JP2015004859A - 異方性光拡散フィルム - Google Patents

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茂 佐合
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章一 塚田
晋 伊東
Susumu Ito
晋 伊東
岡本 俊紀
Toshinori Okamoto
俊紀 岡本
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Abstract

【課題】LED光源をバックライト光源として用いる場合に、ヘイズ値が高く、光拡散性、特に直角方向への光拡散性に優れると共に、輝度にムラがなく光を拡散させることができる異方性光拡散フィルムを提供すること【解決手段】ポリカーボネート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂及び微粒子を含む中間層の両面に、ポリカーボネート樹脂を含む外層を備えた、少なくとも3層を有する異方性光拡散フィルムであって、下記(1)〜(4)の要件を満たすことを特徴とする。(1)ヘイズが75%以上90%以下、(2)光拡散角度が、MD方向は半値角で5?以上、TD方向は半値角で3?以上、(3)一方の最外層の外面側に、表面粗度Ra=1〜5μmのランダムな凹凸形状を備え、(4)他方の最外層の外面側に、1〜10μmの山谷の深さを有し、かつ、その山の頂点の間隔が1〜30μmであるスジ状の凹凸形状を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、LEDの光を拡散させることができる異方性光拡散フィルムに関する。
PCモニタ、テレビジョン装置、PDA、携帯電話等のディスプレイとして、液晶ディスプレイ(LCD)等の、フラットパネルディスプレイ(FPD)が幅広く用いられている。
LCDは、一般的に、液晶層の裏面に光拡散フィルム及びバックライト光源等を順次積層して構成される。液晶層は非自発光型であることから、バックライト光源が不可欠であり、また、当該光源からの光を均一に拡散させるために、光を拡散させるためのフィルムが必要とされている。
当該光源として、近年、発光ダイオード(LED)が注目されている。また、LED光源の高出力化・高輝度化が進み、製造コスト等の観点から、バックライト光源に用いるLEDの設置の点数は削減される傾向にある。しかしながら、LED光源を用いたエッジライト方式を採用してFPDを作製すると、LED光源の点数が少ない場合、導光板から通過する光源の輝度に少なからずムラが出てしまうという問題がある。
当該問題を解消するために、各種光拡散フィルムが開発されて来た(特許文献1)が、主に一方向への光の拡散を行うことに主眼が置かれており、直角方向への光の拡散が極端に減少してしまうという副作用が生じていた。
特開2011−150303号公報
本発明は、LED光源をバックライト光源として用いる場合に、ヘイズ値が高く、光拡散性、特に直角方向への光拡散性に優れると共に、輝度にムラがなく光を拡散させることができる異方性光拡散フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂及び微粒子を含む中間層の両面に、ポリカーボネート樹脂を含む外層を備えた、少なくとも3層を有する異方性光拡散フィルムであって、特定の4要件を満たす異方性光拡散フィルムが、LED光源をバックライト光源として用いた場合に、上記課題を解決できることを見出し、さらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。
本発明は、斯かる知見に基づき完成されたものである。
項1.ポリカーボネート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂及び微粒子を含む中間層の両面に、
ポリカーボネート樹脂を含む外層を備えた、
少なくとも3層を有する異方性光拡散フィルムであって、
下記(1)〜(4)の要件を満たす、異方性光拡散フィルム。
(1)ヘイズが75%以上90%以下、
(2)光拡散角度が、MD方向は半値角で5°以上、TD方向は半値角で3°以上、
(3)一方の最外層の外面側に、表面粗度Ra=1〜5μmのランダムな凹凸形状を備え、
(4)他方の最外層の外面側に、1〜10μmの山谷の深さを有し、かつ、その山の頂点の間隔が1〜30μmであるスジ状の凹凸形状を備える。
項2.中間層が、ポリカーボネート樹脂50〜97重量%及びポリメチルペンテン樹脂50〜3重量%を含む樹脂組成物100重量部に対し、微粒子を1〜20重量部含む、項1に記載の異方性光拡散フィルム。
項3.外層が、さらに微粒子を含む、項1又は2に記載の異方性光拡散フィルム。
項4.微粒子が有機系材料である、項1〜3のいずれか1項に記載の異方性光拡散フィルム。
項5.有機系材料が、スチレン系樹脂及び/又はアクリル系樹脂である、項1〜4のいずれか1項に記載の異方性光拡散フィルム。
項6.微粒子の平均粒子径が0.1〜15μmである、項1〜5のいずれか1項に記載の異方性光拡散フィルム。
本発明の異方性光拡散フィルムは、LED光源をバックライト光源として用いる場合に、ヘイズ値が高く、特に直角方向への光拡散性に優れる。また、LEDバックライト光源からの光を、良好に異方拡散できるので、輝度ムラを改善することができる。
異方性光拡散フィルムのスジ状の凹凸形状である。 輝度ムラを評価する際に用いたTFT液晶モジュール(シャープ(株)製 192GC00タイプ)である。
以下、本発明の異方性光拡散フィルムについて、詳細に説明する。
1.異方性光拡散フィルム
本発明の異方性光拡散フィルムは、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂及び微粒子を含む中間層の両面に、ポリカーボネート樹脂を含む外層を備えた、少なくとも3層を有する異方性光拡散フィルムであって、
下記(1)〜(4)の要件を満たすことを特徴とする。
(1)ヘイズが75%以上90%以下、
(2)光拡散角度が、MD方向は半値角で5°以上、TD方向は半値角で3°以上、
(3)一方の最外層の外面側に、表面粗度Ra=1〜5μmのランダムな凹凸形状を備え、
(4)他方の最外層の外面側に、1〜10μmの山谷の深さを有し、かつ、その山の頂点の間隔が1〜30μmであるスジ状の凹凸形状を備える。
(1)外層
外層は、ポリカーボネート樹脂から形成される。外層は、異方性を発現する層として機能する。
ポリカーボネート樹脂
ポリカーボネート樹脂とは、二価フェノールとカーボネート前駆体を溶液法又は溶融法で反応させて得られるものである。
上記二価フェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)を対象とするが、その一部又は全部を他の二価フェノールで置換してもよい。他の二価フェノールとしては、例えば1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられる。
上記カーボネート前駆体としては、例えばホスゲン、ジフェニルカーボネート、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−p−トリルカーボネート、ジ−p−クロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、上記二価フェノール類のビスクロロホーメート等が挙げられ、なかでもホスゲンやジフェニルカーボネートが特に好ましい。
ポリカーボネート樹脂として、具体的には、パンライトL-1250Y(帝人株式会社)等を例示できる。
その他の成分
外層には、前記ポリカーボネート樹脂に加えて、微粒子を含んでもよい。
該微粒子としては、前記ポリカーボネート樹脂中で、微粒子を核にして発生するボイドを抑制でき、また、全光線透過率が高いという点から、有機系材料により形成されることが好ましい。より具体的には、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。好ましくは、アクリル系樹脂である。
該微粒子としては、球状の形態を保持し、ヘイズ制御に効果的であることから、架橋されているものが好ましい。
該微粒子の平均粒子径は、0.1〜15μm程度が好ましく、1〜10μm程度がより好ましく、2〜8μm程度が更に好ましく、1〜5μm程度が特に好ましい。なお、微粒子の平均粒子径は、10cm×10cmサイズのサンプルを3枚切り出し、顕微鏡((株)キーエンス製のVHX-1000)を用いて各10点測定を行い、平均値を算出することにより測定することができる。
スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、及びスチレンと共重合可能なモノマー単位との共重合体等が挙げられる。前記共重合可能なモノマー単位としては、不飽和カルボン酸等が挙げられる。
アクリル系樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸、及びそのエステル等が挙げられる。ここで、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸又はアクリル酸を表す。
微粒子として用いられる有機系材料の好ましい具体例としては、前記スチレン系樹脂では、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。また、前記アクリル系樹脂では、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等が挙げられる。
該微粒子の屈折率は、前記ポリカーボネート樹脂の屈折率の設定によって、適宜変更されるものであり、前記ポリカーボネート樹脂との屈折率差が0.03程度以上となるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、全光線透過率(透明性)の点で、1.45〜1.65程度の範囲のものが好ましい。
前記ポリカーボネート樹脂の屈折率と微粒子の屈折率の屈折率差は、フィルムによる光の拡散が十分に行われる点から、0.03程度以上が好ましく、0.04程度以上がより好ましい。また、ポリカーボネート樹脂の屈折率と微粒子の屈折率の屈折率差の上限は、特に限定されるものではないが、全光線透過率の点で、0.12程度以下が好ましく、0.1程度以下がより好ましい。
外層の樹脂組成物中の微粒子の配合量は、異方性光拡散フィルムのヘイズ値が75〜90%であり、全光線透過率が75%以上であれば、特に制限はないが、前記ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、1〜20重量部程度が好ましく、2〜18重量部程度がより好ましい。なお、微粒子の配合量は、異方性光拡散フィルムの厚みによって、単位体積当たりの微粒子の存在比が変わることから、厚みが比較的薄い場合には、上記配合量であってもヘイズが75%より小さくなる場合があり、厚みが比較的厚い場合には、ヘイズが90%を越える場合がある。
また、外層には、前記成分以外の成分、例えば、帯電防止剤、耐熱安定剤、耐候剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤等の任意成分を、本発明の効果を損なわない程度で含有していてもよい。
厚み
本発明の異方性光拡散フィルムの外層の厚さは、フィルム自体の強度を向上させることができる点、LEDバックライト光源からの光を充分に拡散させることができ、LED光源の輝度のムラを抑制できる点等から、10〜100μm程度以上が好ましく、10〜60μm程度以上がより好ましい。10μm未満では、異方向への光拡散機能の効果が小さくなる傾向があり、100μmを超えると、全光線透過率が低下する傾向にある。
(2)中間層
中間層は、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂及び微粒子を含む樹脂組成物から形成される。中間層は、光拡散層として機能する。
ポリカーボネート樹脂
ポリカーボネート樹脂としては、上記「(1)外層」で挙げたものと同じものを挙げることができる。
中間層の樹脂組成物中のポリカーボネート樹脂は、外層の樹脂組成物中のポリカーボネートと同じでも異なってもよいが、同じであることが好ましい。
中間層の樹脂組成物中のポリカーボネート樹脂の含有量は、フィルムの高剛性、耐熱性、寸法安定性を良好に維持すると共に、透明度を高くする観点、及びLED光源からの光の損失を少なくし、フィルムの全光線透過率を向上させる観点から、50〜97重量%であり、60〜95重量%が好ましい。
ポリメチルペンテン樹脂
ポリメチルペンテン樹脂とは、4−メチルペンテン−1ホモポリマーや、4−メチルペンテン−1を80〜92モル%程度と、炭素数8、10、12又は20等の任意の長さのアルキル基を有するビニル系単量体とのコモノマーを8〜20モル%程度共重合させた、共重合メチルペンテン樹脂等を含む。このようなポリメチルペンテン樹脂は、三井化学株式会社からTPX(登録商標)として市販されている。
中間層の樹脂組成物中のポリメチルペンテン樹脂の配合量は、LED光源をバックライト光源として用いた場合に、点光源であるLED光源からの光の透過性を高める観点、及びヘイズ値を高め、光拡散性を向上させるという観点から、50〜3重量%が好ましい。より好ましくは、40〜5重量%である。
本発明の異方性光拡散フィルムは、中間層を形成する樹脂組成物に、ポリメチルペンテン樹脂を含むことで、バックライト光源からの発光を画面表示に有効利用できる。また、高輝度による画像表示性能を実現できる。さらには、高い光拡散性(異方性)を有することから、LCD及びFPD全体にわたり均一な発光を行うことができる。
微粒子
該微粒子としては、前記ポリカーボネート樹脂及びポリメチルペンテン樹脂を含む樹脂成分中で、微粒子を核にして発生するボイドを抑制でき、また、全光線透過率が高いという点から、有機系材料により形成されることが好ましい。より具体的には、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。好ましくは、スチレン系樹脂である。
該微粒子として、具体的には、上記「(1)外層」で挙げたものと同じものを挙げることができる。
該微粒子の屈折率は、前記ポリカーボネート樹脂及びポリメチルペンテン樹脂の屈折率の設定によって、適宜変更されるものであり、前記環状オレフィン系樹脂及びポリメチルペンテン樹脂との屈折率差が0.03程度以上となるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、全光線透過率(透明性)の点で、1.45〜1.65程度の範囲のものが好ましい。
前記ポリカーボネート樹脂及びポリメチルペンテン樹脂の屈折率と、微粒子の屈折率との屈折率差は、フィルムによる光の拡散が十分に行われる点から、0.03程度以上が好ましく、0.04程度以上がより好ましい。また、ポリカーボネート樹脂及びポリメチルペンテン樹脂の屈折率と、微粒子との屈折率の屈折率差の上限は、特に限定されるものではないが、全光線透過率の点で、0.12程度以下が好ましく、0.1程度以下がより好ましい。
中間層の樹脂組成物中の微粒子の配合量は、異方性光拡散フィルムのヘイズ値が75〜90%であり、全光線透過率が75%以上であれば、特に制限はないが、前記ポリカーボネート樹脂及びポリメチルペンテン樹脂を含む樹脂組成物100重量部に対して、1〜20重量部程度が好ましく、2〜18重量部程度がより好ましい。なお、微粒子の配合量は、異方性光拡散フィルムの厚みによって、単位体積当たりの微粒子の存在比が変わることから、厚みが比較的薄い場合には、上記配合量であってもヘイズが75%より小さくなる場合があり、厚みが比較的厚い場合には、ヘイズが90%を越える場合がある。
その他の成分
また、前記樹脂成分を含む樹脂組成物において、前記樹脂成分以外の成分、例えば、帯電防止剤、耐熱安定剤、耐候剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤等の任意成分を、本発明の効果を損なわない程度で含有していてもよい。
厚み
本発明の異方性光拡散フィルムの中間層の厚さは、フィルム自体の強度を向上させることができる点、LEDバックライト光源からの光を充分に拡散させることができ、LED光源の輝度のムラを抑制できる点等から、10〜100μm程度以上が好ましく、10〜60μm程度以上がより好ましい。10μm未満では、光拡散機能を充分に発現できなくなる傾向があり、100μmを超えると、全光線透過率が低下する傾向にある。
(3)異方性光拡散フィルムの諸物性
本発明の異方性光拡散フィルムは、下記(1)〜(4)の要件を全て満たすことを特徴とする。
(1)ヘイズが75%以上90%以下、
(2) 光拡散角度が、MD方向は半値角で5°以上、TD方向は半値角で3°以上、
(3)一方の最外層の外面側に、表面粗度Ra=1〜5μmのランダムな凹凸形状を備え、
(4)他方の最外層の外面側に、1〜10μmの山谷の深さを有し、かつ、その山の頂点の間隔が1〜30μmであるスジ状の凹凸形状を備える。
層構成
本発明の異方性光拡散フィルムは、前記中間層の両面に前記外層を備えた、少なくとも3層から構成される。必要に応じて、中間層を複数設けたり、外層を複数設けたりしてもよい。
ヘイズ値
本発明の異方性光拡散フィルムのヘイズ値は、輝度ムラを少なくするという理由から、75〜90%が好ましく、80〜90%がより好ましい。
ヘイズ値は、JIS K7361の評価方法に基づき、日本電色工業(株)製の濁度計NDH-2000を用いて測定することができる。ヘイズ値は以下の式で表すことができる。
ヘイズ値(%)=散乱光透過率/全光線透過率×100
光拡散角度
本発明の異方性光拡散フィルムの光拡散角度は、LED近傍の輝度ムラを無くすという観点から、MD方向は半値角で5°以上、また、均一に光を拡散するという観点から、TD方向は半値角で3°以上である。なお、ここで、MD方向とは、フィルムのダイス樹脂流れ方向を指し、TD方向とは、フィルムのダイス樹脂流れに対して垂直方向を指す。
当該角度は、自動変角光度計(GP−200:(株)村上色彩研究所製)を用いて、後述の実施例に記載される方法で測定することができる。
最外層の外面特性(表面形状)
本発明の異方性光拡散フィルムは、その一方の最外層の外表面に、表面粗さRa=1〜5μmのランダムな凹凸を備えることを特徴とする。好ましくはRa=1〜3μm程度である。表面粗さRaを、1μm以上に設定することにより、光拡散率を向上することができる。また、表面粗さRaを、5μm以下に設定することにより、光透過率の低下を抑制できる。なお、表面粗さRaは、(株)東京精密製のSURFCOM−1400を用いて測定することができる。
また、本発明の異方性光拡散フィルムは、もう片方の最外層の外表面に、1〜10μmの山谷の深さを有し、かつ、その山の頂点の間隔が1〜30μmであるスジ状の凹凸形状を備えることも特徴とする。当該凹凸形状は、山型頂角度80〜135°、かつその山の頂点の間隔が1〜30μmのプリズム幾何学山形状であってもよい。なお、スジ状の凹凸形状は、MD方向に沿って形成されるのが好ましい。
厚み
本発明の異方性光拡散フィルムの厚さは、フィルム自体の強度を向上させることができる点、LEDバックライト光源からの光を充分に拡散させることができ、LED光源の輝度のムラを抑制できる点等から、20〜200μm程度以上が好ましく、30〜150μm程度以上がより好ましく、30〜100μm程度以上がさらに好ましい。20μm未満では、ハンドリング性に問題が生じる傾向があり、200μmを超えると、全光線透過率が低下する傾向にある。
全光線透過率
本発明の異方性光拡散フィルムの全光線透過率は、LED光源からの光を最大限に有効活用するという理由から、75%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
全光線透過率は、JIS K7361の評価方法に基づき、日本電色工業(株)製の濁度計NDH-2000を用いて測定することができる。全光線透過率とは、散乱光(拡散光)透過率と平行光透過率との総和である。
異方性
本発明の異方性光拡散フィルムの異方性は、上記「光拡散角度」において述べた方法で測定し、MD方向の半値角及びTD方向の半値角を用いて、以下の式で求めることができる。
MD方向の半値角−TD方向の半値角
上記MD方向の半値角−TD方向の半値角の値は、好ましくは3°以上(異方性あり)であり、より好ましくは5°以上である(十分な異方性あり)。
輝度ムラ
本発明の異方性光拡散フィルムは、輝度にムラがほとんどないものである。当該輝度ムラは、TFT液晶モジュール(シャープ(株)製 192GC00タイプ)に異方性光拡散フィルムをセットし、目視にて評価することができる。
2.異方性光拡散フィルムの製造方法
本発明の異方性光拡散フィルムは、以下の工程(1)及び(2)を含む。
(1)外層及び中間層の各層の樹脂組成物をそれぞれドライブレンドして押出機に供給した後、ダイスより押出してフィルムに成形する工程、
(2)前記工程(1)で得られたフィルムの外表面に凹凸を設ける工程。
すなわち、本発明の異方性光拡散フィルムは、例えば、以下のようにして製造することができる。
工程(1)
まず、前記外層及び中間層の各層の樹脂組成物をそれぞれドライブレンドし、外層/中間層/外層等の所望の順序になるように、180〜280℃程度に調整された押出機に供給する。次いで、当該樹脂組成物は、200〜300℃程度のダイスより共押出され、フィルムが形成される。
工程(2)
工程(1)で得られたフィルムは、次いで、その両外表面に、凹凸が設けられる。フィルムの両外表面に凹凸を設ける方法としては、例えば、フィルムの両外表面に凹凸を転写する方法が挙げられる。
フィルムの外表面に凹凸を転写する方法として、具体的には、表面に表面粗さRa=1〜5μmのランダムな凹凸形状を有する金属製ロール、及び表面に1〜10μmの山谷の深さを有し、かつ、その山の頂点の間隔が1〜30μmのスジ状の凹凸形状を有する金属製ロールとの間にフィルムを押し出すことによって、それぞれの金属製ロール上の表面形状を、フィルム表面に転写する方法を挙げることができる。金属は冷却効果が高いことから、金属製ロールを用いることにより、溶融状態のフィルムを安定して固化することができる。当該金属製ロールの温度としては、5〜90℃程度が好ましい。金属製ロールの温度を5℃程度以上とすることにより、ロールとフィルムの密着性が向上し、フィルム表面への凹凸の転写効率が向上する等の効果が得られる。また、金属製ロールの温度を90℃程度以下とすることにより、フィルムのロールへの巻き付きを防止する等の効果が得られる。
表面に凹凸形状を有する金属製ロールの表面形状としては、得られるフィルムの凹凸形状に応じて適宜設定すればよい。
また、別法として、表面に表面粗さRa=1〜5μmのランダムな凹凸形状を有する金属製ロールと、表面に1〜10μmの山谷の深さを有し、かつ、その山の頂点の間隔が1〜30μmのスジ状の凹凸形状が施された離形性シートとの間にフィルムを押し出すことにより、それぞれの表面形状を、フィルム表面に転写する方法も用いることができる。
表面にプリズム形状を有する離形性の表面形状としては、得られるフィルムのプリズムに応じて適宜設定すればよい。
以下に実施例及び比較例を示して、本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
下記の実施例及び比較例で使用した原料を下記に示す。
・ポリカーボネート樹脂:帝人株式会社製のポリカーボネート樹脂(パンライトL-1250Y)
・ポリメチルペンテン樹脂:三井化学株式会社製のポリメチルペンテン樹脂(TPX MX002)
・微粒子:
スチレン系微粒子:綜研化学(株)製の架橋スチレン系樹脂(KSR-3A)、屈折率:1.59、平均粒子径:3μm
アクリル系微粒子:綜研化学(株)製のアクリル系樹脂(KMR-3TA)、屈折率:1.49、平均粒子径:3μm
実施例1
表1に示したとおりの、外層及び中間層を構成する成分及び組成で配合して得られる樹脂組成物を、180〜280℃に調整された押出機に投入し、外層/中間層/外層の順序になるように、280℃のTダイスにより押し出した。次いで、押し出されたフィルムを、ロール表面温度80℃に設定された金属ロール(表面に、5μm山谷深さ、かつ、山頂の間隔が15μmのスジ状凹凸加工)と、ロール表面温度5℃に設定した(表面粗さRa=1μmのランダム凹凸加工)の金属ロールとの間に挟み込むことにより、片方の外層の表面に山谷深さ3μm、山頂の間隔15μmのスジ状の凹凸形状を有し、もう片方の外層の表面に表面粗さRa=1μmのランダムな凹凸形状を有する多層フィルムを得た。なお、スジ状の凹凸形状はMD方向に沿って形成されていた。
実施例2
表面温度5℃に設定された金属ロールの表面粗さRaを、5μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、片方の外層の表面に山谷深さ3μm、山頂の間隔15μmのスジ状の凹凸形状を有し、もう片方の外層の表面に表面粗さRa=3μmのランダムな凹凸形状を有する多層フィルムを得た。
実施例3
中間層を構成する成分の組成を、表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして、片方の外層の表面に山谷深さ3μm、山頂の間隔15μmのスジ状の凹凸形状を有し、もう片方の外層の表面に表面粗さ Ra=1μmのランダムな凹凸形状を有する多層フィルムを得た。
実施例4
中間層を構成する成分の組成を、表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして、片方の外層の表面に山谷深さ3μm、山頂の間隔15μmのスジ状の凹凸形状を有し、もう片方の外層の表面に表面粗さRa=1μmのランダムな凹凸形状を有する多層フィルムを得た。
実施例5
中間層を構成する成分の組成及び層の厚みを、表1に示すとおりに変更し、80℃に設定された金属ロールの山谷深さを10μm、山頂の間隔を30μmの凹凸加工に変更した以外は、実施例1と同様にして、片方の外層の表面に山谷深さ5μm、山頂の間隔30μmのスジ状の凹凸形状を有し、もう片方の外層の表面に表面粗さRa=1μmのランダムな凹凸形状を有する多層フィルムを得た。
実施例6
中間層を構成する成分の組成及び層の厚みを、表1に示すとおりに変更した以外は、実施例5と同様にして、片方の外層の表面に山谷深さ5μm、山頂の間隔30μmのスジ状の凹凸形状を有し、もう片方の外層の表面に表面粗さRa=1μmのランダムな凹凸形状を有する多層フィルムを得た。
実施例7
両外層を構成する成分の組成を、表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして、片方の外層の表面に山谷深さ3μm、山頂の間隔15μmのスジ状の凹凸形状を有し、もう片方の外層の表面に表面粗さRa=1μmのランダムな凹凸形状を有する多層フィルムを得た。
実施例8
両外層と中間層を構成する成分の組成を、表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして、片方の外層の表面に山谷深さ3μm、山頂の間隔15μmのスジ状の凹凸形状を有し、もう片方の外層の表面に表面粗さRa=1μmのランダムな凹凸形状を有する多層フィルムを得た。
比較例1
中間層において微粒子を配合せず、また、5℃に設定された金属ロール(表面粗さRa=1μmのランダム凹凸加工)を、80℃に設定された金属ロール(鏡面仕上げ)に変更し、80℃に設定された金属ロール(5μm山谷深さ、かつ、山頂の間隔が15μmのスジ状凹凸加工)を、80℃に設定された金属ロール(鏡面仕上げ)に変更した以外は、実施例1と同様にして、片方の外層の表面のみ表面粗さRa=0.1μmのランダムな凹凸形状を有する多層フィルムを得た。
比較例2
5℃に設定された金属ロールの表面粗さRaを、10μmに変更し、80℃に設定された金属ロール(5μm山谷深さ、かつ、山頂の間隔が15μmのスジ状凹凸加工)を、80℃に設定された金属ロール(鏡面仕上げ)に変更した以外は、実施例1と同様にして、片方の外層の表面のみRa=8μmのランダムな凹凸形状を有する多層フィルムを得た。
比較例3
5℃に設定された金属ロールの表面粗さRaを、10μmに変更し、80℃に設定された金属ロール(5μm山谷深さ、かつ、山頂の間隔が15μmのスジ状凹凸加工)を、80℃に設定された金属ロール(鏡面仕上げ)に変更した以外は、実施例3と同様にして、片方の外層の表面のみRa=8μmのランダムな凹凸形状を有する多層フィルムを得た。
比較例4
中間層において微粒子を配合せず、層の厚みを表1に示すとおりに変更し、5℃に設定された金属ロール(表面粗さRa=1μmのランダム凹凸加工)を、5℃に設定された金属ロール(鏡面仕上げ)に変更し、80℃に設定された金属ロール(5μm山谷深さ、かつ、山頂の間隔が15μmのスジ状凹凸加工)を、80℃に設定された金属ロール(30μm山谷深さ、かつ、山頂の間隔が50μmの凹凸加工)に変更した以外は、実施例3と同様にして、片方の外層の表面に山谷深さ20μm、山頂の間隔50μmのスジ状の凹凸形状を有し、もう片方の外層の表面には表面粗さRa=0.1μmのランダムな凹凸形状を有する多層フィルムを得た。
物性評価
実施例及び比較例で得られた3層フィルムについて、表面形状、ヘイズ値、全光透過率、異方性、並びに輝度ムラを以下の方法により測定した。
[表面形状]
表面形状は、JIS B0601(1994)の評価方法に基づき、(株)東京精密製のSURFCOM−1400を用いて測定した。
[ヘイズ値及び全光線透過率]
全光線透過率は、JIS K7361の評価方法に基づき、日本電色工業(株)製の濁度計NDH-2000を用いて測定した。ヘイズ値は、下記の式から求めた。
ヘイズ値(%)=散乱光透過率/全光線透過率×100
また、濁度計には、MD方向をタテ方向としてサンプルをセットし、測定した。
[異方性]
異方性は、自動変角光度計(GP−200)((株)村上色彩研究所製)を用いて、透過測定モードで測定し、光線入射角0°(試料面の中心に全角に対して直角(垂直正面))から入射し、受光角度−50°〜50°(VS−1 =3.0、VS−3=4.0)及び変角間隔0.1度の条件で、光拡散角度を測定した。チャートスケールに合うようにSENSITIVITY(例えば900)、HIGH VOLTON(例えば500)の設定にし、0°の透過光の、最大ピーク高さの半分の高さにおける角度(半値角)を求めた。また、自動変角光度計には、MD方向をタテ方向としてサンプルをセットして測定したときの値を、MD方向の半値角とし、TD方向をタテ方向としてサンプルをセットして測定したときの値を、TD方向の半値角とした。
上記測定を、測定サンプルのMD方向及びTD方向について行い、MD方向の半値角−TD方向の半値角の値を求めることにより、異方性を評価した。上記値がゼロである場合は、異方性がないということである。
[輝度ムラ]
図2に示すTFT液晶モジュール(シャープ(株)製 192GC00タイプ)の光拡散フィルムを、実施例1〜8及び比較例1〜4により得られたフィルムに交換し、9.75V印加でLED光源を発光させて、輝度ムラを評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎:輝度にムラが認められない状態
○:輝度に若干のムラはあるが、実用上問題がない状態
×:輝度にムラがあり、実用上問題である状態
実施例及び比較例に記載のフィルムについて、ヘイズ値及び全光透過率、異方性、並びに輝度ムラの評価結果を、表1に示した。
Figure 2015004859
本発明の異方性光拡散フィルムは、バックライトとしてLEDにより発せられる点光源の光を拡散させることができるため、LEDバックライト用の光拡散フィルムとして好適に用いられる。つまり、フィルムのダイス樹脂流れ方向(MD方向)及びダイス樹脂流れに対して垂直方向(TD方向)の光線透過率が異なるため、光を拡散する異方性を有するフィルムとなり、特にLEDバックライト光源からの光を、光源が並ぶ方向に対して平行に拡散することができ、LED光源の近傍においても、輝度のムラを低減させることが可能となる。

Claims (6)

  1. ポリカーボネート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂及び微粒子を含む中間層の両面に、
    ポリカーボネート樹脂を含む外層を備えた、
    少なくとも3層を有する異方性光拡散フィルムであって、
    下記(1)〜(4)の要件を満たす、異方性光拡散フィルム。
    (1)ヘイズが75%以上90%以下、
    (2)光拡散角度が、MD方向は半値角で5°以上、TD方向は半値角で3°以上、
    (3)一方の最外層の外面側に、表面粗度Ra=1〜5μmのランダムな凹凸形状を備え、
    (4)他方の最外層の外面側に、1〜10μmの山谷の深さを有し、かつ、その山の頂点の間隔が1〜30μmであるスジ状の凹凸形状を備える。
  2. 中間層が、ポリカーボネート樹脂50〜97重量%及びポリメチルペンテン樹脂50〜3重量%を含む樹脂組成物100重量部に対し、微粒子を1〜20重量部含む、請求項1に記載の異方性光拡散フィルム。
  3. 外層が、さらに微粒子を含む、請求項1又は2に記載の異方性光拡散フィルム。
  4. 微粒子が有機系材料である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の異方性光拡散フィルム。
  5. 有機系材料が、スチレン系樹脂及び/又はアクリル系樹脂である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の異方性光拡散フィルム。
  6. 微粒子の平均粒子径が0.1〜15μmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の異方性光拡散フィルム。
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