発明の詳細な説明
この明細書及び続く特許請求の範囲の全体にわたって、文脈がそうではないことを必要としなければ、語「含む(comprise)」、並びに「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」等のバリエーションは、述べられた整数又は工程或いは整数又は工程の群を含むことを意味するが、いずれのその他の整数又は工程或いは整数又は工程の群も排除することを意味するものではないと理解されるものではない。
この明細書における任意の先行刊行物(又はそれに由来する情報)における又は知られている任意の事項に対する参照は、先行刊行物(又はそれに由来する情報)、又はこの明細書が関連する努力の当該分野で慣用の一般知識の部分が、公知の事項を形成することの了解、承認、いずれの形でも示唆するものと解されるものではなく、解されるべきものでもない。
本明細書中で使用される場合、単数形「a」、「and」及び「the」は、文脈が明らかに他のことを指示していなければ、複数の局面を包含することが意図される。したがって、例えば、「細胞(a cell)」への参照には、一つの細胞及び2つ以上の細胞が包含され、「剤(an agent)」への参照には、1つの剤、及び2つ以上の剤が包含されるなど。
本発明は、カチオン性ブロックコポリマー及び核酸を含む複合体を提供する。本明細書中で使用される用語「複合体」は、カチオン性ブロックコポリマー及び核酸のイオン結合による会合を意味する。当該イオン結合は、カチオン性ブロックコポリマー及び核酸に関連する反対に荷電されたイオン間の静電引力に由来する。カチオン性ブロックコポリマーは、正電荷を提供し、したがって、核酸は、負電荷を提供することが理解される。
複合体を形成するために使用されうる、カチオン性ブロックコポリマーと核酸との比に関する特段の制限はない。一実施態様では、カチオン性ブロックコポリマーと核酸とのモル比は、1:1から15:1まで、又は1:1から10:1まで、又は2:1から10:1まで、又は3:1から10:1まで、又は4:1から10:1まで、の範囲である。別の実施態様では、カチオン性ブロックコポリマーと核酸とのモル比は、2:1から7:1までの範囲である。
当業者は、カチオン性ブロックコポリマー及び核酸の電荷密度(ゼータ電位により示される)は、カチオン性ブロックコポリマーと核酸との比とともに、得られる複合体の全体の電荷/中性の状態に影響を与えることを理解する。
一実施態様では、複合体は、正のゼータ電位を有する。更なる実施態様では、複合体は、0mV超から約50mVまで、例えば、約4mV、5mV、6mV、7mV、8mV、9mV若しくは10mVから約40mVまで、又は、約10mVから約40mVまで、又は、約15mVから約30mVまで、又は、約20mVから約30mVまでの範囲の正のゼータ電位を有する。
本発明による複合体のゼータ電位は、Malvern Zetasizerにより測定されるものである。当該ゼータ電位は、電場における粒子の移動度(電気泳動移動度(electrophoertic mobility))及びサンプル中の粒子サイズの分布の測定から、計算される。
本明細書中で使用される用語「核酸」は、DNA(gDNA、cDNA)、オリゴヌクレオチド(二本鎖又は一本鎖)、RNA(センスRNA、アンチセンスRNA、mRNA、tRNA、rRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、piwi結合RNA(PiRNA)、マイクロRNA(miRNA)、核小体低分子RNA(SnoRNA)、核内低分子RNA(SnRNA))、リボザイム、アプタマー、DNAザイム、リボヌクレアーゼ型複合体及び本明細書中で記載されるような他のそのような分子を包含する、核酸分子を示す。疑義を避けるために、用語「核酸」は、非天然の改変された形態及び天然の形態を包含する。
いくつかの実施態様では、核酸分子は、約8から約80までの核酸塩基(すなわち、約8から約80までの連続して連結された核酸)を含む。当業者は、本発明が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、又は80核酸塩基長の核酸分子を具現化することを理解する。
用語「核酸」はまた、オリゴヌクレオチドアナログ、キメラ、ハイブリッド及びミメティック形態等の他のファミリーの化合物を包含する。
キメラオリゴマー化合物はまた、2つ以上の核酸分子(オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドアナログ、オリゴヌクレオシド及びオリゴヌクレオチドミメティックを含むが、これらに限定されない。)複合体構造として形成されうる。慣用的に使用されるキメラ化合物には、ハイブリッド、ヘミマー、ギャップマー、エクステンデッドギャップマー(extended gapmer)、インバーテッドギャップマー(inverted gapmer)及びブロックマー(ここで、様々な点改変又は領域が、ネイティブ又は改変DNA及びRNAタイプユニット並びに/又はミメティックタイプサブユニット(例えば、ロックド核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)、モルホリノ及びその他等)から選択される。)が挙げられるが、これらに限定されない。そのようなハイブリッド構造の調製は、例えば、米国特許第5,013,830号明細書、同第5,149,797号明細書、同第5,220,007号明細書、同第5,256,775号明細書、同第5,366,878号明細書、同第5,403,711号明細書、同第5,491,133号明細書、同第5,565,350号明細書、同第5,623,065号明細書、同第5,652,355号明細書、同第5,652,356号明細書、及び同第5,700,922に記載されており、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書中に援用される。
RNA及びDNAアプタマーもまた考えられる。アプタマーは、旧来のWatson−Crick塩基対形成以外の相互作用を介して、非−核酸又は核酸分子に対して特異的結合親和性を有する核酸分子である。アプタマーは、例えば、米国特許第5,475,096号明細書、同第5,270,163号明細書、同第5,589,332号明細書、同第5,589,332号明細書、及び同第5,741,679号明細書に記載されている。ますます多くの数のそれらの非−核酸標的を認識するDNA及びRNAアプタマーが開発されてきており、キャラクタライズされてきている(例えば、Gold et al., Annu. Rev. Biochem., 64: 763−797.1995; Bacher et al., Drug Discovery Today, 3(6): 265−273, 1998参照)。
更なる改変は、核酸分子になされうるし、核酸塩基の位置、糖の位置から選択される終端の一つに、又は、ヌクレオシド間連結に、結合する共役基を包含しうる。
本発明により使用されるカチオン性ブロックコポリマーは、1つのカチオン性ブロックと2つの親水性ブロック、又は1つの親水性ブロック及び2つのカチオン性ブロック、を含む、少なくとも1つのトリブロック構造を有する。その最も単純な形態では、当該カチオン性ブロックコポリマーは、1つのトリ−ブロックコポリマーでありうる。しかしながら、当該トリ−ブロックコポリマーは、より高次のブロックコポリマー(例えば、テトラ−、ペンタ−、又はヘキサ−等のブロックコポリマーの部分を形成しうる。
「カチオン性ブロック」を含むカチオン性ブロックコポリマーにより、正味の正電荷を示す当該コポリマー構造内の識別可能なブロックが意味される。
「親水性ブロック」を含むカチオン性ブロックコポリマーにより、正味の親水性特性を示す当該コポリマー構造内の識別可能なブロックが意味される。
一実施態様では、カチオン性ブロックコポリマーの少なくともトリブロック構造は、直鎖であり、1つのカチオン性ブロックと2つの親水性ブロックを含みえ、ここで、当該カチオン性ブロックは、各2つの親水性ブロックの間に配置されている。
別の実施態様では、カチオン性ブロックコポリマーの少なくともトリブロック構造は、直鎖であり、1つの親水性ブロックと2つのカチオン性ブロックを含み、ここで、当該親水性ブロックは、各2つのカチオン性ブロックの間に配置されている。
更なる実施態様では、カチオン性 コポリマーの少なくともトリブロック構造は、直鎖であり、1つのカチオン性ブロックと2つの親水性ブロックを含み、ここで、当該カチオン性ブロックは、各2つの親水性ブロックの間に配置され、直接結合されている。その場合、カチオン性ブロックコポリマーのトリブロック構造は、簡便には、A−B−Aトリブロック構造を有するように示されえ、ここで、各Aは、同じでも異なっていてもよく、親水性ブロックを示し、Bは、カチオン性ブロックを示す。
なお更なる実施態様では、カチオン性コポリマーの少なくともトリブロック構造は、直鎖であり、1つの親水性ブロックと2つのカチオン性ブロックを含み、ここで、当該親水性ブロックは、各2つのカチオン性ブロックの間に配置され、直接結合されている。その場合、カチオン性ブロックコポリマーのトリブロック構造は、簡便には、B−A−Bトリブロック構造を有するように示されえ、ここで、各Bは、同じでも異なっていてもよく、カチオン性ブロックを示し、Aは、親水性ブロックを示す。
存在する場合、2つのカチオン性ブロックのそれぞれ、又は、2つの親水性ブロックのそれぞれは、同じでも異なっていてもよい。
カチオン性ブロックコポリマーのトリブロック構造中の各ブロックは、ホモポリマーブロック又はコポリマーブロックでありうる。トリブロック構造のブロックがコポリマーである場合、当該コポリマーは、グラジエントコポリマー或いはランダム又は統計コポリマーでありうる。
どのようにカチオン性ブロックコポリマーを調製するかに依存して、トリブロック構造内の少なくとも1つのブロックは、連結基(それは、例えば、カチオン性ブロックコポリマーを形成するためのモノマーの重合を促進するための部分の残基であり得る。)を含みうる。その場合、カチオン性ブロックコポリマーのトリブロック構造は、例えば、A−B−L−B−Aとして表されえ、ここで、各Aは、独立して、2つの親水性ブロックを示し、B−L−Bは、カチオン性ブロックを示す。
また、どのようにカチオン性ブロックコポリマーを調製するかに依存して、2つの親水性ブロックの一方又は両方(或いは、2つのカチオン性ブロック一方又は両方)は、カチオン性ブロックコポリマーを形成するためのモノマーの重合を促進するために使用された部分の末端残基を含みうる。例えば、カチオン性ブロックコポリマーのトリブロック構造は、X−A−B−L−B−A−Xとして表されえ、ここで、A、B及びLは、上で直接的に定義したとおりであり、Xは、カチオン性ブロックコポリマーを形成するためのモノマーの重合を促進するために使用された部分の残基である。各Xは、同じでも異なっていてもよい。
カチオン性ブロックコポリマーを形成するためのモノマーの重合を促進するために使用される部分の残基であることにより、X及びLは、一般的には、それら自体では、重合性ではない。トリブロック構造内のそのようなX及びL残基の存在にかかわらず、当業者は、構造「−B−L−B−」は、ブロック「−B−」と等価に考えられることを理解する。同様に、構造「X−A−」は、ブロック「A−」と等価に考えられる。例えば、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)剤が、カチオン性ブロックコポリマーを形成するためのモノマーの重合を促進するために使用される場合、カチオン性又は親水性ブロック(単数又は複数)は、RAFT剤の残基を含みうる。これは、これは、本発明に従う使用のためのカチオン性ブロックコポリマーを形成するために使用されうる見本となるRAFT剤を参照して、スキーム1に下記される。
スキーム1を参照すると、図示された特定のRAFT剤がコンポーネントX(×2)及びLを含むことがみられうる。カチオン性ブロックを形成するためのモノマーと各2つの親水性ブロックとの重合を促進するためにRAFT剤を使用することにより、得られるカチオン性ブロックコポリマーは、コンポーネントX−A(×2)及びB−L−Bを含むことがみられえ、これは、次に、トリブロック構造A−B−A(ここで、A及びBは、本明細書中で規定したとおりである。)と等価であると考えられる。
親水性ブロック(単数又は複数)及びカチオン性ブロック(単数又は複数)は、一般的に、複数のモノマーユニット重合された残基(すなわち、重合されたモノマー残基ユニット)を含む。親水性ブロック(単数又は複数)及びカチオン性ブロック(単数又は複数)を形作る重合されたモノマー残基ユニットはまた、モノマー反復ユニットとして又は単に反復ユニットとして、当該分野で示されうる。ブロックを形成するために使用されるモノマーに関する更なる詳細を、以下に概説する。
カチオン性ブロックは、約5から約200まで、又は約40から約200まで、又は約80から約200までの、重合されたモノマー残基ユニットを含みうる。カチオン性ブロックコポリマーが2つのカチオン性ブロックを含む場合、各カチオン性ブロックは、独立して、約5から約100まで、又は約20から約100まで、又は約40から約100までの、重合されたモノマー残基ユニットを含みうる。独立して又はまとめると、カチオン性ブロック(単数又は複数)は、正味の正電荷を示す。一般的には、少なくとも約10%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも70%、又は少なくとも90%、又はすべての、カチオン性ブロックを形作る重合されたモノマー残基ユニットは、正電荷を含む。
一実施態様では、カチオン性ブロックは、約5から約200まで、又は約40から約200まで、又は約80から約200までの、それぞれが正電荷を含む重合されたモノマー残基ユニットを含む。
カチオン性ブロックコポリマーが、2つのカチオン性ブロックを含む場合、各カチオン性ブロックは、独立して、約5から約100まで、又は約20から約100まで、又は約40から約100までの、それぞれが正電荷を含む重合されたモノマー残基ユニットを含む。
独立して又はまとめるとカチオン性ブロック(単数又は複数)は、核酸との複合体形成を促進するのに十分な電荷密度を含むことが理解される。
親水性ブロックは、約5から約200まで、又は約30から約200まで、又は約40から約180まで、又は約50から約180まで、又は約60から約180までの、重合されたモノマー残基ユニットを含みうる。カチオン性ブロックコポリマーが、2つの親水性ブロックを含む場合、各親水性ブロックは、独立して、約5から約100まで、又は約15から約100まで、又は約20から約90まで、又は約25から約90まで、又は約30から約90までの、親水性の重合されたモノマー残基ユニットを含みうる。独立して又はまとめると親水性ブロック(単数又は複数)は、正味の親水性特性を示す。
一般的には、少なくとも約50%、又は少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約90%、又は約100%の、親水性ブロックを形成する重合されたモノマー残基ユニットは、親水性モノマー残基ユニットである。
一実施態様では、親水性ブロックは、約5から約200まで、又は約30から約200まで、又は約40から約180まで、又は約50から約180まで、又は約60から約180までの、親水性の重合されたモノマー残基ユニットを含む。
カチオン性ブロックコポリマーが2つの親水性ブロックを含む場合、各親水性ブロックは、独立して、約5から約100まで、又は約15から約100まで、又は約20から約90まで、又は約25から約90まで、又は約30から約90までの、親水性の重合されたモノマー残基ユニットを含みうる。
親水性及び疎水性等の用語は、一般的に、当該分野において、別のコンポーネントに対するあるコンポーネント間の相互作用(例えば、誘引性又は反発的な相互作用、又は溶解特性)を伝達するために使用され、別のコンポーネントに対する特定のコンポーネントの特性を量的に規定するためには使用されない。
例えば、親水性コンポーネントは、水等の水性媒体によってより湿りやすいか溶媒和されやすく、一方で、疎水性コンポーネントは、水等の水性媒体によってより湿りにくいか溶媒和されにくい。
本発明の文脈において、親水性ブロックは、生物学的流体(例えば、血液、血漿、血清、尿、唾液、乳、精液、膣液、滑液、リンパ液、羊水、汗及び涙)を含む水性媒体、並びに、植物から産生される水性溶液(例えば、滲出液及び排水液、木部、師部、樹脂、及び花蜜を含む。)に溶解性を示すポリマーブロックを意味することが意図される。
親水性ブロック(単数又は複数)は、一般的には、得られるカチオン性ブロックコポリマーが水性媒体に可溶性になるように、選択される。
カチオン性ブロック(単数又は複数)もまた、それが水性媒体に可溶性であるように親水性特性を示しうる。
カチオン性ブロックコポリマーは、一般的には、負電荷を有するモノマー残基ユニットを含まない。換言すれば、カチオン性ブロックコポリマーは、一般的には、両性ポリマーではない。
「正」又は「負」電荷への本明細書中における参照は、それぞれ、ブロックコポリマー又は核酸の一部分又は官能基が正又は負の電荷を示すことを意味することが意図される。当該部分又は官能基は、もちろん、最初は、中性状態で、引き続いて、荷電した状態に変換されうる。従って、当該官能基又は部分は、固有に、電荷を有しうるか、荷電した状態に、例えば求電子剤を添加又は除去することにより、変換可能でありえる。換言すれば、正荷電の場合、当該官能基又は部分は、四級アンモニウム官能基又は部分等の固有の電荷を有しうるか、或いは、当該官能基又は部分自体は中性でありうるが、例えば、三級アンモニウムカチオンのpH依存的形成又は三級アミン基の四級化を介して、カチオンを形成するように荷電可能でありうる。負荷電の場合、当該官能基又は部分は、例えば、負荷電を提供する有機酸塩を含みうるか、或いは、当該官能基又は部分は、中性でありうる有機酸を含みうるが、例えば、酸性プロトンpH依存的除去を介して、アニオンを形成するように荷電可能でありうる。
一実施態様では、カチオン性ブロックは、中性状態であり、続いて、正荷電した状態に変換されうる、官能基又は部分を含むモノマーを用いて、調製されうる。例えば、当該モノマーは、三級アミン官能基(これは、カチオン性ブロックを形成するために重合され際、正荷電された状態に四級化される。)を含みうる。
当業者は、荷電された状態において、カチオン性ブロックコポリマー自体に関連するカチオン、又は、核酸自体に関連するアニオンが、それに関連する適切なカウンターイオンを有することを理解する。
本発明による複合体を形成するために、静電引力及び複合体の形成を促進するために、カチオン性ブロック(単数又は複数)は、もちろん、正電荷を含まなければいけないし、核酸は、もちろん、負電荷を含まなければならない。
核酸分子上の正味の負電荷は、一般的には、負に荷電した核酸自体に由来する(例えば、リン酸基由来)。
カチオン性ブロックコポリマーは、正電荷を提供し、したがって、核酸は、負電荷を提供する。したがって、核酸分子になされる任意の改変(単数又は複数)は、カチオン性ブロックコポリマーとのイオン結合を介して、複合体を形成するのを可能とする程度まで、正味の負電荷を保持するべきであることが理解される。
カチオン性ブロックコポリマー及び核酸を含む複合体は、カチオン性ポリマー/核酸複合体を調製するための公知の技術を用いて調製されうる。例えば、水に懸濁される必要な量のポリマーは、Opti−MEM(登録商標)等のreduced serum mediaを含む容器に導入しうる。次いで、必要な量の核酸を、この溶液に導入し、得られる混合物を、複合体を形成するために、適切な時間量ボルテックスする。
核酸は、市販で得られうるし、又は当該分野で周知の技術を用いて調製又は単離されうる。
カチオン性ブロックコポリマーは、任意の適切な手段によって調製されうる。
一実施態様では、カチオン性ブロックコポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合によって、調製される。エチレン性不飽和モノマーの重合は、好ましくは、リビング重合技術を用いて行われる。
リビング重合は、一般的には、不可逆的連鎖停止が実質的にない連鎖重合の一形態であると、当該分野で考えられている。リビング重合の重要な特徴は、モノマー及び重合をサポートする反応条件が提供されている間、ポリマー鎖が伸長し続けることである。リビング重合により調製されるポリマー鎖は、有利には、好に規定された分子構造、所定の分子量、及び狭い分子量分布又は低多分散を示しうる。
リビング重合の例には、イオン重合及び制御ラジカル重合(CRP)が挙げられる。CRPの例には、イニファーター重合、安定遊離ラジカル媒介重合(SFRP)、原子移動ラジカル重合(ATRP)、及び可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合が挙げられるが、これらに限定されない。
リビング重合を行うための、装置、条件、及び試薬は、当業者に周知である。
エチレン性不飽和モノマーを、リビング重合技術により重合する場合、一般的に、いわゆるリビング重合剤を使用することが必要とされる。「リビング重合剤」とは、リビングポリマー鎖(すなわち、リビング重合技術に従い形成されるポリマー鎖)を形成するように、1つ以上のエチレン性不飽和モノマーのリビング重合に、関与し制御又は媒介しうる化合物を意味する。
リビング重合剤としては、イオン重合及びCRPから選択されるリビング重合を促進するものが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の一実施態様では、カチオン性ブロックコポリマーは、イオン重合により調製される。
リビングイオン重合は、動的連鎖担体がイオン又はイオン対である付加重合の一形態である。当該重合は、アニオン性又はカチオン性の動的連鎖担体を介して、進行する。換言すれば、伝搬する種は、負又は正のいずれかの電荷を有し、それ自体、それぞれに、関連するカウンターカチオン又はカウンターアニオンも存在する。例えば、アニオン重合の場合、リビング重合剤はI−M+として表されえ、ここで、Iは、有機アニオン(例えば、置換されていてもよいアルキルアニオン)を表し、Mは、関連するカウンターカチオンを表す。或いは、リビングカチオン性重合の場合、リビング重合剤は、I+M−として表されえ、ここで、Iは、有機カチオン(例えば、置換されていてもよいアルキルカチオン)を表し、Mは、関連するカウンターアニオンを表す。アニオン性及びカチオン性のリビング重合を行うための適切な試剤は、当業者に周知であり、非プロトン酸(例えば、アンモニウムトリクロライド、三フッ化ホウ素)、プロトン(ブレンステッド)酸、安定なカルベニウムイオン塩、有機金属化合物(例えば、N−ブチルリチウム、クミルカリウム)及びZiegler−Natta触媒(例えば、トリエチルアンモニウム及びチタニウムテトラクロライド)が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の一実施態様では、カチオン性ブロックコポリマーは、CRPにより調製される。
本発明の更なる実施態様では、カチオン性ブロックコポリマーは、イニファーター重合により調製される。
イニファーター重合は、CRPの一周知形態であり、一般的には、スキーム2に下記するメカニズムによって進むと理解されている。
スキーム2を参照すると、イニファーター剤ABは、化学的、熱的、光化学的に、解離して、反応性ラジカル種A及び一般的に比較的安定なラジカル種Bを産生する(対称的なイニファーターの場合、ラジカル種Bは、ラジカル種Aと同じである。)(工程a)。ラジカル種Aは、モノマーMの重合を開始しえ(工程bにおいて)、ラジカル種Bとカップリングして不活化されうる(工程cにおいて)。イニファーターへの伝達(工程dにおいて)及び/又は休止状態のポリマーへの伝達(工程eにおいて)、その後、終了(工程fにおいて)は、イニファーター化学を特徴付ける。適切なイニファーター剤は、当業者に周知であるが、ジチオカーボネート、ジスルフィド、及びチウラムジスルフィド化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の更なる実施態様では、カチオン性ブロックコポリマーは、SFRPにより調製される。
その名前に示唆されるように、このモードのラジカル重合は、スキーム3に下記するように、安定なラジカル種の産生を含む。
スキーム3を参照すると、SFRP剤CDは、解離して、活性ラジカル種C及び安定ラジカル種Dを産生する。活性ラジカル種Cは、モノマーMと反応して、これにより、伝搬鎖が安定なラジカル種Dと組み変わりうる。イニファーター剤とは異なり、SFRP剤は、伝達工程を提供しない。SFRPを行うための適切な試剤は、当業者に周知であり、フェノキシ及びニトロキシラジカルを産生しうる部分が挙げられるが、これらに限定されない。試剤がニトロキシラジカルを産生する場合、重合技術は、ニトロキシ媒介重合(NMP)としてより一般に知られている。
フェノキシラジカルを産生しうるSFRPの例には2及び6位が、バルキーな基(例えば、tert−アルキル(例えば、t−ブチル)、フェニル又はジメチルベンジル)により置換され、4位が、アルキル、アルキルオキシ、アリール、又はアリールオキシ基により又はヘテロ原子含有基(例えば、S、N又はO)(例えば、ジメチルアミノ又はジフェニルアミノ基)により置換されていてもよいフェノキシ基を含むものが挙げられる。そのようなフェノキシ基含有試剤のチオフェノキシアナログも意図される。
ニトロキシラジカルを産生しうるSFRP剤としては、置換基R1R2N−O−(ここで、R1及びR2は、三級アルキル基であるか、又は、R1及びR2はN原子と一緒に、環構造を形成し、好ましくは、三級分岐をN原子に対してα位に有する。)が挙げられる。そのようなニトロキシ置換基の例としては、2,2,5,5−テトラアルキルピロリジンオキシル、並びに、5員ヘテロ環式環が脂環式又は芳香族の環に縮合したもの、ヒンダード脂環式ジアルキルアミノキシル及びイミノキシル置換基が挙げられる。SFRPで使用される一般的ニトロキシ置換基は、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシである。
本発明の別の実施態様では、カチオン性ブロックコポリマーは、ATRPにより調製される。
ATRPは、一般的には、ハロゲン原子等の移動可能な原子又は基を、伝搬ポリマー鎖に移動することにより、可逆的に伝搬ラジカルを不活化し、それにより、スキーム4に下記するように金属触媒の酸化状態を還元するための、遷移金属触媒を用いる。
スキーム4を参照すると、移動可能な基又は原子(X、例えば、ハライド、シアネート、チオシアネート又はアジド)を、有機化合物(E−X)から、酸化数(n)を有する遷移金属触媒(Mt、例えば、銅、鉄、パラジウム、コバルト、レニウム、ロージウム、ルテニウム、モリブデン、ニオビウム、又はニッケル)に移動し、そのとき、モノマー(M)を用いた重合を開始するラジカル種が形成される。このプロセスの一部として、金属複合体が参加される(Mt n+1X)。同様の反応順序が、次いで、伝搬ポリマー鎖と休止状態のX末端キャップされたポリマー鎖との間で、確立される。
本発明の更なる実施態様では、カチオン性ブロックコポリマーは、RAFT重合により、調製される。
RAFT重合は、当該分野で周知であり、スキーム5に概説するメカニズムを介して動作すると考えられている。
スキーム5を参照すると、RAFT重合は、RAFT剤(1)と伝搬ラジカルとの反応を含む初期反応順序(a)を介して進むと考えられる。形成された不安定な中間ラジカル種(2)は、断裂して、RAFT剤由来のラジカル(R)とともに、一時的に不活化された休止状態のポリマー種(3)を形成する。このラジカルは、次いで、モノマー(M)の重合を促進しえ、それにより、重合が再開されうる。伝搬ポリマー鎖は、次いで、休止状態のポリマー種(3)と反応して、反応順序(a)と同様の反応順序(b)を促進しうる。したがって、不安定な中間ラジカル(4)が形成され、続いて、断裂して、更なる鎖の伸長が可能なラジカルとともに、休眠状態のポリマー種を再び形成する。
RAFT重合により形成されるポリマーを、簡便に、RAFTポリマーとして参照しうる。重合のメカニズムのおかげで、そのようなポリマーは、モノマーの重合を促進したRAFT剤の残基を含む。
本発明により使用するために適したRAFT剤は、チオカルボニルチオ基(これは、−C(S)S−で表される二価の部分である。)を含む。RAFT剤の例は、Moad G.; Rizzardo, E; Thang S, H. Polymer 2008, 49, 1079−1131及びAust. J. Chem., 2005, 58, 379−410; Aust. J. Chem., 2006, 59, 669−692; Aust. J. Chem., 2009, 62, 1402−1472 (参照により、これらのすべての内容が、本明細書中に援用される)に記載されており、キサンチン、ジチオエステル、ジチオカーバメート及びトリチオカーボネート化合物が包含される。
本発明により使用するために適したRAFT剤は、一般式(I)又は(II)により示されうる:
ここで、Z及びRは、基であり、R*及びZ*は、それぞれ、x価及びy価の基であり、これらは、当該剤が、1つ以上のエチレン性不飽和モノマーの重合におけるRAFT剤として機能しうるように、独立して選択され;xは、1以上の整数であり;yは2以上の整数である。
1つ以上のエチレン性不飽和重合モノマーの重合においてRAFT剤として機能するために、当業者は、R及びR*は、典型的には、採用する重合条件下でフリーラジカル遊離基として機能し、かつ更に、フリーラジカル遊離基として、重合を司会する能力を有する、置換されていてもよい有機基であることを理解する。当業者はまた、Z及びZ*は、典型的には、重合が過度に遅延されない程度まで、RAFT付加ラジカルの断裂速度を遅くすることなしに、フリーラジカル付加に対して、適切な高反応性のC=S部分をRAFT剤中に与えるように機能する、置換されていてもよい有機基であることを理解する。
式(I)において、R*は、x価の基であり、xは1以上の整数である。したがって、R*は、一価、二価、三価の基でありえるか、又はより高い価数を有しうる。例えば、R*は、C20アルキル鎖でありえ、式(I)に記載されたRAFT剤の残りは、鎖からの複数の置換基ペンダントとして示されうる。一般的に、xは、1から約20まで、例えば約2から約10まで、又は1から約5までの範囲の整数である。一実施態様では、x=2である。
同様に、式(II)において、Z*は、y価の基であり、yは、2以上の整数である。したがって、Z*は、二価、三価でありうるか、又はより高い価数を有しうる。一般的に、yは、2から約20まで、例えば約2から約10まで、又は2から約5までの範囲の整数である。
本発明により使用されるRAFT剤におけるRの例には、置換されていてもよい、本発明により使用されるRAFT剤におけるR*の場合には、x価の形態の置換されていてもよい、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アリールチオ、アシルチオ、カルボシクリルチオ、ヘテロシクリルチオ、ヘテロアリールチオ、アルキルアルケニル、アルキルアルキニル、アルキルアリール、アルキルアシル、アルキルカルボシクリル、アルキルヘテロシクリル、アルキルヘテロアリール、アルキルオキシアルキル、アルケニルオキシアルキル、アルキニルオキシアルキル、アリールオキシアルキル、アルキルアシルオキシ、アルキルカルボシクリルオキシ、アルキルヘテロシクリルオキシ、アルキルヘテロアリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルケニルチオアルキル、アルキニルチオアルキル、アリールチオアルキル、アルキルアシルチオ、アルキルカルボシクリルチオ、アルキルヘテロシクリルチオ、アルキルヘテロアリールチオ、アルキルアルケニルアルキル、アルキルアルキニルアルキル、アルキルアリールアルキル、アルキルアシルアルキル、アリールアルキルアリール、アリールアルケニルアリール、アリールアルキニルアリール、アリールアシルアリール、アリールアシル、アリールカルボシクリル、アリールヘテロシクリル、アリールヘテロアリール、アルケニルオキシアリール、アルキニルオキシアリール、アリールオキシアリール、アルキルチオアリール、アルケニルチオアリール、アルキニルチオアリール、アリールチオアリール、アリールアシルチオ、アリールカルボシクリルチオ、アリールヘテロシクリルチオ、アリールヘテロアリールチオ、及びポリマー鎖、が挙げられる。
いずれの疑義も回避するために、本明細書中における「置換されていてもよい」アルキル、アルケニルなどへの参照は、アルキル及びアルケニル等の各基が、置換されていてもよいことを意味することが意図される。
本発明により使用されるRAFT剤におけるRの例にも、置換されていてもよい、本発明により使用されるRAFT剤におけるR*の場合には、x価の形態の置換されていてもよい、アルキル;飽和、不飽和又は芳香族炭素環式又はヘテロ環式環;アルキルチオ;ジアルキルアミノ;有機金属種;及びポリマー鎖、が挙げられる。
本発明により使用されるRAFT剤におけるRの更に具体的な例には、置換されていてもよい、本発明により使用されるRAFT剤におけるR*の場合には、x価の形態の、置換されていてもよい、C1−C18アルキル、C2−C18アルケニル、C2−C18アルキニル、C6−C18アリール、C1−C18アシル、C3−C18カルボシクリル、C2−C18ヘテロシクリル、C3−C18ヘテロアリール、C1−C18アルキルチオ、C2−C18アルケニルチオ、C2−C18アルキニルチオ、C6−C18アリールチオ、C1−C18アシルチオ、C3−C18カルボシクリルチオ、C2−C18ヘテロシクリルチオ、C3−C18ヘテロアリールチオ、C3−C18アルキルアルケニル、C3−C18アルキルアルキニル、C7−C24アルキルアリール、C2−C18アルキルアシル、C4−C18アルキルカルボシクリル、C3−C18アルキルヘテロシクリル、C4−C18アルキルヘテロアリール、C2−C18アルキルオキシアルキル、C3−C18アルケニルオキシアルキル、C3−C18アルキニルオキシアルキル、C7−C24アリールオキシアルキル、C2−C18アルキルアシルオキシ、C2−C18アルキルチオアルキル、C3−C18アルケニルチオアルキル、C3−C18アルキニルチオアルキル、C7−C24アリールチオアルキル、C2−C18アルキルアシルチオ、C4−C18アルキルカルボシクリルチオ、C3−C18アルキルヘテロシクリルチオ、C4−C18アルキルヘテロアリールチオ、C4−C18アルキルアルケニルアルキル、C4−C18アルキルアルキニルアルキル、C8−C24アルキルアリールアルキル、C3−C18アルキルアシルアルキル、C13−C24アリールアルキルアリール、C14−C24アリールアルケニルアリール、C14−C24アリールアルキニルアリール、C13−C24アリールアシルアリール、C7−C18アリールアシル、C9−C18アリールカルボシクリル、C8−C18アリールヘテロシクリル、C9−C18アリールヘテロアリール、C8−C18アルケニルオキシアリール、C8−C18アルキニルオキシアリール、C12−C24アリールオキシアリール、アルキルチオアリール、C8−C18アルケニルチオアリール、C8−C18アルキニルチオアリール、C12−C24アリールチオアリール、C7−C18アリールアシルチオ、C9−C18アリールカルボシクリルチオ、C8−C18アリールヘテロシクリルチオ、C9−C18アリールヘテロアリールチオ、及び約500〜約80,000の範囲の、例えば約500〜約30,000の範囲の、数平均分子量を有するポリマー鎖、が挙げられる。
ポリマー鎖の更に具体的な例には、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(n−ブチルアクリレート)、ポリ(tert−ブチルアクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリスチレン−ブロック−ポリ(tert−ブチルアクリレート)、ポリスチレン−ブロック−ポリ(アクリル酸)、ポリ(パラ−アセトキシスチレン)(poly(para−acetoxystryene))、ポリ(パラ−ヒドロキシスチレン)、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(オリゴエチレングリコールアクリレート)、ポリ(N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(N−アクリロイルモルホリン)、ポリ(メチルメタクリレート)−ブロック−ポリ(スチレン)、ポリ(エチレンオキシド)−ブロック−ポリ(メチルメタクリレート、ポリ(エチレンオキシド)−ブロック−ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、及びポリ(エチレンオキシド)−ブロック−ポリスチレン−ブロック−ポリ(アクリル酸)が挙げられる。
本発明により使用されるRAFT剤におけるRが、そして本発明により使用されるRAFT剤におけるR*の場合には、x価の形態の、置換されていてもよいポリマー鎖を包含する場合、当該ポリマー鎖は、任意の適切な重合プロセス(例えば、ラジカル、イオン、配位、逐次又は縮合の重合)により形成されうる。
ポリマー鎖を含むリビング重合剤は、一般的には当該分野において「マクロ」リビング重合剤として参照される。そのような「マクロ」リビング重合剤は、簡便には、1つ以上のエチレン性不飽和重合モノマーを、所定のリビング重合剤の制御下で、重合することにより、調製されうる。
一実施態様では、当該ポリマー鎖は、エチレン性不飽和モノマーを、RAFT剤の制御下で、重合することにより調製される。
本発明により使用されるRAFT剤におけるZの例には、置換されていてもよい、本発明により使用されるRAFT剤におけるZ*の場合には、y価の形態の置換されていてもよい:F、Cl、Br、I、アルキル、アリール、アシル、アミノ、カルボシクリル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルオキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アシルアミノ、カルボシクリルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオ、カルボシクリルチオ、ヘテロシクリルチオ、ヘテロアリールチオ、アルキルアリール、アルキルアシル、アルキルカルボシクリル、アルキルヘテロシクリル、アルキルヘテロアリール、アルキルオキシアルキル、アリールオキシアルキル、アルキルアシルオキシ、アルキルカルボシクリルオキシ、アルキルヘテロシクリルオキシ、アルキルヘテロアリールオキシ、アルキルチオアルキル、アリールチオアルキル、アルキルアシルチオ、アルキルカルボシクリルチオ、アルキルヘテロシクリルチオ、アルキルヘテロアリールチオ、アルキルアリールアルキル、アルキルアシルアルキル、アリールアルキルアリール、アリールアシルアリール、アリールアシル、アリールカルボシクリル、アリールヘテロシクリル、アリールヘテロアリール、アリールオキシアリール、アリールアシルオキシ、アリールカルボシクリルオキシ、アリールヘテロシクリルオキシ、アリールヘテロアリールオキシ、アルキルチオアリール、アリールチオアリール、アリールアシルチオ、アリールカルボシクリルチオ、アリールヘテロシクリルチオ、アリールヘテロアリールチオ、ジアルキルオキシ−、ジヘテロシクリルオキシ−又はジアリールオキシ−ホスフィニル、ジアルキル−、ジヘテロシクリル−又はジアリール−ホスフィニル、シアノ(すなわち、−CN)、及び−S−R(ここで、Rは、式(II)の点で規定したとおりである。)が挙げられる。
本発明により使用されるRAFT剤におけるZの更に具体的な例には、置換されていてもよい、本発明により使用されるRAFT剤におけるZ*の場合には、y価の形態の置換されていてもよい:F、Cl、C1−C18アルキル、C6−C18アリール、C1−C18アシル、アミノ、C3−C18カルボシクリル、C2−C18ヘテロシクリル、C3−C18ヘテロアリール、C1−C18アルキルオキシ、C6−C18アリールオキシ、C1−C18アシルオキシ、C3−C18カルボシクリルオキシ、C2−C18ヘテロシクリルオキシ、C3−C18ヘテロアリールオキシ、C1−C18アルキルチオ、C6−C18アリールチオ、C1−C18アシルチオ、C3−C18カルボシクリルチオ、C2−C18ヘテロシクリルチオ、C3−C18ヘテロアリールチオ、C7−C24アルキルアリール、C2−C18アルキルアシル、C4−C18アルキルカルボシクリル、C3−C18アルキルヘテロシクリル、C4−C18アルキルヘテロアリール、C2−C18アルキルオキシアルキル、C7−C24アリールオキシアルキル、C2−C18アルキルアシルオキシ、C4−C18アルキルカルボシクリルオキシ、C3−C18アルキルヘテロシクリルオキシ、C4−C18アルキルヘテロアリールオキシ、C2−C18アルキルチオアルキル、C7−C24アリールチオアルキル、C2−C18アルキルアシルチオ、C4−C18アルキルカルボシクリルチオ、C3−C18アルキルヘテロシクリルチオ、C4−C18アルキルヘテロアリールチオ、C8−C24アルキルアリールアルキル、C3−C18アルキルアシルアルキル、C13−C24アリールアルキルアリール、C13−C24アリールアシルアリール、C7−C18アリールアシル、C9−C18アリールカルボシクリル、C8−C18アリールヘテロシクリル、C9−C18アリールヘテロアリール、C12−C24アリールオキシアリール、C7−C18アリールアシルオキシ、C9−C18アリールカルボシクリルオキシ、C8−C18アリールヘテロシクリルオキシ、C9−C18アリールヘテロアリールオキシ、C7−C18アルキルチオアリール、C12−C24アリールチオアリール、C7−C18アリールアシルチオ、C9−C18アリールカルボシクリルチオ、C8−C18アリールヘテロシクリルチオ、C9−C18アリールヘテロアリールチオ、ジアルキルオキシ−、ジヘテロシクリルオキシ−又はジアリールオキシ−ホスフィニル(すなわち、−P(=O)ORk 2)、ジアルキル−、ジヘテロシクリル−又はジアリール−ホスフィニル(すなわち、−P(=O)Rk 2)(ここで、Rkは、置換されていてもよいC1−C18アルキル、置換されていてもよいC6−C18アリール、置換されていてもよいC2−C18ヘテロシクリル、及び置換されていてもよいC7−C24アルキルアリールから選択される。)、シアノ(すなわち、−CN)、及び−S−R(ここで、Rは、式(II)の点で規定したとおりである。)が挙げられる。
一実施態様では、本発明により使用されるRAFT剤は、トリチオカーボネートRAFT剤であり、Z又はZ*は、置換されていてもよいアルキルチオ基である。
本発明による使用に適切なマクロRAFT剤は、市販で(例えば、SigmaAldrichカタログ(www.sigmaaldrich.com)に記載されるものを参照)、入手されうる。
本発明により使用されうる他のRAFT剤には、WO201083569及びBenaglia et al, Macromolecules. (42), 9384−9386, 2009(これらの全体が、参照により本明細書中に援用される)に記載されているものが挙げられる。
一実施態様では、カチオン性ブロックコポリマーの少なくとも1つのトリブロック構造は、RAFT重合により形成される。その場合、当該少なくとも1つのトリブロック構造は、簡便には、トリ−ブロックRAFTポリマー構造として参照されうる。
したがって、本発明はまた、カチオン性ブロックコポリマーと核酸を含む複合体を提供し、当該カチオン性ブロックコポリマーは、1つのカチオン性ブロックと2つの親水性ブロック又は1つの親水性ブロックと2つのカチオン性ブロックを含む、少なくとも1つのトリ−ブロックRAFTポリマー構造を有する。
各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、カルボシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、及びポリマー鎖部分からZ、Z*、R及びR*が選択されうる本明細書中のリストにおいて規定する基は、置換されていてもよい。いずれの疑義をも回避するため、所定のZ、Z*、R及びR*が2つ以上のそのような部分(例えば、アルキルアリール)を含む場合、そのような部分のそれぞれは、1つ、2つ、3つ又はそれ以上の本明細書中で規定したような任意の置換基で置換されていてもよい。
Z、Z*、R及びR*が選択されうる本明細書中のリストにおいて規定する基は、所定のZ、Z*、R又はR*が、2つ以上のサブグループ(例えば、[グループA][グループB])を含む場合、サブグループの順序は、それらが例示された順序に限定されることを意図するものではない。したがって、[グループA][グループB](例えば、アルキルアリール)として規定された2つのサブグループを有するZ、Z*、R又はR*は、[グループB][グループA](例えば、アリールアルキル)として規定された2つのサブグループを有するZ、Z*、R又はR*への参照であることも意味する。
Z、Z*、R又はR*は、分岐及び/又は置換されていてもよい。Z、Z*、R又はR*が、置換されていてもよいアルキル部分を含む場合、任意の置換基には、アルキル鎖における−CH2−基が−O−、−S−、−NRa−、−C(O)−(すなわち、カルボニル)、−C(O)O−(すなわち、エステル)、及び−C(O)NRa−(すなわち、アミド)から選択される基で置き換えられる場合が挙げられえ、ここで、Raは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、カルボシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリールアルキル及びアシルから選択されうる。
x価、y価、多価又は二価「形態の....」への本明細書中の参照は、特定された基がx価、y価、多価又は二価の基であることをそれぞれ意味することが意図される。例えば、x又はyが2である場合、特定された基は、二価の基であることが意図される。その場合、二価のアルキル基は、実質的に、アルキレン基(例えば、−CH2−)である。同様に、基アルキルアリールの二価形態は、例えば、−(C6H4)−CH2−により表されうるし、二価のアルキルアリールアルキル基は、例えば、−CH2−(C6H4)−CH2−により表されうるし、二価のアルキルオキシ基は、例えば、−CH2−O−により表されうるし、二価のアルキルオキシアルキル基は、例えば、−CH2−O−CH2−により表されうる。用語「置換されていてもよい」が、そのようなx価、y価、多価又は二価の基と組みあわせて使用され、その基は、本明細書中に記載されるように、置換されていても置換されていなくてもよく、縮合していてもよい。x価、y価、多価、二価の基が、2つ以上のサブグループ(例えば、[グループA][グループB][グループC](例えば、アルキルアリールアルキル)を含む場合、実行可能であれば、1つ以上のそのようなサブグループは、置換されていてもよい。当業者は、より高次の形態を提供することにおいて、この原理をどのように適用するかを理解する。
カチオン性ブロックコポリマーは、一般的には、エチレン性不飽和モノマーの重合により調製されうる。エチレン性不飽和モノマーの共重合性(copolymerisability)を決定する要因は、当該分野でよく記載されている。例えば、Greenlee, R. Z., in Polymer Handbook 3rd edition (Brandup, J, and Immergut. E. H. Eds) Wiley: New York, 1989, p II/53を参照のこと。
カチオン性ブロックコポリマーを調製するために使用されうるエチレン性不飽和モノマーの適切な例には、式(III)のものが挙げられる:
ここで、U及びWは、−CO2H、−CO2R1、−COR1、−CSR1、−CSOR1、−COSR1、−CONH2、−CONHR1、−CONR1 2、水素、ハロゲン及び置換されていてもよいC1−C4アルキルから独立して選択されるか、又はU及びWは一緒に、それ自体置換されていてもよい、ラクトン、無水物、又はイミド環を形成し、ここで、当該任意の置換基は、ヒドロキシ、−CO2H、−CO2R1、−COR1、−CSR1、−CSOR1、−COSR1、−CN、−CONH2、−CONHR1、−CONR1 2、−OR1、−SR1、−O2CR1、−SCOR1、及び−OCSR1から独立して選択され;
Vは、水素、R1、−CO2H、−CO2R1、−COR1、−CSR1、−CSOR1、−COSR1、−CONH2、−CONHR1、−CONR1 2、−OR1、−SR1、−O2CR1、−SCOR1、及び−OCSR1から選択され、
ここで、当該又は各R1は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいカルボシクリル、置換されていてもよいヘテロシクリル、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、置換されていてもよいアルキルアリール、置換されていてもよいアルキルヘテロアリール、及び置換されていてもよいポリマー鎖から独立して選択される。
当該又は各R1はまた、置換されていてもよいC1−C22アルキル、置換されていてもよいC2−C22アルケニル、置換されていてもよいC2−C22アルキニル、置換されていてもよいC6−C18アリール、置換されていてもよいC3−C18ヘテロアリール、置換されていてもよいC3−C18カルボシクリル、置換されていてもよいC2−C18ヘテロシクリル、置換されていてもよいC7−C24アリールアルキル、置換されていてもよいC4−C18ヘテロアリールアルキル、置換されていてもよいC7−C24アルキルアリール、置換されていてもよいC4−C18アルキルヘテロアリール、及び置換されていてもよいポリマー鎖から独立して選択されうる。
R1についての任意の置換基の例には、それらの塩及び誘導体を包含する、アルキレンオキシジル(エポキシ)、ヒドロキシ、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、ホルミル、アルキルカルボニル、カルボキシ、スルホン酸、アルコキシ−又はアリールオキシ−カルボニル、イソシアネート、シアノ、シリル、ハロ、アミン(一級、二級及び三級)から選択されるものが挙げられる。
一実施態様では、R1は、ポリマー鎖である。ポリマー鎖の例には、ポリアルキレンオキシド、ポリアリーレンエーテル及びポリアルキレンエーテルから選択されるものが挙げられる。
一実施態様では、R1は、アミン置換されたC1−C6アルキル及び置換されていてもよいポリマー鎖から独立して選択されうる。
式(III)のモノマーの例には、マレイン酸無水物、N−アルキルマレイミド、N−アリールマレイミド、ジアルキルフマレート及びシクロポリ重合性モノマー、アクリレート及びメタクリレートのエステル、アクリル酸及びメタクリル酸、スチレン、スチレン系化合物(styrenics)、メタクリルアミド、及びメタクリロニトリル、これらモノマーの混合物、これらモノマーと他のモノマーとの混合物が挙げられる。
式(III)のモノマーの他の例には、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート(すべての異性体)、ブチルメタクリレート(すべての異性体)、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、メタクリル酸、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、メタクリロニトリル、アルファ−メチルスチレン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート(すべての異性体)、ブチルアクリレート(すべての異性体)、2−エチルヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、アクリル酸、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、アクリロニトリル、スチレン;グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート(すべての異性体)、ヒドロキシブチルメタクリレート(すべての異性体)、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、トリエチレングリコールメタクリレート、イタコン酸無水物、イタコン酸、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート(すべての異性体)、ヒドロキシブチルアクリレート(すべての異性体)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、トリエチレングリコールアクリレート、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−tert−ブチルメタクリルアミド、N−n−ブチルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチロールメタクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチロールアクリルアミド、ビニル安息香酸(すべての異性体)、ジエチルアミノスチレン(すべての異性体)、アルファ−メチルビニル安息香酸(すべての異性体)、ジエチルアミノアルファ−メチルスチレン(すべての異性体)、p−ビニルベンゼンスルホン酸、p−ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、トリエトキシシリルプロピルメタクリレート、トリブトキシシリルプロピルメタクリレート、ジメトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジエトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジブトキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジイソプロポキシメチルシリルプロピルメタクリレート、ジメトキシシリルプロピルメタクリレート、ジエトキシシリルプロピルメタクリレート、ジブトキシシリルプロピルメタクリレート、ジイソプロポキシシリルプロピルメタクリレート、トリメトキシシリルプロピルアクリレート、トリエトキシシリルプロピルアクリレート、トリブトキシシリルプロピルアクリレート、ジメトキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジエトキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジブトキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジイソプロポキシメチルシリルプロピルアクリレート、ジメトキシシリルプロピルアクリレート、ジエトキシシリルプロピルアクリレート、ジブトキシシリルプロピルアクリレート、ジイソプロポキシシリルプロピルアクリレート、ビニルアセテート、ビニルブチレート、ビニルベンゾエート、ビニルクロライド、ビニルフルオリド、ビニルブロミド、N−フェニルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、ブタジエン、エチレン及びクロロプレンから選択される官能性メタクリレート、アクリレート及びスチレンが挙げられる。この表は、排他的なものではない。
カチオン性ブロックコポリマーを調製するために称されうるモノマーのタイプを議論する場合、モノマーが、特徴において親水性又は疎水性であることへの参照が簡便でありうる。例えば、トリブロック構造の2つの親水性ブロックのそれぞれが、一般的には、親水性モノマーを含むモノマー組成物を重合することによって調製される。
指針のみとして、疎水性エチレン性不飽和モノマーの例には、スチレン、アルファ−メチルスチレン、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリールメタクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、クロチルメタクリレート、シンナミルメタクリレート、オレイルメタクリレート、リシノレイルメタクリレート、コレステリルメタクリレート、コレステリルアクリレート、ビニルブチレート、ビニルtert−ブチレート、ビニルステアレート及びビニルラウレートが挙げられるが、これらに限定されない。
指針のみとして、親水性エチレン性不飽和モノマーの例には、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、オリゴ(アルキレンラウリル)メチルエーテル(メタ)アクリレート(OAG(M)A)、アクリルアミド及びメタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド及びN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N−ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、4−アクリロイルモルホリン、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、ホスホリルコリンメタクリレート及びN−ビニルピロリドンが挙げられるが、これらに限定されない。
親水性エチレン性不飽和モノマーOAG(M)Aの場合、アルキレン部分は、一般的には、C2−C6、例えばC2又はC3のアルキレン部分である。当業者は、「(アルキレングリコール)」と関連する「オリゴ」命名法は、複数のアルキレングリコールユニットの存在を示すことを理解する。一般的に、OAG(M)Aのオリゴコンポーネントは、約2t〜約200、例えば約2〜約100、又は約2から約50まで、又は約2から約20までの、アルキレングリコール反復ユニットを含む。
指針のみとして、カチオン性ブロックコポリマーのカチオン性ブロックを調製するのに使用されうるエチレン性不飽和モノマーの例には、2−アミノエチルメタクリレートヒドロクロライド、N−[3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミドヒドロクロライド、N−[3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N−[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]メタクリルアミド、2−N−モルホリノエチルアクリレート、2−N−モルホリノエチルメタクリレート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、2−アクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(2−Acryloxyyethyltrimethylammonium chloride)、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2−(tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレート、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、2−(ジエチルアミノ)エチルスチレン、2−ビニルピリジン、及び4−ビニルピリジンが挙げられるが、これらに限定されない。
フリーラジカル重合技術を、カチオン性ブロックコポリマーを形成するための1つ以上のエチレン性不飽和モノマーの重合に使用する場合、当該重合は、通常、フリーラジカルの供給源からの開始を必要とする。
開始ラジカルの供給源は、フリーラジカルを産生する任意の適切な手段(例えば、適切な化合物(単数又は複数)(パーオキシド、パーオキシエステル、又はアゾ化合物等の熱的開始剤))の熱的に誘導された均等開裂、モノマーからの自発的な産生(例えば、スチレン)、酸化還元開始系、光化学開始系又は高エネルギー照射(例えば、電子線、X−又はガンマ−照射))により、提供されうる。
熱的開始剤は、一般的に、重合の温度において適切な半減期を有するように選択される。これらの開始剤には、以下の化合物の1つ以上が挙げられうる:
2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シアノブタン)、ジメチル2,2’−アゾビス(イソブチレート)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(t−ブチルアゾ)−2−シアノプロパン、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソ酪酸アミジン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソ酪酸アミジン)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−エチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(イソ酪酸アミド)二水和物、2,2’−アゾビス(2,2,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−アミルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカルボネート、ジシクロヘキシルパーオキシジカルボネート、ジクミルパーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、ジラウロイルパーオキシド、カリウムパーオキシジスルフェート、アンモニウムパーオキシジスルフェート、ジ−t−ブチル次亜硝酸塩、ジクミル次亜硝酸塩。このリストは排他的ではない。
光化学開始剤系は、一般的に、重合の条件下で、ラジカル産生の適切な量子収量を有するように選択される。例には、ベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン、アシルホスフィンオキシド、及びフォトレドックス系が挙げられる。
酸化還元開始剤系は、一般的に、重合の条件下でラジカル産生の適切な割合を有するように選択され;これらの開始システムには、以下の酸化剤及び還元剤の組み合わせが挙げられうるがこれらに限定されない:
酸化剤:カリウム、パーオキシジスルフェート、過酸化水素、t−ブチルヒドロパーオキシド.
還元剤:鉄(II)、チタン(III)、チオ亜硫酸カリウム、二亜硫酸カリウム。
他の適切な開始系は、一般に入手可能なテキストに記載されている。例えば、Moad and Solomon “The Chemistry of Free Radical Polymerisation”, Pergamon, London, 1995, pp 53−95を参照のこと。
親水性媒体に更に容易に溶媒和される開始剤には、4,4−アゾビス(シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソ酪酸アミジン)、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソ酪酸アミジン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−エチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(イソ酪酸アミド)二水和物、及びそれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
疎水性媒体に更に容易に溶媒和される開始剤には、周知の物質である2,2’−アゾビスイソブチロニトリルにより例示されるアゾ化合物が挙げられる。他の適切な開始剤化合物には、アシルパーオキシドクラス(例えば、アセチル及びベンゾイルのパーオキシド)並びにアルキルパーオキシド(例えば、クミル及びt−ブチルのパーオキシド)が挙げられる。ヒドロパーオキシド(例えば、t−ブチル及びクミルのヒドロパーオキシドもまた、広く使用される。
一実施態様では、カチオン性ブロックコポリマーは、ビス−トリチオカーボネートRAFT剤を用いるフリーラジカル重合により調製される。その場合、RAFT剤は、カチオン性ブロックを提供するモノマーを含むモノマー組成物を最初に重合することに使用される。例えば、当該モノマー組成物は、アミン置換された(メタ)アクリレート(例えば、N,N−ジメチルアミノアルキル(メタ)アクリレート)を含みうる。当該重合は、カチオン性ブロックに引き続いて変換されるブロックを含むテレケリックマクロRAFT剤を提供する。次いで、第2の重合工程が行われ、それにより、テレケリックマクロRAFT剤は、2つの親水性ブロックのそれぞれを提供するために、親水性モノマーを含むモノマー組成物を重合するために使用される。例えば、当該モノマー組成物は、オリゴ(アルキレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート(例えば、オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート)を含みうる。2つの親水性ブロックのそれぞれを形成するように重合された当該モノマー組成物はまた、コポリマー親水性ブロックを提供するために、2つ以上の異なるモノマーの混合物を含みうる。例えば、2つの親水性ブロックのそれぞれを形成するように重合された当該モノマー組成物は、オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレートとN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートとの混合物を含みうる。
この実施態様によれば、得られるポリマーは、A−B−Aトリブロック構造を有する。その重合された形態において、Aブロックは、カチオン性ブロックコポリマーの荷電されたカチオン性ブロックを得るために、更なる工程で引き続いて四級化される三級アミノ基を有するモノマー残基ユニットを含む。得られるカチオン性ブロックコポリマーは、一般式(IV)で以下に示されるような構造を有する:
ここで、Z、B、A及びR*は、本明細書中で規定したとおりである。
本発明はまた、核酸を細胞に送達する方法を提供し、当該方法は、カチオン性ブロックコポリマーと核酸を含む複合体を調製すること(当該カチオン性ブロックコポリマーは、1つのカチオン性ブロックと2つの親水性ブロックとを含む少なくとも1つのトリブロック構造を有する。)、当該複合体を当該細胞に導入すること、を含む。当該方法は、インビボ、エキソビボ又はインビトロで行われうる。
本発明は更に、その必要がある対象に、治療有効量の本明細書中に記載したような本発明による核酸複合体を投与することを含む、遺伝子治療の方法を提供する。
遺伝子治療としてのDNA対及び媒介する組換えの関連性は、研究されるとき(例えば、遺伝子疾患(例えば、嚢胞性線維症、血友病、及び鎌状赤血球貧血及びベータ−サラセミア等のグロビノパチー)の関連で)、明らかである。例えば、標的遺伝子が遺伝子障害の原因である変異を含む場合には、核酸を対象の細胞(単数又は複数)中に導入することが、異常な標的遺伝子のDNA配列を正常に回復するための突然変異性修復を促進するために有用でありうる。或いは、対象の細胞(単数又は複数)に導入された核酸は、そうでなければ疾患状態において抑制されているかサイレントな遺伝子の発現を導きうる。そのような核酸は、それら自体、サイレントな又は抑制された遺伝子をコードしうるか、又はそうでなければ抑制された又はサイレントな標的遺伝子の転写及び/又は翻訳を活性化しうる。
本発明の方法を用いて治療されるべき疾患又は状態は、遺伝子治療により治療可能な任意の疾患又は状態でありえ、使用されるべき遺伝的物質(すなわち、核酸)の選択は、特定の疾患又は状態に明確に依存することが、当業者により理解されるだろう。治療されうる疾患又は状態には、ガン(例えば、骨髄障害)、サラセミア、嚢胞性線維症、難聴、視覚障害(例えば、Leber先天黒内障)、糖尿病、Huntingdon病、X連鎖重症複合免疫不全及び心疾患が挙げられるが、これらに限定されない。或いは、遺伝子治療は、非内在性遺伝子(例えば、バイオルミネッセンスのための遺伝子)を導入したり、又は、内在性遺伝子をノックアウトする遺伝子を導入したり(例えば、RNA干渉)するために使用されうる。
核酸の性質は、治療又は予防すべき疾患又は状態に一定に依存することも、当業者により理解されるだろう。例えば、少なくとも一部が、線維性細胞外マトリックス物質(例えば、タイプIIコラーゲン)の蓄積に起因する疾患又は状態は、本発明の核酸複合体を対象に(標的化又は非標的化アプローチで)送達することにより、治療又は予防しえ、ここで、当該核酸分子(例えば、siRNA)は、細胞外マトリックス物質をコードする遺伝子をサイレンシング可能である。いくつかの実施態様では、疾患又は状態は、感染性疾患、炎症性疾患、又はガンである。
本発明による核酸複合体の細胞への送達をインビボで行う場合、核酸複合体は、状況下に適切である任意の投与経路により、細胞に導入されうる。例えば、全身送達が意図される場合、当該複合体は、静脈内、皮下、筋肉内、経口などで投与されうる。或いは、当該複合体は、特定の細胞又は細胞タイプに、当業者に公知の手段により、標的化されうる。標的化は、例えば、核酸分子が、非ガン性細胞に対して受容可能でなく毒性である場合又はそうでなければ非常に高投薬量を必要とする場合に、がん細胞に標的化するため等の様々な理由により望ましくありうる。標的化送達は、受容体媒介標的化を含むがこれに限定されない当業者に公知の任意の手段により、又は、標的細胞(単数又は複数)を含む組織に直接的に核酸複合体を投与することにより、達成されうる。
受容体媒介標的化は、例えば、核酸分子をタンパク質リガンドに(例えば、ポリリジン)を介して、コンジュゲートすることにより達成されうる。リガンドは、典型的には、標的細胞/組織タイプの表面上の対応するリガンド受容体の存在に基づいて選択される。これらのリガンド−核酸コンジュゲートは、本発明によるカチオン性ブロックコポリマーと複合体化されて、所望により全身投与(例えば、静脈内)されうる(ここで、受容体結合が生じる場合、これらは、標的細胞/組織へ指向する。)。
一実施態様では、本発明により核酸を細胞に送達する方法は、エキソビボで行われる。例えば、細胞を対象から単離し、エキソビボで、本発明の核酸複合体を導入して、外因性の核酸を含む細胞を産生する。当該細胞は、治療されるべき対象から又は同系宿主から単離しうる。当該細胞を、次いで、治療又は予防のために、対象内に(又は、同系レシピエント)に再導入し戻す。いくつかの実施態様では、細胞は、造血前駆細胞又は幹細胞でありうる。
一実施態様では、核酸は、遺伝子発現をサイレンシングする(又は抑制する)ために、細胞に送達される。いくつかの実施態様では、遺伝子発現は、翻訳効率を減少させるか又は伝令安定性を減少させるか、或いはこれらの効果の組み合わせにより、サイレンシングされる。いくつかの実施態様では、プロセッシングされていないRNAのスプライシングが、非機能的又は活性がより低いタンパク質の産生を導く標的の目標である。
例えば、本発明の方法は、ウイルスの複製を減少するために使用されうる。そのような実施態様では、核酸は、細胞におけるウイルス由来の遺伝子の発現のサイレンシングが可能である(又はサイレンシングのために)選択される。
いくつかの実施態様では、遺伝子発現は、細胞に、gDNA、cDNA及びDNAオリゴヌクレオチド (二本鎖又は一本鎖)が挙げられるがこれらに限定されないDNA分子を導入することによりサイレンシングされる。
いくつかの実施態様では、遺伝子発現は、RNA干渉(RNAi)によりサイレンシングされる。本発明を特定の理論や作用態様に限定するものではないが、「RNA干渉」は、典型的には、mRNAを分解又はそうでなければmRNAの翻訳を防止する(例えば、配列特異的様式で)ことに基づく遺伝子発現のサイレンシングのメカニズムを記載する。外因性干渉RNA分子は、mRNA分解又はmRNA翻訳抑制のいずれかを導きうることが、当業者により理解されるだろう。いくつかの実施態様では、RNA干渉は、非センス媒介崩壊を導く1つ以上の未成熟なストップコドンを導入するように、リーディングフレームを改変することによって達成される。
RNAiは、標的mRNA分解を介して、遺伝子発現における配列特異的減少を導く二本鎖(センス及びアンチセンス)RNAが関与する遺伝子サイレンシングのプロセスを含む。RNAiは、典型的には、短鎖二本鎖siRNA又は一本鎖マイクロRNA(miRNA)により媒介される。いくつかの実施態様では、いずれか又はこれらの分子からのRNAの鎖が、相補RNAを標的とし翻訳を抑制するRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)として参照される複合体を形成したときに、RNAiは開始される。当該プロセスは、研究目的及び治療用途目的に探求されうる(例えば、Izquierdo et al., Cancer Gene Therapy, 12(3): 217−27, 2005を参照)。
RNA様特性を有する他のオリゴヌクレオチドもまた記載されており、多くの更に異なるタイプのRNAiが開発されうる。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、エキソン使用を改変し、プレRNAスプライシングを調節するために使用されている(例えば、Madocsai et al., Molecular Therapy, 12: 1013−1022, 2005及びAartsma−Rus et al., BMC Med Genet., 8: 43, 2007参照)。アンチセンス及びiRNA化合物は、目的の標的遺伝子のDNA又はRNAに特異的にハイブリダイズするRNA若しくはRNA様又はDNA若しくはDNA様分子である、二本鎖又は一本鎖オリゴヌクレオチドでありうる。
本発明の文脈において使用するのに適したRNA分子の例には、以下のものが挙げられるがこれらに限定されない:
(i) 長鎖二本鎖RNA(dsRNA)−これらは、一般的に、それら自身のベクターにより各々別々に転写されるセンスRNA鎖及びアンチセンスRNA鎖のハイブリダイゼーションの結果として、産生される。そのような二本鎖分子は、典型的には、ヘアピンループにより特徴付けられない。これらの分子は、低分子干渉RNA(siRNA)二本鎖を産生するために、Dicer等の酵素により開裂されることが必要である。この開裂事象は、好ましくは、dsRNAが転写される細胞において生じる。
(ii) ヘアピン二本鎖RNA(ヘアピンdsRNA)−これらの分子は、ステム−ループ配置を示し、一般的に、イントロン等のヌクレオチドスペーサー領域により分離された逆方向反復配列を有するコンストラクトの転写の結果である。これらの分子は、一般的に、開裂されるべきヘアピンループと、siRNAを産生するために酵素Dicerにより開裂されるべき結果としての直鎖二本鎖分子との両方を必要とするより長いRNA分子のものである。このタイプの分子は、単一ベクターにより発現可能な利点を有する。
(iii) 低分子干渉RNA(siRNA)−これらは、合成的に産生されうるか、又は、それ自身のプロモーター及び4−5チミジン転写終了部位によりそれぞれ特徴付けられるタンデムセンス及びアンチセンス鎖を含むベクターの、プロモーターに基づく発現により、組換え的に発現されうる。これは、2つの別々の転写物(これは引き続いてアニールする)の産生を可能とする。いくつかの実施態様では、これらの転写物は、20〜25ヌクレオチド長のオーダーを有しうる。したがって、これらの分子は、RNA干渉経路においてそれらの機能を可能にするための更なる開裂を必要としない。
(iv) ショートヘアピンRNA(shRNA)−これらの分子もまた、「小分子ヘアピンRNA」として公知であり、典型的には、siRNA分子と同様の長さであるが、これらは、RNA分子の逆方向反復配列を含む点が異なっており、当該逆方向反復は、ヌクレオチドスペーサーにより分離されている。ヘアピン(ループ)領域の開列の後、機能的siRNA分子が産生される。
(v) ミクロRNA/小分子RNA(miRNA/stRNA)−miRNA及びstRNAは、一般的に、天然の内因的に発現される分子を示すと理解されている。したがって、miRNAの活性を模倣することを意図する分子の設計及び投与が、合成的に産生された又は組換え的に発現されたsiRNA分子の形をとるが、それにもかかわらず、本発明は、本質的に同一のRNA配列及び全体構造を示すおかげで、miRNA、プリmiRNA又はプレmiRNA分子を模倣することが意図されるオリゴヌクレオチドの設計及び発現まで及ぶ。そのような組換え的に産生された分子は、miRNA又はsiRNAのいずれかとして参照されうる。
(vi) 空間的発現を媒介するmiRNA(sdRNA)、ストレス応答(srRNA)又は細胞周期(ccRNA)。
(vii) 内因的に発現されるmiRNA若しくはstRNA又は外因的に導入されたsiRNAにハイブリダイズし機能するのを防止するように設計されたRNAオリゴヌクレオチド。いくつかの実施態様では、これらの分子は、RNA干渉メカニズムを引き起こすようには設計されず、むしろ、細胞内環境に存在するmiRNA及び/又はsiRNA分子によるこの経路のアップレギュレーションを防止することが理解されるだろう。それらがハイブリダイズするmiRNAに対するそれらの影響の点で、これらは、更に古典的なアンチセンス阻害を反映している。
「RNAオリゴヌクレオチド」への参照は、二本鎖又は一本鎖であり、標的遺伝子の発現をサイレンシングするのに向けられたRNA干渉メカニズムをいずれか誘導可能である、RNA核酸分子への参照として理解されるべきである。この点で、対象オリゴヌクレオチドは、RNA干渉メカニズムを直接調節することが可能でありうるか、または、それは、(i)ヘアピン領域の切除を必要とするヘアピン二本鎖RNA、(ii)ダイサーによる切断を必要とするより長い二本鎖RNA分子、又は(iii)同様に切断を必要とするプレmiRNA等のプリカーサー分子の特徴であるような更なるプロセッシングを必要としうる。対象オリゴヌクレオチドは、二本鎖(RNA干渉をもたらす点で典型的であるような)であっても、一本鎖(内因的に発現された遺伝子に結合するのに適したRNAオリゴヌクレオチドを産生することのみをしようとするものの場合でありうるような)であってもよい。
他の実施態様では、核酸分子は、翻訳の開始(スプライスドナー部位又はスプライスアクセプター部位でのスプライシング)を抑制する。他の実施態様では、スプライシングの改変は、リーディングフレームを改変し、転写の非センス媒介分解を開始する。
本発明による使用及び任意の所定の状況に最も適切な核酸分子を当業者は決定しうることが理解される。例えば、RNA分子は、その標的核酸配列と100%の相同性を示すことが好ましいが、RNA分子は、配列特異的様式でRNA干渉応答を誘導するのに十分なハイブリダイゼーションが可能な程度まで、ある程度のミスマッチを示しうる。したがって、RNA分子は、標的核酸配列と、少なくとも70%の配列相同性、より好ましくは少なくとも90%の相同性及び更により好ましくは、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列相同性を含むことが好ましい。
本発明による使用に適した核酸分子の設計に関する別の例では、分子の特定の構造及び長さ(例えば、それが、dsRNA、ヘアピンdsRNA、siRNA、shRNA、miRNA、プレmiRNA、プリmiRNA又は本明細書中で記載したような任意の他の形態の形態をとるかどうか)を決定するのは、当業者の技術の範囲内である。例えば、一般的に、ステム−ループRNA構造(例えば、ヘアピンdsRNA及びshRNA)は、典型的には、遺伝子スプライシングを達成する点で、例えば、二本鎖DNA(これは、センス及びアンチセンスRNA鎖を別々にコードする2つのコンストラクトを利用して産生される。)よりも、効率的であることが理解される。更に、介在するスペーサー領域の性質及び長さは、所定のステム−ループRNA分子の機能性に影響しうる。更に別の例では、長いdsRNA(これは、Dicer等の酵素による切断を必要とする。)又は短いdsRNA(例えば、siRNA又はshRNA)の選択は、特定の細胞環境の状況で、インターフェロン応答が生じうる(これは、短いdsRNA分子を利用する場合よりも長いdsRNAを使用する場合のより顕著なリスクである。)というリスクが存在する場合に、明白でありうる。なお更に別の例では、一本鎖又は二本鎖の核酸分子を使用することが必要とされるかどうかはまた、求める機能的結果に依存する。例えば、アンチセンス分子を有する内因的に発現されたmiRNAを標的とする程度までは、一般的に、対象miRNAに具体的にハイブリダイズするのに適した一本鎖RNAオリゴヌクレオチドを設計することが理解されるだろう。RNA干渉を誘導するのが求められる程度までは、二本鎖siRNA分子が必要でありうる。いくつかの実施態様では、これは、更なる切断を受ける長いdsRNA分子、又はsiRNAとして設計されうる。
用語「遺伝子」は、その最も広い意味で使用され、遺伝子のエキソンに対応するcDNAを包含する。「遺伝子」への本明細書中での参照はまた、以下のものが包含される:転写及び/又は翻訳の制御配列及び/又はコード領域及び/又は非翻訳配列(すなわち、イントロン、5’−及び3’−非翻訳配列)からなる古典的なゲノム遺伝子;或いは
遺伝子のコード領域(すなわち、エキソン)、プレmRNA、並びに5’−及び3’−非翻訳配列に対応する、mRNA又はcDNA分子。
「発現」への参照は、遺伝子発現への広い参照であり、プレ翻訳への転写及び翻訳を介した(プレ転写からの)遺伝子又は核酸分子からタンパク質又はRNAを産生するプロセスにおける任意のステージを包含する。
本明細書中で使用される「細胞」には、真核細胞(例えば、動物細胞、植物細胞、及び真菌又は原生生物の細胞)、並びに、原核細胞(例えば、細菌)が挙げられる。一実施態様では、当該細胞は、ヒト細胞である。
本明細書中で使用される用語「対象」は、動物又はヒトのいずれかの対象を意味する。「動物」により、霊長類、家畜動物(ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、及びヤギを含む)、愛玩動物(イヌ、ネコ、ウサギ、及びモルモットを含む)、捕獲性の野生動物(動物園の環境で一般的にみられるものを含む)、及び水生動物(淡水及び海水の動物(例えば、魚及び甲殻類)を含む)が意味される。実験動物(例えば、ウサギ、マウス、ラット、モルモット及びハムスター)も、これらは簡便な実験系を提供するので、意図される。いくつかの実施態様では、当該対象は、ヒト対象である。
複合体又は組成物の対象への「投与」により、対象に移動されうる又は移動される剤又は組成物を示すことが意図される。投与の態様に特に限定は存在しないが、これは、経口、非経口(皮下、皮内、筋肉内、静脈内、髄腔内、及び脊髄内を含む)、吸入(噴霧を含む)、直腸及び膣の態様の経路による。
理論により束縛又は制限されるものではないが、本発明の複合体は、RNAse及び/又はDNAse等の控訴による分解から、核酸分子を保護することが見出されている。したがって、本発明はまた、核酸を酵素分解から保護する方法を提供し、当該方法は、核酸をカチオン性ブロックコポリマーと複合体化することを含み、当該カチオン性ブロックコポリマーは、1つのカチオン性ブロックと2つの親水性ブロック、又は、1つの親水性ブロックと2つのカチオン性ブロック、を含む、少なくとも1つのトリブロック構造を有する。
核酸を細胞に送達するための複合体の使用も提供され、当該複合体は、カチオン性ブロックコポリマーと当該核酸とを含み、当該カチオン性ブロックコポリマーは、1つのカチオン性ブロックと2つの親水性ブロック、又は、1つの親水性ブロックと2つのカチオン性ブロック、を含む、少なくとも1つのトリブロック構造を有する。
本発明は更に、遺伝子発現をサイレンシングするための複合体の使用を提供し、当該複合体は、カチオン性ブロックコポリマーと、DNA及びRNAから選択される核酸とを含み、当該カチオン性ブロックコポリマーは、1つのカチオン性ブロックと2つの親水性ブロック、又は、1つの親水性ブロックと2つのカチオン性ブロック、を含む、少なくとも1つのトリブロック構造を有する。
一実施態様では、当該DNA及びRNAは、gDNA、cDNA、二本鎖又は一本鎖DNAオリゴヌクレオチド、センスRNA、アンチセンスRNA、mRNAs、tRNA、rRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、piwi結合RNA(PiRNA)、マイクロRNA/小分子RNA(miRNA/stRNA)、核小体低分子RNA(SnoRNA)、核内低分子RNA(SnRNA)リボザイム、アプタマー、DNAザイム、リボヌクレアーゼ複合体、ヘアピン二本鎖RNA(ヘアピンdsRNA)、空間的発現を媒介するmiRNA(sdRNA)、ストレス応答RNA(srRNA)、細胞周期RNA(ccRNA)及び二本鎖又は一本鎖RNAオリゴヌクレオチドから選択される。
理論により束縛又は制限されるものではないが、本発明の複合体は、RNAse及び/又はDNAse等の酵素による分解から核酸分子を保護することが見出された。したがって、本発明は、核酸を酵素分解から保護することにおけるカチオン性ブロックコポリマーの使用を提供し、当該カチオン性ブロックコポリマーは、1つのカチオン性ブロックと2つの親水性ブロック、又は、1つの親水性ブロックと2つのカチオン性ブロック、を含む、少なくとも1つのトリブロック構造を有する。
本発明による複合体はまた、核酸を細胞に送達するための及び/又は遺伝子発現をサイレンシングするための、医薬組成物等の組成物の製造に使用されうる。
したがって、本発明はまた、核酸を細胞に送達するための組成物の製造における複合体の使用を提供し、当該複合体は、カチオン性ブロックコポリマーと当該核酸とを含み、当該カチオン性ブロックコポリマーは、1つのカチオン性ブロックと2つの親水性ブロック、又は、1つの親水性ブロックと2つのカチオン性ブロック、を含む、少なくとも1つのトリブロック構造を有する。
本発明は更に、遺伝子発現をサイレンシングするための組成物の製造における複合体の使用を提供し、当該複合体は、カチオン性ブロックコポリマーと、DNA及びRNAから選択される核酸とを含み、当該カチオン性ブロックコポリマーは、1つのカチオン性ブロックと2つの親水性ブロック、又は、1つの親水性ブロックと2つのカチオン性ブロック、を含む、少なくとも1つのトリブロック構造を有する。
カチオン性ブロックコポリマーはまた、核酸を酵素分解から保護することにおいて使用されえ、当該カチオン性ブロックコポリマーは、1つのカチオン性ブロックと2つの親水性ブロック、又は、1つの親水性ブロックと2つのカチオン性ブロック、を含む、少なくとも1つのトリブロック構造を有する。そのような実施態様では、当該カチオン性ブロックコポリマーは、安定化剤として機能するとみられうる。
本発明はまた、本発明の核酸複合体を含む、医薬組成物等の組成物に関する。いくつかの実施態様では、当該組成物は、本発明核酸複合体と、1つ以上の薬学的に許容可能な担体、希釈剤及び/又は賦形剤を含む。
本発明の組成物において、核酸複合体は、典型的には、有効量で投与するように処方される。本明細書中で使用される核酸複合体の用語「有効量」及び「治療有効量」は、典型的には、少なくとも1つの統計学的に有意な数の対象において、所望の治療的又は予防的効果を、治療単位において、提供するのに十分な複合体の量を意味する。所望でない効果(例えば、副作用)が、時々、所望の効果とともに現れるが、故に、実行者は、典型的には、適切な「有効量」は何かを決定することにおいて、可能性のあるリスクに対する可能性のある利益のバランスをとるだろう。必要な正確な量はまた、対象の種、年齢及び一般的状態、投与の態様等に依存して、対象間において変化する。したがって、正確な「有効量」を特定するのはできないかもしれない。しかしながら、任意の個々の場合における適切な「有効量」は、慣用の実験のみを使用して、当業者により決定されうる。
いくつかの実施態様では、ヒト対象への有効量は、約0.1ng/kg体重/一用量〜1g/kg体重/一用量の範囲にある。いくつかの実施態様では、当該範囲は、約1μg〜1g、約1mg〜1g、1mg〜500mg、1mg〜250mg、1mg〜50mg、又は1μg〜1mg/kg体重/一用量である。投薬レジメンは、状況の緊急性に適するように調節され、最適な治療的又は予防的用量を生じるように調節されうる。例えば、数回の用量が、一日ごと、一週間ごと、一ヶ月ごと、又は適切な他の時間間隔で、提供されうる。したがって、トランスフェクションに十分な時間及び条件は、治療的又は予防的有効量を特定することができる医師等の当業者により、決定されうる。
「薬学的に受容可能な」担体、賦形剤、希釈剤により、生物学的でなくさもなくば望ましくないことがない物質;すなわち、いずれの又は実質的な副作用を引き起こすことなく本発明の複合体とともに、対象に投与されうる物質、から構成される薬学的ビヒクルが意味される。担体には、賦形剤及び他の添加剤(例えば、希釈剤、崩壊剤、着色剤、湿潤又は乳化剤、pH緩衝剤、保存剤など)が挙げられうる。
本発明の局面は、感染性疾患、炎症性疾患、又はガンについて、対象を治療する方法を包含し、当該方法は、対象に、本発明による複合体を、又は本発明による薬学的組成物を対象に、投与することを含む。
本発明によるカチオン性ブロックコポリマーは、トランスフェクション剤として機能するのみではなく、送達剤及び安定化剤としても機能することが、有利にも見出された。
本明細書中で使用される用語「アルキル」(単独又は化合物の単語のいずれかで使用される)は、直鎖、分岐又は環状アルキル、好ましくはC1−20アルキル(例えば、C1−10又はC1−6)を示す。直鎖又は分岐鎖アルキルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチル−プロピル、ヘキシル、4−メチルペンチル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、1,2,2−トリメチルプロピル、1,1,2−トリメチルプロピル、ヘプチル、5−メチルヘキシル、1−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、3,3−ジメチルペンチル、4,4−ジメチルペンチル、1,2−ジメチルペンチル、1,3−ジメチルペンチル、1,4−ジメチル−ペンチル、1,2,3−トリメチルブチル、1,1,2−トリメチルブチル、1,1,3−トリメチルブチル、オクチル、6−メチルヘプチル、1−メチルヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ノニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−又は7−メチルオクチル、1−、2−、3−、4−又は5−エチルヘプチル、1−、2−又は3−プロピルヘキシル、デシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−及び8−メチルノニル、1−、2−、3−、4−、5−又は6−エチルオクチル、1−、2−、3−又は4−プロピルヘプチル、ウンデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−又は9−メチルデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−又は7−エチルノニル、1−、2−、3−、4−又は5−プロピルオクチル、1−、2−又は3−ブチルヘプチル、1−ペンチルヘキシル、ドデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−又は10−メチルウンデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−エチルデシル、1−、2−、3−、4−、5−又は6−プロピルノニル、1−、2−、3−又は4−ブチルオクチル、1−2−ペンチルヘプチルなどが挙げられる。環状アルキルの例には、モノ−又はポリ環状アルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシルなどが挙げられる。アルキル基が一般的に「プロピル」、ブチル」等と参照される場合、これは、適切な場合に、直鎖、分岐及び環状異性体のいずれも、参照されうることが理解される。アルキル基は、1つ以上の任意の本明細書中に定義されるような置換基により、置換されていてもよい。
本明細書中で使用される用語「アルケニル」は、上で定義したような、エチレン性モノ−、ジ−又はポリ不飽和アルキル若しくはシクロアルキル基、好ましくは、C2−20アルケニル(例えば、C2−10又はC2−6)を含む、少なくとも1つの炭素間二重結合を含む直鎖、分岐又は環状の炭化水素残基から形成される基を示す。アルケニルの例には、ビニル、アリル、1−メチルビニル、ブテニル、イソ−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、シクロペンテニル、1−メチル−シクロペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、シクロヘキセニル、1−ヘプテニル、3−ヘプテニル、1−オクテニル、シクロオクテニル、1−ノネニル、2−ノネニル、3−ノネニル、1−デセニル、3−デセニル、1,3−ブタジエニル、1,4−ペンタジエニル、1,3−シクロペンタジエニル、1,3−ヘキサジエニル、1,4−ヘキサジエニル、1,3−シクロヘキサジエニル、1,4−シクロヘキサジエニル、1,3−シクロヘプタジエニル、1,3,5−シクロヘプタトリエニル及び1,3,5,7−シクロオクタテトラエニルが挙げられる。アルケニル基は、1つ以上の本明細書中で定義したような任意の置換基で置換されていてもよい。
本明細書中で使用される用語「アルキニル」は、上で定義したような、エチレン性モノ−、ジ−又はポリ不飽和アルキル又はシクロアルキル基を含む、少なくとも1つの炭素間三重を含む、直鎖、分岐又は環状炭化水素残基から形成される基を示す。炭素原子数の数が規定されていなければ、用語は、好ましくはC2−20アルキニル(例えば、C2−10又はC2−6)を示す。例には、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、及びブチニル異性体、及びペンチニル異性体が挙げられる。アルキニル基は、1つ以上の本明細書中で規定したような任意の置換基により、置換されていてもよい。
用語「ハロゲン」(「ハロ」)は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素(フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨード)を示す。
用語「アリール」(又は「カルボアリール」)は、芳香族炭化水素環系(例えば、C6−24又はC6−18)の単環、多環、結合した、及び縮合した残基のいずれかを示す。アリールの例には、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、クォーターフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、アントラセニル、ジヒドロアントラセニル、ベンズアントラセニル、ジベンズアントラセニル、フェナントレニル、フルオレニル、ピレニル、イデニル、アズレニル、クリセニルが挙げられる。好ましいアリールには、フェニル及びナフチルが挙げられる。アリール基は、1つ以上の本明細書中で規定したような任意の置換基で置換されていても置換されていなくてもよい。用語「アリーレン」は、アリールの二価の形態を示すことが意図される。
用語「カルボシクリル」は、非芳香族単環式、多環式、縮合、結合炭化水素残基(好ましくはC3−20(例えば、C3−10又はC3−8)のいずれも包含する。環は、飽和(例えば、シクロアルキル)していても、1つ以上の二重結合(シクロアルケニル)及び/又は1つ上の三重結合(シクロアルキニル)を有していてもよい。特に好ましいカルボシクリル部分は、5−6員又は9−10員環系である。適切な例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキサジエニル、シクロオクタテトラエニル、インダニル、デカリニル、及びインデニルが挙げられる。カルボシクリル基は、1つ以上の本明細書中で規定されたような任意の置換基で置換されていてもよい。用語「カルボシクリレン」は、カルボシクリルの二価の形態を示す。
その最も広い意味で本明細書中で使用される用語「ヘテロ原子」又は「ヘテロ」は、環状有機基の一員でありうる炭素原子以外の任意の原子を示す。ヘテロ原子の特定の例には、窒素、酸素、イオウ、リン、ホウ素、ケイ素、セレン、テルル、より好ましくは、窒素、酸素及びイオウが挙げられる。
単独又は化合物の単語で使用される場合用語「ヘテロシクリル」は、1つ以上の炭素原子が、非芳香族残基を提供するように、ヘテロ原子により置き換えられた単環式、多環式、縮合、結合、炭化水素残基(好ましくは、C3−20(例えば、C3−10又はC3−8)のいずれをも包含する。適切なヘテロ原子には、O、N、S、P及びSe、特に、O、N及びSが挙げられる。2つ以上の炭素原子が置き換えられている場合、これは、2つ以上の同じヘテロ原子により又は異なるヘテロ原子によるものでありうる。ヘテロシクリル基は、飽和又は部分的に不飽和(すなわち、1つ以上の二重結合を有する。)でありうる。特に好ましいヘテロシクリルは、5−6及び9−10員のヘテロシクリルである、ヘテロシクリル基の適切な例には、アジリジニル、オキシラニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、2H−ピロリル、ピロリジニル、ピロリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、インドリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、チオモルホリニル、ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピロリル、テトラヒドロチオフェニル、ピラゾリニル、ジオキサラニル、チアゾリジニル、イソキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、ジヒドロピラニル、オキサジニル、チアジニル、チオモルホリニル、オキサチアニル、ジチアニル、トリオキサニル、チアジアジニル、ジチアジニル、トリチアニル、アゼピニル、オキセピニル、チエピニル、インデニル、インダニル、3H−インドリル、イソインドリニル、4H−キノラジニル、クロメニル、クロマニル、イソクロマニル、ピラニル及びジヒドロピラニルが挙げられうる。ヘテロシクリル基は、1つ以上の本明細書中で規定したような置換基により置換されていてもよい。用語「ヘテロシクリレン」は、ヘテロシクリルの三価の形態を示すことが意図される。
用語「ヘテロアリール」は、単環式、多環式、縮合又は結合炭化水素残基のいずれをも包含し、ここで、1つ以上の炭素原子が、芳香族残基を提供するように、ヘテロ原子により置き換えられている。好ましいヘテロアリールは、3〜20個の環原子(例えば、3〜10個)を有する。特に好ましいヘテロアリールは、5−6及び9−10員の二環式環系である。適切なヘテロ原子には、O、N、S、P及びSe、特にO、N及びSが挙げられる。2つ以上の炭素原子が置き換えられている場合、これは、2つ以上の同じヘテロ原子によるものであるか、異なる2つのヘテロ原子によるものでありうる。ヘテロアリール基の適切な例には、ピリジル、ピロリル、チエニル、イミダゾリニル、フラニル、ベンゾチエニル、イゾベンゾチエニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、1,5−ナフチリジニル、キノザリニル、キナゾリニル、キノリニル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、オキサトリアゾリル、トリアジニル、及びフラザニルが挙げられうる。ヘテロアリール基は、1つ以上の本明細書中で規定したような任意の置換基で置換されていてもよい。用語「ヘテロアリーレン」は、ヘテロアリールの二価の形態を示すことが意図される。
単独又は化合物の単語においてのいずれかの用語「アシル」は、部分C=O(カルボン酸、エステル又はアミドではない)を含む基を示す。好ましいアシルには、C(O)−Re(ここで、Reは水素又はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、又はヘテロシクリル残基である)が挙げられる。アシルの例には、ホルミル、直鎖又は分岐アルカノイル(例えばC1−20)、例えば、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、2−メチルプロパノイル、ペンタノイル、2,2−ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル、ノナデカノイル及びイコサノイル;シクロアルキルカルボニル、例えば、シクロプロピルカルボニル シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル及びシクロヘキシルカルボニル;アロイル、例えば、ベンゾイル、トルオイル及びナフトイル;アラルカノイル、例えば、フェニルアルカノイル(例えば、フェニルアセチル、フェニルプロパノイル、フェニルブタノイル、フェニルイソブチリル、フェニルペンタノイル及びフェニルヘキサノイル)及びナフチルアルカノイル(例えば、ナフチルアセチル、ナフチルプロパノイル及びナフチルブタノイル];アラルケノイル、例えば、フェニルアルケノイル(例えば、フェニルプロペノイル、フェニルブテノイル、フェニルメタクリロイル、フェニルペンテノイル及びフェニルヘキセノイル及びナフチルアルケノイル(例えば、ナフチルプロペノイル、ナフチルブテノイル及びナフチルペンテノイル);アリールオキシアルカノイル、例えば、フェノキシアセチル及びフェノキシプロピオニル;アリールチオカルバモイル、例えば、フェニルチオカルバモイル;アリールグリオキシロイル、例えば、フェニルグリオキシロイル及びナフチルグリオキシロイル;アリールスルホニル、例えば、フェニルスルホニル及びナフチルスルホニル(napthylsulfonyl);ヘテロ環式カルボニル;ヘテロ環式アルカノイル、例えば、チエニルアセチル、チエニルプロパノイル、チエニルブタノイル、チエニルペンタノイル、チエニルヘキサノイル、チアゾリルアセチル、チアジアゾリルアセチル及びテトラゾリルアセチル;ヘテロ環式アルケノイル、例えば、ヘテロ環式プロペノイル、ヘテロ環式ブテノイル、ヘテロ環式ペンテノイル及びヘテロ環式ヘキセノイル;及びヘテロ環式グリオキシロイル、例えば、チアゾリルグリオキシロイル(thiazolyglyoxyloyl)及びチエニルグリオキシロイル、が挙げられる。Re残基は、本明細書中に記載したように置換されていてもよい。
用語「スルホキシド」(単独又は化合物の単語においてのいずれかで)は、基−S(O)Rf(ここで、Rfは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、カルボシクリル、及びアラルキルから選択される。)を示す。好ましいRfの例には、C1−20アルキル、フェニル及びベンジルが挙げられる。
用語「スルホニル」(単独又は化合物の単語におけるいずれかで)は、基S(O)2−Rf(ここで、Rfは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、カルボシクリル及びアラルキルから選択される。)を示す。好ましいRfの例には、C1−20アルキル、フェニル及びベンジルが挙げられる。
用語「スルホンアミド」(単独又は化合物の単語におけるいずれかで)は、基S(O)NRfRf(ここで、各Rfは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、カルボシクリル及びアラルキルから独立して選択される。)を示す。好ましいRfの例には、C1−20アルキル、フェニル及びベンジルが挙げられる。一実施態様では、少なくとも1つのRfは水素である。別の実施態様では、両方のRfは水素である。
用語「アミノ」は、当該分野で理解されるようにその最も広い意味で本明細書中で使用され、式NRaRbの基(ここで、Ra及びRbは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、カルボシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリールアルキル及びアシルから任意に独立して選択されうる。)を包含する。Ra及びRbはまた、それらが結合する窒素原子と一緒になって、単環式又は多環式系(例えば、3−10員環、特に5−6及び9−10員系)も形成しうる。「アミノ」の例には、NH2、NHアルキル(例えば、C1−20アルキル)、NHアリール(例えば、NHフェニル)、NHアラルキル(例えば、NHベンジル)、NHアシル(例えば、NHC(O)C1−20アルキル、NHC(O)フェニル)、Nアルキルアルキル(ここで、各アルキル(例えば、C1−20)は同じでも異なっていてもよい)及び5又は6員環(1つ以上の同じ又は異なるヘテロ原子(例えば、O、N及びS)を含んでいてもよい。)が挙げられる。
用語「アミド」は、当該分野で理解されるようにその最も広い意味で本明細書中で使用され、式C(O)NRaRbを有する基(ここで、R及びRbは、上で定義したとおりである。)を包含する。アミドの例には、C(O)NH2、C(O)NHアルキル(例えば、C1−20アルキル)、C(O)NHアリール(例えば、C(O)NHフェニル)、C(O)NHアラルキル(例えば、C(O)NHベンジル)、C(O)NHアシル(例えば、C(O)NHC(O)C1−20アルキル、C(O)NHC(O)フェニル)、C(O)Nアルキルアルキル(ここで、各アルキル(例えば、C1−20)は同一でも異なっていてもよい。)及び5又は6員環(1つ以上の同じ又は異なるヘテロ原子(例えば、O、N及びS)を含んでいてもよい。)が挙げられる。
用語「カルボキシエステル」は、当該分野で使用されるようにその最も広い意味で本明細書中で使用され、式CO2Rgを有する基(ここで、Rgは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、カルボシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキル、及びアシルを含む群から選択されうる。)を包含する。カルボキシエステルの例には、CO2C1−20アルキル、CO2アリール(例えば、CO2フェニル)、CO2アラルキル(例えば、CO2ベンジル)が挙げられる。
本明細書中で使用される用語「アリールオキシ」は、酸素ブリッジを介して結合した「アリール」基を示す。アリールオキシ置換基の例には、フェノキシ、ビフェニルオキシ、ナフチルオキシなどが挙げられる。
本明細書中で使用される用語「アシルオキシ」は、次に酸素原子を介して結合した「アシル」基を示す。「アシルオキシ」の例には、ヘキシルカルボニルオキシ(ヘプタノイルオキシ)、シクロペンチルカルボニルオキシ、ベンゾイルオキシ、4−クロロベンゾイルオキシ、デシルカルボニルオキシ(ウンデカノイルオキシ)、プロピルカルボニルオキシ(ブタノイルオキシ)、オクチルカルボニルオキシ(ノナノイルオキシ)、ビフェニルカルボニルオキシ(例えば、4−フェニルベンゾイルオキシ)、ナフチルカルボニルオキシ(例えば、1−ナフトイルオキシ)などが挙げられる。
本明細書中で使用される用語「アルキルオキシカルボニル」は、カルボニル基を介して結合した「アルキルオキシ」基を示す。「アルキルオキシカルボニル」基の例には、ブチルホルメート、sec−ブチルホルメート、ヘキシルホルメート、オクチルホルメート、デシルホルメート、シクロペンチルホルメートなどが挙げられる。
本明細書中で使用される用語「アリールアルキル」は、芳香族環で置換された直鎖又は分岐鎖アルカンから形成される基を示す。アリールアルキルの例には、フェニルメチル(ベンジル)、フェニルエチル及びフェニルプロピルが挙げられる。
本明細書中で使用される用語「アルキルアリール」は、直鎖又は分岐アルカンで置換されたアリール基から形成される基を示す。アルキルアリールの例には、メチルフェニル及びイソプロピルフェニルが挙げられる。
この明細書において、「置換されていてもよい」は、1つ、2つ、3つ、又はより多くの有機又は無機の基で、基が、置換又は縮合(縮合多環式基を形成するように)されていてもいなくてもよいことを意味するように解され、有機又は無機の基は、以下から選ばれるものが含まれる:アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アシル、アラルキル、アルカリール、アルクヘテロシクリル、アルクヘテロアリール、アルクカルボシクリル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロアリール、ハロカルボシクリル、ハロヘテロシクリル、ハロヘテロアリール、ハロアシル、ハロアラルキル(haroaryalkyl)、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルケニル、ヒドロキシアルキニル、ヒドロキシカルボシクリル、ヒドロキシアリール、ヒドロキシヘテロシクリル、ヒドロキシヘテロアリール、ヒドロキシアシル、ヒドロキシアラルキル、アルコキシアルキル、アルコキシアルケニル、アルコキシアルキニル、アルコキシカルボシクリル、アルコキシアリール、アルコキシヘテロシクリル、アルコキシヘテロアリール、アルコキシアシル、アルコキシアラルキル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、カルボシクリルオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、アシルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ハロアルキニルオキシ、ハロアリールオキシ、ハロカルボシクリルオキシ、ハロアラルキルオキシ、ハロヘテロアリールオキシ、ハロヘテロシクリルオキシ、ハロアシルオキシ、ニトロ、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロアリール、ニトロヘテロシクリル、ニトロヘテロアリール(nitroheteroayl)、ニトロカルボシクリル、ニトロアシル、ニトロアラルキル、アミノ(NH2)、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アラルキルアミノ、ジアラルキルアミノ、アシルアミノ、ジアシルアミノ、ヘテロシクリルアミノ(heterocyclamino)、ヘテロアリールアミノ、カルボキシ、カルボキシエステル、アミド、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルフェニルオキシ、アルキルスルフェニル、アリールスルフェニル、チオ、アルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、カルボシクリルチオ、ヘテロシクリルチオ、ヘテロアリールチオ、アシルチオ、スルホキシド、スルホニル、スルホンアミド、アミノアルキル、アミノアルケニル、アミノアルキニル、アミノカルボシクリル、アミノアリール、アミノヘテロシクリル、アミノヘテロアリール、アミノアシル、アミノアラルキル、チオアルキル、チオアルケニル、チオアルキニル、チオカルボシクリル、チオアリール、チオヘテロシクリル、チオヘテロアリール、チオアシル、チオアラルキル、カルボキシアルキル、カルボキシアルケニル、カルボキシアルキニル、カルボキシカルボシクリル、カルボキシアリール、カルボキシヘテロシクリル、カルボキシヘテロアリール、カルボキシアシル、カルボキシアラルキル、カルボキシエステルアルキル、カルボキシエステルアルケニル、カルボキシエステルアルキニル、カルボキシエステルカルボシクリル、カルボキシエステルアリール、カルボキシエステルヘテロシクリル、カルボキシエステルヘテロアリール、カルボキシエステルアシル、カルボキシエステルアラルキル、アミドアルキル、アミドアルケニル、アミドアルキニル、アミドカルボシクリル、アミドアリール、アミドヘテロシクリル、アミドヘテロアリール、アミドアシル、アミドアラルキル、ホルミルアルキル、ホルミルアルケニル、ホルミルアルキニル、ホルミルカルボシクリル、ホルミルアリール、ホルミルヘテロシクリル、ホルミルヘテロアリール、ホルミルアシル、ホルミルアラルキル、アシルアルキル、アシルアルケニル、アシルアルキニル、アシルカルボシクリル、アシルアリール、アシルヘテロシクリル、アシルヘテロアリール、アシルアシル、アシルアラルキル、スルホキシドアルキル、スルホキシドアルケニル、スルホキシドアルキニル、スルホキシドカルボシクリル、スルホキシドアリール、スルホキシドヘテロシクリル、スルホキシドヘテロアリール、スルホキシドアシル、スルホキシドアラルキル、スルホニルアルキル、スルホニルアルケニル、スルホニルアルキニル、スルホニルカルボシクリル、スルホニルアリール、スルホニルヘテロシクリル、スルホニルヘテロアリール、スルホニルアシル、スルホニルアラルキル、スルホンアミドアルキル、スルホンアミドアルケニル、スルホンアミドアルキニル、スルホンアミドカルボシクリル、スルホンアミドアリール、スルホンアミドヘテロシクリル、スルホンアミドヘテロアリール、スルホンアミドアシル、スルホンアミドアラルキル、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロカルボシクリル、ニトロアリール、ニトロヘテロシクリル、ニトロヘテロアリール、ニトロアシル、ニトロアラルキル、シアノ、スルフェート、ホスフェート、トリアリールメチル、トリアリールアミノ、オキサジアゾール、及びカルバゾール基。任意の置換はまた、鎖又は環における−CH2−基が、−O−、−S−、−NRa−、−C(O)−(すなわち、カルボニル)、−C(O)O−(すなわち、エステル)、及び−C(O)NRa−(すなわち、アミド)(ここで、Raは上で定義したとおりである。)から選択される基により置き換えられる場合も示すと解されうる。
好ましい任意の置換基には、アルキル、(例えば、C1−6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル)、ヒドロキシアルキル(例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル)、アルコキシアルキル(例えば、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシメチル、エトキシエチル、エトキシプロピルなど) アルコキシ(例えば、C1−6アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、シクロプロポキシ、シクロブトキシ)、ハロ、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリブロモメチル、ヒドロキシ、フェニル(これ自体、例えば、C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロOC(O)C1−6アルキル、及びアミノにより更に置換されていてもよい。)、ベンジル(ここで、ベンジル自体、例えば、C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロ OC(O)C1−6アルキル、及びアミノによりさらに置換されていてもよい。)、フェノキシ(ここで、フェニル自体、例えば、C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロ OC(O)C1−6アルキル、及びアミノにより更に置換されていてもよい)、ベンジルオキシ(ここで、ベンジル自体、例えば、C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロ OC(O)C1−6アルキル、及びアミノにより更に置換されていてもよい)、アミノ、アルキルアミノ(例えば、C1−6アルキル、例えばメチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノなど)、ジアルキルアミノ(例えば、C1−6アルキル、例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ)、アシルアミノ(例えば、NHC(O)CH3)、フェニルアミノ(ここで、フェニル自体、例えば、C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロ OC(O)C1−6アルキル、及びアミノにより更に置換されていてもよい。)、ニトロ、ホルミル、−C(O)−アルキル(例えば、C1−6アルキル、例えば、アセチル)、O−C(O)−アルキル(例えば、C1−6アルキル、例えば、アセチルオキシ)、ベンゾイル(ここで、フェニル基自体、例えば、C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロ OC(O)C1−6アルキル及びアミノにより更に置換されていてもよい。);C=O、CO2H、CO2アルキル(例えば、C1−6アルキル、例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル)、CO2フェニル(ここで、フェニル自体、例えば、C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシルC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロ OC(O)C1−6アルキル、及びアミノにより更に置換されていてもよい。)、CONH2、CONHフェニル(ここで、フェニル自体、例えば、C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシルC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロ OC(O)C1−6アルキル及びアミノにより更に置換されていてもよい)、CONHベンジル(ここで、ベンジル自体、C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシヒドロキシルC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロ OC(O)C1−6アルキル、及びアミノにより更に置換されていてもよい。)、CONHアルキル(例えば、C1−6アルキル、例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルアミド) CONHジアルキル(例えば、C1−6アルキル) アミノアルキル(例えば、HNC1−6アルキル−、C1−6アルキルHN−C1−6アルキル−及び(C1−6アルキル)2N−C1−6アルキル−)、チオアルキル(例えば、HSC1−6アルキル−)、カルボキシアルキル(例えば、HO2CC1−6アルキル−)、カルボキシエステルアルキル(例えば、C1−6アルキルO2CC1−6アルキル−)、アミドアルキル(例えば、H2N(O)CC1−6アルキル−、H(C1−6アルキル)N(O)CC1−6アルキル−)、ホルミルアルキル(例えば、OHCC1−6アルキル−)、アシルアルキル(例えば、C1−6アルキル(O)CC1−6アルキル−)、ニトロアルキル(例えば、O2NC1−6アルキル−)、スルホキシドアルキル(例えば、R(O)SC1−6アルキル、例えば、C1−6アルキル(O)SC1−6アルキル−)、スルホニルアルキル(例えば、R(O)2SC1−6アルキル−、例えば、C1−6アルキル(O)2SC1−6アルキル−)、スルホンアミドアルキル(例えば、2HRN(O)SC1−6アルキル、H(C1−6アルキル)N(O)SC1−6アルキル−)、トリアリールメチル、トリアリールアミノ、オキサジアゾール、及びカルバゾールによるCH2の置き換えが、挙げられる。
ここで、本発明を、以下の非限定的実施例を参照して記載する。
実施例1
原料
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)及びオリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(OEGMA475、Mnおよそ475gmol−1)モノマーは、Aldrichから購入し、ヒドロキノン又はヒドロキノンモノメチルエーテル用の阻害剤除去剤(Aldrich)の存在下、使用前に30分間撹拌することによって精製した。ビス−RAFT剤、4−シアノ−4−(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)ペンタノイルオキシ)ブチル4−シアノ−4−(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)ペンタノエート(I)を、以下に記載する手順に従って調製した。1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(VAZO−88)開始剤(DuPont)を受け取ったまま使用した。N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(ARグレード、Merck)を、使用前少なくとも15分間窒素パージ(sparging)することにより、脱気した。ジクロロメタン(DCM)、n−ヘプタン、ジイソプロピルエーテル、ヨウ化メチル及びメタノール及び他の化学薬品は、市販の試薬であり、更に精製することなく使用した。
方法
ビス−RAFT剤:4−シアノ−4(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)ペンタノイルオキシ)ブチル4−シアノ−4−(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)ペンタノエート:C42H72N2O4S6;MW861.42
ジクロロメタン(60mL)及びDMAP(N,N−ジメチルアミノピリジン、触媒量)中の、(S)−4−シアノ−4−(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)ペンタン酸(8.1g、20.1mmol)、1,4−ブタンジオール(0.9g、10mmol)、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド、4.95g、24.0mmol)を、1時間室温で撹拌させた。溶媒の除去後、粗反応混合物を、酢酸エチル:n−ヘキサン 2:5(v/v)を溶出液として用いたシリカゲルカラムのカラムクロマトグラフィーにより、精製して、表題生成物(6.2g、収率72%)を黄色オイルとして得、これを冷蔵庫で固化した。プロトン核磁気共鳴(1H NMR)(CDCl3)(ppm) 0.89 (t, 6H, 2×CH3); 1.27 (br s, 36H); 1.72 (m, 4H); 1.90 (s, 6H, 2×CH3); 2.40−2.80 (m, 8H, 2×CH2CH2); 3.38 (t, 4H, 2×CH2S); 4.15 (t, 4H, 2×CH2O).
工程1:ポリ(N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート)(PDMAEMA)テレケリックマクロRAFT剤の合成及びキャラクタリゼーション:
典型的な重合実験においては、786mgのDMAEMAモノマー(5.00×10−3mol)、0.66mgのVAZO−88開始剤(2.70×10−6mol)、及び53.84mgのビス−RAFT剤(6.25×10−5mol)及び621mgのDMF(8.49×10−3mol)を、以下のように、自動パラレル合成装置(Chemspeed Swing−SLT)の13mLのガラス反応容器中で、一緒に混合した。DMAEMA(モノマー)に溶解したVAZO−88(開始剤)及びDMFに溶解したビス−RAFT剤のストック溶液を調製し、使用前少なくとも15分間窒素パージすることにより脱気した。これらのストック溶液を、その自動化された液体ハンドリングシステムを用いて、上記の試薬量を達するために、パラレル合成装置の反応容器の1つに、添加して合わせた。反応容器中ですぐに、パラレル合成装置において、反応混合物を、−90℃と−10℃との間の(各サイクル2分間、10mbarの減圧)3回の冷凍−ポンプ−解凍サイクルに供した。
その後、反応混合物を90℃まで12.5時間加熱した。達成されたモノマーからポリマーへの変換は、PDMAEMAポリマーの反復ユニットの−CH2プロトンに関するδ3.9−4.2ppm領域のピークのものと、DMAEMAモノマーの−CH2プロトンに対応するδ4.2−4.3ppm領域の共鳴ピークの積分を比較することにより、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)(重水素クロロホルム(CDCl3)中)により決定されたように、92%であった。次いで、変換を、以下の等式を用いて計算した:%モノマー変換=[I3.9/(I4.3+I3.9)]×100;ここで、I4.3及びI3.9は、DMAEMAモノマーの及びPDMAEMAポリマーのそれぞれの−CH2プロトンについての整数値である。ポリマーの数平均分子量(Mn)は、ポリスチレン標準に対するゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)により決定されるように、18637Da(1.17の多分散指数(PDI))であった。
工程2:ポリ(オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート−ブロック−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート−ブロック−オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート)(P(OEGMA475−b−DMAEMA−b−OEGMA475)の合成及びキャラクタリゼーション:
ABAトリブロックコポリマーを調製するために2つの方法を用いた。最初の方法(方法A)においては、工程1の最後の生成物を、OEGMA475と共重合するために直接用いた。この方法では、存在する未反応のDMAEMAが、準トリブロックコポリマーを産生するOEGMA475とランダムに共重合される。二番目の方法(方法B)では、第2のモノマーを共重合する前に、未反応のDMAEMAを完全に除去した。この場合、産生されるトリブロックコポリマーは、それぞれDMAEAM及びOEGMA475の純粋なホモポリマーブロックを有する。
方法A
工程1からのポリマー溶液(ポリ(N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート)(PDMAEMA)ホモポリマー(テレケリックマクロRAFT剤))を、以下のように自動パラレル合成装置(Chemspeed Swing−SLT)の13mLのガラス反応容器中で、950mgのOEGMA475(2.00×10−3mol)及び0.66mgのVAZO−88開始剤(2.70×10−6mol)と混合した。OEGMA475(モノマー)に溶解したVAZO−88(開始剤)及びDMF(溶媒)に溶解したテレケリックマクロRAFT剤のストック溶液を、調製し、使用前少なくとも15分間窒素パージすることにより脱気した。これらのストック溶液を、上記の試薬量を達するために、その自動液体ハンドリングシステムを用いて、パラレル合成装置の反応器の1つに添加し、合わせた。反応容器中ですぐに、反応混合物を、パラレル合成装置において、−90℃と−10℃との間の(各サイクル2分間の10mbarの吸引)3回の冷凍−ポンプ−解凍サイクルに供した。このアプローチから得られた物質は、準トリブロックコポリマー(工程1の残存モノマーが除去されていないので)として知られる高分子構造を有することが予測される。ポリマー422−3(表1参照)を、この方法に従い調製した。
方法B
重合工程1から得られた反応混合物を、DCMで希釈し、ポリマーを、n−ヘプタン中に混合物を滴下することによって調製した。析出したポリマーを溶液の残りからデカントした。この後者の手順を2回行った。最終工程では、ポリマーを、重量が一定になるまで、40℃で減圧下乾燥した。乾燥したポリマー(PDMAEMAホモポリマー(テレケリックRAFT剤))を、2638mgのDMF(3.61×10−2mol)に再溶解した。OEGMA475(モノマー)に溶解したVAZO−88(開始剤)をこの後者の溶液に添加し、準トリブロックコポリマーの合成について上記したものと同様の条件に曝した。このアプローチから得られた物質は、トリブロックコポリマー(工程1における重合の残存モノマーは、説明した析出手順により除去されたので)として知られる高分子構造を有することが予測される。ポリマー1125(表1参照)は、この方法を用いて調製した。
工程2(方法A及びB)におけるすべてのケースの反応混合物を、90℃まで6時間加熱した。達成されたモノマーからポリマーへの変換は、1H−NMR(CDCl3中;DMAEMAの重合について上で説明したのと同様の手順に従った)により決定されたように、78%だった。
トリブロックコポリマーの精製:工程2(方法A及びB)後の重合された反応混合物を、DCMで希釈し、ポリマーを、ジイソプロピルエーテル中に混合物を滴下することによって、析出させた。析出したポリマーを、溶液の残りからデカントした。この後者の手順を2回行った。最後の工程では、ポリマーを重量が一定になるまで減圧下で乾燥した。ポリマー性物質の更なる精製を、3日間MilliQ水に対して透析(3500の分子量カットオフ、Spectra Por, Spectrum Medical Industries, Inc., Houston, Tx)することにより、行った。透析後、ロータリーエバポレーター(Rotovapor Evaporator)中で、ポリマー水溶液から水を除去した。
四級化:ポリマーをDCMに再溶解し、過量のヨウ化メチルをこの溶液に添加し、トリブロックコポリマーのPDMAEMAブロック三級アミノ基の四級化を達成するために、2時間室温で撹拌した。最終工程では、DCM及び過量のヨウ化メチルをロータリーエバポレーターで除去した。ポリマーを更に、40℃で24時間減圧下で乾燥した。
異なるモノマー供給比率を用いるが同様の手順を使用することによって、カチオン性(PDMAEMA)及び親水性(P(OEGMA475))ブロックの両方の異なる長さを有するいくつかのトリブロックコポリマーを、調製した。ポリマーサンプル422−1 422−2、1007−1、1007−2及び1007−3は、工程2における方法Aを用いて調製した(表1参照)。
トリブロックコポリマーの一般的化学構造(A)を以下に示す。一方、表1は、調製したブロックコポリマーのシリーズの分子量及びブロック長を要約している。
キャラクタリゼーション方法
GPC測定を、CMB−20Aコントローラーシステム、SIL−20A HTオートサンプラー、LC−20ATタンデムポンプシステム、DGU−20A脱気ユニット、CTO−20ACカラムオーブン、RDI−10A屈折率検出器、及び70℃のPL Rapide(Varian)カラムを備え付けた、Shimadzuシステム上で行った。N,N−ジメチルアセトアミド(2.1gL−1の塩化リチウム(LiCl)を含む)を、流速1mLmin−1で溶出液として用いた。報告した分子量は、ポリスチレン標準に対するものである。
1H−NMR(400MHz)スペクトルを、CDCl3中又は重水素オキシド(D2O)中のいずれかで、25℃で、Bruker Av400スペクトロメーターを用いて記録した。
異なる細胞株に対する、実施例1で調製したRAFTブロックコポリマーの毒性の評価
材料
細胞:緑色蛍光タンパク質を構成的に発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO−GFP)(K.Wark;CSIRO CMHT オーストラリアから快く受託)を、10%ウシ胎児血清、10mM Hepes、0.01%ペニシリン、及び0.01%ストレプトマイシンを補充したMEMα改変物中で、5% CO2、37℃で増殖させ、1週間毎に2回サブクローニングした。
ヒト胎児腎細胞(HEK293)細胞を、10%ウシ胎児血清、10mM Hepes、2mMグルタミン、0.01%ペニシリン、及び0.01%ストレプトマイシンを補充したRPMI1640中で、5% CO2、37℃で増殖させ、1週間毎に2回サブクローニングした。
毒性アッセイ:CHO−GFP及びHEK293細胞を、96ウェル組織培養プレートにおいて、1ウェルあたり3×104細胞で播種し、5% CO2、37℃で一晩増殖させた。
RAFTブロックコポリマーサンプルを、各サンプルについて、96ウェル培養プレート中の3つのウェルに添加し、200μl標準培地中で72時間インキュベートした。製造業者の使用説明書にしたがってAlamar Blue試薬(Invitrogen USA)を用いて、毒性を測定した。要約すると、培地を除去し、10% Alamar Blue試薬を含有する100μlの標準培地と交換し、次いで、細胞を5% CO2、37℃で4時間インキュベートした。アッセイは、EL808吸光マイクロプレートリーダーで(BIOTEK,USA)540nm及び620nmで解析した。細胞生存度を、540nm測定値から620nm測定値を差し引くことにより決定した。結果を、未処置細胞の百分率として提示する。図1は、CHO−GFP及びHEK293T細胞で試験した場合のブロックコポリマーの細胞生存度の結果を示す。
このポリマーの毒性を、siRNAを会合させずに、2つの細胞株で調査した。CHO−GFP細胞は、速く増殖する頑強な(robust)細胞株であり、一方、HEK293T細胞は、トランスフェクションにより感受性である。様々な範囲のポリマー濃度を解析したところ、他の知見と同様に、分子が含んでいたDMAEMA及びそれ故、正の荷電がより多いと、見かけ上より高い毒性が観察された(図2)。受容可能な毒性レベルを、CHO−GFP細胞及びHEK293T細胞の両方において60%を超える細胞が生存することであるとみなした。同様のDMAEMAブロック長を有するCHO−GFP細胞422−3及び1007−2は、0.25mg/mlの濃度で毒性であり、0.0625mg/mlでは非毒性になり、一方、422−1及び1007−1は、0.25mg/mlを超えても非毒性であった。HEK293T細胞では、0.005mg/mlにて、422−1及び1007−1は非毒性であったが、113の長さを超えるDMAEMAブロックを有する全てのポリマー(422−3、1007−2及び1007−3)は、HEK293T細胞では0.05mg/mlで毒性であった。0.05mg/mlは、6:1のポリマー対50nM si22のモル濃度比に対応する。これは、使用した標準的なサイレンシング濃度をCHO−GFP細胞では非毒性にするが、HEK293T細胞では毒性にする。
実施例3
合成siRNA及びDNAオリゴヌクレオチド:抗GFP siRNAを、QIAGEN(USA)から入手した。抗GFP siRNA配列は、センス 5’ gcaagcugacccugaaguucau 3’(配列番号1)、及びアンチセンス 5’gaacuucagggucagcuugccg 3’(配列番号2)であり、si22と称される。
抗GFP siRNA配列に対応するDNAオリゴヌクレオチドを、Geneworks(South Australia)から購入し、di22として識別した。等モル量のオリゴヌクレオチドを組み合わせることによりオリゴヌクレオチドをアニールさせ、95℃へと10分間加熱し、徐々に室温に冷却した。これらを、npサイレンシング効果を有するネガティブコントロールとして用いた。
ポリマー/siRNA複合体の形成:50nM siRNA又はsiDNAに対するポリマー(表1を参照)のモル濃度比を算出した。OPTIMEM培地(Invirogen,USA)のエッペンドルフチューブへの添加により、複合体を形成させた。水中に再懸濁されるポリマーの必要量を、チューブに添加し、混合物をボルテックスした。次いで、50nMのsi22又はdi22を、チューブに添加して、サンプルをボルテックスした。複合体化を室温で1時間継続させた。
アガロースゲル電気泳動:ポリマーが50nM siRNAに対して異なるモル濃度比にあるサンプルを、TBE中の2%アガロースゲルで、100Vにて40分間電気泳動した。siRNAを、カメラ付きUVトランスイルミネーターでゲルレッド(Jomar Bioscience)により可視化し、画像をGeneSnapプログラム(Syngene,USA)により記録した。
以前の研究は、50nMのsi22が、アガロースゲルでの可視化に十分であること、及びコントロールであるリポフェクタミン2000トランスフェクションによる、CHO−GFP細胞における80%のEGFPシグナルの抑制(silence)に十分であることを示した(データ示さず)。したがって、この量のsi22を用いて、ポリマーがsiRNAに結合し、CHO−GFP細胞におけるEGFP発現を抑制する能力を決定した。1:1〜7:1までの範囲にわたるポリマー対si22のモル濃度比を、各ポリマーについて処方した。これは、毒性限界未満のポリマーレベルが使用されることを保証するためである。これらのサンプルを電気泳動に供し、siRNAと会合する能力の差異を観察した(図2:422−3)。予測された22nt移動からいかなる有意な程度にもゲルに進入し得ないsiRNAのシフトにより、siRNAの会合を決定した。59を超えるDMAEMA長を有する全ての準ABAトリブロックポリマーは、1:1又は2:1のモル濃度比にてsiRNAに完全に結合することができた。38という最短のBブロック長を有する422−1は、有意な複合体形成を示す5:1のモル濃度比に対応する4:3のN/P比を必要とするsiRNAと最小の親和性を有した。興味深いことに、ポリマーは、同じN/Pでさえも異なる結合親和性を示し、例えば、2.7のN/P比では、422−1は、siRNAに完全に結合することができず、一方、他の準ABAトリブロックポリマーの大部分は、siRNAに完全に結合することができた。
ポリマーsiRNA複合体のサイズを、DLSにより決定した(実施例4を参照)。
実施例4
動的光散乱(DLS)及びゼータ電位測定:i)632.8nmで作動する22mW He−Neレーザーを備えるMalvern−Zetasizer Nano Series DLS検出器、高い量子効率を有するアバランシェ(avalanche)光ダイオード検出器、及びALV/LSE―5003多重
外1
デジタル相関器エレクトロニクスシステムを採用した動的光散乱実験を介して、siRNA/ブロックコポリマー複合体の水力学的直径(DH)を得た。サンプルを、3500nMのトータルsiRNA濃度で調製したところ、1.0のN/P比を維持しつつ、0.5mg/mLという容量あたりの総質量(即ち、1mlあたりブロックコポリマー質量+siRNA質量)を含有していた。ダストを除去するため、DLSを介したキャラクタリゼーションの前に、サンプルを14000rpmで10分間遠心分離した。全てのDH測定を、25℃にて三連で行い、複合体のサイズを、未複合体化ブロックコポリマー及び純粋なsiRNAのものと比較した。
Malvern−Zetasizerにおける標準的なディスポーザブルゼータ電位フローセルにおける自動設定を用いて、ゼータ電位をHEPES緩衝液中で測定した。電場中での粒子の移動度(電気泳動の移動度)及びサンプルにおける粒子サイズ分布の測定から、ゼータ電位を算出した。
注釈:*DLS測定は、2峰性の粒子サイズ分布を示したところ、報告した値は、粒子のほぼ99%を構成したより小さなサイズ範囲についてのものである。他のフラクション中の粒子(およそ1%)は、93〜280nmの範囲内にある。
実施例5
サイレンシングアッセイ
CHO−GFP細胞を、96ウェル組織培養プレートにおいて三連で3×104細胞にて播種し、5% CO2、37℃で一晩増殖させた。ポジティブ及びネガティブコントロールのため、製造業者の使用説明書にしたがってリポフェクタミン2000(Invitrogen,USA)を用いて、siRNAを細胞中にトランスフェクトした。リポフェクタミンは、現在まで広く使用され受け入れられているトランスフェクション試薬であり、これらのセットの実験における基準として働く。要約すると、50ピコモルの関連siRNA(250nMに対応する)を、1μlのリポフェクタミン2000と混合し(両方とも50μl OPTI−MEM(Invitrogen,USA)で希釈)、室温で20分間インキュベートした。siRNA:リポフェクタミン混合物を細胞に添加し、4時間インキュベートした。細胞培地を交換し、72時間インキュベートした。
実施例1にしたがって調製したポリマー/siRNA複合体について、細胞培地を除去し、100μl OPTI−MEMと交換した。10μlの容量にあるポリマー/siRNA複合体を、1サンプルあたり3つのウェルの細胞に添加し、4時間インキュベートした。細胞培地を交換し、細胞を更に72時間インキュベートした。
細胞をPBSで2回洗浄し、トリプシン処理し、FACS洗浄液(1% FBSを有するPBS)で1回洗浄した。細胞を、Becton Dickenson LSRIIでフローサイトメトリーに供し、EGFPサイレンシングを、非サイレンシングsiRNA又はポリマー/siRNA複合体の平均EGFP(FITC波長で測定)蛍光の百分率として解析した。結果を、図3及び表3に要約する。
a)N/P比;b)siRNA結合%;c)サイレンシング効率%;d)ポリマー濃度μg/ml。陰影は、siRNA無しでのポリマーの毒性濃度を示す。
CHO−GFP細胞は、青色408nmレーザーにより励起される場合に約518nmに緑色シグナルを発する増強緑色蛍光タンパク質を遍在的に発現する。これは、蛍光顕微鏡分析及びフローサイトメトリーの両方により容易に検出される。したがって、EGFPのサイレンシングは、フローサイトメトリープロットでの細胞集団のシフトにより、及び平均GFP蛍光の減少により容易に決定される。様々な範囲のモル濃度比でのポリマーの添加は、8以上のN/P比に対応する3:1以上のモル濃度比にある422−3、1007−2及び1007−3が有意なレベルのサイレンシングを示すことができたことを示す(図3及び4)。1125のゼータ電位は、422−3のものよりも低い。
リポフェクタミン2000と等価なサイレンシングを与えるために必要とされる422−3サンプル中におけるsiRNAの最小濃度を決定するため、リポフェクタミン2000及び422−3を4:1の比率で用いて、希釈曲線を作成した。等価なサイレンシング、それ故、有意な効果を達成するために必要とされるsiRNAの最小量は、100nMであった。
実施例6
血清の安定性:ポリマーが血清プロテアーゼによる分解からsiRNAを保護する能力を、必須増殖ホルモンを提供するために組織培養で一般に用いられるウシ胎児血清を用いて、インビトロで測定した。裸(naked)のsiRNAは、血清中では数時間以内に分解されるが、この結果は、ポリマー複合体に含まれるsiRNAが37℃で88時間まで保護されたことを示す(図5)。次いで、残りのサンプルを、CHO−GFP細胞に添加して、siRNAがインタクトであり、かつアクティブでさえあったかどうかを決定した。全てのポリマー複合体でサイレンシングが観察され、FBS処理後に活性が僅かに減少した(図5E)。血清では、複合体のいかなる沈殿も観察されなかった。これはまた、関心事項である。正に荷電した分子は、血清タンパク質と会合し、溶液から沈殿を生じることが知られているためである(データ示さず)。
実施例7
本実施例では、一連の準トリブロックコポリマーを調製して、毒性、siRNA取込み、及び遺伝子サイレンシングに対する、親水性ブロックPEGMA中に少量のカチオン性モノマーDMAEMAが含有されることの効果を系統的に評価した。
実施例1に記載される方法を用いて、モノマーを精製し、ビス連鎖移動剤(bis chain transfer agent)(I)を調製して本実施例におけるポリマーを合成した。
工程1:PDMAEMAテレケリックマクロRAFT剤の合成及びキャラクタリゼーション:
DMAEMAモノマー(3.15g、2.00×10−2mol)、VAZO−88開始剤(2.64mg、1.08×10−5mol)、ビスRAFT剤(I)(DMF中0.328g/mLのストック溶液の480μL、1.8×10−7mol)、及びDMF(2.02g、2.76×10−2mol)を、ガラスバイアル中に分注し、全ての成分が溶解するまで混合した。次いで、反応混合物を、マグネチックスターラーを含むYoung容器中に移し、−78℃と室温との間の3回凍結−ポンプ−解凍サイクルに供した。その後、反応混合物を12.5時間で90℃まで加熱した。ポリマー変換に対して得られたモノマーは、(実施例1、工程1において説明したとおり)1H−NMRにより測定したように、91%であった。
得られた反応混合物をDCMで希釈し、n−ヘプタン中にDCM混合物を滴下することにより、ポリマーを析出させた。上清をポリマー残渣からデカントし、この析出手法を更に2回行った。次いで、ポリマーを、恒量に達するまで、40℃で減圧下で乾燥させた。ポリマーのMnは、ポリスチレン標準に対するGPCにより決定したように、23635Da(1.15のPDI)であると見積もられた。
工程2:DMAEMAモノマーユニットがP(OEGMA475)−ブロック中に変動的に取り込まれたP(OEGMA475−b−DMAEMA−b−OEGMA475)の合成及びキャラクタリゼーション
DMAEMAのそれらの量を異なるものにすることにより、4つのポリマー改変物を調製した。DMAEMAモノマーユニットを、P(OEGMA475)−ブロック中に、元のDMAEMA前駆テレケリックマクロRAFT剤合成に用いられたDMAEMA出発材料に対して0、2、5、及び10mol%のレベルで、取り込ませた。
4つの改変物の各々の合成に共通の試薬溶液を調製した。乾燥PDMAEMAホモポリマー(テレケリックマクロRAFT剤)(1.40g、1.45×10−2mol)をDMF(4.43g、2.06×10−2mol)中に再溶解し、この溶液にOEGMA475モノマー(1.70g、3.58×10−3mol)、DMF中に溶解させたVAZO−88(開始剤)(0.1mlの1.2mg/mL溶液、4.90×10−4mol)、及びトリオキサン(45mg、5.00×10−4mol)を添加した。この試薬溶液を全ての成分が溶解するまで撹拌し、4つのアリコートに分割した(4×1.895g反応混合物)。DMF中のDMAEMAモノマー(39.4mg/mL)及びDMF溶媒を、表4に示される容量中に添加した。
全ての場合の反応混合物(A〜D)を、6時間で90℃まで加熱した。ポリマー変換に対して得られたモノマーを(1H−NMRにより)決定したように、各反応について86〜88%の範囲内にあった(CDCl3中;DMAEMAの重合について上記で説明したのと同様の手法にしたがう)。Mn及びPDIを、PS標準に対するGPCにより決定した。これらのパラメーターの値を表5に示す。
トリブロックコポリマーの精製:工程1からの重合反応混合物(198JG14A〜D)を、DCMで別々に希釈し、混合物をジイソプロピルエーテル中に滴下することにより、各ポリマーを析出させた;析出したポリマーを、溶液の残りからデカントした。この後者の手法を2回行った。最終工程では、ポリマーを、恒量に達するまで、減圧下で乾燥させた。ポリマー材料のさらなる精製を、Mili−Q水に対する3日間の透析(3500の分子量カットオフ、Spectra Por,Spectrum Medical Industries,inc.,Houston,Tx)により行った。透析後、ロータリーエバポレーターの使用により、水を水溶性ポリマー溶液から除去した。
四級化:ポリマーをDCM中に再溶解させ、過量のヨウ化メチルを、以下の表6中で特定された容量において、これらの溶液中に添加した。準トリブロックコポリマー中に取り込まれたDMAEMA基の三級アミノ基の四級化を達成するため、反応系を室温で2時間撹拌した。
溶媒及び過量のヨウ化メチルを、ロータリーエバポレーターにおいて除去し、ポリマーを減圧下で40℃で24時間乾燥した。
コポリマーを、実施例1に記載されるように、GPC及びNMRによりキャラクタリゼーションし、結果を表7に要約した。
本実施例で調製したコポリマーは、予測されたものと同様の分子量を示した。これらのコポリマー中の中心的なカチオン性ブロックは、0〜10%の範囲にあるDMAEMAモノマーユニットと、同一のブロック長及び0〜10%の範囲にあるDMAEMAモノマーユニットを有する同様のOEGMA475ブロックを有する。DAEMA含量が増加すると、ポリマー分子量はそれに応じて増加する。
実施例8
この実施例は、実施例1(方法B)及び実施例6で調製したトリブロックコポリマーと比較するために、DMAEMA及びOEGMA475からのジブロックコポリマーの調製を記載する。
実施例1に記載した手順をモノマーを精製するために使用し、以下に記載するように、連鎖移動剤(II)を合成し、精製した。
RAFT剤:4−シアノ−4−[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸(II):C19H33NO2S3;MW403.17
を、WO2005/113493A1に記載される手順に従って合成した。
工程1:PDMAEMAマクロRAFT剤の合成及びキャラクタリゼーション:
典型的な合成実験においては、2358.15mgのDMAEMAモノマー(1.50×10−2mol)、1.98mgのVAZO−88開始剤(8.10×10−6mol)、及び32.70mgのRAFT剤(8.10×10−5mol)、並びに4694.05mgのDMF(6.42×10−2mol)を、マグネチックスターラーを含むYoung容器中で、一緒に混合した。反応混合物を、少なくとも15分間窒素ガスをパージすることにより脱気し、−78℃と室温との間の3回の冷凍−ポンプ−解凍サイクルに供した。
その後、反応混合物を、90℃まで1時間加熱した。達成されたモノマーからポリマー変換は、1H−NMR(実施例1、工程1で説明したように)により決定されたように、44%だった。ポリマーのMnは、ポリスチレン標準に対するGPCにより決定されたように、20187Da(1.32のPDI)だった。
工程2:ポリ(オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート−ブロック−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(P(OEGMA475−b−DMAEMA)の合成及びキャラクタリゼーション:
工程1における重合からの反応混合物をDCMで希釈し、ポリマーを、n−ヘプタン中に混合物を滴下することにより析出させた。析出したポリマーを溶液の残りからデカントした。この後者の手順を2回行った。最終工程では、重量が一定になるまで、ポリマーを40℃で減圧下で乾燥した。487.2mgの乾燥したポリマー(PDMAEMAホモポリマー(マクロRAFT剤)、2.41×10−5mol)を、マグネチックスターラーを含むYoung容器中で、5600mgのDMF(7.66×10−2mol)に再溶解した。1910mgのOEGMA475(モノマー、4.02×10−3mol)に溶解した1.3mgのVAZO−88(開始剤、5.30×10−6mol)を、後者の溶液中に添加し、PDMAEMAマクロRAFT剤の合成の場合について上記した脱気方法に曝した。その後、反応混合物を90℃まで3時間加熱した。このアプローチから得られた物質は、ジブロックコポリマー(工程1における重合の残存モノマーを、説明した析出手順により除去したので)として知られている高分子構造を有することが予測される。ポリマー0408−Aを、この方法を用いて調製した。2866mgのDMF(3.92×10−2mol)に再溶解した379.3mgの乾燥したポリマー(PDMAEMAホモポリマー(マクロRAFT剤)、1.87×10−5mol)及び950mgのOEGMA475(モノマー、2.00×10−3mol)に溶解した0.66mgのVAZO−88(開始剤、2.70×10−6mol)を用いる以外、上記したのと同様の方法を用いて、ポリマーサンプル0408−Bを調製した。この後者の反応混合物を90℃まで2時間加熱した。表8は、これらの後者の方法を用いて合成されたジブロックコポリマーの特性を要約している。
ジブロックコポリマーの精製:両方の場合において、得られたブロックコポリマーの反応混合物を、DCMで希釈し、ポリマーを、ジイソプロピルエーテル中に混合物を滴下することによって、析出させた。析出したポリマーを溶液の残りからデカントした。この後者の手順を2回行った。最終工程では、重量が一定になるまで、ポリマーを減圧下で乾燥した。ポリマー性物質の更なる精製を、3日間MiliQ水に対する透析(3500の分子量カットオフ、Spectra Por, Spectrum Medical Industries, Inc., Houston, Tx)により、行った。透析後、ロータリーエバポレーターにおいて、ポリマー水溶液から、水を除去した。
四級化:ポリマーを、DCMに再溶解し、過量のヨウ化メチルをこの溶液中に添加し、ジブロックコポリマーのPDMAEMAブロックの三級アミノ基の四級化を達成するために、室温で2時間撹拌した。最終工程では、DCM及び過量のヨウ化メチルをロータリーエバポレーターで除去し、ポリマーを更に、40℃で24時間、減圧下で乾燥した。
実施例9
図6における細胞生存度(即ち、細胞毒性)の結果は、実施例7及び8で調製したトリ及びジブロックコポリマーの両方がsiRNAに対するポリマーの調査濃度比以内において細胞に対していかなる有意な効果も有しなかったことを示す。ポリマーT2EGは、非常に低い細胞生存度を有することが知られるポリマーであり、ポジティブコントロールとして用いた。これらの結果は、ポリマーが送達ビヒクルとして適切であることを確認するものであり、その点で、それらは広範な範囲の濃度で非毒性である。
インビボ条件(即ち、血清中)におけるポリマー−siRNA複合体の安定性を、図7に示されるように、複合体のサイズ分解又はその欠落、及びそれらが電気泳動サイズ排除ゲルを通じて移動する様式により測定した。トリブロック系列中の全てのポリマーが、siRNAに対する強力な結合を示した。なぜならば、これらの複合体は、使用した実験条件下では、乖離のいかなる兆候も示さなかったためである。しかしながら、ジブロックコポリマーは、特に0408Aに対して、相対的に弱い結合を示し、更に結合は、siRNAに対するポリマーのより低い比率を有する組成物について、より弱かった。
トリブロック及びジブロック系列の両方における種々のコポリマーの相対的サイレンシング効率を図8で比較する。この図は、いかなる蛍光もないことから明らかであるように、トリブロックが遺伝子を抑制することを示す。
これらの比較結果を纏めると、ジブロックが種々の細胞に対して非毒性であり、かついくつかのジブロックのみが良好な安定性を実証したが、トリブロックのみが遺伝子サイレンシングを示すことが実証された。
実施例10
PolyFluor(登録商標)570を用いたポリマーサンプル1007−2の鎖伸長(1007−2/PF)
Young容器中で、1007−2ポリマーのサンプル(実施例1から。詳細については表1参照)(147mg)、メタクリルオキシエチルチオカルバモイルローダミンB(PolyFluor(登録商標)570、Polysciences, Inc.)(6.8mg)、及びAIBN(1.0mg)を、DMF(2mL)に溶解した。混合物を、高減圧下(3×10−3Torr)、3回凍結−排出−回答サイクルにより、脱気し、次いで、60℃で21時間加熱した。溶媒(DMF)を除去し、サンプルを、減圧下乾燥し、最終ポリマー1007−2/PFを定量的収率で得、化学構造を以下に示す。1007−2/PFの分子量は、ポリマーサンプルがすでに四級化されていることが、屈折率検出器により分子量の検出を不可能にしていることに起因して、GPCにより性格に決定することができない。最終的な純粋なポリマーを、Milli−Q水で3日間透析した後に、得た。透析後、水を凍結乾燥により、ポリマー水溶液から除去した。透析したポリマーを、以下のセクションに記載する手順に従い分析した。
1007−2/PFの生物学的評価を、実施例2及び5に記載した試験プロトコールに従い行った。siRNA結合を、実施例2に記載した電気泳動実施例2により評価し、結果を図9に示す。CHO−GFPのサイレンシングを、実施例5に記載した方法を用いることにより、評価した。図10は、PolyFluorでラベルした及びラベルしていないポリマーの相対的なサイレンシングを示している。標識したポリマー(1007−2/PF)及びsiRNAの細胞取り込みを、共焦点顕微鏡法により更に記載した。図11は、CHO−GFP及びHuh−GFP細胞による標識したポリマーの取り込みを示している。
実施例11
実施例10で調製されたポリマー(1007−2/PF)を、本実施例に記載される全ての生物学的評価のために用いた。
インビボでのIFN応答:10日商業齢(commercial day)のニワトリ胚を、Cahrles River Laboratories,Australiaから入手した。ポリマー複合体を、10日齢の胚形成ニワトリ卵子の尿膜腔中に注入した。この卵子を、37℃で6〜24時間インキュベートした。PBS及び2ナノモルのsi22のみを卵子にコントロールとして注入した。尿膜及び肝臓を採取してその後RNAにし、4℃で保存した。RNAを、Trizol法(Chomczynski及びSacchi 1987)を用いて収集した。
病理組織学及び尿膜取込み:
胚性ニワトリ肝臓を、24時間でのIFN応答について研究した膜と同じ胚から入手した。肝臓を10%緩衝化ホルマリン中で24時間固定し、慣用的なH&E染色のため、Australian Animal Health Laboratoriesの病理研究室に提出した。尿膜を4%パラホルムアルデヒド中で2時間固定した。次いで、膜をPBS及び0.1% Triton X−100中で1時間透過処理し、DAPIで20分間染色して核を可視化した。
逆転写及び定量的リアルタイムPCR:1マイクログラムの抽出RNAを、製造業者の使用説明書にしたがって、DNase(Promega,USA)で処理し、製造業者の使用説明書にしたがってpower Sybrgreen RNA to CTキット(Applied Biosystems,USA)を用いて、定量的リアルタイムPCR(QRT−PCR)実験を行い、サイトカイン発現レベルを測定した。全ての定量データを、ニワトリ又はヒトGAPDHに対してノーマライズした。QRT−PCRを、以下の条件下でStepOnePlus Real Time−PCR System、96ウェルプレートRT−PCR機器(Applied Biosystems)で行った:1サイクル 50℃で3分間、続いて95℃で10分間、40サイクル 95℃で15秒間、続いて60℃で1分間。比較閾値サイクル(Ct)法を用いて、遺伝子発現の倍数変化を導いた。
ニワトリqRT−PCRプライマー配列は、以前に公開されており(Karpala,Lowenthalら 2008)、ヒトqRT−PCRプライマー配列を、qPrimer Depot(http://primerdepot.nci.nih.gov/)から入手した。プライマーを、Geneworks(Sth Australia)から入手した。
インビボでのA型インフルエンザ−PR8サイレンシング:10日商業齢(commercial day)のニワトリ胚を、AAHLの小動物施設から入手した。ポリマー複合体を、10日齢の胚形成ニワトリ卵子の尿膜腔中に注入した。この卵子を、37℃で24時間インキュベートした。PBSをコントロールとして注入した。H1N1インフルエンザPR8ウイルスを、100μl PBS中に希釈して500pfu/卵子にし、直後、10日齢の胚形成ニワトリ卵子の尿膜腔中に注入した。この卵子を37℃で48時間インキュベートし、尿膜腔液を収集してウイルス力価を測定した。
インフルエンザアッセイ:TCID50アッセイを、(Liang,Mozdzanowskaら 1994)に記載されるように行った。要約すると、組織培養上清、即ち、尿膜腔液を、10倍希釈系列による細胞変性効果に対するエンドポイント希釈により、MDCK細胞に対するウイルス感染性について試験した。力価を、log10 TCID50/ml±SEMとして表す。
結果
インビボでの1007−2/PF si22複合体の取込み:これは、インフルエンザ感染の広範に使用されるモデルである。卵子中のインフルエンザの複製の主要部位は、尿膜である。我々は1007−2 siRNA複合体を尿膜に送達できるかどうかを決定するため、10日齢の胚形成ニワトリ卵子において、1007−2/PFを尿膜腔液中に注入した。このポリマーは、Polyfluor 540モノマーが伸長した1007−2である。このモノマーは、540nmレーザーにより励起される場合に蛍光を発し、590nmで発光する。尿膜を6又は24時間で取り出し、ポリマーを共焦点顕微鏡により可視化した。ポリマーは、6時間にて、尿膜中で静脈と連絡している細胞において明確に視認でき(図12A)、24時間までに、膜の至るところに散在していた(図12B)。これは、PR8ウイルスが注入された場合、siRNAが大部分の膜細胞中に存在することを示す。
インビボでの1007−2の毒性:ポリマー単独又はポリマーsi22複合体を用いた前のインビトロ結果を、胚中への注入によりここで確認し、IFNα及びβ誘導ならびにPR8サイレンシングについてアッセイした。平均して6時間で8倍のIFNα誘導及び24時間で5倍の誘導が、ポリマー単独処理胚において観察され、ポリマー/si22処理胚における5及び3倍と比較された(図13A)。この結果は、インビトロの知見を支持する。IFNαに対する同様のパターンが観察されたが、いかなる有意なIFNβも尿膜では誘導されなかった(図13B)。Australian Animal Health Laboratoryの病理研究室により行われた1群あたり3つの胚性ニワトリ肝臓での病理組織学は、24時間で肝臓に対する損傷のいかなる臨床的兆候も存在しなかったことを示す。このことは、胚に対する最小の毒性を示す。代表的な図を示す(図13C、D及びE)。
インビボでの1007−2に対するPR8サイレンシング:尿膜におけるポリマーsiRNA複合体の取込みを、ウイルス感染時に、共焦点顕微鏡により観察した。予測されたように、PB1−2257をニワトリ胚に送達させた場合、PBS処理胚と比較して、平均して2.5 logの減少が観察され、ポリマー/si22処理胚と比較した場合、ウイルス複製では、1.5 logの減少が観察された(図14)。これは、siRNAの胚への送達及び特異的なサイレンシングを示す。1 logの減少が、1007−2単独で観察された;これはまた、インビトロ知見を支持し、ポリマーによるIFNαの誘導が、非特異的IFN誘導ウイルス複製を生じているかもしれないことを示す。生産性ウイルスの0.5 logの低下が、1007−2/siRNAで見受けられ、ウイルスにおけるこの減少はおそらく、この複合体で見受けられた僅かなIFNα誘導に起因する。
実施例12
4−ビニルフェニルボロン酸(VPBA)又は4−ビニルフェニルボロン酸ピナコールエステル(VPBA−PE)を含むABAトリブロックコポリマー
この実施例では、親水性ブロックPOEGMA475におけるボロン酸官能性を有するRAFTポリマーの、毒性、siRNA取り込み、細胞標的化及び遺伝子サイレンシングに対する効果を評価するために、PolyFluor(登録商標)570とともに4−ビニルフェニルボロン酸(VPBA)又は4−ビニルフェニルボロン酸ピナコールエステル(VPBA−PE)を含むABAトリブロックコポリマーを、調製した。
この実施例では、これらのABAトリブロックコポリマーを合成するために、ビス−RAFT剤(I)を用いた。
工程1:ミッドブロックPDMAEMAテレケリックマクロRAFT剤の合成:
DMAEMAモノマー(7.86g、4.99×10−2mol)、VAZO−88開始剤(6.6mg、2.68×10−5mol)、ビス−RAFT剤(I)(0.359g、4.17×10−4mol)及びDMF(12.34g、16.88×10−2mol)をYoung容器中に移し、液体窒素温度と室温との間で3回凍結−ポンプ−解凍サイクルに供した。その後、反応混合物を、80℃で16時間加熱し、次いで、90℃で更に16時間加熱した。得られたモノマーからポリマーへの変換は、1H−NMRにより決定されたように95%より大きかった。
上記重合混合物をDCMで希釈し、ポリマーをn−ヘプタン中にDCM混合物を滴下することにより、析出させた。上澄みをポリマー残基からデカントし、この析出手順を更に2回行った。次いで、ポリマーを恒量に達するまで、減圧下で乾燥した。ポリマーのMnは、ポリスチレン標準に対するGPC(N,N−ジメチルアセトアミドを溶出液として用いる)により、18,630Da(1.1のPDI)であると決定された。この分子量は、形成されたポリマーPDMAEMAにおける110個のカチオン性ユニットに相当する。
工程2:Aブロックに、PolyFluor(登録商標)570とともにVPBA又はVPBA−PEを含むABAトリブロックコポリマーの合成及びキャラクタリゼーション
3つのトリブロックコポリマーP[(OEGMA475−co−VPBA−co−PolyFluor(登録商標)570)−b−PDMAEMA−b−(OEGMA475−co−VPBA−co−PolyFluor(登録商標)570)]、すなわち、サンプルBC−11;BC−13−1及びBC−13−2を、様々な使用モル量のOEGMA475、VPBA及びPolyFluor(登録商標)570をそれぞれ用いて合成し、P[(OEGMA475−co−(VPBA−PE)−co−PolyFluor(登録商標)570)−b−PDMAEMA−b−(OEGMA475−co−(VPBA−PE)−co−PolyFluor(登録商標)570)]のトリブロックコポリマーも以下のように合成した。
BC−11の合成
工程1からの乾燥したPDMAEMAテレケリックマクロRAFT剤(0.508g)を、DMF(14mL)に再溶解し、この溶液に、OEGMA475モノマー(2.50g、5.263×10−3mol)、4−ビニルフェニルボロン酸(VPBA、0.16g、1.081×10−3mol)、AIBN開始剤(2.5mg、1.52×10−5mol)及びPolyFluor(登録商標)570(21mg、3.07×10−5mol))を添加した。次いで、この試薬溶液をガラスアンプルに移した。次いで、アンプル及びその内容物を、3回繰り返しの凍結−排出−解凍により脱気し、次いで、フレームをシールした。重合を60℃で16時間行った。溶媒(DMF)を減圧下のロータリーエバポレーターで除去して、濃いスラリーを得た。
上記重合混合物を、ジクロロメタンで希釈し、ポリマーを、ジイソプロピルエーテル中に当該混合物を添加することにより析出させた。析出したポリマーを溶液の残りからデカントした。未反応のおOEGMA475モノマーを完全に除去することを確実にするために、この手順を更に2回行った。最終工程では、ポリマーを恒量に達するまで、減圧下で乾燥して、1.24gのポリマーサンプルBC−11を得た。ポリマーのMnは、ポリスチレン標準に対するGPC(N,N−ジメチルアセトアミドを溶出液として用いる)により、86,900Da(1.53のPDI)であると決定された。
四級化:丸底フラスコにおいて、上記ポリマーBC−11(510mg)を、アセトニトリル(10mL)に溶解し、過量のヨウ化メチルを(2mL)をこの溶液中に添加した。トリブロックコポリマー中に導入されたDMAEMA基の三級アミンの四級化を達成するために、反応系を、室温で一晩撹拌した。溶媒(アセトニトリル)を除去して乾燥した後、四級化されたABAトリブロックポリマーを得、最終精製工程のMilli−Q水に対して3日間の透析(3500の分子量カットオフ、Spectra Por, Spectrum Medical Industries, Inc., Houston, Tx)に供した。透析後、水を凍結乾燥機の使用によりポリマー水溶液から除去して、ポリマーサンプルのBC−12を得た。
BC−13−1及びBC−13−2の合成
これら2つのポリマーサンプルを、様々なモル量のOEGMA475及びVPBA(以下の表を参照)を重合で使用したこと以外、BC−11について上記したのと同様にして調製した。
これら2つのポリマーBC−13−1及びBC−13−2のMnは、ポリスチレン標準に対するGPC(溶出液としてDMAc)により、それぞれ、92,600及び98,900であると決定された。
BC−14:4−ビニルフェニルボロン酸(VPBA)及びD−(+)−ガラクトースを含むABAトリブロックコポリマー
1:1モル比の上記ポリマーサンプルBC−12(88.7mg)及びD−(+)−ガラクトース(3.87mg)を、重水素ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)に室温で5日間溶解した。水(2mL)を添加し、得られたポリマーを透析に供して、いずれの未結合のガラクトースをも除去した。凍結乾燥機の後、最終ポリマーBC−14を得、そのプロトンNMR(D2O中)により、ガラクトース糖ピークの存在が明らかとなった。
BC−6−1の合成
工程1からのPDMAEMAテレケリックマクロRAFT剤(0.508g)をDMF(10mL)に再溶解し、この溶液に、OEGMA475モノマー(2.50g、5.263×10−3mol)、4−ビニルフェニルボロン酸ピナコールエステル*(VPBA−PE、0.25g、1.087×10−3mol)、AIBN開始剤(2.5mg、1.52×10−5mol)及びPolyFluor(登録商標)570(21mg、3.07×10−5mol))を添加した。次いで、この試薬溶液をガラスアンプル中に移した。次いで、アンプル及びその内容物を、3回繰り返しの凍結−排出−解凍サイクルにより脱気し、次いで、フレームをシールした。重合を、60℃で16時間行った。溶媒(DMF)を減圧下のロータリーエバポレーターで除去して、シロップ状のポリマーを得た。
上記重合混合物を、ジクロロメタンで希釈し、ポリマーを、ジイソプロピルエーテル中に当該混合物を滴下することにより析出させた。析出したポリマーを溶液の残りからデカントした。この手順を、未反応のOEGMA475モノマーを完全に除去することを確実にするために、更に2回行った。最終工程では、ポリマーを、恒量に達するまで減圧下で乾燥して、1.08gのポリマーサンプルBC−6−1を得た。ポリマーのMnは、ポリスチレン標準に対するGPC(N,N−ジメチルアセトアミドを溶出液として用いる)により、46,900Da(1.34のPDI)であると決定された。
四級化:丸底フラスコにおいて、上記ポリマーBC−6−1(25mg)をアセトニトリル(5mL)に溶解し、過量のヨウ化メチル(1mL)を溶液中に添加した。トリブロックコポリマー中に導入されたDMAEMA基の三級アミノ基の四級化を達成するために、反応系を一晩室温で撹拌した。溶媒(アセトニトリル)を除去して乾燥した後、四級化されたABAトリブロックポリマーを得、最終精製工程のMilli−Q水に対する3日間の透析(3500の分子量カットオフ、Spectra Por, Spectrum Medical Industries, Inc., Houston, Tx)に供した。透析後、水を、凍結乾燥機の使用により、ポリマー水溶液から除去した。
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4−ビニルフェニルボロン酸ピナコールエステル(VPBA−PE)を、from乾燥したモレキュラーシーブ(4Å)の存在下、室温で、ジクロロメタン中の、4−ビニルフェニルボロン酸(VPBA)及びピナコールから調製した。
ポリマーBC−6−1及びBC−14を、実施例5に記載した手順を用いて、siRNA CHO−GFPサイレンシングについて、評価した。図15は、2つのポリマーサンプルによるCHO−GFPの相対的サイレンシングを示しており、結合したガラクトース(BC−14)は、ガラクトースなしのサンプルと比較して、向上したCHO−GFPサイレンシングを、顕著に示した。
実施例13
ジスルフィド結合を有するビス−RAFT剤(III):(S)−(R)−11−シアノ−11−メチル−8−オキソ−13−チオキソ−7−オキサ−3,4,12,14−テトラチアヘキサコシル4−シアノ−4−(((ドデシルチオ)カルボノチオイル)チオ)ペンタノエート
ジクロロメタン(100mL)及びDMAP(N,N−ジメチルアミノピリジン、触媒量)中の、(S)−4−シアノ−4−(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)ペンタン酸(8.06g、20.0mmol)、2−ヒドロキシエチルジスルフィド(1.54g、10mmol)、DIC(ジイソプロピルカルボジイミド、2.77g、22.0mmol)を、室温で1時間撹拌させた。濾過して、DIC−尿素副生成物を除去し、溶媒を除去した後に、9.2gの粗生成物が得られ、これを、酢酸エチル:n−ヘキサン 1:4(v/v)を溶出液として用いたシリカゲルカラムのカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題生成物(III)を黄色オイルとして得た(8.0g、収率86.5%)。プロトン核磁気共鳴(1H NMR) (CDCl3) (ppm) 0.89 (t, 6H, 2×CH3); 1.27 (br s, 36H); 1.69 (m, 4H); 1.88 (s, 6H, 2×CH3); 2.40−2.80 (m, 8H, 2×CH2CH2); 2.90 (t, 4H, CH2S−SCH2); 3.30 (t, 4H, 2×CH2S); 4.35 (t, 4H, 2×CH2O).
直鎖ABAトリブロックコポリマーABA−B2S−53/55(LN2012/1TL15)
ABA−B2S:P(OEGMA475−b−DMAEMA−b−OEGMA475)(LN2012/1TL15)
方法
工程1:ポリ(N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート)(PDMAEMA)テレケリックマクロRAFT剤の合成及びキャラクタリゼーション
典型的な重合実験においては、DMAEMAモノマー(5.955g、3.788×10−2mol)、VAZO−88開始剤(2.948×10−3g、1.207×10−5mol)、ビス−RAFT剤(III)(0.240g、2.413×10−4mol)及びDMF(26.8851g、3.678×10−1mol)を、Schlenkフラスコ中に秤量した。溶液混合物を、4回凍結−排出−溶解サイクルで脱気し、90℃で17時間重合した。
モノマーからポリマーへの変換は、1H−NMR(CDCl3中)により決定されたように、69.6%だった。当該変換を、内部標準1,3,5−トリオキサンを重合溶液に5mg/1mLの量で添加することにより、計算した。重合前後の1H−NMRスペクトルを比較し、5.1ppmのトリオキサンの−OCH2環式の積分を、5.5−6ppmのモノマーのCH2=Cプロトンの積分のものと比較した。1H−NMRに基づき計算されたポリマーの分子量は、17.2kDaであった(109の重合度に相当する)。直鎖ポリスチレン標準に対してゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)により決定されたポリマーの数平均分子量(Mn)は、22kDa(1.23の分散性)であった。3つの異なるポリマーサンプルを、親水性ブロック(A)及びカチオン性ブロック(B)のブロック長を変化させることにより、調製した。
ポリマーを、実施例1に記載した手順を用いて四級化し、透析により精製した。
透析されたポリマーサンプルを、実施例2及び5にそれぞれ記載した方法を使用して、CHO−GFP細胞の毒性及びサイレンシングについて評価した。ポリマー/siRNA複合体は、図16に示すモル比の範囲において安定であった。siRNA/ポリマー複合体の細胞生存率及びポリマー複合体のCHO−GFPサイレンシングを、図17に、それぞれ、上部及び下部に示す。