とする請求項1の系統用蓄電装置。
- 前記蓄電装置ユニット制御装置が、下記の[A方式]および[B方式]を切り替え可能であることを特徴とする請求項1の系統用蓄電装置。
[A方式]前記蓄電装置ユニット制御装置が、電力系統制御箇所からの指令値に基づき各蓄電装置ユニットが分担する充放電電力値を、各蓄電装置ユニット蓄の電池容量に応じて割り当て、各蓄電装置ユニットの蓄電池SOC値が同じになるように各蓄電装置ユニットの充放電電力値を調整することにより、電力系統との連系点における送受電電力を、電力系統制御箇所からの指令値どおりに制御すること。
[B方式]前記蓄電装置ユニット制御装置が、電力系統制御箇所からの指令値に基づき各蓄電装置ユニットが分担する充放電電力値を、需要家供給を行っていない蓄電装置ユニットは、電力系統制御箇所からの指令値を各蓄電装置ユニット蓄の電池容量に応じて割り当てた電力値とし、需要家供給を行っている蓄電装置ユニットは、電力系統制御箇所からの指令値を各蓄電装置ユニットの蓄電池容量に応じて割り当てた電力値に当該蓄電装置ユニットが直流線路で接続された需要家への供給電力値の一部または全部を加えた電力値とし、各蓄電装置ユニットの蓄電池SOC値が同じになるように各蓄電装置ユニットの充放電電力値を調整することにより、電力系統との連系点送受電電力を、電力系統制御箇所からの指令値に、直流線路で接続される需要家への供給電力値の一部または全部を加えた値に制御すること。 - 前記需要家兼用蓄電装置ユニットに、双方向インバータと並列に接続される交流−直流変換コンバータを設け、
前記蓄電装置ユニット制御装置が、需要家兼用蓄電装置ユニットの容量不足時に交流−直流変換コンバータを稼動させることを特徴とする請求項3または4の系統用蓄電装置。
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