JP2015016033A - 体腔内の異物捕捉具 - Google Patents

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Abstract

【課題】体腔内の異物捕捉具を提供する。
【解決手段】この体腔内の異物捕捉具10は、チューブ20と、中心ワイヤ30と、中心ワイヤ外周に固着された第1止め具31と、中心ワイヤ外周に摺動可能に配置された第2止め具32と、基端部41を第1止め具31に固定され、先端部42を第2止め具32に固定された、複数の骨格ワイヤ40と、骨格ワイヤ40の拡径部45から第2止め具32にかけて、骨格ワイヤ40の隙間を覆うように被覆され、基端側が開口されたフィルタ50とを備え、中心ワイヤ30の軸方向から見て、中心ワイヤ30を中心とする円を描いたとき、骨格ワイヤ40の基端部41と円との交差点を通る接線に対して、骨格ワイヤ40が同方向に傾くように、第1止め具31に固定されている。
【選択図】図6

Description

本発明は、管状器官等の人体の体腔内に生成された異物を捕捉するための、体腔内の異物捕捉具に関する。
従来、血管の狭窄部の治療に際しては、ガイドワイヤ等を介して、バルーンカテーテルや、ステントを外装したバルーンカテーテル、更にはステントを収容したシース等を、狭窄部まで到達させた後、バルーンカテーテルやステントを適宜拡張させることにより、狭窄部を広げる治療が広く行われている。
上記のように、バルーンカテーテルで狭窄部を拡張した後、ステントを留置する場合、狭窄部がステントで押圧されて圧迫されるので、狭窄部に存在していた、デブリスや、プラーク、血栓等の異物が散らばって、管状器官の下流側に流れてしまうことがあった。散らばった異物が、例えば、脳内血管等の細い管状器官まで流れると、同管状器官が詰まってしまって、脳梗塞等の原因となることがある。
そのため、狭窄部にステントを留置する前に、狭窄部よりも下流側に、異物を捕捉可能な捕捉具を配置しておき、上記異物を捕捉することが行われている。
例えば、下記特許文献1には、血管内手術中に治療部位において塞栓物を補捉するための折り畳み式血液フィルタが記載されている。この血液フィルタは、ワイヤ状の供給部材と、その外周に配置されて、先端又は両端の一方が供給部材に固定されたフレームと、該フレームの先端側に取付けられたフィルタとを有し、基端側が開口した形状をなしている。また、この血液フィルタは、シース先端から突出させて展開させた状態で、軸方向に長く伸びる卵形となっている(請求項3参照)。
特許第4104458号公報
しかしながら、上記特許文献1の血液フィルタの場合、フィルタで異物を捕捉した後、ワイヤ状の供給部材で手元側に引張って、複数のフレームやフィルタをシース内周に収容するときに、複数のフレームの基端部や、縮径してヒダ状に畳まれたフィルタの基端部等が、シースの先端部に引っ掛かってしまって、フィルタをスムーズに収容できない可能性があった。
したがって、本発明の目的は、フィルタで異物を捕捉した後、複数の骨格ワイヤやフィルタを、チューブ内周にスムーズに収容することができる、体腔内の異物捕捉具を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の体腔内の異物捕捉具は、チューブと、該チューブ内に挿通された中心ワイヤと、該中心ワイヤ外周に固着された第1止め具と、該第1止め具よりも先端側にあって前記中心ワイヤ外周に摺動可能に配置された第2止め具と、基端部を前記第1止め具に固定され、先端部を前記第2止め具に固定されて、外力のない状態において、前記第1止め具から前記中心ワイヤに対して放射状に広がり、前記第2止め具に向けて集束する複数の骨格ワイヤと、前記骨格ワイヤの拡径部から前記第2止め具にかけて、前記骨格ワイヤの隙間を覆うように被覆され、基端側が開口されたフィルタとを備え、前記中心ワイヤの軸方向から見て、前記中心ワイヤを中心とする円を描いたとき、前記骨格ワイヤの基端部と前記円との交差点を通る接線に対して、前記骨格ワイヤが同方向に傾くように、前記第1止め具に固定されていることを特徴とする。
本発明に係る体腔内の異物捕捉具においては、前記フィルタの開口側であって、前記複数の骨格ワイヤとの接合部の一部には、前記フィルタの肉厚部が形成されていることが好ましい。
本発明に係る体腔内の異物捕捉具においては、前記複数の骨格ワイヤの一部は、他の骨格ワイヤとは、線径の異なる線材で形成されていることが好ましい。
本発明に係る体腔内の異物捕捉具においては、前記チューブの先端部には、軸方向に伸びるスリットが形成されており、該スリットを介して前記チューブの先端部が変形可能に構成されていることが好ましい。
本発明に係る体腔内の異物捕捉具においては、前記スリットは、前記チューブの周方向に沿って複数形成されており、その軸方向長さが短いスリットと、長いスリットとが、交互に配置されていることが好ましい。
本発明によれば、チューブ及び中心ワイヤを相対的に移動させて、チューブ先端部から複数の骨格ワイヤを開放すると、複数の骨格ワイヤが拡径して放射状に広がると共にフィルタも広がるので、異物を捕捉することができる。また、フィルタで異物を捕捉した後、チューブ及び中心ワイヤを相対的に移動させて、骨格ワイヤ及びフィルタをチューブ内に収容することができる。
そして、本発明では、中心ワイヤの軸方向から見て、中心ワイヤを中心とする円を描いたとき、骨格ワイヤの基端部と円との交差点を通る接線に対して、骨格ワイヤが同方向に傾くように、第1止め具に固定されているので、骨格ワイヤが第1止め具側からチューブ内に入り込むときに、複数の骨格ワイヤの基端部がチューブの先端部に摺接して回転しながら縮径するため、フィルタが捩られながら折り畳まれることにより、チューブ内周に複数の骨格ワイヤ及びフィルタをスムーズに収容することができ、フィルタの破損も防止できる。
本発明に係る体腔内の異物捕捉具の一実施形態を示す斜視図である。 同異物捕捉具の要部拡大側面図である。 図2のB矢示線から見た場合の説明図である。 図3のA部拡大図である。 同異物捕捉具を構成するチューブの拡大断面図である。 同異物捕捉具を示しており、(a)はチューブ先端部内周から骨格ワイヤ及びフィルタを突出させた状態を示す側面説明図、(b)はチューブ先端部内周に骨格ワイヤ及びフィルタをやや引き込んだ状態を示す側面説明図である。 同異物捕捉具を示しており、(a)はチューブ先端部内周に骨格ワイヤ及びフィルタを、図6(b)よりも引き込んだ状態を示す側面説明図、(b)はチューブ先端部内周に骨格ワイヤ及びフィルタを、図7(a)よりも引き込んだ状態を示す側面説明図である。 チューブ先端部内周に骨格ワイヤ及びフィルタを、完全に収容した状態を示す側面説明図である。 同異物捕捉具の使用方法を示しており、その第1手順の説明図である。 同異物捕捉具の使用方法を示しており、その第2手順の説明図である。 同異物捕捉具を構成する骨格ワイヤの、他の例を示す要部拡大説明図である。 同異物捕捉具を構成するチューブの、他の例を示す要部拡大説明図である。 本発明に係る体腔内の異物捕捉具の、他の実施形態を示しており、(a)はその要部拡大側面図、(b)は(a)のC矢示線から見た場合の説明図である。
以下、図1〜12を参照して、本発明に係る体腔内の異物捕捉具の一実施形態について説明する。
図1、図2及び図6(a)に示すように、この実施形態における体腔内の異物捕捉具10(以下、「異物捕捉具10」という)は、チューブ20と、該チューブ20内に挿通された中心ワイヤ30と、該中心ワイヤ30の先端部外周に配置された複数の骨格ワイヤ40とを有している。
前記中心ワイヤ30は、前記チューブ20よりも長く伸び、チューブ20内に挿通された状態で、チューブ20の先端及び基端から所定長さ突出しており、該中心ワイヤ30の基端部を押し引き操作することによって、チューブ20先端からの突出長さを変化させることが可能となっている。
前記中心ワイヤ30の先端部側の外周には、筒状の第1止め具31が固着されている。また、第1止め具31よりも中心ワイヤ30の先端側には、同中心ワイヤ30の外周に摺動可能、且つ、回転可能となるように、筒状の第2止め具32が配置されている。
更に、中心ワイヤ30の先端部は、前記第2止め具32の先端から更に伸びて、導入部30aをなしている。この導入部30aは、異物捕捉具10を体腔内で移動させるときに、第2止め具32に先行して、細い管状器官や分岐管等に導入されて、第2止め具32を体腔内壁に直接突き当たりにくくさせる部分である。
なお、上記の中心ワイヤ30や、骨格ワイヤ40は、例えば、ステンレス、Ta、Ti、Pt、Au、Wや、Ni−Ti系合金、Co−Cr系合金、Co−Cr−Ni系合金、Cu−Zn−X(X=Al,Fe等)合金、Ni−Ti−X(X=Fe,Cu,V,Co等)合金等の形状記憶合金などから形成されている。また、前記第1止め具31や第2留め具32は、例えば、ステンレス等の金属や、Pt、Ti、Pd、Rh、Au、W、及び、これらの合金等からなる放射線不透過性の金属などから形成されている。
一方、前記中心ワイヤ30の先端部外周に配置された複数の骨格ワイヤ40は、以下のような構造となっている。
図3及び図4に示すように、各骨格ワイヤ40の基端部41は、集束されて、第1止め具31の内周に挿入され、該第1止め具31と中心ワイヤ30との間に充填されたロウや接着剤等の接合材35によって固着されている。これにより、各骨格ワイヤ40の基端部41が、第1止め具31を介して中心ワイヤ30に固着されている(図4参照)。
また、各骨格ワイヤ40の先端部42は、集束されて、それらの先端を前記第2止め具32にロウや接着剤等により固定されている。ただし、第2止め具32は、中心ワイヤ30に対して摺動可能とされ、第2止め具32と共に、各骨格ワイヤ40の先端部42も中心ワイヤ30に対して摺動可能とされている。
なお、各骨格ワイヤ40の基端部41と第1止め具31との連結や、骨格ワイヤ40の先端部42と第2止め具32との連結手段は、ロウや接着剤の他、カシメや、溶接や、紐状体による縛り等を用いてもよく、特に限定はない。
図1〜3に示すように、各骨格ワイヤ40は、外力のない状態において、第1止め具31から中心ワイヤ30に対して放射状に広がり、かつ、第2止め具32に向けて集束するようになっている。
また、各骨格ワイヤ40は、その基端部41が前記第1止め具31内から挿出されて、所定半径のR状の屈曲部を介して、中心ワイヤ30に対して所定角度θ1(図2参照)で外径方向に向けて放射状に延出された基部43を経て、最も拡径した拡径部45で中心ワイヤ30と平行に伸び、その先端部42が第2止め具32に向けて再び集束する形状をなしている。したがって、外力のない状態ではカゴ状に広がった形状をなしている。
また、この実施形態の場合、前記拡径部45は、中心ワイヤ30の軸方向に対してほぼ平行となるように形成されているが、中心ワイヤ30の軸方向に平行な方向に対して±60°傾いて形成されていてもよく、特に限定はない。
なお、各骨格ワイヤ40は、外力のない状態で、上記形状をなすように、形状付形されていることが好ましく、例えば形状記憶合金を用いて、上記形状となるように形状記憶処理されていることが好ましい。
図6(a)に示すように、基端部41から基部43に至るR状の屈曲部の半径は、チューブ20の内径D(図5参照)に対して0.2〜30倍であることが好ましく、0.5〜5倍であることがより好ましい。基端部41のR状の屈曲部の半径が、チューブ20の内径Rに対して、0.2倍未満だと、チューブ20内に収容する際の抵抗が大きくなり、30倍を超えると、骨格ワイヤ40の拡径部45が第1止め具31から離れてしまう。
また、前記基部43の、中心ワイヤ30に対する屈曲角度θ1は、70〜130°であることが好ましく、90〜110°であることがより好ましい。なお、この実施形態における基部43の屈曲角度θ1は、中心ワイヤ30に対してほぼ直角となっている。前記角度θ1が130°を超えると、基部43と先端部42との距離が長くなり、骨格ワイヤ40全体の軸方向長さが長くなり、70°未満だと、チューブ20内に収容する際の抵抗が大きくなる。
更に、各骨格ワイヤ40の基端部41は、第1止め具31に対して、次のような関係で固定されている。
図4に示すように、各骨格ワイヤ40の基端部41は、中心ワイヤ30の軸方向から見て、中心ワイヤ30を中心とする円C(この例では第1止め具31の外周と一致した円となっている)を描いたとき、骨格ワイヤ40の基端部41と、前記円Cとの交差点Pを通る接線Tに対して、骨格ワイヤ40の基端部41が同方向に所定角度θ2で傾くように(すなわち、接線Tに対して骨格ワイヤ40が直角にならないように)、第1止め具31に固定されている。
この実施形態では、複数の骨格ワイヤ40の基端部41が、中心ワイヤ30の軸心を通らないように、中心ワイヤ30及び第1止め具31の周方向に均等な間隔をあけて、放射状に広がるように固定されている(図4参照)。
なお、この実施形態では、前記中心ワイヤ30の外周に、8本の骨格ワイヤ40が配置されているが、該骨格ワイヤ40は、3〜30本であることが好ましく、8〜10本であることがより好ましい。また、骨格ワイヤ40の線径は、0.01〜1.5mmが好ましく、0.03〜0.1mmであることがより好ましい。
また、この実施形態では、複数の骨格ワイヤ40は全て同じ線径となっているが、図11に示すように、複数の骨格ワイヤ40の一部を、他の骨格ワイヤ40とは異なる線径としてもよい。
図11に示す例では、太い線径の骨格ワイヤ40と、それよりも細い線径の骨格ワイヤ40aとが、中心ワイヤ30の周方向に沿って交互に配置されている(それぞれ4本ずつで合計8本)。なお、太い線径の骨格ワイヤ40の線径は、0.03〜1.5mmであることが好ましく、0.06〜0.15mmであることがより好ましく、細い骨格ワイヤ40aの線径は、0.01〜1mmであることが好ましく、0.03〜0.1mmであることがより好ましい。
そして、複数の骨格ワイヤ40が放射状に広がって拡径した状態からチューブ20内に収容すべく、チューブ20及び中心ワイヤ30を相対移動させると、チューブ20の先端部が、各骨格ワイヤ40の基端部41のR状部に当接して、摺動しながらチューブ20に引き込まれる。
そのとき、骨格ワイヤ40の基端部41は、前述したように、接線Tに対して同方向に所定角度θ2で傾くように、第1止め具31に固定されているので(図4参照)、基端部41がチューブ20の先端部に摺接して、各骨格ワイヤ40が回転しながら縮径して、チューブ20内に引き込まれるようになっている(図7(a),(b)及び図8参照)。
なお、各骨格ワイヤ40の基端部41の、前記接線Tに対する角度θ2(図4参照)は、0〜90°であることが好ましく、50〜80°であることがより好ましい。前記角度θ2が0°未満、あるいは90°を超えると、チューブ20内に収容するときに、骨格ワイヤ40が回転する作用を効果的に得にくくなる。
また、上記複数の骨格ワイヤ40には、樹脂製のフィルタ50が取付けられている。すなわち、骨格ワイヤ40の拡径部45から、骨格ワイヤ40の先端部42に固定された第2止め具32にかけて、複数の骨格ワイヤ40の隙間を覆うように、フィルタ50が被覆されており、先端側が閉塞し且つ基端側が開口して、異物G(図10)を捕捉可能なバスケット形状をなしている。
この実施形態のフィルタ50は、図2に示すように、骨格ワイヤ40の先端部42から、拡径部45の基端部41寄りの位置に亘って設けられている。なお、この実施形態のフィルタ50は、各骨格ワイヤ40の外周を被覆するように設けられている(フィルタ50に骨格ワイヤ40が埋設した状態)が、骨格ワイヤ40の外周に固着させるようにしてもよく、特に限定はされない。更にフィルタ50には、異物Gが通過しない程度の流体流通用の微小な孔を複数設けてもよい。
また、フィルタ50の開口側であって、複数の骨格ワイヤ40との接合部の一部には、例えば、フィルタ50と同材質の樹脂材料によって肉盛りされてなる、肉厚部51が形成されている。それによって、複数の骨格ワイヤ40から、フィルタ50を剥がれにくくして強固に取付けることができる。なお、上記肉厚部51は、接着剤等を固着することにより形成してもよく、特に限定はない。
上記フィルタ50としては、例えば、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン、ポリカーボネート系ポリウレタン、ポリカブロラクトン系ポリウレタン等のポリウレタンや、ポリウレタンエラストマー、ナイロン、ナイロンエラストマー、ポリブタジエン等のオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、シリコーン、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなどが採用でき、その中でもポリウレタンが好ましく採用される。
なお、上記フィルタ50は、例えば、複数の骨格ワイヤ40を金型に予めセットした状態で、ポリマー溶液をキャスティングしたり、複数の骨格ワイヤ40を金型にセットして、ポリマー溶液にディッピングしたりすること等によって形成することができる。
一方、前記チューブ20は、この実施形態の場合、材質の異なる複数のチューブが連結されて構成されている。
図5を併せて参照すると、このチューブ20は、基部側チューブ21と、その先端に連結された中間チューブ22と、その先端に連結された先端側チューブ23とからなる。また、中間チューブ22及び先端側チューブ23の内周は、チューブ先端側に向けて次第に拡径するテーパ状をなしており、複数の骨格ワイヤ40を収容しやすくなっている。
また、基部側チューブ21、中間チューブ22、先端側チューブ23の順に、硬さが柔らかくなるように形成されている。その結果、チューブ20の硬さ勾配をなだらかにして、キンクしにくくすることができる。また、硬い基部側チューブ21で、プッシュアビリティや操作性を高めて、柔軟な先端側チューブ23で、体腔内への挿入性を向上させることができる。
更に、チューブ20の先端側チューブ23の先端部24には、軸方向に伸びるスリット25が形成されている。この実施形態では、先端側チューブ23の先端部24に、その周方向に沿って均等な間隔で、複数のスリット25が形成されており、該スリット25を介して先端部24が変形するようになっている。
すなわち、図6(b)、図7(a),(b)に示すように、チューブ20内に複数の骨格ワイヤ40やフィルタ50を収容するときに、チューブ20の先端部24が、各骨格ワイヤ40のR状の屈曲部に当接することで、スリット25を介してラッパ状に拡径するように変形するようになっている。
また、この実施形態では、スリット25は同一長さに形成されているが、図12に示すように、軸方向長さが短いスリット25aと、該スリット25aよりも軸方向長さが長いスリット25bとを、チューブ20の先端部24の周方向に沿って、交互に形成してもよい。
また、上記チューブ20を構成する基部側チューブ21、中間チューブ22、及び先端側チューブ23は、例えば、ナイロンエラストマー、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニルや、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタート、ポリブダジエン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリブチレンテレフタート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルフィド、ポリエーテルエーテルケトン等の熱可塑性樹脂を用いることができ、更にこれらの混合物、或いは、ポリエーテルアミド、シリコーン等の共重合体であってもよい。また、滑り性を向上させる目的で、ECTFE(三弗化塩化エチレン−エチレン共重合樹脂)、ETFE(四弗化エチレン−エチレン共重合樹脂)、FEP(四弗化エチレン−六弗化プロピレン共重合樹脂)、PCTFE(三弗化塩化エチレン共重合樹脂)、PFA(四弗化エチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)、PTFE(四弗化エチレン樹脂)、PVDF(弗化ビニリデン樹脂)、PVF(弗化ビニル樹脂)等のフッ化樹脂を用いてもよい。
次に上記構成からなる本発明の異物捕捉具10の使用方法の一例について説明する。
図9及び図10に示すように、この実施形態の異物捕捉具10は、人体の体腔、例えば、腎臓血管や、胆管、膵管、尿管、気管、脳内血管、胸部大動脈、腹部大動脈等の、管状器官V1に生成された狭窄部Sをステント5で押し広げたときに、狭窄部Sに存在していた、デブリスや、プラーク、血栓等の異物Gを捕捉するために用いることができる。特に図9に示すように、管状器官V1から分岐した分岐管V2を有する分岐部に、好適に用いることができる。なお、この異物捕捉具10は、例えば、胆管内に生成された胆石や、膵管内に生成された膵石等を捕捉することもでき、上記態様に限定されるものではない。
使用に際しては、まず、図6(a)に示すように、外力のない状態で放射状に広がって拡径した複数の骨格ワイヤ40及びフィルタ50を、チューブ20内に収容すべく、チューブ20を保持して中心ワイヤ30を基端側に移動させるか、中心ワイヤ30を保持してチューブ20を先端側に移動させる。
すると、チューブ20の先端部24が、各骨格ワイヤ40の基端部41のR状部に当接し、それによりチューブ20の先端部24が押圧されて、スリット25を介してラッパ状に広がる(図6(b)参照)。それにより、前述したように、骨格ワイヤ40の基端部41がチューブ20の先端部24に摺接して回転しつつ、チューブ20内に引き込まれていく(図7(a)参照)。
更に、チューブ20及び中心ワイヤ30を相対移動させると、骨格ワイヤ40が回転しながら縮径してチューブ20内に引き込まれていくと共に、フィルタ50が捩られながら折畳まれてチューブ20内に引き込まれていく(図7(b)参照)。
そして、チューブ内周に複数の骨格ワイヤ40及びフィルタ50が完全に引き込まれると、スリット25を介して変形した先端部24が弾性復帰して、図8に示すように、チューブ20の先端部24の内周に、複数の骨格ワイヤ40が縮径して引き伸ばされ且つフィルタ50が適宜折り畳まれた状態で収容される。
上記のように、この異物捕捉具10においては、図4に示すように、骨格ワイヤ40の基端部41と円Cとの交差点Pを通る接線Tに対して、各骨格ワイヤ40の基端部41が、同方向に所定角度θ2で傾くように第1止め具31に固定されている。そのため、複数の骨格ワイヤ40をチューブ20内に収容するときに、各骨格ワイヤ40の基端部41がチューブ20の先端部24に摺接して回転しながら縮径し、フィルタ50が捩られながら折り畳まれるので、チューブ20内周に複数の骨格ワイヤ40及びフィルタ50をスムーズに収容することができると共に、フィルタ50が破損してしまうことを防止できる。
また、この実施形態では、各骨格ワイヤ40の基端部41に、所定半径のR状の屈曲部が形成されている。そのため、複数の骨格ワイヤ40及びフィルタ50をチューブ20内に収容すべく、チューブ20及び中心ワイヤ30を相対的に移動させるときに、基端部41のR状の屈曲部にチューブ20の先端部24が摺接しつつ、骨格ワイヤ40が引き込まれることとなるので、骨格ワイヤ40の収納時の抵抗を抑制して、よりスムーズに収納することができる。
更に、この実施形態では、チューブ20の先端部24にスリット25が複数形成されている。そのため、チューブ20及び中心ワイヤ30を相対的に移動させて、チューブ20の先端部24が、各骨格ワイヤ40の基端部41のR状部に当接して押圧されると、スリット25を介してチューブ20の先端部24が変形して、ラッパ状に大きく拡径するので、チューブ20の先端部24の内周に、複数の骨格ワイヤ40及びフィルタ50を、より一層スムーズに収容することができる。
なお、図12に示すように、軸方向長さが短いスリット25aと、軸方向長さが長いスリット25bとを、チューブ20の先端部24の周方向に沿って交互に形成した場合には、次のような効果を奏する。
すなわち、チューブ20及び中心ワイヤ30を相対的に移動させて、チューブ20の先端部24が、各骨格ワイヤ40の基端部41のR状部に当接して押圧されると、隣接する短いスリット25aと長いスリット25bとによって、チューブ20の先端部24が、その軸心に対して斜めに捲れ上がるようにして変形して、複数の骨格ワイヤ40が摺接したときの回転作用を高め、チューブ20の先端部24の内周に、複数の骨格ワイヤ40をよりスムーズに収容することができると共に、先端部24の外方への変形量を抑えて内腔の内周面等に干渉させにくくすることができる。
なお、この実施形態では、複数の骨格ワイヤ40は全て同じ線径となっているが、図11に示すように、太い線径の骨格ワイヤ40及び細い線径の骨格ワイヤ40aを用いた場合には、次のような効果を発揮しうる。
すなわち、細い骨格ワイヤ40aによって、骨格ワイヤ40aを柔軟にしてチューブ20内に収容しやすくすることができ、太い骨格ワイヤ40によって、フィルタ50を接合しやすくすることができる。
更にこの実施形態では、太い骨格ワイヤ40と細い骨格ワイヤ40aとが中心ワイヤ30の周方向に沿って交互に配置されているので、上記の効果(チューブ20への収容性及びフィルタ50の接合性)をバランス良く得ることができる。
そして、経皮的若しくは皮膚を切開する等して、必要により、図示しないガイドワイヤやカテーテルを介して、異物捕捉具10を収容したチューブ20の先端部を、狭窄部Sを通り越えてその下流側であって、分岐管V2よりも上流側に配置する。
その箇所で、チューブ20を固定して中心ワイヤ30を先端側に移動させるか、中心ワイヤ30を固定してチューブ20を基端側に移動させて、チューブ20の先端部24の内周から、中心ワイヤ30及び複数の骨格ワイヤ40を突出させることで、複数の骨格ワイヤ40が放射状に広がって拡径し、その拡径部45が管状器官V1の内壁に密接して、狭窄部Sの下流側で且つ分岐管V2よりも上流側に配置されると共に、折り畳まれたフィルタ50が広がって、その基端側が開口する(図9参照)。
この実施形態の骨格ワイヤ40は、それらの基端部41が中心ワイヤ30に対して比較的大きな角度θ1(図2参照)で立ち上がって放射状に広がっているので、第1止め具31から拡径部45に至る軸方向の長さを短くすることができ、狭窄部Sと分岐管V2の分岐部との距離が短くても、分岐管V2よりも上流側にフィルタ50の開口部を配置することが可能となる。
この状態で、図示しないチューブやカテーテルを介して、狭窄部Sでステント5を拡径させると、図10に示すように、狭窄部Sが押し広げられて、狭窄部Sに存在していたデブリスや、プラーク、血栓等の異物Gが散らばって、血流によって管状器官V1の下流側に流れる。このとき、狭窄部Sの下流側には、予め異物捕捉具10の複数の骨格ワイヤ40及びフィルタ50が広がっているので、流れてくる異物Gを残らず捕捉することができる。
そして、この異物捕捉具10においては、前述したように、フィルタ50の開口部を、ステント5の留置位置の下流側であって、かつ、分岐管V2の上流側に配置することができるので、ステント5の留置作業で発生する異物Gが、フィルタ50で捕捉しきれずに分岐管V2に逃げてしまうことを効果的に防止することができる。
上記のように異物Gを捕捉した後、異物Gを体外に排出する場合には、チューブ20及び中心ワイヤ30を相対移動させて、拡径した複数の骨格ワイヤ40及びフィルタ50を、チューブ20内に収容する。この場合も、上述したのと同様に、各骨格ワイヤ40の基端部41がチューブ20の先端部24に摺接して回転しながら縮径し、フィルタ50が捩られながら折り畳まれて、チューブ20内周に複数の骨格ワイヤ40及びフィルタ50をスムーズに収容される。その後、異物捕捉具10を手元側に移動させて、体内から引き抜くことで、体内から異物Gを取出すことができる。
図13には、本発明に係る体腔内の異物捕捉具の、他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
図13(a)及び(b)に示すように、この実施形態における体腔内の異物捕捉具10a(以下、「異物捕捉具10a」という)は、骨格ワイヤ40aの形状が前記実施形態と異なっている。
すなわち、前記実施形態では、図2等に示すように、複数のワイヤ40を中心ワイヤ30の軸方向に直交する方向から見たときに(側方から見た場合)、各骨格ワイヤ40が、中心ワイヤ30の軸方向にほぼ沿って配置されている。
これに対して、この実施形態では、図13(a)に示すように、複数のワイヤ40aを中心ワイヤ30の軸方向に直交する方向から見たときに、各骨格ワイヤ40aの軸方向途中が、中心ワイヤ30の軸方向に対して所定角度で傾いて捩れた構造となっている。特に、骨格ワイヤ40aの拡径部45が、中心ワイヤ30の軸方向に対して斜めに傾いてよじれている。
このような実施形態の場合、図13(b)に示すように、外力のない状態で、複数の骨格ワイヤ40aが放射状に広がって拡径した状態で、各骨格ワイヤ40aの拡径部45が、体腔(例えば、管状器官V1)の内周に、隙間を小さくして密接するようになっているので、体腔内に異物捕捉具10を配置したときの固定力が増大し、位置ずれしにくくすることができる。
10,10a 体腔内の異物捕捉具(異物捕捉具)
20 チューブ
24 先端部
25,25a,25b スリット
30 中心ワイヤ
31 第1止め具
32 第2止め具
40,40a 骨格ワイヤ
41 基端部
42 先端部
45 拡径部
50 フィルタ

Claims (5)

  1. チューブと、
    該チューブ内に挿通された中心ワイヤと、
    該中心ワイヤ外周に固着された第1止め具と、
    該第1止め具よりも先端側にあって前記中心ワイヤ外周に摺動可能に配置された第2止め具と、
    基端部を前記第1止め具に固定され、先端部を前記第2止め具に固定されて、外力のない状態において、前記第1止め具から前記中心ワイヤに対して放射状に広がり、前記第2止め具に向けて集束する複数の骨格ワイヤと、
    前記骨格ワイヤの拡径部から前記第2止め具にかけて、前記骨格ワイヤの隙間を覆うように被覆され、基端側が開口されたフィルタとを備え、
    前記中心ワイヤの軸方向から見て、前記中心ワイヤを中心とする円を描いたとき、前記骨格ワイヤの基端部と前記円との交差点を通る接線に対して、前記骨格ワイヤが同方向に傾くように、前記第1止め具に固定されていることを特徴とする体腔内の異物捕捉具。
  2. 前記フィルタの開口側であって、前記複数の骨格ワイヤとの接合部の一部には、前記フィルタの肉厚部が形成されている請求項1記載の体腔内の異物捕捉具。
  3. 前記複数の骨格ワイヤの一部は、他の骨格ワイヤとは、線径の異なる線材で形成されている請求項1又は2記載の体腔内の異物捕捉具。
  4. 前記チューブの先端部には、軸方向に伸びるスリットが形成されており、該スリットを介して前記チューブの先端部が変形可能に構成されている請求項1〜3のいずれか1つに記載の体腔内の異物捕捉具。
  5. 前記スリットは、前記チューブの周方向に沿って複数形成されており、その軸方向長さが短いスリットと、長いスリットとが、交互に配置されている請求項4記載の体腔内の異物捕捉具。
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