JP2014534869A - 骨接合クリップ - Google Patents

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Abstract

本発明は、全体にU字形の骨接合クリップ(1)に関し、前記クリップ(1)は、2つのアンカバー(2,3)と、閉形態及び開形態を呈するように構成された長手開口部(5)を含む接続バー(4)とを含み、前記クリップは、略楕円形の区画を有し、前記開口部内に収容される圧迫片(20)を含み、前記圧迫片は、前記開口部内で廻されることで、前記開口部を閉形態から少なくとも一つの前記開形態、及びその逆に変化させる。

Description

本発明は、例えば、骨切」断、2つの骨片間の関節固定、又は、骨への軟組織の固定に利用される骨接合クリップに関する。
骨を修復するための外科用クリップがいくつか存在する。これらのクリップには、全体的にU字形をしたものがあり、その垂直なU字状のバーの先端部は、例えば、2つの別の骨片を互いに接近させるために、その2つの骨片に挿入されることが意図されている。
本願において、インプラントやクリップ等の装置の先端部は、外科医の手から最も遠くにある端部を意味するものとして理解されたい、また、基端部は、外科医の手に最も近い端部を意味することを理解されたい。同様に、本願において、「先端方向」は、クリップの「嵌入方向」を意味し、「基端方向」は、嵌入方向と逆の方向を意味するものと理解されたい。
一般に、U字形クリップを導入する前に、接合する予定の2つの骨片にそれぞれ一つずつ、2つの穴が穿孔され、その後、クリップは、各垂直バーを穴に挿入することで、嵌入される。クリップが嵌入された後では、2つの垂直バーによって加えられる圧迫状態を調整することが極めて困難であり、この圧迫が弱すぎると、2つの骨片を互いに近付けることが最適に行われない。同様に、圧迫が強すぎる場合に、その圧力を緩和することができない。
したがって、全体がU字形のクリップにおいて、U字形を構成する2つの垂直バーによって、例えば、互いに接近させるべき2つの骨片に加えられる圧迫状態の調整、特に、クリップが嵌入された後、すなわち、U字形を構成する2つの垂直バーが既に骨片に挿入された仮導入状態での調整を可能にすることが求められている。
本発明は、全体がU字形のクリップであって、U字形を構成する2つの垂直バーによって加えられる圧迫力を、クリップの嵌入後に増減できるU字形クリップを提供することによって、前述の要望を満たすことを目的とする。
本発明は、全体がU字形の骨接合クリップに関し、本骨接合クリップは、
U字形のうちの2つの垂直バーに相当し、骨部分に挿入されるべき先端部、及び基端部をそれぞれ含む、少なくとも2つのアンカバーと、
U字形のうちの水平バーに相当し、2つのアンカバーの各基端部を共に連結する少なくとも一つの接続バーであって、端部において互いに結合される2つの対向する側面壁に接続バーを分割する少なくとも一つの長手開口部を含み、前記長手開口部は、接続バーを含む平面Pであって、U字形クリップを含む平面と垂直な平面Pにおいて変形可能であり、この変形により、開口部が、2つのアンカバーが互いに略平行で、且つ、前記2つの側面壁が互いに接近することで、2つのアンカバーの2つの基端部の間の距離が値L1を有する閉形態と、前記2つの側面壁の中央部が、前記開口部の両側にそれぞれ互いから離れることで、2つのアンカバーの2つの基端部の間の距離が、L1より確実に小さい値L2を有する、少なくとも一つの開形態と、を呈するように構成される、接続バーと、
を含む。
本骨接合クリップにおいて、
前記クリップは、能動部と呼ばれる少なくとも一つの部位を有する圧迫片を更に含み、前記部位の断面は、圧迫片の平面Aにおいて全体的に楕円形状であり、前記圧迫片が前記開口部に収容されると、平面Aが前記平面Pと一致すると共に、能動部の外面の少なくとも一部が、接続バーの前記2つの側面壁の内面の少なくとも一部と接触し、前記圧迫片は、前記能動部の前記楕円形状の中心を通り、且つ前記平面Pと垂直な軸Bを中心に廻されることで、前記開口部を閉形態から少なくとも一つのいわゆる開形態に、又はその逆に動かすように構成される。
したがって、本発明に係るクリップにおいて、2つのアンカバーの2つの基端部の間の距離は、接続バーに形成された開口部に収容された圧迫片の回転によって、L1とL2の間で変化し得る。実際、圧迫片が平面Aにおいて全体的に楕円形状を有することにより、平面Pにおける圧迫片の回転が、側面壁を互いに離れる方向に動かして側面壁を変形させ、その結果、接続バーに形成された開口部の幅が変化して、2つのアンカバーの2つの基端部を互いに接近させる。
本願の目的において、「楕円形状」は、楕円形、長円形、長楕円形、若しくは卵型形状、又は、より一般的には、回転軸を有し、且つ、半径が一定でない、円盤又は円以外の楕円に分類される各種の形状を意味する。
圧迫片は前記開口部に収容されるため、アンカバーによって互いに近付けることを意図した骨部分又は他の組織内に、2つのアンカバーが挿入された状態であっても、圧迫片は、使用者、例えば、外科医の手の届く範囲に残る。したがって、外科医は、必要に応じて適切な器具を利用して、前記圧迫片を回転させることで、2つのアンカバーの2つの基端部の間の距離を変えることができる。
2つのアンカバーの2つの基端部の間の距離を変えることによって、2つのアンカバー間の距離も変化し、その結果、アンカバーの先端部が挿入された骨部分又は組織内に、その2つのアンカバーによって付与される圧迫力が変化する。
本発明に係るクリップは、手術後の正常な生理的位置に骨部分を維持することができ、且つ、骨固定期間中の圧迫力を維持することができる。
例えば、本発明に係る一つ以上のクリップは、強直母趾の処置に利用することができ、関節面の回復後、その関節面は、固定期間中、本発明に係る一つ以上のクリップを利用して密着した状態に維持される。
本発明に係るクリップを利用して、足、手、若しくは任意の他の部位の骨片を互いに近付けること、又は、関節に対して関節固定術を施すことができる。本発明に係るクリップは、2つの隣接した椎骨を互いに接近させることにも利用できる。
一実施形態において、本発明に係るクリップは、前記平面Pにおける前記圧迫片の回転を案内する手段を含む。例えば、案内手段は、内側と外側とで係合して、前記平面Pにおける前記圧迫片の回転を案内するように構成された少なくとも一つの溝及び一つのビードを含み、前記溝と前記ビードのうちの一方は、前記側面壁の内面に配置され、前記溝と前記ビードのうちの他方は、前記圧迫片の前記能動部の前記外面に配置される。例えば、各側面壁の内面が、平面Pに配置される溝を含み、圧迫片の能動部の外面が、同様に平面Pに配置される外周ビードを含んでよく、前記ビードは、2つの各側面壁の溝に嵌め込まれる。これにより、圧迫片が軸Bを中心に回転するときに、ビードが2つの溝に嵌め込まれた状態に残ることで、圧迫片の能動部が平面P内に確実に維持されて、2つの側面壁は、互いに離れるように、又は互いに近づくように動く。他の実施形態において、各側面壁の内面が、平面Pに配置されるビードを含み、圧迫片の能動部の外面が、同様に平面Pに配置される外周溝を含んでもよく、この場合、外周溝が、2つの各側面壁それぞれのビードに嵌め込まれる。
一実施形態において、本発明に係るクリップは、前記圧迫片を各種異なる回転角度でブロックする手段を含む。例えば、ブロック手段は、前記能動部の外周に分散された複数のレリーフを含み、前記レリーフは、前記側面壁の内面に設けられた一つ以上の相補形レリーフと連続的に係合するように構成され、相補形レリーフ内への一つ以上のレリーフの係合により、所定の回転角度において圧迫片の前記回転を阻止する。圧迫片の能動部は全体的に楕円形であるため、この係合により、開口部の所望の幅を選択でき、2つのアンカバーの基端部の間を所望の距離に調整し、ひいては、これら2つのアンカバーが挿入された骨部分又は他の組織に対してアンカバーから付与される圧迫力を調整することができる。実際に、能動部の外周に分散された複数のレリーフは、開口部が取り得る複数の幅の選択を可能にするが、これは、相補形レリーフ内へのレリーフの係合がブロックされることで実現する。
一実施形態において、本発明に係るクリップは、前記アンカバーを位置ずれさせる、ずらし手段を含み、このずらし手段は、前記開口部の開形態において、前記アンカバーの各先端領域のうちの片側だけを違いに遠ざける、又は近付けるように配置される。例えば、前記ずらし手段は、各側面壁に形成されて、端部において互いに結合される基端区画と先端区画の2つの長手区画に側面壁を分離する長穴を含み、前記基端区画及び先端区画は、それぞれ他方の区画と独立して平面P内で変形することができる。
したがって、本発明の一実施形態において、前記圧迫片の前記能動部の前記外面の前記少なくとも一部は、前記側面壁の前記基端区画の内面のみと接触し、前記2つのアンカバーの前記先端領域は、前記開口が開形態にあるときに、互いから遠ざかる。
本発明の他の実施形態において、前記圧迫片の前記能動部の前記外面の前記少なくとも一部は、前記側面壁の前記先端区画の内面のみと接触し、前記2つのアンカバーの前記先端領域は、前記開口部が開形態にあるときに、互いに接近する。本実施形態により、アンカバーによって骨部分又は他の組織に付与される圧迫力を更に強くして、骨部分又は組織をより近付けることができる。
本発明の一実施形態において、前記2つのアンカバーの先端領域には、前記アンカバーの骨部分への固定をより強化するための留めノッチが設けられる。
本発明の一実施形態において、前記圧迫片の基端面は、圧迫片に回転動作を与えるための器具と協働するように適合された表面を含む。例えば、前記表面は、六角形の輪郭を有する窪みを有し、前記窪みは、収容された開口部内で圧迫片を回転させることが可能な、対応する輪郭のキーを収容するように適合される。
本発明の利点は、下記の説明及び付属の図面からより明瞭になるであろう。
本発明に係るクリップの展開斜視図である。 圧迫片が開口部に収容された、図1のクリップの斜視図である。 開口部が閉形態にある、図2のクリップの上面図である。 開口部が開形態にある、図2のクリップの上面図である。 本発明に係るクリップの第1の代替実施形態を示す展開斜視図である。 開口部が閉形態にある、本発明に係るクリップの第2の代替実施形態を示す上面図である。 開口部がブロックされた開形態にある、図6のクリップの上面図である。 開口部が開形態にあり、2つの骨部分を互いに接近させるように埋め込まれた状態で示す、図1のクリップの断面図である。 図5と同様のクリップのU字形部分に利用でき、開口部の開形態においてアンカバーの先端領域を互いに近付ける圧迫片を示す斜視断面図である。 判り易くするために圧迫片を図示しない状態で示す、図9Aの圧迫片と共に利用できるクリップのU字形部分の、開口部が開形態にある斜視図である。 図5と同様のクリップのU字形部分に利用でき、開口部の開形態においてアンカバーの先端領域を互いに遠ざける圧迫片を示す斜視断面図である。 判り易くするために圧迫片を図示しない状態で示す、図10Aの圧迫片に利用できるクリップのU字形部分の、開口部が開形態にある斜視図である。
図1及び図2を参照すると、例えば、2つの骨片を互いに接近させる(図8を参照)ために用いられる、本発明に係るクリップ1が示されている。骨片は、互いに接近させる足若しくは手の骨片、又は2つの隣接する椎骨であってよい。クリップ1は、全体的にU字形であり、概して、クリップ1の平面とも呼ばれるU字形平面内に構成される。
クリップ1は、U字形のうちの垂直バーに相当する2つのアンカバー(2,3)を含む。各アンカバー(2,3)は、骨片内に挿入されることが意図される先端部(2a,3a)を含む。図に示すように、アンカバー(2,3)の先端部(2a,3a)は、アンカバー(2,3)の骨片への挿入を容易にする尖頭部(2b,3b)を有する。各アンカバー(2,3)は、先端部(2a,3a)の反対側に位置する基端部(2c,3c)も有する。
また、各アンカバー(2,3)は、その先端領域に、複数個、図示した例では3つのノッチを有し、これらのノッチは、各バー(2,3)の骨片への固定を強化すると共に、クリップ1が接近させる骨片に挿入された後、基端方向へのクリップ1の動きを規制するように構成される。
クリップ1は、U字形のうちの水平バーに相当し、2つのアンカバー(2,3)の各基端部(2c,3c)を共に結合する接続バー4を更に含む。図から判るように、2つのアンカバー(2,3)及び接続バー4は、同一平面であるU字形平面内に設けられる。この平面において、アンカバー(2,3)は互いに略平行である。
接続バー4は、その接続バー4自体を、端部において結合される2つの対向する側面壁(6,7)に分割する長手開口部5を含み、この結合端部は、接続バー4とアンカバー(2,3)の接合ポイント(8,9)に相当する。
図3及び図4を参照して説明すると、側面壁(6,7)は、平面Pにおいて変形可能である。図8に記載した、この平面Pは、接続バー4を含む平面であり、U字形クリップを包含する平面に垂直である。これらの図から判るように、開口部5は、2つのアンカバー(2,3)が互いに略平行であると共に、前述した2つの側面壁(6,7)が互いに接近して、2つのアンカバー(2,3)の2つの基端部(2c,3c)の間の距離が値L1を有する閉形態(図3)と、前述した2つの側面壁(6,7)の中央部(6a,7a)が、開口部5の各側に互いから離れて、2つのアンカバー(2,3)の2つの基端部(2c,3c)の間の距離が確実にL1より小さい値L2を有する、少なくとも一つの開形態(図4)と、を取るように構成される。
図1に示すように、側面壁6の中央部6aの内面には、ビード6bが設けられる。図には示してないが、側面壁7の中央部7aの内面には、反対側の側面壁のビードと同一のビード7bが設けられている。
例えば、クリップ1の接続バー4及びアンカバー(2,3)は、ステンレス鋼、クロミウム/コバルト合金、ポリ乳酸、ポリエーテルエーテルケトン、チタニウム、及びこれらの混合物から選択される材料で作製される。
クリップは、断面が楕円形である円筒形状を有する小片の形の圧迫片20を更に含み、圧迫片20は、互いに反対側に位置する2つの楕円区画である基端面20a及び先端面20b、並びにこれら2つの基端面20a及び先端面20bを接続する周壁20cを有する。円筒部の高さは、両側の表面の寸法(幅及び長さ)よりも遥かに小さいため、圧迫片は、概ね平面A(小片平面)内に含まれ、楕円区画を有する各表面の中心を通り、この圧迫片の平面Aと垂直な回転軸Bを有する。図1〜図4に示した例において、圧迫片20の周壁20cには、高さの中央部に外周溝22が設けられ、この外周溝22は、基端外周部21aと先端外周部21bとに周壁20cを分割する。図から判るように、圧迫片20の基端外周部21a及び先端外周部21bは、圧迫片の平面において、全体的に楕円形の区画を有する。圧迫片のこれらの基端外周部21aと先端外周部21bとで、圧迫片20の能動部(21a,21b)と呼ばれる部位を構成する。この部位は、下記の説明から判るように、側面壁(6,7)の内面と協働して、開口部5を閉形態から開形態に変化させる部位として形成される。
図示した例において、圧迫片20の基端面20aには、断面が六角形の窪み23が設けられ、下記で説明するように、この窪み23は、圧迫片に回転移動を付与するための相補形キーを収容するように適合される。
圧迫片20は、ステンレス鋼、クロミウム/コバルト合金、ポリ乳酸、ポリエーテルエーテルケトン、チタニウム、及びこれらの混合物から選択される材料で作製できる。
次に、例えば、2つの骨片を互いに近付ける、クリップ1の用途について図1〜図4及び図8を参照しながら説明する。
クリップ1は、図2及び図3に示すような組立てられた位置で、開口部5が閉形態にある状態で外科医に提供される。この位置において、圧迫片20は、開口部5に嵌入されており、その能動部(21a,21b)は接続バー4の平面P内にあり、側面壁(6,7)の内面のビード(6b,7b)は、圧迫片20の周壁の溝22と係合している。また、開口部5のこの閉形態において、圧迫片20の長軸は、接続バー4の長手軸に一致している。圧迫片20の能動部(21a,21b)、すなわち、外周基端部21a及び外周先端部21bは、側面壁(6,7)の内面と接触している。アンカバー(2,3)は、クリップ1の平面、すなわち、クリップ1によって形成されるU字形平面において互いに略平行である。
図3から判るように、開口部5の閉形態において、側面壁(6,7)は、互いに近づいた状態にあり、2つのアンカバー(2,3)の2つの基端部(2c,3c)の間の距離は値L1を有する。
骨接合を行うため、又は2つの骨片、例えば、図8に示すような第1骨片30及び第2骨片40を互いに接近させるために、外科医は、適切な補助器具(図示せず)を利用して、図2に示すように開口部5が閉形態にあるクリップ1を握り、互いに接近させる骨片(30,40)内に予め形成されている2つの穴の中に、アンカバー(2,3)の先端部(2a,3a)の尖頭部(2b,3b)から2つのアンカバー(2,3)を挿入することによって、クリップ1を嵌入する。
このようにクリップ1が挿入された後、外科医は、窪み23に対して相補形であるキーを有する器具(図示せず)を握り、開口部5内での軸Bを中心とした回転を圧迫片20に付与する。この回転中、圧迫片20の溝22と、側面壁(6,7)の内面のビード(6b,7b)とが案内手段として利用されるため、圧迫片20が、接続バー4を含み、クリップ1の平面と垂直な平面Pにおいて回転することはない。また、圧迫片20の能動部(21a,21b)が、楕円形状であること、及び側面壁(6,7)と接触していることから、圧迫片20の回転により側面壁(6,7)が変形して、図4に示すように、互いに離れる方向に動く。側面壁の中央部(6a,7a)の互いに遠ざかる動きは、アンカバー(2,3)の基端部(2c,3c)を互いに接近させるため、2つの基端部(2c,3c)の間の距離は、図4に示すように、L1よりも確実に小さい値L2になる。
このように、接近させるべき骨片(30,40)にアンカバー(2,3)が挿入された後で、圧迫片20を回転させることによって、2つのアンカバー(2,3)から骨片(30,40)に付与される圧迫力を調整し、特に、その圧迫力を大きくすることができる。
図8に、骨片(30,40)に挿入されて、前述したように圧迫片20が回転された後のクリップ1を示す。ここで、アンカバー(2,3)の2つの基端部(2c,3c)の間の距離はL2、すなわち、クリップ1の嵌入ステップにおける距離L1よりも小さい距離である。したがって、2つの骨片(30,40)は、圧迫片20の回転によって互いに近づけられている。
図8に示した例において、2つのアンカバー(2,3)は、開口部5が開形態にあるとき、すなわち、クリップ1が骨片(30,40)内に嵌入されて、圧迫片20が前述したように回転された状態にあるときにも、クリップ1の平面において互いに平行である。実際には、本例において、圧迫片20の能動部(21a,21b)が、側面壁(6,7)の高さ全体に均等に作用するため、アンカバー(2,3)の基端部(2c,3c)が互いに接近する動きは、骨片内で互いに接近するアンカバー(2,3)の平行移動を伴う。
圧迫片20により、2つの骨片を確実に固定することができると共に、組立構造体の変位又は圧迫力の喪失を招く動きを防ぐことができる。
また、クリップ1が嵌入された後、クリップ1と一体のまま残る圧迫片20の存在により、クリップの膨脹を防いで、開口部5を恒久的に開形態に維持できるため、2つの骨片(30,40)に対する所望の圧迫力を保持して、骨の癒合が生じるまで互いに接近した位置に骨片(30,40)を維持することができる。
また、骨片(30,40)に押し付けられた状態での圧迫片20の恒久的存在により、骨片が重なり合うことを防止できる。
図5を参照すると、図1のクリップ1の代替実施形態が示されている。図において、圧迫片20の回転を案内する手段である溝及びビードが、圧迫片の周壁20cと接続バー4の側面壁(6,7)の内面とで入れ替わり、溝が、穴を形成する貫通溝となっている。この図5において、図1〜図4と同じ要素を表す参照番号は、そのまま維持されている。
したがって、圧迫片20の周壁20cに、外周ビード24が設けられ、側面壁(6,7)の中央部(6a,7a)の内面には、長穴(6c,7c)がそれぞれ設けられる。外周ビード24は、周壁20cの高さの中央に配置されて、共に圧迫片20の能動部(21a,21b)を構成する、圧迫片20の外周基端部21a及び外周先端部21bを画定する。
また、長穴6cは、端部において互いに結合される2つの長手区画である基端区画61及び先端区画62に側面壁6を分割する。基端区画61及び先端区画62は、下記の説明から明らかになるように、平面Pにおいて、他方の区画とは独立して変形することができる。同様に、長穴7cは、端部において互いに結合される2つの長手区画である基端区画71及び先端区画72に側面壁を分割し、基端区画71及び先端区画72は、平面Pにおいて、他方の区画とは独立して変形できる。
図5のクリップ1が組み立てられた状態にあり、圧迫片20が開口部5内に貫入されているとき、外周ビード24が2つの側面壁(6,7)の溝(6c,7c)と係合し、圧迫片20の能動部(21a,21b)が側面壁(6,7)と接触するため、外周ビード24及び溝(6c,7c)は、軸Bを中心とした圧迫片20の回転を案内する手段として機能し、平面P内における圧迫片20の回転を確実に防止する。図5のクリップ1は、図1〜図4のクリップについて前述したように、2つの骨部分を互いに接近させるために利用できる。
図6及び図7を参照すると、図1〜図4又は図5のクリップ1の他の代替実施形態が示されている。このクリップは、異なる角度で圧迫片20の回転を阻止する手段を更に含む。これらの図において、図1〜図4と同じ要素を表す参照番号は、そのまま維持されている。
本発明に係るクリップ1のこの代替実施形態において、圧迫片20の能動部(図には外周基端部21aのみを図示)には、能動部21aの外周に沿って分散された、例えば、ノッチ25の形式の複数のレリーフが設けられる。側面壁(6,7)の中央部(6a,7a)の内面には、例えば、突起(6d,7d)の形の相補形レリーフがそれぞれ設けられ、これらの突起(6d,7d)は、ノッチ25のうちの一つと噛み合うように構成されて、圧迫片20の回転を阻止する。したがって、能動部21aの楕円形状により、開口部5に複数の開形態を提供することができ、これらの開形態において、開口幅をそれぞれ変えることができ、より大きい開口幅は、能動部21の長軸が接続バー4の長手軸と垂直になるときに達成される。図7に示した例において、開口部は、半開形態であり、能動部21aの長軸は、接続バー4の長手軸に対して約45°の角度を形成する。
このため、図1〜図4のクリップ1に付与される定義によれば、図7の2つの基端部(2c,3c)の間の距離は、L1とL2の間の値L3を有する。クリップ1のこのような実施形態により、アンカバー(2,3)によって付与される、互いに接近させる骨部分に対する圧迫力は、開口部5が図6に示すような閉形態にあるときに付与される最小圧迫力と、能動部21aの長軸が接続バー4の長手軸と垂直になる、開口部の開形態において付与される最大圧迫力との間で調整することができる。
圧迫片20を特定の回転角度でブロックすることは、外科医の要望に応じて、一時的又は恒久的に行うことができる。恒久的にすることを外科医が所望した場合、前述したようなキーが設けられた器具を利用してブロック角度を変えること、及び、圧迫片20を解放して、異なる回転角度に圧迫片20をピボット回転させることが可能であってよい。
図9A〜図10Bを参照すると、図5のものと同様のクリップ1の2つの代替実施形態が示されている。これらの実施得形態において、クリップ1は、開口部の開形態において、2つのアンカバーの各先端領域を片側だけ互いから遠ざける、又は互いに近付けるように構成された、アンカバーを位置ずれさせるずらし手段を更に含む。これらの図において、クリップのU字形部分、すなわちアンカバー及び接続バーは、アンカバー(2,3)を引っ掛けるノッチ(2d,3d)が存在しない点だけ図5と異なり、図5と同じ要素を表す参照番号はそのまま保持されている。
図9Aを参照すると、図5の圧迫片20の代替実施形態が示されており、この圧迫片20のうちの、外周ビード24より基部側に位置する部分は、開口部5の形態がいずれであっても、圧迫片20が開口部5内に収容されたときに、接続バー4の側面壁(6,7)の内面と接触しないように寸法決めされる。特に、圧迫片20の基端部、図9Aに示す例ではリング26の形式の部分は、側面壁(6,7)の基端区画(61,71)(図5を参照)と協働しない寸法である。したがって、リング26は、開口部5の直径よりも小さい外径を有し、圧迫片20の能動部を構成しないため、図9Aの圧迫片20の能動部は、先端外周部21bに限定される。
したがって、図9Aの圧迫片20が、図5のクリップのU字形部分の開口部5内に収容されたときに、圧迫片20を前述したように回転させると、図9Bに示すように側面壁(6,7)の先端区画(62,72)のみが変形する。図9Bには、判り易くするために圧迫片20が示されていないが、図示した変形は、圧迫片20の存在によって引き起こされるものである。図9Bから判るように、先端区画(62,72)の変形が、基端区画(61,71)の全く変形しない、又は極めて僅かしか変形しない動きと組み合わされることで、開口部5の開形態において、既に図4で見てきたように、一方で、アンカバーの基端部(2c,3c)、もう一方で、2つのアンカバー(2,3)の先端領域、特に、先端部(2a,3a)を互いに接近させる。したがって、本実施形態は、図9A及び図9Bに示すように、互いに近付けるべき2つの骨部分に対して2つのアンカバー(2,3)によって付与される圧迫力を更に大きくすることができる。
図10Aを参照すると、図5の圧迫片20の代替実施形態が示されており、本実施形態において、圧迫片20のうちの外周ビード24よりも先端側に位置する部分は、開口部5の形態がいずれであっても、圧迫片20が開口部5内に収容されたときに、接続バー4の側面壁(6,7)の内面に接触しないように寸法決めされる。特に、図10Aに示した例においてリング27の形式である、圧迫片20の先端部は、側面壁(6,7)の先端区画(62,72)(図5を参照)と協働しない寸法である。したがって、リング27は、開口部5の直径よりも小さい外径を有し、圧迫片20の能動部の一部を構成しないため、図10Aの圧迫片20の能動部は、基端外周部21aに限定される。
これにより、図10Aの圧迫片20が図5のクリップのU字形部分の開口部5に収容されたときに、前述したように圧迫片20に回転を与えると、図10Bに示すように、側面壁(6,7)の基端区画(61,71)のみが変形する。図10Bには、判り易くするために圧迫片20が示されていないが、図示されている変形は、圧迫片20の存在によって引き起こされるものである。この図10Bから判るように、基端区画(61,71)の変形は、先端区画(62,72)の全く変形しない、又は非常に僅かしか変形しない動きと組み合わされて、開口部5の開形態において、図4に示すようにアンカバーの基端部(2c,3c)を互いに近付ける一方で、2つのアンカバー(2,3)の先端領域、特に先端部(2a,3a)を互いから遠ざける。このように、本実施形態は、互いに近付けるべき2つの骨部分に対して2つのアンカバー(2,3)によって付与される圧迫力を抑制することができる。
本発明に係るクリップにより、クリップの嵌入後に、互いに接近させるべき2つの骨片に付与される圧迫力を、例えば、この圧迫力を増大又は低減するというように変化させることができる。また、骨固定に必要な期間に亘って、選択された圧迫力を維持することができる。

Claims (11)

  1. 全体にU字形の骨接合クリップ(1)であって、
    U字形のうちの2つの垂直バーに相当し、骨部分(30,40)に挿入されるように意図された先端部(2a,3a)、及び基端部(2c,3c)を含む、少なくとも2つのアンカバー(2,3)と、
    U字形のうちの水平バーに相当し、2つのアンカバーの各基端部を共に連結する少なくとも一つの接続バー(4)であって、端部において共に結合される2つの対向する側面壁(6,7)に当該接続バーを分割する少なくとも一つの長手開口部(5)を含み、前記長手開口部(5)は、接続バーを含む平面Pであって、U字形クリップを含む平面に垂直な平面Pにおいて変形可能であり、2つのアンカバーが互いに略平行で、且つ、前記2つの側面壁が互いに接近することで、2つのアンカバーの2つの基端部の間の距離がL1の値を有する閉形態と、前記2つの側面壁の中央部が前記開口部の両側にそれぞれ互いから離れることで、2つのアンカバーの2つの基端部の間の距離がL1よりも確実に小さい値L2を有する、少なくとも一つの開形態と、を呈するように構成される、少なくとも一つの接続バー(4)と、を含み、
    前記クリップは、能動部(21a,21b)と呼ばれる少なくとも一つの部位を有する圧迫片(20)を更に含み、前記圧迫片の平面Aにおける能動部(21a,21b)の断面は全体的に楕円形状であり、前記圧迫片が前記開口部に収容されると、圧迫片の平面Aが前記平面Pと一致すると共に、能動部の外面の少なくとも一部が、接続バーの前記2つの側面壁の内面の少なくとも一部と接触し、前記圧迫片は、前記能動部の前記楕円形状の中心を通り、且つ前記平面Pと垂直な軸Bを中心に廻されることで、前記開口部を閉形態から少なくとも一つのいわゆる開形態まで、又はその逆に動かすように構成される、クリップ。
  2. 前記平面P内での前記圧迫片の回転を案内する案内手段(6b,7b,22)を含む、請求項1に記載のクリップ(1)。
  3. 案内手段は、内側と外側とで係合して、前記平面Pにおける前記圧迫片の回転を案内するように構成された少なくとも一つの溝(22;6c,7c)及び一つのビード(6b,7b;24)を含み、前記溝と前記ビードのうちの一方は、前記側面壁の内面に設けられ、前記溝と前記ビードのうちの他方は、前記圧迫片の前記能動部の前記外面に設けられる、請求項2に記載のクリップ(1)。
  4. 各種異なる回転角度で前記圧迫片をブロックするブロック手段(25,6d,7d)を含む、請求項1乃至3のいずれか一つに記載のクリップ(1)。
  5. 前記ブロック手段は、前記能動部の外周に分散された複数のレリーフ(25)であって、前記側面壁の背面に設けられた一つ以上の相補形レリーフ(6d,7d)に連続的と係合するように構成された複数のレリーフ(25)を含み、相補形レリーフ内への一つ以上のレリーフの係合により、前記回転する圧迫片を所定の回転角度でブロックする、請求項4に記載のクリップ(1)。
  6. 前記アンカバーを位置ずれさせるずらし手段(6c,61,62,7c,71,72,26,27)であって、前記開口部の開形態において、前記アンカバーの各先端領域のうちの片側だけを互いに遠ざける、又は互いに近付けるように配置されたずらし手段を含む、請求項1乃至5のいずれか一つに記載のクリップ(1)。
  7. 前記ずらし手段は、各側面壁に形成されて、端部によって共に結合される基端区画(61,71)及び先端区画(62,72)である2つの長手区画(61,62,71,72)に前記壁を分割する長穴(6c,7c)を含み、前記基端区画及び先端区画は、それぞれ他方の区画とは独立して平面P内で変形可能である、請求項6に記載のクリップ(1)。
  8. 前記圧迫片の前記能動部(21a)の前記外面の前記少なくとも一部は、前記側面壁の前記基端区画(61,71)の内面とのみ接触し、前記2つのアンカバーの前記先端領域は、前記開口部が開形態にあるときに互いから遠ざかる、請求項7に記載のクリップ(1)。
  9. 前記圧迫片の前記能動部(21b)の前記外面の前記少なくとも一部は、前記側面壁の前記先端区画(62,72)の内面とのみ接触し、前記2つのアンカバーの前記先端領域は、前記開口部が開形態にあるときに互いに接近する、請求項7に記載のクリップ(1)。
  10. 前記2つのアンカバーの前記先端領域に、前記骨部分(30,40)への前記アンカバーの固定を強化するように形成された留めノッチ(2d,3d)が設けられる、請求項1乃至9に記載のクリップ(1)。
  11. 前記圧迫片の前記基端面(20a)は、前記圧迫片に回転動作を付与する器具と協働するように構成された表面(23)を含む、請求項1乃至10のいずれか一つに記載のクリップ(1)。
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