JP2015009331A - 脆性材料基板のブレイク工具 - Google Patents

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知子 木下
武田 真和
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真和 武田
村上 健二
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【課題】 基板の表面に形成されたスクライブラインに沿って手作業できれいにブレイクすることができるとともに、スクライブラインに沿って基板内部に浸透するクラックの浸透が浅い基板やスクライブラインのピッチが狭い基板であっても、確実にブレイクできるブレイク工具を提供する。【解決手段】 表面に基板Wの一端部分W’を挿入する凹溝3を備えた受治具1と、基板Wの分断すべきスクライブラインを含む一端部分W’を突出させた状態で基板Wを挟み込んで保持する挟み込み治具2とからなり、挟み込み治具2は、基板Wを挟み込む間隔を隔てて平行姿勢で組み付けられた第一板材8と第二板材9とから形成され、両板材8、9の間隔が調整可能となるように形成する。【選択図】図1

Description

本発明は、セラミック等の脆性材料基板のブレイク工具に関する。特に本発明は、前段工程でスクライブライン(切溝)が形成された脆性材料基板(以下、単に「基板」という)のブレイク操作を手作業で行う簡易方式のブレイク工具に関する。
従来から、基板の表面にカッターホイール(スクライビングホイールともいう)やレーザービーム等のスクライブ手段を用いて、互いに直交するX方向並びにY方向のスクライブラインを形成し、その後、当該スクライブラインの反対側の面から外力を印加して基板を撓ませたり、押し曲げたりすることにより、基板を単位基板にブレイクする方法は知られており、例えば、特許文献1や特許文献2、特許文献3等で開示されている。
また、基板をスクライブラインに沿ってブレイクするための手段は、従来から各種のものが知られている。
図5は、一般的に用いられているブレイク方法の一例を示すものである。図5(a)に示すように、水平なテーブル20上にクッションシート21を挟んで基板Wを載置する。この場合、基板のスクライブラインSが形成されている面が下側となるようにする。そして、基板Wの上方からブレイクバー22を図5(b)に示すように降下させ、基板Wを撓ませることによりスクライブラインSから基板Wをブレイクする(特許文献1の図5参照)。
図6は別のブレイク方法を示すものである。この方法では、スクライブラインSを挟んで基板Wを受ける一対の受刃23、23を配置し、基板WのスクライブラインSを設けた面とは反対側の面からブレイクバー24を基板に押し付けることにより基板Wを撓ませて、スクライブラインSから基板をブレイクしている(特許文献2の図3参照)。
図7はさらに別のブレイク方法を示すものである。この方法では、テーブル25の一端縁から基板Wの分断すべき一端部分Waを外側に突き出した状態でテーブル25上に基板Wを載置する。この場合、分断すべきスクライブラインSは上向きにしてテーブル24の端縁と一致させておく。そしてブレイクバー26を降下させて基板Wの突き出した部分Waを押下げ、スクライブラインSから基板をブレイクしている(特許文献3の図1〜3参照)。
上記したブレイク方法では、いずれも基板をテーブル上に保持するための保持手段や、垂直方向に昇降するブレイクバーが不可欠である。このため、ブレイクバーを昇降可能に保持するフレームや昇降させるための駆動源、また、基板をテーブル上に安定保持するための吸引機構や押さえ部材等を必要とするため装置が大型化し、高価なものとなる。また、装置を最初に稼働させる際にはテーブル上での基板の位置決めや送りピッチ、ブレイクバーの押し付け圧力等の動作部の各種初期設定を行わなければならず、少量の基板(すなわち大量生産用ではない規格品以外の基板等)をブレイクするには不向きである。
そこで、特許文献4の第8図に示すような、手作業で基板をブレイクする簡単な工具が提案されている。
このブレイク工具は、本願図8に示すように、台盤27の表面に複数の凹溝28を設け、この凹溝28に基板Wの一端部分を差し込んで基板Wの上端部分を手で掴み、図8(b)の矢印で示す前後方向に振ることによって凹溝28近傍位置にあるスクライブラインSから基板Wをブレイクするようにしている。
特開2013−071335号公報 特開2013−079171号公報 特開2009−227550号公報 特公平05−37097号公報
通常、厚みのある板材を折り曲げると、折り曲げ箇所における内角側は圧縮応力がかかるとともに、外角側は引張応力がかかる。上記の図5〜7で示したブレイク方法では、基板をブレイクバーにより撓ませたときに、スクライブラインを設けた面が引張応力のかかる外角側(凸面側)となるようにして、スクライブラインのクラックの浸透を助長し、分断を容易にしている。
しかし、前述した図8のブレイク工具では、基板上端部分を手で掴んで折り曲げるように前後に振ってブレイクするものであるから、基板根元部分にあるスクライブラインには引張応力と圧縮応力が交互に負荷され、スクライブラインが破断限界点に達したときに一挙にブレイクされることになる。このため、基板分断面が乱雑になって、図9(a)において符号29で示す「ソゲ」や、符号30の「カケ」と呼ばれる現象が発生することがある。
また、基板上端部分を手で掴んで折り曲げるように傾倒させたときに、基板Wの左右両端部分にかかる力が不均等になって分断後の基板両端部に図9(b)において符号31で示す「ツノ」と呼ばれる現象が発生することがある。このような「ソゲ」や「カケ」、「ツノ」はブレイク後の製品の品質を劣化させるため、不良品の原因となる。
さらに、基板上端部分を手で掴んで折り曲げるようにしてブレイクするものであるから、ブレイク時に大きな力を必要とするとともに、狙った所とは別のスクライブラインから分断したり、分離不良(スクライブラインではない部分が割れること)が発生するおそれがある。これらの不具合は、スクライブラインのクラック浸透が浅い基板、またはスクライブラインのピッチが狭い基板ほど顕著になり、例えばスクライブラインのクラック浸透が基板厚みの10%以下で、かつスクライブラインのピッチが3mm以下の基板では発生率が高くなって、殆ど実用に供さないといった問題点があった。
そこで本発明は、上記課題を解決し、基板を手できれいにブレイクすることができるとともに、クラック浸透が浅い基板、またはスクライブラインのピッチが狭い基板であっても確実にブレイクすることが可能なブレイク工具を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明では次のような技術的手段を講じた。すなわち、本発明のブレイク工具は、表面に基板の一端部分を挿入する凹溝を備えた受治具と、前記基板の分断すべきスクライブラインを含む一端部分を先端から突出させた状態で前記基板を挟み込んで保持する挟み込み治具とからなり、前記挟み込み治具は、前記基板を挟み込む間隔を隔てて平行姿勢で組み付けられた第一板材と第二板材とから形成され、前記第一板材と第二板材の間隔が調整可能に形成されている構成とした。
前記挟み込み治具の第一板材と第二板材は調整ネジにより連結され、該調整ネジを操作することにより前記間隔が調整できるようにするのがよい。
本発明では、基板を挟み込み治具の第一板材と第二板材とによって、ブレイクしようとするスクライブラインに沿わせて挟み付け、しっかりと固定することができるため、スクライブラインに沿って基板内部に浸透したクラックの浸透の浅い基板(例えば、クラック深さが基板厚みの10%以下の場合)や、スクライブラインのピッチの狭い基板(例えば、スクライブラインのピッチが3mm以下の場合)であっても、基板のスクライブライン以外の部分から基板が折れたり、意図したスクライブライン以外のスクライブラインで分断されたりすることがなくなるとともに、挟み込み治具の先端部を支点として傾倒させることにより、てこの原理を応用して軽い力でブレイクすることができる。また、第一板材と第二板材とによって基板全面を略均等した力で押し付けて傾倒させることができるので、「ツノ」の発生も抑制することができる。
また、挟み込み治具の先端から突出した基板先端部分のスクライブラインを、挟み込み治具の先端に近接させることにより、挟み込み治具を傾倒させたときの基板への曲げ応力をこのスクライブラインに集約させることができる。これにより、スクライブラインのクラックを基板の厚み方向に垂直に浸透させることができて、分断面に「ソゲ」や「カケ」が発生するのを抑制することができる。また、分断時に亀裂がスクライブラインの延在方向に沿って真っ直ぐに発生し、亀裂が斜めに走ったり蛇行したりすることを抑制することができて、高品質の分断面をもつ単位製品を得ることができるといった効果がある。
本発明において、前記受治具は、前記凹溝の一方の側壁を形成する部材が溝幅方向に移動調整可能に形成され、前記凹溝の底面を形成する部材が凹溝の深さ方向に移動調整可能に形成されている構成とするのがよい。
これにより、分断すべき基板の厚みやスクライブラインのピッチに合わせて凹溝の幅や深さを調整することができて、各種基板のブレイクに利用することができる。
本発明に係るブレイク工具の一実施例を示す斜視図。 図1のブレイク工具の断面図。 図1のブレイク工具を用いた基板のブレイク手順を示す説明図。 図1のブレイク工具によりブレイクされる基板の一例を示す平面図。 従来の一般的なブレイク方法の一例を示す説明図。 従来のブレイク方法の別の例を示す説明図。 従来のブレイク方法のさらに別の例を示す説明図。 従来のブレイク方法のさらに他の例を示す説明図。 ブレイク時に基板分断面に発生する加工不良現象の説明図。
以下において、本発明のブレイク工具を図1〜4に基づいて詳細に説明する。
本発明に係るブレイク工具Aは、表面に基板Wの一端部分を挿入する直線状の凹溝3を備えた受治具1と、基板Wの分断すべき一端部分W’を先端(図1の下端)から突出させた状態で該基板Wを挟み込んで保持する挟み込み治具2とから構成される。
受治具1は、凹溝3の一方の側壁を形成する固定側壁部材3aと、他方の側壁を形成する可動側壁部材3bと、凹溝3の底面を形成する可動底板部材3cと、これら部材を保持する台盤4とで構成される。
固定側壁部材3aは支持プレート5を介して台盤4に固着されている。可動側壁部材3bは台盤4上に溝幅方向にのみスライド可能に載置され、第一調整ボルト6により溝幅が調整できるように形成されている。また、可動底板部材3cは、台盤4と固定側壁部材3aとの間に配置され、第二調整ボルト7により凹溝3の深さ方向に移動調整可能に保持されている。
挟み込み治具2は、基板Wを挟み込む間隔を隔てて平行姿勢で組み付けられた金属等の硬質材料からなる第一板材8と第二板材9から形成されている。第一板材8並びに第二板材9は、互いに対向する平らな挟着面8a、9aを備え、これら挟着面8a、9aが平行姿勢を保った状態で左右の調整ネジ10により連結されており、この調整ネジ10を締め付けることにより、基板Wを挟着保持することができるようになっている。また、この調整ネジ10を緩めることにより、両板材8、9の間にある基板Wを順次下方に移動させたり、着脱したりすることができるようにしてある。
挟み込み治具2の第一板材8並びに第二板材9の先端外縁は、先端に至るほど挟着面8a、9aに近づく傾斜面でカットされて先細り状となっている。なお、第一板材8と第二板材9を連結する調整ネジ10は、図1に示すように、上下に一対ずつ、合計4本設けるのがよい。これにより、両板材8、9の平行間隔を確実に保持して基板Wを均等な締め付け力で安定よく挟着することができるが、左右一対のみで形成することも可能である。
次に、上記のブレイク工具Aを使用して基板Wをブレイクする方法について説明する。
ブレイクされる基板Wとして本実施例では、50mm×40mm角のサイズで、厚みが1.0mmのアルミナ基板を用いた。基板Wの表面には、図4に示すように、先行するスクライブ工程で縦方向のスクライブラインS1並びに横方向のスクライブラインS2が加工されている。なお、本実施例におけるそれぞれのスクライブラインの間隔(ピッチ)は2.5mmである。
この基板Wを、図1〜3に示すように、挟み込み治具2の第一板材8と第二板材9との間に挟み込んで保持する。この際、図2に示すように、挟み込み治具2の先端から、最初に切り離す横方向のスクライブラインS2’を含む基板一端部分W’が突出するようにしておく。また、分断すべきスクライブラインS2’は、挟み込み治具2の第一板材8並びに第二板材9の先端に可能な限り近づけた状態とするのがよい。
一方、受治具1の凹溝3の幅及び深さは、分断すべき基板Wの厚み並びに突出した一端部分W’の寸法に合わせて予め調整しておく。すなわち、凹溝3の溝幅は、第一調整ボルト6で可動側壁部材3bを移動させて突出した基板一端部分W’がガタツキなく挿入できる寸法に調整する。また、溝深さは、第二調整ボルト7で可動底板部材3cを移動させて、分断すべきスクライブラインS2’から突出した基板一端部分W’の端縁までの長さ(スクライブラインS2のピッチに相当する長さ)に調整しておく。
図3は、図1のブレイク工具を用いて基板Wをブレイクする工程を示すものである。
図3(a)に示すように、挟み込み治具2の上部を手で掴んで治具2の先端から突出した基板一端部分W’を、図3(b)のように受治具1の凹溝3に挿入する。次いで、図3(c)に示すように、挟み込み治具2をスクライブラインS2’の反対側に傾倒させて基板一端部分W’をスクライブラインS2’からブレイクする。この挟み込み治具2を傾倒させる際は、第一板材8並びに第二板材9の先端外縁を傾斜面にカットして先細り状としているので、挟み込み治具2の先細りとなった先端を受治具1の表面に接触させた状態で、その接触部を支点として挟み込み治具2を傾倒させることができる。
このようにしてブレイクされた基板一端部分W’は受治具1の凹溝3から取り外され、長方形の短冊状基板W1(図4参照)となる。
そして、受治具1の凹溝3から基板一端部分W’を除去した後、挟み込み治具2の調整ネジ10を緩めて次に切り離すべき基板一端部分W’が突出する位置まで基板Wを引き出す。そして調整ネジ10を締め付けて基板Wを再度挟着保持した後、上記同様に、突出した基板一端部分W’を受治具1の凹溝3に差し込んで挟み込み治具2を傾倒させ、突出した基板一端部分W’をブレイクする。このような操作を順次繰り返すことにより、横方向の全てのスクライブラインS2から基板Wをブレイクして複数の短冊状基板W1を取り出す。
短冊状の基板W1は、その後、縦方向のスクライブラインS1を横にした状態で、かつ、分断すべき基板一端部分W’を突出させた状態で挟み込み治具2に取り付ける。そして、上記同様に、突出した基板一端部分W’を受治具1の凹溝3に差し込んでスクライブラインS1から順次ブレイクし、図4に示す単位製品W2を完成させる。
上記したブレイク工具Aによる基板分断の際、基板Wは挟み込み治具2の第一板材8と第二板材9とによって挟み付けられてしっかりと固定されているため、スクライブラインに沿って基板内部に浸透したクラックの浸透の浅い基板(例えば、クラック深さが基板厚みの10%以下の場合)や、スクライブラインのピッチの狭い基板(例えば、スクライブラインのピッチが3mm以下の場合)であっても、基板のスクライブライン以外の部分から基板が折れたり、意図したスクライブライン以外のスクライブラインで分断されることがなくなるとともに、挟み込み治具2の先端接触部を支点としたてこの原理の応用により軽い力で分断することができる。加えて、第一板材8と第二板材9とによって基板W全面を均等した力で押し付けることができるので、初頭で述べたような「ツノ」の発生も抑制することができる。
また、挟み込み治具2の先端から突出した基板一端部分W’を区分けするスクライブラインS2が、挟み込み治具2の先端に可能な限り近づけた位置にあるので、挟み込み治具2を傾倒させたときの基板Wへの曲げ応力がスクライブラインS2に集中的に負荷される。これにより、スクライブラインS2のクラックを基板Wの厚み方向に垂直に浸透させることができ、分断面における「ソゲ」の発生を抑制することができる。
さらに、挟み込み治具2の先端がスクライブラインS2に近接した位置でスクライブラインS2に沿って配置されているので、分断時に亀裂がスクライブラインの延在方向に沿って真っ直ぐに発生し、亀裂が斜めに走ったり、蛇行したりすることを抑制することができて、高品質の分断面をもつ単位製品W2を得ることができる。
以上、本発明の代表的な実施例について説明したが、本発明は必ずしも上記の実施例構造のみに特定されるものでない。例えば、上記実施例では、受治具1の凹溝3が上向きとなるように形成したが、横向きにして形成することもできる。その他本発明では、その目的を達成し、請求の範囲を逸脱しない範囲内で適宜修正、変更することができる。
本発明は、ガラス、セラミック、サファイア等の脆性材料からなる基板を手でブレイクするブレイク工具に適用することができる。
A ブレイク工具
W 脆性材料基板
W’挟み込み治具の先端から突出した基板一端部分
S1 縦方向のスクライブライン
S2 横方向のスクライブライン
1 受治具
2 挟み込み治具
3 凹溝
3a 固定側壁部材
3b 可動側壁部材
3c 可動底板部材
4 台盤
8 第一板材
9 第二板材
10 調整ネジ

Claims (4)

  1. 表面に基板の一端部分を挿入する凹溝を備えた受治具と、
    前記基板の分断すべきスクライブラインを含む一端部分を先端から突出させた状態で前記基板を挟み込んで保持する挟み込み治具とからなり、
    前記挟み込み治具は、前記基板を挟み込む間隔を隔てて平行姿勢で組み付けられた第一板材と第二板材とから形成され、前記第一板材と第二板材の間隔が調整可能に形成されている脆性材料基板のブレイク工具。
  2. 前記挟み込み治具の第一板材と第二板材は調整ネジにより連結され、該調整ネジを操作することにより前記間隔が調整できるように形成されている請求項1に記載の脆性材料基板のブレイク工具。
  3. 前記受治具は、前記凹溝の一方の側壁を形成する部材が溝幅方向に移動調整可能に形成され、前記凹溝の底面を形成する部材が凹溝の深さ方向に移動調整可能に形成されている請求項1または請求項2に記載の脆性材料基板のブレイク工具。
  4. 基板を当該基板の表面に形成されたスクライブラインに沿ってブレイクするために当該基板の一端部分を支持するための受治具であって、
    表面に前記基板の一端部分を挿入する凹溝を備え、
    前記凹溝の一方の側壁を形成する部材が溝幅方向に移動調整可能に形成され、
    前記凹溝の底面を形成する部材が凹溝の深さ方向に移動調整可能に形成されている脆性材料基板の受治具。
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