JP2015009456A - 熱変色性筆記具 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱変色性筆記具として筆記が行えるペン先と、その筆跡を摩擦で熱変色させることができる摩擦部と、そして静電式入力装置への入力を行うことができる入力部とを備えた熱変色性筆記具を提供する。【解決手段】摩擦部6aを端部に有した摩擦体6と、入力画面の操作部分の位置を静電容量方式で検出する入力装置へ入力を行う入力部7aを端部に有した導電性材料からなる入力体7とを連結して後部ユニット9を構成し、後部ユニット9を軸体2の後方に、摩擦部6aまたは入力部7aが軸体2の後方から露出した状態で装着する。【選択図】図2

Description

本発明は、熱変色性筆記具に関する。詳細には、熱変色性インキが吐出可能なペン先と、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な低磨耗性の弾性材料からなる摩擦部とを備えた熱変色性筆記具に関する。
従来、熱変色性インキを用いて紙面に筆記した筆跡を、摩擦した際の摩擦熱で熱変色させる摩擦部付の熱変色性筆記具は知られており、例えば特許文献1には、可逆熱変色性インキを内蔵させた筆記具の軸体の後端部や筆記具用キャップの頂部に摩擦体を設けた構造が記載されており、筆記具で筆記した熱変色性インキによる筆跡を、その筆記具に設けた摩擦体で熱変色する構造が開示されている。この熱変色性筆記具は、非常に便利な性質を有しており、筆記具で紙に筆記した筆跡を、同じく筆記具に設けた摩擦部で摩擦して消色させることができるものが実際に製品化され、幅広い利用者層で満足されている。
一方、特許文献2に記載されているように、手で持って使用する薄形のタッチパネル形式の入力装置が市場で人気を得ており、静電入力方式の入力装置の入力画面に指先で触れて入力を行ったり、特許文献3で開示されているように、導電性ゴムで形成された入力部を前方に設けた入力ペンで、入力装置の入力画面を紙と同じように扱い、絵を描いたり文字を書いたりすることができる入力ペンの需要が高くなっている。
ところで市場には、軸筒の一端側に入力部を設け、他端側にはボールペンなどのペン先を設けた構成にして、入力装置への入力だけでなく、紙への筆記を行うことができる両頭構造の筆記具が存在している。しかしながら、このような構造では、紙へ筆記を行うペン先の反対側には、入力装置へ入力を行うための入力部が専用に設けてあることから、前述した熱変色性筆記具における実施を考えた場合には、筆記具とは別に筆跡を摩擦するための摩擦具を用意する必要があり、利便性に欠けるものとなってしまった。
また、特許文献4に記載の熱変色性筆記具では、熱変色性インキを摩擦熱で熱変色させる擦過部材(摩擦部)を導電性材料で形成すると共に、擦過部材(摩擦部)を保持する軸筒やキャップも導電性材料で形成して、静電入力方式の入力装置の入力画面に対し、前記熱変色性筆記具の擦過部材を入力部として摺動させることで、入力装置に入力を行う構造が開示されている。しかしながら、紙面に対しては摩擦抵抗があって摩擦熱が発生した方がよい擦過部材(摩擦部)と、入力装置の入力画面に対しては摩擦抵抗がなく滑らかに摺動した方がよい擦過部材(入力部)との関係についての考慮はされておらず、紙面に対して摩擦するために使用した際において、擦過部材が滑って摩擦熱が生じにくくなったり、入力画面に対して線や文字を書くために使用した際において、擦過部材が摩擦抵抗で入力画面に引っ掛かって入力しにくかったりするという問題が生じていた。
特開2004−148744号公報 特開2011−81825号公報 特許第4142776号公報 特開2012−162019号公報
本発明では、熱変色性筆記具として筆記が行えるペン先と、その筆跡を摩擦で熱変色させることができる摩擦部と、そして静電式入力装置への入力を行うことができる入力部とを備えた熱変色性筆記具を提供することを目的とする。
本発明は、
「1.軸体の前方に熱変色性インキが吐出可能なペン先を配し、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦してその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な低磨耗性の弾性材料からなる摩擦部を有した熱変色性筆記具であって、前記摩擦部を端部に有した摩擦体と、入力画面の操作部分の位置を静電容量方式で検出する入力装置へ入力を行う入力部を端部に有した導電性材料からなる入力体とを連結して後部ユニットを構成し、前記後部ユニットを前記軸体の後方に、前記摩擦部または前記入力部が前記軸体の後方から露出した状態で装着することを特徴とした熱変色性筆記具。
2.前記軸体が導電性材料からなり、当該軸体の後方に前記後部ユニットが挿着可能な開口部を形成し、前記後部ユニットの摩擦体と入力体とを導電性を有する連結環にて連結し、前記後部ユニットを前記軸体の開口部に前記連結環が当接した状態で挿着することを特徴とした前記1項に記載の熱変色性筆記具。」である。
熱変色性インキを吐出させるペン先は、ボールペンチップや多孔質ペン体などを用いることができ、この場合、熱変色性インキに含有させる熱変色性マイクロカプセル粒子の平均粒子径は、0.1〜5.0μm、好ましくは、0.5〜3μmの範囲のものが好適である。平均粒子径が3.0μmを越える系では、ボールペンチップやマーキングペンチップの毛細間隙からの流出性が低下し、平均粒子径が0.5μm未満の系では高濃度の発色性を示し難くなる。
尚、本発明で規定する「平均粒子径」は、堀場製作所製レーザー式粒度分布測定機LA−300(体積基準)を使用し、そのメジアン径を平均粒子径とした値である。
また、熱変色性インキとしては、可逆、不可逆を問わず汎用のものが適用でき、摩擦熱による筆跡の加温によって、筆跡の色相を変化させることや、消色、着色させることができるものが選択的に適用できる。
特に、前記筆跡の変化は、熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させることで、組成変化を生じることなく長期間安定して発現できるものとなる。
マイクロカプセル顔料に内包される熱変色性組成物としては、繰り返しの使用性、温度変化の正確性等の点から、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物が好適である。
具体的に、可逆熱変色性組成物を内包させたマイクロカプセル顔料としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で熱変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱または冷熱が適用されている間は維持されるが、熱または冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料を適用できる。
さらに、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報等に記載されている比較的大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜50℃)を示すものも適用できる。
また、特開2006−137886号公報、特開2006−188660号公報、特開2008−45062号公報、特開2008−280523号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度以下の低温域での発色状態、または完全消色温度以上の高温域での消色状態が、特定温度域(実質的二相保持温度域)で色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包させたマイクロカプセル顔料を用いることもできる。
本発明の熱変色性筆記具に適用される、色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物として具体的には、完全発色温度を冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度、即ち−50〜0℃、好ましくは−40〜−5℃、より好ましくは−30〜−10℃、且つ、完全消色温度を摩擦体による摩擦熱、ヘアドライヤー等身近な加熱体から得られる温度、即ち50〜95℃、好ましくは50〜90℃、より好ましくは60〜80℃の範囲に特定し、ΔH値を40〜100℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
また、熱変色性インキは、筆記具の軸体の内部に直接収容させるよりも、ボールペンレフィルのような筆記体に収容させた上で筆記具の軸体の内部に収容させる構成の方が、インキがなくなった際にレフィル交換が可能なものとなり、またインキが漏れ出さない構造とすることが容易に実現できる。
本発明の摩擦体は、弾性を有する合成樹脂(ゴム、エラストマー)が好ましく、例えば、シリコン樹脂、SBS樹脂(スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体)、フッ素系樹脂、クロロプレン樹脂、ニトリル樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等があげられ、高摩耗性の弾性材料(例えば、消しゴム等)からなるものではなく、摩擦時に摩耗カス(消しカス)が殆ど生じない低摩耗性の弾性材料で構成する。
本発明の入力体は、樹脂に炭素繊維や金属繊維を混ぜ込んだ導電性樹脂で形成することが好ましく、特に、弾性を有したエラストマー樹脂に導電性繊維を混ぜ込んだ導電性エラストマーにより成形することで、摩擦体と同様に弾力性を有するものが得られ、入力体を入力装置へ接触させた際の入力画面の傷つきを防止し、入力体を誤って紙面に接触させてしまった場合でも紙面が傷つき難いものとなる。
摩擦体と入力体との連結構造としては、接着剤を用いて互いを接着したり、摩擦体と入力体との連結箇所を凹凸嵌合で結合できる形状に成形したり、または二色成形で摩擦体と入力体とを一体成形したり、あるいは金輪などの別部材に対して摩擦体と入力体とを固定させることで、ユニット化してもよい。
尚、摩擦体と入力体とを共にエラストマーで成形し、且つ互いの外観形状を似た形状に成形する場合には、使用時においてそれぞれの見分けがつくように、摩擦体と入力体とを異なる色で成形することが好ましい。
軸体や連結環を導電性材料で成形する場合には、その材質として、ステンレス、アルミニウム、真鍮、鉄などの金属材料や、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェンおよびポリアニリン等の導電性樹脂材料、炭素繊維材、非導電性樹脂に無機物質を中心とする導電体を添加して電気・電子機能を与えた複合導電性樹脂等があげられる。
本発明により、熱変色性筆記具として筆記が行えるペン先と、その筆跡を摩擦で熱変色させることができる摩擦部と、そして静電式入力装置への入力を行うことができる入力部とを備えた熱変色性筆記具を得ることができた。
図1は本実施例の熱変色性筆記具の全体説明図である。 図2は熱変色性筆記具の部分拡大図である。 図3は熱変色性筆記具の部分断面図である。 図4は軸筒後端に尾冠を装着した状態の部分断面図である。 図5は本実施例の熱変色性筆記具で筆記を行っている状態の図である。 図6は本実施例の熱変色性筆記具で熱変色を行っている状態の図である。 図7は本実施例の熱変色性筆記具で静電容量方式の入力装置へ入力を行っている状態の図である。 図8は静電容量方式の入力装置へ入力を行っている他の状態の図である。
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を
説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
また、説明を分かりやすくするために、図面中の同様の部材、同様の部分については同じ番号を付してある。本実施例の説明においては、ペン先がある側を前方と表現し、その反対側を後方と表現する。
図1は実施例1の熱変色性筆記具の全体説明図であり、図2は部分拡大図であり、図3は部分断面図である。本実施例の熱変色性筆記具1は、軸筒2を真鍮製の前軸3と後軸4とで構成し、前軸3に対して後軸4を回動させることで、前軸3の前方に形成した開口部3aから軸筒2内に収容したボールペンレフィル5のペン先5aを出没させ、筆記状態と携帯状態とを使い分けることができる。
ペン先5はボールペンチップ構造としており、ボールペンレフィル5の内部には、完全発色温度が−20℃、完全消色温度が64℃、ΔH値が70℃である熱変色性組成物を内包した平均粒子径が3μmのマイクロカプセル顔料を、水性媒体中に分散した熱変色性インキ(図示せず)が収容されている。
また、後軸4の後端部4aには開口部4bと雄螺子部4cとを形成してある。開口部4bには、JIS−K6253:2006により求めたショアA硬度が90のスチレン系熱可塑性エラストマーによって形成した白色の摩擦体6と、JIS−K6253:2006により求めたショアA硬度が70のシリコン系熱可塑性エラストマーに炭素粉末を混練した導電性エラストマーによって形成した黒色の入力体7とを、ステンレス製の連結環8で連結して成した後部ユニット9を装着してある。
摩擦体6は、頂部にドーム形状の摩擦部6aを形成してあり、その反対側に小径の挿着部6bを形成してある。入力体7は、頂部にドーム形状の入力部7aを形成してあり、その反対側に小径の挿着部7bを形成してある。摩擦体6と入力体7は、挿着部6bと挿着部7bとを連結環8の貫通孔8aに挿着して、連結環8の側面をポンチでカシメ加工した複数のカシメ部8bにて抜け止め状態で固定されている。
また、後部ユニット9は、連結環8の側面に外方に向かって切り起した複数の膨出部8cを形成してあり、膨出部8cとが後軸4の開口部4bに当接した状態で挿着することができ、後部ユニット9を着脱することで、摩擦体6の摩擦部6aが露出した状態(図3の状態)と、入力体7の入力部7aが露出した状態との二種類の状態で、後軸4へ装着することが可能である。
また、熱変色性筆記具1は、後軸4に尾冠10を螺着できるようにしてあり、尾冠10の前方開口部10aの内面に形成した雌螺子部10bと、前記後軸4の雄螺子部4cとが螺合する。尚、本実施例では、図4に示すように、尾冠10を後軸4に螺着した状態で、摩擦体6の摩擦部6aまたは入力体7の入力部7aが、尾冠10の内面10cに弾発して当接するようにしたので、熱変色性筆記具1の携帯時において、振動などが加わっても、尾冠10と後軸4との螺合状態が緩み難い構造となっている。
次に、図5を用いて、本実施例の熱変色性筆記具1で、紙面に筆記する状態について説明を行う。図に示すように、熱変色性筆記具1は、前軸3の開口部3aより突出させたペン先5aから熱変色性インキを吐出させて、紙110に文字110aを書くことができた。
次に、図6を用いて、本実施例の熱変色性筆記具1で、紙面に筆記された熱変色性インキによる筆跡を熱変色で消去する状態について説明を行う。図に示すように、熱変色性筆記具1は、後軸4に挿着した後部ユニット9の摩擦体6の摩擦部6aで紙110を摩擦することにより、前記熱変色性インキで筆記された筆跡を摩擦熱で消色して、文字110aを消去することができた。
次に、図7を用いて、本実施例の熱変色性筆記具1で、静電容量方式の入力装置に入力する状態について説明を行う。図7の熱変色性筆記具1は、図3の状態の後部ユニット9を前後反転させて、入力体7の入力部7aが露出した状態に装着してある。図に示すように、後軸4に挿着した後部ユニット9の入力体7の入力部7aを、静電容量方式の入力装置120における入力画面120aに接触させて摺動させると、使用者が把持した後軸4および後部ユニット9の連結環8と入力体7の入力部7aを通して入力画面120aに静電容量変化を生じさせ、画像作成ソフトウェアの画面に線120bを描くことができた。
尚、本実施例の熱変色性筆記具1は、後部ユニット9を軸筒2から取り外すことができるので、図8に示すように、取り外した後部ユニット9の連結環8を指で摘んで、入力画面120aに静電容量変化を生じさせ、画像作成ソフトウェアの画面に線120cを描くことも可能であり、用途を広げることができる。
1…熱変色性筆記具、
2…軸筒、
3…前軸、3a…開口部、
4…後軸、4a…後端部、4b…開口部、4c…雄螺子部、
5…ボールペンレフィル、5a…ペン先、
6…摩擦体、6a…摩擦部、6b…挿着部、
7…入力体、7a…入力部、7b…挿着部、
8…連結環、8a…貫通孔、8b…カシメ部、8c…膨出部、
9…後部ユニット、
10…尾冠、10a…前方開口部、10b…雌螺子部、
10c…内面、
110…紙、110a…文字、
120…静電容量方式の入力装置、120a…入力画面、
120b,120c…画像作成ソフトウェアの画面に描かれた線。

Claims (2)

  1. 軸体の前方に熱変色性インキが吐出可能なペン先を配し、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦してその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な低磨耗性の弾性材料からなる摩擦部を有した熱変色性筆記具であって、前記摩擦部を端部に有した摩擦体と、入力画面の操作部分の位置を静電容量方式で検出する入力装置へ入力を行う入力部を端部に有した導電性材料からなる入力体とを連結して後部ユニットを構成し、前記後部ユニットを前記軸体の後方に、前記摩擦部または前記入力部が前記軸体の後方から露出した状態で装着することを特徴とした熱変色性筆記具。
  2. 前記軸体が導電性材料からなり、当該軸体の後方に前記後部ユニットが挿着可能な開口部を形成し、前記後部ユニットの摩擦体と入力体とを導電性を有する連結環にて連結し、前記後部ユニットを前記軸体の開口部に前記連結環が当接した状態で挿着することを特徴とした請求項1に記載の熱変色性筆記具。
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