JP2014526909A - 吸光性の薄膜を使用して、皮膚又は生物学的障壁まで若しくは皮膚又は生物学的障壁を通じて、化合物を効率的に送達する装置 - Google Patents

吸光性の薄膜を使用して、皮膚又は生物学的障壁まで若しくは皮膚又は生物学的障壁を通じて、化合物を効率的に送達する装置 Download PDF

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Abstract

本発明は、迅速かつ効率的にレーザーパルス中のエネルギーを高インパルスの広帯域圧力波に変換することのできる装置、及び、損傷又は不快感を引き起こさずに、皮膚の外層を含む生体膜の過渡的透過化へそれを応用することに関する。この装置を使用して、皮膚又は生物学的障壁まで又は通過して、薬剤及び生物活性物質を送達する方法も開示される。

Description

本発明は、迅速かつ効率的にレーザーパルス中のエネルギーを高インパルスの広帯域圧力波に変換することのできる装置、及び、損傷又は不快感を引き起こさずに、皮膚の外層を含む生体膜の過渡的透過化へそれを応用することに関する。本発明は、レーザーによる効率的な圧力波発生の物理的原理、圧力波の振幅を最大限にし、その立ち上り時間を最小限にする吸収物質の特性、及び、皮膚又は他の生物学的障壁まで若しくは皮膚又は他の生物学的障壁を通じて薬剤あるいは生物活性物質を実際的に送達することの観点から記述される。装置の使用及びその応用を説明するために例が提示されている。本装置の顕著な特徴は、パルスレーザーの光を強力に吸収する薄膜(厚さ、200μm未満)を使用すること、及び低エネルギー(レーザー・エネルギー、500mJ未満)を備えたレーザーのような手頃なパルスレーザーを使用することである。ここで、本装置は、低い光学パワー密度(1パルス当たり40mW/cm未満)で、短い立ち上がり時間(立ち上がり時間、50ns未満)によって高インパルスの過渡音を発生させることができる。
皮膚は、化学薬品や微生物のような異物の侵入に対する非常に有効な防護物である。角質層(SC)と呼ばれる皮膚の最外層は、わずか10〜20μmの厚さである。しかし、これは皮膚の不浸透性に主として貢献する。これは、高空間の組織と共に脂質の混合物に埋め込まれて、硬く固まった生きていない角質細胞の多数の層によって出来ている。ほとんどの分子は、構造的なまた溶解度の要件によって高度に抑制されている角質細胞周辺の入り組んだ経路である細胞間の脂質を通って、拡散により皮膚に浸透する。角質細胞の表面下には、生存可能な表皮がある。これは50〜100μm厚の血管である。さらに下にあるのが真皮である。厚さ1〜2mmで毛細管が多く、数分以内にほとんどの浸透物を除去することができる[1]。
皮膚を通して薬剤を送達する考え方は、何世紀も前からある。この目標に到達する試みは2つのグループに分類することができる:薬剤の受動送達及び能動送達である[2]。第一の部類は、化学的浸透エンハンサーを含む場合がある軟膏、クリーム又はゲルを含めて、皮膚を通過して特定の薬剤の拡散を増強するために最適化された賦形剤の製剤を指す。実際、非常に多種類の化学薬品に、皮膚透過性を増加させる能力がある。例示すれば、ジメチルスルホキシド、ラウロカプラム(アゾン)、2−n−ノニル−1,3−ジオキソラン(SEPA)、脂肪酸及び脂肪酸エステル、及びその他この技術でよく知られたもの[3]。ただし、浸透増強の増加は、小さな分子についてさえ、皮膚刺激性の増加と相互関係を示すのが通例である[4]。受動方法は、適切な親油性(n−オクタノール:水の分配係数Kowが1<(log Kow)<3の範囲)及び、3未満の水素結合グループを備えた小さな分子(分子量、500Da未満)を経皮的に送達する場合にのみ有効である。さらに、賦形剤の処方は所定の薬剤に特有である。薬剤の能動送達方法には、電気刺激(イオントホレシス、エレクトロポレーション)、機械的プロセス(極微針、剥離、アブレーション、穿孔、マイクロプロジェクション)又は超音波(ソノホレシス)のような物理的方法を援用する。薬剤送達の別の能動的な方法は、ターゲットに集中的にパルスレーザー照射することによりフォトメカニカル波を発生させることにある[5]。光学的絶縁破壊、アブレーション又は熱弾性による拡張によって形成された応力波は、過渡的に角質層を透過化し、また高分子を生存可能な表皮の中へ輸送しやすくすることが示された[6]。
上皮細胞層を通過して化合物を送達することへの応力波の技術的な応用が記述されている。例えば、コリアスら[7]は、40〜300mW/cm間の光学パワー密度に対応する、1〜7J/cmのフルエンスと20〜30nsのパルス幅を備えたレーザーによって発生されたインパルス過渡電流を使用して化合物を送達する方法をUS6,251,099B1に記述した。これらの強力で短時間のレーザーパルスは、0.8mm(金属用)から3mm(プラスチック用)に及ぶ厚さを備えたターゲットに向けられた。これらの光学パワー密度では、レーザーパルスとターゲットの間の相互作用の支配的メカニズムは、ターゲット物質のアブレーションであり、通常プラズマ形成を伴う。これにより、レーザーパルスを照射されたターゲットの表面から物質が放出され、また、関連する反跳運動量が、ターゲットのバルクの中に伝搬して、音響波としてその反対面に到達する。皮膚の透過性を一時的に増加させるこの音響波の能力は、そのインパルスと関係があった。皮膚を損傷せずに大きな化合物を皮内で送達するには、2〜50bar/ns間のインパルスが必要である[5]。現在のターゲットの有用な領域に当該の高いインパルスを備えた圧力波を発生させるには、複雑で高価なものと認識される高いパワー密度を備えたレーザーが必要とされる、したがって、代用品が求められた[8]。
10mJ/cmまで低い光学パワー密度を使用して、薬剤送達を増強するための装置も記述された。例えば、Visuriら[9]は、100Hz〜1MHz間のレーザーパルス周波数で当該の低パワー密度が、どのように光ファイバーに連結され、かつ人体の一部に挿入されてその部分に音響放射フィールドを発生させることができるかを、US6,484,052B1に記述した。彼らは、光学動力源の機械変換器を前記のファイバーの遠位端へ取り付けることについても記述したが、当該の変換器の特徴は指定できなかった。変換器が極めて特殊な物理的、光化学的、及び材料的な特性を持たない限り、過渡的に生物学的障壁を透過化することができる圧力波を生み出すことはできない。単一又は少数のレーザーパルスではなく、高いレーザーパルス周波数を使用しても、圧力波の特性を変化させることはない。従って、生物学的障壁を透過化することができる音響波を生むことができる光学動力源の機械変換器は開示されなかった。
別の分野、すなわち生物組織のスペクトル特性化の分野では、Biagiらが、パルスレーザー・エネルギー源から音響波又は超音波を発生させる光音響発生器のことをUS6,519,376B2に記述した[10]。グラファイトを含む層によるレーザーパルスの吸収をレーザー源に接続された光ファイバーの先端に適用すると、非常に広帯域の音響パルスを生むのに有効であることが示された。純粋なグラファイト膜をマイクロメーター以下の厚さで生むこともでき、また、直径2.5cm片で取り扱うにも十分な機械抵抗を保持する[11]。さらに、50nmの厚さがあれば、これらの膜の見掛け吸収率は400nmの単一性に接近する。非常に持続時間の短い励起状態を持つ[12]独立のグラファイト膜は、ポリアクリロニトリルの熱分解によって簡便に作成することができる。ただし、グラファイトを含む層を使用してこの方法によって発生した音響パルスは、薬剤送達のためには考慮されなかった。組織性状診断の分野では、マイクロジュールのレーザーパルス[13]を援用するので、これでは治療効果を持つ薬剤送達には不十分であるからだ。正確には、治療効果は、生物組織のスペクトル特性化又は診断においては望ましくない。
経皮的な送達システムが過剰になっても、それらが経口送達又は皮下注射の二次的代替手段に留まっているという事実を不明瞭にするわけではない。簡単で経済的な経皮的送達方法は、痛み又は不快感を引き起こさずに皮膚を通過して非常に多種類の薬剤を送達することができ、適用後数分で皮膚がその保護機能を回復できるようにするという点で、医療業務においては経口送達又は皮下注射と同一のステータスがあると比較できる。
本発明は、皮膚又は軟組織又は細胞膜を含む生物学的障壁を通過して分子、高分子あるいはさらに大きな生体物質を送達し、生物学的送達のために上述の理想的な特徴を満たす装置を開示する。この装置を使用して薬剤及び生物活性物質を送達する方法は、薄膜による短いパルスレーザー光の吸収の際に広帯域、高周波及び高インパルスの過渡音を迅速かつ有効に生み出すこと、及び皮膚又は粘膜を含む生物学的障壁へ有効に音響結合させることに基づいている。下記で、我々は、「薄膜」を援用して、200μm未満でかつ分子層より大きな(通常は1nm超の)厚さを備えて、より厚くまた固い(高い音響インピーダンス)物質上に堆積する物質の層について記述する。投射するレーザー光の大部分を吸収する発色団を含んでいるという要件、及びこれらの発色団がレーザーパルス幅と同等又は短い持続時間で無放射のプロセスに吸収されたエネルギーを放出するという要件を含めて、圧力波を迅速かつ有効に発生させることに寄与する薄膜の分子特性について記述することが現在の発明の中心となる目的である。本方法の効率は、大きな分子及びタンパク質の皮膚への送達、及びパルス当たり10mW/cm又はそれ以下の光学パワー密度を持つ生細胞への遺伝子トランスフェクションによって実証される。
A. 定義
この応用の目的には、次の用語の定義が適用される:
「レーザー・フルエンス」は、J/cm単位で表わされる作業物質上の単位面積あたりのレーザー・エネルギーである。
「レーザーパルス持続時間」τはレーザーパルス[14]の1/eレベルでの全幅であり、ナノ秒(ns)単位で簡便に表わされる。
「光学パワー密度」は、レーザー光線のパワー密度である、条件は、パワー密度が、W/cm又はより簡便にはmW/cmで表わされる単位照射領域によるレーザーのパワーであること。
「アブレーション」は入射光のために物質を除去することである。ポリマーでは、この除去は、ポリマーの化学的溶解を含んだ光化学変化による場合がある。
「過渡音」は、極超音波の衝撃波及び音の音響波の両方について記述するために援用される[15]。
「過渡音のインパルス」は、bar/s単位又はより簡便にはbar/nsで表わされる、単位時間当たりの圧力上昇の率として定義される。
「過渡音の立ち上がり時間」は、10%から90%までのピーク圧の時間として定義される[5]。
「広帯域」は、連続的な周波数スペクトルを対象とする広い周波数帯であり、また、圧力波を変えるために使用されると、1つの音響放出に何十MHzの重要な周波数成分を複数指定する。
「光音響の基準化合物」は、レーザーパルスの放射するエネルギーを吸収する化合物であり、また、その基底電子的又は振動状態へ戻る間に、無放射のプロセスによってそのエネルギーを迅速に熱に転換する。この技術で知られているように、PAC基準化合物は、レーザーパルスの持続時間内で、所定のエネルギーのレーザーパルスを、正味の化学反応がない状態での所定の構成によって吸収することにより可能な限り高い強度の光音響波を生む[16、17]。
「光学的浸透深度」δは、物質内部の放射の強度が1/e(簡便にはcmで表される)まで落ちる時点の深度である。
「線吸光係数」μ、すなわち線吸収係数は、サンプルを通過する光路長で吸光度を除算したもので、cm−1で表わされる。
B. 物理的原理
本文献には各種の方法が記載されている。これにより、所定の物質を使用して短いレーザーパルスの相互作用の結果として圧力波が生み出される[18]。3つの最も重要な相互作用メカニズムは、誘電破壊、蒸発又は物質アブレーション、及び熱弾性プロセスである。結果としてプラズマを形成する光学的絶縁破壊を生み、それに続いて強度の衝撃波を生むためには、高いレーザー・フルエンスが要求される。中間のレーザー・フルエンスは、吸収性固体の境界近くで吸収液又は透明液体と相互作用して、迅速な熱膨張及び爆発性の蒸発、又は、一部の物質では、アブレーションを生む。吸収物質に衝突する低いレーザー・フルエンスは、物質の熱弾性膨張を生む。誘電破壊が原因のプラズマ形成は、高圧波につながるが、必要とされる高エネルギー及びその破壊的性質は、過渡的な皮膚透過化には実際的でない。プラズマ形成に関するのと同様、レーザーパルスに照射された表面からの物質の放出が反跳運動量を生むので、爆発性の蒸発又は物質アブレーションによって発生した圧力波は、衝撃波の形態を取る場合がある。衝撃波は物質のバルク中を伝搬して、音響波として反対面に到達する。衝撃波はすぐに消散し、音響波として継続しその後は伝搬距離と共によりゆっくりと減衰するからである[19]。衝撃波の空間範囲はミリメートルの10分の1に制限されている[15、19]。他方、過渡的な熱弾性膨張は音響波を発生させる。アブレーション又は熱弾性膨張から生じる音響波は「インパルス過渡電流」と命名され、上皮細胞層の過渡的透過化に援用される[7]。
閉じ込められた吸収媒体の熱弾性膨張による光音響の波の発生は、低いレーザー・フルエンス(物質に応じたアブレーション閾値未満だが、通常は50mJ/cmより上)で実現される可能性がある。これは、レーザーパルス(τ)の持続時間内に生じる場合があり、非破壊的である。熱弾性膨張は、レーザーパルスから圧力波を生むには効果のない方法であると考えられており[20、21]、熱弾性膨張メカニズムの効率は通常0.1%未満なので、アブレーション及びプラズマ形成メカニズムにより達成できる30%の効率とは競合できないと想定される[22]。この現在の確信が、過渡的に角質層を透過化することができるインパルス過渡電流を発生させるためにアブレーション閾値より上でレーザー・フルエンスを使用する動機となった。
ただし、厳密な境界によって閉じ込められた物質によるレーザーパルスの吸収に続いて熱弾性膨張によって発生させることができる最大圧力振幅pmaxは、[18]
条件、αは熱膨張係数であり、Cは定圧比熱容量、cは媒体の音の速度、の音速、Iはピーク光学パワー密度。例えば、1cm(I=10MW/cm)中50mJで5nsのレーザーパルスを吸収する閉じ込められたポリスチレン・ターゲット(c=2320m/s、C=2J/(g K)及びα=7×10−5−1)は、80バールの最大圧力を出すことができるはずである。これは、圧力波を使用した経皮的な薬剤送達用の典型的なピーク圧未満での一指標であるが[5]、光音響波の立ち上がり時間がレーザーパルス幅(τ=5ns)と同時に起こる場合は、その最大インパルスは15bar/nsに到達する。当該のインパルスは、角質層を透過化するのには十分過ぎる。したがって、光音響の熱量測定(PAC)テクニック[17、23]におけるように、最初占められていた励起状態から狭い領域に堅く閉じ込められた発色団の基底状態まで迅速に無放射遷移させることを利用して、レーザーパルス・エネルギーを熱弾性膨張へ有効に転換することで、角質層を透過化することができるインパルスを備えた音響波を生むことができるはずである。
光学的に薄い前向きのPAC細胞中に生まれた光音響波の振幅は次の式で得られる[23]
条件、Aは照射領域であり、hはPAC細胞の厚み、及びHthは放出された熱エネルギー量。a、等温の圧縮性(β)、C及び密度(ρ)は、細胞内部の吸収媒体を指す。固体の吸収媒体の熱弾性の特性は、簡便に無次元のグリュナイゼン係数で特性化される。
条件、Cはサンプルの比熱容量である。ボトム・インターフェースが全面的に反射し、光が吸収媒体を2回横断するような場合は、光学的に薄いサンプル用の物理特性は、サンプルの吸収率がおよそ1である条件のケースにも当てはまる[24]。重度に吸収する膜をレーザーパルスのターゲットとして援用する時、光音響波の振幅と光吸収物質の厚さとの間の依存性も観察された[13]。吸収膜の厚さが縮小されるにつれ、熱弾性のプロセスによって生まれる最大圧力は、増加することが分かった。また、この特性は、超音波のより効果的な光音響発生器の設計に使用された[10]。
皮膚を透過化するインパルス過渡電流を生むために、レーザーパルスを以前応用した際には、吸収物質の厚さの重要性が見落とされた。それらの不透明度と剛性により物質を選択する方向付けは、これは必要だが最適なデバイス操作用の十分条件ではなく、吸収物質として0.8mm未満の厚さの金属ターゲット、又は1mmより厚いプラスチック・ターゲットを不正確に選択する結果となる[7]。図1は、同一強度のレーザーパルスが、1mm厚の黒いプラスチックの1cm表面によって、又は励起波長での強力な吸収作用を備えた10〜30マイクロメーターの厚膜によって、両方ともガラス蓋によって閉じ込められて、かつレーザー光の80%超を吸収する条件で吸収される時に生まれた過渡音を比較している。ターゲットの厚さが減少すれば、図2に示されるように圧力波の振幅は増加する。この事実は、光音響波中のレーザーパルス・エネルギーを変換する装置を最適化することにより、パルスレーザー源のエネルギーを劇的に減少させることが可能になるので、パルスレーザーにより高圧の過渡的インパルスが発生されるというパラダイムを変更することになる。
熱弾性のプロセスによって過渡音へレーザー・エネルギーを変換する効率を最大限にするには、レーザーパルスの持続時間でレーザーパルス・エネルギーを熱に変換する物質、ユニットより高い吸収率を持つ薄膜(低いh)、及び大きなグリュナイゼン係数を備えた物質を選択する必要がある。したがって、レーザーパルスのエネルギーを迅速かつ有効に光音響波へ変換することを目的とした装置は、極薄層の中に、レーザーパルスの波長で強力に光を吸収し、かつそのレーザーパルスの間に吸収されたエネルギーをすべて熱に変換する化合物を組み込む必要がある。PAC基準化合物はこれらの特性に適合する。超高速の構造上の体積変化率がレーザーパルスの持続時間内に生じる無放射の減衰と同時に起こる場合、光音響波の強度はさらに増加される場合がある。
吸収物質の特性が、過渡圧力の形状及び振幅を確定する際に決定的となるという事実は、化合物の経皮的な送達へ高圧インパルス過渡電流を応用した早期の例では評価されていない。図3は、様々な減衰時間を持つ1つの過渡電流、及び異なる減衰時間と放出されたレーザー・エネルギーの留分を持つ2つの過渡電流のためのシミュレーションを示す。2.25MHzの変換器によって測定すると、レーザー・エネルギーがすべて熱に変換されても、過渡的電子状態の持続時間が10から100nsまで増加する時には、2の因数だけ過渡音の振幅は減少する。過渡音の立ち上がり時間も、予想通り、より長い回数に置き換えられる。2つの過渡電流が存在し、そのうち1つの持続時間がレーザーパルスより長い場合、結果は、生成物が反応物より大きな体積を持たないか、又は生成物の標準エンタルピーが反応物のエンタルピーより低くかつ反応が発熱性でない限り、PAC基準化合物を使用して取得できるものより、小さな過渡音になることが常である。
発熱反応はPAC基準化合物より、より多くの熱、したがってより強度な過渡音を生む場合がある。レーザー誘起されたアブレーションの通常の場合のように、発熱反応に物質の分裂が原因の構造上の体積増加が同時に起こる場合、当該の過渡音の振幅はさらに増加される。ただし、過渡音の立ち上がり時間が短いままの場合にのみ、これら過渡音のインパルスは増加する。定義によればそれらの持続時間はτより短いので、PAC標準物質が発色団として援用される時は、サブアブレーションのレーザー・フルエンスで熱弾性膨張により発生した応力過渡電流は、τに従う。また、圧縮性と伸長性のあるコンポーネントを備えた双極性の特徴を持つ。レーザー・フルエンスがアブレーション限度を越えると、付加的な圧縮波がアブレーションの反動が原因で後になって観察されることが知られている[25]。アブレーションの反動の立ち上がり時間は、レーザー・フルエンスの増加につれて減少し、τ[25、26]には依存しない。レーザー・アブレーションによる圧力生産のメカニズムには、気泡の増殖が含まれ、これは、およそ100nsの成長時間を持っており、パルス幅のための最低限度を設けている[20]。アブレーション閾値よりはるかに高いレーザー・フルエンスについては、過渡音の高い強度はそれらの比較的長い立ち上がり時間を補完し、また、大きなインパルス過渡電流が生成される可能性がある。これは当技術[5]では有名であるが、非常に多種類の化合物の経皮的な能動送達、又は細胞膜を通過したプラスミド・トランスフェクションのための簡単で手頃なレーザー源のニーズを満たさない。パルスレーザー・アブレーション閾値が低いナノ秒の物質の薄膜は、50mJ/cm未満であることが望ましく、これらの制限を超える場合がある。50mJ/cm未満のパルスレーザー・アブレーション閾値は、励起波長で高い線吸収係数を備えた一部のポリマー膜に関して報告された[27、28]。
光音響の過渡電流のスペクトル帯は、次の時[14]にレーザーパルスのスペクトル帯により確定されるので、極めて高い線吸収係数が重要となる
条件、τは、レーザーパルス持続時間。したがって、過渡音のプロフィールは、μ>>400cm−1の時、代表的なポリマー(C=2500m/s)でのレーザーパルスτ=10nsに従う。光学的浸透深度(δ=1/(2.3μ)が10μmより小さくなるように、十分な量のPAC基準化合物が適切な担体物質に組み込まれている時、レーザーパルスのナノ秒の持続時間及びそのピーク電力が、過渡音の帯域幅及び強度を決定する。τが光学的浸透深度の縦波の速度に対する比率より著しく大きい場合、過渡音の振幅は減少する。また、τが増加する過渡音の振幅の減少は、高周波ではさらに倍加される[29]。迅速で効率的なレーザーパルス・エネルギーの転換は、レーザーパルス幅に応じて、数十又は数百MHzの帯域幅を持つ非常に広い帯域の過渡音を発生させる。十分に短いレーザーパルスについては、吸収物質の光学的浸透深度が減少する時、発生した超音波の中心周波数はより高い周波数に置換される。例えば、1064nmでのNd:YAGレーザー励起については、グラファイトベースの物質は、10〜50ミクロンの光学的浸透深度を持つ。一方、アルミニウムの光学的浸透深度は10nmであり、また、これは、2.1から12MHzまで発生した超音波の中心周波数を置換する[30]。図4に示されるように、過渡音の高速フーリエ変換がこの特性を明らかにする。帯域幅の高周波成分は高周波変換器で最も正確に測定されるので、この実験では225MHzの変換器を援用した。
高周波は生物組織によってより強く吸収されるが、キャビテーションの閾値がより高い周波数ではより高いエネルギーへ向けて置換されるので、過渡音の帯域幅が高周波まで延長する(20MHzを超える周波数)ことが、皮膚及び粘膜の過渡的透過化には望ましい。ミリメートル・サイズまで拡大し次いで崩壊する時に、生物組織中に損傷を引き起こす場合があるので、過渡的キャビテーション気泡は回避することが推奨される。過渡音への露出が慣性の(又は過渡的)キャビテーションを生む尤度は、機械的指標(MI)によって測定される。
条件、Prmaxは、ピーク希薄化(伸張性)圧力、また、fは過渡音の中心(基準)周波数である。MIのより高い値は、キャビテーションの確率が高いこと示す。したがって、上記の方程式は、キャビテーション閾値を満たす最小圧力振幅が超音波周波数と共に増加することを意味する[31、32]。他方、3cmのウォーター・パスによる10MHzの音響周波数の減衰は、わずか7%であるが、これは50MHzの圧力成分では85%まで増加する[20]。短いレーザーパルス(τ<20ns)が極薄層(10ミクロン未満の厚さ)に閉じ込められたPAC基準に吸収される時、超高周波が過渡音に存在する。それらが組込まれる条件のフィルムの厚さ以内でレーザーパルスの大部分を吸収するためには、PAC基準はレーザーパルス波長で非常に高い吸収係数を持つ必要がある。上で参照された音響の減衰の観点から、PAC波のソースが皮膚に接近していることも望ましい。
薄い支持材に閉じ込められた非常に小さな吸収層を備えた装置を設計する際は、平面の音響波の発生と考えることができるもののために制限を考慮することも必要である。この条件を満たすためにレーザー光線の半径rを選択する必要がある、というのが判断基準となる。
条件、cはサンプル中の音速、τはレーザーパルス幅、また、zは吸収層表面と検出器との間の距離である。z=1mm、c=2500m/s及びτ=10nsを備えた構造的な支持材には、r>>0.2mmが必要となる。従って、半径1mmまでレーザー光線を集中させても、まだ、平面の音響波を生むことは可能である。この構成を備えた装置の顕著な利点は、0.03cmの領域で1パルス当たり10mJ/cmのエネルギー密度が、0.3mJのレーザーパルスに対応するということである。数ナノ秒のパルス持続時間用のこの大きさのエネルギーは、パルス・ファイバーレーザー、ダイオード励起のクリスタルレーザー及び他の固体レーザーにおいて容易に利用できる。これは、数百kHzの周波数も達成する。当該のレーザーはポータブルで、コンパクト、耐久性があり、価格が手頃で、操作し易く、またメンテナンスも必要としない。
レーザーパルス・エネルギーの効率的な光音響の変換器を設計する際は、厳密な境界が存在する状態での圧力波の発生が自由境界の場合よりも高圧につながることも考慮する必要がある[18]。水晶板による光音響の変換器の音響的な制約では、およそ100の因数だけ20MHzの光音響波の振幅を増強することが示された[33]。さらに、熱弾性膨張によって発生した過渡音の場合には、厳密な境界の存在は、応力過渡電流を変形し、圧縮を構成して、その後、一方向性の圧縮インパルスへ希薄化される[34]。レーザーパルス・エネルギーの効率的な転換は、強力でほぼ圧縮性の過渡音を発生させるために100mJ/cm未満のレーザー・フルエンスを使用することを可能にする。
支持物質の熱弾性特性を最適化することは、PAC基準物質を組込む閉じ込められた薄膜の熱弾性膨張によって発生した過渡音の振幅を増加させることにも寄与する。有機液体は、高いグリュナイゼン係数によって記述することもできる熱弾性特性を所有し、固体表面を持つ音響結合を形成する[35]。ウィンドウと高いΓを持つ有機液体の薄層との間の薄膜を閉じ込めることは、レーザーパルス・エネルギーを光音響波へ転換する効率を増加させることにさらに寄与する。四塩化炭素、ブロモベンゼン、アセトンあるいはアセトニトリルのように多様性のある液体には、高振幅の光音響波につながる熱弾性特性がある[23]。ゴム、ネオプレン、バイトン(Viton)又はポリウレタンのようなエラストマーは、大きな熱膨張係数を持つことが知られているが、これは時々他の特性によって補完される。
1つの媒体(媒体1)中で移動する音響波が第2の媒体(媒体2)の境界に遭遇する時、反射されて透過された(又は屈折した)波が発生することは当技術ではよく知られている。透過率は次の式で求められる、
条件、A及びAはそれぞれ媒体1中の最初の振幅、媒体2中の最終振幅であり、Z及びZは2つの媒体中の音響インピーダンスである。2つの媒体間の完全な透過には、Z=Zが必要となる。装置中の空洞の存在は非効率性の主な原因である。空洞は頻繁に空気で充填される。また、その音響インピーダンスは、装置を構成する他の物質のそれとは決定的に異なる。これは、非常に弱い音響透過、及び装置の効率の損失と解釈できる。したがって、光音響波が発生する装置の薄膜と、皮膚に達するために光音響波が交差する必要がある装置へのすべてのパーツとの間に、良好な音響結合を確保することが必要である。さらに、装置と皮膚又は粘膜の間に良好な音響結合があることも必要である。皮膚の音響インピーダンスは、Zskin=1.54MRayl[1MRayl=1×10kg/(m s)]、水のインピーダンスに類似する(Zwater=1.48MRayl)が、金属のもの(ZAluminium=17MRayl、Zsteel=46MRayl)とは大きく異なる。ただし、プラスチックのもの(ZTeflon=2.97MRayl、Zpolyethylene=1.76MRayl、Zpolystylene=2.42MRayl)とは相対的に近い。皮膚との良好な音響結合を持つ興味深い物質は、パラフィン(Zparaffin=1.8MRaylMRayl)、グリセロール(Zglycerol=2.3MRayl)、グラファイト(Zgraphite=2.7MRayl)、酢酸セルロース(Zcellulose=3.2MRayl)又は音響走査ゲルである。音響波の皮膚への効率的な送達には、Zskinに近い音響インピーダンスを持つ物質を選択する必要がある。音響インピーダンスの不適合の問題は、各層の最適のインピーダンスが一方の側の層のインピーダンスの幾何平均と等しい条件で連続して多数の整合層を使用することにより解決できる場合がある。
C. 物質化学
吸収力が強くまた固いターゲットは広く利用可能である。ただし、上記に詳述された考察には、次のものを備えた物質も要求される:PAC基準化合物の特性、高いグリュナイゼン係数で薄い吸収層に組み込まれて、光吸収層と過渡音が皮膚の方向に伝搬する条件のすべての物質の間に良好な音響結合を持つ高い線吸収係数、皮膚との良好な音響結合、及び望ましくは、吸収層を通過する第2の通路を提供するために装置の背面での透射光の反射。あるいは、PAC基準化合物の特性に物質を組み込むために薄膜を使用するのではなく、薄い吸光性の吸収膜が、低いナノ秒のパルスレーザー・アブレーション閾値を持つポリマーから製造できる。これらは、高強度、短い持続時間及び広帯域の過渡音中でレーザーパルス・エネルギーを有効に変換する装置を作るガイドラインである。図5は、これらのガイドラインに従って目標の装置を具体化する作業略図を示す。ここに提供される例は、レーザーパルス・エネルギーを迅速かつ効率的に過渡音へ転換するのに適切な物質を取得するための様々な方法を例示することが目的だが、物質の選択は上記のガイドラインによってのみ制限されている。
薄層に組み込むことができるPAC基準化合物の一部の限定されない例として次のようなものがある:オルソ・ヒドロキシベンゾフェノン及び、それに類似する超高速の光感応した分子内陽子又は水素原子の転移(迅速に元の基底状態に戻る)を経験する分子、メソ四価フェニルポルフェリン(MnTPP)のMnIII複合体及び超高速の金属・リガンド間又はリガンド・金属間の電荷移動の緩和プロセスを備えた他の常磁性の複合体、超高速の電荷再結合により基底状態に戻る電荷移動帯を持つ複合体、β−カロテン及び円錐交差を通して迅速に基底状態まで減衰する他のシステム、グラファイト及びその電子エネルギーをフォノンモードへ超高速で転送することができる他の物質(これにはナノ秒以下の時間スケール[36]での冷却が続く)、持続時間の短い過渡状態を持つ半導体物質、又は他の物質、あるいは超高速の無放射緩和プロセスを持つ物質の混合体、など。当該の超高速の無放射プロセスには、熱緩和に加えて、反応物より大きな分子容を備えた中間物を迅速に生み出す構造上の体積変化率を含む場合がある。薄層中のPAC基準化合物は、赤外線レーザーパルスで震動により励起される場合もある。振動モード、又は振動モードの組み合わせで、赤外線で励起されることによって急速に、例えば、水及び他の物質の光音響のスペクトルの中に見られるような基底振動状態まで戻ることを前提とする。
薄いポリマーフィルムは、多くのテクニックによって低費用で生むことができる。例えば、標準スピンコーティングは、1〜10マイクロメーター間の厚さを備えた膜を生む。PAC基準として適格な染料が、ポリマー内に多量に組込まれる必要がある。また、装置は、効率的な操作に必要な閉じ込め及び剛性を提供するように設計する必要がある。ポリマー中への大量の染料の組み込みは、メソ四価ウンデシルポルフィリン中にあるような長いアルキル・チェーンの導入によって促進される。ハロゲン化物イオン、カルボキシラートなどのような存在対イオン中のMnIIIのような常磁性イオンと複合化している時、PAC基準の特性は、当該の化合物の中にも存在する。当該のPAC基準はこの作業ではMnTAPとして識別され、対イオンの存在を推定する。薄い重合体膜の使用及び性能を説明するために、我々は例1において、大量のMnTAPを組込むポリマー薄膜を備えた経皮的な薬剤送達用の装置を生む方法を提供する。このポリマー薄膜に組込むのに適切な特性を備えた別クラスの化合物は、例えば近赤外線レーザー光を遮断するために設計された近赤外吸収性の染料のものである。例2では、当該の染料のうちの1つを備えた装置の製造について記述する。これは、近赤外レーザーパルスを使用して光音響波を生む利点を持つ。近赤外レーザーは、可視又は紫外レーザーより低いコストで所定のレーザー・フルエンスを送達する場合がある。
色素増感の太陽電池の製造では、ガラス・ラメラ上に堆積させたナノ結晶のチタニアTiOのミクロン厚の層を現在援用している。このように取得された極薄層は、染料を吸着するために使用することができる非常に大きな表面積を提供する。例3は、吸着されたマンガン・メソ四価フェニルポルフィリン・スルホン酸塩(MnTPPS)を備えたTiOの極薄層を使用して装置を製造する方法を例示する。これは、これら条件下で良好な光音響基準として作用する[37]。同一の例は、励起波長で強力に吸収する半導体物質も対象にしている。例示すれば、高速の電子孔一対の再結合を備えた、ナノ結晶のメソ多孔性α−Fe膜の形態を持つヘマタイトなど[38]。
50mJ/cm未満のパルスレーザー・アブレーション閾値を持つ物質の薄膜も、レーザーパルス・エネルギーを迅速かつ効率的に過渡音へ転換するための上記のガイドラインに適合する。これがその場合、例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)[39]、ポリイミド[40]、トリアゼン・ポリマー[28]である。さらに、これらのポリマーは、紫外線に対し強力な吸収率を持つ。線吸収係数は、248nmで、μ=1.6b×10(PET)及び2.5×10cm−1(ポリイミド)の各数値[27]、また、トリアゼン・ポリマーは308nmでμ=10cm−1である[28、41]。当該の高い吸収係数があるので、適切な波長の投射するレーザーパルスの99%超を吸収し、また、100mJ/cm未満のレーザー・フルエンスで高振幅の過渡音の生産を伴うアブレーションを経験するような200nmの厚さを備えた膜を持つことは可能である。
図1は、同一のレーザー・フルエンスの下で異なる装置によって生まれ、Panametrics製2.25MHz変換器(モデルA106S)及びデジタル保存オシロスコープ(Tektronix DSA601、1Gs/s、2チャネル)によって検知された過渡音を比較する。この励起では、355nmでca.10mJ/cmパルス当たりエネルギーを使用して、Spectra-Physics Quanta Ray GCR130Nd:YAGレーザー(5〜6nsのパルス幅)の第3調波が援用された。当該の過渡音の相対的な振幅は、過渡音波の中に存在する様々な音響周波数への変換器の感度に依存する。したがって、変換器によって測定された過渡音の振幅は、装置が達成した光音響の変換効率を示すにすぎない。しかしながら、上記のガイドラインに準じて設計された装置によって生まれた過渡音の振幅は、1mm厚の黒いポリスチレン・ターゲットによって発生した圧力波より高い。
例4は、過渡音波の帯域幅に対する線吸収係数の影響を示す。Panametrics 225MHz変換器(モデルV2113)を使用して、より高い線吸収係数を備えた膜によって発生した過渡音に高速フーリエ変換すると、200MHzまで拡張する超音波周波数が得られることが示される、図4。これら高周波は、過渡音がレーザーパルスの持続時間に従うことを示す(ca.6ns)。
D. 生物学評価
大きな分子及び生体物質の経皮的な送達を促進する際にこれら装置によって発生した光音響波の性能の評価は、人間の皮膚に近似する皮膚組織を持つ動物モデルで最も良好な結果が得られる。皮膚浸透をテストするための最良の動物モデルは、ミニ豚及び人間の皮膚特徴の間の類似点、及び様々な薬剤に対する両者の類似する浸透性の観点から、ミニ豚である[42]。本文書で開示される装置の効能の原理の証拠は、2つの臨床的に関連する実体(ポルフィリン及びタンパク質)を使用して例5から8で提示される。ポルフィリン及びポルフィリン誘導体は、癌の光力学療法において光増感剤として現在援用されている。光線角化症、扁平上皮癌、ボーエン病(上皮内の扁平上皮癌)又は基底細胞癌のような皮膚癌及び皮膚病の治療でそれらを使用することは、皮膚を通過してこれら大きな分子が低速で拡散するために制約を受ける。ここで開示される装置を使用したミニ豚皮膚への5,10,15,20−テトラキス(2,6−フルオロ−3−N−メチルスルファモイルフェニル)ポルフィリン(FTPPMet、分子量1131Da)の経皮的な送達は、例5及び7で説明される。タンパク質は、様々な病気及び疾患の治療用に皮下注射針によって現在送達されている。関連性の高い例としては、糖尿病の治療のためのインシュリン(分子量6kDa)の皮下注射がある。例6及び8では、ここで開示される装置を使用した緑色蛍光タンパク質(GFP、分子量27kDa)の効率的な皮内投与について説明する。
生体内及び生体外のテストには、IMIDRA (Instituto Madrileno de Investigacion y Desarrollo Rural, Agrario y Alimentario) - Aranjuez (マドリード)から取得した4頭のミニ豚を援用した。それらはすべて雌で、年齢6〜8か月、白地に茶色の斑点、平均体重56.8kg(66.2、57.1、43.5、60.6kg)であった。それらは、Estacao Zootecnica Nacional, Vale de Santaremで受け取られた。同地では1.5mの個別の箱に収容され、順応のために3週間にわたり豚用の標準食と水を不断給餌されていた。本研究は、Direccao de Servicos de Saude e Proteccao Animal、参照番号0420/000/000/2007により与えられたライセンスに基づき、ポルトガル倫理指針に準じて実施された。食料へのアクセスは、治療の24時間前に停止された。動物の背部は、皮膚科製剤の生体内適用の24時間前に剃毛された。その製剤は、経皮的な受動送達、及び光音響波を使用した経皮的な能動送達で同一のものであった。これら実験で援用された光音響の転換装置及びレーザーは、上で説明された。すべての手順は麻酔下で実施された。30分前に前投薬に援用されたのは次のものであった:アザペロン(Stresnil(登録商標) - Veterinaria ESTEVE ― スペイン)、2mg/kgの筋肉内注射+硫酸アトロピン、50mg SC。誘導は、ケタミン(Clorketam(登録商標) - Vetoquinol、フランス)20mg/kgの筋肉内注射を使用して実施された。麻酔は、2〜3L/分の酸素+3%のイソフルラン(Isoflo(登録商標) - Veterinaria ESTEVE、スペイン)による自発的な換気を使用して、気管内の挿管で維持された。サンプルは上で説明された麻酔下の3頭のミニ豚から採集された。サイズ20×20×10(長さ、側長、深さ)を持つ皮膚部分標本は、外科的切除により取得された。皮膚サンプル採集後、次に、動物は、チオペンタールナトリウム(25mg/kg)+7.5%の塩化カリウム20mlを過剰服用されて殺された。豚用の標準食と水を不断給餌された後、4頭目のミニ豚が3週間後に続いて使用された。
殺された後、皮膚切片がミニ豚の背部から切除された。これら皮膚切片は凍結され、生体外テストで使用されるまで−18℃で保存された。個々の生体外テスト前に、必要量のミニ豚の皮膚がゆっくりと室温まで調節された。すべてのテストは、室温で実施された。
実験後に採集された皮膚サンプルは、目的の化合物の浸透深度を評価するために、顕微鏡検査により分析されるか、又は皮膚下のそれらの量を評価するために抽出手順に従った。蛍光顕微鏡検査法、又は共焦点顕微鏡検査による浸透深度の評価には、組織の固化が必要とされる。固化の第一段階は、最低24時間のパラホルムアルデヒド(4%水溶液)中に浸すことであった。次に、サンプルは最低48時間、25%スクロース溶液に移送された。この処理の後では、皮膚サンプルはスクロース溶液より濃度が高くなる。一定分量のサンプルが生検パンチで抽出され、ドライアイスで冷凍され、次いで、Tissue-Tek O.C.T.化合物(Sakura Finetek Europe B.V., Zoeterwoude、オランダ)と共にホルダーに取り付けられ、凍結状態で25mmから100mmの間で選択された制御厚で薄片状に切断された。皮膚薄片は、顕微鏡用スライドに集められ、蛍光顕微鏡検査法及び共焦点顕微鏡検査によって分析されるまで冷蔵保存された。あるいは、固定剤としてパラホルムアルデヒドを使用するのではなく、皮膚サンプルはドライアイス中で直接冷凍された。
皮膚下に送達されたFTPPMetの量を評価するために、特定の方法が開発された。実験の皮膚領域の1cmから、4mmのパンチが取得され、メスを使用して可能な限り小さな断片にして完全に切開された。それら断片は、一定分量のジクロロメタンと共にガラスコップに移され、YSTRAL Micro Shaft 6Gのシュレッダーを使用して粉砕された。後で、寸断された皮膚の残りは、適切な溶剤で6時間抽出手順を経る。FTPPMetについては、ジクロロメタンが、皮膚とポルフィリンの親油性を考慮して正確な選択を表わす。皮膚中に送達された薬理賦形剤の蛍光校正曲線は、使用された方法論を確認するために抽出装置の溶剤中で実施された。最後に、皮膚上に送達された質量が、校正曲線中のその蛍光を代用する各試行ごとに確定される。蛍光イメージの蛍光信号も、蛍光が観察される領域の輪郭を描いた後に[43]皮膚下に送達されたFTPPMetの光度を分析することにより定量化された。FTPPMetの経皮的受動送達と能動送達について抽出手順により、蛍光顕微鏡検査法によって得られたデータ、すなわち高インパルス広帯域の圧縮波が経皮的能動送達用の方法として援用される時、皮膚に送達されたFTPPMetの量の増加、が確認された。
緑色蛍光タンパク質(GFP)には、インシュリン(5.8kDa)のような治療効果を持つタンパク質よりはるかに高い27kDaの分子量がある。他方、GFPは強力な特有の光吸収及び放射を行うが、これは蛍光技術、すなわち共焦点顕微鏡検査を使用する分析を行いやすくする。それは、ここではタンパク質の皮内送達のモデルとして使用された。さらに、GFPをコード化するプラスミドは市販、すなわちgWIZベクトルをベースにしたものを利用できる。gWizGFPプラスミドによって導かれたトランスフェクション後のGFPの発現レベルは、470〜480nmの励起及び510nmの放射を使用する蛍光によってモニターすることができる。例9は、gWizGFPを使用したプラスミド・トランスフェクションの生体外の原理の証明を提示する。
同一のレーザー・フルエンス(1mJ/cm)の下で異なる装置によって生まれ、Panametrics製2.25MHz変換器(モデルA106S)及びデジタル保存オシロスコープ(Tektronix DSA 601、1Gs/s、2チャネル)によって検知された音響波を比較する。励起には、Spectra-Physics Quanta Ray GCR 130 Nd:YAG レーザー(5〜6nsパルス幅)の第3調波が援用された。 吸収膜の厚さが増加する(この場合スライド・ガラス上のTiOナノ粒子の連続層の吸着による)時、過渡音の振幅が減少することを示す。第2層が吸着され、厚さが2倍になる時、TiOナノ粒子に吸着されたマンガンテトラフェニルスルホン酸塩(MnTTPS)によって発生した過渡音の振幅は、半分に減少される。 2.25MHzの変換器で見られるような、10nsの減衰時間を持つ過渡電流の無放射の減衰、又は100nsの減衰時間を持つ過渡電流の減衰によって生まれる光音響波、及びレーザー・エネルギーの50%をそれぞれ使用して10nsと100nsの持続時間で2つ後続の過渡電流の減衰中に生まれた光音響波のシミュレーションを例証する。光音響波の振幅は、過渡電子状態の持続時間が10から100nsへ増加し、その立ち上がり時間がより長くなり、それにより、過渡音のインパルスが減少される時、2の因数だけ減少する。 MnTAPを含む634μm厚の市販の黒いポリスチレンディスク又は38μm厚のポリスチレン・フィルムのいずれかのパルスレーザー励起に従って、両者とも484nmで99.9%超のレーザー光を吸収して、225MHzのPanametrics製接触変換器によって測定された光音響波の高速フーリエ変換を示す。励起には、EKSPLA NL301G Nd:YAG レーザーで圧送されるEKSPLA OPO モデル PG−122が援用され、4〜6nsのパルス持続時間を実現した。 薬理製剤(A)中の化合物を生物学的障壁(B)を通して送達する装置の具体案を、縮尺通りではなく、略図で示した横断図である。この図では、光導波路(7)の近位端がパルスレーザー源に接続され、遠位端が、PAC基準化合物を含んでいる膜の薄い吸収層(4)の方を向いている。光導波路は、PAC基準化合物を含んでいるレーザー源と吸収層の間に物理的接触があるかないかに関わらず指向性を提供する。レーザーパルス(1)は膜(4)の一部へ導かれるか又は焦点を当てられる場合があり、また、後続のレーザーパルスが同一部又は膜(4)の別の部分へ導かれる場合がある。厳密なウィンドウ・エレメント(3)は、薄膜(4)に組み込まれたPAC基準化合物により選択的に吸収されるレーザーパルス(1)の波長に対して透明である。膜(4)を通して透過した光は、前向きの鏡付きサポート・エレメント(5)によって任意に反射され、膜(4)を通過してより多く吸収して、第2の通路を生成する。膜(4)の中で生まれた光音響波は、皮膚(B)に送達される薬剤を含んだ皮膚科製剤(A)によって助けられた音響結合を使用して、サポートエレメント(5)を通して任意に透過されて、例えば皮膚のような生物学的障壁(B)に達する。ウィンドウ・エレメント(3)、薄膜(4)及びサポートエレメント(5)の間の近接は、構造エレメント(6)によって提供される。この構造エレメントは、レーザーパルス(1)の方向を合わせる技術を組込み、また、膜(4)の様々な部分に後続のレーザーパルスを送達する場合がある。 例1と12の355nmのレーザーパルスの装置を使用して、1cmの領域に焦点を当て、20分の培養時間、10mJ/cmのレーザー・フルエンスでミニ豚の皮膚を通過してca.1kDaの分子量を持つポルフィリンを受動(A)及び能動(B)で経皮的送達した蛍光顕微鏡法を比較する。 例3と6の355nmのレーザーパルスの装置を使用して、20分の培養時間、10mJ/cmのレーザー・フルエンスでミニ豚の皮膚を通過してca.1kDaの分子量を持つポルフィリンを経皮的能動送達した蛍光顕微鏡法を示す。共焦点モード:検出器(1150Vで)、ピン穴=111.44μm及び励起(514nmで)。 例1と6の355nmのレーザーパルスの装置を使用して、20分の培養時間、50mJ/cmのレーザー・フルエンスでミニ豚の生体外皮膚を通過して(27kDaの分子量を持つ)GFPを経皮的能動送達した蛍光顕微鏡法(A)及び共焦点蛍光顕微鏡法(B)を示す。共焦点モード:検出器(1150Vで)、ピン穴=111.44μm及び励起(488nmで)。 例1と12の355nmのレーザーパルスの装置を使用して、20分の培養時間、10mJ/cmのレーザー・フルエンスでミニ豚の生体内皮膚を通過してca.1kDaの分子量を持つポルフィリンを経皮的能動送達した蛍光顕微鏡法を示す。 例1と12の355nmのレーザーパルスの装置を使用して、20分の培養時間、10mJ/cmのレーザー・フルエンスでミニ豚の生体内皮膚を通過してGFPを経皮的能動送達した蛍光顕微鏡法を示す。 55mJ/cmのレーザー・フルエンスで532nmのレーザーパルスを備えた例1の装置を使用することにより、COS−7細胞中へgWizGFPプラスミドの生体外送達をした後に生まれたGFPの蛍光顕微鏡法を示す。レーザー照射の24時間後に、細胞中のGFPの表出が蛍光顕微鏡(DMIRE200ライカ)によって観察された。細胞サンプルは488nmで励起された。
例1
マイクロメーターの厚さを持つ重合体膜を組み入れる装置による過渡音の発生
マンガン・メソ・テトラウンデシルポルフィリン(MnTAP)は、良好なPAC基準化合物で、ポリスチレン膜に大量に組み込まれた。膜はガラス・ラメラ上でスピンコーティングによって生まれた。ガラスは、ウィンドウとして機能し、膜は反射するプラスチック・カバーにより反対側が閉じ込められる。この厳密な装置は、355nmの光の90%超を吸収する。吸収物質は、良好なPAC基準の判断基準に適合する。吸収層にはca.30μmの厚さがあり、また皮膚に接触する物質はZskinに近い音響インピーダンスを持つ。すべての層の間の音響インピーダンスは、音響走査ゲル、パラフィン又はグリセリンのような適切な接触媒質で改善される場合がある。2.25MHzの変換器によって測定された、10mJ/cmのエネルギー密度を持つNd:YAGレーザーの第3調波による355nm未満のレーザーパルス励起でのこの装置の性能は、図1中で、類似のガラス・ウィンドウを持つ1mm厚の標準ポリスチレン・プラスチックのものに対して比較されている。
この例は、当技術の中で知られる簡単な黒いプラスチック・ターゲットの効率と比較した時、本発明に開示されたガイドラインに従って設計された装置により達成される光音響の変換効率の増加を例証する。
例2
マイクロメーターの厚さを持つ赤外線吸収性染料を組み込む装置による過渡音の発生
レーザー保護のアイウェアの製造に援用される赤外線吸収性染料は、PAC基準化合物のものに類似する特性も示す場合がある。市販のEpolin製のEPOLIGHT 1178 染料粉末を組込む膜が、1064及び355nmの強力な吸収率で、例1に記載の手順で準備された。EPOLIGHT 1178が投入された膜によって生まれた光音響波が、同じ吸光度、355nmのレーザー・フルエンス及び他の実験条件を援用して、MnTAPが投入された類似の膜によって生まれたものと比較された。膜は非常に類似した光音響波を生み、EPOLIGHT 1178がPAC基準化合物の特性を持っていることを実証した。図1は、同じレーザー・フルエンスについて、相似性の装置だがMnTAPを組み込んで測定されたものと、EPOLIGHT 1178を組込んだ装置で測定された光音響波を比較する。
この例は、本発明で開示されるガイドラインが遵守される条件では、レーザーパルスを光音響波へ効率的に転換するために非常に多種類のレーザー波長が援用できることを示す。
例3
ナノ又はマイクロメーターの厚さのTiOのナノ構造化した層を組み入れる装置による過渡音生成
ガラス表面上でナノ構造化されたTiOの薄層を生む方法は、色素増感太陽電池の分野では非常によく知られている。当該の応用とは反対に、経皮的な薬剤送達用の装置には、TiOナノ粒子間に良好な導電率を促進するために焼結を使用する必要がない。これに反して、焼結は表面の接触面積を縮小する。
メソ・テトラフェニルポルフィリンスルホン酸塩(MnTTPS)が十分な量で吸着されて355nmの光の90%超を吸収すれば、ラメラは乾燥され、また、反射する金属板がその最上部に置かれる前に、グリセロールの薄層が加えられる。本装置は背部から放射線が当てられる。すなわち、レーザー光線はガラス・ラメラに衝突して、それを横断し、TiOナノ晶子に吸収された染料に吸収される。染料に吸収されないすべての光は金属表面によって吸着又は反射される。これは装置全体に当たる光をすべてブロックする。より大きな、例えば100〜200nmのサイズを持つTiO粒子の層が組込まれて光散乱を増加させる場合もあり、結果として、吸着された染料によって光吸収の行路差及び確率を増加させる。図1は、同じレーザー・フルエンスについて、以前の例で説明された装置を使用して測定されたものと、本装置と355nmの励起で測定された光音響波を比較する。
例4
高い線吸収係数を持つ装置による過渡音の発生
MnTAPは、薄いポリスチレン膜に多量に組み込むことができる。38μm厚の膜は、484nmでの5より高い吸収率に相当する、647nmでの1.8の吸収率で作成された。したがって、この薄膜にはμ>>1300cm−1があり、それが生む可能性のある光音響の過渡電流のスペクトル帯は、薄膜に吸収されたレーザーパルスのスペクトル帯によって確定されることが推奨される。膜は、石英ウィンドウと225MHzのPanametrics製変換器の表面の間に閉じ込められ、EKSPLA NL301G Nd:YAGレーザーによって圧送されるEKSPLA OPOモデルPG-122によって励起され、484nmで4〜6nsのパルス持続時間を持つたパルスを送達する。検知された光音響の過渡電流の高速フーリエ変換は、図4に示されるスペクトル分布につながる。最大200MHzの顕著な周波数成分が信号中に存在する。同じ図は、市販の黒いポリスチレンディスクを使用して、484nmでの5より高い吸収率で取得され、同一条件で測定された信号の高速フーリエ変換も示す。本装置によって発生した信号は、50MHz超の有意な周波数成分を含まない。
例5
分子量ca1kDaを持つポルフィリンの生体外の経皮的送達
TPPMetを持つ皮膚科製剤は、0.556mlの無水アルコール中にこのポルフィリン5mgを溶かし、次に1.737mlのプロピレングリコール、その後に0.22mlのアゾンと0.3mlの水を加えて、取得された。その混合物は渦中で十分に混合され、可溶化を促進するために超音波で処理され、次に、水(76.65%)、96%エタノール(15%)グリセリン(6%)、トリエタノールアミン(1.35%)、カルボポル 940(1%)で構成されるゲル基剤に追加された。その混合物は良好な均質化を実現するために徹底的に混合される。本製剤では、ポルフェリンの終末濃度は0.1%であり、また、アゾン(登録商標)のそれは4%である。
本製剤は、ほぼ四角形(2×2cm)のミニ豚皮膚サンプルに適用された。例1の装置は製剤と皮膚に対してゆるやかに加圧され、また12のレーザーパルスがNd:YAGレーザー(532nm)の第2調波で50mJのパルス当たりのエネルギーを使用して発射された。照射領域はおよそ1cmであった。装置は照射の直後に取り外され、皮膚の治療部位は1mm層の皮膚科製剤で覆われ、20分間閉鎖包帯下で保存された。この時間が経過した後は、製剤はスパチュラで取り除かれ、医療用綿にポルフィリンの痕跡が認められなくなるまでエタノールに浸した医療用綿で洗浄された。組織は、上述の手順で固着され、図6の蛍光顕微鏡法によって分析された。図6は、同一の皮膚科製剤の受動のみでの経皮的送達、及び製剤が閉鎖包帯の下の皮膚と接触する同一の時間についての分析の中で得られた蛍光顕微鏡法を示す。図7は、類似の実験結果だが例3の装置を使用したものであり、共焦点顕微鏡検査を使用した皮膚サンプルの分析を示す。
例6
分子量ca27kDaを持つタンパク質の生体外の経皮的送達
緑色蛍光タンパク質(GFP)を含む皮膚科製剤は、FTPPMetをGFPと交換して、前例の通り準備された。
この製剤は、例1の装置及び例5のプロトコルを使用して、すなわち各50mJの12のレーザーパルスを使用し、かつ閉鎖包帯下の皮膚と製剤を20分間接触させてGFPの経皮的送達を促進することにより、ミニ豚の皮膚サンプルに適用された。代表的な皮膚切片の蛍光顕微鏡法及び共焦点顕微鏡検査は図8に示される。同一の皮膚科製剤の経皮的受動送達、及び皮膚閉鎖包帯を使用した製剤の接触の同一時間は、皮膚中での測定可能量のGFPにつながらなかった。
例7
分子量ca1kDaを持つポルフィリンの生体内の経皮的送達
生体内の受動及び能動経皮的テストがミニ豚の背部に対し実施された。各テストでは、ポルフィリンを含んでいる皮膚科製剤は、閉鎖包帯下で、事前に定義された皮膚領域に対し、目標時間で適用された。その時間が経過した後は、製剤はスパチュラで取り除かれ、医療用綿にポルフィリンの痕跡が認められなくなるまでエタノールに浸した医療用綿で洗浄された。その後、皮膚サンプルは外科的に取り除かれ、また、動物は殺された。
援用された皮膚科製剤は例5のものであった。動物の取り扱いは上に記述された。麻酔下で平静な間に、製剤は、外科手袋を装着した手によって適用された。各適用は、数ミリメートル厚のゲルを使用して、直径3cmのほぼ円形の領域を対象とした。受動の薬剤送達に割り当てられた適用場所は、閉塞性パッチで覆われた。薬剤送達に割り当てられた適用は、例1に説明された装置で覆われた。また、これはパルス当たり10mJのエネルギーで、ca1cmの領域に焦点を当てて355nmのレーザーを12回照射されることになっていた。次に、装置は削除され、ゲルの薄層が追加された。また、適用場所は閉塞性のパッチで覆われた。適用20分後にパッチは取り除かれ、動物の背部が清浄された。ミニ豚のうち3頭について、以前記述したように、皮膚サンプルが採集された。各サンプルは、側面が2cm、厚さが1cmのほぼ長方形であった。第4のミニ豚は後続の評価のため10日間生かされ続けた。動物は1頭も、特に生きたままであった動物は、我々のレーザー療法を施したか否かを問わず、製剤が引き起こした副作用の証拠を示すものがいなかった。
固定剤治療の後、各サンプルは蛍光顕微鏡法及び共焦点顕微鏡検査による評価のため、切片状に切断された。図9は、蛍光顕微鏡法によって得られたイメージの代表的な例を示す。20分で、角皮層が無傷に留まっている間、ポルフィリンはすべての表皮上に広がる。
例8
分子量ca27kDaを持つタンパク質の生体内の経皮的送達
援用された皮膚科製剤は例6のものであった。装置は例1で説明された。プロトコルは例7のものであった。適用後の培養時間は20分が守られた。固定剤治療の後、蛍光顕微鏡法による評価は、表皮の実質的部分中にGFPが存在することを解明した。一方、角質層は無傷に留まった、図10。
例9
生体外の遺伝子送達
細胞への機能的な生体外の遺伝子送達の証明をするため、COS−7細胞は、空気中のCO5%の大気の下、37℃で細胞培養インキュベーター中、10%のウシ血清及び抗生物質(ペニシリン/ストレプトマイシン)を使用したダルベッコ改変イーグル培地において培養された。90%の合流に到達後、細胞は採取され、ペトリ皿中で接種され、24時間、37℃で培養された。細胞に圧力波を適用する前に、GFPをコード化するプラスミドDNA(gWizGFP、Aldevron、Fargo、ND)の水溶液が、培地に加えられ、媒体での100μg/mLの濃度を実現した。例1の装置は、培養ウェルの底に押圧された。また、レーザーパルスはNd:YAGレーザーの第2調波(532nm、10Hz、31mJ/パルス)で3分間、発射された。照射領域はおよそ0.57cmであった。レーザー照射の24時間後に、細胞中のGFPの表出が蛍光顕微鏡(DMIRE200ライカ)を使用して観察された。細胞も、明るいフィールドを使用して視覚化された。図12は、COS−7細胞に表出したGFPの蛍光顕微鏡法を示す。
他の実施様態
当業者は、上に記述された数例以外にも、ナノ秒及びピコ秒レーザーパルス及びレーザーパルス持続時間に類似するか又はそれより短い過渡電流持続時間を持つ極めて強力な吸収物質の薄層を使用した本発明の他の多くの実施方法があることを認識している。皮膚まで又は通過して送達される化合物は、レーザーパルス吸収によって薄い吸収層で発生したインパルス過渡電流の操作の前あるいは後に、薬理学的に許容しうる製剤に適用することができる。それらが剛性を提供するには十分な厚さを持ちながらも、音響波を平面に保つことができるくらい十分な薄さを持つことを条件として、皮膚に対して薄い吸収層を閉じ込め接触させることには、類似のインピーダンスを持つ様々な物質を介在させることができる。紫外線、可視光線及び赤外線中のレーザーパルスは、電子励起、電子振動励起又は振動励起用に使用することができる。
したがって、上記の例は本発明の請求範囲に対する制限ではなく、単なる例証である。従って、読者は、紹介された例によってではなく、追加された請求項及びそれらの法的等価物によって本発明の請求範囲を決定することが推奨される。
Lisboa、2012年4月13日

Claims (20)

  1. 個別のパルスレーザー源(2)により放射されたレーザーパルス(1)中のエネルギーを高インパルスかつ広帯域の過渡音に転換するための装置、特に皮膚又は軟組織を含むターゲット生物学的障壁(B)まで又は皮膚又は軟組織を含むターゲット生物学的障壁(B)を通じて、適切な薬学製剤(A)中の少なくとも1つの化合物の送達を促進することができる装置であって、前記レーザーパルス(1)が、0.1〜40mW/cmの間、好ましくは1〜10mW/cmの間の範囲の光学パワー密度を有しており、前記装置は、
    少なくとも1つの分子システムを含む転換物質の薄層(4)であって、前記分子システムは、前記レーザーパルス(1)により送達されたエネルギーの少なくとも一部を吸収し、熱弾性膨張又は構造的な容積膨張又は光分解によって、前記転換物質中に高インパルスかつ広帯域の過渡音を発生させる、転換物質の薄層(4)と、
    前記転換物質の薄層(4)及び好ましくは近接するウィンドウ・エレメント(3)及びサポートエレメント(5)を同時に保持し、すべての3つの部分の間の音響結合ができるように調節された構造的な又は結合力のあるエレメント(6)と、
    前記レーザーパルス(1)を使用して前記転換物質の薄層(4)を実質的に明るくするように配置された前記パルスレーザー源(2)であって、前記レーザーパルス(1)は前記転換物質の薄層(4)に実質的に吸収される波長を有する、パルスレーザー源(2)と、を備えることを特徴とする装置。
  2. 前記転換物質の薄層(4)が、ナノ粒子上で吸着された少なくとも1つの光音響の基準化合物の層を組み込んで、高い内部表面積を備えたナノ結晶メソスコピックの酸化物又はカルコゲニド粒子の膜であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 前記転換物質の薄層(4)が少なくとも1つの光音響の基準化合物を組込むポリマー膜であり、前記光音響の基準化合物はレーザーパルス(1)の少なくとも一部を吸収することを特徴とする請求項1に記載の装置。
  4. 前記転換物質の薄層(4)が、レーザーパルス(1)の少なくとも一部を吸収する少なくとも1つの分子システムを含む溶液の層であり、好ましくは、この溶剤は、少なくとも個別のグリュナイゼン係数によって表される高熱弾性パラメーターを有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
  5. 前記転換物質の薄層(4)が、好ましくはナノ秒パルスレーザーに対し50mJ/cmのレーザー・フルエンス未満のアブレーション閾値を持つポリマー膜であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  6. 前記転換物質の薄層(4)の厚さが、0.01〜400μm、好ましくは0.1〜20μmの間であり、装置が、前記転換物質の薄層(4)と前記パルスレーザー源(2)との間に配置されたウィンドウ・エレメント(3)を備え、前記ウィンドウ・エレメント(3)は、実質的に剛体であるとともに前記レーザーパルス(1)に対して実質的に透過性を有しており、転換物質の薄層(4)の音響インピーダンスよりも大きく音響インピーダンスであって、前記転換物質の薄層(4)の側面にある前記過渡音の膨張又は突出を閉じ込める音響インピーダンスを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
  7. 前記転換物質の薄層(4)が、前記レーザーパルス(1)にさらされた前記転換物質の最初の100のμmの深度で投射するレーザーパルスの99%超を吸収する、好ましくは、赤外線中で、前記転換物質の薄層(4)において電子励起及び/又は振動励起及び/又は回転励起を促進する、及び、前記装置は任意選択で前記ウィンドウ・エレメント(3)を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
  8. 前記レーザー源(2)が、0.1〜100ns、好ましくは0.5〜20nsの間のパルス持続時間を有するレーザーパルスを送達することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
  9. 前記レーザー源(2)が、0.1〜100mJ/cm、好ましくは0.5〜50mJ/cmの間のパルス当たりのエネルギーを送達することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
  10. 前記ウィンドウ・エレメント(3)に対して前記転換物質の薄層(4)の反対側に配置された、特に前記転換物質の薄層(4)とターゲット生物学的障壁(B)との間に配置されたサポートエレメント(5)をさらに備え、前記サポートエレメント(5)はレーザー直接照射を回避し、特にレーザー直接照射からターゲット生物学的障壁(B)を保護し、特に前記ターゲット生物学的障壁(B)の音響インピーダンスの範囲内又はそれに近い所定の音響インピーダンスを有しており、前記薄層(4)及びウィンドウ・エレメント(3)を通って戻る前記薄層(4)により吸収されなかったレーザーパルス(1)の大部分を反射させるために好ましくは鏡が付けられ、これにより装置を通過するレーザーパルス(1)の第2の経路を提供することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の装置。
  11. 任意選択で鏡が付けられた前記サポートエレメント(5)の厚さは、0.1〜10mm、好ましくは0.2〜2mmの間であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置。
  12. 前記構造的な又は結合力のあるエレメント(6)は実質的に剛体の又は柔軟な構造である、若しくは、シーリング又はセメントであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置。
  13. 前記レーザーパルス(1)を前記パルスレーザー源(2)から前記転換物質の薄層(4)の方へ実質的に向けることができる光導波路(7)をさらに備え、前記光導波路(7)は、好ましくはパルスレーザー源(2)に結合された近位端及び前記ウィンドウ・エレメント(3)に向けられた遠位端を有する少なくとも1つの光ファイバーであることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の装置。
  14. 前記光導波路(7)が、可動式であるか又は可動式光学に向けられており、かつ、構造エレメント(6)に組み込まれた手段を含む外部又はリモートのコントロールを通じて連続的なレーザーパルス(1)を、前記レーザーパルス(1)の少なくとも一部を吸収する前記薄層(4)の小さな異なる部分に向けさせることによって、レーザーパルスのシーケンスが、様々な部分で吸収されるものの前記薄層(4)のかなりの部分が最終的に照射されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の装置。
  15. 皮膚又は軟組織を含む生物学的障壁(B)まで又は皮膚又は軟組織を含む生物学的障壁(B)を通じて、薬学的に許容しうる製剤(A)中の少なくとも1つの化合物を送達する方法であって、当該方法は、
    音響的接触媒質を、又は、前記化合物を含む薬学的に許容しうる製剤(A)を、前記生物学的障壁(B)のターゲット領域に接するように配置することと、
    請求項1〜14のいずれか1項に記載の前記装置を、選択的にはサポートエレメント(5)を、前記生物学的障壁(B)の前記ターゲット領域に実質的に直に接触するように配置することと、
    請求項1〜14のいずれか1項に記載の前記装置の薄層(4)によって吸収された波長でパルスレーザー源(2)から放射された少なくとも1つのレーザーパルス(1)を適用することと、
    少なくとも1つの高インパルスかつ広帯域の過渡音を生成することと、
    類似の音響インピーダンス又は低い音響的減衰を有する前記サポートエレメント(5)のような物質を通して、前記過渡音を前記生物学的障壁(B)の前記ターゲット領域まで送達することと、
    前記生物学的障壁(B)の前記ターゲット領域に近接するところから、請求項1〜14のいずれか1項に記載の装置を取り外すことと、
    前記化合物を含む薬学的に許容しうる製剤(A)の層を、前記生物学的障壁(B)の前記ターゲット領域に追加することと、
    前記医薬製剤(A)の層を、任意選択により閉塞性パッチによって、前記生物学的障壁(B)の前記ターゲット領域へ目的量の前記化合物を送達するために必要とされる時間だけ覆うことと、を含むことを特徴とする方法。
  16. 薬学的に許容しうる製剤(A)が、化合物の皮内及び経皮的送達のための薬学的に許容しうる担体を含み、前記担体は、過渡的に皮膚を透過化し、様々な皮膚層を通過して化合物の浸透を促進する浸透エンハンサーを含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
  17. 薬学的に許容しうる製剤(A)がパッチに内包され、請求項1〜14のいずれか1項に記載の装置が前記パッチに適用されることを特徴とする請求項15又は16に記載の方法。
  18. 少なくとも1つのレーザーパルス(1)に代えて、十分な数のレーザーパルスが少なくとも1つのレーザーパルスを使用して前記薄層の表面(4)の全体にマップするために援用されることを特徴とする請求項15〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 分子の移送に対する障害として通常働く生体膜を通過して少なくとも1つの化合物を送達する方法であって、当該方法は、
    前記化合物を含む生物学的に適合した製剤を前記生体膜に接触するように配置することと、
    選択的に前記サポートエレメント(5)によって、請求項1〜14のうちのいずれかに記載の装置を、前記生体膜と音響結合するように配置することと、
    前記薄層(4)に吸収される波長で前記パルスレーザー源(2)から少なくとも1つのレーザーパルス(1)を適用することと、
    少なくとも1つの高インパルスかつ広帯域の過渡音を生成することと、
    前記接触媒質を通じて前記過渡音を薄膜に送達することと、
    請求項1〜14のいずれか1項に記載の装置を取り外すこと、かつ、任意選択的に、より多くの生物学的に適合した製剤を薄膜に接触するように配置することと、を含むことを特徴とする方法。
  20. 十分に長くて生物学的に適合した光導波路(7)を好ましくは備える請求項1〜14のいずれか1項に記載の装置を、人体の少なくとも一部分に挿入することと、
    前記転換物質の薄層(4)を、又は、好ましくは前記装置のサポートエレメント(5)を、人体の一部である薬剤送達場所の近接箇所まで移動させることと、をさらに含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
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JPN7015000434; SHANGGUAN, Hanqun et al.: 'Photoacoustic drug delivery: The effect of laser parameters on spatial distribution of delivered dru' Proceedings of SPIE 2391, 19950322, 394-402, SPIE *

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