JP2014520123A - Clec−2を使用して代謝性障害を治療または改善させる方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、Clec−2細胞外ドメインを使用して代謝性疾患および代謝性障害を治療する方法を提供する。様々な実施形態では、代謝性疾患または代謝性障害は、2型糖尿病、グルコース濃度上昇、インスリン濃度上昇、およびトリグリセリド濃度上昇である。
Description
本出願は、2011年6月17日に出願された米国仮出願番号第61/498,370号の利益を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本発明の技術分野
本開示の発明は、Clec−2細胞外ドメインもしくはその断片を含む分子またはClec−2に対する抗体の治療有効量を治療が必要な対象に投与することによる、代謝性障害、例えば糖尿病、グルコース濃度上昇、インスリン濃度上昇、またはトリグリセリド上昇、およびインスリン耐性等の、治療または改善に関する。
本開示の発明は、Clec−2細胞外ドメインもしくはその断片を含む分子またはClec−2に対する抗体の治療有効量を治療が必要な対象に投与することによる、代謝性障害、例えば糖尿病、グルコース濃度上昇、インスリン濃度上昇、またはトリグリセリド上昇、およびインスリン耐性等の、治療または改善に関する。
CLEC−2は、免疫系でのタンパク質間の認識相互作用(recognition interaction)に関与することが知られているC型レクチン様受容体に類似性を持つ分子を同定するため、バイオインフォマティクス手法を使用して同定された(M. Colonna et al., 2000, Eur J Immunol 30 pp. 697−704)。CLEC−2は、末梢血球、骨髄、骨髄性細胞(単核白血球、樹状細胞、および顆粒球)、ナチュラルキラー細胞、および肝臓で、転写レベルで同定された。CLEC−2をコードする遺伝子は、ヒト第12番染色体上のDECTIN−1およびLOX−1を含む関連遺伝子のクラスター内に位置する(Sobanov, A. et al. 2001, Eur J Immunol, 31, pp. 3493−3503)。CLEC−2はまた、C型レクチンドメインファミリー1メンバーBまたはCLEC1Bと称することもある。
CLEC−2は、タンパク質のC型レクチン様ファミリの一員である。CLEC−2は、血小板表面の受容体として、最近同定された(K. Suzuki−Inoue et al., 2006, Blood, 107, pp. 542−549)。CLEC−2によるリガンド結合は、SrcキナーゼによるCLEC−2の細胞質ドメインYXXLモチーフでチロシンのリン酸化を促進させ、さらに、下流のシグナル伝達事象が、血小板の活性化および凝集を誘発する(K. Suzuki−Inoue et al,前出を参照のこと)。マレーマムシCalloselasma rhodostomaは、強力な毒性タンパク質、ロドサイチン(rhodocytin)を生成し、ロドサイチンは強力な血小板の活性化および凝集を惹起する。ロドサイチンは、最近、CLEC−2(血小板表面の新たに同定された受容体)へのリガンドであることが示されたが、また、ロドサイチンのCLEC−2への結合は新規の血小板シグナル伝達経路を誘発する。ロドサイチン結合は、CLEC−2の細胞質尾部でのチロシンリン酸化を誘導し、チロシンリン酸化が、脾臓チロシンキナーゼ(Syk)の結合、その後のPLCγ2の活性化、および血小板の活性化および凝集を促進させる。
M. Colonna et al., 2000, Eur J Immunol 30 pp. 697−704
Sobanov, A. et al. 2001, Eur J Immunol, 31, pp. 3493−3503
K. Suzuki−Inoue et al., 2006, Blood, 107, pp. 542−549
代謝性疾患(metabolic condition)を治療する方法を提供する。1つの実施形態では、対象にClec−2阻害剤の治療有効量を投与することを含む、対象の代謝性障害を治療する方法を提供する。1つの実施形態では、代謝性疾患は、糖尿病、特にII型糖尿病、グルコース濃度上昇、インスリン濃度上昇、トリグリセリド濃度上昇、インスリン耐性、または経口耐糖能低下である。
本発明の1つの実施形態では、Clec−2阻害剤は、Clec−2受容体、特にClec−2受容体の細胞外ドメインまたはその断片を含む。1つの実施形態では、Clec−2受容体の細胞外ドメインまたはその断片は、ヒトCLEC2細胞外ドメインまたはその断片である。Clec−2受容体の細胞外ドメインまたはその断片は、対象での半減期を延長させるために修飾されてもよい。1つの実施形態では、半減期は、免疫グロブリン定常領域またはその断片をCLEC2細胞外ドメインに結合させることに延長される。1つの実施形態では、免疫グロブリン定常領域は、ヒト免疫グロブリン定常領域またはその断片である。いくつかの実施形態では、他の半減期延長モダリティ(modality)を、Clec−2細胞外ドメインまたはその断片を修飾するために使用してもよく、例えばヒト血清アルブミンとの結合、ヒト血清アルブミンバインダとの結合、PEG化(pegylation)、PEG化模倣等が挙げられる。
いくつかの実施形態では、本発明のClec−2阻害剤は、配列番号2、4、6または13に記載の配列を含むか、または配列番号2、4、6、または13の配列と少なくとも90%、95%、または98%の配列同一性を有するポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本発明のClec−2阻害剤は、配列番号1、3、5、もしくは12に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号1、3、5または12と少なくとも90%、95%、もしくは98%を有するポリペプチドを含む。
いくつかの実施形態では、本発明のClec−2阻害剤は、Clec−2またはClec−2のリガンドに特異的に結合する抗体もしくはその断片、である。本発明のいくつかの実施形態では、抗体またはその断片は、ヒトClec−2受容体に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号1、3、5、7、もしくは9に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドに、特異的に結合する。いくつかの実施形態では、本発明の抗体またはその断片は、モノクローナル抗体またはその断片である。いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体である。
本発明のいくつかの実施形態では、治療を受ける対象は、哺乳類、特にヒトである。本発明のいくつかの実施形態では、CLEC2阻害剤は、Clec−2阻害剤の治療有効量を薬学的に許容される担体と混合して含む医薬組成物の形態で投与される。
いくつかの実施形態では、本発明の方法により治療を受ける対象は、Clec−2阻害剤の対象への投与後の時点で、Clec−2阻害剤の投与前の時点より低いグルコース濃度を有する。いくつかの実施形態では、治療を受ける対象は、本発明のClec−2阻害剤の治療有効量による治療後に、400、300、200、150または140mg/dlより低い(しかし約60mg/dl以上である)血糖値、特に、空腹時の血糖値を有する。
いくつかの実施形態では、本発明の方法により治療を受ける対象は、Clec−2阻害剤の対象への投与後の時点で、投与前の時点より低いインスリン濃度を有する。いくつかの実施形態では、Clec−2阻害剤投与後の時点での対象のインスリン濃度は、投与前の対象のインスリン濃度より少なくとも5%、10%、または15%低い。
いくつかの実施形態では、対象のインスリン耐性は、Clec−2阻害剤の対象への投与後の時点で、投与前の時点と比べて改善している。いくつかの実施形態では、対象のグルコース濃度は、対象の血糖値、特に空腹時の血糖値である。いくつかの実施形態では、対象のインスリン濃度は、対象の血漿インスリン濃度である。
いくつかの実施形態では、本発明の方法により治療を受ける対象は、Clec−2阻害剤の対象への投与後の時点で、投与前の時点より低いトリグリセリド濃度を有する。いくつかの実施形態では、対象のトリグリセリド(triglyeride)濃度は、対象の血中トリグリセリド濃度である。いくつかの実施形態では、Clec−2阻害剤投与後の時点での対象のトリグリセリド濃度は、投与前の対象のトリグリセリド濃度より少なくとも5%、10%、または15%低い。
いくつかの実施形態では、本発明の方法により治療された対象は、Clec−2阻害剤の投与後の時点で、投与前の時点より改善された経口耐糖能を有する。
本発明の1つの実施形態では、対象での代謝性疾患の治療方法は、対象にClec−2受容体の細胞外ドメインまたはその断片の治療有効量を投与することを含む。1つの実施形態では、治療される代謝性疾患は、2型糖尿病、グルコース濃度上昇、インスリン濃度上昇、トリグリセリド濃度上昇、インスリン耐性、または経口耐糖能低下である。
1つの実施形態では、Clec−2受容体の細胞外ドメインまたはその断片は、対象での半減期を延長させるために修飾される。1つの実施形態では、Clec−2受容体の細胞外ドメインまたはその断片は、免疫グロブリン定常領域またはその断片に結合される。1つの実施形態では、Clec−2受容体の細胞外ドメインまたはその断片は、ヒト細胞外ドメインまたはその断片である。1つの実施形態では、免疫グロブリン定常領域は、ヒト免疫グロブリン定常領域またはその断片である。
いくつかの実施形態では、Clec−2細胞外ドメインは、配列番号2、4、6、もしくは13の配列、または配列番号2、4、6、もしくは13の配列と少なくとも90%、95%または98%の配列同一性をもつ配列を含むポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、Clec−2細胞外ドメインは、配列番号1、3、5、もしくは12のアミノ酸配列、または配列番号1、3、5または12のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%または98%の同一性を示すアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
本発明の方法のいくつかの実施形態では、対象は、哺乳類、特にヒトである。本発明のいくつかの実施形態では、Clec−2細胞外ドメインまたはその断片は、Clec−2細胞外ドメインを薬学的に許容される担体と混合して含む医薬組成物の形態で投与される。いくつかの実施形態では、本発明の方法により治療を受ける対象は、a)Clec−2細胞外ドメインの対象への投与後の時点での、Clec−2細胞外ドメイン投与前の時点より低いグルコース濃度;b)Clec−2細胞外ドメインまたはその断片の対象への投与後での、投与前の時点より低いインスリン濃度;またはc)Clec−2細胞外ドメインまたはその断片の対象への投与後での、投与前の時点より低いトリグリセリド濃度、を含む。
いくつかの実施形態では、本発明の方法により治療された対象のインスリン耐性は、Clec−2細胞外ドメインまたはその断片の対象への投与後の時点で、投与前の時点と比較して改善している。いくつかの実施形態では、対象のグルコース濃度は、対象の血糖値である。いくつかの実施形態では、対象のインスリン濃度は、対象の血漿インスリン濃度である。いくつかの実施形態では、対象のトリグリセリド濃度は、対象の血中トリグリセリド濃度である。
いくつかの実施形態では、本発明の方法により治療を受ける対象は、Clec−2細胞外ドメインまたはその断片の投与後の時点で、投与前の時点より改善した経口耐糖能を有する。
本開示は、代謝性障害、例えば糖尿病(2型糖尿病、グルコース濃度上昇、インスリン濃度上昇、またはトリグリセリド濃度上昇等)等を、治療が必要な対象にCLEC2ポリペプチドを含む分子の治療有効量を投与することにより、治療する方法を提供する。投与および送達方法もまた、提供される。
本明細書(実施例を含めて)で使用される組換えポリペプチドおよび核酸方法は、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)またはMolecular Biology(Ausubel et al., eds., Green Publishers Inc. and Wiley and Sons 1994)の現行のプロトコルに一般的に記載された方法であり、いずれの目的に対し、その両方が本明細書に組み込まれる。
I.一般的定義
慣例に従い、本明細書に使用される「a」および「an」は、他に特に指示のない限り「1以上の」を意味する。
慣例に従い、本明細書に使用される「a」および「an」は、他に特に指示のない限り「1以上の」を意味する。
「抗体」という用語は、標的抗原への特異的な結合に無傷抗体と競合し得る、いずれのアイソタイプの無傷の免疫グロブリンまたはその断片を指し、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、および、二重特異性抗体が挙げられる。無傷抗体は一般に、少なくとも2つの完全長重鎖および2つの完全長軽鎖を含むが、いくつかの例では、重鎖しか含まないラクダ科(camelid)の天然由来の抗体など、鎖がより少ない場合もある。本発明による抗体は、単に、単独の供給源のみに由来するものであってよく、または「キメラ」であってよく、すなわち、抗体の異なる部分が、2種類の異なる抗体に由来してもよい。例えば、CDR領域は、ラットまたはマウス供給源に由来するものであってよく、一方で、V領域のフレームワーク領域は、異なる動物源、例えばヒト等に由来する。本発明の抗体または結合断片は、ハイブリドーマで、組換えDNA技術により、または無傷抗体の酵素的開裂または化学的開裂により、生成されてもよい。他に指示がない限り、「抗体」という用語には、2つの完全長重鎖および2つの完全長軽鎖を含む抗体の他に、派生物、変異体、断片、およびその突然変異タンパク質が含まれる。
「軽鎖」という用語には、完全長軽鎖、および結合特異性を与える(confer)のに十分な可変領域配列をもつその断片が含まれる。完全長軽鎖は、可変領域ドメイン、VL、および定常領域ドメイン、CLを含む。軽鎖の可変領域ドメインは、ポリペプチドのアミノ末端にある。本発明による軽鎖は、κ鎖およびλ鎖を含む。
「重鎖」という用語には、完全長重鎖、および結合特異性を与えるのに十分な可変領域配列をもつその断片が含まれる。完全長重鎖には、可変領域ドメイン、VH、ならびに定常領域ドメイン、CH1、CH2、およびCH3が含まれる。VHドメインは、ポリペプチドのアミノ末端にあり、CHドメインは、カルボキシル末端にあり、CH3が--COOH末端に最も近くに存在している。本発明による重鎖は、いずれのアイソタイプであってよく、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4サブタイプを含む)、IgA(IgA1およびIgA2サブタイプを含む)、IgM、およびIgEが挙げられる。
免疫グロブリン鎖の「免疫機能性(immunologically functional)断片」(または簡潔に「断片」)という用語は、本明細書に使用される場合、完全長鎖に存在するアミノ酸の少なくともいくつかが欠落しているがある抗原に特異的に結合することができる抗体軽鎖または重鎖の一部を指す。そのような断片は、それらが標的抗原に特異的に結合するという点で生物学的活性をもち、所定のエピトープとの特異的結合に無傷抗体と競合し得る。本発明の一態様では、そのような断片は完全長軽鎖または重鎖に存在する少なくとも1つのCDRを保持し、また、いくつかの実施形態では、単一の重鎖および/もしくは軽鎖またはその一部を有し得る。これらの生物学的活性な断片は、組換えDNA技術により生成されてもよく、または、無傷抗体の酵素的開裂または化学的開裂により生成されてもよい。本発明の免疫機能性免疫グロブリン断片として、これに限定されないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、ドメイン抗体、および一本鎖抗体が挙げられ、また、これに限定されるものではないが、ヒト、マウス、ラット、ラクダ科またはウサギなどのいずれの哺乳類源に由来するものであってもよい。独創的な抗体の機能部分、例えば、1以上のCDRは、体内の特定の標的を対象とし、二機能的治療特性(bifunctional therapeutic property)を備えるか、または長期の血清半減期をもつ治療薬を作り出すための第二のタンパク質と、または小分子と共有結合し得ることが、さらに期待される。
「中和抗体」という用語は、リガンドに結合し、リガンドとその結合パートナーとの結合を阻害し、またリガンドとその結合パートナーの結合により生じる他の生物学的応答を中断する抗体を指す。抗体またはその免疫機能性断片の結合性および特異性の評価では、過剰な抗体が、そのリガンドと結合する結合パートナーの量を少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、99%またはそれより多く減少させた場合(インビトロ競合的結合アッセイで測定されるように)、抗体または断片は、リガンドとその結合パートナーとの結合を実質的に阻害している。CLEC2抗体の場合、中和抗体は、CLEC2受容体に結合してリガンドの受容体への結合を防ぐか、またはリガンドに結合してリガンドのCLEC2受容体への結合を防ぐことのいずれかにより、CLEC2経路によるシグナル伝達を阻害する。
本発明の抗体は、解離定数(Kd)が1x10−8Mである時に、その標的抗原と「特異的に結合」しているといわれる。抗体は、Kdが5x10−9Mである時に、抗原と「高親和性」で特異的に結合し、また、Kdが5x10−10Mである時に抗原と「超高親和性」で特異的に結合している。本発明の1つの実施形態では、抗体はKdが1x10−9Mであり、解離速度(off−rate)が約1x10−4/秒である。本発明の1つの実施形態では、解離速度は1x10−5未満である。本発明の他の実施形態では、抗体は、ヒトDKK1に約1x10−8M〜1x10−10MのKdで結合し、また、更に別の実施形態では、抗体は2x10−10のKdで結合する。当業者なら、特異的結合が排他的結合を意味せず、むしろ、互いに親和性をもつグループ間での生物学的反応が代表的であるようにある程度の非特異的結合が可能であることを認識するであろう。
本明細書に使用される場合、「アミノ酸」および「残基」という用語は置き換え可能であり、ペプチドまたはポリペプチドの文脈において使用される場合、天然由来のアミノ酸および合成アミノ酸の両方、ならびにアミノ酸類似体、アミノ酸模倣体および天然由来のアミノ酸に化学的に類似する非天然由来のアミノ酸を指す。
「天然由来のアミノ酸」は、遺伝子コードによりコードされたアミノ酸、ならびに合成後に修飾される遺伝子コードによりコードされたアミノ酸(例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、およびO−ホスホセリン)である。アミノ酸類似体は、天然由来のアミノ酸と同じ基本的な化学構造をもつ化合物、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基に結合するα炭素、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムである。そのような類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を持ち得るが、天然由来のアミノ酸と同じ基本的な化学構造を保持している。
「アミノ酸模倣体」は、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を持つが、天然由来のアミノ酸と同様の方法で機能する化合物である。例としては、アミドのメタクリロイルまたはアクリロイル誘導体、β−、γ−、δ−イミノ酸(例えばピペリジン−4−カルボン酸等)等が挙げられる。
「非天然由来のアミノ酸」は、天然由来のアミノ酸と同じ基本的な化学構造をもつが、翻訳複合体により成長ポリペプチド鎖に組み込まれない化合物である。「非天然由来のアミノ酸」にはまた、これに限定されないが、天然にコードされたアミノ酸(これらに限定されるものではないが、20種類の共通アミノ酸を含む)の修飾(例えば、翻訳後修飾)により生じたアミノ酸が挙げられるが、翻訳複合体により成長ポリペプチド鎖にそれ自体が天然に組み込まれてはいない。ポリペプチド配列に挿入することが可能な、またはポリペプチド配列の野生型残基と置き換えることが可能な非天然由来のアミノ酸の例である非限定的列挙としては、β−アミノ酸、ホモアミノ酸、環状アミノ酸、および誘導体化された側鎖をもつアミノ酸が挙げられる。例としては、(L型またはD型で;括弧内に略語を記載する):シトルリン(Cit)、ホモシトルリン(hCit)、Nα−メチルシトルリン(NMeCit)、Nα−メチルホモシトルリン(Nα−MeHoCit)、オルニチン(Orn)、Nα−メチルオルニチン(Nα−MeOrnまたはNMeOrn)、サルコシン(Sar)、ホモリジン(hLysまたはhK)、ホモアルギニン(hArgまたはhR)、ホモグルタミン(hQ)、Nα−メチルアルギニン(NMeR)、Nα−メチルロイシン(Nα−MeLまたはNMeL)、N−メチルホモリジン(NMeHoK)、Nα−メチルグルタミン(NMeQ)、ノルロイシン(Nle)、ノルバリン(Nva)、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(Tic)、オクタヒドロインドール−2−カルボン酸(Oic)、3−(1−ナフチル)アラニン(1−Nal)、3−(2−ナフチル)アラニン(2−Nal)、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(Tic)、2−インダニルグリシン(IgI)、パラ−ヨードフェニルアラニン(pI−Phe)、パラ−アミノフェニルアラニン(4AmPまたは4−アミノ−Phe)、4−グアニジノフェニルアラニン(Guf)、グリシルリジン(「K(Nε−glycyl)」または「K(glycyl)」または「K(gly)」と略される)、ニトロフェニルアラニン(nitrophe)、アミノフェニルアラニン(aminopheまたはAmino−Phe)、ベンジルフェニルアラニン(benzylphe)、γ−カルボキシグルタミン酸(γ−carboxyglu)、ヒドロキシプロリン(hydroxypro)、p−カルボキシル−フェニルアラニン(Cpa)、α−アミノアジピン酸(Aad)、Nα−メチルバリン(NMeVal)、N−α−メチルロイシン(NMeLeu)、Nα−メチルノルロイシン(NMeNle)、シクロペンチルグリシン(Cpg)、シクロヘキシルグリシン(Chg)、アセチルアルギニン(acetylarg)、α,β−ジアミノプロピオン酸(Dpr)、α,γ−ジアミノ酪酸(Dab)、ジアミノプロピオン酸(Dap)、シクロヘキシルアラニン(Cha)、4−メチル−フェニルアラニン(MePhe)、β,β−ジフェニル−アラニン(BiPhA)、アミノ酪酸(Abu)、4−フェニル−フェニルアラニン(またはビフェニルアラニン;4Bip)、α−アミノ−イソ酪酸(Aib)、ベータ−アラニン、ベータ−アミノプロピオン酸、ピペリジン酸、アミノカプロン酸(aminocaprioic acid)、アミノへプタン酸、アミノピメリン酸、デスモシン、ジアミノピメリン酸、N−エチルグリシン、N−エチルアスパラギン、ヒドロキシリジン、アロ−ヒドロキシリジン、イソデスモシン、アロ−イソロイシン、N−メチルグリシン、N−メチルイソロイシン、N−メチルバリン、4−ヒドロキシプロリン(Hyp)、γ−カルボキシグルタミン酸塩、ε−N,N,N−トリメチルリジン、ε−N−アセチルリジン、O−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリジン、ω−メチルアルギニン、4−アミノ−O−フタル酸(4APA)、および他の同様のアミノ酸、ならびに具体的に列挙したアミノ酸のいずれの誘導体化型が挙げられる。
「単離核酸分子」という用語は、5’末端から3’末端までを読み取ったデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド塩基の一本鎖または二本鎖のポリマー(例えば、本明細書に記載のClec−2細胞外ドメイン核酸配列)、またはその類似体を指し、全核酸を供給源細胞から単離する時に、ポリペプチド、ペプチド、脂質、炭水化物、ポリヌクレオチド、または他の材料の少なくとも約50%から分離されたものであり、これらにより核酸が自然に見いだされる。好ましくは、単離核酸分子は、実質的に、いかなる他の汚染核酸分子、または、ポリペプチド生成への使用、または治療的、診断的、予防的、もしくは研究への使用を妨げる自然環境中に見いだされる核酸のいかなる他の分子も含まない。
「単離ポリペプチド」という用語は、ポリペプチド(例えば、本明細書に記載のCLEC2細胞外ドメインポリペプチド配列)を指し、全核酸を供給源細胞から単離する時に、ポリペプチド、ペプチド、脂質、炭水化物、ポリヌクレオチド、または他の材料の少なくとも約50%から分離されたものであり、これらにより核酸が自然に見いだされる。好ましくは、単離ポリペプチドは、実質的に、いかなる他の汚染ポリペプチド、または治療的、診断的、予防的、もしくは研究への使用を妨げる自然環境中に見いだされるいかなる他の汚染物質も含まない。
「コードすること」という用語は、1以上のアミノ酸をコードするポリヌクレオチド配列を指す。この用語は、開始コドンおよび終止コドンを必要としない。アミノ酸配列は、ポリヌクレオチド配列により得られる6種類の異なるリーディングフレームのいずれか1つにコードされ得る。
「同一の」およびパーセント「同一性」という用語は、2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈では、それと同じものである2以上の配列または部分配列を指す。「パーセント同一性」は、比較される分子のアミノ酸またはヌクレオチド間の同一残基のパーセントを意味し、比較される分子の最小サイズに基づいて計算される。これらの計算について、アライメントのギャップ(もしあるとするならば)は、ある特定の数理モデルまたはコンピュータプログラム(すなわち、「アルゴリズム」)により対処され得る。アライメントした核酸またはポリペプチドの同一性を計算するために使用され得る方法としては、Computational Molecular Biology,(Lesk, A. M., ed.),(1988)New York: Oxford University Press;Biocomputing Informatics and Genome Projects,(Smith, D. W., ed.), 1993, New York: Academic Press;Computer Analysis of Sequence Data, Part I,(Griffin, A. M., and Griffin, H. G., eds.), 1994, New Jersey: Humana Press;von Heinje, G.,(1987) Sequence Analysis in Molecular Biology, New York: Academic Press;Sequence Analysis Primer,(Gribskov, M. and Devereux, J., eds.), 1991, New York: M. Stockton Press;およびCarillo et al.,(1988)SIAM J. Applied Math. 48:1073に記載された方法が挙げられる。
パーセント同一性を計算する際、比較する配列は、配列間で最大の適合を生じるように整列される。パーセント同一性を決定するために使用されるコンピュータプログラムは、GCGプログラムパッケージであり、GAP(Devereux et al.,(1984)Nucl. Acid Res. 12:387; Genetics Computer Group, University of Wisconsin, Madison, WI)が挙げられる。コンピュータアルゴリズムGAPは、パーセント配列同一性を決定すべき2つのポリペプチドまたはポリヌクレオチドを整列するために使用される。配列は、それぞれのアミノ酸またはヌクレオチドを最適に一致させるために整列される(アルゴリズムにより決定されるような「一致スパン(matched span)」)。ギャップ開始ペナルティ(平均対角(average diagonal)の3倍として計算され、ここで「平均対角」は使用される比較行列の対角の平均であり;「対角」は各完全アミノ酸一致を特定の比較行列により割り当てられるスコアまたは数値である)およびギャップ伸長ペナルティ(通常はギャップ開始ペナルティの1/10である)、ならびにPAM250またはBLOSUM62等の比較行列(comparison matrix)が、アルゴリズムと併せて使用される。ある実施形態では、標準比較行列(Dayhoff et al.,(1978)Atlas of Protein Sequence and Structure 5:345−352 for the PAM 250 comparison matrix;Henikoff et al.,(1992)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89:10915−10919 for the BLOSUM 62 comparison matrixを参照のこと)もまた、アルゴリズムによって使用される。
GAPプログラムを使用してポリペプチドまたは塩基配列のパーセント同一性を決定するための推奨パラメータは以下のとおりである:
アルゴリズム:Needleman et al., 1970, J. Mol. Biol. 48:443−453;
比較行列:Henikoff et al., 1992、前出によるBLOSUM 62;
ギャップペナルティ:12(しかし末端ギャップについてペナルティは含まない)
ギャップ長ペナルティ:4
類似度のしきい値:0。
アルゴリズム:Needleman et al., 1970, J. Mol. Biol. 48:443−453;
比較行列:Henikoff et al., 1992、前出によるBLOSUM 62;
ギャップペナルティ:12(しかし末端ギャップについてペナルティは含まない)
ギャップ長ペナルティ:4
類似度のしきい値:0。
2つのアミノ酸配列を整列させるためのあるアライメントスキームにより、2つの配列の短い領域のみの適合を生じ得るが、また、2個の完全長配列間に有意に関連しない場合でも、この小さな整列された領域は非常に高い配列同一性を有し得る。したがって、選択されるアライメント方法(例えば、GAPプログラム)は、もし望むなら、標的ポリペプチドの少なくとも50個の隣接アミノ酸におよぶアライメントを生じさせるために補正し得る。
「Clec−2阻害剤」または「CLEC2阻害剤」という用語は、Clec−2経路によるシグナル伝達に対し、阻害効果をもつ分子を指す。Clec−2阻害剤は、Clec−2受容体に結合する、またはClec−2受容体のリガンドに結合する、または、Clec−2細胞外ドメインの受容体に結合する中和抗体を含んでいてもよい。Clec−2阻害剤はまた、Clec−2受容体の一部を含む分子、特にヒトClec−2受容体の細胞外ドメインまたはその断片を含んでいてもよい。
「CLEC2ポリペプチド」および「CLEC2タンパク質」ならびに「Clec−2ポリペプチド」および「Clec−2タンパク質」ならびに「CLEC2受容体」および「Clec−2受容体」という用語は、同じ意味で使用され、哺乳類(例えば、ヒトまたはマウス等)で発現される天然由来の野生型ポリペプチドを意味する。本開示の目的で、「CLEC2ポリペプチド」および「CLEC2タンパク質」ならびに「Clec−2ポリペプチド」および「Clec−2タンパク質」ならびに「CLEC2受容体」および「Clec−2受容体」という用語は、同じ意味で使用し得、完全長ヒトアイソタイプ1Clec−2ポリペプチド、例えば229アミノ酸残基からなり、かつ、配列番号2の核酸配列によりコードされる配列番号1、細胞外ドメイン、例えば179アミノ酸からなり、かつ、配列番号4の核酸配列によりコードされる配列番号3であり、細胞質ドメイン(配列番号中の残基1〜33)および膜貫通ドメイン(配列番号1の残基34〜54)が取り除かれた細胞外ドメインを含むいずれの形態、完全長ヒトアイソタイプ2、例えば196残基からなり、配列番号6の核酸配列によりコードされた配列番号5のいずれの形態、および細胞内ドメインおよび膜貫通ドメインが取り除かれた細胞外ドメインを含むCLEC2ポリペプチドのいずれの形態、を指す。CLEC2ポリペプチドは、その必要はないが、遺伝子操作によってまたは細菌の発現プロセスの結果として導入されてもよいアミノ末端メチオニンを含み得る。
「CLEC2ポリペプチド」という用語はまた、天然由来のCLEC2ポリペプチド配列(例えば、配列番号1、3または5)が修飾されたCLEC2ポリペプチドを包含する。そのような修飾には、これに限定されないが、1以上のアミノ酸置換(非天然由来のアミノ酸、非天然由来のアミノ酸類似体、およびアミノ酸模倣体による置換を含む)が挙げられる。
様々な実施形態では、CLEC2ポリペプチドは、天然由来のCLEC2ポリペプチド(例えば、配列番号1、3または5)と少なくとも約85パーセント同一性を示すアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、CLEC2ポリペプチドは、天然由来のCLEC2ポリペプチドアミノ酸配列(例えば、配列番号1、3または5)と少なくとも約90パーセント、または約95、96、97、98、または99パーセントの同一性を示すアミノ酸配列を含む。そのようなCLEC2ポリペプチドは、その必要はないが、好ましくは、血糖値、インスリン濃度、もしくはトリグリセリド濃度の低下能力、または耐糖能を改善させる能力等の、野生型CLEC2ポリペプチドの少なくとも1つの活性を備えている。本発明はまた、そのようなCLEC2ポリペプチド配列をコードする核酸分子を包含する。
本明細書に記載のように、CLEC2ポリペプチドは、細胞内ドメインおよび膜貫通ドメイン(配列番号3の残基1〜54)を含むものか、または、細胞内ドメインおよび膜貫通ドメインが取り除かれたものであり得る(配列番号3に記載)。CLEC2ポリペプチドの天然由来の生物学的活性をもつ形態は、ホモ二量体である。場合によっては、CLEC2ポリペプチドは、対象の代謝性障害を治療または改善するために使用し得、対象と同じ種に由来するCLEC2ポリペプチドの成熟形態での細胞外ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CLEC2ポリペプチドはCLEC2ポリペプチドの血清半減期を延長するために変更される。例えば、いくつかの実施形態では、細胞外ドメインは、当技術分野で公知の方法を使用して、免疫グロブリンの定常領域に融合される。
1つの実施形態では、CLEC2ポリペプチドは、ヒト免疫グロブリン定常領域に融合させたClec−2ヒト細胞外ドメインを含み、かつ、以下の415アミノ酸配列を含み:
ポリペプチドは、好ましくは生物学的活性をもつ。様々なそれぞれの実施形態では、CLEC2ポリペプチドは、CLEC2成熟タンパク質の細胞外ドメイン(細胞質ドメインおよび膜貫通ドメインがCLEC2完全長配列から取り除かれた)の天然由来形態と同等の、それ以上の、またはそれより低い生物学的活性をもつ。生物学的活性の例としては血糖値、インスリン濃度、もしくはトリグリセリド濃度の低下能力、または耐糖能の改善能力が挙げられる。
「治療有効用量(therapeutically effective dose)」および「治療有効量」という用語は、本明細書に使用される場合、研究者、獣医、医師、又は他の臨床専門家により探求される、組織系、動物またはヒトでの生物学的応答または薬剤応答(治療中の疾患または障害の症状の軽減または改善が含まれている)を引き出すCLEC2ポリペプチドに特異的に結合するCLEC2ポリペプチドまたはCLEC2抗体の量、すなわち1以上の所望の生物学的応答または薬剤応答、例えば血糖値、インスリン濃度、もしくはトリグリセリド濃度の低下、または耐糖能もしくはインスリン感受性の改善の、識別可能なレベルを支持するCLEC2ポリペプチドに特異的に結合するCLEC2ポリペプチドまたは抗体の量を意味する。
「上昇した(elevated)」という用語は、本明細書に使用される場合、医学界で基準として設定されているしきい値より高いレベルを意味する。例えば、いくつかの実施形態では、治療を受ける対象は、上昇したグルコース濃度、特に100mg/dl以上の上昇した血糖値、特に126mg/dl以上の上昇した血糖値を含み得る。いくつかの実施形態では、治療を受ける対象は、上昇したインスリン濃度、特に20mU/l以上の上昇した血漿インスリン濃度、特に24.9mU/l以上の上昇した血漿インスリン濃度を含み得る。いくつかの実施形態では、治療を受ける対象は、上昇したトリグリセリド濃度、特に175mg/dl以上の上昇した血中トリグリセリド濃度、特に200mg/dl以上の上昇した血中トリグリセリド濃度を含み得る。
「改善した(improved)」という用語は、本明細書に使用される場合、対象での応答または病的状態が、CLEC2ポリペプチドまたはCLEC2抗体の投与後に、投与前の対象での応答より良くなることを意味する。例えばOGTT試験では、改善した応答とは、CLEC2ポリペプチドまたはCLEC2抗体の投与後の時点での血糖値が、CLEC2ポリペプチドまたはCLEC2抗体の初回投与前のOGTT試験での血糖値と比較して低下していることである。
II.CLEC2ポリペプチドおよび核酸
本明細書に開示のように、本開示により記載されるCLEC2ポリペプチドは、標準の分子生物学的手法を使用して遺伝子操作および/または生成され得る。様々な例では、配列番号1、3または5の全てまたは一部を含み得るCLEC2をコードする核酸配列は、適切なオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、ゲノムDNAまたはcDNAから単離および/または増幅され得る。プライマーは、本明細書で提供される核酸のアミノ酸配列に基づき、標準の(RT)−PCR増幅方法にしたがって設計され得る。次いで、増幅されたCLEC2核酸は、好適なベクターにクローニングされ、DNA配列分析により特徴化され得る。
本明細書に開示のように、本開示により記載されるCLEC2ポリペプチドは、標準の分子生物学的手法を使用して遺伝子操作および/または生成され得る。様々な例では、配列番号1、3または5の全てまたは一部を含み得るCLEC2をコードする核酸配列は、適切なオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、ゲノムDNAまたはcDNAから単離および/または増幅され得る。プライマーは、本明細書で提供される核酸のアミノ酸配列に基づき、標準の(RT)−PCR増幅方法にしたがって設計され得る。次いで、増幅されたCLEC2核酸は、好適なベクターにクローニングされ、DNA配列分析により特徴化され得る。
本明細書で提供されるCLEC2配列の全てまたは一部を単離または増幅する際のプローブとして使用するオリゴヌクレオチドは、標準の合成手法、例えば、DNA自動合成装置を使用して設計または作製され得るか、またはDNAのより長い配列から単離され得る。
II.A.天然由来および変異型CLEC2ポリペプチドおよびポリヌクレオチド配列
インビボで、CLEC2は2種類のアイソフォームで生じる。完全長ヒトCLEC2アイソフォーム1の229アミノ酸配列は以下のとおりであり:
インビボで、CLEC2は2種類のアイソフォームで生じる。完全長ヒトCLEC2アイソフォーム1の229アミノ酸配列は以下のとおりであり:
細胞外ドメインはアミノ酸第51番目からアミノ酸第229番目までであり、以下の配列をもつ179アミノ酸長であり:
完全長ヒトCLEC2アイソフォーム2の196アミノ酸配列は以下のとおりであり:
229アミノ酸の完全長マウスアイソフォーム1は以下のとおりであり:
マウスCLEC2細胞外ドメインの179アミノ酸配列は以下のとおりであり:
本明細書に記載のように、「CLEC2ポリペプチド」という用語は、ヒトアミノ酸配列、配列番号1、3または5を含むCLEC2ポリペプチドを指す。しかし、「CLEC2ポリペプチド」という用語はまた、天然由来のGDFポリペプチド配列、例えば、配列番号1、3または5のアミノ酸配列とは、1以上のアミノ酸で異なるアミノ酸配列を含むポリペプチドを包含し、したがって配列は、配列番号1、3または5と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の同一性を示す。CLEC2ポリペプチドは、CLEC2ポリペプチドの特定の位置で、1以上のアミノ酸置換(保存的もしくは非保存的いずれかで、かつ天然由来または非天然由来のアミノ酸を使用して)を導入することにより生成され得る。
「保存的アミノ酸置換」には、天然アミノ酸残基(すなわち野生型CLEC2ポリペプチド配列の所定の位置で見出される残基)の非天然残基(すなわち野生型CLEC2ポリペプチド配列の所定の位置で見出されない残基)による置換が含まれ、したがって所定位置でのアミノ酸残基の極性または電荷の影響はほとんどまたは全くない。保存的アミノ酸置換はまた、代表的には、生物系の合成よりむしろペプチド化学合成法により組み込まれる非天然由来のアミノ酸残基を包含する。これらの残基には、ペプチド模倣物、およびアミノ酸部分の他の反転型または逆位型が含まれる。
天然由来の残基は、側鎖の共通の性質に基づき分類することができる:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性(neutral hydrophilic):Cys、Ser、Thr;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:Asn、Gln、His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響を与える残基:Gly、Pro;および
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性(neutral hydrophilic):Cys、Ser、Thr;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:Asn、Gln、His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響を与える残基:Gly、Pro;および
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
アミノ酸のさらなる群がまた、例えばCreighton(1984)PROTEINS: STRUCTURE AND MOLECULAR PROPERTIES(2d Ed. 1993), W.H. Freeman and Companyに記載される原理を使用して系統化され得る。場合によっては、2以上のそのような性質に基づく置換をさらに特徴化するのに有用であり得る(例えば、Thr残基等の「低い極性」残基による置換は、適切な文脈では、高い保存的置換を表し得る)。
保存的置換は、これらの分類のうち1種類のあるメンバーの、同種類の別のメンバーへの交換に関連し得る。非保存的置換は、上記分類のうち1種類のあるメンバーの、別の種類のメンバーへの交換に関連し得る。
上記分類のうち既知の類似した生理化学的性質をもつ合成アミノ酸残基、希アミノ酸残基または修飾アミノ酸残基は、ある配列において「保存的」置換基としてある特定のアミノ酸残基に使用され得る。例えば、D−Arg残基は、代表的なL−Arg残基の置換基の役割を果たしてもよい。特定の置換が、2以上の上記分類に関して記載し得る場合もまたあり得る(例えば、小分子(small)で疎水性の残基による置換は、1つのアミノ酸を、上記分類の両方に記載される残基、または、両方の定義に一致するそのような残基と類似する生理化学的性質をもつ当技術分野に公知の他の合成、希少、もしくは修飾残基で置換することを意味する)。
本明細書で提供されるCLEC2ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号2、4または6に縮重(degenerate)したもの、および配列番号1、3、または5のポリペプチド変異型をコードするものを含む)は、本開示の他の態様を形成する。
II.B. CLEC2ベクター
本明細書で提供されるCLEC2核酸配列を発現させるため、適切なコード配列、例えば、配列番号2、4、6、8、10、11、または12は、好適なベクターにクローニングされ得、そして好適な宿主に導入後、配列を発現させて当技術分野で公知の標準のクローニングおよび発現技術(例えばSambrook, J., Fritsh, E. F., and Maniatis, T. Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd, ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989に記載)にしたがってコードされたポリペプチドを生成し得る。本発明はまた、本発明による核酸配列を含むそのようなベクターに関する。
本明細書で提供されるCLEC2核酸配列を発現させるため、適切なコード配列、例えば、配列番号2、4、6、8、10、11、または12は、好適なベクターにクローニングされ得、そして好適な宿主に導入後、配列を発現させて当技術分野で公知の標準のクローニングおよび発現技術(例えばSambrook, J., Fritsh, E. F., and Maniatis, T. Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd, ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989に記載)にしたがってコードされたポリペプチドを生成し得る。本発明はまた、本発明による核酸配列を含むそのようなベクターに関する。
「ベクター」は、(a)ポリペプチドコード核酸配列の発現を促進する;(b)それにより得られたポリペプチドの生成を促進する;(c)それを用いて標的細胞のトランスフェクション/形質転換を促進する;(d)核酸配列の複製を促進する;(e)核酸の安定性を促進する;(f)核酸および/または形質転換された/トランスフェクトされた細胞の検出を促進する;および/または(g)その他、ポリペプチドコード核酸に有利な生物学的および/または生理化学的機能を与える、送達担体(delivery vehicle)を指す。ベクターは、いずれの好適なベクターであり得、例えば染色体の、非染色体の、および合成された核酸ベクター(発現制御エレメント(expression control element)の好適なセットを含む核酸配列)が挙げられる。そのようなベクターの例としては、SV40の派生物、細菌プラスミド、ファージDNA、バキュロウイルス、酵母プラスミド、プラスミドとファージDNAの組合せに由来するベクター、およびウイルス核酸(RNAまたはDNA)ベクターが挙げられる。
組換え発現ベクターは、CLEC2タンパク質発現用に、原核生物(例えば大腸菌)または真核細胞(例えば、昆虫細胞、バキュロウイルス発現ベクターを使用して、酵母細胞、もしくは哺乳類細胞)で設計され得る。典型的な宿主細胞としては、クローン化および発現に使用される宿主細胞が挙げられ、例えば大腸菌株TOP10F’、TOP10、DH10B、DH5a、HB101、W3110、BL21(DE3)およびBL21(DE3)pLysS、BLUESCRIPT(Stratagene)、哺乳類細胞株CHO、CHO−K1、HEK293、293−EBNA pINベクター(Van Heeke & Schuster, J. Biol. Chem. 264: 5503−5509(1989);pETベクター(Novagen, Madison Wis.)が挙げられる。あるいは、組換え発現ベクターは、インビトロで、例えばT7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼ、ならびにインビトロ翻訳系を使用して、転写および翻訳され得る。好ましくは、ベクターは、ポリペプチドをコードする核酸配列を含有するクローニング部位のプロモーター上流を含有する。プロモーター(オン・オフの切り替えが可能な)の例としては、lacプロモーター、T7プロモーター、trcプロモーター、tacプロモーター、およびtrpプロモーターが挙げられる。
したがって、本明細書では、組換えCLEC2の発現を促進する核酸配列コードCLEC2を含むベクターが提供される。様々な実施形態では、ベクターは、CLEC2の発現を調節する作動可能に連結された塩基配列を含む。ベクターは、いずれの好適なプロモーター、エンハンサー、および他の発現誘導性要素(expression−facilitating element)を含むか、または、これらと関連するものであり得る。そのような要素の例としては、強発現プロモーター(例えば、ヒトCMV IEプロモーター/エンハンサー、RSVプロモーター、SV40プロモーター、SL3−3プロモーター、MMTVプロモーター、またはHIV LTRプロモーター、EF1αプロモーター、CAGプロモーター)、効果的なポリ(A)終結配列、大腸菌のプラスミド産物の複製起点、選択可能なマーカーとしての抗生物質抵抗性遺伝子、および/または好都合なクローニング部位(例えば、ポリリンカー)が挙げられる。ベクターはまた、CMV IE等の構成的プロモーターと対立するものとして、誘導性プロモーターを含み得る。一態様では、CLEC2ポリペプチドをコードする配列を含む核酸を提供し、当該配列は、肝臓または膵臓組織等の代謝に関連した組織での配列の発現を促進させる組織特異的プロモーターと作動可能に連結している。
II.C. 宿主細胞
本開示の別の態様では、本明細書に開示のCLEC2核酸およびベクターを含む宿主細胞が提供される。様々な実施形態では、ベクターまたは核酸が宿主細胞ゲノムに組み込まれ、他の実施形態では、ベクターまたは核酸が染色体外にある。
本開示の別の態様では、本明細書に開示のCLEC2核酸およびベクターを含む宿主細胞が提供される。様々な実施形態では、ベクターまたは核酸が宿主細胞ゲノムに組み込まれ、他の実施形態では、ベクターまたは核酸が染色体外にある。
そのような核酸、ベクター、またはそのいずれかの組合せもしくは両方の組合せを含む組換え細胞、例えば酵母細胞、細菌細胞(例えば大腸菌)、および哺乳類細胞(例えば不死化哺乳類細胞)が提供される。様々な実施形態では、一体化されていない核酸(例えばプラスミド、コスミド、ファージミド、または線形発現要素(linear expression element)等)を含み、CLEC2ポリペプチドの発現のための発現コードを含む細胞が提供される。
本明細書で提供されるCLEC2ポリペプチドをコードする核酸配列を含むベクターは、形質転換によってまたはトランスフェクションによって宿主細胞に導入され得る。細胞を発現ベクターにより形質転換する方法は、周知である。
CLEC2コード核酸は、宿主細胞もしくは宿主動物に、位置し得るおよび/またはウイルスベクターにより送達され得る。いずれの好適なウイルスベクターも、その容量において使用し得る。ウイルスベクターは、いずれの数のウイルスポリヌクレオチドを、単独で、または1以上のウイルスタンパク質との組み合わせで含み得、所望の宿主細胞での本発明の核酸の送達、複製、および/または発現を促進させる。ウイルスベクターは、ウイルス核酸とCLEC2ポリペプチドコード核酸を含むウイルスゲノム、ウイルスタンパク質/核酸結合物、ウイルス様粒子(VLP)、または無傷のウイルス粒子の全体または一部を含むポリヌクレオチドであり得る。ウイルス粒子のウイルスベクターは、野生型ウイルス粒子または修飾されたウイルス粒子を含み得る。ウイルスベクターは、複製および/または発現に、別のベクターまたは野生型ウイルスの存在が必要なベクター(例えば、ウイルスベクターはヘルパー依存性のウイルスであり得る)、例えばアデノウイルスベクター単位複製配列等であり得る。代表的には、そのようなウイルスベクターは、野生型ウイルス粒子、または、導入遺伝子容量を増加させるため、または核酸(そのようなベクターの例としては、ヘルペスウイルス/AAV単位複製配列が挙げられる)のトランスフェクションおよび/もしくは発現を補助するためにそのタンパク質および/または核酸内容物で修飾されたウイルス粒子からなる。代表的には、ウイルスベクターは、通常、ヒトに感染するウイルスに類似するおよび/または由来する。この点において、好適なウイルスベクター粒子としては、例えば、アデノウイルスベクター粒子(アデノウイルス科のウイルスのまたはそれらに由来するいずれのウイルスを含む)、アデノ関連ウイルスベクター粒子(AAVベクター粒子)、または他のパルボウイルスおよびパルボウイルスベクター粒子、パピローマウイルスベクター粒子、フラビウイルスベクター、アルファウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、レトロウイルスベクター(レンチウイルスベクターを含む)が挙げられる。
II.D. CLEC2ポリペプチドの単離
本明細書に記載のように発現されたCLEC2ポリペプチドは、標準のタンパク質精製方法を使用して単離され得る。CLEC2ポリペプチドは、それが天然に発現する細胞から単離され得、または遺伝子操作されてCLEC2を発現する細胞、例えば天然にはCLEC2を発現しない細胞から単離され得る。
本明細書に記載のように発現されたCLEC2ポリペプチドは、標準のタンパク質精製方法を使用して単離され得る。CLEC2ポリペプチドは、それが天然に発現する細胞から単離され得、または遺伝子操作されてCLEC2を発現する細胞、例えば天然にはCLEC2を発現しない細胞から単離され得る。
CLEC2ポリペプチドを単離するために採用され得るタンパク質精製方法、ならびに関連する材料および試薬は、当技術分野で知られている。CLEC2ポリペプチドを精製する例示的な方法を本明細書の実施例において以下に記載する。CLEC2ポリペプチドの単離に有用であろう、さらなる精製方法が、Bootcov MR, 1997, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:11514−9, Fairlie WD, 2000, Gene 254: 67−76等の参考文献に見いだすことができる。
III. 抗CLEC2抗体
本発明の抗体としては、CLEC2受容体に、例えば配列番号1、3、5、7、9のアミノ酸配列を含むポリペプチドに、またはCLEC2受容体もしくはCLEC2細胞外ドメインの受容体に対するリガンドに結合するモノクローナル抗体、が挙げられる。モノクローナル抗体は、当技術分野に公知のいずれの技術を使用して、例えば免疫化スケジュールの完了後にトランスジェニック動物から採取された脾臓細胞を不死化することによって、生成してもよい。脾臓細胞は、当技術分野に公知のいずれの技術を使用して、例えば脾臓細胞を骨髄腫細胞と融合することにより不死化され、ハイブリドーマを生成し得る。ハイブリドーマ生成融合手順に使用するための骨髄腫細胞は、好ましくは、非抗体生成のものであり、高い融合率(fusion efficiency)、および、酵素欠損をもつ(所望の融合細胞(ハイブリドーマ)のみの増殖を支持するある選択的培地で増殖できないようにする)。マウスの融合に使用される好適な細胞株の例としては、Sp−20、P3−X63/Ag8、P3−X63−Ag8.653、NS1/1.Ag41、Sp210−Ag14、FO、NSO/U、MPC−11、MPC11−X45−GTG1.7、およびS194/5XXO Bulが挙げられ;ラットの融合に使用される細胞株の例としては、R210.RCY3、Y3−Ag1.2.3、IR983F、および4B210が挙げられる。細胞融合に有用な他の細胞株には、U−266、GM1500−GRG2、LICR−LON−HMy2、およびUC729−6がある。
本発明の抗体としては、CLEC2受容体に、例えば配列番号1、3、5、7、9のアミノ酸配列を含むポリペプチドに、またはCLEC2受容体もしくはCLEC2細胞外ドメインの受容体に対するリガンドに結合するモノクローナル抗体、が挙げられる。モノクローナル抗体は、当技術分野に公知のいずれの技術を使用して、例えば免疫化スケジュールの完了後にトランスジェニック動物から採取された脾臓細胞を不死化することによって、生成してもよい。脾臓細胞は、当技術分野に公知のいずれの技術を使用して、例えば脾臓細胞を骨髄腫細胞と融合することにより不死化され、ハイブリドーマを生成し得る。ハイブリドーマ生成融合手順に使用するための骨髄腫細胞は、好ましくは、非抗体生成のものであり、高い融合率(fusion efficiency)、および、酵素欠損をもつ(所望の融合細胞(ハイブリドーマ)のみの増殖を支持するある選択的培地で増殖できないようにする)。マウスの融合に使用される好適な細胞株の例としては、Sp−20、P3−X63/Ag8、P3−X63−Ag8.653、NS1/1.Ag41、Sp210−Ag14、FO、NSO/U、MPC−11、MPC11−X45−GTG1.7、およびS194/5XXO Bulが挙げられ;ラットの融合に使用される細胞株の例としては、R210.RCY3、Y3−Ag1.2.3、IR983F、および4B210が挙げられる。細胞融合に有用な他の細胞株には、U−266、GM1500−GRG2、LICR−LON−HMy2、およびUC729−6がある。
場合によっては、ハイブリドーマ細胞株は、動物(例えば、ヒト免疫グロブリン配列をもつトランスジェニック動物)をCLEC2受容体またはCLEC2受容体抗原のリガンドにより免疫化し;免疫化した動物から脾臓細胞を採取し;採取した脾臓細胞を骨髄腫細胞株と融合して、これによりハイブリドーマ細胞を作製し;ハイブリドーマ細胞からハイブリドーマ細胞株を樹立し、そしてCLEC2受容体またはCLEC2受容体のリガンドに結合する抗体を生成するハイブリドーマ細胞株を同定することにより生成される。そのようなハイブリドーマ細胞株、およびそれらにより生成された抗CLEC2モノクローナル抗体は、本発明により包含する。
ハイブリドーマ細胞株により分泌されたモノクローナル抗体は、抗体技術分野で公知のいずれの有用な技術を使用して、精製され得る。ハイブリドーマまたはmAbは、さらに、CLEC2誘導活性を阻止する能力などの特定の性質を備えたmAbを同定するために、スクリーニングを行ってもよい。
前述の配列に基づくキメラ抗体およびヒト化抗体もまた、本発明により提供される。治療薬用のモノクローナル抗体は、使用前に、様々な方法で修飾されてもよい。一例は「キメラ」抗体であり、キメラ抗体は、共有結合で結合して機能的な免疫グロブリン軽鎖もしくは重鎖、またはその免疫機能性部分を生成した、異なる抗体からのタンパク質セグメントからなる抗体である。一般に、重鎖および/または軽鎖の一部は、特定の種に由来するか、または別の抗体の分類もしくは亜分類に属する抗体の対応する配列と同一性または相同性をもつが、本鎖の残部は、別の種に由来するか、または別の抗体の分類もしくは亜分類に属する抗体の対応する配列と同一性または相同性をもつ。キメラ抗体に関する方法について、例えば、米国特許第4,816,567号;およびMorrison et al.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851−6855(1985)を参照されたい。CDRグラフティング法は、例えば、米国特許第6,180,370号、第5,693,762号、第5,693,761号、第5,585,089号、および第5,530,101号に記載されている。
一般に、キメラ抗体作製の目標は、対象とする患者種からのアミノ酸数が最大となるキメラを作り出すことである。一例は、抗体がある特定の種に由来するかまたは特定の抗体の分類もしくは亜分類に属する1以上の相補性決定領域(CDR)を含むが、抗体鎖の残部が、別の種に由来するかまたは別の抗体の分類もしくは亜分類に属する抗体の対応する配列と同一性または相同性をもつ、「CDR−グラフティングした」抗体である。ヒトでの使用について、齧歯類抗体からのV領域または選択されたCDRが、多くの場合、ヒト抗体にグラフトされ、ヒト抗体の天然由来のV領域またはCDRに置き換えられる。
本発明により提供されるキメラ抗体の有用な一つのタイプは、「ヒト化」抗体である。一般に、ヒト化抗体は、非ヒト動物で最初に産生(raise)されたモノクローナル抗体から生成される。このモノクローナル抗体での、あるアミノ酸残基(代表的には、抗体の非抗原認識部分に由来する)は、対応するアイソタイプのヒト抗体の対応する残基と相同性をもつように修飾される。ヒト化は、例えば、ヒト抗体の対応する領域について齧歯類の可変領域の少なくとも一部を置換することによる様々な方法を使用して実施し得る(例えば、米国特許第5,585,089号および第5,693,762号;Jones et al., 1986, Nature 321:522−25; Riechmann et al., 1988, Nature 332:323−27;Verhoeyen et al., 1988, Science 239:1534−36を参照のこと)。ある実施形態では、ヒト以外の種からの定常領域が、ヒト可変領域と共に使用されてハイブリッド抗体を生成し得る。
完全ヒト抗体もまた、提供される。ヒトの抗原への曝露なしに所定の抗原に特異的な完全ヒト抗体を作製するいくつかの方法が利用できる(「完全ヒト抗体」)。完全ヒト抗体の生成を実行するための一手段は、マウスの液性免疫系の「ヒト化」である。ヒト免疫グロブリン(Ig)遺伝子座のマウス(内在性Ig遺伝子が不活性化された状態の)への導入は、完全ヒトモノクローナル抗体(MAb)をマウス、すなわちいずれの望ましい抗原により免疫化され得る動物で生成する一つの手段である。完全ヒト抗体の使用は、マウスMabまたはマウス誘導体化Mabをヒトに治療薬として投与することで時折生じる免疫原性応答およびアレルギー性応答を、最小限にし得る。
完全ヒト抗体は、内在性免疫グロブリン生成がない状態でヒト抗体のレパートリを生成することができるトランスジェニック動物(通常はマウス)を免疫化することにより生成され得る。本目的の抗原は、代表的には、6以上の隣接アミノ酸を有し、また、随意に、ハプテン等の担体と結合する。例えば、Jakobovits et al., 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:2551−2555; Jakobovits et al., 1993, Nature 362:255−258;およびBruggermann et al., 1993, Year in Immunol. 7:33を参照されたい。そのような方法の一例では、トランスジェニック動物は、マウスの重鎖および軽鎖免疫グロブリン鎖をコードする内在性マウス免疫グロブリン遺伝子座をその中からなくし、ヒトの重鎖および軽鎖タンパク質をコードする遺伝子座を含有するヒトゲノムDNAのマウスゲノム大断片に挿入することにより、作製される。部分的には、修飾された動物(ヒト免疫グロブリン遺伝子座の完全な補体(full complement)に満たない)は、次いで、異種交配(cross−bred)させて、所望の免疫系修飾の全てをもつ動物を得る。免疫原を投与すると、これらのトランスジェニック動物は、免疫原に免疫特異性をもつが可変領域を含むマウスアミノ酸配列よりむしろヒトアミノ酸配列を有する抗体を生成する。そのような方法のさらなる詳細について、例えば、国際公開第96/33735号および国際公開第94/02602号を参照されたい。ヒト抗体を作製するトランスジェニックマウスに関するさらなる方法は、米国特許第5,545,807号;第6,713,610号;第6,673,986号;第6,162,963号;第5,545,807号;第6,300,129号;第6,255,458号;第5,877,397号;第5,874,299号、および第5,545,806号;PCT公報、国際公開第91/10741号、国際公開第90/04036号、ならびに欧州特許第546073B1号および欧州特許第546073A1号に記載されている。
上に記載のトランスジェニックマウス(本明細書では「HuMab」マウスと称する)は、内在性μおよびカッパ鎖遺伝子座を不活性化する標的突然変異株(targeted mutation)と共に、再配列していない(unrearranged)ヒト重鎖(μおよびγ)およびカッパ軽鎖の免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子小遺伝子座を含有する(Lonberg et al., 1994, Nature 368: 856−859)。
したがって、上述のマウスに、マウスIgMまたはカッパの発現の低下がみられ、免疫化に応答して、そして、ヒトの重鎖および軽鎖導入遺伝子がクラススイッチおよび体細胞突然変異を受けて、高親和性ヒトIgGカッパモノクローナル抗体が生成される(Lonberg et al., 前出.;Lonberg and Huszar, 1995, Intern. Rev. Immunol., 13: 65−93;Harding and Lonberg, 1995, Ann. N.Y Acad. Sci 764: 536−546)。HuMabマウスの調製は、Taylor et al., 1992, Nucleic Acids Research, 20: 6287−6295;Chen et al., 1993, International Immunology 5: 647−656;Tuaillon et al., 1994, J. Immunol. 152: 2912−2920;Lonberg et al., 1994, Nature 368: 856−859;Lonberg, 1994, Handbook of Exp. Pharmacology 113: 49−101;Taylor et al., 1994, International Immunology 6: 579−591;Lonberg and Huszar, 1995, Intern. Rev. Immunol. 13: 65−93;Harding and Lonberg, 1995, Ann. N.Y Acad. Sci. 764: 536−546;Fishwild et al., 1996, Nature Biotechnology 14: 845−851に、詳細に記載されている。さらに米国特許第5,545,806号;第5,569,825号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,789,650号;第5,877,397号;第5,661,016号;第5,814,318号;第5,874,299号;および第5,770,429号;ならびに米国特許第5,545,807号、国際公開第93/1227号;国際公開第92/22646号;および国際公開第92/03918号を参照のこと。これらのトランスジェニックマウスでヒト抗体を生成するために利用される技術はまた、国際公開第98/24893号、およびMendez et al., 1997, Nature Genetics 15: 146−156に記載されている。
ハイブリドーマ技術を使用して、所望の特異性を備える抗原特異的ヒトMAbが、上に記載のトランスジェニックマウス等より生成および選択され得る。そのような抗体は、好適なベクターおよび宿主細胞を使用して、クローニングおよび発現されてもよい。
本発明の完全ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリに由来するものであり得る(Hoogenboom et al., 1991, J. Mol. Biol. 227:381;およびMarks et al., 1991, J. Mol. Biol. 222:581に記載)。ファージディスプレイ法は、糸状バクテリオファージ表面での抗体レパートリのディスプレイ、およびその後の最適な抗体と結合することによるファージの選択により、免疫選択を模倣する。そのような技術の一つがPCT公開番号、国際公開第99/10494号に記載され、そのようなアプローチを使用してMPL−およびmsk−受容体について高親和性かつ機能的なアゴニスト抗体(agonistic antibody)を単離することが記載されている。
本明細書で提供される抗CLEC2剤はまた、CLEC2受容体とリガンド間の結合を阻止または低減させて、これによりCLEC2経路によるシグナル伝達を阻害してもよい。本剤は、抗体またはその免疫機能性断片であり得、したがって、本剤には天然由来の構造を備えた抗体、ならびに抗原結合ドメインをもつポリペプチド(例えば,ドメイン抗体)が含まれる。抗体および断片を使用して、各種の代謝性疾患を治療し得る。抗体の生成に有用な核酸分子、ベクター、および宿主細胞もまた提供される。
配列番号1、3もしくは5のアミノ酸配列を含むCLEC2ポリペプチド、または配列番号1、3もしくは5のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、98%の同一性をもつポリペプチドと特異的に結合する単離された抗体またはその免疫機能性断片もまた、それぞれ含まれる。
IV. CLEC2ポリペプチドまたはCLEC2抗体を含む医薬組成物
CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体を含む医薬組成物が提供される。そのようなCLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体の医薬組成物は、CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体の治療有効量を、投与形態を適合するために選択された薬学的または生理学的に許容される処方薬剤(formulation agent)と混合して含み得る。「薬学的に許容される担体」または「生理学的に許容される担体」という用語は、本明細書に使用される場合、CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体の、ヒトまたは非ヒト対象への送達を達成するまたは増強させるのに好適な1以上の処方薬剤を指す。本用語には、生理学的に適合性をもついずれのおよび全ての溶媒、分散媒、被覆剤、抗菌および抗真菌剤、等張剤、ならびに吸収遅延剤等が含まれる。薬学的に許容される担体の例としては、1以上の、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、ブドウ糖(dextrose)、グリセロール、エタノール等、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの場合では、医薬組成物中に、等張剤、例えば、糖質、多価アルコール(例えばマンニトール)、ソルビトール、または塩化ナトリウムを含むことが好ましい。薬学的に許容される物質、CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体の保存期間を延長または有効性を増進させる、例えば湿潤性のまたは少量の補助物質(湿潤性剤もしくは乳化剤、保存剤または緩衝液等)もまた、担体として、または担体成分として機能し得る。許容される薬学的に許容される担体は、好ましくは、使用する服用量および濃度で受容者に非毒性である。
CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体を含む医薬組成物が提供される。そのようなCLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体の医薬組成物は、CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体の治療有効量を、投与形態を適合するために選択された薬学的または生理学的に許容される処方薬剤(formulation agent)と混合して含み得る。「薬学的に許容される担体」または「生理学的に許容される担体」という用語は、本明細書に使用される場合、CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体の、ヒトまたは非ヒト対象への送達を達成するまたは増強させるのに好適な1以上の処方薬剤を指す。本用語には、生理学的に適合性をもついずれのおよび全ての溶媒、分散媒、被覆剤、抗菌および抗真菌剤、等張剤、ならびに吸収遅延剤等が含まれる。薬学的に許容される担体の例としては、1以上の、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、ブドウ糖(dextrose)、グリセロール、エタノール等、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの場合では、医薬組成物中に、等張剤、例えば、糖質、多価アルコール(例えばマンニトール)、ソルビトール、または塩化ナトリウムを含むことが好ましい。薬学的に許容される物質、CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体の保存期間を延長または有効性を増進させる、例えば湿潤性のまたは少量の補助物質(湿潤性剤もしくは乳化剤、保存剤または緩衝液等)もまた、担体として、または担体成分として機能し得る。許容される薬学的に許容される担体は、好ましくは、使用する服用量および濃度で受容者に非毒性である。
医薬組成物は、例えば、pH、オスモル濃度、粘度、清澄性、色、等張性、臭い、無菌性、安定性、溶解速度もしくは放出速度、吸着、または組成物の浸透性を変更、維持、または保持する処方薬剤を含有し得る。好適な処方薬剤としては、これに限定されないが、アミノ酸(例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、またはリジン等)、抗菌剤、酸化防止剤(例えばアスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、または亜硫酸水素ナトリウム等)、緩衝剤(例えばホウ酸塩、重炭酸塩、トリス−HCl、クエン酸塩、リン酸塩、または他の有機酸等)、バルキング剤(bulking agent)(例えばマンニトールまたはグリシン)、キレート剤(例えばエチレンジアミン4酢酸(EDTA)等)、錯化剤(例えばカフェイン、ポリビニルピロリドン、β−シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン等)、充填剤(filler)、単糖類、二糖類、および他の炭水化物(グルコース、マンノース、またはデキストリン等)、タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン等)、着色剤、着香料および希釈剤、乳化剤、親水性ポリマー(例えばポリビニルピロリドン等)、低分子量ポリペプチド、塩形成対イオン(ナトリウム等)、保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸、または過酸化水素等)、溶媒(例えばグリセリン、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコール等)、糖アルコール(例えばマンニトールまたはソルビトール等)、懸濁剤、界面活性剤または湿潤剤(例えばプルロニック(pluronic);PEG;ソルビタンエステル類;ポリソルベート20もしくはポリソルベート80等のポリソルベート類;Triton;トロメタミン;レシチン;コレステロールまたはチロキサポール(tyloxapal)等)、安定促進剤(スクロースまたはソルビトール等)、張度増強剤(tonicity enhancing agent)(ハロゲン化アルカリ金属、好ましくは、塩化ナトリウムもしくは塩化カリウム、またはマンニトール、ソルビトール、等)、送達担体、希釈剤、賦形剤および/または補助薬(例えば、REMINGTON: THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY, 19th edition,(1995);Berge et al., J. Pharm. Sci., 6661), 1−19(1977)を参照のこと)が挙げられる。さらなる関連する原理、方法、および薬剤は、例えば、Lieberman et al., PHARMACEUTICAL DOSAGE FORMS−DISPERSE SYSTEMS(2nd ed., vol. 3, 1998);Ansel et al., PHARMACEUTICAL DOSAGE FORMS & DRUG DELIVERY SYSTEMS(7th ed. 2000);Martindale, THE EXTRA PHARMACOPEIA(31st edition), Remington’s PHARMACEUTICAL SCIENCES(16th−20th and subsequent editions);The Pharmacological Basis Of Therapeutics, Goodman and Gilman, Eds.(9th ed.−−1996);Wilson and Gisvolds’ TEXTBOOK OF ORGANIC MEDICINAL AND PHARMACEUTICAL CHEMISTRY, Delgado and Remers, Eds.(10th ed., 1998)に、記載されている。薬学的に許容される組成物の製剤原理もまた、例えば、Aulton, PHARMACEUTICS: THE SCIENCE OF DOSAGE FORM DESIGN, Churchill Livingstone(New York)(1988)、EXTEMPORANEOUS ORAL LIQUID DOSAGE PREPARATIONS, CSHP(1998)(いずれの目的のため参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
最適な医薬組成物は、例えば、意図する投与経路、送達形式、および所望の服用量に応じて、当業者により決定されるものである(例えば、Remington’s PHARMACEUTICAL SCIENCES、前出を参照のこと)。そのような組成物は、CLEC2ポリペプチドの、物理的状態、安定性、インビボ放出速度、およびインビボ除去速度に影響を与え得る。
医薬組成物の主要なビヒクル(vehicle)または担体は、本来、水性または非水性のいずれかであり得る。例えば、注入用の好適なビヒクルまたは担体は、水、生理食塩水、または人工脳脊髄液であり得、場合により非経口投与用の組成物によく見られる他の材料が補充される。中性に緩衝化した生理食塩水または血清アルブミンと混合した生理食塩水は、さらなる例示的なビヒクルである。他の例示的な医薬組成物は、約pH7.0〜8.5のトリス緩衝液、または約pH4.0〜5.5の酢酸塩緩衝液を含み、これらの緩衝液はソルビトールまたは好適な代替物を含み得る。本発明の1つの実施形態では、FGF21ポリペプチド突然変異体組成物は、保存のために、所望の程度の純度をもつ選択された組成物を随意的な処方薬剤(Remington’s PHARMACEUTICAL SCIENCES、前出)と混合して、凍結乾燥したケーキまたは水溶液の形態で、調製され得る。さらにまた、CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体生成物は、スクロース等の適切な賦形剤を使用して、凍結乾燥物として製剤され得る。
CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体医薬組成物は、非経口送達用に選択され得る。あるいは、組成物は、吸入用、または経口等の消化管を介した送達用に選択され得る。そのような薬学的に許容される組成物の調製は、当業者の技術範囲内である。
処方成分(formulation component)は、投与部位に許容される濃度で存在する。例えば、緩衝液は、組成物を生理的pH、またはやや低いpH、代表的にはpH約5〜約8の範囲内に維持するために使用される。
非経口投与を計画している場合、本発明で使用する治療組成物は、薬学的に許容されるビヒクルに所望のCLEC2ポリペプチドを含む、発熱物質を含まない非経口的に許容される水溶液の形態であり得る。特に、非経口注入用の好適なビヒクルは、滅菌蒸留水であり、滅菌蒸留水中で、CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体が滅菌性の等張液として製剤され、適切に保存される。さらに別の調製物は、注入可能なミクロスフェア、生体侵食性(bio−erodible)粒子、ポリマー化合物(例えばポリ乳酸またはポリグリコール酸等)、ビーズ、またはリポソーム等の薬剤と所望の分子との製剤を含み、本製剤により、次いで蓄積注入により送達され得る生成物の制御または持続した放出が可能となる。ヒアルロン酸もまた、使用され得、これは循環の継続時間を持続させる効果を有する。所望の分子の導入に好適な他の手段としては、移植可能な薬剤送達装置が挙げられる。
1つの実施形態では、医薬組成物は、吸入用に製剤され得る。例えば、CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体等のCLEC2阻害剤は、吸入用に乾燥粉末として製剤され得る。CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体の吸入溶液もまた、エアロゾル送達用の噴射剤(propellant)を用いて製剤し得る。更に別の実施形態では、溶液は噴霧化され得る。経肺投与がさらに国際公開第94/20069号に記載され、化学的に修飾されたタンパク質の経肺送達について記載されている。
ある製剤が経口投与され得ることも考えられる。本発明の1つの実施形態では、この投与方法で投与されるCLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体は、錠剤およびカプセル等の固形剤形の調合慣習的に使用される上記担体と共に、またはなしで製剤され得る。例えば、カプセルは、製剤の活性部分が、消化管でバイオアベイラビリティ(bioavailability)が最大でかつ前全身分解(pre−systemic degradation)が最小となる時点で放出するように設計され得る。さらなる薬剤が、CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体の吸収を高めるために含まれ得る。希釈剤、香味料、低融点ワックス、植物油、潤滑剤、懸濁化剤、錠剤崩壊剤、および結合剤もまた、利用し得る。
別の医薬組成物は、錠剤製造に好適な非毒性の賦形剤との混合物中に、有効量のCLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体を含み得る。滅菌水または別の適切なビヒクルでの錠剤の溶解により、溶液は、単位用量形態で調製し得る。好適な賦形剤としては、これに限定されないが、不活性希釈剤(例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムもしくは重炭酸ナトリウム、ラクトース、またはリン酸カルシウム等);または結合剤(例えばスターチ、ゼラチン、もしくはアカシア等);または潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、もしくはタルク等)が挙げられる。
さらなるCLEC2ポリペプチド医薬組成物は、当業者に明らかであり、持続送達または制御送達製剤中にCLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体を含む製剤を含む。各種の他の持続送達または制御送達手段(例えば、リポソーム担体、生体侵食性微粒子もしくは多孔性ビーズ、および蓄積注入等)を製剤する技術もまた、当業者に公知である(例えば、国際公開第93/15722号(医薬組成物の送達についての多孔性ポリマー微粒子の制御放出が記載されている)、およびWischke & Schwendeman, 2008, Int. J. Pharm. 364: 298−327およびFreiberg & Zhu, 2004, Int. J. Pharm. 282: 1−18(ミクロスフェア/微粒子の調合および使用が記載されている)を参照のこと)。本明細書に記載のように、ハイドロゲルは、持続送達製剤または制御送達製剤の一例である。
持続放出調製物のさらなる例としては、成形品の形態(例えばフィルム、またはマイクロカプセル)での半透過性ポリマーマトリックスが挙げられる。持続放出マトリックスには、ポリエステル、ハイドロゲル、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号および欧州特許第0 058 481号)、L−グルタミン酸およびγ−エチル−L−グルタメートのコポリマー(Sidman et al., 1983, Biopolymers 22: 547−56)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)(Langer et al., 1981, J. Biomed. Mater. Res. 15: 167−277およびLanger, 1982, Chem. Tech. 12: 98−105)、エチレンビニルアセテート(Langer et al.、前出)またはポリ−D(−)−3−ヒドロキシ酪酸(欧州特許第0 133 988号)が含まれる。持続放出組成物にはまた、リポソームが含まれ、これは、当技術分野に公知のいくつかの方法のいずれによっても調製され得る。例えば、Epstein et al., 1985, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 82: 3688−92;および欧州特許第0 036 676号、第0 088 046号、および第0 143 949号を参照のこと。
インビボ投与に使用されるCLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体医薬組成物は、代表的には無菌状態であるべきである。これは、無菌濾過膜による濾過によって達成し得る。組成物が凍結乾燥される場合、本方法を使用した滅菌は、凍結乾燥および再構成の前または後のいずれかに行い得る。非経口投与用の組成物は、凍結乾燥された形態または溶液で保管し得る。さらに、非経口組成物は、一般に、アクセスポートを備えた容器、例えば静脈注射用溶液バッグ(intravenous solution bag)、または皮下用注射針で貫通可能なストッパーを備えたバイアルに入れられる。
医薬組成物が製剤されるとすぐに、滅菌バイアルに溶液、懸濁液、ゲル、乳液、固形物として、または脱水したもしくは凍結乾燥した粉末として保管され得る。そのような製剤は、すぐに使用できる形態、または投与前に再構成が必要な形態のいずれの形態(例えば、凍結乾燥)でも保管し得る。
特定の実施形態では、本発明は、単回用量用の投与単位を生成するキットに関する。キットは、乾燥タンパク質をもつ第一の容器と水性製剤をもつ第二の容器の両方を各々含有し得る。また本発明の権利範囲内に、単室および複室薬剤充填済みシリンジ(pre−filled syringe)(例えば、液体シリンジ(liquid syringe)および分散シリンジ(lyosyringe)等)を含有するキットが含まれる。
治療用に使用されるCLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体医薬組成物の有効量は、例えば治療の背景および目的に応じる。したがって、治療に適切な服用量濃度が送達される分子、CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体が使用される指標、投与経路、ならびに患者のサイズ(体重、体表面、または器官サイズ)および病的状態(年齢および全体的な健康状態)により、部分的に異なることが、当業者に理解される。したがって、臨床医は、最適な治療効果を得るために、服用量を力価決定(titer)し、また投与経路を変更し得る。代表的な服用量は、約0.1μg/kg〜約100mg/kg、またはそれ以上の範囲であり、上記の因子に応じる。
服用頻度は、使用する製剤でのCLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体の薬物動態パラメータに応じる。代表的には、臨床医は、所望の効果を達成する服用量に達するまで組成物を投与する。したがって、組成物は、単回用量として、経時的な2回以上の用量(所望の分子の同一量を含んでも含まなくてもよい)として、または移植装置またはカテーテルを介した連続的な注入として投与され得る。適切な服用量のさらなる改良は、当業者により慣用的になされ、当業者に慣用的に実施される課題の範囲内である。適切な服用量は、適切な用量−応答データの使用により確認され得る。
医薬組成物の投与経路は、公知の方法、例えば、経口で;静脈内、腹腔内、脳内(実質内)、脳室内、筋肉内、眼内、動脈内、門脈内、または病巣内経路による注入で;持続放出系(これもまた注入されてもよい)で;または移植装置による方法、に従う。所望される場合、組成物は、ボーラス投与注入により、または点滴により持続的に、または移植装置により、投与され得る。
あるいは、またはさらに、組成物は、所望の分子が吸収または封入された膜、スポンジ、または他の適切な材料の移植により局所的に投与し得る。移植装置を使用する場合、装置はいずれの好適な組織または器官に移植され得、また、所望の分子の送達は、拡散による、持続放出型のボーラス投与、または連続投与であり得る。
薬剤、例えば、CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体を所定の速度で送達するために、すなわち薬剤濃度が長期間にわたり所望の治療有効濃度を維持し得るように、各種の様々なアプローチを利用し得る。一例では、ゼラチン(例えば、ウシゼラチン、ヒトゼラチンまたは別の供給源からのゼラチン)等のポリマー、または天然由来のもしくは合成して生成したポリマーを含むハイドロゲルを利用し得る。ポリマー(例えば、ゼラチン)のいずれの百分率も、ハイドロゲルに、例えば5、10、15または20%等で利用し得る。適切な濃度の選択は、各種の因子、例えば所望される治療プロファイルおよび治療用分子の薬物動態等に応じる。
ハイドロゲルに組み込まれ得るポリマーの例としては、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド−コ−ポリプロピレンオキシド、コ−ポリエチレンオキシドブロックもしくはランダムコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリ(ビニルピロリジノン)、ポリ(アミノ酸)、デキストラン、ヘパリン、多糖類、ポリエーテル類等が挙げられる。
ハイドロゲル製剤を作製する際に考えられ得る別の因子は、ハイドロゲルと架橋剤との架橋度である。1つの実施形態では、架橋はメタクリル酸無水物を含むメタクリル化(methacrylation)反応物を介してなし得る。場合によっては、高い架橋度が望ましいこともあるが、他の場合によっては、より低い架橋度が好まれる。いくつかの場合、より高い架橋度が比較的長い持続放出にもたらされる。より高い架橋度により、より強固なハイドロゲルと、より長い薬剤送達期間がもたらされるであろう。
ポリマーの架橋剤(例えば、メタクリル酸無水物)に対するポリマーのいずれの比率も所望の性質を備えるハイドロゲルを作製するために使用され得る。例えば、架橋剤に対するポリマーの比率は、例えば、8:1、16:1、24:1、または32:1であり得る。例えば、ハイドロゲルポリマーがゼラチンであり、また架橋剤がメタクリル酸塩である場合、8:1、16:1、24:1、または32:1のメタクリル酸無水物(methyacrylic anhydride):ゼラチンの比率が使用され得る。
V. CLEC2ポリペプチドおよび抗体の治療用途
CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体は、代謝性疾患または障害を治療、診断、または改善するために使用され得る。1つの実施形態では、治療される代謝性障害は、糖尿病、例えば2型糖尿病である。別の実施形態では、代謝性疾患または障害は肥満症である。他の実施形態では、代謝性疾患または障害は、グルコース濃度上昇、インスリン濃度上昇、トリグリセリド濃度上昇、または耐糖能低下またはインスリン非感受性である。例えば、CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体を使用して治療または改善され得る代謝性疾患または障害としては、ヒト対象が125mg/dL以上、例えば130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200mg/dLまたは200mg/dL以上の空腹時血糖値をもつ状態が挙げられる。血糖値は、施餌もしくは絶食状態で、または無作為に決定され得る。代謝性疾患または障害はまた、対象が代謝性疾患を発症するリスクが高い病的状態を含み得る。ヒト対象について、そのようは病的状態には、100mg/dLの空腹時血糖値が含まれる。CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体を含む医薬組成物を使用して治療され得る病的状態はまた、American Diabetes Association Standards of Medical Care in Diabetes Care−2011, American Diabetes Association, Diabetes Care Vol. 34, No. Supplement 1, S11−S61, 2010に見出すことができ、これらは参照によって本明細書に組み込まれる。
CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体は、代謝性疾患または障害を治療、診断、または改善するために使用され得る。1つの実施形態では、治療される代謝性障害は、糖尿病、例えば2型糖尿病である。別の実施形態では、代謝性疾患または障害は肥満症である。他の実施形態では、代謝性疾患または障害は、グルコース濃度上昇、インスリン濃度上昇、トリグリセリド濃度上昇、または耐糖能低下またはインスリン非感受性である。例えば、CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体を使用して治療または改善され得る代謝性疾患または障害としては、ヒト対象が125mg/dL以上、例えば130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200mg/dLまたは200mg/dL以上の空腹時血糖値をもつ状態が挙げられる。血糖値は、施餌もしくは絶食状態で、または無作為に決定され得る。代謝性疾患または障害はまた、対象が代謝性疾患を発症するリスクが高い病的状態を含み得る。ヒト対象について、そのようは病的状態には、100mg/dLの空腹時血糖値が含まれる。CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体を含む医薬組成物を使用して治療され得る病的状態はまた、American Diabetes Association Standards of Medical Care in Diabetes Care−2011, American Diabetes Association, Diabetes Care Vol. 34, No. Supplement 1, S11−S61, 2010に見出すことができ、これらは参照によって本明細書に組み込まれる。
適用では、代謝性障害または病的状態(例えば、2型糖尿病、グルコース濃度上昇、インスリン濃度上昇、インスリン耐性、および耐糖能低下)は、抗CLEC2抗体またはCLEC2ポリペプチド、例えば配列番号1、3、5または12等のヒトCLEC2ポリペプチドの治療有効用量を、治療が必要な患者に投与することによって治療され得る。投与は、本明細書に記載のように、IV注入、腹腔内(IP)注入、皮下注入、筋肉内注入、または、錠剤または液体形状の形態での経口投与等により、実施され得る。場合によっては、CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体の、治療効果のあるまたは好ましい用量は、臨床医により決定される。CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体の治療有効用量は、とりわけ投与スケジュール、投与される薬剤の単位用量、CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体の投与の他の治療薬との組み合わせの有無、受容者の免疫状態および健康状態、に応じる。「治療有効用量」という用語は、本明細書に使用される場合、研究者、獣医、医師、又は他の臨床専門家により探求される、組織系、動物またはヒトでの生物学的応答または薬剤応答(治療中の疾患または障害の症状の軽減または改善が含まれている)を引き出すCLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体の量、すなわち1以上の所望の生物学的応答または薬剤応答、例えば血糖値、インスリン、トリグリセリド、もしくはコレステロール値の低下;体重の減少;または耐糖能、エネルギー消費、もしくはインスリン感受性の改善の、識別可能なレベルを支持するCLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体の量を意味する。
CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体の治療有効用量はまた、所望の結果によって異なり得ることに留意される。したがって、例えば、低い血糖値が示される状況下では、CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体の用量は、それに応じて、比較的低い血糖値を望む用量より多くなる。逆に、高い血糖値が示される状況下では、CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体の用量は、それに応じて、比較的高い血糖値を望む用量より少なくなる。
様々な実施形態では、対象は、100mg/dL以上の血糖値を有し、かつCLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体で治療され得る、ヒトである。
1つの実施形態では、本開示の方法は、対象での1以上の代謝関連化合物の基準濃度、例えばグルコース濃度、インスリン濃度、トリグリセリド濃度を最初に測定することを含む。次いで、CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体を含む医薬組成物を対象に投与する。所望の期間後、対象での1以上の代謝関連化合物(例えば、血中グルコース、インスリン、トリグリセリド)の濃度を再度測定する。次いで、対象での代謝関連化合物の相対的変動を決定するため、2つの濃度を比較し得る。比較結果に応じて、CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体、分子を含む医薬組成物の別の用量を投与して、1以上の代謝関連化合物の所望の濃度を達成し得る。
CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体を含む医薬組成物は、別の化合物と共投与し得ることに留意される。CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体と共投与される化合物の同一性および性質は、治療または改善させるべき病的状態の性質に応じる。CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体を含む医薬組成物との組合せで投与され得る化合物の非限定的な例としては、ロシグリタゾン(rosiglitizone)、ピオグリタゾン(pioglitizone)、レパグリニド、ナテグリニド、メトホルミン、エクセナチド、シタグリプチン(stiagliptin)、プラムリンチド、グリピジド、グリメプリド(glimepriride)、アカルボース、およびミグリトールが挙げられる。
VI. キット
本開示の方法を実践するキットもまた提供される。そのようなキットは、本明細書に記載のような医薬組成物を含み得、本明細書で提供されるペプチドまたはタンパク質をコードする核酸、そのような核酸を含むベクターおよび細胞、ならびに滅菌容器に提供され得るそのような核酸含有化合物を含む。随意に、提供される医薬組成物をどのように代謝性障害の治療に使用するかについての使用説明書もまた含まれ得、または、患者もしくは医療サービス提供者(medical service provider)に都合のよい形に作られる。
本開示の方法を実践するキットもまた提供される。そのようなキットは、本明細書に記載のような医薬組成物を含み得、本明細書で提供されるペプチドまたはタンパク質をコードする核酸、そのような核酸を含むベクターおよび細胞、ならびに滅菌容器に提供され得るそのような核酸含有化合物を含む。随意に、提供される医薬組成物をどのように代謝性障害の治療に使用するかについての使用説明書もまた含まれ得、または、患者もしくは医療サービス提供者(medical service provider)に都合のよい形に作られる。
一態様では、キットは、(a)CLEC2ポリペプチドまたは抗CLEC2抗体の治療有効量を含む医薬組成物、および(b)医薬組成物用の1以上の容器を含む。そのようなキットはまた、その使用のための使用説明書を含み得;使用説明書は治療中の正確な代謝性障害に合わせることができる。使用説明書は、キットに提供される物質(material)の用途と性質を記載し得る。ある実施形態では、キットには、患者が、代謝性障害(例えば、グルコース濃度上昇、インスリン濃度上昇、およびトリグリセリド濃度上昇、耐糖能低下、インスリン感受性低下ならびに/または2型糖尿病等)を治療するための投与を実行するための使用説明書が含まれる。
使用説明書は、基材(例えば、紙またはプラスチック等)に印刷され得、また、添付文書としてキット内に、キットの容器またはその構成部品(component)(例えば、梱包に関連する)に表示するなどして存在する。他の実施形態では、使用説明書は、好適なコンピュータ可読記憶媒体(例えばCD−ROM、ディスケット等)に存在する電子記憶データファイルとして存在し得る。さらに他の実施形態では、実際の使用説明書はキットに存在しないが、使用説明書をリモートソース(例えばインターネットを通じて)から取得する手段を提供する。本実施形態の例として、使用説明書を閲覧できるおよび/または使用説明書をダウンロードできるウェブアドレスを記載したキットがある。
多くの場合、キットのいくつかのまたは全ての構成部品が無菌性を維持する好適な梱包で梱包されていることが望ましい。キットの構成部品は、単独で容易に取り扱える単位にするキット収納エレメント(containment element)に梱包され得、この場合、キット収納エレメント(例えば、箱または類似の構造)は、例えば、さらにキットの構成部品のいくつかまたは全ての無菌性を保つための密閉容器であっても、または、なくてもよい。
実施した実験および得られた結果を含む以下の実施例は、例証目的でのみ提供され、本発明を限定するものと解釈するものではない。
実施例1: CLEC2融合タンパク質阻害剤の調製
hFc−CLEC2(ECD)発現ベクターは、マウスCLEC2タンパク質の第51番目から第229番目のアミノ酸を含み、N末端でヒトIgG1のFc部と融合している。短い11アミノ酸長のGSリンカーもまた、ヒトFc部とマウスCLEC2の間に挿入され、結果として以下の配列をもつhFc−CLEC2(ECD)cDNAとなった:
hFc−CLEC2(ECD)発現ベクターは、マウスCLEC2タンパク質の第51番目から第229番目のアミノ酸を含み、N末端でヒトIgG1のFc部と融合している。短い11アミノ酸長のGSリンカーもまた、ヒトFc部とマウスCLEC2の間に挿入され、結果として以下の配列をもつhFc−CLEC2(ECD)cDNAとなった:
hFc−CLEC2(ECD)cDNA(配列番号11)全体を、pTT5、CMV系哺乳類発現ベクターにクローニングした。
大容量の一過性トランスフェクション(transient transfection)を使用して、タンパク質精製に十分な馴化培地を生成した。最大10mgのエンドトキシンフリーの発現ベクタープラスミドDNAを、所望のトランスフェクション試薬と共に、10リットルの293ENBA(293E)細胞中でトランスフェクトした。トランスフェクトされた293E細胞を、5%のCO2濃度の加湿インキュベータで、37℃でインキュベーションした。トランスフェクション後7〜9日目で、293Eの細胞培養物を遠心分離により採取し、上清をタンパク質精製用に回収した。
Fc−CLEC2タンパク質を含む清澄状態の細胞培養液を、10Kの再生セルロース膜で、DPBSにて透析濾過(diafiltration)により10倍まで濃縮した。保持液(retentate)を浄化(clarify)し、適切な大きさにしたMabSelect Sure Protein Aアフィニティカラムに、2〜3分の滞留時間で適用し、DPBS中で洗浄し、pH3.5で溶出した。アフィニティ精製したFc−CLEC2タンパク質を中性のpHで緩衝化した0.15M NaClで予め平衡化(pre−equilibrate)した適切な大きさのSuperDex200サイズ排除カラム上で溶解するか、またはhFc−CLEC2 protein Aの溶出物を中性のpHに調整して、スルホプロピル陽イオン交換カラムに最大15mg/mlのレジンで、5〜8分の滞留時間で適用し、中性のpHで緩衝化したNaCl勾配で溶解した。いずれの方法によっても、宿主細胞の混入物、凝集物、およびエンドトキシンは取り除かれ、画分を貯留し、限外濾過により再濃縮し、滅菌濾過し、そして凍結保存した。
実施例2:マウスCLEC−2細胞外ドメイン融合タンパク質のAAV発現は、マウス食餌性肥満モデルで、血中インスリン濃度、血糖値を低減し、経口耐糖能を改善させる
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを使用して、DIOマウスモデルでのインビボ過剰発現を実現した。実施例1に記載のように、Clec−2のマウスC末端細胞外ドメインをヒトFcのC末端に融合させ、結果としてEF1aプロモーターおよびbGHポリAと共にAAVベクターにクローニングしたhFc−mCLEC2(ECD)(配列番号11)を得た。rAAVを、ヘルパーフリーシステムを使用して293T細胞への一過性トランスフェクションにより生成し、勾配遠心分離により精製し、緩衝液交換し、そして濃縮した。精製rAAVを蛍光法により力価決定した。
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを使用して、DIOマウスモデルでのインビボ過剰発現を実現した。実施例1に記載のように、Clec−2のマウスC末端細胞外ドメインをヒトFcのC末端に融合させ、結果としてEF1aプロモーターおよびbGHポリAと共にAAVベクターにクローニングしたhFc−mCLEC2(ECD)(配列番号11)を得た。rAAVを、ヘルパーフリーシステムを使用して293T細胞への一過性トランスフェクションにより生成し、勾配遠心分離により精製し、緩衝液交換し、そして濃縮した。精製rAAVを蛍光法により力価決定した。
12週齢雄B6D2F1 DIOマウス(Jackson Labより入手)を、4〜5群に収容した。マウスに20週にわたる期間、高脂肪餌(最大60%の脂肪量)を施餌した。体重、グルコース濃度、およびインスリン濃度の基準代謝プロファイルを、0〜16時間の絶食後に尾端から血液を回収することにより測定した。
マウスを、体重および基準グルコース濃度に基づき2群(n=12)に分けた。第1群に、対照AAV(hFc−mCLEC2を含まない空ベクターである)の8x1012ゲノムコピー/動物を尾静脈を介して注入した。第2群に、hFc−mCLEC2を発現するAAVの8x1012ゲノムコピー/動物を尾静脈を介して注入した。
hFc−mCLEC2(ECD)の血清タンパク質濃度を、注入後9日目および23日目で次のようにhFc Elisaで測定した(図1):Maxisorpプレートに、PBSの1.0μg/mlのヤギ抗ヒトFcを、一晩、4℃で固定化し、PBSで1回洗浄した。プレートを、PBSの3%BSAで一晩、4℃でブロッキングし、PBSで1回洗浄した。1%BSAを含むPBS(PBS+1%BSA)で適切に希釈した状態の血清試料を添加し、1時間、室温でインキュベーションし、0.01%のTween−20を含むPBS(PBS+0.01%Tween−20)で3回洗浄した。PBS+1%BSA中のヤギ抗ヒトFc−HRPを添加し、1時間、室温でインキュベーションした。プレートを、PBS+0.01%Tween−20で6回洗浄した。基質であるTMBを添加し、2〜30分間、インキュベーションした。1N HClを添加して反応を停止させた。プレートを、SpecMaxプレートリーダーで450nmにて読み込んだ。組換えヒトFcタンパク質を、標準曲線に使用した。
体重およびグルコース濃度を、注入5日前、ならびに注入後9、23および36日目に力価決定した(それぞれ図2および図3)。
経口耐糖能を、注入後23日目に次のように測定した:動物を4時間絶食させた。体重およびグルコース濃度(グルコース測定器(glucometer)による)の測定後、マウスに、胃管栄養針(gavage needle)により胃にグルコースを大量瞬時(20%グルコースを10ml/kg体重で)に注入した。グルコース濃度を、グルコース測定器で、グルコース服用の0、20、40、および60分後に、尾端血液を回収することにより測定した。図5は、グルコース曲線を示す。hFc−mCLEC2(ECD)群のグルコース濃度は、全ての時点で、対照群と比較して低く、hFc−mCLEC2(ECD)で治療された動物の耐糖能が改善したことを示唆している。
血漿インスリン濃度を、注入後40日目に、ALPCO DiagnosticsからのマウスインスリンELISAキット(カタログ番号80−INSMS−E01)を使用して測定した(図4)。試料をゼロ標準液(zero standard)で1:10に希釈し、10ulの希釈試料を1ウェルあたりに使用した。分析を、製造者のプロトコルに記載のとおり実施した。
対照ウイルスで治療された群と比較した、hFc−mCLEC2(ECD)AAV−群での血糖値およびインスリン濃度の低下、ならびに経口耐糖能の改善により、hFc−mCLEC2(ECD)のAAV介在性のインビボ過剰発現が、DIOマウスでの代謝性異常(高血糖および高インスリン血症、インスリン耐性を含む)をほぼ治すことが実証された。本データにより、CLEC2は全身代謝の調整に関与している、また、CLEC2の拮抗作用が代謝性障害、特に糖尿病を治療し得る、という本発明者らの仮説が確証された。
実施例3:マウスCLEC−2細胞外ドメイン融合タンパク質のHTV注入は、マウス食餌誘導性肥満モデルで、血中インスリン濃度、血糖値、肝臓トリグリセリド濃度を低減し、経口耐糖能を改善させる
水圧尾静脈注入(「HTV」)を使用して、DIOマウスモデルでのインビボ過剰発現を実現した。Clec−2のマウスC末端細胞外ドメインをヒトFcに融合させ、UBC6プロモーターおよびbGHポリAと共にHTV構築物ベクターにクローニングされたhFc−mCLEC2(ECD)(配列番号11)を得た。
水圧尾静脈注入(「HTV」)を使用して、DIOマウスモデルでのインビボ過剰発現を実現した。Clec−2のマウスC末端細胞外ドメインをヒトFcに融合させ、UBC6プロモーターおよびbGHポリAと共にHTV構築物ベクターにクローニングされたhFc−mCLEC2(ECD)(配列番号11)を得た。
12週齢雄B6D2F1 DIOマウス(Jackson Labより入手)を、4〜5群に収容した。マウスに20週にわたる期間、高脂肪餌(最大60%の脂肪)を施餌した。体重、グルコース濃度、およびインスリン濃度の基準代謝プロファイルを、0〜16時間の絶食後に尾端から血液を回収することにより測定した。
マウスを、体重および基準グルコース濃度に基づき2群(n=15)に分けた。第1群に、尾静脈を介して、1動物あたり10ugの対照HTVのDNA構築物を、2.5mlの体積で注入した。対照HTVのDNA構築物はヒトFcのみを発現した。第2群に、尾静脈を介して、1動物あたり20ugのhFc−mCLEC2を発現するHTVのDNA構築物を、2.5mlの体積で注入した。両構築物の注入は、次のように実施した:簡単には、対照またはhFc−mCLEC2のDNA構築物を最初に20ug/ml(DNAに100EU/mgのプラスミド調製エンドトキシン値をもつ)調製し、生理食塩水またはリンガー溶液に希釈した。最大100mL/kg(10%)の溶液で2.5mlを超えない体積を、マウスの尾静脈に、5〜8秒の決められた時間内で注入した。
hFc−mCLEC2(ECD)の血清タンパク質濃度を、注入後7、13、および18日目で、上記実施例2に記載されたhFc ELISAを使用して、hFc ELISA法により測定した(図6)。体重および血糖値を、注入2日前、ならびに注入後7および13日目に測定した(それぞれ図7および図8)。
経口耐糖能を、注入後13日目に測定した。OGTTを次のように実施した:動物を4時間絶食させた。体重およびグルコース濃度(グルコース測定器による)の測定後、マウスに、胃管栄養針により胃にグルコースを大量瞬時(20%グルコースを10ml/kg体重で)に注入した。グルコース濃度を、グルコース測定器で、グルコース服用の0、20、40、および60分後に、尾端血液を回収することにより測定した。図10は、hFc−mCLEC2(ECD)で治療された動物のグルコース濃度は全ての時点で低下し、耐糖能が改善したことを示唆している。
血漿インスリン濃度を、注入後18日目に、ALPCO DiagnosticsからのマウスインスリンELISAキット(カタログ番号80−INSMS−E01)を使用して測定した(図9)。試料をゼロ標準液で1:10に希釈し、10ulの希釈試料を1ウェルあたりに使用した。分析を、製造者のプロトコルに記載のとおり実施した。
肝臓トリグリセリド濃度を、注入後18日目に次のように測定した(図11):2mlのクロロホルム/メタノール(2:1の体積比(v/v))を40〜50mgの肝臓組織に添加し、組織をQiagen社の組織破砕装置で、30秒から1分間、均質化した。次いで、試料を12x75mmのガラス試験管に移し、室温で30〜45分間、インキュベーションした。試料を0.5mlの50mM NaClで洗浄し、ボルテックスし、1500gまたは2600rpmで10分間遠心分離して、有機相を取り出して新しいガラス管に入れた。有機相を、0.5mlの0.36M CaCl2/メタノールで洗浄し、ボルテックスし、1500gまたは2600rpmで10分間遠心分離して、有機相を取り出して新しいガラス管に入れた。有機相を、0.5mlの0.36M CaCl2/メタノールで洗浄し、ボルテックスし、1500gまたは2600rpmで10分間遠心分離して、有機相を取り出して2mlメスフラスコに入れた。体積を計量し、十分なクロロホルムを添加して2mlの体積にした。試料中のトリグリセリド濃度を、Infinity triglycerideアッセイキット(Thermo Scientific、カタログ番号TR22421)を使用して測定した。
対照群と比較して、hFc−mCLEC2(ECD)HTV群での血糖値およびインスリン濃度、およびトリグリセリド濃度の低下、ならびに経口耐糖能の改善により、hFc−mCLEC2(ECD)のHTV介在性のインビボ過剰発現が、DIOマウスでの代謝性異常(高血糖およびトリグリセリド濃度上昇、および高インスリン血症を含む)をほぼ治すことが実証された。本データにより、CLEC2が全身代謝の調節に関与している、また、CLEC2の拮抗作用が代謝性障害、特に糖尿病を治療し得る、という本発明者らの仮説が確証された。
実施例4: 組換えマウスCLEC2細胞外ドメイン融合タンパク質は、DIOマウスで耐糖能を改善させ、インスリン濃度を低下させる
発明者らは、DIOモデルでの組換えhFc−mCLEC2(ECD)の有効性を試験した。雄14週齢B6D2F1マウス(Jackson Labより入手、Research Diet社D12492(60kcal%脂肪)で8週間施餌)を、体重およびグルコース濃度に基づき、3群(n=12)に分けた。開始0日目から、マウスに、毎日、対照または10mg/kgのhFC−mCLEC2(ECD)もしくは30mg/kgのhFC−mCLEC2(ECD)を、腹腔内注入(IP−inject)した。生理食塩水緩衝液対照およびhFC−mCLEC2(ECD)組換えタンパク質を実施例1に記載のように調製した。タンパク質を0.2mlのPBSにて注入した。注入は、通常、およそ午後4時(ダークサイクル(消灯)を午後6時に開始)に行われた。OGTTを実施する日に、タンパク質を、基準グルコース測定の2〜3時間前に与え、採血(午前10時)した。
発明者らは、DIOモデルでの組換えhFc−mCLEC2(ECD)の有効性を試験した。雄14週齢B6D2F1マウス(Jackson Labより入手、Research Diet社D12492(60kcal%脂肪)で8週間施餌)を、体重およびグルコース濃度に基づき、3群(n=12)に分けた。開始0日目から、マウスに、毎日、対照または10mg/kgのhFC−mCLEC2(ECD)もしくは30mg/kgのhFC−mCLEC2(ECD)を、腹腔内注入(IP−inject)した。生理食塩水緩衝液対照およびhFC−mCLEC2(ECD)組換えタンパク質を実施例1に記載のように調製した。タンパク質を0.2mlのPBSにて注入した。注入は、通常、およそ午後4時(ダークサイクル(消灯)を午後6時に開始)に行われた。OGTTを実施する日に、タンパク質を、基準グルコース測定の2〜3時間前に与え、採血(午前10時)した。
耐糖能を、10mg/kgもしくは30mg/kgの組換えFc−mCLEC2(ECD)または対照を注入後8日目に測定した。GTTを次のように実施した:動物を4時間絶食させた。体重およびグルコース濃度(グルコース測定器による)の測定後、マウスに、胃管栄養針により胃にグルコースを大量瞬時(20%グルコースを10ml/kg体重で)に注入した。グルコース濃度を、グルコース測定器で、グルコース服用の0、15、30、および60分後に、尾端血液を回収することにより測定した。図13は、対象動物と比較すると、10mg/kgおよび30mg/kgの両方の組換えhFc−mCLEC2(ECD)治療動物の全時点でのグルコースが低下することを示し、耐糖能を改善させていることを示唆している。
血漿インスリン濃度を、10mg/kgおよび30mg/kgの組換えFc−mCLEC2(ECD)または対照の注入後15日目に、ALPCO Diagnostics社のマウスインスリンELISAキット(カタログ番号80−INSMS−E01)を使用して測定した。試料をゼロ標準液で1:10に希釈し、10ulの希釈試料を1ウェルあたりに使用した。分析を、製造者のプロトコルに記載のとおり実施した。
10mg/kgの組換えFc−mCLEC2(ECD)で治療されたマウスは、対照動物のインスリン濃度より低いインスリン濃度を有し、また30mg/kgの組換えFc−mCLEC2(ECD)で治療されたマウスは、対照群および10mg/kgの治療群のインスリン濃度より低いインスリン濃度を有していた(図12)。
総合的に、これらの結果により、組換えhFc−mCLEC2(ECD)がDIOマウスに有効であることが示唆される。
実施例5:hFc−mCLEC2(ECD)のAAV介在性過剰発現は、Ob/Obマウスで、血糖値を低下させ、耐糖能を改善させる
6週齢雄ob/obマウス(Jackson Labより入手)を、体重および基準グルコース濃度に基づき2群(n=12)に分けた。第1群に、尾静脈を介して、対照AAVを、812ウイルス力価で注入した。対照は、hFc−mCLEC2を含まない空ベクターであった。第2群に、尾静脈を介して、hFc−mCLEC2を発現するAAVを、212ウイルス力価で注入した。対照およびhFc−mCLEC2 rAAV構築物は、実施例2に記載されている。
6週齢雄ob/obマウス(Jackson Labより入手)を、体重および基準グルコース濃度に基づき2群(n=12)に分けた。第1群に、尾静脈を介して、対照AAVを、812ウイルス力価で注入した。対照は、hFc−mCLEC2を含まない空ベクターであった。第2群に、尾静脈を介して、hFc−mCLEC2を発現するAAVを、212ウイルス力価で注入した。対照およびhFc−mCLEC2 rAAV構築物は、実施例2に記載されている。
血糖値を、Fc−mCLEC2(ECD)または対照の注入2日前、ならびに注入後12日目および26日目に測定した。Fc−mCLEC2(ECD)で治療されたマウスのグルコース濃度は、注入後12日目および26日目の両方で、対照のグルコース濃度より低いグルコース濃度を有していた(図14)。
耐糖能試験(GTT)を、AAV注入後12日目に実施した。GTTを、次のように実施した:動物を4時間絶食させた。体重およびグルコース濃度(グルコース測定器による)の測定後、マウスに、胃管栄養針により胃にグルコースを大量瞬時(10%グルコースを10ml/kg体重で)に注入した。グルコース濃度を、グルコース測定器で、グルコース服用の0、20、40、60、および90分後に、尾端血液を回収することにより測定した。図15は、hFc−mCLEC2(ECD)で治療された動物が、全ての時点で対照動物のグルコース濃度より低いグルコース濃度を有していることを示し、耐糖能を改善させることを示唆している。
総合的に、これらの結果により、組換えhFc−mCLEC2(ECD)がOb/Obマウスに有効であることが示唆される。
実施例6: 組換えhFc−mCLEC2(ECDタンパク質は、Ob/Obマウスで、耐糖能を改善させる
組換えhFc−mCLEC2(ECD)タンパク質の有効性もまた、ob/obマウスで試験した。6週齢雄ob/obマウス(Jackson lab)を、体重および基準グルコース濃度に基づき、2群(n=12)に分けた。基準グルコースを、グルコース測定器により測定した。開始の1日目から14日目まで、マウスに、PBS緩衝液またはビヒクル緩衝液の10ml/kgのhFc−mCLEC2(ECD)タンパク質による腹腔内注入を施した。
組換えhFc−mCLEC2(ECD)タンパク質の有効性もまた、ob/obマウスで試験した。6週齢雄ob/obマウス(Jackson lab)を、体重および基準グルコース濃度に基づき、2群(n=12)に分けた。基準グルコースを、グルコース測定器により測定した。開始の1日目から14日目まで、マウスに、PBS緩衝液またはビヒクル緩衝液の10ml/kgのhFc−mCLEC2(ECD)タンパク質による腹腔内注入を施した。
hFc−mCLEC2(ECD)の血清タンパク質濃度を、hFc ELISAにより、注入後7および14日目に、実施例2に記載のように測定した(図16)。
耐糖能試験(GTT)を、AAV注入後14日目に実施した。GTTを次のように実施した:動物を4時間絶食させた。体重およびグルコース濃度(グルコース測定器による)の測定後、マウスに、胃管栄養針により胃にグルコースを大量瞬時(10%グルコースを10ml/kg体重で)に注入した。グルコース濃度を、グルコース測定器で、グルコース服用の0、20、30、60、および90分後に、尾端血液を回収することにより測定した。
図17は、組換えhFc−mCLEC2(ECD)で治療された動物は、全ての時点で対照動物の血糖値より低い血糖値を有していたことを示し、耐糖能を改善させることを示唆している。
実施例7: CLEC−2に特異的なモノクローナル抗体の調製
A.マウスCLEC2免疫原の調製
マウスまたはヒトCLEC2ポリペプチドのFLAGエピトープタグ化(epitope tagged)バージョンを、免疫原として使用する。FLAGエピトープを、当業者に自明の標準の分子生物学的手法を使用して、マウスまたはヒトCLEC2のカルボキシ末端に付加する。CLEC2のエピトープタグ化バージョンを、HEK293およびCHO細胞で発現させる発現ベクターにクローニングする。当業者に公知の他のタンパク質生成および精製手順もまた、使用してもよい。
A.マウスCLEC2免疫原の調製
マウスまたはヒトCLEC2ポリペプチドのFLAGエピトープタグ化(epitope tagged)バージョンを、免疫原として使用する。FLAGエピトープを、当業者に自明の標準の分子生物学的手法を使用して、マウスまたはヒトCLEC2のカルボキシ末端に付加する。CLEC2のエピトープタグ化バージョンを、HEK293およびCHO細胞で発現させる発現ベクターにクローニングする。当業者に公知の他のタンパク質生成および精製手順もまた、使用してもよい。
CLEC2免疫原は、FLAGエピトープタグ付きもしくは無しのCLEC2細胞外ドメイン(例えば配列番号3または9を参照のこと)またはその断片であってもよい。
B.免疫化および力価測定
HEK293細胞発現組換えFLAGタグ化マウスまたはヒトCLEC2を抗原として使用する。マウスまたはヒトCLEC2に対するモノクローナル抗体を、野生型C57BL/6雌マウスを順次免疫化することにより発生させる。動物を、全ての注入に足蹠(footpad)および腹腔内経路を介して免疫化する。免疫化したマウスからの血清の抗CLEC2抗体力価を、CHO細胞発現組換えFLAGタグ化CLEC2を使用してFACSにより決定する。
HEK293細胞発現組換えFLAGタグ化マウスまたはヒトCLEC2を抗原として使用する。マウスまたはヒトCLEC2に対するモノクローナル抗体を、野生型C57BL/6雌マウスを順次免疫化することにより発生させる。動物を、全ての注入に足蹠(footpad)および腹腔内経路を介して免疫化する。免疫化したマウスからの血清の抗CLEC2抗体力価を、CHO細胞発現組換えFLAGタグ化CLEC2を使用してFACSにより決定する。
C.リンパ球の回収、B細胞の単離、融合、およびハイブリドーマの作製
B細胞を、免疫化されたマウスのリンパ節および脾臓から採取する。融合を上述の洗浄されたB細胞とATCCから購入した非分泌性骨髄腫P3X63Ag8.653細胞、カタログ番号CRL1580(Kearney et al, J. Immunol. 123, 1979, 1548−1550)とを1:1の割合で混合することにより実施する。電気的細胞融合(Electro−cell fusion)(ECF)を、融合装置(fusion generator)、ECM2001モデル、Harvard Apparatus、Inc.、Holliston、MAを使用して実施する。使用される融合容器の大きさは2.0mLである。ECF後、細胞懸濁液を、融合容器から無菌状態下で注意深く取り出し、同量のハイブリドーマ培養液(DMEM系(Invitrogen))を収容した滅菌チューブに移した。細胞をインキュベーションし、次いで、遠心分離する。細胞を少量のHybridoma Selection Medium(1X HAT(Sigma、カタログ番号H0262)が補充されたハイブリドーマ培養液)で再懸濁し、その体積をさらなるHybridoma Selection Mediumで適宜、調整した。細胞を徐々に混合し、384−ウェルプレートにピペットで分取し、増殖させた。
B細胞を、免疫化されたマウスのリンパ節および脾臓から採取する。融合を上述の洗浄されたB細胞とATCCから購入した非分泌性骨髄腫P3X63Ag8.653細胞、カタログ番号CRL1580(Kearney et al, J. Immunol. 123, 1979, 1548−1550)とを1:1の割合で混合することにより実施する。電気的細胞融合(Electro−cell fusion)(ECF)を、融合装置(fusion generator)、ECM2001モデル、Harvard Apparatus、Inc.、Holliston、MAを使用して実施する。使用される融合容器の大きさは2.0mLである。ECF後、細胞懸濁液を、融合容器から無菌状態下で注意深く取り出し、同量のハイブリドーマ培養液(DMEM系(Invitrogen))を収容した滅菌チューブに移した。細胞をインキュベーションし、次いで、遠心分離する。細胞を少量のHybridoma Selection Medium(1X HAT(Sigma、カタログ番号H0262)が補充されたハイブリドーマ培養液)で再懸濁し、その体積をさらなるHybridoma Selection Mediumで適宜、調整した。細胞を徐々に混合し、384−ウェルプレートにピペットで分取し、増殖させた。
D.ハイブリドーマスクリーニング
十分な培養後、ハイブリドーマ上清を、CLEC2特異的モノクローナル抗体のスクリーニングを行う。一次スクリーニングで、ハイブリドーマ上清をCHO細胞発現組換えFLAGタグ化マウスまたはヒトCLEC2および検出抗体FMAT Blue(Applied Biosystems)によりFMATプレートで3時間、室温でインキュベーションする。インキュベーション後、プレートをApplied Biosystems 8200 Cellular Detection Systemによりスキャンして、陽性ハイブリドーマ上清を検出する。
十分な培養後、ハイブリドーマ上清を、CLEC2特異的モノクローナル抗体のスクリーニングを行う。一次スクリーニングで、ハイブリドーマ上清をCHO細胞発現組換えFLAGタグ化マウスまたはヒトCLEC2および検出抗体FMAT Blue(Applied Biosystems)によりFMATプレートで3時間、室温でインキュベーションする。インキュベーション後、プレートをApplied Biosystems 8200 Cellular Detection Systemによりスキャンして、陽性ハイブリドーマ上清を検出する。
一次スクリーニングに基づく陽性ハイブリドーマ細胞増殖ウェルからの古い培養上清を完全に取り除き、CLEC2陽性ハイブリドーマ細胞を新鮮なハイブリドーマ培養液に懸濁して、96−ウェルプレートに移す。培養2日後、二次的確認スクリーニングを行い、ここで、第一スクリーニングでの陽性ハイブリドーマをFACS分析で確かめる。特異的結合を実証するために、2セットのCHO細胞(一方のセットは組換えFLAGタグ化マウスまたはヒトCLEC2を発現し、他方は発現しない)を使用する。選択されたハイブリドーマを、抗体の生成および精製用に増殖させる。
実施例8: マウスDIOまたはマウスob/obモデルでのモノクローナル抗体
6週齢雄B6D2F1マウス(Jackson Labより入手)を、1ケージあたり4匹のマウスを1群として収容し、最大20週にわたる期間、高脂肪餌(最大60%の脂肪)を施餌した。体重およびグルコース濃度の基準代謝プロファイルを、4〜6時間の絶食後に、尾端から血液を回収することにより測定した。
6週齢雄B6D2F1マウス(Jackson Labより入手)を、1ケージあたり4匹のマウスを1群として収容し、最大20週にわたる期間、高脂肪餌(最大60%の脂肪)を施餌した。体重およびグルコース濃度の基準代謝プロファイルを、4〜6時間の絶食後に、尾端から血液を回収することにより測定した。
マウスを選択して、体重および基準グルコースに基づき数群(n=12)に無作為化する。マウスに、腹腔内で(i.p.)、5ml/kgで、1週間に3回、注入する。第1群に、ビヒクルのみ(A5Su:10mM酢酸ナトリウム、9%スクロース、pH5)を注入し、第2群に、抗Clec2抗体(20mg/kg)を注入し、また第3群に抗Clec2抗体(20mg/kg)を注入する。
抗Clec2抗体の血清タンパク質濃度を、抗Clec2 ELISA法により測定する。簡単には、96ウェルマイクロタイタープレートを1ug/mlの抗huIgG Fc抗体で一晩、4℃で固定化し、PBSで2回洗浄する。組換えマウスClec2タンパク質を1ug/mlでウェルに添加し、室温で1時間、インキュベーションする。プレートを洗浄後、治療されたマウスからの希釈血清試料をウェルに添加する。1時間のインキュベーション後、ウェルを2回洗浄し、HRP結合抗マウスIgG抗体を添加して30分間、インキュベーションする。2回の洗浄後、室温で約15分発色させるため、100ulのTMB溶液をウェルに添加する。1N HCLを添加して呈色反応を停止させる。プレートをEnVisionで、OD450で読み取る。
経口耐糖能を、治療の7日後および14日後に測定する。動物を4時間絶食させる。体重およびグルコース濃度(グルコース測定器による)の測定後、マウスに、胃管栄養針により胃にグルコースを大量瞬時(20%グルコースを10ml/kg体重で)に注入する。グルコース濃度を、グルコース測定器で、グルコース服用の0、15、30、および60分後に、尾端血液を回収することにより測定する。
Claims (18)
- 代謝性疾患の治療が必要な対象にClec−2阻害剤の治療有効量を投与することを含む、前記対象の代謝性疾患を治療する方法であって、前記Clec−2阻害剤がClec−2受容体の細胞外ドメインまたはその断片を含む、方法。
- 代謝性疾患は、糖尿病、グルコース濃度上昇、インスリン濃度上昇、トリグリセリド濃度上昇、インスリン耐性、または経口耐糖能低下である、請求項1に記載の方法。
- 糖尿病がII型糖尿病である、請求項2に記載の方法。
- Clec−2受容体の細胞外ドメインまたはその断片が、免疫グロブリン定常領域またはその断片に結合されている、請求項2に記載の方法。
- Clec−2受容体の細胞外ドメインまたはその断片が、ヒト細胞外ドメインまたはその断片である、請求項4に記載の方法。
- 免疫グロブリン定常領域が、ヒト免疫グロブリン定常領域またはその断片である、請求項5に記載の方法。
- Clec−2阻害剤が、配列番号2、4、6または13の配列と少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含むポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを含む、請求項6に記載の方法。
- Clec−2阻害剤が、配列番号2、4、6または13の配列と少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含むポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを含む、請求項7に記載の方法。
- Clec−2阻害剤が、配列番号2、4、6または13の配列と少なくとも98%の配列同一性を有する配列を含むポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを含む、請求項8に記載の方法。
- Clec−2阻害剤が、配列番号2、4、6または13の配列を有するポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを含む、請求項9に記載の方法。
- Clec−2阻害剤が、配列番号1、3、5または12のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を示すアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、請求項6に記載の方法。
- Clec−2阻害剤が、配列番号1、3、5または12のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を示すアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、請求項11に記載の方法。
- Clec−2阻害剤が、配列番号1、3、5または12のアミノ酸配列と少なくとも98%の同一性を示すアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、請求項12に記載の方法。
- Clec−2阻害剤が、配列番号1、3、5または12のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、請求項13に記載の方法。
- 対象が哺乳類である、請求項6に記載の方法。
- 対象がヒトである、請求項7に記載の方法。
- Clec−2阻害剤が、Clec−2阻害剤の治療有効量を薬学的に許容される担体と混合して含む医薬組成物の形態で投与される、請求項18に記載の方法。
- Clec−2投与後に、対象が:
(a)Clec−2阻害剤の対象への投与後の時点での、Clec−2阻害剤の投与前の時点より低い血糖値、
(b)Clec−2阻害剤の対象への投与後の時点での、投与前の時点より低い血漿インスリン濃度、
(c)Clec−2阻害剤の対象への投与後の時点での、投与前の時点より改善されたインスリン耐性、
(d) Clec−2阻害剤の対象への投与後の時点での、投与前の時点より低い血中トリグリセリド濃度、または
(e) Clec−2阻害剤の投与後の時点での、投与前の時点より改善された経口耐糖能、
を含む、請求項18に記載の方法。
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