JP2015011011A - 膵疾患マーカー検出用十二指腸液試料の選定方法、及び膵疾患マーカーの検出方法 - Google Patents

膵疾患マーカー検出用十二指腸液試料の選定方法、及び膵疾患マーカーの検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】同一被検者から採取された複数の十二指腸液試料から、膵液が含まれている可能性が高く、膵疾患マーカー検出により適した試料を選定する方法、及び当該方法により選定された十二指腸液試料を用いて膵疾患マーカーを検出する方法の提供。【解決手段】(a)同一被検者から採取された複数の十二指腸液試料の色の濃さを比較する工程と、(b)前記工程(a)の結果に基づき、前記複数の十二指腸液試料の中から最も色の濃い試料を、当該膵疾患マーカーの検査に供する試料として選定する工程と、を有することを特徴とする、膵疾患マーカー検出用十二指腸液試料の選定方法。【選択図】なし

Description

本発明は、十二指腸液試料を膵疾患マーカー検出に供試する場合において、同一被検者から採取された複数の十二指腸液試料から、膵疾患マーカー検出により適した試料を選定する方法、及び当該方法により選定された十二指腸液試料を用いて膵疾患マーカーを検出する方法に関する。
膵液(膵管から排出される体液)は膵臓の状態を知るための重要な生体試料であり、細胞診、重炭酸塩測定、細菌検査、タンパク質や核酸等からなるマーカーの検査等の膵疾患の検査に用いられている。特に、膵液中に含まれる細胞や各種生体成分を解析することにより、早期発見が難しい上に予後が非常に悪いとされる膵癌の早期発見が期待できる。
膵液は、一般的に、経内視鏡的に膵臓の膵管にカテーテルを挿入して採取される。しかし、当該方法は、患者への侵襲性が高く、また医師の高度な手技の獲得が必要であるなど、問題がある。そこで、膵管から採取された膵液に代えて、十二指腸液を用いて膵疾患を検査する方法が報告されている(例えば、特許文献1参照。)。膵液は膵臓から十二指腸へ排出されるため、十二指腸液中の膵液成分を検出することによって、膵疾患を検査し得る。十二指腸液は、採取工程において膵管へのアプローチが不要であり、内視鏡を十二指腸まで挿入し、その場で吸引するだけで採取可能である。すなわち、十二指腸液の採取は、膵管からの膵液採取に比べて、低侵襲かつより簡便な手技で実施することができる。
十二指腸液には、膵臓から排出される膵液の他にも、肝臓で生成され胆嚢を経て排出される胆汁、十二指腸で分泌される粘液が含まれ得る。つまり、十二指腸液は、膵液、胆汁、及び十二指腸で分泌される粘液が混合された体液であり、各成分の含有量は様々である。このため、被検者から採取された十二指腸液中に、膵疾患を検査する上で最も重要な情報を持つと考えられる膵液が必ず入っているかどうかは不明である。仮に、同一人から複数分画採取した場合、膵液の分布に偏りがあると考えられ、採取した十二指腸液に必ず膵液が含まれているとは限らない。実際に、膵液と胆汁の分泌刺激剤(セクレチン及びCCK)を静注した後から30分後及び45分後に排出された膵液を、透視下で十二指腸に挿入したゾンデから採取する試験(セクレチンテスト)で得た膵液中のCEA(carcinoembryonic antigen)を測定することにより、健常者と慢性膵炎患者と膵癌患者を見分けようという研究がなされているが(非特許文献1参照。)、このセクレチンテストはばらつきが大きいという問題がある。
国際公開第2013/038981号
ローニィ(Rolny)、他2名、スカンディナヴィアン・ジャーナル・オブ・ガストロエンテロロジー(Scandinavian Journal of Gastroenterology)、1977年、第12巻、第759〜763ページ。
十二指腸液試料を用いて膵疾患マーカーの検査を行う場合には、供試される十二指腸液試料中に、膵液が含まれていることが重要である。このため、同一被検者から採取された十二指腸液試料が複数ある場合には、これらの試料から、膵液が含まれている可能性が高い試料を選定する必要がある。
すなわち、本発明は、同一被検者から採取された複数の十二指腸液試料から、膵液が含まれている可能性が高く、膵疾患マーカー検出により適した試料を選定する方法、及び当該方法により選定された十二指腸液試料を用いて膵疾患マーカーを検出する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、色の濃い十二指腸液のほうが、無色透明に近い十二指腸液よりも、膵液成分をより多く含む場合が多いことを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明に係る膵疾患マーカー検出用十二指腸液試料の選定方法、及び膵疾患マーカーの検出方法は、下記[1]〜[9]である。
[1](a)同一被検者から採取された複数の十二指腸液試料の色の濃さを比較する工程と、
(b)前記工程(a)の結果に基づき、前記複数の十二指腸液試料の中から最も色の濃い試料を、当該膵疾患マーカーの検査に供する試料として選定する工程と、
を有することを特徴とする、膵疾患マーカー検出用十二指腸液試料の選定方法。
[2]十二指腸液試料の色の濃さの比較を、目視で行う、前記[1]の膵疾患マーカー検出用十二指腸液試料の選定方法。
[3]十二指腸液試料の色の濃さの比較を、各十二指腸液試料の分光スペクトル情報に基づいて行う、前記[1]の膵疾患マーカー検出用十二指腸液試料の選定方法。
[4]各十二指腸液試料のCIE XYZ表色系又はCIE L表色系における色度を求め、色度図上において、水の色度からの距離が最も遠い十二指腸液試料を最も色の濃い試料であると選定する、前記[1]の膵疾患マーカー検出用十二指腸液試料の選定方法。
[5]十二指腸液試料の色の濃さの比較を、各十二指腸液試料の350〜540nmの範囲内における所定の波長の吸光度に基づいて行う、前記[1]の膵疾患マーカー検出用十二指腸液試料の選定方法。
[6]十二指腸液試料の色の濃さの比較を、各十二指腸液試料の400〜460nmの範囲内における所定の波長の吸光度に基づいて行う、前記[1]の膵疾患マーカー検出用十二指腸液試料の選定方法。
[7]十二指腸液試料中の膵疾患マーカーを検出する工程を有し、
前記十二指腸液試料が、前記[1]〜[5]のいずれかの膵疾患マーカー検出用十二指腸液試料の調製方法により、同一被検者から採取された複数の十二指腸液試料から選定されたものであることを特徴とする、膵疾患マーカーの検出方法。
[8](a)同一被検者から採取された複数の十二指腸液試料の色の濃さを比較する工程と、
(b)前記工程(a)の結果に基づき、前記複数の十二指腸液試料の中から最も色の濃い試料を、当該膵疾患マーカーの検査に供する試料として選定する工程と、
(c)前記工程(b)において選定された十二指腸液試料中の膵疾患マーカーを検出する工程と、
を有することを特徴とする、膵疾患マーカーの検出方法。
[9]前記膵疾患マーカーがCEAである、前記[7]又は[8]の膵疾患マーカーの検出方法。
本発明に係る膵疾患マーカー検出用十二指腸液試料の選定方法により、同一被検者から採取された十二指腸液試料が複数ある場合に、膵液成分がより多く含まれている可能性が高い試料を簡便に選定し得る。このため、本発明に係る膵疾患マーカーの検出方法のように、前記選定方法によって選定された十二指腸液試料を膵疾患マーカーの検査に供試することによって、膵疾患の見落とし(擬陰性)を減らすことができる。
本発明に係るマーカー検出方法の一態様のフローチャートの概略図である。 実施例1において、検体M8、M9、及びM10の各分画の写真である。
本発明及び本願明細書において、膵疾患マーカーは、膵液中に含まれているタンパク質、核酸、脂質、細胞等の各種生体分子であって、膵疾患の非罹患者と比較して、膵疾患に罹患している患者において、膵液中の濃度が有意に高くなる生体分子である。なお、膵疾患の非罹患者は、健常者に限らず、膵疾患以外の疾患の罹患者をも含む。また、膵疾患としては、例えば、膵癌、IPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)、MCN(粘液性嚢胞腫瘍)、SCN(漿液性嚢胞腫瘍)、NET(膵内分泌腫瘍)、慢性膵炎(CP)、急性膵炎等が挙げられる。
一般に、膵液及び十二指腸で分泌される粘液は透明であり、胆汁はビリルビン等の黄色物質を含むため、黄色を呈している。このため、これら三者が様々な比率で混合されている体液である十二指腸液は、様々な色のバリエーションが存在する。特に胆汁由来の黄色物質の影響により、十二指腸液は、ごく透明に近い薄黄色から濃黄色(茶黄色)まで幅広い色を呈する。同一被験者から同日に採取された十二指腸液試料同士であっても色が違う場合もある。その理由としては、十二指腸液試料を採取する部位や採取するタイミングの違いが考えられる。
<膵疾患マーカー検出用十二指腸液試料の選定方法>
本発明に係る膵疾患マーカー検出用十二指腸液試料の選定方法(以下、「本発明に係る試料選定方法」ということがある。)は、同一被検者から採取された複数の十二指腸液試料がある場合に、膵疾患マーカー検出に供試される十二指腸液試料として、液色が最も濃い試料を選定することを特徴とする。後記実施例1等に示すように、液色が濃い十二指腸液のほうが、色の薄いものよりも、膵疾患マーカーの検出感度が高い傾向にあるためである。つまり、色が濃い十二指腸液のほうが、色の薄いものよりも、膵液成分を多く含むことが期待でき、よって色のより濃い十二指腸液試料を供試することにより、膵疾患マーカーの検査における偽陰性の頻度を低減させ、より信頼性の高い結果を得ることができる。
十二指腸液の色が濃いことは、胆汁由来成分を多く含むことを意味する。胆汁成分を多く含む十二指腸液が膵疾患マーカーの検出にも適している理由は明らかではないが、胆汁と膵液は共に乳頭部から十二指腸への排出されることから、胆汁が十二指腸へ排出されている場合には、乳頭部が開口しており、膵液も同様に十二指腸へ排出されている場合が多いためではないかと推察される。十二指腸液試料中に膵液成分が含まれているか否かの指標として、胆汁由来成分である黄色物質を使用できることは、本発明者らが初めて見出した知見である。
すなわち、本発明に係る試料選定方法は、下記工程(a)及び(b)を有することを特徴とする。
(a)同一被検者から採取された複数の十二指腸液試料の色の濃さを比較する工程。
(b)前記工程(a)の結果に基づき、前記複数の十二指腸液試料の中から最も色の濃い試料を、当該膵疾患マーカーの検査に供する試料として選定する工程。
本発明に係る試料選定方法において選定の対象となる十二指腸液試料は、十二指腸の腸管内のどこから採取された十二指腸液であってもよいが、十二指腸の第二ポーション又は第三ポーションに存在する十二指腸液であることが好ましい。十二指腸の第一ポーションは胃の幽門部から直接つながる部位であり、胃液の混入の可能性があること、また、採取のための内視鏡の固定が比較的難しく、採取が難しい場合があること等のためである。
なお、十二指腸液は、常法により採取することができる。例えば、十二指腸液を内視鏡カテーテルに接続したシリンジや真空ポンプなどの吸引手段にて採取することができる。具体的には、内視鏡を口腔から十二指腸まで挿入し、鉗子チャネルを挿通して挿入したカテーテルを用いて、十二指腸の第二・第三ポーションに存在する十二指腸液を吸引し採取する。例えば、いわゆる胃カメラとしての胃・十二指腸の内視鏡検査(上部内視鏡検査)のついでに、十二指腸の腸管内に貯留している十二指腸液を採取してもよい。
本発明に係る試料選定方法において選定の対象となる複数の十二指腸液試料は、同一被検者から採取されたものであればよく、異なる採取時期に採取された十二指腸液試料群であってもよく、同時に複数の分画に分けて採取された十二指腸液試料群であってもよい。例えば、一度の内視鏡挿入において、十二指腸内の複数個所に貯留している十二指腸液を、部位ごとに別の採取容器に採取することが好ましい。
十二指腸液には通常多種多様な酵素が含まれているため、保存状態いかんによっては、十二指腸液試料中の成分の分解や変性が生じるおそれがある。また、ビリルビンなどの色成分は光により分解される可能性がある。このため、被検者から採取した時点から色の濃さを比較するまでに時間を要する場合には、十二指腸液試料は、必要に応じて遮光状態で冷蔵又は冷凍保存しておくことが好ましい。
また、被検者から採取された十二指腸液試料は、試料間の相対的な色の濃さを変更しない限り、色の濃さを比較する前に、各種添加剤やバッファー等を添加してもよい。添加剤としては、界面活性剤、タンパク質分解酵素阻害剤、核酸分解酵素阻害剤等の、十二指腸液試料中の成分の分解や変性を抑制するための試薬等が挙げられる。添加剤等は、生体から採取された十二指腸液を含む容器に添加してもよく、予め容器に入れておき、当該容器に十二指腸液を直接採取することもできる。
十二指腸液試料の色の比較は、目視で行うことができる。目視で行うことにより、特段の分析装置や操作等を要することなく、簡便かつ迅速に、複数の十二指腸液試料のから最も色の濃い試料を選定することができる。
十二指腸液試料の色の比較は、各十二指腸液試料の分光スペクトル情報に基づいて行うこともできる。分光スペクトルとは、吸収スペクトル、透過スペクトルなどを指す。分光スペクトル情報を利用することにより、目視では難しい僅かな色差をも数値として比較することができる。また、色比較を、客観的に行うことができ、多数の試料の比較も容易に行うことができる。十二指腸液試料の分光スペクトルは、分光光度計等の液体試料の分光スペクトル分析に一般的に用いられている各種装置を用いて測定し得る。
ビリルビン等の胆汁由来の黄色物質は、350〜540nmに、その中でも特に400〜460nmに吸収スペクトルのピーク波長域を持つ。そこで、十二指腸液試料のこの波長域の吸収スペクトル情報に基づいて、色の濃さを比較することができる。具体的には、各十二指腸液試料の350〜540nmの範囲内における所定の波長の吸光度に基づいて、色の濃さを比較する。当該吸光度が大きいほど、色が濃いと判断する。つまり、当該吸光度が最も大きい十二指腸液試料を選定する。当該吸光度は、350〜540nmの範囲内にある波長の吸光度であればよく、400〜460nmの範囲内にある波長の吸光度が好ましく、450〜460nmの範囲内にある波長の吸光度がより好ましい。
また、十二指腸液試料の色の濃さの比較を、CIE(国際照明委員会) XYZ表色系(若しくは、CIE Yxy表色系)又はCIE L表色系の色度図上における水との色度点間距離に基づいて行うことも好ましい。具体的には、まず、各十二指腸液試料について、380〜780nmの吸光スペクトル[A10]を測定し、これを下記式に従い、透過スペクトル[T10]に換算する。
得られた透過スペクトルから、十二指腸液試料の液色を表色系の色度点として求める。ついで、当該色度点と、同様にして求めた水(無彩色透明溶液)の色度点との色度図上における色度点間距離を算出する。この水の色度との色度点間距離が、「色の濃さ」を表し、当該色度点間距離が大きいほど色が濃く、当該色度点間距離が小さいほど色が薄いと判定される。CIE XYZ表色系又はCIE L表色系の色度図上において、水の色度からの距離が最も遠い十二指腸液試料(すなわち、水の色度との色度点間距離が最も大きい十二指腸液試料)が、最も色の濃い試料として選定される。
各表色系における各十二指腸液試料の色度は、常法により求めることができる。なお、十二指腸液試料間の相対的な比較であるため、比較する試料同士を同じ条件で測定していればよく、吸光スペクトルの測定や各表色系における色度を求める際の各種条件(光源、フィルタ、光学系等)は任意とする。
<膵疾患マーカーの検出方法>
本発明に係る膵疾患マーカーの検出方法(以下、「本発明に係るマーカー検出方法」ということがある。)は、同一被検者から採取された複数の十二指腸液試料から、本発明に係る試料選定方法によって選定された十二指腸液試料を、膵疾患マーカーの検出に供試することを特徴とする。本発明に係る試料選定方法によって、膵液が含まれている可能性が高い十二指腸液試料を選定し、この選定された十二指腸液試料中の膵疾患マーカーを検出することにより、膵疾患マーカーの検出感度が高く、信頼性の高い検出結果を得ることができる。
本発明に係る試料選定方法によって選定された十二指腸液試料は、選定後ただちに膵疾患マーカーの検出に用いてもよく、選定後から所定期間保存した後に膵疾患マーカーの検出(膵疾患マーカーの測定試験)に用いてもよい。選定後の十二指腸液試料は、冷蔵又は冷凍で保存してもよく、室温で保存してもよく、凍結乾燥処理を行い、凍結粉末として保存してもよい。また、各種添加剤を添加した状態で保存してもよい。当該添加剤としては、界面活性剤、タンパク質分解酵素阻害剤、核酸分解酵素阻害剤、pH調整剤、pH指示薬等が挙げられる。さらに、選定された十二指腸液試料は、そのまま膵疾患マーカーの測定試験に用いてもよく、遠心分離処理等により、細胞等の固形分を分離除去した後に用いてもよい。
本発明に係るマーカー検出方法において検出される膵疾患マーカーは、膵疾患の非罹患者と比較して、膵疾患に罹患している患者において、膵液中の濃度が有意に高くなる生体分子であればよく、特に限定されるものではない。本発明においては、膵疾患マーカーは、糖タンパク質や酵素等の、十二指腸液中に含まれている消化酵素の影響を受け難い生体分子であることが好ましい。本発明に係るマーカー検出方法において検出される膵疾患マーカーとしては、糖タンパク質であるCEA、CA19−9(例えば、Pancreas,1994, vol.9, No.6号,p741−747参照。)、MUC−1(KL−6)(例えば、特開2006−308576号公報等参照。)、酵素であるMMP2(Matrix Metalloproteinase−2)(例えば、Pancreas, 2002, vol.24, No.54, p344−347参照。)、MMP7(Matrix Metalloproteinase−7)等が挙げられる。その他にも、S100P、NGAL、MIC−1等、膵疾患に罹患している患者において膵液中の濃度が有意に高くなる物質が挙げられる。
本発明に係るマーカー検出方法において検出される膵疾患マーカーは、CEAであることが特に好ましい。十二指腸液中のCEA濃度を指標とすることによって、膵癌、IPMN、MCN、慢性膵炎、及び急性膵炎等の発症の有無や発症リスク等を調べることができる。
本発明に係るマーカー検出方法において、膵疾患マーカーの検出方法は、試料中の膵疾患マーカーの検出又は定量を目的としてなされる検査であれば特に限定されるものではない。例えば、ELISA、イムノクロマト、二次元電気泳動、ウエスタンブロット、質量分析法などを用いた種々のタンパク質解析や、PCR、RT−PCR、プローブを用いたハイブリダイゼーションなどを用いた種々の核酸解析、細胞数カウントや細胞診のような細胞解析等によって、各種膵疾患マーカーを検出することができる。また、生化学自動分析装置等の各種分析装置を用いることにより、多数の十二指腸液試料について、迅速かつ容易に膵疾患マーカーの検出又は定量を行うことができる。
図1に、本発明に係るマーカー検出方法の一態様のフローチャートの概略を示す。前述のように、まず、同一被検者から採取された複数の十二指腸液試料について、色を比較する。次いで、これらの試料の中から最も色の濃い十二指腸液試料を選定する。その後、当該十二指腸液試料中の膵疾患マーカーを測定する。
例えば、CEAのように膵疾患の罹患者において十二指腸液中の濃度が健常者よりも高くなる傾向にある膵疾患マーカーの場合、十二指腸液試料の測定値が所定の閾値未満の場合に陰性と判断し、所定の閾値以上の場合には陽性と判断することができる。陰性の場合には、当該十二指腸液試料が採取された被験者は健常者である(若しくは、膵疾患には罹患していない)可能性が高く、陽性の場合には、当該被験者は膵疾患に罹患している可能性が高い。そこで、陽性と判断された被験者に対しては、さらに精密検査を行うか否かを検討することも有用である。精密検査とは、例えばERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)やEUS−FNA(超音波内視鏡下穿刺生検法)、MRCP(磁気共鳴胆管膵管撮影)、CT(コンピュータ断層撮影)、MRI(磁気共鳴映像法)等を指す。
次に実施例等を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
同一被検者から採取された2つの十二指腸液試料について、色の濃さを評価し、比較した。評価に供された十二指腸液試料は、被験者78人(うち、膵悪性腫瘍患者71人、膵良性腫瘍患者7人)から、被験者一人当たり、十二指腸内の2箇所から経内視鏡的にそれぞれ別個に採取された十二指腸液試料(分画1及び分画2)である。
具体的には、まず、各分画について、分光光度計を用い、光路長10mmで、380〜780nmの吸光スペクトルを測定した(A10)。次いで、下記式に基づいて、得られた吸光スペクトルを透過スペクトルに換算(T10)し、さらに光路長5mmに換算(T)した。
光路長換算後の透過スペクトルから、下記の一連の式に従い、CIE XYZ表色系の三刺激値(X、Y、Z)からなる色度を求め、色度図上のXY座標にプロットした。
対照として水についても同様に吸光スペクトルを測定し、色度を求め、色度図上のXY座標にプロットした。色度図上における各分画の色度点と水の色度点と色度点間距離を算出した。算出結果を表1〜3に示す。
この結果、分画1、2間で色の濃さに差があったもの(水との色度点間距離の分画間差が0.03<)は、全体の24.1%(79検体中、19検体)であった。図2に、検体M8、M9、及びM10の各分画(1.5mL容のチューブ入り。)の写真を示す。図中、左のチューブが分画1であり、右のチューブが分画2である。
各分画について、CEA濃度を測定した。CEA濃度は、市販のキット(IBL社製)を用いてELISA法によって測定した。この結果、膵良性腫瘍検体(B1〜B7)では、分画1及び2のいずれも、CEA濃度は126ng/mL未満であった。そこで、CEA濃度のカットオフ値を126ng/mLとし、126ng/mL未満を陰性、126ng/mL以上を陽性とすることにより、悪性腫瘍の罹患の有無を特異度100%で検出できると考えられた。
分画1、2間で色の濃さに差があった19検体について、各分画のCEA濃度の測定結果を表4に示す。表中の「分画1」及び「分画2」欄において、星印は、より色の濃かった分画を示す。この19検体中、より色の濃い分画のほうがCEA濃度が有意に高くなる(分画間のCEA濃度比が1.5以上)の検体が7検体あった。また、19検体中、M16、M45、M53、及びM66の4検体以外は、全て、色の濃い分画のほうが、CEA濃度が高かった。特に、M8及びM11の2検体については、色の薄かった分画1のCEA濃度は、悪性腫瘍検出のカットオフ値とした126ng/mL未満であり、悪性腫瘍患者であったにもかかわらず陰性とされたのに対して、色の濃かった分画2では126ng/mL以上であり、陽性と判断できた。
つまり、従来法通り、採取した検体をそのまま検査する方法(分画1を検査に供試する方法)においては、23.5%が擬陰性(膵悪性腫瘍17例中4例がカットオフ値未満)となるのに対して、より色の濃い検体を選定して検査に供試することによって、擬陰性が11.8%(膵悪性腫瘍17例中2例がカットオフ値未満)になり、約11.7%擬陰性を減らすことができた。
本発明に係る試料選定方法及びマーカー検出方法により、同一被検者から採取された複数の十二指腸液試料の中から、膵疾患マーカーの検出用として好適な試料を容易に選定することができるため、これらの方法は、膵液中の膵疾患マーカーを解析する分野、特に膵癌の診断・治療のための臨床検査等の分野において利用が可能である。

Claims (9)

  1. (a)同一被検者から採取された複数の十二指腸液試料の色の濃さを比較する工程と、
    (b)前記工程(a)の結果に基づき、前記複数の十二指腸液試料の中から最も色の濃い試料を、当該膵疾患マーカーの検査に供する試料として選定する工程と、
    を有することを特徴とする、膵疾患マーカー検出用十二指腸液試料の選定方法。
  2. 十二指腸液試料の色の濃さの比較を、目視で行う、請求項1に記載の膵疾患マーカー検出用十二指腸液試料の選定方法。
  3. 十二指腸液試料の色の濃さの比較を、各十二指腸液試料の分光スペクトル情報に基づいて行う、請求項1に記載の膵疾患マーカー検出用十二指腸液試料の選定方法。
  4. 各十二指腸液試料のCIE XYZ表色系又はCIE L表色系における色度を求め、色度図上において、水の色度からの距離が最も遠い十二指腸液試料を最も色の濃い試料であると選定する、請求項1に記載の膵疾患マーカー検出用十二指腸液試料の選定方法。
  5. 十二指腸液試料の色の濃さの比較を、各十二指腸液試料の350〜540nmの範囲内における所定の波長の吸光度に基づいて行う、請求項1に記載の膵疾患マーカー検出用十二指腸液試料の選定方法。
  6. 十二指腸液試料の色の濃さの比較を、各十二指腸液試料の400〜460nmの範囲内における所定の波長の吸光度に基づいて行う、請求項1に記載の膵疾患マーカー検出用十二指腸液試料の選定方法。
  7. 十二指腸液試料中の膵疾患マーカーを検出する工程を有し、
    前記十二指腸液試料が、請求項1〜5のいずれかに記載の膵疾患マーカー検出用十二指腸液試料の調製方法により、同一被検者から採取された複数の十二指腸液試料から選定されたものであることを特徴とする、膵疾患マーカーの検出方法。
  8. (a)同一被検者から採取された複数の十二指腸液試料の色の濃さを比較する工程と、
    (b)前記工程(a)の結果に基づき、前記複数の十二指腸液試料の中から最も色の濃い試料を、当該膵疾患マーカーの検査に供する試料として選定する工程と、
    (c)前記工程(b)において選定された十二指腸液試料中の膵疾患マーカーを検出する工程と、
    を有することを特徴とする、膵疾患マーカーの検出方法。
  9. 前記膵疾患マーカーがCEAである、請求項7又は8に記載の膵疾患マーカーの検出方法。
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