JP2015013936A - 一酸化炭素・アルデヒド交互共重合体の製造方法 - Google Patents

一酸化炭素・アルデヒド交互共重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、再沈殿による精製のような煩瑣な操作を必要とすることなく、一酸化炭素とホルムアルデヒドとの交互共重合によりグリコール酸誘導体の繰り返し構造からなる一酸化炭素・アルデヒド交互共重合体を製造することにある。
【解決手段】下記一般式(1)
【化1】
Figure 2015013936

(上記一般式(1)中、Rは置換されていてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を示す。また、Xは対アニオンを示す。)
で表されるアシリウム塩の存在下で、一酸化炭素とアルデヒドまたは解重合によりアルデヒドを生じるアルデヒド重合体の少なくともいずれかとを反応させることを特徴とする一酸化炭素・アルデヒド交互共重合体の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、一酸化炭素とアルデヒドの共重合により一酸化炭素・アルデヒド交互共重合体を製造する方法に関するものである。
一酸化炭素とアルデヒドとの交互共重合により、α−ヒドロキシカルボン酸の重縮合体であるポリエステルに相当する重合体(本発明において一酸化炭素・アルデヒド交互共重合体と称する)を得る方法は、安価で入手し易い原料から一段解でポリエステルを得られるという大きな利点があり、その検討は、これまで酸触媒を用いていくつか試みられてきた。たとえば、下記の特許文献1および2では、それぞれ固体酸触媒を用いることで、一酸化炭素・ホルムアルデヒドとの共重合体が得られることが提案されている。また、クロロスルホン酸のような低分子の酸触媒を用いる方法も下記の特許文献3で提案されている。
特開平6−122744号公報 特開平5−112624号公報 特開昭55−102619号公報
しかし、特許文献1および2では、得られる共重合体の精製操作が実用的ではないという問題があった。例えば、特許文献1では、重合反応混合物を、目的とする共重合体が不溶性の溶媒(貧溶媒)に投入して共重体を沈殿させて洗浄した後、更に、固体酸触媒と得られた共重合体とを分離するために、含フッ素溶媒に共重合体を溶解させてろ過、および再沈殿操作をする必要があり、非常に精製操作が煩瑣であった。
特許文献2では、共重合体を溶解する有機溶媒又は有機溶媒混合物を用い、反応により生成した共重合体を該反応溶媒に溶解させることにより、反応生成物と触媒の分離回収が容易になり、そのため触媒の繰返し使用が可能になるとしている。だが、特許文献2の方法も、固体酸触媒を用いるものであり、固体酸触媒を実際に繰り返し利用するためには、洗浄や乾燥などの処理が必要なので、充分に簡素化された製造方法とは言い難い。
また、特許文献3において、得られる共重合体中の一酸化炭素とアルデヒドのモル比CO/CHOは0.76であり、α−ヒドロキシカルボン酸であるグリコール酸以外の繰り返し構造も多く含まれてしまうという問題があった。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、アシリウム塩の存在下、一酸化炭素とアルデヒドの共重合を行うことにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記一般式(1)
Figure 2015013936
(一般式(1)中、Rは置換されていてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を示す。また、Xは対アニオンを示す。)
で表されるアシリウム塩の存在下で、一酸化炭素と、アルデヒドまたは解重合によりアルデヒドを生成するアルデヒド重合体の少なくともいずれかとを反応させることを特徴とする、一酸化炭素・アルデヒド交互共重合体の製造方法を提供するものである。
本発明の製造法を用いると、固体酸触媒を使用しないので再沈殿による精製など煩瑣な操作を必要とすることなく、更に、高分子鎖におけるα−ヒドロキシカルボン酸繰り返し構造の割合が極めて高い高純度の一酸化炭素・アルデヒド交互共重合体を得ることができる。
実施例1の13C NMRスペクトルのデータである。 実施例2の13C NMRスペクトルのデータである。 実施例3の13C NMRスペクトルのデータである。 実施例4の13C NMRスペクトルのデータである。 実施例1のTGA測定データである。縦軸は[質量](mg)を示し、横軸は[温度](℃)を示す。 比較例1のTGA測定データである。縦軸は[質量](mg)を示し、横軸は[温度](℃)を示す。
本発明は、前記のアシリウム塩の存在下で、一酸化炭素と、アルデヒドまたは解重合によりアルデヒドを生成するアルデヒド重合体の少なくともいずれかとを反応させ一酸化炭素・アルデヒド交互共重合体を製造する方法に関する。
例として、本発明の製造方法においてアルデヒドとしてホルムアルデヒドを用いて一酸化炭素・アルデヒド交互共重合体(ポリグリコール酸)を得る場合の化学反応式を以下に示す。
Figure 2015013936
以下、本発明について詳述する。
(アルデヒド)
本発明において、一酸化炭素との反応に用いられるアルデヒドは特に限定されず、直鎖状および分岐状の脂肪族アルデヒド、芳香族アルデヒド等からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。好ましくは炭素数1〜30、特に炭素数1〜15のアルデヒドである。このようなアルデヒドの例としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロパナール、ブタナール、2−メチルプロパナール、ペンタナール、2−メチルブタナール、3−メチルブタナール、2,2−ジメチルプロパナール、ヘキサナール、2−メチルペンタナール、3−メチルペンタナール、4−メチルペンタナール、2−エチルブタナール、2,2−ジメチルブタナール、3,3−ジメチルブタナール、4−メチルペンタナール、2−エチルブタナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ベンズアルデヒド、1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、1−アントラセンカルボキシアルデヒド、2−アントラセンカルボキシアルデヒド、9−アントラセンカルボキシアルデヒド等からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
本発明においては、一酸化炭素と、解重合によりアルデヒドを生成するアルデヒド重合体とを反応させ一酸化炭素・アルデヒド交互共重合体を得ることもできる。
そのようなアルデヒド重合体としては、1,3,5−トリオキサン、パラアルデヒド、テトラオキサン、パラホルムアルデヒド(ポリオキシメチレン)などからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
これらアルデヒド重合体の市販品をそのまま反応に用いることができる。また、これらアルデヒド重合体の市販品を再結晶などにより精製したものや、加熱によりガス化したものを反応に用いてもよい。アルデヒド重合体のうち、1,3,5−トリオキサンやパラホルムアルデヒドは、ホルムアルデヒド源としては取り扱いが容易であり好ましく、収量よく重合体を得るには1,3,5−トリオキサンが特に好ましい。
本発明においては、上記アルデヒド重合体を解重合して、アルデヒドを発生させて一酸化炭素と反応させても良く、また、アルデヒド重合体とアルデヒドの両方を一酸化炭素と反応させても良い。
(一酸化炭素)
本発明における共重合反応は通常、大気圧(0.1MPa)以上の一酸化炭素加圧下で行われる。この場合の加圧、つまり共重合反応時の圧力の上限は特に制限は無いが、50MPa以下であると好ましく、反応器が入手し易い等の点で10MPa以下であるとより好ましい。
使用する一酸化炭素は、高純度のもののみならず、反応に影響を与えない窒素、アルゴン、水素、二酸化炭素などのガスを含むものも使用することができる。また、水分を除去するために、ドライカラム(水分吸収缶)を通したガスを用いてもよい。熱分解温度が高く、耐熱性の高い共重合体を得るためには、ドライカラムを通した一酸化炭素ガスを使用することが好ましい。本発明において用いられる一酸化炭素は、水分量が体積基準で1000ppb以下であると好ましく、500ppb以下であるとより好ましく、100ppb以下であると更に好ましく、10ppb以下であると特に好ましい。また、当然のことながら、一酸化炭素とアルデヒドとを反応させる系中の水分量も上記の数値以下であると好ましい。
(アシリウム塩)
本発明においては、前記の一般式(1)
Figure 2015013936
(上記一般式(1)中、Rは置換されていてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を示す。また、Xは対アニオンを示す。)
で表されるアシリウム塩が用いられる。このアシリウム塩の存在により、一酸化炭素とアルデヒドとの反応が著しく促進され、かつ、高分子鎖におけるα−ヒドロキシカルボン酸繰り返し構造の割合が極めて高い一酸化炭素・アルデヒド交互共重合体を得ることができる。
上記一般式(1)中のRで示される「置換されていてもよいアルキル基」の「アルキル基」とは、直鎖状または分岐鎖状の飽和の脂肪族炭化水素基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、2−メチルブチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基などからなる群より選ばれる少なくとも1種の炭素数1−20のアルキル基などが挙げられる。好ましくは炭素数1−10のアルキル基である。
上記一般式(1)中のRで示される「置換されていてもよいシクロアルキル基」の「シクロアルキル基」とは、環状の飽和脂肪族炭化水素基を意味し、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ビシクロ[3.2.1]オクチル基、ビシクロ[3.2.2]ノニル基、ビシクロ[3.3.1]ノニル基、ビシクロ[4.2.1]ノニル基、ビシクロ[4.3.1]デシル基、アダマンチル基などからなる群より選ばれる少なくとも1種の炭素数3−20のシクロアルキル基が挙げられる。好ましくは炭素数3−10のシクロアルキル基である。
上記一般式(1)中のRで示される「置換されていてもよいアリール基」の「アリール基」とは、芳香族炭化水素基を意味し、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、アセナフチル基、ビフェニル基などからなる群より選ばれる少なくとも1種の炭素数6−14のアリール基が挙げられる。好ましくはフェニル基、およびナフチル基である。
上記一般式(1)中のXで示される対アニオンは求核性の極めて低いアニオンであり、例えば、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、ヘキサフルオロヒ素酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、トリフルオロメタンスルナートイオン、テトラフルオロホウ酸イオンなどからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。アシリウム塩の熱安定性の観点から、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、ヘキサフルオロヒ素酸イオンが好ましい。
本発明におけるアシリウム塩としては、上記一般式(1)中のRが炭素数6−14のアリール基であり、Xで示される対アニオンが、ヘキサフルオロアンチモン酸イオンまたはヘキサフルオロヒ素酸イオンであると好ましく、その具体例として、下記式(2)
Figure 2015013936
で表されるアシリウム塩などが好適に用いられる。このアシリウム塩は既知のものであり、アメリカ化学会誌84刊、2733頁(1962年)などの文献を参照することで容易に調製できる。
本発明の製造方法における、上記アシリウム塩の存在量としては、アルデヒド(単量体)に対して0.001mol%〜50mol%であると好ましく、0.01mol%〜5mol%であるとより好ましい。本発明の製造方法において、アルデヒド重合体を用いる場合、上記のアシリウム塩存在量は、当然、該アルデヒド重合体が解重合されて生じるであろうアルデヒド(単量体)に対する量を意味する。
(溶媒)
本発明の共重合反応は無溶媒下で行うことができるが、溶媒を用いてもよい。用いる溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素、さらにペンタン、ヘキサンなどの炭化水素などからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
(温度)
反応温度は通常、0から250℃の範囲が好ましく、より好ましくは20から200℃の範囲である。
(一酸化炭素・アルデヒド交互共重合体)
本発明の製造方法によって、高分子鎖におけるα−ヒドロキシカルボン酸繰り返し構造の割合が極めて高い、高純度の一酸化炭素・アルデヒド交互共重合体を得ることができる。
このことは、一酸化炭素とアルデヒド等との反応によって得られる共重合体の熱分析において、分解温度が1つしか観測されないことや、NMRスペクトル分析において、α−ヒドロキシカルボン酸繰り返し構造以外の構造によるピークが殆ど観測されないことなどにより確認できる。
(反応時間)
本発明の製造方法において、一酸化炭素と、アルデヒドまたは解重合によりアルデヒドを生成するアルデヒド重合体の少なくともいずれかとを反応させる際の反応時間については、特に制限は無いが、一般的には0.25時間(15分)〜100時間で充分であり、より一般的には0.5時間〜24時間である。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。得られた一酸化炭素・アルデヒド交互共重合体の分析法について以下に示す。
(熱分析)
得られた共重合体から試料を採取して、TG/DTA6200(セイコーインスツル社製)を用いて、10℃/分で40℃から430℃まで昇温する条件にて、熱重量分析(TGA)を行った。
また、得られた共重合体から試料を採取して、DSC7020(セイコーインスツル社製)を用いて示差走査熱量分析(DSC)を行った。測定は、20℃/分で室温(20℃)から−50℃まで冷却して、そのまま1分間保持し、その後10℃/分で180℃まで昇温して行い、昇温時に観測される、共重合体の溶融に由来するピーク頂点の温度を共重合体の融点とした。
(分子量測定(LC/MS測定))
共重合体1mgをヘキサフルオロイソプロピルアルコールとクロロホルムの混合溶媒(各0.5mL)に溶かし、アセトニトリルで10倍に希釈した後、0.2μm径のフィルターでろ過を行い、LC/MS測定を行った。化合物同定のLC/MS分析条件は以下の通りである。
装置:LCMS−IT−TOT(株式会社島津製作所製)
カラム:Develosil ODS−MG−3(2.0mm×150mm)
溶離液A:水
溶離液B:アセトニトリル
グラジエントB%:60%→60%(0→1分);
60%→100%(1→20分);
100%→100%(20→60分);
流量:0.2mL/分
試料量:7μL
インターフェイス:ESI
ポラリティ:ポジティブ
13C NMRスペクトル測定)
共重合体試料5mgをガラス製のバイアルにとって180℃のオーブンに3分入れた後、バイアルを液体窒素に浸けて急冷してDMSO−dに溶解させNMR測定を行った。得られたNMRスペクトルから、DMSO由来のピークを40.45ppmとしたときに、主たるピークとして、167.63ppm、および61.64ppmにカルボニル炭素に由来するピーク、およびメチレン炭素に由来するピークがそれぞれ観測されるかによって、α−ヒドロキシカルボン酸繰り返し構造を含む共重合体であるかを確認し、またパラホルムアルデヒドに由来するピークなどが観測されないかによって、共重合体の純度を確認した。
なお、得られる共重合体の中には、結晶性が非常に高く、そのままではジメチルスルホキシド(DMSO)には溶解しないものがあるため、上記の共重合体試料を急冷する前処理を行い、共重合体を非晶化させてからDMSO−dに溶解させた。
(赤外吸収スペクトル測定)
得られた共重合体の試料を用いて、臭化カリウム錠剤法にて赤外吸収スペクトルの測定を行い、1740cm−1にエステル結合のカルボニル基に由来する吸収があるか確認した。
[実施例1]
充分に乾燥させた内容量50mLのステンレス製オートクレーブに1,3,5−トリオキサン400mg(ホルムアルデヒド換算で13.32ミリモル:和光純薬製)、前記式(2)の構造式で示されるアシリウム塩54.5mg(0.16ミリモル)をアルゴン雰囲気下で仕込み、室温(20℃)でドライカラム(DC−HDF300−A3:日化精工社製)を通した一酸化炭素を5.0 MPaまで導入した。ここで、ドライカラムの性能から、一酸化炭素の水分量は500ppb(体積基準)以下になっていると推定された。次に、マグネチックスターラーと撹拌子で内容物を撹拌しながら150℃に昇温し、2時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを水浴に浸けて室温まで冷まし、未反応ガスを排出させ、オートクレーブ中の内容物をアセトン中に投入し、アセトン不溶性の沈殿物をろ取して、質量が一定になるまで減圧乾燥させた。得られた固体の量は100mgであった。
次に、前記で得られた固体を用いて熱重量分析(TGA)を行ったところ、分解温度は302℃だった。
また、この共重合体を用いて示差走査熱量分析(DSC)を行ったところ、融点は145℃だった。
上記の共重合体の試料を用いてLC/MS測定を行った結果、繰り返し構造の分子量が58の重合体成分が主として観測され、前記の固体は、グリコール酸の繰り返し構造からできている、一酸化炭素・アルデヒド交互共重合体であることが確認された。また、この測定で観測された共重合体の最大の重合度は30、最小の重合度は5だった。
上記の共重合体試料を用いて、13C NMRスペクトル測定を行ったところ、カルボニル炭素に由来するピーク、およびメチレン炭素に由来するピークがそれぞれ観測された一方で、パラホルムアルデヒドに由来するピークなどは観測されず、得られた共重合体は純度の高いポリグリコール酸であるとわかった。
得られた共重合体の試料を用いて、赤外吸収スペクトルの測定を行い、1740cm−1にエステルのカルボニル基に由来する吸収があることを確認した。
[実施例2]
一酸化炭素ガスでオートクレーブを加圧する際、ドライカラムを通さなかったこと以外は、実施例1と同様に操作を行った。アセトンに不溶の固体として得られた共重合体の量は118mgであった。13C NMRスペクトルから、この共重合体は純度の高いポリグリコール酸だということが確認された。この共重合体について、LC/MS測定で観測された最大の重合度は25、最小の重合度は6であり、TGA測定で観測された分解温度は296℃であり、DSC測定で観測された融点は170℃であった。
[実施例3]
ホルムアルデヒド重合体として1,3,5−トリオキサンではなくパラホルムアルデヒド(Aldrich社製)400mgを用いたこと以外は、実施例1と同様に操作を行った。アセトンに不溶の固体として得られた共重合体の量は64mgであった。13C NMR スペクトルから共重合体は純度の高いポリグリコール酸だということが確認された。この共重合体について、LC/MS測定で観測された最大の重合度は36、最小の重合度は5であり、TGA測定での分解温度は294℃であり、DSC測定での融点は160℃であった。
[実施例4]
一酸化炭素ガスでオートクレーブを加圧する際、ドライカラムを通さなかったこと以外は、実施例3と同様に実験を行った。アセトンに不溶の固体として得られた共重合体の量は62mgであった。13C NMRスペクトルから共重合体は純度の高いポリグリコール酸だということが確認された。この共重合体について、LC/MS測定で観測された最大の重合度は24、最小の重合度は5であり、TGA測定での分解温度は255℃であり、DSC測定での融点は170℃であった。
[比較例1]
前記一般式(2)のアシリウム塩の代わりに酸触媒としてクロロスルホン酸(東京化成工業製)を18.6mg用いたこと以外は、実施例1と同様に操作を行った。得られたアセトン不溶性の共重合体の量は82mgであった。この共重合体の赤外吸収スペクトルを測定したところ、1743cm−1に極大吸収が認められ、エステル結合を有しポリグリコール酸の部分構造を持つことが示唆された。一方、TGA測定の結果、純粋なポリグリコール酸とは異なり、この共重合体は2段階で分解することがわかり、それぞれの分解温度は78℃、316℃であった。このTGAにおける二段階の分解挙動は、得られた共重合体が、グリコール酸の繰り返し構造だけでなく、オキシメチレン(−OCH−)の繰り返し構造なども多く含んでしまっていることを示していると考えられる。
上記の実施例から、本発明の製造方法を用いると、再沈殿による精製などの煩瑣な操作を必要とすることなく、高分子鎖中のα−ヒドロキシカルボン酸繰り返し構造の割合が極めて高い、高純度の一酸化炭素・アルデヒド交互共重合体を得ることができることは明らかである。
本発明の製造方法によって得られる高純度の一酸化炭素・アルデヒド交互共重合体は高分子材料として、塗料、添加材、ボトルやフィルムなどの包装材料、徐放性薬剤バインダーポリマー、医療用縫合糸などに用いることができる。また、加水分解して得られるα−ヒドロキシカルボン酸は化学合成原料として有用である。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 2015013936
    (上記一般式(1)中、Rは置換されていてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を示す。また、Xは対アニオンを示す。)
    で表されるアシリウム塩の存在下で、一酸化炭素と、アルデヒドまたは解重合によりアルデヒドを生じるアルデヒド重合体の少なくともいずれかとを反応させることを特徴とする一酸化炭素・アルデヒド交互共重合体の製造方法。
  2. アシリウム塩が、上記一般式(1)中のRが、炭素数1−20のアルキル基、炭素数3−20のシクロアルキル基、または炭素数6−14のアリール基であるアシリウム塩である請求項1記載の製造方法。
  3. アシリウム塩が、上記一般式(1)中のXで示される対アニオンが、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、ヘキサフルオロヒ素酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、トリフルオロメタンスルナートイオン、およびテトラフルオロホウ酸イオンからなる群より選ばれる少なくとも1種であるアシリウム塩である請求項1または2に記載の製造方法。
  4. アシリウム塩が、上記一般式(1)中のRが炭素数6−14のアリール基であり、Xで示される対アニオンが、ヘキサフルオロアンチモン酸イオンまたはヘキサフルオロヒ素酸イオンであるアシリウム塩である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. アルデヒドが炭素数1〜30のアルデヒドである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. アルデヒド重合体が1,3,5−トリオキサン、パラアルデヒド、テトラオキサン、およびパラホルムアルデヒドからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  7. 反応を、0.1MPa以上の一酸化炭素加圧下にて行う請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 反応を0から250℃の範囲の温度にて行う請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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Title
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