JP2015017270A - X線および/または金属の検出可能物品並びに熱可塑性組成物 - Google Patents
X線および/または金属の検出可能物品並びに熱可塑性組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2015017270A JP2015017270A JP2014193400A JP2014193400A JP2015017270A JP 2015017270 A JP2015017270 A JP 2015017270A JP 2014193400 A JP2014193400 A JP 2014193400A JP 2014193400 A JP2014193400 A JP 2014193400A JP 2015017270 A JP2015017270 A JP 2015017270A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polycarbonate
- thermoplastic composition
- weight
- measured
- polysiloxane
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08L—COMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
- C08L83/00—Compositions of macromolecular compounds obtained by reactions forming in the main chain of the macromolecule a linkage containing silicon with or without sulfur, nitrogen, oxygen or carbon only; Compositions of derivatives of such polymers
- C08L83/10—Block- or graft-copolymers containing polysiloxane sequences
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K49/00—Preparations for testing in vivo
- A61K49/04—X-ray contrast preparations
- A61K49/0409—Physical forms of mixtures of two different X-ray contrast-enhancing agents, containing at least one X-ray contrast-enhancing agent which is not a halogenated organic compound
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08G—MACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
- C08G77/00—Macromolecular compounds obtained by reactions forming a linkage containing silicon with or without sulfur, nitrogen, oxygen or carbon in the main chain of the macromolecule
- C08G77/42—Block-or graft-polymers containing polysiloxane sequences
- C08G77/445—Block-or graft-polymers containing polysiloxane sequences containing polyester sequences
- C08G77/448—Block-or graft-polymers containing polysiloxane sequences containing polyester sequences containing polycarbonate sequences
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Polymers & Plastics (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Epidemiology (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Public Health (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Abstract
【課題】金型等に使用する場合、及びプロセス内において熱可塑性樹脂におけるX線及び/又は金属の検出可能性を改善する方法及びその方法により生産された物品の提供。【解決手段】ポリカーボネート0〜95重量部、ポリシロキサン−ポリカーボネート5〜100重量部、、及び良好な透磁性及び/又は導電性を有するX線検出可能又は金属検出可能な原子番号が22以上のX線散乱原子を含むX線造影剤を、ポリシロキサン−ポリカーボネート及びポリカーボネートを合わせた100重量部を基準として、0.01〜10重量部含有する熱可塑性組成物を含む物品。【選択図】なし
Description
本発明は、金属検出可能性が改善された熱可塑性組成物、特に、ポリカーボネート、ポリシロキサン−ポリカーボネートポリマー、およびX線造影剤または金属検出可能物質を含む熱可塑性組成物と、熱可塑性樹脂を製造し熱可塑性樹脂におけるX線および/または金属の検出可能性を改善する方法と、それから製造された物品とを対象とする。
ポリカーボネート型は、一般に、チョコレート型などの食品生産で使用される。そのような型は、一般に、メタルマスタの周りにポリカーボネート樹脂の高圧射出が行われるプラスチック射出成型法によって、作製される。そのようなポリカーボネート型は、耐用年数が長く非常に強度があり、使い易くかつ非常に光沢のあるチョコレートを製造できることが望ましい。シリコーンゴムまたは熱成形プラスチックで作製されたようなその他のタイプの型も、限られた範囲の用途で使用されている。
金属検出器は、一般に製造プロセスで使用され、通常の使用によって生じる機械の摩耗および裂断から典型的に生じた金属汚染物質を検出し、その機械で製造されたチョコレートなどの食品が確実に最高品質のものになるようにするものである。しかし、金属検出器は、製造プロセスにおいてプラスチック成分(チョコレート型など)から生じる汚染物質を少しも検出することができない。X線検出器は、プラスチックを検出するのに使用することができるが、ポリカーボネート、および例えばチョコレート型を製造するのに有用であるような典型的な組成物は、X線を透過させる。原子番号が炭素よりも大きい元素は、ポリカーボネートから製造された物品が任意のレベルのX線造影を示すことが可能になるように、添加剤(例えば、ガラス、顔料など)の形でポリカーボネートに導入しなければならずまたはポリマー鎖に混入しなければならない。典型的には、ガラスまたはその他の無機充填剤を添加すると、ポリカーボネートは、光沢が失われ、透明性が低くなり、それと共に流動性および衝撃特性も低くなる。これは、低温延性と良好な流動性との組合せが重要であるマトリックスには、受け入れられない。
上述のおよびその他の欠点は、ある実施形態では、ポリシロキサン−ポリカーボネート;任意成分でポリカーボネート;および原子番号が22以上であるX線散乱原子を含んだX線造影剤を含む、熱可塑性組成物を含む物品によって軽減されるが、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmである物品は、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが約620J/m以上であり、またはASTM D256−04に従い温度−30℃で測定したときのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが約409J/m以上であり、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmである物品は、50kVのX線放射で照射したときに等価Al厚(Equivalent Al Thickness)が0.51mmを超え、ASTM D1238−04に従い温度300℃及び荷重1.2kgで測定された熱可塑性組成物の溶融体積流量に関しては、滞留時間18分で測定された溶融体積流量は、滞留時間6分で測定された溶融体積流量を基準として31%以下だけ増加する。
別の実施形態において、熱可塑性組成物は、ポリシロキサン−ポリカーボネート5〜100重量部;ポリカーボネート0〜95重量部;および中央粒度が約5μm以下であるルチルチタネート、中央粒度が約1μm未満であるマグネタイト、またはこれらの造影剤の少なくとも1種の含む組合せを含む、造影剤0.01〜10重量部を含み、ポリシロキサン−ポリカーボネート、ポリカーボネート、およびX線造影剤のそれぞれの存在量は、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準とするものであり、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmである物品は、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが約620J/m以上であり、またはASTM D256−04に従い温度−30℃で測定したときのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが約409J/m以上であり、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmである物品は、50kVのX線放射で照射したときに等価Al厚が0.51mmを超え、ASTM D1238−04に従い温度300℃および荷重1.2kgで測定された熱可塑性組成物の溶融体積流量に関しては、滞留時間18分で測定された溶融体積流量は、滞留時間6分で測定された溶融体積流量を基準として31%以下だけ増加する。
別の実施形態において、熱可塑性組成物を含む物品におけるX線造影を増大させるための方法は、中央粒度が5μm以下であるX線造影剤をポリシロキサン−ポリカーボネートおよび任意成分のポリカーボネートと組み合わせるステップであって、このX線造影剤が、原子番号22以上の元素を含んでいるステップと、熱可塑性組成物から物品を製造するステップとを含み、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmである物品は、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが約620J/m以上であり、またはASTM D256−04に従い温度−30℃で測定したときのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが約409J/m以上であり、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmである物品は、50kVのX線放射で照射したときに等価Al厚が0.51mmを超え、ASTM D1238−04に従い温度300℃で1.2kgの荷重の下で測定された熱可塑性組成物の溶融体積流量に関しては、滞留時間18分で測定された溶融体積流量は、滞留時間6分で測定された溶融体積流量を基準として31%以下だけ増加する。
別の実施形態において、チョコレートを製造するための型は、ポリシロキサン−ポリカーボネート5〜99重量部、ポリカーボネート1〜95重量部、および中央粒度が約5μm以下であるルチルチタネート、中央粒度が約0.5μm以下であるマグネタイト、またはこれらのX線造影剤の少なくとも1種を含む組合せを含んだX線造影剤0.01〜10重量部を含む、熱可塑性組成物を含み、ポリシロキサン−ポリカーボネート、ポリカーボネート、およびX線造影剤のそれぞれの存在量は、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準とするものであり、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmである物品は、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが約620J/m以上であり、またはASTM D256−04に従い温度−30℃で測定したときのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが約409J/m以上であり、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmである物品は、50kVのX線放射で照射したときに等価Al厚が0.51mmを超え、ASTM D1238−04に従い温度300℃および荷重1.2kgで測定された熱可塑性組成物の溶融体積流量に関しては、滞留時間18分で測定された溶融体積流量は、滞留時間6分で測定された溶融体積流量を基準として31%以下だけ増加する。
あるいは、上述のおよびその他の欠点は、ある実施形態において、ポリカーボネート、ポリシロキサン−ポリカーボネート、および透磁性および/または導電性が良好な金属検出可能物質を含んだ熱可塑性組成物を含む物品により軽減される。この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmである物品は、ASTM D256−04に従い温度23℃で測定したときのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが300J/m以上であり、またはASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが150J/m以上である。この熱可塑性組成物は、チョコレート型などの、食品を製造するための型を製造するのに有用である。
したがって、一実施形態において、本発明は、ポリカーボネート65〜95重量部、ポリシロキサン−ポリカーボネート5〜35重量部、および金属検出可能物質0.01〜10重量部を含む熱可塑性組成物であって、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmである物品は、ASTM D256−04に従い温度23℃で測定したときのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが200J/m以上であり、またはASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが125J/m以上である熱可塑性組成物を提供する。
別の実施形態において、本発明は、熱可塑性組成物を含む物品の、金属検出可能性を増大させるための方法であって、鉄金属または非鉄金属から選択された金属検出可能物質を、ポリカーボネートおよびポリシロキサン−ポリカーボネートと組み合わせるステップと、この熱可塑性組成物から物品を製造するステップとを含み、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmである物品は、ASTM D256−04に従い温度23℃で測定したときのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが200J/m以上であり、またはASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが125J/m以上である方法を提供する。
さらに別の実施形態において、本発明は、ポリカーボネート65〜95重量部、ポリシロキサン−ポリカーボネート5〜35重量部、および金属検出可能物質0.01〜10重量部である熱可塑性組成物を含む食品を製造するための型であって、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmである物品は、ASTM D256−04に従い温度23℃で測定したときのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが200J/m以上であり、またはASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが125J/m以上である型を提供する。
模範的なものであり限定を意味するものではない図を、以下に説明する。
上述のおよびその他の特徴は、以下の詳細な説明によって具体化される。
本開示は、X線検出器または金属検出器により検出可能であり、ポリカーボネート、ポリシロキサン−ポリカーボネートコポリマー、およびX線造影剤または金属検出可能物質から調製される、熱可塑性組成物を提供する。この熱可塑性組成物から作製された物品も開示されている。
ある化合物が、金属検出可能な熱可塑性組成物を配合するための金属検出可能物質として有用であることが見出された。具体的に有用な化合物には、最適な粒度範囲内から選択されたマグネタイトなどの、鉄金属および非鉄金属が含まれる。これらの化合物は、前述の特性を有するような金属検出可能な組成物を配合するのに有用である。金属検出可能物質として有用な一般的な無機化合物は、鉄金属(透磁性および導電性の両方が良好である。)および非鉄金属(透磁性は不十分であるが、導電性は良好である。)から選択される。金属検出可能物質の粒度は、組成物の選択された特性(流動性、低温衝撃、光沢)が維持されるように選択される。
本発明で使用される熱可塑性組成物は、ポリカーボネートと、ポリシロキサン−ポリカーボネートとも呼ばれるポリシロキサン−ポリカーボネートコポリマーとの両方を含む。本明細書で使用される「ポリカーボネート」および「ポリカーボネート樹脂」という用語は、式(1)のカーボネート単位の反復構造を有する組成物を意味する。
式中、R1基の総数の少なくとも60%は芳香族有機基であり、その残りは脂肪族、脂環式、または芳香族基である。一実施形態において、各R1は芳香族有機基であり、例えば式(2)の基である:
式中、A1およびA2のそれぞれは単環式2価アリール基であり、Y1は、A1をA2から分離する1個または2個の原子を有する架橋基である。模範的な実施形態では、1個の原子がA1をA2から分離する。このタイプの基の非限定的な例は、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−C(O)−、メチレン、シクロヘキシル−メチレン、2−[2.2.1]−ビシクロヘプチリデン、エチリデン、イソプロピリデン、ネオペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロペンタデシリデン、シクロドデシリデン、およびアダマンチリデンである。架橋基Y1は、メチレン、シクロヘキシリデン、イソプロピリデンなどの炭化水素基または飽和炭化水素基であることができる。
ポリカーボネートは、式(3)のジヒドロキシ化合物を含む、式HO−R1−OHを有するジヒドロキシ化合物の反応によって生成することができる:
式中、Y1、A1、およびA2は上述の通りである。一般式(4)のビスフェノール化合物も含まれる。
上式で、RaおよびRbは、それぞれ、ハロゲン原子または1価の炭化水素基を表し、かつ同じであることも異なることもできる。pおよびqは、それぞれ独立して、整数0〜4であり、Xaは、式(5)の基の1つを表す。
但し、RcおよびRdは、それぞれ独立して、水素原子または1価の直鎖状もしくは環状の炭化水素基を表し、Reは、2価の炭化水素基を表す。
ある実施形態において、ヘテロ原子含有環式アルキリデン基は、価数が2以上である少なくとも1個のヘテロ原子と、少なくとも2個の炭素原子とを含む。ヘテロ原子含有環式アルキリデン基で使用されるヘテロ原子は、−O−、−S−、および−N(Z)−を含む。但しZは、水素、ヒドロキシ、C1〜12アルキル、C1〜12アルコキシ、またはC1〜12アシルから選択された置換基である。存在する場合には、環式アルキリデン基またはヘテロ原子含有環式アルキリデン基は3〜20個の原子を有していることができ、単一の飽和環もしくは不飽和環であることができ、または、縮合環が飽和もしくは不飽和であり、あるいは芳香族である、縮合多環式環系でありうる。
置換または非置換のシクロヘキサン単位を含有するその他のビスフェノールを使用することができ、例えば式(6)のビスフェノールが挙げられる。
式中、各Rfは独立して、水素、C1〜12アルキル、またはハロゲンであり、各Rgは独立して水素またはC1〜12アルキルである。置換基は、脂肪族または芳香族、直鎖、環、2環、分岐、飽和、または不飽和であることができる。そのようなシクロヘキサン含有ビスフェノール、例えばフェノール2モルと水素化イソフォロン1モルとの反応生成物は、ガラス転移温度が高く加熱撓み温度が高いポリカーボネートポリマーを製造するのに有用である。シクロヘキシルビスフェノール含有ポリカーボネート、またはこれらの少なくとも1種とその他のビスフェノールポリカーボネートとを含む組合せは、APEC(登録商標)という商標を付けて、バイエル社から供給されている。
式HO−R1−OHを有するその他の有用なジヒドロキシ化合物には、式(7)の芳香族ジヒドロキシ化合物が含まれる。
式中、各Rhは独立して、ハロゲン原子、C1〜10アルキル基などのC1〜10ヒドロカルビル、ハロゲン置換C1〜10アルキル基などのハロゲン置換C1〜10ヒドロカルビルであり、nは0〜4である。ハロゲンは通常、臭素である。
模範的なジヒドロキシ化合物には、下記の化合物、即ち、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルメタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、1,1−ビス(ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブテン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、トランス−2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブテン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンチン、(α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トルエン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アセトニトリル、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−n−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジブロモ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(5−フェノキシ−4−ヒドロキシフェニル)エチレン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノン、1,6−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,6−ヘキサンジオン、エチレングリコールビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フッ素、2,7−ジヒドロキシピレン、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチルスピロ(ビス)インダン(「スピロビインダンビスフェノール」)、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタリド、2,6−ジヒドロキシジベンゾ−p−ジオキシン、2,6−ジヒドロキシチアントレン、2,7−ジヒドロキシフェノキサチン、2,7−ジヒドロキシ−9,10−ジメチルフェナジン、3,6−ジヒドロキシジベンゾフラン、3,6−ジヒドロキシジベンゾチオフェン、および2,7−ジヒドロキシカルバゾール、レゾルシノール、置換レゾルシノール化合物、例えば5−メチルレゾルシノール、5−エチルレゾルシノール、5−プロピルレゾルシノール、5−ブチルレゾルシノール、5−t−ブチルレゾルシノール、5−フェニルレゾルシノール、5−クミルレゾルシノール、2,4,5,6−テトラフルオロレゾルシノール、または2,4,5,6−テトラブロモレゾルシノールなど;カテコール;ヒドロキノン;置換ヒドロキノン、例えば2−メチルヒドロキノン、2−エチルヒドロキノン、2−プロピルヒドロキノン、2−ブチルヒドロキノン、2−t−ブチルヒドロキノン、2−フェニルヒドロキノン、2−クミルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラメチルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラ−t−ブチルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラフルオロヒドロキノン、および2,3,5,6−テトラブロモヒドロキノンなど、ならびにこれらのジヒドロキシ化合物の少なくとも1種を含む組合せが含まれる。
式(3)によって表すことができるビスフェノール化合物の具体的な例には、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以後、「ビスフェノールA」または「BPA」と呼ぶ。)、2,2、−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−1−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン、2−フェニル−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン(PPPBP)、および1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン(DMBPC)が含まれる。これらのジヒドロキシ化合物の少なくとも1種を含む組合せを使用することもできる。
具体的な実施形態において、ポリカーボネートを、A1およびA2のそれぞれがp−フェニレンでありY1がイソプロピリデンであるビスフェノールAから得られた直鎖状ホモポリマーとすることができる。ポリカーボネートは、25℃のクロロホルムで測定した固有粘度が0.3〜1.5dl/gであることができ、特に0.45〜1.0dl/gであることができる。サンプル濃度1mg/mlで、架橋スチレン−ジビニルベンゼンカラムを使用したゲル透過クロマトグラフィ(GPC)により測定し、ポリカーボネート標準で較正した場合、ポリカーボネートは、重量平均分子量(Mw)10,000〜100,000g/モルを有する。
ある実施形態において、ポリカーボネートは、所定の温度および荷重でオリフィスを通過する熱可塑性樹脂の押出し量によって測定される、溶融体積流量(しばしばMVRと略される。)を有していることができる。物品の製造に有用なポリカーボネートは、ASTM D1238−04またはISO 1133に従って荷重1.2kgの下、300℃で測定した場合、そのMVRが0.5〜80cm3/10分(cc/10分)であることができる。具体的な実施形態において、有用なポリカーボネートまたはポリカーボネートの組合せ(即ち、ポリカーボネート組成物)は、ASTM D1238−04またはISO 1133に従って荷重1.2kgの下、300℃で測定した場合、そのMVRが0.5〜20cc/10分であり、具体的には0.5〜18cc/10分であり、より具体的には1〜15cc/10分である。
本明細書で使用される「ポリカーボネート」および「ポリカーボネート樹脂」はさらに、ホモポリカーボネート、カーボネート中に異なるR1部分を含むコポリマー(本明細書では「コポリカーボネート」という。)、カーボネート単位およびエステル単位やポリシロキサン単位などのその他のタイプのポリマー単位を含むコポリマー、ホモポリカーボネートおよびコポリカーボネートの少なくとも1種を含む組合せを含む。本明細書で使用される「組合せ」は、ブレンド、混合物、アロイ、および反応生成物などを含む。具体的なタイプのコポリマーは、ポリエステル−ポリカーボネートとして公知のポリエステルカーボネートである。そのようなコポリマーは、式(1)の反復カーボネート鎖単位の他に、式(8)の反復単位をさらに含有する。
式中、R2は、ジヒドロキシ化合物から得られた2価の基であり、例えばC2〜10アルキレン基、C6〜20脂環式基、C6〜20芳香族基、またはポリオキシアルキレン基である。但しアルキレン基は2〜6個の炭素原子を含有し、具体的には2、3または4個の炭素原子を含有する。Tは、ジカルボン酸から得られた2価の基であり、例えばC2〜10アルキレン基、C6〜20脂環式基、C6〜20アルキル芳香族基、またはC6〜20芳香族基である。
ある実施形態において、R2は、直鎖、分岐鎖、または環式(多環式を含む。)構造を有するC2〜30アルキレン基である。別の実施形態では、R2は、上述の式(4)の芳香族ジヒドロキシ化合物から得られる。別の実施形態では、R2は、上述の式(7)の芳香族ジヒドロキシ化合物から得られる。
ポリエステル単位を生成するのに使用することができる芳香族ジカルボン酸の例には、イソフタル酸もしくはテレフタル酸、1,2−ジ(p−カルボキシフェニル)エタン、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ビス安息香酸、およびこれらの酸の少なくとも1種を含む組合せが含まれる。縮合環を含有する酸は、1,4−、1,5−、または2,6−ナフタレンジカルボン酸中などに存在させることもできる。具体的なジカルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、またはこれらの組合せである。具体的なジカルボン酸には、イソフタル酸とテレフタル酸の重量比が91:9〜2:98であるイソフタル酸およびテレフタル酸の組合せが含まれる。別の具体的な実施形態において、R2はC2〜6アルキレン基であり、Tはp−フェニレン、m−フェニレン、ナフタレン、2価の脂環式基、またはこれらの組合せである。この種類のポリエステルには、ポリ(アルキレンテレフタレート)が含まれる。
コポリマー中のエステル単位とカーボネート単位とのモル比は、最終組成物の選択された特性に応じて広く変化させることができ、例えば1:99〜99:1、具体的には10:90〜90:10、より具体的には25:75〜75:25であることができる。
界面重合や溶融重合などのプロセスは、ポリカーボネートを製造するのに使用することができる。界面重合の反応条件は変化させることができるが、模範的なプロセスでは一般に、2価フェノール反応物を水性苛性ソーダまたはカリに溶解または分散させ、得られた混合物を適切な水不混和性溶媒に添加し、反応物とカーボネート前駆体とを、トリエチルアミンや相転移触媒などの触媒の存在下、制御されたpH条件下、例えば8〜10で接触させる。最も一般的に使用される水不混和性溶媒には、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、およびトルエンなどが含まれる。
カーボネート前駆体には、例えば、臭化カルボニルや塩化カルボニルなどのカルボニルハロゲン化物、または、2価フェノールのビスハロホルメート(例えば、ビスフェノールAまたはヒドロキノンなどのビスクロロホルメート)もしくはグリコールのビスハロホルメート(例えば、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、またはポリエチレングリコールなどのビスハロホルメート)などのハロホルメートが含まれる。これらのタイプのカーボネート前駆体の少なくとも1種を含む組合せを、使用することができる。模範的な実施形態において、カーボネート結合を形成するための界面重合反応は、カーボネート前駆体としてホスゲンを使用し、ホスゲン化反応と呼ばれる。
使用することができる相転移触媒の中に、式(R3)4Q+Xの触媒がある。式中、各R3は同じあっても異なっていてもよく、かつC1〜10アルキル基であり、Qは、窒素またはリン原子であり、Xは、ハロゲン原子またはC1〜8アルコキシ基またはC6〜18アリールオキシ基である。有用な相転移触媒には、例えば、[CH3(CH2)3]4NX、[CH3(CH2)3]4PX、[CH3(CH2)5]4NX、[CH3(CH2)6]4NX、[CH3(CH2)4]4NX、CH3[CH3(CH2)3]3NX、およびCH3[CH3(CH2)2]3NXが含まれる。式中、XはCl-、Br-、C1〜8アルコキシ基、またはC6〜18アリールオキシ基である。相転移触媒の有効量は、ホスゲン化混合物中のビスフェノールの重量を基準として0.1〜10重量%であることができる。別の実施形態では、相転移触媒の有効量は、ホスゲン化混合物中のビスフェノールの重量を基準として0.5〜2重量%であることができる。
ポリカーボネート末端基の全てのタイプは、そのような末端基が、組成物の選択された特性に著しい悪影響を及ぼさないならば、ポリカーボネート組成物に有用と考えられる。
分岐状ポリカーボネートブロックは、重合中に分岐剤を添加することによって調製することができる。これらの分岐剤には、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボン酸無水物、ハロホルミル、およびこれらの官能基の混合物から選択された少なくとも3個の官能基を含有する多官能性有機化合物が含まれる。具体的な例には、トリメリット酸、トリメリット酸無水物、3塩化トリメリット、トリス−p−ヒドロキシルフェニルエタン、イサチン−ビス−フェノール、トリス−フェノールTC(1,3,5−トリス((p−ヒドロキシフェニル)イソプロピル)ベンゼン)、トリス−フェノールPA(4(4(1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−エチル)α,α−ジメチルベンジル)フェノール)、4−クロロホルミルフタル酸無水物、トリメシン酸、およびベンゾフェノンテトラカルボン酸が含まれる。分岐剤は、0.05〜2.0重量%のレベルで添加することができる。直鎖状ポリカーボネートおよび分岐状ポリカーボネートを含む混合物を使用することができる。
連鎖停止剤(キャッピング剤ともいう。)を、重合中に含めることができる。連鎖停止剤は、分子量の成長速度を制限し、したがってポリカーボネートにおける分子量を制御する。模範的な連鎖停止剤には、ある特定のモノフェノール化合物、モノカルボン酸塩化物、および/またはモノクロロホルメートが含まれる。モノフェノール連鎖停止剤は、フェノールなどの単環式フェノール、およびp−クミル−フェノールやモノ安息香酸レゾルシノール、p−および第3級−ブチルフェノールなどのC1〜C22アルキル置換フェノール;およびp−メトキシフェノールなどのジフェノールのモノエーテルによって例示される。8〜9個の炭素原子を有する分岐鎖アルキル置換基を備えたアルキル置換フェノールを、具体的に挙げることができる。あるモノフェノールUV吸収剤を、キャッピング剤として使用することもでき、例えば4置換−2−ヒドロキシベンゾフェノンおよびその誘導体、アリールサリチレート、モノ安息香酸レゾルシノールなどのジフェノールのモノエステル、2−(2−ヒドロキシアリール)−ベンゾトリアゾールおよびその誘導体、2−(2−ヒドロキシアリール)−1,3,5−トリアジンおよびその誘導体などである。
モノカルボン酸塩化物を、連鎖停止剤として使用することができる。これらには、単環式モノカルボン酸塩化物、例えば塩化ベンゾイル、C1〜C22アルキル置換塩化ベンゾイル、塩化トルオイル、ハロゲン置換塩化ベンゾイル、塩化ブロモベンゾイル、塩化シンナモイル、塩化4−ナジミドベンゾイル、およびこれらの組合せなど;多環式モノカルボン酸塩化物、例えばトリメリット酸無水塩化物や塩化ナフトイルなど;単環式および多環式のモノカルボン酸塩化物の組合せなどが含まれる。炭素原子が22個以下である脂肪族モノカルボン酸の塩化物が有用である。塩化アクリロイルや塩化メタクリロイルなどの脂肪族モノカルボン酸の官能化塩化物も有用である。クロロギ酸フェニル、アルキル置換クロロギ酸フェニル、p−クミルクロロギ酸フェニル、クロロギ酸トルエン、およびこれらの組合せなどの、単環式モノクロロホルメートを含めたモノクロロホルメートも有用である。
あるいは、溶融プロセスは、ポリカーボネートを製造するのに使用することができる。一般に溶融重合プロセスでは、ポリカーボネートは、均一な分散体を形成するために、BANBURY(登録商標)ミキサまたは2軸スクリュー押出し機中などにおいてエステル交換触媒の存在下、(1種または複数の)ジヒドロキシ反応物と炭酸ジフェニルなどのジアリール炭酸エステルとを溶融状態で共反応させることによって、製造することができる。揮発性1価フェノールは、蒸留することによって溶融反応物から除去され、ポリマーは、溶融残留物として単離される。ポリカーボネートを製造するための特に有用な溶融プロセスは、アリール上に電子求引性置換基を有するジアリール炭酸エステルを使用する。電子求引性置換基を有する、特に有用なジアリール炭酸エステルの例には、ビス(4−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(2−クロロフェニル)カーボネート、ビス(4−クロロフェニル)カーボネート、ビス(メチルサリチル)カーボネート、ビス(4−メチルカルボキシルフェニル)カーボネート、ビス(2−アセチルフェニル)カルボキシレート、ビス(4−アセチルフェニル)カルボキシレート、またはこれらの少なくとも1種を含む組合せが含まれる。さらに、使用されるエステル交換触媒は、式(R3)4Q+X(但し、R3、Q、およびXのそれぞれは上記にて定義された通りである。)の相転移触媒を含むことができる。エステル交換触媒の例には、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化メチルトリブチルアンモニウム、酢酸テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラブチルホスホニウム、酢酸テトラブチルホスホニウム、フェノール酸テトラブチルホスホニウム、またはこれらの少なくとも1種を含む組合せが含まれる。
上述のポリカーボネートの他に、ポリカーボネートとその他の熱可塑性ポリマーとの組合せ、例えばホモポリカーボネートおよび/またはポリカーボネートコポリマーとポリエステルとの組合せを使用することができる。有用なポリエステルには、例えば、ポリ(アルキレンジカルボキシレート)、液晶ポリエステル、およびポリエステルコポリマーを含む、式(8)の反復単位を有するポリエステルを含めることができる。本明細書に記述されるポリエステルは、一般に、ブレンドされた場合ポリカーボネートと完全に混和する。
ポリエステルは、上述の界面重合もしくは溶融プロセス縮合によって、液相縮合によって、またはエステル交換重合によって得ることができ、例えばテレフタル酸ジメチルなどのジアルキルエステルを、酸触媒を使用してエチレングリコールとエステル交換することにより、ポリ(エチレンテレフタレート)を得ることができる。分岐剤、例えば3個以上のヒドロキシル基または3官能性もしくは多官能性カルボン酸を有するグリコールが混入されている、分岐状ポリエステルを使用することが可能である。さらに、組成物の究極の最終用途に応じて、ポリエステル上に酸およびヒドロキシル末端基を様々な濃度で有することが、時には望ましい。
ポリエステル−ポリカーボネートは、界面重合によって調製することができる。ジカルボン酸そのものを利用するのではなく、対応する酸のハロゲン化物、特に酸2塩化物および酸2臭化物などの、酸の反応性誘導体を用いることが可能であり、ときには好ましくもある。このように、例えばイソフタル酸、テレフタル酸、またはこれらの少なくとも1種を含む組合せを使用する代わりに、2塩化イソフタロイル、2塩化テレフタロイル、およびこれらの少なくとも1種を含む組合せを用いることが可能である。
ポリエステルは、上述の界面重合もしくは溶融プロセス縮合によって、液相縮合によって、またはエステル交換重合によって得ることができ、例えば、テレフタル酸ジメチルなどのジアルキルエステルを、酸触媒を使用してエチレングリコールとエステル交換することにより、ポリ(エチレンテレフタレート)を生成することができる。分岐剤、例えば3個以上のヒドロキシル基または3官能性もしくは多官能性カルボン酸を有するグリコールが混入されている、分岐状ポリエステルを使用することが可能である。さらに、組成物の究極の最終用途に応じて、ポリエステル上に様々な濃度の酸およびヒドロキシル末端基を有することが、時には望ましい。
有用なポリエステルには、芳香族ポリエステル、ポリ(アルキレンアリレート)を含めたポリ(アルキレンエステル)、およびポリ(シクロアルキレンジエステル)を含めることができる。芳香族ポリエステルは、式(8)によるポリエステル構造(但し、DおよびTはそれぞれ、上述のような芳香族基である。)を有することができる。ある実施形態において、有用な芳香族ポリエステルには、例えばポリ(イソフタレート−テレフタレート−レゾルシノール)エステル、ポリ(イソフタレート−テレフタレート−ビスフェノール−A)エステル、ポリ[(イソフタレート−テレフタレート−レゾルシノール)エステル−co−(イソフタレート−テレフタレート−ビスフェノール−A)]エステル、またはこれらの少なくとも1種を含む組合せを含めることができる。コポリエステルを作製するために、脂肪族2酸および/または脂肪族ポリオールから得られた単位を少量、例えばポリエステルの全重量を基準として約0.5〜約10重量%有する芳香族ポリエステルも考えられる。ポリ(アルキレンアリレート)は、式(8)によるポリエステル構造(但し、Tは、芳香族ジカルボキシレート、脂環式ジカルボン酸、またはこれらの誘導体から得られた基を含む。)を有することができる。具体的に有用なT基の例には、1,2−、1,3−、および1,4−フェニレン;1,4−および1,5−ナフチレン;シス−またはトランス−1,4−シクロヘキシレンなどが含まれる。特に、Tが1,4−フェニレンである場合、ポリ(アルキレンアリレート)はポリ(アルキレンテレフタレート)である。さらに、ポリ(アルキレンアリレート)の場合、特に有用なアルキレン基Dには、例えばエチレン、1,4−ブチレン、シス−および/またはトランス−1,4−(シクロヘキシレン)ジメチレンを含めたビス−(アルキレン−2置換シクロヘキサン)が含まれる。ポリ(アルキレンテレフタレート)の例には、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)(PBT)、およびポリ(プロピレンテレフタレート)(PPT)が含まれる。ポリ(ブチレンナフタノエート)(PEN)やポリ(ブチレンナフタノエート)(PBN)などのポリ(アルキレンナフトエート)も有用である。有用なポリ(シクロアルキレンジエステル)は、ポリ(シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)(PCT)である。これらのポリエステルの少なくとも1種を含む組合せを使用することができる。
アルキレンテレフタレート反復エステル単位をその他のエステル基と共に含むコポリマーも、有用である。有用なエステル単位は、個々の単位としてまたはポリ(アルキレンテレフタレート)のブロックとしてポリマー鎖中に存在することができる、種々のアルキレンテレフタレート単位を含むことができる。そのようなコポリマーの具体例には、ポリ(シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)−co−ポリ(エチレンテレフタレート)が含まれ、このポリマーがポリ(エチレンテレフタレート)を50モル%以上含む場合にはPETGと略され、このポリマーがポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)を50モル%を超えて含む場合にはPCTGと略される。
ポリ(シクロアルキレンジエステル)には、ポリ(アルキレンシクロヘキサンジカルボキシレート)を含めることができる。これらの中で、具体例は、式(9)の反復単位を有するポリ(1,4−シクロヘキサン−ジメタノール−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)(PCCD)である。
式(8)を使用して記述したように、R2は、1,4−シクロヘキサンジメタノールから得られた1,4−シクロヘキサンジメチレン基であり、Tは、シクロヘキサンジカルボキシレートまたはその化学的な均等物から得られたシクロヘキサン環であり、シス異性体、トランス異性体、またはこれらの異性体の少なくとも1種を含む組合せを含むことができる。
ポリカーボネートおよびポリエステルおよび/またはポリエステル−ポリカーボネートは、所望の機能および特性に応じて重量比1:99〜99:1で、具体的には10:90〜90:10で、より具体的には30:70〜70:30で使用することができる。
ポリエステル−ポリカーボネートは、その重量平均分子量(Mw)が1,500〜100,000g/モル、具体的には1,700〜50,000g/モル、より具体的には2,000〜40,000g/モル、さらにより具体的には5,000〜30,000g/モルであることができる。分子量の測定は、架橋スチレン−ジビニルベンゼンカラムを使用したゲル透過クロマトグラフィ(GPC)を使用して行われ、ポリカーボネート参照物質で較正される。サンプルは、約1mg/mlの濃度で調製され、約1.0ml/分の流量で溶出される。
使用される場合、ポリエステル−ポリカーボネートは、そのMVRが、ASTM D1238−04に従い300℃および荷重1.2kgで測定した場合に約5〜約150cc/10分であり、具体的には約7〜約125cc/10分であり、より具体的には約9〜約110cc/10分であり、さらにより具体的には約10〜約100cc/10分であることが望ましい。ポリカーボネートとの商用のポリエステルブレンドは、例えばXYLEX(登録商標)X7300も含めて商標XYLEX(登録商標)で販売されており、商用のポリエステル−ポリカーボネートは、例えばLEXAN(商標)SLX−9000も含めて商標LEXAN(商標)SLXポリマーとして販売されており、SABICイノベーティブプラスティクス社(旧GEプラスティクス社)から入手可能である。
ある実施形態において、熱可塑性組成物は、ポリシロキサン−ポリカーボネートとポリカーボネートとを合わせた100重量部を基準として、ポリカーボネート0〜95重量部、特に1〜95重量部を含む。具体的な実施形態において、熱可塑性組成物は、ポリシロキサン−ポリカーボネートとポリカーボネートとを合わせた100重量部を基準として、ポリカーボネート1〜50重量部、具体的には1〜45重量部、より具体的には5〜40重量部、さらにより具体的には10〜35重量部を含む。別の具体的な実施形態では、熱可塑性組成物は、ポリシロキサン−ポリカーボネートとポリカーボネートとを合わせた100重量部を基準として、ポリカーボネート70〜95重量部、具体的には75〜95重量部、より具体的には80〜95重量部を含む。
ポリカーボネートの他に、本発明で使用される熱可塑性組成物は、ポリシロキサンと共にポリカーボネートも含むポリシロキサン−ポリカーボネートコポリマーを含む。コポリマーのポリシロキサン(本明細書では「ポリジオルガノシロキサン」とも呼ばれる。)ブロックは、式(10)の反復シロキサン単位(本明細書では「ジオルガノシロキサン単位」とも呼ばれる。)を含む。
式中、Rは出現するごとに、同じまたは異なっており、C1〜131価有機基である。例えば、Rは独立して、C1〜C13アルキル基、C1〜C13アルコキシ基、C2〜C13アルケニル基、C2〜C13アルケニルオキシ基、C3〜C6シクロアルキル基、C3〜C6シクロアルコキシ基、C6〜C14アリール基、C6〜C10アリールオキシ基、C7〜C13アリールアルキル基、C7〜C13アリールアルコキシ基、C7〜C13アルキルアリール基、またはC7〜C13アルキルアリールオキシ基であることができる。これらの基は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素、またはこれらの組合せによって、完全にまたは部分的にハロゲン化されていることができる。
式(10)のDの値は、熱可塑性組成物中の各成分のタイプおよび相対量、組成物の選択された特性、および同様の考慮事項に応じて、広く変化させることができる。一般に、Dは、その平均値が2〜1,000、具体的には2〜500、より具体的には5〜100、さらにより具体的には5〜50であることができる。具体的な実施形態において、Dの平均値は40〜50である。模範的な実施形態では、Dの平均値が45である。別の具体的な実施形態では、Dの平均値は20〜40である。別の模範的な実施形態では、Dの平均値が30である。
Dがより低い値のもの、例えば40未満である場合、比較的大量のポリカーボネート−ポリシロキサンコポリマーを使用することが有効である。反対に、Dがより高い値のもの、例えば40を超える場合、比較的少量のポリカーボネート−ポリシロキサンコポリマーを使用することが必要である。
第1および第2(またはそれ以上)のポリシロキサン−ポリカーボネートコポリマーの組合せを使用することができ、第1のコポリマーのDの平均値は、第2のコポリマーのDの平均値よりも小さい。
一実施形態において、ポリジオルガノシロキサンブロックは、式(11)の反復構造単位によって提供される。
式中、Dは上記にて定義された通りであり、各Rは独立して、同じであることも異なることもでき、上記にて定義された通りである。各Arは独立して、同じであることも異なることもでき、置換または非置換C6〜C30アリーレン基であり、その結合は芳香族部分に直接接続されている。式(11)中の有用なAr基は、C6〜C30ジヒドロキシアリーレン化合物、例えば上述の式(3)、(4)、または(7)のジヒドロキシアリーレン化合物から得ることができる。これらのジヒドロキシアリーレン化合物の少なくとも1種を含む組合せを使用することができる。ジヒドロキシアリーレン化合物の具体例は、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−1−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニルスルフィド)、および1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパンである。これらのジヒドロキシ化合物の少なくとも1種を含む組合せを使用することができる。
式(11)の単位は、式(12)の対応するジヒドロキシ化合物から得ることができる。
式中、R、Ar、およびDは、上述の通りである。式(12)の化合物は、相転移触媒の存在下、ジヒドロキシアリーレン化合物と、例えばα,ω−ビスアセトキシポリジオルガノシロキサンとの反応によって得ることができる。
別の実施形態において、ポリジオルガノシロキサンブロックは、式(13)の単位を含む。
式中、RおよびDは上述の通りであり、R4は出現するごとに、独立して、2価C1〜C30アルキレンである。重合したポリシロキサン単位は、その対応するジヒドロキシ化合物の反応残差である。具体的な実施形態において、ポリジオルガノシロキサンブロックは、式(14)の反復構造単位によって提供される。
式中、RおよびDは、上記にて定義された通りである。式(14)中の各R5は、独立して、2価C2〜C8脂肪族基である。式(13)中の各Mは、同じであることも異なることもでき、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜C8アルキルチオ、C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ、C2〜C8アルケニル、C2〜C8アルケニルオキシ基、C3〜C8シクロアルキル、C3〜C8シクロアルコキシ、C6〜C10アリール、C6〜C10アリールオキシ、C7〜C12アリールアルキル、C7〜C12アリールアルコキシ、C7〜C12アルキルアリール、またはC7〜C12アルキルアリールオキシであることができる。各nは、独立して0、1、2、3、または4である。
一実施形態において、Mは、臭素もしくは塩素、メチル、エチル、プロピルなどのアルキル基、メトキシ、エトキシ、もしくはプロポキシなどのアルコキシ基、またはフェニル、クロロフェニル、もしくはトルイルなどのアリール基である。R5は、ジメチレン、トリメチレン、またはテトラメチレン基であり、Rは、C1〜8アルキル、トリフルオロプロピルなどのハロアルキル、シアノアルキル、またはフェニル、クロロフェニル、もしくはトルイルなどのアリールである。別の実施形態において、Rは、メチル、またはメチルおよびトリフルオロプロピルの混合物、またはメチルおよびフェニルの混合物である。さらに別の実施形態では、Mがメトキシであり、nが1であり、R5が2価C1〜C3脂肪族基であり、Rがメチルである。
式(14)の単位は、対応するジヒドロキシポリジオルガノシロキサン(15)から得ることができる。
式中、R、D、M、R5、およびnは、上述の通りである。そのようなジヒドロキシポリシロキサンは、式(16)の水素化シロキサン:
(式中、RおよびDは先に定義された通りである。)と脂肪族不飽和1価フェノールとの間で白金触媒付加を行うことによって、製造することができる。有用な脂肪族不飽和1価フェノールは、例えば、オイゲノール、2−アリルフェノール、4−アリル−2−メチルフェノール、4−アリル−2−フェニルフェノール、4−アリル−2−ブロモフェノール、4−アリル−2−t−ブトキシフェノール、4−フェニル−2−フェニルフェノール、2−メチル−4−プロピルフェノール、2−アリル−4,6−ジメチルフェノール、2−アリル−4−ブロモ−6−メチルフェノール、2−アリル−6−メトキシ−4−メチルフェノール、および2−アリル−4,6−ジメチルフェノールを含む。これらの少なくとも1種を含む混合物を使用することができる。
ポリシロキサン−ポリカーボネートは、ポリシロキサン−ポリカーボネートの全重量を基準として、カーボネート単位を50〜99.9重量%、およびシロキサン単位を0.1〜50重量%、特にシロキサン単位を0.1〜25重量%含む。具体的な実施形態において、ポリシロキサン−ポリカーボネートコポリマーは、カーボネート単位を90〜99重量%、より具体的には92〜98重量%、さらにより具体的には93〜97重量%、さらにより具体的には93〜96重量%と、シロキサン単位を1〜10重量%、具体的には2〜8重量%、より具体的には3〜7重量%、さらにより具体的には4〜7重量%含む。模範的な実施形態において、ポリシロキサン−ポリカーボネートは、シロキサン単位を約6重量%含む。別の具体的な実施形態では、ポリシロキサン−ポリカーボネートコポリマーは、カーボネート単位を75〜90重量%、より具体的には75〜85重量%、さらにより具体的には77〜83重量%、さらにより具体的には78〜82重量%と、シロキサン単位を10〜25重量%、具体的には15〜25重量%、より具体的には17〜23重量%、さらにより具体的には18〜22重量%含む。別の模範的な実施形態では、ポリシロキサン−ポリカーボネートは、シロキサン単位を約20重量%含む。尚、ポリシロキサン−ポリカーボネートにおける組成重量%の前記表示の全ては、ポリシロキサン−ポリカーボネートの全重量に対するものである。
ある実施形態において、ポリシロキサン−ポリカーボネートは、ポリシロキサン単位と、ビスフェノールA、例えば式(3)(但し、A1およびA2のそれぞれはp−フェニレンであり、Y1はイソプロピリデンである。)のジヒドロキシ化合物から得られたカーボネート単位とを含む。ポリシロキサン−ポリカーボネートは、1mg/mlのサンプル濃度で、架橋スチレン−ジビニルベンゼンカラムを使用するゲル透過クロマトグラフィにより測定した場合、およびポリカーボネート標準物質で較正した場合、2,000〜100,000g/モル、特に5,000〜50,000g/モルの重量平均分子量を有していることができる。
ポリシロキサン−ポリカーボネートは、荷重1.2kgの下、300℃で測定した場合、その溶融体積流量を1〜50cm3/10分(cc/10分)に、特に2〜30cc/10分にすることができる。種々の流動特性を有するポリシロキサン−ポリカーボネートの混合物は、選択された流動特性の全体を実現するのに使用することができる。ある実施形態において、模範的なポリシロキサン−ポリカーボネートは、SABICイノベーティブプラスティクス社(旧GEプラスティクス社)から入手可能な、LEXAN(商標)EXLポリカーボネートという商標で販売されている。
ある実施形態において、熱可塑性組成物は、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよび任意の添加されたポリカーボネートを合わせた100重量部を基準として、ポリシロキサン−ポリカーボネートを5〜100重量部、特に5〜99重量部の量で含む。具体的な実施形態では、熱可塑性組成物は、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよび任意の添加されたポリカーボネートを合わせた100重量部を基準として、ポリシロキサン−ポリカーボネートを50〜99重量部、具体的には55〜99重量部、より具体的には60〜95重量部、さらにより具体的には65〜90重量部の量で含む。別の具体的な実施形態では、熱可塑性組成物は、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよび任意の添加されたポリカーボネートを合わせた100重量部を基準として、ポリシロキサン−ポリカーボネートを5〜30重量部、具体的には5〜25重量部、より具体的には5〜20重量部含む。
選択された実施形態において、熱可塑性組成物は、X線造影剤も含む。X線造影剤は、入射X線放射を散乱させるのに十分な原子番号を有する、X線散乱原子とも本明細書では呼ばれる原子を含む、無機化合物にすることができる。ある実施形態では、X線造影剤は、原子番号が22以上、より具体的には24以上、より具体的には26以上、さらにより具体的には28以上のX線散乱原子を含む。またある実施形態では、X線造影剤は、X線造影剤の全重量を基準として、X線散乱原子を約1重量%以上、より具体的には約5重量%以上、さらにより具体的には約10重量%以上の量で含む。
X線造影剤は、一実施形態において粒子の形をとり、使用されるタイプに応じて充填剤、顔料、または本明細書に定義される適切な特性を有する種類のその他の無機材料であることができる。本明細書に開示された粒子は、任意の適切な形態学的な形で使用することができ、微粒子、ナノ粒子、並びに球状、棒、ファセット成長結晶形状、不規則な形状などの様々な形状を有することができ、これらの形状に限定されない。X線造影剤の粒子のサイズは、粒度および粒度の両方でも呼ばれる、最長寸法により測定された場合、中央粒度とも呼ばれる粒度分布の中央値を使用して、より一般的に記述することができる。粒度は、様々な方法を使用して測定することができ、典型的には、レーザ光散乱技法とも一般に呼ばれる静的光散乱(SLS)および動的光散乱(DLS)を含んだ光散乱法を使用して、測定することができる。本明細書に開示されたX線造影剤の粒子は、その中央粒度(D50)が約5μm以下であり、具体的には2μm以下、より具体的には1.5μm以下、さらにより具体的には約1μm以下である。具体的な実施形態では、有用なX線造影剤は、その中央粒度が約0.1〜約0.5μmであり、特に約0.2〜約0.5μmである。別の具体的な実施形態では、有用なX線造影剤は、その中央粒度が約0.5〜約1μmであり、特に約0.5〜約0.9μmである。X線造影剤の最大粒度範囲(D90、粒子の90%がより小さい。)は、中央粒度と共に変化し、一般に約0.5〜約30μm、特に約1〜約25μmにすることができ、最大粒度を有する粒子がX線造影剤の粒子の全重量の5重量%未満、特に3重量%未満を構成する。X線造影剤の中央粒度の分布は、単峰性、2峰性、または多峰性でありうる。
X線造影剤は、熱可塑性組成物中に存在する任意の不純物が熱可塑性組成物の所望の特性に著しい悪影響を及ぼさない限り、様々な段階の組成純度で使用することができる。望む場合には、X線造影剤は、X線造影剤の全重量を基準として約0.1重量%以下、より具体的には約0.01重量%以下、さらにより具体的には約0.001重量%以下の、少量の不純物を有することができる。一実施形態では、X線造影剤は、熱可塑性組成物の所望の特性が著しい悪影響を受けないように少量で、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ケイ素、鉄、亜鉛、ニッケル、銅、ホウ素、アルミニウム、およびこれらの組合せなどの金属および/または非金属の、酸化物、水酸化物、カルボン酸塩、炭酸塩、次炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、ケイ酸塩、アルミン酸塩、またはその他の塩として存在する不純物を、少量含有することができる。別の実施形態では、そのような不純物は、組成物の所望の特性に著しい悪影響を及ぼすのに十分な量で、X線造影剤中において最初に(処理または精製の前に)存在しているものであるが、X線造影剤は、存在するそのような不純物を除去しまたは減少するように処理または精製することができる。本明細書に開示されたX線造影剤は、適切な材料を提供するためには、相の分離または精製を必要としない。
使用されるX線造影剤は、未処理状態でもよく、または処理、被覆、および/または分散状態で使用することができる。任意の適切な表面コーティング剤、処理、または分散剤は、本明細書で使用されるX線造影剤粒子の分散特性、接着特性、またはその他の特性を望み通りに調節するのに適したものを、使用することができる。さらに、X線造影剤は、単一構造の粒子中に存在することができ、または相もしくは組成が異なるコア層およびシェル層を備えたコア−シェル構造の粒子として存在することができると考えられる。その構造粒子を含むことが熱可塑性組成物の特性に著しい悪影響を全く及ぼさない限り、任意の粒子構造が考えられる。
上述に開示されたX線造影剤は、無機物質を含み、十分なX線造影をもたらし、それと共に調製された熱可塑性組成物の特性に著しい悪影響を及ぼさない。有用な顔料には、例えば無機顔料が含まれる。模範的な無機顔料には、金属酸化物水酸化物と、酸化亜鉛や2酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、酸化セリウム、着色酸化アルミナ粒子などの金属酸化物が含まれる。無機顔料は、カーボネートと、ルチル、スピネル、プリデライト、および疑似ブルッカイト顔料構造をベースにしたチタネートを含むことができる。本明細書で使用される「ルチル」は、その2種の豊富ではない多形体、即ちアナターゼ(正方晶、擬似8面体形態)および疑似ブルッカイト、斜方晶鉱物と共に、主に2酸化チタン(TiO2)からなる鉱物であり、TiO2の最もありふれた天然形態である。ルチルは、TiO2の3種の多形体(即ち、ルチル、疑似ブルッカイト、アナターゼ)の中で最も低い分子体積を有し、したがって最高密度を有するので、TiO2の望ましい多形体である。ルチルは、任意の公知の鉱物の中で、最も高い屈折率を有する。また本明細書で使用される「スピネル」は、一般に、立方(等軸)晶系に結晶化する、一般式XY2O4(但し、XおよびYはそれぞれ金属陽イオンである。)の鉱物のクラスのいずれかであり、その酸化物陰イオンは立方最密充填格子に配置され、陽イオンXおよびYは格子内の8面体および4面体サイトの一部または全てを占有し、但しXおよびYは2価、3価、または4価の陽イオンでありうる。典型的なXおよびY金属陽イオンには、マグネシウム、亜鉛、鉄、マンガン、アルミニウム、クロム、チタン、およびケイ素が含まれるが、これらに限定されるものではない。スピネルの陰イオンは、典型的には酸化物である。スピネルは、X陽イオンが酸化物格子の4面体サイトを占有し、Y陽イオンが8面体サイトを占有する正スピネルであることができ、または、Y陽イオンの半分が4面体サイトを占有し、XおよびYの両方の陽イオンが8面体サイトを占有する逆スピネルであることができる。したがって逆スピネルは、4面体に比べて2倍ほど多く充填された8面体を有することができる。
無機顔料は、炭酸カルシウムや炭酸コバルトなどの炭酸塩、チタン酸クロムアンチモンやチタン酸ニッケルアンチモンなどのルチルをベースにしたチタネート、チタン酸コバルトやチタン酸鉄などのスピネル、プリデライト、および疑似ブルッカイト顔料構造を含むことができる。ルチル格子内に含有されていることができる金属イオンの例には、タングステン、コバルト、リチウム、セリウム、マンガン、ニオブ、バリウム、スズ、および亜鉛が含まれるが、これらの金属イオンに限定されるものではない。その他の模範的な顔料には、亜クロム酸銅ブラックや亜クロム酸コバルトグリーンなどのクロマイト;マグネシウムおよび亜鉛を含有する純フェライトスピネル、混合クロマイト/フェライトスピネル、およびピグメントグリーン17またはピグメントブラウン29と称される混合クロム鉄顔料などのフェライト;硫化カドミウムおよび硫化セレン化カドミウム、硫化セリウム、硫化亜鉛、硫酸バリウム、および硫酸ストロンチウムなどの硫化物および硫酸塩;クロム酸塩;ウルトラマリンおよびジルコニウムのケイ酸塩、およびジルコンプラセオジムイエロー顔料などのケイ酸塩;Fe(II)−FE(III)シアノ錯体(例えば、「プルシアンブルー」)などのシアン化物錯体;カルシウム、ランタン、およびタンタル酸化物−窒化物およびチタン窒化物;リン酸マンガンおよびリン酸コバルト;チタニア−希土類混合酸化物顔料;硫化物および硫化セレン化物、アルカリ土類硫化物および硫化セレン化物、酸硫化物、ホウ酸塩、アルミン酸塩、没食子酸塩、ケイ酸塩、ゲルマニウム酸塩、ハロリン酸塩およびリン酸塩、酸化物、ヒ酸塩、およびバナジウム酸イットリウムを含むバナジウム酸塩、ニオブ酸塩およびタンタル酸塩、硫酸塩、タングステン酸塩、およびモリブデン酸塩などの発光顔料が含まれる。
X線造影剤として使用することができるその他の無機化合物には、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類ハロゲン化物、アンチストークスシフト顔料を含めたもの、および酸ハロゲン化物;粒度が5nm未満であるナノスケールケイ素などの量子効果顔料;Cd3P2やPbSなどの半導体発光ナノ粒子;およびCaS:Eu、Smなどの貯蔵蛍リン光体が含まれる。リン光材料(「蛍リン光体」)を使用することができる。そのような蛍リン光体には、ZnS:CuおよびSrS:Biが含まれる。使用することができる蛍リン光体には、MAl2O4(但し、Mは、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、またはこれらの金属の少なくとも1種を含む組合せなどの金属である。)をベースにしたものが含まれる。マトリックスには、ユーロピウムおよびジスプロシウムをドープすることができる。
アゾレーキ(カルシウムレーキ)、ランタニドキレート、金属ジチオール錯体、フタロシアニン、メタロポルフィリン染料、およびヨウ化1,1’−ジエチル−2,2’−カルボシアニンを含むその他の顔料および染料を、X線造影剤として使用することができる。使用することができるその他の着色剤には、雲母、黒雲母、金属酸化物雲母、3酸化アンチモン、角度条件等色顔料、コレステリック液晶、金属酸化物コーティングガラス、金属フレーク、またはこれらの材料の少なくとも1種を含む組合せが含まれる。一実施形態では、顔料または着色添加剤は、最大直径が17.5〜650μmである金属フレークである。金属フレークは、アルミニウム、青銅、黄銅、クロム、銅、金、これらの材料の少なくとも1種を含む合金、またはこれらの材料の少なくとも1種を含む組合せを含むことができる。着色剤には、磁気特性を有する材料、例えば2酸化クロム、酸化鉄、およびコバルト含有酸化鉄などの磁気顔料も含まれる。これらの種々のタイプの添加剤のいずれか1種または複数を含む組合せを、使用することができる。
X線造影剤として有用な具体的な無機化合物には、マグネタイトおよびルチルチタネートが含まれる。一実施形態では、X線造影剤は、酸化第1鉄第2鉄とも呼ばれるマグネタイトを含むことができる。マグネタイトは、ウスタイト(FeO、鉄(II)化合物)1モル当量およびヘマタイト(Fe2O3、鉄(III)化合物)1モル当量を含む、FeO・Fe2O3とも書くことができる化学式Fe2O4のフェリ磁性鉱物である。マグネタイトは、鉱物として、または例えば水溶液法によって調製される生成物として、得ることができる。Fe(II)およびFe(III)の酸化物を含む他、マグネタイトはさらに、例えばリン、ケイ素、および/またはアルミニウムなどのその他の元素を少量、即ち合計で約5重量%未満、含むことができ、これらの1種または複数を含むことにより、合成マグネタイトの粒子形状に影響を及ぼす可能性がある。したがってマグネタイトの粒子は、その構造が6面体、8面体、ツイン(twinned)、または球状であることができる。マグネタイトは逆スピネル構造を有する。マグネタイトが使用される具体的な実施形態で、マグネタイトの中央粒度は約1μm未満である。より具体的な実施形態では、マグネタイトの中央粒度は0.01〜約0.5μm、具体的には約0.1〜約0.5μm、さらにより具体的には約0.2〜約0.5μmである。
別の実施形態において、X線造影剤は、ルチルチタネートを含むことができる。ルチルチタネート顔料とも呼ばれる、ルチルチタネートは、ルチル(2酸化チタン、TiO2)結晶構造および少なくとも2種の金属酸化物を含む顔料である。典型的には、ルチルチタネート顔料は、発色遷移金属イオンを宿主酸化物、例えば2酸化チタン(ルチル)のルチル結晶構造内に混入させることによって帯色する。さらに、ルチルチタネートは、アンチモン、タングステン、またはニオブなどの金属を含むことができる。ルチルチタネートは化学的に中性であり、そのような顔料がポリカーボネートをベースにしたマトリックスに含まれる場合には分解を最小限に抑えるのに望ましい。模範的なルチルチタネートには、ピグメントイエロー53顔料(ニッケルアンチモンルチルチタネート顔料)、ピグメントイエロー163(クロムタングステンルチルチタネートオレンジ)、およびピグメントブラウン24(クロムアンチモンルチルチタネートイエロー)が含まれる。これらのルチルチタネートの少なくとも1種を含む組合せを、使用することができる。
ルチルチタネートは、当技術分野で公知の任意の適切な手段によって製造することができる。例えばルチルチタネートは、まず、遷移金属化合物(酸化ニッケルおよび炭酸ニッケルなどのニッケル化合物、タンタル化合物、酸化アンチモン、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、またはこれらの混合物などを含む。)とチタン化合物およびその他の任意の化合物(アンチモン、タングステンの化合物、またはその他の添加剤化合物)とを、混合金属化合物が形成されるよう適切な割合で、湿式または乾式状態で、一緒に密に混合する焼成プロセスによって調製することができる。使用されるチタン化合物は、例えば、2酸化チタン、酸化チタン水和物、含水酸化チタン、硫酸チタニル、合成アナターゼ、超微細ルチル、またはルチル顔料であることができる。天然ルチルは、鉄を10重量%までとニオブおよびタンタルをかなりの量で含有することができるので、従来のルチルチタネート製造プロセスは、塩化物または硫酸塩プロセスによって調製された合成2酸化チタンを使用することができる。さらに、W6+、Mo6+、Nb5+、またはTa5+、またはこれらの混合物などの金属陽イオンを含む化合物は、ルチル鉱および遷移金属酸化物と組み合わせることができる。そのように製造された混合金属酸化物は、次いでキルンまたは炉内において高温で焼成される。例えばニッケルチタネートイエローは、活性グレードの炭酸ニッケルと微粉状活性グレードの酸化アンチモンおよび活性グレードの2酸化チタンとを混合し、この混合物が完全に反応してニッケル−アンチモンチタネートが形成されるように、最高約1,000℃で焼成することによって、製造することができる。
熱可塑性組成物は、X線造影剤の混合物を含むことができる。したがって、含まれる任意のその他の顔料または充填剤が組成物の所望の特性に著しい悪影響を及ぼさない限り、熱可塑性組成物はさらに、マグネタイト、ルチルチタネート、またはマグネタイトおよびルチルチタネートの組合せの他に、上記列挙された無機化合物のいずれをも含むことができる。
一実施形態において、熱可塑性組成物は、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよび任意の添加されたポリカーボネートを合わせた100重量部を基準として、X線造影剤を、約0.01〜約10重量部、具体的には約0.05〜約10重量部、より具体的には約0.1〜約10重量部、さらにより具体的には約0.1〜約8重量部、さらになおより具体的には約0.1〜約6重量部含む。
X線造影剤を使用する代替の実施形態において、熱可塑性組成物は、X線造影剤の代わりに金属検出可能物質を含む(または、いくつかの実施形態では、両方を使用することにより、X線検出器または金属検出器と共に組成物を確実に使用することができるようにすることができる。)。金属検出可能物質は、良好な透磁性および/または良好な導電性を有する任意の鉄または非鉄金属とすることができる。ほとんどの標準的な金属検出器は、マグネタイトなど、鉄を含有するような、磁性のある材料を検出することが可能である。しかし、その他の金属検出器は、銅やアルミニウムのように材料が磁性を持たない場合であっても、材料の導電性に基づいて金属を検出することが可能である。本発明の概念は、粒子に形成することができその後、金属検出器を使用して検出することが可能な任意の金属検出可能物質、鉄または非鉄系、に適用される。
さらに、ポリカーボネートとポリカーボネート−ポリシロキサンコポリマーとの両方を有する組成物に関しては、最終生成物に少量のシロキサンが含まれる場合であっても、金属検出可能物質を添加することが、衝撃強さの保持を驚くほど助けることが発見されている。一般に、最終組成物中のシロキサンの量が多くなるほど、衝撃特性はより良好になる。しかし、本発明の組成物では、より低量のシロキサンおよび少量の金属検出可能物質を有する組成物によって、ノッチ付きアイゾッド衝撃などのより良好な衝撃特性が得られることが発見された。
金属検出可能物質は、粒子の形をとり、使用されるタイプに応じて、充填剤、顔料、またはその他の、本明細書で定義された適切な特性を有する無機材料の種類であることができる。本明細書に開示された粒子は、任意の適切な形態学的な形で使用することができ、微粒子、ナノ粒子、並びに、球、棒、ファセット成長結晶形状、不規則な形状などの様々な形状を有する粒子を含むが、これらに限定されるものではない。金属検出可能物質の粒子のサイズは、粒度および粒度の両方でも呼ばれる最長寸法により測定された場合、中央粒度とも呼ばれる粒度分布の中央値を使用して、より一般的に記述することができる。
粒度は、様々な方法を使用して測定することができ、典型的には、レーザ光散乱技法とも一般に呼ばれる静的光散乱(SLS)および動的光散乱(DLS)を含めた光散乱法を使用して、測定することができる。一実施形態では、本明細書に開示された金属検出可能物質の粒子は、その中央粒度(D50)が5μm以上であり、具体的には8μm以上、より具体的には10μm以上である。代替の実施形態では、金属検出可能物質の粒子は、その中央粒度が50μm以下であり、特に20μm以下である。具体的な実施形態では、有用な金属検出可能物質は、その中央粒度が5〜25μmであり、特に5〜10μmである。金属検出可能物質の最大粒度範囲(D90、粒子の90%がより小さい。)は、中央粒度と共に変化し、一般に5〜50μm、特に5〜25μmにすることができ、中央粒度を有する粒子は、金属検出可能物質の粒子の全重量の5重量%未満、特に3重量%未満を構成する。金属検出可能物質の中央粒度の分布は、単峰性、2峰性、または多峰性でありうる。
代替の実施形態において、本明細書に開示された金属検出可能物質の粒子は、その中央粒度(D50)が5μm以下であり、具体的には2μm以下であり、より具体的には1.5μm以下であり、さらにより具体的には1μm以下である。具体的な実施形態では、有用な金属検出可能物質は中央粒度が0.1〜0.5μmであり、特に0.2〜0.5μmである。別の具体的な実施形態では、有用な金属検出可能物質は中央粒度が0.5〜1μmであり、特に0.5〜0.9μmである。
金属検出可能物質は、熱可塑性組成物中に存在する任意の不純物が熱可塑性組成物の選択された特性に著しい悪影響を及ぼさない限り、組成純度の様々な段階で使用することができる。代替の実施形態では、金属検出可能物質は、この金属検出可能物質の全重量を基準として0.1重量%以下、より具体的には0.01重量%以下、さらにより具体的には0.001重量%以下の少量の不純物を有することができる。一実施形態では、金属検出可能物質は、熱可塑性組成物の選択された特性が著しい悪影響を受けないように少量で、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ケイ素、鉄、亜鉛、ニッケル、銅、ホウ素、アルミニウム、およびこれらの組合せなどの金属および/または非金属の、酸化物、水酸化物、カルボン酸塩、炭酸塩、次炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、ケイ酸塩、アルミン酸塩、またはその他の塩としてとして存在する不純物を、少量含有することができる。別の実施形態では、金属検出可能物質は、存在するそのような不純物を除去しまたは減少するように処理または精製することができ、そのような不純物は、組成物の選択された特性に著しい悪影響を及ぼすのに十分な量で、金属検出可能物質中に最初に(処理または精製の前に)存在しているものである。本明細書に開示された金属検出可能物質は、適切な材料を提供するためには、相の分離または精製を必要としない。
使用される金属検出可能物質は、未処理状態でもよく、または処理、被覆、および/または分散状態でも使用することができる。任意の適切な表面コーティング剤、処理、または分散剤としては、本明細書で使用される金属検出可能物質粒子の分散特性、接着特性、またはその他の特性を望み通りに調節するのに適したものを、使用することができる。さらに、金属検出可能物質は、単一構造の粒子中に存在することができ、または相もしくは組成が異なるコア層およびシェル層を備えたコア−シェル構造の粒子中に存在することができると考えられる。その構造の粒子を含むことが熱可塑性組成物の特性に著しい悪影響を全く及ぼさない限り、任意の粒子構造が考えられる。
金属検出可能物質として有用な具体的な化合物には、マグネタイトが含まれる。一実施形態では、金属検出可能物質は、先に論じたマグネタイトを含むことができる。マグネタイトが使用される一実施形態では、マグネタイトの中央粒度が1μmを超える。より具体的な実施形態では、マグネタイトの中央粒度が5〜25μmであり、具体的には5〜15μmであり、さらにより具体的には5〜10μmである。マグネタイトが使用される別の実施形態では、マグネタイトの中央粒度が約1μm未満である。より具体的な実施形態では、マグネタイトの中央粒度は0.01〜約0.5μmであり、具体的には約0.1〜約0.5μmであり、さらにより具体的には約0.2〜約0.5μmである。
熱可塑性組成物は、金属検出可能物質の混合物を含むことができる。したがってマグネタイトの他に、熱可塑性組成物はさらに、この組成物の選択された特性に著しい悪影響を及ぼさない任意の追加の金属検出可能物質を含むことができる。
一実施形態において、熱可塑性組成物は、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準として、金属検出可能物質を0.01〜10重量部、具体的には0.05〜10重量部、より具体的には0.1〜10重量部、さらにより具体的には0.1〜8重量部、さらになおより具体的には0.1〜6重量部含む。
また別の実施形態において、熱可塑性組成物は、この熱可塑性組成物の全重量を基準として、そのシロキサン単位が0.1〜6重量%、具体的には0.5〜6重量%、より具体的には1〜6重量%、さらにより具体的には1〜5重量%のシロキサン単位、さらにより具体的には1〜4重量%の、シロキサン単位を含有する。
したがって熱可塑性組成物は、ポリカーボネート、ポリシロキサン−ポリカーボネートポリマー、およびX線造影剤または金属検出可能物質のいずれか、またはその両方を含む。一実施形態では、熱可塑性ポリマー中において特に有用なポリカーボネートには、ホモポリカーボネート、コポリカーボネート、ポリエステル−ポリカーボネート、これらとポリエステルとのブレンド物、およびこれらのポリカーボネート型樹脂の少なくとも1種またはブレンド物を含む組合せが含まれる。具体的な実施形態では、熱可塑性組成物は、本質的に、ポリシロキサン−ポリカーボネートポリマー、X線造影剤、および任意の追加のポリカーボネートからなる。添加剤および/または充填剤を含めることができるが、これらは組成物に必要不可欠なものではない。別の具体的な実施形態では、熱可塑性組成物は、ポリシロキサン−ポリカーボネートポリマーとX線造影剤とからなる。別の具体的な実施形態では、熱可塑性組成物は、ポリシロキサン−ポリカーボネートポリマー、X線造影剤、および追加のポリカーボネートからなる。別の具体的な実施形態では、熱可塑性組成物は、本質的に、ポリカーボネート、ポリシロキサン−ポリカーボネートポリマー、金属検出可能物質、およびこの組成物に必要不可欠ではない任意の添加剤および/または充填剤からなる。別の具体的な実施形態では、熱可塑性組成物は、ポリシロキサン−ポリカーボネートポリマーおよび金属検出可能物質からなる。別の具体的な実施形態では、熱可塑性組成物は、ポリシロキサン−ポリカーボネートポリマー、金属検出可能物質、および追加のポリカーボネートからなる。
ポリカーボネート、ポリシロキサン−ポリカーボネートコポリマー、およびX線造影剤または金属検出可能物質の他に、熱可塑性組成物はさらに、このタイプの熱可塑性組成物に通常混入される様々なその他の添加剤を含むことができる。この添加剤は、熱可塑性組成物の選択された特性に著しい悪影響を及ぼさないよう選ばれる。添加剤の混合物を使用することができる。そのような添加剤は、熱可塑性組成物を製造するために成分を混合している間の、適切な時点で混合することができる。
本明細書で想定される有用な添加剤には、衝撃改質剤、充填剤、染料および顔料を含めた着色剤、抗酸化剤、熱安定化剤、光および/またはUV光安定化剤、可塑剤、潤滑剤、離型剤、難燃剤、帯電防止剤、滴下防止剤、および放射線(γ)安定化剤など、またはこれらの添加剤の少なくとも1種を含む組合せが含まれるが、これらに限定されるものではない。その他の樹脂および/または添加剤を、本明細書に記述された熱可塑性組成物に使用することができると考えられるが、そのような添加剤は、いくつかの模範的な実施形態では有用であるが、必要不可欠なものではない。
驚くべきことに、ポリシロキサン−ポリカーボネートと、X線造影剤としてのマグネタイトまたはルチルチタネートを熱可塑性組成物の10重量%未満の量で含む熱可塑性組成物は、十分なX線造影をもたらすことに加えて、望ましく改善された熱安定性および化学安定性も有することが見出された。熱可塑性組成物のポリカーボネート基の熱および化学安定性は、ASTM D1238−04に従い約300℃および1.2kgの力のMVR測定条件を使用して、通常の滞留時間6分およびより過酷な滞留時間18分で熱可塑性組成物の同一サンプルで得られたMVRに関して溶融体積流量(MVR)が31%以下という、最小限のまたは低い増加(シフト)に見られる。したがって、ポリカーボネートをベースにした組成物の分解は、どんな場合も、非マグネタイトまたはルチルチタネートのX線造影剤で観察されたものに比べてごく僅かであった。熱可塑性組成物の機械的特性は、小さな中央粒度(例えば、約1.0μm以下)を有するマグネタイト、またはルチルチタネートがX線造影剤として使用される場合も保持され、特に、ノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)値が−30℃で約409J/m以上、−20℃で約559J/mを超え、および/または0℃で約620J/m以上であり、これらの温度で延性が100%に保持される(ASTM D256−04に従い実施された延性破壊モードを示す少なくとも5つの成型サンプルの試験セットの100%を基準とする)。熱可塑性組成物はさらに、同一に調製されたがマグネタイトまたはルチルチタネート粒子以外のX線造影剤(例えば、バリウム塩、ビスマス塩、およびスピネル顔料など)を使用して調製された同等の熱可塑性組成物に比べ、低温(−30℃程度)で改善された延性を示す。
MVRシフトは、ASTM D1238−04に従って、1.2kgの荷重の下300℃で、かつ滞留時間6分および18分でなされた、cc/10分を単位とするMVR測定から測定した。MVRシフト(即ち、MVRの増加)は、下記の式に従い計算される:
MVRシフト(%)={[(MVR@18分)−(MVR@6分)]/[MVR@6分]}×100
(式中、MVR@18分は、滞留時間18分で測定されたMVRを表し、MVR@6分は、滞留時間6分で測定されたMVRを表す。)。したがって、ある実施形態では、ASTM D1238−04に従い300℃の温度で1.2kgの荷重の下、測定された熱可塑性組成物の溶融体積流量に関し、滞留時間18分で測定された溶融体積流量は滞留時間6分で測定された溶融体積流量よりも31%以下だけ増加し、具体的には約20%以下だけ増加し、より具体的には16%以下だけ増加する。
MVRシフト(%)={[(MVR@18分)−(MVR@6分)]/[MVR@6分]}×100
(式中、MVR@18分は、滞留時間18分で測定されたMVRを表し、MVR@6分は、滞留時間6分で測定されたMVRを表す。)。したがって、ある実施形態では、ASTM D1238−04に従い300℃の温度で1.2kgの荷重の下、測定された熱可塑性組成物の溶融体積流量に関し、滞留時間18分で測定された溶融体積流量は滞留時間6分で測定された溶融体積流量よりも31%以下だけ増加し、具体的には約20%以下だけ増加し、より具体的には16%以下だけ増加する。
驚くべきことに、ポリカーボネート、ポリシロキサン−ポリカーボネート、およびマグネタイトを金属検出可能物質として熱可塑性組成物の10重量%未満の量で含む熱可塑性組成物は、金属検出可能ポリカーボネート−ポリシロキサン配合物を生成するのに使用できることも見出された。マグネタイトの粒度は、組成物の重要な特性(流動性、低温衝撃、光沢)を維持することができるように選択される。熱可塑性組成物の機械的特性は、選択された中央粒度を有するマグネタイトが、特に物品を製造するのに金属検出可能物質として使用される場合にも保持されるが、この物品は、熱可塑性組成物から製造されかつ厚さが3.2mmである場合、ASTM D256−04に従い温度23℃で測定したときのノッチ付きアイゾット衝撃(NII)強さが300J/以上であり、またはASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが150J/m以上のものである(ASTM D256−04に従い実施された、延性破壊モードを示す少なくとも5つの成型サンプルの試験セットの100%を基準とする)。
X線造影剤を使用する実施形態において、熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、ASTM D256−04に従い温度23℃で測定した場合、そのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが約621J/m以上であり、具体的には約689J/m以上であり、より具体的には約690J/m以上であり、さらにより具体的には約694J/m以上である。またこの実施形態では、厚さ3.2mmであり熱可塑性組成物から成型された少なくとも5つの成型物品の試験セットについては、ASTM D256−04に従い温度23℃で測定した場合、物品の100%が延性破壊モードを示した。
X線造影剤を使用する代替の実施形態において、熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定した場合、そのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが約620J/m以上であり、具体的には約640J/m以上であり、より具体的には約660J/m以上であり、さらにより具体的には約680J/m以上である。またある実施形態では、厚さ3.2mmであり熱可塑性組成物から成型された少なくとも5つの成型物品の試験セットについては、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定した場合、物品の100%が延性破壊モードを示した。
X線造影剤を使用するさらに別の実施形態において、熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、ASTM D256−04に従い温度−10℃で測定した場合、そのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが約475J/m以上であり、具体的には約480J/m以上であり、より具体的には約490J/m以上であり、さらにより具体的には約500J/m以上である。またある実施形態では、厚さ3.2mmであり熱可塑性組成物から成型された少なくとも5つの成型物品の試験セットについては、ASTM D256−04に従い温度−10℃で測定した場合、物品の100%が延性破壊モードを示した。
X線造影剤を使用するさらに別の代替の実施形態において、熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、ASTM D256−04に従い温度−20℃で測定した場合、そのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが約560J/m以上であり、具体的には約600J/m以上であり、より具体的には約650J/m以上であり、さらにより具体的には約674J/m以上である。またある実施形態では、厚さ3.2mmであり熱可塑性組成物から成型された少なくとも5つの成型物品の試験セットについては、ASTM D256−04に従い温度−20℃で測定した場合、物品の100%が延性破壊モードを示した。
X線造影剤を使用するさらに別の代替の実施形態において、熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、ASTM D256−04に従い温度−30℃で測定した場合、そのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが約409J/m以上であり、具体的には約450J/m以上であり、より具体的には約512J/m以上であり、さらにより具体的には約527J/m以上である。またある実施形態では、厚さ3.2mmであり熱可塑性組成物から成型された少なくとも5つの成型物品の試験セットについては、ASTM D256−04に従い温度−30℃で測定した場合、物品の100%が延性破壊モードを示した。本明細書に開示された熱可塑性組成物は、これらの温度23℃、0℃、−10℃、−20℃、および/または−30℃の少なくとも1つの温度で測定されたこれらのノッチ付きアイゾッド衝撃値の少なくとも1つを満たすことが理解される。
X線造影剤を使用するさらに別の代替の実施形態において、熱可塑性組成物の表面の光沢は、ASTM D2457に従い3mmの着色チップ上で60°の角度で測定した場合、90光沢度(GU)以上であり、具体的には95GU以上であり、より具体的には96GU以上であり、さらにより具体的には98GU以上であり、さらにより具体的には100GU以上である。この実施形態による光沢の尺度は、物品の表面の凹凸および仕上げ(即ち、滑らかさ)に関する代替的尺度として使用することができ、光沢の増大は表面の滑らかさの増大に相関し、したがって熱可塑性組成物から成型された物品の表面欠陥が少なくなる。具体的な実施形態では、90GUを超える高光沢が、熱可塑性組成物から成型されたチョコレート型には望ましく、チョコレート型の高い表面光沢および滑らかさは、チョコレート型中で成型されるチョコレートに、それに対応した所望の表面光沢を与える。
金属検出可能物質を使用する実施形態において、熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmである物品は、そのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さは、ASTM D256−04に従い温度23℃で測定した場合、350J/m以上であり、具体的には400J/m以上であり、より具体的には450J/m以上であり、さらにより具体的には500J/m以上である。またある実施形態では、厚さ3.2mmであり熱可塑性組成物から成型された少なくとも5つの成型物品の試験セットの場合、それら物品の100%は、ASTM D256−04に従い温度23℃で測定したときに延性破壊モードを示した。
金属検出可能物質を使用する代替の実施形態において、熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmである物品は、そのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さは、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定した場合、200J/m以上であり、具体的には250J/m以上であり、より具体的には300J/m以上であり、さらにより具体的には350J/m以上である。またある実施形態では、厚さ3.2mmであり熱可塑性組成物から成型された少なくとも5つの成型物品の試験セットの場合、それら物品の100%は、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときに延性破壊モードを示した。
X線造影剤が使用されるこれらの実施形態において、熱可塑性組成物から成型された物品は、X線造影を実証する。物品は、非造影的なまたは造影度の低いバックグラウンド材料に対するX線画像において観察可能であることにより、定性的に観察することができる。例えば、熱可塑性組成物を含む物品のX線画像は、有機材料(チョコレートバーなど)、熱可塑性ポリマー(ビスフェノールAポリカーボネートなど)、または本発明の熱可塑性組成物と同一であるがX線造影剤を含まない組成物を含む物品に対して観察可能である。
あるいは、X線造影は、熱可塑性組成物を含む物品のX線画像のグレースケール測定によって、定量することができる。これは、グレースケール強度に一連のX線散乱標準物質(それぞれが既知の厚さである一連のアルミニウムフィルムまたはプレートなど)の厚さを相関させる較正曲線を作成することによって、実現することができる。標準物質を透過するX線透過強度は、標準物質(およびサンプル)に既知の強度のX線放射を照射し、X線検出器を使用して直接透過データを得ることにより、直接定量することができる。あるいは、照射された標準物質のデジタル画像は、電荷結合素子を使用して得ることができ、得られた画像のグレーシェーディング(gray shading)は画素化することができ、画像の1つまたは複数のサンプル領域のグレースケール強度を平均することができ、したがってこの値を使用して、各標準物質(およびサンプル)の全体的なグレースケール強度を測定することができる。各標準物質のプロット強度(y軸)対厚さ(x軸)は、ある相関を示し、サンプル(熱可塑性組成物から成型され、かつ厚さが既知のもの)の強度を標準物質の材料の等価な厚さに変換することができる。50〜80kVのX線放射およびアルミニウム標準物質を使用することにより、厚さ3.2mmでありかつ熱可塑性組成物から成型された物品は、その等価アルミニウム(「Al」)厚が0.51mmを超え、それに比べて商用グレードのビスフェノールAポリカーボネートの等価Al厚は0.49mmであることがわかった。
したがって、一実施形態において、熱可塑性組成物から成型されかつ厚さが3.2mmである物品は、50kVのX線放射で照射した場合、その等価Al厚が0.51mmを超え、具体的には0.52mmを超え、より具体的には0.55mmを超え、さらにより具体的には0.58mm以上である。
金属検出可能物質が使用されるこれらの実施形態において、熱可塑性組成物から成型された物品によって、金属検出可能性が明らかとなる。例えば、金属検出器は、有機材料(チョコレートバーなど)、熱可塑性ポリマー(ビスフェノールAポリカーボネートなど)、または本発明の熱可塑性組成物と同一であるが金属検出可能物質を含まない組成物を含む物品をスキャンしたときに、音を出すことになる。
したがって、X線造影を必要としならびに分解が最小限でありまたは全くなくかつ所望の機械的特性を保持する、成型または押出し適用例のための熱可塑性組成物は、ポリシロキサン−ポリカーボネートと、小さな(1μm未満)中央粒度マグネタイトまたはルチルチタネート顔料を含むX線造影剤とを組み合わせて使用することにより、実現される。あるいは、金属検出可能性を必要としならびに分解が最小限でありまたは全くなくかつ所望の機械的特性を保持する、成型または押出し適用例のための熱可塑性組成物は、ポリカーボネートおよびポリシロキサン−ポリカーボネートと金属検出可能物質とを組み合わせて使用することにより、実現される。
熱可塑性組成物は、当技術分野で一般に利用可能な方法によって製造することができ、例えば一実施形態において、ある進行態様では、粉末化ポリシロキサン−ポリカーボネート、X線造影剤または金属検出可能物質、および任意の添加されたポリカーボネート、および所望のその他の添加剤を、最初にHENSCHEL MIXER(登録商標)高速ミキサで混合する。手動混合を含むがこれに限定されないその他の低剪断プロセスでも、この混合を実現することができる。次いでブレンド物を、ホッパを介して押出し機の供給口内に供給する。あるいは、成分の1種または複数を、供給口および/または側口(sidestuffer)を通して下流で、押出し機内に直接供給することにより、組成物に混入させることができる。添加剤は、選択されたポリマー樹脂を用いてマスターバッチにコンパウンド化され、押出し機内に供給することができる。一実施形態では、X線造影剤または金属検出可能物質を、ポリシロキサン−ポリカーボネートマスターバッチと予め配合する。押出し機は一般に、組成物を流動させるのに必要とされるよりも高い温度で、しかし熱可塑性組成物の成分がこの組成物に著しい悪影響を及ぼすように分解することない温度で操作される。押出し物は、水浴で即座に急冷され、ペレット化される。このように調製されたペレットは、押出し物を切断するときに、4分の1インチ以下の長さであることが望ましい。そのようなペレットは、その後の成型、成形、または形成に使用することができる。
X線造影の実施形態において、熱可塑性組成物を製造する方法は、ポリシロキサン−ポリカーボネート、X線造影剤、および任意の添加されたポリカーボネートを溶融混合するステップを含む。溶融混合は、押出しによって行うことができる。一実施形態では、ポリシロキサン−ポリカーボネート、X線造影剤、および任意の添加されたポリカーボネートの割合は、得られた組成物によってX線造影能が最大限になると共にMVR(上述のようにかつ以下に例示されるように、滞留時間6分および18分で測定されたサンプルのMVRシフトによって測定された。)または低温NIIおよび延性に著しい悪影響を与えないように選択される。さらに別の具体的な実施形態では、熱可塑性ポリマーが、上記にて定義されたポリカーボネート型ポリマーを含む。一実施形態では、熱可塑性組成物を製造する方法は、ポリシロキサン−ポリカーボネート、X線造影剤、および任意の添加されたポリカーボネートを含むマスターバッチを、追加のポリシロキサン−ポリカーボネートおよび/またはポリカーボネートポリマーと溶融ブレンドするステップを含む。
金属検出可能な実施形態において、熱可塑性組成物を製造する方法は、ポリカーボネート、ポリシロキサン−ポリカーボネートコポリマー、および金属検出可能物質を溶融混合するステップを含む。溶融混合は、押出しによって行うことができる。ある実施形態では、ポリカーボネート、ポリシロキサン−ポリカーボネート、および金属検出可能物質の割合は、得られる組成物によって金属検出可能な能力が最大限になるように、その一方低温NIIおよび延性に著しく悪影響を及ぼさないように選択される。
X線造影の実施形態では、X線造影剤を含むことによって、バックグラウンド材料に対する物品のX線造影が増強される。一実施形態では、ポリシロキサン−ポリカーボネート組成物を含む物品のX線造影を増強させるための方法は、中央粒度が5μm以下の造影剤と、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよび任意成分のポリカーボネートとを組み合わせ、このポリシロキサン−ポリカーボネート組成物から物品を製造するステップを含む。一実施形態では、造影剤は、原子番号が22以上の元素を含む。
具体的な実施形態において、押出し機は2軸スクリュー押し出機である。押出し機は、典型的には、180〜385℃の温度で、具体的には200〜330℃、より具体的には220〜300℃の温度で操作され、この場合、ダイの温度は異なっていてもよい。押し出された熱可塑性組成物は水中で急冷され、ペレット化される。
熱可塑性組成物を含む、形状をつけられ、製造され、または成型された物品も提供される。熱可塑性組成物は、射出成型や押出し、回転成型、ブロー成型、熱成型などの様々な手段によって、有用な成形物品に成型することができる。具体的な実施形態では、成型は、射出成型によって行われる。熱可塑性組成物は、その高い流動特性により、優れた型充填能を有するという利点がある。
熱可塑性組成物は、ペレットとして提供することができ、例えば型や用具、トレー、シート、パッケージなどの、外食産業用の物品;ボトル、注射器、カテーテル、実験器具、その他の物品および消耗品などの、医療機器および消耗品;成型されたプラスチックのおもちゃおよび包装を含めたおもちゃを含む物品を製造するのに有用である。具体的な実施形態では、有用な物品は、キャンディを製造するための型であり、より具体的な実施形態では、型は、チョコレートを製造するための型である。
一実施形態において、チョコレート製造するための型であって、かつポリシロキサン−ポリカーボネート、任意成分のポリカーボネート、およびX線造影剤を含む型は、X線造影を示し、この型で製造されたチョコレートは、高い表面光沢および審美的に好ましい外観を示す。別の実施形態では、チョコレートの型は、中央粒度が約5μm以下のルチルチタネート、中央粒度が約0.5μm以下のマグネタイト、またはこれらのX線造影剤の少なくとも1種を含む組合せを含むX線造影剤を、0.01〜10重量部含む。代替の実施形態では、チョコレートを製造するための型であって、ポリシロキサン−ポリカーボネート、ポリカーボネート、および金属検出可能物質を含む型は、金属検出可能性を示し、この型で製造されたチョコレートは、高い表面光沢および審美的に好ましい外観を示す。別の実施形態では、チョコレートの型は、金属検出可能物質を0.01〜10重量部含む。
具体的な適用例および物品が本明細書に開示されるが、当業者であれば、本明細書の熱可塑性組成物の適用例が、これら適用例に限定されるべきでないことを理解できる。
熱可塑性組成物はさらに、以下の非限定的な例によって説明される。
実施例(以下の表ではEx.と省略する。)および比較例(以下の表ではCex.と省略する。)における全ての熱可塑性組成物は、金属検出可能物質として使用される種々の無機化合物を評価するために、かつそれによって、これら無機化合物がポリカーボネート、ポリカーボネート−ポリシロキサン組成物の金属検出可能性に及ぼす影響を測定するために、表1に掲げた下記の1種または複数の成分を使用して調製した。
全ての熱可塑性組成物は、WernerおよびPfleiderer ZSK 25mm 2軸スクリュー押出し機を用いて、260〜300℃の温度で運転して配合した。2軸スクリュー押出し機は、ポリマー組成物の良好な混合をもたらすのに十分な分配および分散の混合要素を有していた。次いで、組成物を120℃で4時間乾燥し、その後、バレル温度270〜300℃および成型温度65〜80℃で、HuskyまたはBoy射出成型機で成型した。押出および成型方法が、これらの温度に限定されないことを、当業者は理解できる。
第1の組の実施例およびデータは、本発明のX線検出可能な実施形態に関するものであった。使用された成分は、以下の表1で述べる通りであり、対応する結果を表2〜6および図1〜4に示す。
組成物の溶融体積流量(MVR)として測定された溶融安定性は、2つの技法によって測定した。即ち、滞留時間6分で測定されたMVRと滞留時間18分で測定されたMVRとの間の差で測定されるMVRシフトであり;および、滞留時間30分で、300℃で測定されたサンプルについての、最終粘度対初期粘度におけるパーセンテージ変化、として報告される粘度(レオロジー的)変化(以下の表では「レオ変化」と呼ぶ)(即ち、負の値は粘度の低下を示し、正の値は粘度の上昇を示す。)である。レオロジー的変化は、%を単位として報告され、滞留時間の関数としての、〔粘度の変化/初期粘度〕である。レオロジー変化法は、ISO 6721−10およびASTM D4440に基づくが、これらに完全に従うものではない。この方法では、試験サンプル(ペレット形態)を最初に120℃で3〜4時間乾燥する。次いでサンプルを、動的機械分析器(DMA)内の平板または円錐板のレオメータ固定具上に置き、次いで所望の温度(例えば、300℃)に加熱する。組成または純度が調節された不活性ガス(例えば、窒素)を、必要に応じて導入して装置のパージを行い、それによって、試験サンプルの熱分解の可能性を最小限に抑えた。
MVRを、ASTM D1238−04に従い、300℃で、荷重1.2kgの下、滞留時間6分および18分で測定し、cc/10分を単位として報告する。MVRシフト(即ち、MVRの増加)は、下記の式に従い計算する:
MVRシフト(%)={[(MVR@18分)−(MVR@6分)]/[MVR@6分]}×100
式中、MVR@18分は、滞留時間18分で測定されたMVRを表し、MVR@6分は、滞留時間6分で測定されたMVRを表す。
MVRシフト(%)={[(MVR@18分)−(MVR@6分)]/[MVR@6分]}×100
式中、MVR@18分は、滞留時間18分で測定されたMVRを表し、MVR@6分は、滞留時間6分で測定されたMVRを表す。
ノッチ付きアイゾット衝撃(NII)試験は、ASTM D256−04に従い、温度23℃、0℃、−10℃、−20℃、および−30℃で、厚さ3.2mmのバーについて測定し、NII衝撃強さはJ/mを単位として報告し、延性%は、延性破壊モードを示す少なくとも5つのサンプルの試験セットにおける成型サンプル物品の%と定義する。表面光沢は、ASTM D2457に従い、Garden光沢計および厚さ3mmのカラーチップを使用して60°で試験をし、100GUの標準黒色ガラスチップの比較光沢レベルに対する光沢度(GU)として報告する。X線測定は、ビーム直径1.5mmのTorex D 150 X線管と、ノーススターイメージング社(Rogers、MN)から購入した0〜150kVおよび0〜5mAで動作するX線管を使用して行った。検出器は、9インチ(22.9cm)高解像画像増倍器、即ちこのモードで使用することができる増倍器であり、または少量の増幅が可能な6インチ(15cm)もしくは4インチ(10cm)モードで使用することができる増倍器である。機器は、リアルタイムX線画像分析およびデジタル画像の獲得を可能にする、1メガ画素デジタルカメラも備える。機器の設定は、良好な正確さおよび精度が得られるように、予め最適化した。全ての測定値は、X線源を50、70、または80kV、および3mAで作動させる9インチ画像増倍器を使用して得た。
表2は、上述のように調製された14の組成物に関するMVRデータを示す。充填剤または顔料を含まない比較例1(CEx.1)は、その条件下でのMVRが10.5cc/10分であった。過酷な18分の滞留時間では、CEx.1で見られるMVRシフトは最小で2%であった。硫酸バリウムおよびマグネタイト−1(CEx.2〜5)はそれぞれ、MVRデータによって判断されるように、検討された条件下で良好な安定性を示した。しかし、5%硫酸バリウム(CEx.3)は、滞留レオロジー試験における粘度の26%損失でわかるように、不安定であるという証拠を示した。ビスマス含有充填剤(CEx.6〜9)は、おそらくは加水分解を触媒する可能性があるイオン性汚染物質(炭酸塩や金属など)の存在が原因で、標準的な6分の滞留条件下であっても組成物を劣化させる(例えば、CEx.8および9(次炭酸ビスマス)に関するMVRの3×〜6×の増加)。したがって、ビスマス充填剤は、使用可能な候補から除外した。しかし不動態化技法(例えば、コーティング、酸クエンチングなど)は、コンパウンド化の際の溶融安定性の問題を減少させ、そしてポリカーボネートとの適合性を増大させるために、そのような充填剤を処理するように使用される可能性がある。
顔料に関しては、硫化亜鉛およびスピネル構造化顔料(ピグメントブルー28およびピグメントグリーン50、それぞれCEx.11および12)もポリカーボネート組成物を劣化させる(CEx.1と比較してMVRが2×〜4×増加することからわかる。)。したがって有用ではない。試験がなされたルチルチタネート顔料(Ex.1〜3)のそれぞれは、無機化合物が添加されていないCEx.1に比べ、滞留時間6分および18分の両方で良好な溶融安定性を示した(即ち、MVRは、これらの各実施例について15%未満だけ変化する。)。滞留レオロジー試験における粘度増大も、これらの各実施例について、許容限度内であった(即ち、−20%〜0%またはそれ以上)。
表3は、無機化合物を用いて製造された組成物のNIIデータを示す。
表3のデータからわかるように、ポリシロキサン−ポリカーボネート含有組成物は、低温で良好な延性破壊モード特性を示した。表3において、CEx.1は、室温(23℃)において衝撃強さ836J/mで延性(即ち、100%延性破壊)であり、−30℃において衝撃強さ733J/mで延性であることがわかる。X線検出可能な配合物もこの特性を保持することが必要不可欠である。したがって無機化合物(顔料または充填剤)の添加により、例えば、CEx.1と、顔料または充填剤の添加量がそれぞれ1および5phrと対をなす、CEx.2および3;CEx.4および5;CEx.6および7;CEx.8および9と、の比較で示されるように、充填剤の添加量に応じて、室温であっても衝撃強さが著しく低下する。
延性は、比較例の全て(CEx.2〜12)について室温で観察されるが、破壊メカニズムは、より低い温度で、充填剤の特性に、完全にまたは部分的に依存して脆性モードに変化する。充填剤を含む比較例(CEx.2〜12)の中に、−30℃で100%の延性を示すものはなかった。使用された充填剤の中央粒度は、5〜25μmの範囲であった。したがって、これら無機化合物について、衝撃特性への影響は、無機化合物の組成および粒度が重要である(例えば、CEx.4および5と下記の例4〜8のマグネタイト参照)。
表3は、硫化亜鉛、および、様々な複合無機着色顔料であってそのいくつかがX線散乱金属イオン(即ち、上記にて定義されたように、原子番号が22以上である金属)を含有するもの、を含む、組成物についてのNIIデータを示す。硫化亜鉛およびスピネル構造化顔料を含有する配合物(CEx.10〜12)のそれぞれは、非充填剤/非顔料の比較例CEx.1に比べて、衝撃強さおよび延性が失われたことを示した。しかしルチルチタネート顔料(Ex.1〜3)のそれぞれは、室温での衝撃強さの損失は最小限であり(即ち、約10%未満)、延性を保持していた。驚くべきことに、−30℃であっても、Ex.1〜3の組成物では同じ傾向が見られ、これらの配合物は、CEx.1に比べてNIIの低下が10%未満であり、全ての温度で100%延性であることを示している。比較の目的で、PC−1、PC−2、およびPC−3について、−30℃でのNIIおよび延性は、それぞれ、846J/m(100%延性)、317J/m(20%延性)、および143J/m(0%延性)(表3には示していない)である。したがって、ルチルチタネート顔料は、硫化亜鉛またはスピネル顔料とは異なって、望ましいNIIおよび延性を示し、したがってルチルチタネート顔料は、そのNIIおよび延性特性を保持するX線検出可能組成物を調製するのに有用である。
表3は、また、カラーチップで試験がなされた組成物について測定された、60°光沢データも示している。ピグメントイエロー163配合物(Ex.3)は、光沢のわずかな損失(約95GUまであり、標準物質に較べて約5の損失)を示すが、損失は、充填剤を含有するチップ(5phrのマグネタイトを含有するCEx.5は、光沢85.2GU、5phrの酸化ビスマスを含有するCEx.7は光沢89.7である)で観察されたものほど大きくない。光沢の保持は、例えばチョコレート産業用の型を製造するのに非常に望ましく、その結果、この型から製造されたチョコレートに、審美的に好ましい光沢あるチョコレート表面を与えることができる。このように顔料(例えば、Ex.1〜3)は、より大きな粒度が原因で表面の不完全さが形成され得る充填剤とは対照的に、良好な型表面の複製を促進させる。
無機添加剤の粒度を減少させることにより、X線造影を依然として維持しながら、より良好な衝撃保持およびその他の特性をもたらすことができる。したがって、中央粒度が0.2〜0.5μmのマグネタイト(即ち、200〜500nm;表1のマグネタイトSMT−01S)を、5つの異なる添加量で、下記の表4に示される配合物中で評価した。
表4は、種々の組成物について、MVRシフトおよび滞留レオロジー測定によって測定された溶融安定性データを示している。マグネタイトナノ粒子の添加量が最大で(10phr)、かつ溶融劣化(即ち、MVRシフト31%)を示すEx.8を除き、他の全ての配合物は安定であることがわかる。表3は、試験された配合物について、23℃、−10℃、および−30℃でのノッチ付きアイゾッド衝撃データも示す。ナノ粒子マグネタイトの添加量が0.1〜10phrである全ての実施例は、試験された全ての温度で延性破壊を示す。衝撃強さの値は、マグネタイトの添加量が増加するにつれて低下するが(23℃で測定した場合、添加量10phrのEx.8では621J/mであるのに対し、添加量0.1phrのEx.4では825J/mである。)、しかしながら、延性(延性破壊モード)は維持される。この観察結果は、−30℃でも当てはまる。最後に、これら配合物の60°光沢を測定したが、全ての値は高い(>100GU)。
X線撮像。増強された造影を実証するX線画像を、ルチルチタネート配合物(Ex.3)のペレットについて得た。可能性のある適用例はチョコレート型の製造にあるので、チョコレートバーに対する配合物を含むペレットの造影を、測定した。サンプルを、商用として使用されるX線強度に合わせるためにAlフィルタを使用して70kVで分析し(図1、A;図2、A)、焦点を当てるのにフィルタを使用せずに50kVで分析した(図1、B;図2、B)。図1は、2つの条件下で、検出器の前のチョコレートバーのみによって得られた造影を示す。図2は、チョコレートバーの上に点在させた、Ex.3のピグメントイエロー53(即ち、ニッケル−アンチモンチタネート黄色顔料)組成物のペレットで得られた、造影を示す。ペレットは、図2では目に見えるが、X線ハードウェアの調節を行ってビーム焦点および解像度を高めることにより、造影を改善することもできる可能性があり、その結果配合物中におけるチタネートの添加量を増大させて使用できるので好ましいものである。
図3は、チョコレートバーの表面に置かれたEx.4、5、7、および8(それぞれ、図3のA、B、C、およびD)の化合物の、円形および長方形の成型プラーク(plaque)(厚さ3.2mm)のX線画像を示している。0.1phrという最も低い添加量であっても(Ex.4;図3のA)、添加剤は、チョコレートバーに対して検出されるよう十分な造影をもたらしている。このX線造影撮像は、グレースケール単位に変換することができ、例えば、以下に論じるように、マグネタイト含有汚染物質の検出を可能にすることができる較正曲線を、作成することができる。
X線測定。X線造影は、厚さの単位、即ちAlのmmの単位で報告される、等価アルミニウム厚に換算して定量化することもできる。この方法では、種々の既知の厚さの一連のアルミニウムディスクを測定し、グレースケールまたは造影とアルミニウムの厚さとの間の相関関係を得る。次いで注目するサンプルからのグレースケールを測定し、その相関関係を使用して等価アルミニウム厚を測定する。
この方法の較正曲線では、様々な既知の厚さで1100のグレードのアルミニウム標準物質を測定し、各標準物質の画像を獲得した。1”(2.5cm)サンプリング領域内の画素グレースケールのヒストグラムと、画像上のブランク領域(即ち、サンプルが存在しない領域)のヒストグラムを計算した。各ヒストグラムから、画素値の平均および標準偏差を計算し、ブランク画素値と標準画素領域との比をアルミニウム厚に相関させた。このように、標準化画素グレースケール値対アルミニウム厚を使用して、較正曲線を組み立てた。サンプルの分析は、較正標準物質と同じ手法で行い、等価アルミニウム厚は、得られたグレースケール値(y軸)を対応する等価アルミニウム厚(x軸)に相関させることによって測定した。1.57mmのアルミニウムサンプルを検証サンプルとして使用したが、予測性は、再現性が非常に高いものであった。
X線測定は、50kVおよび3mAの設定を使用して、厚さ3.2mmのプラークについて行った。各サンプルのグレースケールデータは、上述のアルミニウムディスクの厚さにグレースケールを相関させる、予め作成された較正曲線を使用して、等価アルミニウム厚に変換した。その結果を表5に示す。
表5では、0.46mmという最も薄い等価Al厚が、スピネルをベースにした顔料(ピグメントグリーン50)の添加量2phrのCEx.12で得られることがわかる。最大造影(最高等価Al厚)は一般に、マグネタイトを使用して得られ、添加量0.1phr程度の低さであっても0.56mmの等価Al厚を示す(Ex.4、中央粒度0.2〜0.5μmのマグネタイト粒子を使用)。最大造影は、添加量10phrのマグネタイトSMT−01Sを含む、Ex.8で得られる。より大きな粒度のマグネタイト(CEx.5、中央粒度5〜25μm)は、添加量3phrで等価Al厚が0.61mmである、より小さな中央粒度マグネタイト(Ex.6、中央粒度0.2〜0.5μm)の場合とほぼ同じである、等価Al厚0.62mmを有することにも留意されたい。比較の目的で、充填剤または顔料を含まないポリカーボネートは、その等価Al厚が0.49mmである。このデータから、より小さな粒度では、同じX線造影剤のより大きな粒度で得ることが可能なX線造影に比べ、より少ない添加量のX線造影剤で同じX線造影を可能にすると結論付けることができる。
離型測定。組成物の表面富化(enrichment)も実施した。表6は、離型特性に関して検討された配合物を示す。CEx.13は、いかなる添加剤も含有しない対照バッチであり、Ex.9は顔料を含有し、一方、CEx.14は、中央粒度が10μmであるマグネタイトを含有する。これらのバッチの他、内部離型剤(PC−3)を含有する、標準的な10cc/10分のメルトフロー(300℃、荷重1.2kg、6分滞留)グレードのポリカーボネートを、対照サンプルとして使用した。PC−3は、ペンタエリスリトールテトラステアレート(PETS)を離型剤として、約0.27phrの量で含有する。
図4は、CEx.13、Ex.9、およびCEx.14と、対照ポリカーボネートサンプルについて、サイクル時間の関数としての型突出し圧を示す。3つの異なるサイクル時間、80、90、および100秒について検討した。各サイクル時間で、ポリシロキサン−ポリカーボネートコポリマーは、ポリカーボネートサンプルの突出し圧のほぼ半分を示し、これら配合物を使用することが有利であることを示した。またX線検出可能添加剤を含有するEx.9およびCEx.14は、添加剤非含有のCEx.13よりも一貫して低い突出し圧を示す。成型物品が冷却されるにつれ(製造直後のチョコレート型など)、シロキサン鎖は、ポリシロキサン−ポリカーボネート組成物から成型された物品の表面がシロキサンで富むように、それ自体、配向すると考えられる。この現象は、ポリシロキサン−ポリカーボネートが存在しないポリカーボネート組成物よりも優れた、ポリシロキサン−ポリカーボネート含有組成物のいくつかの利点、即ち主に(a)ポリシロキサン−ポリカーボネート含有物品の加工中にツールから容易に解放され、(b)ポリシロキサン−ポリカーボネート含有物品の部品間摩擦が低下するという利点をもたらす。これら要因の両方は、表面複製の改善を助け、滑らかな光沢ある表面を提供する。ポリシロキサン−ポリカーボネートコポリマーは、光沢ある外観が保持されるようチョコレート型に使用されるので、X線添加剤含有配合物も確実に同じ離型特性を示すようにすることが必要である。
このように、上述の実施例および比較例は、X線検出可能添加剤が、離型性やメルトフロー、低温延性、光沢などの特性を損なうことなくポリシロキサン−ポリカーボネートコポリマー含有組成物の特性を高めることができることを実証している。
第2の組の実施例およびデータは、本発明の金属検出可能な実施形態についてのものであった。使用した成分を下記の表7に示し、対応する結果を表8および9と図5および6に示す。
ノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)試験は、ASTM D256−04に従い、温度23℃、0℃、−10℃、−20℃、および−30℃で厚さ3.2mmのバーについて測定し、NII衝撃強さはJ/mを単位として報告し、延性%は、延性破壊モードを示す少なくとも5つのサンプルの試験セットにおける成型サンプル製品の%と定義する。
ポリカーボネート−ポリシロキサン配合物は既知であり、その延性破壊モードにより低温で使用される。全ての組成物を、23℃〜−30℃の範囲の温度で標準的なASTM D256パラメータを使用して、ノッチ付きアイゾッド衝撃について試験した。表8から、本発明者らは、対照配合物が、室温で延性破壊を示し、衝撃強さ748J/m(Cex.15)、725J/m(Cex.23)、および836J/mであることがわかった。金属検出可能配合物はこの特性を保持できることも有利である。表8は、金属検出可能充填剤で製造された組成物について、ノッチ付きアイゾッド衝撃データを示している。ポリカーボネートのみをベースにする配合物(Cex.16〜Cex.22)と、全体的なシロキサンレベルが5重量%であるポリカーボネート−ポリシロキサン−2(Cex.24〜Cex.30)をベースにした配合物については、充填剤を添加すると、室温における衝撃強さは、半分またはさらにそれ以上に、著しく低下する。
延性衝撃は室温でのみ見られ、ほとんどの場合、破壊メカニズムは、より低い温度で充填剤に完全にまたは部分的に依存して、脆性モードに変化する。したがってマグネタイト(繊維または粉末)を添加すると、比較で示される充填剤の添加量に依存して、室温であっても衝撃強さを著しく低下させる。
ポリカーボネート配合物(Cex.16〜Cex.22)の場合、0℃で延性衝撃を示す配合物はない。使用される充填剤の平均粒度は5〜25μmの範囲であり、したがって衝撃特性に及ぼす影響が深刻である。
驚くべきことに、ポリシロキサン変性PCとFe3O4(Ex.11〜Ex.17)との組合せは、延性低下についてそれほど敏感ではないことが示される。さらに驚くべきことに、これらの配合物は、全体的なシロキサンレベルが3.5%であり、Cex.24〜Cex.30における全体的なシロキサンレベルよりも低い。
お分かりのように、無機添加剤の粒度を小さくすると、衝撃保持およびその他の特性が良好になり、金属検出可能性は、これらのサンプルの各々について許容範囲内に維持される(即ち、−20%〜0%またはそれ以上)。
表9からわかるように、マグネタイトSMT−01Sを含有する組成物のノッチ付きアイゾッドデータが示されており、マグネタイトの粒度は、選択された特徴が実現されるように調節できることがわかる。これらの実施例では、より小さい粒度のマグネタイトが使用された。ポリカーボネートおよびポリカーボネート−ポリシロキサンコポリマーの両方を含有するこれらのサンプルにおいて、得られた衝撃強さは、ポリカーボネート−ポリシロキサンコポリマーを含まないサンプルよりも非常に大きく、またこれらの材料は、より大きな粒度のマグネタイトを使用した対応するサンプルよりも、高い衝撃強さを有していた(Ex.13〜15)。このように、より大きな粒度のマグネタイトは、ステンレス鋼繊維よりも大きな衝撃強さを保持するのを助けたが、より高い衝撃強さが選択された特徴である場合、これらの例は、より小さな粒度のマグネタイトがより大きな粒度のマグネタイトよりも高いNII%を保持するのに役立つことを示している。
図5および6は、ポリシロキサンをベースにしたポリカーボネートおよびFe3O4が、良好な靭性および低温での靭性保持を示すのに役立つ。示されたデータは、Siの合計重量%が0、3.5、および5に関する。この結果に従って、図7および表10で予測されかつ示されるように、マグネタイトの存在下、PC Siベース系の疲労(チョコレート型には有益な特性)は、PCベース系(Siの合計重量%は0)に比べて著しく良好であった。
このように、上述の実施例および比較例は、金属検出可能添加剤が、離型性、メルトフロー、低温延性、または光沢などの特性を損なうことなくポリシロキサン−ポリカーボネートコポリマー含有組成物の特性を高めることができることも実証している。
本明細書は、最良の態様も含めて本発明を開示し、また当業者が本発明を実施し使用することができるように、複数の実施例を記載している。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が思い浮かべるその他の実施例が含まれる。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構成要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言と実質的に異ならない等価の構成要素を含む場合、特許請求の範囲内にある。
一実施形態において、物品は、a)ポリシロキサン−ポリカーボネートを5〜100重量部と、b)ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準としてポリカーボネートを0〜95重量部と、c)原子番号が22以上のX線散乱原子を含んだX線造影剤を、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準として0.01〜10重量部含んだ熱可塑性組成物を含み、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、そのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときに約620J/m以上であり、またはそのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが、ASTM D256−04に従い温度−30℃で測定したときに約409J/m以上であり、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、50kVのX線放射で照射したときにその等価アルミニウム厚が0.51mm以上であり、ASTM D1238−04に従い荷重1.2kgおよび温度300℃で測定された熱可塑性組成物の溶融体積流量に関して、滞留時間18分で測定された溶融体積流量は、滞留時間6分で測定された溶融体積流量に比べて31%以下だけ増加し、ポリシロキサン−ポリカーボネートは、ポリシロキサン−ポリカーボネートの全重量を基準としてカーボネート単位を50〜99.9重量%およびシロキサン単位を0.1〜50重量%含む。
一実施形態において、物品は、a)ポリシロキサン−ポリカーボネートを5〜100重量部と、b)ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準としてポリカーボネートを0〜95重量部と、c)原子番号が22以上のX線散乱原子を含んだX線造影剤を、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準として0.01〜10重量部含んだ熱可塑性組成物を含み、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、そのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときに約620J/m以上であり、またはそのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが、ASTM D256−04に従い温度−30℃で測定したときに約409J/m以上であり、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、その等価アルミニウム厚が、50kVのX線放射で照射したときに0.51mmを超え、ASTM D1238−04に従い荷重1.2kgおよび温度300℃で測定された熱可塑性組成物の溶融体積流量に関して、滞留時間18分で測定された溶融体積流量は、滞留時間6分で測定された溶融体積流量に比べて31%以下だけ増加し、ポリシロキサン−ポリカーボネートは、ポリシロキサン−ポリカーボネートの全重量を基準としてカーボネート単位を50〜99.9重量%およびシロキサン単位を0.1〜50重量%含んでおり、この物品は、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準としてポリシロキサン−ポリカーボネートを50〜99重量部の量で、およびポリカーボネートを1〜50重量部の量で含む。
さらに別の実施形態において、物品は、a)ポリシロキサン−ポリカーボネートを5〜100重量部と、b)ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準としてポリカーボネートを0〜95重量部と、c)原子番号が22以上のX線散乱原子を含んだX線造影剤を、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準として0.01〜10重量部含んだ熱可塑性組成物を含み、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、そのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときに約620J/m以上であり、またはそのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが、ASTM D256−04に従い温度−30℃で測定したときに約409J/m以上であり、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、50kVのX線放射で照射したときにその等価アルミニウム厚が0.51mmを超え、ASTM D1238−04に従い荷重1.2kgおよび温度300℃で測定された熱可塑性組成物の溶融体積流量に関して、滞留時間18分で測定された溶融体積流量は、滞留時間6分で測定された溶融体積流量に比べて31%以下だけ増加し、ポリシロキサン−ポリカーボネートは、ポリシロキサン−ポリカーボネートの全重量を基準としてカーボネート単位を90〜99重量%およびシロキサン単位を1〜10重量%含む。
さらに別の実施形態において、物品は、a)ポリシロキサン−ポリカーボネートを5〜100重量部と、b)ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準としてポリカーボネートを0〜95重量部と、c)原子番号が22以上のX線散乱原子を含んだX線造影剤を、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準として0.01〜10重量部含んだ熱可塑性組成物を含み、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、そのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときに約620J/m以上であり、またはそのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが、ASTM D256−04に従い温度−30℃で測定したときに約409J/m以上であり、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、その等価アルミニウム厚が、50kVのX線放射で照射したときに0.51mmを超え、ASTM D1238−04に従い荷重1.2kgおよび温度300℃で測定された熱可塑性組成物の溶融体積流量に関して、滞留時間18分で測定された溶融体積流量は、滞留時間6分で測定された溶融体積流量に比べて31%以下だけ増加し、ポリシロキサン−ポリカーボネートは、ポリシロキサン−ポリカーボネートの全重量を基準としてカーボネート単位を90〜99重量%およびシロキサン単位を1〜10重量%含んでおり、この熱可塑性組成物は、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準としてポリシロキサン−ポリカーボネートを5〜30重量部の量で、およびポリカーボネートを70〜95重量部の量で含む。
さらに別の実施形態において、物品は、a)ポリシロキサン−ポリカーボネートを5〜100重量部と、b)ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準としてポリカーボネートを0〜95重量部と、c)原子番号が22以上のX線散乱原子を含んだX線造影剤を、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準として0.01〜10重量部含んだ熱可塑性組成物を含み、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、そのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときに約620J/m以上であり、またはそのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが、ASTM D256−04に従い温度−30℃で測定したときに約409J/m以上であり、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、その等価アルミニウム厚が、50kVのX線放射で照射したときに0.51mmを超え、ASTM D1238−04に従い荷重1.2kgおよび温度300℃で測定された熱可塑性組成物の溶融体積流量に関して、滞留時間18分で測定された溶融体積流量は、滞留時間6分で測定された溶融体積流量に比べて31%以下だけ増加し、ポリシロキサン−ポリカーボネートは、ポリシロキサン−ポリカーボネートの全重量を基準としてカーボネート単位を75〜85重量%およびシロキサン単位を15〜25重量%含んでおり、この熱可塑性組成物は、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準としてポリシロキサン−ポリカーボネートを5〜30重量部の量で、およびポリカーボネートを70〜95重量部の量で含む。
一実施形態において、熱可塑性組成物を含む物品は、a)ポリシロキサン−ポリカーボネートを5〜100重量部と、b)ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準としてポリカーボネートを0〜95重量部と、c)原子番号が22以上のX線散乱原子を含んだX線造影剤を、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準として0.01〜10重量部含み、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、そのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときに約620J/m以上であり、またはそのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが、ASTM D256−04に従い温度−30℃で測定したときに約409J/m以上であり、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、その等価アルミニウム厚が、50kVのX線放射で照射したときに0.51mmを超え、ASTM D1238−04に従い荷重1.2kgおよび温度300℃で測定された熱可塑性組成物の溶融体積流量に関して、滞留時間18分で測定された溶融体積流量は、滞留時間6分で測定された溶融体積流量に比べて31%以下だけ増加し、X線造影剤は、その中央粒度が約5μm以下である。
別の実施形態において、熱可塑性組成物を含む物品は、a)ポリシロキサン−ポリカーボネートを5〜100重量部と、b)ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準としてポリカーボネートを0〜95重量部と、c)原子番号が22以上のX線散乱原子を含んだX線造影剤を、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準として0.01〜10重量部含み、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、そのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときに約620J/m以上であり、またはそのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが、ASTM D256−04に従い温度−30℃で測定したときに約409J/m以上であり、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、その等価アルミニウム厚が、50kVのX線放射で照射したときに0.51mmを超え、ASTM D1238−04に従い荷重1.2kgおよび温度300℃で測定された熱可塑性組成物の溶融体積流量に関して、滞留時間18分で測定された溶融体積流量は、滞留時間6分で測定された溶融体積流量に比べて31%以下だけ増加し、X線造影剤は、その中央粒度が約5μm以下であり、X線造影剤は、その原子番号が24以上のX線散乱原子を含む。
さらに別の実施形態において、熱可塑性組成物を含む物品は、a)ポリシロキサン−ポリカーボネートを5〜100重量部と、b)ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準としてポリカーボネートを0〜95重量部と、c)原子番号が22以上のX線散乱原子を含んだX線造影剤を、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準として0.01〜10重量部含み、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、そのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときに約620J/m以上であり、またはそのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが、ASTM D256−04に従い温度−30℃で測定したときに約409J/m以上であり、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、その等価アルミニウム厚が、50kVのX線放射で照射したときに0.51mmを超え、ASTM D1238−04に従い荷重1.2kgおよび温度300℃で測定された熱可塑性組成物の溶融体積流量に関して、滞留時間18分で測定された溶融体積流量は、滞留時間6分で測定された溶融体積流量に比べて31%以下だけ増加し、X線造影剤は、その中央粒度が約5μm以下であり、X線造影剤は、原子番号が24以上のX線散乱原子を含み、X線造影剤は、X線造影剤の全重量を基準として約1重量%以上の量でX線散乱原子を含み、X線造影剤は、マグネタイトまたはルチルチタネートを含む。
一実施形態において、物品は、a)ポリシロキサン−ポリカーボネートを5〜100重量部と、b)ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準としてポリカーボネートを0〜95重量部と、c)原子番号が22以上のX線散乱原子を含んだX線造影剤を、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準として0.01〜10重量部含んだ熱可塑性組成物を含み、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、そのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときに約620J/m以上であり、またはそのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが、ASTM D256−04に従い温度−30℃で測定したときに約409J/m以上であり、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、その等価アルミニウム厚が、50kVのX線放射で照射したときに0.51mmを超え、ASTM D1238−04に従い荷重1.2kgおよび温度300℃で測定された熱可塑性組成物の溶融体積流量に関して、滞留時間18分で測定された溶融体積流量は、滞留時間6分で測定された溶融体積流量に比べて31%以下だけ増加し、マグネタイトの中央粒度は約1μm未満である。
一実施形態において、物品は、a)ポリシロキサン−ポリカーボネートを5〜100重量部と、b)ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準としてポリカーボネートを0〜95重量部と、c)原子番号が22以上のX線散乱原子を含んだX線造影剤を、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準として0.01〜10重量部含んだ熱可塑性組成物を含み、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、そのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときに約620J/m以上であり、またはそのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが、ASTM D256−04に従い温度−30℃で測定したときに約409J/m以上であり、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、その等価アルミニウム厚が、50kVのX線放射で照射したときに0.51mmを超え、ASTM D1238−04に従い荷重1.2kgおよび温度300℃で測定された熱可塑性組成物の溶融体積流量に関して、滞留時間18分で測定された溶融体積流量は、滞留時間6分で測定された溶融体積流量に比べて31%以下だけ増加し、ルチルチタネートは、ピグメントイエロー53、ピグメントイエロー163、ピグメントブラウン24、またはこれらの少なくとも1種を含んだ組合せを含む。
一実施形態において、物品は、a)ポリシロキサン−ポリカーボネートを5〜100重量部と、b)ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準としてポリカーボネートを0〜95重量部と、c)原子番号が22以上のX線散乱原子を含んだX線造影剤を、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準として0.01〜10重量部含んだ熱可塑性組成物を含み、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、そのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときに約620J/m以上であり、またはそのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが、ASTM D256−04に従い温度−30℃で測定したときに約409J/m以上であり、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、その等価アルミニウム厚が、50kVのX線放射で照射したときに0.51mmを超え、ASTM D1238−04に従い荷重1.2kgおよび温度300℃で測定された熱可塑性組成物の溶融体積流量に関して、滞留時間18分で測定された溶融体積流量は、滞留時間6分で測定された溶融体積流量に比べて31%以下だけ増加し、ASTM D1238−04に従い荷重1.2kgおよび温度300℃で測定された組成物の溶融体積流量に関して、滞留時間18分で測定された溶融体積流量は、滞留時間6分で測定された溶融体積流量とは20%以下だけ異なっている。
一実施形態において、物品は、a)ポリシロキサン−ポリカーボネートを5〜100重量部と、b)ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準としてポリカーボネートを0〜95重量部と、c)原子番号が22以上のX線散乱原子を含んだX線造影剤を、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準として0.01〜10重量部含んだ熱可塑性組成物を含み、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、そのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときに約620J/m以上であり、またはそのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが、ASTM D256−04に従い温度−30℃で測定したときに約409J/m以上であり、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、その等価アルミニウム厚が、50kVのX線放射で照射したときに0.51mmを超え、ASTM D1238−04に従い荷重1.2kgおよび温度300℃で測定された熱可塑性組成物の溶融体積流量に関して、滞留時間18分で測定された溶融体積流量は、滞留時間6分で測定された溶融体積流量に比べて31%以下だけ増加し、熱可塑性組成物は、この熱可塑性組成物の全重量を基準として1〜6重量%のシロキサン含量を有する。
一実施形態において、物品は、a)ポリシロキサン−ポリカーボネートを5〜100重量部と、b)ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準としてポリカーボネートを0〜95重量部と、c)原子番号が22以上のX線散乱原子を含んだX線造影剤を、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準として0.01〜10重量部含んだ熱可塑性組成物を含み、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、そのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときに約620J/m以上であり、またはそのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが、ASTM D256−04に従い温度−30℃で測定したときに約409J/m以上であり、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、その等価アルミニウム厚が、50kVのX線放射で照射したときに0.51mmを超え、ASTM D1238−04に従い荷重1.2kgおよび温度300℃で測定された熱可塑性組成物の溶融体積流量に関して、滞留時間18分で測定された溶融体積流量は、滞留時間6分で測定された溶融体積流量に比べて31%以下だけ増加し、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、その等価アルミニウム厚が、50kVのX線放射で照射したときに0.55mmを超え、ASTM D2457に従い3mmの着色チップの表面に対して角度60°で測定された熱可塑性組成物の表面光沢は、90光沢度以上であり、物品は、外食産業、医療機器、または玩具用の物品である。
一実施形態において、熱可塑性組成物は、a)ポリシロキサン−ポリカーボネートを5〜100重量部と、b)ポリカーボネートを0〜95重量部と、c)中央粒度が約5μm以下のルチルチタネート、中央粒度が約1μm未満のマグネタイト、またはこれらの造影剤の少なくとも1種を含む組合せを含んだX線造影剤を0.01〜10重量部含み、ポリシロキサン−ポリカーボネート、ポリカーボネート、およびX線造影剤のそれぞれの存在量は、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準とするものであり、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、そのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときに約620J/m以上であり、またはそのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが、ASTM D256−04に従い温度−30℃で測定したときに約409J/m以上であり、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、その等価アルミニウム厚が、50kVのX線放射で照射したときに0.51mmを超え、ASTM D1238−04に従い荷重1.2kgおよび温度300℃で測定された熱可塑性組成物の溶融体積流量に関して、滞留時間18分で測定された溶融体積流量は、滞留時間6分で測定された溶融体積流量に比べて31%以下だけ増加し、ポリシロキサン−ポリカーボネートは、このポリシロキサン−ポリカーボネート中のポリシロキサン単位の平均ブロック長Dが、約5〜約50シロキサン単位であり、この組成物は、ルチルチタネートを1〜10重量部含んでいる。
一実施形態において、熱可塑性組成物を含む物品でのX線造影を増強させるための方法は、原子番号が22以上の元素を含む、中央粒度が5μm以下のX線造影剤を、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよび任意成分としてのポリカーボネートと組み合わせるステップと、この熱可塑性組成物から物品を成型するステップとを含み、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、そのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときに約620J/m以上であり、またはそのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが、ASTM D256−04に従い温度−30℃で測定したときに約409J/m以上であり、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、その等価アルミニウム厚が、50kVのX線放射で照射したときに0.51mmを超え、ASTM D1238−04に従い荷重1.2kgおよび温度300℃で測定された熱可塑性組成物の溶融体積流量に関して、滞留時間18分で測定された溶融体積流量は、滞留時間6分で測定された溶融体積流量に比べて31%以下だけ増加する。
一実施形態において、熱可塑性組成物を含むチョコレート製造用の型は、a)ポリシロキサン−ポリカーボネートを5〜99重量部と、b)ポリカーボネートを1〜95重量部と、c)中央粒度が約5μm以下のルチルチタネート、中央粒度が約0.5μm以下のマグネタイト、またはこれらのX線造影剤の少なくとも1種を含んだ組合せを含むX線造影剤を0.01〜10重量部含み、ポリシリロキサン−ポリカーボネート、ポリカーボネート、およびX線造影剤のそれぞれの存在量は、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準とするものであり、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、そのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときに約620J/m以上であり、またはそのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが、ASTM D256−04に従い温度−30℃で測定したときに約409J/m以上であり、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、その等価アルミニウム厚が、50kVのX線放射で照射したときに0.51mmを超え、ASTM D1238−04に従い荷重1.2kgおよび温度300℃で測定された熱可塑性組成物の溶融体積流量に関して、滞留時間18分で測定された溶融体積流量は、滞留時間6分で測定された溶融体積流量に比べて31%以下だけ増加する。
別の実施形態において、熱可塑性組成物を含む物品は、a)ポリカーボネートを65〜95重量%と、b)ポリシロキサン−ポリカーボネートコポリマーを5〜35重量%と、c)金属検出可能物質を0.01〜10重量%含み、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、そのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが、ASTM D256−04に従い温度23℃で測定したときに200J/m以上であり、またはそのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときに125J/m以上であり、ポリシロキサン−ポリカーボネートコポリマーは、このポリシロキサン−ポリカーボネートの全重量を基準としてカーボネート単位を65〜85重量%およびシロキサン単位を5〜35重量%含んでいる。
さらに別の実施形態において、熱可塑性組成物を含む物品は、a)ポリカーボネートを65〜95重量%と、b)ポリシロキサン−ポリカーボネートコポリマーを5〜35重量%と、c)金属検出可能物質を0.01〜10重量%含み、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、そのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが、ASTM D256−04に従い温度23℃で測定したときに200J/m以上であり、またはそのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときに125J/m以上であり、ポリシロキサン−ポリカーボネートコポリマーは、このポリシロキサン−ポリカーボネートの全重量を基準としてカーボネート単位を65〜85重量%およびシロキサン単位を5〜35重量%含み、この物品は、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよび任意の添加されたポリカーボネートを合わせた100重量部を基準として、ポリシロキサン−ポリカーボネートを10〜25重量部の量でおよびポリカーボネートを75〜90重量部の量で含んでおり、金属検出可能物質は、その中央粒度が50μm未満である。
一実施形態において、熱可塑性組成物を含む物品は、a)ポリカーボネートを65〜95重量%と、b)ポリシロキサン−ポリカーボネートコポリマーを5〜35重量%と、c)金属検出可能物質を0.01〜10重量%含み、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、そのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが、ASTM D256−04に従い温度23℃で測定したときに200J/m以上であり、またはそのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときに125J/m以上であり、ポリシロキサン−ポリカーボネートコポリマーは、このポリシロキサン−ポリカーボネートの全重量を基準としてカーボネート単位を65〜85重量%およびシロキサン単位を5〜35重量%含み、この物品は、外食産業、医療機器、または玩具用の物品である。
一実施形態において、熱可塑性組成物を含む物品の金属検出可能性を増大させるための方法は、金属検出可能物質をポリカーボネートおよびポリシロキサン−ポリカーボネートコポリマーと組み合わせるステップと、熱可塑性組成物から物品を形成するステップとを含み、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、そのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが、ASTM D256−04に従い温度23℃で測定したときに200J/m以上であり、またはそのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときに125J/m以上である。
一実施形態において、熱可塑性組成物を含んだ食品製造用の型は、a)ポリカーボネートを65〜95重量%と、b)ポリシロキサン−ポリカーボネートコポリマーを5〜35重量%と、c)金属検出可能物質を0.01〜10重量%含み、この熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmの物品は、そのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが、ASTM D256−04に従い温度23℃で測定したときに200J/m以上であり、またはそのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときに125J/m以上である。
全ての引用された特許、特許出願、およびその他の参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。しかし、本出願中の用語が、組み込まれた参考文献中の用語と矛盾しまたは抵触する場合は、本出願の用語が、組み込まれた参考文献の相矛盾する用語よりも優先される。
本明細書に開示された全ての範囲は両端点を含み、これらの端点は独立して、互いに組合せ可能である。
本発明を記述する文脈において(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)、「一つ(a)」および「一つ(an)」および「その(the)」という用語および同様の指示の使用は、本明細書中で他の意味をほのめかし、または文脈上明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈される。さらに、本明細書における「第1」および「第2」などの用語は、いかなる順序、量、または重要性を表すものではなく、むしろ1つの要素を別の要素と区別するために使用されていることに、留意すべきである。量に関連して使用される「約」という修飾語は、記載された値を含み、文脈によって示される意味を有する(例えば、特定量の測定に関連した誤差の程度を含む。)。
Claims (10)
- a)ポリシロキサン−ポリカーボネートを5〜100重量部、
b)ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準としてポリカーボネートを0〜95重量部、および、
c)原子番号が22以上のX線散乱原子を含むX線造影剤を、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートを合わせた100重量部を基準として0.01〜10重量部、
含有する熱可塑性組成物を含む物品であって、
前記熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmである物品は、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが620J/m以上であり、またはASTM D256−04に従い温度−30℃で測定したときのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが409J/m以上であり、
前記熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmである物品は、50kVのX線放射で照射したときに等価アルミニウム厚が0.51mmを超え、
ASTM D1238−04に従い温度300℃および荷重1.2kgで測定された熱可塑性組成物の溶融体積流量については、滞留時間18分で測定された溶融体積流量は、滞留時間6分で測定された溶融体積流量に比べて31%以下だけ増加する物品。 - 前記ポリシロキサン−ポリカーボネートが、ポリシロキサン−ポリカーボネートの全重量を基準としてカーボネート単位を50〜99.9重量%およびシロキサン単位を0.1〜50重量%含有する、請求項1に記載の物品。
- 前記X線造影剤の中央粒度が5μm以下である、請求項1または2に記載の物品。
- 前記X線造影剤が、マグネタイトまたはルチルチタネートを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の物品。
- 前記ルチルチタネートが、ピグメントイエロー53、ピグメントイエロー163、ピグメントブラウン24、またはこれらの少なくとも1種を含む組合せを含む、請求項4に記載の物品。
- a)ポリシロキサン−ポリカーボネートを5〜100重量部、
b)ポリカーボネートを0〜95重量部、および、
c)中央粒度が5μm以下であるルチルチタネート、中央粒度が1μm未満であるマグネタイト、またはこれらの少なくとも1種を含む組合せ、を含むX線造影剤を0.01〜10重量部、
含有する熱可塑性組成物であって、
前記ポリシロキサン−ポリカーボネート、ポリカーボネート、およびX線造影剤のそれぞれの存在量は、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートの合計100重量部を基準とするものであり、
前記熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmである物品は、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが620J/m以上であり、またはASTM D256−04に従い温度−30℃で測定したときのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが409J/m以上であり、
前記熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmである物品は、50kVのX線放射で照射したときに等価アルミニウム厚が0.51mmを超え、
ASTM D1238−04に従い温度300℃および荷重1.2kgで測定された熱可塑性組成物の溶融体積流量については、滞留時間18分で測定された溶融体積流量が、滞留時間6分で測定された溶融体積流量に較べて31%以下だけ増加する熱可塑性組成物。 - 前記ポリシロキサン−ポリカーボネートは、ポリシロキサン−ポリカーボネート中のポリシロキサン単位の平均ブロック長Dが5〜50シロキサン単位である、請求項6に記載の熱可塑性組成物。
- ルチルチタネートを1〜10重量部含有する、請求項6または7に記載の熱可塑性組成物。
- 熱可塑性組成物を含む物品におけるX線造影を増大させるための方法であって、
中央粒度が5μm以下であるX線造影剤(但しX線造影剤は原子番号22以上の元素を含む)をポリシロキサン−ポリカーボネートおよび任意成分のポリカーボネートと組み合わせるステップと、
前記熱可塑性組成物から物品を製造するステップと、
を含み、
前記熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmである物品は、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが620J/m以上であり、またはASTM D256−04に従い温度−30℃で測定したときのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが409J/m以上であり、
前記熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmである物品は、50kVのX線放射で照射したときに等価アルミニウム厚が0.51mmを超え、
ASTM D1238−04に従い温度300℃および荷重1.2kgで測定された熱可塑性組成物の溶融体積流量については、滞留時間18分で測定された溶融体積流量が、滞留時間6分で測定された溶融体積流量に較べて31%以下だけ増加する方法。 - a)ポリシロキサン−ポリカーボネートを5〜99重量部、
b)ポリカーボネートを1〜95重量部、および、
c)中央粒度が5μm以下であるルチルチタネート、中央粒度が0.5μm以下であるマグネタイト、またはこれらの少なくとも1種を含む組合せ、を含むX線造影剤を0.01〜10重量部、
含有する熱可塑性組成物を含む、チョコレートを製造するための型であって、
前記ポリシロキサン−ポリカーボネート、ポリカーボネート、およびX線造影剤のそれぞれの存在量は、ポリシロキサン−ポリカーボネートおよびポリカーボネートの合計100重量部を基準とするものであり、
前記熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmである物品は、ASTM D256−04に従い温度0℃で測定したときのノッチ付きアイゾッド衝撃(NII)強さが620J/m以上であり、またはASTM D256−04に従い温度−30℃で測定したときのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが409J/m以上であり、
前記熱可塑性組成物から成型されかつ厚さ3.2mmである物品は、50kVのX線放射で照射したときに等価アルミニウム厚が0.51mmを超え、
ASTM D1238−04に従い温度300℃で1.2kgの荷重の下で測定された熱可塑性組成物の溶融体積流量については、滞留時間18分で測定された溶融体積流量が、滞留時間6分で測定された溶融体積流量に較べて31%以下だけ増加する型。
Applications Claiming Priority (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US12/242,076 US8617700B2 (en) | 2008-09-30 | 2008-09-30 | Thermoplastic composition having improved X-ray contrast, method of making, and articles prepared therefrom |
US12/242,076 | 2008-09-30 | ||
US15314009P | 2009-02-17 | 2009-02-17 | |
US61/153,140 | 2009-02-17 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011530164A Division JP5623408B2 (ja) | 2008-09-30 | 2009-09-30 | X線および/または金属の検出可能物品並びにその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015017270A true JP2015017270A (ja) | 2015-01-29 |
Family
ID=41529733
Family Applications (2)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011530164A Expired - Fee Related JP5623408B2 (ja) | 2008-09-30 | 2009-09-30 | X線および/または金属の検出可能物品並びにその製造方法 |
JP2014193400A Pending JP2015017270A (ja) | 2008-09-30 | 2014-09-24 | X線および/または金属の検出可能物品並びに熱可塑性組成物 |
Family Applications Before (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011530164A Expired - Fee Related JP5623408B2 (ja) | 2008-09-30 | 2009-09-30 | X線および/または金属の検出可能物品並びにその製造方法 |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
EP (1) | EP2344569B1 (ja) |
JP (2) | JP5623408B2 (ja) |
WO (1) | WO2010039799A1 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018536753A (ja) * | 2015-12-11 | 2018-12-13 | サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ | 付加製造用高衝撃強度ポリカーボネート組成物 |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102011054546A1 (de) * | 2011-10-17 | 2013-04-18 | Krones Ag | Füllorgan für eine Befüllvorrichtung zum Befüllen von Behältern, Rückgasrohr für ein Füllorgan, sowie Flüssigkeitsabweisschirm für ein Rückgasrohr |
WO2013184061A1 (en) * | 2012-06-04 | 2013-12-12 | Migrata U.K. Limited | Medical use of particles of titanium and/or titanium oxide |
CN108474697B (zh) | 2015-12-15 | 2021-02-26 | D·卢塞 | 导电复合材料 |
WO2018225567A1 (ja) * | 2017-06-05 | 2018-12-13 | 株式会社アレステクノロジー | 成形品、食品製造装置用部品及び食品製造用高分子製品 |
EP3643765A1 (en) | 2018-10-22 | 2020-04-29 | SABIC Global Technologies B.V. | Stable quantum dot compositions |
TR2022012654A2 (tr) * | 2022-08-10 | 2022-09-21 | Mfs Çi̇kolata Kalip Sanayi̇ Ve Diş Ti̇caret Li̇mi̇ted Şi̇rketi̇ | Algilanabi̇li̇r metal karişimli çi̇kolata kalibi |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH05186675A (ja) * | 1991-07-01 | 1993-07-27 | General Electric Co <Ge> | ポリカ―ボネ―ト‐ポリシロキサンブロックコポリマ―とポリカ―ボネ―トおよびポリエステルカ―ボネ―トコポリマ―とのポリマ―ブレンド |
JPH05320519A (ja) * | 1992-05-20 | 1993-12-03 | Idemitsu Petrochem Co Ltd | ポリカーボネート樹脂組成物 |
JP2004091567A (ja) * | 2002-08-30 | 2004-03-25 | Idemitsu Petrochem Co Ltd | ポリカーボネート樹脂組成物およびその成形体 |
JP2006523243A (ja) * | 2003-02-21 | 2006-10-12 | ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ | 半透明熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及び成形品 |
WO2007032901A1 (en) * | 2005-09-13 | 2007-03-22 | General Electric Company | Fatigue resistant thermoplastic composition, method of making, and articles formed therefrom |
JP2007527753A (ja) * | 2004-03-08 | 2007-10-04 | ドクトル.ハー.ツェー.ロベルト マシーズ スティフツング | 外科用のリン酸カルシウムをベースとする水硬セメント |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
NL9202090A (nl) * | 1992-12-02 | 1994-07-01 | Gen Electric | Polymeermengsel met aromatisch polycarbonaat, styreen bevattend copolymeer en/of entpolymeer en een polysiloxaan-polycarbonaat blok copolymeer, daaruit gevormde voorwerpen. |
JP3431952B2 (ja) * | 1993-06-24 | 2003-07-28 | キヤノン株式会社 | 電子写真用キャリア |
US7790292B2 (en) * | 1999-05-18 | 2010-09-07 | Sabic Innovative Plastics Ip B.V. | Polysiloxane copolymers, thermoplastic composition, and articles formed therefrom |
WO2006069677A2 (en) * | 2004-12-30 | 2006-07-06 | Cinvention Ag | Combination comprising an agent providing a signal, an implant material and a drug |
US7695815B2 (en) * | 2005-08-26 | 2010-04-13 | Sabic Innovative Plastics Ip B.V. | Low smoke polycarbonate composition and laminates, method of manufacture and product made therefrom |
-
2009
- 2009-09-30 WO PCT/US2009/058977 patent/WO2010039799A1/en active Application Filing
- 2009-09-30 EP EP09793166.1A patent/EP2344569B1/en active Active
- 2009-09-30 JP JP2011530164A patent/JP5623408B2/ja not_active Expired - Fee Related
-
2014
- 2014-09-24 JP JP2014193400A patent/JP2015017270A/ja active Pending
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH05186675A (ja) * | 1991-07-01 | 1993-07-27 | General Electric Co <Ge> | ポリカ―ボネ―ト‐ポリシロキサンブロックコポリマ―とポリカ―ボネ―トおよびポリエステルカ―ボネ―トコポリマ―とのポリマ―ブレンド |
JPH05320519A (ja) * | 1992-05-20 | 1993-12-03 | Idemitsu Petrochem Co Ltd | ポリカーボネート樹脂組成物 |
JP2004091567A (ja) * | 2002-08-30 | 2004-03-25 | Idemitsu Petrochem Co Ltd | ポリカーボネート樹脂組成物およびその成形体 |
JP2006523243A (ja) * | 2003-02-21 | 2006-10-12 | ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ | 半透明熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及び成形品 |
JP2007527753A (ja) * | 2004-03-08 | 2007-10-04 | ドクトル.ハー.ツェー.ロベルト マシーズ スティフツング | 外科用のリン酸カルシウムをベースとする水硬セメント |
WO2007032901A1 (en) * | 2005-09-13 | 2007-03-22 | General Electric Company | Fatigue resistant thermoplastic composition, method of making, and articles formed therefrom |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018536753A (ja) * | 2015-12-11 | 2018-12-13 | サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ | 付加製造用高衝撃強度ポリカーボネート組成物 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2010039799A9 (en) | 2010-06-24 |
EP2344569A1 (en) | 2011-07-20 |
JP2012504690A (ja) | 2012-02-23 |
JP5623408B2 (ja) | 2014-11-12 |
EP2344569B1 (en) | 2019-03-13 |
WO2010039799A1 (en) | 2010-04-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US9464189B2 (en) | X-ray and/or metal detectable articles and method of making the same | |
JP2015017270A (ja) | X線および/または金属の検出可能物品並びに熱可塑性組成物 | |
KR101466108B1 (ko) | 폴리실록산-폴리카보네이트 공중합체 물품 | |
EP2855585B1 (en) | Flame retardant polycarbonate compositions, methods of manufacture thereof and articles comprising the same | |
EP2855589B1 (en) | Flame retardant thermoplastic compositions, methods of manufacture thereof and articles comprising the same | |
EP2912107B1 (en) | Light emitting diode devices, method of manufacture, uses thereof | |
US20140371360A1 (en) | Flame retardant polycarbonate compositions, methods of manufacture thereof and articles comprising the same | |
KR101954282B1 (ko) | 하드 디스크 드라이브 및 반도체 용도에서 유용한 청정 폴리카보네이트 재료 | |
US8617700B2 (en) | Thermoplastic composition having improved X-ray contrast, method of making, and articles prepared therefrom | |
EP3274407A1 (en) | Polysiloxane-polycarbonate copolymer compositions | |
CN105246961A (zh) | 颜色稳定的热塑性组合物 | |
WO2024142010A1 (en) | Thermoplastic composition and article with metallic visual effect | |
WO2023180853A1 (en) | Composition, method for the manufacture thereof, and article comprising the composition |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20150630 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150804 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20160209 |