JP2014533357A - 脳における高レベルのα−シヌクレインを診断するための抗α−シヌクレイン抗体の使用 - Google Patents

脳における高レベルのα−シヌクレインを診断するための抗α−シヌクレイン抗体の使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、脳における高レベルのα−シヌクレインを診断するための抗α−シヌクレイン抗体の使用に関する。具体的には、本発明は、脳から血液へまたは脳からCSFへのα−シヌクレインの正味の流出を変化させるのに十分な活性でα−シヌクレインに結合し得る抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントの被検者への投与後の血漿またはCSFにおけるα−シヌクレインのレベルを評価する方法に関する。本発明の方法は、例えば、当該被検者への抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントの末梢投与後に所定の間隔で被検者から得られた血漿サンプルにおけるα−シヌクレインのレベルを分析することであって、当該抗体またはそのフラグメントは、脳から血液への当該α−シヌクレインの正味の流出を変化させるのに十分な親和性で当該α−シヌクレインと結合することができる、分析することを含む。【選択図】 なし

Description

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本願とともに提出されたASCIIテキストファイル(ファイル名:sequencelistingPCT_ascii.txt、サイズ:5,199バイト、および作成日:2012年10月18日)にて電子的に提出された配列表の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
背景
開示分野
本発明は脳における高レベルのα−シヌクレインを診断するための抗α−シヌクレイン抗体の使用に関する。具体的には、本発明は、脳から血液へまたは脳からCSFへのα−シヌクレインの正味の流出を変化させるのに十分な活性でα−シヌクレインに結合し得る抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントの被検者への投与後の血漿または脳脊髄液(CSF)におけるα−シヌクレインのレベルを評価する方法に関する。
開示の背景
哺乳類の脳は、脳毛細血管および軟髄膜(pia−subarachnoid membrane)に位置する血液脳関門(BBB)および脈絡集網(choriod plexi)に位置する血液−脳脊髄液(CSF)バリアにより、血液から分離されている。非病的状態下では、α−シヌクレインは、脳に比較的豊富にある。天然の変性タンパク質は、サイトゾルに大部分が存在する。それは、シナプス前終末からの伝達物質放出を増加させることにより、シナプス伝達およびシナプス可塑性において重要な役割を果たす(非特許文献1)。α−シヌクレインにおける突然変異は、まれな家系性の早発性パーキンソン病の症例と関連し、その可溶性から凝集した不溶性形態へのα−シヌクレインの変換は、パーキンソン病、レビー小体型認知症(DLB)、およびいくつかの他の神経変性の病気のような神経変性疾患の発病における主な事象の1つである(非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4)。さらに、単量体およびオリゴマーのα−シヌクレインはともに、明らかにα−シヌクレインとして、パーキンソン病患者の脳脊髄液(CSF)および血清において発見され、その凝集種は血液脳関門を横切ることさえできる(非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10)。
パーキンソン病のマウスモデルにおける免疫化の研究では、α−シヌクレインに対するマウスモノクローナル抗体は、細胞内α−シヌクレイン凝集の蓄積を低減することができるということを示し(非特許文献11、非特許文献12)、単量体のα−シヌクレインの有益な機能と干渉することなく、神経毒性凝集物を中和する抗体は有益な治療となり得るという考えを支持している。
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しかしながら、ヒトにおけるマウスに基づく抗体の治療上および診断上の有用性は、それらが非ヒト由来であることから、ヒト抗マウス抗体(HAMA)反応により妨げられる。
よって、脳における高レベルのα−シヌクレインについて患者を評価するための方法を開発する必要性がある。
一実施形態は、被検者の脳における高レベルのα−シヌクレインを診断する方法であって、(a)当該被検者への抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントの末梢投与後に所定の間隔で被検者から得られた血漿サンプルにおけるα−シヌクレインのレベルを分析することであって、当該抗体またはそのフラグメントは、脳から血液への当該α−シヌクレインの正味の流出を変化させるのに十分な親和性で当該α−シヌクレインと結合することができる、分析することと、(b)当該被検者における分析された当該α−シヌクレインのレベルを参照標準と比較することであって、当該血漿サンプルにおける当該α−シヌクレインのレベルと当該参照標準との間の差異または同一性は、当該被検者の当該脳における当該α−シヌクレインのレベルと相互に関連がある、比較することと、を含む方法に関する。
被検者の脳における高レベルのα−シヌクレインを診断する方法であって、(a)抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントを提供することであって、当該抗体またはそのフラグメントは、脳から血液への当該α−シヌクレインの正味の流出を変化させるのに十分な親和性で当該α−シヌクレインと結合することができる、提供することと、(b)医療提供者により当該抗体を末梢的に当該被検者に投与させて、投与後に所定の時間間隔で当該被検者から血漿サンプルを得ることと、(c)当該血漿サンプルにおける当該α−シヌクレインのレベルを分析することと、(d)当該被検者における分析された当該α−シヌクレインのレベルを参照標準と比較することであって、当該血漿サンプルにおける当該α−シヌクレインのレベルと当該参照標準との間の差異または同一性は、当該被検者の当該脳における当該α−シヌクレインのレベルと相互に関連がある、比較することと、を含む方法についても開示する。
被検者の脳における高レベルのα−シヌクレインを診断する方法であって、(a)抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントを当該被検者に末梢的に投与することであって、当該抗体またはそのフラグメントは、脳から血液への当該α−シヌクレインの正味の流出を変化させるのに十分な親和性で当該α−シヌクレインと結合することができる、投与することと、(b)投与後に所定の時間間隔で当該被検者から血漿サンプルを得ることと、当該α−シヌクレインのレベルを測定するための当該サンプルを提出することと、(c)当該血漿サンプルにおける当該α−シヌクレインのレベルを参照標準と比較することであって、当該血漿サンプルにおける当該α−シヌクレインのレベルと当該参照標準との間の差異または同一性は、当該被検者の当該脳における当該α−シヌクレインのレベルと相互に関連がある、比較することと、を含む方法をさらに開示する。
当該血漿サンプルにおける当該α−シヌクレインのレベルを、当該抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントを投与する前に当該被検者から得られた血漿サンプルと比較することをさらに含む、本明細書に記載される方法をさらに開示する。
具体的な実施形態においては、上記方法では、当該参照標準は、1名またはそれ以上の対照被検者において測定されたα−シヌクレインのレベルを含み、当該対照被検者は、健常な個人および重症度の異なるシヌクレイン病を有する個人を含む。
シヌクレイン病の疾患のために治療されている対象の脳におけるα−シヌクレインのレベルをトラッキングする方法であって、抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントの末梢投与後の特定の時間に当該対象の血漿における当該α−シヌクレインのレベルを分析することを含み、当該抗体またはそのフラグメントは、脳から血液への当該α−シヌクレインの正味の流出を変化させるのに十分な親和性で当該α−シヌクレインと結合することができ、当該対象の血漿における当該α−シヌクレインのレベルは、当該対象の脳における当該レベルと相互に関連がある、方法をさらに開示する。具体的な実施形態においては、上記方法は、当該抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントの追加の末梢投与後の特定の時間に当該対象の血漿における当該α−シヌクレインのレベルを分析することにより、当該対象の脳における経時的な当該α−シヌクレインのレベルの変化をプロットすることをさらに含む。
いくつかの実施形態は、被検者への抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントの末梢投与後に所定の間隔で被検者から得られたCSFサンプルにおけるα−シヌクレインのレベルを分析することにより、被検者の脳における高レベルのα−シヌクレインを診断することに関する方法であって、当該抗体またはそのフラグメントは、脳からCSFへの当該α−シヌクレインの正味の流出を変化させるのに十分な親和性で当該α−シヌクレインと結合することができ、当該CSFサンプルにおける当該α−シヌクレインのレベルと当該参照標準との間の差異または同一性は、当該被検者の当該脳における当該α−シヌクレインのレベルと相互に関連がある、本明細書に記載される方法を含む。いくつかの実施形態は、当該CSFサンプルにおける当該α−シヌクレインのレベルを、当該抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントを投与する前に当該被検者から得られたCSFサンプルと比較することをさらに含む、本明細書に記載される方法を含む。
いくつかの実施形態は、シヌクレイン病の疾患のために治療されている対象の脳におけるα−シヌクレインのレベルをトラッキングする方法であって、抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントの末梢投与後の特定の時間に当該対象のCSFサンプルにおける当該α−シヌクレインのレベルを分析することを含み、当該抗体またはそのフラグメントは、脳からCSFへの当該α−シヌクレインの正味の流出を変化させるのに十分な親和性で当該α−シヌクレインと結合することができ、当該対象のCSFにおける当該α−シヌクレインのレベルは、当該対象の脳における当該レベルと相互に関連がある、方法を含む。
いくつかの実施形態は、当該抗体またはその抗原結合フラグメントは、VHおよびVLを含む参照抗体として同じα−シヌクレインエピトープに特異的に結合し、当該VHは配列番号2を含み、当該VLは配列番号3を含む、本明細書に記載される方法を含む。いくつかの実施形態においては、当該抗体またはその抗原結合フラグメントは、VHおよびVLを含む参照抗体であって、当該VHは配列番号2を含み、当該VLは配列番号3を含む、参照抗体がα−シヌクレインに結合することを競合的に阻害する。
当該抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含み、当該VHは、配列番号4の相補性決定領域−1(VHCDR1)アミノ酸配列を含む、本明細書に記載される方法をさらに提供する。
当該抗体またはその抗原結合フラグメントは、VHおよびVLを含み、当該VHは、配列番号5の相補性決定領域−2(VHCDR2)アミノ酸配列を含む、本明細書に記載される方法もさらに提供する。
いくつかの実施形態は、当該抗体またはその抗原結合フラグメントが、VHおよびVLを含み、当該VHは、配列番号6の相補性決定領域−3(VHCDR3)アミノ酸配列を含む、本明細書に記載される方法を含む。
当該抗体またはその抗原結合フラグメントは、VHおよびVLを含み、当該VLは、配列番号7の相補性決定領域−1(VLCDR1)アミノ酸配列を含む、本明細書に記載される方法も提供する。
いくつかの実施形態は、当該抗体またはその抗原結合フラグメントが、VHおよびVLを含み、当該VLは、配列番号8の相補性決定領域−2(VLCDR2)アミノ酸配列を含む、本明細書に記載される方法を含む。
当該抗体またはその抗原結合フラグメントは、VHおよびVLを含み、当該VLは、配列番号9の相補性決定領域−3(VLCDR3)アミノ酸配列を含む、本明細書に記載される方法も開示する。
当該抗体またはその抗原結合フラグメントは、当該抗体またはその抗原結合フラグメントは、VHおよびVLを含み、当該VHは、配列番号4、5、6のVHCDR1、VHCDR2、およびVHCDR3アミノ酸配列を含む、本明細書に記載される方法をさらに提供する。
当該抗体またはその抗原結合フラグメントは、VHおよびVLを含み、当該VLは、配列番号7、8、9のVLCDR1、VLCDR2、およびVLCDR3アミノ酸配列を含む、本明細書に記載される方法も開示する。
いくつかの実施形態は、当該抗体またはその抗原結合フラグメントが、VHおよびVLを含み、当該VHは、配列番号5、6、7のVHCDR1、VHCDR2、およびVHCDR3アミノ酸配列を含み、当該VLは、配列番号7、8、9のVLCDR1、VLCDR2、およびVLCDR3アミノ酸配列を含む、本明細書に記載される方法を含む。
いくつかの実施形態は、当該抗体またはその抗原結合フラグメントが、配列番号2のVHアミノ酸配列および配列番号3のVLアミノ酸配列を含む、本明細書に記載される方法を含む。
当該抗体またはその抗原結合フラグメントは、単一鎖Fvフラグメント(scFv)、F(ab’)フラグメント、F(ab)フラグメント、またはF(ab’)フラグメントである、本明細書に記載される方法も開示する。
いくつかの実施形態は、当該投与が、当該抗体の静脈注射によるものである、本明細書に記載される方法を含む。一実施形態では、当該抗体はヒトのものである。
他の実施形態は、当該所定の時間間隔は1週間未満、または24時間以内、または3時間以内である、本明細書に記載される方法を含む。
ある実施形態では、シヌクレイン病の疾患は、パーキンソン病(PD)、認知症を伴うパーキンソン病(PDD)、レビー小体型認知症(DLB)、アルツハイマー病のレビー小体変異型(LBVAD)、多系統萎縮症(MSA)、純粋自律神経失調症(PAF)、脳鉄蓄積1型を伴う神経変性(NBIA−I)、アルツハイマー病、ピック病、若年発症全身性神経軸索ジストロフィー(ハレルフォルデン−スパッツ病)、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、およびダウン症候群、からなる群から選択される、本明細書に記載される方法を含む。
A〜Bは、ヒトα−シヌクレインを過剰発現するトランスジェニックマウスにおける12F4抗体投与時の投与量依存性のヒトα−シヌクレイン血漿スパイクを示す。 ヒトα−シヌクレイン血漿スパイクおよび血漿12F4抗体濃度の経時変化を示す。 A〜Cは、ヒトα−シヌクレインを過剰発現するトランスジェニックマウスの12F4抗体の急性高投与治療が、脳のヒトα−シヌクレインのレベルを低下させることを示す。 A〜Cは、ヒトα−シヌクレイン血漿レベルが、12F4抗体投与後に、脳のα−シヌクレインのレベルを有意に反映することを示す。 A〜Cは、血漿ヒトα−シヌクレイン(A)およびキメラ12F4抗体レベル(B)がELISAで測定されたことを示す。(C)ヒトα−シヌクレインを過剰発現するトランスジェニックマウスのキメラ12F4抗体での6ヶ月間の慢性処置後に血漿および脳α−シヌクレインのレベル間の有意な相関関係があった。 カニクイザルにおける約0.1%の12F4投与時におけるCSF/血清124Fの比およびα−シヌクレイン脳脊髄液(CSF)スパイクを示す。 トランスジェニックα−シヌクレインマウスにおけるin vivo微小透析が12F4投与時における脳の間質液(ISF)のα−シヌクレインの低下を示す。
I.定義
なお、用語「1つの(a)」または「1つの(an)」の単位は、1つまたはそれ以上の単位を指し、例えば、「抗α−シヌクレイン抗体」は、α−シヌクレインと特異的に結合する1つまたはそれ以上の抗体を表すと理解される。このように、用語「1つの(a)」(または「1つの(an)」)、「1つまたはそれ以上」、および「少なくとも1つ」は、本明細書で互換的に使用され得る。
本明細書で用いられるように、用語「シヌクレイン病の疾患」または「シヌクレイン病」は、ニューロンおよびグリアの選択的に傷つきやすい個体群における、不溶性α−シヌクレインタンパク質の凝集からなる一般的な病変を共有する神経変性疾患の多様な群である。これらの疾患は、パーキンソン病(PD)、認知症を伴うパーキンソン病(PDD)、レビー小体型認知症(DLB)、アルツハイマー病のレビー小体変異型(LBVAD)、多系統萎縮症(MSA)、純粋自律神経失調症(PAF)、脳鉄蓄積1型を伴う神経変性(NBIA−I)、アルツハイマー病、ピック病、若年発症全身性神経軸索ジストロフィー(ハレルフォルデン−スパッツ病)、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、およびダウン症候群を含む。臨床的に、病変の分布に応じて、運動性の、認知性の、行動性の、および自律機能における、慢性および進行性の衰退により、それらは特徴づけられる。
別段の記載がない限り、用語「疾患」、「疾病」、および「病気」は本明細書で互換的に使用される。
本明細書で用いられるように、用語「結合分子」または「抗原結合分子」は、広義には抗原決定基に特異的に結合する分子を指す。抗原結合分子の非限定的な例は、抗原特異的結合、並びに、ホルモン、レセプター、リガンド、主要組織適合性複合体(MHC)分子、を含むがこれに限定されないα−シヌクレインに結合する他の非抗体分子、熱ショックタンパク質(HSP)のようなシャペロン、並びに、カドヘリン、インテグリン(intergrin)、C型レクチン、および免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーのメンバーのような細胞と細胞の接着分子、を保持する抗体およびそのフラグメントである。このように、明瞭性のためのみであって、開示範囲を制限することなく、以下の実施形態のほとんどは、治療および診断薬の開発のために、結合分子を表す抗体および抗体様分子に関して論じられる。別の実施形態では、開示される結合分子は、抗体分子の少なくとも1つの重鎖または軽鎖CDRを含む。別の実施形態では、開示される結合分子は、1つまたはそれ以上の抗体分子から少なくとも2つのCDRを含む。別の実施形態では、開示される結合分子は、1つまたはそれ以上の抗体分子から少なくとも3つのCDRを含む。別の実施形態では、開示される結合分子は、1つまたはそれ以上の抗体分子から少なくとも4つのCDRを含む。別の実施形態では、開示される結合分子は、1つまたはそれ以上の抗体分子から少なくとも5つのCDRを含む。別の実施形態では、開示される結合分子は、1つまたはそれ以上の抗体分子から少なくとも6つのCDRを含む。
被検者の脳における高レベルのα−シヌクレインを診断する方法であって、例えば、抗体、もしくは、抗原結合フラグメント、変異体、またはその誘導体のような、抗α−シヌクレイン結合分子を対象に投与することを含むことが本明細書で開示される。天然起源の抗体のような、特にフルサイズの抗体に関するものでない限り、用語「抗α−シヌクレイン抗体」は、フルサイズの抗体、並びに、抗体分子に類似する態様で抗原に結合する、例えば、天然起源の抗体、免疫グロブリン分子、または操作された抗体分子もしくはフラグメントのような抗体の抗原結合フラグメント、変異体、類似体、または誘導体を包含する。
用語「抗体」および「免疫グロブリン」は本明細書で互換的に使用される。抗体または免疫グロブリンは、少なくとも重鎖の可変ドメインを含み、通常、少なくとも重鎖および軽鎖の可変ドメインを含む。脊椎動物系における基礎免疫グロブリン構造は、比較的よく理解されている。例えば、Harlow et al. (1988) Antibodies : A Laboratory Manual (2nd ed.; ColdSpring Harbor Laboratory Press)を参照。
本明細書で用いられるように、用語「免疫グロブリン」は、生化学的に区別され得る種々の広いクラスのポリペプチドを含む。当業者は、重鎖が、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロン(γ、μ、α、δ、ε)として、それらの中のいくつかのサブクラス(例えば、γ1〜γ4)とともに分類されることを認識するであろう。抗体の「クラス」を、IgG、IgM、IgA、IgG、またはIgEとしてそれぞれ決定することが、この鎖の性質である。免疫グロブリンサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1等は十分に特徴づけられ、機能的な特殊化を付与することが知られている。これらのクラスの変更されたバージョンおよびアイソタイプは、本開示に鑑みれば当業者にとって容易に識別可能であり、よって、本開示の範囲内である。全ての免疫グロブリンクラスは、明らかに本開示の範囲内である。以下の記載は、通常、免疫グロブリン分子のIgGクラスに関するものであろう。IgGに関しては、標準の免疫グロブリン分子は、約23,000ダルトンの分子量の2つの同じ軽鎖ポリペプチド、および分子量約53,000〜70,000の2つの同じ重鎖ポリペプチドを含む。4つの鎖は、典型的に、「Y」構造における、ジスルフィド結合により結合され、軽鎖は重鎖を支え(bracket)、「Y」の入り口(mouth)で開始し、可変領域まで続く。
軽鎖は、カッパまたラムダ(κ、λ)のいずれかとして分類される。各重鎖のクラスはカッパまたラムダの軽鎖のいずれかと結合され得る。一般的に、軽鎖および重鎖は、互いに共有結合的に結合され、免疫グロブリンがハイブリドーマ、B細胞、または遺伝子的に操作された宿主細胞のいずれかにより生成される時に、2つの重鎖の「テール」部は、共有ジスルフィド結合または非共有結合により互いに結合される。重鎖では、アミノ酸配列は、Y構造のフォーク端におけるN末端から、各鎖の底部におけるC末端にかけて続いている。
軽鎖および重鎖はともに、構造的および機能的な相同性の領域に分けられる。用語「一定」および「可変」は、機能的に用いられる。これに関し、軽(VLまたはVK)および重(VH)鎖部分の両方の可変ドメインは、抗原認識および特異性を決定する、ということが理解される。逆に、軽鎖(CL)および重鎖(CH1、CH2、またはCH3)の定常ドメインは、分泌、経胎盤移行性、Fcレセプター結合、補体結合等のような、重要な生物学的性質を付与する。慣例では、定常領域ドメインの番号づけは、それらが抗体のアミノ末端または抗原結合部位からより遠くなるほど大きくなる。N末端部は可変領域であり、C末端部は定常領域であり、CH3およびCLドメインはそれぞれ、実際に重鎖および軽鎖のカルボキシ末端を含む。
上記に示したように、可変領域は、抗体を選択的に認識して特異的に抗原上のエピトープと結合することを可能とする。つまり、抗体の可変ドメイン内のVLドメインおよびVHドメイン、または相補性決定領域(CDR)のサブセットは、3次元の抗原結合部位を定義する可変領域を形成するために結合する。この4次の抗体構造は、Yの各アームの端部に存在する抗原結合部位を形成する。より具体的には、抗原結合部位は、各VHおよびVL鎖上の3つのCDRにより定義される。いくつかの例では、例えば、ラクダ類の動物種由来のある免疫グロブリン分子、またはラクダ類の免疫グロブリンに基づいて操作されたものであり、完全な免疫グロブリン分子は、重鎖のみで軽鎖のないものからなることができる。Hamers-Casterman et al., Nature 363:446-448 (1993)を参照。
自然由来の抗体では、各抗原結合ドメインに存在する6つの「相補性決定領域」または「CDR」は、抗体が水環境では3次元構造であるものとして抗原結合ドメインを形成するために特異的に配置される、短い、アミノ酸の非連続配列である。「フレームワーク」領域と称される、抗原結合ドメインにおけるアミノ酸の残りは、分子間の変異性をほとんど示さない。フレームワーク領域は、大部分はβシート構造を取り入れ、CDRは、βシート構造を結合する、いくつかの場合にはその一部を形成するループを形成する。このように、フレームワーク領域は、鎖間の、非共有結合相互作用により、正しい方向でのCDR配置を提供する足場を形成するために作用する。配置されたCDRにより形成される抗原結合ドメインは、免疫反応性抗体上のエピトープに対する表面の相補性を定義する。この相補的な表面は、その同族のエピトープに対する抗体の非共有結合を促進する。CDRおよびフレームワーク領域をそれぞれ含むアミノ酸は、あらゆる所与の重鎖または軽鎖可変ドメインに関し、それらは正確に定義されるので(下記参照)、当業者により容易に識別することができる。
当該技術分野内で用いられおよび/または受け入れられている2つまたはそれ以上の用語の定義がある場合には、本明細書で用いられる用語の定義は、明確に反対のことが述べられない限り、そのような意味を全て含むことが意図される。具体的な例は、重鎖および軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内にみられる非連続抗原結合領域を記載するための用語「相補性決定領域」(「CDR」)の使用である。この特定の領域は、参照により本明細書に組み込まれる、Kabat et al. (1983) U.S. Dept. of Health and Human Services,"Sequences of Proteins of Immunological Interest"およびChothia and Lesk, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987)に記載されており、その定義は、互いに対して比較した場合に、アミノ酸残基の重複またはサブセットを含む。それにもかかわらず、抗体またはその変異体のCDRに関するいずれかの定義の適用は、本明細書で定義され、用いられる用語の範囲内のものであることが意図される。上記引用した参考文献のそれぞれにより定義されているように、CDRを包含する適切なアミノ酸残基は、比較として、以下の表1にて明らかにされる。特定のCDRを包含する正確な残基の番号は、CDRのサイズおよび配列に応じて変化するであろう。当業者であれば、日常的に、どの残基が、抗体の可変領域のアミノ酸配列が付与された特定のCDRを含んでいるのかを決定することができる。
Kabatらは、あらゆる抗体にも適用される、可変ドメイン配列に関する番号付けシステムも定義した。当業者は、あらゆる可変ドメイン配列に対しても、その配列自体以上の、あらゆる実験的データに依存することなく「Kabatの番号付け」のこのシステムを明確に割り当てることができる。本明細書で用いられるように、番号付けシステムに関する「Kabatの番号付け」は、Kabat et al. (1983) U.S. Dept. of Health and Human Services,"Sequence of Proteins of Immunological Interest."により示されている番号付けシステムを指す。別途特定されていない限り、本開示の抗α−シヌクレイン抗体もしくは抗原結合フラグメント、変異体、またはその誘導体における、特定のアミノ酸残基位置の番号付けに対する参照は、Kabatの番号付けシステムによる。
本開示の抗体もしくは抗原結合フラグメント、変異体、またはその誘導体は、限定されることなく、ポリクローナル、モノクローナル、多選択性、ヒト、ヒト化、霊長類化、またはキメラ抗体、単鎖抗体、エピトープ結合フラグメント、例えば、Fab、Fab’およびF(ab’)、Fd、Fv、単鎖Fv(scFv)、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、VLまたはVHドメインのいずれかを含むフラグメント、Fab発現ライブラリーにより生成されるフラグメント、および抗イディオタイプの(抗Id)抗体を含む。ScFv分子は公知であり、例えば、米国特許第5,892,019号に記載されている。本開示の免疫グロブリンまたは抗体分子は、あらゆるタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2等)、または免疫グロブリン分子のサブクラスとなり得る。
本明細書で用いられるように、用語「重鎖部」は、免疫グロブリン重鎖由来のアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、重鎖部を含むポリペプチドは、少なくとも1つの:VHドメイン、CH1ドメイン、ヒンジ(例えば、上部、中部、および/または下部ヒンジ領域)ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン、もしくは変異体、またはそのフラグメントを含む。例えば、本開示の使用に関する結合ポリペプチドは、CH1ドメインを含むポリペプチド鎖;CH1ドメイン、ヒンジドメインの少なくとも一部、およびCH2ドメインを含むポリペプチド鎖;CH1ドメインおよびCH3ドメインを含むポリペプチド鎖;CH1ドメイン、ヒンジドメインの少なくとも一部、およびCH3ドメインを含むポリペプチド鎖、またはCH1ドメイン、ヒンジドメインの少なくとも一部、CH2ドメイン、およびCH3ドメインを含むポリペプチド鎖、を含み得る。別の実施形態では、本開示のポリペプチドは、CH3ドメインを含むポリペプチド鎖を含む。さらに、本開示における使用に関する結合ポリペプチドは、少なくともCH2ドメインの一部(例えば、CH2ドメインの全てまたは一部)を欠如し得る。上述のように、これらのドメイン(例えば、重鎖部)が、それらが天然起源の免疫グロブリン分子からアミノ酸配列において変化するように変更され得るということが当業者により理解されるであろう。
ある実施形態では、本明細書に開示される、抗α−シヌクレイン抗体もしくは抗原結合フラグメント、変異体、またはその誘導体では、マルチマーの1つのポリペプチド鎖の重鎖部が、マルチマーの第2のポリペプチド鎖のそれらと同じである。代替的に、本開示の重鎖部を含むモノマーは同じではない。例えば、各モノマーは、例えば、二重特異性抗体を形成する、異なる目的結合部位を含み得る。
本明細書に開示された方法における使用のための結合分子の重鎖部は、異なる免疫グロブリン分子由来であり得る。例えば、ポリペプチドの重鎖部は、IgG1分子由来のCH1ドメインおよびIgG3分子由来のヒンジ領域を含み得る。別の例では、重鎖部は、部分的にIgG1分子、および部分的にIgG3分子由来のヒンジ領域を含み得る。別の例では、重鎖部は、部分的にIgG1分子、および部分的にIgG4分子由来のキメラヒンジを含み得る。
本明細書で用いられるように、用語「軽鎖部」は、例えば、カッパまたはラムダ軽鎖のような免疫グロブリン軽鎖由来のアミノ酸配列を含む。好ましくは、軽鎖部は少なくとも1つのVLまたはCLドメインを含む。
以前に示したように、様々な免疫グロブリンクラスのサブユニット構造および定常領域の3次元の構造はよく知られている。本明細書で用いられるように、用語「VHドメイン」は、免疫グロブリン重鎖のアミノ末端可変ドメインを含み、用語「CH1ドメイン」は、免疫グロブリン重鎖の第1の(最もアミノ末端)定常領域ドメインを含む。CH1ドメインは、VHドメインに隣接し、免疫グロブリン重鎖分子のヒンジ領域に対するアミノ末端である。
本明細書で用いられるように、用語「CH2ドメイン」は、例えば、従来の番号付けスキームを用いて、抗体の約残基244から残基360まで延びる重鎖分子の部分を含む(残基244〜360、Kabat番号付けシステム;および残基231〜340、EU番号付けシステム;Kabat EA et al. op. cit.を参照)。CH2ドメインは、他のドメインと密着してペアにならないという点で特有である。さらに、2つのN結合分岐炭水化物鎖は、未変化の天然のIgG分子の2つのCH2ドメイン間に挿入される。CH3ドメインが、IgG分子のCH2ドメインからC末端へと延び、約108の残基を含む、ということも十分に記載されている。
本明細書で用いられるように、用語「ヒンジ領域」は、CH1ドメインをCH2ドメインに結合させる重鎖分子の部分を含む。ヒンジ領域は、約25の残基を含み、柔軟性があるので、2つのN末端抗原結合領域を個別に移動させることができる。ヒンジ領域は、3つの別個のドメイン:上部、中部、および下部ヒンジドメイン(Roux et al., J. Immunol. 161:4083 (1998))に細分化され得る。
本明細書で用いられるように、用語「ジスルフィド結合」は、2つの硫黄原子間に形成される共有結合を含む。アミノ酸システインは、第2のチオール基とともにブリッジまたはジスルフィド結合を形成し得るチオール基を含む。最も天然起源のIgG分子においては、CH1およびCL領域は、ジスルフィド結合により結合され、2つの重鎖は、Kabatの番号付けシステムを用いて、239および242に対応する位置で、2つのジスルフィド結合により結合される(位置226または229、EU番号付けシステム)。
本明細書に開示される抗α−シヌクレイン抗体もしくは抗原結合フラグメント、変異体、またはその誘導体は、抗原のエピトープ(複数を含む)または部分(複数を含む)、例えば、本明細書に開示される、それらが認識し、または特異的に結合する、目的ポリペプチド(例えば、α−シヌクレイン)に関して開示されまたは特定され得る。抗体の抗原結合ドメインと特異的に相互に作用する目的ポリペプチドの部分は、「エピトープ」または「抗原決定基」である。目的ポリペプチドは、単一エピトープを含むことができるが、典型的に少なくとも2つのエピトープを含み、抗原のサイズ、構造、およびタイプに応じて、あらゆる数のエピトープを含むことができる。さらに、目的ポリペプチド上の「エピトープ」は、非ポリペプチド要素であり得、または非ポリペプチド要素を含み得、例えば、エピトープは炭化水素側鎖を含み得ることに留意すべきである。
抗体に関するペプチドまたはポリペプチドエピトープの最小のサイズは、約4つから5つのアミノ酸であると考えられる。ペプチドまたはポリペプチドエピトープは、好ましくは、少なくとも7つの、より好ましくは少なくとも9つの、および最も好ましくは少なくとも約15から約30の間のアミノ酸を含む。CDRは、3次形態の抗原ペプチドまたはポリペプチドを認識することができるので、エピトープを含むアミノ酸は連続的である必要はなく、いくつかの場合には、同じペプチド鎖上でさえないことがあり得る。本開示の抗α−シヌクレイン抗体により認識されるペプチドまたはポリペプチドエピトープは、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、より好ましくは少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、または約15から約30の間のα−シヌクレインの連続的なまたは非連続的なアミノ酸の配列を含むことができる。
「特異的に結合する」により、通常、抗体がその抗原結合ドメインを介してエピトープに結合すること、および結合が抗原結合ドメインおよびエピトープ間でいくらかの相補性を伴うことを意味する。この定義により、ランダムに、関連しないエピトープに結合するよりも、より容易に、その抗原結合ドメインを介して、そのエピトープに結合する場合、抗体はエピトープに「特異的に結合」するといわれる。用語「特異性」は、ある抗体があるエピトープに結合する、相対的親和性を認定するために本明細書で用いられる。例えば、抗体「A」は、所与のエピトープに関し、抗体「B」よりも高い特異性を有すると判断され得、または、抗体「A」は、それが、関連するエピトープ「D」に関して有するよりも高い特異性でエピトープ「C」と結合するといわれ得る。
「優先的に結合する」により、抗体が、関連する、類似の(similar)、相同の、または類似の(analogous)エピトープに結合するよりも、より容易に、エピトープに特異的に結合するということを意味する。このように、所与のエピトープに「優先的に結合」する抗体は、例えそのような抗体が関連するエピトープ交差反応し得るとしても、関連するエピトープに対するよりも、そのエピトープに対して結合する可能性が高いであろう。
非限定的な例により、抗体は、それが、第2のエピトープに関する抗体の解離定数(K)よりも低いKで、第1のエピトープと結合する場合に、この第1のエピトープと優先的に結合することが考えられ得る。別の非限定的な例では、抗体は、それが、第2のエピトープに関する抗体のKよりも少なくとも1桁低い値の親和性で、第1のエピトープと結合する場合に、第1の抗原と優先的に結合することが考えられ得る。別の非限定的な例では、抗体は、それが、第2のエピトープに関する抗体のKよりも少なくとも2桁低い値の親和性で、第1のエピトープと結合する場合に、好ましくは第1のエピトープと結合することが考えられ得る。
別の非限定的な例では、抗体は、それが、第2のエピトープに関する抗体のオフ速度(k(off))よりも低いk(off)で、第1のエピトープと結合する場合に、第1のエピトープと優先的に結合することが考えられ得る。別の非限定的な例では、抗体は、それが、第2のエピトープに関する抗体のk(off)よりも少なくとも1桁低い値の親和性で、第1のエピトープと結合する場合に、第1のエピトープと優先的に結合することが考えられ得る。別の非限定的な例では、抗体は、それが、第2のエピトープに関する抗体のk(off)よりも少なくとも2桁低い値の親和性で、第1のエピトープと結合する場合に、第1のエピトープと優先的に結合することが考えられ得る。
本明細書に開示される抗体もしくは抗原結合フラグメント、変異体、または誘導体は、本明細書に開示される目的ポリペプチド(例えば、ヒトα−シヌクレイン)、もしくはそのフラグメントまたは変異体と、毎秒5×10−2、毎秒10−2、毎秒5×l0−3、または毎秒l0−3以下のオフ速度(k(off))で結合するといわれ得る。より好ましくは、本開示の抗体は、本明細書に開示される目的ポリペプチド(例えば、ヒトα−シヌクレイン)、もしくはそのフラグメントまたは変異体と、毎秒5×10−4、毎秒10−4、毎秒5×10−5、または毎秒10−5、毎秒5×10−6、毎秒10−6、毎秒5×10−7または毎秒10−7以下のオフ速度(k(off))で結合するといわれ得る。
本明細書に開示される抗体もしくは抗原結合フラグメント、変異体、または誘導体は、本明細書に開示される目的ポリペプチド(例えば、ヒトα−シヌクレイン)、もしくはそのフラグメントまたは変異体と、毎秒10−1、毎秒5×10−1、毎秒10−1または毎秒5×10−1以上の速度(k(on))で結合するといわれ得る。より好ましくは、本明細書に開示される抗体は、本明細書に開示される目的ポリペプチド(例えば、ヒトα−シヌクレイン)、もしくはそのフラグメントまたは変異体と、毎秒10−1、毎秒5×10−1、毎秒10−1、または毎秒5×10−1または毎秒10−1以上の速度(k(on))で結合するといわれ得る。
抗体は、それがエピトープに対する参照抗体の結合を、ある程度まで、ブロックする範囲で、優先的にそのエピトープに結合する場合に、所与のエピトープに対する参照抗体の結合を競合的に阻害するといわれる。競合的阻害は、例えば、競合ELISA分析のような周知技術のあらゆる方法により測定され得る。抗体は、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、所与のエピトープに対する参照抗体の結合を競合的に阻害するといわれ得る。
本明細書で用いられるように、用語「親和性」は、免疫グロブリン分子のCDRでの、個々のエピトープの結合の強さの尺度を指す。例えば、Harlow et al. (1988) Antibodies : A Laboratory Manual (Cold SpringHarbor Laboratory Press, 2nd ed.) pages 27-28を参照。用語「十分な親和性」は、本明細書で用いられるように、脳から血液へまたは脳からCSFへのα−シヌクレインの正味の流出を変化させる、α−シヌクレインまたはそのエピトープに対する抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントの結合に十分な強さを指す。本明細書で用いられるように、用語「正味の流出」は、脳から血液へまたは脳からCSFへのα−シヌクレインの総流量を指す。
本明細書で用いられるように、用語「結合力」は、免疫グロブリンの個体群と抗原との間の複合体の総合安定度、つまり、免疫グロブリン混合物の抗原との機能的結合強度を指す。例えば、Harlowの29〜34ページを参照。結合力は、個体群における個々の免疫グロブリン分子の特定のエピトープとの親和性と、免疫グロブリンおよび抗原の結合価との両方に関する。二価のモノクローナル抗体と例えばポリマーのような高い繰り返しエピトープ構造を有する抗原間での相互作用は、高い結合力を有するものの1つであろう。
本明細書に記載される、抗α−シヌクレイン抗体もしくは抗原結合フラグメント、変異体、またはその誘導体は、それらの交差反応に関しても記載され、または特定もされ得る。本明細書で用いられるように、用語「交差反応」とは、1つの抗原に関して特異的な、第2の抗原と反応する抗体の性能;2つの異なる抗原物質間の関連性の尺度を指す。このように、抗体は、それが、その形成を誘導したもの以外のエピトープに結合する場合、交差反応する。交差反応エピトープは、一般的に、誘導するエピトープと同じ多くの相補的構造の特徴を含み、いくつかの場合には、実際に、元のよりもより適し得る。
例えば、ある抗体は、関連するが非同一エピトープ、例えば、参照エピトープに対して、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも65%、少なくとも60%、少なくとも55%、および、少なくとも50%の同一性(周知技術および本明細書に記載の方法を用いて算出されるとして)でエピトープと結合するという点で、ある程度の交差反応を有する。抗体は、それがエピトープと結合しない場合、参照エピトープに対して、95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、および、50%未満の同一性(周知技術および本明細書に記載の方法を用いて算出されるとして)で交差反応をほとんどまたは全く有しないといわれ得る。抗体は、それが、あるエピトープの他のいかなる類似体、オーソログ、またはホモログと結合しない場合、そのエピトープに関して「高度に特異的」であると判断され得る。
本明細書に記載される抗α−シヌクレイン結合分子、例えば、抗体もしくは抗原結合フラグメント、変異体、またはその誘導体は、本開示のポリペプチド、例えば、ヒトα−シヌクレインに対する、それらの結合親和性に関しても記載されまたは特定され得る。好ましい結合親和性は、5×10−2M、10−2M、5×10−3M、10−3M、5×10−4M、10−4M、5×10−5M、10−5M、5×10−6M、10−6M、5×10−7M、10−7M、5×10−8M、10−8M、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−10M、5×10−11M、10−11M、5×10−12M、10−12M、5×10−13M、10−13M、5×10−14M、10−14M、5×10−15M、または10−15M、未満の解離定数またはKdを有するものを含む。
単鎖抗体を含む抗体フラグメントは、可変領域(複数を含む)単体または以下の:ヒンジ領域、CH1、CH2、およびCH3ドメインの全体または一部との組み合わせを含み得る。可変領域(複数を含む)とヒンジ領域、CH1、CH2、およびCH3ドメインとのあらゆる組み合わせをも含む抗原結合フラグメントも含む。結合分子、例えば、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントは、鳥類および哺乳類を含む、あらゆる動物由来とし得る。抗体は、ヒト、マウス、ロバ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ラマ、ウマ、またはニワトリ抗体であり得る。別の実施形態では、可変領域は、起源がコンドリクトイド(condricthoid)であり得る(例えば、サメ由来)。
本明細書で用いられるように、用語「キメラ抗体」は、あらゆる抗体を意味することが維持され、免疫反応性領域または位置は、第1の種から得られまたは由来し、定常領域(本開示に従って、未変化の、部分的に、または、変更されたものであり得る)は、第2の種から得られる。例えば、目的結合領域または位置は、非ヒト源(例えば、マウスまたは霊長類)由来であり得、定常領域はヒトのものであり得る。代替的に、完全なヒトの結合領域は、非ヒト(例えば、マウス)定常領域と結合され得る。
本明細書で用いられるように、用語「マウス化抗体」または「マウス化免疫グロブリン」は、本開示のヒト抗体;およびマウス抗体配列に基づく、アミノ酸置換および/または欠失および/または挿入を含み、ヒトフレームワーク領域からの1つまたはそれ以上のCDRを含む抗体を指す。CDRを提供するヒト免疫グロブリンは、「親」または「受容体」と呼ばれ、フレームワーク変化を提供するマウス抗体は、「ドナー」と呼ばれる。定常領域は存在する必要はないが、もしある場合には、通常、マウス抗体の定常領域とほぼ同じであり、つまり、少なくとも約85〜90%、好ましくは約95%またはそれ以上同じである。よって、いくつかの実施形態では、全長のマウス化ヒト重鎖または軽鎖免疫グロブリンは、マウス定常領域、ヒトCDR、および複数の「マウス化」アミノ酸置換を有する実質的なヒトフレームワークを含む。典型的には、「マウス化抗体」は、マウス化可変軽鎖および/またはマウス化可変重鎖を含む抗体である。例えば、マウス化抗体は、例えば、キメラ抗体の可変領域全体が非マウスであるので、典型的なキメラ抗体を包含しないであろう。「マウス化」の処理により「マウス化」された、変更された抗体は、CDRを提供する親抗体として、同じ抗原に結合し、親抗体と比較して、通常、マウスにおける免疫原性をほとんど有しない。
本明細書で用いられるように、用語「操作された抗体」は、重鎖もしくは軽鎖またはその両方のいずれかにおける可変ドメインが、既知の特異性のある抗体からの1つまたはそれ以上のCDRの少なくとも部分的な置換により、必要である場合には、部分的なフレームワーク領域置換および配列変化により変化した抗体を指す。CDRは、同じクラスまたはフレームワーク領域が由来する抗体としてのサブクラスの抗体からも由来するものであり得るが、CDRが、異なるクラスの抗体、および、好ましくは異なる種由来の抗体に由来するであろうことが予想される。既知の特異性を有する非ヒト抗体からの1つまたはそれ以上の「ドナー」CDRがヒト重鎖または軽鎖フレームワーク領域に移植された操作された抗体は、本明細書では「ヒト化抗体」を指す。1つの可変ドメインから他へと抗原結合性能を移すために、ドナー可変ドメインからの完全なCDRで、CDRの全てを置き換える必要はない。むしろ、標的結合部位の活性を維持するのに必要であるそれらの残基を移すことのみが必要となり得る。
本明細書で用いられるように、「ヒト」または「完全なヒト」抗体は、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体を含み、ヒト免疫グロブリンライブラリーから、または、1つもしくはそれ以上のヒト免疫グロブリンに関する動物トランスジェニックから分離された抗体を含み、後述する、および、例えばKucherlapati et al.による米国特許第5,939,598号に記載される、内因性免疫グロブリンを発現しない。「ヒト」または「完全なヒト」抗体は、少なくとも重鎖の可変ドメインまたは少なくとも重鎖および軽鎖の可変ドメインであって、可変ドメイン(複数を含む)がヒト免疫グロブリン可変ドメイン(複数を含む)のアミノ酸配列を有するもの、を含む抗体も含む。
「ヒト」または「完全なヒト」抗体は、本明細書に記載の抗体分子(例えば、VH領域および/またはVL領域)の変異体(誘導体を含む)を含み、本質的にこれらからなる、またはこれらからなる、本明細書に記載される、「ヒト」または「完全なヒト」抗体も含み、抗体またはそのフラグメントは、α−シヌクレインポリペプチドもしくはフラグメント、またはその変異体に免疫特異的に結合する。アミノ酸の置換をもたらす、PCRを介した変異誘発および部位特異的変異誘発を含むがこれに限定されない、当業者に知られる標準的な技術は、ヒト抗α−シヌクレイン抗体をコードするヌクレオチド配列における突然変異を導くために用いることができる。好ましくは、変異体(誘導体を含む)は、参照VH領域、VHCDR1、VHCDR2、VHCDR3、VL領域、VLCDR1、VLCDR2、またはVLCDR3に対する、50未満のアミノ酸置換、40未満のアミノ酸置換、30未満のアミノ酸置換、25未満のアミノ酸置換、20未満のアミノ酸置換、15未満のアミノ酸置換、10未満のアミノ酸置換、5未満のアミノ酸置換、4未満のアミノ酸置換、3未満のアミノ酸置換、または2未満のアミノ酸置換をコードする。
一態様では、本開示の抗体は、ヒトから分離されたヒトモノクローナル抗体である。任意に、ヒト抗体のフレームワーク領域は、データベースにおける適切なヒト生殖細胞系可変領域配列に従って、配置および適用される;例えば、MRCタンパク質工学センター(MRC Centre for Protein Engineering)(Cambridge, UK)によりホストされるVbase(http://vbase.mrc-cpe.cam.ac.uk/)参照。例えば、真の生殖細胞系配列から逸脱する可能性があると考えられるアミノ酸は、クローニング処理中に組み込まれたPCRプライマー配列によるものとなり得る。ファージ提示型抗体ライブラリーまたは異種マウスから、単鎖抗体フラグメント(scFv)のような人工的に生成したヒト様抗体と比較して、本開示のヒトモノクローナル抗体は、(i)動物での代用よりもヒト免疫反応用いて得られること、つまり、人体におけるその関連した形態で、天然のα−シヌクレインに反応して抗体が生成されること、(ii)個体(individual)を保護すること、またはα−シヌクレインの存在に関し少なくとも重要であること、および(iii)抗体はヒト由来であるため、自己抗原に対する交差反応のリスクが最小限となること、により特徴づけられる。このように、本開示に従って、用語「ヒトモノクローナル抗体」、「ヒトモノクローナル自己抗体」、「ヒト抗体」等は、ヒト由来、つまり、B細胞もしくはそのハイブリドーマヒト細胞から分離されたものであるα−シヌクレイン結合分子、または、例えば、ヒトメモリーB細胞のようなヒト細胞のmRNAから直接クローンが作られたcDNAを表示するために用いられる。ヒト抗体は、例えば、結合特性を向上させるために、アミノ酸置換が抗体でなされる場合であっても、まだ「ヒト」である。
ヒト免疫グロブリンライブラリーまたは1つもしくはそれ以上のヒト免疫グロブリンに関する動物トランスジェニック由来の抗体は、内因性免疫グロブリンを発現することなく、後述される、例えば、Kucherlapati et al.による米国特許第5,939,598号に記載されるように、ヒト様抗体を示し、本開示の真のヒト抗体をそれらから区別する。
本明細書で用いられるように、用語「サンプル」は、対象または患者から得られるあらゆる生物的物質を指す。一態様では、サンプルは、血液、脳脊髄液(「CSF」)、または尿を含み得る。他の態様では、サンプルは、全血液、血漿、血液サンプルから濃縮したB細胞、および培養細胞(例えば、対象からのB細胞)を含み得る。サンプルは、神経組織を含む組織サンプルまたはバイオプシーをも含み得る。さらに他の態様では、サンプルは、細胞全体および/または細胞の溶解物を含み得る。血液サンプルは、公知の方法により収集され得る。一態様では、ペレットは、ボルテックスにより、4℃で200μlの緩衝液に再懸濁され得る(20mMトリス、pH.7.5、0.5%Nonidet、1mM EDTA、1mM PMSF、0.1M NaCl、IX Sigma Protease Inhibitor、並びにIX Sigma Phosphatase Inhibitors1および2)。懸濁液は、氷上での間欠的なボルテックスで20分間維持され得る。4℃、15,000×gで5分間回転させた後、上清の一定分量を約−70℃で保存し得る。
本明細書で用いられるように、用語「治療する」または「治療」は、治療的処置と予防または防止の手段の両方を指し、その目的は、望まない生理学的変化、感染、または疾患を防止または鈍化させる(和らげる)ことである。有益なまたは所望の臨床結果は、症状の緩和、疾病の程度の縮減、疾病の安定化(つまり、悪化しない)状態、対象における感染因子の排除または低減、疾病進行の遅延または緩徐化、疾病状態の改善または寛解、および緩解(部分的にまたは全体的にかどうか)、検出可能かまたは検出不可能かどうか、を含むが、これに限定されない。「治療」は、治療を受けない場合に予想される生存と比較しての延命生存をも意味し得る。治療が必要なものは、感染、症状もしくは疾患をすでに有するもの、並びに症状もしくは疾患を有するこれらの傾向、または症状もしくは疾患が防止されるものを含む。
「被検者」または「個人」または「動物」または「患者」または「哺乳類」は、あらゆる対象、特に、診断、予後、または療法が所望のものである哺乳類の対象を意味する。哺乳類の対象は、ヒト、飼育動物、家畜動物、および動物園、競技、またはペット動物、例えば、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、乳牛、クマ等を含む。
II.目的ポリペプチドの記載
本明細書で用いられるように、用語「α−シヌクレイン」、「アルファ−シヌクレイン」、「a−シヌクレイン」、および「aSyn」は、特にα−シヌクレインを形成する天然のモノマーに対して互換的に用いられる。用語「α−シヌクレイン」は、一般的に、例えば、ドーパミン−キノン(DAQ)に結合されたα−シヌクレインおよびα−シヌクレインのオリゴマーまたは凝集体のような、他の立体配座異性体のα−シヌクレインと識別するためにも用いられる。用語「α−シヌクレイン」は、全てのタイプおよび形態のα−シヌクレインに関して総括的にも用いられる。ヒトα−シヌクレインのタンパク質配列は:MDVFMKGLSKAKEGVVAAAEKTKQGVAEAAGKTKEGVLYVGSKTKEGVVHGVATVAEKTKEQVTNVGGAVVTGVTAVAQKTVEGAGSIAAATGFVKKDQLGKNEEGAPQEGILEDMPVDPDNEAYEMPSEEGYQDYEPEA(配列番号:1)である。
α−シヌクレインのアミノ酸配列は、文献および適切なデータベースから検索し得る;例えば、Ueda et al., PNAS 90: 1282-11286 (1993); GenBank swissprot: locusSYUA_HUMAN, accession number P37840参照。α−シヌクレインは、もともと、ヒトの脳でアルツハイマー病(AD)プラークの(NAC)の非β−アミロイド成分の前駆体タンパク質として識別された;例えば、Ueda et al., ibid.参照。α−シヌクレインは、140のアミノ酸のタンパク質であり、ランダムコイルとしてのその天然形態で存在する。しかしながら、pH、分子密集、重金属量、およびドーパミンレベルにおける変化は、全てタンパク質構造に影響を及ぼす。オリゴマー、プロト原繊維、原繊維、および凝集部分に対する構造の変化は、タンパク質毒性に影響すると考えられる。増加する証拠は、ドーパミン−付加α−シヌクレインが、非付加タンパク質と比較して、原繊維形成に対する、より速い経時変化を有するということを示す。さらに、α−シヌクレイン過剰発現のバックグラウンドにおけるドーパミンは、毒性がある。
NAC、α−シヌクレイン内の高疎水性ドメインは、少なくとも28のアミノ酸残基(残基60〜87)、および、任意に35のアミノ酸残基(残基61〜95)からなるペプチドである。NACは、ベータシート構造を形成する傾向を示す(Iwai et al., Biochemistry, 34: 10139-10145 (1995))。NACのアミノ酸配列は、Jensen et al., Biochem. J. 310: 91-94 (1995); GenBank accessionnumber S56746 and Ueda et al., ibid.に記載されている。
NACを含む、非凝集α−シヌクレインまたはそのフラグメントは、単量体のペプチド単位を意味する。非凝集α−シヌクレインまたはそのフラグメントは、一般的に可溶性であり、可溶性オリゴマーを形成する自己凝集が可能である。α−シヌクレインのオリゴマーおよびそのフラグメントは、通常可溶性であり、主にα−ヘリックスとして存在する。単量体のα−シヌクレインは、凍結乾燥したペプチドをストレートの(neat)DMSO中に、超音波処理で溶解することにより、in vitroで調整することができる。得られた溶液を遠心分離して、不溶性微粒子を取り除く。NACを含む、凝集α−シヌクレインまたはそのフラグメントは、不溶性βシートアッセンブリ中に関連付けられたα−シヌクレインまたはそのフラグメントのオリゴマーを意味する。NACを含む、凝集α−シヌクレインまたはそのフラグメントは、原繊維のポリマーも意味する。原繊維は、通常は不溶性である。いくつかの抗体は、可溶性α−シヌクレインもしくはそのフラグメントまたは凝集α−シヌクレインもしくはそのフラグメントのいずれかに結合する。いくつかの抗体は、単量体形態または原繊維形態よりもより強く、α−シヌクレインのオリゴマーに結合する。いくつかの抗体は、可溶性および凝集α−シヌクレインまたはそのフラグメントの両方、並びに、任意にオリゴマー形態にも結合する。
III. 抗α−シヌクレイン抗体
α−シヌクレインに結合する抗体は、技術文献に記載されている。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第2010/069603号参照。
本明細書に記載のヒト抗α−シヌクレイン抗体は、α−シヌクレインおよびそのエピトープ、並びに種々の構造のα−シヌクレインおよびそのエピトープに特異的に結合する。例えば、本明細書に記載されるのは、α−シヌクレイン、その天然モノマー形態におけるα−シヌクレイン、全長および切断されたα−シヌクレイン、およびα−シヌクレイン凝集物に特異的に結合する抗体である。例えば、12F4抗体は、本明細書に記載されているように、直接ELISAにより試験されるアミノ酸(aa)1〜60を含み、アルファシヌクレインのN末端両親媒性反復領域内の12F4のエピトープを指す、全長α−シヌクレインおよびα−シヌクレイントランケーションに結合する(国際公開第2010/069603号参照)。
本明細書で用いられるように、α−シヌクレインと「特異的結合」、「選択的結合」、または「優先的結合」する抗体への言及は、他の非関連タンパク質と結合しない抗体を指す。一例では、本明細書に記載されるα−シヌクレイン抗体は、α−シヌクレインまたはそのエピトープと結合することができ、他のタンパク質に関しバックグラウンドの約1.5倍を超える結合を示さない。α−シヌクレイン立体配座異性体と「特異的結合」または「選択的結合」する抗体は、α−シヌクレインの全ての構造と結合しない、つまり、少なくとも1つの他のα−シヌクレイン立体配座異性体と結合しない抗体を指す。例えば、本明細書に記載されるのは、単量体のおよび凝集した形態のα−シヌクレイン、ヒトおよびマウスα−シヌクレイン;全長α−シヌクレインおよび切断された形態並びにヒトα−シヌクレイン対β−およびγ−シヌクレインの中で区別できる抗体である。本開示のヒト抗α−シヌクレイン抗体は、パーキンソン症候群のサインのない、高齢者の対象のプールから分離されているので、本明細書に記載される抗α−シヌクレイン抗体は、α−シヌクレインに特異的な免疫反応を示し、これらの抗体が対象によって実際に発現されていること、および、例えば、ヒト様抗体を提供することを試みるためのこれまでの1つの共通の方法を表した、ファージライブラリーを発現するヒト免疫グロブリンから分離されていないこと、を強調するために「ヒト自己抗体」とも呼ばれ得る。
本開示は、一般的に、被検者の脳における高レベルのα−シヌクレインを診断する方法に関し、α−シヌクレインもしくは抗原結合フラグメント、変異体、またはその誘導体に特異的結合する抗体を投与することを含む方法である。抗α−シヌクレイン抗体は、本明細書で提供される方法において用いられ得る。使用され得る抗体は、国際公開第2010/069603号に十分に記載されている、遺伝子組換え型ヒトα−シヌクレイン抗体NI−202.3G12、12F4、またはNI−202.3D8、および抗原結合フラグメント、変異体、またはその誘導体を含むが、これに限定されない。
ある実施形態では、本明細書で提供される方法における有用な抗α−シヌクレイン抗体もしくは抗原結合フラグメント、変異体、またはその誘導体は、例えば、本明細書に記載される、参照抗α−シヌクレイン抗体分子に関するアミノ酸配列に対して、少なくとも約80%、約85%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%または、約95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。さらなる実施形態では、結合分子は、参照抗体に対する、少なくとも約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%配列同一性を共有する。ある実施形態では、当該抗体またはその抗原結合フラグメントは、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)および免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)を含む、参照抗体としての同じα−シヌクレインエピトープに特異的結合し、表2に示されるように、VHは、配列番号2と少なくとも80%、85%、90%、95%、または100%同じアミノ酸配列を含み、VLは、配列番号3と少なくとも80%、85%、90%、95%、または100%同じアミノ酸配列を含む。
VHおよびVLを含む、参照抗体としての同じα−シヌクレインエピトープに特異的結合する、本明細書で提供される方法における有用な抗体もしくは抗原結合フラグメント、変異体、またはその誘導体がさらに開示され、表2に示されるように、VHは配列番号2と同じ、または1、2、3、4、5、またはそれ以上のアミノ酸置換以外が同じアミノ酸配列を含み、VLは配列番号3と同じ、または1、2、3、4、5、またはそれ以上のアミノ酸置換以外が同じアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態は、VHを含む、本明細書で提供される方法における有用な抗α−シヌクレイン抗体もしくは抗原結合フラグメント、変異体、またはその誘導体を含み、VHの1つまたはそれ以上のVHCDR1、VHCDR2、またはVHCDR3領域は、表3に示されるように、1つまたはそれ以上の配列番号4、配列番号5、配列番号6の1つまたはそれ以上の参照重鎖VHCDR1、VHCDR2および/またはVHCDR3アミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、または100%同じである。
VHを含む、本明細書で提供される方法における有用な抗α−シヌクレイン抗体もしくは抗原結合フラグメント、変異体、またはその誘導体がさらに開示され、VHの1つまたはそれ以上のVHCDR1、VHCDR2、またはVHCDR3領域は、表3に示されるように、1つまたはそれ以上の配列番号4、配列番号5、配列番号6の1つまたはそれ以上の参照重鎖VHCDR1、VHCDR2、またはVHCDR3アミノ酸配列と同じ、または4、3、2、または1のアミノ酸置換以外が同じである。
VLを含む、本明細書で提供される方法における有用な抗α−シヌクレイン抗体もしくは抗原結合フラグメント、変異体、またはその誘導体も開示され、VLの1つまたはそれ以上のVLCDR1、VLCDR2、またはVLCDR3領域は、表3に示されるように、1つまたはそれ以上の配列番号7、配列番号8、配列番号9の1つまたはそれ以上の参照重鎖VLCDR1、VLCDR2、またはVLCDR3アミノ酸配列と、少なくとも80%、85%、90%、95%、または100%同じである。
いくつかの実施形態は、VLを含む、本明細書で提供される方法における有用な抗α−シヌクレイン抗体もしくは抗原結合フラグメント、変異体、またはその誘導体を開示し、VLの1つまたはそれ以上のVLCDR1、VLCDR2、またはVLCDR3領域は、表3に示されるように、1つまたはそれ以上の配列番号7、配列番号8、配列番号9の1つまたはそれ以上の参照重鎖VLCDR1、VLCDR2、またはVLCDR3アミノ酸配列と同じ、または4、3、2、または1のアミノ酸置換以外同じである。
他の実施形態では、本明細書で提供される方法における有用な抗α−シヌクレイン抗体もしくは抗原結合フラグメント、変異体、またはその誘導体は、表2に示されるように、配列番号2および配列番号3と少なくとも80%、85%、90%、95%、または100%同じVHおよびVLアミノ酸配列を含む、本質的にこれらからなる、またはこれらからなる。
本明細書に記載される方法にて使用する、本明細書に記載される抗α−シヌクレイン抗体もしくは抗原結合フラグメント、変異体、またはその誘導体をコードするポリペプチド、このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、このようなポリヌクレオチドを含むベクター、およびこのようなベクターまたはポリヌクレオチドを含む宿主細胞、本明細書に記載される方法にて使用する抗α−シヌクレイン抗体もしくは抗原結合フラグメント、変異体、またはその誘導体を産生するための全ても含まれる。
本明細書に記載される抗α−シヌクレイン抗体の適切な生理活性変異体は、本開示の方法に用いられ得る。このような変異体は、親抗α−シヌクレイン抗体の所望の結合特性を保持するであろう。抗体の変異体を作成する方法は、一般的にその技術分野で入手可能である。
突然変異誘発およびヌクレオチド配列変化の方法は、十分に公知である。例えば、Walker and Gaastra, eds. (1983) Techniques in Molecular Biology(MacMillan Publishing Company, New York); Kunkel, Proc. Natl. Acad. Sci. USA82:488-492 (1985); Kunkel et al., Methods Enzymol. 154:367-382 (1987); Sambrooket al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor,N.Y.); U.S. Pat. No. 4,873,192;および挙げられた参照文献;参照により本明細書に組み込まれたもの参照。目的のポリペプチドの生物活性に影響を与えない適切なアミノ酸置換の指針は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるDayhoff et al. in Atlas of Protein Sequence and Structure (Natl.Biomed. Res. Found., Washington, D.C.), pp. 345-352 (1978)のモデルに見出し得る。Dayhoff et al.のモデルは、適切な保守的なアミノ酸置換を測定するためのPoint Accepted Mutation(PAM)アミノ酸類似性マトリックス(PAM250マトリックス)を用いる。保守的な置換、例えば、1つのアミノ酸を類似の性質を有する他のものに交換することが好ましいこととなり得る。Dayhoff et al.のモデルのPAM250マトリックスにより教示される保守的なアミノ酸置換の例は、Gly⇔Ala、Val⇔Ile⇔Leu、Asp⇔Glu、Lys⇔Arg、Asn⇔Gln、およびPhe⇔Trp⇔Tyrを含むが、これに限定されない。
特異的に結合する、抗α−シヌクレイン抗体もしくは抗原結合フラグメント、変異体、またはその誘導体を測定するための方法は、標準的な競合結合測定、T細胞またはB細胞による免疫グロブリン分泌をモニタリングするための分析、T細胞増殖分析、アポトーシス分析、ELISA分析等を含むが、これに限定されない。例えば、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる、国際公開第93/14125号; Shi et al., Immunity 13:633-642(2000); Kumanogoh et al., J Immunol 169:1175-1181 (2002); Watanabe et al., JImmunol 167:4321-4328 (2001); Wang et al., Blood 97:3498-3504 (2001); および Giraudon et al., J Immunol 172(2):1246-1255 (2004)に開示されているような分析を参照。
本明細書で、本明細書に開示される定常領域、CDR、VHドメイン、またはVLドメインを含む、あらゆる特定のポリペプチドが、他のポリペプチドと、少なくとも約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%までも、同じかどうかについて論じられるとき、%同一性は、これに限定されるものではないが、BESTFITプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package, Version 8 for Unix(登録商標), Genetics Computer Group, University Research Park, 575 Science Drive, Madison, Wis. 53711)のような公知の方法およびコンピュータープログラム/ソフトウェア用いて測定され得る。BESTFITは、2つの配列間の最良のセグメントのホモロジーを見つけるために、Smith and Waterman (1981) Adv. Appl. Math. 2:482-489の局所ホモロジーアルゴリズムを用いる。特定の配列が、例えば、本開示による参照配列と95%同じかどうかを測定するために、BESTFITまたはあらゆる他の配列アラインメントプログラムを用いるとき、当然に、同一性のパーセンテージが参照ポリペプチド配列の全長にわたって算出されるように、および、参照配列のアミノ酸の総数の5%までのホモロジーにおけるギャップが認められるように、パラメーターが設定される。
本開示の目的のために、配列同一性のパーセントは、12のギャップオープンペナルティおよび2のギャップエクステンションペナルティ、62のBLOSUMマトリックスでアフィンギャップサーチを用いるSmith−Watermanホモロジーサーチアルゴリズムを用いて測定することができる。Smith−Watermanホモロジーサーチアルゴリズムは、Smith and Waterman (1981) Adv. Appl. Math. 2:482-489に教示される。変異体は、例えば、たった1〜15のアミノ酸残基、たった1〜10のアミノ酸残基、6〜10のような、たった5、たった4、3、2、または1のアミノ酸残基により、参照抗α−シヌクレイン抗体から異ならせることができる。「保守的なアミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の電荷で側鎖を有するアミノ酸残基で置換されるものである。類似の電荷で側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野で定義されている。これらのファミリーは、塩基性の側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性の側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非電荷極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、無極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。代替的に、突然変異は、飽和突然変異誘発によるような、全てまたは一部のコード配列に沿ってランダムに導入され得、得られた突然変異体は、活性(例えば、α−シヌクレインポリペプチドに結合する性能)を保持する突然変異体を識別するための生物活性に関し検査され得る。
例えば、抗体分子のフレームワーク領域のみにおける、またはCDR領域のみにおける突然変異を導入することができる。導入された突然変異は、サイレントまたは中性のミスセンス突然変異であり得、つまり、抗原に結合する抗体の性能に影響を全くまたはほとんど及ぼさない。突然変異のこれらのタイプは、コドン使用頻度を最適化するため、またはハイブリドーマの抗体産生を向上させるために有用であり得る。代替的に、非中性ミスセンス突然変異は抗原に結合する抗体の性能を変化させ得る。当業者であれば、抗原結合活性を変化させないまたは結合活性を変化させるというような(例えば、抗原結合活性の向上または抗体特異性の変化)、所望の特性で突然変異体分子を設計および試験できるであろう。突然変異誘発に続いて、コード化タンパク質は常に発現され得、コード化タンパク質の機能性および/または生物活性(例えば、α−シヌクレインポリペプチドの少なくとも1つのエピトープでの免疫特異的結合に対する性能)は、本明細書に記載される技術を用いて、または公知技術を日常的に変更することにより測定され得る。
IV. 抗α−シヌクレイン抗体を用いる診断またはトラッキング方法
本発明の開示は、被検者の脳における高レベルのα−シヌクレインを診断するための(例えば、シヌクレイン病の疾患になる対象のリスクを測定するための)、または被検者におけるシヌクレイン病の疾患の進行もしくはシヌクレイン病の疾患治療に対する反応をモニタリングするための、抗α−シヌクレイン結合分子、例えば、抗体またはその抗原結合フラグメントの使用に関する。
ある実施形態では、本明細書に記載される方法は、(a)当該被検者への抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントの末梢投与後に所定の間隔で被検者から得られた血漿またはCSFサンプルにおけるα−シヌクレインのレベルを分析することを含み、当該抗α−シヌクレイン抗体またはそのフラグメントは、脳から血液または脳からCSFへの当該α−シヌクレインの正味の流出を変化させるのに十分な親和性で当該α−シヌクレインと結合することができ、(b)当該被検者における分析された当該α−シヌクレインのレベルを参照標準と比較することを含み、当該血漿サンプルまたはCSFサンプルにおける当該α−シヌクレインのレベルと当該参照標準との間の差異または同一性は、当該被検者の当該脳における当該α−シヌクレインのレベルと相互に関連がある方法により、被検者の脳における高レベルのα−シヌクレインを診断するための、本明細書に記載される抗原結合フラグメント、変異体、およびその誘導体を含む抗α−シヌクレイン抗体の使用に関する。
他の実施形態では、本明細書に記載される方法は、(a)当該被検者への抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントの末梢投与後に所定の間隔で被検者から得られた血漿またはCSFサンプルにおけるα−シヌクレインのレベルを分析することを含み、当該抗α−シヌクレイン抗体またはそのフラグメントは、血液またはCSFにおけるα−シヌクレインを安定させまたは隔離し、(b)当該被検者における分析された当該α−シヌクレインのレベルを参照標準と比較することを含み、当該血漿サンプルまたはCSFサンプルにおける当該α−シヌクレインのレベルと当該参照標準との間の差異または同一性は、当該被検者の当該脳における当該α−シヌクレインのレベルと相互に関連がある方法により、被検者の脳における高レベルのα−シヌクレインを診断するための、本明細書に記載される抗原結合フラグメント、変異体、およびその誘導体を含む抗α−シヌクレイン抗体の使用に関する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、(a)抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントを提供することを含み、当該抗体またはそのフラグメントは、脳から血液または脳からCSFへの当該α−シヌクレインの正味の流出を変化させるのに十分な親和性で当該α−シヌクレインと結合することができ、(b)医療提供者により当該抗体を末梢的に当該被検者に投与させて、投与後に所定の時間間隔で当該被検者から血漿サンプルまたはCSFサンプルを得ることを含み、(c)当該血漿サンプルまたはCSFサンプルにおける当該α−シヌクレインのレベルを分析することを含み、(d)当該被検者における分析された当該α−シヌクレインのレベルを参照標準と比較することを含み、当該血漿サンプルまたはCSFサンプルにおける当該α−シヌクレインのレベルと当該参照標準との間の差異または同一性は、当該被検者の当該脳における当該α−シヌクレインのレベルと相互に関連がある方法により、被検者の脳における高レベルのα−シヌクレインを診断するための、本明細書に記載される抗原結合フラグメント、変異体、およびその誘導体を含む抗α−シヌクレイン抗体の使用に関する。
他の実施形態では、本明細書に記載される方法は、(a)抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントを提供することを含み、当該抗体またはそのフラグメントは、当該抗α−シヌクレイン抗体またはそのフラグメントは、血液またはCSFにおけるα−シヌクレインを安定させまたは隔離し、(b)医療提供者により当該抗体を末梢的に当該被検者に投与させて、投与後に所定の時間間隔で当該被検者から血漿サンプルまたはCSFサンプルを得ることを含み、(c)当該血漿サンプルまたはCSFサンプルにおける当該α−シヌクレインのレベルを分析することを含み、(d)当該被検者における分析された当該α−シヌクレインのレベルを参照標準と比較することを含み、当該血漿サンプルまたはCSFサンプルにおける当該α−シヌクレインのレベルと当該参照標準との間の差異または同一性は、当該被検者の当該脳における当該α−シヌクレインのレベルと相互に関連がある方法により、被検者の脳における高レベルのα−シヌクレインを診断するための、本明細書に記載される抗原結合フラグメント、変異体、およびその誘導体を含む抗α−シヌクレイン抗体の使用に関する。
本開示の方法およびシステムを適用するために、患者からのサンプルは、抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントの投与の前後で得ることができる。サンプルは、例えば、医療提供者(例えば、医者)または医療給付者により要求され得、同じまたは異なる医療提供者(例えば、看護士、病院)、または臨床検査室により得られまたは処理され得、処理後に得られたものを、さらに他の医療提供者、医療給付者、または患者に送付し得る。同様に、サンプルにおけるα−シヌクレインのレベルを分析し、分析された被検者のα−シヌクレインのレベルと参照標準とを比較する、その結果の評価が1つまたはそれ以上の医療提供者、医療給付者、および/または臨床検査室により行われ得る。
本明細書で用いられるように、用語「医療提供者」は生きている対象、例えば、ヒト患者に直接相互に作用して投与する個人または組織を指す。医療提供者の非限定的な例は、医師、看護士、技術者、セラピスト、薬剤師、カウンセラー、代替医療専門家、医療設備、医者のオフィス、病院、緊急治療室、クリニック、緊急のケアセンター、代替医療クリニック/設備、およびあらゆる他の主体であって、一般的なおよび/または専門的な治療、評価、メンテナンス、治療、薬物および/または、一般的な医学、専門的な医学、外科手術および/またはあらゆる他のタイプの治療、評価、メンテナンス、治療、薬物および/またはアドバイスを含むがこれに限定されない患者の健康状態の全てもしくはあらゆる一部に関するアドバイスを提供するものを含む。
本明細書で用いられるように、用語「臨床検査室」は、例えば、ヒトのような生きている対象由来の物質の試験または処理ための設備を指す。処理の非限定的な例は、生物学的な、生化学的な、血清学的な、化学、免疫血液学的な、血液学的な、生物物理学的な、細胞学的な、病理学的な、遺伝子的な、または、生きている対象、例えばヒトの、例えばあらゆる疾病もしくは障害の診断、予防、もしくは治療、または健康の評価に関する情報を提供することを目的とする人体由来の物質の他の試験を含む。これらの試験は、生きている対象、例えばヒトの体内における種々の物質の存在または不存在を調製、決定、測定、またはさもなければ記載するためのサンプル、または生きている対象の身体、例えばヒトから得られるサンプルを収集またはさもなければ獲得するための、手順をも含み得る。ある態様では、臨床検査室は、少ないまたは1つの検査室は全ての外部ソースから提出されたサンプルの全ての測定を行うということを意味する「中心的」または「局所的」であり得る。他の態様では、多数の臨床検査室は、「サテライト」または「グローバル」検査室をも指し、容易に比較し得る、標準的な、信頼できる結果を全て提供するために検証され得る。
本明細書で用いられるように、用語「医療給付者」は、患者に、1つまたはそれ以上の医療給付、福利厚生計画、健康保険、および/またはヘルスケア必要経費プログラムへのアクセスの全部または一部を提供、提示、提出、支払、またはさもなければ与えることに関する、個々のパーティ、組織、またはグループを包含する。
いくつかの態様では、医療提供者は、抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントを投与する他の医療提供者を管理または指導し得る。医療提供者は、以下のアクション:サンプルを得る、サンプルを処理する、サンプルを提出する、サンプルを受け取る、サンプルを移す、サンプルを分析または測定する、サンプルを定量する、サンプルを分析/測定/定量後に得た結果を提供する、サンプルを分析/測定/定量後に得た結果を受け取る、1つまたはそれ以上のサンプルを分析/測定/定量後に得た結果を比較/スコアづける、1つまたはそれ以上のサンプルからの比較/スコアづけを提供する、1つまたはそれ以上のサンプルからの比較/スコアづけを得る、治療または治療薬の投与(例えば、抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメント)、治療の投与の開始、治療の投与の終了、治療の投与の継続、治療の投与の一時的な中断、投与治療薬量の増加、投与治療薬量の減少、投与治療薬量の継続、投与治療薬の投与頻度の増加、投与治療薬の投与頻度の減少、投与治療薬の同じ投薬頻度の維持、少なくとも他の治療または治療薬による治療または治療薬の変換、治療または治療薬と少なくとも他の治療または追加の治療薬とを組み合わせることを行うために、他の医療提供者または患者を実行または指導し得る。
いくつかの態様では、医療給付者は、例えば、サンプルの収集、サンプルを処理する、サンプルを提出する、サンプルを受け取る、サンプルを移す、サンプルを分析または測定する、サンプルを定量する、サンプルを分析/測定/定量後に得た結果を提供する、サンプルを分析/測定/定量後に得た結果を移す、1つまたはそれ以上のサンプルを分析/測定/定量後に得た結果を比較/スコアづける、1つまたはそれ以上のサンプルからの比較/スコアづけを移す、治療または治療薬の投与、治療または治療薬の投与の開始、治療または治療薬の投与の中止、治療または治療薬の投与の継続、治療または治療薬の投与の一時的な中断、投与治療薬量の増加、投与治療薬量の減少、投与治療薬の投与量の継続、投与治療薬の投与頻度の増加、投与治療薬の投与頻度の減少、投与治療薬の同じ投薬頻度の維持、少なくとも他の治療または治療薬による治療または治療薬の変換、または治療もしくは治療薬と少なくとも他の治療もしくは追加の治療薬とを組み合わせること、を認可または否認し得る。
さらに、医療給付者は、例えば、治療の処方を認可または否認し得、治療の範囲を認可または否認し得、医療費の償還を認可または否認し得、治療の資格等を認可または否認し得る。
いくつかの態様では、臨床検査室は、例えば、サンプルを収集または獲得、サンプルを処理する、サンプルを提出する、サンプルを受け取る、サンプルを移す、サンプルを分析または測定する、サンプルを定量する、サンプルを分析/測定/定量後に得た結果を提供する、サンプルを分析/測定/定量後に得た結果を受ける、1つまたはそれ以上のサンプルを分析/測定/定量後に得た結果を比較/スコアづける、1つまたはそれ以上のサンプルからの比較/スコアづけを提供する、1つまたはそれ以上のサンプルからの比較/スコアづけを獲得することができる。
上記列挙されたアクションは、コンピューター実行方法を用いて自動的に医療提供者、医療給付者、または患者により行われ得る(例えば、ウェブサービスまたはスタンドアローンのコンピューターシステムを介する)。
本明細書で用いられるように、用語「医療提供者に行わせる」とは、口頭で医療提供者に行わせる、または書類での指示もしくは両方を用いることにより医療提供者に行わせることを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、(a)抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントを当該被検者に末梢的に投与することを含み、当該抗体またはそのフラグメントは、脳から血液または脳からCSFへの当該α−シヌクレインの正味の流出を変化させるのに十分な親和性で当該α−シヌクレインと結合することができ、(b)投与後に所定の時間間隔で当該被検者から血漿サンプルまたはCSFサンプルを得ることと、当該α−シヌクレインのレベルを測定するための当該血漿サンプルまたはCSFサンプルを提出することとを含み、(c)当該血漿サンプルにおける当該α−シヌクレインのレベルを参照標準と比較することを含み、当該血漿サンプルまたはCSFサンプルにおける当該α−シヌクレインのレベルと当該参照標準との間の差異または同一性は、当該被検者の当該脳における当該α−シヌクレインのレベルと相互に関連がある方法により、被検者の脳における高レベルのα−シヌクレインを診断するための、本明細書に記載される抗原結合フラグメント、変異体、およびその誘導体を含む抗α−シヌクレイン抗体の使用に関する。
他の実施形態では、、本明細書に記載される方法は、(a)抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントを当該被検者に末梢的に投与することを含み、当該抗体またはそのフラグメントは、血液またはCSFにおけるα−シヌクレインを安定させまたは隔離し、(b)投与後に所定の時間間隔で当該被検者から血漿サンプルまたはCSFサンプルを得ることと、当該α−シヌクレインのレベルを測定するための当該血漿サンプルまたはCSFサンプルを提出することとを含み、(c)当該血漿サンプルにおける当該α−シヌクレインのレベルを参照標準と比較することを含み、当該血漿サンプルまたはCSFサンプルにおける当該α−シヌクレインのレベルと当該参照標準との間の差異または同一性は、当該被検者の当該脳における当該α−シヌクレインのレベルと相互に関連がある方法により、被検者の脳における高レベルのα−シヌクレインを診断するための、本明細書に記載される抗原結合フラグメント、変異体、およびその誘導体を含む抗α−シヌクレイン抗体の使用に関する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗原結合フラグメント、変異体、およびその誘導体を含む抗α−シヌクレイン抗体は、脳から血液または脳からCSFへの当該α−シヌクレインの正味の流出を変化させるのに十分な親和性で当該α−シヌクレインと結合することができ、血液またはCSFにおけるα−シヌクレインを安定させまたは隔離させる。
診断される被験者は、疾病の症状がないか臨床前であり得る。具体的な実施形態では、被検者は、シヌクレイン病(synucleopathic)の疾病の発症前または臨床前である個人を含む。
具体的な実施形態では、本明細書に記載される方法における「参照標準」は、1名またはそれ以上の対照被検者におけるα−シヌクレインの測定されたレベルを含み、当該対照被検者は、健常な個人および重症度の異なるシヌクレイン病を有する個人を含む。例えば、対照被検者は、例えば、パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症(DLB)、またはアルツハイマー病のレビー小体変異型(LBVAD)のようなシヌクレイン病の疾患を有し、α−シヌクレインのレベルおよび参照標準間の類似性は、診断される対象がシヌクレイン病の疾患を有するということを示す。第2の対照としての代替的にまたは追加的に、対照被検者はシヌクレイン病の疾患を有さず、α−シヌクレインのレベルおよび参照標準間の差異は、診断される対象がシヌクレイン病の疾患を有するということを示す。好ましくは、診断される対象は、対照被検者(複数を含む)と同年齢である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、血漿サンプルにおけるα−シヌクレインのレベル(つまり、試験サンプル)を、抗原結合フラグメント、変異体、およびその誘導体を含む抗α−シヌクレイン抗体の投与前に被検者から得られた血漿サンプル(つまり、ベースラインサンプル)と比較することをさらに含む。他の実施形態では、本明細書に記載される方法は、CSFサンプル(つまり、試験サンプル)におけるα−シヌクレインのレベルと、抗原結合フラグメント、変異体、およびその誘導体を含む抗α−シヌクレイン抗体の投与前に被検者から得られたCSFサンプル(つまり、ベースラインサンプル)と比較することをさらに含む。例えば、参照標準との比較に代えて、またはこれに加えて、ベースラインサンプルと比較を行い得る。これに関し、ベースラインサンプルは、試験サンプルを参照標準(例えば、測定は、絶対値というよりもむしろ差異または割合である。)に対して較正するために用いられ得る。
さらなる実施形態により、本明細書に記載される、抗α−シヌクレイン結合分子、特に抗α−シヌクレイン抗体は、試験される個人から、血液サンプル、リンパ液サンプル、CSFサンプル、またはあらゆる他の体液サンプルである体液サンプル得ることにより、および、抗体−抗原複合体の形成を可能とする条件下で体液サンプルを本明細書に記載される抗α−シヌクレイン抗体と接触させることにより、個人における疾患を診断するための方法にも用いられ得る。そのような複合体のレベルは、その後、公知の方法により測定され、試験される個人における疾病を示す対照サンプルで形成されるよりも有意に高いレベルである。同じ方法では、本明細書に記載されるように、抗α−シヌクレイン抗体により結合された特異的な抗原も用いられ得る。このように、本開示は、本開示の抗α−シヌクレイン結合分子、例えば、抗体またはその抗原結合フラグメントを含むin vitro免疫分析に関する。
α−シヌクレインのレベルは、タンデム質量分析(MS/MS)およびレーザーデンシメトリー前の、例えば、ウェスタンブロット、免疫沈殿法、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、放射免疫測定(RIA)、蛍光標識細胞分取(FACS)、二次元ゲル電気泳動、質量分析法(MS)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化−飛行時間型質量分析法(MALDI−TOF)、表面エンハンス型レーザー脱離イオン化−飛行時間型(SELDI−TOF)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、高速蛋白質液体クロマトグラフィー(FPLC)、多次元液体クロマトグラフィー(LC)から選択される1つまたはそれ以上の技術により、α−シヌクレインを分析することを含むあらゆる適切な公知の方法により評価され得る。好ましくは、α−シヌクレインのin vivoイメージングは、陽電子射出断層撮影(PET)、単光子断層撮影(SPECT)、近赤外線(NIR)、光学撮像、または磁気共鳴画像(MRI)を含む。
医療の分野でよく知られているように、あらゆる一人の患者の投与量は、患者のサイズ、体表面積、年齢、投与される具体的な化合物、性別、投与の時間およびルート、一般的な健康、並びに他の同時に投与される薬物を含む多くの因子による。一般的に、投与量は、例えば、宿主体重の約0.0001から100mg/kg、より通常には0.01から5mg/kg(例えば、0.02mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg、0.75mg/kg、1mg/kg,2mg/kg等)の範囲にわたる。例えば、投与量は、1mg/kg体重または10mg/kg体重または1〜10mg/kgの範囲内であり得る。上記範囲の中間の投与量が本開示の範囲内であることも意図される。用語「末梢投与」は、本明細書の他の箇所に記載される。
ある実施形態では、例えば、α−シヌクレインを特異的に認識する、本開示の抗α−シヌクレイン抗体または同等の抗原結合分子でロードする抗体ベースの配列が用いられ得る。マイクロアレイ免疫分析の設計は、Kusnezow et al., Mol. Cell Proteomics 5:1681-1696 (2006)に要約される。よって、本開示は、本開示に従って識別される抗α−シヌクレイン結合分子でロードするマイクロアレイにも関する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、シヌクレイン病の疾患に関する治療を受ける対象の脳におけるα−シヌクレインのレベルをトラッキングするための、抗原結合フラグメント、変異体、およびその誘導体を含む抗α−シヌクレイン抗体の使用にも関し、抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントの末梢投与後の特定の時間に、対象の血漿または対象のCSFにおけるα−シヌクレインのレベルを分析することを含み、抗体またはそのフラグメントは、脳から血液または脳からCSFへのα−シヌクレインの正味の流出を変化させるのに十分な親和性で当該α−シヌクレインと結合することができ、対象の血漿または対象のCSFにおけるα−シヌクレインのレベルは、対象の脳におけるレベルと相互に関連がある。具体的な実施形態では、本明細書に記載される方法は、抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントの末梢投与後の特定の時間に、対象の血漿または対象のCSFにおけるα−シヌクレインのレベルにおける分析することにより、対象の脳におけるα−シヌクレインのレベルの変化を経時的にプロットすることをさらに含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、シヌクレイン病の疾患の治療を受ける対象の脳におけるα−シヌクレインのレベルをトラッキングするために、抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントの末梢投与後の特定の時間に対象の血漿または対象のCSFにおけるα−シヌクレインのレベルを分析することを含み、抗体またはそのフラグメントは血液またはCSFにおけるα−シヌクレイン安定させるまたは隔離し、対象の血漿または対象のCSFにおけるα−シヌクレインのレベルは対象の脳におけるレベルと相互に関連がある、抗原結合フラグメント、変異体、およびその誘導体を含む、抗α−シヌクレイン抗体の使用にも関する。具体的な実施形態では、本明細書に記載される方法は、抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントの末梢投与後の特定の時間に対象の血漿または対象のCSFにおけるα−シヌクレインのレベルを分析することにより、対象の脳におけるα−シヌクレインのレベルの変化を経時的にプロットすることをさらに含む。
いくつかの実施形態では、当該所定の間隔が、12ヶ月未満、11ヶ月未満、10ヶ月未満、9ヶ月未満、8ヶ月未満、7ヶ月未満、6ヶ月未満、5ヶ月未満、4ヶ月未満、3ヶ月未満、2ヶ月未満、1ヶ月未満、1週間未満、24時間以内、または3時間以内、である本明細書に記載される方法を含む。
V. 組成物および投与方法
抗α−シヌクレイン抗体もしくは抗原結合フラグメント、変異体、またはその誘導体の、それらを必要とする対象への投与および調製方法は、当業者によりよく知られ、または、容易に決定される。抗α−シヌクレイン抗体もしくは抗原結合フラグメント、変異体、またはその誘導体の投与ルートは、例えば、経口、非経口、吸入による、または局所であり得る。用語「末梢投与」は、本明細書で用いられるように、静脈内、動脈内、腹膜内、筋肉内、皮下、直腸、膣内投与を含む。これらの投与形態の全ては、明らかに本開示の範囲内ものであるとして考えられ、投与に関する形態の一例は、注入用、具体的には、静脈内または動脈内注射または点滴用の溶液であろう。注入用の適切な薬学的組成物は、緩衝液(例えば、アセテート、リン酸塩、またはクエン酸塩バッファ)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート)、任意に安定化剤(例えば、ヒトアルブミン)等を含み得る。
本明細書に開示されるように、抗α−シヌクレイン抗体もしくは抗原結合フラグメント、変異体、またはその誘導体は、投与を容易にし、作用剤の安定性を促進させるために処方され得る。ある実施形態では、本開示による薬学的組成物は、薬学的に許容可能な、非毒性の、無菌担体、例えば、生理食塩水、非毒性緩衝液、保存剤等を含む。本出願の目的に関し、薬学的に有効な量の抗α−シヌクレイン抗体もしくは抗原結合フラグメント、変異体、またはその誘導体は、ターゲットに対する効果的な結合を達成し、例えば、脳から血液へのα−シヌクレインの正味の流出を変化させる、または脳からCSFへのα−シヌクレインの正味の流出を変化させるような利益を達成するために十分な量を意味することが維持されるであろう。
本開示で用いられる薬学的組成物は、例えば、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンのような血清タンパク質、緩衝物質、例えば、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分的なグリセリド混合物、水、塩類、または、電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸塩、ワックス、ポリエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール、および羊毛脂を含む、薬学的に許容可能な担体を含む。
末梢投与に関する調製は、無菌の水溶または非水溶液、懸濁液、および乳濁液を含む。非水溶の溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物油、オレイン酸エチルのような注入可能な有機エステルである。水溶性の担体は、例えば、生理食塩水および緩衝媒体を含む、水、アルコール/水溶液、乳濁液、または懸濁液を含む。対象の開示では、薬学的に許容可能な担体は、0.01〜0.1Mリン酸塩緩衝液、または0.8%生理食塩水を含むが、これに限定されない。他の共通の非経口ビヒクルは、リン酸ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび、塩化ナトリウム、乳酸リンゲル、または不揮発性油を含む。静脈内のビヒクルは、流体および栄養補液、電解質補液、例えば、リンゲルデキストロース等に基づくこれらを含む。保存剤および他の添加剤も、例えば、抗菌物質、酸化防止剤、キレート試薬と不活性ガス等のように存在し得る。
より具体的には、注入可能な使用に適切な薬学的組成物は、無菌の注入可能な溶液または分散液の即座の調製のための、無菌の水溶液(水溶性)または分散液および無菌の粉末を含む。このような場合において、組成物は無菌でなければならず、容易な注射可能性がある範囲の流体であるべきである。それは、製造および貯蔵状態下で安定であるべきであり、好ましくは、細菌および菌類のような微生物の汚染活動に対して保護されるであろう。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール等)並びに適切なこれらの混合物を含む、溶媒または分散媒体であり得る。適当な流動性が、例えば、レシチンのようなコーティングの使用により、分散の場合における必要とされる微粒子サイズの維持により、および界面活性剤の使用により維持され得る。本明細書に記載される治療方法における使用に適切な製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Co.) 16th ed.(1980)に記載されている。
微生物の活動の防止は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等の種々の抗細菌性および抗真菌性薬剤により達成され得る。多くの場合、例えば、組成物に、糖類、多価アルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムを等張剤を含むことが好ましいであろう。注入可能な組成物の長期の吸収は、組成物が、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含むことによりもたらされ得る。
あらゆる場合において、無菌の注入可能な溶液は、必要に応じた濾過滅菌の前に、活性化した化合物(例えば、抗α抗体もしくは抗原結合フラグメント、変異体、またはその誘導体のそれ自体または他の作用剤との組み合わせ)を、適切な溶媒の必要とする量に、本明細書に挙げられた成分の1つまたは組み合わせて、加えることにより調製され得る。一般的に、分散液は、活性化合物を、基本的な分散媒体および上記で挙げたものから必要とされる他の成分を含む無菌のビヒクルに加えることにより調製される。無菌の注入溶液の調製用の無菌の粉末の場合、調製のための好ましい方法は、その前もって無菌濾過した液から、活性成分の粉末およびあらゆる追加の所望の成分を産生する真空乾燥および凍結乾燥である。注入用の調製物は、公知の方法に従って、処理され、アンプル、バッグ、ボトル、シリンジ、またはバイアルのような容器に充填され、無菌状態下で密封される。さらに、調製物は、包装され、キットの形態で販売され得る。このような製造品は、付属する組成物が、疾病または疾患にかかっている、またはかかりやすい対象の治療に有用であることを示すラベルまたは添付文書を有し得る。
非経口製剤は、維持投与の前の、単一の急速投与、注入、または充填急速投与であり得る。これらの組成物は、特定の固定された、または可変の間隔、例えば、1日1回、または「必要に応じて」を基準にして、投与され得る。
本明細書に開示される、ある薬学的組成物は、例えば、カプセル、タブレット、水溶性懸濁液または溶液を含む、許容される剤形で経口投与され得る。ある薬学的組成物は、点鼻または吸入によっても投与され得る。このような組成物は、バイオアベイラビリティーを高めるためのベンジルアルコールまたは他の適切な保存剤、吸収促進剤を用いる生理食塩水における溶液、および/または他の従来の可溶剤または分散剤として調製され得る。
担体材料と組み合わされて、単一投与形態を産生する、抗α−シヌクレイン抗体もしくはフラグメント、変異体、またはその誘導体は、治療される宿主および投与の特定のモードに応じて変化するであろう。組成物は、単一投与、複数回投与、または注入における確立された期間で投与し得る。投与計画もまた、最適な所望の反応を提供するために調製され得る(例えば、治療または予防の反応)。
本開示の実施には、別途の記載がない限り、公知技術の範囲内である、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、遺伝子組換えの生物学、細菌学、遺伝子組換えDNA、および免疫学の従来技術が採用されるであろう。そのような技術は、文献に十分に説明されている。例えば、Molecular Cloning A Laboratory Manual, 2nd Ed., Sambrook et al.,ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press: (1989); Molecular Cloning: ALaboratory Manual, Sambrook et al., ed., Cold Springs Harbor Laboratory, NewYork (1992), DNA Cloning, D. N. Glover ed., Volumes I and II (1985);Oligonucleotide Synthesis, M. J. Gait ed., (1984); Mullis et al. U.S. Pat. No:4,683,195; Nucleic Acid Hybridization, B. D. Hames & S. J. Higgins eds.(1984); Transcription And Translation, B. D. Hames & S. J. Higgins eds.(1984); Culture Of Animal Cells, R. I. Freshney, Alan R. Liss, Inc., (1987);Immobilized Cells And Enzymes, IRL Press, (1986); B. Perbal, A Practical GuideTo Molecular Cloning (1984); the treatise, Methods In Enzymology, AcademicPress, Inc., N.Y.; Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells, J. H. Miller andM. P. Calos eds., Cold Spring Harbor Laboratory (1987); Methods In Enzymology,Vols. 154 and 155 (Wu et al. eds.); Immunochemical Methods In Cell AndMolecular Biology, Caner and Walker, eds., Academic Press, London (1987);Handbook Of Experimental Immunology, Volumes I-IV, D. M. Weir and C. C.Blackwell, eds., (1986); Manipulating the Mouse Embryo, Cold Spring HarborLaboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., (1986);およびAusubelet al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Baltimore,Maryland (1989)を参照。
抗体技術の一般的な原理は、Antibody Engineering, 2nd edition, C.A.K. Borrebaeck, Ed., OxfordUniv. Press (1995)に述べられている。プロテインエンジニアリングの一般的な原理は、ProteinEngineering, A Practical Approach, Rickwood, D., et al., Eds., IRL Press atOxford Univ. Press, Oxford, Eng. (1995)に述べられている。抗体および抗体ハプテン結合の一般的な原理は、Nisonoff, A., Molecular Immunology, 2nd ed., Sinauer Associates,Sunderland, MA (1984);およびSteward, M.W., Antibodies,Their Structure and Function, Chapman and Hall, New York, NY (1984)に述べられている。さらに、公知の免疫学における標準的な方法であって、具体的に記載されていないものは、一般的に以下のCurrent Protocols in Immunology, John Wiley & Sons, New York;Stites et al. (eds) , Basic and Clinical -Immunology (8th ed.), Appleton &Lange, Norwalk, CT (1994) および Mishell and Shiigi (eds),Selected Methods in Cellular Immunology, W.H. Freeman and Co., New York (1980)のとおりに従っている。
免疫学の一般的な原理を述べている標準的な参照研究は、Current Protocols in Immunology, John Wiley & Sons, New York; Klein,J., Immunology: The Science of Self-Nonself Discrimination, John Wiley &Sons, New York (1982); Kennett, R., et al., eds., Monoclonal Antibodies,Hybridoma: A New Dimension in Biological Analyses, Plenum Press, New York(1980); Campbell, A., “Monoclonal Antibody Technology” in Burden, R., et al., eds., Laboratory Techniques in Biochemistryand Molecular Biology, Vol. 13, Elsevere, Amsterdam (1984), Kuby Immunnology 4thed. Ed. Richard A. Goldsby, Thomas J. Kindt and Barbara A. Osborne, H. Freemand& Co. (2000); Roitt, I., Brostoff, J. and Male D., Immunology 6thed. London: Mosby (2001); Abbas A., Abul, A. and Lichtman, A., Cellular andMolecular Immunology Ed. 5, Elsevier Health Sciences Division (2005);Kontermann and Dubel, Antibody Engineering, Springer Verlan (2001); Sambrookand Russell, Molecular Cloning: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Press(2001); Lewin, Genes VIII, Prentice Hall (2003); Harlow and Lane, Antibodies: ALaboratory Manual, Cold Spring Harbor Press (1988); Dieffenbach and Dveksler,PCR Primer Cold Spring Harbor Press (2003)を含む。
実施例
本明細書で採用されるような、従来の方法の詳細な説明は、上記で挙げた文献にみることができる。以下に別途示されない限り、α−シヌクレイン特異的B細胞の識別および目的の特異性を示すα−シヌクレイン抗体の分子の複製、ならびにそれらの遺伝子組換え型の発現および機能的特徴付けは、国際公開第2008/081008号として公開された国際出願PCT/EP2008/000053号、および国際公開第2010/069603号として公開された国際出願PCT/EP2009/009186号の、実施例および追加の方法の項で記載されるように行われ、または行われ得、その開示内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
実施例1:ヒトα−シヌクレインを過剰発現するトランスジェニックマウスにおける12F4投与時の投与量依存性ヒトα−シヌクレイン血漿スパイク
この実施例は、12F4抗体注入後の、ヒトα−シヌクレインを過剰発現するトランスジェニックマウスのマウス血漿におけるヒトα−シヌクレインのレベルの測定を記載する。生後3ヶ月半の、ヒト野生型(wt)α−シヌクレイン(PDGFβ−h[wt]α−シヌクレインを過剰発現するトランスジェニックマウス;つまりD系列; Masliah et al., Science, 287(5456):1265-9 (2000)は、腹腔内に0、0.3、1、3、10、または30mg/kgの12F4抗体を単一用量で注入された。機能的な遺伝子組換えモノクローナル抗体12F4およびキメラ12F4は、Ig−重鎖発現ベクターおよびカッパまたはラムダIg−軽鎖発現ベクターのCHO細胞(またはヒトまたはマウス起源のあらゆる他の適切な受容細胞系)への同時トランスフェクションで得られた。遺伝子組換え型モノクローナル抗体は、その後、国際公開第2008/081008号に記載される標準のプロテインAカラム精製を用いて、馴化培地から精製された。遺伝子組換え型ヒトモノクローナル抗体は、一過性にまたは安定してトランスフェクションした細胞のいずれかを用いて非制限の量で産生され得る。キメラ12F4抗体は、ヒト可変重鎖および軽鎖の生殖細胞系(GL)配列に対して調製されるIg−可変領域のN末端にプライマーにより誘導された突然変異を有し(国際公開第2010/069603号を参照)、調製されたヒト可変ドメインがマウスIgG2a定常領域に融合される、キメラ分子として発現した。
D系列トランスジェニックα−シヌクレインマウスは、水と食べ物に自由にアクセスでき、12時間対12時間の明/暗反転サイクルで、標準的な居住状態下で維持された。治療群は、週齢と性別に関するバランスがとられた。注入の24時間後に、血漿サンプルを調製し、ヒトα−シヌクレインの血漿濃度をサンドイッチELISA(Invitrogen,USA)により測定した。血漿サンプルを1:4に希釈し、標準液を野生型(wt)マウスの1:4の血漿を用いて希釈緩衝液で調製した。結果は、ELISA読み取りにおける12F4抗体の影響に関し、コントロールされた。12F4抗体血漿レベルは、標準として既知の濃度の遺伝子組換え型12F4を用いて、ヒトFcg捕捉ELISAにより測定された。標準液は、野生型マウスからの希釈された血漿を含むPBSで調製された。
ヒトα−シヌクレインの血漿レベルは、ビヒクル対照と比較したとき、1、3、10、または30mg/kgの12F4抗体の単一用量後に有意に増加した。ヒトα−シヌクレインの血漿における増加は、有意に投与量依存性であった(図1A〜B)。有意なレベルのヒトα−シヌクレインは、ビヒクルのみで治療したマウスでは検出されなかった(図1B)。
実施例2:α−シヌクレイン血漿スパイクおよび12F4血漿濃度の経時変化
この実施例は、経時的に測定された、ヒトα−シヌクレインを過剰発現するトランスジェニックマウスのマウス血漿におけるヒトα−シヌクレインのレベルおよび12F4抗体レベルの変化の経時変化を記載する。生後8ヶ月の、ヒトα−シヌクレインA53T(Prp−h[A53T]α−シヌクレイン](Giasson et al., Neuron, 34: 521-533 (2001))を過剰発現するトランスジェニックマウスは、腹腔内に単一用量の5mg/kgの12F4抗体を注入され、注入後0、1、24、72、および168時間の時点で、血漿サンプルが採取された。血漿ヒトα−シヌクレインは、実施例1に記載されるように、ELISAにより定量化された。図2は、血漿ヒトα−シヌクレインが、1時間の時点ですでにピークとなり、その後、経時的に低下するということを示す。一方、12F4抗体の最も高いレベルは、24時間の時点でみられ、12F4血漿レベルはヒトα−シヌクレインのレベルよりもゆっくり低下するようであった。
実施例3:ヒトα−シヌクレインを過剰発現するトランスジェニックマウスの12F4の急性高投与治療は、血漿ヒトα−シヌクレインのレベルと相互に関連がある脳ヒトα−シヌクレインのレベルを減少させる
この実施例は、12F4抗体の注入後の脳サンプルにおけるヒトα−シヌクレインのレベルの測定を記載する。生後3ヶ月半の、ヒト野生型α−シヌクレイン(PDGFβ−h[wt]α−シヌクレイン;D系列]を過剰発現するトランスジェニックマウスは、8日以内に4回の12F4抗体の50mg/kg投与量で腹腔内に注入された(最初の注入後72、144、および192時間)。最後の注入から24時間後の動物を殺処分し、PBSで灌流した。皮質および海馬をPBS中でホモジナイズし、可溶性(PBS可溶性)および不溶性(PBS不溶性)の脳破片を分画遠心分離法により調製した。具体的には、脳を取り除き、解剖し、−80℃で凍結した。dounceホモジナイザーを用いて(500rpm、30ストローク)、凍結した脳組織を10体積(v/w)のPBS中でホモジナイズし、1分間超音波処理した。細胞破片を5000gで5分間(4℃)遠心分離することにより取り除いた。上清(SN)を35000rpm(Ti51ローター;Beckman−Coulter)で1時間(4℃)遠心分離した。得られたSNを可溶性の分画に指定した。ペレットは1%TritionPBSに再懸濁し、超音波処理した(3×1分)。この区画を不溶性区画に指定した。
両区画におけるヒトα−シヌクレインのレベルをサンドイッチELISAにより定量化し(Invitrogen、USA)、タンパク質含有量に対して正規化した。図3Aに示されるように、12F4治療マウスの皮質可溶性ヒトα−シヌクレインのレベルは、34%有意に減少した(12F4 190±29μg/g 対 ビヒクル対照 288±36μg/g、n=10、p<0.05、スチューデントの検定)。同様に、急性12F4治療後に、可溶性海馬ヒトα−シヌクレインの33%の低減(図3B)−(12F4 119±22μg/g 対 ビヒクル対照 178±30μg/g、n=9〜10、p=0.14、スチューデントの検定)、および、不溶性海馬ヒトα−シヌクレインの26%の低減(図3C)−(12F4 23±3μg/g 対 ビヒクル対照 31±6μg/g、n=9〜10、p=0.29、スチューデントの検定)が観察された。これらの結果は、短い12F4の治療が、ヒトα−シヌクレインを過剰発現するトランスジェニックマウスにおける脳α−シヌクレインの病態の低減を導くということを示す。
観察されたヒトα−シヌクレイン血漿の上昇が脳α−シヌクレイン病態にリンクしているかどうかをみるために、脳ヒトα−シヌクレインのレベルに対する血漿ヒトα−シヌクレインのレベルをプロットした。急性12F4治療後に、血漿ヒトα−シヌクレインのレベルおよび可溶性皮質ヒトα−シヌクレインのレベル間(図4A)で、可溶性海馬ヒトα−シヌクレインのレベルと(図4B)、および不溶性海馬ヒトα−シヌクレインのレベル(図4C)と、高い有意性のある相関関係があった。ビヒクル治療では、血漿および脳α−シヌクレイン間の相関関係は観察されなかった。
実施例4:ヒトα−シヌクレインを過剰発現するトランスジェニックマウスの慢性12F4治療後の血漿および脳ヒトα−シヌクレインのレベル間の相関関係
この実施例は、12F4抗体の6ヶ月間の毎週投与後の脳サンプルにおけるヒトα−シヌクレインのレベルの測定を記載する。
生後6ヶ月の、ヒトwtα−シヌクレインA30P(Thy1−h[A30P]−α−シヌクレイン)(Kahle et al., Am J Pathol., 159(6): 2215-2225 (2001))を過剰発現するトランスジェニックマウスは、腹腔内に10mg/kgキメラ12F4を6ヶ月間毎週注入された。血漿および脳サンプルを最後の注入後24時間で調製した。皮質/海馬をPBS中でともにホモジナイズし、可溶性(PBS−可溶性)および不溶性(PBS−不溶性)脳分画を、実施例3に記載されているように、分画遠心分離法により調製した。実施例3に記載されているように、両分画におけるヒトα−シヌクレインのレベルをELISAにより定量化し、タンパク質含有量に対して正規化した。血漿ヒトα−シヌクレインのレベル(図5A)およびキメラ12F4レベル(図5B)をELISAにより測定した。血漿ヒトα−シヌクレインのレベルを、実施例1に記載されているように測定し、キメラ12F4血漿レベルを、標準として既知の濃度の遺伝子組換え型キメラ12F4を用いて、直接α−シヌクレインELISAで測定した。
血漿および脳α−シヌクレインが、キメラ12F4での慢性処置と相互に関連があるかどうかをみるために、ヒト脳α−シヌクレインのレベルに対する血漿ヒトα−シヌクレインのレベルをプロットした。ヒトα−シヌクレインを過剰発現するトランスジェニックマウスのキメラ12F4での6ヶ月間の慢性処置後の血漿および脳a−シヌクレインレベル間には有意な相関関係があった(図5C)。
実施例5:カニクイザルにおける12F4投与時のα−シヌクレイン脳脊髄液(CSF)スパイク
この実施例は、12F4投与時のカニクイザルにおける、血清および脳脊髄液(CSF)における12F4のレベル、並びにCSFにおける内因性α−シヌクレインのレベルの測定を記載する。3匹の未処置の雄のカニクイザルは、単一用量の10mg/kgの12F4を静脈内に注入された。動物を12F4投与前の1〜12分間および投与後2時間のCSFサンプル採取の間絶食させた。血液サンプル(約0.5ml/サンプル)を大腿静脈/動脈から、投与後0.5、2、5、24、48、72、96、168、240、336、408、504、672、および840時間で採取した。各間隔でサンプル採取完了後に、サンプルを少なくとも30分間凝固させ、周囲条件下で遠心分離した。得られた血清を分離し、分析のためにドライアイス上に乗せるまで、−50℃〜−90℃で凍結保存した。12F4血清レベルをサンドイッチELISA(Covance)により測定した。
投与後の種々の時点で大槽から採取したCSFサンプルにおける12F4および内因性α−シヌクレイン濃度もELISA(Covance)により測定した。CSFサンプルの採取前に動物を、0.1mg/kgアセプロマジンマレアートを、必要に応じて追加の維持量とともに、筋肉内(IM)に注入して鎮静させた。麻酔を20mg/kgケタミンのIM注入で誘導した。大槽にアクセスするために頭部の後ろの毛を剃り、無菌のフィールド内で、アクセス部をクロルヘキシジンスクラブおよびクロルヘキシジン溶液で調製した。動物を側臥位で配置し、顎が胸にのるまで頭を前に出した。無菌操作を用いて、留置針カテーテル(over the needle catheter)を大槽にアクセスするために用いた。動物は、サンプル採取のそれぞれの日に、1日3回、約6〜9時間ごと(CSF採取前開始)に、0.01mg/kgブプレノルフィンをIM投与された。麻酔およびCSFサンプリング後に、動物は、心循環系/呼吸の低下、低体温、および術部からの出血多量を含む生理学的外乱について、回復の間、厳重にモニタリングされた。CSFサンプル(約0.2mL/サンプル)を、投与後2、24、72、168、336、504、および672時間で大槽から採取し、氷上に置いた。サンプルを、分析のためにドライアイス上に乗せるまで、−50℃〜−90℃で凍結保存した。
CSF/血清12F4の割合は、ヒトIgG抗体に関して予想されるように、約0.1%であった。CSFα−シヌクレインは、12F4治療時に約5倍増加した(図6)。
実施例6:トランスジェニックα−シヌクレインマウスにおけるin vivo微小透析
この実施例は、トランスジェニックα−シヌクレインA53Tマウスにおける、12F4投与時の血漿および脳間質液(ISF)におけるα−シヌクレインのレベルの測定を記載する。トランスジェニックα−シヌクレインマウスISFにおけるin vivo微小透析は、12F4またはビヒクル対照(対照IgG抗体)投与時に行われた。具体的には、ガイドカニューレを定位的に、生後6〜9ヶ月のA53T α−シヌクレイントランスジェニックマウス(B6;C3−Tg(PrP−SNCAA53T)83Vle/J)の線条体に、イソフルラン麻酔下(4〜2.5%)でインプラントした。頭部の毛を剃り、皮膚を滅菌した外科用メスで切断して頭蓋骨を露出させた。Paxinos and Franklinの図表(The Mouse Brain inStereotaxic Coordinates, Second Edition (2004))に従って、右線条体上に穿孔を作成した(座標、AP=+0.5mm、ML=−2.2mm、DV=−2.4mm)。CMA−12ガイドカニューレ(CMA マイクロダイアリシス AB、Sweden)を挿入し、ステンレス鋼製ねじおよび歯科用セメントで頭蓋骨に固定した。マウスは、定位装置から移動され、個々のケージで回復させた。手術5日後、マウスを微小透析ケージ(複数を含む)に移動した。CMA−12カスタムメイドプローブ(2mm、100kDaカットオフ)は、0.6μl/minの一定の流速でCMAポンプに挿入され、接続された。浸透物質としてBSAを含む人工のCSFで灌流を行った。サンプル収集の前に、プローブを同じ流量で4〜20時間平衡化した。ベースラインサンプルは、大部分を2時間おきに2時間収集した。12F4またはビヒクル対照を、単一用量の30mg/kgで腹腔内に注入した。注入時に、サンプルを1時間ごとに約24時間採取した。全てのサンプルを冷却フラクションコレクターを用いて採取し、インハウス超高感度シヌクレインサンドイッチELISA(Emmanouilidou et al., PLoS ONE 6(7): e22225 (2011))により分析されるまで−80℃で保存した。血漿サンプルも投与前、投与後2時間および24時間採取し、その後ヒトα−シヌクレイン特異的サンドイッチELISA(Invitrogen, Carlsbad CA)で分析した。
12F4投与の2〜3時間後に細胞外、ISFα−シヌクレインにおける約60%の低減があった。微小透析液におけるビヒクル対照ではISFα−シヌクレインのレベルは変化しなかった(図7)。
実施例7:AAV−α−シヌクレインラットモデルにおける抗α−シヌクレイン抗体の脳脊髄液(CSF)α−シヌクレイン濃度への効果
CSFα−シヌクレイン濃度における抗α−シヌクレイン抗体の効果は、アデノ随伴ウイルス(AAV)α−シヌクレインラットモデルで評価されるであろう。野生型ヒトα−シヌクレインまたは家族性のパーキンソン病(例えば、A53TまたはA30P)に関するヒトα−シヌクレイン配列変異体の1つ、のいずれかを発現するAAVベクターが作成されるであろう。AAV−α−シヌクレインベクターは、成体のラットの脳の特定の領域(例えば、線条体、皮質、または海馬)または新生仔ラットの側脳室内に注入されるであろう。1〜数カ月までの期間で脳内にヒトα−シヌクレインの濃度が蓄積されるであろう。そのとき、ラットは、腹腔内または静脈内投与により抗α−シヌクレイン抗体で治療され、CSFのサンプルが種々の時間に採取されるであろう。CSFサンプル内のα−シヌクレインの濃度は、ELISAにより測定されるであろう。
本開示は、記載された具体的な実施例により範囲を限定するものではなく、本開示の個々の態様の単一の図示を意図するものであり、機能的に同等であるあらゆる組成物または方法は、本開示の範囲内である。実際に、本明細書に示されまたは記載されたものに追加する本開示の種々の変更は、上述の記載および添付の図面から当業者にとって明白なものである。このような変更は、添付の請求の範囲内のものであることを意図する。
本明細書で言及される全ての出版物および特許出願は、それぞれの個々の出版物および特許出願が具体的におよび別個に参照により組み込まれるために示されるのと同じ範囲に対して参照により本明細書に組み込まれる。

Claims (32)

  1. 被検者の脳における高レベルのα−シヌクレインを診断する方法であって、
    (a)前記被検者への抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントの末梢投与後に所定の間隔で被検者から得られた血漿サンプルにおけるα−シヌクレインのレベルを分析することであって、前記抗体またはそのフラグメントは、脳から血液への前記α−シヌクレインの正味の流出を変化させるのに十分な親和性で前記α−シヌクレインと結合することができる、分析することと、
    (b)前記被検者における分析された前記α−シヌクレインのレベルを参照標準と比較することであって、前記血漿サンプルにおける前記α−シヌクレインのレベルと前記参照標準との間の差異または同一性は、前記被検者の前記脳における前記α−シヌクレインのレベルと相互に関連がある、比較することと、を含む方法。
  2. 被検者の脳における高レベルのα−シヌクレインを診断する方法であって、
    (a)抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントを提供することであって、前記抗体またはそのフラグメントは、脳から血液へのα−シヌクレインの正味の流出を変化させるのに十分な親和性で前記α−シヌクレインと結合することができる、提供することと、
    (b)医療提供者により前記抗体を末梢的に前記被検者に投与させて、投与後に所定の時間間隔で前記被検者から血漿サンプルを得ることと、
    (c)前記血漿サンプルにおける前記α−シヌクレインのレベルを分析することと、
    (d)前記被検者における分析された前記α−シヌクレインのレベルを参照標準と比較することであって、前記血漿サンプルにおける前記α−シヌクレインのレベルと前記参照標準との間の差異または同一性は、前記被検者の前記脳における前記α−シヌクレインのレベルと相互に関連がある、比較することと、を含む方法。
  3. 被検者の脳における高レベルのα−シヌクレインを診断する方法であって、
    (a)抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントを前記被検者に末梢的に投与することであって、前記抗体またはそのフラグメントは、脳から血液へのα−シヌクレインの正味の流出を変化させるのに十分な親和性で前記α−シヌクレインと結合することができる、投与することと、
    (b)投与後に所定の時間間隔で前記被検者から血漿サンプルを得ることと、前記α−シヌクレインのレベルを測定するための前記サンプルを提出することと、
    (c)前記血漿サンプルにおける前記α−シヌクレインのレベルを参照標準と比較することであって、前記血漿サンプルにおける前記α−シヌクレインのレベルと前記参照標準との間の差異または同一性は、前記被検者の前記脳における前記α−シヌクレインのレベルと相互に関連がある、比較することと、を含む方法。
  4. 被検者の脳における高レベルのα−シヌクレインを診断する方法であって、
    (a)前記被検者への抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントの末梢投与後に所定の間隔で被検者から得られたCSFサンプルにおけるα−シヌクレインのレベルを分析することであって、前記抗体またはそのフラグメントは、脳からCSFへの前記α−シヌクレインの正味の流出を変化させるのに十分な親和性で前記α−シヌクレインと結合することができる、分析することと、
    (b)前記被検者における分析された前記α−シヌクレインのレベルを参照標準と比較することであって、前記CSFサンプルにおける前記α−シヌクレインのレベルと前記参照標準との間の差異または同一性は、前記被検者の前記脳における前記α−シヌクレインのレベルと相互に関連がある、比較することと、を含む方法。
  5. 被検者の脳における高レベルのα−シヌクレインを診断する方法であって、
    (a)抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントを提供することであって、前記抗体またはそのフラグメントは、脳からCSFへのα−シヌクレインの正味の流出を変化させるのに十分な親和性で前記α−シヌクレインと結合することができる、提供することと、
    (b)医療提供者により前記抗体を末梢的に前記被検者に投与させて、投与後に所定の時間間隔で前記被検者からCSFサンプルを得ることと、
    (c)前記CSFにおける前記α−シヌクレインのレベルを分析することと、
    (d)前記被検者における分析された前記α−シヌクレインのレベルを参照標準と比較することであって、前記CSFサンプルにおける前記α−シヌクレインのレベルと前記参照標準との間の差異または同一性は、前記被検者の前記脳における前記α−シヌクレインのレベルと相互に関連がある、比較することと、を含む方法。
  6. 被検者の脳における高レベルのα−シヌクレインを診断する方法であって、
    (a)抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントを前記被検者に末梢的に投与することであって、前記抗体またはそのフラグメントは、脳からCSFへのα−シヌクレインの正味の流出を変化させるのに十分な親和性で前記α−シヌクレインと結合することができる、投与することと、
    (b)投与後に所定の時間間隔で前記被検者からCSFサンプルを得ることと、前記α−シヌクレインのレベルを測定するための前記サンプルを提出することと、
    (c)前記CSFサンプルにおける前記α−シヌクレインのレベルを参照標準と比較することであって、前記CSFサンプルにおける前記α−シヌクレインのレベルと前記参照標準との間の差異または同一性は、前記被検者の前記脳における前記α−シヌクレインのレベルと相互に関連がある、比較することと、を含む方法。
  7. 前記血漿サンプルにおける前記α−シヌクレインのレベルを、前記抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントを投与する前に前記被検者から得られた血漿サンプルと比較することをさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記CSFサンプルにおける前記α−シヌクレインのレベルを、前記抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントを投与する前に前記被検者から得られたCSFサンプルと比較することをさらに含む、請求項4〜6のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記参照標準は、1名またはそれ以上の対照被検者において測定されたα−シヌクレインのレベルを含み、前記対照被検者は、健常な個人および重症度の異なるシヌクレイン病を有する個人を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. シヌクレイン病の疾患のために治療されている対象の脳におけるα−シヌクレインのレベルをトラッキングする方法であって、
    抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントの末梢投与後の特定の時間に前記対象の血漿における前記α−シヌクレインのレベルを分析することを含み、前記抗体またはそのフラグメントは、脳から血液への前記α−シヌクレインの正味の流出を変化させるのに十分な親和性で前記α−シヌクレインと結合することができ、前記対象の血漿における前記α−シヌクレインのレベルは、前記対象の脳における前記レベルと相互に関連がある、方法。
  11. シヌクレイン病の疾患のために治療されている対象の脳におけるα−シヌクレインのレベルをトラッキングする方法であって、
    抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントの末梢投与後の特定の時間に前記対象のCSFにおける前記α−シヌクレインのレベルを分析することを含み、前記抗体またはそのフラグメントは、脳からCSFへの前記α−シヌクレインの正味の流出を変化させるのに十分な親和性で前記α−シヌクレインと結合することができ、前記対象のCSFにおける前記α−シヌクレインのレベルは、前記対象の脳における前記レベルと相互に関連がある、方法。
  12. 前記抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントの追加の末梢投与後の特定の時間に前記対象の血漿における前記α−シヌクレインのレベルを分析することにより、前記対象の脳における経時的な前記α−シヌクレインのレベルの変化をプロットすることをさらに含む、請求項10に記載の方法。
  13. 前記抗α−シヌクレイン抗体またはその抗原結合フラグメントの追加の末梢投与後の特定の時間に前記対象のCSFにおける前記α−シヌクレインのレベルを分析することにより、前記対象の脳における経時的な前記α−シヌクレインのレベルの変化をプロットすることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
  14. 前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、VHおよびVLを含む参照抗体として同じα−シヌクレインエピトープに特異的に結合し、前記VHは配列番号2を含み、前記VLは配列番号3を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、VHおよびVLを含む参照抗体であって、前記VHは配列番号2を含み、前記VLは配列番号3を含む、参照抗体がα−シヌクレインに結合することを競合的に阻害する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含み、前記VHは、配列番号4の相補性決定領域−1(VHCDR1)アミノ酸配列を含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、VHおよびVLを含み、前記VHは、配列番号5の相補性決定領域−2(VHCDR2)アミノ酸配列を含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、VHおよびVLを含み、前記VHは、配列番号6の相補性決定領域−3(VHCDR3)アミノ酸配列を含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、VHおよびVLを含み、前記VLは、配列番号7の相補性決定領域−1(VLCDR1)アミノ酸配列を含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、VHおよびVLを含み、前記VLは、配列番号8の相補性決定領域−2(VLCDR2)アミノ酸配列を含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、VHおよびVLを含み、前記VLは、配列番号9の相補性決定領域−3(VLCDR3)アミノ酸配列を含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、VHおよびVLを含み、前記VHは、配列番号4、5、6のVHCDR1、VHCDR2、およびVHCDR3アミノ酸配列を含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、VHおよびVLを含み、前記VLは、配列番号7、8、9のVLCDR1、VLCDR2、およびVLCDR3アミノ酸配列を含む、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、VHおよびVLを含み、前記VHは、配列番号4、5、6のVHCDR1、VHCDR2、およびVHCDR3アミノ酸配列を含み、前記VLは、配列番号7、8、9のVLCDR1、VLCDR2、およびVLCDR3アミノ酸配列を含む、請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号2のVHアミノ酸配列および配列番号3のVLアミノ酸配列を含む、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 前記抗体またはその抗原結合フラグメントは、単一鎖Fvフラグメント(scFv)、F(ab’)フラグメント、F(ab)フラグメント、またはF(ab’)フラグメントである、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
  27. 前記投与は、前記抗体の静脈注射によるものである、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
  28. 前記抗体はヒトのものである、請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。
  29. 前記所定の時間間隔は1週間未満である、請求項1から9または請求項14〜28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 前記所定の時間間隔は24時間以内である、請求項29に記載の方法。
  31. 前記所定の時間間隔は3時間以内である、請求項30に記載の方法。
  32. シヌクレイン病の疾患は、パーキンソン病(PD)、認知症を伴うパーキンソン病(PDD)、レビー小体型認知症(DLB)、アルツハイマー病のレビー小体変異型(LBVAD)、多系統萎縮症(MSA)、純粋自律神経失調症(PAF)、脳鉄蓄積1型を伴う神経変性(NBIA−I)、アルツハイマー病、ピック病、若年発症全身性神経軸索ジストロフィー(ハレルフォルデン−スパッツ病)、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、およびダウン症候群、からなる群から選択される請求項10〜13のいずれか1項に記載の方法。
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