JP2015008233A - 希土類磁石の製造方法 - Google Patents

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【課題】高温でも磁気特性が低下し難い希土類磁石を製造できる希土類磁石の製造方法を提供する。【解決手段】希土類元素の水素化合物と鉄族元素とを含む水素化合金からなる水素化粉末を準備する。水素化粉末を構成する各水素化合金粒子の表面を覆うように、希土類−鉄系合金の熱伝導率κrよりも熱伝導率が低い材料によって遮熱層を形成して被覆水素化粉末を製造する。被覆水素化粉末を圧縮成形して、水素化粉末成形体を製造する。水素化粉末成形体に脱水素処理を施して、水素化合金を希土類−鉄系合金に再結合し、希土類−鉄系合金からなる磁性粒子20が遮熱層22に覆われた被覆磁性粉末からなる粉末成形体とする。金属溶湯に粉末成形体を浸漬して、被覆磁性粉末を構成する各被覆磁性粒子2間に金属相3が介在する磁石素材(希土類磁石1)を製造する。金属溶湯は、遮熱層の構成材料の熱伝導率κbよりも熱伝導率が高い金属を融解する。【選択図】図1

Description

本発明は、永久磁石などに利用される希土類磁石を製造する希土類磁石の製造方法に関するものである。特に、高温でも磁気特性が低下し難い希土類磁石を製できる希土類磁石の製造方法に関する。
モータや発電機などに利用される永久磁石には、希土類磁石が広く利用されている。希土類磁石は、ネオジム(Nd)、鉄(Fe)、硼素(B)を含む合金からなるネオジム磁石が代表的である。従来のネオジム磁石として、原料の磁性粉末を成形してから焼結した焼結磁石、図3に示すように磁性粉末200が樹脂300によって結合された樹脂ボンド磁石100がある。樹脂ボンド磁石では、Nd−Fe−B系合金よりも更に磁気特性に優れる材質として、サマリウム(Sm)、鉄、窒素(N)を含むSm−Fe−N系合金が検討されている。
焼結磁石や樹脂ボンド磁石以外の希土類磁石として、特許文献1では、Nd−Fe−B系合金の粉末を水素化した水素化粉末を原料粉末とし、この原料粉末を圧縮成形した粉末成形体に脱水素処理を施した圧縮磁石(圧粉磁石)を開示している。特許文献2では、Sm−Fe系合金の粉末を水素化した水素化粉末を原料粉末とし、この原料粉末を圧縮成形した粉末成形体に脱水素処理を施した後、更に窒化処理を施したSm−Fe−N系合金の圧縮磁石を開示している。
特許第5059955号公報 特許第5059929号公報
使用時の温度が高い場合であっても磁気特性の低下が少なく、優れた磁気特性を有する希土類磁石の開発が望まれている。
希土類磁石(特にネオジム磁石)は、使用時の温度が高いと、減磁することが知られている。そのため、希土類磁石には、高温環境であっても、例えば、自動車のエンジンの近傍に配置されるモータや発電機などに利用される永久磁石のように最高温度が200℃程度になる使用環境であっても、磁気特性が低下し難いことが望まれる。
上述の高温環境となる車載用途などの磁石では、使用時の温度が、低温(例えば、自動車が使用される屋外の温度)から上述の最高温度までの広い範囲で変化し得る。この温度変化によって、上記磁石には、熱のフロー(熱の出入り)が生じ得る。上述の焼結磁石や圧縮磁石では、外部からの熱は、磁石を構成するNd−Fe−B系合金といった合金を伝わる。しかし、磁石を構成する合金自体は、熱伝導性がよくなく、外部からの熱が侵入すると、熱が上記合金内に留まり、磁石が高温になり易い。そのため、従来の焼結合金や従来の圧縮磁石では、高温になると、磁気特性が低下し易い。
上述の樹脂ボンド磁石では、使用時の温度が高くなると、樹脂が溶融したり分解したりするため、上述の車載用途のような高温環境での使用に適さず、使用時の温度が低い用途に制限される。仮に、樹脂が分解などしなかった場合でも、樹脂は、Nd−Fe−B系合金といった合金よりも熱伝導率が低い。そのため、樹脂に囲まれた上記合金に外部からの熱が伝わり難いものの、一旦、上記合金に熱が伝わると、熱伝導性に劣る樹脂に阻害されて磁石内に熱が留まり易い。磁石内に熱が留まることで上記合金が高温になり、温度上昇に伴う磁気特性の低下を招く。従って、従来の樹脂ボンド磁石では、高温環境では使用できない、又は磁気特性が大きく低下し得る。
そこで、本発明の目的の一つは、高温でも磁気特性が低下し難い希土類磁石を製造可能な希土類磁石の製造方法を提供することにある。
本発明の希土類磁石の製造方法は、以下の準備工程と、被覆工程と、成形工程と、脱水素工程と、浸漬工程とを備える。
準備工程 希土類元素の水素化合物と鉄族元素とを含む水素化合金からなる水素化粉末を準備する工程。
被覆工程 前記水素化粉末を構成する各水素化合金粒子の表面を覆うように、前記希土類元素と前記鉄族元素とを含む希土類−鉄系合金の熱伝導率κよりも熱伝導率が低い材料によって遮熱層を形成して被覆水素化粉末を製造する工程。
成形工程 前記被覆水素化粉末を圧縮成形して、水素化粉末成形体を製造する工程。
脱水素工程 前記水素化粉末成形体に脱水素処理を施して、前記水素化合金を前記希土類−鉄系合金に再結合して、前記水素化粉末成形体を、前記希土類−鉄系合金からなる磁性粒子が前記遮熱層に覆われた被覆磁性粉末からなる粉末成形体とする工程。
浸漬工程 前記遮熱層の構成材料の熱伝導率κよりも熱伝導率が高い金属を融解した金属溶湯に前記粉末成形体を浸漬して、前記被覆磁性粉末を構成する各被覆磁性粒子間に金属相が介在する磁石素材を製造する工程。
別の本発明の希土類磁石の製造方法は、以下の準備工程と、被覆工程と、成形工程と、脱水素工程と、窒化工程と、浸漬工程とを備える。
準備工程 希土類元素の水素化合物と鉄族元素とを含む水素化合金からなる水素化粉末を準備する工程。
被覆工程 前記水素化粉末を構成する各水素化合金粒子の表面を覆うように、前記希土類元素と前記鉄族元素と窒素とを含む希土類−鉄系合金の熱伝導率κよりも熱伝導率が低い材料によって遮熱層を形成して被覆水素化粉末を製造する工程。
成形工程 前記被覆水素化粉末を圧縮成形して、水素化粉末成形体を製造する工程。
脱水素工程 前記水素化粉末成形体に脱水素処理を施して、前記水素化合金を再結合して、前記水素化粉末成形体を、再結合合金からなる粒子が前記遮熱層に覆われた被覆合金粉末からなる成形体とする工程。
窒化工程 前記脱水素工程を経た成形体に窒化処理を施して、前記再結合合金を前記希土類−鉄系合金とし、前記成形体を、前記希土類−鉄系合金からなる磁性粒子が前記遮熱層に覆われた被覆磁性粉末からなる粉末成形体とする工程。
浸漬工程 前記遮熱層の構成材料の熱伝導率κよりも熱伝導率が高い金属を融解した金属溶湯に前記粉末成形体を浸漬して、前記被覆磁性粉末を構成する各被覆磁性粒子間に金属相が介在する磁石素材を製造する工程。
本発明の希土類磁石の製造方法は、高温でも磁気特性が低下し難い希土類磁石を製造することができる。
実施形態の希土類磁石の製造方法によって得られる希土類磁石(圧縮磁石)を説明する模式図である。 試験例1における磁束量の測定方法を説明する説明図である。 従来の樹脂ボンド磁石を説明する模式図である。
[本発明の実施の形態の説明]
最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1) 実施形態に係る希土類磁石の製造方法は、以下の準備工程と、被覆工程と、成形工程と、脱水素工程と、浸漬工程とを備える。この製造方法では、特に、Nd−Fe−B系合金といった希土類−鉄系合金を主体とする圧縮磁石を製造することができる(以下、この製造方法を製造方法αと呼ぶことがある)。
準備工程 希土類元素の水素化合物と鉄族元素とを含む水素化合金からなる水素化粉末を準備する工程。
被覆工程 上記水素化粉末を構成する各水素化合金粒子の表面を覆うように、遮熱層を形成して被覆水素化粉末を製造する工程。上記遮熱層は、上記希土類元素と上記鉄族元素とを含む希土類−鉄系合金の熱伝導率κよりも熱伝導率が低い材料によって形成する。
成形工程 上記被覆水素化粉末を圧縮成形して、水素化粉末成形体を製造する工程。
脱水素工程 上記水素化粉末成形体に脱水素処理を施して、上記水素化合金を上記希土類−鉄系合金に再結合する工程。この工程によって、上記水素化粉末成形体を、上記希土類−鉄系合金からなる磁性粒子が上記遮熱層に覆われた被覆磁性粉末からなる粉末成形体とする。
浸漬工程 金属溶湯に上記粉末成形体を浸漬して、上記被覆磁性粉末を構成する各被覆磁性粒子間に金属相が介在する磁石素材を製造する工程。上記金属溶湯は、上記遮熱層の構成材料の熱伝導率κよりも熱伝導率が高い金属を融解したものである。
実施形態の希土類磁石の製造方法αによって得られた磁石素材に適宜着磁して希土類磁石が得られる。この希土類磁石は、以下の理由によって、使用時の温度が高い場合(特に、120℃以上、更に160℃以上、とりわけ200℃以上)であっても、磁気特性が低下し難く、優れた磁気特性を有する。また、実施形態の希土類磁石の製造方法は、磁石となる粒子の表面に上述の特定の熱伝導率を有する材料によって遮熱層を形成し、上述の特定の熱伝導率を有する金属を被覆磁性粒子間に含浸する、という単純な工程によって、高温でも優れた磁気特性を有する希土類磁石を製造できる。
実施形態の希土類磁石の製造方法によって得られる希土類磁石は、上記金属相の構成金属の熱伝導率κが上記遮熱層の構成材料の熱伝導率κよりも高い。かつ、上記遮熱層の構成材料の熱伝導率κが上記磁性粒子を構成する希土類−鉄系合金の熱伝導率κよりも低い。つまり、この希土類磁石は、各構成要素の熱伝導率について以下の関係式を満たす。
金属相の熱伝導率κ>遮熱層の熱伝導率κ
遮熱層の熱伝導率κ<希土類−鉄系合金の熱伝導率κ
この希土類磁石は、希土類−鉄系合金及び金属相の双方よりも熱伝導率が低い材料から構成される遮熱層を備える(κ<κ,κ)。このような希土類磁石に外部からの熱が侵入すると、この外部からの熱は、磁石を構成する材料のうち、熱伝導率が相対的に大きい金属相を伝わり易く、熱伝導率が相対的に最も小さい遮熱層に伝わり難い。従って、上記外部からの熱は、遮熱層の内側に存在する磁性粒子に伝わり難くなる。このように磁性粒子は、上記外部からの熱を磁性粒子に伝わり難くする遮熱層に覆われることで、上記外部からの熱によって加熱され難い。
一方、金属相は、上記外部からの熱を積極的に通過させる放熱経路として機能する。金属相の熱伝導率κが高いほど(好ましくは希土類−鉄系合金の熱伝導率κよりも高い)、金属相が放熱経路として良好に機能できる。このような金属相を備える上記希土類磁石は、磁石全体でみれば、放熱し易い磁石、つまり、上記外部からの熱が留まり難い磁石といえる。磁性粒子は、上述の低熱伝導の遮熱層を介してこのような金属相に囲まれていることで、上記外部からの熱によって更に加熱され難い、といえる。
また、実施形態の希土類磁石の製造方法によって得られる希土類磁石は、一般に、熱伝導性が低く、溶融温度や分解温度が低い樹脂を含まない。そのため、この希土類磁石は、従来の樹脂ボンド磁石に比較して、更に高い温度でも使用することができ、使用可能な温度範囲が広い。
更に、実施形態の希土類磁石の製造方法によって得られる希土類磁石は、従来の樹脂ボンド磁石と比較して、磁性成分(磁性粒子)の割合が高い(例えば、被覆磁性粉末の充填率が75体積%以上)。そのため、この希土類磁石は、常温(例えば、20℃程度)での磁気特性にも優れることから、高温で磁気特性が低下しても、高い磁気特性を有することができる。
従って、実施形態の希土類磁石の製造方法αは、上記外部からの熱に起因する温度上昇に伴う磁気特性の低下を低減できる希土類磁石を製造することができる。
(2) 別の実施形態に係る希土類磁石の製造方法として、以下の準備工程と、被覆工程と、成形工程と、脱水素工程と、窒化工程と、浸漬工程とを備える方法が挙げられる。この製造方法では、特に、Sm−Fe−N系合金といった窒素を含む希土類−鉄系合金を主体とする圧縮磁石を製造することができる(以下、この製造方法を製造方法βと呼ぶことがある)。
準備工程 希土類元素の水素化合物と鉄族元素とを含む水素化合金からなる水素化粉末を準備する工程。
被覆工程 上記水素化粉末を構成する各水素化合金粒子の表面を覆うように、遮熱層を形成して被覆水素化粉末を製造する工程。上記遮熱層は、上記希土類元素と上記鉄族元素と窒素とを含む希土類−鉄系合金の熱伝導率κよりも熱伝導率が低い材料によって形成する。
成形工程 上記被覆水素化粉末を圧縮成形して、水素化粉末成形体を製造する工程。
脱水素工程 上記水素化粉末成形体に脱水素処理を施して、上記水素化合金を再結合する工程。この工程によって、上記水素化粉末成形体を、再結合合金からなる粒子が上記遮熱層に覆われた被覆合金粉末からなる成形体とする。
窒化工程 上記脱水素工程を経た成形体に窒化処理を施して、上記再結合合金を上記希土類−鉄系合金とする工程。この工程によって、上記成形体を、上記希土類−鉄系合金からなる磁性粒子が上記遮熱層に覆われた被覆磁性粉末からなる粉末成形体とする。
浸漬工程 金属溶湯に上記粉末成形体を浸漬して、上記被覆磁性粉末を構成する各被覆磁性粒子間に金属相が介在する磁石素材を製造する工程。上記金属溶湯は、上記遮熱層の構成材料の熱伝導率κよりも熱伝導率が高い金属を融解したものである。
実施形態の希土類磁石の製造方法βによって得られた磁石素材に適宜着磁して希土類磁石が得られる。この希土類磁石は、上述の熱伝導率の関係式;金属相の熱伝導率κ>遮熱層の熱伝導率κ、かつ遮熱層の熱伝導率κ<希土類−鉄系合金の熱伝導率κを満たす(κ<κ,κ)。そして、この希土類磁石も、上述のように、(1)磁性粒子が遮熱機能を有する遮熱層に覆われている、(2)磁性粒子が上記遮熱層を介して放熱経路として機能する金属相に囲まれている、(3)熱伝導性に劣る樹脂を実質的に含まない、ことから、使用時の温度が高い場合(特に、120℃以上、更に160℃以上、とりわけ200℃以上)であっても、磁気特性が低下し難く、優れた磁気特性を有する。また、この希土類磁石も、上述のように磁性成分(磁性粒子)の割合が高いため(例えば、被覆磁性粉末の充填率が75体積%以上)、常温(例えば、20℃程度)での磁気特性にも優れることからも、高温で磁気特性が低下しても、高い磁気特性を有することができる。更に、この製造方法βによって得られる希土類磁石は、上述の製造方法αによって得られる希土類磁石と比較して、高温での磁気特性の低下が少ない。このことからも、この希土類磁石は、高温であっても、優れた磁気特性を有する。
従って、実施形態の希土類磁石の製造方法βは、上記外部からの熱に起因する温度上昇に伴う磁気特性の低下を低減できる希土類磁石を製造することができる。
(3) 実施形態の希土類磁石の製造方法の一例として、上記遮熱層を3W/m・K以下の熱伝導率κを有する材料によって形成し、上記金属相を20W/m・K以上の熱伝導率κを有する金属によって形成する形態が挙げられる。
Nd−Fe−B系合金やSm−Fe−N系合金といった希土類−鉄系合金の熱伝導率κは、6W/m・K〜8W/m・K程度、せいぜい10W/m・K程度である。上記形態では、希土類−鉄系合金の熱伝導率κの1/2以下程度の熱伝導率κを有する材料によって遮熱層を形成することで、低熱伝導の遮熱層を備える希土類磁石を製造できる。かつ、上記形態では、熱伝導率κが十分に高い金属、具体的には希土類−鉄系合金の熱伝導率κの2倍以上程度の熱伝導率κを有する金属によって金属相を形成することで、高熱伝導の金属相を備える希土類磁石を製造できる。上記形態によって得られる希土類磁石は、低熱伝導の遮熱層の存在によって、外部からの熱が磁性粒子に更に伝わり難く、かつ外部からの熱を高熱伝導の金属相に積極的に通過させられて、磁石外に更に放熱し易い。従って、上記形態は、高温でも磁気特性の低下が更に少ない希土類磁石を製造できる。
(4) 実施形態の希土類磁石の製造方法の一例として、上記金属相を融点又は固相線温度が600℃未満である金属によって形成する形態が挙げられる。
上記形態では、金属相の形成に、融点や固相線温度が600℃未満といった低温である低融点金属を利用する。そのため、金属相の形成時の熱によって、希土類−鉄系合金や遮熱層が分解したり、割れが生じたりするなどの不具合が生じ難い。従って、上記形態は、希土類−鉄系合金からなる磁性粒子や遮熱層が健全な状態で存在する磁石素材を製造でき、不良品の発生を低減できる。また、上記形態は、高温での磁気特性の低下が少ない希土類磁石を量産できる。
(5) 実施形態の希土類磁石の製造方法の一例として、上記遮熱層を以下の(i)〜(iii)の少なくとも1種の材料によって形成する形態が挙げられる。
(i) チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),及び珪素(Si)から選択される1種以上の元素を含む酸化物
(ii) マグネシウム(Mg),カリウム(K),及びアルミニウム(Al)から選択される1種以上の金属元素を含む金属酸化物と、Siを含む酸化物とを含む複合酸化物
(iii) チタン酸金属塩
上述の特定の非金属無機材料(酸化物、複合酸化物、チタン酸金属塩)はいずれも、その熱伝導率κが希土類−鉄系合金の熱伝導率κよりも十分に低く、3W/m・K以下である。このような特定の低熱伝導の材料によって遮熱層を形成することで、上記形態は、上記遮熱層の存在によって外部からの熱が磁性粒子に更に伝わり難い希土類磁石を製造することができる。かつ、上述の特定の非金属無機材料はいずれも、金属相の熱伝導率κに比較して十分に熱伝導率が低いため、上記形態は、金属相が放熱経路として良好に機能する希土類磁石を製造することができる。また、上述の特定の非金属無機材料はいずれも、耐熱性に優れており、200℃程度であれば分解などせずに問題なく使用できる。材質によっては、熱衝撃温度が高かったり(例えば、300℃以上)、600℃以上といった高温でも割れの発生や分解などせずに高温での安定性に優れたりする。更に、上述の特定の非金属無機材料はいずれも、希土類−鉄系合金や金属相と反応しない。そのため、上記形態は、製造時に希土類−鉄系合金や遮熱層の熱損傷などの不具合も生じ難く、希土類−鉄系合金からなる磁性粒子や遮熱層が健全な状態で存在する磁石素材を製造でき、不良品の発生を低減できる。また、上記形態は、高温での磁気特性の低下が少ない希土類磁石を量産できる。
(6) 実施形態の希土類磁石の製造方法の一例として、上記金属相を錫(Sn)及び亜鉛(Zn)から選択される1種以上の金属元素を含む金属によって形成する形態が挙げられる。
Snの融点やZnの融点、SnやZnを含む合金の固相線温度は、420℃以下であり、SnやZn、その合金は低融点金属である。上記形態は、金属相をこのような低融点金属で形成することで、金属相の形成時の熱によって、希土類−鉄系合金や遮熱層が分解したり、割れが生じたり、この熱に起因する熱伸縮などによって遮熱層が磁性粒子から剥離するなどの不具合が生じ難い。従って、上記形態は、希土類−鉄系合金からなる磁性粒子や遮熱層が健全な状態で存在する磁石素材を製造でき、不良品の発生を低減できる。また、上記形態は、高温での磁気特性の低下が少ない希土類磁石を量産できる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、図面を参照して、実施形態に係る希土類磁石の製造方法を説明する。図面において同一符号は同一名称物を示す。また、図1,図3では、分かり易いように、被覆磁性粉末や磁性粉末は、断面を示す。なお、本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。例えば、後述する試験例について希土類−鉄系合金の組成、原料粉末の大きさ、遮熱層の材質、金属相の組成、被覆磁性粉末の充填率、製造条件(遮熱層の形成方法、成形圧力など)を適宜変更することができる。
実施形態の希土類磁石の製造方法では、希土類−鉄系合金からなる磁性粉末を主体とし、磁性粉末自体の噛み合いで磁石形状を維持可能な圧縮磁石を製造することができる。特に、この圧縮磁石、即ち希土類磁石1は、磁性粉末を構成する各磁性粒子20の外周が特定の材質からなる遮熱層22で覆われた被覆磁性粒子2を備える点、及び被覆磁性粒子2間に金属相3を備える点で、特許文献1,2に記載される従来の圧縮磁石と異なる。
(希土類磁石の製造方法)
実施形態の希土類磁石の製造方法αは、以下の準備工程、被覆工程、成形工程、脱水素工程、浸漬工程を備え、特に、Nd−Fe−B系合金やNd−Fe−C系合金といった希土類−鉄系合金を主体とする希土類磁石1を製造することができる。実施形態の希土類磁石の製造方法βは、以下の準備工程、被覆工程、成形工程、脱水素工程、窒化工程、浸漬工程を備え、特に、Sm−Fe−N系合金といった窒素を含有する希土類−鉄系合金を主体とする希土類磁石1を製造することができる。以下、各工程を順に説明する。
・準備工程
この工程では、原料粉末を用意する。具体的には、後述する脱水素処理を施すことで、脱水素及び再結合反応によって、材質によっては窒化処理を更に施すことによって、磁性粒子20を構成する希土類−鉄系合金を形成可能な水素化合金からなる水素化粉末を用意する。水素化合金は、例えば、脱水素及び再結合反応によって希土類元素と鉄族元素とを含む希土類−鉄系合金(代表的にはNd−Fe−B系合金やNd−Fe−C系合金)を形成可能なもの、脱水素及び再結合反応によって希土類−鉄系合金の前駆体となる合金(代表的にはSm−Fe系合金)を形成可能なものが挙げられる。この水素化合金とは、希土類元素の水素化合物とFeなどの鉄族元素とが独立した相として存在する合金であり、換言すれば、水素不均化状態の組織を有する合金である。
希土類元素は、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタノイド、及びアクチノイドから選択される1種以上の元素が挙げられる。特に、希土類元素として、Nd、Sm、プラセオジム(Pr)、セリウム(Ce)、ジスプロシウム(Dy)、及びYから選択される少なくとも1種の元素を含むと、磁気特性に優れる希土類磁石が得られて好ましい。とりわけ、Ndを含むと常温での磁気特性に優れる希土類磁石が得られ、Smを含むと高温での磁気特性の低下が少ない希土類磁石が得られて好ましい。希土類元素は、主として水素化合物として上記水素化合金中に存在する。上記水素化合金中の希土類元素の水素化合物は、NdH,SmHなどが挙げられる。
Ndを含む組成では、上記水素化合金中のNdの含有量が28質量%以上35質量%以下であることが好ましい。Smを含む組成では、上記水素化合金中のSmの含有量が24質量%以上27質量%以下であることが好ましい。NdFe14Bなどの化学量論比である28質量%以上である場合、SmFe17などの化学量論比である24質量%以上である場合、結晶粒界に希土類元素のリッチ相が存在することができる。好ましくは希土類元素のリッチ相が均一的に分散した結晶組織とすることができる。このような結晶組織は、結晶粒子が希土類元素のリッチ相によって磁気的に孤立された組織といえ、磁気特性に優れる希土類磁石が得られて好ましい。Ndの含有量が35質量%以下、Smの含有量が27質量%以下であると、希土類元素のリッチ相が結晶粒界に極薄く存在できる。希土類元素の含有量に関するこの欄に記載の事項は、NdFe14B、SmFe17といった化合物の他、PrFe14B,SmFe11TiN,LaFe11Siなどについても、同様に考えられる。
鉄族元素は、Fe、コバルト(Co)、及びニッケル(Ni)から選択される1種以上の元素が挙げられる。代表的には、Feを主体(50質量%超)とする形態が挙げられる。その他、例えば、FeとCoとの双方を含む形態が挙げられる。鉄族元素は、主として、単体元素、又は後述する化合物として上記水素化合金中に存在する。
Ndを含む組成では、上記水素化合金中の希土類元素及び鉄族元素以外の元素として、B及び炭素(C)から選択される1種以上の元素を含む形態が代表的である。BやCの含有量は、0.1質量%以上5.0質量%以下、更に0.5質量%以上1.5質量%以下が挙げられる。BやCは、代表的には、鉄硼化物や鉄炭化物などの鉄族元素との化合物として上記水素化合金中に存在する。
その他の添加元素として、ガリウム(Ga)、銅(Cu)、Al、Si、Ti、マンガン(Mn)及びニオブ(Nb)から選択される1種以上の元素が挙げられる。上記水素化合金中におけるこれらの添加元素の含有量(複数の場合には合計含有量)は、0.1質量%以上20質量%以下、更に0.1質量%以上5質量%以下が挙げられる。これらの元素を含有することで、例えば、保磁力が高い希土類磁石が得られる。これらの添加元素は、Feなどの鉄族金属中に固溶して、又は適宜な化合物や単体元素の状態でFeなどの鉄族金属中に析出して、又は水素と結合して水素化合物として、上記水素化合金中に存在する。
上記水素化合金中における各元素の含有量は、例えば、Ndを含む組成では、最終的に得られる希土類磁石1に存在する磁性粒子20を構成する希土類−鉄系合金中における各元素の含有量に実質的に等しい。例えば、Smを含む組成では、製造途中でNを含有させるため、上記水素化合金中における各元素の含有比率と、上記磁性粒子20を構成する希土類−鉄系合金中における各元素の含有比率とは若干異なる。
上記水素化合金中における希土類元素の水素化合物の含有量は10体積%以上40体積%以下が挙げられる。換言すれば、上記水素化合金中における希土類元素の水素化合物を除く残部、即ち、Feなどの単体鉄族元素や、鉄族元素を含む化合物などの合計含有量は60体積%以上が挙げられる。このような水素化合金として、具体的には、NdH,Fe,Fe−Bを含む組成のもの、NdH,Fe,Fe−Cを含む組成のもの、SmH,Feを含む組成のものなどが挙げられる。
上記水素化合金は、例えば、希土類元素と鉄族元素とを含む希土類−鉄系合金や上述の前駆体となる合金に水素化処理を施すことで得られる。つまり、所望の組成のNd−Fe−B系合金の粉末やSm−Fe系合金の粉末を用意して、水素化処理を施したものを原料粉末として用意するとよい。水素化処理を施す対象となる上述の合金の粉末は、例えば、ストリップキャスト法やアトマイズ法などの公知の粉末の製造方法を利用して製造することができる。
水素化処理の条件は、例えば、以下が挙げられる。雰囲気は、水素を含む雰囲気とする。具体的には、水素雰囲気、水素とアルゴンや窒素といった不活性ガスとの混合雰囲気が挙げられる。処理温度は、用意した合金の水素不均化温度以上が挙げられる。材質にもよるが、600℃以上、更に650℃以上が挙げられる。好ましくは、700℃以上、更に750℃以上、1100℃以下、更に900℃以下が挙げられる。保持時間は、0.5時間以上5時間以下が挙げられる。特許文献1,2に記載される条件やその他の公知のHD(Hydrogenation Decomposition)条件を利用することができる。
特に、原料粉末を所望の大きさとするために粉砕や分級を行う場合、上記水素化処理後に粉砕などを行うと、小さ過ぎる粉末が少なく、成形し易い大きさの粉末を効率よく得られて好ましい。原料粉末の平均粒径を例えば、100μm以上500μm以下程度とすると、(1)酸化し難い、(2)成形し易い、(3)取り扱い易いといった利点がある。なお、原料粉末(水素化粉末)の大きさは、最終的に得られる希土類磁石1を構成する磁性粉末の大きさに概ね等しい。
・被覆工程
この工程では、準備した原料粉末(水素化粉末)を構成する各水素化合金粒子の表面に、後述の特定の材料からなる遮熱層を形成して被覆水素化粉末を得る。この遮熱層の形成には、粉体塗装が好適に利用できる。粉体塗装は、(1)焼付温度が比較的低温であるため、遮熱層の形成時に原料粉末の熱損傷を防止できる、(2)水素化合金粒子の表面全体に亘って均一的な厚さの遮熱層を形成し易い、(3)遮熱層の厚さの制御が行い易い、(4)種々の材質に適用できる、といった利点がある。
粉体塗装を行う場合、後述の特定の非金属無機材料などからなる所望の材質の粉末を用意して、粉末の付着を行う。粉体塗装用の粉末の大きさ(平均粒径)は、適宜選択することができる。但し、粉体塗装用の粉末が大き過ぎると、水素化合金粒子の表面を良好に覆うことができず、水素化合金粒子の表面における露出領域が多くなる恐れがある。その結果、最終的に得られる磁性粒子20の表面における遮熱層22から露出した領域が多くなる恐れがある。従って、粉体塗装用の粉末の平均粒径は、水素化合金粒子の平均粒径に対して1/10以下程度、更に1/15以下程度を満たすことが好ましい。具体的には、上記粉末の平均粒径は、0.1μm以上3μm以下程度が挙げられる。粉体塗装の条件は、金属粒子に非金属無機材料を被覆するときの公知の条件を利用することができる。具体的な粉体塗装としては、静電粉体塗装、流動浸漬塗装が挙げられる。静電塗装では、遮熱層の原料(後述の酸化物などの非金属無機材料)の表面に帯電可能な樹脂などをコーティングしたり、上記遮熱層の原料に水酸化処理を施したりしたものを利用することが挙げられる。焼付時に上記樹脂などを除去するとよい。
希土類磁石1に存在する遮熱層22は、希土類磁石1の主成分である磁性粒子20の外周を覆って、磁石外部からの熱が磁性粒子20を構成する希土類−鉄系合金内に伝達されることを低減するための被覆である。従って、遮熱層22によって磁性粒子20への外部からの熱侵入を低減できるように、上述の希土類−鉄系合金(磁性粒子20)の熱伝導率κよりも低い熱伝導率κを有する材料で遮熱層を形成する。遮熱層22の熱伝導率κが低いほど、磁性粒子20への熱伝達を低減でき、かつ後述の金属相3に優先的に熱を伝えられる。従って、遮熱層の構成材料には、希土類−鉄系合金の熱伝導率κ及び金属相3の熱伝導率κの双方よりも十分に熱伝導率が低い材料を用いることが好ましい。例えば、遮熱層の構成材料には、希土類−鉄系合金の熱伝導率κの1/2以下の熱伝導率κを有する材料を用いることが好ましい。具体的には、熱伝導率κは、5W/m・K以下、更に3W/m・K以下、2.5W/m・K以下、特に2.0W/m・K以下の材料が好ましい。遮熱層の構成材料には、このような低熱伝導の材料を用いる。
かつ、遮熱層の構成材料には、水素化合金及び金属相の構成金属のいずれとも実質的に反応せず、製造時の熱(特に金属相の形成時の熱)によって割れなどの損傷を生じたり、分解したりし難いものを用いる。つまり、遮熱層の構成材料は、磁石使用時の最高温度はもちろん、製造時の最高温度(代表的には金属相を形成するための金属溶湯の温度)において割れや分解などが生じない程度の耐熱性を有するものを用いる。このような耐熱性を示す指標の一つとして、熱衝撃温度が挙げられる。具体的には、熱衝撃温度が、金属相の構成金属の融点又は固相線温度超である材料を遮熱層に用いることが好ましい。また、遮熱層の構成材料には、遮熱層の形成後に被覆対象(特に、希土類−鉄系合金からなる磁性粒子)から剥離し難いことが好ましい。特に、金属相の形成時の熱に起因する希土類−鉄系合金の熱伸縮や金属相の構成金属の熱伸縮によって、上記被覆対象から剥離し難い、好ましくは剥離しない程度の熱膨張係数を有する材料を遮熱層に用いることが好ましい。このような構成材料として、金属酸化物などの金属化合物やチタン酸金属塩といった非金属無機材料が挙げられる。
具体的な非金属無機材料として、例えば、Ti,Zr,及びSiから選択される1種以上の元素を含む酸化物が挙げられる。より具体的には、チタン酸化物(Ti、2W/m・K〜4W/m・K程度)、ジルコニア(ZrO、3W/m・K程度)、シリカ(SiO、1.5W/m・K程度)から選択される1種の酸化物が挙げられる。別の非金属無機材料として、Mg,K,及びAlから選択される1種以上の金属元素を含む金属酸化物と、Siを含む酸化物とを含む複合酸化物が挙げられる。より具体的には、MgOとSiOとAlとを含むもの、例えば、コージライト(cordierite,MgAl(AlSi18),2MgO・2Al・5SiO,3W/m・K程度)、MgOとSiOとKOとAlとを含むもの、例えば、マコール(コーニング・インコーポレイテッドの登録商標、1.5W/m・K程度)などが挙げられる。別の非金属無機材料として、チタン酸アルミニウム(0.9W/m・K〜2.0W/m・K程度)などのチタン酸金属塩が挙げられる。
上述の酸化物、複合酸化物、チタン酸金属塩はいずれも、熱伝導率が低い上に(概ね3W/m・K以下)、上述の耐熱性を有する(熱衝撃温度が例えば300℃以上、更に500℃以上)。このような耐熱性に優れる材料によって遮熱層を形成すると、形成後の製造過程において、その組成や組織、厚さなどを実質的に維持することができる。従って、最終的に得られる希土類磁石1内の遮熱層22は、水素化合金粒子に形成した遮熱層が実質的にそのままの状態で存在する。これらの酸化物、複合酸化物、チタン酸金属塩はいずれも、例えば、粉体塗装によって水素化合金粒子の表面に遮熱層を容易に形成でき、被覆水素化粉末の製造性にも優れる。遮蔽層は、これらの酸化物、複合酸化物、及びチタン酸金属塩から選択される1種のみを含む形態の他、2種以上を組み合わせて含む形態とすることができる。このような混合組成の遮蔽層は、粉体塗装を用いることで容易に形成できる。又は、遮熱層は、異なる材質からなる多層構造とすることができる。このような多層構造の遮蔽層は、粉体塗装を用いて多段回で行うことで容易に形成できる。
水素化合金粒子に形成する遮熱層の平均厚さ(多層構造の場合には合計厚さ)は、例えば、100nm以上5μm以下程度、更に500nm以上1μm以下程度が挙げられる。上記平均厚さが上述の範囲を満たすことで、遮蔽層22が厚過ぎることによる希土類磁石1における磁性成分(磁性粒子20)の割合の低下を抑制して、磁性成分が十分に多い希土類磁石1を製造することができる。上記平均厚さが上述の範囲を満たすことで、遮蔽層22が薄過ぎることによる断熱効果が小さくなることを抑制して、高温でも磁気特性が低下し難く、優れた磁気特性を有する希土類磁石1を製造することができる。遮熱層の厚さは、形成条件(例えば、粉体塗装を行う場合には処理時間や使用する原料粉末の粒径など)によって調整することができる。希土類磁石1における遮熱層22の平均厚さの算出は、例えば、断面を顕微鏡観察し、この断面に存在する30個以上の被覆磁性粒子2について被覆の厚さを測定し、その平均を求めることで行える。
・成形工程
この工程では、作製した被覆水素化粉末を圧縮成形して、水素化粉末成形体を得る。成形には、所望の形状の金型を利用するとよい。上記水素化合金は、Fe成分といった柔らかい鉄族元素成分を60体積%以上含むことで変形性に優れ、良好に成形できる。また、変形性に優れることから、例えば、空隙率が25体積%以下、更に20体積%以下、15体積%以下、10体積%以下、5体積%以下、更には1体積%程度といった緻密な水素化粉末成形体を製造できる。空隙には、後述の金属相の構成金属を充填して、希土類磁石1中に金属相3を積極的に存在させることから、空隙率は1体積%以上、更に15体積%以上が好ましい。所望の空隙率となるように成形圧力を調整するとよい。成形圧力は、例えば、588MPa(6ton/cm)以上1960MPa(20ton/cm)以下が挙げられる。
成形時、磁場を印加すると磁性粒子の配向性が高められる。結果として磁性粒子を構成する結晶の配向性を高められて、配向性に優れる磁気異方性磁石を製造できる。印加磁場の大きさは、0.5T以上10T以下程度、更に1.5T以上10T以下程度が挙げられる。印加磁場が大きいほど、配向性を高められ、磁気特性に優れる希土類磁石を製造できる。磁場の印加には、常電導コイルを備える常電導磁石、超電導コイルを備える超電導磁石のいずれも利用できる。但し、実施形態の希土類磁石の製造方法では、上述のように緻密な水素化粉末成形体を利用することから、磁性粒子20の充填率が高い圧縮磁石を製造できる。充填率が高いことで磁気特性に優れる希土類磁石1を製造できるため、成形時の磁場の印加を省略してもよい。
成形工程や上述の被覆工程の雰囲気は、非酸化性雰囲気や低酸素雰囲気(酸素が20体積%未満)とすると、水素化合金粒子の酸化を防止できて好ましい。一方、大気雰囲気とすると、雰囲気制御が容易であり、作業性に優れる。また、大気雰囲気とした場合でも、水素化合金粒子は遮熱層に覆われていることで、大気中の酸素や水分などをある程度遮断できるため、水素化合金粒子の酸化をある程度防止できる。
成形時の潤滑性を高めるために、被覆水素化粉末に潤滑剤を適宜混合したり、金型の内面に潤滑剤を塗布したりすることができる。
・脱水素工程
この工程では、作製した上記水素化粉末成形体に脱水素処理を施して、水素化合金を希土類−鉄系合金などに再結合する。製造方法αでは、脱水素工程を経ることで、水素化粉末成形体を、Nd−Fe−B系合金などの希土類−鉄系合金といった再結合合金からなる磁性粒子の外周に遮熱層を備える被覆磁性粉末からなる粉末成形体とすることができる。製造方法βでは、脱水素工程を経ることで、水素化粉末成形体を、Sm−Fe系合金などの前駆体合金といった再結合合金からなる粒子の外周に遮熱層を備える被覆合金粉末からなる成形体とすることができる。
脱水素処理の条件は、例えば、以下が挙げられる。雰囲気は、非水素雰囲気とする。具体的には、不活性雰囲気(例えば、アルゴンや窒素といった不活性ガス雰囲気)、減圧雰囲気(例えば、標準の大気圧よりも圧力が低い真空雰囲気)が挙げられる。特に、減圧雰囲気は、希土類元素の水素化合物が残存し難くて好ましい。減圧雰囲気では、真空度は100Pa以下、最終真空度は、10Pa以下、更に1Pa以下が挙げられる。処理温度は、水素化合金の再結合温度以上が挙げられる。材質にもよるが、600℃以上、更に700℃以上が挙げられる。処理温度が低いほど、再結合合金の結晶の成長を抑制して微細な結晶組織が得られることから、処理温度は1000℃以下が好ましい。より好ましくは、730℃以上900℃以下、更に750℃以上850℃以下が挙げられる。保持時間は、10分以上600分(10時間)以下が挙げられる。特許文献1,2に記載される条件やその他の公知のDR(Desorption Recombination)処理の条件を利用することができる。例えば、脱水素処理は、水素化粉末成形体に強磁場(例えば、4T以上)を印加した状態で行うことができる。
・窒化工程
製造方法βでは、脱水素工程の後に更に窒化処理を行う。この工程によって、再結合合金(前駆体合金)をSm−Fe−N系合金といった希土類−鉄系合金にすることができる。つまり、製造方法βでは、脱水素工程及び窒化工程を順に経て、水素化粉末成形体を、上述の被覆合金粉末の成形体を経て、希土類−鉄系合金からなる磁性粒子の外周に遮熱層を備える被覆磁性粉末からなる粉末成形体とすることができる。なお、希土類−鉄系合金中のNの含有量は、1質量%以上10質量%以下、更に2.5質量%以上5.0質量%以下が挙げられる。
窒化処理の条件は、以下が挙げられる。雰囲気は、窒素元素を含む雰囲気とする。具体的には、窒素雰囲気、アンモニア(NH)雰囲気、窒素やアンモニアと水素、アルゴンなどとを含む混合雰囲気が挙げられる。水素といった還元ガスを含むと、処理対象の酸化や過剰窒化を防止できる。また、フロー雰囲気とすると、窒化を促進できる。処理温度は、200℃以上(好ましくは300℃以上)550℃以下が挙げられる。保持時間は、10分以上100時間以下が挙げられる。保持時間を長めにすると、遮熱層を有していたり、原料粉末に粒径が大きなものを用いていたりしても、窒素の浸透時間を十分に確保できて好ましい。例えば、保持時間は、10時間以上、更に15時間以上とすることができる。その他、公知の条件を利用することができる。例えば、窒化処理時に強磁場(特に3.5T以上)を印加することができる。
特に、上述の遮熱層を粉体塗装で形成すると、遮蔽層は、微細な粒子の堆積層となる。これら微細な粒子間には不可避的に隙間が生じ得る。この隙間を利用して、脱水素工程における水素の排出、窒化工程における窒素の取り込みといった気体の流動を良好に行うことができる。
・浸漬工程
この工程では、被覆磁性粉末からなる粉末成形体に金属相を形成して、被覆磁性粒子間に金属相が介在する磁石素材を得る。金属相の形成は、原料の金属を溶融した金属溶湯を用意し、この金属溶湯に上記粉末成形体を浸漬することで行う。上記粉末成形体には、被覆磁性粒子に囲まれてできる空隙(開気孔)が存在する。上述の浸漬によって、この空隙に金属溶湯を含浸させることができる。浸漬後、適宜冷却して、この金属溶湯を凝固することで金属相3を形成でき、磁石素材が得られる。
金属相3は、希土類磁石1の表面の任意の点から、別の任意の点に連続して存在し、希土類磁石1の内部において網目状に存在する。このように連続的に存在することで、金属相3は、被覆磁性粒子2間に介在して、希土類磁石1に侵入し得る外部からの熱を通過させる放熱経路として機能することができる。金属相3が上述の放熱機能を良好に発揮できるように、熱伝導率κが高い金属によって金属相3を形成することが好ましい。ここで、希土類−鉄系合金(磁性粒子20)と金属相3との間には上述の熱伝導率が低い遮熱層22が存在して、希土類−鉄系合金に外部からの熱が伝わり難いことから、希土類−鉄系合金と金属相3とについては、いずれの熱伝導率が高くても、金属相3が放熱経路として機能できる。しかし、金属相3の熱伝導率κが高いほど、希土類磁石1内に熱が留まり難く、ひいては磁性粒子20への熱伝達を低減できることから、磁性粒子20を構成する希土類−鉄系合金の熱伝導率κよりも高い熱伝導率κを有する金属で金属相3を形成することが好ましい。例えば、金属相3の原料となる金属には、希土類−鉄系合金の熱伝導率κの2倍以上の熱伝導率κを有するものを用いることが好ましい。具体的には、熱伝導率κが15W/m・K以上、更に20W/m・K以上、30W/m・K以上、40W/m・K以上、50W/m・K以上、特に100W/m・K以上の金属が好ましく、上限は特に設けない。金属相の構成金属には、このような高熱伝導率の金属を用いる。
金属相の構成金属は、熱伝導率κが上述の範囲を満たせば、実質的に単一の元素からなるいわゆる純金属でも、複数種の元素を含む合金でもいずれでもよい。特に、金属相の構成金属は、純金属の場合には融点が、合金の場合には固相線温度が600℃未満であるものが好ましい。ここで、金属溶湯に接触し得る被覆磁性粒子のうち、磁性粒子を構成するNd−Fe−B系合金やSm−Fe−N系合金などでは、600℃以上に加熱されると、分解などする恐れがある。被覆磁性粒子に備える遮熱層も、材質によっては、600℃以上に加熱されると、割れや分解などが生じる恐れがある。融点や固相線温度が低い低融点金属であれば、金属相の形成に金属溶湯を利用しても、金属溶湯の温度を低くできるため、被覆磁性粒子が金属溶湯に接触しても、遮熱層や磁性粒子に割れや分解などを生じ難い。従って、融点又は固相線温度は低い方が好ましく、420℃以下、更に300℃以下がより好ましい。
また、金属相の構成金属は、その熱膨張係数と、磁性粒子を構成する希土類−鉄系合金の熱膨張係数との差が小さいものが好ましい。この場合、金属相の形成時に金属の熱伸縮量と磁性粒子の熱伸縮量との差によって、磁性粒子から遮熱層が剥離することを抑制できる。具体的には、金属相の構成金属は、上記希土類−鉄系合金との熱膨張係数の差が20%以下、更に10%以下を満たすものが好ましい。
金属相の構成金属として、例えば、Sn及びZnから選択される1種以上の金属元素を含むものが挙げられる。Snは、熱伝導率が66.6W/m・K、融点が231℃である。Znは、熱伝導率が121W/m・K、融点が419℃である。Sn−Zn合金は、配合比にもよるが、熱伝導率が60W/m・K〜120W/m・K程度、固相線温度が199℃〜419℃程度である。つまり、これらの純金属や合金はいずれも、上述の熱伝導率の条件を満たす低融点金属であり、好適に利用できる。なお、金属相の構成金属には、軟磁性金属(例えば、ニッケルなど)以外が好ましい。
金属溶湯の温度は、上述のように磁性粒子や遮熱層の損傷を抑制できるように、できるだけ低い方が好ましい。浸漬時間は、上記空隙に金属溶湯を十分に充填可能な時間を選択すればよい。例えば、1分以上30分以下程度が挙げられる。
浸漬工程は、非酸化性雰囲気で行うと、金属溶湯や被覆磁性粒子の酸化を防止できて好ましい。非酸化性雰囲気は、例えば、窒素、アルゴンなどの希ガスといった不活性雰囲気が挙げられる。
・その他の工程
その他、実施形態の希土類磁石の製造方法は、以下のめっき工程や緻密化工程を備えることができる。
・・めっき工程
この工程では、上記浸漬工程を経て得られた磁石素材の表面の少なくとも一部にめっき層を形成する。このめっき工程によって、表面の少なくとも一部にめっき層を備える希土類磁石を製造することができる。めっき層の形成には、電気めっき法(電解めっき法)、無電解めっき法などの公知のめっき法が利用できる。磁石素材の表面の一部にのみめっき層を形成する場合、めっき不要箇所にはマスキングを施す。
・・緻密化工程
この工程では、上記浸漬工程を経て得られた磁石素材に加圧熱処理を施して、緻密化を行う。この加圧熱処理によって、より緻密化な磁石素材(例えば、実質的に空隙率を有さない希土類磁石)を製造することができる。上述のめっき工程を行う場合には、めっき工程の前に緻密化工程を行う。
・・着磁工程
上記浸漬工程やめっき工程などを経て得られた磁石素材に着磁することで、希土類磁石1(金属相を備える圧縮磁石)が得られる。
(希土類磁石)
実施形態の希土類磁石の製造方法によって製造される希土類磁石1は、複数の被覆磁性粒子2と、被覆磁性粒子2間に介在する金属相3とを備える。各被覆磁性粒子2は、希土類元素と鉄族元素とを含む希土類−鉄系合金からなる磁性粒子20と、磁性粒子20の外周を覆う遮熱層22とを備える。かつ、磁性粒子20と遮熱層22と金属相3とは、上述の熱伝導率の関係式を満たす。磁性粒子20を構成する具体的な組成としては、Nd−Fe−B合金(例えば、NdFe14B)、Nd−Fe−Co−B合金、Nd−Fe−C合金、Nd−Fe−Co−C合金、Sm−Fe−N合金(例えば、SmFe17)、Sm−Ti−Fe−N合金(例えば、SmTiFe11)などが挙げられる。希土類磁石1の組成分析には、例えば、断面などをとり、X線回折を行うことが挙げられる。
希土類−鉄系合金(磁性粒子20)を構成する各結晶粒は、微細であると保磁力といった磁気特性に優れて好ましい。例えば、平均結晶粒径は1μm以下、更には500nm以下といったナノオーダーが挙げられる。実施形態の希土類磁石の製造方法では、原料に水素化粉末を用いて脱水素処理を行っていることから、一般的なHDDR処理を行った場合と同等又は同等以下の微細組織とすることができる。結晶粒径とは、希土類磁石1の断面をとり、断面を顕微鏡観察し、この断面に存在する結晶粒の等価面積円の直径とする。平均結晶粒径は、100個以上の結晶粒径の平均とする。この結晶粒径やその他の種々のパラメータを、顕微鏡観察像を用いて算出する場合には、市販の画像処理ソフトを用いると容易に行える。
遮熱層22は、磁性粒子20の表面全体を実質的に覆って磁性粒子20の表面が露出しないように存在すると、金属相3を介して磁性粒子20に侵入し得る外部からの熱をより確実に低減できる。但し、磁性粒子20への外部からの熱伝達を低減できれば、磁性粒子20の表面の一部が遮蔽層22から露出していることを許容する。この場合でも、磁性粒子20の表面に対して50面積%以上の領域、更に70面積%以上の領域が遮熱層22によって覆われていることが好ましい。なお、被覆磁性粒子2同士の噛み合い部分では、相対的に熱伝導性に劣る遮熱層22が接触し合う。
希土類磁石1では、希土類磁石1に対する被覆磁性粒子2の充填率(以下、単に充填率と呼ぶ)が比較的高く、例えば、75体積%以上を満たす形態が挙げられる。充填率が高いほど、希土類磁石1における磁性成分(磁性粒子20)の割合が高く、磁気特性に優れることから、充填率が80体積%以上、特に85体積%以上である形態とすることができる。但し、充填率が高過ぎると、金属相3の含有量が少なくなり、金属相3の介在による熱が留まり難いという効果が低減するため、充填率は99体積%以下、更に90体積%以下が好ましい。充填率を調整することは、上述の空隙率を調整することに実質的に等価であることから、成形圧力を調整することで、所望の充填率とするとよい。
希土類磁石1では、金属相3の含有量が多いほど、外部から侵入し得る熱を磁石外に効率よく放熱できる。しかし、金属相3の含有量が多過ぎると、上述のように充填率の低下を招くことから、希土類磁石1における金属相3の含有量は、1体積%以上40体積%以下、更に15体積%以上25体積%以下が好ましい。この金属相3の含有量は、上述の空隙率に実質的に等しい。
希土類磁石1は、その表面の少なくとも一部にめっき層(図示せず)を備える形態とすることができる。めっき層は、耐食層、装飾層などとして機能する上に、めっき層の構成金属を、磁性粒子20を構成する希土類−鉄系合金よりも熱伝導性に優れるものとすると、放熱経路としての機能も期待できる。希土類磁石1の表面全体に亘ってめっき層を備える形態とすると、耐食性、装飾性、放熱性に更に優れる上に、マスキングなどが不要であり、製造性にも優れる。めっき層の構成金属は、Ni(90.5W/m・K)、Sn、Cu(398W/m・K)、Al(237W/m・K)、及びこれらの金属元素を含む合金などが挙げられる。めっき層は、単層構造でも、多層構造でもよい。めっき層の平均厚さ(多層の場合には合計厚さ)は、例えば、3μm以上20μm以下程度が挙げられる。
[試験例1]
希土類−鉄系合金の圧縮磁石を作製し、高温での磁気特性の変化を調べた。ここでは、Nd−Fe−B系合金の組成を有する圧縮磁石と、Sm−Fe−N系合金の組成を有する圧縮磁石とを形成する。
Nd−Fe−B系合金の組成を有する圧縮磁石(試料No.1−1〜No.1−7,No.1−101〜No.1−104,No.1−111〜No.1−113)では、原料粉末として、Ndの水素化合物とFeとを含む水素化合金からなる水素化粉末を用意する。ここでは、32質量%Nd−5質量%Co−0.5質量%Ga−1.0質量%B−残部Feという組成の溶湯を用いて、ストリップキャスト法によって合金片を作製する。得られた合金片に水素化処理を施して、水素化合金片を作製する。ここでは、水素雰囲気中、850℃×2時間の条件で水素化処理を施す。得られた水素化合金片を窒素雰囲気中(酸素濃度が体積割合で2000ppm以下)で粉砕する。粉砕には、市販の粉砕装置(篩)を用い、平均粒径が106μm以上355μm以下の粉末となるように調整する。平均粒径は、レーザ回折式粒度分布装置により、積算重量が50%となる粒径(50%粒径)を測定する(以下、粉末の平均粒径について同様である)。この粉末を水素化粉末とする。得られた水素化粉末はいずれも、Ndの水素化合物(NdH)とFeとFe−B(FeB)とを含む。組織の分析は、X線回折によって行う(後述する試料No.1−8も同様)。
Sm−Fe−N系合金の組成を有する圧縮磁石(試料No.1−8)では、原料の水素化粉末として、Smの水素化合物とFeとを含む水素化合金からなるものを用意する。ここでは、24.5質量%Sm−残部Feという組成の溶湯を用いて、ストリップキャスト法によって合金片を作製する。得られた合金片に水素化処理を施して、水素化合金片を作製する。ここでは、水素雰囲気中、800℃×2時間の条件で水素化処理を施す。得られた水素化合金片を窒素雰囲気中(酸素濃度が体積割合で2000ppm以下)で粉砕する。粉砕には、市販の粉砕装置(篩)を用い、平均粒径が106μm以上355μm以下の粉末となるように調整する。この粉末を水素化粉末とする。得られた水素化粉末は、Smの水素化合物(SmH)とFeとを含む。
次に、試料No.1−1〜No.1−8,No.1−111〜No.1−113については、作製した各組成の水素化粉末を構成する各水素化合金粒子の表面に、表1に示す材質の非金属無機材料からなる被覆を形成して、被覆水素化粉末を得る。ここでは、いずれの試料も、表1に示す材質からなり、平均粒径が1μmの粉末を用いて粉体塗装によって上記被覆を形成する(平均厚さ=3μm程度)。非金属無機材料の粉末は、市販品が利用できる。非金属無機材料の熱伝導率(W/m・K)、熱衝撃温度(ΔT、℃)を表1に示す。熱伝導率は、表1に示す各非金属無機材料を用いて10mmφ×2mm厚さの円板の焼結体を別途作製し、この焼結体を試料として、レーザフラッシュ法にて評価した(JIS R 1611−2010参照)。熱衝撃温度は、表1に示す各非金属無機材料を用いて4mm×3mm×50mmの焼結体を別途作製し、この焼結体を試料として、相対法にて評価した(JIS R 1648−2002)。
作製した試料No.1−1〜No.1−8,No.1−111〜No.1−113の被覆水素化粉末、及び試料No.1−101〜No.1−104については上記被覆を形成していない水素化粉末をそれぞれ、圧縮成形して水素化粉末成形体を得る。成形圧力は、試料No.1−2,No.1−4以外の試料については980MPa(10ton/cm)とし、試料No.1−2は低め(784MPa)、試料No.1−4は高め(1176MPa)とする。この試験では、磁場の印加を行わず圧縮成形をする。水素化粉末成形体は、10mm×10mm、厚さが10mmの直方体である。
作製した水素化粉末成形体に脱水素処理を施して、水素化合金を再結合合金にする(ここではNd−Fe−B系合金、又はSm−Fe合金)。ここでは、ロータリーポンプにて排気を行って真空雰囲気とし(最終真空度=0.5Pa)、820℃×1.0時間の条件で脱水素処理を施す。脱水素処理後の成形体のうち、試料No.1−1〜No.1−7,No.1−111〜No.1−113はいずれも、上述の組成のNd−Fe−B系合金(約8W/m・K)からなる磁性粒子の表面が上述の被覆で覆われた被覆磁性粉末から構成された粉末成形体である。試料No.1−8では、Sm−Fe合金からなる粒子の表面が上述の被覆で覆われた被覆合金粉末から構成された成形体である。試料No.1−101〜No.1−104では、Nd−Fe−B系合金からなる磁性粒子から構成された成形体である。脱水素処理後の成形体の組織観察、後述する窒化処理後の成形体の組織観察は、例えば、断面を顕微鏡観察することで行う。
上述の被覆合金粉末から構成される試料No.1−8の成形体に、更に、窒化処理を施して、Sm−Fe−N合金(約7W/m・K)を形成する。窒化処理の条件は、アンモニアと水素との混合ガスのフロー雰囲気中、310℃×20時間とする。窒化処理後の成形体は、Sm−Fe−N合金からなる磁性粒子の表面が上述の被覆で覆われた被覆磁性粉末から構成された粉末成形体である。
試料No.1−1〜No.1−8,No.1−111〜No.1−113について、得られた粉末成形体における被覆磁性粉末の充填率(体積%)を表1に示す。試料No.1−101〜No.1−104について、脱水素処理後の粉末成形体における磁性粉末の充填率(体積%)を表1に示す。充填率の測定は、各粉末成形体の断面をとり、この断面に占める被覆磁性粉末の面積割合又は磁性粉末の面積割合を求め、この面積割合を体積割合に換算することで求める。換算は、例えば、体積割合=面積割合の1.5乗、が挙げられる。なお、粉末成形体における充填率は、粉末成形体の成形密度に対する粉末成形体の真密度の割合に実質的に等しい。また、後述する複合成形物における充填率は、この粉末成形体における充填率を実質的に維持する。
次に、表1の含浸材に示す金属を溶融した金属溶湯を用意し、表1に示す溶湯温度(℃)の金属溶湯に上述の粉末成形体を浸漬して、金属を含浸した複合成形物を形成する。ここでは、いずれの試料も、浸漬時間を5分間とする。含浸材に用いる金属の熱伝導率(W/m・K)を表1に示す。表1に示すAlは純アルミニウム、Znは純亜鉛、Snは純錫、Zn−50%Snは、Snの含有量が50質量%である亜鉛−錫合金を示し、いずれも市販品を用いている。市販品では、不純物の含有量などによって熱伝導率が理想値と異なること(誤差があること)がある。
浸漬後、得られた各試料の複合成形物のうち、試料No.1−1〜No.1−8,No.1−111〜No.1−113ではいずれも、被覆磁性粉末を形成する各被覆磁性粒子(上述の組成のNd−Fe−B系合金の粒子又はSm−Fe−N合金の粒子の表面に、表1に示す材質の非金属無機材料の被覆を備える粒子)の間に、表1に示す材質の金属が介在している。試料No.1−101〜No.1−104ではいずれも、磁性粉末を形成する各磁性粒子(上述の組成のNd−Fe−B系合金の粒子)の間に、表1に示す材質の金属が介在している。組織の観察、及び組成の分析は、複合成形物を切断して、断面を顕微鏡観察すること、断面をX線回折によって組成を分析することによって行う。
更に、各試料の複合成形物の表面全体に、Niめっき層を形成して、めっき付き複合成形物を得る。めっき層の形成はには、電気めっき法を用いる。めっき層の平均厚さは15μmである。
作製した各試料のめっき付き複合成形物について、常温(ここでは25℃)の磁束量(Gs=0.0001T)、200℃の磁束量(Gs)、及び常温の磁束量に対する200℃の磁束量の比(=200℃/25℃比)を表1に示す。磁束量はガウス換算した値である。上記磁束量の比が大きいほど、200℃といった高温であっても、磁束量が低下し難いといえる。磁束量の測定は、市販のフラックスメーターを用いて行う。200℃の磁束量は、以下のように測定する。図2に示すように、恒温槽50内を200℃に維持すると共に、恒温槽50内に水冷銅板52を配置する。水冷銅板52は、図示しない冷却装置によって60℃に維持する。この水冷銅板52の上に試料Sを載置する。すると、試料Sは、恒温槽50内に収納されていることで200℃に加熱されながら、直方体の試料Sのうち水冷銅板52に接触する一面(載置面)は水冷銅板52によって冷却される。そのため、試料Sは、その表面のうち上記載置面以外の面から、その内部を経て、上記載置面に向かって熱のフローが生じ得る。この試料Sの上方にサーチコイル62を配置し、試料Sが発する磁束をサーチコイル62によって捉える。サーチコイル62の両端を恒温槽50の外部に配置したフラックスメーター60に接続して、フラックスメーター60によって、磁束量を測定する。ここでは、200℃の恒温槽50内に配置された水冷銅板52上に試料Sを載置してから1時間保持した後、磁束量を測定する。
Figure 2015008233
試料No.1−1〜No.1−8のめっき付き複合成形物はいずれも、Nd−Fe−B系合金やSm−Fe−N系合金といった希土類−鉄系合金からなる磁性粒子の外周に、希土類−鉄系合金の熱伝導率κよりも熱伝導率κが低い材料からなる被覆を備えると共に、この被覆磁性粒子間に上記被覆の熱伝導率κよりも熱伝導率κが高い金属からなる金属相を備える。このような試料No.1−1〜No.1−8のめっき付き複合成形物はいずれも、表1に示すように、金属相を有するものの上記被覆を有していない試料No.1−101〜No.1−104に比較して、200℃/25℃比が高いことが分かる。ここでは、試料No.1−1〜No.1−8はいずれも、200℃/25℃比が45%以上、概ね50%以上である。即ち、試料No.1−1〜No.1−8はいずれも、高温でも磁気特性が低下し難いことが分かる。この理由は、試料No.1−1〜No.1−8は、熱伝導率κが大きい金属相を十分に有することで金属相を放熱経路に利用できると共に、熱伝導率κが小さい被覆によって外部からの熱が上記被覆を介して磁性粒子に伝わり難くなったため、と考えられる。ここでは試料No.1−1〜No.1−8はいずれも、金属相の熱伝導率κが20W/m・K以上であり、被覆の熱伝導率κ及び希土類−鉄系合金の熱伝導率κの双方よりも十分に大きく、金属相の含有量が12体積%〜25体積%である。また、試料No.1−1〜No.1−8はいずれも、被覆の熱伝導率κが3W/m・K以下であり、この被覆は、遮熱層として機能しているといえる。また、上記被覆を備えず、金属相のみを備える場合には、磁性粒子は、金属相を介して伝達された外部からの熱によって加熱され易くなり、磁気特性が低下し易い、と考えられる。
特に、被覆磁性粉末の充填率が75体積%以上である試料No.1−1〜No.1−8のめっき付き複合成形物は、磁性成分の割合が高いことから、常温での磁気特性に優れることが分かる。そのため、試料No.1−1〜No.1−8は、高温で磁気特性が低下した場合でも、優れた磁気特性を有する(ここではフラックスの絶対値が大きい)ことが分かる。
上述のように200℃/25℃比が大きく、かつ被覆磁性粉末の充填率が大きい試料No.1−1〜No.1−8のめっき付き複合成形物(磁石素材)は、着磁して希土類磁石に利用した場合、例えば、200℃といった高温での使用でも、磁気特性の低下が少なく、優れた磁気特性を有することができると期待される。特に、Nd−Fe−B系合金を主体とする試料No.1−1〜No.1−7のめっき付き複合成形物では、常温での磁気特性により優れることから、高温で磁気特性が低下した場合でも、より高い磁気特性を有することが分かる。試料No.1−2〜No.1−4に着目すると、上記充填率が大きいほど、常温での磁気特性に優れることが分かる。特に、Sm−Fe−N合金を主体とする試料No.1−8のめっき付き複合成形物では、高温でも磁気特性がより低下し難いことが分かる。
そして、上述の高温でも磁気特性が低下し難い希土類磁石は、水素化粉末を原料とし、成形後に脱水素処理を行って圧縮磁石を製造する製造方法に対して、上記水素化粉末に特定の材料によって遮熱層を形成する工程と、脱水素処理後(窒化処理を更に施した後でもよい)の成形体に特定の金属の溶湯に浸漬して金属相を形成する工程とを備えることで、製造できることが分かる。
その他、試料No.1−1,No.1−2,No.1−5を比較すると、金属相の材質の違いに起因する特性差がほとんど見られない。この理由は、表1に示す熱伝導率が高い金属では融点も高く、高熱伝導性の金属であることと金属相の形成時の熱履歴とが相殺し合ったため、と考えられる。被覆と金属相との双方を備える場合でも、試料No.1−111のように金属相の構成金属の融点が600℃以上といった高温であると、試料No.1−1〜No.1−8と比較して、常温での磁気特性に劣る上に、200℃/25℃比が小さくなることが分かる。この理由は、融点が高いため、製造時に用いる金属溶湯の温度を600℃以上の高温にすることから、金属溶湯によって磁性粒子が加熱されて希土類−鉄合金が熱損傷を受けたため、と考えられる。
被覆と金属相との双方を備える場合でも、試料No.1−112のように被覆の構成材料の熱伝導率が高いと(ここでは20W/m・Kであり、希土類−鉄系合金の熱伝導率κよりも高い)、200℃/25℃比が小さくなることが分かる。この理由は、被覆の熱伝導率が高いことで、金属相を介して伝達された外部からの熱が被覆を経て磁性粒子にも伝えられ易くなったため、と考えられる。また、試料No.1−113では、200℃/25℃比が更に小さい。この理由は、被覆の熱衝撃温度が金属相の融点よりも低いため、金属相の形成時に被覆に割れなどの熱損傷を受けたため、と考えられる。
なお、試料No.1−101〜No.1−104は、常温での磁束量が試料No.1−1などと比較して高い。この理由は、上述の被覆の構成材料が非磁性材であり、試料No.1−101〜No.1−104は、上記被覆を有していない、即ち被覆の非磁性成分を実質的に含まないため、と考えられる。
本発明の希土類磁石の製造方法は、希土類磁石の製造に好適に利用することができる。本発明の希土類磁石の製造方法によって製造された希土類磁石は、永久磁石、例えば、各種のモータ、特に、ハイブリッド自動車やハードディスクドライブなどに具備される高速モータに用いられる永久磁石に利用することができる。特に、この希土類磁石は、高温環境、例えば、最高温度が200℃程度になるような環境での用途に好適である。
1 希土類磁石 2 被覆磁性粒子 20 磁性粒子 22 遮熱層
3 金属相
S 試料
50 恒温槽 52 水冷銅板
60 フラックスメーター 62 サーチコイル
100 樹脂ボンド磁石 200 磁性粉末 300 樹脂

Claims (6)

  1. 希土類元素の水素化合物と鉄族元素とを含む水素化合金からなる水素化粉末を準備する準備工程と、
    前記水素化粉末を構成する各水素化合金粒子の表面を覆うように、前記希土類元素と前記鉄族元素とを含む希土類−鉄系合金の熱伝導率κよりも熱伝導率が低い材料によって遮熱層を形成して被覆水素化粉末を製造する被覆工程と、
    前記被覆水素化粉末を圧縮成形して、水素化粉末成形体を製造する成形工程と、
    前記水素化粉末成形体に脱水素処理を施して、前記水素化合金を前記希土類−鉄系合金に再結合して、前記水素化粉末成形体を、前記希土類−鉄系合金からなる磁性粒子が前記遮熱層に覆われた被覆磁性粉末からなる粉末成形体とする脱水素工程と、
    前記遮熱層の構成材料の熱伝導率κよりも熱伝導率が高い金属を融解した金属溶湯に前記粉末成形体を浸漬して、前記被覆磁性粉末を構成する各被覆磁性粒子間に金属相が介在する磁石素材を製造する浸漬工程とを備える希土類磁石の製造方法。
  2. 希土類元素の水素化合物と鉄族元素とを含む水素化合金からなる水素化粉末を準備する準備工程と、
    前記水素化粉末を構成する各水素化合金粒子の表面を覆うように、前記希土類元素と前記鉄族元素と窒素とを含む希土類−鉄系合金の熱伝導率κよりも熱伝導率が低い材料によって遮熱層を形成して被覆水素化粉末を製造する被覆工程と、
    前記被覆水素化粉末を圧縮成形して、水素化粉末成形体を製造する成形工程と、
    前記水素化粉末成形体に脱水素処理を施して、前記水素化合金を再結合して、前記水素化粉末成形体を、再結合合金からなる粒子が前記遮熱層に覆われた被覆合金粉末からなる成形体とする脱水素工程と、
    前記脱水素工程を経た成形体に窒化処理を施して、前記再結合合金を前記希土類−鉄系合金とし、前記成形体を、前記希土類−鉄系合金からなる磁性粒子が前記遮熱層に覆われた被覆磁性粉末からなる粉末成形体とする窒化工程と、
    前記遮熱層の構成材料の熱伝導率κよりも熱伝導率が高い金属を融解した金属溶湯に前記粉末成形体を浸漬して、前記被覆磁性粉末を構成する各被覆磁性粒子間に金属相が介在する磁石素材を製造する浸漬工程とを備える希土類磁石の製造方法。
  3. 前記遮熱層は、3W/m・K以下の熱伝導率κを有する材料によって形成し、
    前記金属相は、20W/m・K以上の熱伝導率κを有する金属によって形成する請求項1又は請求項2に記載の希土類磁石の製造方法。
  4. 前記金属相は、融点又は固相線温度が600℃未満の金属によって形成する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の希土類磁石の製造方法。
  5. 前記遮熱層は、以下の(i)〜(iii)の少なくとも1種の材料によって形成する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の希土類磁石の製造方法。
    (i) Ti,Zr,及びSiから選択される1種以上の元素を含む酸化物
    (ii) Mg,K,及びAlから選択される1種以上の金属元素を含む金属酸化物と、Siを含む酸化物とを含む複合酸化物
    (iii) チタン酸金属塩
  6. 前記金属相は、Sn及びZnから選択される1種以上の金属元素を含む金属によって形成する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の希土類磁石の製造方法。
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