JP2015013265A - 流体混合器 - Google Patents

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Abstract

【課題】極めて効率的な混合を可能にし、処理能力が高く、高耐圧性に優れた流体混合器を提供する。【解決手段】流体を混ぜるための流体混合器であって、単一の基体と、前記基体内に配される複数の微細孔と、を少なくとも備え、流出空間に連通している、全ての微細孔の開口部は各々、開口部の中心とその手前に位置する微細孔の一部の中心軸とを通り、流出空間の方向に外挿された直線を仮定した場合、開口部のうち、任意の開口部によって決まる直線が、その他の開口部によって決まる少なくとも1本の直線と最接近する箇所Yを有しており、かつ、箇所Yの全てが、流出空間内にある局所的な1つの空間Xに内在するように、流出空間に連通している、全ての微細孔の開口部が構成されている。【選択図】図3

Description

本発明は、微小な空間において流体を混ぜる流体混合器に関する。この流体混合器は、単独に用いる他に、たとえばμTAS(「Micro-TAS」とも呼ぶ:Micro Total Analysis Systems)に搭載して用いることも可能である。ここで、μTASは、MEMS技術を用いて、チップ上に微小な流路や反応室、混合室を設け、一つのチップもしくはデバイスで血液やDNAをはじめ様々な液体や気体を分析する生化学分析デバイスを意味する。
混合、反応、抽出、分離、加熱、冷却などの化学プロセスを微細な流路や微小な空間において行うマイクロ化学プロセスが提案され、微小空間での高効率な混合を可能とするマイクロミキサの研究がなされている。
マイクロミキサは、数百μm以下の微小な空間で混合を行うデバイスであり、混合される基質間の距離を短くできるため、混合効率を大きく向上させることができる。一例として、界面活性剤を用いることなく、エマルジョンを生成することができるマイクロ乳化器及び乳化方法が知られている(特許文献1)。
また、複数の流入口から流入した液体を、精密加工で溝を刻んだプレートの組合せにより形成された三次元的な流路で、分割・混合を繰り返して混合液とするマイクロミキサが知られている(非特許文献1)。
かかるマイクロミキサにおいて、短時間での混合や混ざりにくい液体の混合などを可能とするために、例えば2層の流れを平面上で多数に分割して、多数の層流を形成し、混合・撹拌効率を向上させる方法が挙げられる。
しかしながら、流れを多数に分割するために、精密加工技術を用いて複雑なマルチ流路を形成する必要があり、製造コストが増加するという問題があった。
また、マルチ流路を用いた場合であっても、平面的に形成された微小流路では、流体は依然として層流であり、撹拌・混合は拡散で支配されるため、混合効率に関して改良の余地があった。そのために、マルチ流路が形成されたプレートを積層することにより、三次元的な流路を形成した場合、装置構成が複雑となり、積層されたプレートの接合界面で液漏れし、耐圧も高くすることができないという問題があった。
更に、生成された固形物が積層されたプレートの接合界面の流路の交差部分などに徐々に堆積して流路を部分的に閉塞し、このため、液体の混合効率が大きく低下する虞もあった。
特開2004−81924号公報
Savemation Review 2005年8月号 60−63頁
本発明は、前述した事実に鑑みてなされたものであって、極めて効率的に流体を混ぜることができ、処理能力が高く、高耐圧を有する流体混合器を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に記載の流体混合器は、(単一の)基体(内)に、流路として機能する複数の微細孔、複数の流入空間、及び、共通する流出空間を備え、前記微細孔のうち、一群を構成する全ての微細孔は、一方の開口部が特定の前記流入空間に、他方の開口部が前記流出空間に、各々連通し、他の一群を構成する全ての微細孔は、一方の開口部が他の特定の前記流入空間に、他方の開口部が前記流出空間に、各々連通してなる流体混合器であって、前記流出空間に連通している、(一群および他の一群を構成する)全ての前記微細孔の開口部は各々、該開口部の中心とその手前に位置する該微細孔の一部の中心軸とを通り、前記流出空間の方向に外挿された直線を仮定した場合、前記開口部のうち、任意の開口部によって決まる直線が、その他の開口部によって決まる少なくとも1本の直線と最接近する箇所Yを有しており、かつ、前記箇所Yの全てが、前記流出空間内にある局所的な1つの空間Xに内在するように、前記流出空間に連通している、全ての前記微細孔の開口部が構成されている、ことを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の流体混合器は、請求項1において、前記流出空間の内壁を構成する一部の箇所に、該流出空間に連通する複数の開口部が配された領域Aが、局所的に配されており、かつ、前記領域Aは平面を成している、ことを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の流体混合器は、請求項1において、前記流出空間の内壁を構成する一部の箇所に、該流出空間に連通する複数の開口部が配された領域Bが、局所的に配されており、かつ、前記空間Xから見て、前記領域Bは単一の凹部形状を成している、ことを特徴とする。
本発明の請求項4に記載の流体混合器は、請求項1において、前記流出空間の内壁を構成する複数の箇所に各々、該流出空間に連通する複数の開口部が配された領域Cが、局所的に配されており、かつ、前記空間Xから見て、前記領域Cは各々、単一の凹部形状を成している、ことを特徴とする。
本発明によれば、空間Xに集まる流体の流れをつくることで、流出空間での流体の広がりを抑え、2液間の拡散距離をより短くすることができる。その結果、本発明では、極めて効率的な混合を可能にし、処理能力が高く、高耐圧性に優れた流体混合器を提供することができる。
第1実施形態に係る流体混合器10の一構成例を示す断面模式図である。 図1において基体2の部分を抜き出して示す模式図であり、(a)は、基体2を模式的に示した斜視図、(b)は、矢視X1−X1の断面模式図、(c)は、矢視Y1−Y1の断面模式図、(d)は、矢視Z1の平面図。 第1実施形態に係る流体混合器10を示す模式図であり、流出空間Saに対する流路の配置を示す断面模式図。 第1実施形態の変形例に係る流体混合器10aを示す模式図であり、(a)は、基体2を模式的に示した斜視図、(b)は、矢視X1−X1の断面模式図、(c)は、矢視Y1−Y1の断面模式図、(d)は、矢視Z1の平面図。 第1実施形態の変形例に係る流体混合器10bを示す模式図であり、流出空間Saに対する流路の配置を示す断面図。 第1実施形態の変形例に係る流体混合器10cを示す模式図であり、流出空間Saに対する流路の配置を示す平面図。 第1実施形態に係る流体混合器10、10a、10b及び10cを示す模式図であり、流出空間Saに対する流路の開口部配置を示す平面図。 第1実施形態に係る流体混合器10、10a、10b及び10cを示す模式図であり、微細孔の形状を示す、流体混合器1の断面模式図。 第1実施形態に係る流体混合器10、10a、10b及び10cを示す模式図であり、流体混合器1を模式的に示した斜視図。 第1実施形態に係る流体混合器10、10a、10b及び10cを示す断面模式図。 第1実施形態に係る流体混合器10、10a、10b及び10cを示す断面模式図。 流体混合器10、10a、10b及び10cを搭載したμTASチップ100の一構成例を示す模式図であり、(a)は、μTASチップ100の平面断面図、(b)は、流体混合器部分の拡大平面図、(c)は、流体混合器部分の拡大断面図。
次に図面を参照しながら、以下に実施形態及び具体例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されるものではない。
また、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
(1)流体混合器の構成
「第1実施形態」
図1は、本実施形態に係る流体混合器10の一構成例を示す断面模式図である。また、図2は、図1において基体2の部分を抜き出して示す模式図であり、(a)は、基体2を模式的に示した斜視図、(b)は、矢視X1−X1の断面模式図、(c)は、矢視Y1−Y1の断面模式図、(d)は、矢視Z1の平面図である。
以下、本発明に係る第1実施形態を、図面を参照しながら説明する。
本発明の流体混合器10は、(単一の)基体2(内)に、流路として機能する複数の微細孔3、3、・・・、4、4、・・・複数の流入空間Sb、Sc、及び、共通する流出空間Saを備える。微細孔3、3、・・・、4、4、・・・のうち、一群αを構成する全ての微細孔3、3、・・・、は、一方の開口部3aが特定の流入空間Sbに、他方の開口部3b、3b、・・・が流出空間に、各々連通し、他の一群βを構成する全ての微細孔4、4、・・・は、一方の開口部4aが他の特定の流入空間Scに、他方の開口部4b、4b、・・・が流出空間Saに、各々連通してなる。
また、基体2内において、それぞれの流路群α、βに属する微細孔3、3、・・・、4、4、・・・は、その全長にわたり、他の微細孔と離間して配されている。
そして本発明の流体混合器10は、流出空間Saに連通している、(一群αおよび他の一群βを構成する)全ての微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・は各々、開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・の中心とその手前に位置する微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の一部の中心軸とを通り、流出空間Saの方向に外挿された直線Lを仮定した場合、開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・のうち、任意の開口部によって決まる直線L1が、その他の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・によって決まる少なくとも1本の直線L2と最接近する箇所Yを有しており、かつ、箇所Yの全てが、流出空間Sa内にある局所的な1つの空間Xに内在するように、流出空間Saに連通している、全ての微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・が構成されていることを特徴とする。
図1(a)に示すように、流体混合器10は、(単一の)基体2(内)に、流路として機能する複数の微細孔3、3、・・・、4、4、・・・と、基体2の面2a(上面)に面する単一の流出空間Saと、面2b(側面)と面2c(側面)に個別に面する単一の流入空間Sb、Scを備えている。
図2に示すように、流体混合器10は、単一の基体2内に、流路として機能する、それぞれが独立した複数の微細孔3、3、・・・、4、4、・・・が形成されている。微細孔3、3、・・・は、基体2の表面(外面)において、流体が流入する面2bと、流体が流出する面2aに各々開口部3b、3b、・・・を有し、基体2の面2aと、面2bとを連通した三次元的な流路群αとして形成されている。同様に、微細孔4、4、・・・は、基体2の表面(外面)において、流体が流入する面2cと、流体が流出する面2aに各々開口部4b、4b、・・・を有し、基体2の面2aと面2cとを連通した三次元的な流路群βとして形成されている。
図2(d)に示すように、流出空間Saに対する面内におけるそれぞれの微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の他方の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・の配置は、複数の流入空間Sb、Scに通じる開口部同士が、互い違いに、最も隣接した位置を成している。
図2(d)において、符号Sは「スペース」であり、隣接する開口部3bと開口部4bの外周端間の距離を意味する。符号Pは「ピッチ」であり、隣接する開口部3bの中心(白丸)と開口部4b(黒丸)との距離を意味する。
上記「ピッチ」によって拡散長をコントロールすることが可能である。拡散長が小さいほど、混合速度を高めることができる。
しかし、混合速度を高めるため、流路群のピッチを狭めると設計可能な微細孔径も自ずと小さくなる。微細孔径が小さいと、毛細管力が大きくなる。圧力損失が大きくなる等の弊害が生じる。一方で、微細孔径が大きい流路群のピッチが自ずと大きくなり、混合性が悪くなる。ピッチの好適な範囲は5〜100μm、より好適には7〜90μm、さらに好適には9〜65μm、よりさらに好適には10〜55μmである。
また、スペースが小さいと、微細孔側壁の厚さが薄くなり、流体流入時に破損に至る。一方、スペースが大きいと異なる流体同士が領域A近傍で直ちには混ざり合うことがないため、流体同士が混ざり合うことが妨げられる。前記スペースの好適な範囲は、微細孔の断面形状が真円であるという前提で示したが、真円でない場合には真円であると近似したうえで上記範囲内にあればよい。
流出空間Saに面する微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の長径は、例えば、マイクロ・メーター乃至ナノ・メーターのオーダーとすることが好適である。また、微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の開口部間の距離は、例えば、マイクロ・メーター乃至ナノ・メーターのオーダーとすることが好適である。
流体の流入口となる流入空間Sb、Scに面したそれぞれの微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の流入側の開口部3a、4aを、流入させる流体を構成する粒子等の径以上の穴径として形成することで、流入口にフィルター機能を備えることができる。
なお、開口部3a、4aに設けるフィルター部の深さは、流体の種類によって、適宜決定することができる。
図2に示す流体混合器10では、流出空間Saの内壁を構成する一部の箇所に、流出空間Saに連通する複数の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・が配された領域Aが、局所的に配されており、かつ、領域Aは平面を成している。
ここで、図3に示すように、流出空間Saに連通している、(一群αおよび他の一群βを構成する)全ての微細孔について、開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・の中心とその手前に位置する微細孔の一部の中心軸とを通り、流出空間Saの方向に外挿された直線Lを仮定する。
図3に示すように、本実施形態の流体混合器10では、開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・のうち、任意の開口部によって決まる直線L1が、その他の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・によって決まる少なくとも1本の直線L2と最接近する箇所Yを有している。かつ、箇所Yの全てが、流出空間Sa内にある局所的な1つの空間Xに内在するように、流出空間Saに連通している。ただし、直線L1と直線L2とは交点が必ず存在するとは限らない。直線L1と直線L2以外の直線同士が最接近する箇所Yを有していれば、実際には交点を持たない直線L1,L2が例外的にあってもよい。また、空間Xの外に交点を持つこともある。
開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・から流出空間に流出した流体が、空間Xに集まる流れをつくることで、流出空間Saでの流体の広がりを抑え、2液間の拡散距離をより短くすることができる。これにより、本実施形態の流体混合器10は、極めて効率的な混合を可能にし、処理能力が高いものとなる。
なお、本発明において、「直線L1が、直線L2と最接近する箇所Y」は、「開口部のうち、任意の開口部によって決まる直線L1上の点のうち、他の開口部によって決まる直線L2との距離の2乗の総和が最小となる点」としても定義される。
空間Xが、領域Aのある一面2aに近いほど、流体の広がりを抑えることが出来るため、より混合性が向上する。しかしながら、前記一面2aに空間Xが近い場合、流路群a及びβの各微細孔3、3、・・・、4、4、・・・のうち、屈曲部の角度θが最大となる微細孔における圧力損失が大きくなり、屈曲部の角度θが最小となる微細孔との圧力損失差が大きくなってしまう。或いは微細孔の全長に差が生まれてしまう。その結果として、開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・からの「流体の均一な突出」が妨げられてしまう。
「流体の均一な混合」を実現するためには、空間Xの位置を、領域Aの直径(領域Aを略円とみなせるとき)、長径(領域Aを略楕円とみなせるとき)あるいは長辺(領域Aを略矩形とみなせるとき)の長さDと、基体2の表面(一面2a)から空間Xの中心までの距離Hとの比H/Dは、0.3〜2の範囲であることが好ましい。
空間Xを球形であるとみなし、その直径をDXとすると、DXとDとの比DX/Dは、0.5以下であることが好ましい。
なお、空間Xが複数箇所に設けられていてもよい。図3において面内左右方向に流路群α、流路群β(各微細孔3、3、・・・、4、4、・・・)の数を容易に増やすことが可能である。
これは、図3の面内上下方向に微細孔の数を増やす場合、基体2の厚み方向に、水平部の高さが異なる微細孔をさらに増やさなければならず、基体を厚くする或いは、より高密度に微細孔を配置しなければならず、構造や工程が複雑になる。一方、図3の面内左右方向に微細孔の数を増やす場合、図3の構造を周期的に繰り返すだけで容易に設計することができる。しかしながら、多くの微細孔の出口を一つの空間Xにむけることは、設計上で困難であるため、図面において紙面に対して垂直方向に複数の空間Xを設けることが好ましい。
図1に示すように、筐体20は、基体2の面2a(外面)に対向して流出空間Saを形成する上部筐体20aと、基体2の面2b、2c(外面)に対向して流入空間Sb、Scを形成する下部筐体20bと、からなる。また、基体2のそれぞれの表面(外面)2a,2b,2cと、上部筐体20a及び下部筐体20bとは、シール部材(図示せず)を介して接合され、流出空間Saと流入空間Sb、Scとは独立した空間として形成されている。筐体20としては、ステンレス等の金属類を用いることができる。シール部材としては、Oリング等の弾性シール部材を用いることができる。図1においては、流入空間Sb、Scは基板2の側方に面して描かれているが、流入空間Sb、Scの位置はこれに限らない。微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の開口部が形成されている箇所に面して流入空間Sb、Scが配置されていればよい。
流体混合器10では、異なる材料(流体)が、それぞれ異なる空間、例えば流入空間Sb、Scから流入し、流路である微細孔3、3、・・・、4、4、・・・を通り、共通する空間、例えば流出空間Saから流出する。
図1に示すように、流体混合器10は、基体2を、上下に分割した筐体20a、20bで挟持して接合することによって、前記微細孔が形成された部位が、流入空間と流出空間を含む部位から着脱可能としている。従って、混ぜられる流体の種類、性質に応じて、流体混合器を適宜選択することができる。
「変形例1」
図4は、本実施形態の変形例に係る流体混合器10の一変形例を示す模式図であり、(a)は、流体混合器10aにおいて基体2を模式的に示した斜視図、(b)は、矢視X1−X1の断面模式図、(c)は、矢視Y1−Y1の断面模式図、(d)は、矢視Z1の平面図である。
図2に示した微細孔の三次元的なレイアウトを適宜変更することによって、流路群αおよび流路群βの領域Aに対する開口部を、図4に示した流体混合器10aのように、千鳥格子状に配置することもできる(図4(d))。図4(d)において、符号Sは「スペース」であり、隣接する開口部3bと開口部4bの外周端間の距離を意味する。符号Pは「ピッチ」であり、隣接する開口部3bの中心(黒丸)と開口部4bの中心(黒丸)との距離を意味する。
微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の径は、領域Aにおいては、例えば、マイクロ・メーター乃至ナノ・メーターのオーダーとすることが好適である。その好適な範囲は、3〜50μm、より好適には5〜40μm、7〜35μmである。また、微細孔3、3、・・・、4、4、・・・、のピッチPは、例えば、マイクロ・メーター乃至ナノ・メーターのオーダーとすることが好適である。複数種類の流体を、微細孔3、3、・・・、4、4、・・・を通じて領域Aの外側へ噴出させ、それぞれの流体を混ぜる場合に、その処理能力が高くなるからである。
なお、本発明(たとえば、本実施形態に係る流体混合器10の説明)において、「混ぜる」とは、複数の流体を混合させ、反応させ、あるいは、乳化(エマルジョン)することをいう(以下、μTASの説明においても、同様の意味で使用する)。
流路群α及び流路群βを構成する微細孔3、3、‥・、4、4、‥・の数としては、特に限定されるものではなく、制御される流体の種類、処理能力に応じて、適宜選択することができる。また、流入空間Sb、流入空間Scは、同一の基板面の異なる領域に面していても良い。さらに、ここでは図示しないが、流出空間Sa、流入空間Sb、流入空間Scが全て同一の面に面していても良い。
「変形例2」
図5は、本実施形態の変形例に係る流体混合器10の一変形例を示す模式図であり、流体混合器10bにおいて、流出空間Saに対する流路の配置を示す断面図である。
流体混合器10bは、(単一の)基体2(内)に、流路として機能する複数の微細孔3、3、・・・、4、4、・・・複数の流入空間Sb、Sc、及び、共通する流出空間Saを備える。微細孔3、3、・・・、4、4、・・・のうち、一群αを構成する全ての微細孔3、3、・・・は、一方の開口部3aが特定の流入空間Sbに、他方の開口部3b、3b、・・・が流出空間に、各々連通し、他の一群βを構成する全ての微細孔4、4、・・・は、一方の開口部4aが他の特定の流入空間Scに、他方の開口部4b、4b、・・・が流出空間Saに、各々連通してなる。
流体混合器10bは、流出空間Saの内壁を構成する一部の箇所に、流出空間Saに連通する複数の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・が配された領域Bが、局所的に配されており、かつ、空間Xから見て、領域Bは単一の凹部形状を成している。
そして本実施形態の流体混合器10bは、流出空間Saに連通している、(一群αおよび他の一群βを構成する)全ての微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・は各々、開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・の中心とその手前に位置する微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の一部の中心軸とを通り、流出空間Saの方向に外挿された直線Lを仮定した場合、開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・のうち、任意の開口部によって決まる直線L1が、その他の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・によって決まる少なくとも1本の直線L2と最接近する箇所Y(を有しており、かつ、箇所Yの全てが、流出空間Sa内にある局所的な1つの空間Xに内在するように、流出空間Saに連通している、全ての微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・が構成されている。
領域Bを、空間Xから見て、単一の凹部形状とすることで、流体混合器10よりもさらに流出空間Saでの流体の広がりを抑え、2液問の拡散距離をより短くすることが出来る。これにより、流体混合器10aは、極めて効率的な混合を可能にし、処理能力がさらに高いものとなる。
凹部11の形状は特に限定されないが、例えば空間Xの中心部が、凹部11内にあることが好ましい。
基体2の表面(一面2a)からみた凹部11の開口面積は、領域Bの面積の110〜400%程度であることが好ましい。
「変形例3」
図6は、本実施形態の変形例に係る流体混合器10の一変形例を示す模式図であり、流体混合器10cにおいて、流出空間Saに対する流路の配置を示す平面図である。
流体混合器10cは、(単一の)基体2(内)に、流路として機能する複数の微細孔3、3、・・・、4、4、・・・複数の流入空間Sb、Sc、及び、共通する流出空間Saを備える。微細孔3、3、・・・、4、4、・・・のうち、一群αを構成する全ての微細孔3、3、・・・、は、一方の開口部3aが特定の流入空間Sbに、他方の開口部3b、3b、・・・が流出空間に、各々連通し、他の一群βを構成する全ての微細孔4、4、・・・は、一方の開口部4aが他の特定の流入空間Scに、他方の開口部4b、4b、・・・が流出空間Saに、各々連通してなる。
流体混合器10cは、流出空間Saの内壁を構成する複数の箇所(図に示す例では2か所)に各々、流出空間に連通する複数の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・が配された領域Cが、局所的に配されており、かつ、空間Xから見て、領域Cは各々、単一の凹部11形状を成している。
そして本実施形態の流体混合器10bは、流出空間Saに連通している、(一群αおよび他の一群βを構成する)全ての微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・は各々、開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・の中心とその手前に位置する微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の一部の中心軸とを通り、流出空間Saの方向に外挿された直線Lを仮定した場合、開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・のうち、任意の開口部によって決まる直線L1が、その他の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・によって決まる少なくとも1本の直線L2と最接近する箇所Yを有しており、かつ、箇所Yの全てが、流出空間Sa内にある局所的な1つの空間Xに内在するように、流出空間Saに連通している、全ての微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・が構成されている。
(2)流体混合器10の製造方法
次に、上述した流体混合器10の製造方法を説明する。なお、流体混合器10の変形例に係るそれぞれの流体混合器の製造方法についても、流体混合器10と同様である。
本実施形態の流体混合器10の製造工程は、基体2の内部にパルス時間幅がピコ秒オーダー以下のパルス幅を有するレーザ光を集光照射して複数の改質部を形成する工程と、基体2の内部に形成された改質部をエッチングにより除去して、流路を形成する工程と、からなる。
(2.1)改質部形成工程
まず、基体2の流路となる領域にレーザ光照射を行う。レーザ光の光源としては、例えば、フェムト秒レーザ光を用いることができる。フェムト秒レーザとは、パルスの時間幅がフェムト秒(fs)オーダーのレーザである。数フェムト秒から数百フェムト秒という超短パルスであるが故に超高強度という特徴を有しており、焦点付近で非線形光学現象である多光子吸収を誘起するため、焦点近傍で加工対象物である基体2の物性を変化させ、微細な改質部を形成することができる。その際、被加工材料である基体2としては、たとえばガラス材料などの透明材料が好適に用いられる。
レーザ光は、例えば、基体2の一方の主面側から照射され、形成される流路が基体2内の少なくとも2層以上に並べて配置されるように集光部Sを走査する。また、流路となる改質部は、レーザ光源から遠い方から順に形成されるように、集光部Sを走査する。その結果、基体2内部に、流路となる改質部を三次元的に形成することができる。
また、混合させる流体に応じて、照射するレーザ光の出力を適宜調整することにより、所望の流路径が形成される改質部とすることができる。
照射強度は、基体2を構成する材料の加工閾値近傍または加工閾値以上、且つアブレーション閾値以上であることが好ましい。改質され、流路となる部位の周囲に熱的、化学的損傷を与えないためである。
ここで、加工閾値は、改質部を形成させるためのレーザーパルスパワーの下限値と定義される。また、アブレーション閾値とは、アブレーションを発生させるためのレーザーパルスパワーの下限値であり、加工閾値とは異なる。一般的に加工閾値はアブレーション閾値よりも小さな値をとる。
なお、改質部を形成する際、レーザ光を照射する方向としては、基体の一方または他方の主面からのみ照射しても、基板の両主面から照射しても良い。
(2.2)流路形成工程
改質部形成工程を経て、流路となる領域が改質された基体2を、エッチング液(薬液)に浸漬して、改質部をウェットエッチングし、改質部を基板から除去する。改質部が除去された基体2内部には、一群の流路が三次元的に形成される。
本実施形態に係る流体混合器10においては、基体2として石英ガラスを用い、エッチング液としてフッ酸(HF)を主成分とする溶液を用いた。かかるエッチング処理は、レーザ光の未照射領域に比べて改質部が数十倍のエッチング速度でエッチングされる現象を利用するものである。従って、エッチング時間を制御することにより、レーザ光を照射した流路を形成すべき領域のみを選択的にエッチングして除去することができ、このエッチングの選択性を利用して基体2内に固定構造として一群の流路を三次元的に形成することができる。
エッチング液は特に限定されず、例えば、フッ酸(HF)を主成分とする溶液の他、フッ酸に硝酸等を適量添加したフッ硝酸系の混酸やKOH等のアルカリも用いることができる。また、基体2の材料に応じて、他の薬液を用いることもできる。
(3)作用・効果
(3a)本実施形態に係る流体混合器10、10a、10b及び10cは、単一の基体2内に、それぞれが独立した複数の流路と、複数の流路の一方の開口部が面した流入空間と、複数の流路の他方の開口部が面した流出空間と、を備えて構成されている。単一の基体内に設けられたそれぞれの流路は、流入空間と流出空間の間で流入空間と流出空間とを連通した一群の流路として、互いに交わることなく三次元的な流路として形成され、流出空間Saに対する面内におけるそれぞれの微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の他方の開口部同士が、最も隣接した位置を成している。そのため、それぞれの開口部から流出空間Saに噴出した流体同士の混合効率や反応性を高くすることができ、短時間での混合や混ざりにくい液体の混合が可能となる。また、内包した基体2を容易に交換することが可能となる。さらに、筺体の分割洗浄も可能となる。
(3b)基体2内において、複数の流路が三次元的に積層して形成されているために、二次元的な流路に比べて飛躍的に多数の流路を設けることができ、処理能力及び生産性を高めることができる。更に、基体2内の一群の流路は、一体で連続体であるために接合界面で液漏れすることがなく、耐圧性能を高くすることができる。
(3c)特に流体混合器10、10a、10b及び10cは、流出空間に連通している、(一群αおよび他の一群βを構成する)全ての微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・は各々、開口部の中心とその手前に位置する該微細孔の一部の中心軸とを通り、流出空間Saの方向に外挿された直線Lを仮定した場合、開口部のうち、任意の開口部によって決まる直線L1が、その他の開口部によって決まる少なくとも1本の直線L2と最接近する箇所Yを有しており、かつ、箇所Yの全てが、流出空間Sa内にある局所的な1つの空間Xに内在するように、流出空間Saに連通している、全ての微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・が構成されている。
開口部から流出空間に流出した流体が、空間Xに集まる流れをつくることで、開口部出口での流体の広がりを抑え、2液間の拡散距離をより短くすることができる。これにより、本実施形態の流体混合器は、極めて効率的な混合を可能にし、処理能力が高いものとなる。
さらに、以下に述べる4点においても、従来技術に比べて本発明は優れている。
(3d)基体2に内在する一群の流路は、一体をなすと共に連続体である。これに加えて、流出空間Saにおける基体2では、一群を構成する全ての微細孔3、3、・・・の開口部(出口)一つに注目した場合、他の一群を構成する全ての微細孔4、4、‥・の開口部(出口)のうち、もっとも隣接する微細孔の数は、最外周を除き、4ヵ所とすることができる。これにより、2流体の境界面を増大させることが可能となり、耐圧性能だけではなく混合性が向上する。
(3e)また、微細孔の数を増やすだけで容易に混合の処理量を高めることができる。従来は流路本数を増やし処理量を増大させる場合、1次元方向に流路数を増やさざるを得なかった。これに対して、本発明では2次元方向に流路数を増やすことができる。そのため、流体混合器の小型化が容易となる。
(3f)また、流体混合器の耐薬品性を高めるため、後述するコーティング層を施すことができる。従来は混合に用いる流路部にも耐薬品性の低い材料が使用させている。流路部の流路幅を100μmオーダー以下とする必要がある場合、厚塗りが必要な耐薬品コーティングを、このような細い淡路の内壁に施すことは極めて困難であり、耐薬品性を高めることはできなかった。これに対して、基体2にガラスを用いた場合、基体2は高い耐薬品性を備えることができる。また、筥体には前記コーティングを施すことができるため、結果として、従来の流体混合デバイスよりも耐薬品性を高められる。
(3g)本発明の流体混合器は、設計の自由度が高いので、2液の混合だけではなく、複数の液(3液以上)の混合を行うことも可能である。
(4)その他の応用例
(4a)このような流体混合器10、10a、10b及び10cにおいて、複数の微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の圧力損失のばらつきが、±10%以内であることが好ましい。
流路として機能する複数の微細孔3、3、・・・、4、4、・・・に、等速で流体を流せるとして、各微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の圧力損失のばらつきを、±10%以内に収めるように、各微細孔3、3、・・・、4、4、・・・を設計することが好ましい。圧力損失のばら付きが±10%よりも大きくなると、処理速度によっては、流体の混合性に大きなばらつきが生じる可能性がある。
(4b)流体混合器10、10a、10b及び10cにおいて、複数の微細孔3、3、・・・、4、4、・・・が、略同じ長さを有することが好ましい。
流路として機能する複数の微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の長さを統一することにより、流出空間Saに対する面内における各微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の他方の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・における、流体の流速を均一化することができる。それぞれの微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の流出口となる、他方の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・における流体の流速を揃えることで、均一に流体が流出し、流体をより均一に混合することができる。各微細孔の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・における流速誤差は、平均値より±100%以内であることが好ましく、±50%以内であることがより好ましい。
各微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の径が同じであるとみなせるとき、各微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の長さが等しくなるように設計すればよい。これにより、各微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・における、流体の流速を均一化することができる。一方、各微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の径が異なる場合、径に応じて長さを適宜変えることにより、開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・における流体の流速を、より均一にすることができる。微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の長さを変える場合には、流出口となる他方の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・のピッチを調整する、あるいは流入口となる一方の開口部3a、3a、・・・、4a、4a、・・・の位置を調整することで、微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の長さを変えることができる。
(4c)流体混合器10、10a、10b及び10cにおいて、流出空間Saに対する面内における微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の他方の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・の配置を、流出空間Saに対する面内において、ピッチがランダムになるようにしてもよい。
微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の流出口となる、他方の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・のピッチを乱し、ランダムな配置とする。これにより、流体の拡散長が場所によって異なることとなり、均一ではない(ランダムな)混合を実現できる。その結果、ランダムな生成物を得ることができる。例えば、この流体混合器10および10aをナノ粒子製造に用いる場合、粒径の揃った単分散の粒子ではなく、流径が一定のばらつきを持った、多分散の粒子を一度に安定して加工することができる。
(4d)流体混合器10、10a、10b及び10cにおいて、流出空間Saに対する面内における微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の他方の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・の配置を、該面内における特定の領域におけるピッチと、他の特定の領域におけるピッチとが、異なるようにしてもよい。
例えば図7に示すように、微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の流出口となる、他方の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・のピッチを、面内の第一の領域Mと、第二の領域Nとで、異なるものとする。これにより、流体の拡散長が面内の領域によって異なることとなる。例えば第一の領域Mにおける微細孔のピッチP1と、第二の領域Nにおける微細孔のピッチP2との関係をP1<P2とした場合、流体の混合速度が、第一の領域Mでは早くなり、第二の領域Nでは遅くなる。これにより、例えば、この流体混合器をナノ粒子製造に用いる場合、粒径の揃った単分散の粒子ではなく、粒径2水準を有する粒子の同時成形等、異なる2種の生成物或いはばらつきを持った生成物を得ることができる。
(4e)流体混合器10、10a、10b及び10cにおいて、流出空間Saに対する面内における微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の他方の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・近傍において、微細孔の径が絞られた構造としてもよい。
図8に示すように、微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の流出口となる、他方の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・近傍において、微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の径を絞り、テーパー状とする。これにより、流出口近傍での流体の流速が上がり、渦流が発生しやすくなる。これにより流体の混合性が向上する。また、流出口近傍の流路径のみが細いので、圧力損失の上昇を最小限に抑えることが可能となる。なお、図8では、微細孔の形状を説明するために、1つの孔のみを示している。
テーパー角には好適な角度として、微細孔3、4の流出口径をdとし、内部径をdとしたとき、テーパー距離Lに対する、流路幅の縮小分ΔD(d−d)の比率(ΔD/L)が、0.05〜2の範囲が好ましく、0.1〜1の範囲がより好ましい。(ΔD/L)が0.05よりも小さい場合、十分な流路径差を生み出すことが難しくなる。一方、(ΔD/L)が2よりも大きい場合、流体の種類によっては、流路内で滞留が起き、流路内に堆積物ができやすくなる。例えば、微細孔の流出口径dが23μm、内部径dが25μmである場合、流出口近傍では18%程度の流速の増大が期待できる。そのため、流路径の差ΔDは、1μm以下であれば十分な効果が得られる。
(3f)流体混合器10、10a、10b及び10cにおいて、流出空間Saに対する面内における微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の他方の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・近傍において、微細孔の径が広げられた構造としてもよい。
微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の流出口となる、他方の開口部3b、3b、・・・、4b、4b、・・・近傍において、微細孔3、4の径を広げた構造としてもよい。このような構造とすることで、隣りあう微細孔3、3、・・・、4、4、・・・から流出する2種類の流体間に生じる流れの剥離を抑制することができる。これにより乱流及び微細孔3、3、・・・、4、4、・・・から流出した流体の抵抗を抑えることができるため、より大きな圧力で流体を押し出すことが可能となる。その結果、混合物の処理量を増加することができる。
(4g)流体混合器10、10a、10b及び10cにおいて、微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の側壁に、コーティング層が設けられていてもよい。
微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の側壁に、コーティング層を設けることで、流体混合器の耐薬品性を向上することができる。しかし、耐薬品性を持たせるには、コーティング層の厚膜化が必要となるため、基体2側に厚膜コーティング層を設けることは困難であるが、筺体側に設けることができる。
なお、微細孔3、3、・・・、4、4、・・・に粘着性の高い流体を流すと、側壁に付着物が堆積し、孔が詰まる懸念がある。フッ素樹脂コーティング層は薄膜で塗布形成することができるため、微細孔内にも形成可能である。そのため、基体2側へのフッ素樹脂コーティング層を設けることで、微細孔3、3、・・・、4、4、・・・の詰まりを抑制することができる。
(4h)流体混合器10、10a、10b及び10cにおいて、基体2の内部に、温度調整手段が設けられていてもよい。
領域Aの下流側に別途マイクロ流路を設け、流路内を流れる物質の温度をコントロールできるように温度調整手段を設けてもよい。温度調整手段としては特に限定されるものではないが、基体2上に、ヒーター、あるいはヒーター及び温度センサ部となる配線構造を形成することができる。この際、溶液に対して絶縁を保つため、基体2上に絶縁層を設けても構わない。ヒーターあるいは温度センサの配線としては、例えば、ニクロム、ITOなどが上げられる。また、昇温のためにマイクロ波を使用しても構わない。
例えば図9に示すように、基体2上に導管あるいはPWW(ポストウォールウェーブガイド)90などを設け、基体2の内部に流路25を設けることで、加熱することが可能となる。また、基体2上に流路を設け、この流路内に、適切な温度を有する流体(液体やガス)を流すことにより、昇温、冷却を行ってもよい。
(4i)流体混合器10、10a、10b及び10cにおいて、基体2の外側に、温度調整手段が設けられていてもよい。
基体2の外側(例えば筺体20部分)に、温度調整機構を設けてもよい。温度調整手段としては、特に限定されず、例えば、温度センサとなる熱電対、ヒーターとなるマイクロヒータを用いることができる。これらの温度調整機構の挿入口を、基体2の外側に設ければよい。或いは、基体2内部に流路を設け、この流路内に、適切な温度を有する流体(液体やガス)を流すことにより、昇温、冷却を行ってもよい。
(3j)流体混合器10、10a、10b及び10cにおいて、筐体20は、一方が流出空間Saに連通し、他方が表面に連通する流出口流路21を有し、該流出口流路21は、一方側が広く、他方側が狭くなるように径が絞られた構造としてもよい。
図10に示すように、筐体20に設けられた、一方が流出空間Saに連通し、他方が表面に連通する流出口流路21において、流出口流路21の他方側を絞りのある構造としてもよい。領域Aでは微細孔3、3、・・・、4、4、・・・が2次元的な配列をとるため、領域Aにおいて基体2の開口面積は、流路群のある領域の面積よりも大きな面積とする必要がある。一方で、微細孔3、3、・・・、4、4、・・・を出た2種類の流体の混合を速めるには、流出口流路の径を小さくし、流体間の拡散距離を小さくすることが好ましい。そのため、領域Aにおける流出口流路を絞りを有する構造とすることが好ましい。
(3k)流体混合器10、10a、10b及び10cにおいて、筐体20は、一方が流出空間Saに連通し、他方が表面に連通する流出口流路21を有し、該流出口流路21が屈曲した構造としてもよい。
図11に示すように、筐体20に設けられた、一方が流出空間Saに連通し、他方が表面に連通する流出口流路21において、流出口流路21の一方側を屈曲した構造としてもよい。流出口流路を屈曲させることで、この部分で対流が強制的に起きる。さらに、この対流によって流体変形が生じ、2種類の流体間の拡散距離を短くすることができる。これにより、より効率的な混合を実現できる。
「第2実施形態」
図12は、上述したような流体混合器10を搭載した本実施形態に係るμTASチップ100の一構成例を示す模式図であり、(a)は、μTASチップ100の平面図、(b)は、流体混合器部分の拡大平面図、(c)は、流体混合器部分の拡大断面図である。
図12に示したμTASチップ100は、μTASチップ本体として機能する基体110と、この基体110と一体を成すように設けられた流体混合器10を少なくとも備える。このμTASチップ100は、さらに、流体混合器10の下流側にリアクタ120、セパレータ130、検出器140を備えているが、これはμTASチップの一構成例であって、これに限定されるものではない。たとえば、リアクタ120、セパレータ130、検出器140は、μTASチップ100と別体を成す構成としてもよい。
分析対象の流体(液体や気体)と、選択されたキャリアとは、流入空間Sb、Scから、それぞれのフィルター機能部Fを通った後、流体混合器1の誘導空間へ流入し、流出空間Saで混合される。その後、リアクタ120で反応したサンプルは、必要に応じてセパレータ130で、キャリアと分離され、所望の分析情報が検出器140によって、外部機器等へ取り出される。
なお、μTASの構成としては、本実施形態のように流体混合部やリアクタ、セパレータ等を一つの基体に集積させたものの他に、流体混合器、リアクタ、セパレータ等の個別部品を組み上げてシステム化することもできる。
以上、本発明の実施形態として、具体例を挙げて説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
10a,10b,10c(10) 流体混合器、2 基体、3、4 微細孔、20 筺体、100 μTASチップ、Sa 流出空間、Sb、Sc 流出空間。

Claims (4)

  1. 基体に、流路として機能する複数の微細孔、複数の流入空間、及び、共通する流出空間を備え、
    前記微細孔のうち、
    一群を構成する全ての微細孔は、一方の開口部が特定の前記流入空間に、他方の開口部が前記流出空間に、各々連通し、
    他の一群を構成する全ての微細孔は、一方の開口部が他の特定の前記流入空間に、他方の開口部が前記流出空間に、各々連通してなる流体混合器であって、
    前記流出空間に連通している、全ての前記微細孔の開口部は各々、該開口部の中心とその手前に位置する該微細孔の一部の中心軸とを通り、前記流出空間の方向に外挿された直線を仮定した場合、
    前記開口部のうち、任意の開口部によって決まる直線が、その他の開口部によって決まる少なくとも1本の直線と最接近する箇所Yを有しており、かつ、前記箇所Yの全てが、前記流出空間内にある局所的な1つの空間Xに内在するように、前記流出空間に連通している、全ての前記微細孔の開口部が構成されている、ことを特徴とする流体混合器。
  2. 前記流出空間の内壁を構成する一部の箇所に、該流出空間に連通する複数の開口部が配された領域Aが、局所的に配されており、かつ、前記領域Aは平面を成している、
    ことを特徴とする請求項1に記載の流体混合器。
  3. 前記流出空間の内壁を構成する一部の箇所に、該流出空間に連通する複数の開口部が配された領域Bが、局所的に配されており、かつ、前記空間Xから見て、前記領域Bは単一の凹部形状を成している、ことを特徴とする請求項1に記載の流体混合器。
  4. 前記流出空間の内壁を構成する複数の箇所に各々、該流出空間に連通する複数の開口部が配された領域Cが、局所的に配されており、かつ、前記空間Xから見て、前記領域Cは各々、単一の凹部形状を成している、ことを特徴とする請求項1に記載の流体混合器。
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