JP2014528865A - クラウン補強材を有するタイヤ - Google Patents
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Abstract
本発明は、補強要素の少なくとも2つの実働クラウン層で作られたクラウン補強材を有するタイヤであって、実働クラウン層の端部がポリマー混合物によって半径方向に互いに分離されている形式のタイヤに関する。本発明によれば、少なくとも1つの実働クラウン層の補強要素は、飽和層を備えた金属ケーブルであり、少なくとも1つの内側の層は、ポリマー配合物、例えばゴム配合物によって形成された層で外装され、タイヤのショルダの各々内で、少なくとも、少なくとも2つの実働クラウン層の端部と接触状態にある分離用ポリマー混合物は、収着試験において、0.06m3STP/m3MLよりも低いガス含有量を示す。
Description
本発明は、半径方向カーカス補強材を備えたタイヤ、特に、重量物を運搬すると共に持続速度で走行する車両、例えばローリ、トラクタ、トレーラ又はバスに取り付けられるようになったタイヤに関する。
一般に、重量物用のタイヤでは、カーカス補強材は、いずれか一方の側がビードの領域内に繋留され、カーカス補強材の上には半径方向に、少なくとも2つの互いに重ね合わされた層から成るクラウン補強材が載っており、これら層は、各層内で互いに平行であり、1つの層から次の層にクロス掛けされ、円周方向と10°〜45°の角度をなす細線又はコードで形成されている。実働補強材を形成する実働層は更に、有利には弾性要素と呼ばれている伸長性の金属補強要素で作られた保護層と呼ばれる少なくとも1つの層で覆われるのが良い。保護層は、円周方向と45°〜90°の角度をなす低伸長性の金属細線又はコードの層を更に含むのが良く、三角形構造形成プライと呼ばれるこのプライは、カーカス補強材と実働プライと呼ばれる第1のクラウンプライとの間に半径方向に配置され、これらは、絶対値を表してせいぜい45°に等しい角度をなした互いに平行な細線又はコードで作られている。三角形構造形成プライは、少なくとも実働プライと一緒になって三角形構造形成(triangulation )補強材を形成し、この三角形構造形成補強材は、種々の応力を受けたときに生じる変形量が僅かであり、補強プライの本質的な役割は、タイヤのクラウン領域にある補強要素の全てが受ける横方向圧縮力を吸収することにある。
重量物運搬車両用タイヤの場合、保護層が1つだけ設けられるのが通例であり、その保護要素は、大抵の場合、同一方向に且つ半径方向最も外側の、従って半径方向に隣接した実働層の補強要素の角度と絶対値で表して同一の角度に差し向けられている。幾分でこぼこの路面上を走行するようになった建設機械用タイヤの場合、2つの保護層が存在することが有利であり、補強要素は、或る1つの層から次の層にクロス掛けされ、半径方向内側保護層の補強要素は、この半径方向内側保護層に隣接して位置する半径方向外側実働層の非伸長性補強要素とクロス掛け関係をなしている。
タイヤの円周方向又は長手方向は、タイヤの周囲の方向に一致すると共にタイヤの走行方向によって定められる方向である。
タイヤの横方向又は軸方向は、タイヤの回転軸線に平行である。
半径方向は、タイヤの回転軸線と交差し且つこれに垂直な方向である。
タイヤの回転軸線は、タイヤが通常の使用中に回転する際の中心となる軸線である。
半径方向平面又は子午線平面は、タイヤの回転軸線を含む平面である。
円周方向中間平面又は赤道面は、タイヤの回転軸線に垂直であり且つタイヤを2つの半部に区分する平面である。
かかるタイヤの製造の際、最後のステップは、タイヤを硬化させることであり、その目的は、タイヤの構成材料としての種々のポリマーコンパウンドが架橋すると共に/或いは加硫状態になることができるようにすることにある。タイヤを硬化させるこのステップは、タイヤを数分間不動化するステップであり、このステップは、この点に関し、タイヤの製造の生産性に大きく関連するステップであると考えられる。さらに、高温で実施されるこのステップは、エネルギーを消費する。
特に、架橋及び/又は加硫が内側のコンパウンドについて起こるのと同様な仕方では半径方向又は軸方向に見えるコンパウンドについて起こることがないということを認識した上で所望の特性を備えた構成材料を得るのに必要な時間によって硬化時間が強いられる。同様に、架橋及び/又は加硫は、コンパウンドの性状及び厚さに応じて様々である。
また、特に、タイヤのショルダのところであってクラウン補強材の軸方向端部のところでポリマーコンパウンド内に見える気泡の発生を回避するためにこれら硬化時間を長くすることが必要であることが知られている。
厚さの最も大きいものであるタイヤのゾーンは、加硫時間が最も長く、従ってタイヤの硬化全体について最小限の加硫時間を定める一因となるコンパウンドで構成されることが知られている。
タイヤ作動に関して短い加硫時間で十分であることが判明しているが、実際には、これらゾーンの構成材料であるポリマーコンパウンド中に気泡が生じないようにするためには硬化時間を長くすることが必要である。
したがって、本発明者は、製造費用を減少させた重量物運搬車両用タイヤを提供するという仕事に取り組んだ。
この目的は、本発明によれば、補強要素の少なくとも1つの層から成る半径方向カーカス補強材を備えたタイヤであって、タイヤは、一方の層と他方の層との間でクロス掛け関係をなしていて円周方向と10°〜45°の角度をなす補強要素の少なくとも2つの実働クラウン層で作られたクラウン補強材を有し、実働クラウン層の端部は、ポリマーコンパウンドによって半径方向に互いに分離され、実働クラウン層はそれ自体、トレッドによって半径方向に覆われ、トレッドは、2つのサイドウォールを経て2つのビードに連結されている、タイヤにおいて、少なくとも1つの実働クラウン層の補強要素は、飽和層を備えた金属コードであり、少なくとも1つの内側の層は、ポリマー配合物、例えばゴム配合物から成る層で外装され、タイヤのショルダの各々内で、少なくとも、少なくとも2つの実働クラウン層の端部と接触状態にある分離用ポリマーコンパウンドは、収着試験において、0.06m3STP/m3MLよりも低いガス含有量を示すことを特徴とするタイヤによって達成された。
互いに結合されている層は、補強要素がせいぜい1.5mmだけ半径方向に互いに隔てられた層を意味するものと理解されるべきであり、ゴムの厚さは、補強要素のそれぞれの上側母線と下側母線との間で半径方向に測定される。
本発明の意味の範囲内において、分離又は結合解除用ポリマーコンパウンドは、実働層の各々のそれぞれの補強要素相互間に1.5mmの最小半径方向距離を保証する実働クラウン層の端部相互間に半径方向に位置決めされたポリマーコンパウンドである。
ガス含有量について用いられる単位であるm3STP/m3MLは、標準温度及び圧力条件下においてコンパウンド1立方メートル当たりのガスの立方メートルを表している。標準条件は、273.15Kの温度及び1barの圧力である。
溶解ガス含有量は、コンパウンドの可溶性によって定められて、これは、以下に説明するように吸収量測定によって評価される。
溶解ガス含有量は、コンパウンドの可溶性によって定められて、これは、以下に説明するように吸収量測定によって評価される。
収着試験と呼ばれる試験により、所与の期間にわたって一定圧力下で試験体に入り込んだ空気の量を測定することによって試験されたコンパウンドの空気溶解度を求めることが可能である。試験の背後にある原理は、コンパウンドを所与の圧力状態のガスで飽和させることにある。
試験は、成形済み且つ加硫済み試験体又は剥取りによって少なくとも2つの実働クラウン層の加硫済みゴムコンパウンドから取り出された試験体について実施される。
成形済み試験体に対する試験は、モールドの底部内で成形され、モールドの底部と完全な接触状態にある厚さ3mm、直径25cmの試験体について実施される。モールドは、25cmの直径及び4mmの深さを有し、従って、試験体をいったん位置決めすると、直径25cm、厚さ1mmの自由容積部を利用できるようになる。測定は、150℃で実施される。2日間続く真空の持続は、ガスをコンパウンド及び自由容積部から取り出すために行われる(このステップにより、ゼロに近い初期圧力値が得られる)。次に、3barの圧力を10秒間加えることによって所与の量のガスをエンクロージャ内に注入する。次に、エンクロージャ内の圧力をこれが安定するまで経時的にモニタする。圧力の低下は、コンパウンド中へのガスの吸収に対応している。可溶度値は、平衡状態に達した圧力値から求められ、bar-1で表される。
可溶度値は、以下の関係式を用いて得られる。
上式において、
Vencは、エンクロージャの自由容積(mm3)、
VMLは、コンパウンドの試験体の体積(mm3)、
Tは、試験体温度(423.15K)、T0は、STP温度(273.15K)、
Pt=0 encは、エンクロージャ内の初期圧力(0barに近い)、
Pt=0MLは、コンパウンド中の初期圧力(0barに等しい)、
Pequilibriumは、平衡状態に達した圧力(bar)、
P0は、STP圧力(1.01325bar)である。
上式において、
Vencは、エンクロージャの自由容積(mm3)、
VMLは、コンパウンドの試験体の体積(mm3)、
Tは、試験体温度(423.15K)、T0は、STP温度(273.15K)、
Pt=0 encは、エンクロージャ内の初期圧力(0barに近い)、
Pt=0MLは、コンパウンド中の初期圧力(0barに等しい)、
Pequilibriumは、平衡状態に達した圧力(bar)、
P0は、STP圧力(1.01325bar)である。
剥ぎ取り後に得られた取り出し物に対する試験は、モールドの底部内に配置された取り出し物の規定された量(mm3で表される)について実施される。モールドは、25cmの直径及び4mmの深さを有し、かくして、試験体をいったん位置決めすると、全体積から取り出し物の体積を差し引くことによって得られた自由容積を利用することができる。測定は、150℃で行われる。2日間続く真空の持続は、ガスをコンパウンド及び自由容積部から取り出すために行われる(このステップにより、ゼロに近い初期圧力値が得られる)。次に、3barの圧力を10秒間加えることによって所与の量のガスをエンクロージャ内に注入する。次に、エンクロージャ内の圧力をこれが安定するまで経時的にモニタする。圧力の低下は、コンパウンド中へのガスの吸収に対応している。可溶度値は、平衡状態に達した圧力値から求められ、bar-1で表される。
少なくとも1つの実働クラウン層の金属コードの少なくとも1つの内側層周りにシースを形成するゴム配合物は、架橋不能であっても良く架橋可能であっても良く或いは架橋済みであっても良く、かかるゴム配合物は、好ましくは、少なくとも1つのジエンエラストマーを主成分としている。
「ジエン」エラストマー又はゴムという用語は、公知のように、少なくとも一部がジエンモノマー(共役であるかいなかを問わず、2つの炭素‐炭素2重結合を備えたモノマー)から得られるエラストマー(即ち、ホモポリマー又はコポリマー)を意味するものと理解されたい。
「層状コード」又は「多層」と呼ばれるコードは、中央コア及びこの中央コア周りに配置されたストランド又は細線の1つ又は2つ以上の事実上同心の層で構成されたコードである。
本発明の意味の範囲内において、層状コードの飽和層は、少なくとも1本の追加の細線をこの層に追加するのに足るほどのスペースが存在しない細線で構成された層である。
少なくとも1つの内側層がポリマー配合物、例えばゴム配合物から成る層で外装された飽和層を含む金属コードは、通気度試験と呼ばれる試験でゼロ流量を戻す。
通気度試験と呼ばれている試験は、所与の時間にわたり一定の圧力下で試験体を通過した空気の量を測定することによって試験対象のコードの長手方向における空気の透過度又は通気度を求めるために用いられる。当業者には周知である。かかる試験の原理は、コードが空気に対して不透過性であるようにするためにコードの処理の有効性を実証することにある。この試験は、例えば、規格ASTM・D2692‐98に記載されている。
この試験は、コードが補強している加硫ゴムプライから引き剥がしにより直接取り出されたコード及びかくして硬化ゴムが侵入したコードに対して行われる。
試験を以下の仕方で硬化状態にある包囲ゴム配合物(又は被覆ゴム)で被覆された長さ2cmのコードについて実施し、1バールの圧力下で空気をコードの入口端部中に注入し、流量計(例えば、0〜500cm3/分について較正済み)を用いて出口端部のところの空気の量を測定する。測定中、コード試験体をコードの長手方向軸線に沿って一端から他端までコードを通過した空気の量だけが測定によって考慮に入れられるよう圧縮シール(例えば、高密度フォーム又はゴムで作られたシール)中に不動し、中実ゴムで作られた試験体を用いて、即ち、コードなしのゴム試験体を用いて、シール自体の気密度を事前検査する。
コードの長手方向不透過性が高ければ高いほど、測定される平均空気流量(10個の試験体に関する平均値)がそれだけ一層低くなる。測定は±0.2cm3/分という精度で行われるので、0.2cm3/分以下の測定値は、ゼロと見なされ、これら測定値は、コードの軸線に沿って(即ち、コードの長手方向に沿って)気密(完全に気密)であると言えるコードに対応している。
この通気度試験は、ゴム配合物がコードに侵入する程度を間接的に測定する簡単な手段でもある。ゴムのコード侵入度が高ければ高いほど、測定流量がそれだけ一層低くなる。
通気度試験と呼ばれる試験において20cm3/分未満の流量を戻すコードは、66%を超える侵入度を有する。
コードの侵入度は、以下に説明する方法を用いても推定できる。層状コードの場合、この方法では、先ず最初に、長さ2〜4cmの試験体について外側層を除去し、次に、長手方向に沿い且つ所与の軸線に沿って、試験体の長さに対するゴムコンパウンドの長さの和を測定することができるようにする。これらゴムコンパウンドの長さの測定では、この長手方向軸線に沿って侵入しなかった空間が除かれる。これら測定を試験体の周囲に沿って分布して位置する3本の長手方向軸線に沿って繰り返すと共にコードの5つの試験体について繰り返す。
コードが数個の層を有する場合、最初の除去ステップを新たに外側層になった層について繰り返し実施し、ゴムコンパウンドの長さを長手方向軸線に沿って再度測定する。
次に、このようにして求められたゴムコンパウンド長さと試験体長さの比の全ての平均値を計算してコードの侵入度を求める。
本発明者は、このように本発明に従って製造されたタイヤを従来方式と比較して安価に製造することができるということを実証することができた。特に、例えば、硬化モールド内で所与の圧力及び温度条件の場合、タイヤの硬化時間を短縮することができる。本発明者は、確かに、本発明によれば少なくとも1つの内側層がポリマー配合物から成る層で外装された飽和層を備えた金属コードである補強要素実働クラウンプライ中に用いることにより、シースが存在しているので、空気の存在を回避することができ、従って気泡が硬化の終わりに現れるのを阻止することができるということを実証することができた。
本発明者は、ゴムコンパウンドが補強要素内に空気を閉じこめるのに十分剛性ではない場合、クラウン補強材の実働層の補強要素中に存在する場合のある空気がかかるゴム配合物内に気泡を形成する場合のあることを効果的に実証した。実際に起こることは、硬化段階中、存在する空気が温度の結果として膨張し、硬化中に加えられた成形圧力がなくなるやいなや補強要素を出ようとすることである。ゴムコンパウンドが十分に剛性である場合、空気は、補強要素を出ることができない。上述したように、ゴムコンパウンドのこの十分な合成は、通常、タイヤの硬化時間を長くすることによって得られる。
実働クラウン層の補強要素内に空気が存在することは、この硬化時間を制限することができるということを意味しており、成形圧力がなくなったときにゴムコンパウンドの剛性は、通常必要とされる剛性よりも低いということが可能である。
本発明者は又、本発明を上述したように実施せずに本発明が実働クラウン層の補強要素に関する特徴のみを再現する場合、硬化時間の過度の短縮により、直径が上述したように観察した気泡の直径よりも小さい気泡が生じることを実証することができた。本発明によれば、これら気泡は、ゴムコンパウンド内に存在する場合のあるガスに由来している。
本発明をその全体に関して実施することにより、即ち、一方において飽和層を備えた金属コードである少なくとも1つの実働クラウン層の補強要素に関する特徴(少なくとも1つの内側層は、ポリマー配合物から成る層で外装されている)と他方においてタイヤのショルダの各々内において、少なくとも、少なくとも2つの実働クラウン層の端部と接触状態にある分離用ポリマーコンパウンドが0.06m3STP/m3MLよりも低いガス含有量を有する特徴と組み合わせることにより、タイヤ硬化時間の実質的な短縮が可能であり、この場合、タイヤの性能に悪影響を及ぼす場合のある気泡の量は、実働クラウン層の端部の近くのポリマーコンパウンド内では観察されない。
上述したように、本発明は、硬化ユニットの全体的生産性が向上するので硬化時間を短縮することによって全体として安価なタイヤの製造が可能である。
また、本発明によれば、硬化モールド内における圧力及び時間条件が所与の場合、タイヤを硬化させるステップ中、温度を減少させることによって本発明に従って製造されるタイヤを通常のやり方と比較して安価に製造することができる。というのは、硬化に必要なエネルギーがこの場合少ないからである。
この経済的な節約は、生産性とエネルギーコストの両方を変えるために交換時間の短縮と温度の減少の組み合わせに依存する場合がある。
本発明者は又、選択肢が硬化時間の短縮に絞られる場合、本発明が更に転がり抵抗の向上をもたらすことを実証した。これは、上述したように、気泡がコンパウンド中に現れることが良好なタイヤ作動に必要な硬化時間を超えてタイヤ硬化時間を長くしなければならないことを意味しているからである。本発明者は、この「過剰硬化」がコンパウンドのヒステリシス特性を変えることを実証した。かくして、本発明に従って製造されたタイヤにより、車両への所与の取り付けの場合、ゴムコンパウンド及び特にトレッドを構成しているゴムコンパウンドの発熱を減少させることができる。
本発明のシースは、これが覆っている層の周りに連続的に延び(即ち、このシースは、その半径に垂直なコードの「正放線(orthoradial)」方向に連続し)、このシースが有利にはほぼ円形である断面の連続スリーブを形成するようになっていることが注目されよう。
また、このシースのゴム配合物は、架橋可能又は架橋済みであって良く、従って、ゴム配合物は、定義上、ゴム配合物がこれを硬化させたときに架橋することができる(即ち、溶融ではなく硬化することができる)のに適した架橋系を含むようになっていることが注目され、かくして、このゴム配合物は、溶融不能であるとみなすことができる。というのは、ゴム配合物をこれを加熱する温度がどのようなものであれ加熱によって溶融させることができないからである。
好ましくは、ゴムシース架橋系は、加硫系、即ち硫黄(又は硫黄供与体)及び加硫一次促進剤を主成分とする加硫系と呼ばれる系である。種々の公知の二次促進剤又は加硫活性剤をこの基本加硫系に添加するのが良い。
本発明のシースのゴム配合物は、上記架橋系に加え、タイヤ用ゴム配合物に使用できる全ての通常成分、例えば、カーボンブラック及び/又は無機補強充填剤、例えば、シリカ、アンチエージング剤(例えば老化防止剤)、エキステンダー油、可塑剤又はゴム配合物を生の状態で加工しやすくする加工助剤、メチレン受容体、メチレン供与体、樹脂、ビスマレイミド、「RFS」(レゾルシノール‐ホルムアルデヒド‐シリカ)形式の公知の接着促進剤系又は金属塩、特にコバルト塩を主成分とする補強充填剤を含む。
好ましくは、このシースのゴム配合物は、本発明によるコードが補強しようとするゴムマトリックスに使用される配合物と同一であるように選択される。かくして、シース及びゴムマトリックスのそれぞれの材料間に潜在的な不適合性の問題は生じない。
本発明の変形形態によれば、少なくとも1つの実働クラウン層の上述のコードは、[L+M]構造の層を備えたコードであり、このコードは、ピッチ1で螺旋の状態に一緒に巻かれた直径d1のL(Lは、1〜4である)本の細線から成る第1の層C1をピッチp2で螺旋の状態に一緒に巻かれた直径d2のM(Mは、3〜12である)本の細線から成る外側層C2によって包囲したものであり、少なくとも1つのジエンエラストマーを主成分とする架橋不能であり、架橋可能であり或いは架橋済みであるゴム配合物によって構成されたシースが、構造中、第1の層C1を覆っている。
好ましくは、第1の層又は内側層(C1)の細線の直径は、0.10〜0.5mmであり、外側層(C2)の細線の直径は、0.10〜0.5mmである。
また、好ましくは、外側層(C2)の細線の螺旋巻きピッチp2は、8〜25mmである。
本発明の意味の範囲内において、螺旋ピッチは、コードの軸線に平行に測定された長さを表し、このピッチの細線は、コードの軸線回りに丸一回転し、かくして、軸線がこの軸線に垂直であり且つコードの構成層の細線のピッチに等しい長さだけ隔てられた2つの平面で区分された場合、この細線の軸線は、これら2つの平面内において、問題の細線の層に相当する2つの円上に同一の位置を有する。
有利には、コードは、次の特性のうちの1つ、より好ましくは全てを有する。
‐層C2は飽和層であり、即ち、この層中には、少なくとも1本の直径d3の第(N+1)番目の細線をこれに追加するには十分なスペースが存在せず、この場合、Nは、層C1の回りに層の状態に巻回できる細線の最大本数を表し、
‐ゴムシースは又、内側層C1を覆うと共に/或いは外側層C2の隣り合う対をなす細線を互いに隔て、
‐ゴムシースは、事実上、このゴムシースがこの層C2の隣り合う対をなす細線を互いに隔てるよう層C2の各細線の半径方向内方の周囲半分の全てを覆う。
‐層C2は飽和層であり、即ち、この層中には、少なくとも1本の直径d3の第(N+1)番目の細線をこれに追加するには十分なスペースが存在せず、この場合、Nは、層C1の回りに層の状態に巻回できる細線の最大本数を表し、
‐ゴムシースは又、内側層C1を覆うと共に/或いは外側層C2の隣り合う対をなす細線を互いに隔て、
‐ゴムシースは、事実上、このゴムシースがこの層C2の隣り合う対をなす細線を互いに隔てるよう層C2の各細線の半径方向内方の周囲半分の全てを覆う。
好ましくは、ゴムシースの平均厚さは、0.010mm〜0.040mmである。
一般に、本発明のコードは、任意種類の金属細線、特にスチール(鋼)で作られた細線、例えば炭素鋼細線及び/又はステンレス鋼細線で具体化できる。炭素鋼を使用することが好ましいが、当然のことながら、他のスチール又は他の合金を使用することが可能である。
炭素鋼を用いる場合、その炭素含有量(スチールの重量%)は、好ましくは、0.1%〜1.2%、好ましくは0.4%〜1.0%であり、これら含有量は、タイヤに必要な機械的性質と細線の加工性との良好な妥協点となっている。注目されるべきこととして、0.5%〜0.6%の炭素含有量は、最終的に、かかるスチールを安価にする。というのは、これらは、引き抜き加工が容易だからである。また、本発明の別の有利な実施形態では、意図した用途に応じて、特にコストが低く且つ引き抜き加工性が良好なので、例えば0.2%〜0.5%の炭素含有量のスチールを用いることができる。
本発明のコードは、当業者に知られている種々の技術を用いて、例えば2つのステップで、即ち、第1に、押出ヘッドを用いてコア又は層C1を外装し、このステップに続く第2ステップではこのようにして外装された層C1周りに残りのM本の細線(層C2)をケーブリング又はツイスティングする最終作業によって得ることができる。潜在的な中間巻回作業及び巻出し作業中にゴムシースにより提供される生状態における結合の問題は、例えばプラスチック中間層フィルムを用いることによって当業者には知られているやり方で解決可能である。
少なくとも1つの実働クラウン層のかかるコードは、例えば、国際公開第2006/013077号パンフレット及び同第2009/083212号パンフレットに記載されているコードから選択される。
本発明の一実施形態によれば、少なくとも、少なくとも2つの実働クラウン層の端部と接触状態にある分離用ポリマーコンパウンドは、天然ゴムを主成分とし又は大部分がシス‐1,4シーケンスを含む合成ポリイソプレンを主成分とし且つ場合によっては少なくとも1つの他のジエンエラストマーを主成分とするエラストマーコンパウンドであり、カットの場合の天然ゴム又は合成ポリイソプレンは、他のジエンエラストマー又は用いられるエラストマーの比率及び、
(i)20〜80phr、好ましくは40〜60phrの比率で用いられるBET比表面積が60m2/gのカーボンブラックか、
(ii)沈降シリカ、熱分解法シリカ、アルミナ又はアルミノシリケートから成る群から選択されたSiOH及び/又はAlOH表面官能基を含むシリカ及び/又はアルミナ系又は変形例として合成中又は合成後に改質された20〜80phr、好ましくは40〜60phrの比率で用いられる比表面積が30〜260m2/gのカーボンブラックの白色充填剤(ホワイトフィラー)か、
(iii)(i)に記載されたカーボンブラックと(ii)に記載された白色充填剤のカットかのいずれかから成る補強用充填剤の比率に対して主要な比率で存在し、なお、カット中、充填剤の全体的比率は、20〜80phr、好ましくは40〜60phrである。
(i)20〜80phr、好ましくは40〜60phrの比率で用いられるBET比表面積が60m2/gのカーボンブラックか、
(ii)沈降シリカ、熱分解法シリカ、アルミナ又はアルミノシリケートから成る群から選択されたSiOH及び/又はAlOH表面官能基を含むシリカ及び/又はアルミナ系又は変形例として合成中又は合成後に改質された20〜80phr、好ましくは40〜60phrの比率で用いられる比表面積が30〜260m2/gのカーボンブラックの白色充填剤(ホワイトフィラー)か、
(iii)(i)に記載されたカーボンブラックと(ii)に記載された白色充填剤のカットかのいずれかから成る補強用充填剤の比率に対して主要な比率で存在し、なお、カット中、充填剤の全体的比率は、20〜80phr、好ましくは40〜60phrである。
BET比表面積は、1987年11月の規格NFT45007に対応した1938年2月の「ザ・ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(The Journal of the American Chemical Society)」,第60巻,第309頁に記載されたBRUNAUER, EMMET and TELLER方法を用いて測定される。
透明な充填剤の使用の場合、当業者に知られた作用剤から選択された結合剤及び/又は被覆剤を用いることが必要である。好ましい結合剤の例としては、ビス‐(3‐トリアルコキシルイルプロピル)ポリスルフィニド型の硫黄含有アルコキシシラン及び純粋な液体製品の場合、商標名Si69及び固体製品の場合、商標名X50S(ブラックN330を含む重量で50/50カット)でデグサ・カンパニー(DEGUSSA company)により市販されているビス‐(3‐トリエトキシルイルプロピル)テトラスルヒドが挙げられる。被覆剤の例として、脂肪族アルコール、アルキルアルコキシシラン、例えば商標名Si116及びSi216でデグサ・カンパニーによってそれぞれ市販されているヘキサデシルトリメトキシ又はトリエトキシシラン、ジフェニルグアニジン、ポリエチレングリコール、場合によってはOH若しくはアルコキシ官能基で改質されたシリコーン油が挙げられる。被覆剤及び/又は結合剤は、充填剤≧1/100且つ≦20/100に対して重量を基準とした比率で、好ましくは、透明な充填剤が補強充填剤の全てである場合、2/100〜15/100、補強充填剤がカーボンブラックのカット及び透明な充填剤から成る場合、1/100〜20/100で用いられる。
上述したシリカ及び/又はアルミナ型の材料のモルフォロジー並びにSiOH及び/又はAlOH表面官能基を有し、これら材料の完全代替物又は部分代替物として本発明に従って使用できる補強充填剤の他の例として、合成中、炉原料油へのシリコン及び/又はアルミニウムの化合物の添加により或いは合成後、珪酸ナトリウム及び/又はアルミネートの溶液に溶けたカーボンブラックの水性懸濁液に酸を添加してカーボンブラックの表面をSiOH及び/又はAlOH官能基で少なくとも部分的に覆うことによって改質されたカーボンブラックを挙げることができる。表面のところのSiOH及び/又はAlOH官能基を含むこの種の炭素含有充填剤の非限定的な例として、1997年5月6〜9日,「エーシーエス・ラバー・ディビジョン・ミーティング(ACS Rubber Division Meeting)」,文献番号24,カリフォルニア州アナハイムに記載されると共に欧州特許出願公開第0799854号明細書に記載されたCSDP型充填剤を挙げることができる。
透明な充填剤が唯一の補強充填剤として用いられる場合、ヒステリシス及び粘着特性は、沈降若しくは熱分解シリカ又は変形例として沈降アルミナ又は変形例として30〜260m2/gのBET比表面積を有するアルミノシリケートを用いることによって得られる。この種の充填剤の非限定的な例としては、アクゾー(Akzo)社製のsilicasKS404、デグサ社製のUltrasilVN2又はVN3及びBW3370GR、ヒューバー(Huber)社製のZeopol8745、ローディア(Rhodia)社製のZeosil 175MP又はZeosil 1165MP、ピーピージー(PPG)社製のHI-SIL 2000等が挙げられる。
天然ゴムを含むカット又は主としてシス‐1,4シーケンスを含む合成ポリイソプレンとして用いることができるジエンエラストマーのうち、好ましくは主としてシス‐1,4シーケンスを含むポリブタジエン(BR)、スチレン‐ブタジエンコポリマー(SPR)溶液又は乳濁液、ブタジエン‐イソプレンコポリマー(BIR)又は変形例としてスチレン‐ブタジエン‐イソプレン(SBIR)ターポリマーを挙げることができる。これらエラストマーは、重合プロセス中又は重合プロセス後、分岐剤、例えばジビニルベンゼン又は星形成剤、例えばカルボネート、ハロゲン‐錫化合物、ハロゲン‐ケイ素化合物又は変形例として酸素化カルボニル、カルボニル官能基の鎖若しくは鎖の端又は変形例としてアミン官能基の鎖又は鎖の端へのジメチル又はジエチルアミノベンゾフェノンの作用によるグラフトをもたらす官能化剤を用いて改質されたエラストマーであるのが良い。天然ゴム又は上述したように1つ又は2つ以上のジエンエラストマーを含む主としてシス‐1,4シーケンスを含む合成ポリイソプレンのカットの場合、天然ゴム又は合成ポリイソプレンは、好ましくは、主要な比率で、より好ましくは70phrを超える比率で用いられる。
本発明のこの第1の実施形態によれば、少なくとも2つの実働クラウン層の端部と接触状態にある分離用ポリマーコンパウンドは、タイヤ内でのこの種の用途向きの通常のコンパウンドと比較して減少した量の溶解ガスを有する。
当業者に知られているかかるコンパウンドは、実働クラウン層の端部のところのタイヤの領域が加熱されたときにこれらの粘着性のレベルが低いので、この機能には通常用いられない。本発明者は、更に、本発明に従ってこのように製造されたタイヤにより発熱と凝集性の妥協点の向上が達成されることを実証することができた。具体的に説明すると、短い硬化時間により生じるタイヤの構成材料としての種々のコンパウンドのヒステリシス特性に関する限り得られる技術改良により、所与の使用に関し、実働クラウン層の端部のところのタイヤのゾーンの発熱を制限することができ、かくして上述したコンパウンドの凝集性を向上させて満足の行くタイヤ耐久性を維持することが可能である。
少なくとも2つの実働クラウン層の端部と接触状態にあり且つタイヤ内でのこの種の用途向きの通常のコンパウンドと比較して減少した量の溶解ガスを有する分離用ポリマーコンパウンドを得ることができるようにする本発明の別の実施形態では、タイヤの製造中、分離用ポリマーコンパウンドを定位置に配置する直前に、これらの組成がどのようなものであれポリマーコンパウンドをベーキングする。しかしながら、かかる実施形態の変形形態は、製造プロセスの観点で複雑であることが判明している。
本発明のこれら実施形態のうちのどれによっても、分離用ポリマーコンパウンドの選択が、以下に説明する試験を用いた「気泡形成限度」を測定することによって確証でき、「気泡形成限度」は、2分未満であることが必要である。
試験では、直径30mm、厚さ3mmの生のコンパウンドの試験体を或る特定の期間にわたり、16barの圧力及び145度の温度に保持されたモールド内で硬化させる。「気泡形成限度」は、気泡がコンパウンド内で形成することがない上限としての必要な時間である。この測定により、気泡形成に対する混合物の感度を相対的な用語で推定することができ、従って、材料内の高温で得られるガスの量とコンパウンドが加硫することができる能力との間に妥協点が見出せる。
本発明のこれら実施形態のうちの1つ又は他のものによれば、分離用ポリマーコンパウンドの選択は、以下において説明する試験を用いた「臨界」圧力測定によって有効にすることができ、「臨界」圧力は、1.25bar未満でなければならない。
試験では、直径36mm、厚さ3mmの生のコンパウンドの試験体を或る特定の圧力及び145度の温度状態に保持されたモールド内で20分かけて硬化させる。「臨界」圧力は、気泡がコンパウンド内で形成することがない上限としての圧力である。この測定により、材料内での高温で得られるガスの量を相対的な用語で評価することができる。
本発明の実施形態の変形形態によれば、少なくとも、少なくとも2つの実働クラウン層の端部と接触状態にある分離用ポリマーコンパウンドは、硬化段階に先立つ剛性又は生の状態における剛性がタイヤ内でのこの種の用途向きに用いられる通常のコンパウンドの剛性よりも大きいコンパウンドである。
本発明の実施形態の別の変形形態によれば、少なくとも、少なくとも2つの実働クラウン層の端部と接触状態にある分離用ポリマーコンパウンドは、固定時間又は遅延段階、即ち、硬化段階中、加硫の開始前の時間は、タイヤ内でのこの種の用途向きに用いられる通常のコンパウンドの時間よりも短いコンパウンドである。これらの時間は、特に、タイヤのサイズ及び組成に応じて様々な場合がある。
本発明の実施形態の他の形態によれば、少なくとも、少なくとも2つの実働クラウン層の端部と接触状態にある分離用ポリマーコンパウンドは、通常のコンパウンドと比較して減少した量の溶解ガスを有するポリマーコンパウンド及び/又は硬化段階に先立つ剛性又は生の状態における剛性が通常のコンパウンドの剛性よりも高いポリマーコンパウンド及び/又は固定時間が通常のコンパウンドの固定時間よりも短いポリマーコンパウンドを組み合わせることによって得られる。
本発明の実施形態の他の変形形態によれば、クラウン補強材は、円周方向補強要素の少なくとも1つの層を更に含む。
本発明の好ましい実施形態では、クラウン補強材には、半径方向外側に、保護層と呼ばれる少なくとも1つの追加の層が補足されており、少なくとも1つの追加の層は、円周方向と10°〜45°の角度を成すと共にこの層に半径方向に隣接して位置する実働層の非伸長性要素のなす角度と同一の方向に差し向けられた弾性補強要素と呼ばれる補強要素から成る。
保護層は、幅の最も狭い実働層の軸方向幅よりも小さい軸方向幅を有するのが良い。また、かかる保護層は、幅の最も狭い実働層の軸方向幅よりも大きな軸方向幅を有しても良く、その結果、かかる保護層は、幅の最も狭い実働層の縁部を覆うようになり、幅の最も狭いものとしての半径方向上側層の場合、保護層は、追加の補強材の軸方向延長方向において軸方向幅にわたり幅の最も広い実働クラウン層に結合され、しかる後、軸方向外側において、厚さが少なくとも2mmの異形要素によりかかる幅の最も広い実働層から分離又は結合解除されるようになる。弾性補強要素で形成された保護層は、上述の場合、一方において、2つの実働層の縁部を互いに離隔させる異形要素の厚さよりも著しく小さい厚さの異形要素によって幅の最も狭い実働層の縁部から分離又は結合解除され、他方において、幅の最も広いクラウン層の軸方向幅よりも小さい又は大きい軸方向幅を有することができる。
上述の本発明の実施形態のうちのいずれによっても、クラウン補強材には、カーカス補強材とこのカーカス補強材の最も近くに位置する半径方向内側実働層との間で半径方向内側に、円周方向と60°の角度をなすと共にカーカス補強材の半径方向に最も近くの層の補強要素のなす角度と同一の向きにあるスチール製の非伸長性金属補強要素の三角形構造形成層が更に補足されている。
これらクラウン層の補強要素、例えば特に、保護層又は三角形構造形成層の補強要素は、実働クラウン層に関し、上述した補強要素と類似しているのが良い。
本発明の好ましい一実施形態では、カーカス補強材の少なくとも1つの層の補強要素は、通気度試験と呼ばれている試験において、20cm3/分未満の流量を示す金属コードである。
かくして、「フレッチング‐疲労‐腐食(fretting-fatigue-corrosion)」現象を受けるカーカス補強材のコードも又、これら摩耗及び疲労現象に対して良好な耐性を有するのが良く、従って、特に過酷な条件下で用いられるタイヤの耐久性を向上させるのに役立つ。
また、好ましくは、カーカス補強材の少なくとも1つの層のコードは、通気度試験と呼ばれている試験において10cm3/分未満、より好ましくは2cm3/分未満の流量を示す。
本発明の有利な一実施形態によれば、通気度試験と呼ばれている試験において20cm3/分未満の流量を戻す金属補強要素は、少なくとも2つの層を有するコードであり、少なくとも1つの内側層は、ポリマー配合物、例えば好ましくは少なくとも1つのジエンエラストマーを主成分とする架橋不能、架橋可能又は架橋済みの配合物から成る層で外装されている。したがって、かかるコードは、通気度試験と呼ばれている試験においてゼロの流量を戻す。
本発明の変形形態によれば、通気度試験と呼ばれる試験において20cm3/分未満の流量を示すカーカス補強材の少なくとも1つの層の補強要素は、[L+M]又は[L+M+N]構造の層状金属コードであり、層状金属コードは、直径d1のL(Lは、1〜4である)本の細線を有する第1の層C1をピッチp2で螺旋の状態に互いに巻かれた直径d2のM(Mは、3〜12である)本の細線を有する少なくとも1つの中間層C2で包囲したものであり、層C2は、潜在的に、ピッチp3で螺旋の状態に互いに巻かれた直径d3のN(Nは、8〜20である)本の細線の外側層C3によって包囲され、ポリマー配合物、例えば少なくとも1種類のジエンエラストマーを主成分とする架橋不能、架橋可能又は架橋済みゴムの配合物で作られたシースが、[L+M]構造では、第1の層C1を覆い、[L+M+N]構造では、少なくとも中間層C2を覆う。
数個の補強要素層を含むカーカス補強材の場合、これら層の各々は、かかるコードを有するのが良い。変形例として、少なくとも、半径方向外側の層は、通気度試験と呼ばれている試験において、20cm3/分未満の流量を示す金属コードを含む。
本発明の他の細部及び有利な特徴は、図1〜図3を参照して行なわれる本発明の例示の実施形態の説明から以下において明らかになろう。
図は、これら図の記載内容を理解しやすくするために縮尺通りには描かれていない。
図1では、タイプ315/70R22.5のタイヤ1が2つのビード3内に繋留された半径方向カーカス補強材2を有している。カーカス補強材2は、巻き上げ部5を形成するようビードワイヤ4回りに巻かれた金属コードの単一の層で形成されている。カーカス補強材2は、それ自体トレッド7で覆われたクラウン補強材6によってたが掛けされ又はラッピングされている。クラウン補強材6は、内側から外側へ半径方向に、
‐本発明によればプライの幅全体にわたって連続すると共に18°に等しい角度をなして差し向けられた3+9×0.30非たが掛け非伸長性金属コードで形成された第1の実働層61、
‐本発明によればプライの幅全体にわたって連続すると共に18°に等しい角度をなして差し向けられると共に第1の実働層の金属コードとクロス掛け関係をなしている3+9×0.30非たが掛け非伸長性金属コードで形成された第2の実働層62、
‐3×2×0.35弾性金属コードで作られた保護層63で形成されている。
‐本発明によればプライの幅全体にわたって連続すると共に18°に等しい角度をなして差し向けられた3+9×0.30非たが掛け非伸長性金属コードで形成された第1の実働層61、
‐本発明によればプライの幅全体にわたって連続すると共に18°に等しい角度をなして差し向けられると共に第1の実働層の金属コードとクロス掛け関係をなしている3+9×0.30非たが掛け非伸長性金属コードで形成された第2の実働層62、
‐3×2×0.35弾性金属コードで作られた保護層63で形成されている。
カーカス補強層には、巻き上げ部5を形成するようビードワイヤ4周りに巻かれる。
実働層61,62の端部は、ゴムコンパウンド8の異形要素によって分離される。
ブラックN683は、37mm2/gに等しいBET比表面積を有する。ブラックに関する参照符号は、ASTM等級に一致している。
上記の表は又、コンパウンド中に含まれるガスの量を表すゴムコンパウンド8の臨界圧力を示している。
ゴムコンパウンド8の異形要素は、収着試験において、0.045m3STP/m3MLに等しいガス含有量を示す。
図2は、本発明のタイヤに用いることができるクラウン補強材の実働層のコード21の断面の略図である。このコード21は、一緒に撚り合わされた3本の細線で構成されたコード22で形成されている中央コア及び9本の細線で形成されている外側層23で構成された3+9構造の非たが掛け層状コードである。
このコードは、次の特性を有する(d及びpの単位は、mmである)。
‐構造3+9
‐d1=0.30(mm)
‐p1=15.4(mm)
‐(d1/d2)=1
‐d2=0.30(mm)
‐p2=15.4(mm)
上記において、d1及びp1は、それぞれ、中央コアの細線の直径及び螺旋ピッチであり、d2及びp2は、それぞれ、外側層の細線の直径及び螺旋ピッチである。
‐構造3+9
‐d1=0.30(mm)
‐p1=15.4(mm)
‐(d1/d2)=1
‐d2=0.30(mm)
‐p2=15.4(mm)
上記において、d1及びp1は、それぞれ、中央コアの細線の直径及び螺旋ピッチであり、d2及びp2は、それぞれ、外側層の細線の直径及び螺旋ピッチである。
3本の細線22で形成されたコードから成る中央コアを加硫されていない(生の状態の)ジエンエラストマーを主成分とするゴム配合物24で外装した。コード22の外装を押出ヘッドにより実施し、その後、このようにして外装したコアの周りに9本の細線23をケーブリングする最終作業を行なった。
上述した方法を用いて測定されたコード31の侵入度は、95%に等しい。
図3は、本発明のタイヤに用いることができるクラウン補強材の実働層の別のコード31の断面の略図である。このコード31は、1本の細線32で形成されている中央コア及び6本の細線で形成されている外側層33から成る1+6構造の非たが掛け層状コードである。
このコードは、次の特性を有する(d及びpの単位は、mmである)。
‐構造1+6
‐d1=0.35(mm)
‐(d1/d2)=1
‐d2=0.35(mm)
‐p2=15.4(mm)
上記において、d1は、コアの直径であり、d2及びp2は、それぞれ、外側層の細線の直径及び螺旋ピッチである。
‐構造1+6
‐d1=0.35(mm)
‐(d1/d2)=1
‐d2=0.35(mm)
‐p2=15.4(mm)
上記において、d1は、コアの直径であり、d2及びp2は、それぞれ、外側層の細線の直径及び螺旋ピッチである。
細線32から成る中央コアを加硫されていない(生の状態の)ジエンエラストマーを主成分とするゴム配合物34で外装した。細線32の外装を押出ヘッドにより実施し、その後、このようにして外装したコアの周りに6本の細線33をケーブリングする最終作業を行なった。
上述した方法を用いて測定されたコード31の侵入度は、95%に等しい。
図1及び図2の記載により本発明に従って製造されたタイヤを用いて試験を実施し、基準タイヤと呼ばれているタイヤを用いて他の試験を実施した。
第1の基準タイヤは、実働層の補強要素が外装層を含んでいない非たが掛け11.35金属コードであるクラウン補強材によって本発明のタイヤとは異なっている。本発明のコードとは異なり、これらコードは、空気を含んでいる。
ブラックN347は、90mm2/gに等しいBET比表面積を有する。
ゴムコンパウンド8の異形要素は、収着試験において、0.075m3STP/m3MLに等しいガス含有量を示す。
第2の基準タイヤR2は、第1の基準タイヤの組成と同一の組成を有するゴムコンパウンド8の異形要素によって本発明のタイヤとは異なっている。
これら第2の基準タイヤの実働層の補強要素は、本発明に従って製造されたタイヤの金属コードと同一の金属コードである。
実働層の端部のところのゴムコンパウンド内に気泡が現れることなく、考えられる最短の期間を求めるために種々のタイヤについて硬化試験を実施した。
この実施例から明らかなこととして、まず最初に、即ち、飽和層を備えた金属コードとしての実働クラウン層の補強要素(少なくとも1つの内側の層は、ポリマー配合物、例えばゴム配合物から成る層で外装されている)に関する特性と、他方において、タイヤのショルダの各々内で、少なくとも、少なくとも2つの実働クラウン層の端部と接触状態にある分離用ポリマーコンパウンドが収着試験において、0.06m3STP/m3MLよりも低いガス含有量を示す特性を組み合わせた本発明に従って得られる節約により、実働クラウン層の端部の近くのポリマーゴムコンパウンド内に気泡が現れることなく、基準タイヤR1に対応した従来タイヤと比較して15%オーダだけタイヤの硬化時間を短縮することができる。
さらに、注目されるべきこととして、基準タイヤR2の場合、硬化時間を36分未満に短縮させた場合、相当な数の気泡がポリマーコンパウンド内に現れ、気泡の平均直径は、硬化時間を40.5分未満に短縮させた場合の基準タイヤR1の場合に現れる気泡の平均直径よりも小さい。
試験持続時間を短くするために次第に増大させた4000kgの初期荷重下でタイヤの各々をタイヤの最大速度指数に等しい速度で直線走行させる試験機械について耐久性試験を実施した。
試験を基準タイヤR1に適用した条件と同一の条件で本発明のタイヤに対して実施した。
実施した試験結果により、タイヤR1に関し、ベース100を確立した性能が得られた。タイヤ劣化が現れるようになったときに試験を停止させた。
これら試験結果の示すとことによれば、本発明のタイヤは、少なくとも、基準タイヤよりも僅かに良好であるとは言えないが、ほぼ同じほど良好である。
転がり抵抗測定結果の示すところによれば、本発明のタイヤは、基準タイヤR1と比較して、0.4kg/Tオーダの改良をもたらした。
Claims (8)
- 補強要素の少なくとも1つの層から成る半径方向カーカス補強材を備えたタイヤであって、前記タイヤは、一方の層と他方の層との間でクロス掛け関係をなしていて円周方向と10°〜45°の角度をなす補強要素の少なくとも2つの実働クラウン層で作られたクラウン補強材を有し、前記実働クラウン層の端部は、ポリマーコンパウンドによって半径方向に互いに分離され、前記実働クラウン層はそれ自体、トレッドによって半径方向に覆われ、前記トレッドは、2つのサイドウォールを経て2つのビードに連結されている、タイヤにおいて、少なくとも1つの実働クラウン層の前記補強要素は、飽和層を備えた金属コードであり、少なくとも1つの内側の層は、ポリマー配合物、例えばゴム配合物から成る層で外装され、前記タイヤのショルダの各々内で、少なくとも、少なくとも2つの実働クラウン層の端部と接触状態にある分離用ポリマーコンパウンドは、収着試験において、0.06m3STP/m3MLよりも低いガス含有量を示す、タイヤ。
- 少なくとも1つの実働クラウン層の前記補強要素は、[L+M]構造の層を備えた金属コードであり、前記金属コードは、ピッチ1で螺旋の状態に一緒に巻かれた直径d1のL(Lは、1〜4である)本の細線から成る第1の層C1をピッチp2で螺旋の状態に一緒に巻かれた直径d2のM(Mは、3〜12である)本の細線から成る外側層C2によって包囲したものであり、少なくとも1つのジエンエラストマーを主成分とする架橋不能であり、架橋可能であり或いは架橋済みであるゴム配合物によって構成されたシースが、前記第1の層C1を覆っている、請求項1記載のタイヤ。
- 前記第1の層C1の前記細線の直径は、0.10〜0.5mmであり、前記外側層C2の前記細線の直径は、0.10〜0.5mmである、請求項2記載のタイヤ。
- 前記ゴムシースの平均厚さは、0.010mm〜0.040mmである、請求項2又は3記載のタイヤ。
- 少なくとも、少なくとも2つの実働クラウン層の前記端部と接触状態にある前記分離用ポリマーコンパウンドは、天然ゴムを主成分とし又は大部分がシス‐1,4シーケンスを含む合成ポリイソプレンを主成分とし且つ場合によっては少なくとも1つの他のジエンエラストマーを主成分とするエラストマーコンパウンドであり、カットの場合の天然ゴム又は合成ポリイソプレンは、他のジエンエラストマー又は用いられるエラストマーの比率及び、
(i)20〜80phr、好ましくは40〜60phrの比率で用いられるBET比表面積が60m2/gのカーボンブラックか、
(ii)沈降シリカ、熱分解法シリカ、アルミナ又はアルミノシリケートから成る群から選択されたSiOH及び/又はAlOH表面官能基を含むシリカ及び/又はアルミナ系又は変形例として合成中又は合成後に改質された20〜80phr、好ましくは40〜60phrの比率で用いられる比表面積が30〜260m2/gのカーボンブラックの白色充填剤(ホワイトフィラー)か、
(iii)(i)に記載されたカーボンブラック及び(ii)に記載された白色充填剤のカットかのいずれかから成る補強用充填剤の比率に対して主要な比率で存在し、なお、カット中、充填剤の全体的比率は、20〜80phr、好ましくは40〜60phrである、請求項1〜4のうちいずれか一に記載のタイヤ。 - 少なくとも、少なくとも2つの実働クラウン層の前記タブと接触状態にある前記分離用ポリマーコンパウンドは、前記タイヤの製造中、所定位置に配置される直前にベーキングされる、請求項1〜5のうちいずれか一に記載のタイヤ。
- 前記クラウン補強材は、円周方向補強要素の少なくとも1つの層を含む、請求項1〜6のうちいずれか一に記載のタイヤ。
- 前記カーカス補強材の少なくとも1つの層の前記補強要素は、通気度試験と呼ばれている試験において、20cm3/分未満の流量を示す金属コードである、請求項1〜7のうちいずれか一に記載のタイヤ。
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