本発明に係る集光装置の一実施例としての集光装置10の概略的な構成を、図1および図2を用いて説明する。以下の説明では、設置平面上における東西南北の方向(方位)を用いており、各図で東を符号Eで、西を符号Wで、南を符号Sで、北を符号Nで、示している。その設置平面は、天頂方向(鉛直方向)に直交する平坦な面とする。なお、図1では、理解容易とするために、各反射部11における第1回転軸13(図3等参照)を回転中心とする回転が為されていないものとしている。また、図1では、理解容易とするために、各反射部11を支持するための構成(第2回転軸ステージ25および第1回転軸ステージ26(支持機構部29(図7等参照)))を省略して示している。
集光装置10は、本実施例では、図1に示すように、太陽熱発電装置30において太陽光を集光するために用いられている。その集光装置10は、複数の反射部11と、それらの上方に設けられた受熱部12と、を備える。その各反射部11は、鏡で形成されており、自らを照射する太陽光を受熱部12へと反射すべく設けられている。各反射部11は、本実施例では、互いに等しいものとしており、中心位置Cにおける接平面の法線方向で見て長方形状を呈する。この各反射部11は、その接平面上の一方向で曲線状とされるとともに、当該一方向に直交する他方向で直線状とされた鏡で形成している。すなわち、各反射部11は、上記した一方向に対して湾曲し、他方向に対して平坦な鏡で形成している。なお、中心位置Cは、本実施例では、各反射部11の反射面における中心位置としている(図2から図4等参照)。その各反射部11は、中心位置Cにおける設置平面からの高さ位置(天頂方向(鉛直方向)で見た位置)が互いに等しいものとされて設けられている。以下では、その各反射部11の中心位置Cが存在する面を設置基準面Pb(図4等参照)とする。この設置基準面Pbは、天頂方向(鉛直方向)に直交する平坦な面となり、設置平面と所定の間隔を置きつつ平行な位置関係とされている。
各反射部11は、基本的に設置基準面Pb(図4等参照)上において、長尺方向(法線方向で見た長方形における長辺が伸びる方向)を東西方向に沿わせるとともに、短尺方向(法線方向で見た長方形における短辺が伸びる方向)を南北方向に沿わせて設けられている。そして、各反射部11は、本実施例では、短尺方向を上記した一方向として、その一方向すなわち短尺方向で曲線状としている。このため、各反射部11は、太陽光を受熱部12へと反射する際、短尺方向(一方向)に集光する作用を有するとともに、長尺方向(他方向)では集光する作用を有していない。ここで、長尺(短尺)方向を東西(南北)方向に沿わせることに関して、基本的にとしたのは、後述するように各反射部11が第1回転軸13および第2回転軸14(図3および図4等参照)回りに回転可能とされていることから、それぞれの回転方向での回転角度の変化により設置基準面Pb(図4等参照)上における長尺(短尺)方向の向きが変化することによる。なお、第1回転軸13および第2回転軸14回りに回転可能とは、第1回転軸13および第2回転軸14回りを回転中心として回転可能であることをいう。
その各反射部11は、設置基準面Pb(図4等参照)上において、中心位置Cの南北方向で見た位置が互いに等しくされて東西方向に複数(図1の例では4個)並列されているとともに、中心位置Cの東西方向で見た位置が互いに等しくされて南北方向に複数(図1の例では9個)並列されている。すなわち、集光装置10では、設置平面上の一定の範囲にわたり、複数(図1の例では9個)の反射部11が南北方向に並んで配置されており、南北方向に伸びる反射ラインLn(nは0を除く自然数)を形成している。また、集光装置10では、その反射ラインLnが、東西方向に複数(図1の例では4つ)並列されて配置されている。このように、各反射部11は、東西方向で見て複数の反射ラインLn(図1の例では4列(n=1〜4))を形成しつつ、各反射ラインLnにおいて南北方向に複数個(図1の例では9個)並列されて設けられている。なお、反射部11の個数、すなわち形成する反射ラインLnの数および各反射ラインLnにおける反射部11の個数は、適宜設定すればよく、本実施例に限定されるものではない。
この反射部11では、第1回転軸13および第2回転軸14(図3および図4等参照)が個別に設定されており、それぞれの回転軸を回転中心として回転することが可能とされている。その第1回転軸13は、基本的に各反射部11(その反射面)を、東側へ向けることと西側へ向けることとを可能とすべく設けられている。また、第2回転軸14は、基本的に各反射部11(その反射面)を、南側へ向けることと北側へ向けることとを可能とすべく設けられている。この第1回転軸13および第2回転軸14の設定については、後に詳細に説明する。各反射部11では、第1回転軸13および第2回転軸14(図3および図4等参照)による回転角度を適宜調整することにより、太陽の日周運動に対応しつつ太陽の高度の変化に対応して、自らを照射する(自らが受けた)太陽光の反射光を受熱部12へ向けて照射する。
その受熱部12は、各反射部11の上方の所定の高さ位置で、その各反射部11で形成した反射ラインLnを東西方向に跨いで設けている。受熱部12は、本実施例では、各反射ラインLnのうちの真ん中(南北方向で見た真ん中)に存在する反射部11の中心位置Cの上方(天頂方向)に受熱軸線Ra(受熱部12の中心軸線)が存在する位置関係とされており、天頂方向で見た設置基準面Pb(中心位置C)からの高さ寸法Hを14mとしている。この受熱部12は、各反射部11から照射される太陽光の反射光を受光して集熱する。このため、受熱部12は、各反射部11からの反射光で照射される被照射部として機能し、受熱軸線Raがその被照射部としての受熱部12に設定された被照射軸線として機能する。
受熱部12は、本実施例では、図1に示すように、ステンレス等の材料で形成したパイプ(管)であり、中空で断面が円形の管状(円筒形状)を呈する。この受熱部12は、東西方向で見た両端部が後述する循環パイプ31に接続さている。受熱部12は、本実施例では、内部に熱媒体(空気、蒸気等)が充填されており、両端部に接続された循環パイプ31と協働して熱媒体を循環させる経路を形成している。本実施例では、受熱部12に充填されて循環させる熱媒体として、CO2ガス(炭酸ガス)を用いている。その受熱部12は、各反射部11からの反射光で照射されることにより加熱され、その熱を熱媒体に伝える(移動させる)ことで熱媒体を加熱して当該熱媒体の温度を上昇させる。そして、受熱部12は、循環パイプ31との協働により、温度を上昇させた熱媒体を循環させて後述する熱供給源としてのタービン32に供給する。すなわち、受熱部12は、各反射部11からの反射光が照射されると受熱することにより、太陽エネルギーを利用する。
この受熱部12を反射光で照射する各反射部11は、図2に示すように、反射ラインLn毎に、受熱部12に対して、東西方向に伸びる受熱軸線Raに直交する方向で反射光が向かう(進行する)ように角度の設定が為される(図2(b)参照)。この角度の設定は、主に後述する第1回転軸13(図3および図4等参照)を回転中心とする回転により調整される。このため、同一の反射ラインLnに設けられた各反射部11は、東西方向で見ると、中心位置Cからの反射光が受熱部12における等しい位置を照射することとなり、異なる反射ラインLnの反射部11とは受熱部12における照射する範囲が重複しないものとされている。これにより、受熱部12では、その長尺方向(東西方向)で見て、反射ラインLn毎に照射される範囲が設定されることとなる。
また、同一の反射ラインLnに設けられた各反射部11は、南北方向で見て中央の反射部11の上方に存在する受熱部12へと反射光が向かうように角度の設定が為される(図2(c)参照)。この角度の設定は、主に後述する第2回転軸14(図3および図4等参照)を回転中心とする回転により調整される。このため、同一の反射ラインLnに設けられた各反射部11は、南北方向で見た一定の範囲(反射ラインLn(そこを構成する複数の反射部11)が存在する範囲)に注がれた太陽光の反射光を、受熱部12へと集める(集光する)。これにより、受熱部12では、東西方向で見て各反射ラインLnが存在する範囲毎に、それぞれに対応する反射ラインLnの各反射部11から受熱軸線Raに直交する方向で反射光が集光されることとなり、反射ラインLn毎に集熱する。
このように、集光装置10は、被照射部としての受熱部12に対して、複数の反射ラインLn(図示の例ではn=1〜4)毎に集光する、換言すると、受熱部12における集光される箇所が各反射ラインLn(そこに存在する複数の反射部11)に対応して長尺方向(東西方向)に分割されて構成されている線形フレネル型の太陽光集光装置である。そして、その各反射ラインLnでは、反射する箇所が複数の反射部11により長尺方向に分割されて構成されている。このため、集光装置10は、所謂分割式の線形フレネル型の太陽光集光装置とされている。この集光装置10は、各反射部11からの反射光が受熱部12に対して受熱軸線Raに直交する方向で向かわせるものであることから、垂直受熱駆動方式(PL(Perpendicular Lighting)方式)の線形フレネル型の太陽光集光装置であるとも言える。
なお、各反射部11における並列方向(その反射ラインLnの方向およびそれが並列される方向)および受熱部12(その受熱軸線Ra)の伸びる方向は、上述したように各反射部11からの太陽光の反射光を受熱部12に効率よく受光させることができるものであれば、反射ラインLnが南北方向に完全には一致しないものとしたり受熱部12が東西方向と完全には一致しないものとしたりしてもよく、それぞれの向きを異なるものとしてもよく、設置平面(設置基準面Pb)上での東西南北に対する方向(方位)は本実施例の設定に限定されるものではない。
また、東西方向に設置された受熱部12を境とする北側と南側の反射ラインLnの長さは必ずしも同一である必要はない。例えば、北半球では太陽の軌跡が受熱部12に対して南側を通ることから、この集光装置10を北半球に設置する場合は、反射ラインLnの長さを南側よりも北側に長くして、北側の反射部11(ミラー)の設置面積をより広く採ることにより、集光、集熱効率を高めることができる。他方、集光装置10を南半球に設置する場合は、北半球に設置する場合と反対に、反射ラインLnの長さを北側よりも南側に長くすることにより、集光、集熱効率を高くすることができる。
さらに、各反射部11は、互いに等しい間隔とされて南北方向に複数(図1の例では9個)並列されていたが、南北方向で見た受熱部12に対する中心位置Cでの距離Lに応じて間隔を変化させるものであってもよい。その一例として、南北方向で隣接する反射部11の影による干渉を避けることを考慮して、受熱体12からの南北方向への距離Lが大きくなるに連れて各反射部11の間隔を大きくすることがあげられる。その影による干渉とは、反射部11へと入射する太陽光が隣接する反射部11により遮られることと、反射部11からの反射光が隣接する反射部11により遮られることと、をいう。なお、各反射部11は、互いに等しい間隔とされて東西方向に複数(図1の例では4個)並列されていたが、同様に、東西方向で見た受熱部12に対する中心位置Cでの距離Lに応じて間隔を変化させるものであってもよい。しかしながら、東西方向で見た間隔を互いに等しくすると、東西方向で等しい構造の反射ラインLnを繰り返す構成とすることができる。
ついで、複数の反射部11が設置される土地占有領域については、受熱部12が伸びる方向(本実施例では東西方向)よりも各反射ラインLnが伸びる方向(本実施例では南北方向)を長くすることができる。これは、上述したように、東西方向に伸びて設けた受熱部12に対して、各反射部11(ミラー)を角度調整して照射(集光)する構成としていることから、各反射ラインLnが伸びる方向を相対的に長くすることにより、後述する線形フレネル型の太陽光集光装置(集光装置50(図10参照))に比べて光損失の少ない集光光学系が得られることによる。なお、各反射ラインLnが伸びる方向の長さは、効率を向上させる観点からは、最も離れた反射部11からの反射光(太陽の像)を受熱部12上からはみ出さないように設定することが望ましい。このため、各反射ラインLnが伸びる方向(南北方向)に拡張した反射部11群(ミラーセグメント)を構成することにより、エネルギー損失(ロス)を低減して効率よく集熱(集光)することができ、熱エネルギー(太陽エネルギー)を効率よく得ることができる。また、後述する線形フレネル型の太陽光集光装置(集光装置50(図10参照))と比較して、受熱部12の長さ寸法を短く設定することができるため、吸収した熱の再放熱による熱損失を低減することもできる。逆に、後述する線形フレネル型の太陽光集光装置(集光装置50(図10参照))と比較して、各反射ラインLnが伸びる方向の長さを長くしつつ東西方向に連続した構成とする(東西方向に伸ばす)ことができるので、より大きな熱エネルギー(太陽エネルギー)を効率よく得ることができる。
加えて、受熱部12における設置基準面Pbからの高さ寸法Hや、各反射部11(その中心位置C)の設置平面からの高さ位置すなわち設置基準面Pbからの各反射部11(その中心位置C)の高さ寸法は、例えば、集光装置10(太陽熱発電装置30)を設置する周辺の環境に応じて効率良く太陽光を受ける(照射される)ことを可能とすること等を勘案して適宜設定すればよく、本実施例の設定に限定されるものではない。
その集光装置10を備える太陽熱発電装置30は、図1に示すように、循環パイプ31とタービン32と発電機33と凝集機34とを備える。その循環パイプ31は、パイプ(管)であり、外表面に断熱部材が設けられている。循環パイプ31は、受熱部12の一端部に接続されるとともに、タービン32および凝集機34を経て受熱部12の他端部に接続されている。このため、循環パイプ31は、受熱部12で温度が上昇された熱媒体をタービン32に供給し、そのタービン32および凝集機34を経た熱媒体を再び受熱部12へと供給することで、熱媒体を循環させる。
タービン32は、受熱部12で温度が上昇された熱媒体を動翼列(図示せず)にあてることで、その熱媒体の運動エネルギー(熱エネルギー)を、動翼列の回転運動に変換する。すなわち、タービン32は、天然ガス等の燃料を燃焼させて高温高圧の燃焼ガスを用いることに代えて、集光装置10(その受熱部12)で太陽光の熱エネルギーを利用して温度を上昇させた熱媒体を用いるものである。このタービン32は、動翼列の回転軸が発電機33の回転軸に連結されている。
その発電機33は、回転軸が回転駆動されることにより電力を生成(発電)する。発電機33は、本実施例では、回転軸に連結されたタービン32の動翼列(図示せず)の回転運動を利用して電力を生成(発電)する。このため、太陽熱発電装置30は、太陽エネルギーから電力を生成するソーラー発電装置のうちの太陽光の熱エネルギーを利用して発電する発電装置となる。この発電機33には、出力線35が設けられている。この出力線35は、配電路に接続されており、発電機33で生成(発電)した電力を配電路へと出力することができる。
凝集機34は、タービン32を駆動(動翼列を回転)させた熱媒体を冷却するものである。この凝集機34は、冷却した熱媒体を受熱部12へと供給する。なお、凝集機34では、タービン32と受熱部12との間を接続する箇所以外の循環パイプ31において、熱媒体の熱を交換するものであってもよい。
次に、集光装置10の各反射部11における第1回転軸13および第2回転軸14の設定について説明する。ここで、集光装置10では、被照射部としての受熱部12における集光される箇所を各反射ラインLn(複数の反射部11)に対応して長尺方向(東西方向)に分割するものであって、南北方向で見た各反射部11の設定位置が各反射ラインLnで互いに等しくされている。このため、本実施例の集光装置10では、各反射部11における第1回転軸13および第2回転軸14の設定が、反射ラインLn毎に互いに等しいものとされている。このことから、以下では反射ラインL1の各反射部11における第1回転軸13および第2回転軸14の設定について説明し、他の反射ラインLnの各反射部11における第1回転軸13および第2回転軸14の設定については省略する。
先ず、第1回転軸13について、図3から図5を用いて説明する。なお、図3では、理解容易とするために、反射ラインL1において南側から6つめの単一の反射部11の受熱部12に対する位置関係を示している。また、図4では、理解容易とするために、反射ラインL1において南側から4つめの反射部11から、南側から7つめの反射部11までの4つの反射部11の受熱部12に対する位置関係を示している。さらに、図4では、理解容易とするために、各反射部11における第1回転軸13を回転中心とする回転が為されていないものとしている。図5では、理解容易とするために、反射ラインL1および反射ラインL2において南側に存在する2つの反射部11(合計4つ)に対応する第1駆動部21および第2駆動部22のみを示している。
第1回転軸13は、図3および図4に示すように、受熱部12の受熱軸線Raおよび各反射部11における中心位置Cを含む平面(以下では第1平面P1にとする)に直交するとともに、その中心位置Cを通る線分に設定する。このため、第1回転軸13は、反射ラインL1(等しい反射ラインLn)に設けられている各反射部11においては、各反射部11の中心位置Cを含み受熱軸線Ra(受熱部12)に直交する同一の平面(以下では第2平面P2(図4では紙面に沿う面)にとする)上に存在されている。ここで、面上に存在するとは、当該面を構成する点の集まりとされていることをいう。また、第1回転軸13は、上記した設定とされていることから、等しい反射ラインL1に設けられている反射部11であっても、第2平面P2上における設置基準面Pbに対する角度が反射部11毎に異なるものとされている(図4等参照)。これにより、各第1回転軸13は、図4に示すように、受熱軸線Ra(東西方向)に直交する面すなわち第2平面P2に沿って(紙面に沿う方向)設けられているとともに、その第2平面P2上で設置基準面Pbに対する角度が互いに異なるものとされている。
詳細には、各反射部11は、中心位置Cが設置基準面Pb上に存在されて設けられていることから、天頂方向で見た中心位置Cでの受熱部12に対する間隔が、何れも受熱部12の設置基準面Pbからの高さ寸法H(本実施例では14m)となる。そして、各反射部11では、反射ラインL1における南北方向で見た位置に応じて、南北方向で見た受熱部12に対する中心位置Cでの距離Lが変化することとなる。ここで、第2平面P2(図3参照)上において、受熱部12の受熱軸線Raと各反射部11の中心位置Cとを結ぶ線分を反射光路Rpとする。この反射光路Rpは、各反射部11から受熱部12へと向かう反射光のうちの反射部11の中心位置Cから受熱部12の受熱軸線Raへと向かうものであり、各反射部11に対応する第1平面P1と第2平面P2とが交差する箇所となる。その各反射光路Rpは、第1平面P1上に存在することから、対応する反射部11の中心位置Cを通る第1回転軸13と直交する。すると、反射光路Rpと設置基準面Pbとが為す傾斜角度αは、tan−1(H/L)となる。その傾斜角度αは、第1回転軸13と反射光路Rpとが為す傾斜角度(90度)から、第1回転軸13と設置基準面Pbとが為す傾斜角度βを減算したものとなる。このため、第1回転軸13は、設置基準面Pbに対する傾斜角度βを(90−tan−1(H/L))で示すことができる。このことから、第1回転軸13では、受熱部12に対する反射部11の位置関係により、設置基準面Pb(そこと平行とされた設置平面)に対する傾斜角度βと、受熱部12に対する向きと、が決定される。このため、第1回転軸13は、受熱部12に対する各反射部11の位置関係により、反射部11毎に設定される。この各第1回転軸13は、受熱軸線Raを中心としつつ対応する反射部11の中心位置Cを通る円に対する接線方向に設定されていることとなる。各第1回転軸13は、第2回転軸14を回転中心とする反射部11の回転姿勢の変化に拘らず、受熱部12に対する絶対的な位置関係が変化しないものとされている。
第2回転軸14は、図3に示すように、第1平面P1上(第1平面P1に含まれるもの)であって、対応する反射部11の中心位置Cを通る線分に設定する。このため、各反射部11では、第1回転軸13と第2回転軸14との双方が、等しい回転中心としての中心位置Cを通る線分とされている。また、各反射部11では、第1回転軸13が、反射光路Rpと直交するとともに、第2回転軸14と直交するものとされている。ここで、第2回転軸14は、反射光路Rpと一致しないものとする必要がある。その第2回転軸14は、本実施例では、反射部11の第1回転軸13を回転中心とする回転に伴って、当該第1回転軸13を回転中心として第1平面P1上で回転するものとされている。すなわち、第2回転軸14は、本実施例では、第1回転軸13と直交するように反射部11に位置関係が固定されて設定されている。その第2回転軸14は、本実施例では、反射部11における長尺方向に一致させて設定されている。このため、第2回転軸14は、反射部11が中心位置Cにおける接平面の法線方向を反射光路Rpに一致させた状態(受熱部12に正対させた状態(以下では、初期状態ともいう))とされると、受熱部12の受熱軸線Raと平行な線分となり、東西方向に沿って伸びるものとなる。このことから、第2回転軸14は、初期状態において、等しい反射ラインL1に設けられている各反射部11においては、設置基準面Pb上において受熱軸線Raと平行に伸びつつ南北方向に並列される(図4参照)。また、第2回転軸14は、各反射ラインLnが上述したように東西方向に並列されて構成されていることから、初期状態において、反射ラインLn毎に南北方向で見て等しい位置に設けられている各反射部11においては、受熱軸線Raと平行に伸びる同一の直線上に存在されている。
ここで、東西方向をx軸方向(東側が正側)とし、南北方向をy軸方向(北側が正側)とし、天頂方向をz軸方向(天頂側が正側)とする。すると、第1回転軸13は、その南側の端部を起点とするベクトルで表すとベクトル(0、−l、h)となって固定されることとなる。そのlおよびhは、受熱部12(受熱軸線Ra)に対する位置関係により定まる変数である。そして、第2回転軸14は、初期状態において、当該第2回転軸14の西側の端部を起点とするベクトルで表すとベクトル(1、0、0)となり、第1回転軸13を回転中心として適宜回転される。その初期状態では、反射部11の中心位置Cを通る法線(中心位置Cでの反射部11の接平面の法線)は、反射部11から受熱部12(受熱軸線Ra)へと向かう反射光のベクトル(0、h、l)と一致する。そして、当該接平面は、反射部11が第1回転軸13回りに適宜回転されることにより、その法線ベクトル(0、h、l)を基準として後述する角度θ1(図42から図61参照)だけ回転し、かつ第2回転軸14回りに適宜回転されることにより、角度θ1だけ回転した法線ベクトルを基準として後述する角度θ2(図42から図61参照)だけ回転する。
集光装置10では、各反射部11が、自らに設定された第1回転軸13を回転中心として回転することが可能とされているとともに、自らに設定された第2回転軸14を回転中心として回転すること(以下では、回転軸回りの回転ともいう)が可能とされている。この第1回転軸13は、東西方向に伸びる受熱部12(その受熱軸線Ra)と平行な方向に対して直交するものであることから、対応する反射部11を回転させることにより、主に日周運動による太陽の東西方向での位置の変化に対応させることができる。また、第2回転軸14は、第1平面P1上(第1平面P1に含まれるもの)で対応する反射部11の中心位置Cを通る線分であることから、対応する反射部11を回転させることにより、主に太陽の高度の変化(南北方向での位置)に対応させることができる。これにより、集光装置10では、第1回転軸13および第2回転軸14回りに各反射部11を適宜回転することにより、太陽の日周運動に対応して、常に受熱軸線Raに直交する方向で反射ラインLn毎に受熱部12へと集光することができる。
集光装置10では、図5に示すように、各反射部11において、第1駆動部21と第2駆動部22と、が設けられている。第1駆動部21は、第1回転軸13回りに反射部11を回転駆動させる。第2駆動部22は、第2回転軸14回りに反射部11を回転駆動させる。その各第1駆動部21および各第2駆動部22は、制御部23に接続されている。その制御部23は、内蔵するプログラムに基づいて各第1駆動部21および各第2駆動部22の動作を制御する。制御部23には、太陽位置検出部24が接続されている。その太陽位置検出部24は、太陽の位置を検出するセンサであり、例えば、4分割光センサを用いることにより構成することができる。また、制御部23では、内蔵するプログラムにより、計算上の太陽の位置を算出することが可能とされている。この制御部23は、基本的に太陽位置検出部24からの検出結果に基づいて、各第1駆動部21および各第2駆動部22を介して、各反射部11を第1回転軸13および第2回転軸14回りに適宜回転させる。そして、制御部23は、例えば曇天時のように太陽位置検出部24から良好な検出結果が得られない場合、計算上の太陽の位置に基づいて、各第1駆動部21および各第2駆動部22を介して、各反射部11を第1回転軸13および第2回転軸14回りに適宜回転させる。このため、集光装置10では、天候の変化に拘らず、太陽の日周運動に対応して、常に受熱軸線Raに直交する方向で反射ラインLn毎に受熱部12へと集光することができる。
次に、本実施例の集光装置10における各反射部11を設置するための構成について、図6から図9を用いて説明する。各反射部11は、本実施例では、図6、図7、図9に示すように、対応する第2回転軸ステージ25および第1回転軸ステージ26(支持機構部29)に支持されて設けられる。その第2回転軸ステージ25は、被支持腕部25aと支持腕部25bとで構成されている。その被支持腕部25aは、第2回転軸ステージ25において、第1回転軸ステージ26(図7参照)により支持される箇所(被支持箇所)を構成する。被支持腕部25aは、長尺な棒状を呈し、その両端部が直交方向へと屈曲されている。その被支持腕部25aは、直交方向へと屈曲された両端部の間に、反射部11を短尺方向で受け入れることが可能な大きさ寸法とされている(図6(b)等参照)。被支持腕部25aでは、直交方向へと湾曲された両端部に、一対の支持突起25cが設けられている。その両支持突起25cは、被支持腕部25aの各端部から外側へと突出して設けられており、互いの軸線が同一直線上に位置するものとされている。この両支持突起25c(その軸線)は、長尺な被支持腕部25aが伸びる方向と平行とされている。
支持腕部25bは、第2回転軸ステージ25において、反射部11を支持する箇所(支持箇所)を構成する。この支持腕部25bは、被支持腕部25aと直交して設けられており、長尺な棒状を呈し、その両端部が直交方向へと屈曲されている。支持腕部25bは、直交方向へと屈曲された両端部の間に、反射部11を長尺方向で受け入れることが可能な大きさ寸法とされている(図6(a)等参照)。この支持腕部25bでは、直交方向へと湾曲された両端部に、一対の支持穴25dが設けられている。その両支持穴25dは、支持腕部25bの両端部を貫通して設けられており、互いの軸線が同一直線上に位置するものとされている。この両支持穴25d(その軸線)は、長尺な支持腕部25bが伸びる方向と平行とされており、一対の支持突起25cの軸線と直交する位置関係とされている。
本実施例では、この第2回転軸ステージ25に支持されて反射部11が設けられる。図8に示すように、その反射部11は、上述したように、中心位置Cにおける接平面の法線方向で見て長方形状を呈し、短尺方向に湾曲するとともに長尺方向では平坦な鏡とされている。反射部11は、上述したように、基本的に、長尺方向を東西方向に沿わせるとともに、短尺方向を南北方向に沿わせて設けられる。その反射部11では、長尺方向で見た両端部で対を為して被支持突起11aが設けられている。その各被支持突起11aは、互いの軸線が、中心位置Cを通りつつ長尺方向すなわち東西方向に伸びる直線上に位置するものとされている。この両被支持突起11aは、第2回転軸ステージ25の支持腕部25bの両端部に設けられた一対の支持穴25dに回転可能に挿入することが可能とされている。このため、反射部11は、一対の被支持突起11aを一対の支持穴25dに挿入することにより、支持腕部25bの両端部の間で回転可能に第2回転軸ステージ25に支持される(図7(a)等参照)。この状態において、反射部11の中心位置Cは、被支持腕部25aの両支持突起25c(そこが挿入される後述する両支持穴26e)の軸線と、支持腕部25bの両支持穴25d(そこに挿入される両被支持突起11a)の軸線と、の交点に位置される。その反射部11が支持される第2回転軸ステージ25は、第1回転軸ステージ26に支持されて設置される(図7参照)。
その第1回転軸ステージ26は、図7に示すように、支持腕部26aと設置基部26bと接続脚部26cとを有する。支持腕部26aは、第2回転軸ステージ25を支持する箇所を構成すべく断面がU字形状を呈し、間隔を置いて対向する一対の支持壁部分26dを有する。その支持腕部26aは、両支持壁部分26dの間に、第2回転軸ステージ25を短尺方向で受け入れる、すなわち直交方向へと湾曲された被支持腕部25aの両端部を受け入れることが可能な大きさ寸法とされている。その各支持壁部分26dには、支持穴26eが設けられている。その両支持穴26eは、支持壁部分26dを貫通して設けられており、互いの軸線が同一直線上に位置するものとされている。この両支持穴26e(その軸線)は、第2回転軸ステージ25の被支持腕部25aの両端部に設けられた一対の支持突起25cを回転可能に受け入れることが可能とされている。
設置基部26bは、集光装置10(その各反射部11)が設置される設置平面に第1回転軸ステージ26を設置するために設けられている。接続脚部26cは、支持腕部26aおよび第2回転軸ステージ25を介して支持する各反射部11の中心位置Cが、上述した設置基準面Pb(図4等参照)上に位置するように、設置基部26bと支持腕部26aとを接続して設けられている。本実施例では、接続脚部26cは、上側の端部が回転機構部26fを介して支持腕部26aに接続されている。その回転機構部26fは、両支持穴26eの軸線(後述する短尺側軸線28)と平行な線分に直交する回転軸26gを回転中心として、接続脚部26cに対して支持腕部26aが回転することを可能としている。回転機構部26fは、制御部23(図5参照)に接続されており、当該制御部23の制御下で、接続脚部26cに対して支持腕部26aを適宜回転させる。
反射部11は、図7(a)に示すように、一対の被支持突起11aを第2回転軸ステージ25における支持腕部25bの両端部で対を為す支持穴25dに挿入することにより(矢印a1参照)、当該支持腕部25bの両端部の間で回転可能に第2回転軸ステージ25に支持される。このため、反射部11は、第2回転軸ステージ25に対して、中心位置Cを通りつつ長尺方向に伸びる直線上に位置する両被支持突起11a(支持穴25d)の軸線を回転中心として回転することが可能とされる。また、第2回転軸ステージ25は、被支持腕部25aの両端部に設けられた一対の支持突起25cを、第1回転軸ステージ26の支持腕部26aの両支持壁部分26dで対を為す支持穴26eに挿入することにより(矢印a2参照)、当該支持壁部分26dの間で回転可能に第1回転軸ステージ26に支持される。このため、第2回転軸ステージ25は、第1回転軸ステージ26に対して、両支持突起25c(支持穴26e)の軸線を回転中心として回転することが可能とされる。その第1回転軸ステージ26は、集光装置10が設けられる設置平面において、第2回転軸ステージ25を介して支持する反射部11に応じた位置に設置される。
これにより、反射部11は、図7(b)に示すように、設置平面における任意の位置で、第1回転軸ステージ26により、第2回転軸ステージ25を介して両支持突起25c(支持穴26e)の軸線(後述する短尺側軸線28)を回転中心として回転することが可能とされて設けられる。また、反射部11は、設置平面における任意の位置で、第1回転軸ステージ26を介して、第2回転軸ステージ25により中心位置Cを通りつつ長尺方向に伸びる直線上に位置する両被支持突起11a(支持穴25d)の軸線を回転中心として回転することが可能とされて設けられる。このことから、両被支持突起11a(支持穴25d)の軸線は、第2軸線としての長尺側軸線27として機能する。ここで、両支持突起25c(支持穴26e)の軸線は、上述したように、一対の支持穴25dの軸線(長尺側軸線27)と直交する位置関係とされ、その一対の支持穴25dには、軸線が長尺側軸線27となる両被支持突起11aが回転可能に支持されている。このため、両支持突起25c(支持穴26e)の軸線は、第2回転軸ステージ25に対する反射部11の長尺側軸線27を回転中心とする回転に関わらず、反射部11における短尺方向を含む面上で中心位置Cを通るものとされる。このことから、両支持突起25c(支持穴26e)の軸線は、第1軸線としての短尺側軸線28として機能する。
反射部11は、第2回転軸ステージ25により長尺側軸線27(第2軸線)を回転中心として回転することが可能とされて支持され、その第2回転軸ステージ25は、第1回転軸ステージ26により短尺側軸線28(第1軸線)を回転中心として回転することが可能とされて支持されている。このため、反射部11は、第2回転軸ステージ25と第1回転軸ステージ26とにより、短尺側軸線28を回転中心として回転することが可能とされるとともに、その短尺側軸線28を回転中心とする回転に関わらず長尺側軸線27を回転中心として回転することが可能とされて、設置平面における任意の位置に設けられる。なお、この取り付けの順序は、本実施例に限定されるものではない。
集光装置10では、各反射部11を第2回転軸ステージ25と第1回転軸ステージ26とで支持させて、受熱部12に対する位置に応じて設置平面における任意の位置に設ける。そして、その短尺側軸線28すなわち両支持突起25c(両支持穴26e)の軸線(第1軸線)を、支持する反射部11の受熱部12に対する位置に応じて設定された第1回転軸13に一致させる。その短尺側軸線28の傾きは、第1回転軸ステージ26における支持腕部26aの各支持壁部分26dの支持穴26eが対を為す方向によって決定される。また、短尺側軸線28の設置平面における位置は、当該設置平面において設置基部26bすなわち第1回転軸ステージ26が設置される位置によって決定される。このため、集光装置10では、第1回転軸ステージ26の支持腕部26aの支持穴26eが対を為す方向(短尺側軸線28(第1軸線))を、受熱部12に対する反射部11の位置に応じて設定された第1回転軸13に一致させて、第1回転軸ステージ26を設置する。本実施例では、第1回転軸ステージ26の回転機構部26fの回転軸26gを受熱部12(その受熱軸線Ra)と平行として、当該第1回転軸ステージ26を反射部11の設置位置に設ける。そして、第1回転軸ステージ26の回転機構部26fによる回転軸26gを回転中心として支持腕部26aを接続脚部26cに対して回転させることにより、短尺側軸線28(支持穴26eが対を為す方向)を、支持する反射部11を基準とする第1平面P1に直交させる。この調整により、短尺側軸線28(第1軸線)は、受熱部12に対する反射部11の位置に応じて設定された第1回転軸13に一致される。この短尺側軸線28の調整、すなわち接続脚部26cに対する支持腕部26aの回転姿勢の調整は、上述したように、制御部23(図5参照)の制御下で行う。
すると、第1回転軸ステージ26は、支持する反射部11に設定された第1回転軸13に短尺側軸線28(支持穴26eが対を為す方向)を一致させて、当該第1回転軸13(短尺側軸線28)を回転中心として回転可能に第2回転軸ステージ25すなわち反射部11を支持する。その第2回転軸ステージ25は、上述したように、長尺側軸線27すなわち中心位置Cを通りつつ長尺方向に伸びる直線上に位置する両被支持突起11a(支持穴25d)の軸線(第2軸線)を回転中心として、反射部11が回転することを可能として当該反射部11を支持している。その反射部11では、上述した構成により、中心位置Cが、被支持腕部25aの両支持突起25c(両支持穴26e)の軸線(短尺側軸線28(第1軸線))と、支持腕部25bの両支持穴25d(両被支持突起11a)の軸線(長尺側軸線27(第2軸線))と、の交点に位置される。そして、その長尺側軸線27(第2軸線)は、短尺側軸線28(第1軸線)に対して直交する位置関係とされている。このことから、第1回転軸ステージ26では、短尺側軸線28(第1回転軸13(第1軸線))を回転中心として第2回転軸ステージ25を回転させると、その第2回転軸ステージ25に設定された長尺側軸線27(第2軸線)が、短尺側軸線28(第1回転軸13)に直交する平面上で中心位置Cを回転中心として回転される。このため、長尺側軸線27(第2軸線)は、第1回転軸13(短尺側軸線28)を回転中心とする第2回転軸ステージ25の回転に関わらず、対応する反射部11に設定された第1回転軸13を基準とする第1平面P1に含まれるものであって、当該反射部11の中心位置Cを通る線分となる。これにより、第1回転軸ステージ26では、上述したように短尺側軸線28(支持腕部26aの支持穴26e(第1軸線))が対を為す方向を第1回転軸13に一致させると、長尺側軸線27(両被支持突起11a(支持穴25d))の軸線(第2軸線)が第2回転軸14の条件を満たすこととなる。よって、集光装置10では、受熱部12に対する反射部11の位置に応じて設定された第1回転軸13に短尺側軸線28(第1軸線)を一致させて第1回転軸ステージ26を設置することにより、長尺側軸線27(第2軸線)が当該反射部11の位置に応じて設定された第2回転軸14として機能する。
このことから、集光装置10では、設置平面に設置する各反射部11を、上述したように受熱部12に対する反射部11の位置に応じて設定された第1回転軸13に短尺側軸線28(第1軸線)を一致させて設置した第1回転軸ステージ26に、第2回転軸ステージ25を介して支持させる。これにより、各反射部11は、短尺側軸線28(第1軸線)回りに第2回転軸ステージ25が回転可能とされることで、第1回転軸13回りに回転可能に設置平面に設置される。その各反射部11は、長尺側軸線27(第2軸線)回りに回転可能に第2回転軸ステージ25に支持されており、その長尺側軸線27(第2軸線)が第2回転軸14としての条件を満たすものとされている。すなわち、各反射部11は、第1回転軸13(短尺側軸線28(第1軸線))回りの回転姿勢に関わらず、対応する反射部11に設定された第1回転軸13を基準とする第1平面P1に含まれるものであって、当該反射部11の中心位置Cを通る第2回転軸14(長尺側軸線27(第2軸線))回りに回転可能とされている。
このように設けられた各反射部11が第2回転軸ステージ25に支持されて初期状態とされた例を図9に示す。この図9では、設置平面(設置基準面Pb(図4等参照))上における第1回転軸13(短尺側軸線28(第1軸線))および第2回転軸14(長尺側軸線27(第2軸線))の位置関係を理解容易とするために、第1回転軸ステージ26を省略して示している。各反射ラインLnにおいて南側から5つめの反射部11(図1参照)は、図9(a)に示すように、第1回転軸13(短尺側軸線28(第1軸線))が南北方向に伸びつつ、第2回転軸14(長尺側軸線27(第2軸線))が東西方向に伸びて、設置平面(設置基準面Pb(図4等参照))に設けられる。また、各反射ラインLnにおいて南側から7つめの反射部11(図1参照)は、図9(b)に示すように、北側を上方に傾けて第1回転軸13(短尺側軸線28(第1軸線))が南北方向に伸びつつ、第2回転軸14(長尺側軸線27(第2軸線))が東西方向に伸びて、設置平面(設置基準面Pb(図4等参照))に設けられる。さらに、各反射ラインLnにおいて南側から2つめの反射部11(図1参照)は、図9(c)に示すように、南側を上方に傾けて第1回転軸13(短尺側軸線28(第1軸線))が南北方向に伸びつつ、第2回転軸14(長尺側軸線27(第2軸線))が東西方向に伸びて、設置平面(設置基準面Pb(図4等参照))に設けられる。このように、集光装置10では、受熱部12に対する位置に応じて調整した第1回転軸ステージ26および第2回転軸ステージ25を介して各反射部11を設置平面に設置することで、設定した第1回転軸13および第2回転軸14回りに回転可能に各反射部11が設けられる。このことから、第1回転軸ステージ26および第2回転軸ステージ25は、各反射部11を個別に支持する支持機構部29を構成している。
ここで、上述した第1駆動部21(図5参照)は、図示は略すが、第1回転軸ステージ26に対して第2回転軸ステージ25を、短尺側軸線28(支持腕部26aの両支持穴26eおよび両支持突起25cの軸線(第1軸線))すなわち第1回転軸13回りに回転駆動させる。また、上述した第2駆動部22(図5参照)は、図示は略すが、第2回転軸ステージ25に対して反射部11を、長尺側軸線27(支持腕部25bの両支持穴25dおよび両被支持突起11aの軸線(第2軸線))すなわち第2回転軸14回りに回転駆動させる。
なお、本実施例では、第1回転軸ステージ26が、回転機構部26fが設けられて接続脚部26cに対して支持腕部26aが回転することが可能とされていたが、上述したように受熱部12に対する反射部11の位置に応じて設定された第1回転軸13に短尺側軸線28を一致させて第2回転軸ステージ25を支持するものであれば、接続脚部26cに直接支持腕部26aが接続されているものであってもよく、他の構成であっても良く、上記した実施例の構成に限定されるものではない。
また、本実施例では、支持機構部29における短尺側軸線28の調整、すなわち接続脚部26cに対する支持腕部26aの回転姿勢の調整を制御部23(図5参照)の制御下で行うものとしている。しかしながら、この調整は、第1回転軸ステージ26を設置する際に外部機器等を用いて設定し、その設定した状態で接続脚部26cに対して支持腕部26aを固定するものであってもよく、他の方法であっても良く、上記した実施例の構成に限定されるものではない。
次に、集光装置10と同様に太陽光を被照射部(受熱部)に集光する集光装置(50、60)における技術の課題について、図10から図16を用いて説明する。集光装置50は、図10に示すように、南北方向に長尺な複数の反射部51と、その上方に設けられた南北方向に長尺な受熱部52と、を備える所謂線形フレネル型の太陽光集光装置である。その複数の反射部51は、東西方向に並列して設けられている。各反射部51には、図示を略す駆動部により回転駆動される回転軸53が、南北方向に伸びて設けられている。この各反射部51は、回転軸53回りに回転可能とされている。その上方に設けられた受熱部52は、上記した集光装置10の受熱部12と同様の構成とされている。
この線形フレネル型の集光装置50では、各反射部51を適宜回転させて太陽光の反射光を受熱部52へと向かわせる(図10(b)参照)ことにより、その受熱部52に集光することができる。このため、太陽の日周運動に合わせて各反射部51を適宜回転させることにより、朝から夕刻まで太陽光を受熱部52に集光することができる。このとき、集光装置50では、各反射部51が南北方向に伸びるものであるとともに受熱部52が南北方向に伸びるものであることから、太陽の高度が変化しても、各反射部51から受熱部52へと向かう角度と当該受熱部52への入射位置とが変化はするが、反射光を受熱部52へと向かわせることができる(図10(c)参照)。
ここで、線形フレネル型の集光装置50では、コサイン損失が生じることを抑制することには限界がある。そのコサイン損失とは、図11に示すように、太陽光が入射する方向に対して正対する状態の反射部51(二点鎖線で示す反射部51参照)で受けることのできる面積(入射する光束の量)に対して、適宜回転された反射部51(実線で示す反射部51参照)で受けることのできる面積(入射する光束の量)が減少することをいう(図11の太陽光においてドットが付されている箇所参照)。このため、太陽光が入射する方向と、反射部51の法線方向と、が為す角度を小さくすることにより、コサイン損失を抑制することができ、太陽光を受熱部52に効率よく集光することができる。しかしながら、線形フレネル型の集光装置50では、図10に示すように、南北方向に伸びる受熱部52に対して、その受熱部52を挟んで東側と西側とに複数の反射部51が設けられていることから、東西方向で見た中央位置(受熱部52)を境とした東側の各反射部51と西側の各反射部51とで太陽の位置に対応するための態様が異なるものとなってしまう。詳細には、例えば、図10(b)に示すように、太陽が東側に存在する場合、受熱部52に対して西側に存在する各反射部51では、法線方向と太陽光が入射する方向とが為す角度を小さくしつつそれらからの反射光を受熱部52へと向かわせることができる。ところが、受熱部52に対して東側に存在する各反射部51では、法線方向と太陽光が入射する方向とが為す角度を小さくしつつそれらからの反射光を受熱部52へと向かわせることは困難である。このことは、太陽が西側に存在する場合であっても、東側と西側とが逆転するだけで同様である。このため、線形フレネル型の集光装置50では、全ての反射部51のうちの約半分の反射部51でコサイン損失が大きくなってしまう。このことは、特に太陽の高度の低い朝夕に影響が大きくなるので、朝夕に効率よく太陽光を受熱部52に集光することが困難となってしまう。
また、上記した構成の線形フレネル型の集光装置50では、図示は略すが、長尺な複数の反射部51と、その上方に設けられた受熱部52と、を東西方向に沿って設けることが考えられる。しかしながら、季節の変化に伴う太陽の高度の変化よりも、太陽の日周運動に伴う太陽光の入射角度の変化の方が大きいことから、上記したように南北方向に設けることと比較して、受熱部52(その表面)における集光位置の移動が大きくなってしまう。すなわち、朝夕の時間帯では、天頂方向を基準とする太陽光の各反射部51への入射角度が大きくなってしまうことから、その各反射部51からの反射光が受熱部52へと至るまでの距離が大きくなってしまう。このような距離の増大は、反射部61からの反射光により太陽の像が受熱部62に形成されるものとして、当該太陽の像の大きさの増大を招くことから、効率よく太陽光を受熱部52に集光することが困難となってしまう。これらのことから、線形フレネル型の集光装置50では、南中時刻と太陽の高度の低い朝夕との間で、得られる太陽エネルギー(熱エネルギー)の変動が大きくなってしまう。
このため、図12に示すような集光装置60が考えられる。この集光装置60は、東西方向に長尺な複数の反射部61と、その上方に設けられた東西方向に長尺な受熱部62と、を備える。その各反射部61は、南北方向に複数(図12の例では9個(真ん中は受熱部62の下))並列されて、南北方向に長尺な反射ライン63を形成している。その反射ライン63は、東西方向に複数(図12の例では4個)並列されている。このため、集光装置60は、各反射ライン63が複数の反射部61により南北方向(長尺方向)に分割されて構成されている、所謂分割式の線形フレネル型の太陽光集光装置である。各反射ライン63の各反射部61では、図示を略す第1駆動部により回転駆動される第1回転軸64が、中心位置Cを通りつつ反射部61の短尺方向に伸びて設けられ、南北方向を含む面に沿って設定されている。そして、その各反射部61では、図示を略す第2駆動部により回転駆動される第2回転軸65が、中心位置Cを通りつつ反射部61の長尺方向に伸びて設けられ、東西方向に沿って設定されている。その上方に設けられた受熱部62は、上記した集光装置10の受熱部12と同様の構成とされている。すなわち、この集光装置60は、2つの回転軸(その伸びる方向)の設定が異なることを除くと、本発明の集光装置10(図2等参照)と同様の構成とされている。
このため、分割式線形フレネル型の集光装置60では、主に第1回転軸64回りに各反射ライン63を適宜回転させることにより、反射ライン63毎に各反射部61からの反射光が受熱部62に対して直交する方向で当該受熱部62に向かうものとされる(図12(b)参照)。また、主に第2回転軸65回りに各反射部61を適宜回転させることにより、同一の反射ライン63に設けられた各反射部61からの反射光が、南北方向で見て中央の上方に存在する受熱部62へと向かうものとされる(図12(c)参照)。これにより、受熱部62では、東西方向で見て各反射ライン63が存在する範囲毎に、それぞれ対応する反射ライン63の各反射部61から直交する方向で反射光が集光されることとなる。このため、太陽の日周運動に合わせて各反射部61を適宜回転させることにより、朝から夕刻までの長い稼働時間に渡って太陽光を受熱部62に集光することができる。
この分割式線形フレネル型の集光装置60では、東西方向に伸びる受熱部62に対して、東西方向で見て各反射ライン63が存在する範囲毎に反射光を集光するものであることから、東西方向で見た中央位置を境とした東側の各反射部61と西側の各反射部61との太陽の位置に対応するための態様を等しいものとすることができる。加えて、集光装置60では、各反射ライン63の各反射部61から、受熱部62に対して直交する方向に反射光を集光するものであることから、太陽の高度が低い場合であっても太陽光が入射する方向と各反射部61の法線方向とが為す角度を小さくすることができる。このため、分割式線形フレネル型の集光装置60では、太陽が東側にあるか西側にあるかに拘らず、全ての反射部61でコサイン損失が生じることを抑制することができ(図12(b)参照)、太陽の高度の低い朝夕であっても効率よく太陽光を受熱部62に集光することができる。加えて、分割式線形フレネル型の集光装置60では、上記した集光装置50と比較して、各反射部61を適宜回転させるための駆動が複雑とはなるが、設置した緯度に応じてコサイン損失を低減させるべく各反射部61の配置を設定することができる。これは、以下のことによる。集光装置50では、一日を通じて集光するためには、各反射部51を南北方向に伸びる受熱部52の東西方向の両側に対象に配置する必要がある。これに対し、集光装置60では、一日を通じて集光するための受熱部62に対する位置の制約がないことから、例えば、北半球では受熱部62に対して北側に偏らせて各反射部61を配置することができることによる。
しかしながら、この分割式線形フレネル型の集光装置60では、各反射部61からの反射光による照射領域IA(照射パターン(図13等参照))の受熱部62(受熱軸線Ra)に対する回転の問題が生じてしまう。このことについて以下で説明する。なお、その照射領域IAとは、図13に示すように、反射部61からの反射光が受熱部62(その表面)を照らす領域をいう。その図13では、理解容易のために、管状の受熱部62内の仮想の受熱平面Pr上に長方形状の照射領域IAを形成したものとして示している。その受熱平面Prは、受熱部62(受熱部12)の受熱軸線Raおよび反射部61における中心位置Cを含む第1平面P1に対して直交するとともに、受熱部62の受熱軸線Raを含む(通る)平面である。また、図13から図16に示す例では、理解容易のために、反射部61を平坦な長方形状の鏡として示している。これは、照射領域IA(図13等参照)の受熱部62(受熱軸線Ra)に対する回転の問題が、各反射部11が短尺方向(一方向)に集光する作用を有するか否かに関係なく生じるものであることによる。さらに、図16では、理解容易のために、反射部61を第2回転軸65回りの回転させていないものとして設置基準面Pbに平行(反射部61を水平)とした状態で示している。これは、以下で述べるように、回転の問題が各反射部11の第2回転軸65回りの回転(回転姿勢)に関係なく生じることによるものであることから理解容易とするためであり、以下で述べる説明は反射部11の設置基準面Pbに対する角度(傾き)が異なる場合であっても同様である。これに伴い、図16では、後述する第3平面P3が設置基準面Pbと直交するものとなっている。
ここで、回転の問題は、上述したように集光する作用の有無に関係なく生じるが、以下のことにより、集光する作用がある場合には当該問題の影響が大きくなる。すなわち、図14では、反射部61を平坦な長方形状の鏡としたことに伴って、照射領域IAにおける短辺方向の大きさ寸法が大きなもの(幅寸法の大きな長方形)としている。しかしながら、反射部61が上記した集光作用を有する場合には、当該反射部61が受熱平面Pr上で好ましい焦点を結ぶことを前提として、照射領域IAが細長いもの(幅寸法がかなり小さな長方形(図3、図21参照))となる。この場合、受熱部62では、細長い照射領域IAに対応させた小さな径寸法として、放射損失を少なくする。このため、集光する作用がある場合には、以下で述べる照射領域IAの回転の問題が生じると、その回転角度(後述する角度θa(図14参照))が小さなものであっても、照射領域IAにおける受熱部62から外れる割合が大きなものとなり、大きな損失が生じてしまう。これにより、本実施例のように各反射部11が短尺方向(一方向)に集光する作用を有する場合には、以下で述べる照射領域IAの受熱部62に対する回転の問題の影響が大きくなる。
集光装置60では、南北方向に並列して設けられた複数の反射部61で受熱部62へ向けて集光するものであることから、複数の反射部61が南北方向で見て受熱部62が設けられた位置から南北方向へと変位して、すなわち受熱部62に対して南北方向へと変位して設けられている(図12等参照)。その各反射部61は、受熱部62(その受熱軸線Ra)が伸びる方向(東西方向)に長尺な長方形状とされている。このため、反射部61が形成する照射領域IAは、図13および図14に示すように、受熱平面Pr上において、受熱軸線Raに沿ってすなわち東西方向に伸びて形成されているものとする。その照射領域IAと第1平面P1とが交わる箇所で規定される直線を、照射領域IAにおける照射軸線Iaとする。この照射軸線Iaは、受熱軸線Raと一致している。
ここで、反射部61は、上述したように、南北方向に伸びる第1回転軸64回りに回転することが可能とされている。この反射部61を、太陽の位置の変化に対応させて照射領域IAを受熱平面Pr(受熱部62)上に形成すべく、図13に矢印A1(南側から見て時計回りの方向)で示すように、第1回転軸64回りに回転して二点鎖線で示す状態へと移行させたものとする。このとき、実際には太陽の高度も変化した場合には、第2回転軸65回りに適宜回転させる必要があるが、理解容易とするために省略する。これは、照射領域IA(図13等参照)の受熱部62(受熱軸線Ra)に対する回転の問題が、各反射部11の第2回転軸65回りの回転(回転姿勢)に関係なく生じるものであることによる。すると、受熱平面Pr(受熱部62)上では、照射領域IAが図14に矢印A2で示すように、その中心位置を回転中心として回転し、二点鎖線で示す状態へと移行してしまう。
詳細には、反射部61は、第1回転軸64回りに回転すると、図15に破線で示す円柱状の軌跡を描くこととなる。ここで、反射部61において、中心位置Cを通りつつ東西方向に伸びる軸線上の両端部に、目安として軸上点p1と軸上点p2とを設定したものとする。ここで、線上とは、当該線を構成する1点であることをいう。そして、照射領域IAにおいて軸上点p1と対応する箇所を反射軸上点rp1とし、照射領域IAにおいて軸上点p2と対応する箇所を反射軸上点rp2とする。軸上点p1と軸上点p2とは、反射部61の軸線上に存在することから、反射部61が回転されていない状態では、反射軸上点rp1と反射軸上点rp2とは、受熱平面Prにおいて受熱軸線Ra上に存在することとなる(図15および図16(a)参照)。その軸上点p1と軸上点p2とは、反射部61が第1回転軸64回りに回転することにより、南北方向に伸びる第1回転軸64に直交しつつ中心位置Cを通る第3平面P3の面上を移動する。すると、軸上点p1と軸上点p2とは、第1平面P1の面上に存在する状態から、第1平面P1の外方へと移動する(図15参照)。このため、反射部61が図13および図15に二点鎖線で示すように第1回転軸64を回転中心として南側から見て時計回りの方向に回転されたものとすると、図15および図16(b)に示すように、軸上点p1が第3平面P3の面内で第1平面P1よりも上方へと移動し、軸上点p2が第3平面P3の面内で第1平面P1よりも下方へと移動する。このとき、反射部61における中心位置Cの箇所では、第1回転軸64回りに反射部61が回転しても移動しないので、図16(b)に示すように、第1平面P1(設置基準面Pb)の面内で太陽光を受けることにより、その反射光を受熱平面Prの受熱軸線Ra上に向かわせる。これに対して、反射部61における軸上点p1の箇所では、第1平面P1よりも上方で太陽光を受けることにより、その反射光を受熱平面Prにおいて受熱軸線Raよりも上方へと向かわせて、受熱軸線Raの上方に反射軸上点rp1を形成する。また、反射部61における軸上点p2の箇所では、第1平面P1よりも下方で太陽光を受けることにより、その反射光を受熱平面Prにおいて受熱軸線Raよりも下方へと向かわせて、受熱軸線Raの下方に反射軸上点rp2を形成する。
このことから、東西方向に伸びる受熱部62に対して、南北方向に伸びる第1回転軸64回りに反射部61が回転すると、受熱部62(受熱平面Pr)上で照射領域IAがその中心位置を回転中心として回転してしまい、その照射軸線Iaが受熱軸線Raに対して傾斜してしまう(図14に二点鎖線で示す照射領域IA(その照射軸線Ia)参照)。このため、第1回転軸64回りに反射部61が回転すると、第2回転軸65回りの反射部61の回転に拘らず、照射領域IAが受熱部62(受熱軸線Ra)に対して回転してしまう。
このような構成の集光装置60において、各反射部61を各回転軸回りに回転可能とする具体的な構成の例を、図17を用いて説明する。この図17の例では、各反射部61を個別に支持する複数の支持枠66を設けている。その各支持枠66は、第1支持腕部66aと第2支持腕部66bとを有する。第1支持腕部66aは、反射部61の短尺方向に伸びる棒状を呈し、その両端部が直交方向へと屈曲されている。第1支持腕部66aは、直交方向へと屈曲された両端部の間に、反射部61を短尺方向で受け入れることが可能な大きさ寸法とされている(図17(b)等参照)。この第1支持腕部66aでは、直交方向へと湾曲された両端部に、一対の支持穴66cが設けられている。その両支持穴66cは、第1支持腕部66aの両端部を貫通して設けられており、互いの軸線が同一直線上に位置するものとされている。各支持穴66cは、反射部61に設けられた一対の支持突起61aを回転可能に支持する。その一対の支持突起61aは、互いの軸線が、反射部61の中心位置Cを通りつつ短尺方向と平行な直線上に位置するものとされている。
第2支持腕部66bは、反射部61の長尺方向に伸びる棒状を呈し、第1支持腕部66aと直交して設けられており、両端部が直交方向へと屈曲されている。第2支持腕部66bは、直交方向へと屈曲された両端部の間に、反射部61を長尺方向で受け入れることが可能な大きさ寸法とされている(図17(c)等参照)。この第2支持腕部66bでは、直交方向へと屈曲された両端部に、一対の支持突起66dが設けられている。その両支持突起66dは、第2支持腕部66bの各端部から外側へと突出して設けられており、互いの軸線が同一直線上に位置するものとされている。この両支持突起66d(その軸線)は、長尺な第2支持腕部66bが伸びる方向と平行とされており、一対の支持穴66cの軸線と直交する位置関係とされている。各支持突起66dは、支持柱67に回転可能に支持されており、南北方向で見て等しい位置に設けられて東西方向に並列される反射部61を支持する支持枠66同士を各反射ライン63の垣根を越えて連結させる(図17(a)等参照)。
この各支持枠66では、第1支持腕部66aの両端部の各支持穴66cに支持突起61aが回転可能に通されて、対応する反射部61が設けられる。そして、各支持枠66は、上述したように、東西方向に隣接された支持枠66とそれぞれの支持突起66dが連結されつつ支持柱67に回転可能に支持されている。これにより、各反射部61は、各支持枠66とともに、東西方向に伸びる各支持突起66dの軸線回りに回転することが可能とされている。このため、各支持突起66d(その軸線)は、各反射部61における第2回転軸65として機能する。また、各反射部61は、第2回転軸65回りに回転される支持枠66において、その第2回転軸65に直交する各支持突起61a(各支持穴66c)の軸線回りに回転することが可能とされている。このため、各支持突起61a(各支持穴66c(その軸線))は、各反射部61における第1回転軸64として機能する。このことから、この図17に示す例では、集光装置60は、第2回転軸65を設置基準面Pbに固定するとともに、第1回転軸64を第2回転軸65回りの反射部61の回転とともに回転するもの(その回転後の軸を第1回転軸64´とする)としている。
このように構成された集光装置60において、上記した回転が生じる様子を図18から図21を用いて説明する。なお、図18から図20では、図13から図16に示す例と同様に、理解容易のために反射部61を平坦な長方形状の鏡として示している。また、図18から図20では、理解容易のために、各支持枠66および各支持柱67を省略して示している。さらに、図21では、理解容易のために、単一の反射部61および受熱部62のみを示すとともに、図3と同様に、第1平面P1、第2平面P2および受熱平面Prを付して示している。
集光装置60では、図18に示すように、初期状態において、各反射部61の法線方向が天頂方向と一致されている、すなわち各反射部61が設置基準面Pbと平行とされているものとする。その集光装置60では、各反射部61の中心位置Cから受熱部62の受熱軸線Raへと向かう線が反射光路Rpとなり、東西方向の東側から見た図18では第1平面P1が反射光路Rpと一致する直線となる。ここで、集光装置60に対して太陽が南東の方角に存在するものとする。集光装置60において、各反射部61が太陽光の反射光を受熱部62へと向かわせるべく、第2回転軸65回りに回転されたものとする(矢印A3参照)。すると、集光装置60では、図19に示すように、各反射部61が設置基準面Pbに対して適宜傾斜されることにより、太陽光の反射光を第1平面P1上で受熱部62へと進向させる。この状態では、各反射部61の法線方向が、反射光路Rp(第1平面P1と第2平面P2との交線)とは基本的に一致しないこととなる。ここで、基本的に一致しないとしたのは、太陽光の入射方向が反射部61における第1平面P1と一致した場合、法線方向と反射光路Rpとが一致することによる。図19に示す例では、右から2つめ(南側から6つめ)の反射部61が、太陽光の入射方向が当該反射部61の第1平面P1と一致し、法線方向と反射光路Rpとが一致している。
そして、集光装置60において、各反射部61からの太陽光の反射光を、受熱部62(その受熱軸線Ra)に対して直交する方向へと進向させて受熱部62へと向かわせるべく、第1回転軸64回りに回転されたものとする(矢印A4参照)。すると、集光装置60では、図20に示すように、各反射部61の中心位置Cからの反射光の進向方向が反射光路Rpと一致し、その中心位置Cからの反射光の進向方向が受熱部62(その受熱軸線Ra)に対して直交する。ところが、法線方向が反射光路Rpと一致しない各反射部61では、中心位置Cを通りつつ長尺方向(非集光方向(東西方向))に伸びる軸線上からの反射光を、受熱部62の受熱軸線Raへと進向させることができなくなってしまう。これは、以下のことによる。各反射部61では、第1回転軸64回りに回転すると、中心位置Cを通る長尺方向の軸線が、中心位置Cを通る法線方向を含み第1回転軸64に直交する面内を移動する。このため、各反射部61では、法線方向が反射光路Rpと一致しない場合、当該軸線が第1平面P1上から外れてしまう。すなわち、各反射部61では、上述したように、第1回転軸64回りの回転により、中心位置Cを通る長尺方向の軸線が、中心位置Cで第1平面P1と交差しつつ当該第1平面P1を横切る位置関係となってしまう。このことから、中心位置Cを通る長尺方向の軸線では、中心位置Cからの反射光を受熱部62の受熱軸線Raへと進向させても、それ以外の箇所からの反射光を受熱部62の受熱軸線Raへと進向させることができない。
このため、集光装置60では、上記した構成において、各反射部61が第1回転軸64および第2回転軸65回りに回転すると、照射領域IAが受熱部62(受熱軸線Ra)に対して回転してしまう(図21参照)。この様子を図21に示す。この図21に示す例では、反射部61が、交線iで第1平面P1と交差しており、正面視して交線iよりも上側が第1平面P1よりも上方に存在し、正面視して交線iよりも下側が第1平面P1よりも下方に存在している。このため、この反射部61では、中心位置Cを通る長尺方向の軸線上の軸上点p1が第1平面P1よりも上方で太陽光を受け、中心位置Cを通る長尺方向の軸線上の軸上点p2が第1平面P1よりも下方で太陽光を受けることとなる。これにより、この反射部61では、軸上点p1からの反射光を受熱平面Prにおいて受熱軸線Raよりも上方へと向かわせて、受熱軸線Raの上方に反射軸上点rp1を形成する。また、この反射部61では、軸上点p2からの反射光を受熱平面Prにおいて受熱軸線Raよりも下方へと向かわせて、受熱軸線Raの下方に反射軸上点rp2を形成する。このことから、この反射部61は、図21からも明らかなように、第1回転軸64および第2回転軸65回りに回転することにより、照射領域IAを受熱部62(受熱軸線Ra)に対して回転させてしまう。
ここで、上記したように、各支持枠66を介して第1回転軸64(第1回転軸64´)および第2回転軸65回りに適宜反射部61を適宜回転させることにより太陽の日周運動に追従させて受熱部62(受熱平面Pr)に照射領域IAを形成した際、当該照射領域IAが回転する様子を図22から図36のグラフで示す。ここで、受熱部62は、各支持枠66および支持柱67により支持された各反射部61の中心位置Cすなわち設置基準面Pbからの高さ寸法Hが14mとされているものとする。その図22から図26では、集光装置60を北緯35度の地点に上述した構成で設置し、春分の日の太陽の日周運動に対応させたものとしている。図27から図31では、集光装置60を北緯35度の地点に上述した構成で設置し、夏至の日の太陽の日周運動に対応させたものとしている。図32から図36では、集光装置60を北緯35度の地点に上述した構成で設置し、冬至の日の太陽の日周運動に対応させたものとしている。なお、図27から図31では、夏至で日が長いことから時間範囲が最も長いグラフとなり、図32から図36では、冬至で日が短いことから時間範囲が最も短いグラフとなり、図22から図26では、春分であることから時間範囲が中間のグラフとなる。
そして、図22、図27および図32では、反射部61の南北方向で見た受熱部62に対する距離Lを−20m、すなわち、反射部61を受熱部62に対して南側20mの位置に設けている。図23、図28および図33では、反射部61の南北方向で見た受熱部62に対する距離Lを−10m、すなわち、反射部61を受熱部62に対して南側10mの位置に設けている。図24、図29および図34では、反射部61の南北方向で見た受熱部62に対する距離Lを0m、すなわち、反射部61を受熱部62に対して鉛直方向の真下の位置に設けている。図25、図30および図35では、反射部61の南北方向で見た受熱部62に対する距離Lを10m、すなわち、反射部61を受熱部62に対して北側10mの位置に設けている。図26、図31および図36では、反射部61の南北方向で見た受熱部62に対する距離Lを20m、すなわち、反射部61を受熱部62に対して北側20mの位置に設けている。
この図22から図36では、受熱平面Prにおいて受熱軸線Raと照射領域IAの照射軸線Iaとが為す角度を角度θa(図14参照)とし、受熱平面Prを反射部61側から見て反時計回りの回転方向を角度θaの正方向としている。また、図22から図36では、第2回転軸65回りに回転した際の反射部61と設置基準面Pbとが為す角度を角度θ2とし、東側から見て反時計回りの回転方向を角度θ2の正方向としている。さらに、図22から図36では、第2回転軸65回りの反射部61の回転とともに回転する第1回転軸64を回転中心として回転した際の反射部61と設置基準面Pbとが為す角度を角度θ1とし、第1回転軸64における南側から見て反時計回りの回転方向を角度θ1の正方向としている。
そして、集光装置60では、上記した構成とされていることから、先ず各支持枠66(図17参照)を介して各反射部61を第2回転軸65(支持突起66d)回りに角度θ2だけ回転させる。これは、集光装置60では、南北方向で見た等しい位置で東西方向に並列する各反射部61における第2回転軸65回りの回転が互いに等しいものとなることによる。この集光装置60では、当該各反射部61を支持する各支持枠66の支持突起66dが互いに連結されていることから(図17参照)、当該各反射部61を一斉に第2回転軸65回りに角度θ2だけ回転させることができる。その後、集光装置60では、各支持枠66(図17参照)において、各反射部61を第1回転軸64(各支持突起61a)回りに角度θ1だけ回転させる。ここで、各反射部61では、その設定位置(受熱部62(その受熱軸線Ra)からの距離)に応じて、第1回転軸64回りに回転される角度θ1が異なるものとなる。
この図22から図36に示すように、反射部61では、受熱部62の真下の位置に設けられている場合を除き、基本的に、時季の変化に関わらず、照射領域IA(その照射軸線Ia)を、受熱平面Prすなわち受熱部62(その受熱軸線Ra)に対して回転させてしまう。ここで、基本的にというのは、図25に示す春分の日における距離Lが10mの反射部61のように、たまたま回転が生じない条件が整う場合があることによる。これは、緯度35度の地点で春分の日であると、太陽の日周運動に追従させた際の第2回転軸65(支持突起66d)回りの角度θ2の変化を示す曲線が、距離Lが約10mを挟んで南中時に極大となるか極小となるかで入れ替わることによる。その回転角度は、図22から図36における角度θaの変化からも解るように、時季の変化により受熱部62に対して南側の反射部61と北側の反射部61とでの変動の大小が入れ替わったり、ピークとなる時間が変化したりするが、太陽の高度の低い朝夕で大きくなる場合が多い。そして、当該回転角度は、最大値が、最も小さい場合であっても±4度を超えて、殆ど場合で±6度を超えており、大きな場合には±12度を超えている。ここで、例えば、反射部61の長尺方向の長さ寸法が1mであるものとすると、±6度の回転であっても、受熱平面Prにおける照射軸線Iaの両端位置の受熱軸線Raに直交する方向での変位量が約10cmとなり、±12度の回転で変位量が約20cmとなる。このため、上記した条件下では、回転角度が±12度の回転を超えた辺りから損失が急激に増加してしまう。
ここで、反射部61からの反射光により照射領域IAにおいて太陽の像が受熱平面Pr(受熱部62)に形成されるものとして、当該太陽の像の大きさが0.0093×(反射部61から受熱部62までの距離)となるものとする。すると、各反射部61が受熱平面Pr(受熱部62)に形成する太陽の像の大きさは、最も小さくなるL=0mで約13cm(0.0093×14(高さ14mより))となり、L=±5mで約14cm(0.0093×SQRT(142+52))となり、L=±10mで約16cm(0.0093×SQRT(142+102))となる。ここで、受熱部62(受熱管)の直径寸法を20cmとすると、最も小さい太陽の像(L=0)に対して20cm−13cm=7cmの余裕があることとなる。この場合、上記したように反射部61の長尺方向の長さ寸法が1mであるものとすると、±4度の回転であっても、照射軸線Iaの両端位置の変位量が約7cmとなることから、照射領域IAの受熱部62上からのはみ出し(図14に二点鎖線で示す照射領域IA参照)を招いてしまう。このため、効率よく太陽光を受熱部62に集光することができなくなってしまい、回転に起因する損失が生じてしまう。同様に、L=±5での太陽の像に対して6cmの余裕となるので約±3.4度が回転の限度となり、L=±10での太陽の像に対して4cmの余裕となるので約±2.3度が回転の限度となる。そして、大略L=±17mとなると、各反射部61が受熱平面Pr(受熱部62)に形成する太陽の像の大きさが約20cmとなるので、計算上は少しでも回転が生じると損失が生じてしまう。このことから、受熱部62(受熱管)の直径寸法を20cmとすると、±6度の回転であっても、照射領域IAの受熱部62上からのはみ出し(図14に二点鎖線で示す照射領域IA参照)を招いてしまうので、効率よく太陽光を受熱部62に集光することができなくなってしまう。同様に、±12度の回転の場合、受熱平面Prにおける照射軸線Iaの両端位置の受熱軸線Raに直交する方向での変位量が約20cmとなることから、さらに損失が大きくなってしまう。
なお、夏至のときでは、春分のときよりも太陽の高度が高いため、全体としては太陽からの反射部61の見かけ上の大きさが小さくなることによる損失(コサイン損失)は小さくはなるが、照射領域IAの回転による損失がやや大きいものとなっている(図22から図26および図27から図31参照)。また、冬至のときでは、他の時季と比較して、照射領域IAの回転による損失が最も大きいものとなっており、太陽からの反射部61の見かけ上の大きさが小さくなることによる損失(コサイン損失)が大きくなることよりも影響が大きくなっている(図22から図26、図27から図31および図32から図36参照)。そして、夏至のときを示す図27から図31と他の図面との比較からも解るように、夏季では、受熱部62に対して北側(L>0)に位置する反射部61が、受熱部62からの距離が小さくても照射領域IAの回転(角度θa)が大きくなる傾向がある。これは、夏季では、太陽高度が高くなることに起因する。また、冬至のときを示す図32から図36と他の図面との比較からも解るように、冬季では、全体的に、照射領域IAの回転(角度θa)が大きくなる傾向がある。
このため、分割式線形フレネル型の集光装置60でも、南中時刻と太陽の高度の低い朝夕との間で、得られる太陽エネルギー(熱エネルギー)の変動が大きくなってしまう。ここで、受熱平面Pr上で受熱軸線Raに直交する方向で見た受熱部62の大きさ寸法を、照射領域IA(太陽の像)におけるその照射軸線Iaが伸びる方向で見た大きさ寸法よりも十分に大きくすれば、照射領域IAの回転に起因して当該照射領域IAが受熱部62上からはみ出すことを防止することができる。しかしながら、受熱部62の大きさ寸法の増大は、当該受熱部62の表面積の増大を招くことから、熱輻射が増大してしまうので損失の増大を招いてしまう。これは、熱輻射は、絶対温度(K)(正確には絶対温度から周囲の温度を減算した値)の4乗と、表面積の大きさと、に比例することによる。また、照射領域IAにおける照射軸線Iaが伸びる方向で見た大きさ寸法の減少は、反射部61における受熱軸線Raと平行な方向の大きさ寸法の減少を招くことから、複数の反射部11の配置のための領域を等しいものとすると、当該反射部61の個数の増加を招くとともに、図示を略す第1駆動部および第2駆動部の増加を招いてしまい、効率の悪化を招いてしまう。さらに、照射領域IAの受熱部62(受熱平面Pr)に対する回転角度が大きくなることに起因して照射領域IAが受熱部62上からはみ出してしまう時間帯での利用を停止することも考えられるが、太陽エネルギーを利用する時間の低下を招くことから、根本的な解決とはならない。
これに対して、本発明の集光装置10では、上述したように第1回転軸13および第2回転軸14を設定していることから、照射領域IA(その照射軸線Ia)を、被照射部としての受熱部12(受熱平面Pr(受熱軸線Ra(被照射軸線)))に対して回転することを防止することができる。これを、図37および図38を用いて以下で説明する。なお、反射部11が第1回転軸13回りに回転される前である図38(a)の状態と、反射部11が第1回転軸13回りに回転される後である図38(b)の状態と、では、東西方向で西側から見た際の反射部11の設置基準面Pbに対する角度(傾き)が変化するが(図37に実線と二点鎖線とで示す反射部11参照)、図38では理解容易のために反射部11の設置基準面Pbに対する角度(傾き)を一定のものとして表している。また、図37および図38に示す例では、図13から図16と同様に、理解容易のために、反射部11を平坦な長方形状の鏡として示している。さらに、図38では、理解容易のために、反射部11を設置基準面Pbに平行(反射部11を水平)とした状態で示しているが、以下で述べる説明は反射部11の設置基準面Pbに対する角度(傾き)が異なる場合であっても同様である。その反射部11の設置基準面Pbに対する角度(傾き)の変化は、第1回転軸13の設定により変化するとともに、その第1回転軸13回りの回転より変化する。そして、第1回転軸13回りの回転に起因する反射部11の設置基準面Pbに対する角度(傾き)の変化は、第2回転軸14回りの反射部11の回転により調整することができる。ここで、その反射部11の設置基準面Pbに対する角度(傾き)の変化は、反射部11において中心位置Cを通り当該反射部11の長尺方向に伸びる軸線(後述する軸上点p3および軸上点p4を含む線分)回りの回転により生じるものであることから、反射部11の回転に伴う後述する軸上点p3および軸上点p4の移動に影響を及ぼすことない。なお、図38では、理解容易のために、図16との比較として第3平面P3も併せて記載している。
本発明の分割式線形フレネル型の集光装置10では、第1回転軸13を、受熱部12の受熱軸線Raおよび各反射部11における中心位置Cを含む第1平面P1に直交するとともに、その中心位置Cを通る線分としている。このため、反射部11は、第1回転軸13回りに回転すると、図37に破線で示す円柱状の軌跡を描くこととなる。ここで、反射部11において、中心位置Cを通りつつ東西方向に伸びる軸線上の両端部に、反射部61における軸上点p1および軸上点p2(図15等参照)と同様に、目安として軸上点p3と軸上点p4とを設定したものとする。そして、軸上点p3の照射領域IAにおいて対応する箇所を反射軸上点rp3とし、軸上点p4の照射領域IAにおいて対応する箇所を反射軸上点rp4とする。軸上点p3と軸上点p4とは、反射部11の軸線上に存在することから、反射部11が回転されていない状態では、反射軸上点rp3と反射軸上点rp4とは、受熱平面Prにおいて受熱軸線Ra上に存在することとなる(図37および図38(a)参照)。そして、軸上点p3と軸上点p4とは、第1回転軸13回りに反射部11が回転すると、上記した設定とされた第1回転軸13に直交する第1平面P1の面内を移動する。すなわち、軸上点p3と軸上点p4とは、第1回転軸13回りに反射部11が回転しても、第1平面P1上に存在する状態を維持する。このため、反射部11が図37に二点鎖線で示すように第1回転軸13を回転中心として南側から見て時計回りの方向に回転されたものとすると、図37および図38(b)に示すように、軸上点p3および軸上点p4は第1平面P1上で移動する。このとき、反射部11における中心位置Cの箇所では、第1回転軸13回りに反射部11が回転しても移動しないので、図38(b)に示すように、第1平面P1(設置基準面Pb)の面内で太陽光を受けることにより、その反射光を受熱平面Prの受熱軸線Ra上に向かわせる。ここで、線上とは、当該線を構成する1点であることをいう。そして、反射部11における軸上点p3の箇所では、第1平面P1上において設置基準面Pbよりも上方で太陽光を受けることにより、その反射光を受熱平面Prにおいて受熱軸線Ra上へと向かわせて、受熱軸線Ra上に反射軸上点rp3を形成する。また、反射部11における軸上点p4の箇所では、第1平面P1上において設置基準面Pbよりも下方で太陽光を受けることにより、その反射光を受熱平面Prにおいて受熱軸線Ra上へと向かわせて、受熱軸線Ra上に反射軸上点rp4を形成する。
このため、東西方向に伸びる受熱部12に対して、上記したように設定した第1回転軸13回りに反射部11が回転しても、反射軸上点rp3および反射軸上点rp4が常に受熱軸線Ra上に形成されることとなる。このことから、東西方向に伸びる受熱部12に対して、上記したように設定した第1回転軸13回りに反射部11が回転しても、被照射部としての受熱部12(受熱平面Pr)上の照射領域IAが回転することはなく、その照射軸線Iaが被照射軸線としての受熱軸線Raに対して傾斜することを防止することができる。なお、厳密には、第1回転軸13回りの反射部11の回転により、中心位置Cを通りつつ東西方向に伸びる軸線上の中心位置Cを除く各位置からの受熱部12(受熱平面Pr)までの距離に変化は生じている。
加えて、本発明の分割式線形フレネル型の集光装置10では、第2回転軸14を、第1平面P1上(第1平面P1に含まれるもの)であって、対応する反射部11の中心位置Cを通る線分としている。この第2回転軸14は、軸上点p3と軸上点p4とを設定した中心位置Cを通りつつ東西方向に伸びる軸線と一致されている。このため、その第2回転軸14回りに反射部11が回転しても、照射領域IAにおいて中心位置Cに対応する箇所すなわち照射領域IAの中心位置を受熱平面Pr(受熱部12)における受熱軸線Ra上に存在させると、照射領域IAにおいて軸上点p3および軸上点p4に対応する箇所である反射軸上点rp3および反射軸上点rp4を、受熱平面Pr(受熱部12)において受熱軸線Ra上に存在させることができる。このため、第1回転軸13回りの反射部11の回転、および第2回転軸14回りの反射部11の回転に拘らず、照射領域IAが受熱部12に対して回転することを防止することができる。
また、反射部11は、上述したように、第2回転軸ステージ25に対して第1回転軸13に直交する第2回転軸14(第2軸線)回り回転可能に当該第2回転軸ステージ25に支持されている。その第2回転軸ステージ25は、第1回転軸ステージ26に対して第1回転軸13(第1軸線)回りに回転可能に当該第1回転軸ステージ26に支持されている。その第1回転軸ステージ26は、第2回転軸ステージ25を介して支持する反射部11の受熱部12に対する位置設定に応じた位置で設置基準面Pbに固定されている。これにより、第1回転軸13は、第1回転軸ステージ26により設置基準面Pbに固定されていることから、受熱部12の受熱軸線Raおよび各反射部11における中心位置Cを含む第1平面P1に直交するとともに、その中心位置Cを通る線分であることが維持されている。また、第2回転軸14は、第1回転軸13回りの第2回転軸ステージ25の回転により設置基準面Pbに対する姿勢が変化するが、第1平面P1上(第1平面P1に含まれるもの)であって、対応する反射部11の中心位置Cを通る線分であることが維持されている。これは、第2回転軸14は、第1回転軸13回りに第2回転軸ステージ25が回転しても、常に第1回転軸13を回転中心として変化するものであることによる。このため、反射部11を第1回転軸13および第2回転軸14回りに回転させることにより、その順番(同時も含む)に拘らず、照射領域IAにおける反射軸上点rp3および反射軸上点rp4を受熱平面Pr(受熱部12)における受熱軸線Ra上に存在させることができる。ここで、照射領域IAにおける反射軸上点rp3および反射軸上点rp4は、厳密には、回転の最中に一度受熱平面Pr(受熱部12)における受熱軸線Ra上から外れることとなる。しかしながら、実際には、反射部11は、太陽の日周運動に追従させるために、第1回転軸13および第2回転軸14回りに回転されるものであることから、短時間で極めて小さな移動を繰り返すことにより、実質的に反射軸上点rp3および反射軸上点rp4が受熱軸線Ra上から外れていないものとすることができる。
このように構成された集光装置10において、上記した回転が防止される様子を図39から図41に加えて図3を用いて説明する。なお、図39から図41では、図37および図38に示す例と同様に、理解容易のために反射部11を平坦な長方形状の鏡として示している。また、図39から図41では、理解容易のために、支持機構部29(第1回転軸ステージ26および第2回転軸ステージ25(図7等参照))を省略して示している。さらに、図41では、理解容易のために、各反射部11において、第2回転軸14回りに回転した後のものを実線で示すとともに、第2回転軸14回りに回転する前のものを二点鎖線で示している。
集光装置10では、図39に示すように、初期状態において、各反射部11の法線方向が反射光路Rpと一致されている、すなわち各反射部11が受熱部12に正対されている。その反射光路Rpは、各反射部11の中心位置Cから受熱部12の受熱軸線Raへと向かう線であることから、東西方向の東側から見た図39では第1平面P1が反射光路Rpと一致する直線となる。ここで、集光装置10に対して太陽が南東の方角に存在するものとする。集光装置10において、太陽光の日周運動に対応させるべく、各反射部11が第1回転軸13回りに回転されたものとする(矢印A5参照)。すると、集光装置10では、図40に示すように、各反射部11が受熱部12に正対する状態から適宜傾斜される。この状態において、各反射部11では、第1回転軸13回りの回転角度の大きさ(回転姿勢)に拘らず、中心位置Cを通りつつ長尺方向(非集光方向(東西方向))に伸びる軸線を、第1平面P1上に位置させることができる。これは、集光装置10では、上述したように第1回転軸13を、対応する反射部11の中心位置Cを通りつつ第1平面P1に直交する設定としていることによる。集光装置10では、その中心位置Cを通る長尺方向の軸線が、第2回転軸14と一致されている。このため、集光装置10では、第1回転軸13回りの各反射部11の回転角度の大きさ(回転姿勢)に拘らず、第2回転軸14を第1平面P1上に位置させることができる。
そして、集光装置10において、各反射部11からの太陽光の反射光を、受熱部12(その受熱軸線Ra)に対して直交する方向へと進向させて受熱部12へと向かわせるべく、第2回転軸14回りに回転されたものとする(矢印A6参照)。なお、図39から図41に示す例では、右から2つめ(南側から6つめ)の反射部61が、太陽光の入射方向が当該反射部61における第1平面P1と一致していることから、第2回転軸14回りの回転がなされていない。すると、集光装置10では、図41に示すように、各反射部11の中心位置Cからの反射光の進向方向が反射光路Rpと一致し、その中心位置Cからの反射光の進向方向が受熱部12(その受熱軸線Ra)に対して直交する。そして、上述したように、中心位置Cを通る長尺方向の軸線すなわち第2回転軸14が、常に第1平面P1上に位置されていることから、当該第2回転軸14回りの回転角度の大きさ(回転姿勢)に拘らず、中心位置Cを通る長尺方向の軸線を第1平面P1上に位置させることができる。これにより、各反射部11では、中心位置Cを通る長尺方向の軸線上からの反射光を、第1平面P1上に位置させることができ、受熱部12の受熱軸線Raへと進向させることができる。
このため、集光装置10では、上記した構成において、各反射部11を第1回転軸13および第2回転軸14回りに回転させても、照射領域IAが受熱部12(受熱軸線Ra)に対して回転することはない(図3参照)。この様子を図3に示す。この図3に示す例では、反射部11が、交線iで第1平面P1と交差しており、正面視して交線iよりも上側が第1平面P1よりも上方に存在し、正面視して交線iよりも下側が第1平面P1よりも下方に存在している。そして、この交線iは、反射部11における中心位置Cを通る長尺方向の軸線と一致しており、当該反射部11における第2回転軸14と一致している。このため、この反射部11では、軸上点p3および軸上点p4を含む中心位置Cを通る長尺方向の軸線上の全ての箇所において、第1平面P1上で太陽光を受けることとなる。これにより、この反射部11では、軸上点p3からの反射光を受熱平面Prにおける受熱軸線Ra上へと向かわせて、当該受熱軸線Ra上に反射軸上点rp3を形成する。また、この反射部11では、軸上点p4からの反射光を受熱平面Prにおける受熱軸線Ra上へと向かわせて、当該受熱軸線Ra上に反射軸上点rp4を形成する。このことから、この反射部11は、図3からも明らかなように、第1回転軸13および第2回転軸14回りに回転しても、照射領域IAを受熱部12(受熱軸線Ra)に対して回転させることはない。
このように、集光装置10では、各反射部11を第1回転軸13および第2回転軸14回りに回転させても、第1回転軸13に直交する軸線(中心位置Cを通り長尺方向(非集光方向)に伸びる軸線)を常に第1平面P1に含まれるものとすることにより、照射領域IAを受熱部12(受熱軸線Ra)に対して回転することを防止している。しかしながら、各反射部11が集光する作用を有していることから、第1回転軸13に直交する軸線(長尺方向(非集光方向)に伸びる軸線)を常に第1平面P1に含まれるものとしても、反射部11への入射角度や反射部11による反射角度が極端に大きい場合、収差による損失が現れることがあり得る。ところが、実際には、反射部11において短尺方向(一方向)に設定する集光する作用のための曲面のNA(開口数)は極めて小さなものとなるので、実質的に収差による損失の影響が生じることはない。
ここで、上記した反射部11を適宜回転させることにより太陽の日周運動に追従させて受熱部12(受熱平面Pr)に照射領域IAを形成した際の当該照射領域IAの様子を図42から図61のグラフで示す。この図42から図61のグラフでは、上述した設定で受熱部12(その受熱軸線Ra)に対する絶対的な位置を固定(絶対的な位置関係が変化しない)した第1回転軸13と、その回転により上述した条件下で回転する第2回転軸14と、を回転中心として反射部11を回転した場合であっても、太陽の日周運動に追従させて受熱部12(受熱平面Pr)に照射領域IAを形成することができることを示している。その図42から図46では、集光装置10を北緯35度の地点に上述した構成で設置し、春分の日の太陽の日周運動に対応させたものとしている。図47から図51では、集光装置10を北緯35度の地点に上述した構成で設置し、夏至の日の太陽の日周運動に対応させたものとしている。図52から図56では、集光装置10を北緯35度の地点に上述した構成で設置し、冬至の日の太陽の日周運動に対応させたものとしている。なお、図47から図51では、夏至で日が長いことから時間範囲が最も長いグラフとなり、図52から図56では、冬至で日が短いことから時間範囲が最も短いグラフとなり、図42から図46では、春分であることから時間範囲が中間のグラフとなる。図57から図61では、集光装置10を緯度0度の地点に上述した構成で設置し、春分の日の太陽の日周運動に対応させたものとしている。
そして、図42から図61では、受熱部12の設置基準面Pbからの高さ寸法Hを14mとしている。図42、図47、図52および図57では、反射部11の南北方向で見た受熱部12に対する距離Lを−20m、すなわち、反射部11を受熱部12に対して南側20mの位置に設けている。図43、図48、図53および図58では、反射部11の南北方向で見た受熱部12に対する距離Lを−10m、すなわち、反射部11を受熱部12に対して南側10mの位置に設けている。すなわち、反射部11は、中心位置Cから受熱部12の受熱軸線Raへと伸びる線分(第1平面P1)の天頂角が略−35度(東側から見て反時計回りの回転方向が正側)とされている。この天頂角は、距離Lが−10mとなる反射部11の第1回転軸13と設置基準面Pbとが為す角度と等しいものとなる。図44、図49、図54および図59では、反射部11の南北方向で見た受熱部12に対する距離Lを0m、すなわち、反射部11を受熱部12に対して受熱部62に対して鉛直方向の真下の位置に設けている。この位置の反射部11では、受熱部12の真下に位置することから、自らを照射する太陽光を真上(天頂方向)へと跳ね上げるように反射する。図45、図50、図55および図60では、反射部11の南北方向で見た受熱部12に対する距離Lを10mとしている。すなわち、反射部11は、受熱部12に対して北側10mの位置に設けられており、中心位置Cから受熱部12の受熱軸線Raへと伸びる線分(第1平面P1)の天頂角が略35度とされている。この天頂角も、距離Lが10mとなる反射部11の第1回転軸13と設置基準面Pbとが為す角度と等しいものとなる。図46、図51、図56および図61では、反射部11の南北方向で見た受熱部12に対する距離Lを20mとしている。すなわち、反射部11は、受熱部12に対して北側20mの位置に設けられており、中心位置Cから受熱部12の受熱軸線Raへと伸びる線分(第1平面P1)の天頂角が略55度とされている。この天頂角も、距離Lが20mとなる反射部11の第1回転軸13と設置基準面Pbとが為す角度と等しいものとなる。
なお、図42から図61において、太陽の日周運動における計算では、一日の間の地球の公転による変化は省略している。このため、太陽の日周運動は、南中時を挟んで午前と午後とにおいて対称となる。また、図42から図61における日周運動の季節の計算は、(黄道上の)春分点、夏至点、冬至点について計算している。さらに、図42から図61では、一般的な日の出および日の入りの定義とは異なり太陽の中心を基準としており、大気による屈折や標高等を考慮していない。これらのことは、図22から図36でも同様である。
図42から図61では、受熱平面Prにおいて受熱軸線Raと照射領域IAの照射軸線Iaとが為す角度を角度θa(図14参照)とし、受熱平面Prを反射部11側から見て反時計回りの回転方向を角度θaの正方向としている。また、図42から図61では、第1回転軸13回りに回転した際の第1平面P1上での反射部11と設置基準面Pbとが為す角度を角度θ1(図6(a)参照)とし、第1回転軸13における南側から見て反時計回りの回転方向を角度θ1の正方向としている。この角度θ1は、反射部11における中心位置Cを通る法線(その方向)と、中心位置Cにおける反射光(中心位置Cからの反射光束)が向かう方向(受熱軸線Ra(東西方向)に直交する第2平面P2)と、が為す角度を示しており、南中時刻には0度となる。さらに、図42から図61では、第2回転軸14回りに回転した際の反射部11において中心位置Cを含む接平面と第1回転軸13とが為す角度を角度θ2(図6(b)参照)とし、第2回転軸14における東側から見て反時計回りの回転方向を角度θ2の正方向としている。この角度θ2は、第1回転軸13に直交する第1平面P1と反射部11において中心位置Cを通る法線(その方向)とが為す角度を示しており、第1回転軸13回りに回転した後の反射部11における法線方向を基準としたものとなる。
これらの時季の変化や受熱部12に対する位置の変化や緯度の変化により、角度θa、角度θ1および角度θ2の変化について、図42から図61のグラフのうちのいくつかを取り出して定性的な説明をする。このグラフの条件では、春分の日では、日の出の際に太陽が水平線上の真東に現れるとともに、日の入りの際に太陽が水平線上の真西から沈んでいくので、図42から図46に示すように、日の出および日の入りの際の角度θ2が略0度(反射部11が第2回転軸14回りでの初期状態)となる。北緯35度の地点で受熱部12に対し北側10mの位置の反射部11(距離L=10m)では、春分の日の太陽の日周運動に対応させて両回転軸回りに回転されると、図44に示すように、角度θ2が略0度(第2回転軸14回りでの初期状態)のまま変化しない。これは、緯度35度の地点で春分の日であると、太陽の日周運動に追従させた際の第2回転軸14回りの角度θ2の変化を示す曲線が、距離Lが約10mを挟んで南中時に極大となるか極小となるかで入れ替わることによる。すなわち、距離L<10mであると、図42から図44に示すように角度θ2の変化を示す曲線が上側に凸となり、距離L>10mであると、図46に示すように角度θ2の変化を示す曲線が下側に凸となる。北緯35度の地点で受熱部12の真下の位置の反射部11(距離L=0m)では、春分の日の太陽の日周運動に対応させて両回転軸回りに回転されると、図44に示すように、日の出および日の入りの角度θ1が45度となる。また、この条件では、図44に示すように、反射部11が天頂角35度の入射光を天頂角0度(即ち真上)へ跳ね上げることとなるので、南中時に角度θ2が緯度の半分の角度(=17.5度)となる。
北緯35度の地点の反射部11では、夏至の日の太陽の日周運動に対応させて両回転軸回りに回転されると、図47から図51に示すように、他の時季と比較して、角度θ2が全体的に負側にシフトしている。これは、太陽の高度(反射部11への太陽光の入射角の高度)が高いことによる。また、北緯35度の地点で受熱部12に対し北側10mの位置の反射部11(距離L=10m)では、夏至の日の太陽の日周運動に対応させて両回転軸回りに回転されると、図50に示すように、春分の場合(図45参照)と比較して、角度θ2が全体的に小さな角度(負側にシフト)となっている。これは、当該反射部11から見ると、南中時の太陽が、受熱部12(受熱管)の上側にくることによる。北緯35度の地点で受熱部12に対し南側10mの位置の反射部11(距離L=−10m)では、冬至の日の太陽の日周運動に対応させて両回転軸回りに回転されると、図53に示すように、他の時季と比較して、角度θ2が全体的に正側にシフトしている。これは、太陽の高度(反射部11への太陽光の入射角の高度)が低いことによる。
図57から図61に示す春分での緯度0度の地点(赤道直下)では、一日の間の地球の公転を考慮しないものすると、太陽の日周運動は真東からの日の出となり、天頂を通り、真西への日の入りとなる。このため、緯度0度の地点で受熱部12の真下の位置の反射部11(距離L=0m)では、春分の日の太陽の日周運動に対応させて両回転軸回りに回転されると、図59に示すように、角度θ1が直線的な変化となり、角度θ2が常に略0度となる。すなわち、この条件では、反射部11は、第1回転軸13回りに定角速度で回転されるとともに、第2回転軸14回りには回転されない。また、春分での緯度0度の地点(赤道直下)では、図57と図61との比較あるいは図58と図60との比較から明らかなように、受熱部12(受熱管)を挟んだ南北方向の正側と負側とで、当該受熱部12からの距離が等しい位置での角度θ2が等しい大きさで正負が逆転したものとなる。なお、緯度0度の地点(赤道直下)における上述したことは、図示は略すが夏至や冬至のときについても同様である。
この図42から図61では、受熱平面Prにおいて受熱軸線Raと照射領域IAの照射軸線Iaとが為す角度θaが常に0度であることから、太陽の日周運動に対応させた第1回転軸13および第2回転軸14回りの反射部11の回転に起因して、照射領域IAが受熱部12(その受熱軸線Ra)に対して回転することが防止されていることがわかる。そして、図42から図46、図47から図51、図52から図56もしくは図57から図61に示すように、受熱部12に対する各反射部11の位置(受熱部12に対する距離L(受熱部12に対する南北の変化も含む))の変化に起因して太陽の日周運動に対応させた第1回転軸13および第2回転軸14回りの各反射部11の回転の態様が異なるものとされても、照射領域IAが受熱部12(その受熱軸線Ra)に対して回転することが防止されていることがわかる。また、図42から図46と、図47から図51と、図52から図56と、を比較して明らかなように、季節の変化に起因して太陽の日周運動に対応させた第1回転軸13および第2回転軸14回りの反射部11の回転の態様が異なるものとされても、照射領域IAが受熱部12(その受熱軸線Ra)に対して回転することが防止されている。さらに、図42から図46と、図57から図61とを比較して明らかなように、集光装置10の設置位置(緯度)の変化に起因して太陽の日周運動に対応させた第1回転軸13および第2回転軸14回りの反射部11の回転の態様が異なるものとされても、照射領域IAが受熱部12(その受熱軸線Ra)に対して回転することが防止されている。このことは、明確な図示は略すが、設置位置が北半球と南半球とで変化した場合であっても同様である。
ここで、同じ緯度、季節、時刻であれば、太陽の日周運動による入射光線の条件が等しくなることから、各反射部11の中心位置Cを通す法線(法線ベクトル)の向きに関しては、本願発明の構成(集光装置10)であっても従来の構成(集光装置60)であっても等しくなる。これは、各反射部11では、第1回転軸13および第2回転軸14と第1回転軸64および第2回転軸65との設定の差異に関わらず、受熱部12(62)に対して、東西方向に伸びる受熱軸線Raに直交する方向で反射光が向かうように角度の設定が為されることによる。このため、本願発明の集光装置10では、照射領域IAの回転を防止することができるので、当該回転が生じてしまう従来の集光装置60と比較して、各反射部11で効率よく太陽光を受熱部12に集光することができることがわかる。よって、本発明の分割式線形フレネル型の集光装置10では、時季の変化、受熱部12に対する位置(距離)の変化、および緯度の変化に関わらず、効率よく太陽光を受熱部12に集光することができる。
ここで、集光装置10と集光装置60とにおける効率を比較した結果を図62の表に示す。先ず、照射領域IAの幅を考慮しないものとすると、照射領域IA(照射パターン)の回転角θaを考慮した、反射鏡(反射部11または反射部61)からの反射光による管状受熱体(受熱部12または受熱部62)への照射効率は、次式(1)で示すことができる。
照射効率≒(管状受熱体の直径)/{(反射鏡の長さ)×sinθa} ・・・(1)
ここで、反射鏡の長さとは、初期状態での反射部11または反射部61における、管状受熱体(受熱部12または受熱部62)の受熱軸線Raと平行な方向で見た長さ寸法であり、上記した例では反射部11および反射部61における長尺方向でみた長さ寸法である。そして、この式(1)は、照射領域IAが長尺である限り、概ね照射効率を求める近似式として利用することができる。ただし、この計算においては、分母の値が分子の値を超えるまで、すなわち分母<分子である場合は、100%とする。
その照射領域IAの幅方向での大きさ寸法は、太陽の像の直径と等しいと考える。そして、照射領域IAの幅に対する管状受熱体(受熱部12または受熱部62)の直径の比が1より小さくなる場合、すなわち管状受熱体の直径が照射領域IAの幅よりも小さくなる場合には、その比に応じた補正係数を、式(1)による算出値に乗算する。また、上述したように、各反射鏡(反射部11または反射部61)では、各回転軸回りの回転に伴いコサイン損失が生じる。このため、式(1)で算出した照射効率に、上記した補正係数と、コサイン損失に関わる係数と、を乗算することにより、単一の反射鏡(反射部11または反射部61)による管状受熱体(受熱部12または受熱部62)への照射効率を求めることができる。
そして、集光装置10および集光装置60を北緯35度の地点に設置したものとし、太陽からの熱量を水平面1m2あたり1kWとする。その各反射鏡(反射部11または反射部61)を設置する所定の範囲を設定し、当該範囲において最も効率良くなるように反射鏡を配置したものとする。その最も効率良くなるようにとは、隣接する反射鏡の影による干渉を避けつつ、当該範囲を可能な限り各反射鏡で占有させることをいう。このように配置した各反射鏡(反射部11または反射部61)の配置面積率に基づいて当該各反射鏡による照射効率を積算することにより、集光装置10および集光装置60における全体としての利用総熱量(kWh)を算出する。また、上述した所定の範囲の全域に渡って注がれる太陽熱の太陽総熱量(kWh)に対する利用総熱量(kWh)から、集光装置10および集光装置60における全体としての太陽光の利用効率(%)を算出する。このように算出した各値を示したのが図62の表である。
この図62の表では、上記した所定の範囲として、管状受熱体(受熱部12または受熱部62(その受熱軸線Ra))を基準として、東西方向で見て1mの大きさ寸法とし、かつ南北方向で見て以下の2つの大きさ寸法としている。1つ目は、管状受熱体に対して、南側20m(L=−20m)から北側26m(L=26m)までの南北方向で見て46mの大きさ寸法としている。2つ目は、管状受熱体に対して、南側6m(L=−6m)から北側26m(L=26m)までの南北方向で見て32mの大きさ寸法としている。ここで、Lの値について、北側(26m)を等しい条件としつつ、南側を−20mと−6mとに設定したのは、配置位置が北緯35度であることを考慮して、北側の各反射鏡の配置を広くしたことによる。また、図62の表では、季節の条件として、上記した各グラフと同様に、夏至、春分、冬至の3つを設定している。そして、図62の表では、2つの稼働時間の条件を設定している。1つ目は、各季節において、日の出後の1時間が経過してから、日の入りの1時間前までとしており、季節毎に分けて上段に記載している。2つ目は、各季節において、日の出後の2時間が経過してから、日の入りの2時間前までとしており、季節毎に分けて下段に記載している。
ここで、所定の範囲を2つ設定したのは、管状受熱体から反射鏡までの距離が大きくなるほど、当該反射鏡による太陽熱の利用効率が低くなることに対し、所定の範囲が大きいほど装置全体として得られる利用総熱量(kWh)を増加させることができることによる。また、稼働時間の条件を2つ設定したのは、太陽高度が高い時間帯の方が利用効率(%)を高めることができるのに対し、稼働時間を広げた方が得られる利用総熱量(kWh)を増加させることができることによる。
この図62の表から明らかなように、本願発明の集光装置10では、集光装置60と比較して、季節変化や稼働時間の差異や反射鏡を配置する領域の差異に拘らず、利用総熱量(kWh)および利用効率(%)の双方を大きくすることができる。ここで、集光装置10および集光装置60では、等しい位置に配置された反射鏡におけるコサイン損失の影響は殆ど等しいものであり、照射領域IAの回転の有無を除くと他の条件も殆ど等しいものである。このため、集光装置10では、集光装置60と比較して、照射領域IAの回転を防止することができることにより、利用総熱量(kWh)および利用効率(%)の双方を大きくすることができたものと考えられる。特に、集光装置10では、2つの所定の範囲の条件での値の比較から、反射鏡を配置する領域を南北方向に大きくした場合に、集光装置60との利用総熱量および利用効率の差異を大きくすることができる。このことから、管状受熱体から反射鏡までの距離が大きくなるほど、照射領域IAの回転を防止することにより、利用総熱量および利用効率を向上させる効果が大きくなることがわかる。このため、集光装置10では、照射領域IAの回転を防止することにより、反射鏡を配置する領域を南北方向に大きくしても高い効率で太陽光を利用することができる。これにより、集光装置10では、管状受熱体(受熱部12または受熱部62)における受熱軸線Ra方向で見た単位長さ辺りの利用総熱量を向上させるべく、受熱軸線Raと直交する方向での長さ寸法を増加させても、高い利用効率を維持することができる。よって、集光装置10では、受熱軸線Raと直交する方向での長さ寸法を増加させることにより、利用総熱量を向上させつつ高い利用効率を得ることができる。
なお、図62の表からは、利用効率で見ると、太陽の高度が低い春分や冬至においては反射鏡を配置する領域が小さい方が高くなり、季節に拘わらず稼働時間が短い方が高くなる。これは、設置位置が北緯35度の地点であることを考慮して、南側の各反射鏡の配置を狭くするとともに、北側に各反射鏡の配置が広くしたことによる。ところが、利用総熱量で見ると、季節に拘わらず、反射鏡を配置する領域が大きい方が高くなるとともに、稼働時間が長い方が高くなる。このため、利用総熱量や稼働時間の制約が生じることを鑑みると、利用効率だけでいずれが良いかを判断することは困難であるので、図62の表では利用総熱量と利用効率とを示している。
このことから、本発明に係る実施例の集光装置10では、各反射部11を対応する第1回転軸13回りに回転させても、被照射部としての受熱部12(その被照射面)に形成する照射領域IAが受熱軸線Ra(被照射軸線)に対して回転することを防止することができる。これは、集光装置10では、各反射部11の第1回転軸13を、受熱部12(被照射部)の受熱軸線Ra(被照射軸線)および各反射部11における中心位置Cを含む第1平面P1に直交するとともに当該中心位置Cを通る線分としていることによる。
また、集光装置10では、第2回転軸14回りに各反射部11を回転させても、受熱部12(その被照射面)に形成する照射領域IAが回転することを防止することができる。これは、集光装置10では、各反射部11の第2回転軸14を、第1平面P1に含まれるもの(第1平面P1上)であって対応する反射部11の中心位置Cを通る線分としていることによる。
さらに、集光装置10では、各反射部11を対応する第1回転軸13回りに回転させても、各反射部11の第2回転軸14を、常に第1平面P1に含まれるもの(第1平面P1上)であって対応する反射部11の中心位置Cを通る線分とすることができる。これは、集光装置10では、各反射部11において、第2回転軸14を、第1回転軸13に直交するものとするとともに、当該第1回転軸13回りの反射部11の回転とともに回転するものとしていることによる。
集光装置10では、各反射部11を対応する第1回転軸13および第2回転軸14回りに適宜回転させても、受熱部12(その被照射面)に形成する照射領域IAが回転することを防止することができる。これは、次の2つを必ず満たしていることによる。1つ目は、集光装置10では、各反射部11の第1回転軸13を、受熱部12(被照射部)の受熱軸線Ra(被照射軸線)および各反射部11における中心位置Cを含む第1平面P1に直交するとともに当該中心位置Cを通る線分としている。2つ目は、集光装置10では、各反射部11の第2回転軸14を、第1平面P1に含まれるもの(第1平面P1上)であって対応する反射部11の中心位置Cを通る線分としている。換言すると、各反射部11では、第1回転軸13に直交する軸線(上記した実施例では中心位置Cを通り長尺方向(非集光方向)に伸びる軸線)を常に第1平面P1に含まれるものとしつつ、太陽光の反射光を被照射部(受熱部12)へと向かわせていることから、照射領域IAが回転することを防止することができる。
集光装置10では、太陽の位置の変化に応じて第1回転軸13回りに各反射部11を回転させても、常に効率よく太陽光を受熱部12に集光することができる。これは、集光装置10では、各反射部11を対応する第1回転軸13および第2回転軸14回りに回転させても、受熱部12(その被照射面)に形成する照射領域IAが回転することを防止することができることによる。
集光装置10では、太陽の位置の変化に適切に対応して第1回転軸13および第2回転軸14回りに各反射部11を回転させることで、常に効率よく換言すると効率を安定化させて太陽光を受熱部12に集光することができる。これは、集光装置10では、各反射部11を対応する第1回転軸13および第2回転軸14回りに回転させても、受熱部12(その被照射面)に形成する照射領域IAが回転することを防止することができることによる。このため、集光装置10では、南中時刻と太陽の高度の低い朝夕との間で得られる太陽エネルギー(熱エネルギー)の変動をより小さくすることができる。
集光装置10では、各反射部11における第1回転軸13および第2回転軸14回りの回転角度が大きくなる場面であっても、効率よく太陽光を受熱部12に集光することができる。これは、集光装置10では、太陽の位置の変化に適切に対応して第1回転軸13および第2回転軸14回りに各反射部11を回転させても、受熱部12(その被照射面)に形成する照射領域IAが回転することを防止することができることによる。
集光装置10では、第1回転軸13および第2回転軸14の設定のために各反射部11の配置および大きさ寸法や受熱部12の配置および大きさ寸法が制限されることを防止することができる。これは、集光装置10では、受熱部12に対する各反射部11の位置関係により反射部11毎に第1回転軸13および第2回転軸14を設定するものであることによる。このため、集光装置10では、受熱部12に対する位置による効率の低下を防止できるので、効率の低下を防止する観点から受熱部12を基準として各反射部11を設置することのできる範囲を広げることができる。このことから、集光装置10では、各反射ラインLnにおける南北方向での各反射部11を並列させる個数を増加させることが可能となり、より大きな熱エネルギーを得ることが可能となる。
集光装置10では、効率よく集光する観点から受熱部12(その受熱軸線Ra)と平行な方向で見た各反射部11の大きさ寸法を大きく設定することができる。これは、集光装置10では、第1回転軸13および第2回転軸14の設定のために各反射部11の配置および大きさ寸法や受熱部12の配置および大きさ寸法が制限されることを防止することができることによる。このため、集光装置10では、複数の反射部11の配置のための領域を等しいものとすると、他の構成(例えば、集光装置60)と比較して、反射部11の個数を低減しつつ同等の集光性能を得ることができる。
集光装置10では、効率よく集光する観点から受熱部12(その被照射面)の大きさ寸法に適合させて各反射部11が形成する照射領域IAの大きさ寸法を設定することにより、太陽の位置の変化に拘らず、常により効率よく太陽光を受熱部12に集光することができる。これは、集光装置10では、各反射部11を対応する第1回転軸13回りに回転させても、受熱部12(その被照射面)に形成する照射領域IAが回転することを防止することができることによる。
集光装置10では、第1回転軸ステージ26に対して第1回転軸13(第1軸線)回りに回転可能に当該第1回転軸ステージ26で第2回転軸ステージ25を支持するとともに、その第2回転軸ステージ25に対して第1回転軸13に直交する第2回転軸14(第2軸線)回り回転可能に当該第2回転軸ステージ25で反射部11を支持している。このため、集光装置10では、簡易な構成で、各反射部11を対応する第1回転軸13回りに回転させても、第2回転軸14を、第1平面P1に含まれるもの(第1平面P1上)であって対応する反射部11の中心位置Cを通る線分を維持するものとすることができる。
集光装置10では、第2回転軸ステージ25に、当該第2回転軸ステージ25を回転可能とするため一対の支持突起25cを設けるとともに、この第2回転軸ステージ25が回転可能に反射部11を支持するための一対の支持穴25dを設け、互いの軸線を中心位置Cで直交させるものとしている。換言すると、第2回転軸ステージ25に、当該第2回転軸ステージ25を反射部11の中心位置Cを通る第1軸線回りに回転可能に支持するための被支持箇所(一対の支持突起25c)と、反射部11の中心位置Cを通りかつ第1軸線に直交する第2軸線回りに回転可能に反射部11を支持するための支持箇所(一対の支持穴25d)と、を設けている。そして、集光装置10では、一対の支持突起25cの軸線(第1軸線)を第2回転軸ステージ25が支持する反射部11に対応して設定した第1回転軸13に一致させつつ、当該両支持突起25c(その軸線)回りに回転可能に第2回転軸ステージ25を設けている。すると、集光装置10では、一対の支持穴25d(その軸線(第2軸線))を、第2回転軸ステージ25の第1回転軸13回りの回転に関わらず、常に第1回転軸13に直交するものであって第2回転軸ステージ25が保持する反射部11の中心位置Cを通る線分とすることができる。すなわち、集光装置10では、一対の支持穴25d(その軸線(第2軸線))を、第2回転軸ステージ25が保持する反射部11の第2回転軸14とすることができる。このため、集光装置10では、簡易な構成で、各反射部11を対応する第1回転軸13回りに回転させても、第2回転軸14を、第1平面P1に含まれるもの(第1平面P1上)であって対応する反射部11の中心位置Cを通る線分を維持するものとすることができる。
集光装置10では、受熱軸線Raを東西方向と平行として受熱部12を設けることにより、太陽の位置の変化に応じて第1回転軸13および第2回転軸14回りに各反射部11を回転させることで、太陽の日周運動に適切に対応して反射光を受熱部12へと向かわせることができる。このため、集光装置10では、太陽の高度の低い朝方から夕刻に渡ってより効率よく太陽光を受熱部12に集光することができる。
集光装置10では、季節の変化に起因して、太陽の日周運動に対応させた第1回転軸13および第2回転軸14回りの各反射部11の回転の態様を異なるものとしても、照射領域IAが受熱部12(その受熱軸線Ra)に対して回転することを防止することができる。このため、集光装置10では、1年を通してより効率よく換言すると効率を安定化させて太陽光を受熱部12に集光することができる。
集光装置10では、設置位置の変化に起因して、太陽の日周運動に対応させた第1回転軸13および第2回転軸14回りの各反射部11の回転の態様を異なるものとしても、照射領域IAが受熱部12(その受熱軸線Ra)に対して回転することを防止することができる。このため、集光装置10では、設置位置が制限されることを防止することができる。
集光装置10では、第1回転軸ステージ26に回転機構部26fが設けられて接続脚部26cに対して支持腕部26aが回転することが可能とされていることから、受熱部12に対する位置に関わらず同一の第1回転軸ステージ26を用いることができる。このため、集光装置10では、各反射部11を互いに等しいものとすることにより、第1回転軸ステージ26および第2回転軸ステージ25を共通化することができるので、全体のコストを低減させることができる。
集光装置10では、被照射部としての受熱部12の下方において、その受熱軸線Ra(被照射軸線)と平行な方向と、当該受熱軸線Ra(被照射軸線)と直交する方向と、で並列させて複数の反射部11を設けている。このため、集光装置10では、それぞれの反射ラインLnにおける各反射部11の受熱部12に対する位置を、互いに等しいものとすることができる。このことから、集光装置10では、それぞれの反射ラインLnにおいて、南北方向で等しい位置の反射部11における太陽の日周運動に適合させた各回転軸回りの回転姿勢を、互いに等しいものとすることができる。すなわち、集光装置10では、受熱軸線Ra(被照射軸線)に直交する方向(南北方向)で等しい各反射部11における太陽の日周運動に適合させた各回転軸回りの回転姿勢を等しいものとすることができる。よって、集光装置10では、各反射部11の角度設定(そのための駆動制御)を容易なものとすることができる。
集光装置10では、それぞれの受熱部12の端部を接続して複数設けることで、大規模な太陽光集光施設を簡易に構築することができる。これは、集光装置10では、受熱軸線Raと平行な方向で見て、受熱部12の両端部が、各反射部11が設けられた箇所の外方へと伸びるものとされていることによる。
集光装置10では、照射領域IAの回転を防止していることから、被照射部(受熱部12)における受熱軸線Ra方向で見た単位長さ辺りの利用総熱量を向上させるべく、受熱軸線Raと直交する方向での長さ寸法を増加させても、高い利用効率を維持することができる。このため、集光装置10では、受熱軸線Raと直交する方向での長さ寸法を増加させることにより、利用総熱量を向上させつつ高い利用効率を得ることができる。
太陽熱発電装置30では、集光装置10を備えるものであることから、その集光装置10において上述した各効果を得ることができる。このため、太陽熱発電装置30では、当該集光装置10により受熱部12に集光された太陽光から取得した熱を利用して発電することにより、効率よく太陽エネルギー(熱エネルギー)を利用して電力を生成(発電)することができる。
太陽熱発電装置30では、受熱部12で取得した熱を用いることで季節や設置位置の変化に拘らず1日を通じてより効率よく、換言すると効率を安定化させて太陽エネルギー(熱エネルギー)を利用して電力を生成(発電)することができる。これは、太陽熱発電装置30では、設置位置の変化に拘らず1年を通してより効率よく太陽光を受熱部12に集光することができる集光装置10を備えることによる。
太陽熱発電装置30では、大規模な太陽光集光施設を簡易に構築することができる集光装置10を備えることから、簡易に大規模な太陽光発電施設とすることができる。
したがって、本発明に係る実施例の集光装置10では、効率よく太陽光を被照射部としての受熱部12に集光することができる。
なお、上記した実施例では、本発明に係る集光装置の一例としての集光装置10について説明したが、第1回転軸回りに回転可能であるとともに第2回転軸回りに回転可能な複数の反射部と、前記各反射部からの反射光で照射され、設定された被照射軸線が伸びる方向に長尺な被照射部と、を備え、前記第1回転軸は、前記反射部毎に、前記被照射軸線および対応する前記反射部の中心位置を含む第1平面に直交するとともに前記中心位置を通る線分とし、前記第2回転軸は、前記反射部毎に、前記第1平面に含まれるものであって対応する前記反射部の前記中心位置を通る線分とし、前記各反射部は、太陽光を反射した反射光で前記被照射部を照射すべく前記第1回転軸および前記第2回転軸回りに回転される集光装置であればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
また、上記した実施例では、被照射軸線としての受熱軸線Raを東西方向に沿わせて(東西方向と平行として)被照射部としての受熱部12を設けていた。しかしながら、次の2つの条件を満たすものであれば、受熱部12(受熱軸線Ra)の伸びる方向は適宜設定すればよく、上記した実施例に限定されるものではない。その1つ目の条件は、第1回転軸13を受熱部12の受熱軸線Raおよび各反射部11における中心位置Cを含む第1平面P1に直交するとともに当該中心位置Cを通る線分とすることである。2つ目の条件は、第2回転軸14を第1平面P1に含まれるもの(第1平面P1上)であって対応する反射部11の中心位置Cを通る線分とすることである。
さらに、上記した実施例では、集光装置10における被照射部として受熱部12を設けていた。しかしながら、被照射部は、次の条件を満たすものであれば、図63に示すように受熱部12に換えて太陽光(その光エネルギー)を直接電力に変換する電力機器である太陽電池41を設ける集光装置10´であってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。その条件は、各反射部11により集光された太陽エネルギーを利用すべく設けられるものであることである。その図63では、集光装置10´を備えて構成した太陽光発電装置40を示している。その太陽電池41は、各反射部11からの反射光が照射されると受光することにより、太陽エネルギーを利用することとなる。その太陽光発電装置40では、集光装置10´の被照射部を太陽電池41としていることから、上記した太陽熱発電装置30のように循環パイプ31とタービン32と発電機33と凝集機34(図1参照)とを設けることなく、太陽エネルギー(その光エネルギー)を利用して電力を生成することができる。このため、太陽光発電装置40では、集光装置10´の太陽電池41に出力線42が設けられている。その出力線42は、配電路に接続されており、太陽電池41で生成(発電)した電力を配電路へと出力することができる。なお、集光装置10´は、受熱部12を太陽電池41に換えたことを除くと、集光装置10と同様の構成とされている。このように、太陽光発電装置40は、太陽エネルギーから電力を生成するソーラー発電装置のうちの太陽の光エネルギーを利用して電力を生成(発電)する発電装置となる。このように太陽光発電装置40を構成する場合であっても、被照射部の大きさ寸法を増大させることは太陽電池41の増加を招くことから望ましくない。このため、太陽光発電装置40では、上記した集光装置10のように各反射部11を対応する第1回転軸13回りに回転させても受熱部12(被照射部)に形成する照射領域IAが受熱軸線Ra(被照射軸線)に対して回転することを防止することで、太陽の位置の変化に応じて第1回転軸13回りに各反射部11を回転させても常に効率よく太陽光を受熱部12に集光することができることにより、効率よく太陽エネルギーを利用して電力を生成(発電)することができる。なお、このように太陽光発電装置40を構成する場合、太陽電池41におけるエネルギー変換効率の低下を防止するために、太陽電池41を冷却する機構を設けることが望ましい。
上記した実施例では、第1回転軸ステージ26に対して第1回転軸13(第1軸線)回りに回転可能に当該第1回転軸ステージ26で第2回転軸ステージ25を支持するとともに、その第2回転軸ステージ25に対して第1回転軸13に直交する第2回転軸14(第2軸線)回り回転可能に当該第2回転軸ステージ25で反射部11を支持している。しかしながら、次の2つの条件を満たすものであれば、第2回転軸ステージ25および第1回転軸ステージ26を用いないものとしてもよく、上記した実施例の構成に限定されるものではない。その1つ目の条件は、第1回転軸13を受熱部12の受熱軸線Raおよび各反射部11における中心位置Cを含む第1平面P1に直交するとともに当該中心位置Cを通る線分とすることである。2つ目の条件は、第2回転軸14を第1平面P1に含まれるもの(第1平面P1上)であって対応する反射部11の中心位置Cを通る線分とすることである。
上記した実施例では、第2回転軸ステージ25に一対の支持突起25cを設けていたが、支持する反射部11の中心位置Cを通る第1軸線回りに回転可能に当該第2回転軸ステージ25を支持するための被支持箇所を設けるものであればよく、上記した実施例の構成に限定されるものではない。
上記した実施例では、第2回転軸ステージ25に一対の支持穴25dを設けていたが、反射部11の中心位置Cを通りかつ第1軸線に直交する第2軸線回りに回転可能に反射部11を支持するための支持箇所を設けるものであればよく、上記した実施例の構成に限定されるものではない。
上記した実施例では、第1回転軸ステージ26で第2回転軸ステージ25を支持している。しかしながら、次の2つの条件を満たすものであれば、第1回転軸ステージ26を用いないものとしてもよく、上記した実施例の構成に限定されるものではない。その条件とは、反射部11の中心位置Cを通る第1軸線を第2回転軸ステージ25が支持する反射部11に対応して設定した第1回転軸13に一致させつつ、当該第1軸線回りに回転可能に被支持箇所で第2回転軸ステージ25を支持することである。
上記した実施例では、一方向(短尺方向)で曲線状とされて他方向(長尺方向)に平坦な鏡で形成された各反射部11を用いていたが、図64に示すように、法線方向で見て長方形状を呈する平坦な鏡で形成した各反射部11´を用いる集光装置10´´であってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。この集光装置10´´は、各反射部11が各反射部11´とされていることを除くと、集光装置10と同様の構成とされている。
上記した実施例では、各反射部11が、一方向(短尺方向)で曲線状とされて他方向(長尺方向)に平坦な鏡で形成されて法線方向で見ると長方形状とされていたが、各反射部11を対応する第1回転軸13回りに回転させた際に被照射部としての受熱部12(被照射部)に形成する照射領域IAが受熱軸線Ra(被照射軸線)に対して回転することにより受熱部12(その被照射面)における照射領域IAの態様が変化するものであれば、法線方向で見た形状は適宜設定すればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、各反射部11が、受熱軸線Ra(被照射軸線)が伸びる方向に沿う照射領域IAを受熱部12(被照射部)に形成するものとされていたが、照射領域IAにおいて太陽の像を受熱部12に形成するものであってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、被照射部を被照射軸線(受熱軸線Ra)方向に長尺な受熱部12として複数の反射ラインLn(図1の例では4列(n=1〜4)を跨いで設けていたが、各反射部11を対応する第1回転軸13回りに回転させた際に被照射部に形成する照射領域IAが被照射軸線に対して回転することを防止することにより同様の効果を得ることができるものであれば、各反射部11が形成する照射領域IAと一致する形状とされているものであってもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、各反射部11は、東西方向で見て複数の反射ラインLn(図1の例では4列(n=1〜4))を形成しつつ、各反射ラインLnにおいて南北方向に複数個(図1の例では9個)並列されて設けられていた。しかしながら、各反射部11は、太陽光を反射した反射光で被照射部(実施例では受熱部12)を照射するものであれば、設置位置は適宜設定すればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、被照射部としての受熱部12が、中空で断面が円形の管状(円筒形状)を呈するものとされていた。しかしながら、各反射部11からの反射光が照射されると受熱するものであればよく、上記した実施例の構成に限定されるものではない。その他の構成としては、例えば、熱媒体を循環させる筒状のパイプ部材(受熱部12)の上方に断熱部材を設けるものであってもよく、そのパイプ部材や後述する集熱パイプ15(図65参照)に集光すべく複合放物面トラフ鏡(CPC=Compound Parabolic Concentrator(多焦点放物面鏡))を設けるものであってもあってもよい。また、その他の構成について、図65を用いて説明する。図65に示す受熱部12´では、複数の集熱パイプ15と、断熱外壁16と、吸熱網17と、を有する。その各集熱パイプ15と断熱外壁16と吸熱網17とは、東西方向に伸びる受熱部12の全長に渡って同様の構成とされている。その各集熱パイプ15は、ステンレス等の材料で形成したパイプ(管)であり、東西方向で見た両端部が後述する循環パイプ31(図1参照)に接続さている。各集熱パイプ15は、内部に熱媒体(空気、蒸気等)が充填されており、両端部に接続された循環パイプ31と協働して熱媒体を循環させる経路を形成している。その各集熱パイプ15に充填されて循環させる熱媒体として、CO2ガス(炭酸ガス)があげられる。集熱パイプ15は、図65に示す例では、6本が並列されて設けられている。その各集熱パイプ15は、各反射部11からの反射光で照射されることにより加熱され、その熱を熱媒体に伝える(移動させる)ことで熱媒体を加熱して当該熱媒体の温度を上昇させる。そして、各集熱パイプ15(受熱部12)は、循環パイプ31との協働により、温度を上昇させた熱媒体を循環させてタービン32(図1参照)に供給する。断熱外壁16は、熱を遮断する機能を有する材料で形成されている。この断熱外壁16は、断面形状が円弧状を呈し、全ての集熱パイプ15の上方を掛け渡すように各集熱パイプ15の上方を覆って設けられている。断熱外壁16では、南北方向で見た両端となる両側縁部16aが、吸熱網17(その縁部)の近傍位置を通りつつ当該吸熱網17よりも下方へと張り出している。その吸熱網17は、断熱外壁16の内方(下側)において、全ての集熱パイプ15の下方を塞ぐように設けられている。この吸熱網17は、線状部材が井桁状あるいはハニカム構造等とされることで所定の厚さ寸法(図65を正面視した上下方向で見た大きさ寸法)とされて構成されている。吸熱網17は、例えば、ステンレス材料からなる線状部材が用いた所謂ステンレスメッシュとすることで形成することができる。この吸熱網17は、各反射部11からの反射光の透過を許して各集熱パイプ15への到達を可能とするとともに、放射光(熱輻射)が内側(断熱外壁16の内方であって各集熱パイプ15側)から出ることを阻む構造となっている。このように構成すると、受熱部12では、断熱外壁16内で上昇気流が生じることに起因する対流熱損失を大幅に抑制することができる。このような構成とする場合、受熱軸線Raは、受熱部12の中心軸線としてもよく、反射部11からの反射光で照射される吸熱網17の中心位置(中心軸線)、もしくはその反射光からの熱を集める複数の集熱パイプ15の中心位置(中心軸線)としてもよい。
上記した実施例では、各反射部11の中心位置Cを、その反射部11における中心位置としていたが、各反射部11の第1回転軸13および第2回転軸14回りの回転の共通する中心位置となるものであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
以上、本発明の集光装置、それを用いた太陽熱発電装置および太陽光発電装置を実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。