JP2014520873A - c−Fmsアンタゴニストの使用 - Google Patents

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Abstract

本発明は一般に骨関節症(OA)および/または疼痛の治療および/または予防方法に関する。本発明によると、c−Fmsアンタゴニストが骨関節症および/または疼痛の治療に有効である。M−CSFのアンタゴニストは、限定しないが、M−CSF、IL−34またはc−Fmsに特有の抗体を含む。
【選択図】図1

Description

本出願は、2011年7月18日提出の米国暫定出願第61/508,717号の利益を主張するものであり、その全体を参照により組み込んでいる。
本発明は一般に骨関節症(OA)および/または疼痛の治療および/または予防方法に関する。本発明によると、c−Fmsアンタゴニストが骨関節症および/または疼痛の治療に有効である。c−Fmsアンタゴニストは、限定しないが、c−Fmsまたはc−Fmsリガンドに特有の抗体、例えばM−CSFまたはIL−34を含む。
[骨関節症]
骨関節症(OA)は変形性関節症としても知られており、老人や肥満者に多い疾病である。OAは関節の疾病であるが、慢性関節リウマチ(RA)と異なり、全身性ではなく、通常は1またはいくつかの関節のみに影響する。この疾病は関節軟骨の完全崩壊、下の骨の硬化、および骨増殖体の形成に繋がり、結果として動きが悪くなり痛みが出る。最終的には関節を完全に交換する必要があることもある。
OAは、米国では約2100万人が罹患しており、そのうち25%が医者の一時診療にかかり、全体の50%にNSAID(非ステロイド抗炎症薬)が処方される。現在では症状の進行を遅らせたり止める有効な治療はなく、今日の薬は単に対症的なものである。この疾病の発生率と重症度は、年齢によって増加する。65歳では、アメリカ人の80%がX線撮影でエビデンスがみられるが、そのうちの60%のみに症候が出る。65歳におけるすべての関節症の65%がOAである。2006年のOAに関連する米国の入院患者は735,000人である。
現在のOA薬剤は、OAの症状を鎮めるもので、疾病そのものを治療するものではない。OA治療でよく用いられる薬剤は、ディアセリン、ボルタレン、モビック、およびアルスロテック(ジェネリック名:ディクロフナック、ミソプロストル、メロキシカム)といった非ステロイド抗炎症薬(NSAID)である。NSAIDは主に経口薬であり、中枢神経系(CNS)のプロスタグランジン合成を抑制作用がある。他のよく用いられる薬剤は、ウルトラム(トラマドール)といった非麻薬性鎮痛薬、セレブラックスやアルコキシア(セレコキシブ、エトリコキシブ)といったCOX−2抑制剤、デュラジェシック(プロポキシフェンフェンタニル)といった麻薬性鎮痛薬、スパーツ、ヒアルガン、オルソビスク、およびシンビスク(Hylan G−F20)といったヒアルロン酸、および、プレディニソロンやメチルプレディニソロンといったコルチコステロイドを含む。現在のOA治療は、軟骨細胞の移植などの組織工学を通じて手術の必要性を回避している。しかしながら、これらの治療はOAの最終ステージの治療としてのみ適用可能である。OA治療の考えられる他のアプローチは、デキストローゼといった刺激薬を罹患関節に注射し、急性の炎症反応を起こさせ、同時に組織、靱帯、腱、および軟骨の強化と治癒の期待をもたらす増殖療法がある。したがって、OA治療には未だ対処されていない医療上の高い必要性があった。
[疼痛]
様々な種類の疼痛が、米国の医師への相談において最も高頻度の理由であり、毎年全アメリカ人の半数が医療的ケアを求めている。それは、内科的疾患において、人間の生活の質及び一般的な機能を著しく妨げる主要な症状である。診断は、持続時間、強度、種類(鈍い、焼けるような又は刺すような)、原因又は体の位置により、色々な方法で疼痛を特徴的付けることに基づいている。一般に疼痛は治療をせずに治まり、又は休息や鎮痛剤服用などの簡単な対策に反応するものであり、それはその後急性疼痛と言われる。しかし、疼痛がもはや症状ではなく、疼痛そのものが病気である慢性疼痛と呼ばれる難治性の進行性の状態になる場合もある。
疼痛は、多くのスキームや状況によって分類される。疼痛には二つの基本タイプ:急性と慢性がある。急性疼痛は短い期間生じ、一時的な疾患に関連する。しかし、これは通常どこか悪いところがあるとの警告である。慢性疼痛は、継続的で再発性のものである。これは慢性的な病気に関連しており、それらの症状の一つである。疼痛の強さは、それを生じさせた刺激の種類だけでなく、疼痛の主観的な知覚によっても左右される。主観的な知覚は幅広いが、以下に基づいて疼痛の種類をいくつかに分類する:
・疼痛を生じさせた刺激
・疼痛の持続時間
・疼痛の特徴(強さ、場所、等)
もう一つの分類システムは、以下の通りである。
・絶え間ない疼痛。一定の強さが連続する。通常運動することによって悪化する。
・ズキズキする疼痛。片頭痛の典型である。脳の血管の拡張と収縮が原因である。
・突き刺すような疼痛。強く激しい疼痛である。機械的刺激が原因である。
・焼けるような疼痛。例えば胸焼けのような、絶えず焼けるような感覚である。
・圧迫されるような疼痛。血管又は筋肉の収縮が原因である。
また、特殊な種類の疼痛もある。
・筋肉の疼痛。筋肉痛として知られており、筋肉に作用し過度の運動の後や炎症時に生じる。
・疝痛。月経期間の子宮のように特定の器官の筋肉収縮が原因である。
・関連痛。体から受けた情報を脳がどのように解釈するかにより、実際に生じた場所ではない場所で痛みが生じる。
・外科的手術後又は手術後の疼痛。外科的手術後に生じ、外科的措置の損傷によるものである。
・骨肉腫の疼痛。前立腺、乳房、又は他の軟部組織の腫瘍といった特定の種類の癌は、転移性骨疾患として知られる骨の痛みを伴う疾患に進行する場合がある。
[痛みの治療の標準ケア]
痛みを治療するにはいくつもの方法がある。治療は痛みの原因によって変化する。主な治療オプションは以下の通りである:
アセトアミノフェン:タイレノール(アセトアミノフェン)を疼痛治療に用いる。他の痛み止めと異なり、タイレノールは抗炎症作用がない。しかしながら、慢性痛の場合はしばしば疼痛部位に炎症がないため、タイレノールが適切な治療となる。タイレノールは適切に用いれば安全であるが、過度に用いると危険となりうる。また、タイレノールは特定の他の薬剤と共に用いると、望まない副作用を生じることがある。
非ステロイド抗炎症薬(NSAID):NSAID(例えばイブプロフェン、モトリン、アレーブなど)は、急性痛の場合や、慢性痛患者の再発時に最も有益となる。NSAIDはまた、腱炎、滑液包炎、および関節炎を含む炎症状態の治療によく効く。一般に、NSAIDは胃の問題が進展する可能性があるため、慢性痛の患者用に限られている。この問題を回避するために、新たにセレブレックスといったCOX−2抑制剤が開発されているが、これらの薬剤を長期にわたり使用する場合には未だに警告が必要である。
コルチコステロイド:NSAIDと同様に、コルチコステロイドは強い抗炎症薬であり、急性痛や、慢性的な炎症問題の再発に最もよく用いられる。コルチコステロイドは経口でも(例えばメドロール、プレドニソン)、軟組織または関節に注射されてもよい(コルチゾン注射)。
麻薬:麻薬を使用しないと疼痛が制御できない場合に麻薬の使用を考慮すべきである。多くの麻薬は、危険であり中毒になる。麻薬の投与は、急性疼痛に有用であるが、重大な副作用も有している。これらの薬の短時間作用型は、乱用と耐性を生じさせることがある。長時間作用型の選択は副作用が少なく、慢性疼痛を制御するのにより優れている。麻薬は、投与量を徐々に減らさずに長期間使用したり、疼痛以外の理由で薬を摂取した場合に中毒になる場合がある。
抗けいれん誘発剤:抗けいれん誘発剤は、神経痛を緩和するカテゴリーの薬剤である。これらの薬は、神経や脳に送られる信号の機能を変化させる。神経痛の抗けいれん誘発剤で最も一般的に処方されているのは、Neurontin(ガバペンチン)と呼ばれるものである。線維筋痛治療専用で近年浮上している別の選択は、リリカ(プレガバリン)と呼ばれるものである。
局所麻酔:局所麻酔は、ある領域に一次的な疼痛回復をもたらす。慢性痛の調整に用いる場合、局所麻酔はしばしば疼痛領域への局所的なパッチとして適用される。パッチとなったリドダーム(Lidoderm)が皮膚上に適用され、この領域の感度を鈍らせる。
上述したすべての治療オプションは欠点や、副作用があり、あるいは特定の種類の痛みに限定される。したがって、解消されない疼痛治療に高い医療上の必要性があった。
[c−Fmsとそのリガンド]
c−Fms(CSFR1、M−CSFRc−Fms)は、マクロファージの生成、分化、および機能を制御するサイトカインである、群体刺激因子1の受容体である(後述)。c−Fmsは、M−CSFの生物学上の作用の殆どあるいはすべてを媒介する。リガンド結合は、オリゴマー化とトランスリン酸化のプロセスを介してCSFR1を活性化する。コード化された蛋白質はチロシンキナーゼ膜受容体であり、チロシン−蛋白質キナーゼのCSF1/PDGF受容体ファミリのメンバーである。CSFR1遺伝子の第1イントロンは、転写不活性リボソーム蛋白質L7処理偽遺伝子を含み、これはCSFR1遺伝子の反対方向に配置されている。
CSF1Rの変異は、慢性的な骨髄性単球性白血病と、M4種急性顆粒球性白血病に関連する。アルツハイマー症や、脳の損傷後にCSF1R1のレベル増大が小膠細胞でみられる。受容体発現の増大は、小膠細胞をより活性化させる。CSF1Rもそのリガンド群体刺激因子1も乳腺の発達に重要な役割を果たし、乳腺の発癌プロセスに関わりがある。
M−CSF(CSF−1)は、単球、マクロファージ、および骨髄前駆細胞の増殖、分化、および生存に関わる造血成長因子である。胎盤の栄養膜の受容体CSF1Rの高レベルと同様に、高レベルのCSF−1の発現が、妊娠した子宮内膜の被覆組織でもみられる。研究により、局部的な高レベルのCSF−1による栄養膜CSF1Rの活性化は、通常の胚移植と胎盤成長に必須のものと示されている。近頃では、CSF−1とその受容体CSF1Rは、乳腺の通常の成長と腫瘍の成長に関係すると考えられている。
IL−34は、c−Fmsの代替的なリガンドである(Lin et al.,Science(2008),320,807−11)。破骨細胞形成におけるIL−34の役割の一つが説明されている(Chen et al.,PloS One(2011)6, e18689)。ネズミのIL−34が、c−Fmsに結合するネズミのM−CSFに匹敵することが示されている(Wei et al.,J Leukok Biol(2010)88,495−505)。これは、成長因子M−CSFまたはIL−34により引き起こされる増殖が、抗c−Fms抗体によりブロックされる観察と矛盾がない。Weiらが用いた抗体AFS−98は、本願でも用いられている。
Devalarajaら(US20020141994A1)は、多くのリストのなかでOAは潜在的に、群体刺激因子のアンタゴニストを用いる治療に適した兆候を示すと述べている。この兆候リストは、アテローム性動脈硬化、セプシス、自己免疫疾患、骨粗鬆症、および慢性関節リウマチを含む。M−CSFは、Devalarajaらが述べる多くの群体刺激因子のうちの一つである。しかしながら、実験的なサポートがなく実施可能な開示内容がない。同様に、Patelら(Current Topics in Medicinal Chemistry(2009)9,599−610)は、炎症性疾患においてc−Fmsを述べているが、何らの実験データも実施可能な開示もない。同様に、WO06/096461は特定のM−CSF特異の抗体を開示する。しかしながら、WO06/096461はM−CSF特異の抗体の単離、精製、および調合を記載するだけであり、開示されたバインダとインヴィトロあるいはインヴィヴォでのデータを開示するものではない。したがって、WO06/096461は実施可能ではない。
Figure 2014520873

Figure 2014520873
本発明は、初めて、c−Fms、M−CSF、およびIL−34がOAおよび疼痛の治療に有効なターゲットであることを示すものである。M−CSFとIL−34はc−Fmsのリガンドであり、これらの分子の中和はOAおよび疼痛の治療に有効である。この発見は新規であり、いずれの従来技術もOAおよび疼痛の治療にこの関係を類推させるものを提供あるいは示唆するものはない。したがって、本発明は、対象者の骨関節症の治療方法を提供し、この方法は、前記対象者に有効量のc−Fmsアンタゴニストを投与するステップを含む。本発明はまた、対象者の疼痛を治療する方法を提供し、この方法は、対象者に有効量のc−Fmsアンタゴニストを投与するステップを含む。
本発明の他の態様は、対象者の骨関節症の予防方法を企図するものであり、この方法は対象者に有効量のc−Fmsアンタゴニストを投与するステップを含む。
本発明の別の態様は、対象者の疼痛の予防方法を企図するものであり、この方法は対象者に有効量のc−Fmsアンタゴニストを投与するステップを含む。
本発明の別の態様は、M−CSFの能力における、骨関節症に罹患したか骨関節症の罹患が疑われる対象者の細胞の活性化、増殖、成長促進、および/または生存を弱めるc−Fmsアンタゴニストを含む組成物に関し、この組成物はさらに、1またはそれ以上の薬学的に許容可能な担体および/または希釈剤を含む。別の態様では、本発明は、IL−34の能力における、骨関節症に罹患したか骨関節症の罹患が疑われる対象者の細胞の活性化、増殖、成長促進、および/または生存を弱めるc−Fmsアンタゴニストを含む組成物に関し、この組成物はさらに、1またはそれ以上の薬学的に許容可能な担体および/または希釈剤を含む。
本発明の別の態様は、M−CSFの能力における、疼痛に苦しむか疼痛が疑われる対象者の細胞の活性化、増殖、成長促進、および/または生存を弱めるc−Fmsアンタゴニストを含む組成物に関し、この組成物はさらに、1またはそれ以上の薬学的に許容可能な担体および/または希釈剤を含む。別の態様では、本発明は、IL−34の能力における、疼痛に苦しむか疼痛が疑われる対象者の細胞の活性化、増殖、成長促進、および/または生存を弱めるc−Fmsアンタゴニストを含む組成物に関し、この組成物はさらに、1またはそれ以上の薬学的に許容可能な担体および/または希釈剤を含む。
本発明の別の態様は、骨関節症の治療に用いるc−Fmsアンタゴニストを含む組成物に関し、この組成物はさらに1またはそれ以上の薬学的に許容可能な担体および/または希釈剤を含む。
本発明の別の態様は、疼痛の治療に用いるc−Fmsアンタゴニストを含む組成物に関し、この組成物はさらに1またはそれ以上の薬学的に許容可能な担体および/または希釈剤を含む。
本発明の別の態様は、骨関節症の治療用の薬剤の製造へのc−Fmsアンタゴニストの使用に関する。
本発明の別の態様は、疼痛の治療用の薬剤の製造へのc−Fmsアンタゴニストの使用に関する。
本発明の別の態様は、骨関節症の治療方法に関し、c−Fmsアンタゴニストを対象者に投与するステップを含む。
本発明の別の態様は、疼痛の治療方法に関し、c−Fmsアンタゴニストを対象者に投与するステップを含む。
本発明の特定の態様において、c−Fmsアンタゴニストは、M−CSFに特異的な抗体である。
本発明の別の態様において、c−Fmsアンタゴニストは、c−Fmsに特異的な抗体である。
本発明の別の態様において、c−Fmsアンタゴニストは、IL−34に特異的な抗体である。
本発明の特定の態様は、骨関節症または疼痛の治療に用いられるc−Fmsのアンタゴニストを提供する。
本発明の特定の態様は、骨関節症または疼痛の治療に用いられる、M−CSFに特異的な抗体を提供する。
本発明の特定の態様は、骨関節症または疼痛の治療に用いられる、c−Fmsに特異的な抗体を提供する。
本発明の特定の態様は、骨関節症または疼痛の治療に用いられる、IL−34に特異的な抗体を提供する。
本発明の特定の態様において、本発明のアンタゴニストはヒトに用いられる。
本明細書を通じて、用語「具える」、「有する」、および「含む」や、「具えている」「有している」、「含んでいる」等の派生語は、記載された要素、要素や完全体の群を含むが、他の要素や完全体およびその群を除外しないと解されるべきである。
図1は、コラゲナーゼ誘発OAのマウスで判定した疼痛の測定の体重配分(weight distribution)である。結果は平均+標準誤差として示している。マウスは20日目に有意な疼痛を示した。マウスは20日目以降は2x/週で処置した。異なる2つの治療群は統計的に異なる(t−テスト):抗CSFR1対コントロールmAb:28日目と31日目でp<0.05。抗CSFR1対0日目:p>0.01、20日目:p<0.05、24日目。 図2は、コラゲナーゼ誘発OAのマウスにおける骨関節症スコアの組織学的評価である。C57BL/6マウス(n=15匹/群)がコラゲナーゼを受けた(0日と2日目)。マウスは、20日目(t=0から疼痛の読みが有意に異なる初日)から抗c−FmsまたはコントロールmAb(2x/週)で処置された。結果は平均±標準誤差として示している。LT=外側頸骨、LF=横大腿骨、MT=内側脛骨、MF=内側大腿骨。抗cFms対コントロール:MT−p=0.01(マンホイットニー2サンプルランクテスト)。 図3は、コラゲナーゼ誘発OAのマウスにおける疼痛の測定の体重配分である。結果は平均+標準誤差として示している。マウスは20日目に有意な疼痛を示した。マウスは20日目以降は2x/週で処置した。抗M−CSF抗体で処置されたマウスは、アイソトープコントロール抗体と比べて疼痛度合いの増加が見られなかった。
本発明は、c−Fms、M−CSF、およびIL−34がOAおよび疼痛の治療の有効なターゲットであることを示す。M−CFSとIL−34はc−Fmsのリガンドであり、これらの分子の中和はOAおよび疼痛の治療に有効である。これに関し、本発明は一態様において、OAおよび/または疼痛の分野で予防あるいは治療に有益なc−Fmsのアンタゴニストの使用方法を提供する。
本発明は、治療が必要な対象者に薬学的な有効量のc−Fmsアンタゴニストを投与することを含む、治療方法を提供する。本書において「薬学的な有効量」または「有効量」とは、所望の生理学的反応を誘発するのに必要なc−Fmsアンタゴニストの量をいう。本発明によると、治療上有効な量は、骨関節症および/または疼痛の治療および/または予防に必要なc−Fmsの量をいう。
本発明の特定の態様は、手術後の疼痛の治療方法を提供する。本発明の他の態様は、骨癌の治療方法を提供する。本発明のさらなる他の態様は、鎮痛作用のあるc−Fmsアンタゴニストを提供する。本発明のさらなる他の態様は、リウマチ性関節痛の治療方法が提供される。c−Fmsアンタゴニストは、リウマチ性の関節炎に関する疼痛を阻害または阻止する効果がある。本発明の他の態様では、リウマチ性関節痛の発生を減少し、リウマチ性関節痛を抑制し、リウマチ性関節痛を鎮静させ、リウマチ性関節痛を和らげ、および/または、対象者のリウマチ性関節痛の出始め、進行、または悪化を遅らせる方法が提供され、この方法は対象者に有効量のc−Fmsアンタゴニストを投与することを含む。本発明の他の態様では、個人に有効量のc−Fmsアンタゴニストを投与することにより個人の骨関節症の疼痛を予防または治療する方法が提供される。本発明の他の態様では、リウマチ性関節炎に関する炎症性悪液質(体重減少)の治療方法が提供され、有効量のc−Fmsアンタゴニストを投与することを含む。本発明の他の態様は、骨関節痛の発生を減らし、骨関節痛を改善し、骨関節痛を鎮静させ、骨関節痛を和らげ、および/または個人の骨関節痛の出始め、進行、または悪化を遅らせる方法が提供され、この方法は個人に有効量のc−Fmsアンタゴニストを投与することを含む。
疼痛あるいは疼痛の1以上の症状(例えばリウマチ性関節痛や骨関節痛)を「緩和する」とは、本発明にかかるc−Fmsアンタゴニストで処置された個人または個体群の術後痛の1以上の望まない臨床症状の程度を緩和することを意味する。
特定の態様では、疼痛はM−CSFアンタゴニストの投与後に約24時間で緩和される。他の態様では、疼痛はc−Fmsアンタゴニストの投与後に約4日で緩和される。
本書でいう「c−Fmsアンタゴニスト」は、広義でのc−Fmsアンタゴニストを含み、c−Fmsまたはそのリガンドのいずれかの活動または機能を抑制し、あるいは別の様々な方法でc−Fmsが含まれるものに治療効果を奏する様々な分子を含む。c−Fmsアンタゴニストの語は、c−Fmsシグナル伝達を遮断あるいは抑制する様々な分子を含む。c−Fmsアンタゴニストの語は、限定しないが、c−Fmsに特異的に結合する抗体、c−Fmsに特異的な阻害性核酸、またはc−Fmsに特定的な小有機分子を含む。また、c−Fmsアンタゴニストの語の意味は、M−CSFに特異的に結合する抗体、M−CSFに特異的な阻害性核酸、またはM−CSFに特異的な小有機分子を含む。さらに、c−Fmsアンタゴニストの語の意味には、IL−34に特異的に結合する抗体、IL−34に特異的な阻害性核酸、またはIL−34に特異的な小有機分子が含まれる。
阻害性核酸は、限定しないが、アンチセンスDNA、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、外部ガイド配列、低分子干渉RNAおよびミクロRNAを含む。有用な阻害性核酸は、c−Fms、M−CSF、またはIL−34をコードするRNAの発現をコントロールに比べて少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、または95%低減するものを含む。阻害性核酸およびその製造方法はこの技術分野で公知である。低分子干渉RNAの設計ソフトウェアが入手可能である。
M−CSF、IL−34、またはM−CSF受容体に特異的な小有機分子(SMOL)は、天然物スクリーニングまたは化合物ライブラリーで同定またはスクリーニングすることができる。通常、SMOLの分子量は500ダルトン未満であり、より典型的には160−480ダルトンである。SMOLの他の代表的な特徴は以下の1以上である:
・分配係数の対数Pが、−0.4から+5.6の範囲内
・モル屈折率が40から130
・原子数が20から70
検証するには、Ghose et al.,J Combin Chem:1:55−68,1999およびLipinski et al.,Adv Drug Del Rev 23:3−25,1997を参照されたい。
好適には、本発明で使用されるc−Fmsアンタゴニストは、M−CSFに特異的、IL−34に特異的、あるいはM−CSF受容体に特異的な抗体である。そのような抗体は、マウス、ラット、キメラ、ヒト化、又はヒト抗体などの、任意の種類の抗体であってもよい。ここでは「ヒト」抗体又は機能性ヒト抗体断片を、キメラではなく(例えば「ヒト化」ではない)、かつ非ヒト種由来(全体あるいは一部に拘わらず)ではないものと定義する。ヒト抗体又は機能性抗体断片は、ヒト由来又は合成ヒト抗体でもよい。ここでは「合成ヒト抗体」を、既知のヒト抗体配列の分析に基づきシリコン内で合成された合成配列由来の配列を全体又は一部に有する抗体と定義する。シリコン内でのヒト抗体配列又はその抗体の設計は、例えばヒト抗体又は抗体断片の配列のデータベースを分析し、そこから得られたデータを利用してポリペプチド配列を構築することにより得られる。ヒト抗体又は機能性抗体断片の別の例は、ヒト由来の抗体配列ライブラリ(例えばヒトなど天然ソース由来の抗体に基づくライブラリ)から単離された核酸でコードされたものである。
本書において、「ヒト化抗体」または機能性ヒト化抗体フラグメントは、(i)非ヒトソース(例えば異種免疫系を担う遺伝子組み換えマウス)由来のヒト生殖系配列の基づく抗体、(ii)可変領域は非ヒト由来であり、定常領域はヒト由来であるキメラ、(iii)可変領域のCDRsが非ヒト由来であり、可変領域の一又はそれ以上のフレームワークがヒト由来であり、定常領域(もしあれば)がヒト由来である移植CDRと定義する。特定の態様では、本発明で用いる抗体はヒト化抗体である。
本書において、「キメラ抗体」または機能性キメラ抗体フラグメントは、一つの種に見られる配列に由来又は対応する定常抗体領域を有する抗体分子及びもう一つの種に由来する可変抗体領域を有する抗体分子と定義する。定常抗体領域は、例えばヒト生殖系又は体細胞のようなヒトに見られる配列に由来又は対応し、可変抗体領域(例えばVH、VL、CDR又はFR領域)は、例えばマウス、ラット、ウサギ又はハムスターのような非ヒト動物に見られる配列に由来するものが好ましい。特定の態様では、本発明で用いられる抗体はキメラ抗体である。
本書において、「単クローン」とは、この分野で、例えばB細胞といった抗体産生細胞の単クローンから発生し、結合された抗原に単一のエピトープを認める抗体または抗体フラグメントの意味を有する。特定の態様では、本発明で用いる抗体は、単クローン抗体である。
結合の特異性は絶対的でなく相対的であるため、本書において、「特異的に結合した」抗体とは、抗体がこのような抗原と1以上の基準抗原との間の識別が可能である場合に、その抗原(ここでは、M−CSF受容体またはM−CSFあるいはIL−34)に「特異的な」または「特に認められる」ことをいう。基準抗原は、1以上の近い関係の抗原であり、基準点として用いられ、例えばIL3、IL5、IL−4、IL13、またはGM−CSFがある。最も一般的な形では(規定された基準が記載されていない場合)、「特定結合」は、例えば、後述する1以上の方法により、抗体が関心のある抗原と関係のない抗原と識別される機能をいう。このような方法は、ウェスタンブロット法に限定しないが、ELISA−、RIA−、ECL−、IRMA−テストとペプチド走査を含む。例えば、標準ELISA検査を行うことができる。スコアは、標準発色により行われる(例えば西洋ワサビペルオキシターゼ及び過酸化水素が添加されたテトラメチルベンジンを有した二次抗体)。特定のウェル中での反応は、例えば450nmで光学密度により計測される。一般的なバックグランド(=陰性反応)は0.1ODであり、典型的な陽性反応は1ODである。これは陰性/陽性の違いは10倍以上であることを示している。一般に特異的な結合を判定するときは、単一の標準抗原を使用せず、粉ミルク、BSA、トランスフェリン、又は同様なものなどの約3から5の無関係の抗原を使用する。さらに、「特異的な結合」は、例えばM−CSF、IL−34、またはM−CSF受容体の異なるドメインや領域といった、ターゲット抗原の異なる部分間を識別するか、一以上のキーアミノ酸残基あるいはM−CSF、IL−34またはM−CSF受容体のアミノ酸残基の伸長を識別する能力に関連する。
また、本書において「免疫グロブリン」(Ig)を、IgG、IgM、IgE、IgA、又はIgDのクラス(又は任意のそのサブクラス)に属し、従来より知られた抗体及びその機能性断片を全て含むタンパク質と定義する。ここでは抗体/免疫グロブリンの「機能性断片」を、抗原結合領域を保持する抗体/免疫グロブリン(例えばIgGの可変領域)断片と定義する。抗体の「抗原結合領域」は、通常抗体の一又はそれ以上の超可変領域、即ちCDR−1、−2、及び/又は−3領域に見られるが、可変「フレームワーク」領域はまた、CDRsの足場を提供するという抗原結合で重要な役割を果たすことができる。「抗原結合領域」は、少なくとも可変軽(VL)鎖の4から103アミノ酸残基及び可変重(VH)鎖の5から109アミノ酸残基を具えるのが好ましく、VLの3から107アミノ酸残基及びVHの4から111アミノ酸残基を具えるのがさらに好ましく、VL及びVH鎖(VLのアミノ酸位置1から109及びVHのアミノ酸位置1から113;番号はWO97/08320に従う)を完全に具えるのが特に好ましい。本発明で使用する免疫グロブリンの好ましいクラスはIgGである。本発明の「機能性断片」はF(ab’)断片、Fab断片、scFvの領域、又は例えば単一の重鎖可変領域又は単一の軽鎖可変領域といった単一の免疫グロブリン可変領域又は単一の領域抗体ポリペプチド具える構成体を含んでいる。F(ab’)又はFabは、CH1とC領域間に生じる分子間ジスルフィド相互作用を最小化する又は完全に除去するよう設計されている。
本発明の抗体は、シリコン内で設計されたアミノ酸配列に基づいて合成的に作られた核酸でコードされた組み換え体抗体ライブラリ由来のものであってもよい。シリコン内での抗体の設計は、例えばヒト抗体のデータベースを分析し、そこから得られたデータを利用してポリペプチド配列を構築することにより得ることができる。例えば、Knappikら、「J.Mol.Biol 296」、57頁、2000年、Krebsら、「J.Immunol.Methods.254」、67頁、2001年、Rotheら、「J.Mol.Biol.376」、1182頁、2008年、及び参照によりその全体が組み込まれる2000年にKnappikらに発行された米国特許第6,300,064号にシリコン内で作製された配列の設計及び取得方法が開示され、その全体が参照により組み込まれる。
M−CSFに特異的な様々な抗体を、本発明に使用することができる。典型的な抗体は、WO90/009400、WO99/017798、WO01/30381、WO05/030124、US20020141994、WO06/096461、WO06/096490、WO06/096489、WO04/045532、WO07/059135、WO05/046657、WO05/068503、WO07/016240、WO07/016285およびWO07/081879に開示されたものが含まれ、これらはすべて参照により本書に組み込まれる。
同様に、M−CSF受容体に特異的な抗体を本発明に用いることができる。
同様に、IL−34に特異的な抗体を本発明に用いることができる。
特定の態様において、本発明は、対象における骨関節症の治療のための方法を提供し、この方法は、c−Fmsアンタゴニストを投与する工程を含む。他の態様において、本発明は、対象における疼痛を治療するための方法を提供し、この方法は、c−Fmsアンタゴニストを投与する工程を含む。この文脈で使用される「対象」とは、マウスやラットなどのげっ歯類、ならびにカニクイザル(マカク属カニクイザル)、アカゲザル(マカク属アカゲザル)またはヒト(ホモサピエンス)などの霊長類を含む任意の哺乳動物をいう。好ましくは、被験体は霊長類であり、最も好ましくはヒトである。
特定の態様において、本発明は、骨関節症に罹患しているか罹患が疑われる対象において、細胞の活性化、増殖、成長誘発、および/または生存にかかるM−CSFの機能を弱めるc−Fmsアンタゴニストを含む組成物を提供し、この組成物はさらに、1以上の薬学的に許容される担体および/または希釈剤を含む。本発明の抗M−CSF抗体は、骨関節症におけるM−CSFの役割のいずれかに拮抗することができる。
特定の態様において、本発明は、骨関節症に罹患しているか罹患が疑われる対象において、細胞の活性化、増殖、成長誘発、および/または生存にかかるIL−34の機能を弱めるc−Fmsアンタゴニストを含む組成物を提供し、この組成物はさらに、1以上の薬学的に許容される担体および/または希釈剤を含む。本発明の抗IL−34抗体は、骨関節症におけるIL−34の役割のいずれかに拮抗することができる。
特定の態様において、本発明は、骨関節症に罹患しているか罹患が疑われる対象において、細胞の活性化、増殖、成長誘発、および/または生存にかかるc−Fmsの機能を弱めるc−Fmsアンタゴニストを含む組成物を提供し、この組成物はさらに、1以上の薬学的に許容される担体および/または希釈剤を含む。本発明の抗c−Fms抗体は、骨関節症におけるc−Fmsの役割のいずれかに拮抗することができる。
特定の態様において、本発明は、疼痛に苦しむか疼痛の苦痛が疑われる対象において、細胞の活性化、増殖、成長誘発、および/または生存にかかるM−CSFの機能を弱めるc−Fmsアンタゴニストを含む組成物を提供し、この組成物はさらに、1以上の薬学的に許容される担体および/または希釈剤を含む。本発明の抗M−CSF抗体は、骨関節症におけるM−CSFの役割のいずれかに拮抗することができる。
特定の態様において、本発明は、疼痛に苦しむか疼痛の苦痛が疑われる対象において、細胞の活性化、増殖、成長誘発、および/または生存にかかるIL−34の機能を弱めるc−Fmsアンタゴニストを含む組成物を提供し、この組成物はさらに、1以上の薬学的に許容される担体および/または希釈剤を含む。本発明の抗IL−34抗体は、骨関節症におけるIL−34の役割のいずれかに拮抗することができる。
特定の態様において、本発明は、疼痛に苦しむか疼痛の苦痛が疑われる対象において、細胞の活性化、増殖、成長誘発、および/または生存にかかるc−Fmsの機能を弱めるc−Fmsアンタゴニストを含む組成物を提供し、この組成物はさらに、1以上の薬学的に許容される担体および/または希釈剤を含む。本発明の抗c−Fms抗体は、骨関節症におけるc−Fmsの役割のいずれかに拮抗することができる。
特定の態様において、本発明は、骨関節症の治療に使用するためのc−Fmsアンタゴニストを提供する。他の態様において、本発明は、疼痛の治療において使用するためのc−Fmsアンタゴニストを提供する。特定の態様において、本発明は、骨関節症又は疼痛の治療において使用するためのc−Fmsアンタゴニストを提供する。
特定の態様において、本発明は、骨関節症の治療に使用するためのM−CSFに特異的な抗体を提供する。他の態様において、本発明は、疼痛の治療において使用するためのM−CSFに特異的な抗体を提供する。特定の態様において、本発明は、骨関節症又は疼痛の治療における使用のためのM−CSFに特異的な抗体を提供する。
特定の態様において、本発明は、骨関節症の治療に使用するためのc−Fmsに特異的な抗体を提供する。他の態様において、本発明は、疼痛の治療において使用するためのc−Fmsに特異的な抗体を提供する。特定の態様において、本発明は、骨関節症又は疼痛の治療において使用するためのc−Fmsに特異的な抗体を提供する。
特定の態様において、本発明は、骨関節症の治療に使用するためのIL−34に特異的な抗体を提供する。他の態様において、本発明は、疼痛の治療において使用するためのIL−34に特異的な抗体を提供する。特定の態様において、本発明は、骨関節症又は疼痛の治療に使用するためのIL−34に特異的な抗体を提供する。
特定の態様において、本発明のアンタゴニストおよび抗体は、術後痛の治療に使用される。別の態様において、アンタゴニストおよび抗体は、骨癌性疼痛の治療に使用される。別の態様ではアンタゴニストおよび抗体は、関節リウマチ痛の治療に使用される。別の態様では、アンタゴニストおよび抗体は骨関節症の痛みの治療に使用される。別の態様において、アンタゴニストおよび抗体は、炎症性疼痛の治療に使用される。
特定の態様において、本発明のアンタゴニストおよび抗体はヒトの治療に使用される。
他の態様において、本発明は、対象における骨関節症の予防方法を提供し、この方法はc−Fmsアンタゴニストを投与することを含む。他の態様において、本発明は、被験体における疼痛の予防方法を提供し、該方法は、c−Fmsアンタゴニストを投与することを含む。この文脈で使用される「予防」は、疾患の発症を防ぐか、その疾患の発症を遅延させることを目的とすることをいう。
特定の態様において、本発明は、骨関節症の治療に使用するためのc−Fmsアンタゴニストを含む組成物を提供し、この組成物はさらに、1以上の薬学的に許容される担体および/または希釈剤を含む。
特定の態様において、本発明は、疼痛の治療に使用するためのc−Fmsアンタゴニストを含む組成物を提供し、この組成物はさらに、1以上の薬学的に許容される担体および/または希釈剤を含む。
他の態様において、本発明は、骨関節症の治療における医薬の調製におけるc−Fmsアンタゴニストの使用を提供する。
他の態様において、本発明は、疼痛の治療における医薬の調製におけるc−Fmsアンタゴニストの使用を提供する。
他の態様において、本発明は、骨節症の治療のためのc−Fmsアンタゴニストを提供する。
他の態様において、本発明は、疼痛の治療のためのc−Fmsアンタゴニストを提供する。
本発明の組成物は、好適には、骨関節症および/または疼痛の治療用の、c−Fmsアンタゴニストと、薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤とを含む医薬組成物である。このような担体、希釈剤および賦形剤は、当技術分野において周知であり、当業者は、本発明のc−Fmsアンタゴニストで対象を治療するのに適した製剤および投与方法を見つけるであろう。
例1:OAおよび疼痛の処置におけるc−Fmsアンタゴニストの治療有効性
この実験において、c−Fmsに特異的な単クローン抗体を使用して、M−CSFアンタゴニストが骨関節症を治療するのに有効であり得ることを実証した。同様の実験が、疼痛の治療におけるc−Fmsアンタゴニストの有用性を実証する。
コラーゲン誘発OAマウスモデル:
コラゲナーゼ誘発OAモデル(Blom et al.(2004)Osteoarthiritis Cartilage.12;627−635;Blom et al.(2007)Arthiritis Rheum.56,147−57)は、片側の関節内にコラゲナーゼを注射することにより、関節不安定性を誘発させるモデルである。これは、一般に関節の安定を補助する靭帯の弱体化の原因となり、誘導後6週間以内にOAの病状が発生する。このモデルでは、注入されたコラゲナーゼによる軟骨の直接の被害は観察されない。OAの病状の特徴は、軟骨破壊、滑膜線維症および骨棘形成が含まれる。骨棘形成を媒介する滑膜マクロファージに伴う滑膜の活性化がある。OA進行の初期段階では(0−14日)、骨棘形成および線維症がみられる。関節内で骨の形成が最初に起こる場所(軟骨表面に近い骨膜と、骨と靭帯の接合部位)は、ヒトのOAで見られるものと同様である。新骨形成のプロセスも同様であり、骨膜の活性化があり、続いて軟骨様組織の生成、さらに軟骨内骨化となる。疾病の最初の2週間には骨膜病変もみられ、滑膜の肥厚につながるマクロファージの流入、そして深い滑膜層の一部の炎症細胞がある。軟骨基質の侵食を含む完全なOAの病理は、OA誘導の6週間後までは見られない。
実験の概要:
C57BL/6マウスに、関節不安定性を誘導するために0日目および2日目に右膝にコラゲナーゼタイプ関節内VIIを1単位与えた(Blom et al.(2004)Osteoarthritis Cartilage. 12627−35を参照)。
疼痛は、OAモデルにおける指標として使用した。疼痛の尺度としての体重配分を、インキャパシタンスメータを用いて記録した。この測定値は、処置済みと、対側性の無処置の後肢の体重配分の変化を測定する。マウスは、実験前に機器に3回順応させた。各後肢に配分された重さを、5秒間にわたって測定した。マウス毎に各時点で3回別々に測定した。
疼痛読み出しの平均が0日目よりも有意に低かった後(すなわちOAの導入前)、マウスを無作為に2つの群に分け(15匹/群)、疼痛読み出しの平均±SEMが各群で同様となり、かつ各ケージが各治療群からのマウスを含むようにした(すなわち6匹/ケージ、各処置群に2匹のマウス)。これは、同じケージからのすべてのマウスが同じ処置群からとなり、結果に影響を与える可能性を避けるためである。
抗c−Fms抗体処置:
30匹のマウスを以下のように無作為に2つの群(15匹/群)に分けた:
・グループ1(n=15):抗c−Fms抗体
・グループ2(n=15):IgG2aアイソタイプコントロール抗体
抗m−Fms抗体の例として、ASF98(IgG2aアイソタイプ)を使用した(京都大学、S.西川教授、Oncogene(1995)11, 2469−76。AFS98は米国サンディエゴのeBioscience、カタログ番号14−1152−81で入手可能である)。ASF98は、マウスのc−Fmsに反応する抗体である。ASF98は、M−CSFシグナル伝達を無効にすることが報告されている(Sudo et al.,Oncogene(1995)11,2469−76)。
マウスは6週間後に実験が終了するまで、週に2回、300μgの抗c−Fms抗体/マウス/処置で腹膜内に処置され、20日目に疼痛が開始した。コントロール抗体と抗c−Fms抗体の両方が、10未満のエンドトキシン単位/mlを含有するように精製された。
結果
OA導入後20日目の平均の疼痛の読みは、0日目(すべてのマウスでp<0.0001)に比べて顕著に高かった(すなわち、関節症の膝から体重が有意にシフトしている)。マウスは20日目で2つの治療群に分けられ、42日目まで、2x/週で適切なmAbで処置された。
mAb処置(20日目)の開始後、コントロールmAbで処置したマウスは、実験の終わりまで、0日目と比べて有意な疼痛を示し続けた。抗CSF1R処置後、痛みの読みは増加し続けず(すなわち、関節症の膝から体重のシフトが増加しない)、28日目と31日目には、抗CSF1RmAb処置群とコントロールmAb処置群には顕著な違いがあった(p≦0.05)。
結果を図1に示す。インキャパシタンスによって特定されるように、c−Fmsアンタゴニストで処置されたマウスは、コントロール抗体で処置したマウスと比較して、症状がより少なかった。これは、c−FmsアンタゴニストはOAおよび疼痛の治療に有効であることを示している。
組織学的観察
実施例1のサンプルを、組織学的にも調べた。
最後の注射から6週間後に、マウスの膝関節について組織研究を行った。膝関節を回収し、固定、脱石灰化し、パラフィンに包埋し、ミクロトームで7μmに切断した。スライドは、関節の病理を示すべく、サフラニン−O/ファストグリーン、ヘマトキシリン??およびエオシンで染色した。調査された病理は、軟骨損傷、滑膜炎、骨棘形成や関節の変形が含まれる。
軟骨の病状に用いるスコアリングシステムは以下の通りである:
グレード
0 通常
1 不規則だが無傷
1.5 不規則で粗面
2 表面が繊維状
2.5 表面が繊維状で軟骨層の細胞が減少
3 垂直に割れ目
3.5 亀裂および/または水平に割れ目、タイドマーク(tidemark)が破断
4 軟骨損傷がタイドマークまで到達しない
4.5 軟骨損傷がタイドマークまで到達
5 軟骨損傷がタイドマークを越えているが骨に至らない
5.5 軟骨損傷が骨に至る
6 骨の損傷/リモデリング/変形
ステージ
1 損傷を受けた領域が10%以下
2 損傷を受けた領域が10−25%
3 損傷を受けた領域が25−50%
4 損傷を受けた領域が50−75%
グレードはステージで乗算されてスコアが得られる。
このスコアリングシステムは、臨床的および実験的OAでのOA組織病理を評価する認められた方法に基づいている。Pritzker et al.(2006)Osteoarthritis Cartilage;14;13−29参照。グレードは、軟骨へのOAの深さの進行として規定される。ステージは、軟骨の水平方向の範囲として規定され、すなわちどれだけ軟骨が影響を受けているかを示す。グレードはステージで乗算されてスコアが得られ、全体のスコアが得られてOAの重篤度と範囲の評価が合わせ示される。マウスあたり最大6つの部分をスコアリングした。
グレードはステージで乗算されスコアが得られる。
以下のスコアリングシステムを、滑膜炎に使用した(滑膜層スコアリングシステム):
0 正常な関節に比べて変わりなし
1 滑膜の肥厚やいくらかの炎症性細胞の流入
2 滑膜の肥厚や中程度の炎症性細胞の流入
3 滑膜の大きな肥厚と最大級の炎症性細胞の流入
結果:
抗c−Fms抗体治療が関節炎の発達に影響したかどうかを判定するために、42日目に膝関節に組織診断を行った(図2参照)。抗c−Fms抗体処置マウスは、コントロールmAb処置マウスと比較して内側頸骨の症状が顕著に穏やかだった(p≦0.01)。一般的に、抗c−Fms抗体で処置したマウスは、アイソタイプコントロール抗体と比較して、組織学的に分析されたすべての関節領域で重症度が低かった(図2参照)。
c−Fmsアンタゴニストは、術後疼痛の治療に有効である。
c−Fmsアンタゴニストを用いる処置の有効性を評価すべく、術後痛を想定した疼痛モデルを用いた。
動物:
220−240グラムの体重のオスのSDラットを、手術前に1週間動物施設でならしておく。
手術:
手術は、Brennan et al.,Pain 64:493−501,1996に記載の処置に基づいている。動物をノーズコーンを介して手術中は維持されている2%イソフルラン混合空気で麻酔する。右後足の底側面をポビドンヨードパッドで処理し、かかとの端0.5cmからつま先に向かって、皮膚と筋膜を通して1cmの中央の縦方向の切開を設ける。屈曲状態に保持された足を定規で測定する。湾曲鉗子を使用して足底筋を持ち上げ、縦に切開する。始点と挿入の間の深さ全体を通して筋肉が切開される。出血はガーゼパッドを介して圧力をかけて、手術を通じて制御される。傷は2つの刺し縫い縫合で閉鎖される(5−0ethilon黒モノフィラメント)。これらの縫合糸は最初のノットはゆるく結ばれ、5−6回結ばれる。創傷部位はバシトラシン液で消毒される。動物は、行動試験を開始する前に、清潔なケージで2時間以上休ませて回復させる。
安静時の痛みの評価:
蓄積した疼痛スコアは、体重荷重に関して疼痛を評価するために使用される。動物を持ち上げられたプラットフォーム(高さ18インチ)上の透明なプラスチックケージ内でプラスチックメッシュ(グリッド:8mm)に載置し、足の下の検査を可能にする。20分の順応期間の後、0から2のスケールで体重荷重を測定する。スコア0は、足がメッシュに沈んでいるか押しつけられている場合であり、完全に荷重がかかっていることを示す。スコア1は、足がかばわれてメッシュに触れる程度であり、皮膚の沈みやくぼみがない。スコア2は、足が完全にメッシュから離して保持されている場合である。ラットがまだ休息している場合、足が畏縮していれば2と考えられる。動物はそれぞれ5分毎に1分間観察される。1/2時間で得られる6つのスコアの合計(0〜12)を用いて障害のある足が検査される。スコア2の頻度も計算され、激しい疼痛の影響あるいは動物が足を完全にかばっているのを判定するのに用いられる。動物はそれぞれ術前24時間(ベースライン)、術後2時間、24時間、48時間、72時間と試験される。この実験結果は、c−Fmsアンタゴニストで処置された動物で観察された安静時疼痛累積スコアが対照動物と比較して有意に減少していることを示す。荷重は動物がその肢を使用したいかによく相関しており、そのため疼痛緩和の測定に有効である。好ましくは、このc−Fmsアンタゴニストは、c−Fms、特にIL−34またはM−CSFの特異的な抗体である。このような抗体は、切開の15時間前に、様々な濃度(例えば動物の体重のキロ当たり0.004、0.01、0.02、0.1、0.6および1mg)で腹腔内(i.p.)に注射される。陰性コントロール群は抗体を受けないが、生理食塩水を腹腔内注入する。0.01mg\kgのフェンタニルを、手術後24時間かつ試験前の30分に、陽性対照として腹腔内注射する。各実験に各状況の8の動物を用い(群ごとにn=8)、コントロール群は56匹の動物を有する。手術が行われ、上記のように累積疼痛スコアを測定する。安静時の疼痛を、24時間の手術後に評価する。
c−Fmsアンタゴニストは、0.02mg/kg〜1mg/kgの投与量で投与した場合、手術後の安静時疼痛を大幅に低減する。
別の実験では、手術後にc−Fmsを投与した場合に、術後痛の軽減についての有効性が試験された。M−CSFに特異的、IL−34に特異的またはc−Fmsに特異的な抗体を、静脈内(i.v.)に手術の2時間後に注入する。コントロール群は抗体を受けないが、生理食塩水を静脈注射する。手術を行い、手術後24時間に累積疼痛スコアとして安静時疼痛を評価した。c−Fmsの処置により、抗体が手術後2時間で投与された場合に24時間後の安静時疼痛が大幅に低減した。この結果は、手術後に投与した場合のc−Fmsアンタゴニストが効果的に術後痛を軽減することを示している。
熱痛覚過敏症の評価:
熱痛覚過敏症は、Hargreaves et al.(1988)の改変方法の後のラットプランタ試験(Ugo Basile、イタリア)によって評価される。ラットを高架ガラステーブルの上に4つの個別のプレキシガラスのボックスで構成される装置に慣らしておく。モバイル式放射熱源をテーブルの下に位置し、後足にフォーカスする。動物は安静であるが寝ていない状態で、コントロールボックスのボタンを押して放射熱源を作動させ、熱源から動物が逃げようとする時間を自動記録する。この足撤退潜時(POOL)は、放射源の反射率の変化によって、放射熱源に組み込まれラットの足の動きを感知する光検出器によって検出される。足離脱潜時(PWL)は、秒単位で記録された。ここで、組織の損傷を防止するために、22.5秒の自動カットオフ点を設けた。動物のそれぞれの両後足毎に3〜4回PWLをとり、左右の後足についてベースラインを表す平均をとった。結果は、左足に対する右足(手術部位)の測定スコア比率で示される。装置は(研究の開始時に)一度較正され、6秒の通常PWLを得るために強度40に設定した。動物はそれぞれ、術前24時間(ベースライン)、術後3時間、24時間、48時間、72時間で試験された。熱痛覚過敏の測定は、接触異痛症の測定後に行われた。結果は、c−Fmsアンタゴニストによる治療が大幅に手術後の熱痛覚過敏症を減少させることを実証した。
c−Fmsアンタゴニストは、骨癌性疼痛の治療に有効である。
例えば、M−CSF特異的抗体、IL−34特異的抗体またはc−Fms特異的抗体などのc−Fmsアンタゴニストは、骨転移を伴う癌の疼痛の治療に有効である。
c−Fmsアンタゴニストでの処置の有効性を評価するために、マウスの骨癌性疼痛モデルを使用する。この骨癌性疼痛のマウスモデルは、マウスの大腿骨に溶骨性肉腫細胞を髄内注射し、針穴に骨に腫瘍を封じ込める歯科用アマルガムを充填することによって得る(Schwei et al,J:Neuroscience 19:10886−10897,1999、Luger et al,Pain 99:397−406,2002参照)。実験は成体のC3H/HeJマウスに行った。0日目に、ペントバルビタールナトリウムで全身麻酔(腹腔内に50mg/kg)の導入後に、関節切開を行った。肉腫細胞の経路を作成するために針が髄管内に挿入される。その後、空気式歯科用高速ハンドピースを用いて凹みが形成される。施術されていない動物(n=5)に加え、大腿骨の髄内空間に最小必須媒体(20μl、Sigma、ミズーリ州セントルイス)を注入して偽動物(n=5)が生成され(指定の偽物)、さらに105 2472溶骨性肉腫細胞を含む媒体が肉腫動物(試験条件ごとにn=5)に注射された(20μl、ATCC、メリーランド州ロックヴィル)。すべての動物について、注射部位は骨髄内管の中に細胞または注入された媒体を閉じ込めるために歯科用アマルガムプラグで封され、滅菌水(低張性溶液)で洗浄した。最後に、創傷クリップで切開を閉鎖した。クリップは、行動試験を妨げないように5日目に除去される。肉腫注入した動物の第2群は、6日目および13日目に、M−CSF特異的、IL−34特異的、あるいはc−Fms特異的な抗体で処置した(例えば10mg/kgで腹腔内)。
行動分析:
動物は、腫瘍移植から10日目と14日目に痛みに関連する行動について試験する。動物の行動が以下の試験によりテストされた:継続的な痛み(自発的な防御と畏縮)、歩行痛(四肢の使用およびロータロッド)、および運動誘発痛(接触誘発による防御や、接触誘発による畏縮)。動物は、ワイヤメッシュ床の透明なプラスチック観察箱に入れ、30分間慣れさせる。順化後に、自発的防御、自発的畏縮、解放空間の通常の四肢使用歩行、および強制歩行時の防御を評価した。接触誘発による防御と畏縮が、肉腫注射および偽注射した動物における遠位大腿骨への通常は有害でない接触から2分間測定された。
自発的な畏縮と防御の期間は、痛覚反応の表れであり、同時に2分の観察期間記録される。防御は、後足を上げたままの時間と定義され、歩行と畏縮は動物が肢を上げた回数と定義される。自発的な畏縮中の通常の肢の使用が5から0の段階で採点され、(5)が肢の通常使用、(0)が完全に不使用である。
強制歩行の防御は、ロータロッドを用いて判定される(Columbus Instruments、オハイオ州コロンバス)。このロータロッド装置は回転ロッドを有し、速度、加速度、および感度コントロールを具える。動物は4倍速、加速度8.0、及び感度2.5でロッド上に配置された。強制歩行の防御は5−0の段階で評価され、(5)が通常使用、(0)が完全に不使用である。動物の遠位大腿骨への通常は有害でない接触の後、2分間の毎秒、動物を観察ボックス内に入れて、さらなる2分間の接触誘発性防御と接触誘発性畏縮を測定する。
c−Fmsアンタゴニストによる治療:
6日目と13日目に、肉腫を注入した動物は、例えば抗M−CSF、抗IL−34または抗c−Fms受容体抗体といったM−CSFアンタゴニストを腹腔内に注入し(n=5)、あるいは肉腫注射と偽注射を行った胴部は、生理食塩水を腹腔内に注入した(各条件でn=5)。10日目と14日目のすべての動物の行動分析を行った。
継続的な疼痛行動の評価:
(生理食塩水を投与した)肉腫注入動物は、(生理食塩水を投与した)偽注射した動物と比較して、統計的に有意に継続する疼痛を示しており、これは自発的防御および自発的畏縮により査定される。
肉腫移植から10日目と14日目において、生理食塩水を投与した肉腫注入マウスと比べて、c−Fmsアンタゴニストを投与した肉腫注入マウスにおける自発的防御および自発的畏縮が大幅に減った。
歩行痛の行動評価:
(生理食塩水を投与した)肉腫注入動物は、(生理食塩水を投与した)偽注入動物と比較して、肢の使用と歩行防御で評価して(ロータロッド)歩行痛がみられた。肉腫移植から10日目と14日目において、生理食塩水を投与した肉腫注入マウスと比べて、c−Fmsアンタゴニストを投与した肉腫注入マウスにおける肢使用スコアと強制歩行防御スコアは大幅に増大する。これらの結果は、c−Fmsアンタゴニストは肉腫注入マウスにおける歩行痛を軽減することを示している。
接触誘発痛の行動評価:
(生理食塩水を投与した)肉腫注入動物は、(生理食塩水を投与した)偽注入動物と比較して、接触誘発防御および接触誘発畏縮の評価において、接触惹起疼痛行動がみられた。肉腫移植から10日目と14日目において、生理食塩水を投与した肉腫注入マウスと比べて、c−Fmsアンタゴニストを投与した肉腫注入マウスにおける接触誘発防御および接触誘発畏縮が大幅に低減する。これらの結果は、c−Fmsアンタゴニストは肉腫注入マウスにおける接触惹起疼痛を軽減することを示している。
c−Fmsアンタゴニストの鎮痛効果
ラットにおける完全フロイントアジュバント(CFA)誘発性慢性関節炎を、インドメタシンを基準物質とした場合と比較して、調査した。
150g−220gの50匹のオスのLewisラット(LEWIS LEW/Crl lco)を、本研究の実験段階の最初に用意した。すべての動物を実験前5日以上、一定の温度(19.5〜24.5°C)と相対湿度(45−65%)で明暗サイクルが12時間のコントロール室に保持し、研究を通して濾過水道水および標準ペレット型実験飼料への無制限アクセスを可能とした。動物は個別に尾で識別される。
0日目(D0)、ミネラルオイル(10mg/ml)に懸濁したマイコバクテリウム・ブチリカムを0.05ml、ラットの尾に内注射することにより関節炎を誘導した。14日目(D14)に、後足をゆるく曲げた場合の発声能力や、前足と後足それぞれの炎症スコアを用いて評価される関節炎指数(Kuzuna et al,Chem.Pharm.Bull.(Tokyo)23:1 184−1191,1975,Pearson et al,Arthritis Rheum.2:440−459,1959参照)により、関節症のラットが研究に組み込まれた。
動物は、次の基準に基づいて採点された。スコア0:正常な態様、スコア1:紅斑、スコア2:わずかに浮腫を伴う紅斑、スコア3:強直はないが強い炎症、スコア4:強直。ゆるく曲げた場合に鳴くことができ、スコアが2または3の動物だけを研究に含めた。
研究では、10匹づつ4つの群を用いた。グループ1(媒体)には、選別後14日目(D14)に、ラットを、媒体(生理食塩水)によって静脈内投与した。18日目(D18)に、侵害受容強度を後足の緩い屈曲によって評価し、発声レベルの強さを各動物について記録した。グループ2(4日間)は、選別後D14に、ラットにM−CSF特異的抗体を静脈内投与した。18日目(D18)に、侵害受容強度を後足の緩い屈曲によって評価し、発声レベルの強さを各動物について記録した。グループ3(24時間)は、CFA注射後17日目に、ラットにM−CSF特異的抗体またはM−CSF受容体に特異的な抗体を静脈内投与した。24時間後に後足の緩い屈曲によって侵害受容強度を評価し、発声のレベルの強さを各動物について記録した。グループ4(インドメタシン)は、18日目(D18)に、インドメタシン(10mg/kg)を経口投与した後1時間で、後足の緩い屈曲によって侵害受容強度を評価した。発声レベルの強さを、各動物について記録した。試験物質は5ml/kgの量を静脈内経路によりブラインドかつランダムに投与され、一方でインドメタシンは10ml/kgの量で経口経路で投与される。
c−Fmsアンタゴニストは、顕著な鎮痛効果を示す。処置グループと媒体グループの間の統計的有意性が、一元分散分析後に、残差分散を用いてダネット検定で判定される。M−CSF特異的抗体とM−CSF受容体特異的抗体は、抗体の単回投与後24時間または4日後のラットモデルにおいて痛みを顕著に低減した。同様の結果がIL−34特異的抗体で達成される。
c−Fmsアンタゴニストは、炎症性疼痛/mBSAモデルの治療に有効である
以下の実験は、c−Fmsアンタゴニストは、炎症性疼痛の治療にも有効であることを示している。これを行うべく、mBSA/IL−1単関節関節炎をM−CSFノックアウトマウスおよびコントロールマウスに誘発させた。インキャパシタンステスタを使用して、様々な時点で、疼痛緩和物質であるインドメタシンの投与の有無について評価した。
マウス
24匹のオスのC57BL/6マウスと、24匹のオスのM−CSF−/−マウスを4つの処置群に用いた。
グループ1:M−CSF KO(n=12):メチル化BSA/IL−1
グループ2:M−CSF KO(n=12):メチル化mBSA/IL−1+インドメタシン
グループ3:C57BL/6 野生型(n=12):メチル化BSA/IL−1
グループ4:C57BL/6 野生型(n=12):メチル化mBSA/IL−1+インドメタシン
単関節関節炎の誘発
10μlのmBSA(20mg/ml)を膝関節に関節内注射して単関節関節炎を誘発させ、反対側の膝関節に10μlの生理食塩水を注射する。20μlのIL−1β(250ng)を3日間毎日皮下投与する。反応は一般にmBSA注射後4日から7日間で発生し、28日目までに鎮静する。2、3、4、5、および7日目にインキャパシタンスで試験される。
インドメタシン(Sigma)は、一般的に発熱、疼痛、こわばり、腫脹を低減するために使用される非ステロイド性抗炎症薬である。これは、プロスタグランジンの産生を阻害することにより作用する。1mg/kgのインドメタシンが、グループ2と4に、キャパシタンスメータで疼痛を評価する1時間前に投与される。
疼痛の読み取り
インキャパシタンステスタ(Dual Weight Averager)は、2本の後ろ足における体重分配を測定することで、鎮痛効果を自動的に再現性よく評価するのに使用した。使用者が選択した期間にわたり、各足によってもたらされる力(グラム単位で測定)の平均をとり、動物の片方の足からもう片方の足に体重移動する傾向を提示し、インキャパシタンスの定量的測定を提供する。
それぞれの後足にかけられた体重は、5秒にわたって測定される。マウス1匹につき各時点で3回別個に測定し、次いで平均をとる。結果は、注入された後足/コントロール後足×100で表す。値が100であれば、右足と左足にかけられた体重が等しいことを意味する。100以下の値は、コントロールの足(右)と比較すると、注入された足(左)に体重がかかっていないことを意味する。
結果
このモデルは、mBSAを注入されることにより、膝関節に滑膜炎が誘発される。7日目に膝関節は、視覚的に検査され、0(正常)から3(重度の炎症)のスコアが与えられる。mBSAが注入された左の膝は、右の膝(生理食塩水が注入された)と比較して、著しい炎症を起こした。実際、(生理食塩水が注入された)右膝はすべてスコア0だった。インドメタシンで治療したマウスとそれらで治療しない間には、顕著な違いはみられなかった。
mBSA/IL−1単関節痛関節炎が誘発されたとき、C57BL/6マウスは、M−CSF−/−マウスと比較して、著しい疼痛(mBSAを注入した膝からの体重移動を計測することにより)を示した(図4参照)。
インドメタシンで治療されたC57BL/6マウスは、インドメタシンで治療されないマウスと比較して、mBSA/IL−1単関節痛関節炎が誘発された後の疼痛が著しく軽いことを示し、この表示は、M−CSF−/−マウスと類似する。M−CSF−/−は疼痛を示さないので、インドメタシン治療は効果を有さない。
これらの結果は、mBSA/IL−1単関節痛関節炎モデルにおいて、M−CSF−/−マウスは、全く疼痛の兆候を示さないのに対し、C57BL/6マウスは4日目以降に著しい疼痛を示した。したがって、c−Fmsのアンタゴニストは、炎症性疼痛の治療に顕著な効果を有する。
c−Fmsアンタゴニストは炎症性疼痛/CFAモデルの治療に有効である
以下の実験は、炎症性疼痛の治療において、c−Fmsアンタゴニストの有効性を明らかにする追加の実験である。ここで炎症性疼痛は、完全フロイドアジュバントで誘発されるものである。実施例6のように、疼痛を疼痛緩和物質であるインドメタシンの投与にかかわらず、インキャパシタンス検査装置を用いて様々な時点で評価した。
[マウス]
12匹のオスのC57BL/6マウス及び12匹のオスのM−CSF−/−マウスがそれぞれ3つの治療グループで使用された。
グループ1:C57BL/6野生型(n=12):CFA
グループ2:C57BL/6野生型(n=12):CFA+インドメタシン
グループ3:M−CSF KO(n=12):CFA
[炎症性疼痛の誘発]
完全フロインドアジュバント(CFA)(Sigma)は、1mg/mlの濃度の鉱油中に、熱滅菌したヒト型結核菌株、H37Raを含む。熱滅菌したバクテリアが完全に懸濁液に組み込まれるように、ボルテックスでCFAを完全に混合した(Kamala T Hock immunization:a humane alternative to mouse footpad injections.J Immunol Methods 328:204−214、2007)。ボルテックスの後すぐに、アジュバントを、19ゲージ針を用いたガラスシリンジで吸い取った。気泡をシリンジから丁寧に取り除いてから、針を取り去った。各マウスは、CFAエマルション20μlを左後ろ足(足蹠)に皮下注射された。疼痛評価1時間前にグループ2のマウスの腹腔内に、1mg/kgのインドメタシンを投与した(実施例6参照)。
[疼痛の読み取り]
実施例6のように、インキャパシタンステスタ(Dual Weight Averager)を、2本の後足の体重分配を計測することで自動的で再現性のある鎮痛効果の評価をするために使用した。各後足が体重をかけた場所を5秒にわたって測定した。マウス1匹につき各時点で3回別個に測定し、次いで平均をとった。結果は、注入した足/コントロールの足×100として表示する。値が100であれば、右足と左足にかけられた体重が等しいことを意味する。100以下の値は、コントロールの足(右)と比較すると、注入された足(左)に体重がかかっていないことを意味する。CFA注入の24、48、72時間後にインキャパシタンスによる検査をした。
[結果]
左の足蹠にCFAを皮下注射した後、C57BL/6(グループ1)とM−CSF−/−(グループ3)マウスで同様な大きさの腫れが、左の足蹠に示された。インドメタシンで治療されたC57BL/6マウス(グループ2)も、腫れの程度に違いはなかった。いずれのグループも対側(右)の足に腫れは見られなかった。
疼痛の測定としての体重分配評価は、C57BL/6マウスは、徐々に疼痛を示し、CFA注入の48時間と72時間後にM−CSF−/−マウスより顕著になる。M−CSF−/−マウスは、全く疼痛を示さなかった。インドメタシンで治療されたC57BL/6マウスは、疼痛が緩和され、M−CSF−/−マウスの読み取りと違いがなかった。CFA注入の72時間後に、インドメタシンで治療されたC57BL/6マウスは、インドメタシンで治療されないC57BL/6マウスより著しく疼痛が少なかった。
CFA注入後に起こる足蹠の腫れの度合いは、M−CSF−/−マウスとC57BL/6マウスでは違いがなかった。さらに、インドメタシンで治療されたC57BL/6マウスに腫れの影響はなく、これはおそらくインキャパシタンス読み取りの1時間前に与えられたからである。したがって、腫れの大部分が、最初のインドメタシン注入前の24時間に既に形成されていた。
対称的に、CFA注入後、C57BL/6マウスは、インドメタシンにより軽減された疼痛が、顕著に示された。その一方で、M−CSF−/−マウスは、疼痛の兆候を全く示さなかった。従って、これらの実験結果は、CFA注入の後の全てのマウスの足蹠に炎症が見られたのに、M−CSF−/−マウスには、疼痛の兆候が全く見られなかった。
臨床試験
膝の骨関節症を患っている成人患者に臨床試験を行った。ランダムで二重盲式のプラセボ対照臨床試験の目的は、膝の骨関節症(OA)と診断された患者30人の総サンプルにおいて、本発明のc−Fmsアンタゴニストとプラセボの疼痛緩和とクオリティオブライフ全般の比較差を判定することである。別の目的は、本発明のc−Fmsアンタゴニストの安全性および忍容性を、有害事象、身体検査およびバイタルサインによるように決定することである。
方法:
30人の患者(およそ15人の成人男性と15人の成人女性)は、40歳以上であり、膝の骨関節症と診断されており、研究試験の前に、月に少なくとも15日間膝の痛みが証明されている。患者は、c−Fmsアンタゴニストまたはプラセボの治療上有効な量を受ける(約6ヶ月間、例えば2週間に1回)。
ウェスタンオンタリオおよびマクマスター大学骨関節症指数(WOMAC:ベラミーら、J Rheumatol 15(12):1833−40、1988)と、SF−36v2クオリティオブライフ測定(Quality Metric Health Outcomes Solutions,Lincoln,Rl)を本研究で使用する。WOMACは疾患に特異的な、自己管理型の、健康状態の尺度である。これは、臀部および/または膝の骨関節症患者における痛み、こわばりおよび身体機能の分野で臨床的に重要な症状を実証する。指標は24の質問(5−痛み、2−こわばり、17−身体機能)で構成され、5分未満で完了することができる。WOMACは、様々な干渉(薬理学的、栄養学、外科、理学療法など)の後の健康状態の有意な臨床的変化を検出するための、有効で、信頼性があり、感度の高い測定である。WOMACのアンケートは、股関節または膝の骨関節症に対する干渉の影響を評価するために有効である。SF−36v2クオリティオブライフ測定は多目的な、36の質問からなる短い形式の健康調査である。これは機能性健康プロフィールと幸福度スコアと同様に、精神測定に基づいた心身と精神の健康サマリの測定の8の段階と、好みに基づいた健康幸福指標を与える。これは、特定の年齢、疾患、または治療群を標的とするものには対照的に、一般的な尺度である。したがって、SF−36v2は、一般および特定の集団の調査において、疾患の相対的な負荷を比較し、幅広い範囲の異なる治療による健康上の利益を差別化することに有用性を実証してきた。SF−36v2は、健康上の以下の側面とサブセットに情報を与える:体の健康(肉体機能、肉体の役割、体の痛み、および一般的な健康を含む)と、精神の健康(バイタリティ、社会的役割、感情の役割、および精神の健康)である。
結果:
身体の痛みの変化:プラセボと比較して、本発明のc−Fmsアンタゴニストによる治療を受けた患者では、SF−36v2の身体の痛みの改善が統計的に顕著である。高いスコアは、患者が製品を用いた後に疼痛が弱まっていることを意味するため、優れている。プラセボ群に対して本発明のc−Fms拮抗を受けた群では、身体・疼痛スコアにおいて統計学的に顕著な改善がある。
肉体の役割スコアの変化:プラセボと比較した場合の本発明のc−Fmsアンタゴニストの優れた効果は、肉体的な健康(肉体の役割)による役割限定という意味において、8週間目、12週間目、および20週間目に統計的に顕著である。高いスコアは、患者が肉体的な改善や日常生活の活動における限界の苦しみの減少に気づいたことを意味するので、優れている。プラセボ群に対し、本発明のc−Fmsアンタゴニストを受けた群では、肉体の役割スコアに統計上顕著な改善がある。
総WOMACスコアの変化:本発明のc−Fmsアンタゴニストで処置されたグループの総WOMACスコアは、プラセボ群の総WOMACスコアより統計上有意に優れている(低いスコアが優れている)。
WOMAC ADLの変化:日常生活における動作の改善(WOMAC ADLサブスコアとして測定)は、プラセボ群に比べて、本発明のc−Fmsアンタゴニストで治療した群の方が大きい。プラセボ群と比較して、本発明のc−Fms拮抗で処置された群ではWOMAC ADLに統計的に有意な改善がある(低いスコアが優れている)。
結論:
臨床試験は、膝の骨関節症患者の生活の質を改善するのに、本発明のc−Fmsアンタゴニストの有効性を示した。臨床試験の結果はまた、重篤な有害作用は見られず、製品の安全性および耐性を示している。
本発明のc−Fmsアンタゴニストの有効性はまた、本発明のc−Fmsアンタゴニストが交差反応性であるので他の種における研究(例えば、関節の動きを評価するためのウマで)により実証可能であり、また軟骨の培養検査を行ってIL−1誘発アグレカン分解を阻害する本発明のc−Fmsアンタゴニストの機能を判定するためのインビトロの研究を用いても実証可能である。
OAおよび疼痛の治療におけるM−CSFに特異的な抗体の治療有効性
実施例1を、M−CSFに特異的な抗体を用いて繰り返した。本書で上述したように、コラゲナーゼ誘発性のOAモデルは、Blom et al.(2004)Osteoarthritis Cartilage.12;627−35 and Blom et al.(2007)Arthritis Rheum.56;147−57に基づくものである。特に示さない限り、実験の詳細は実施例1で概説したものと同様である。
抗体MOR13503を、M−CSFに特異的な抗体として使用した。MOR13503はIgG2aアイソタイプの組換え抗マウスM−CSF抗体である。この抗体は、MorphoSys AG(マルティンスリート、ドイツ)により生成された。
30匹のマウスを無作為に2つのグループ(15匹/グループ)に分けた。
グループ1(n=15):抗M−CSF抗体
グループ2(n=15):IgG2aアイソタイプコントロール抗体。
マウスは20日目に疼痛が始まってから6週間後に実験が終了するまで、週に2度、150μgの抗M−CSF抗体/マウス/処置で腹腔内処置を行った。コントロール抗体および抗M−CSF抗体の両方が、10未満のエンドトキシン単位/mlを含有するように精製された。
痛みは関節炎の誘発から20日目に認められた(p<0.004、20日目対0日目、すべてのマウス)。抗M−CSF抗体による治療は、アイソタイプコントロール抗体と比較して、痛みの程度が増大するのを防止することが観察された(図3参照)。
当業者は、本明細書に記載の発明は、具体的に記載されたもの以外の変更および修正が可能であることを理解するであろう。本発明はこのような全ての変形および変更を含むと理解されるべきである。本発明はまた、単独あるいは組み合わせで、本明細書で参照されるか示されたすべてのステップ、特徴、組成物および化合物を含み、またこれらのステップや特徴の2以上のすべての組み合わせを含む。

Claims (10)

  1. 骨関節痛または疼痛の治療に用いるための、c−Fmsアンタゴニスト。
  2. 前記疼痛が、外科的手術後の疼痛であることを特徴とする請求項1に記載のアンタゴニスト。
  3. 前記疼痛が、骨肉腫の疼痛であることを特徴とする請求項1に記載のアンタゴニスト。
  4. 前記疼痛が、リウマチ性関節痛であることを特徴とする請求項1に記載のアンタゴニスト。
  5. 前記疼痛が、骨関節症の疼痛であることを特徴とする請求項1に記載のアンタゴニスト。
  6. 前記疼痛が、炎症性疼痛であることを特徴とする請求項1に記載のアンタゴニスト。
  7. 前記アンタゴニストがヒトに用いられることことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のアンタゴニスト。
  8. 前記アンタゴニストは、M−CSFに特異的な抗体であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のアンタゴニスト。
  9. 前記アンタゴニストは、c−Fmsに特異的な抗体であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のアンタゴニスト。
  10. 前記アンタゴニストは、IL−34に特異的な抗体であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のアンタゴニスト。
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