JP2014527824A - Co2プロファイル培養法 - Google Patents

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Abstract

水溶液中での溶存CO2変化は細胞内pH(pHi)値に直接影響を及ぼし、これは、重要な細胞プロセスに影響を及ぼすことによって行われる。酵素の炭酸脱水酵素II(CAII)は、水溶液中のCO2の平衡を触媒し、CAIIはこの平衡に達する速度を変化させるので代謝工学のための強力な候補物質として同定された。hCAIIを安定して発現する細胞株は、CO2酸負荷が誘導された後に、細胞質のより良好な初期再アルカリ化を示した。長期間増加させたCO2レベルにおける該細胞株に関して、pHiの最も少ない変動を伴う最もアルカリ性のpHi値が観察された。概して、増加したCO2プロファイルは、トランスフェクトされた細胞株と対照細胞株の両方に関してG0G1細胞周期のより迅速な進行を誘発した。

Description

本明細書において、遺伝子操作され、異種酵素をコードする核酸の導入によってCO2代謝が改変されているCHO細胞、およびポリペプチドの産生におけるその使用について報告する。
背景
ポリペプチドの組換え産生において、細胞密度、生産性、および産物の品質などのプロセス全体の設計によって影響を受ける関心対象ポリペプチドの高い発現収率が望ましいのみならず、産生費用および下流のプロセシングも同様に考慮しなければならない。
溶存二酸化炭素濃度(dCO2)は、細胞培養技術における細胞増殖、生産性、および産物の品質に対して負の影響を及ぼす重要なプロセスパラメータの1つとして同定されている。二酸化炭素は、細胞自体によって産生され、特に大規模な工業的培養では危機的レベルまで培養用培地中に蓄積しうる。無極性の二酸化炭素分子は、培養細胞に容易に入り、炭酸脱水酵素を通して、重炭酸イオンとプロトンとに変換される。これらのプロトンが細胞質に蓄積すると、サイトゾルの酸性化を引き起こし、次にこれによって、細胞の増殖および代謝に関係する細胞酵素にとって必要な至適pH値が妨害されうる。
高レベルのpCO2、および関連する高い酸性度に加えてpH制御に関連する浸透圧の増加に関する問題が生じ、この問題は、高い細胞密度を達成するために哺乳動物細胞培養をスケールアップする際に直面する大きい障害であると考えられている。細胞内pHは、細胞機能の重要な調節物である。多くの酵素が生理的範囲においてpH依存性を示すが、そのような活性は、細胞内pHの小さい変動によって影響を受ける。それゆえ、サイトゾルpH(pHi)を正確に調節することは、細胞が正常に機能するための必要条件である[FRELIN, C, et al, Eur. J. Biochem. 174 (1988) 3-14(非特許文献1); MADSHUS, I.H., Biochem. J. 250 (1988) 1-8(非特許文献2); ROOS, A. AND BORON, W.F. Physiol. Rev. 61 (1981) 296-434(非特許文献3)]。ほとんどの細胞は、pHiを調節するためのいくつかの機構を備えており、これによりその調節は極めて複雑となる。
細胞培養におけるCO2の影響は、無極性分子として、溶存CO2が細胞膜を容易に通過して、培養細胞のサイトゾルおよびミトコンドリア区画に入り、細胞内pH(pHi)に影響を及ぼし、重要な細胞プロセスに直接影響を及ぼすことができるという事実に起因する。
細胞内において、CO2は、H2Oと反応して、H2CO3を形成する。この反応は、自然に起こるが、二酸化炭素および水の、炭酸、プロトン、および重炭酸イオンへの変換を触媒する亜鉛金属結合酵素である炭酸脱水酵素(CA、カーボネートヒドロリアーゼ、EC 4.2.1.1)によっても触媒される。哺乳動物において、炭酸脱水酵素のイソ型14個がこれまでに同定されており、細胞質に多く存在するアイソザイムは、炭酸脱水酵素II(CAII)[SLY, W.S. AND HU, P.Y., Ann. Rev. Biochem. 64 (1995) 375-601(非特許文献4)]である。
炭酸脱水酵素は、細胞内pH[ROOS, A. AND BORON, W.F. Physiol. Rev. 61 (1981) 296-434(非特許文献3)]および細胞外pH [CHEN, J.C. AND CHESLER, M., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89 (1992) 7786-7790(非特許文献5)] の調節において中心的な役割を果たすことが知られている。炭酸脱水酵素IIは、分子量約29kDaに対応するアミノ酸残基260個の1つのポリペプチド鎖からなる。これは、ほとんどの組織のサイトゾルに存在する。全体として、MOSTAFAおよびGU[MOSTAFA, S.S. AND GU, X., Biotechnol. Prog. 19 (2003) 45-51(非特許文献6)]は、改善された生産性、培養時間、および最終力価を報告した。
De Zengotita, V.M.らは、pCO2上昇および浸透圧上昇に対するハイブリドーマ細胞の反応の特徴決定を行った(Biotechnol. Bioeng. 77 (2002) 369-380(非特許文献7))。CHO細胞の増殖および抗体融合タンパク質B1の産生に及ぼすpCO2上昇および浸透圧上昇の影響は、Zhu, M.M., et al. Biotechnol. Prog. 21 (2005) 70-77(非特許文献8)によって報告された。Gray, D.R.らは、大規模高密度CHO細胞還流培養におけるCO2について報告した(Cytotechnol. 22 (1996) 65-78(非特許文献9))。
FRELIN, C, et al, Eur. J. Biochem. 174 (1988) 3-14 MADSHUS, I.H., Biochem. J. 250 (1988) 1-8 ROOS, A. AND BORON, W.F. Physiol. Rev. 61 (1981) 296-434 SLY, W.S. AND HU, P.Y., Ann. Rev. Biochem. 64 (1995) 375-601 CHEN, J.C. AND CHESLER, M., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89 (1992) 7786-7790 MOSTAFA, S.S. AND GU, X., Biotechnol. Prog. 19 (2003) 45-51 De Zengotita, V.M. et al., Biotechnol. Bioeng. 77 (2002) 369-380 Zhu, M.M., et al., Biotechnol. Prog. 21 (2005) 70-77 Gray, D.R., et al., Cytotechnol. 22 (1996) 65-78
本明細書において、炭酸脱水酵素(CA)をコードする構造遺伝子を安定にトランスフェクトした細胞株の生成および組換えによるポリペプチドの産生におけるその使用を報告する。炭酸脱水酵素の発現は、アルカリレベルでのpHiの効率的な制御を提供して、G0G1期での細胞周期の停止を引き起こし、細胞特異的生産性の増加を引き起こす。
本明細書において報告される1つの局面は、以下の段階を含む、ポリペプチドを産生する方法である:
(a)培養用培地において、炭酸脱水酵素をコードする第一の核酸と、ポリペプチドをコードする第二の核酸とを含む哺乳動物細胞を培養する段階;および
(b)ポリペプチドを細胞または培養用培地から回収して、それによってポリペプチドを産生する段階。
1つの態様において、培養する段階は、第一の一定pCO2値を用いる第一の期間、およびその後の、第一のpCO2値から第二のpCO2値まで増加するpCO2値を用いる第二の期間にわたる。
1つの態様において、培養する段階はさらに、第二の期間の後の、一定に保った第二のpCO2値を用いる第三の期間にわたる。
1つの態様において、第一の一定pCO2値は、約4%〜約9%である。1つの態様において、第一の一定pCO2値は約5%である。
1つの態様において、第二のpCO2値は約15%〜約30%である。1つの態様において、第二のpCO2値は約25%である。
1つの態様において、炭酸脱水酵素は、炭酸脱水酵素IIまたは炭酸脱水酵素Vである。
1つの態様において、炭酸脱水酵素は、ヒト炭酸脱水酵素IIまたはヒト炭酸脱水酵素Vである。
1つの態様において、炭酸脱水酵素は、SEQ ID NO:03のアミノ酸配列を有する。
1つの態様において、第一の核酸は、哺乳動物細胞のゲノムに安定に組み入れられる。
1つの態様において、ポリペプチドは、抗体、または抗体コンジュゲート、または抗体断片、またはFc領域融合ポリペプチドである。
1つの態様において、哺乳動物細胞はCHO細胞である。1つの態様において、CHO細胞はCHO K1細胞である。
本明細書において報告される1つの局面は、ヒト炭酸脱水酵素IIまたはその変種をコードする第一の核酸と、抗体、または抗体コンジュゲート、または抗体断片、またはFc領域融合ポリペプチドをコードする第二の核酸とを含む、CHO細胞である。
本明細書において報告される1つの局面は、以下の段階を含み、培養する段階が、第一の一定pCO2値を用いる第一の期間、およびその後の、第一のpCO2値から第二のpCO2値まで増加するpCO2値を用いる第二の期間にわたる、ポリペプチドを産生する方法である:
(a)ポリペプチドをコードする核酸を含む哺乳動物細胞を培養用培地において培養する段階;および
(b)ポリペプチドを細胞または培養用培地から回収して、それによってポリペプチドを産生する段階。
1つの態様において、哺乳動物細胞は、ヒト炭酸脱水酵素をコードする核酸を含む。1つの態様において、炭酸脱水酵素は、ヒト炭酸脱水酵素IIまたはヒト炭酸脱水酵素Vである。
1つの態様において、培養する段階はさらに、第二の期間の後の、一定に保った第二のpCO2値を用いる第三の期間にわたる。
1つの態様において、第一の一定pCO2値は、約4%〜約9%である。1つの態様において、第一の一定pCO2値は約5%である。
1つの態様において、第二のpCO2値は約15%〜約30%である。1つの態様において、第二のpCO2値は約25%である。
発明の詳細な説明
本明細書において、ヒト炭酸脱水酵素II(hCAII)をコードする構造遺伝子を安定にトランスフェクトした細胞株の生成を報告する。
組換え型ポリペプチドを産生する細胞株の選択は、増殖、生産性、および代謝データに基づくのみならず、hCAII酵素の発現および酵素速度論にも基づいて行うことができることが見いだされている。
同様に、hCAIIをコードおよび発現する核酸を安定にトランスフェクトした細胞は、一定のpCO2および徐々に増加するpCO2などの異なるpCO2プロファイル下で培養した場合に異なる特徴を有することも見いだされている。
「約」という用語は、その後に続く値が、正確な値ではないが、1つの態様においてその値の±10%、または1つの態様においてその値の±5%、または1つの態様においてその値の±2%、または1つの態様においてその値の±1%である範囲の中心点であることを意味する。値が百分率で与えられる相対値である場合、「約」という用語はまた、1つの態様においてその値の±10%、または1つの態様においてその値の±5%、または1つの態様においてその値の±2%、または1つの態様においてその値の±1%である範囲の中心点であり、範囲の上限が100%の値を超えることができないことを意味する。
「抗体」という用語は、本明細書において最も広い意味で用いられ、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異的抗体(たとえば、二重特異的抗体)、およびそれらが所望の抗原結合活性を示す限り、断片を含むがこれらに限定されるわけではない様々な抗体構造を包含する。抗体は一般的には、2つのいわゆる軽鎖ポリペプチド(軽鎖)および2つのいわゆる重鎖ポリペプチド(重鎖)を含む。重鎖および軽鎖ポリペプチドの各々は、抗原と相互作用することができる結合領域を含む可変ドメイン(可変領域)(一般的には、ポリペプチド鎖のアミノ末端部分)を含む。重鎖および軽鎖ポリペプチドの各々は、定常領域(一般的にはカルボキシル末端部分)を含む。重鎖の定常領域は、(i)貪食細胞などのFcγ受容体(FcγR)を有する細胞、または(ii)ブランベル(Brambel)受容体としても知られる新生児Fc受容体(FcRn)を有する細胞に対する、抗体の結合を媒介する。重鎖定常領域はまた、補体(C1q)などの古典的補体系の因子を含むいくつかの因子に対する結合も媒介する。抗体の重鎖または軽鎖の可変ドメインは、異なるセグメント、すなわち4つのフレームワーク領域(FR)および3つの超可変領域(CDR)を含む。
「抗体断片」は、無傷抗体が結合する抗原に結合する無傷抗体の部分を含む無傷抗体以外の分子を意味する。抗体断片の例には、Fv、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')2;ダイアボディ(diabody);直線状抗体;一本鎖抗体分子(たとえば、scFv);および抗体断片から形成された多重特異的抗体が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。
本明細書における「Fc領域」という用語は、定常領域の少なくとも一部を含む抗体重鎖のC-末端領域を定義するために用いられる。この用語は、本来の配列のFc領域および変種Fc領域を含む。1つの態様において、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226から、またはPro230から重鎖のカルボキシル末端まで伸長する。しかし、Fc領域のC-末端リジン(Lys447)は存在してもまたは存在していなくてもよい。本明細書においてそれ以外であると明記している場合を除き、Fc領域または定常領域におけるアミノ酸残基の番号付与は、Kabat, E.A., et al, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991), NIH Publication 91-3242において記述されるEU指数とも呼ばれるEU番号付与体系に従う。
抗体の「Fc領域」は、抗原に対する抗体の結合に直接関係しないが、様々なエフェクター機能を示す。重鎖の定常領域のアミノ酸配列に応じて、抗体(免疫グロブリン)は、以下のクラスに分けられる:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM。これらのクラスのいくつかはさらにサブクラス(アイソタイプ)に分けられ、すなわちIgGはIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4に、またはIgAはIgA1およびIgA2に分けられる。抗体が属する免疫グロブリンのクラスに従って、免疫グロブリンの重鎖定常領域はそれぞれ、α(IgA)、δ(IgD)、ε(IgE)、γ(IgG)、およびμ(IgM)と呼ばれる。本発明に従う抗体は、好ましくはIgGクラスに属する。「抗体のFc領域」は、当業者に周知の用語であり、抗体のパパイン切断に基づいて定義される。本発明に従う抗体は、Fc領域としてヒトFc領域、またはヒト起源に由来するFc領域を含む。1つの態様において、Fc領域は、サブクラスIgG4のヒト抗体のFc領域であるか、または以下に定義されるFcγ受容体(たとえば、FcγRIIIa)結合および/またはC1q結合が検出できないように改変されているサブクラスIgG1、IgG2、もしくはIgG3のヒト抗体のFc領域のいずれかである。好ましくは、Fc領域はヒトFc領域であり、ヒトIgG4サブクラスのFc領域またはヒトIgG1サブクラスの変異Fc領域のいずれかが特に好ましい。さらに好ましいのは、変異L234AおよびL235Aを有するヒトIgG1サブクラスのFc領域である。IgG4は、少ないFcγ受容体(FcγRIIIa)結合を示すが、他のIgGサブクラスの抗体は強い結合を示す。しかし、Pro238、Asp265、Asp270、Asn297(Fc炭水化物の喪失)、Pro329、Leu234、Leu235、Gly236、Gly237、Ile253、Ser254、Lys288、Thr307、Gln311、Asn434、および/またはHis435は、変化させると、同様に少ないFcγ受容体結合を提供する残基である(Shields, R.L., et al, J. Biol. Chem. 276 (2001) 6591-6604; Lund, J., et al, FASEB J. 9 (1995) 115-119; Morgan, A., et al, Immunology 86 (1995) 319-324; EP 0 307 434)。好ましくは、本発明に従う抗体は、L234、L235、および/またはD265に変異を有する、および/またはPVA236変異を含む、IgG4サブクラスまたはIgG1もしくはIgG2サブクラスのFcγ受容体結合に関する抗体である。変異S228P、L234A、L235A、L235E、および/またはPVA236(PVA236は、IgG1の233から236番目のアミノ酸の位置からのアミノ酸配列ELLG(1文字アミノ酸表記で表される)またはIgG4のEFLGがPVAに交換されていることを意味する)が好ましい。特に好ましいのは、IgG4のS228P変異、ならびにIgG1のL234A変異およびL235A変異である。抗体のFc領域は、ADCC(抗体依存性細胞傷害性)およびCDC(補体依存性細胞傷害性)に直接関係する。Fcγ受容体および/または補体因子C1qに結合しない抗体は、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)および/または補体依存性細胞傷害性(CDC)を誘発しない。
本明細書において用いられる、「ヒト起源に由来するFc領域」という用語は、その変異型を含む、サブクラスIgG4のヒト抗体のFc領域またはサブクラスIgG1、IgG2、もしくはIgG3のヒト抗体のFc領域のいずれかであるFc領域を意味する。好ましくは、サブクラスIgG1、IgG2、またはIgG3のヒト抗体のFc領域は、以下に定義されるFcγ受容体(FcγR、すなわちFcγIIIa)結合および/またはC1q結合が検出できないように改変されている。「抗体のFc領域」は、当業者に周知の用語であり、抗体のパパイン切断に基づいて定義される。本発明に従う抗体は、Fc領域としてヒト起源に由来するFc領域と、好ましくはヒト定常領域の他の全ての部分とを含む。好ましくは、Fc領域はヒトFc領域であり、特に、ヒトIgG4サブクラスまたはヒトIgG1サブクラス由来のヒトFc領域が好ましいか、またはヒトIgG1サブクラスの変異型Fc領域が好ましい。最も好ましいのは、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、変異L234AおよびL235Aを有するSEQ ID NO:3、変異S228Pを有するSEQ ID NO:4に示されるFc領域および重鎖定常領域である。
「細胞」および「細胞株」という用語は、互換的に用いられ、そのような細胞の子孫を含む、外因性の核酸が導入されている細胞を意味する。細胞は、「形質転換体」および「形質転換細胞」を含み、これは初代形質転換細胞および継代数によらずそれに由来する子孫を含む。子孫は、核酸含有量に関して親細胞と完全には同一でなくてもよく、変異を含んでもよい。当初の形質転換細胞においてスクリーニングまたは選択される機能または活性と同じ機能または生物活性を有する変異体子孫は、本発明に含まれる。
「細胞」という用語は、プラスミドの増殖のために用いられる原核細胞、および核酸の発現のために用いられる真核細胞の両方を含む。1つの態様において、細胞は哺乳動物細胞である。1つの態様において、哺乳動物細胞は、CHO細胞(たとえば、CHO K1、CHO DG44)、BHK細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、HEK293細胞、HEK 293 EBNA細胞、PER.C6(登録商標)細胞、およびCOS細胞を含む哺乳動物細胞の群より選択される。
本明細書において用いられる「核酸」は、個々のヌクレオチド(塩基とも呼ばれる)a、c、g、およびt(またはRNAではu)からなるポリマー分子、たとえばDNA、RNA、またはその改変体を意味する。このポリヌクレオチド分子は、天然に存在するポリヌクレオチド分子、または合成ポリヌクレオチド分子、または1つもしくは複数の天然に存在するポリヌクレオチド分子と1つもしくは複数の合成ポリヌクレオチド分子の組み合わせでありうる。同様に、1つまたは複数のヌクレオチドが変化している(たとえば、変異誘発によって)、欠失している、または付加されている、天然に存在するポリヌクレオチドもこの定義に含まれる。核酸は、単離されうるか、または別の核酸、たとえば発現カセット、プラスミド、もしくは宿主細胞の染色体に組み入れることができる。同様に核酸は、個々のヌクレオチドからなるその核酸配列を特徴とする。
当技術分野の手法および方法における当業者は、たとえばポリペプチドのアミノ酸配列を、このアミノ酸配列をコードする対応する核酸配列に変換することを周知している。それゆえ、核酸は、個々のヌクレオチドからなるその核酸配列を特徴とし、同様にそれによってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列も特徴とする。
本明細書において用いられる「核酸」または「核酸配列」は、組換えによって産生することができるポリペプチドをコードする、天然に存在するまたは部分的もしくは完全に天然に存在しない核酸を意味する。核酸は、単離されるかまたは化学手段によって合成される、DNA断片で構成することができる。核酸は、別の核酸、たとえば発現プラスミドまたは真核宿主細胞のゲノム/染色体に組み入れることができる。プラスミドは、シャトルプラスミドおよび発現プラスミドを含む。典型的に、プラスミドはまた、原核細胞におけるプラスミドの複製および選択のためにそれぞれ、複製起点(たとえば、ColE1複製起点)および選択マーカー(たとえば、アンピシリンまたはテトラサイクリン抵抗性遺伝子)を含む原核細胞増殖単位を含むと考えられる。
「発現プラスミド」は、宿主細胞に含まれる構造遺伝子の発現にとって必要な全てのエレメントを提供する核酸である。典型的に、発現プラスミドは、複製起点、および選択マーカー、真核細胞選択マーカー、ならびに、各々がプロモーター、構造遺伝子、およびポリアデニル化シグナルを含む転写ターミネーターを含む、関心対象の構造遺伝子を発現させるための1つまたは複数の発現カセットを含む、原核細胞プラスミド増殖単位、たとえば大腸菌(E.coli)を含む。遺伝子発現は、通常、プロモーターの制御下に置かれ、そのような構造遺伝子はプロモーターに「機能的に連結する」と言われる。同様に、調節エレメントがコアプロモーターの活性を調整する場合、調節エレメントおよびコアプロモーターは機能的に連結している。
「ポリペプチド」は、天然でまたは合成によって産生されるか否かによらず、ペプチド結合によって結合したアミノ酸からなるポリマーである。アミノ酸残基約20個未満のポリペプチドは、「ペプチド」と呼ばれうるが、2つもしくはそれ以上のポリペプチドからなる分子または100個超のアミノ酸残基を有する1つのポリペプチドは、「タンパク質」と呼ばれうる。ポリペプチドはまた、炭水化物基、金属イオン、またはカルボン酸エステルなどの非アミノ酸成分を含みうる。非アミノ酸成分は、ポリペプチドが発現される細胞に添加されうるが、これは細胞のタイプによって異なりうる。ポリペプチドは、本明細書においてそのアミノ酸骨格構造またはそれをコードする核酸に関して定義される。さらに、そのような炭水化物基は概して明記されないが、それにもかかわらず存在しうる。
免疫グロブリンの組換えによる産生は、当技術分野において周知であり、たとえば、Makrides, S.C., Protein Expr. Purif. 17 (1999) 183-202; Geisse, S., et al, Protein Expr. Purif. 8 (1996) 271-282; Kaufman, R.J., Mol. Biotechnol. 16 (2000) 151-161; Werner, R.G., Drug Res. 48 (1998) 870-880の論評記事に記述されている。
当業者は、組換えDNA技術を用いて、核酸および/またはポリペプチドの多数の誘導体を産生することができる。そのような誘導体は、たとえば置換、変化、交換、欠失、または挿入によって1つの個々のまたはいくつかの位置において改変されうる。改変または誘導体化は、たとえば、部位特異的変異誘発によって行うことができる。そのような改変は、当業者が容易に行うことができる(たとえば、Sambrook, J., et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, USA (1999)を参照されたい)。組換え技術を用いることにより、当業者は異種核酸によって様々な宿主細胞を形質転換することができる。異なる細胞の転写および翻訳、すなわち発現機構が同じエレメントを用いるが、異なる種に属する細胞は、中でもいわゆる異なるコドン使用を有しうる。それによって、同一のポリペプチド(アミノ酸配列に関して)が、異なる核酸によってコードされうる。同様に、遺伝コードの縮重により、異なる核酸が同じポリペプチドをコードしうる。
組換えDNA技術を用いることにより、核酸および/またはポリペプチドの多数の誘導体の産生が可能となる。そのような誘導体は、たとえば置換、変化、交換、欠失、または挿入によって個々のまたはいくつかの位置で改変することができる。改変または誘導体化は、たとえば部位特異的変異誘発によって行うことができる。そのような改変は当業者が容易に行うことができる(たとえば、Sambrook, J., et al, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, USA (1999); Hames, B.D., and Higgins, S.G., Nucleic Acid Hybridization - A Practical Approach, IRL Press, Oxford, England (1985)を参照されたい)。
組換え技術を用いることにより、異種核酸による様々な宿主細胞の形質転換が可能となる。異なる細胞の転写および翻訳、すなわち発現機構が同じエレメントを用いるが、異なる種に属する細胞は、中でもいわゆる異なるコドン使用を有しうる。それによって同一のポリペプチド(アミノ酸配列に関して)が、異なる核酸によってコードされうる。同様に、遺伝コードの縮重により、異なる核酸が同じポリペプチドをコードしうる。
ヒト炭酸脱水酵素II
hCAIIコード核酸配列を、データバンクNCBI登録NM000067(SEQ ID NO:01)から得た。
本明細書において用いられるヒト炭酸脱水酵素は、変異S2Aを有する(SEQ ID NO:03)野生型ヒトCAII(SEQ ID NO:02)の変異体である。
ヒト炭酸脱水酵素IIを組換えにより発現するCHO細胞株
トランスフェクトされていない親細胞株を参照株として、さらなる増殖を観察することができなくなるまで選択培養用培地中で培養した。この時点で、選択工程は完了していた。クローンのスクリーニング中、クローンおよび対照HyQ細胞株をHyQ培地中で約1.5ヶ月間維持した。メトトレキサートはこの培地に含めなかった。選択されたトランスフェクトした細胞は常に、メトトレキサートを含む培地中で培養した。
発現分析は、検出のためにポリクローナル抗CAII抗体および対照としてSigma社から販売されるhCAIIを用いて、ウェスタンブロットなどのイムノブロットとして行った。
単一クローン7個を得て、そのうち5個(クローンP03-E8、C7、G9、P01-E8、およびE11)は高hCAII発現細胞株として分類され、他の2つ(クローンC4およびG6)は低hCAII発現細胞株として分類された。
クローン細胞株の代謝特徴決定
全ての値を標準化して、それによって培養5日目でのトランスフェクトされていない親細胞株(=対照)の値は100%を示す。異なる細胞クローンおよび対照の増殖特徴を図2に示す。対照HyQという用語は、トランスフェクトされていない親対照細胞株がHyQ培地中で増殖したことを示す。
親細胞株およびクローン細胞株の代謝パラメータを図3〜5に示す。対照細胞株の培養中の最高ラクテート濃度は、培養3日目で16mMであったが、クローン細胞株では培養3日目および4日目で17.4mMから19.3mMの間であった。細胞特異的消費初速度は、グルコースに関して3.6pmol/細胞/日(クローンE11)から4.7pmol/細胞/日(クローンE8)の間であった。対照細胞株およびHyQ培地中の対照細胞株に関して対応する値はそれぞれ、4.7および4.0pmol/細胞/日であった。ラクテートの細胞特異的産生初速度は、6.0pmol/細胞/日(クローンG9)から9.9pmol/細胞/日(クローンG6)の間であり、対照細胞株およびHyQ培地中での対照細胞株はそれぞれ、4.7および4.0pmol/細胞/日であった。アンモニウム濃度は6.5mM(クローンE11)から7.3mM(クローンG9)の間の最終濃度に達した。細胞特異的アンモニウム産生初速度は、1.57pmol/細胞/日(クローンG9)から2.03pmol/細胞/日(クローンG6)の間であり、対照細胞株およびHyQ培地中の対照細胞株の値はそれぞれ、2.18pmol/細胞/日および1.84pmol/細胞/日であった。培養3日後、産物の濃度は、全ての培養において7日目まで時間と共に直線的に増加した。バッチ培養終了時に対照細胞株に関して最高産物濃度が得られた。それに関して、58%の産物がHyQ培地中の対照細胞株によって産生されたが、クローンE11、C4、およびG9ではそれぞれ、68%、53%、および50%の産物濃度が得られた。最高細胞特異的産生速度は、6日目で対照細胞株に関して12.7pg/細胞/日であった。HyQ培地中の対照細胞株、ならびにクローンE11、C4、およびG9はそれぞれ、8.9pg/細胞/日(7日目)、9.3pg/細胞/日(6日目)、8.4pg/細胞/日(7日目)、および5.8pg/細胞/日(5日目)の最高細胞特異的産生速度を有した。
クローニングされたヒト炭酸脱水酵素IIの活性を測定するために、hCAII活性の値を、質量分析によって得られた18O交換データから測定した。堅固な阻害剤であるエトキシゾラミド(EZA)によるhCAII陽性対照溶液の滴定曲線から、hCAII濃度は1.33μMであると算出された。測定された非阻害陽性対照の活性は、28,700単位であった。RIPA緩衝液中でhCAIIを安定にトランスフェクトした細胞株G9およびE11細胞溶解物におけるヒト炭酸脱水酵素II活性を検出したところ、活性はそれぞれ、201および241単位であった。算出されたhCAII濃度は2.28nM(クローンG9)および2.73nM(クローンE11)であった。機械的破壊によるタンパク質抽出物由来の溶解物は、クローンE11に関してのみ1,235単位のhCAII活性を提供し、これは14.0nMのhCAII濃度に対応した。いずれの抽出法も、対照細胞株またはHyQ培地中での対照細胞株では、検出可能なCAII活性を提供しなかった。
ヒト炭酸脱水酵素IIの存在は、調べた全ての細胞クローンに関してイムノブロット分析によって検出された。検出されたタンパク質の大きさは29kDaであった。ヒトCAIIに関して予想される大きさは、29,246 Da(SwissProt hCAII参照番号P00918)である。異なる発現レベルは、異なるバンドの厚さによって識別可能であった。この差は、内因性のハムスター炭酸脱水酵素II(haCAII)が検出されなかったことから、外因性のヒトCAIIのさらなる発現により生じる。
本明細書において1つの局面として、以下の段階の少なくとも1つを含む、ポリペプチド組換え産生用の安定して炭酸脱水酵素を発現する細胞を選択するための方法を報告する:
-シェーカーフラスコ培養において、得られた最高細胞密度と、親細胞の平均比増殖速度の70%以上の平均比増殖速度とを有する細胞を選択する段階;および/または
-選択圧を適用せずに、培養3もしくは4日目においてよりも培養5もしくは6日目において高い特異的産物産生速度を有する細胞を選択する段階;および/または
-18O-CO2-H2O交換決定法において最高の炭酸脱水酵素活性を有する細胞を選択する段階。
親細胞は、炭酸脱水酵素をコードする核酸がトランスフェクトされており、本明細書において報告される選択法に供されるか、または本明細書において報告される産生法において用いられる細胞である。
1つの態様において、得られた最高細胞密度および平均比増殖速度は、親細胞の80%以上である。1つの態様において、得られた最高細胞密度および平均比増殖速度は、親細胞の90%以上である。1つの態様において、得られた最高細胞密度および平均比増殖速度は、親細胞の95%以上である。
1つの態様において、シェーカーフラスコ培養は7〜10日間である。
1つの態様において、特異的産物産生速度は、3日目より5日目のほうが高い。
1つの態様において、炭酸脱水酵素活性は、化学平衡において測定される。
細胞は、1つの態様において、CHO細胞またはBHK細胞またはHEK細胞またはSp2/0細胞である。
炭酸脱水酵素は、1つの態様において、ヒト炭酸脱水酵素である。1つの態様において、炭酸脱水酵素は、炭酸脱水酵素IIである。
ヒト炭酸脱水酵素IIを発現するクローン細胞株の培養
hCAII発現細胞クローンE11を異なるCO2プロファイルで培養した。培養用培地はガラクトースを含み、このように産生されたラクテートは再代謝された。
細胞の内部pH値(pHi)に及ぼすhCAII発現の効果を調べるために、HyQ培地中の対照細胞株およびクローンE11を短期間の酸性化に供した。これは、細胞をCO2含有溶液と混合すること、およびその後のpHi回復を測定することによって行われた。図6(A)は、クローンE11およびHyQ培地中の対照細胞株に関するpHi値の経過を示す。図6(B)は、実験中の対応するCO2濃度を示す。これと同じ実験を、炭酸脱水酵素II阻害剤であるエトキシゾラミドによって行い、結果を図7(A)および7(B)に示す。回復の初速度および対照HyQに関して標準化した結果を図8(A)および8(B)に証明する。以下の表は、試験した細胞株の特徴のいくつかを要約する。
(表)
Figure 2014527824
クローンE11は、HyQ培地中の対照細胞株と比較してより速やかなpHi変化を示した。定常状態のpHi値を超えるpHi値の増加は、阻害剤を有しないHyQ培地中での対照細胞株の11分と比較して、クローンE11(pH 7.4まで)に関して酸負荷後8分で観察された。hCAII阻害反応の場合、両方の細胞株に関して細胞をCO2含有培地に曝露後、定常状態は5分を超えた。細胞質酸化後60分で、定常状態を回復した。
二酸化炭素および細胞外pHは、用いた閉鎖系により全ての実験中一定に維持された。阻害剤を有しない実験において、一過性の酸負荷により、クローンE11の試験番号2(11%CO2)以外、細胞をおよそ12%CO2に接触させた。hCAII阻害実験の場合、この値は約9%CO2であった。
細胞の回復速度を、酸負荷後最初の5分での直線反応に関して算出した。この期間において、クローンE11は、HyQ培地中の対照細胞株と比較して34%増加した回復初速度を示した。同じことがhCAII阻害剤の存在下でも認められうる。阻害剤の存在下では、HyQ培地中の対照細胞株およびクローンE11に関してそれぞれ、再アルカリ化速度の減少は30%および19%であると算出された。
HCO- 3の非存在下で塩化アンモニウムによって細胞を酸性化すると、hCAIIありの細胞またはhCAIIなしの細胞の間では回復速度に差はなかった。
大規模培養では、小規模培養時には存在しない多くのパラメータが培養成績において重要な役割を果たす。二酸化炭素の分布は、これらのパラメータの1つであり、非生理的レベルまで二酸化炭素が蓄積すると、細胞に対して負の影響を有しうる。
大規模培養の場合、非常に低い電力での混合時間に関して利用可能なデータはごく限られている。細胞培養用培地8000lのバイオリアクターに関して典型的に100秒(200秒以上からおよそ70秒までの範囲)の混合時間が報告されている(たとえば、NIENOW, A.W., et al, Cytotechnol. 22 (1996) 87-94を参照されたい)。このように、大規模バイオリアクターにおいて、細胞は流体静力学圧力により異なるCO2条件を経験しうる。それゆえ、混合時間がおよそ1〜2分である場合には、pHi変動はより高いものの、クローンE11の再アルカリ化速度などのより高い再アルカリ化速度は有利でありうる。
平行バッチ培養を行った。増加するCO2レベルを用いる培養条件と一定の(生理的)CO2レベルを用いる培養条件とを用いた。2日まで、いずれの培養条件も、5%CO2の一定のpCO2レベルでの培養を含んだ。その後、1つの培養において、pCO2レベルが4日以内に5%から25%まで増加するプロファイルを与えた。各々の他の培養は5%CO2で維持された。培養データを図9および図10に示す。
生存細胞密度を、培養4日目で対照細胞株において得られた最高細胞密度に対して標準化した。浸透圧を、4日後にNaCl溶液によって補正した。
二酸化炭素の増加を長期間制御すると、組換え型タンパク質産生に対して効果を有した(図11を参照されたい)。産物濃度を、HyQ培地中の対照細胞株によって得られた最終産物濃度に対して標準化した。バッチ培養の終了時に、制御されたCO2培養を制御する。クローンE11は、培養工程において産物濃度の増加を示した。細胞特異的生産性は、増加した/増加するCO2レベルで両方の細胞株に関して増加した。
グルコース消費およびラクテート産生に及ぼす異なるCO2プロファイルの影響を、図12に例証する。hCAII発現クローンE11に関して、一定の5%CO2、および増加させたCO2レベルの培養について、それぞれ、3日目においてラクテートは27.5mMおよび26.3mMであると決定された。バッチ培養の終了時、決定されたアンモニウム濃度は約6mMであった。
擬似ヌル法を培養工程中の細胞内pH値のフローサイトメトリー測定に適用した。培養細胞外pHをpH 7.2に制御した。全ての培養の結果を図13に示す。4つ全ての培養に関して、初期細胞内pH値は、pH 7.26からpH 7.29の間であった。その後、pH値は、培養の細胞外pH値より下のpH値まで減少する。プロファイルが25%というそのCO2最高値に達した場合(培養6日目)に、pHiは7.2の値に達した。クローンE11参照株の培養(5%CO2)は、培養5日目で7.14のpHi値を示した。培養5日目では、長期間CO2を増加させた培養に関して、0.16pH単位の差が算出された。代謝に関して遺伝子操作された細胞株は、制御された細胞外pH値による長期間のCO2増加培養中、より高い細胞内pH値を維持することができた。
制御された5%CO2およびCO2プロファイルでの対照細胞株およびhCAIIでトランスフェクトされた細胞株の両方のバッチ培養に関するG0G1期およびS期の細胞の割合(%)を図14に示す。G0G1期の細胞の割合は25%から30%の間で始まったが、S期の細胞の画分は、約47%で始まった。S期の細胞の量は指数増殖期中非常に高く維持された(40%〜50%)。CO2プロファイルによって培養したクローンE11に関して、G0G1期の細胞の割合の増加は、培養後4日目に起こり、4日後に65%まで増加した。HyQ培地中の対照細胞株に関して、増加は5日後に起こり、8日では49%まで増加した。S期の細胞の画分はそれぞれ、クローンE11に関して減少して20%に達し、HyQ培地中の対照細胞株に関して34%に減少した。5%から25%CO2へとCO2プロファイルを増加させると、より早期にG0G1期に入るように細胞を誘発する。
トランスフェクトした細胞は、培養中安定なhCAII発現を示した(一定およびプロファイル、図15)。
pCO2レベルを制御された様式で増加させることによって、アルカリレベルでのpHiの効率的な制御がG0G1期での細胞周期停止を引き起こし、細胞特異的生産性の増加が達成された。
最終産物濃度を11%増加させ、、pCO2レベルを増加させたクローンE11細胞株に関して全培養時間を1日増やしたことが示されうる。
ヒト炭酸脱水酵素II発現細胞株のグリコシル化プロファイルを、当初の細胞株から得たプロファイルと比較した。クローンE11および対照HyQの異なる制御されたCO2レベルでのバイオリアクター培養の終了時に採取した試料を分析して、結果を図16に示す。
ジガラクトシル化(G2)およびマンノース構造の相対量はそれぞれ、全ての培養に関して総グリコシル化の15%および10%未満であった。ガラクトシル化構造の全量は、CO2レベルを増加させて培養したクローンE11と5%CO2で培養したHyQ培地中の対照細胞株の間で10%の差を示した。
全ての培養時に、pHeをpH 7.2に制御した。pHおよびpHiの範囲は7.01から7.31の範囲であった。
概要
hCAII発現細胞株の作製
-簡単なスクリーニング法;得られたクローンは、親細胞株と比較してバッチ培養における細胞の増殖、代謝、またはグリコシル化に対する効果を示さない。
-CHO細胞株においてhCAII遺伝子の線状DNAトランスフェクションによる活性なhCAII酵素の産生。
pHiに及ぼすCAIIの生理的効果
-hCAII発現細胞株に関してCO2酸負荷後のより高い回復初速度に関連する細胞質のより急速な再アルカリ化。
-hCAIIの存在は、特に大きい培養容量での工業的哺乳動物細胞培養条件下での短期間のpH回復において影響を有しうる。
-細胞の細胞質の効率的な再アルカリ化に関してhCAII酵素の正の作用を示す、CO2プロファイル培養下でのhCAII発現細胞に関するよりアルカリ性のpHi。
細胞における長期間のCO 2 増加
-CO2プロファイルの存在下でhCAII発現細胞株の細胞増殖の変化。
-hCAII発現細胞株に関してCO2プロファイルの存在下で最小のpHi変動およびよりアルカリ性のpHi値。
-CO2プロファイルによるクローン細胞株および対照細胞株のより高い特異的生産性に関連する細胞周期のG0G1期に入ること。
-hCAII発現細胞はより早期にG0G1期に入り、非hCAII発現細胞と比較するとこの期の細胞画分の増加はより早期であった。
見解
生産性を増加させるために、長期間のアルカリpHiおよび細胞周期のG0G1期に細胞が入ることを利用するために、たとえば誘導型プロモーターを用いることによって、異なる培養相中にhCAII発現を調節することができる「オンオフ」機構を設計すべきである。
以下の実施例、配列表、および図面は、その真の範囲が添付の特許請求の範囲に示される、本発明の理解を助けるために提供される。記載の手法に改変を行ってもよく、それらも本発明の精神に含まれると理解される。
配列表の説明
SEQ ID NO:01 ヒト炭酸脱水酵素IIをコードする核酸
SEQ ID NO:02 ヒト炭酸脱水酵素IIのアミノ酸配列
SEQ ID NO:03 ヒト炭酸脱水酵素II S2A変種のアミノ酸配列
SEQ ID NO:04 プライマー
SEQ ID NO:05 プライマー
hCAII遺伝子の全体的なタンパク質アラインメント。データバンクNCBIのコード配列(参照番号:NM000067)。His64、His94、His96、およびHis119によって形成される炭酸脱水酵素の活性部位を矢印で印す。 作業容量90mlの250mlシェーカーフラスコにおけるクローンおよび対照のバッチ培養。(A)標準化生存細胞密度;(B)生存率;(C)標準化平均比増殖速度。 (A)グルコースおよびラクテート濃度;(B)細胞特異的グルコース消費およびラクテート産生速度。 (A)アンモニウム濃度;(B)細胞特異的アンモニウム産生速度。 (A)標準化産物濃度;(B)細胞特異的生産性。 酸負荷後のクローンE11および対照細胞株のpHiに及ぼすhCAII発現およびエトキシゾラミドの効果。(A)酸負荷後の細胞内pH回復;(B)酸負荷実験中の二酸化炭素濃度。 酸負荷後のクローンE11および対照細胞株のpHiに及ぼすhCAII発現およびエトキシゾラミドの効果。(A)100μMエトキシゾラミドの存在下での酸負荷後の細胞内pH回復;(B)100μMエトキシゾラミドの存在下での酸負荷実験中の二酸化炭素濃度。 酸負荷後のクローンE11および対照細胞株のpHiに及ぼすhCAII発現およびエトキシゾラミドの効果。(A)酸負荷後の初期pHi回復;(B)pHi回復初速度の比較。 作業容量1.5lのバイオリアクターにおけるhCAII発現細胞株E11のバッチ培養。(A)生存細胞密度およびCO2プロファイル。(B)生存率、比増殖速度、および浸透圧。 作業容量1.5lのバイオリアクターにおける対照HyQ細胞株のバッチ培養。(A)生存細胞密度およびCO2プロファイル。(B)生存率、比増殖速度および浸透圧。 (A)標準化産物形成;(B)産物細胞特異的産生速度。 (A)グルコースおよびラクテート濃度;(B)細胞特異的グルコース消費およびラクテート産生速度;(C)アンモニウム濃度;(D)細胞特異的アンモニウム産生速度。 アミノ酸濃度。(A)グルタミンおよびアスパラギン濃度;(B)トリプトファンおよびリジン濃度 制御された5%CO2およびCO2プロファイルでのクローンE11(A)および対照HyQ(B)のバッチ培養中のG0G1期およびS期の細胞画分における変化。 hCAII遺伝子で安定にトランスフェクトされた細胞株およびトランスフェクトされていない細胞におけるhCAIIのイムノブロット。(A)CO2プロファイル培養物由来の試料のイムノブロット。(B)5%CO2制御培養物由来の試料のイムノブロット。数字は培養日数を示す。陽性対照(PC);ヒト赤血球の炭酸脱水酵素アイソザイムII(Sigma-Aldrich);タンパク質マーカー(M);SeeBluer Plus2予染色標準物質(Invitrogen)。 増加したCO2プロファイル下で細胞によって産生された組換え型タンパク質と制御された5%CO2で産生されたタンパク質のグリコシル化プロファイルの比較。 プロテオミクス分析のためのバッチ培養の試料採取。(A)クローンE11(B)対照HyQ。2日目での(一定の5%CO2)試料AおよびD、4日目(一定の5%CO2)での試料BおよびE、4日目での試料CおよびF(13%CO2)。
分子生物学的方法
CHO細胞のクローンを調製するために、三段階アプローチを行う。第一に、関心対象遺伝子(GOI)を適切な哺乳動物発現ベクターにおいてクローニングする。第二に、得られたプラスミドを大腸菌において調製して、最後に構築物を有するプラスミドをCHO細胞に導入し、そこで所望のDNAをゲノムに組み入れる。
ベクター
hCAII遺伝子(NCBI参照番号:NM000067)の哺乳動物発現ベクターは大きさ4807bpを有し、これは大腸菌においてアンピシリン抵抗性(Ampr)を付与する。pJRC36ベクターの構築は、STERLING, D. AND CASEY, J.R., Biochem. J. 344 (1999) 221-229によって記述される。
プラスミドDNAの制限消化
ヌクレオフェクションのために線状DNAを調製するために、DNA 20μgを、制限酵素ApaLI 100単位を含む全量200μlの反応混合物においてインキュベートした。37℃で4時間のインキュベーションにより制限消化が起こった。その後、試料100ngをゲル電気泳動によって分析した。DNA線状化の確認後、DNAから酵素および塩を除去するために、フェノール-クロロホルム抽出およびエタノール沈殿によるさらなる精製段階を行った。
プライマー設計
長さ20〜22ヌクレオチドおよび約50%のGC含有量を有する、シークエンシング目的のためのプライマーを選択した。プライマーの融解温度は、二本鎖DNA(dsDNA)の50%が変性する温度として定義される。アニーリング温度(TA)は、プライマーが一本鎖DNA鋳型にアニールする温度であり、TMより5℃低いと考えられる。融解温度は、60℃から80℃の間であり、プライマー対の間で5℃を超えて異なることがなかった。プライマーは、3塩基対を超えてのプライマー間相同性を有しないように設計した。同様に、正確な結合を確実にするために、プライマーの3'末端に複数のGまたはC残基を含めることが考慮された。
プライマーは全て、プログラムClone Manager Suite 7(Sci-Ed Software)によって設計した。以下の表は、ベクターにおけるhCAII遺伝子のシークエンシングのために用いられる得られたプライマーの概要を示す。これらのプライマーは、Invitrogen社から購入して、LAL-H2Oに最終濃度10pmol/μlとなるように溶解して、-20℃で保存した。プライマーの方向は、センスプライマーに関して「+」でおよびアンチセンスプライマーに関して「-」で示す。プライマーハイブリダイゼーション領域の位置も同様に示す。融解温度(TM)を、プログラムClone Manager Suite 7(Sci-Ed Software)によって算出した。
(表)
Figure 2014527824
シークエンシング
hCAIIのシークエンシングは、Center for Biotechnology(CeBiTec, Bielefeld, Germany)で行った。
哺乳動物細胞のヌクレオフェクション
ヌクレオフェクションは線状DNAについて行った。CHO細胞のヌクレオフェクションを、製造元(Amaxa Biosystems, Cologne, Germany)によって提供されるプロトコールに従ってNucleofector(商標)IIによって行った。簡単に説明すると、細胞5×106個を採取して、Cell Line Nucleofector(商標)溶液V 100μlおよび線状DNA 4μgと軽く混合して、0.1 cmギャップキュベットに移した。直後に、細胞をNucleofector(商標)II(Amaxa Biosystems)のプログラムU-024によってパルスした後、予め加温したHyQ培地10mlを含む15ml falconチューブにピペットで移して、200×gでRTにおいて10分間遠心沈降させた。沈降物を予め加温したHyQ培地5mlに浮遊させて、T-25フラスコに移した。37℃および5%CO2で24時間インキュベートした後、細胞を生存率および発現(トランスフェクション効率)の両方に関してアッセイした。48時間後、クローン混合物を単クローン単離のために限界希釈に供した。
哺乳動物細胞
抗体を産生するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株を用いた。ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)陰性の親CHO細胞株に、DHFRおよび抗体の両方の遺伝子を含む組換え型ベクターをトランスフェクトすることによって、細胞株を作製した。トランスフェクトした遺伝子を、DHFR阻害剤およびメトトレキサート(MTX)によって増幅した。高い産生細胞を選択してクローニングした。最終細胞株はまた、ヒグロマイシンに対する抵抗性も含む。
哺乳動物細胞の培養のための培地
メトトレキサートを含む前培養用培地を接種物調製のために用いて、産生培地において主培養を行った。異なる成分をMilliQ-H2Oに溶解した。培地のpH値を、25%(v/v)HClによってpH 7.2に調節した。濾過滅菌(0.2μm)して補助物質を添加後、培地を4℃で保存した。滅菌試験を37℃で48時間行って、培地を産生後多くて4週間用いた。市販のHyQ(登録商標)SFM4CHO(商標)ユーティリティ培地(HyClone)をヌクレオフェクション後の増殖培地として用いた。
モノー動態
以下は、比速度を算出するための式である。このタイプの培養戦略に関してバイオリアクターからの流入または流出はないことから、体積は一定であると見なされる(等式10.2)。増殖しつつある培養の細胞濃度(X)は、等式10.2に従って時間(t)と共に変化して、積分して対数をとった後、比増殖速度(μ)を算出するための等式を作成する。培地培養の基質は、細胞増殖の結果として消費される。それらは、代謝プロセスを維持するためにおよび産物を形成するために細胞によって用いられる。特異的基質消費(qS)および産物形成速度(qP)をそれぞれ、等式10.4および10.5によって算出し、平均細胞濃度(Xm)を等式10.6に従って算出した。
Figure 2014527824
ワーキングセルバンク(WCB)の確立
全ての実験に関して十分な細胞起源を確保するために、当初の細胞株(対照)のワーキングセルバンク(WCB)を設定した。それゆえ、指数増殖培養に関して、細胞密度および生存率を測定した。その後、細胞を収集して、細胞沈降物を5%DMSO(ジメチルスルホキシド)を含む既定量の冷却した前培養用培地に、最終細胞濃度が1×107個/mlとなるように浮遊させた。この細胞浮遊液4mlを名目体積4.5mlのクライオバイアル(Nunc(登録商標))中でアリコートにして、細胞浮遊液を、IceCube 1800(SY-LAB GmbH)によって製造元の説明書(Instructions Manual for Ice Cube 1800, V4.01 from 08.01.2001, SY-LAB)に従って凍結した。クライオバイアルを長期間保存のために液体窒素のガス相に移した。
hCAIIクローンまたはHyQ培地中の対照細胞株のWCBは、いずれも5%DMSOを含むHyQ凍結培地または前培養凍結培地のいずれかによって行った。それゆえ、細胞1×107個/バイアルを、冷却速度-1℃/分を誘導する5100 Cryo 1_Cフリージングコンテナ(Nalgene(登録商標))において-80℃で終夜凍結した。その後、クライオバイアルを液体窒素のガス相に移した。
培養
バックアップまたは接種培養および平行試験バッチを、バイオリアクターチューブおよび振とうフラスコなどの使い捨ての培養システムにおいて行った。50mlポリプロピレンバイオリアクター円錐チューブ(TPP)および異なる名目容量(125ml、250mlおよび500ml)のポリカーボネートアーレンマイヤーフラスコ(Corning)を用いた。いずれも、無菌性を維持してガス交換を容易にするために、0.22μm疎水性メンブレンを組み入れたポリエチレンプラグシールキャップを備えた。バイオリアクターチューブに関して、作業容量は10mlから20mlの範囲であり、振とうフラスコの場合、作業容量は名目容量の40%から60%の範囲であった。培養は、インキュベータ(Mytron)において37℃で5%CO2において80%湿度で行った。125rpmでの軌道振とう(Innova 2300, New Brunswick Scientific)またはバイオリアクターチューブに関しては185rpm(ES-X, Kuhner)および0度の傾斜角によって、撹拌を行った。
バックアップ培養
対照細胞株の1つのWCBクライオバイアルを、37℃の水浴中で急速に融解して、細胞浮遊液を前培養用培地(RT)10mlと混合した。DMSOを除去するために遠心沈降(200×g、10分間)させた後、沈降物を、室温で前培養用培地10mlに浮遊させた。細胞密度および生存率の測定後、125ml振とうフラスコに細胞5×105個/mlを接種した。
クローンまたはHyQ培地中の対照細胞株の融解法は、沈降物を新鮮な前培養用培地15mlに浮遊させた後に細胞を185rpm(ES-X, Kuhner)および傾斜角0度で50mlバイオリアクターチューブにおいて培養したことを除き、対照株に関して記述した手法と類似であった。2日後、細胞を125ml振とうフラスコに移した。
継代培養を、対照細胞株に関して4×105個/ml、またはhCAII過剰発現クローンおよびHyQ培地中での対照細胞株に関して6×105個/mlの初期細胞密度で3日毎に行った。バックアップ培養は多くて1ヶ月間行った。
平行バッチ
細胞を6×105個/mlで播種して、作業容量90mlの250ml振とうフラスコにおいて185rpmで前培養用培地において培養した。2日間の適応相の後、主培養を産生培地に接種した。試料2mlを細胞密度分析のために毎日採取して、1mlをRTで10 分間遠心分離(200×g)した。無細胞試料中のアンモニウム濃度を測定して、残っている上清をアリコートにして、グルコース、ラクテート、および産物分析のために-20℃で保存した。生存率が40%未満に低下した場合には培養を中止した。細胞を回収して無細胞上清40mlを-20℃で保存した。
クローンスクリーニング
クローン細胞株の生成に関して、選択培養条件下(選択圧)での96ウェルプレートでの培養によって単細胞が得られるように、クローンプールを希釈した。ヌクレオフェクションの48時間後、細胞密度および生存率をチェックした。クローンプールを遠心沈降させて、沈降物を選択培地(5%FBSおよび400μg/ml G418を添加したHyQ培地)中で生存細胞2×103個/mlの濃度に浮遊させた。96ウェルプレート(平底、Nunclon(商標)、Nunc)の各ウェルにおいて選択培地150μl中で生存細胞100、20、10、および5個を接種するために、さらに希釈を行った。コロニーを形成させるために、プレートを37℃および5%CO2でインキュベートした。7日後、選択培地50μlをウェルに加えた。選択培地において8日から12日の間に、プレートを定期的にチェックして、1つのコロニーを含むウェルに印をつけた。選択法の開始後17日目に、最初に培地を吸引して、PBSによる洗浄段階の後、細胞を1×トリプシン(Invitrogen)50μlと共に37℃で5分間インキュベートすることによって1つのコロニーをトリプシン処理した。次に、トリプシン処理した細胞を24ウェルプレートに移して、選択圧をかけずにさらに培養した。コロニーの大きさが許す限り、コロニーを35mm皿においてさらに培養した。90%を超えるコンフルエンシーに達すると、細胞の一部を採取して、hCAII発現分析のために調製して、他の部分をt-25フラスコ、t-75フラスコ、バイオリアクターチューブ、および最後に125mlアーレンマイヤーフラスコにおいてさらに増殖させた。指数増殖期の中心で細胞を分割して、その半分を、5%DMSOを含むHyQ培地中で凍結保存した。他の半分を遠心分離して、前培養用培地に浮遊させて、さらに指数増殖期の中心まで培養した。5%DMSOを有する前培養用培地において凍結保存を行った。HyQ培地におけるスクリーニング工程全体において、対照細胞株を培養して、それに従って凍結保存した。
バイオリアクター培養
バッチ培養を、作業容量1.5LのマルチバイオリアクターシステムBiostat(登録商標)B-DCU(Sartorius AG)において行った。工程パラメータのオンラインモニタリングを、pH電極、pO2電極、pCO2電極および温度電極などの定位置のセンサーによって行った。工程パラメータは、DCUローカルコントローラー(Sartorius AG)を通して制御した。pH値は、1M NaOHまたは1M HClを添加することによって自動的に7.20±0.01に制御した。バイオリアクターの通気は、インペラー下で培養液中に浸したリングスパージャーによって滅菌ガス混合物(0.2μ入口滅菌フィルター)によって行った。排気ガスは、排気ガス冷却器によって冷却され、出口滅菌フィルターの中を通ってバイオリアクターから出た。バイオリアクターは、2つの4枚刃Rushton型インペラーを備えた。pO2制御に関して、ガス流速(GAFR)および撹拌(STIR)のカスケードを、全流速60mlによって比率モードで用いた。空気と窒素とを含む混合ガスを用いて、溶存酸素濃度を30.0±0.1%空気飽和で維持した。空気流速が最高値に達すると、撹拌(第二のカスケードパラメータ)を細胞酸素要求量に応じて制御した。初期撹拌値は80rpmであった。CO2とN2のさらなる混合物を用いてpCO2を所望の濃度(一定の5%CO2、または5%から25%CO2への持続的CO2プロファイル)で制御した。バイオリアクター温度は37℃に維持され、ジャケット水温を通して制御された。CO2制御培養計数間の浸透圧の差を除外するために、較正された蠕動ポンプを通して1M NaCl(1843 ミリオスモル/kgと同等)を添加してこのパラメータを手動で補正した。泡立ちを避けるために、必要であれば1%消泡液を添加した。プローブが定位置にあり1.5l PBSを充填したリアクターを圧力試験に供した。その後、121℃で50分間の蒸気滅菌を行った。
主培養に関する接種物を、バイオリアクターにおいて指数増殖期の中心に達するまで5%CO2および産生培地において調製した。主培養を6×105個/mlで接種した。試料を採取するため、ルアーロック(DASGIP GmbH)を備えた滅菌カップリングシステムを用いた。細胞の増殖、生産性、細胞の代謝、細胞生理学等のために試料を24時間ごとに採取した。試料を採取する場合、ルアーロックシステムを有するシリンジを、バイオリアクターにおいてルアーロックシステム構成と共に用いた。培養物の代表的な試料を得るために、流動前の試料(試料約5ml)を採取して、その後、十分量の細胞浮遊液を採取して、オフライン分析(pH、pCO2)および細胞密度測定に関して、血中ガスアナライザ(約100μl)において直接測定した。残りの細胞浮遊液の一部を、培養時の細胞周期分析(細胞2×106個)およびhCAII発現レベル(細胞1×106個)のための試料を作製するために用い、他の部分を200×gでRTにおいて10分間遠心分離した。無細胞試料中のアンモニウム濃度を測定して、残りの容量をアリコートにして、グルコース、ラクテート、および産物分析のために-20℃で保存した。pHi測定に関して、細胞浮遊液約2.5mlを得た。最後に、試料採取システムを70%エタノールによって滅菌した。
生存率が40%未満まで減少するまで培養を行った。この時点で、細胞をバイオリアクターから無菌的に回収して、上清40mlをグリカン分析のために凍結した。pCO2、pO2、およびpHプローブを除去して、バイオリアクターに0.2M NaOHを充填した。終夜(45℃、100rpm)不活化を行った。最後に、リアクターをMilliQ-H2Oによって洗浄した。
生存細胞密度および生存率の測定
培養物の細胞密度および生存率を、自動細胞計数システムCedex(Cell Density Examination System, Roche Innovatis GmbH)によって測定した。測定法は、生存細胞および死細胞を決定するための十分に確立されたトリパンブルー色素排除法に基づく。試料の取り扱い、染色、細胞計数、画像獲得、および分析は、Cedexによって自動的に行った。よりよい精度のために、各試料に関して各1mlの2回の測定を行った(画像30個)。使い捨てのバイオリアクター実験由来の試料を、測定前にPBSによって1:2に希釈した。
代謝物のグルコースおよびラクテートの測定
自動グルコース-ラクテートアナライザYSI 2700D Selectを、上清中のこれらのパラメータを測定するために用いた。機器は、既定の濃度のグルコースおよびラクテート溶液によって自動的に較正する。それぞれに関して試料150μlが必要である繰り返し測定を行った。試料は全て、測定濃度が標準液の濃度未満となるようにPBS緩衝液中で希釈した。
アンモニウムの測定
アンモニウムの特異的でありかつ感度のよい測定は、アルカリ環境でアンモニウムを蛍光誘導体へと誘導体化することによって行われる。測定するために、RT試薬(メタノール1ml中にOPA25mg、チオグリコレート25mg、0.4Mホウ酸ナトリウム緩衝液10mlによってpHを10.4にする)1.3mlを1.5ml蛍光キュベット(Plastibrand(登録商標)、Brand)にピペットで移し、ベースライン/値をゼロに調節した。次に、無細胞試料20μlを試薬と混合して、反応工程を追跡した。評価された最高発光強度を記録した。試料中のアンモニウム濃度を決定するため、参照値(標準液5.56mMアンモニウム)をそれに応じて測定した。試料中のアンモニウム濃度は以下の関係によって決定した。
Figure 2014527824
浸透圧の測定
上清の浸透圧を、凝固点降下浸透圧計(Osmomat Auto, Gonotech GmbH)を用いて測定した。試料の測定は、無細胞上清150μlによって行った。浸透圧の値は、ミリオスモル Kgとして表記した。MilliQ-H2O(0 ミリオスモルl/kg)および既定の浸透圧の標準液(280 ミリオスモル/kgまたは320 ミリオスモル/kg;Gonotech GmbH)によって2点較正を行った。
産物濃度の測定
組換え型タンパク質の濃度は、AG Cell Culture Technologyの技術者によるサイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SEC-HPLC)によって行った。
溶存ガス分析
pH値およびCO2濃度の定量的測定を、自動血中ガスアナライザAVL COMPACT 3(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany)によって行った。測定には試料100μlの量が必要である。CO2(%)を等式10.10によって算出した。
Figure 2014527824
フローサイトメトリー
フローサイトメトリー分析は、励起波長488nmのアルゴンレーザーを用いてFACSCalibur(商標)(Becton Dickinson)によって行った。データ獲得および分析は、CellQuest(商標)Proソフトウェアを備えたG4 Apple Macintoshコンピューターを用いて行った。前方光散乱(FSC)および側方散乱(SSC)を用いて細胞の大きさおよび粒度を調べた。
細胞内pH測定
pHi測定を、市販のpHi蛍光指示薬であるCarboxy SNARF-1 AM(Molecular Probes Inc.)によってフローサイトメトリーによって行った。この色素は、細胞内に容易に入り、非特異的なエステラーゼによって加水分解されて遊離の蛍光色素を生じるアセトキシメチル(AM)エステルである。SNARF-1 AMは、生理的範囲内のpHi変化に対して非常に感度が高い。これは488nmから530nmの間で励起され、蛍光発光は2波長で、典型的に約580nm(FL2-H)および640nm(FL3-H)でモニターされる。これは、pHiをより正確に決定するために蛍光発光の波長比を算出できることから特に興味深い。この比測定技術を用いることにより、光退色、細胞の厚さ、ならびに指示薬(SNARF(登録商標)pH指示薬、製品情報、2003、Molecular Probes Inc.)の漏出および不均一な負荷などの多数の蛍光測定のアーチファクトが除去される。本明細書において。擬似ヌル較正法を用いた。方法は、(i)弱酸または塩基の非電離型のみが細胞膜を通過することができる、(ii)解離定数、pKaおよびpKbが細胞の内外で同じであり、および(iii)pHiを調節する機構が、観察されるpHi(または蛍光)の重要な変化に影響を及ぼさないという仮定に基づいている。較正溶液を、弱塩基の濃度と弱酸の濃度がpHiにおいて等しいが反対の変化を生じる(すなわち、pHa=pHb)ように調製すると、単純化を検討することができる。pHi決定に関して得られた関係を等式10.11において表す。
Figure 2014527824
pHiが細胞外pH値(pHe)、および溶液中に存在する弱塩基(B)と弱酸(A)の濃度比に依存する場合、pHiにおける変化を示さない弱酸と弱塩基の比率は、pHiの増加が最小(「ゼロ点」)であるそれらの間に外挿することができると考えられる。酸-塩基比のモル濃度が十分である場合、同じ比率の酸対塩基をさらに添加しても、pHiにおける変化を引き起こさず、値は、等式10.11を満足する新規ヌル値(擬似ヌルと呼ばれる)を反映した。それゆえ、十分なモル濃度の一連の酸対塩基混合物に細胞を曝露することによって、擬似ヌルpH値対蛍光比のプロットから検量線を得ることができる。それらの混合物は、酪酸(BA)およびトリメチルアミン(TMA)によって行った(表3)。較正溶液の調製は、FBSを含むHEPES緩衝液(HDFBS緩衝液と呼ばれる;以下の表)において行った。FBSの添加は、細胞の生理的条件の維持を助ける。
(表)
Figure 2014527824
5ml使い捨てシリンジにSNARF-1 AM(DMSO中で2mM)22μlを予めロードした。次に、試料2.5mlをバイオリアクターから採取して、シリンジをルアーストッパー(Rotilabo)によって閉鎖して、細胞を37℃で25分間染色した。次に、染色細胞200μlを、37℃のHDFBS緩衝液200μlと混合して、FACSによって測定した。試料を複数通り分析した。蛍光の発光を580nm(FL2-H)および640nm(FL3-H)で測定した。
同じ試料採取した染色細胞によって検量線を確立した。それゆえ、以下の表に示されるように、酪酸(BA)およびトリメチルアミン(TMA)の異なる量をHBFBS緩衝液に添加することによって、6倍濃縮標準液を調製した。
(表)
Figure 2014527824
各溶液200μlの量をポリプロピレンチューブにピペットで移して、蒸発を回避するためにキャップによって蓋をして37℃でインキュベートした。色素負荷細胞200μlと、アリコートにして予め加温した6倍較正溶液200μlとを混合することによって、較正を得た。フローサイトメトリーの獲得は、「HIGH RUN」様式で20秒後に開始して、総事象10,000個を分析した。フローサイトメトリー分析の前に、細胞を有する2つの較正混合物を、血中ガスアナライザによって測定して、正確な外部pH値を得た。発光蛍光比640nm/580nmを、プログラムFCSassist(商標)1.0によって算出した。さらなるデータ分析は、CellQuest(商標)Proソフトウェアによって実行した。SNARF-1蛍光を保持することができなかった細胞を、ゲート設定により蛍光ヒストグラムから除外した。ヒストグラムFL3-H/FL2-H対計数分析から、ヒストグラムの統計量を作製して、平均蛍光値を記録した。較正試料の真の外部pHに関する情報により、等式10.11を用いて誘導されたpHiを算出した。各標準物質の平均蛍光比を、算出され誘導されたpHiに対してプロットした。試料pHiを曲線から得た。
再アルカリ化実験
pHiの調節を、重炭酸イオンによる細胞内酸性化中にフローサイトメトリー分析によって調べた。輸送体の動態を調べた。この試験は、生理的条件下で行われた。それゆえ、他の培地成分の影響を説明するために緩衝液の代わりに培地を用いた。他の細胞pHi調節システムの活性を消去するために、細胞を、HEPESによって緩衝化した重炭酸イオンを含まない培地中でプレインキュベートした。pHe変化を引き起こしうるCO2の脱気を防止するために、閉鎖系を構築して、それによってpHi変化が起こった。このシステムは、短いチューブと2つのルアーチューブコネクター(Rotilabo(登録商標))によって接続された2つの使い捨ての5mlルアーロックシリンジ(B.Braun AG, Melsungen, Germany)からなる。これらのルアーコネクターにより、2つのシリンジの急速で容易な接続/切断が可能となった。
シリンジAは、重炭酸イオンを含まない産生培地中に染色細胞を含み、シリンジB産生培地は、4.2g/l NaHCO3(pH 7.2で25%CO2に対応する)を有する産生培地を含んだ。いずれの培地も20mM HEPESを含み、37℃でpH 7.2に調節した。酸負荷は、重炭酸イオン含有培地をシリンジBからシリンジAへと押し出すことによって行った。5mlシリンジにSNARF-1 AM(2mM保存液;表3)22μlを予めロードした。指数増殖期の細胞1×106個を収集して、重炭酸イオンを含まない培地4mlによって1回洗浄した。その後、細胞浮遊液を、予め蛍光色素をロードしたシリンジに吸引(気泡を生じないように)して、それらをルアーストッパーによって閉鎖して、軽く混合した。細胞の沈降を防止するために定期的に混合しながら37℃で25分間の暗所でのインキュベーション期間の後、溶存ガスおよびフローサイトメトリー分析を行った。重炭酸イオンを含まない培地中にロードした細胞の3回測定を行った後、細胞質の酸性化を行った。次に、シリンジBをシリンジAに接続して、NaHCO3含有培地の2倍量を加えた。シリンジBを捨てて、シリンジAを閉鎖して、短時間混合した後、酸負荷細胞をフローサイトメトリーによって分析した。さらに、いくつかの試料を血中ガスアナライザによって測定して、実験中の培地中CO2含有量を決定した。
再アルカリ化効果がhCAII過剰発現によるものであるか否かを調べるために、hCAII阻害剤であるエトキシゾラミド(ACTZ)を用いた。hCAII阻害実験に関して、100μMエトキシゾラミド(保存液;4℃で保存した100mM ACTZのDMSO溶液)を添加した培地を用いた。実験手法は上記と同じであった。
細胞周期
本明細書において、デオキシリボ核酸(DNA)含有量は、細胞周期分析のために測定されている。生存率が60%未満に減少するまで、試料を24時間ごとに採取した。細胞およそ1×106個を収集して、遠心沈降(200×g、10分間、RT)させることによって冷PBSによって2回洗浄した。次に、細胞を、固定して、氷冷70%エタノール1mlによって透過性にして、染色するまで-20℃で保った。染色前、細胞を、遠心沈降させた後PBS/0.1%サポニンによって洗浄した。細胞を、室温の暗所で45分間インキュベートすることによって、染色溶液(PBS/0.1%サポニン、40μg/ml RNアーゼS、20μg/ml PI)1mlによって染色した。フローサイトメトリー分析を行うまで、氷上で染色細胞をインキュベートすることによってRNA分解反応を停止させた。流速<200個/秒での「ローラン(LOW RUN)」様式で、データを獲得した。G0G1細胞画分をFL3-H(640nm)ヒストグラムのチャンネル200において獲得した。細胞の積分蛍光をコンピューターソフトウェアModFit(商標)LT(Becton Dickinson)によって分析して、G0G1期、S期、およびG2M期の細胞の百分率を得た。
タンパク質の抽出
ウェスタンブロットに関して
細胞約1×107個を収集して、冷PBSによって2回洗浄した。細胞沈降物を溶解緩衝液(RIPA緩衝液、以下の表を参照されたい)600μl中に浮遊させて、氷上で5分間インキュベートした。溶解は、5分間の超音波処理段階、その後の氷上での30分間のインキュベーションとともに進行した。次に、溶解物を16,200×gで4℃において30分間遠心分離して、細胞の破片を除去した。タンパク質溶液を-20℃で保存した。
(表)
Figure 2014527824
hCAII活性に関して
タンパク質抽出をRIPA緩衝液(前の表を参照されたい)によって行った。細胞約1×107個を収集して、冷PBSによって2回洗浄した。得られた沈降物をRIPA緩衝液2mlに浮遊させて、溶液を-80℃で2時間凍結した。氷上で融解させた後、細胞浮遊液をUltrasonic finger(Sonifier 250, Branson)によって15秒間処置した。細胞の破片を遠心沈降させて(17,000×g、1時間、4℃)、炭酸脱水酵素活性を測定するまで、サイトゾルタンパク質を-20℃で保存した。
プロテオミクス分析に関して
細胞1×108個を、両方の細胞株(クローンE11およびHyQ培地中での対照細胞株)に関して、培養2日目(CO2プロファイルの前)および4日目(CO2プロファイルを開始した2日後)にバイオリアクターから収集した。細胞を冷PBS(200×g、10分)によって洗浄して、沈降物を細胞溶解まで-80℃で保存した。凍結した細胞沈降物をTE緩衝液(上記の表を参照されたい)1mlに浮遊させた。次に、セリンプロテアーゼ阻害剤保存液であるフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)20μlおよびDNアーゼ/RNアーゼ混合保存液100μlを添加した(上記の表を参照されたい)。ガラスビーズ(約0.15mm;BioSpec Products Inc.)1 gを含む2ml容器に溶液中の細胞を移した後、ボルテックスミキサーにおいて各30秒間行った4回のホモジナイゼーションサイクルによって機械的細胞破壊を行った。各サイクルの間、細胞を氷上で保存した。その後、溶液中のタンパク質を細胞破片およびガラスビーズから遠心分離段階(16,200×g、20分間、4℃)によって分離した。溶液および細胞区画中のタンパク質を分離するため、106,000×gで4℃において1時間の超遠心分離(Optima(商標)L-90K, Beckman Coulter Inc., USA)を行った。上清のタンパク質含有量を決定するために、タンパク質抽出物の一部を、BCAアッセイ法を行うために採取した。タンパク質溶液の残りを-20℃で保存した。
タンパク質濃度の測定
タンパク質濃度の測定は、タンパク質定量キット(Uptima/Interchim)を用いてビシンコニン酸(BCA)法によって行った。これは、タンパク質のペプチド結合によるCu(II)のCu(I)への還元を伴う。ビシンコニン酸は、Cu(I)イオンと非常に高い特異性で錯体を形成して、水溶性の紫色の錯体を形成する。反応を、最終Cu(I)錯体の高い吸光度に一致する562nmで測定する。タンパク質濃度は吸光度に比例する。これは、製造元によって記述されたプロトコールに従い、検量線の範囲は20μg/mlから2,000μg/mlの間のウシ血清アルブミン(BSA)であった。試料および標準物質を対応する溶解緩衝液中で希釈した。吸光度は、Photospectrometer PowerWave(商標)HT(BioTek Instruments)によって測定した。定量はソフトウェアKC4(BioTek Instruments)によって行った。
アセトン沈殿
10μgまたは40μgおよび150μgまたは450μgのアリコートをウェスタンブロッティングのために調製した。それゆえ、試料1容量を9倍量の氷冷アセトンと混合した。次に、試料を-20℃で終夜インキュベートした。遠心分離(16,200×g、30分間、4℃)して沈殿したタンパク質を沈降させた後、上清を除去して、望ましくないアセトンをRTで蒸発させた。乾燥させたタンパク質沈降物を-20℃で保存した。
SDS-PAGE
ゲル電気泳動モジュールおよびゲルカセットの調製は、製造元の説明書(Invitrogen)に従って行った。分析されるタンパク質試料沈降物および陽性対照(ヒト赤血球の炭酸脱水酵素アイソザイムII、1mg/ml、Sigma Aldrich)20μgを試料緩衝液(4×、NuPAGE(登録商標))、還元剤(10×、Invitrogen)、およびMilliQ-H2Oと共に最終容量20μlとなるように混合した。タンパク質の二次および三次構造の変性ならびに還元(システイン残基の間のジスルフィド結合の切断)は、サーモブロック中で試料を70℃で10分間インキュベートすることによって行った。最後に、試料および分子量マーカー(SeeBlue(登録商標)Plus2予染色標準物質、4kDa〜250kDa;Invitrogen)5μlを10%NuPAGE(登録商標)Novexビストリスゲル(Invitrogen)スロットにロードした。ゲルをNuPAGE(登録商標)MOPS SDS泳動緩衝液によって泳動させて、さらに、電気泳動カメラの中央部で泳動緩衝液中の0.25%(v/v)抗酸化剤試薬によって還元条件を得た。ブロモフェノールがゲルの端部に達するまで、200VでXCell(商標)Sure Lockシステム(Invitrogen)においてゲルを泳動させた。
ウェスタンブロット
この実験のために必要な溶液を以下の表に記述する。
(表)
Figure 2014527824
SDS-PAGE後、分離したタンパク質をゲルから薄いHybond(商標)P PVDFメンブレンに転写した。この前に、メンブレンを予めメタノールによって湿らせて(30秒間)、転写緩衝液中で平衡にした。XCell II(商標)ブロットモジュールを製造元の説明書に従って設定した。転写緩衝液をブロッティングモジュールの内部に添加してMilliQ-H2Oを外部に添加した。ブロッティングは、35Vの一定電圧で1時間行った。次に、以下の段階における非特異的抗体結合を防止するために、メンブレンをブロッキング溶液(1時間、振とうさせながら、RTにおいて)20ml中でブロッキングした。メンブレンを2回洗浄後、炭酸脱水酵素IIを3段階手法において検出した。第一段階において、メンブレンを1:50,000または1:20,000倍の特異的一次抗体希釈液(CAIIに対するウサギポリクローナルIgG、10mg/ml、Abcam)と共に終夜インキュベート(4℃)した。第二のインキュベーション段階(1時間、RT)において、1:4,000ペルオキシダーゼコンジュゲート二次抗体希釈液(ECL(商標)ロバ抗ウサギIgG、HRP結合、0.20mg/ml、GE Healthcare)を適用した。最終段階において、メンブレンをECL(商標)Plusウェスタンブロッティング試薬(Amersham)に曝露して、エンハンスド化学発光(ECL)およびオートラジオグラフィーECLフィルム(Hyperfilm(商標)ECLTMフィルム、Amersham)によって、製造元の説明書に従って定性的分析を行った。異なる抗体とのインキュベーションの間および検出前に、メンブレンを洗浄溶液によって簡単に洗浄した後、15分間の洗浄段階を2回行った。洗浄段階は全て、振とうさせながらRTで行った。フィルム露出時間は30秒〜5分であった。次に、タンパク質バンドが良好な解像度を得るまでフィルムを現像した後、MilliQ-H2Oによる簡単な洗浄段階、および約10分間の固定を行った。次に、フィルムを約30分間水に浸した後、最終的に乾燥させた。
炭酸脱水酵素活性
溶解物中の炭酸脱水酵素活性を、SILVERMAN(SILVERMAN, D.N., Methods Enzymol. 87 (1982) 732-752)によって開発された18O交換法を用いて測定した。18O交換法は、化学平衡でのCO2と水の18Oの交換のメンブレンインレット質量分析による評価に基づく(等式10.12および10.13)。
Figure 2014527824
対照細胞株由来ならびにクローンG9およびE11由来の溶解物を2つの異なるアプローチによって調製した。それらの一方は、RIPA緩衝液中での細胞質タンパク質抽出に着目し、もう一方は、TE緩衝液中でのガラスビーズによる機械的破壊によるタンパク質抽出に着目した。陽性対照として、市販の炭酸脱水酵素II(ヒト赤血球の炭酸脱水酵素アイソザイムII;Sigma Aldrich)を用いた。溶解物を2つのアリコートに分けて、CAII活性の測定における緩衝液組成および他のタンパク質の影響を除外するために、陽性対照を試料の1つに加えた。陽性対照を含む溶液の総酵素濃度を、高度のCAII結合阻害剤であるエトキシゾラミド(EZA)による滴定曲線の阻害データに対する直線回帰フィッティングを用いてコンピューター計算した。この値を、等式10.14を用いて試料中のCAII濃度を算出するための標準物質として用いた。
Figure 2014527824

Claims (14)

  1. 以下の段階を含む、ポリペプチドを産生するための方法:
    (a)炭酸脱水酵素をコードする第一の核酸と該ポリペプチドをコードする第二の核酸とを含む哺乳動物細胞を培養する段階;および
    (b)該ポリペプチドを該細胞または培養用培地から回収して、それによって該ポリペプチドを産生する段階。
  2. 前記培養する段階が、第一の一定pCO2値を用いる第一の期間、およびその後の、該第一の一定pCO2値から第二のpCO2値まで増加するpCO2値を用いる第二の期間にわたることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 前記培養する段階がさらに、前記第二の期間の後の、前記第二のpCO2値を用いる第三の期間にわたることを特徴とする、請求項2記載の方法。
  4. 前記第一の一定pCO2値が約4%〜約9%であることを特徴とする、請求項2または3記載の方法。
  5. 前記第一の一定pCO2値が約5%であることを特徴とする、請求項4記載の方法。
  6. 前記第二のpCO2値が約15%〜約30%であることを特徴とする、請求項2〜5のいずれか1項記載の方法。
  7. 前記第二のpCO2値が約25%であることを特徴とする、請求項6記載の方法。
  8. 前記炭酸脱水酵素が、炭酸脱水酵素IIまたは炭酸脱水酵素Vであることを特徴とする、前記請求項のいずれか1項記載の方法。
  9. 前記炭酸脱水酵素がヒト炭酸脱水酵素IIまたはヒト炭酸脱水酵素Vであることを特徴とする、請求項8記載の方法。
  10. 前記炭酸脱水酵素がSEQ ID NO:03のアミノ酸配列を有することを特徴とする、請求項9記載の方法。
  11. 前記ポリペプチドが、抗体、または抗体コンジュゲート、または抗体断片、またはFc領域融合ポリペプチドであることを特徴とする、前記請求項のいずれか1項記載の方法。
  12. 前記哺乳動物細胞がCHO細胞であることを特徴とする、前記請求項のいずれか1項記載の方法。
  13. 前記CHO細胞がCHO K1細胞であることを特徴とする、請求項12記載の方法。
  14. ヒト炭酸脱水酵素IIまたはその変種をコードする第一の核酸と、抗体、または抗体コンジュゲート、または抗体断片、またはFc領域融合ポリペプチドをコードする第二の核酸とを含む、CHO細胞。
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