本組成物および方法を記載する前に、本発明が、記載される特定の過程、組成物または方法に限定されず、これらが変動し得ることを理解されたい。また、本記載で使用される用語は特定の見解または実施形態のみを記載する目的のものであり、本発明の範囲を限定するものではなく、これは添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることも理解されたい。別段の定めがない限り、本明細書中で使用される全技術および科学用語は、当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書中に記載のものと類似または同等の何らかの方法および材料を本開示の実施形態の実施または試験において使用できるものの、好ましい方法、装置および材料をここで記載する。本発明が、先行発明によってこのような開示に先行することを認められないことを受け入れるものとして解釈されるものはない。
本明細書中で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、内容から明白な指示がない限り、複数への言及も含む。したがって、例えば、「治療薬」に対する言及は、1以上の治療薬および当業者にとって公知の同等物その他への言及である。
本明細書中で使用される場合、「約」という用語は、それが使用される数の数値の+または−10%を意味する。したがって、約50%は、45%から55%の範囲であることを意味する。
「投与する」とは、治療薬と組み合わせて使用される場合、治療薬を直接標的組織にもしくは標的組織上に投与するかまたは、患者に治療薬を投与し、それにより治療薬が、それが標的化される組織を処置することを意味する。したがって、本明細書中で使用される場合、「投与する」という用語は、治療薬と合わせて使用される場合、標的組織にもしくは標的組織上に治療薬を提供すること;例えば静脈内注射によって患者に治療薬を全身的に提供し、それによって治療薬が標的組織に到達し;標的組織に対してそのコード配列の形態で治療薬を提供すること(例えば、いわゆる遺伝子治療技術によって)を含み得るがこれらに限定されない。組成物を「投与する」ことは、経口投与、静脈内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、経皮拡散または電気泳動、局所注射、生体内分解性のまたはリザーバーに基づく移植物などの局所的に移植された遅延放出装置を含む遅延放出送達装置によって、タンパク質治療薬として、または遺伝子治療ベクター、局所投与を介した核酸治療薬として、または、他の公知の技術と組み合わせたこれらの方法の何れかによって、遂行され得る。このような組み合わせ技術としては、加熱、放射線および超音波が挙げられるが限定されない。
「作用物質」は、本明細書中で使用される場合、癌関連配列または癌関連配列によりコードされる分子または癌関連配列によりコードされる分子に結合する受容体に特異的に結合する分子を指す。作用物質の例としては、核酸分子、例えばDNAなど、およびタンパク質、例えば抗体などが挙げられる。作用物質は、下記のように、標識または検出可能な(detectible)物質に連結され得る。作用物質は、治療剤または毒素に連結され得る。
「増幅する」という用語は、本明細書中で使用される場合、例えば、試料中に標的分子が存在することにより生成される、さらなる標的分子または標的様分子または標的分子と相補的な分子を含み得る増幅産物を生成させることを意味する。標的が核酸である状況において、増幅産物は、DNAまたはRNAポリメラーゼまたは逆転写酵素またはそれらの何らかの組み合わせを用いて酵素的に生成され得る。
「動物」、「患者」または「対象」という用語は、本明細書中で使用される場合、ヒト、非ヒト霊長類および非ヒト脊椎動物、例えば、あらゆる哺乳動物、例えばネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ウサギ、げっ歯類、例えばマウスおよびラットなどを含む、野生、家畜および産業動物などを含むがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、「対象」、「患者」または「動物」という用語は、雄を指す。いくつかの実施形態において、「対象」、「患者」または「動物」という用語は、雌を指す。
「抗体」という用語は、本明細書中で使用される場合、免疫グロブリンまたはそれらの一部を意味し、起源、産生方法または他の特徴にかかわらず、抗原−結合部位を含むあらゆるポリペプチドを包含する。この用語には、例えば、ポリクローナル、モノクローナル、単特異性、多特異性、ヒト化、1本鎖、キメラ、合成、組み換え、ハイブリッド、突然変異およびCDR移植抗体が含まれる。抗体の一部は、抗原、例えばFab、F(ab’)2、Fv、scFvに結合し得る何らかの断片を含み得る。
「生体ソース」という用語は、本明細書中で使用される場合、標的ポリヌクレオチドまたはタンパク質またはペプチド断片が由来し得るソースを指す。このソースは、細胞、組織または体液を含むが限定されない、以下で記載される「試料」の何らかの形態であり得る。「異なる生体ソース」は、同じ個体の異なる細胞/組織/器官、または同じ種の異なる個体からの細胞/組織/器官または異なる種からの細胞/組織/器官を指し得る。
「捕捉試薬」という用語は、試料中で検出しようとする標的分子または検体に結合可能な試薬、例えば抗体または抗原結合タンパク質を指す。
「遺伝子発現の結果」という用語は、遺伝子または遺伝子産物の発現に関する定性的および/または定量的結果を指す。当技術分野で公知の何らかの方法は、遺伝子発現結果を定量するために使用され得る。遺伝子発現結果は、遺伝子、その遺伝子によりコードされるRNA、その遺伝子によりコードされるmRNA、その遺伝子によりコードされるタンパク質産物またはそれらの何らかの組み合わせの量またはコピー数であり得る。遺伝子発現結果はまた、標準物質に対して正規化されるかまたは比較され得る。遺伝子発現結果は、例えば、2以上の試料または1以上の試料からの遺伝子発現結果を標準物質または対照と比較することによって、2以上の試料において、遺伝子が発現されるか、過剰発現されるかまたは差別的に発現されるかを判定するために使用され得る。
「相同性」という用語は、本明細書中で使用される場合、相補性の度合いを指す。部分的相同性または完全相同性があり得る。「同一性」という語は、「相同性」という語の代用物であり得る。同一である配列が標的核酸とハイブリッド形成するのを少なくとも部分的に阻害する部分的に相補的な核酸配列は、「実質的に相同」であると言われる。完全に相補的な核酸配列の標的配列とのハイブリッド形成の阻害は、ストリンジェンシーが低い条件下でハイブリッド形成アッセイ(サザンまたはノザンブロット、溶液ハイブリッド形成など)を用いて調べ得る。実質的に相同な配列またはハイブリッド形成プローブは、ストリンジェンシーが低い条件下で、完全に相同な配列の標的配列への結合に対して競合し、阻害する。低ストリンジェンシー条件は、2つの配列の互いの結合が特異的(すなわち選択的)相互作用を必要とするので、これは、低ストリンジェンシーの条件が、非特異的結合が可能になるようなものと言うべきものではない。非特異的な結合がないことは、部分的な相補性の度合い(例えば約30%未満の相同性または同一性)もない第二の標的配列の使用によって試験され得る。非特異的な結合の非存在下において、実質的に相同な配列またはプローブは、第二の非相補性標的配列とハイブリッド形成しない。
本明細書中で使用される場合、「ハイブリッド形成」または「ハイブリッド形成する」という用語は、相補的ヌクレオシドまたはヌクレオチド塩基間の、ワトソン−クリック、フーグスティーンまたは逆フーグスティーン水素結合であり得る水素結合を指す。例えば、アデニンおよびチミンは、水素結合の形成を通じて対形成する相補的核酸塩基である。「相補的な」は、核酸分子に関して本明細書中で使用される場合、2つのヌクレオチド間の精密な対形成能を指す。例えば、オリゴヌクレオチドのある一定の位置のヌクレオチドが、DNAまたはRNA分子の同じ位置のヌクレオチドと水素結合可能である場合、オリゴヌクレオチドおよびDNAまたはRNAは、その位置で互いに相補的であるとみなされる。オリゴヌクレオチドおよびDNAまたはRNAは、各分子における十分な数の対応する位置が、互いに水素結合し得るヌクレオチドにより占有されている場合、互いに相補的である。したがって、「特異的にハイブリッド形成可能な」および「相補的な」は、オリゴヌクレオチドとDNAまたはRNA標的との間で安定で特異的な結合が生じるような、十分な度合いの相補性または精密な対形成を示すために使用される用語である。当技術分野で、核酸配列は、特異的にハイブリッド形成可能であるために、その標的核酸と100%相補的である必要がないことが理解される。核酸化合物は、標的に対する分子の結合がある、および特異的な結合が望ましい条件下、すなわちインビボアッセイまたは治療薬処置の場合は生理的条件下で、およびインビトロアッセイの場合はアッセイが行われる条件下で、非標的配列への分子の非特異的結合を回避するのに十分な相補性の度合いがある場合、特異的にハイブリッド形成可能である。
「阻害する」という用語は、症状の開始を予防するか、症状を軽減するかまたは疾患、状態または障害を解消するための、本開示の化合物の投与を含む。「阻害する」という用語はまた、癌関連配列をコードする遺伝子などの遺伝子の発現レベルを低下させることも指し得る。RNAおよび/またはタンパク質の発現レベルを低下させ得る。
「標識」という用語および/または検出可能な(detectible)物質は、アッセイ試料中での標的ポリヌクレオチドまたはポリペプチドまたはタンパク質の存在を示す検出可能なシグナルを生成可能な組成物を指す。適切な標識としては、放射性同位体、ヌクレオチド発色団、酵素、基質、蛍光分子、化学発光部分、磁性粒子、生物発光部分などが挙げられる。このように、標識は、装置または方法、例えば、以下に限定されないが、分光、光化学、生化学、免疫化学、電気的、光学的、化学的検出装置または何らかの他の適切な装置などにより検出可能な何らかの組成物である。いくつかの実施形態において、標識は、装置を用いずに視覚的に検出可能であり得る。「標識」という用語は、検出可能な物理的特性を有する何らかの化学基もしくは部分または、検出可能な物理的特性を示すための化学基もしくは部分を生じさせることが可能な何らかの化合物、例えば、検出可能な生成物への基質の変換を触媒する酵素など、を指すために使用される。「標識」という用語はまた、特定の物理的特性の発現を阻害する化合物も包含する。標識はまた、結合対のメンバーである化合物でもあり得、その他方のメンバーは検出可能な物理的特性を有する。
「マイクロアレイ」は、例えば、個別領域の直線状または二次元アレイであり、それぞれ、固体支持体の表面上に形成される、定められた区域を有する。マイクロアレイ上の個別領域の密度は、単一の固相支持体の表面上における検出しようとする標的ポリヌクレオチドの総数によって決定され、好ましくは少なくとも約50/cm2、より好ましくは少なくとも約100/cm2、さらにより好ましくは少なくとも約500/cm2、またより好ましくは少なくとも約1,000/cm2である。本明細書中で使用される場合、DNAマイクロアレイは、標的ポリヌクレオチドを同定、増幅、検出またはクローニングするために使用されるチップまたは他の面上に置かれる、オリゴヌクレオチドプライマーのアレイである。アレイにおけるプライマーの各特定の群の位置は既知であるので、標的ポリヌクレオチドの識別は、マイクロアレイにおける特定の位置に対するそれらの結合に基づき決定され得る。
本明細書中で使用される場合、「天然の」という用語は、通常天然で見出される形態であり得る配列または構造を指す。「天然の」は、何らかの動物で通常見出される形態の配列を含み得る。
「核酸」、「ポリヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」または本明細書中の同等物の使用は、一緒に共有結合される少なくとも2つのヌクレオチドを意味する。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、6、8、10、12、20、30または100個以下のヌクレオチドのオリゴマーである。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも6、8、10、12、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、300、400または500ヌクレオチドのオリゴマーである。「ポリヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」は、DNA、RNA、PNAまたは、ホスホジエステルおよび/または何らかの代替的な結合により連結されるヌクレオチドのポリマーを含み得る。
本明細書中で使用される場合、「任意の」または「場合によっては」という用語は、後で記載される構造、事象または状況が起こってもよいしまたは起こらなくてもよい、および、この記述が、その事象が起こる例およびそれが起こらない例を含む実施形態を指す。
「パーセント相同性」、「%相同性」、「パーセント同一性」または「%同一性」という句は、2以上のアミノ酸または核酸配列の比較において見出される配列類似性のパーセンテージを指す。パーセント同一性は、電子的に、例えば、MEGALIGNプログラム(LASERGENEソフトウェアパッケージ、DNASTAR)を使用することによって決定され得る。MEGALIGNプログラムは、様々な方法、例えばClustal法(Higgins,D.G.およびP.M.Sharp(1988)Gene 73:237−244)に従い、2以上の配列間でアラインメントを作成し得る。全ペア間の距離を調べることによって、Clustalアルゴリズムは、配列をクラスターにグループ化する。このクラスターを、対でアラインメントし、次にグループ化する。2つのアミノ酸配列、例えば、配列Aと配列Bとの間のパーセンテージ類似性は、配列Aの長さ−配列Aのギャップ残基数−配列B中のギャップ塩基数を、配列Aと配列Bとの間の残基マッチの合計で除し、100をかけることによって計算される。この2つのアミノ酸配列間のギャップス・オブ・ロウ(Gaps of low)または非相同のギャップは、%類似性を決定する際には含まれない。核酸配列間のパーセント同一性は、Clustal法によるかまたは当技術分野で公知の他の方法、例えばJotun Hein法などによっても計算され得る(例えば、Hein,J.(1990)Method Enzyniol.183:626−645参照)。配列間の同一性はまた、当技術分野で公知の他の方法によって、例えばハイブリッド形成条件を変動させることによっても決定することができる。
「医薬的に許容可能な」は、担体、希釈剤または賦形剤が、処方物の他の成分と適合せねばならず、その受容者に有害であってはならないことを意味する。
「組み換えタンパク質」は、本明細書中で使用される場合、組み換え技術を用いて、例えば、下記で示されるが限定されない組み換え核酸の発現を通じて作製されるタンパク質を意味する。組み換えタンパク質は、少なくとも1以上の特徴によって天然のタンパク質とは区別され得る。例えば、タンパク質は、通常はその野生型宿主において会合されているタンパク質および化合物の一部または全てから、単離または精製され得、したがって実質的に純粋であり得る。例えば、単離タンパク質は、ある種の試料において好ましくは総タンパク質の少なくとも約0.5%、より好ましくは少なくとも約5重量%を構成する、通常はその天然状態において会合されている物質の少なくとも一部を伴わない。実質的に純粋なタンパク質は約50から75%、約80%または約90%を含む。いくつかの実施形態において、実質的に純粋なタンパク質は、総タンパク質の約80から99%、85から99%、90から99%、95から99%または97から99重量%を含む。組み換えタンパク質はまた、異なる生物(例えば、酵母、E.コリなど)または宿主細胞における、ある生物(例えばヒト)由来の癌関連タンパク質の作製も含み得る。あるいは、タンパク質は、誘導性プロモーターまたは高発現プロモーターの使用を通じて、通常見られるものよりも顕著に高い濃度で作製され得、タンパク質が高濃度レベルで作製されるようになる。あるいは、タンパク質は、本明細書中で論じられるとおり、エピトープタグの付加またはアミノ酸置換、挿入および欠失におけるように、天然で通常見られない形態であり得る。
本明細書中で使用される場合、「試料」という用語は、試験されているか、または試薬、作用物質、捕捉試薬、結合パートナーなどで処理される組成物を指す。試料は、対象から得られ得る。いくつかの実施形態において、試料は、血液、血漿、血清またはそれらの何らかの組み合わせであり得る。試料は、血液、血漿、血清またはそれらの何らかの組み合わせ由来であり得る。他の典型的な試料としては、哺乳動物対象、組織生検、唾液、リンパ液、血液細胞(例えば末梢血単核細胞)、組織または微細針生検試料、尿、腹水、初乳、母乳、胎児液、糞便物質、涙、胸膜液またはそれら由来の細胞から得られる何らかの体液が挙げられるがこれらに限定されない。試料は、本明細書中に記載の方法において使用される前に、例えば、下記に記載の方法の何れかに従い、特定の成分を分析するか試験する前に、ある方式で加工され得る。試料から1以上の分子が単離され得る。
「特異的な結合」、「特異的に結合する」などの用語は、2以上の分子が、生理的またはアッセイ条件下で測定可能な複合体を形成し、選択的な例を指す。抗体または抗原結合タンパク質または他の分子は、適切に選択される条件下でこのような結合が実質的に阻害されず、同時に非特異的な結合が阻害される場合、タンパク質、抗原またはエピトープに「特異的に結合する」と言われる。特異的な結合は、高親和性を特徴とし、化合物、タンパク質、エピトープまたは抗原に対して選択的である。非特異的結合は通常、親和性が低い。特異的な結合の例としては、酵素および基質、抗体およびその抗原性エピトープ、細胞性シグナル伝達分子およびその個々の細胞受容体の結合が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、指定の配列「由来の」ポリヌクレオチドとは、指定ヌクレオチド配列の領域に対応する、およそ少なくとも約6ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約8ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約10から12ヌクレオチドおよびさらにより好ましくは少なくとも約15から20ヌクレオチドの配列から構成されるポリヌクレオチド配列を指す。「対応する」は、指定の配列と相同または相補的であることを意味する。好ましくは、ポリヌクレオチドが由来する領域の配列は、癌関連遺伝子に特有である配列と相同または相補的である。
本明細書中で使用される場合、「タグ」、「配列タグ」または「プライマータグ配列」という用語は、その中にこのようなタグを有する一群のポリヌクレオチドを同定するのに役立つ特異的な核酸配列を伴うオリゴヌクレオチドを指す。同じ生体ソースからのポリヌクレオチドは、特異的な配列タグで共有結合によりタグ付加され、その後の分析においてポリヌクレオチドがその起源に従い同定できるようになる。配列タグは、核酸増幅反応に対するプライマーにもなり得る。
「支持体」という用語は、従来からの支持体、例えばビーズ、粒子、計深棒、ファイバー、フィルター、膜およびシランまたはケイ酸塩支持体、例えばガラススライドなどを指す。
本明細書中で使用される場合、「治療薬」または「治療剤」という用語は、患者の好ましからざる状態または疾患を、処置する、これに対処する、軽減する、予防するかまたは改善するために使用され得る作用物質を意味する。一部分において、本開示の実施形態は、癌の処置または細胞増殖の低下を対象とする。いくつかの実施形態において、「治療薬」または「治療剤」という用語は、標的マーカーまたは以下で開示される癌関連配列、その発現またはその機能と関連するかまたはこれらに影響を与える何らかの分子を指し得る。様々な実施形態において、このような治療薬は、標的マーカーまたは以下で開示される癌関連配列、その発現またはその機能と関連するかまたはこれらに影響を与える分子、例えば、治療用細胞、治療用ペプチド、治療用遺伝子、治療用化合物などを含み得る。
組成物の「治療的有効量」または「有効量」は、所望の効果を達成するために、すなわち細胞の活性化、遊走、転移または増殖を阻害、阻止または逆転させるために計算される所定量である。いくつかの実施形態において、有効量は予防量である。いくつかの実施形態において、有効量は、疾患または状態を医学的に処置するために使用される量である。治療および/または予防効果を得るために本発明に従い投与される組成物の具体的な用量は、言うまでもなく、例えば、投与される組成物、投与経路および処置している状態を含む、そのケースを取り巻く特定の状況により決定され得る。投与される有効量は、処置しようとする状態、投与しようとする組成物の選択および選択される投与経路を含む関連状況に照らして医師により決定されることが理解されよう。本発明の組成物の治療的有効量は、一般的には、それが生理的に許容される賦形剤組成物中で投与されるとき、有効な全身濃度または標的組織での局所濃度が達成されるのに十分であるような量である。
「処置する」、「処置される」または「処置すること」という用語は、本明細書中で使用される場合、治療処置または予防または予防的目安の両方を指し得、その目的は、望ましくない生理的状態、症状、障害または疾患を予防するかまたは遅延(軽減)させることまたは、有益または望ましい臨床結果を得ることである。いくつかの実施形態において、この用語は、処置することおよび予防することの両方を指し得る。本開示の目的のために、有益または望ましい臨床結果としては、症状の軽減;状態、障害または疾患の程度の低下;状態、障害または疾患の状況の安定化(すなわち悪化させないこと);状態、障害または疾患の発症の遅延または進行の緩徐化;状態、障害または疾患状態の軽減;および緩和(部分的であれ全体的であれ)、検出可能であれ、検出不可能であれ、または状態、障害または疾患を良くすることもしくは改善することが挙げられるがこれらに限定されない。処置としては、過剰レベルの副作用なく、臨床的に意義のある反応を誘発することが挙げられる。処置としてはまた、処置を受けない場合に予想される生存と比較した場合、生存を延長させることも挙げられる。
「組織」という用語は、特定の機能の発揮において結合される同様に特化された細胞の何らかの凝集体を指す。
癌関連配列
いくつかの実施形態において、本開示は、癌と関連する核酸およびタンパク質配列、本明細書中で呼ばれる「癌関連」または「CA」配列を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、膀胱癌または癌腫、例えば、限定されないが尿路上皮癌腫、移行上皮癌、非移行上皮癌、例えば、限定されないが、扁平上皮癌、腺癌、横紋筋肉腫、神経細胞腫瘍、子宮頸癌またはリンパ腫、再発性および転移性膀胱癌またはそれらの組み合わせと関連する核酸およびタンパク質配列を提供する。診断する方法は、本明細書中で開示される癌関連マーカーの発現レベルを測定することを含み得る。本方法は、さらに、癌関連配列の発現レベルを標準物質および/または対照と比較することを含み得る。標準物質は、膀胱癌細胞を含有することが知られている試料由来であり得る。対照は、既知の膀胱癌細胞および/または非癌細胞、例えば膀胱組織由来の非癌細胞などを含み得る。
癌関連配列は、癌において、上方制御される(すなわち、より高いレベルで発現される)もの、ならびに下方制御(すなわち、より低いレベルで発現される)ものを含み得る。癌関連配列はまた、改変されており(すなわち、転座、短縮配列または、点突然変異を含むが限定されない、置換、欠失もしくは挿入がある配列)、同じ発現プロファイルまたは変化したプロファイルの何れかを示す配列も含み得る。いくつかの実施形態において、癌関連配列はヒト由来であるが;しかし、当業者にとって当然のことながら、他の生物からの癌関連配列は、疾患および薬物評価の動物モデルにおいて有用であり得;したがって、他の癌関連配列は、哺乳動物、例えばげっ歯類(ラット、マウス、ハムスター、モルモットなど)、霊長類および産業動物(ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマなど)を含む脊椎動物からの配列などであるが限定されない何らかの対象から得られるものを含め、有用であり得る。他の生物からの癌関連配列は、本明細書中で概説する技術を使用して得られ得る。
癌関連配列の例としては、配列番号1から41が挙げられる。
いくつかの実施形態において、癌関連配列は核酸である。当業者にとって当然のことながら、および本明細書中で記載のように、本明細書中の実施形態の癌関連配列は、対象における核酸またはそれらの発現レベルを検出するための診断適用、治療適用またはそれらの組み合わせを含む様々な適用において有用であり得る。さらに、本明細書中の実施形態の癌関連配列は、スクリーニング適用;例えば癌関連配列に対する核酸プローブを含むバイオチップの作製において使用され得る
本開示の核酸は、いくつかの場合では、下記で概説するように(例えば、アンチセンス適用においてまたは核酸が候補薬物である場合)、核酸類似体が、例えば、ホスホロアミド酸(Beaucageら、Tetrahedron 49(10):1925(1993)およびそれらの中の参考文献;Letsinger,J.Org.Chem.35:3800(1970);Sprinzlら、Eur.J.Biochem.81:579(1977);Letsingerら、Nucl.Acids Res.14:3487(1986);Sawaiら、Chem.Lett.805(1984)、Letsingerら、J.Am.Chem.Soc.110:4470(1988);およびPauwelsら、Chemica Scripta 26:141 91986))、ホスホロチオエート(Magら、Nucleic Acids Res.19:1437(1991);および米国特許第5,644,048号)、ジチオリン酸(Briuら、J.Am.Chem.Soc.111:2321(1989)、O−メチルホスホロアミジト(O−phosphoroamidite)結合(Eckstein、Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach,Oxford University Press参照)およびペプチド核酸骨格および結合(Egholm,J.Am.Chem.Soc.114:1895(1992);Meierら、Chem.Int.Ed.Engl.31:1008(1992);Nielsen,Nature,365:566(1993);Carlssonら、Nature 380:207(1996)参照)を含む代替骨格を有し得るものの、ホスホジエステル結合を含み得る。他の類似核酸としては、陽性骨格を有するもの(Denpcyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:6097(1995);非イオン性骨格(米国特許第5,386,023号、同第5,637,684号、同第5,602,240号、同第5,216,141号および同第4,469,863号;Kiedrowshiら、Angew.Chem.Intl.Ed.English 30:423(1991);Letsingerら、J.Am.Chem.Soc.110:4470(1988);Letsingerら、Nucleoside & Nucleotide 13:1597(1994);第2および3章、ASC Symposium Series 580,”Carbohydrate Modifications in Antisense Research”,Ed.Y.S.SanghuiおよびP.Dan Cook;Mesmaekerら、Bioorganic & Medicinal Chem.Lett.4:395(1994);Jeffsら、J.Biomolecular NMR 34:17(1994);Tetrahedron Lett.37:743(1996))および、米国特許第5,235,033号および同第5,034,506号および第6および7章、ASC Symposium Series 580,”Carbohydrate Modifications in Antisese Research”,Ed.Y.S.SanghuiおよびP.Dan Cookに記載のものを含む非リボース骨格を有するものが挙げられる。1以上の炭素環式糖を含有する核酸も核酸のある定義内に含まれる(Jenkinsら、Chem.Soc.Rev.(1995)pp.169−176参照)。Rawls,C & E News 1997年6月2日、35頁においていくつかの核酸類似体が記載されている。リボース−リン酸骨格のこれらの修飾は、様々な理由のために、例えば、アンチセンス適用での、またはバイオチップ上でのプローブとしての使用のための生理的環境におけるこのような分子の安定性および半減期を向上させるために、行われ得る。
当業者にとって当然のことながら、このような核酸類似体は、本開示のいくつかの実施形態において使用され得る。さらに、天然の核酸および類似体の混合物が作製され得るか;あるいは様々な核酸類似体の混合物および天然の核酸および類似体の混合物が作製され得る。
いくつかの実施形態において、本核酸は、1本鎖もしくは2本鎖であり得るか、または2本鎖または1本鎖配列の両者の一部を含有し得る。当業者にとって当然のことながら、1本鎖の描写はまた、他の鎖の配列も定義し;したがって、本明細書中に記載の配列はまた、配列の相補体も含む。本核酸は、ゲノムおよびcDNAの両方のcDNA、RNAまたはハイブリッドであり得、この場合、核酸は、デオキシリボおよびリボヌクレオチドの何らかの組み合わせおよび、ウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン、イソグアニンなどを含む塩基の何らかの組み合わせを含有する。本明細書中で使用される場合、「ヌクレオシド」という用語は、ヌクレオチドおよびヌクレオシドおよびヌクレオチド類似体および修飾ヌクレオシド、例えばアミノ修飾ヌクレオシドなどを含む。さらに、「ヌクレオシド」は、非天然の類似体構造を含む。したがって、例えば、それぞれ塩基を含有するペプチド核酸の対象単位は、本明細書中でヌクレオシドと呼ぶ。
いくつかの実施形態において、癌関連配列は、核酸およびアミノ酸配列の両方を含み得る。いくつかの実施形態において、本癌関連配列は、開示される配列と少なくとも約60%の相同性を有する配列を含み得る。いくつかの実施形態において、本癌関連配列は、開示される配列と少なくとも約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、約99%、約99.8%の相同性を有し得る。いくつかの実施形態において、本癌関連配列は、「突然変異体核酸」であり得る。本明細書中で使用される場合、「突然変異核酸」は、欠失突然変異体、挿入、点突然変異、置換、転座を指す。
いくつかの実施形態において、本癌関連配列は組み換え核酸であり得る。「組み換え核酸」という用語は、本明細書中で、通常は天然で見出されない形態の、一般的にポリメラーゼおよびエンドヌクレアーゼによる核酸の操作によって元来インビトロで形成された核酸分子を指す。したがって、組み換え核酸はまた、直線型の単離核酸であり得るか、または通常は連結されないDNA分子をライゲーション処理することによりインビトロで形成されるベクターにクローニングされ得、この両者とも本発明の目的のための組み換え体とみなされる。組み換え核酸が作製され、宿主細胞または生物に再導入されると、これは、インビトロ操作ではなく宿主細胞のインビボ細胞機構を使用して複製し得るが;しかし、このような核酸は、組み換えにより作製されると、続いてインビボで複製されるものの、本発明の目的のための組み換え体または単離されていると依然としてみなされることを理解されたい。本明細書中で使用される場合、「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、あらゆる長さの、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドの何れかである、ヌクレオチドのポリマー形態である。この用語は、2本および1本鎖DNAおよびRNAを含む。これはまた、既知のタイプの修飾、例えば、当技術分野で公知である標識、メチル化、「キャップ」、類似体での天然のヌクレオチドの1以上の置換、ヌクレオチド間修飾、例えば、連結が変更されないもの(例えば、ホスホロチオエート、ジチオリン酸など)、ペンダント部分、例えばタンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンなどを含む。)を含有するもの、挿入剤(例えば、アクリジン、ソラレンなど)を伴うもの、キレート剤(例えば、金属、放射性金属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、修飾された結合を有するもの(例えばαアノマー核酸など)ならびにポリヌクレオチドの非修飾型も含む。
遺伝子発現のマイクロアレイ分析の使用によって、膀胱癌と関連する宿主配列の同定が可能となる。そして、これらの配列は、診断、予後診断、調節因子(アゴニストおよびアンタゴニストの両方を含む。)に対するスクリーニング、抗体作製(免疫療法およびイメージング用)などを含め、多くの様々な方法で使用され得る。しかし、当業者にとって当然のことながら、ある1つのタイプの癌において同定される配列は、他のタイプの癌にも関与する強い可能性を有し得る。したがって、本明細書中で概説される配列は、最初に膀胱癌に相関すると特定される一方、これらはまた、他のタイプの癌でも見出され得る。
本明細書中に記載のいくつかの実施形態は、膀胱癌の診断および処置に対する関連配列の使用を対象とし得る。いくつかの実施形態において、癌関連配列は、LOC650517、FCRLB、IL1A、S100A2、MMP11、S100A7A、UGT1A6、FAM83A、SLC1A6、UPK3B、BX116033、MMP12、KRT16、UBD、UGT1A6、S100A7、WISP3、PTHLH、COL10A1、SERPINB4、UBE2C、BTBD16、SFN、KRT17P3、VGLL1、CDH3、CXCL10、S100A9、GJB2、TH、GSTM1、AIM2、NMU、MAGEA10、DSCR8、GTSF1、KRT6A、CXCL9、SERPINB5、DSCR6またはそれらの組み合わせから選択され得る。いくつかの実施形態において、これらの癌関連配列は、尿路上皮癌腫を含むが限定されない膀胱癌、移行上皮癌、非移行上皮癌、例えば、限定されないが扁平上皮癌、腺癌、横紋筋肉腫、神経細胞腫瘍、子宮頸癌またはリンパ腫、再発性および転移性膀胱癌またはそれらの組み合わせと関連し得る。
いくつかの実施形態において、癌関連配列は、上記mRNAまたは上記mRNAもしくはそれらの相同体により発現される癌関連タンパク質または癌関連ポリペプチドをコードするDNA配列であり得る。いくつかの実施形態において、本癌関連配列は、上記の開示配列の突然変異核酸であり得る。いくつかの実施形態において、相同体は、開示ポリペプチド配列と、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%の同一性を有し得る。
いくつかの実施形態において、単離核酸は、配列番号1から40で開示される癌関連ポリヌクレオチド配列からなる群から選択される配列のうち少なくとも10、12、15、20または30連続ヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態において、本ポリヌクレオチドまたはそれらの相補体またはそれらの断片は、検出可能な標識をさらに含むか、固体支持体に付着しているか、少なくとも一部、化学合成によって調製されるか、アンチセンス断片であるか、1本鎖であるか、2本鎖であるか、またはマイクロアレイを含む。
いくつかの実施形態において、本発明は、配列番号1から40で示されるポリヌクレオチド配列またはその相補体から選択される癌関連配列のオープン・リーディング・フレーム内でコードされる単離ポリペプチドを提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、配列番号1から40で開示される配列からなる群から選択されるポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドを提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、以下に記載のような癌関連ポリペプチドによりコードされるアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明は、以下で開示される癌関連ポリペプチドのアミノ酸配列のエピトープのアミノ酸配列を含む単離ポリペプチドをさらに提供する。このポリペプチドまたはその断片は、固体支持体に付着させられ得る。いくつかの実施形態において、本発明は、このようなポリペプチドに結合する、単離抗体(モノクローナルまたはポリクローナル)またはそれらの抗原結合断片を提供する。この単離抗体またはそれらの抗原結合断片は、固体支持体に付着させられ得る。この単離抗体またはその抗原結合断片は、検出可能な物質をさらに含み得る。
いくつかの実施形態はまた、診断および/または治療用抗体に対する標的としての様々な癌、例えば膀胱癌、と結合する抗原(例えば癌関連ポリペプチド)も提供する。これらの抗原はまた、薬物探索(例えば低分子)のため、および細胞制御、増殖および分化のさらなる特徴評価のためにも有用であり得る。
膀胱癌を検出し、診断する方法
いくつかの実施形態において、膀胱癌を検出するかまたは診断する方法は、それを必要とする対象の遺伝子発現をアッセイすることを含み得る。当技術分野で公知の何らかの方法は、以下で開示される1以上のマーカーの遺伝子発現をアッセイするために使用され得る。いくつかの実施形態において、癌関連配列のレベルを検出することは、以下で開示される癌関連配列をコードする核酸に特異的に結合するもう1つのプローブを用いた、PCR、質量分析、マイクロアレイ、ゲル電気泳動、ハイブリッド形成などであるが限定されない技術を含み得る。受容体の発現に関する情報はまた、アゴニストまたはアンタゴニストを用いて癌関連配列のシグナル伝達を上方または下方制御することを目的として治療を決定することにおいても有用であり得る。
いくつかの実施形態において、膀胱癌を診断する方法は、対象における癌関連タンパク質のレベルを検出することを含み得る。いくつかの実施形態において、癌に対してスクリーニングする方法は、癌関連タンパク質のレベルを検出することを含み得る。いくつかの実施形態において、癌関連タンパク質は、配列番号1から40で開示される配列、それらの断片またはそれらの相補的配列から選択されるヌクレオチド配列によりコードされる。いくつかの実施形態において、試料中で癌を検出する方法は、対象から得られた試料をタンパク質と特異的に結合する抗体と接触させることを含み得る。いくつかの実施形態において、本抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であり得る。いくつかの実施形態において、本抗体は、ヒト化または組み換え抗体であり得る。この領域に特異的に結合する抗体は、既知の方法を用いて作製され得、あらゆる方法が適切である。いくつかの実施形態において、本抗体は、以下で開示される1以上の癌関連配列によりコードされるタンパク質またはペプチドなどの分子の1以上に特異的に結合する。
いくつかの実施形態において、本抗体は、配列番号1から40で開示されるヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質からのエピトープに、本タンパク質に対する抗体とともに結合する。いくつかの実施形態において、本エピトープは、以下で開示される癌関連配列の何れかのヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質配列の断片である。いくつかの実施形態において、本エピトープは、癌関連配列の約1から10、1から20、1から30、3から10または3から15残基を含む。いくつかの実施形態において、本エピトープは直線状ではない。
いくつかの実施形態において、本抗体は、本明細書中に記載の領域またはこの領域に対して少なくとも90、95または99%の相同性または同一性があるペプチドに結合する。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載の領域の断片は、5から10残基長である。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載の領域の断片(例えばエピトープ)の断片は、3から5残基長である。断片は、提供される長さに基づき記載される。いくつかの実施形態において、本エピトープは、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または20残基長である。
いくつかの実施形態において、本抗体が結合する配列は、核酸およびアミノ酸配列の両方を含み得る。いくつかの実施形態において、本抗体が結合する配列は、開示される配列と少なくとも約60%の相同性を有する配列を含み得る。いくつかの実施形態において、本抗体が結合する配列は、開示される配列と少なくとも約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、約99%、約99.8%の相同性を有し得る。いくつかの実施形態において、本配列は、「突然変異核酸」または「突然変異ペプチド配列」と呼ばれ得る。
いくつかの実施形態において、対象は、対象から得られた試料における癌関連配列(例えば配列番号1から40)の存在を検出することによって膀胱癌と診断され得る。いくつかの実施形態において、本方法は、配列番号1から40で開示される配列から選択される癌関連配列の有無を検出することを含み、ここで、この癌関連配列がないことは、膀胱癌がないことを示す。いくつかの実施形態において、本方法は、以下で開示される癌関連配列に結合し、膀胱癌の成長または進行を阻害する抗体によって、膀胱癌と診断された対象を処置することをさらに含む。論じられるように、膀胱癌は、血清、血液、腫瘍などを含むが限定されないあらゆるタイプの試料において検出され得る。試料は、本明細書中に記載される場合、あらゆるタイプの試料であり得る。
以下に記載の癌関連配列によりコードされる1以上のタンパク質の有無または発現レベルをスクリーニングするために、当技術分野で公知のあらゆるアッセイを使用し得る。いくつかの実施形態において、本アッセイは、例えばELISA、放射免疫アッセイ、ウエスタンブロット、フローサイトメトリーアッセイなどであり得る。
いくつかの実施形態において、膀胱癌を有する対象を診断する方法は、試料を得て、配列番号1から41で開示される配列から選択される癌関連配列の存在を検出することを含み、ここで癌関連配列の存在は、対象が膀胱癌を有することを示す。いくつかの実施形態において、以下で開示される配列から選択される癌関連配列の存在を検出することは、抗体または他のタイプの捕捉試薬または、癌関連配列のタンパク質に特異的に結合する特異的な結合パートナーと試料を接触させ、試料中の癌関連配列のタンパク質に対する結合の有無を検出することを含む。
いくつかの実施形態において、本開示は、対象における膀胱癌または新生物状態を診断する方法を提供し、この方法は、対象由来の試料からの以下で開示される配列から選択される癌関連配列の癌関連配列遺伝子発現結果を得て;癌関連配列遺伝子発現結果に基づいて対象において膀胱癌または新生物状態を診断することを含み、ここで対象は、癌関連配列が、1)非癌性膀胱組織または細胞試料などの陰性対照より高い、および/または2)膀胱癌細胞を含有することが分かっている標準物質または陽性対照における癌関連配列の発現レベルより高いかまたはこれと同等のレベルで発現される場合、膀胱癌または新生物状態を有するものと診断される。
いくつかの実施形態は、1以上の癌関連タンパク質をコードする1以上の核酸配列を含むバイオチップを対象とする。いくつかの実施形態において、バイオチップは、癌関連タンパク質の少なくとも一部をコードする核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、癌関連タンパク質は、配列番号1から40、それらの相同体、それらの組み合わせまたはそれらの断片から選択される配列によりコードされる。いくつかの実施形態において、核酸分子は、配列番号1から40から選択される核酸配列と特異的にハイブリッド形成する。いくつかの実施形態において、バイオチップは、第一および第二の核分子を含み、ここで第一の核酸分子は、以下で開示される癌関連配列から選択される第一の配列と特異的にハイブリッド形成し、第二の核酸分子は、以下で開示される癌関連配列から選択される第二の配列と特異的にハイブリッド形成し、この第一および第二の配列は同じ配列ではない。いくつかの実施形態において、本発明は、配列番号1から40で開示される配列から選択される核酸配列の発現を検出することを含み、配列番号1から40で開示される配列、それらの相同体、それらの組み合わせまたはそれらの断片から選択される配列を含むバイオチップと試料を接触させる、癌、例えば膀胱癌を検出するか又は診断する方法を提供する。
本明細書中ではまた、試料中での以下で開示される癌関連配列の1以上の発現レベルを測定し、試料中の1以上の癌関連配列の発現レベルを非癌細胞における同じ癌関連配列の発現レベルと比較することによる、癌、例えば膀胱癌に罹患する傾向を診断または判定するための方法も提供される。以下で開示される癌関連配列の1以上の発現レベルが非癌細胞と比較してより高いことは、癌、例えば、膀胱癌の発生に対する傾向を示す。
いくつかの実施形態において、本発明は、例えば、以下で開示される配列によりコードされる癌関連タンパク質またはそれらの断片などであるが限定されない少なくとも1つのポリペプチドの発現レベルを検出することを含む、試験試料中でポリペプチドの発現がある癌関連配列を検出するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、本方法は、正常試料、すなわち非癌性試料中のポリペプチドの発現レベルと、試験試料中のポリペプチドの発現レベを比較することを含み、正常試料中のポリペプチド発現のレベルに対する試験試料中のポリペプチドの発現レベルの変動は、試験試料中に癌が存在することを示す。いくつかの実施形態において、ポリペプチド発現を癌試料と比較し、癌と少なくとも同じレベルで発現することは、試験試料中に癌が存在することを示す。いくつかの実施形態において、試験試料を正常、例えば非癌性試料と比較し、ここで試験試料中での発現レベルが正常試料で見られるものよりも高いことは、試験試料中に癌が存在することを示す。いくつかの実施形態において、試料は細胞試料である。いくつかの実施形態において、試料は組織試料である。いくつかの実施形態において試料は体液である。適切な体液の例としては、血液、血清、唾液または尿が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、試料は血液試料である。いくつかの実施形態において、試料は血清試料である。いくつかの実施形態において、試料は尿試料である。
いくつかの実施形態において、本発明は、試験血清試料中で抗体の存在を検出することによって癌を検出するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、本抗体は、本明細書中で開示される癌関連配列のポリペプチドまたはエピトープを認識する。いくつかの実施形態において、本方法は、癌関連タンパク質、例えば以下で開示される癌関連配列によりコードされるタンパク質またはその抗原性断片などであるが限定されない抗原性ポリペプチドに対する抗体のレベルを検出することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、試験試料中の抗体のレベルを対照試料中の抗体のレベルと比較することを含み、ここで、対照試料中の抗体レベルに対する前記試験試料中の抗体のレベル変動は、試験試料中に癌が存在することを示す。いくつかの実施形態において、対照試料は、非癌性試料由来の試料、例えば、癌がない対象から得られた血液または血清である。いくつかの実施形態において、対照は癌試料由来であり、したがって、いくつかの実施形態において、本方法は、試料中の結合のレベルおよび/または抗体の量を比較することを含み、レベルまたは量が癌対照試料と同じである場合、試験試料中に癌が存在することを示す。
いくつかの実施形態において、癌または新生物状態を診断するための方法は、a)第一の個体の第一の試料タイプ(例えば、組織、体液など)における配列番号1から40に記載のヒトゲノムおよびmRNA配列からなる群から選択される核酸配列を含む1以上の遺伝子の発現を調べ;b)第一の個体または第二の健常個体からの第二の正常試料タイプからのその遺伝子の発現を比較することを含み;発現の相違は、第一の個体が癌を有することを示す。いくつかの実施形態において、正常試料と比較した場合、発現が上昇している。
いくつかの実施形態において、本発明はまた、対象における癌細胞の有無を検出するための方法も提供する。いくつかの実施形態において、本方法は、対象からの1以上の細胞を本明細書中で記載のような抗体と接触させることを含む。本抗体は、検出可能な(detectible)物質と複合化され得る。いくつかの実施形態において、以下で開示される癌関連配列によりコードされるタンパク質に結合する抗体は、検出可能な(detectible)物質と複合化され得る第二の抗体に結合し得る。いくつかの実施形態において、以下で開示される癌関連配列によりコードされるタンパク質に結合する抗体は、固体支持体に結合させられる。いくつかの実施形態において、本方法は、癌関連タンパク質および抗体の複合体を検出することを含み、ここで複合体の検出は、対象における癌細胞の存在を示す。この複合体は、以下で記載のような検出可能な物質を含み得る。この複合体は、固体支持体、例えばビーズ、チップ、マグネット、マルチウェルプレートなどを含み得る。
いくつかの実施形態において、本開示は、試験試料中の癌を検出する方法であって、(i)遺伝子産物である少なくとも1つのポリペプチドの活性レベルを検出し;(ii)試験試料中のポリペプチドの活性レベルを正常試料中のポリペプチドの活性レベルと比較することを含み、正常試料中のポリペプチド活性レベルに対する試験試料中のポリペプチドの活性レベルの変動は、試験試料中に癌が存在することを示し、この遺伝子産物は、下記で提供される癌関連配列の1以上から選択される遺伝子の産物である。
捕捉試薬および特異的結合パートナー
本発明は、以下で開示される癌関連配列およびこれらの配列によりコードされるポリペプチドまたはタンパク質に特異的に結合する特異的な結合パートナーおよび捕捉試薬を提供する。捕捉試薬および特異的結合パートナーは、以下で開示されるような診断アッセイにおいて、および/または以下で開示される治療法において、ならびに以下で開示される薬物スクリーニングアッセイにおいて、使用され得る。捕捉試薬としては、例えば核酸およびタンパク質が挙げられる。適切なタンパク質としては抗体が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、「特異的に結合する」または「特異的に結合」という用語は、非特異的な相互作用とはある程度異なる結合を意味する。特異的な結合は、例えば、一般に、結合活性を持たない同様の構造の分子である対照分子の結合と比較して分子の結合を調べることによって測定され得る。例えば、特異的な結合は、ある分子が、以下で開示される癌関連配列によりコードされる同じタンパク質を発現しない細胞よりも、以下で開示される癌関連配列によりコードされるタンパク質を発現する細胞に対して測定可能に高い親和性を有する場合に示される。結合の特異性は、例えば既知の結合分子の競合阻害によって決定され得る。
「特異的に結合」という用語は、本明細書中で使用される場合、低および高親和性の特異的な結合の両方を含む。特異的な結合は、例えば少なくとも約10−4MのKdを有する低親和性ホーミング分子によって示され得る。特異的な結合はまた、高親和性ホーミング分子、例えば少なくとも約10−5MのKdを有するホーミング分子によっても示され得る。このような分子は、例えば少なくとも約10−6M、少なくとも約10−7M、少なくとも約10−8M、少なくとも約10−9M、少なくとも約10−10MのKdを有し得るか、または少なくとも約10−11Mまたは10−12M以上のKdを有し得る。低および高親和性ホーミング分子の両方が有用であり、本明細書によって包含される。低親和性ホーミング分子は、例えば多価の複合物を標的とすることにおいて有用である。高親和性ホーミング分子は、例えば多価および一価の複合物を標的とすることにおいて有用である。
いくつかの実施形態において、特異的な結合パートナーまたは捕捉試薬は、抗体である。IgG抗体における結合は、例えば、一般に、少なくとも約10−7M以上、例えば少なくとも約10−8M以上または少なくとも約10−9M以上、または少なくとも約10−10以上、または少なくとも約10−11M以上または少なくとも約10−12M以上の親和性を特徴とする。例えば抗原−結合ドメインが、多数の抗原により担われない特定のエピトープに対して特異的である場合、この場合では、抗原−結合ドメインを担う抗体または抗原結合タンパク質が一般に他の抗原に結合しない場合にも、この用語が適用できる。いくつかの実施形態において、捕捉試薬は、その結合パートナー(例えば抗原)に対して10−9M、10−10Mまたは10−11M以下のKdを有する。いくつかの実施形態において、捕捉試薬は、その結合パートナーに対して109M−1以上のKaを有する。捕捉試薬はまた、例えば抗体を指し得る。免疫グロブリンとしても知られる無処置の抗体は、一般的には、それぞれおよそ25kDaの2本の軽(L)鎖およびそれぞれおよそ50kDaの2本の重(H)鎖から構成される、四量体性のグリコシル化タンパク質である。ラムダおよびカッパと呼ばれる2種類の軽鎖が抗体において存在する。重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に依存して、免疫グロブリンは、5つの大きなクラス:A、D、E、GおよびMに割り当てられ、これらのいくつかがサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2にさらに分類され得る。各軽鎖は、N末端可変(V)ドメイン(VL)および定常(C)ドメイン(CL)から構成される。各重鎖は、N末端Vドメイン(VH)、3または4個のCドメイン(CH)およびヒンジ領域から構成される。VHに最も近接するCHドメインはCH1と呼ばれる。VHおよびVLドメインは、超可変配列(相補性決定領域、CDR)の3つの領域に対する足場を形成する、フレームワーク領域と呼ばれる比較的保存された配列の4つの領域(FR1、FR2、FR3およびFR4)からなる。CDRは、抗原との抗体または抗原結合タンパク質の特異的な相互作用に関与する残基の殆どを含有する。CDRは、CDR1、CDR2およびCDR3と呼ばれる。したがって、重鎖上のCDR構成員は、H1、H2およびH3と呼ばれ、一方で軽鎖上のCDR構成員はL1、L2およびL3と呼ばれる。CDR3は、抗体または抗原結合タンパク質−結合部位内の分子多様性の最大ソースである。H3は、例えば2アミノ酸残基程度に短くてもよいし、または26アミノ酸よりも長くてもよい。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造および三次元立体配置は当技術分野で周知である。抗体構造の総括については、Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Eds.Harlowら、1988を参照のこと。当業者は、各サブユニット構造、例えば、CH、VH、CL、VL、CDRおよび/またはFR構造が活性のある断片を含むことを認めるであろう。例えば、活性のある断片は、抗原、すなわち抗原−結合断片に結合し得るVH、VLまたはCDRサブユニットの一部またはFc受容体および/または相補体に結合する、および/またはこれを活性化するCHサブユニットの一部からなり得る。
本明細書中で使用される「抗原−特異的な抗体」という用語内に包含される結合断片の非限定例は、(i)Fab断片、VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価断片;(ii)F(ab’)2断片、ヒンジ領域でのジスルフィド架橋により連結される2つのFab断片を含む二価断片;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の1本腕のVLおよびVHドメインからなるFv断片、(v)VHドメインからなる、dAb断片;および(vi)単離CDRを含む。さらに、Fv断片、VLおよびVHの2つのドメインは個別の遺伝子によりコードされるものの、これらは、合成リンカーにより組み換えにより連結され得、VLおよびVHドメインが対形成して、(1本鎖Fv(scFv)として知られる)一価分子を形成する1本のタンパク質鎖を作製する。最も一般的に使用されるリンカーは、15−残基(Gly4Ser)3ペプチドであるが、他のリンカーも当技術分野で公知である。1本鎖抗体もまた、「抗体または抗原結合タンパク質」または抗体の「抗原−結合断片」という用語内に包含されるものとする。本抗体はまた、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、抗原−結合断片、Fc断片、1本鎖抗体またはそれらの何らかの誘導体でもあり得る。
抗体は、当業者にとって公知の従来の技術を用いて得られ得、断片は、無処理の抗体と同様に有用性に対してスクリーニングされる。抗体多様性は、可変ドメインをコードする複数の生殖系列遺伝子および様々な体細胞事象により生成される。体細胞事象は、完全VHドメインを生成させるための多様性(D)および連結(J)遺伝子セグメントでの可変遺伝子セグメントの組み換えおよび、完全VLドメインを生成させるための可変および連結遺伝子セグメントの組み換えを含む。組み換え過程それ自身が不正確であり、その結果、V(D)J連結におけるアミノ酸の損失または付加が起こる。これらの多様性メカニズムは、抗原曝露前にB細胞を発生させることにおいて起こる。抗原による刺激後、B細胞における発現抗体遺伝子で体細胞突然変異が起こる。生殖系列遺伝子セグメント、これらのセグメントのランダムな組み換えおよびランダムVH−VL対形成の推定数に基づき、最大で1.6X107個の様々な抗体が生成され得る(Fundamental Immunology,3rd ed.(1993),ed.Paul,Raven Press,New York,N.Y.)。抗体多様性(体細胞突然変異など)に貢献する他の過程を考慮した場合、1X1010を上回る様々な抗体が生成され得ると考えられる(Immunoglobulin Gene,2nd ed.(1995),eds.Jonioら、Academic Press,San Diego,Calif.)。抗体多様性を生成させることに関与する多くの過程のため、同じ抗原特異性を有する独立に由来するモノクローナル抗体が同一のアミノ酸配列を有するとは考えにくい。
抗原、エピトープまたは本明細書中に記載の他の分子と特異的に相互作用可能な抗体または抗原結合タンパク質分子は、当業者にとって周知の方法によって作製され得る。例えば、モノクローナル抗体は、公知の方法に従うハイブリドーマの作製によって作製され得る。次に、関心のある分子または化合物と特異的に相互作用する抗体を産生する1以上のハイブリドーマを同定するために、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)およびBiacore分析などの標準的方法を用いて、このように形成されるハイブリドーマをスクリーニングし得る。モノクローナル抗体−分泌ハイブリドーマを調製するための代替法として、本開示のポリペプチドに対するモノクローナル抗体は、本開示のポリペプチドを用いて組み換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリ(例えば抗体ファージディスプレイライブラリ)をスクリーニングすることによって同定および単離され、それによって、このポリペプチドに結合する免疫グロブリンライブラリメンバーを単離し得る。ファージディスプレイライブラリを作製し、スクリーニングするための技術および市販のキットは、当業者にとって周知である。さらに、抗体または抗原結合タンパク質ディスプレイライブラリを作製およびスクリーニングすることにおける使用に対して特に受け入れられる方法および試薬の例は、文献で見ることができる。
キメラ抗体の例としては、ヒト化抗体が挙げられるがこれらに限定されない。本明細書中に記載の抗体はヒト抗体でもあり得る。いくつかの実施形態において、捕捉試薬は検出試薬を含む。検出試薬は、その特異的な結合パートナーに結合する捕捉試薬の存在を検出するために使用され得る何らかの試薬であり得る。捕捉試薬は、検出試薬を直接含み得るか、または捕捉試薬は、検出試薬を含む粒子を含み得る。いくつかの実施形態において、捕捉試薬および/または粒子は、色素、コロイド金、放射性タグ、蛍光タグまたは化学発光基質を含む。この粒子は、例えばウイルス粒子、ラテックス粒子、脂質粒子または蛍光粒子であり得る。
本開示の捕捉試薬(例えば抗体)はまた、抗抗体、すなわち別の抗体を認識するが、抗原に特異的ではない抗体、例えば、以下に限定されないが、抗IgG、抗IgMまたは抗IgE抗体なども含み得る。この非特異的抗体は、抗原特異的な抗体が試料中に存在するか否かを検出するために陽性対照として使用され得る。
核酸捕捉試薬としては、例えばDNA、RNAおよびPNA分子が挙げられる。この核酸は、約5ヌクレオチド長、約10ヌクレオチド長、約15ヌクレオチド長、約20ヌクレオチド長、約25ヌクレオチド長、約30ヌクレオチド長、約35ヌクレオチド長、約40ヌクレオチド長であり得る。この核酸は30ヌクレオチド長よりも長いものであり得る。この核酸は30ヌクレオチド長未満であり得る。
膀胱癌の処置
いくつかの実施形態において、以下で開示される癌関連配列の1つを発現する膀胱癌は、癌関連配列の活性に拮抗することによって処置され得る。いくつかの実施形態において、膀胱癌を処置する方法は、癌関連配列に対するリガンド結合に拮抗する抗体、癌関連配列の発現または活性を阻害する低分子、癌関連配列に対するsiRNAなどであるがこれらに限定されない治療薬を投与することを含み得る。
いくつかの実施形態において、癌(例えば膀胱または他のタイプの癌)を処置する方法は、癌関連配列の受容体の存在を検出し、癌処置薬を投与することを含む。この処置薬は、癌関連配列の受容体に特異的に結合し得る。癌処置薬は、何らかの癌処置薬または癌関連配列の作用を阻害することに特異的であるものであり得る。例えば、癌処置薬を与える前に特異的な分子が存在するか否かを判定するために、様々な癌が試験される。したがって、いくつかの実施形態において、患者から試料を得て、本明細書中で記載のような癌関連配列の存在または癌関連配列の過剰発現について試験する。いくつかの実施形態において、癌関連配列が過剰発現されていることが見出される場合、次いで膀胱癌処置薬または治療薬が対象に投与される。膀胱癌処置薬は、従来からの非特異的な処置薬、例えば化学療法剤であり得るか、またはこの処置薬には、癌関連配列またはこの癌関連配列が結合する受容体の活性のみを標的とする特異的な処置薬が含まれ得る。これらの処置は、例えば癌関連配列に特異的に結合し、その活性を阻害する抗体であり得る。この処置は、癌関連配列の発現を下方制御するかまたは封じる核酸であり得る。
本明細書中のいくつかの実施形態は、対象に癌関連配列に対する抗体を投与することを含む、癌または新生物状態を処置する方法を記載する。いくつかの実施形態において、本抗体はモノクローナルまたはポリクローナルであり得る。いくつかの実施形態において、本抗体は、ヒト化または組み換えが行われ得る。いくつかの実施形態において、本抗体は、癌関連配列の受容体との結合および/またはこれを妨げることによって癌関連配列の生物学的活性を中和し得る。いくつかの実施形態において、本抗体は、受容体ではない癌関連DNA配列によりコードされるタンパク質上の部位に結合し得る。いくつかの実施形態において、抗体を投与することは、体液または組織、例えば、血液、尿、血清、腫瘍組織などであるが限定されないものに対するものであり得る。
いくつかの実施形態において、癌を処置する方法は、合成、分泌、受容体結合または癌関連タンパク質受容体またはその受容体のシグナル伝達を妨害する作用物質を投与することを含み得る。いくつかの実施形態において、癌は、尿路上皮癌腫、移行上皮癌、非移行上皮癌、例えば限定されないが扁平上皮癌、腺癌、横紋筋肉腫、神経細胞腫瘍、子宮頸癌またはリンパ腫、再発性および転移性膀胱癌またはそれらの組み合わせを含むが限定されないものから選択され得る。
いくつかの実施形態において、癌細胞は、異なるように発現される遺伝子または遺伝子産物に基づき、治療薬によって特異的に標的とされ得る。例えば、いくつかの実施形態において、異なるように発現される遺伝子産物は、抗癌プロドラッグをその活性型に変換し得る酵素であり得る。したがって、正常細胞において、異なるように発現される遺伝子産物が発現されないかまたは顕著に低いレベルで発現される場合、プロドラッグは、活性され得ないか、またはより少量しか活性され得ず、したがって正常細胞に対する毒性はより低くなり得る。したがって、癌プロドラッグは、いくつかの実施形態において、癌細胞が、例えば癌細胞を死滅させるプロドラッグを代謝し得るようにより高い投与量で与えられ得、正常細胞は、プロドラッグを代謝しないか、またはあまり代謝せず、したがって患者に対して毒性がより低くなる。これの例は、Atkinsonら、British Journal of Pharmacology(2008)153,1344−1352に記載される、腫瘍細胞がメタロプロテアーゼを過剰発現するものである。標的癌細胞に対するプロテアーゼの使用もCarlら、PNAS,Vol.77,No.4,pp.2224−2228,April 1980で記載されている。例えば、ドキソルビシンまたは他のタイプの化学療法剤は、異なるように発現される遺伝子産物によって特異的に切断されるかまたは認識されるペプチド配列に連結され得る。そして、ドキソルビシンまたは他のタイプの化学療法剤がペプチド配列から切り出され、それが癌細胞を死滅させるかまたは、癌細胞の増殖を阻害するように活性化され、一方、正常細胞においては、化学療法剤が細胞に内在化されないか、または効果的に代謝されず、したがって毒性が低くなる。
いくつかの実施形態において、膀胱癌を処置する方法は、本明細書中に記載の1以上の癌関連配列の遺伝子ノックダウンを含み得る。遺伝子ノックダウンは、遺伝子改変(癌関連配列をコードする染色体などであるが限定されない生物の染色体の1つのDNAの変化)を通じるかまたはmRNA転写産物または遺伝子の何れかに相補的な配列がある短いDNAまたはRNAオリゴヌクレオチドなどの試薬での処理によって生物の遺伝子の1以上の発現が低下させられる技術を指す。いくつかの実施形態において、使用されるオリゴヌクレオチドは、RNase−Hコンピテントなアンチセンス、例えばssDNAオリゴヌクレオチド、ssRNAオリゴヌクレオチド、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドまたはキメラオリゴヌクレオチドなどであるが限定されないもの;RNase−非依存的アンチセンス、例えばモルホリノオリゴヌクレオチド、2’−O−メチルホスホロチオエートオリゴヌクレオチド、ロックド核酸オリゴヌクレオチドまたはペプチド核酸オリゴヌクレオチドなど;RNAiオリゴヌクレオチド、例えばsiRNA2本鎖オリゴヌクレオチドまたはshRNAオリゴヌクレオチドなどであるが限定されないもの;またはそれらの何らかの組み合わせから選択され得る。いくつかの実施形態において、プラスミドが細胞に導入され得、このプラスミドは、アンチセンスRNA転写産物またはshRNA転写産物の何れかを発現する。導入されるオリゴまたは発現される転写産物は、相補的塩基対形成によって標的mRNA(ex.表1で開示される配列)と相互作用し得る(センス−アンチセンス相互作用)。
サイレンシングの特異的なメカニズムはオリゴ化学で変動し得る。いくつかの実施形態において、活性のある遺伝子またはその転写産物に対する本明細書中に記載のオリゴヌクレオチドの結合は、転写のブロック、mRNA転写産物の分解(例えば低分子干渉RNA(siRNA)またはRNase−H依存的アンチセンスによって)またはmRNA翻訳、プレmRNAスプライシング部位または、miRNA(例えばモルホリノオリゴヌクレオチドまたは他のRNase−H非依存的アンチセンス)などの他の機能的RNAの成熟のために使用されるヌクレアーゼ切断部位の何れかのブロック通じて、発現低下を引き起こし得る。例えば、RNase−Hコンピテントなアンチセンスオリゴヌクレオチド(およびアンチセンスRNA転写産物)は、RNA鎖を切断する酵素RNase−Hによって認識されるRNAと二本鎖を形成し得る。別の例としては、RNase−非依存的オリゴヌクレオチドは、mRNAに結合し、翻訳過程をブロックし得る。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、5’−UTRにおいて結合し得、5’−キャップから開始コドンにそれが移動したとき、開始複合体を停止させ、リボソーム集合を妨害する。RNAiオリゴヌクレオチドの1本鎖は、RISC複合体に加えられ得、これは、触媒的に相補的配列を切断し、部分的に相補的な配列を有する一部のmRNAの翻訳を阻害する。オリゴヌクレオチドは、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、塩−ショック法、例えばCaCl2ショックなど;例えばリポフェクタミンなどの陽イオン脂質による陰イオン性オリゴの形質移入;例えばEndo−Porterなどのエンドソーム放出作用物質による不変のオリゴヌクレオチドの形質移入;またはそれらの何らかの組み合わせを含むが限定されない何らかの技術によって細胞に導入され得る。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、ナノ粒子複合体、ウイルス介在性形質移入、オクタグアニジニウムデンドリマーに連結されるオリゴヌクレオチド(モルホリノオリゴヌクレオチド)またはそれらの何らかの組み合わせから選択される技術を用いて血液から細胞質に送達され得る。
いくつかの実施形態において、膀胱癌を処置する方法は、配列番号1から40で開示されるmRNAまたは配列番号41で開示されるタンパク質をコードする遺伝子またはそれらの組み合わせの発現をノックダウンまたは阻害するために適切な試薬で対象を処置することを含み得る。他の実施形態において、本発明は、例えば細胞のインビトロ培養または対象から得られた試料から得られた細胞における、配列番号1から40で開示される遺伝子または配列番号41で開示されるタンパク質をコードする遺伝子の1以上の発現のインビトロノックダウンを提供する。
本方法は、癌関連配列に対するサイレンシングRNAを発現するレトロウイルスを用いた、hES細胞由来のクローン胚性前駆細胞株CM02およびEN13の培養を含み得る(米国特許公開第2008/0070303号、題名「Methods to accelerate the isolation of novel cell strains from pluripotent stem cells and cells obtained thereby」;および2009年7月16日提出の米国特許出願第12/504,630号、題名「Methods to Accelerate the Isolation of Novel Cell Strains from Pluripotent Stem Cells and Cells Obtained Thereby」を参照のこと)。いくつかの実施形態において、本方法は、qPCRにより下方制御を確認することをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、本方法は、細胞を凍結保存することをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、細胞を再プログラムすることをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、OCT4、MYC、KLF4およびSOX2の外部からの投与によって(TakahashiおよびYamanaka 2006 Aug 25;126(4):663−76;US2009/0068742号として公開されている米国特許出願第12/086,479号、題名「Nuclear Reprogramming Factor」参照)およびWO/2007/019398として公開されているPCT/US06/30632、題名「Improved Methods of Reprogramming Animal Somatic Cells」に記載の方法によって、2日以内に細胞を凍結保存または再プログラムすることを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、ES細胞の増殖を促進する条件下で哺乳動物の分化細胞を培養することを含み得る。いくつかの実施形態において、あらゆる好都合なES細胞増殖状態が、例えば、ES細胞を増殖可能な、フィーダーまたはフィーダー不含培地上で使用され得る。いくつかの実施形態において、本方法は、培養中でESコロニーから細胞を同定することを含む。次に、同定されたESコロニーからの細胞をESマーカー、例えば、Oct4、TRA1−60、TRA1−81、SSEA4などに対して評価し得、ES細胞表現型を有するものを増殖させ得る。プレコンディショニングの効果を明らかにするために、ノックダウンによりプレコンディショニングされていない対照株を平行して再プログラムし得る。
いくつかの実施形態において、癌は、表1およびまたは配列番号1から41で開示される配列またはそれらの遺伝子産物の活性もしくは発現を調節することによって処置される。
いくつかの実施形態において、癌を処置する方法は、細胞表面上で発現される癌関連タンパク質に特異的に結合する抗体(例えば、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、組み換え抗体、キメラ抗体など)を投与することを含む。いくつかの実施形態において、本抗体は、癌関連タンパク質の細胞外ドメインに結合する。いくつかの実施形態において、本抗体は、正常細胞表面と比較して癌細胞表面上で異なるように発現される癌関連タンパク質に結合するか、またはいくつかの実施形態において、少なくとも1つのヒト癌細胞株に結合する。いくつかの実施形態において、本抗体は、治療剤または毒素に連結される。
いくつかの実施形態において、症状を処置する、軽減する、または癌もしくは新生物を予防するための免疫療法ストラテジー(例えばワクチン)の実施は、当業者にとって利用可能な多くの様々な技術を用いて達成され得る。
治療目的での免疫療法または抗体の使用は、近年、癌を処置するために使用されてきた。受動免疫療法は、癌処置におけるモノクローナル抗体の使用を含む。例えば、Cancer:Principles and Practice of Oncology,6Th Edition(2001)Chapt.20 pp.495−508を参照のこと。これらの抗体の固有の治療的な生物学的活性は、腫瘍細胞増殖または生存の直接阻害および身体の免疫系の天然の細胞死滅活性を動員する能力を含む。これらの作用物質は、単独でまたは放射線療法もしくは化学療法剤と組み合わせて投与され得る。あるいは、抗体は、抗体が毒性作用物質に連結し、腫瘍に特異的に結合することによって腫瘍にその作用物質を差し向ける抗体性複合物を作製するために使用され得る。
癌治療薬に対するスクリーニング
本発明は、候補分子が膀胱癌細胞の増殖およびまたは転移において阻害効果を有するか否かを判定するためにスクリーニングアッセイを提供する。適切な候補としては、タンパク質、ペプチド、核酸、例えばDNA、RNA、shRNA、smRNAなど、低分子の有機分子および低分子の無機分子を含む低分子が挙げられる。低分子には、50kd未満の分子が含まれ得る。
いくつかの実施形態において、候補作用物質を試料に接触させ;試料中の癌関連配列の活性を判定することを含む、抗癌剤を同定する方法が提供される。いくつかの実施形態において、候補作用物質は、癌関連配列の活性が接触後に試料中で低下する場合、抗癌剤として同定される。他の実施形態において、候補作用物質は、以下で開示される1以上の癌関連配列の発現レベルを低下させる。
いくつかの実施形態において、候補作用物質は抗体である。いくつかの実施形態において、本方法は、癌関連配列に結合する候補抗体を試料と接触させ、癌関連配列の活性についてアッセイすることを含み、この候補抗体は、癌関連配列活性が接触後に試料中で低下する場合、抗癌剤として同定される。癌関連配列の活性は、癌関連配列の何らかの活性であり得る。活性の例としては、癌関連配列それ自身の、または核酸レベルまたはタンパク質レベルの何れかで癌関連配列と相互作用するかまたはこれにより調節される酵素の何れかの酵素活性を阻害することが挙げられ得る。
いくつかの実施形態において、本開示は、細胞試料に候補作用物質を接触させ;癌関連配列の活性を判定することを含み、この候補作用物質が、癌関連配列の活性が接触後に細胞試料中で低下する場合に抗癌剤として同定される、抗癌(例えば膀胱癌)剤を同定する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、抗癌剤を同定する方法を提供するが、この方法は、LOC650517、FCRLB、IL1A、S100A2、MMP11、S100A7A、UGT1A6、FAM83A、SLC1A6、UPK3B、BX116033、MMP12、KRT16、UBD、UGT1A6、S100A7、WISP3、PTHLH、COL10A1、SERPINB4、UBE2C、BTBD16、SFN、KRT17P3、VGLL1、CDH3、CXCL10、S100A9、GJB2、TH、GSTM1、AIM2、NMU、MAGEA10、DSCR8、GTSF1、KRT6A、CXCL9、SERPINB5、DSCR6またはそれらの組み合わせから選択される癌関連配列に結合する候補作用物質を細胞試料と接触させ、癌関連配列の活性または発現レベルをアッセイすることを含み、候補抗体は、癌関連配列の活性が接触後に細胞試料中で低下する場合、抗癌剤として同定される。
いくつかの実施形態において、薬物候補をスクリーニングする方法には、薬物候補の非存在下での癌関連配列の発現レベルを薬物候補の存在下での発現レベルと比較することが含まれる。
いくつかの実施形態は、癌関連配列(核酸またはタンパク質)に対して結合可能な治療剤についてスクリーニングする方法を対象とし、この方法は、癌関連配列および候補治療剤を組み合わせ、癌関連配列に対する候補作用物質の結合を判定することを含む。
本明細書中で、癌関連配列の活性を調節することが可能な治療剤に対してスクリーニングするための方法がさらに提供される。いくつかの実施形態において、本方法は、癌関連配列および候補治療剤を組み合わせ、癌関連配列の生物活性における候補作用物質の効果を判定することを含む。癌関連配列の生物活性を調節する作用物質は、癌関連配列の活性を調節することが可能な治療剤として使用され得る。
ある一定の実施形態において、本発明は、(a)以下で開示される1以上の癌関連配列、それらの相同体、それらの組み合わせまたはそれらの断片から選択される癌関連遺伝子を発現する細胞を抗抗癌剤候補と接触させ;(b)(核酸またはタンパク質レベルの何れかで)細胞での癌関連配列の発現における抗抗癌剤候補の効果を検出し;(c)薬物候補の非存在下での発現レベルを薬物候補の存在下での発現レベルと比較することを含み、癌関連ポリヌクレオチドの発現における効果が、その候補が抗癌活性を有することを示す、抗癌活性についてスクリーニングする方法を提供する。例えば薬物候補は、細胞における癌関連配列の発現レベルを低下させ得る。
いくつかの実施形態において、候補抗癌剤の効果を評価する方法は、患者に薬物を投与し、患者から細胞試料を取り出すことを含み得る。次に細胞の発現プロファイルを調べる。いくつかの実施形態において、本方法は、患者の発現プロファイルを健康な個体の発現プロファイルと比較することをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、発現プロファイルは、本明細書中で開示される配列の1以上のまたはそれらの何らかの組み合わせの発現を測定することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書中で開示される配列の1以上のまたはそれらの何らかの組み合わせの発現プロファイルが変化している(上昇または低下)場合、候補抗癌剤は効果的であると言われる。
いくつかの実施形態において、本発明は、(a)配列番号1から40で示される癌関連配列または配列番号41をコードする遺伝子またはそれらの断片からなる群から選択される核酸配列をコードする癌関連遺伝子を発現する細胞を提供し、(b)癌細胞由来であり得る細胞を抗癌剤候補と接触させ;(c)細胞試料中での癌関連配列の発現において抗癌剤候補の効果を監視し、場合によっては(d)前記薬物候補の非存在下での発現レベルを薬物候補の存在下での発現レベルと比較することを含む、抗癌活性にについてスクリーニングする方法を提供する。
適切な薬物候補としては、転写、G−タンパク質共役受容体アンタゴニスト、増殖因子アンタゴニスト、セリン−スレオニンキナーゼアンタゴニスト、チロシンキナーゼアンタゴニストの阻害剤が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、候補が癌関連配列の発現を調節する場合、その候補は、抗癌活性を有すると言われる。いくつかの実施形態において、抗癌活性は、細胞増殖を測定することによって判定される。いくつかの実施形態において、この候補は、細胞増殖を阻害または遅延させ、抗癌活性を有すると言われる。いくつかの実施形態において、候補は細胞を死滅させ、したがって、この候補は抗癌活性を有すると言われる。
いくつかの実施形態において、本発明は、膀胱癌に対する活性についてスクリーニングする方法を提供する。いくつかの実施形態において、本方法は、以下で開示される癌関連配列、それらの相同体、それらの組み合わせまたはそれらの断片から選択される癌関連配列に対して相補的である癌関連遺伝子を過剰発現する細胞を膀胱抗癌剤候補と接触させることを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、細胞での癌関連ポリヌクレオチドの発現における、膀胱抗癌剤候補の効果または細胞の増殖もしくは生存能における効果を検出することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、薬物候補の非存在下での発現レベル、細胞増殖または生存能を薬物候補の存在下での発現レベル、細胞増殖または生存能と比較することを含み、癌関連ポリヌクレオチド発現、細胞増殖または生存能における効果は、その候補が、配列番号1から40で開示される配列または配列番号41をコードする遺伝子またはそれらに対する相補体、それらの相同体、それらの組み合わせまたはそれらの断片から選択される配列である配列を含む癌関連遺伝子を過剰発現する膀胱癌細胞に対して活性を有することを示す。いくつかの実施形態において、薬物候補としては、例えば、転写阻害剤、G−タンパク質共役受容体アンタゴニスト、増殖因子アンタゴニスト、セリン−スレオニンキナーゼアンタゴニストまたはチロシンキナーゼアンタゴニストが挙げられ得る。
膀胱癌マーカーを同定する方法
特定の生細胞における遺伝子発現のパターンは、その現在の状態の特徴であり得る。細胞の状態またはタイプの違いの殆ど全ては、1以上の遺伝子のRNAレベルの違いに反映される。特徴が分からない遺伝子の発現パターンを比較することにより、それらの機能についての手がかりが提供され得る。数百または数千の遺伝子の発現のハイスループット分析は、(a)複合遺伝子疾患の同定、(b)組織と疾患状態との間の経時的な差次的な遺伝子発現の分析および(c)薬物探索および毒性研究に役立ち得る。ある一定の遺伝子の発現レベルの増減は、癌生物学と相関する。例えば、癌遺伝子は腫瘍形成の陽性制御因子であり、一方で腫瘍サプレッサー遺伝子は腫瘍形成の負の制御因子である。(Marshall,Cell,64:313−406(1991);Weinberg,Science,254:1138−1146(1991))。したがって、本明細書中のいくつかの実施形態は、癌に、特に腫瘍形成に関与する、ポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列を提供する。
癌遺伝子は、癌を引き起こし得る遺伝子である。発癌は、癌遺伝子を含有するウイルスによる細胞の感染、宿主ゲノムにおける癌原遺伝子の活性化および癌原遺伝子および腫瘍サプレッサー遺伝子の突然変異を含む多岐にわたるメカニズムによって起こり得る。発癌は、根本的に体細胞進化(すなわち、増殖調整の進行性の消失を伴う突然変異および変異体の自然選択)により引き起こされる。これらの体細胞突然変異の標的となる遺伝子は、それらの突然変異体表現型がそれぞれ優性であるかまたは劣性であるかに依存して、癌原遺伝子または腫瘍サプレッサー遺伝子の何れかとして分類される。
本発明のいくつかの実施形態は、癌関連配列(「標的マーカー」)を対象とする。いくつかの実施形態は、mRNA、miRNA、タンパク質の発現レベルまたはリン酸化およびSUMO化を含むが限定されないタンパク質翻訳後修飾が、細胞タイプの5種類のカテゴリー:(1)不死の多能性幹細胞(胚性幹(「ES」)細胞、誘導性多能性幹(「iPS」)細胞および胚性癌(「EC」)細胞などの生殖細胞系列細胞など)または性腺組織;(2)ES、iPSまたはEC−由来のクローン胚性前駆(「EP」)細胞株、(3)CD34+細胞およびCD133+細胞を含むが限定されない、有核血液細胞;(4)皮膚繊維芽細胞、血管内皮細胞、正常な非リンパ性および非癌性組織などを含む、正常な致死の体細胞成人由来組織および培養細胞:および(5)培養癌細胞株またはヒト腫瘍組織を含む悪性癌細胞間で比較される、癌の診断および処置に有用な新規標的マーカーを同定する方法を対象とする。カテゴリー1、3および5またはカテゴリー1および5で一般に発現される(または発現されない)が、カテゴリー2および4で発現されない(または発現される)mRNA、miRNAまたはタンパク質は、癌診断および治療に対する候補標的である。本明細書中のいくつかの実施形態は、ヒト適用、非ヒト獣医学適用またはそれらの組み合わせを対象とする。
いくつかの実施形態において、標的マーカーを同定する方法は、:1)不死の多能性幹細胞(胚性幹(「ES」)細胞、誘導性多能性幹(「iPS」)細胞および胚性癌腫(「EC」)細胞など)の生殖細胞系列細胞など)の、mRNA、miRNA、タンパク質またはタンパク質修飾の分子プロファイルを得て;2)ES、iPSまたはEC由来のクローン性胚性前駆(「EP」)細胞株、培養癌細胞株またはヒト腫瘍組織を含む悪性癌細胞および、培養クローン性ヒト胚性前駆細胞、胎児もしくは成人ソースからの培養体細胞、または悪性癌細胞に対する正常な対応組織などの致死体細胞型で存在するものとこれらの分子を比較する段階を含む。hES細胞などの多能性幹細胞と悪性癌細胞との間で共有されるが、殆どの体細胞タイプには存在しない標的マーカーは、候補診断マーカーおよび治療標的となり得る。
本明細書中の実施形態の癌関連配列は、例えば配列番号1から41において開示される。これらの配列は、倍率変化およびフィルター分析から抽出した。正常および膀胱腫瘍組織における癌関連配列の発現は以下で開示する。
発現が判定されたら、癌細胞株対正常組織における倍率変化;全般的な特異性;癌細胞株における分泌もしくは非分泌、発現レベル;およびシグナル対ノイズ比を考慮することによって、遺伝子配列結果をさらにフィルターにかけ得る。
当然のことながら、発現データを得る様々な方法および発現データの使用がある。例えば、癌を有する対象を検出または診断するために使用され得る発現データを実験的に得ることができる。いくつかの実施形態において、発現データを得ることは、試料を得て、実験により発現データを調べるために試料を処理することを含む。発現データは、本明細書中に記載の癌関連配列の1以上に対する発現データを含み得る。発現データは、例えば、本明細書中に記載のものなどを含むが限定されないマイクロアレイまたは定量的増幅法を使用することによって、実験により決定され得る。いくつかの実施形態において、試料と関連付けられる発現データを得ることは、実験的に発現データを調べるために試料を処理した第三者から発現データを受け取ることを含む。
発現レベルを検出することまたは本明細書中に記載の同様の段階は、実験的に行われ得るか、または本明細書中に記載のように第三者により提供され得る。したがって、例えば、「発現レベルを検出する」とは、データを実験的に測定することおよび/または発現レベルデータを調べ、検出するために試料を処理した別の者によりデータが提供されることを指し得る。
RNAプローブ配列に対してハイブリッド形成させられるIllmina遺伝子発現マイクロアレイを用いたmRNAレベルでの遺伝子発現の比較が使用され得る。例えば試料は、多様なカテゴリーの細胞型:1)ヒト胚性幹(「ES」)細胞または性腺組織、2)ES、iPSまたはEC−由来のクローン胚性前駆(「EP」)細胞株、3)CD34+細胞およびCD133+細胞を含むが限定されない有核の血液細胞;4)正常な致死性体細胞成人由来組織および、皮膚、繊維芽細胞、血管内皮細胞、正常非リンパ性および非癌性組織を含む培養細胞などおよび5)培養癌細胞株を含む悪性癌細胞またはヒト腫瘍組織から調製され得、カテゴリー1、3および5またはカテゴリー1および5で一般に発現される(または発現されない)が、カテゴリー2および4で発現されない(または発現される)遺伝子を検出するためにフィルタリングを行った。この観察に基づくこれらの癌における治療は、癌において上方制御される上記で述べられる転写産物の発現を低下させるかまたは遺伝子産物の発現を低下させることに基づく。
試料を分析するための技術
試料中の癌を検出もしくは診断するかまたは新規の癌関連配列を同定する方法などの以下で開示される方法に従い試料を分析するために、当技術分野で公知の何らかの技術が使用され得る。代表的な技術を下記で提供する。
遺伝子発現アッセイ:遺伝子発現レベルの測定は、定量的PCRまたはマイクロアレイ遺伝子発現分析、ビーズアレイ遺伝子発現分析およびノーザン分析を含むが限定されない当技術分野の何らかの公知の方法によって行われ得る。遺伝子発現レベルは、ADPRT(受託番号NM_001618.2)、GAPD(受託番号NM_002046.2)または当技術分野で公知の他のハウスキーピング遺伝子に対して正規化された相対的発現として表され得る。mRNA発現のマイクロアレイ化プローブの場合、遺伝子発現データはまた、中央値の中央値法によっても正規化され得る。この方法において、各アレイは、異なる総強度を与える。中央値を使用することは、実験において細胞株(アレイ)を比較するロバストな方法である。例として、各細胞株に対して中央値を見出し、次いでこれらの中央値の中央値を正規化のための値とした。各細胞株からのシグナルを他の細胞株のそれぞれに対するものとした。
RNA抽出:本開示の細胞を0.05%トリプシンおよび0.5mM EDTAとともに温置し、続いて0.5%BSA入りのDMEM(Gibco,Gaithersburg,MD)中で回収し得る。トータルRNAは、RNeasy Miniキット(Qiagen,Hilden,Germany)を用いて細胞から精製され得る。
細胞からのトータルRNAおよびmiRNAの単離:トータルRNAまたは低分子RNA種に対して濃縮された試料は、多くの成熟組織において観察される細胞増殖停止に類似させるためにRNAを回収する前に血清飢餓状態にされる細胞培養物から単離される。細胞増殖停止は、5日間にわたり0.5%血清を含有する培地に変え、低血清培地の1回目の添加後2から3日に1回培地交換することによって行われ得る。トータルRNAを単離するためにQiagen RNEasyキットに対する業者の説明書に従って、または低分子RNA種に対して濃縮されたRNAを単離するためにAmbion mirVanaキットに対する業者の説明書に従って、RNAが回収され得る。RNA濃度は、分光法によって決定され得、RNAの質は、28Sおよび18S RNAを可視化するためにアガロースゲル電気泳動を変性させることによって決定され得る。分解の兆候がなく、およそ2:1、28S:18Sの比率である明確に可視化された28Sおよび18Sバンドがある試料を続くmiRNA分析に対して使用し得る。
ヒト細胞から単離される試料中のmiRNAのためのアッセイ:miRNAは、Applied Biosystems,IncからのヒトPanel TaqMan MicroRNAアッセイを用いて定量され得る。これは、逆転写(RT)と続くリアルタイムTaqMan(登録商標)に対してステム−ループプライマーを使用する2段階アッセイである。アッセイには、2段階、逆転写(RT)および定量的PCRが含まれる。リアルタイムPCRは、Applied Biosystems 7500 リアルタイムPCR Systemにおいて行われ得る。細胞1個あたりのコピー数は、合成mir−16miRNAの標準曲線に基づいて推定され得、およそ15pg/細胞のトータルRNA量が仮定される。
5μLの最終体積で1xcDNAアーカイビング緩衝液、3.35単位MMLV逆転写酵素、5mMの各dNTP、1.3単位AB RNase阻害剤、2.5nM 330−plexリバースプライマー(RP)、3ngの細胞RNAを用いて、逆転写反応が行われ得る。20℃で30秒;42℃で30秒;50℃で1秒を60サイクル、続いて85℃で5分間を1サイクル行うサイクリングプロファイルでBioRadまたはMJ サーモサイクラーにおいて逆転写反応が行われ得る。
リアルタイムPCR.20μLの反応に対して2μLの1:400希釈Pre−PCR産物を使用し得る。全反応を2つ組で行い得る。この方法は非常にロバストなので、2つ組み試料は、miRNA発現レベルに対する値を得るのに十分、足りるものであり、正確であり得る。ABIのTaqMan universal PCRマスター混合液は、製造者の示唆に従い使用され得る。簡潔に述べると、1xTaqMan Universal Master Mix(ABI)、1μMフォワードプライマー、1μMユニバーサルリバースプライマーおよび0.2μM TaqManプローブを各リアルタイムPCRに対して使用し得る。使用される条件は、次のとおりであり:95℃で10分間、続いて95℃で15秒間、および60℃で1分間を40サイクルであり得る。反応は全て、ABI Prism7000配列検出システムにおいて行われ得る。
マイクロアレイハイブリッド形成およびデータ処理。インビトロ転写(IVT)(Affymetrix,Santa Clara,CA)によるかまたはIllumina Total Prep RNALabellingキットを用いたビオチン標識化のためのOne−Cycle Target Labeling手順に、cDNA試料および細胞性トータルRNA(8本の個々の各試験管中5μg)を供し得る。Affymetix遺伝子チップでの分析の場合、cRNAを続いて断片化し、製造者の説明書に従いヒトゲノムU133 Plus 2.0アレイ(Affymetrix)とハイブリッド形成させ得る。CELデータを生成させるために、GeneChip Scanner 3000(Affymetrix)を用いてマイクロアレイ画像データを処理し得る。次いで、複数のデータセットを同時に正規化し、処理するという長所を有するdChipソフトウェアによる分析にCELデータを供し得る。細胞からの8個の正規化対照から、希釈された細胞RNAからの8個の独立に増幅された試料から、および20個の単一細胞からの増幅cDNA試料から得られたデータを、プログラムの初期設定に従い、それぞれの群内で個別に正規化し得る。モデルベース発現指標(MBEI)は、シグナル強度のlog−2変換および低値から0の切捨てを行いPM/MM差モードを用いて計算し得る。絶対的コール(Present、MarginalおよびAbsent)は、dChip初期設定を使用して、Affymetrixマイクロアレイソフトウェア5.0(MAS5.0)アルゴリズムによって形成され得る。Presentプローブのみの発現レベルは、下記の全ての定量的分析に対して考慮され得る。マイクロアレイデータに対するGEO受託番号はGSE4309である。IlluminaヒトHT−12 v4発現ビーズチップにおける分析の場合、製造者の説明書に従い、標識化cRNAをハイブリッド形成させ得る。
適用範囲および正確度の計算。真の陽性は、8個の非増幅対照のうち少なくとも6個においてPresentと呼ばれるプローブとして定義され、真の発現レベルは、Presentプローブのlog−平均発現レベルとして定義される。適用範囲の定義は、(増幅試料で検出された真に陽性のプローブ数)/(真に陽性のプローブ数)である。正確度の定義は、(増幅試料で検出された真に陽性のプローブ数)/(増幅試料で検出されたプローブ数)である。増幅および非増幅試料の発現レベルは、正確度および適用範囲が計算される場合、20.5(20、20.5、21、21.5...)の階級の幅によって除され得る。これらの発現レベル瓶は、検出されるプローブの頻度分布を分析するためにも使用され得る。
細胞の遺伝子発現プロファイルの分析;細胞からのマイクロアレイデータの目的変数なしのクラスタリングおよびクラス近傍分析は、高信頼度で、方法および/または生検からのものを含め、何らかの試料可変性の関与を妨げるために並べ替え検定と組み合わせてシグナルノイズ比分析/T検定を行う、GenePatternソフトウェア(http://www.broad.mit.edu/cancer/software/genepattern/)を用いて行われ得る。この分析は、14,128プローブにおいて行われ得、20個の単一の細胞のうち少なくとも6個がPresentコールを与え、20試料のうち少なくとも1つが細胞1個あたり>20コピーの発現レベルを与えた。Absent/Marginalコールがあるプローブに対して計算される発現レベルは、0に切り捨てられる。相対的遺伝子発現レベルを計算するために、Q−PCR分析で得られたCt値は、ヒトゲノム全体(BD Biosciences)または遺伝子断片を含有するプラスミドの何れかで定量された個々のプライマー対の効率を使用して補正され得る。相対発現レベルは、反応混合物中に含まれるスパイクRNA(log10[発現レベル]=1.05 x log10[コピー数]+4.65)を用いて計算される検量線を用いてさらにコピー数に変換され得る。目的変数なしのクラスタリングにより決定されるクラスター1とクラスター2との間の差を表し、後の段階でPEに制限される、Gata4との遺伝子発現の関連を評価するために、独立性に対するカイ二乗検定を行い得る。Q−PCRで測定される個々の遺伝子の発現レベルは、3つのカテゴリー:高(>100コピー/細胞)、中(10−100コピー/細胞)および低(<10コピー/細胞)に分類され得る。Gata4発現からの独立に対するカイ二乗およびP値は、この分類に基づき計算し得る。カイ二乗は次のとおり定義される:χ2=ΣΣ(n fij−fi fj)2/n fi fj、(式中、iおよびjはそれぞれ参照(Gata4)および標的遺伝子の発現レベルカテゴリー(高、中または低)を表し;fi、fjおよびfijは、それぞれカテゴリーi、jおよびijの観測度数を表し;nは、試料数(n=24)を表す。)。自由度は、(r−1)x(c−1)(式中、rおよびcは、それぞれGata4および標的遺伝子の発現レベルカテゴリーの利用可能数を表す。)として定義され得る。
膀胱癌に対する免疫反応の生成
いくつかの実施形態において、癌関連配列を発現する細胞に対する免疫反応を誘発するために、抗原提示細胞(APC)を使用して、インビボまたはエクスビボでTリンパ球を活性化し得る。APCは、高度に特化した細胞であり、マクロファージ、単球および樹状細胞(DC)を含み得るが限定されない。APCは、抗原を処理し、リンパ球活性化に必要とされる分子と一緒に、それらのペプチド断片を細胞表面で提示し得る。いくつかの実施形態において、APCは樹状細胞であり得る。DCは、例えば濾胞樹状細胞、ランゲルハンス樹状細胞および表皮樹状細胞を含むサブグループに分類され得る。他の実施形態において、本発明は、以下で開示される癌関連配列の1以上に対する抗体反応を誘発する方法を提供する。本方法は、以下で開示される癌関連配列の1以上によりコードされるタンパク質またはペプチド断片を対象に投与することを含み得る。
いくつかの実施形態は、対象において、癌細胞などであるが限定されない癌関連ポリペプチド配列を発現する細胞に対する免疫反応を誘発するための、癌関連ポリペプチドおよび、癌関連配列をコードするポリヌクレオチド、それらの断片またはそれらの突然変異体および抗原提示細胞(樹状細胞などであるが限定されない。)の使用を対象とする。いくつかの実施形態において、癌関連配列を発現する細胞に対する免疫反応を誘発する方法は、(1)造血幹細胞を単離し、(2)癌関連配列を発現させるために細胞を遺伝子改変し、(3)細胞をDCに分化させ;(4)DCを対象(例えばヒト患者)に投与することを含む。いくつかの実施形態において、免疫反応を誘発する方法は、(1)DCを単離し(またはDC前駆細胞の単離および分化)、(2)細胞に癌関連配列を適用し;(3)DCを対象に投与することを含む。これらのアプローチは、以下でさらに詳細に論じる。いくつかの実施形態において、Tリンパ球をエクスビボで活性化するために、適用されるかまたは発現しているDCを使用し得る。これらの一般的な技術およびそれらの変法は、当業者の技術の範囲内であり得(例えば、WO97/29182;WO97/04802;WO97/22349;WO96/23060;WO98/01538;Hsuら、1996,Nature Med.2:52−58参照)、また他の変法が将来的に発見され得る。いくつかの実施形態において、免疫反応を刺激するために癌関連配列を対象と接触させる。いくつかの実施形態において、免疫反応は、下記のような対象を処置するための治療的免疫反応である。いくつかの実施形態において、免疫反応は予防的免疫反応である。例えば、免疫反応を刺激するのに有効な条件下で癌関連配列を対象と接触させ得る。癌関連配列は、例えばDNA分子(例えばDNAワクチン)、RNA分子またはポリペプチドまたはそれらの何らかの組み合わせとして投与され得る。免疫反応を刺激するために配列を投与することは公知であったが、使用すべき配列の正体は、本開示の前には知られていなかった。免疫反応を刺激するために、何らかの配列または本明細書中で開示される配列またはそれらの相同体の組み合わせが対象に投与され得る。
いくつかの実施形態において、癌関連配列での形質導入のために樹状細胞前駆細胞を単離し、樹状細胞に分化させるために誘導し得る。癌関連配列を発現する遺伝子改変DCは、細胞表面でペプチド断片を提示し得る。
いくつかの実施形態において、発現される癌関連配列は、天然のタンパク質の配列を含む。いくつかの実施形態において、本癌関連配列は、天然の配列を含まない。既に記されているように、天然のタンパク質の断片が使用され得;さらに、天然のポリペプチドと比較した場合に、少なくとも1つのペプチドエピトープがDCによってプロセシングされ得、MHCクラスIまたはII表面分子上に与えられる限り、発現されるポリペプチドは、欠失、挿入またはアミノ酸置換などの突然変異を含み得る。いくつかの実施形態において、例えばペプチドの抗原性を向上させるために、またはペプチド発現レベルを向上させるために、「野生型」以外の配列を使用することが望ましいものであり得る。いくつかの実施形態において、導入される癌関連配列は、多型変異体(例えば特定のヒト患者により発現される変異体)または特定の癌(例えば特定の対象における癌)の特徴である変異体などの変異体をコードし得る。
いくつかの実施形態において、形質移入、組み換えワクシニアウイルス、アデノ関連ウイルス(AAV)、レトロウイルスなどを含む様々な標準的方法の何れかにおいて、癌関連配列がDCまたは幹細胞に導入(形質導入)され得る。
いくつかの実施形態において、本発明の形質転換DCが、このDCが免疫反応を誘導し得る対象(例えばヒト患者であるが限定されない。)に導入され得る。一般的には、この免疫反応には、抗原性ペプチド(例えばMHCクラスI/ペプチド複合体において)を有する標的細胞に対する細胞毒性T−リンパ球(CTL)反応が含まれる。これらの標的細胞は一般的には癌細胞である。
いくつかの実施形態において、DCが対象に投与されるものではない場合、これらは、好ましくは、その対象からの前駆細胞から単離されるかまたは前駆細胞に由来し得る(すなわち、DCは自己対象に投与され得る。)。しかし、この細胞は、HLA−適合の同種異系またはHLA−不適合の同種異系対象に注入され得る。後者の場合、免疫抑制薬物が対象に投与され得る。
いくつかの実施形態において、細胞が何らかの適切な方式で投与され得る。いくつかの実施形態において、細胞は、医薬的に許容可能な担体(例えば食塩水)とともに投与され得る。いくつかの実施形態において、細胞は、静脈内、関節内、筋肉内、皮内、腹腔内または皮下経路を通じて投与され得る。投与(すなわち免疫付与)は、時間の間隔をおいて反復され得る。DC数および活性を維持するように作用するサイトカイン(例えば、GM−CSF、IL−12)の投与とDCの注入を組み合わせ得る。
いくつかの実施形態において、対象に投与される用量は、例えば、癌細胞の増殖を阻害するか、または結果として癌細胞数または腫瘍サイズを縮小させるために、T細胞増殖、Tリンパ球細胞毒性を測定するアッセイにより検出されるように免疫反応を誘発し、および/または時間とともに患者において有益な治療反応を発揮するのに十分な用量であり得る。
いくつかの実施形態において、DCを得て(患者からまたはインビトロでの前駆細胞の分化によるかの何れか)、癌関連配列を有する抗原性ペプチドを適用する。適用の結果、細胞の表面MHC分子上にペプチドが提示される。細胞表面上で提示されるペプチド/MHC複合体は、癌関連ポリペプチドを発現する標的細胞(例えば癌細胞であるが限定されない。)に対するMHC−制限細胞毒性T−リンパ球反応を誘発することが可能であり得る。
いくつかの実施形態において、適用するために使用される癌関連配列は、少なくとも約6または8アミノ酸および約30アミノ酸未満または約50アミノ酸残基長未満を有し得る。いくつかの実施形態において、免疫原性ペプチド配列は約8から約12アミノ酸を有し得る。いくつかの実施形態において、ヒトタンパク質断片の混合物が使用され得;あるいは定められる配列の特定のペプチドが使用され得る。ペプチド抗原は、デノボペプチド合成、精製または組み換えヒトペプチドの酵素性消化によって、天然のソース(例えば対象または対象からの腫瘍細胞)からのペプチド配列の精製または、ヒトペプチド断片をコードする組み換えポリヌクレオチドの発現によって、作製され得る。
いくつかの実施形態において、DCを適用するために使用されるペプチドの量は、ペプチドまたはポリペプチドの性質、サイズおよび純度に依存し得る。いくつかの実施形態において、約0.05μg/mLから約1mg/mL、約0.05μg/mLから約500μg/mL、約0.05μg/mLから約250μg/mL、約0.5μg/mLから約1mg/mL、約0.5μg/mLから約500μg/mL、約0.5μg/mLから約250μg/mLまたは約1μg/mLから約100μg/mLのペプチドの量で使用され得る。培養DCにペプチド抗原を添加した後、次に、細胞を十分な時間処理し、抗原をプロセシングし、クラスIまたはクラスIIMHCの何れかに会合する細胞表面上で抗原ペプチドを発現させる。いくつかの実施形態において、抗原を処理し、プロセシングする時間は、約18から約30時間、約20から約30時間または約24時間であり得る。
様々なMHCクラスIおよびII分子に対するペプチド結合モチーフを予測するためのシステムおよび方法の多くの例が記載されている。このような予測は、望ましいMHCクラスIまたはII分子に結合するペプチドモチーフを予測するために使用され得る。当業者がこのような目的に対して求め得るこのような方法、システムおよびデータベースの例としては、1.Peptide Binding Motifs for MHC Class I and II Molecules;William E.Biddison,Roland Martin,Current Protocols in Immunology,Unit II(DOI:10.1002/0471 142735.ima01is36;Online Posting Date:May,2001)が挙げられる。
上記参考文献1は、特異的なMHCクラスIまたはII対立遺伝子との相互作用を予測するためのペプチド−結合モチーフの使用の全体像を提供し、T−細胞認識を予測するためのMHC結合モチーフの使用のための例を与える。
表3は、NIH Center for Information Technology website,Biolnformatics and Molecular Analysis SectionでのHLAペプチドモチーフ検索に対する代表的な結果を提供する。
ペプチドに基づくワクチン接種の技術分野の熟練者は、個体のHLA対立遺伝子に基づき(例えば「MHC制限」ゆえに)、個体においてどのペプチドが最良に働くかを決定し得る。異なるHLA対立遺伝子は、様々なエネルギーにより、理論的に予想され得るかまたは解離速度として測定される特定のペプチドモチーフ(通常は2または3の非常によく保存されている8−10からの位置)に結合する。したがって、熟練者は、対象のHLAプロファイルに対してペプチドを調整し得る。
いくつかの実施形態において、本開示は、対象において免疫反応を誘発するのに効果的な条件下で癌関連配列と対象を接触させることを含む、癌関連配列を発現する細胞に対する免疫反応を誘発する方法を提供し、この癌関連配列は、下記で提供される癌関連配列の1以上から選択される遺伝子の配列またはそれらの断片遺伝子を含む。
癌関連配列による細胞の形質移入
以下で開示される癌関連配列の1以上によって細胞を形質移入し得る。形質移入細胞は、スクリーニングアッセイ、診断および検出アッセイにおいて有用であり得る。明細書中で開示される1以上の癌関連配列および/または1以上の癌関連配列によりコードされる単離タンパク質またはペプチド断片をコードする単離核酸を得るために、本明細書中で開示される1以上の癌関連配列を発現する形質移入細胞を使用し得る。
哺乳動物細胞(Neumann,E.ら(1982)EMBO J.1,841−845)、植物および細菌細胞に本明細書中に記載の癌関連核酸を導入するためにエレクトロポレーションを使用し得、これはタンパク質を導入するためにも使用し得る(Marrero,M.B.ら(1995)J.Biol.Chem.270,15734−15738;Nolkrantz,K.ら(2002)Anal.Chem.74,4300−4305;Rui,M.ら(2002)Life Sci.71,1771−1778)。関心のある精製タンパク質の緩衝化溶液中で懸濁される細胞(本発明の細胞など)を適用電場に置く。簡潔に述べると、高電圧の電気適用により、細胞膜に小さな(ナノメートルサイズ)の孔が形成される。タンパク質は、これらの小孔を介して、または孔が閉じ、細胞がその正常の状態に戻る際の膜再構築の過程中に細胞に侵入する。送達効率は、適用される電場の強度、適用の長さ、温度および緩衝化媒体の組成に依存し得る。エレクトロポレーションは、様々な細胞型で、他の送達法に耐性があるいくつかの細胞株でも全体的効率は非常に低いことが多いものの、成功している。一部の細胞株は、部分的に活性化されない限り、エレクトロポレーションに対してさえも不応性のままであり得る。
フェムトリットルの体積のDNAを細胞の核に直接導入するために、マイクロインジェクションを使用し得(Capecchi,M.R.(1980)Cell 22,470−488)、ここで宿主細胞ゲノムに直接組み込まれ得、したがって関心のある配列を有する樹立細胞株が作製される。抗体などのタンパク質(Abarzua,P.ら(1995)Cancer Res.55,3490−3494;Theiss,C.およびMeller,K.(2002)Exp.Cell Res.281,197−204)および突然変異タンパク質(Naryanau,A.ら(2003)J.Cell Sci.116,177−186)も、細胞性の過程に対するそれらの効果を直接調べるために、マイクロインジェクションを介して細胞に直接送達され得る。マイクロインジェクションは、巨大分子を細胞に直接導入し、それによって低pHエンドソームなどの望ましくない可能性がある細胞区画への曝露を迂回するという長所を有する。
いくつかのタンパク質および低分子ペプチドは、古典的な受容体介在またはエンドサイトーシス介在経路に依存せずに、生体膜を通じて伝達し、移行する能力を有する。これらのタンパク質の例としては、HIV−1 TATタンパク質、単純ヘルペスウイルス1(HSV−1)DNA−結合タンパク質VP22およびショウジョウバエアンテナぺディア(Antp)ホメオティック転写因子が挙げられる。いくつかの実施形態において、これらのタンパク質からのタンパク質形質導入ドメイン(PTD)は、ポリペプチドを細胞に首尾よく輸送するために、他の巨大分子、ペプチドまたはタンパク質、例えば癌関連ポリペプチドなどであるが限定されないものに融合され得る(Schwarze,S.R.ら(2000)Trends Cell Biol.10,290−295)。これらの形質導入ドメインの融合を使用する代表的な長所は、タンパク質侵入が濃度依存的に迅速であり、困難な細胞型に対処すると思われることである(Fenton,M.ら(1998)J.Immunol.Methods 212,41−48)。
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチド、DNA(遺伝子)コンストラクトおよび低分子薬物分子を細胞に送達するためにビヒクルとしてリポソームが使用され得る(Zabner,J.ら(1995)J.Biol.Chem.270,18997−19007;Feigner,P.L.ら(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84,7413−7417)。水溶液中に入れ、超音波処理する場合、ある種の脂質は、水性区画の周囲に環状脂質二重層からなる閉じた小胞を形成する。本明細書中の実施形態の小胞またはリポソームは、送達しようとする分子を含有する溶液中で形成され得る。水溶液中の被包DNAに加えて、陽イオン性リポソームは、自然におよび効果的に、DNAの負荷電骨格と相互作用する脂質上の正荷電頭部基により、DNAとの複合体を形成し得る。関心のある巨大分子および使用される細胞型に依存して、使用される陽イオン性脂質の正確な組成物および/または混合物は変更され得る(Felgner,J.H.ら(1994)J.Biol.Chem.269,2550−2561)。陽イオン性リポソームストラテジーもタンパク質送達に良好に適用されてきた(Zelphati,O.ら(2001)J.Biol.Chem.276,35103−35110)。タンパク質はDNAよりも不均一であるので、このタンパク質の物理的特徴、例えばその電荷および疎水性などは、陽イオン性脂質とのその相互作用の程度に影響を与え得る。
医薬組成物および投与方式
治療薬(単独または他の薬剤との組み合わせの何れか)に対する投与方式は、舌下、注射用(短時間作用型、デポー、移植および皮下または筋肉内注射されるペレット形態を含む。)に対するか、または膣クリーム、坐薬、ペッサリー、膣リング、直腸坐薬、子宮内器具および経皮形態、例えばパッチおよびクリームなどの使用によるものであり得るがこれらに限定されない。
具体的な投与方式は指示に依存する。具体的な投与経路および用法の選択は、最適の臨床反応を得るために、臨床家にとって公知の方法に従って、臨床家によって調整されるかまたは用量設定されるべきものである。投与すべき治療薬の量は、治療的に有効である量である。投与すべき投与量は、処置されている対象の特徴、例えば処置される特定の動物、年齢、体重、健康、同時処置のタイプ、および、もしあれば、処置頻度に依存し、当業者により(例えば臨床家により)容易に決定され得る。
本開示の治療薬および適切な担体を含有する製剤処方は、有効量の本開示のポリマーまたはコポリマーを含む、錠剤、カプセル、カシェ、ペレット、丸剤、粉剤および顆粒剤を含むが限定されない固形製剤;溶液、粉剤、流動性エマルジョン、流動性縣濁液、半固体、軟膏、ペースト、クリーム、ジェルおよびゼリーおよび泡を含むが限定されない局所剤形;および溶液、縣濁液、エマルジョンおよび乾燥粉末を含むが限定されない非経口剤形であり得る。このような処方物中で、医薬的に許容可能な希釈剤、充填剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、界面活性剤、疎水性ビヒクル、水溶性ビヒクル、乳化剤、緩衝液、保湿剤、湿潤剤、可溶化剤、保存料などとともに活性成分を含有し得ることも当技術分野で公知である。投与のための手段および方法は当技術分野で公知であり、熟練者は、指針として様々な薬理学の参考文献を参照し得る。例えば、Modern Pharmaceutics,Banker & Rhodes,Marcel Dekker,Inc.(1979);およびGoodman & Gihnan’s The Pharmaceutical Basis of Therapeutics,6th Edition,MacMillan Publishing Co.,New York(1980)を参考にし得る。
本開示の組成物は、注射による、例えばボーラス注射または連続的な点滴による非経口投与用に処方され得る。本組成物は、約15分間から約24時間の時間にわたり皮下での連続的な点滴によって投与され得る。注射用の処方物は、保存料を添加して、単位剤形で、例えばアンプルでまたは多回投与用容器で与えられ得る。本組成物は、縣濁液、溶液または油性もしくは水性ビヒクル中のエマルジョンのような形態をとり得、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤などの調合剤を含有し得る。
経口投与の場合、本組成物は、当技術分野で周知の医薬的に許容可能な担体と治療薬を組み合わせることによって、容易に処方され得る。このような担体によって、処置しようとする患者による経口摂取用に、錠剤、丸剤、ドラジェ、カプセル、液体、ジェル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして本発明の治療薬を処方できるようになる。経口使用のための医薬品は、必要に応じて、錠剤またはドラジェコアを得るために適切な補助剤を添加した後、固形賦形剤を添加し、場合によっては得られた混合物を粉砕し、顆粒混合物を処理することにより得られ得る。適切な賦形剤としては、ラクトース、スクロース、マンニトールおよびソルビトールを含むが限定されない糖;セルロース調製物、例えば、限定されないが、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびポリビニルピロリドン(PVP)などの充填剤が挙げられるがこれらに限定されない。必要に応じて、架橋ポリビニルピロリドン、寒天またはアルギン酸またはそれらの塩、例えばアルギン酸ナトリウムなどであるが限定されない崩壊剤が添加され得る。
ドラジェコアは、適切なコーティングとともに提供され得る。この目的のために、濃縮糖溶液が使用され得、これは、場合によっては、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液および適切な有機溶媒または溶媒混合液を含有し得る。色素物または顔料は、識別のために、または活性治療薬用量の異なる組み合わせの特徴を示すために、錠剤またはドラジェコーティングに添加され得る。
経口使用され得る医薬品としては、ゼラチン製の押し込み型カプセルならびに、ゼラチンおよび可塑剤、例えばグリセロールまたはソルビトールなどで作製される軟らかい密封カプセルが挙げられるがこれらに限定されない。押し込み型カプセルは、充填剤、例えばラクトースなど、結合剤、例えばデンプンなど、および/または潤滑剤、例えばタルクまたはステアリン酸マグネシウムなど、および場合によっては安定化剤との混合物中に活性成分を含有し得る。軟カプセル中で、適切な液体、例えば脂肪油、流動パラフィンまたは液体ポリエチレングリコールなどの中で活性のある治療薬が溶解または懸濁され得る。さらに、安定化剤が添加され得る。経口投与用の処方物は全て、このような投与に適切な投与量であるべきである。
口腔投与の場合、本医薬組成物は、例えば、従来のように処方される錠剤または薬用キャンディーの形態をとり得る。
吸入による投与の場合、本開示に従う使用のための治療薬は、適切な噴射剤、たとえば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、もしくは他の適切なガスを用いて、加圧式パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレーの体裁の形態で都合よく送達される。加圧式エアロゾルの場合、投与単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することにより決定され得る。治療薬および、ラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤の粉末混合物を含有する、吸入具または吸入器における使用のための、例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジが処方され得る。
本開示の組成物はまた、例えば、カカオバターまたは他のグリセリドなどの従来の坐薬基剤を含有する、坐薬または停留浣腸など、直腸組成物においても処方され得る。
既に記載の処方物に加えて、本開示の治療薬はデポー製剤としても処方され得る。このような長時間作用型処方物は、移植(例えば皮下または筋肉内)によるか、または筋肉内注射によって投与され得る。
デポー注射は、約1から約6ヶ月以上の間隔で投与され得る。したがって、例えば、本組成物は、適切なポリマー性または疎水性材料(例えば許容可能な油中でのエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂とともに、または難溶性の誘導体として、例えば難溶性の塩として、処方され得る。
経皮投与において、本開示の組成物は、例えば硬膏剤に適用され得るか、または結果として生物に供給される経皮的な治療システムにより適用され得る。
医薬組成物は、適切な固形またはゲル相担体または賦形剤を含み得る。このような担体または賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖類、デンプン類、セルロース誘導体、ゼラチンおよびポリマー、例えば、ポリエチレングリコールなどが含まれるが、これらに限定されない。
本開示の組成物はまた、以下のような組み合わせが本明細書中に記載の方法の所望の効果を達成することにおいて望ましいかまたは有利であることが分かる場合、他の活性成分、例えば、アジュバント、プロテアーゼ阻害剤または他の適合性の薬物もしくは化合物などと組み合わせて投与することもできる。
いくつかの実施形態において、崩壊剤成分は、クロスカメロースナトリウム、カメロースカルシウム、クロスポビドン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、イオン交換樹脂、食物酸(food acid)および炭酸アルカリ成分に基づく発泡系、クレイ、タルク、デンプン、アルファ化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、セルロースフロック、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ケイ酸カルシウム、炭酸金属、重炭酸ナトリウム、クエン酸カルシウムまたはリン酸カルシウムの1以上を含む。
いくつかの実施形態において、希釈剤成分は、マンニトール、ラクトース、スクロース、マルトデキストリン、ソルビトール、キシリトール、粉末化セルロース、微晶質セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、アルファ化デンプン、リン酸カルシウム、炭酸金属、酸化金属またはアルミノケイ酸金属の1以上を含み得る。
いくつかの実施形態において、任意の潤滑剤成分は、存在する場合、ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、フマル酸ステアリルナトリウム、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、ベヘン酸グリセリル、鉱物油、植物油、パラフィン、ロイシン、シリカ、ケイ酸、タルク、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエトキシ化ヒマシ油、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレングリコール、ポリオキシエチレン−グリコール脂肪エステル、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、ポリエトキシ化ステロール、ポリエトキシ化ヒマシ油、ポリエトキシ化植物油または塩化ナトリウムの1以上を含む。
キット
本発明は、上記のような対象方法を実施するためのキットおよびシステムも提供し、このような成分は、対象において癌を診断し、対象において癌を処置し、試料において癌を検出するかまたは癌細胞(例えば、対象から直接由来するか、インビトロまたはエクスビボで増殖させられたものか、または癌の動物モデルからのものであるかの何れか)において基礎研究実験を行うために形成される。本キットの様々な成分は個別の容器にあってもよいし、または、必要に応じて、一定の適合性の成分が予め合わせられ、1つの容器に入れられていてもよい。
いくつかの実施形態において、本発明は、試験試料で癌の存在を診断するためのキットを提供するが、このキットは、配列番号1から40で示される癌関連ポリヌクレオチド配列および/または配列番号41をコードする核酸またはそれらの相補体と選択的にハイブリッド形成する少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む。別の実施形態において、本発明は、以下で開示される、癌関連ポリヌクレオチド、癌関連ポリペプチドまたはそれらの断片を含む電子的ライブラリを提供する。いくつかの実施形態において、本キットは、1以上の捕捉試薬または以下で開示される1以上の癌関連配列の特異的な結合パートナーを含み得る。
本対象システムおよびキットはまた、対象方法の何れかを行うための1以上の他の試薬も含み得る。本試薬は、1以上のマトリクス、溶媒、試料調製試薬、緩衝液、脱塩試薬、酵素性試薬、変性試薬、プローブ、ポリヌクレオチド、ベクター(例えば、プラスミドまたはウイルスベクター)などを含み得、ここで陽性および陰性対照などの較正標準物質も提供され得る。このように、本キットは、バイアルまたは瓶などの1以上の容器を含み得、各容器は、試料処理を行うかまたは調製段階を行うためのおよび/または本開示に従い規格化試料を作製するために1以上の段階を行うための、個々の成分を含有する。
上述の成分に加えて、本対象キットは、一般的に、本対象方法を実施するためにキットの成分を使用するための説明書をさらに含む。本対象方法を実施するための説明書は、一般に適切な記録媒体に記録される。例えば、本説明書は、紙、プラスチックなどの基板上に印刷され得る。このように、本説明書は、添付文書として、キットまたはその成分の容器のラベルに(すなわち梱包またはサブパッケージに付けられて)など、キット中に存在し得る。他の実施形態において、本説明書は、適切なコンピュータで読める記憶媒体、例えばCD−ROM、ディスケット上などに存在する電子記憶装置データファイルとして存在する。また他の実施形態において、実際の説明書は、キット中に存在しないが、遠隔ソースから、例えばインターネットを介して説明書を得るための手段が提供される。この実施形態の例は、説明書が見られ得るおよび/または説明書がダウンロードされ得るウェブアドレスを含むキットである。説明書と同様に、説明書を得るためのこの手段は適切な基板上に記録される。
対象データベース、プログラムおよび説明書に加えて、本キットは、本キットを試験する際の使用のための1以上の対照試料および試薬、例えば、2以上の対照試料も含み得る。
本発明のさらなる実施形態
本開示の実施形態は、膀胱癌を含むが限定されない癌の診断および/または処置の方法を提供する。本方法は、膀胱癌、例えば、尿路上皮癌腫、移行上皮癌、非移行上皮癌、例えば限定されないが、扁平上皮癌、腺癌、横紋筋肉腫、神経細胞腫瘍、子宮頸癌またはリンパ腫、再発性および転移性膀胱癌またはそれらの組み合わせを診断および/または処置するために使用され得る。
いくつかの実施形態において、本方法は、正常な体細胞組織と比較して膀胱腫瘍組織において異常なレベルで発現されるマーカーを標的とすることを含む。いくつかの実施形態において、このマーカーは、LOC650517、FCRLB、IL1A、S100A2、MMP11、S100A7A、UGT1A6、FAM83A、SLC1A6、UPK3B、BX116033、MMP12、KRT16、UBD、UGT1A6、S100A7、WISP3、PTHLH、COL10A1、SERPINB4、UBE2C、BTBD16、SFN、KRT17P3、VGLL1、CDH3、CXCL10、S100A9、GJB2、TH、GSTM1、AIM2、NMU、MAGEA10、DSCR8、GTSF1、KRT6A、CXCL9、SERPINB5、DSCR6、それらの相補体またはそれらの組み合わせをコードする配列から選択される配列を含み得る。いくつかの実施形態において、このマーカーは、配列番号1から38、それらの相補体またはそれらの組み合わせから選択される配列を含み得るか、またはこれらによりコードされる。いくつかの実施形態において、膀胱癌の処置のための方法および関連医薬品およびキットが提供される。
いくつかの実施形態は、標的マーカーの発現、存在量または活性に影響を与える治療薬を含む組成物を投与することを含む、膀胱癌を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態において、標的マーカーは、LOC650517、FCRLB、IL1A、S100A2、MMP11、S100A7A、UGT1A6、FAM83A、SLC1A6、UPK3B、BX116033、MMP12、KRT16、UBD、UGT1A6、S100A7、WISP3、PTHLH、COL10A1、SERPINB4、UBE2C、BTBD16、SFN、KRT17P3、VGLL1、CDH3、CXCL10、S100A9、GJB2、TH、GSTM1、AIM2、NMU、MAGEA10、DSCR8、GTSF1、KRT6A、CXCL9、SERPINB5、DSCR6、それらの相補体またはそれらの組み合わせから選択され得る。いくつかの実施形態において、この標的マーカーは、配列番号1から38、それらの相補体またはそれらの組み合わせから選択され得る。
いくつかの実施形態は、膀胱癌に関連する標的マーカーのレベルを検出することを含む、膀胱癌を検出する方法を提供する。いくつかの実施形態において、この標的マーカーは、LOC650517、FCRLB、IL1A、S100A2、MMP11、S100A7A、UGT1A6、FAM83A、SLC1A6、UPK3B、BX116033、MMP12、KRT16、UBD、UGT1A6、S100A7、WISP3、PTHLH、COL10A1、SERPINB4、UBE2C、BTBD16、SFN、KRT17P3、VGLL1、CDH3、CXCL10、S100A9、GJB2、TH、GSTM1、AIM2、NMU、MAGEA10、DSCR8、GTSF1、KRT6A、CXCL9、SERPINB5、DSCR6、それらの相補体またはそれらの何らかの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、この標的マーカーは、配列番号1から41、それらの相補体またはそれらの組み合わせから選択され得るか、またはそれらによりコードされる。
本明細書中のいくつかの実施形態は、診断および/または治療用抗体のための標的として、膀胱癌に関連する抗原(すなわち癌関連ポリペプチド)を提供する。いくつかの実施形態において、薬物探索(例えば低分子)に対して、および/または細胞制御、増殖および分化のさらなる特徴評価に対してこれらの抗原が使用され得る。
いくつかの実施形態は、対象において膀胱癌を診断する方法を提供し、本方法は、(a)1以上の遺伝子または遺伝子産物またはそれらの相同体の発現を判定し;(b)第一の対象または第二の未罹患対象からの第二の正常試料からの1以上の核酸配列の発現を比較することを含み、発現の相違が、第一の対象が膀胱癌を有することを示し、本遺伝子または遺伝子産物は、LOC650517、FCRLB、IL1A、S100A2、MMP11、S100A7A、UGT1A6、FAM83A、SLC1A6、UPK3B、BX116033、MMP12、KRT16、UBD、UGT1A6、S100A7、WISP3、PTHLH、COL10A1、SERPINB4、UBE2C、BTBD16、SFN、KRT17P3、VGLL1、CDH3、CXCL10、S100A9、GJB2、TH、GSTM1、AIM2、NMU、MAGEA10、DSCR8、GTSF1、KRT6A、CXCL9、SERPINB5、DSCR6またはそれらの組み合わせから選択される遺伝子と呼ばれる。いくつかの実施形態において、本遺伝子または遺伝子産物は、配列番号1から40、それらの相補体またはそれらの組み合わせから選択される配列をコードする遺伝子であり得る。
いくつかの実施形態は、対象において免疫反応を誘発するために効果的な条件下で対象を癌関連配列と接触させることを含む、癌関連配列を発現する細胞に対する免疫反応を誘発する方法を提供するが、この癌関連配列は、LOC650517、FCRLB、IL1A、S100A2、MMP11、S100A7A、UGT1A6、FAM83A、SLC1A6、UPK3B、BX116033、MMP12、KRT16、UBD、UGT1A6、S100A7、WISP3、PTHLH、COL10A1、SERPINB4、UBE2C、BTBD16、SFN、KRT17P3、VGLL1、CDH3、CXCL10、S100A9、GJB2、TH、GSTM1、AIM2、NMU、MAGEA10、DSCR8、GTSF1、KRT6A、CXCL9、SERPINB5、DSCR6、それらの断片またはそれらの組み合わせから選択される遺伝子を含む。いくつかの実施形態において、本遺伝子は、配列番号1から40、それらの相補体またはそれらの組み合わせから選択される配列をコードする遺伝子であり得る。
いくつかの実施形態は、(i)遺伝子産物である少なくとも1つのポリペプチドの活性レベルを検出し;(ii)試験試料中のポリペプチドの活性レベルを正常試料中のポリペプチドの活性レベルと比較することを含み、正常試料中のポリペプチド活性レベルに対する試験試料中のポリペプチドの活性レベルの変動が試験試料中に癌が存在することを示し、この遺伝子産物が、LOC650517、FCRLB、IL1A、S100A2、MMP11、S100A7A、UGT1A6、FAM83A、SLC1A6、UPK3B、BX116033、MMP12、KRT16、UBD、UGT1A6、S100A7、WISP3、PTHLH、COL10A1、SERPINB4、UBE2C、BTBD16、SFN、KRT17P3、VGLL1、CDH3、CXCL10、S100A9、GJB2、TH、GSTM1、AIM2、NMU、MAGEA10、DSCR8、GTSF1、KRT6A、CXCL9、SERPINB5、DSCR6またはそれらの組み合わせから選択される遺伝子の産物である、試験試料中で膀胱癌を検出する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本遺伝子産物は、配列番号1から40、それらの相補体またはそれらの組み合わせから選択される配列をコードする遺伝子の産物であり得る。
本明細書中のいくつかの実施形態は、対象において膀胱癌を処置する方法を提供し、本方法は、それを必要とする対象に、癌関連タンパク質の活性を調節する治療剤を投与することを含み、この癌関連タンパク質は、LOC650517、FCRLB、IL1A、S100A2、MMP11、S100A7A、UGT1A6、FAM83A、SLC1A6、UPK3B、BX116033、MMP12、KRT16、UBD、UGT1A6、S100A7、WISP3、PTHLH、COL10A1、SERP1NB4、UBE2C、BTBD16、SFN、KRT17P3、VGLL1、CDH3、CXCL10、S100A9、GJB2、TH、GSTM1、AIM2、NMU、MAGEA10、DSCR8、GTSF1、KRT6A、CXCL9、SERPINB5、DSCR6、それらの相同体、それらの組み合わせまたはそれらの断片から選択される核酸配列を含む核酸によりコードされる。いくつかの実施形態において、本核酸配列は、配列番号1から40、それらの相補体またはそれらの組み合わせから選択され得る。いくつかの実施形態において、本治療剤は、癌関連タンパク質に結合する。いくつかの実施形態において、本治療剤は抗体である。いくつかの実施形態において、本抗体はモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であり得る。いくつかの実施形態において、本抗体はヒト化またはヒト抗体である。いくつかの実施形態において、癌を処置する方法は、LOC650517、FCRLB、IL1A、S100A2、MMP11、S100A7A、UGT1A6、FAM83A、SLC1A6、UPK3B、BX116033、MMP12、KRT16、UBD、UGT1A6、S100A7、WISP3、PTHLH、COL10A1、SERPINB4、UBE2C、BTBD16、SFN、KRT17P3、VGLL1、CDH3、CXCL10、S100A9、GJB2、TH、GSTM1、AIM2、NMU、MAGEA10、DSCR8、GTSF1、KRT6A、CXCL9、SERPINB5、DSCR6またはそれらの組み合わせなどであるが限定されない遺伝子の遺伝子ノックダウンを含み得る。いくつかの実施形態において、本遺伝子は、配列番号1から40、それらの相補体またはそれらの組み合わせから選択される配列をコードする遺伝子であり得る。いくつかの実施形態において、癌を処置する方法は、LOC650517、FCRLB、IL1A、S100A2、MMP11、S100A7A、UGT1A6、FAM83A、SLC1A6、UPK3B、BX116033、MMP12、KRT16、UBD、UGT1A6、S100A7、WISP3、PTHLH、COL10A1、SERPINB4、UBE2C、BTBD16、SFN、KRT17P3、VGLL1、CDH3、CXCL10、S100A9、GJB2、TH、GSTM1、AIM2、NMU、MAGEA10、DSCR8、GTSF1、KRT6A、CXCL9、SERPINB5、DSCR6またはそれらの組み合わせを含むmRNAをコードする遺伝子の発現をノックダウンまたは阻害するために細胞を処理することを含み得る。いくつかの実施形態において、本遺伝子は、配列番号1から40、それらの相補体またはそれらの組み合わせから選択されるmRNAをコードする遺伝子であり得る。いくつかの実施形態において、膀胱癌は、尿路上皮癌腫、移行上皮癌、非移行上皮癌、例えば限定されないが、扁平上皮癌、腺癌、横紋筋肉腫、神経細胞腫瘍、子宮頸癌またはリンパ腫、再発性および転移性膀胱癌またはそれらの組み合わせから選択される。
いくつかの実施形態において、膀胱癌がある対象を診断する方法は、試料を得て、LOC650517、FCRLB、IL1A、S100A2、MMP11、S100A7A、UGT1A6、FAM83A、SLC1A6、UPK3B、BX116033、MMP12、KRT16、UBD、UGT1A6、S100A7、WISP3、PTHLH、COL10A1、SERPINB4、UBE2C、BTBD16、SFN、KRT17P3、VGLL1、CDH3、CXCL10、S100A9、GJB2、TH、GSTM1、AIM2、NMU、MAGEA10、DSCR8、GTSF1、KRT6A、CXCL9、SERPINB5、DSCR6、それらの相補体またはそれらの組み合わせから選択される癌関連配列の存在を検出することを含み、本癌関連配列の存在は対象が膀胱癌であることを示す。いくつかの実施形態において、本癌関連配列は、配列番号1から40、それらの断片、それらの相補体、それらの組み合わせから選択され得るか、またはそれらによりコードされる。いくつかの実施形態において、本癌関連配列の存在を検出することは、本癌関連配列のタンパク質と特異的に結合する抗体または他のタイプの捕捉試薬と試料を接触させ、試料中での本癌関連配列のタンパク質に対する結合の有無を検出することを含む。
いくつかの実施形態において、本発明は、対象において膀胱癌を処置する方法を提供し、本方法は、それを必要とする対象に、LOC650517、FCRLB、IL1A、S100A2、MMP11、S100A7A、UGT1A6、FAM83A、SLC1A6、UPK3B、BX116033、MMP12、KRT16、UBD、UGT1A6、S100A7、WISP3、PTHLH、COL10A1、SERP1NB4、UBE2C、BTBD16、SFN、KRT17P3、VGLL1、CDH3、CXCL10、S100A9、GJB2、TH、GSTM1、AIM2、NMU、MAGEA10、DSCR8、GTSF1、KRT6A、CXCL9、SERPINB5、DSCR6、それらの相補体またはそれらの相同体から選択されるマーカーの活性を調節する治療剤を投与することを含み、この治療剤は、対象において癌を処置する。いくつかの実施形態において、本マーカーは、配列番号1から40、それらの断片、それらの相補体またはそれらの組み合わせから選択され得る。
いくつかの実施形態において、本発明は、対象において膀胱癌を診断する方法を提供し、本方法は、試料から、LOC650517、FCRLB、IL1A、S100A2、MMP11、S100A7A、UGT1A6、FAM83A、SLC1A6、UPK3B、BX116033、MMP12、KRT16、UBD、UGT1A6、S100A7、WISP3、PTHLH、COL10A1、SERPINB4、UBE2C、BTBD16、SFN、KRT17P3、VGLL1、CDH3、CXCL10、S100A9、GJB2、TH、GSTM1、AIM2、NMU、MAGEA10、DSCR8、GTSF1、KRT6A、CXCL9、SERPINB5、DSCR6、それらの相補体またはそれらの組み合わせから選択されるマーカーの発現を判定し、マーカーの発現に基づき対象において癌を診断することを含み、本対象は、マーカーが過剰発現される場合、癌を有すると診断される。いくつかの実施形態において、本マーカーは、配列番号1から40、それらの断片、それらの相補体またはそれらの組み合わせから選択され得る。
いくつかの実施形態において、本発明は、試験試料において癌を検出する方法を提供し、本方法は、(i)LOC650517、FCRLB、IL1A、S100A2、MMP11、S100A7A、UGT1A6、FAM83A、SLC1A6、UPK3B、BX116033、MMP12、KRT16、UBD、UGT1A6、S100A7、WISP3、PTHLH、COL10A1、SERPINB4、UBE2C、BTBD16、SFN、KRT17P3、VGLL1、CDH3、CXCL10、S100A9、GJB2、TH、GSTM1、AIM2、NMU、MAGEA10、DSCR8、GTSF1、KRT6A、CXCL9、SERPINB5、DSCR6、それらの相補体、それらの相同体、それらの組み合わせまたはそれらの断片から選択される配列を含む核酸配列によりコードされる抗原性ポリペプチドに結合する抗体のレベルを検出し;(ii)試験試料中の抗体レベルを対照試料中の抗体レベルと比較することを含み、対照試料中の抗体レベルに対する試験試料における抗体レベルの変動は、試験試料中に癌が存在することを示す。いくつかの実施形態において、本核酸配列は、配列番号1から40、それらの断片、それらの相補体またはそれらの組み合わせから選択され得る。
いくつかの実施形態において、本発明は、(i)LOC650517、FCRLB、IL1A、S100A2、MMP11、S100A7A、UGT1A6、FAM83A、SLC1A6、UPK3B、BX116033、MMP12、KRT16、UBD、UGT1A6、S100A7、WISP3、PTHLH、COL10A1、SERP1NB4、UBE2C、BTBD16、SFN、KRT17P3、VGLL1、CDH3、CXCL10、S100A9、GJB2、TH、GSTM1、AIM2、NMU、MAGEA10、DSCR8、GTSF1、KRT6A、CXCL9、SERPINB5、DSCR6、それらの相補体、それらの相同体、それらの組み合わせまたはそれらの断片から選択される核酸配列を含む核酸によりコードされる少なくとも1つのポリペプチドの活性レベルを検出し;(ii)試験試料中のポリペプチドの活性レベルを正常試料のポリペプチドの活性レベルと比較することを含み、正常試料中のポリペプチド活性レベルに対する試験試料中のポリペプチド活性レベルの変動が試験試料中に癌が存在することを示す、試験試料中で癌を検出する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本核酸配列は、配列番号1から40、それらの断片、それらの相補体またはそれらの組み合わせから選択され得る。
いくつかの実施形態において、本発明は、試験試料中で膀胱癌を検出する方法を提供し、本方法は、(i)LOC650517、FCRLB、IL1A、S100A2、MMP11、S100A7A、UGT1A6、FAM83A、SLC1A6、UPK3B、BX116033、MMP12、KRT16、UBD、UGT1A6、S100A7、WISP3、PTHLH、COL10A1、SERPINB4、UBE2C、BTBD16、SFN、KRT17P3、VGLL1、CDH3、CXCL10、S100A9、GJB2、TH、GSTM1、AIM2、NMU、MAGEA10、DSCR8、GTSF1、KRT6A、CXCL9、SERPINB5、DSCR6、それらの相補体、それらの相同体、それらの組み合わせまたはそれらの断片から選択される核酸配列を含む核酸によりコードされる少なくとも1つのポリペプチドの発現レベルを検出し;(ii)試験試料中のポリペプチドの発現レベルを正常試料中のポリペプチドの発現レベルと比較することを含み、正常試料中のポリペプチド発現レベルに対する試験試料中のポリペプチド発現レベルの変動は、試験試料中に癌が存在することを示す。いくつかの実施形態において、本核酸配列は、配列番号1から41、それらの断片、それらの相補体またはそれらの組み合わせから選択され得る。
いくつかの実施形態において、本発明は、試験試料中で膀胱癌を検出する方法を提供し、本方法は、(i)LOC650517、FCRLB、IL1A、S100A2、MMP11、S100A7A、UGT1A6、FAM83A、SLC1A6、UPK3B、BX116033、MMP12、KRT16、UBD、UGT1A6、S100A7、WISP3、PTHLH、COL10A1、SERP1NB4、UBE2C、BTBD16、SFN、KRT17P3、VGLL1、CDH3、CXCL10、S100A9、GJB2、TH、GSTM1、AIM2、NMU、MAGEA10、DSCR8、GTSF1、KRT6A、CXCL9、SERPINB5、DSCR6、それらの相補体、それらの相同体、それらの突然変異核酸、それらの組み合わせまたはそれらの断片から選択される配列を含む核酸配列の発現レベルを検出し;(ii)試験試料中の核酸配列の発現レベルを正常試料中の核酸配列の発現レベルと比較することを含み、正常試料中の核酸配列発現のレベルに対する試験試料中の核酸配列の発現レベルの変動は、試験試料中に癌が存在することを示す。いくつかの実施形態において、本核酸配列は、配列番号1から40、それらの断片、それらの相補体またはそれらの組み合わせから選択され得る。
いくつかの実施形態において、本発明は、癌に対する活性をスクリーニングする方法を提供し、本方法は、(a)LOC650517、FCRLB、IL1A、S100A2、MMP11、S100A7A、UGT1A6、FAM83A、SLC1A6、UPK3B、BX116033、MMP12、KRT16、UBD、UGT1A6、S100A7、WISP3、PTHLH、COL10A1、SERPINB4、UBE2C、BTBD16、SFN、KRT17P3、VGLL1、CDH3、CXCL10、S100A9、GJB2、TH、GSTM1、AIM2、NMU、MAGEA10、DSCR8、GTSF1、KRT6A、CXCL9、SERPINB5、DSCR6、それらの相補体、それらの相同体、それらの組み合わせまたはそれらの断片から選択される配列を含む癌関連遺伝子を発現する細胞を抗癌剤候補と接触させ;(b)細胞中での癌関連ポリヌクレオチドの発現における抗癌剤候補の効果を検出し;(c)薬物候補非存在下の発現レベルを薬物候補存在下での発現レベルと比較することを含み;癌関連ポリヌクレオチドの発現における効果は、その候補が癌に対する活性を有することを示す。いくつかの実施形態において、本癌関連遺伝子は、配列番号1から40、それらの断片、それらの相補体またはそれらの組み合わせから選択される配列を含むか、またはそれらをコードする。
いくつかの実施形態において、本発明は、膀胱癌に対する活性についてスクリーニングする方法を提供し、本方法は、(a)LOC650517、FCRLB、IL1A、S100A2、MMP11、S100A7A、UGT1A6、FAM83A、SLC1A6、UPK3B、BX116033、MMP12、KRT16、UBD、UGT1A6、S100A7、WISP3、PTHLH、COL10A1、SERP1NB4、UBE2C、BTBD16、SFN、KRT17P3、VGLL1、CDH3、CXCL10、S100A9、GJB2、TH、GSTM1、ATM2、NMU、MAGEA10、DSCR8、GTSF1、KRT6A、CXCL9、SERPINB5、DSCR6、それらの相補体、それらの相同体、それらの組み合わせまたはそれらの断片から選択される配列を含む癌関連遺伝子を過剰発現する細胞を抗癌剤候補と接触させ;(b)細胞での癌関連ポリヌクレオチドの発現における抗癌剤候補の効果または細胞増殖もしくは生存能における効果を検出し;(c)薬物候補非存在下の発現レベル、細胞増殖または生存能を薬物候補存在下の発現レベル、細胞増殖または生存能と比較することを含み;癌関連ポリヌクレオチドの発現、細胞増殖または生存能における効果は、その候補が癌関連遺伝子を過剰発現する癌細胞に対する活性を有することを示す。いくつかの実施形態において、本癌関連遺伝子は、配列番号1から40、それらの断片、それらの相補体またはそれらの組み合わせから選択される配列を含むか、またはそれらをコードする。
いくつかの実施形態において、本発明は、対象において膀胱癌を診断する方法を提供し、本方法は、a)第一の対象の第一の試料中での、LOC650517、FCRLB、IL1A、S100A2、MMP11、S100A7A、UGT1A6、FAM83A、SLC1A6、UPK3B、BX116033、MMP12、KRT16、UBD、UGT1A6、S100A7、WISP3、PTHLH、COL10A1、SERPINB4、UBE2C、BTBD16、SFN、KRT17P3、VGLL1、CDH3、CXCL10、S100A9、GJB2、TH、GSTM1、AIM2、NMU、MAGEA10、DSCR8、GTSF1、KRT6A、CXCL9、SERPINB5、DSCR6、それらの相補体、それらの相同体、それらの組み合わせまたはそれらの断片から選択される配列を含む1以上の核酸配列の発現を判定し;b)第一の対象または第二の健常対象からの第二の正常試料からの1以上の核酸配列の発現を比較することを含み、核酸配列の発現の相違は、第一の対象が癌を有することを示す。いくつかの実施形態において、この核酸配列は、配列番号1から40、それらの断片、それらの相補体またはそれらの組み合わせから選択され得る。
いくつかの実施形態において、本発明は、対象において膀胱癌を診断する方法を提供し、本方法は、a)対象において1以上の遺伝子または遺伝子産物またはそれらの相同体の発現を判定し;b)対象からの正常試料または健常対象からの正常試料からの1以上の遺伝子または遺伝子産物またはそれらの相同体の発現と、対象における1以上の遺伝子または遺伝子産物またはそれらの相同体の発現を比較することを含み、発現の相違は、その対象が膀胱癌を有することを示し、この1以上の遺伝子または遺伝子産物は、LOC650517、FCRLB、IL1A、S100A2、MMP11、S100A7A、UGT1A6、FAM83A、SLC1A6、UPK3B、BX116033、MMP12、KRT16、UBD、UGT1A6、S100A7、WISP3、PTHLH、COL10A1、SERPINB4、UBE2C、BTBD16、SFN、KRT17P3、VGLL1、CDH3、CXCL10、S100A9、GJB2、TH、GSTM1、AIM2、NMU、MAGEA10、DSCR8、GTSF1、KRT6A、CXCL9、SERPINB5、DSCR6、それらの相補体、それらの相同体またはそれらの組み合わせから選択される配列を含む。いくつかの実施形態において、本遺伝子または遺伝子産物は、配列番号1から40、それらの断片、それらの相補体またはそれらの組み合わせから選択される配列をコードする。
いくつかの実施形態において、本発明は、(i)少なくとも1つのポリペプチドの活性レベルを検出し;(ii)試験試料中のポリペプチド活性レベルを正常試料中のポリペプチド活性レベルと比較することを含み、正常試料中のポリペプチド活性レベルに対する試験試料中のポリペプチド活性レベルの変動は、試験試料中に癌が存在することを示し、本ポリペプチドが、LOC650517、FCRLB、IL1A、S100A2、MMP11、S100A7A、UGT1A6、FAM83A、SLC1A6、UPK3B、BX116033、MMP12、KRT16、UBD、UGT1A6、S100A7、WISP3、PTHLH、COL10A1、SERPINB4、UBE2C、BTBD16、SFN、KRT17P3、VGLL1、CDH3、CXCL10、S100A9、GJB2、TH、GSTM1、AIM2、NMU、MAGEA10、DSCR8、GTSF1、KRT6A、CXCL9、SERPINB5、DSCR6、それらの相補体から選択される配列の遺伝子産物である、試験試料中で膀胱癌を検出する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本ポリペプチドは、配列番号1から40、それらの断片、それらの相補体およびそれらの組み合わせから選択される配列を含む。
いくつかの実施形態において、本発明は、対象において膀胱癌を診断する方法を提供し、本方法は、対象由来の試料からのLOC650517、FCRLB、IL1A、S100A2、MMP11、S100A7A、UGT1A6、FAM83A、SLC1A6、UPK3B、BX116033、MMP12、KRT16、UBD、UGT1A6、S100A7、WISP3、PTHLH、COL10A1、SERPINB4、UBE2C、BTBD16、SFN、KRT17P3、VGLL1、CDH3、CXCL10、S100A9、GJB2、TH、GSTM1、AIM2、NMU、MAGEA10、DSCR8、GTSF1、KRT6A、CXCL9、SERPINB5、DSCR6、それらの相補体またはそれらの組み合わせから選択される配列を含む1以上の配列に対する1以上の遺伝子発現結果を得て;1以上の遺伝子発現結果に基づいて対象において癌を診断することを含み、本対象は、1以上の遺伝子が過剰発現される場合、癌を有すると診断される。いくつかの実施形態において、この1以上の配列は、配列番号1から40、それらの断片、それらの相補体またはそれらの組み合わせから選択される配列を含む。
(実施例1)
LOC650517:LOC650517(受託番号XR_019109.1)は、ケラチン17偽遺伝子3をコードする。ここで、LOC6S0S17が、膀胱腫瘍に対する新規マーカーであることが開示される。図1で示されるように、LOC650517発現をIlluminaマイクロアレイ、LOC650517に特異的なプローブ(プローブ配列AAGAACCGCAAGGATGCCAAGGATTGGTTCTTCAGCAAGACAGAGGAACT;(配列番号62)IlluminaプローブID ILMN_l653934)によってアッセイし、膀胱腫瘍移行上皮癌において強い遺伝子発現が検出された(>200RFU)。その一方、正常な膀胱、結腸、直腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、ファロピアン管、骨、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟組織、肺、腎臓、食道、リンパ節、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺および唾液腺を含む多岐にわたる正常組織におけるLOC650517の発現は、一般に低かった(<200RFU)。本明細書中で示される膀胱起源の悪性腫瘍におけるLOC650517発現上昇の特異性によって、LOC650517が、膀胱癌(例えば膀胱腫瘍移行上皮癌および転移性膀胱腫瘍を含むが限定されない。)の診断に対するマーカーであり、膀胱癌における治療的介入に対する標的であることが明らかとなる。本マーカーは、尿および/または血清中で検出され得る。
LOC650517を標的とする治療薬は、本明細書中に記載の方法を用いて同定され得、LOC650517を標的とする治療薬としては、LOC650517の活性を調節する抗体が挙げられるがこれらに限定されない。抗体の製造および使用は、本明細書中に記載されている。
(実施例2)
FCRLB:FCRLB(受託番号NM_001002901.2)は、ホモサピエンスFc受容体型Bをコードする。ここで、FCRLBが、膀胱腫瘍に対する新規マーカーであることが開示される。図2で示されるように、FCRLB発現をIlluminaマイクロアレイ、FCRLBに特異的なプローブ(プローブ配列CACCCTTAGCCCTTCAGATAAGCCTAGCCAGTACATATTTCAGCACAGGC;(配列番号63)IlluminaプローブID ILMN_1782015)によってアッセイし、膀胱腫瘍移行上皮癌中で強い遺伝子発現が検出された(>170RFU)。その一方、正常な膀胱、結腸、直腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、ファロピアン管、骨、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟組織、肺、腎臓、食道、リンパ節、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺および唾液腺を含む多岐にわたる正常組織におけるFCRLBの発現は、一般に低かった(<170RFU)。本明細書中で示される膀胱起源の悪性腫瘍におけるFCRLB発現上昇の特異性によって、FCRLBが、膀胱癌(例えば膀胱腫瘍移行上皮癌および転移性膀胱腫瘍を含むが限定されない。)の診断に対するマーカーであり、膀胱癌における治療的介入に対する標的であることが明らかとなる。本マーカーは、尿および/または血清中で検出され得る。
FCRLBを標的とする治療薬は、本明細書中に記載の方法を用いて同定され得、FCRLBを標的とする治療薬としては、FCRLBの活性を調節する抗体が挙げられるがこれらに限定されない。抗体の製造および使用は、本明細書中に記載されている。
(実施例3)
IL1A:IL1A(受託番号NM_000575.3)は、ホモサピエンスインターロイキン1αをコードする。ここで、IL1Aが、膀胱腫瘍に対する新規マーカーであることが開示される。図3で示されるように、IL1A発現をIlluminaマイクロアレイ、IL1Aに特異的なプローブ(プローブ配列CAGGGCATTTTGGTCCAAGTTGTGCTTATCCCATAGCCAGGAAACTCTGC;(配列番号64)IlluminaプローブID ILMN_1658483)によってアッセイし、膀胱腫瘍移行上皮癌において強い遺伝子発現が検出された(>260RFU)。その一方、正常な膀胱、結腸、直腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、ファロピアン管、骨、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟組織、肺、腎臓、食道、リンパ節、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺および唾液腺を含む多岐にわたる正常組織におけるIL1Aの発現は、一般に低かった(<260RFU)。本明細書中で示される膀胱起源の悪性腫瘍におけるIL1A発現上昇の特異性によって、IL1Aが、膀胱癌(例えば、膀胱腫瘍移行上皮癌および転移性膀胱腫瘍を含むが限定されない。)の診断に対するマーカーであり、膀胱癌における治療的介入に対する標的であることが明らかとなる。本マーカーは、尿および/または血清中で検出され得る。
IL1Aを標的とする治療薬は、本明細書中に記載の方法を用いて同定され得、IL1Aを標的とする治療薬としては、IL1Aの活性を調節する抗体が挙げられるがこれらに限定されない。抗体の製造および使用は、本明細書中に記載されている。
(実施例4)
S100A2:S100A2(受託番号NM_005978.3)は、ホモサピエンスS100カルシウム結合タンパク質A2をコードする。ここで、S100A2が、膀胱腫瘍に対する新規マーカーであることが開示される。図4で示されるように、S100A2発現をIlluminaマイクロアレイ、S100A2に特異的なプローブ(プローブ配列CTCAGCTGGAGTGCTGGGAGATGAGGGCCTCCTGGATCCTGCTCCCTTCT;(配列番号65)IlluminaプローブID ILMN_1725852)によってアッセイし、膀胱腫瘍移行上皮癌において強い遺伝子発現が検出された(>1000RFU)。その一方、正常な膀胱、結腸、直腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、ファロピアン管、骨、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟組織、肺、腎臓、食道、リンパ節、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺および唾液腺を含む多岐にわたる正常組織におけるS100A2の発現は、一般に低かった(<1000RFU)。本明細書中で示される膀胱起源の悪性腫瘍におけるS100A2発現上昇の特異性によって、S100A2が、膀胱癌(例えば膀胱腫瘍移行上皮癌および転移性膀胱腫瘍を含むが限定されない。)の診断に対するマーカーであり、膀胱癌における治療的介入に対する標的であることが明らかとなる。本マーカーは、尿および/または血清中で検出され得る。
S100A2を標的とする治療薬は、本明細書中に記載の方法を用いて同定され得、S100A2を標的とする治療薬としては、S100A2の活性を調節する抗体が挙げられるがこれらに限定されない。抗体の製造および使用は、本明細書中に記載されている。
(実施例5)
MMP11:MMP11(受託番号NM_005940.3)は、ホモサピエンスマトリクスメタロペプチダーゼ11(ストロメライシン3)をコードする。ここで、MMP11が、膀胱腫瘍に対する新規マーカーであることが開示される。図5で示されるように、MMP11発現をIlluminaマイクロアレイ、MMP11に特異的なプローブ(プローブ配列CAGGTCTTGGTAGGTGCCTGCATCTGTCTGCCTTCTGGCTGACAATCCTG;(配列番号66)IlluminaプローブID ILMN_1655915)によってアッセイし、膀胱腫瘍移行上皮癌において強い遺伝子発現が検出された(>I600RFU)。その一方、正常な膀胱、結腸、直腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、ファロピアン管、骨、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟組織、肺、腎臓、食道、リンパ節、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺および唾液腺を含む多岐にわたる正常組織におけるMMP11の発現は、一般に低かった(<1600RFU)。本明細書中で示される膀胱起源の悪性腫瘍におけるMMP11発現上昇の特異性によって、MMP11が、膀胱癌(例えば、膀胱腫瘍移行上皮癌および転移性膀胱腫瘍を含むが限定されない。)の診断に対するマーカーであり、膀胱癌における治療的介入に対する標的であることが明らかとなる。本マーカーは、尿および/または血清中で検出され得る。
MMP11を標的とする治療薬は、本明細書中に記載の方法を用いて同定され得、MMP11を標的とする治療薬としては、MMP11の活性を調節する抗体が挙げられるがこれらに限定されない。抗体の製造および使用は、本明細書中に記載されている。
(実施例6)
S100A7A:S100A7A(受託番号NM_l76823.3)は、ホモサピエンスS100カルシウム結合タンパク質A7Aをコードする。ここで、S100A7Aが、膀胱腫瘍に対する新規マーカーであることが開示される。図6で示されるように、S100A7A発現をIlluminaマイクロアレイ、S100A7Aに特異的なプローブ(プローブ配列AGAGTTCTGACCAGCACCAGATAAGCTTCAGTGCTCTCCTTTCTTTGGCC;(配列番号67)IlluminaプローブID ILMN_1673191)によってアッセイし、膀胱腫瘍移行上皮癌において強い遺伝子発現が検出された(>100RFU)。その一方、正常な膀胱、結腸、直腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、ファロピアン管、骨、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟組織、肺、腎臓、食道、リンパ節、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺および唾液腺を含む多岐にわたる正常組織におけるS100A7Aの発現は、一般に低かった(<100RFU)。本明細書中で示される膀胱起源の悪性腫瘍におけるS100A7A発現上昇の特異性によって、S100A7Aが、膀胱癌(例えば膀胱腫瘍移行上皮癌および転移性膀胱腫瘍を含むが限定されない。)の診断に対するマーカーであり、膀胱癌における治療的介入に対する標的であることが明らかとなる。本マーカーは、尿および/または血清中で検出され得る。
S100A7Aを標的とする治療薬は、本明細書中に記載の方法を用いて同定され得、S100A7Aを標的とする治療薬としては、S100A7Aの活性を調節する抗体が挙げられるがこれらに限定されない。抗体の製造および使用は、本明細書中に記載されている。
(実施例7)
UGT1A6:UGT1A6(受託番号NM_205862.1)は、ホモサピエンスUDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー、ポリペプチドA6をコードする。ここで、UGT1A6が、膀胱腫瘍に対する新規マーカーであることが開示される。図7で示されるように、UGT1A6発現をIlluminaマイクロアレイ、UGT1A6に特異的なプローブ(プローブ配列TACCAGGCTTTCTGACTCCTGCTCTAGGATTCTCACCACGTACTGGCTAG;(配列番号68)IlluminaプローブID ILMN_1752813)によってアッセイし、膀胱腫瘍移行上皮癌において強い遺伝子発現が検出された(>300RFU)。その一方、正常な膀胱、結腸、直腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、ファロピアン管、骨、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟組織、肺、腎臓、食道、リンパ節、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺および唾液腺を含む多岐にわたる正常組織におけるUGT1A6の発現は、一般に低かった(<300RFU)。本明細書中で示される膀胱起源の悪性腫瘍におけるUGT1A6発現上昇の特異性によって、UGT1A6が、膀胱癌(例えば、膀胱腫瘍移行上皮癌および転移性膀胱腫瘍を含むが限定されない。)の診断に対するマーカーであり、膀胱癌における治療的介入に対する標的であることが明らかとなる。本マーカーは、尿および/または血清中で検出され得る。
UGT1A6を標的とする治療薬は、本明細書中に記載の方法を用いて同定され得、UGT1A6を標的とする治療薬としては、UGT1A6の活性を調節する抗体が挙げられるがこれらに限定されない。抗体の製造および使用は、本明細書中に記載されている。
(実施例8)
FAM83A:FAM83A(受託番号NM_032899.4)は、配列類似性83を有するホモサピエンスファミリー、メンバーAをコードする。ここで、FAM83Aが、膀胱腫瘍に対する新規マーカーであることが開示される。図8で示されるように、FAM83A発現をIlluminaマイクロアレイ、FAM83Aに特異的なプローブ(プローブ配列CAGCCTGGTCACCTCCTGAGGAATAAATGCTGAACCTCACAAGCCCCATC;(配列番号69)IlluminaプローブID ILMN_2239774)によってアッセイし、膀胱腫瘍移行上皮癌において強い遺伝子発現が検出された(>800RFU)。その一方、正常な膀胱、結腸、直腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、ファロピアン管、骨、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟組織、肺、腎臓、食道、リンパ節、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺および唾液腺を含む多岐にわたる正常組織におけるFAM83Aの発現は、一般に低かった(<800RFU)。本明細書中で示される膀胱起源の悪性腫瘍におけるFAM83A発現上昇の特異性によって、FAM83Aが、膀胱癌(例えば膀胱腫瘍移行上皮癌および転移性膀胱腫瘍を含むが限定されない。)の診断に対するマーカーであり、膀胱癌における治療的介入に対する標的であることが明らかとなる。本マーカーは、尿および/または血清中で検出され得る。
FAM83Aを標的とする治療薬は、本明細書中に記載の方法を用いて同定され得、FAM83Aを標的とする治療薬としては、FAM83Aの活性を調節する抗体が挙げられるがこれらに限定されない。抗体の製造および使用は、本明細書中に記載されている。
(実施例9)
SLC1A6:SLC1A6(受託番号NM_005071.1)は、ホモサピエンス溶質輸送ファミリー1(高親和性アスパラギン酸/グルタミン酸輸送体)、メンバー6をコードする。ここで、SLC1A6が、膀胱腫瘍に対する新規マーカーであることが開示される。図9で示されるように、SLC1A6発現をIlluminaマイクロアレイ、SLC1A6に特異的なプローブ(プローブ配列TGACCGGCTTCGCACAATGACCAACGTACTGGGGGACTCAATTGGAGCGG;(配列番号70)IlluminaプローブID ILMN_217147l)によってアッセイし、膀胱腫瘍移行上皮癌において強い遺伝子発現が検出された(>120RFU)。その一方、正常な膀胱、結腸、直腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、ファロピアン管、骨、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟組織、肺、腎臓、食道、リンパ節、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺および唾液腺を含む多岐にわたる正常組織におけるSLC1A6発現は、一般に低かった(<120RFU)。本明細書中で示される膀胱起源の悪性腫瘍におけるSLC1A6発現上昇の特異性によって、SLC1A6が、膀胱癌(例えば膀胱腫瘍移行上皮癌および転移性膀胱腫瘍を含むが限定されない。)の診断に対するマーカーであり、膀胱癌における治療的介入に対する標的であることが明らかとなる。本マーカーは、尿および/または血清中で検出され得る。
SLC1A6を標的とする治療薬は、本明細書中に記載の方法を用いて同定され得、SLC1A6を標的とする治療薬としては、SLC1A6の活性を調節する抗体が挙げられるがこれらに限定されない。抗体の製造および使用は、本明細書中に記載されている。
(実施例10)
UPK3B:UPK3B(受託番号NM_182684.1)は、ホモサピエンスウロプラキン3B(UPK3B)、転写産物変異体2をコードする。ここで、UPK3Bが、膀胱腫瘍に対する新規マーカーであることが開示される。図10で示されるように、UPK3B発現をIlluminaマイクロアレイ、UPK3Bに特異的なプローブ(プローブ配列GCTCACCCAGGGCTGAGACCAAGTGGTCAGACCCCATCACTCTCCACCAA;(配列番号71)IlluminaプローブID ILMN 2264177)によってアッセイし、膀胱腫瘍移行上皮癌において強い遺伝子発現が検出された(>220RFU)。その一方、正常な膀胱、結腸、直腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、ファロピアン管、骨、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟組織、肺、腎臓、食道、リンパ節、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺および唾液腺を含む多岐にわたる正常組織におけるUPK3B発現は、一般に低かった(<220RFU)。本明細書中で示される膀胱起源の悪性腫瘍におけるUPK3B発現上昇の特異性によって、UPK3Bが、膀胱癌(例えば膀胱腫瘍移行上皮癌および転移性膀胱腫瘍を含むが限定されない。)の診断に対するマーカーであり、膀胱癌における治療的介入に対する標的であることが明らかとなる。本マーカーは、尿および/または血清中で検出され得る。
UPK3Bを標的とする治療薬は、本明細書中に記載の方法を用いて同定され得、UPK3Bを標的とする治療薬としては、UPK3Bの活性を調節する抗体が挙げられるがこれらに限定されない。抗体の製造および使用は、本明細書中に記載されている。
(実施例11)
BX116033:BX116033(受託番号BX116033)は、BX116033 NCI_CGAP_Lu24ホモサピエンスcDNAクローンIMAGp998A155622、mRNA配列をコードする。ここで、BX116033が、膀胱腫瘍に対する新規マーカーであることが開示される。図11で示されるように、BX116033発現をIlluminaマイクロアレイ、BX116033に特異的なプローブ(プローブ配列TGCCGTATTCTTGGTGTCTGGAGCAGTGCCTGACCTGTGGCGGGTGCTTA;(配列番号72)IlluminaプローブID ILMN_1863962)によってアッセイし、膀胱腫瘍移行上皮癌において強い遺伝子発現が検出された(>200RFU)。その一方、正常な膀胱、結腸、直腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、ファロピアン管、骨、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟組織、肺、腎臓、食道、リンパ節、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺および唾液腺を含む多岐にわたる正常組織におけるBX116033の発現は、一般に低かった(<200RFU)。本明細書中で示される膀胱起源の悪性腫瘍におけるBX116033発現上昇の特異性によって、BX116033が、膀胱癌(例えば膀胱腫瘍移行上皮癌および転移性膀胱腫瘍を含むが限定されない。)の診断に対するマーカーであり、膀胱癌における治療的介入に対する標的であることが明らかとなる。本マーカーは、尿および/または血清中で検出され得る。
BX116033を標的とする治療薬は、本明細書中に記載の方法を用いて同定され得、BX116033を標的とする治療薬としては、BX116033の活性を調節する抗体が挙げられるがこれらに限定されない。抗体の製造および使用は、本明細書中に記載されている。
(実施例12)
MMP12:MMP12(受託番号NM_002426.2)は、ホモサピエンスマトリクスメタロペプチダーゼ12(マクロファージエラスターゼ)をコードする。ここで、MMP12が、膀胱腫瘍に対する新規マーカーであることが開示される。図12で示されるように、MMP12発現をIlluminaマイクロアレイ、MMP12に特異的なプローブ(プローブ配列TCTATTTGAAGCATGCTCTGTAAGTTGCTTCCTAACATCCTTGGACTGAG;(配列番号73)IlluminaプローブID ILMN_2073758)によってアッセイし、膀胱腫瘍移行上皮癌において強い遺伝子発現が検出された(>120RFU)。その一方、正常な膀胱、結腸、直腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、ファロピアン管、骨、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟組織、肺、腎臓、食道、リンパ節、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺および唾液腺を含む多岐にわたる正常組織におけるMMP12の発現は、一般に低かった(<120RFU)。本明細書中で示される膀胱起源の悪性腫瘍におけるMMP12発現上昇の特異性によって、MMP12が、膀胱癌(例えば膀胱腫瘍移行上皮癌および転移性膀胱腫瘍を含むが限定されない。)の診断に対するマーカーであり、膀胱癌における治療的介入に対する標的であることが明らかとなる。本マーカーは、尿および/または血清中で検出され得る。
MMP12を標的とする治療薬は、本明細書中に記載の方法を用いて同定され得、MMP12を標的とする治療薬としては、MMP12の活性を調節する抗体が挙げられるがこれらに限定されない。抗体の製造および使用は、本明細書中に記載されている。
(実施例13)
KRT16:KRT16(受託番号NM_005557.2)は、ホモサピエンスケラチン16(局所性非表皮剥離性掌蹠角皮症)をコードする。ここで、KRT16が、膀胱腫瘍に対する新規マーカーであることが開示される。図13で示されるように、KRT16発現をIlluminaマイクロアレイ、KRT16に特異的なプローブ(プローブ配列AGGAGTACCAGATCTTGCTGGATGTGAAGACGCGGCTGGAGCAGGAGATT;(配列番号74)IlluminaプローブID ILMN_2228162)によってアッセイし、膀胱腫瘍移行上皮癌において強い遺伝子発現が検出された(>520RFU)。その一方、正常な膀胱、結腸、直腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、ファロピアン管、骨、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟組織、肺、腎臓、食道、リンパ節、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺および唾液腺を含む多岐にわたる正常組織におけるKRT16の発現は、一般に低かった(<520RFU)。本明細書中で示される膀胱起源の悪性腫瘍におけるKRT16発現上昇の特異性によって、KRT16が、膀胱癌(例えば膀胱腫瘍移行上皮癌および転移性膀胱腫瘍を含むが限定されない。)の診断に対するマーカーであり、膀胱癌における治療的介入に対する標的であることが明らかとなる。本マーカーは、尿および/または血清中で検出され得る。
KRT16を標的とする治療薬は、本明細書中に記載の方法を用いて同定され得、KRT16を標的とする治療薬としては、KRT16の活性を調節する抗体が挙げられるがこれらに限定されない。抗体の製造および使用は、本明細書中に記載されている。
(実施例14)
UBD:UBD(受託番号NM_006398.2)は、ホモサピエンスユビキチンDをコードする。ここで、UBDが、膀胱腫瘍に対する新規マーカーであることが開示される。図1で示されるように、UBD発現をIlluminaマイクロアレイ、UBDに特異的なプローブ(プローブ配列CCTCCTCCAGGTGCGAAGGTCCAGCTCAGTGGCACAAGTGAAAGCAATGA;(配列番号75)IlluminaプローブID ILMN_1678841)によってアッセイし、膀胱腫瘍移行上皮癌において強い遺伝子発現が検出された(>170RFU)。その一方、リンパ節(1076RFU)を除き、正常な膀胱、結腸、直腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、ファロピアン管、骨、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟組織、肺、腎臓、食道、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺および唾液腺を含む多岐にわたる正常組織におけるUBDの発現は、一般に低かった(<170RFU)。本明細書中で示される膀胱起源の悪性腫瘍におけるUBD発現上昇の特異性によって、UBDが、膀胱癌(例えば膀胱腫瘍移行上皮癌および転移性膀胱腫瘍を含むが限定されない。)の診断に対するマーカーであり、膀胱癌における治療的介入に対する標的であることが明らかとなる。本マーカーは、尿および/または血清中で検出され得る。
UBDを標的とする治療薬は、本明細書中に記載の方法を用いて同定され得、UBDを標的とする治療薬UBDとしては、UBDの活性を調節する抗体が挙げられるがこれらに限定されない。抗体の製造および使用は、本明細書中に記載されている。
(実施例15)
UGT1A6:UGT1A6(受託番号NM_001072.3)は、ホモサピエンスUDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー、ポリペプチドA6をコードする。ここで、UGT1A6が、膀胱腫瘍に対する新規マーカーであることが開示される。図15で示されるように、UGT1A6発現をIlluminaマイクロアレイ、UGT1A6に特異的なプローブ(プローブ配列GGCCGGTCATGCCCAACATGGTCTTCATTGGAGGTATCAACTGTAAGAAG;(配列番号76)IlluminaプローブID ILMN_1706390)によってアッセイし、膀胱腫瘍移行上皮癌において強い遺伝子発現が検出された(>200RFU)。その一方、正常な膀胱、結腸、直腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、ファロピアン管、骨、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟組織、肺、腎臓、食道、リンパ節、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺および唾液腺を含む多岐にわたる正常組織におけるUGT1A6の発現は、一般に低かった(<200RFU)。本明細書中で示される膀胱起源の悪性腫瘍におけるUGT1A6発現上昇の特異性によって、UGT1A6が、膀胱癌(例えば膀胱腫瘍移行上皮癌および転移性膀胱腫瘍を含むが限定されない。)の診断に対するマーカーであり、膀胱癌における治療的介入に対する標的であることが明らかとなる。本マーカーは、尿および/または血清中で検出され得る。
UGT1A6を標的とする治療薬は、本明細書中に記載の方法を用いて同定され得、UGT1A6を標的とする治療薬UGT1A6としては、UGT1A6の活性を調節する抗体が挙げられるがこれらに限定されない。抗体の製造および使用は、本明細書中に記載されている。
(実施例16)
S100A7;S100A7(受託番号NM_002963.3)は、ホモサピエンスS100カルシウム結合タンパク質A7をコードする。ここで、S100A7が、膀胱腫瘍に対する新規マーカーであることが開示される。図16で示されるように、S100A7発現をIlluminaマイクロアレイ、S100A7に特異的なプローブ(プローブ配列GCTGAGAGGTCCATAATAGGCATGATCGACATGTTTCACAAATACACCAG;(配列番号77)IlluminaプローブID ILMN_1757351)によってアッセイし、膀胱腫瘍移行上皮癌において強い遺伝子発現が検出された(>420RFU)。その一方、正常な膀胱、結腸、直腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、ファロピアン管、骨、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟組織、肺、腎臓、食道、リンパ節、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺および唾液腺を含む多岐にわたる正常組織におけるS100A7の発現は、一般に低かった(<420RFU)。本明細書中で示される膀胱起源の悪性腫瘍におけるS100A7発現上昇の特異性によって、S100A7が、膀胱癌(例えば膀胱腫瘍移行上皮癌および転移性膀胱腫瘍を含むが限定されない。)の診断に対するマーカーであり、膀胱癌における治療的介入に対する標的であることが明らかとなる。本マーカーは、尿および/または血清中で検出され得る。
S100A7を標的とする治療薬は、本明細書中に記載の方法を用いて同定され得、S100A7を標的とする治療薬としては、S100A7の活性を調節する抗体が挙げられるがこれらに限定されない。抗体の製造および使用は、本明細書中に記載されている。
(実施例17)
WISP3:WISP3(受託番号NM_003880.2)は、ホモサピエンスWNT1誘導性シグナル伝達経路タンパク質3をコードする。ここで、WISP3が、膀胱腫瘍に対する新規マーカーであることが開示される。図17で示されるように、WISP3発現をIlluminaマイクロアレイ、WISP3に特異的なプローブ(プローブ配列GCTGTGGATTACATCTTGTGTGTGTCAGAGAAACTGCAGAGAACCTGGAG;(配列番号78)IlluminaプローブID ILMN_1712360)によってアッセイし、膀胱腫瘍移行上皮癌において強い遺伝子発現が検出された(>170RFU)。その一方、正常な膀胱、結腸、直腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、ファロピアン管、骨、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟組織、肺、腎臓、食道、リンパ節、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺および唾液腺を含む多岐にわたる正常組織におけるWISP3の発現は、一般に低かった(<170RFU)。本明細書中で示される膀胱起源の悪性腫瘍におけるWISP3発現上昇の特異性によって、WISP3が、膀胱癌(例えば膀胱腫瘍移行上皮癌および転移性膀胱腫瘍を含むが限定されない。)の診断に対するマーカーであり、膀胱癌における治療的介入に対する標的であることが明らかとなる。本マーカーは、尿および/または血清中で検出され得る。
WISP3を標的とする治療薬は、本明細書中に記載の方法を用いて同定され得、WISP3を標的とする治療薬としては、WISP3の活性を調節する抗体が挙げられるがこれらに限定されない。抗体の製造および使用は、本明細書中に記載されている。
(実施例18)
PTHLH;PTHLH(受託番号NM_198964.1)は、ホモサピエンス副甲状腺ホルモン様ホルモンをコードする。ここで、PTHLHが、膀胱腫瘍に対する新規マーカーであることが開示される。図18で示されるように、PTHLH発現をIlluminaマイクロアレイ、PTHLHに特異的なプローブ(プローブ配列TGGTTAGACTCTGGAGTGACTGGGAGTGGGCTAGAAGGGGACCACCTGTC;(配列番号79)IlluminaプローブID ILMN_1785699)によってアッセイし、膀胱腫瘍移行上皮癌において強い遺伝子発現が検出された(>900RFU)。その一方、正常な膀胱、結腸、直腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、ファロピアン管、骨、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟組織、肺、腎臓、食道、リンパ節、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺および唾液腺を含む多岐にわたる正常組織におけるPTHLHの発現は、一般に低かった(<900RFU)。本明細書中で示される膀胱起源の悪性腫瘍におけるPTHLH発現上昇の特異性によって、PTHLHが、膀胱癌(例えば、膀胱腫瘍移行上皮癌および転移性膀胱腫瘍を含むが限定されない。)の診断に対するマーカーであり、膀胱癌における治療的介入に対する標的であることが明らかとなる。本マーカーは、尿および/または血清中で検出され得る。
PTHLHを標的とする治療薬は、本明細書中に記載の方法を用いて同定され得、PTHLHを標的とする治療薬としては、PTHLHの活性を調節する抗体が挙げられるがこれらに限定されない。抗体の製造および使用は、本明細書中に記載されている。
(実施例19)
COL10A1:COL10A1(受託番号NM_000493.3)は、ホモサピエンスコラーゲン、X型、α1をコードする。ここで、COL10A1が、膀胱腫瘍に対する新規マーカーであることが開示される。図19で示されるように、COL10A1発現をIlluminaマイクロアレイ、COL10A1に特異的なプローブ(プローブ配列CCCCTAAAATATTTCTGATGGTGCACTACTCTGAGGCCTGTATGGCCCCT;(配列番号80)IlluminaプローブID ILMN_1672776)によってアッセイし、膀胱腫瘍移行上皮癌において強い遺伝子発現が検出された(>100RFU)。その一方、骨(477RFU)を除き、正常な膀胱、結腸、直腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、ファロピアン管、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟組織、肺、腎臓、食道、リンパ節、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺および唾液腺を含む多岐にわたる正常組織におけるCOL10A1の発現は、一般に低かった(<100RFU)。本明細書中で示される膀胱起源の悪性腫瘍におけるCOL10A1発現上昇の特異性によって、COL10A1が、膀胱癌(例えば膀胱腫瘍移行上皮癌および転移性膀胱腫瘍を含むが限定されない。)の診断に対するマーカーであり、膀胱癌における治療的介入に対する標的であることが明らかとなる。本マーカーは、尿および/または血清中で検出され得る。
COL10A1を標的とする治療薬は、本明細書中に記載の方法を用いて同定され得、COL10A1を標的とする治療薬としては、COL10A1の活性を調節する抗体が挙げられるがこれらに限定されない。抗体の製造および使用は、本明細書中に記載されている。
(実施例20)
SERPINB4:SERPINB4(受託番号NM_002974.2)は、ホモサピエンスセルピンぺプチダーゼ阻害剤、クレードB(オボアルブミン)、メンバー4をコードする。ここで、SERPINB4が、膀胱腫瘍に対する新規マーカーであることが開示される。図20で示されるように、SERPINB4発現をIlluminaマイクロアレイ、SERPINB4に特異的なプローブ(プローブ配列GCATGACCTGGAGCCACGGTCTCTCAGTATCTAAAGTCCTACACAAGGCC;(配列番号81)IlluminaプローブID ILMN_1782716)によってアッセイし、膀胱腫瘍移行上皮癌において強い遺伝子発現が検出された(>2000RFU)。その一方、正常な膀胱、結腸、直腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、ファロピアン管、骨、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟組織、肺、腎臓、食道、リンパ節、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺および唾液腺を含む多岐にわたる正常組織におけるSERPINB4の発現は、一般に低かった(<2000RFU)。本明細書中で示される膀胱起源の悪性腫瘍におけるSERPINB4発現上昇の特異性によって、SERPINB4が、膀胱癌(例えば膀胱腫瘍移行上皮癌および転移性膀胱腫瘍を含むが限定されない。)の診断に対するマーカーであり、膀胱癌における治療的介入に対する標的であることが明らかとなる。本マーカーは、尿および/または血清中で検出され得る。
SERPINB4を標的とする治療薬は、本明細書中に記載の方法を用いて同定され得、SERPINB4を標的とする治療薬としては、SERPINB4の活性を調節する抗体が挙げられるがこれらに限定されない。抗体の製造および使用は、本明細書中に記載されている。
(実施例21)
UBE2C:UBE2C(受託番号NM_181803.1)は、ホモサピエンスユビキチン−共役酵素E2Cをコードする。ここで、UBE2Cが、膀胱腫瘍に対する新規マーカーであることが開示される。図21で示されるように、UBE2C発現をIlluminaマイクロアレイ、UBE2Cに特異的なプローブ(プローブ配列CCCTCATGAACCCAACATTGATAGTCCCTTGAACACACATGCTGCCGAGC;(配列番号82)IlluminaプローブID ILMN_1714730)によってアッセイし、膀胱腫瘍移行上皮癌において強い遺伝子発現が検出された(>500RFU)。その一方、正常な膀胱、結腸、直腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、ファロピアン管、骨、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟組織、肺、腎臓、食道、リンパ節、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺および唾液腺を含む多岐にわたる正常組織におけるUBE2Cの発現は、一般に低かった(<500RFU)。本明細書中で示される膀胱起源の悪性腫瘍におけるUBE2C発現上昇の特異性によって、UBE2Cが、膀胱癌(例えば膀胱腫瘍移行上皮癌および転移性膀胱腫瘍を含むが限定されない。)の診断に対するマーカーであり、膀胱癌における治療的介入に対する標的であることが明らかとなる。本マーカーは、尿および/または血清中で検出され得る。
UBE2Cを標的とする治療薬は、本明細書中に記載の方法を用いて同定され得、UBE2Cを標的とする治療薬としては、UBE2Cの活性を調節する抗体が挙げられるがこれらに限定されない。抗体の製造および使用は、本明細書中に記載されている。
(実施例22)
SFN:SFN(受託番号NM_006142.3)は、ホモサピエンスストラティフィンをコードする。ここで、SFNが、膀胱腫瘍に対する新規マーカーであることが開示される。図22で示されるように、SFN発現をIlluminaマイクロアレイ、SFNに特異的なプローブ(プローブ配列CTCTGATCGTAGGAATTGAGGAGTGTCCCGCCTTGTGGCTGAGAACTGGA;(配列番号83)IlluminaプローブID ILMN_1806607)によってアッセイし、膀胱腫瘍移行上皮癌において強い遺伝子発現が検出された(>3000RFU)。その一方、正常な膀胱、結腸、直腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、ファロピアン管、骨、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟組織、肺、腎臓、食道、リンパ節、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺および唾液腺を含む多岐にわたる正常組織におけるSFNの発現は、一般に低かった(<3000RFU)。本明細書中で示される膀胱起源の悪性腫瘍におけるSFN発現上昇の特異性によって、SFNが、膀胱癌(例えば膀胱腫瘍移行上皮癌および転移性膀胱腫瘍を含むが限定されない。)の診断に対するマーカーであり、膀胱癌における治療的介入に対する標的であることが明らかとなる。本マーカーは、尿および/または血清中で検出され得る。
SFNを標的とする治療薬は、本明細書中に記載の方法を用いて同定され得、SFNを標的とする治療薬としては、SFNの活性を調節する抗体が挙げられるがこれらに限定されない。抗体の製造および使用は、本明細書中に記載されている。
(実施例23)
KRT17P3:KRT17P3(受託番号XR 015626.2)は、ホモサピエンスをコードする。ここで、KRT17P3が、膀胱腫瘍に対する新規マーカーであることが開示される。図23で示されるように、KRT17P3発現をIllumineマイクロアレイ、KRTI7Pに特異的なプローブ(プローブ配列TGGGCTGACCTTGGCCAGAGCCGACCTGGAGATGCAGATTGAGAACCTCA;(配列番号84)IlluminaプローブID ILMN_3195198)によってアッセイし、膀胱腫瘍移行上皮癌において強い遺伝子発現が検出された(>3000RFU)。その一方、正常な膀胱、結腸、直腸、子宮頸部、子宮内膜、子宮筋層、卵巣、ファロピアン管、骨、骨格筋、皮膚、脂肪組織、軟組織、肺、腎臓、食道、リンパ節、甲状腺、膀胱、膵臓、前立腺、直腸、肝臓、脾臓、胃、脊髄、脳、精巣、甲状腺および唾液腺を含む多岐にわたる正常組織におけるKRT17P3の発現は一般に低かった(<3000RFU)。本明細書中で示される膀胱起源の悪性腫瘍におけるKRT17P3発現上昇の特異性によって、KRT17P3が、膀胱癌(例えば膀胱腫瘍移行上皮癌および転移性膀胱腫瘍を含むが限定されない。)の診断のためのマーカーであり、膀胱癌における治療的介入に対する標的であることが明らかとなる。本マーカーは、尿および/または血清中で検出され得る。
KRT17P3を標的とする治療薬は、本明細書中に記載の方法を用いて同定され得、KRT17P3を標的とする治療薬としては、KRT17P3の活性を調節する抗体が挙げられるがこれらに限定されない。抗体の製造および使用は、本明細書中に記載されている。
(実施例24)
正常な膀胱組織および膀胱腫瘍においてqRT PCRを行った。トータルRNAを抽出し(RNeasy,Qiagen)、次いで、ランダムヘキサマープライマーのみと組み合わせて、またはオリゴ−dTプライマーと組み合わせて、SuperScript III逆転写酵素を用いてcDNAを作製した(逆転写成分は全てInvitrogen/Life Technologiesから入手)。SYBR(登録商標)Green I(Applied Biosysteins/Life Technologies)またはTaqMan化学を利用して、7900HT配列検出システム(Sequence Detection System)または7500リアルタイムPCRシステム(Real Time PCR System)(Applied Biosystems/Life Technologies)においてPCRを行った。対応して設計されるプライマーと組み合わせてユニバーサルプローブライブラリ(Universal Probe Library)(UPL)(Roche)からのプローブを用いてTaqMan PCRを遂行した。背景:UPLシステムは、非常に高い割合のヒトmRNAトランスクリプトームをカバーする比較的少数の短い加水分解プローブを含有する。UPLプローブは、プローブの溶融温度を上昇させるロックド核酸(LNA)を含有する。これによって、プローブおよびより長い未修飾のプライマーが同じ温度でアニーリングするようになる。
研究される遺伝子のそれぞれに対するプライマーを下記で提供する。
図24から36で結果を与え、これは、MMP11、MMP12、COL10A1、KRT6A、SFN、FCRLB、SERPINB5、IL1A、KRT16、SLC1A6、S100A2、S100A7AおよびDSCR6の発現が正常な膀胱組織と比較して膀胱腫瘍試料において全て上昇することを示す。
(実施例25)
ライゲーション依存性増幅法(LDA)FLEXSCRIPTアッセイ(Luminex Corporation)。前の実施例に含まれる表で開示されるUBE2Cに対するプライマーを用いて正常な膀胱組織および膀胱腫瘍における遺伝子UBE2Cの発現を分析するためにLDAを使用した。
LDA FlexScriptアッセイは、多重リアルタイム逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応(qRT−PCR)と、それに続く様々なタイプのPCR産物と様々なタイプのビーズとのハイブリッド形成および最後の、ビーズ結合PCR産物の検出および定量に基づく。要するに、RNAが逆転写される。次いで、1つの標的あたり2個のプローブを相補的DNA(cDNA)上の隣接領域とハイブリッド形成させ、熱安定性リガーゼによりライゲーションする。プローブの5’伸長部に結合するユニバーサルプライマーを用いてプローブ−プローブ対をPCR増幅させ(反応がダイナミックレンジ、すなわち指数関数的増幅相にあると予測されるサイクル数の選択)、鎖の一方を除去するためにラムダエクソヌクレアーゼで処理する。次いで、残りの(ビオチン化)鎖をLuminexミクロスフェアに連結される特有のオリゴヌクレオチドとハイブリッド形成させ、ストレプトアビジン−フィコエリスリン(PE)とともに温置し、PE蛍光に基づいて定量する。
図37で与えられる結果は、正常な膀胱組織と比較して膀胱腫瘍でのUBE2C発現が上昇することを示す。
(実施例26)
実施例26は、MMP11およびCOL10A1に対するELISAデータを提供する(図38から39)。
USCN ELISAキット(USCN)を用いて、製造者の説明書に従い、血清中で2つのタンパク質マーカーレベルをアッセイした。簡潔に述べると、100μLのブランク、標準物質および指定の希釈の試料を96ウェルプレートの適切なウェルに添加し、次いで37℃で2時間温置した。液体除去後、100μLの検出試薬Aを各ウェルに添加し、37℃で1時間温置した。試薬Aの除去後、350μLの洗浄溶液で各ウェルを3回洗浄した。100μLの検出試薬Bを各ウェルに添加し、次いで37℃で30分間温置した。試薬Bの除去後、350μLの洗浄溶液で各ウェルを5回洗浄した。90μLの基質溶液を各ウェルに添加し、37℃で15から25分間温置した。50μLの停止溶液を各ウェルに添加した。450nmでMolecular Devices Spectra Max250またはBioTek Synergy H1プレートリーダーの何れかでプレートの読み取りを行った。キット中で供給される標準物質から標準曲線を導き、この曲線から試料の値を推定した。
結果を図38から39で示し、この結果から、膀胱癌患者からの血清中でMMP11およびCOL10Aが上昇していることが示される。
(実施例27)
排泄された尿中のマーカー、COL10A、MMP11、SFNおよびFCRLBのアガロースゲル分析。ZR Urine RNA Isolation KitTM(Zymo Research)を用いて排泄された尿中の細胞からRNAを抽出し、次いでランダムヘキサマーおよびオリゴ−dTプライマー(Invitrogen/Life Technologies)の存在下でSuperScript III逆転写酵素を用いて逆転写した。50サイクルでのPCR後、臭化エチジウムを含有するプレキャスト4%アガロース(HR)ゲル上で産物を分析した(E−Gel(登録商標)、Invitrogen Life Technologies)。尿検体:全て男性からであり、3名(1−3)が膀胱癌に罹患しており、3名が健康対照(A−C)であった。GAPDHはローディングおよび/または陽性対照となる。
結果を図40で与え、この結果は、膀胱癌患者の尿中でマーカーCOL10A、MMP11、SFNおよびFCRLBの検出可能なレベルが見出され得ることを示す。
(実施例28)
免疫蛍光顕微鏡
Asterand(Detroit,MI)からパラフィン包埋組織切片を得た。これらの検体には、正常な膀胱組織(癌の病歴がないドナー)および膀胱癌組織が含まれた。抗体で染色する前に、キシレン中で切片を脱パラフィン処理し、エタノールサイクル(100%、95%、70%)で再水和し、続いて蒸留水で洗浄した。IHC−Steainer Set(IHC World #IW−1 102)を用いて95℃で40分間スライドを温置することによって、エピトープ修復緩衝液(IHC World #IW−1100)中で抗原修復を行った。1:100希釈でポリクローナルウサギ抗ヒトMMP11抗体(Abeam #ab52904)を用いて免疫染色を行った。1:200希釈でAlexa Fluor 594ロバ抗ウサギIgG(Life Sciences #A21207)を用いて一次抗体を検出した。
染色した試料を保存するために、DAPI入りのVectashield封入剤を使用した(Vector Laboratories #H−1200)。10,000倍の倍率のNikon Eclipse TE2000−UおよびX−Cite 120蛍光照明系(Lumen Dynamics)を用いて400ミリ秒の露光時間で画像を撮影した。
結果を図41で示し、この結果は、膀胱癌試料中でMMP11が検出されるが、正常な膀胱組織では検出されないことを明らかにする。青色の染色は、ダーピー検出を表し、赤い染色はMMP11検出を表す。