石炭またはバイオマスのような固形燃料のガス化は、ガス状の燃料を製造するために用いられうる。ガス化過程の間、石炭、石油、バイオ燃料、またはバイオマスのような炭素質の物質は、このような原材料となる物質を制御された量の酸素および/又は蒸気を用いて高温下で反応させることによって、例えば、一酸化炭素や水素に転換される。これらの過程は、固形燃料では不適合であるシステムにおいて、燃料として用いることができるガスを生じさせる。
ガス化過程のいくつかの実施形態において、有機材料を含有する固形燃料が供給されている。一例として、バイオマスのガス化とは、結果として一酸化炭素(CO)、水素(H2)、及びメタン(CH4)を有する可燃性ガスの製造となる、バイオマスの不完全燃焼である。この混合物は、発生炉ガスまたは燃料ガスと称されてもよい。この燃料ガスは、内燃機関を運転するため、ファーネス油の代わりとして用いることができ、そして、メタノールを製造するために用いることができる。バイオマス原料がガス化を受けることができるので、この過程は、エタノール製造もしくはバイオガスと比較したときに、選択されたバイオマス原料のみで燃料を製造しうる点で、魅力的である。ガス化過程が他の炭素性原料で実施されうるので、バイオマスのガス化は、単に、ガス化過程の一例として提供され、そして、本開示は、バイオマスのガス化に限定することを意図するものではない。
ガス化の間、一酸化炭素及びエネルギーを生成しながら、いくらかの有機材料を、わずかに、もしくは部分的に酸化させることを可能とするよう、制限された量の酸素もしくは空気が有機性材料とともに反応装置内に導入される。この第一の過程は、有機性原料を水素や付加的な二酸化炭素に転換する第二の反応を起こさせる。第三の反応は、有機材料からの一酸化炭素や残りの水が、メタンや過多の二酸化炭素を生成するよう反応したときに起こる。この第三の反応は、反応可能なガスや有機材料の滞留時間を増加させる反応装置内で熱を与え、圧力を発生させるだけでなく、その室内で、より完全に起こる。
バイオマスの完全な燃焼による生成物は、概して、窒素、水蒸気及び二酸化炭素を含み、そして、酸素及び窒素を含有していてもよい。しかし、ガス化の不完全な燃焼において、生成物は、可燃性のガスである(例えば、CO,H2,そしてCH4)。ガス化過程による、より有用性の低い生成物は、例えば、タールやごみを含んでいる。燃料ガスの製造は、例えば、木炭[炭]の赤く燃える層を通過させるなどして、水蒸気や二酸化炭素の反応によって提供される。それゆえに、多くのガス化システムにおいて、この過程は、バイオマスから木炭に変えるという生成条件や、木炭をCOやH2に転換する適切な温度に木炭を維持することを含む。様々な種類のガス化システムの中には、例えば、ダウンドラフトガス化装置や、アップドラフトガス化装置やクロスドラフトガス化装置がある。
しかし、このガス状燃料のいくつかの態様や、このガス状燃料を形成するよう用いられる過程は、ガス化過程の実施例を限定する。例えば、大方のガス化過程は、弱いガスを生じさせる。例えば、いくつかのガス化過程において、燃料ガスは、たった約2−6容量%のメタンを含むだけである。そのような低いパーセンテージ燃料ガスは、それがどのように使用しうるかを限定する。本明細書に記載された内容は、これらのガス化過程によって製造された燃料ガスと同様に低濃度の燃料ガスを利用する方法およびシステムである。
多くのガス化過程において、水分は、その過程の中に含まれる反応、または、燃料ガスの処理のどちらかによって燃料ガスとともに生じる。いくつかの例において、燃料ガスは、スクラブされるか、洗浄される必要がある。これは、水でガスを洗浄することによって実行されうる。これは、燃料ガスの水分含量を増加させうり、その水分含量は、燃料ガスを多くの使用法に対してより利用価値を低くしうる。本明細書に記載されている内容は、発電システム内に洗浄水(scrubbing water)を含めることにより、洗浄水を処理すること及び発電システムの出力を増加させることの両方を取り扱う発電システムによって燃料ガスや洗浄水を利用する方法及びシステムである。
ガス化過程は、また、タールのような、望ましくない構成要素を生じさせもする。上述したように、燃料ガスを洗浄するための一つの方法は、そのガスを水でスクラブすることである。この過程は、水がそのガスから取り除かれたタールや他の炭化水素で汚染されるようになるので好ましくない。それから、その水は有害な廃棄物となり、そして、その水の処理は、非常に費用がかかるものになりうる。ガスからタールを取り除くことは、フィルターにより成し遂げられ、そのフィルターは、定期的なメンテナンスを必要とし、フィルターを洗浄するか、または取り替えるため、定期的にシステムの操業を停止するという結果になりうる。本明細書に記載されている内容は、燃料ガスを水でスクラブし、それから、水を蒸発させてタールや他の炭化水素を酸化させる酸化システムに水を供給し、さらには、発電するためにガス化による弱いガスを利用する、改良されたガス化発電プラントの実施形態である。これらの方法及びシステムは、発電を行い、そして、完全に汚染水を使い果たす方法を提供する。
図1Aは、改良されたガス化装置−酸化システム50の実施形態を示す。固形燃料21及び23は、コンベヤー22を介し、ガス化装置インレットホッパー24を通ってガス化装置19に送り込まれる。そのガス化装置は、結果として一部が酸化するまたは不完全に酸化するよう燃料と反応する空気を供給する送風機(空気ブロア)20を含む。熱の一連の変化や時間依存反応を通じて、ガス化装置は、固形燃料をCO,H2そしてCH4などの構成要素を伴う燃料ガスに転換させる。その燃料ガスは、また、燃料ガスのエネルギー含量を減少させる窒素や二酸化炭素も含有している。C4炭化水素,C5炭化水素,C6炭化水素,C7炭化水素のような他の完全な炭化水素や灰もまた、ガス化過程の間に形成される。これらの製造物のいくつかは、上述したのと同様、タールや粒子状物質のような汚染物質として、そのガスの中で同伴させられる。
燃料ガス中の汚染物質は、おそらく、そのガスの最終利用者に損害を与え、そして、その汚染物質は、そのガスから除かれる必要がある。例えば、もし仮に、そのガスがタービン燃料としての使用のために冷却されれば、その汚染物質は、コンプレッサやタービンの構成部分に損害を与えうる。この冷却や汚染物質の除去は、例えば、洗浄装置27内でガス化装置から出るガスを水蒸気を用いてスクラブすることなどによって達成される。タンク104内に収容された汚染水は、ポンプ108、パイプ28と30、そして、スプレーノズル29を通って循環される。いくつかの実施形態は、循環の間に水が冷却されることを提供する。タンク104内の水は、新たに発生したガスの流れをスクラブするにつれて、ますます汚染されるようになる。いくつかの実施形態において、他の液体は、燃料ガスをスクラブするために用いられ、そして、これらの実施形態は、同様に運用される。
図1Aに示すように、改良されたガス化装置及びガスタービンシステム50は、それらの中に収容された汚染物質を有する水を利用することができる。いくつかの実施形態において、汚染物質は、段階的酸化プロセスの間に酸化されうる、タールや他の炭化水素であることができる。この過程の間、そのタールや炭化水素は、それらが完全に酸化されてそのシステムに対する燃料として貢献するので、燃料として作用することができる。さらに、本明細書に記載されているように、燃料を有するその水は、燃料ガスと混合された水もしくは反応室101内で酸化されうる汚染物質を伴う水のことを言及しうる。また、ここに記載されているように、汚染物質を伴う水は、燃料ガスまたはガス化装置19からの汚染物質を伴う水のことを指してもよい。
図1の一例のシステム50は、空気源(air source)110(例えば、周囲空気)を含み、空気源110は、ガス化装置19と連結され、そして、供給管31を介してスクラブされたガスを受け入れることができる。そのシステムは、また、コンプレッサ114、タービン115、熱交換装置122、圧縮装置108、蒸発室118及び反応室101も含んでいる。改良されたガス化発電プラントは、さらに、より少ない構成要素を含んでも、及び/又は、異なる構成要素を含んでもよい、その構成要素は、同様の方法で用いられてもよいし及び/又は異なった方法で用いられてもよい。
空気源110は、反応室101内における酸化過程のための空気を提供する。空気源110は、ガス化装置19からガスを供給し、そのガスは、空気と混合される。空気源110は、システム50を取り巻く大気から空気を供給することができる。空気源110からの空気は、燃料の酸化に十分な、いかなる濃度の酸素を含んでいてもよい。空気源110からの空気は、酸素ガスに加え、他のガスを含んでいてもよい。例えば、その空気は、窒素、二酸化炭素、及び/又は、他の反応可能もしくは反応不可能なガスを含んでいてもよい。
空気源110からの空気は、コンプレッサ114に伝えられることができる。図1Aに示された、一例のシステム50において、コンプレッサ114は、タービン115からシャフトを通じて機械的回転エネルギーを受け入れてもよい。コンプレッサ114は、コンプレッサ114内の空気/燃料混合物の圧力を増加させるよう、タービン115からの機械的回転エネルギーを利用することができる。いくつかの実施態様において、システム50は、異なった方法で動作するコンプレッサを含んでもよい。
圧縮された空気は、コンプレッサ114から熱交換装置122に伝えられることができる。圧縮過程は、空気を熱し、そして、その空気は、熱交換装置122によってさらに熱せられることができる。熱交換装置122は、コンプレッサー114から圧縮された空気を受け入れ、圧縮された空気を熱し、そして、熱せられて圧縮された空気を反応室101に伝える。熱交換装置122は、また、ガスタービン115から排気ガスを受け入れてもよい。熱交換装置122は、圧縮された空気を予熱するために、排気ガスからの熱を利用してもよい。例えば、その排気ガスや空気/燃料混合物は、熱交換装置122を通って流れる間、伝熱構造の反対側に接触してもよい。伝熱構造は、高温の排気ガスから低温の空気に熱エネルギーを伝導してもよい。
示された例において、流体タンク104は、液体混合物102を収容し、その液体混合物102は、液状水、燃料、及び/又はガス化過程からの汚染物資を含む。流体タンク104は、追加の及び/又は異なる、ガス、液体及び/又は個体の物質を含有していてもよい。流体タンク104は、任意の適切なサイズまたは形状の、いかなる種類の液体貯蔵システム又は容器を含んでもよい。流体タンク104は、この流体タンク104内への、及び/又は、この流体タンク104外への流体連結を提供する、インレット及び/又はアウトレットを含んでもよい。いくつかの例において、液体混合物102は、液体のエタノール、液体の灯油、及び/又は他の種類の液体燃料を含む。いくつかの例では、液体混合物は、タールや、ガス化過程からの他の汚染物資を含む。液体混合物は、いかなる水源からの水を含んでもよい。
液体混合物102は、流体源からの流体を含んでもよい。多くの異なる種類の流体源が想定される。いくつかの流体源の例は、ワイン製造設備、エタノール製造設備、埋め立て地、アルコール製造設備、製油所、製鉄工場、化学プラント、油田、レストラン、及び/又は、液体燃料及び/又は液状水の他の源を含む。本明細書で用いられるように、用語「水」は、広範囲の表現であり、限定することなしに、液体又はガスのように流れることができる物質を含むことを意味する。いくつかの実施形態において、流体燃料は、ガス燃料を言及し、しかし、多くの実施形態において、流体燃料は、液体状又はガス状の少なくともどちらか一つの状態にある燃料を言及することができる。いくつかの実施形態において、流体燃料は、液体燃料とガス燃料との両方を言及することができる。
液体混合物102は、流体タンク104から蒸発室118内へ伝えられることができる。示された、一例のシステム50において、導管106及び加圧装置108は、流体タンク104のアウトレットと蒸発室118のインレットとの間に流体連結を提供する。加圧装置108は、ポンプ、又は、タンク104から蒸発室118内へ流体流を引き起こす他の種類の装置でありうる。蒸発室118は、熱交換装置、又は、液体混合物102の温度を上昇させる他の種類の加熱装置を含んでもよい。
液体混合物の温度の上昇は、蒸発室118内の液体が蒸発する割合を増加させてもよい。システム50及び/又は他の熱エネルギー源からの排気は、蒸発室118内の液体を加熱するために用いられてもよい。示された例において、導管124は、熱交換装置122から蒸発室118に熱エネルギーを供給する。排気は、蒸発室118に熱エネルギーを与えた後に、アウトレット112を通過して大気に放出されてもよい。
液体混合物102は、ガス混合物を形成するよう蒸発室118内で蒸発する。蒸発室118で生成されたガス混合物は、混合物102中の液体燃料からの蒸気状燃料、及び/又は混合物102中の液状水からの水蒸気を含んでもよい。例えば、エタノールと水との液体混合物を加熱することは、エタノールと水の両方を蒸発させることができる。
蒸発室118内で形成されたガス混合物は、反応室101内に伝えられてもよい。図1Aに示された例において、蒸発した液体及び燃料または汚染物質を含むガス混合物は、導管120内へ伝えられ、そして、熱交換装置122からの圧縮されて予熱された空気と混合されるよう、導管120から導管128内へ伝えられる。図1Aにおける蒸発室118は、燃料と水とのガス状混合物を生成するので、蒸発室118からのアウトプットを導管120内の空気と混合することは、空気、燃料、及び水のガス状態の混合物を形成する。上述のように、汚染物質は、反応室101内で酸化されるので、本明細書では、汚染物質さえも燃料として言及される。
反応室101は、燃料が酸化するよう、空気と燃料を保持している。反応室101内での燃料の酸化は、燃料の温度を燃料の自動点火温度に、または、それより高く上昇させることにより起こされてもよい。システム50は、酸化触媒材料(例えば、プラチナ)によらず、及び/又は、点火源(例えば、火炎または火花)によらず、反応室101内で酸化を起こしてもよい。燃料は、例えば、反応室内の燃料の最高温度を限界温度より低く維持することなどによって、空気/燃料混合物の温度を限界温度より高く上昇させずに、反応室101内の空気で酸化されてもよい。限界温度は、一つまたは複数の要因に基づき決定されてもよい、例えば、限界温度は、推奨された又は最高限度のタービンの操作温度、推奨された又は最高限度のタービンに対するインレット温度、窒素酸化物の形成を生じる温度、反応室101を通る燃料の流量に基づき選択された温度、及び/又は、他の要因による温度などになりうる。
いくつかの実施態様において、燃料は、窒素酸化物の形成を生じる温度より低い温度で反応室101内で酸化される。そのように、反応室101は、窒素酸化物の最小限の量のみを生成する間、燃料の事実上全てを酸化することができる。例えば、システム112からの排気ガスは、窒素酸化物、VOCs、COのそれぞれを1百万分率より少なく含んでもよいし、そして、さらには、入り込む空気中に含有されるVOCsやCOの濃度を減少させてもよい。
いくつかの場合において、反応室101内の耐火材のサーマルマスは、熱を吸収して、タービンに損傷を与えうる及び/又は好ましくない副産物(例えば、窒素酸化物、二酸化炭素、揮発性の有機化合物及び/又はその他のもの)を生じさせうる過度の熱を防止する、吸収材として機能してもよい。いくつかの場合において、反応室101内の耐火材のサーマルマスは、熱エネルギーの一時的な供給源を提供してもよく、その熱エネルギーは、燃料の酸化を維持する助けをしてもよい。
反応室101は、一つもしくは複数のインレットを含んでもよい。インレットのそれぞれが、空気、燃料、水もしくはこれらの任意の組み合わせを反応室内に伝えてもよい。例えば、蒸発室118からのガス状の燃料/水混合物は、反応室101内へ直接伝えられてもよい。いくつかの実施態様において、本明細書に記載された実施形態の中に示されているように、液体混合物102は、液体状態で、反応室101内へ直接伝えられてもよい。反応室101は、酸化された燃料及び/又は他の原料をタービン115に伝える、一つもしくは複数のアウトレットを含んでいる。
示された例において、排気管132は、排気ガスを導管130を通過させてタービン115のインレットに伝える。水混合物の中に含まれた燃料がガス化装置からの汚染物質を含有するときは、タービン115を通過する熱せられた空気がタービン又はシステム50の他の構成要素に損傷を生じさせないことを確実にするよう、管132と列となるフィルター32を含むことが有利でありうる。フィルター32は、水混合物102中の汚染物質または他の構成要素の酸化により生じる、灰やダストを捕捉するよう構成されうる。
加熱過程の間、及び/又は、持続運転の間、アウトレットを通過して反応室101から出るガスは、完全に酸化された燃料製品、反応不可ガス、そして、ごく微量の窒素酸化物及び二酸化炭素を含んでもよい。いくつかの例において、アウトレットを通過して反応室101から出るガスは、微量より多く、酸化されていない燃料、窒素酸化物、二酸化炭素及び/又は他の原料を含んでもよい。
タービン115は、酸化製品ガスのエネルギーを回転機械エネルギーに転換する。例示のタービン115は、酸化された燃料をタービンインレットを通過させて受け入れ、タービンインレットとタービンアウトレットとの間で酸化燃料を膨張させ、そして、膨張したガスをタービンアウトレットを通過させて伝える。いくつかの実施態様において、混合物がガス化装置からの汚染物質を含んでいるとき、混合物は、反応室101に混合物中の燃料の実質的に全てを酸化するのに十分長く残留(滞留)する。いくつかの場合において、燃料を酸化するのに必要な温度より高く反応室101の内部温度を維持し、タービン115に動力を与えている間、蒸発した燃料及び/又は液体混合物102中の汚染物質を酸化することによって、反応室101内で解放された熱は、入り込む燃料を酸化温度に至るよう熱するのに十分な熱エネルギーを供給してもよい。
産出ガスがタービン115に動力を与えたあとに、タービン115は、産出ガスの熱エネルギーを回転機械エネルギーに転換する。そのタービン115の回転機械エネルギーは、コンプレッサー114を駆動させ、そして、タービン115は、産出ガスをタービン115のアウトレットから熱交換装置122に伝える。産出ガスは、熱交換装置122に熱エネルギーを供給する、それから、好ましくは、熱エネルギーを蒸発室118に供給するよう、蒸発室118へ伝えられる。産出ガスは、出口112を通過して、例えば、排気筒を通過して、そのシステムから出る。
タンク104内の洗浄水及び/又は冷却水(もしくは、他の冷却液体)は、ガス化装置内で、タール、粉じん、そして、他の溶解できる汚染物質を、ガス蒸気から収集する。液体は、ポンプ108によってパイプ28を通過させて洗浄容器(scrubbing vessel)27に運ばれ、そこで、その液体は、ガス化装置19から出て、パイプ26を通過して洗浄容器17に入り込むガス流に吹きかけられる。液体をスクラブすることは、ガスからタールや粉じんを収集し、そして、パイプ30を介してタールや粉じんをタンク104内に移動させる。水もしくは液体中のタールと粉じんの濃度が十分に高い点に達するとき、汚水もしくは汚液は、蒸発装置18内にポンプで注入される。冷却システムは、液体をさらなるスクラビングのために再利用する前に、液体の温度を低下させるよう、加えられてもよい。蒸発装置118は、熱交換装置10を出るガスで熱せられるが、しかし、汚水もしくは汚液を蒸発させるのに十分な熱を保持する。蒸発装置118からの蒸気は、パイプ128に運ばれて、そして、そこから反応室101に運ばれ、そこで、有用な熱をガスから取り出しながら、その蒸気の燃料分、そして、汚染分は、酸化される。
いくつかの例において、汚水は、また汚染され、そして、蒸発装置118は、水中の汚染物質の全てを排熱で蒸発できるようにしなくてもよい。このような場合のために、図2Aから3Bに示されたシステムは用いられてもよい。
図2Aは、改良したガス化装置システム60のさらなる実施形態を示す。この構成において、蒸発したもしくは同伴した汚染物質を伴う、蒸発した液体は、蒸発装置118から反応室101内に直接導入され、その後、前記実施形態同様に反応が大きく進行する。
図3Aは、改良されたガス化装置システム70のさらなる実施形態を示し、その中で、汚染水は、初めに蒸発室118を通過せずに、反応室101内へ直接吹きかけられる。一旦、反応室101の内側で、水や汚染物質が酸化されると、そのようにして形成されたガスは、反応室101を通過してタービン115内へ伝わる。もし仮に、水の吹きかけが反応室101を冷却する傾向にあれば、反応室101が再度、十分な高温状態となるまで、そのフローは、短縮されたり、一時的に止められてもよい。持ち越されるいずれの灰も、反応室101の内側における多孔性の媒体の上、もしくはホットフィルター32内のどちらか一方で捕捉されることができる。他の可能な灰の捕捉手段は、重力、流向の変更、もしくはサイクロン型の分離器を用いることを含む。代替的には、二重化システムが用いられることができ、そのようにして、もし仮に、灰分が非常に高い場合、第2反応室101が用いられてもよい、その結果、灰が一方から取除かれている間、他方は運転中となる。
汚染水の処理は、どのような過程が実行されるかにより、効率性、及び/又は、システムの出力の改善を補助してもいいし、しなくてもよい。もし仮に、汚染水が多量の炭化水素を含有していれば、炭化水素中のエネルギーは解放されてもよく、それゆえ、他方廃棄されることになる燃料を用いて発電量を増加させる。もし仮に、システムからの排熱もまた、図1A〜2Bの構成において蒸気を生成するよう用いられれば、システムの全体の効率性が改善できる。
いくつかの上記構成において、反応室101の内部温度は2,300Fより低く維持されてもよく、その温度は、有害なNOxが形成し始める温度である。それゆえに、これらの実施形態は、NOxの形成を防止できるというさらなる利点を有する。
図1B,2Bそして3Bは、図1A,2Aそして3Aに示されたガス化発電プラントと同様に多くの特徴を有する改良されたガス化発電プラントの実施形態を表している。図1B,2Bそして3Bに示された実施形態において、システムは、ガス燃料を空気源110を通過して反応室101に入るよう方向づけるのに加えて、システムの外部での利用のためにガス化装置により製造されたガス燃料の方向を変更するよう構成される。導管33は、洗浄装置27及び導管31に連結されているように示されている。反応室101内でガス燃料に対する需要がより低いときに、ガス燃料は、導管33を通過して、システム外部での利用のために方向を変更することができる。反応室101内でガス燃料に対する、より高い需要があるときは、システムの外部での利用のために導管33を通過する、方向を変更されたガス燃料の量は、反応室101内で酸化過程に適切なガス燃料を供給するために減少させることができる。導管33を通過する、方向を変更されたガス燃料の量は、洗浄装置27からのガス燃料の全てが空気源110に入るように方向づけられる程度に減少させることができる。
本開示の一つの有利な点は、燃料及び汚染物質の反応室内での酸化が段階的酸化過程を通じて成し遂げられることである。この段階的酸化過程の間、反応室内での温度は、有害な排気ガスの製造をせずに燃料及び汚染物質を完全に酸化させる温度に維持される。段階的酸化過程が用いられるので、燃料の水分が燃料の酸化に有害な影響を及ぼさない。多くの燃焼室において、水分は、燃料の点火を抑制し、それにより、その燃焼室を信用性が低い状態にする。しかし、段階的酸化プロセスは、燃料の燃焼なしに成し遂げられるので、燃料や汚染物質の酸化は、増加した水分に関わらず成し遂げられうる。その上、多くの例において、増加した水分は、さらなる利点を提供してもよい。
以下に示された内容は、改良されたガス化発電プラントと連結されて用いられることができる段階的酸化システムのさらなる実施形態である。ガス化装置は、これらの実施形態には示されていないが、当業者は、前述のシステム、及びに以下に記載された操作に基づき、どのようにガス化装置が運転されるのかについて把握することができる。後に記載の実施形態において、明確に他に説明されなければ、段階的酸化過程の間、汚染物質が燃料として作用できるので、水/燃料混合物は、段階的酸化過程によって反応室内で酸化されるガス化汚染物質を含有している供給水を含むことができる。
上述のように、燃料の水分は、燃焼不可能であるので、水を含む燃料は、しばしば、いくつかの従来型の燃焼過程と適合しない。さらに、燃料が燃焼するにつれて、水は蒸発し、そして、蒸発の潜熱は、燃焼過程から熱を取り除く。もし仮に、燃料の含水量が非常に高かったら、燃焼は起こりえない。エタノール及び、果物、さとうきび、コーン、セルロース廃棄物、そして他の源から引き出すことができる一般のアルコールは、再生可能な燃料として用いられているが、エタノールは、一般的に、エタノール及び水の希薄混合物を最初に生成することによって製造され、それ後、その混合物から水を分離する。水及びエタノールは、完全に混和でき、そして、水の分離は、費用が高い蒸留を必要とする。蒸留は、通常、エタノールからすべての水を取り除くことさえできず、そして、特殊工程においては、一般的に、エタノールを完全に無水にすることが求められる。同様に、燃料タンク及び廃水収集タンクからのオイル/水混合物は、通常、水分離及び/又は処理用分解設備に輸送され、それらは、非常に費用が高くなりうる。燃料及び水の混合物を効率的に消費できるガスタービンは、燃料の消費、燃料コスト、清掃要求、及び/又は、環境的な影響を減少させてもよい。いくつかの従来型のシステムにおいて、液体燃料及びいずれかの同伴した水の蒸発による潜熱は、ガスタービン発電サイクルの効率性を低下させる。
図4に示された一例のシステム100において、燃料/水混合物102は、タンク104内に貯蔵される。燃料/水混合物102は、ガス化装置からの汚染物質を含むことができる。混合物は、加圧装置108を用いて熱交換装置/蒸発装置118を通過させ、ポンプで運ばれてもよい。パイプ124を通過して熱交換装置122から出た排熱ガスは、液体の燃料/水混合物をその中で蒸発させる蒸発装置118に運ばれる。別の方法では大気に解放されるであろう余剰熱で、液体燃料及び液状水を蒸発させることによって、蒸発の潜熱は、余剰熱源から提供され、それから、著しくはシステムの効率性を低下させない。
いくつかの実施態様において、システム全体の効率性は、改善されてもよい。例えば、多くの一般的な液体燃料(例えば、エタノール、ガソリン、石油蒸留物及び/又は他のもの)に対しては、25重量%の燃料を有する燃料/水混合物がシステム排気からの適切な余剰熱で蒸発されうること、が推定される。さらなる利点は、蒸発した水は、ガス混合物のマスフローを増やしてもよく、それゆえに、タービンの出力を増加させてもよいことである。いくつかの実施形態において、水/燃料混合物は、ガス化装置からの汚染物質を含むことができる。
いくつかの実施態様において、汚染物質の排出および/又は他の有害物質を減少させることにより環境影響は減少されてもよい。例えば、システム100は、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)の排出、揮発性有機化合物(VOCs)及び/又は他の種類の潜在的に有害なガスの排出を減少させる、もしくは、無くす方法で、燃料を酸化させることができる。
いくつかの実施態様において、システム100は、持続運転の間、燃料の最高温度を2300゜Fに維持することによって(華氏2300度(°F)より高い温度は、窒素酸化物を形成を起こすおそれがある。)窒素酸化物の形成を、減少させる、もしくは、無くすことができる。反応室の内部温度及び滞留時間を制御することにより、ガスタービンシステムは、1百万分率(ppm)より少ない一酸化炭素(CO)を、及び/又は、1ppmより少ない窒素酸化物(NOx)を有する排気ガスを生成してもよい。いくつかの実施形態において、システム100は、5ppmより少ないNOxを有する排気ガスを生成するよう構成することができる。いくつかの実施形態において、システム100は、3ppmより少ないNOxを有する排気ガスを生成するよう構成することができる。いくつかの実施形態において、システム100は、2ppmより少ないNOxを有する排気ガスを生成するよう構成することができる。いくつかのシステムは、15ppm以上のCO及び/又は15ppm以上のNOxを有する排気を生成する。
いくつかの実施形態において、システム100は、反応室101内で窒素酸化物を相当量形成する限界温度より低い最高温度を維持することによって、窒素酸化物の形成を減少させる、または、無くすよう構成される。例えば、いくつかの実施形態において、反応室101内での最高温度は、約2300Fより低い。いくつかの実施形態において、反応室101内での最高温度は、約2000Fから約2300Fの間である。いくつかの実施形態において、反応室101内での最高温度は、約2100Fから約2300Fの間である。いくつかの実施形態において、反応室101内での最高温度は、約2200Fから約2300Fの間である。いくつかの実施形態において、反応室101内での最高温度は、約2300Fより高く、もしくは約2000Fより低くなりうる。
いくつかの燃料/水混合物(例えば、エタノール/水混合物、バイオリファイナリーの副産物、そして他のもの)は、比較的製造するのが簡単であるが、しかし、いくつかの現行の発電プラントに対して余分な処理が必要となる。そのような燃料は、発電するよう本明細書に記載されたシステム内で直接使われてもよいし、そして、いくつかの場合において、水と混合されない燃料より、より一層多く発電する。いくつかの場合において、発電プラントは、大部分が水である燃料/水混合物で動作することができる。例えば、蒸発した燃料/水混合物は、燃料を酸化する反応室内へ伝えられることができ、そして、燃料の酸化からのエネルギーは、タービンを駆動できる。
いくつかの例において、燃料/水混合物を反応室内に伝える前に、燃料/水混合物を完全にもしくは部分的に蒸発させるようタービンからの排熱を利用することにより、効率性は、さらに増加される。さらに、システムを通じたマスフローは、水から生成された蒸気のために増加されてもよく、その水は、システム出力のさらなる増加を導いてもよい。増加された出力(燃料のインプットを増加させずに)は、また効率性を増加させてもよい。いくつかの実施態様において、そのようなシステムからの水蒸気は、効率性及び約5%までの潜在的な出力ゲインを生み、酸化装置を通じてマスフローを約6%まで増加させる。例えば、200kWのシステムにおいて、燃料の消費を全く増加せずに、出力の増加は、約12kWになりうる。
いくつかの実施形態において、約25%のエタノールと約75%の水との混合物は、発電プラントからの排熱で蒸発させることができ、そして、そのタービンシステムは、結果として生じた、蒸発した混合物を出力エネルギーに加工する。いくつかの実施形態において、混合物は、約20%のエタノールと80%の水を含んでいてもよいし、そして、さらなる実施形態においては、混合物は、約15%のエタノールと約85%の水を含んでいてもよい。さらなる実施形態において、混合物は、含有量が約85%より多く水を含み、及び/又は、含有量が15%より少なくエタノールを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態において、混合物は、約15%までエタノールを含むことができる。いくつかの実施形態において、混合物は、約2%から約15%のエタノールを含むことができる。約2%から約15%がエタノールで構成されている混合物を伴うような燃料含有量が少ないものを有する実施形態において、本明細書でさらに説明されているのと同様に、追加燃料は、低い燃料含有量の混合物を補うよう加えられてもよい。いくつかの実施形態において、エタノール以外の他の燃料は、等しい割合もしくは同程度の比率で用いられてもよい。
図4は、水と混合された燃料を利用することができるガスタービンシステム100の一例を示す。その例示のシステム100は、空気源110(例えば、周囲空気)、コンプレッサ114、タービン115、熱交換装置122、液体タンク104、圧縮装置108、蒸発室118、そして反応室101を含む。図4に示されるように、一例のシステム100は、また、電力発生装置119も含んでもよい。示された一例のシステムにおいて、シャフト105は、タービン115をコンプレッサ114と発電機119に機械的に連結させる(タービン115、コンプレッサ114及び発電機119の組み合わせは、タービン発電機として参照される。)ガスタービンシステムは、追加の、より少ない、及び/又は、異なった構成要素を含んでもよい、その構成要素は、同様の、及び/又は、異なる方法で用いられてもよい。
例示の空気源110は、反応室101内での酸化過程のために空気を供給する。炭化水素燃料は、酸素が存在する状態でそれらの自動点火温度より高い温度にそれらが熱せられたときに、酸化される。空気源110は、酸素を含有しているガスを供給し、その酸素は、燃料を酸化するよう燃料と混合される。いくつかの実施形態において、空気源110は、本明細書の実施形態において説明されるように、ガス化装置によってシステム100に供給される。空気源110は、システム100を取り巻く大気から空気を供給することができる。空気源110からの空気は、燃料の酸化に十分な、いかなる濃度の酸素を含んでいてもよい。空気源110からの空気は、酸素ガスに加え、他のガスを含んでいてもよい。例えば、その空気は、窒素、二酸化炭素、及び/又は、他の反応可能もしくは反応不可能なガスを含んでいてもよい。
いくつかの実施形態において、燃焼ガスは、システム100の性能を調整するよう、空気源110に添加されることができる。例えば、燃料含有量が少ない混合物が自立分解のために十分な燃料を含有していない、もしくは、酸化過程が維持されることができない実施例において、燃焼ガスは、酸化過程のための十分な燃料を供給するよう、空気源110で空気とともに添加されることができる。空気源100で添加されることができる燃焼ガスは、限定しないが、例えば、水素、メタン、エタン、エチレン、天然ガス、プロパン、プロピレン、プロパジエン、n−ブタン、イソブタン、ブチレン−1、ブタジエン、イソペンタン、n−ペンタン、アセチレン、ヘキサン、そして、二酸化炭素を含んでいる。
いくつかの実施形態において、空気源110で添加された燃焼ガスの量は、燃料/水混合物102の中で検知された燃料の量に基づいて調整されることができる。もし仮に、燃料/水混合物102の燃料含有量が変化して、それにより、混合物102において、好ましくない燃料濃度に変化すれば、空気源110で添加された燃焼ガスの量は、反応に応じて、増加させることができるか、又は減少させることができる。いくつかの実施形態において、空気源110で添加された燃焼ガスの量は、ステム100によって受け入れられた燃料/水混合物102の燃料含有量に基づく。いくつかの実施形態において、空気源110で添加された燃焼ガスの量は、燃料/水混合物102における燃料含有量と、反応室内101での温度との組み合わせに基づく。いくつかの実施形態において、空気源110で添加される燃焼ガスの量は、燃料/水混合物102における燃料含有量と、反応室101内での温度変化もしくは温度変化の割合との組み合わせに基づく。
燃料/水混合物102における燃料含有量は、液体タンク104内、圧縮装置108と蒸発室118との間、もしくは、蒸発室118と反応室101との間で検知されることができる。燃料/水混合物102における燃料のいくらかは、いくつかの例においては、燃料/水混合物102が蒸発室118によって熱せられるときに酸化されてもよい。いくつかの実施形態は、燃料/水混合物102の燃料含有量が蒸発室118と反応室101との間で検知されることを提供する。そのような実施形態において、空気源110で添加された燃焼ガスの量は、蒸発室118と反応室101の間で検知された、燃料/水混合物102の燃料含有量に基づく。
いくつかの例において、燃料/水混合物102は、燃料として考慮できない、追加の構成物質を含有していてもよい。例えば、燃料/水構成物102は、いくつかの実施形態において、汚染物質と水とを含んで構成されてもよい。汚染水は、いくつかの他の過程における中間生成物になりうり、そして、その汚染水は、その汚染水もしくは排水を酸化するようシステム100に案内される。例えば、汚染水は、上述のように、ガス化装置の一部である洗浄装置から生じうる。ガス化過程において、用いられるガス燃料を配給する前に、水は、結果として生じたガス燃料を浄化して汚染物質を取り除くために用いられる。それから、汚染水は、例えば、汚染水を液体タンク104に置くことなどによって、システム100に案内される。その後、汚染水は、燃料/水混合物102に関する上記同様の方法でシステム100内へと引き入れられ、そして、汚染物質が反応室101内で酸化されている間、その水は、蒸発される。このような方法において、システム100は、汚染水、有毒な水、もしくは排水を取扱い、洗浄する手段として、動作することができる。システム100は、たとえあるとしても最少量の有害なガス中間生成物を生成している間、汚染水を洗浄する汚染物質制御装置として動作することができる。
燃料/水混合物102の燃料含有量が非常に少ないもの、燃料含有量が少ないものと汚染水との組み合わせ、もしくは、汚染水だけを含む実施形態において、追加ガス燃料は、上記説明のように、空気源110によってシステム100内へと導入されることができる。いくつかの実施形態において、そのガス燃料は、実質上、反応室101内での酸化過程を維持する最適の燃料である。いくつかの実施形態は、ガス燃料がガス化装置によって生成されたガス燃料の少なくとも一部であることを提供する。
いくつかの例において、システム100に供給される汚染水は、反応室101内での酸化の前に、液体燃料とともに追加されうる。例えば、もし仮に、ガス化装置からの汚染された水が液体タンク104内へ置かれたとき、液体燃料は、燃料/水混合物102の燃料含有量を増加させるよう、液体タンク104に添加されうる。この過程は、空気源110でのガス燃料の導入に加えて、もしくは、それに変わって、実行されうる。
空気源110からの空気は、コンプレッサ114に伝えられることができる。図4に示された一例のシステム100において、例示のコンプレッサ114は、空気を空気源110からコンプレッサインレットを通して受け入れ、受け入れた空気を圧縮して、そして、圧縮された空気をコンプレッサアウトレットを通過させて伝える。コンプレッサ114は、タービン115からシャフト105を通じて機械的回転エネルギーを受け入れてもよい。コンプレッサ114は、コンプレッサ114内の空気/燃料混合物の圧力を増加させるよう、タービン115からの機械的回転エネルギーを利用することができる。いくつかの実施態様において、システム100は、異なった方法で動作するコンプレッサを含んでもよい。例示のシャフト105は、回転エネルギーをタービン115から、コンプレッサ114と発電装置119とに伝える。いくつかの実施態様において、シャフト105は、複数のシャフトを含んでもよい。例えば、第1シャフトは、タービン115からコンプレッサ114にエネルギーを伝えてもよい、そして、第2シャフトは、タービンから発電装置119にエネルギーを伝えてもよい。
圧縮された空気は、コンプレッサ114から熱交換装置122に伝えられることができる。圧縮過程は、空気に熱を与え、そして、熱交換装置122は、さらに空気を熱することができる。例示の熱交換装置122は、コンプレッサ114から空気を受け入れ、圧縮された空気を熱し、熱せられて圧縮された空気を反応室101に伝える。熱交換装置122は、また、ガスタービン115から排気ガスを受け入れてもよい。熱交換装置122は、圧縮された空気を予熱するために、排気ガスからの熱を利用してもよい。例えば、その排気ガスや空気/燃料混合物は、熱交換装置122を通って流れる間、伝熱構造の反対側に接触してもよい。伝熱構造は、高温の排気ガスから低温の空気に熱エネルギーを伝導してもよい。いくつかの実施態様において、システム100は、異なった方法で動作する熱交換装置を含んでもよい。例えば、システム100は、異なる場所(ソース)からの熱を用いて空気を予熱してもよいし、または、システム100は、混合物を予熱せずに、反応室101内に空気を伝えてもよい。
空気は、空気と燃料を反応室101内に伝える前に、空気/燃料混合物を形成するよう、燃料と混合されてもよい。概して、空気は、システム100内の任意の場所で燃料と組み合わされてもよい。例えば、空気をコンプレッサ114内に伝える前に、空気を熱交換装置122に伝える前に、空気を反応室内に伝える前に、及び/又は空気を反応室101内に伝えた後に、燃料は、空気と混合されてもよい。図4に示される例において、空気は、熱交換装置122と反応室101の内部との間の導管128内で燃料と混合される。導管128内で受け入れられた燃料は、蒸発室118内で液体混合物102を蒸発することにより形成されたガス状の燃料を含んでいる。いくつかの例において、反応室内へのインレットで、空気と燃料は混合されてもよい。
示された例において、流体タンク104は、液体混合物102を収容し、その液体混合物102は、液体燃料及び液水を含んでいる。流体タンク104は、追加の、及び/又は、異なる、ガス、液体及び/又は固形物を収容してもよい。流体タンク104は、任意の適切なサイズまたは形状の、いかなる種類の液体貯蔵システム又は容器を含んでもよい。流体タンク104は、この流体タンク104内への、及び/又は、この流体タンク104外への流体連結を提供する、インレット及び/又はアウトレットを含んでもよい。いくつかの例において、液体混合物102は、液体のエタノール、液体の灯油、及び/又は他の種類の液体燃料を含む。液体混合物は、いかなる水源からの水を含んでもよい。
いくつかの実施態様において、液体混合物102中の水は、汚染物質、粒子状物質(粉じん)、有毒物質、及び/又は異なる種類の物質を含んでいる。いくつかの実施形態において、汚染物質、粒子状物質、有毒物質、及び/又は異なる種類の物質は、水がガス化装置内でガス流をスクラブするために用いられた後の結果となりうる。概して、液体混合物102は、水及び燃料を任意の割合で有していてもよい。いくつかの例において、液体混合物102は、低いパーセンテージの液体燃料を含む(例えば、25%)、そして、いくつかの例において、液体混合物102は、高いパーセンテージの液体燃料を含む、(例えば、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは、それより高い)。いくつかの例において、液体混合物102は、低いパーセンテージの液状水を含む(例えば、20%、10%もしくはそれより低い)、そして、いくつかの例において、液体混合物102は、高いパーセンテージの液状水を含む(例えば、30%、40%、50%、60%、70%、それより高い)。反応室101は、好ましくは、燃料、汚染物質、粒子状物質、有毒物質、及び/又は他の種類の物質を、排気ガスもしくは生成物を無害にするのに十分に酸化するよう構成される。例えば、いくつかの実施形態において、これらの物質は、少なくともCO2、H2O、そしてO2に分解される。いくつかの実施形態において、その物質は、実質的に、CO2,H2O、そしてO2のみに分解される。
いくつかの場合において、液体混合物102は、その液体混合物102の中に他の原料を全く含まず、液体燃料と液状水のみを含んでもよい。液体混合物102は、液体燃料と液状水に加えて他の原料を含んでもよい。例えば、液体混合物102は、追加の及び/又は異なる液体、ガス、及び/又は個体を含んでもよい。いくつかの場合において、追加の水は、ガスタービンシステム100の出力パワーを増加させるよう液体混合物102に添加されることができる。
液体混合物102は、流体源からの流体を含んでもよい。多くの異なる種類の流体源が想定される。いくつかの流体源の例は、ワイン製造設備、エタノール製造設備、埋め立て地、アルコール製造設備、製油所、製鉄工場、化学プラント、油田、レストラン、及び/又は、液体燃料及び/又は液状水の他の源を含む。
液体混合物102は、液体タンク104から蒸発室118内へ伝えられることができる。示された一例のシステム100において、導管106及び加圧装置108は、流体タンク104のアウトレットと、蒸発室118のインレットとの間に流体連結を提供する。加圧装置108は、ポンプ、又は、タンク104から蒸発室118内へ流体流を引き起こす他の種類の装置でありうる。蒸発室118は、熱交換装置、又は、液体混合物102の温度を上昇させる他の種類の加熱装置を含んでもよい。
液体混合物の温度の上昇は、蒸発室118内の液体が蒸発する割合を増加させてもよい。タービンシステム100及び/又は、他の熱エネルギー源からの排気ガスは、蒸発室118内で、液体を熱するために用いられてもよい。示された例において、導管124は、熱交換装置122から蒸発室118に熱エネルギーを供給する。排気は、蒸発室118に熱エネルギーを与えた後に、アウトレット112を通過して大気に放出されてもよい。
液体混合物102は、ガス混合物を形成するよう蒸発室118内で蒸発させられる。蒸発室118で生成されたガス混合物は、混合物102中の液体燃料からの蒸気状燃料、及び/又は混合物102中の液状水からの水蒸気を含んでもよい。例えば、エタノールと水との液体混合物を加熱することは、エタノールと水の両方を蒸発させることができる。蒸発する物質の割合は、分圧に基づいてもよい。
液体混合物102を蒸発させることは、ガス状の水を含むガス混合物を形成するよう水を蒸発させることを含んでもよい、そして、液体混合物102を蒸発させることは、ガス状の燃料を含むガス混合物を形成するよう、燃料を蒸発させることを含んでもよい。ガス混合物は、蒸気状態、及び/又は、蒸発過程によって生成された、他の種類のガス状態のような、いかなるガス状態を含んでもよい。例えば、ガス混合物は、任意の種類の蒸発過程から生じる、蒸発した液体、水蒸気及び/又は燃料蒸気を含むことができる。蒸気状態において、蒸気の分圧は、沸点圧か、もしくは、それより高くなりえ、及び/又は、蒸気の温度は、沸点、もしくはそれより高くなりうる。ガス混合物は、沸点より低い温度であってもよいし、及び/又は、沸点での圧力より低圧となってもよい。
液体に対する蒸発過程は、液体の沸点より低い温度での、液相から気相への相転移を含んでよい。蒸発過程は、追加の、及び/又は異なる種類の蒸発過程を含んでもよい。例えば、いくつかの例において、蒸発過程は、沸騰させる過程、及び/又は液体からガスを形成する他の熱力学的な過程を含んでもよい。液体混合物102を蒸発させるための熱は、熱交換装置122からの排気ガスによって、部分的または全体的に供給される。蒸発室118で形成されたガス混合物は、また、燃料及び/又は水に加え、他の原料を含んでもよい。例えば、液体混合物102からの蒸気は、追加の及び/又は異なる液体、ガス及び/又は個体と混合されてもよい。
蒸発室118内で形成されたガス混合物は、反応室101内に伝えられてもよい。図4に示された例において、蒸発した液体及び蒸発した燃料を含むガス混合物は、導管120内に伝えられ、そして、熱交換装置122からの圧縮されて余熱された空気と混合されるよう、導管120から導管128内へ伝えられる。図4における蒸発室118は、燃料及び水の、ガス状の混合物を生成するので、蒸発室118からのアウトプットを導管120内で空気と混合することは、ガス状態の、空気と、燃料と、そして水との混合物を形成する。空気/燃料/水混合物は、燃料含有量が少なくてもよく、例えば、燃料に対する爆発下限界濃度(LEL)より低い濃度でもよい。
混合物は、例えば、およそ15btu/scf、もしくはそれより低い発熱量を有していてもよい、もしくは、混合物は、より高い発熱量を有してもよい。混合物は、例えば、火気を維持するために用いることができない等の、不燃焼性の混合物であってもよい。いくつかの実施態様において、液体混合物102から蒸発した燃料は、システム100の動作を維持するのに十分である。
システム100は、空気を、燃料と水との蒸発した混合物と混合することができる混合装置(図示されていない)を追加的に含んでもよい。空気は、例えば、蒸発した混合燃料を空気の蒸気の中へ注入することなどによって、混合装置なしに燃料及び水と混合されてもよい。いくつかの例において、空気、燃料、水、及び/又は他の物質は、システム100内の追加的な、及び/又は異なる場所で混合されてもよい。例えば、空気源110からの空気は、空気をコンプレッサ114に伝える前に、追加燃料と組み合わされてもよい。いくつかの例において、反応室101は、空気を空気源110から反応室101内へと直接導入する空気インレットを含んでもよい。いくつかの実施態様において、例えば、反応室内101内の高温の領域を冷却する等のように、空気は、コントロールフローとして反応室101内へと導入されてもよい。いくつかの実施態様において、空気及び蒸発した混合物は、空気/燃料/水混合物を反応室101内で形成するよう、反応室101内へ分けて伝えられてもよい。
反応室101は、空気が酸化されるときに、空気および燃料を保持する。反応室101内での燃料の酸化は、燃料の温度を燃料の自動点火温度に、もしくはそれより高く上げることによって起こされる。システム100は、反応室101内で酸化触媒材料(例えば、プラチナ)によらず、及び/又は点火源(例えば、火炎若しくは火花)によらず酸化を起こしてもよい。燃料は、例えば、反応室内の燃料の最高温度を限界温度より低く維持することなどによって、空気/燃料混合物の温度を限界温度より高く上昇させずに、反応室101内の空気で酸化されてもよい。
限界温度は、一つもしくは複数の要因に基づいて決定されてもよい、例えば、限界温度は、推奨された又は最高限度のタービンの動作温度、推奨された又は最高限度のタービンに対するインレット温度、窒素酸化物の形成を生じる温度、反応室101を通る燃料の流量に基づき選択された温度及び/又は、他の要因による温度などになりうる。
いくつかの実施態様において、燃料は、窒素酸化物の形成を生じる温度より低い温度で反応室101内で酸化される。そのように、反応室101は、窒素酸化物の最小限の量のみを生成する間、燃料の事実上全てを酸化することができる。例えば、システム100からの排気ガスは、窒素酸化物、VOCs、COのそれぞれを1百万分率より少なく含んでもよいし、そして、さらには、入り込む空気中に含有されるVOCsやCOの濃度を減少させてもよい。
反応室101は、耐火断熱材を内張りした内容積を含んでもよい。セラミックや岩石のような、フィルマテリアル(fill material)と呼ばれる熱吸収材及び/又は耐火材の高温は、反応室101内に供給されてもよい。フィルマテリアルは、反応室101を通り流れている弱い燃料の徐酸化を容易にするサーマルマスを有してもよい。サーマルマスは、入り込むガスに熱を伝えること、及び、酸化されたガスから熱を受け入れることにより燃料の段階的酸化のための温度を安定させる助けになってもよい。
いくつかの場合において、反応室101内の耐火材のサーマルマスは、熱を吸収し、かつ、タービンに損傷を与え及び/又は好ましくない中間生成物(例えば、窒素酸化物、二酸化炭素、揮発性の有機化合物及び/又は他のもの)を生じさせうる過剰の温度を防ぐ吸収材の役目をしてもよい。いくつかの場合において、反応室101内の耐火材のサーマルマスは、熱エネルギーの一時的な供給源を提供してもよく、その熱エネルギーは、燃料の酸化を維持する助けをしてもよい。
反応室101の容量及び形状、そしてシステム全体の構成は、燃料の完全な酸化のために十分な滞留時間を許容しながら、反応室101を通るコントロールフロー及び制御された流量を提供するよう設計されうる。流路は、その流路に沿った空気及び燃料混合物の流量が燃料を完了するまで酸化することを可能とするよう、流路の長さを平均化したときに十分に長くなりうる。例のように、反応室内でのガスの平均滞留時間は、1秒となりえ、もしくは、いくつかの場合においては、1秒より長くなりえる。反応室内でのガスの平均滞留時間は、いくつかの場合において、1秒より短くなりうる。いくつかの実施形態において、反応室内でのガスの滞留時間は、約0.1秒から約10秒の間の範囲になりうる。いくつかの実施形態において、反応室内でのガスの滞留時間は、約0.5秒から約5秒の間の範囲になりうる。いくつかの実施形態において、反応室内でのガスの滞留時間は、約0.5秒から約2秒の間の範囲になりうる。いくつかの実施形態において、反応室内でのガスの滞留時間は、約0.5秒から約1秒の間の範囲になりうる。いくつかの実施形態において、反応室内でのガスの滞留時間は、約1秒から約2秒の間の範囲になりうる。いくつかの実施形態において、反応室内でのガスの滞留時間は、0.1秒より短くなりえ、もしくは10秒より長くなりうる。混合物の酸化の割合は、燃料の構成物質、燃料濃度、酸素濃度、圧力、温度及び他の要因に関連して変化するものである。それゆえ、酸化の割合は、これらの要素を調整することによって、それに応じて調整されうる。
反応室101は、また、温度、圧力、流量、もしくは、操業開始及び/又はガスタービンシステム100の運転に関連する他の特性のような特性を検知するための1つもしくは複数のセンサーも含んでもよい。反応室101は、また、酸化過程の状況を制御する、内部構造及び/又は装置を含んでもよい。例えば、反応室101は、分流器、弁、及び/又は温度、圧力、流量及び/又は反応室内の流体の他の状況を制御する他の機構を含んでもよい。
反応室101は、1つもしくは複数のインレットを含んでもよい。インレットのそれぞれが、空気、燃料、水もしくはこれらの任意の組み合わせを反応室内に伝えてもよい。例えば、蒸発室118からのガス状の燃料/水混合物は、反応室101内へ直接伝えられてもよい。いくつかの実施態様において、液体混合物102は、液体状態で反応室101内へ直接伝えられてよい。反応室101は、酸化された燃料及び/又は他の原料をタービン115に伝える、一つもしくは複数のアウトレットを含んでいる。
示された例において、排気パイプ132は、排気ガスを導管130を通過させて、タービン115のインレットへと伝える。加熱過程の間及び/又は持続運転の間、アウトレットを通過して反応室101を出るガスは、完全に酸化された燃料製品、反応不可ガス、そして、微量の窒素酸化物及び二酸化炭素を含んでもよい。いくつかの例において、アウトレットを通過して反応室101から出るガスは、微量より多く、酸化されていない燃料、窒素酸化物、二酸化炭素及び/又は他の原料を含んでもよい。
運転において、反応室101は、例えば、大気圧より高く、及び/又は反応室101の外側に対する周囲圧力より高く加圧されてもよい。反応室内の圧力は、コンプレッサ114及び/又は他の加圧装置により供給されてもよい。いくつかの例において、加圧された反応室101の圧力は、2psiゲージ圧より高い(すなわち、反応室の外側に対する周囲圧力より高い2psiより高い)。いくつかの例において、反応室101内の圧力は、運転の間、10〜15psiゲージ圧であるか、もしくはそれより高い。
加圧された反応室101内へ伝えられた物質は、高圧(例えば、反応室101の内側の圧力より高い圧力)で反応室101内へ導入されうる。例えば、空気、燃料、及び/又は、水は、反応室101の内圧と同圧に、もしくはそれより高圧に加圧された反応室101内へと導入されてもよい。反応室101内の高圧は、反応室からタービン115内への流体連結を引き起こす、その流体連結は、反応室101からの産出ガスがタービンに動力を与えることを可能にする。
タービン115は、酸化製品ガスのエネルギーを回転機械エネルギーに転換する。例示のタービン115は、酸化された燃料をタービンインレットを通過させて受け入れ、タービンインレットとタービンアウトレットとの間で酸化燃料を膨張させ、そして、膨張したガスをタービンアウトレットを通過させて伝える。タービン115は、機械的回転エネルギーをシャフト104を通じてコンプレッサ114に伝える。タービン115は、機械的回転エネルギーをシャフト105を通じて発電装置119に伝えてもよい。いくつかの実施態様において、システム100は、異なった方法で動作するタービンを含んでもよい。
発電装置119は、タービン115からの回転エネルギーを電気的エネルギーに転換する。例えば、発電装置119は、電力を送電網もしくは電力を蓄え及び/又は電力で動作するシステムに出力する。いくつかの実施態様において、発電装置119は、運転開始時に機械的エネルギーをコンプレッサ114に供給してもよい。例えば、発電装置は、電気的エネルギーを機械的エネルギーに転換することができるモータリングモードで動作ができるようにしてもよい。いくつかの例において、システム100は、エネルギーを発電装置119に供給せずに動作してもよい。例えば、システム100は、アウトプットされる電力に頼らず、燃料、及び/又は、他の物質(例えば、液体混合物102の中の物質)を分解する熱酸化装置として動作してもよい。
例示のシステム100における運転のいくつかの態様において、反応室101は、反応性に富んだ状態で動作する。空気源110は、コンプレッサー114に空気を供給する。コンプレッサ114は、空気を圧縮し、圧縮された空気を熱交換装置122に伝える。熱交換装置122は、圧縮された空気を熱する。液体燃料及び液状水を含む液体混合物102は、加圧装置108を通して蒸発室118内へ伝えられる。液体混合物102は、ガス混合物を形成するよう蒸発室118内で蒸発される。ガス混合物は、両方とも気相である燃料及び水を含み、それらは、燃料蒸気及び/又は水蒸気を含んでもよい。ガス混合物は、熱せられて圧縮された空気と導管128内で組み合わされる。結果として生じた、空気、燃料及び水の混合の混合物は、反応室101内に導入される。混合物は、熱せられ、そして、反応室101内で燃料は酸化される。
いくつかの実施態様において、混合物は、混合物内の燃料の実質的にすべてが酸化されるのに十分長く反応室101内に残留(滞留)する。いくつかの場合において、液体混合物102からの蒸発した燃料を酸化することによって反応室101内で解放された熱は、反応室101内の内部温度を燃料を酸化するのに必要な温度より高く維持している間、入り込む燃料を酸化温度に熱し、タービン115に動力を与えるために十分な熱エネルギーを供給してもよい。
酸化製品ガス及び水を含む産出ガスは、反応室101を通って、タービン115への反応室アウトレットに伝えられる。反応室を出た産出ガスの温度は、およそ1600°Fもしくはそれより高くてもよい、もしくは産出ガスは、低い温度を有していてもよい。産出ガスは、タービンインレットに入る前に濾過されてもよい。酸化製品ガスは、例えば、タービン115が過度に熱せられることを防止する等のように、タービン115より前で、酸化製品に適用した流体(例えば、空気及び/又は他のガスもしくは液体)で冷却されてもよい。
産出ガスは、タービン115に動力を与え、そして、タービン115は、産出ガスの熱エネルギーを回転機械エネルギーに転換する。タービン115の回転機械エネルギーは、コンプレッサ114及び/又は発電装置119を駆動させる。タービン115は、産出ガスをタービン115のアウトレットから熱交換装置122に伝える。産出ガスは、熱エネルギーを熱交換装置122に供給する。産出ガスは、また、蒸発室118にも伝えられてもよいし、そして熱エネルギーを蒸発室118に供給してもよい。産出ガスは、例えば、排気筒を通過してシステムから出る。
酸化システムは、廃水、廃液、そして、任意の濃度の燃料もしくは汚染物質を伴う廃棄混合物を処理することにより汚染制御装置として動作することが可能である。システムは、また、自立反応を提供するのに適さない濃度である、廃ガスおよび廃棄される混合物を、反応を維持するよう追加の液体燃料もしくはガス燃料を供給することにより、処理することができる。さらに、そのシステムは、高効率性、増加されたパワー、そして、改善された環境に安全な副産物という利益を提供しながら、ガス及び/又は液体の廃棄物分解を提供することができる。
図5は、水と混合される燃料を利用することができるガスタービンシステム200の他の例を示す。これらの実施形態は、段階的酸化過程を通じて反応室101内で酸化されることができる、ガス化装置からの汚染物質を含む。システム200の例において、液体混合物102は、熱せられた気流の中に導管128内で導入される。液体混合物102は、加圧装置108によって、タンク104から、そして、加圧装置108から導管134を通して伝えられる。図5における液体混合物102は、導管134から導管128内へ伝えられ、そこで液体混合物102は、熱せられた空気と混合される。導管128内で熱せられた空気からの熱エネルギーは、ガス混合物を形成するよう液体混合物102を蒸発させる。このように、例示のシステム200は、分割された蒸発室を必要としない。空気中の熱エネルギーは、反応室101に入る前に、液体混合物102を蒸発させるのに十分であってもよい。システム200の他の態様は、図4における一例のシステム100に関して記載されているのと実質的に同様に動作する。
図5において、液体混合物102は、熱交換装置122の下流にある気流に入ることが示されている。液体混合物102は、空気中の熱エネルギーが混合物を蒸発するのに十分であることが提供されるとき、追加的にもしくは代替的に、熱交換装置122の上流に導入されてもよい。この手法は、システムの効率性を減少させてもよいので、この手法は、より弱い燃料/水混合物でさえ考慮にいれてもよい。さらに、熱交換装置122のアウトレットでの排熱は、他の適用例に対して利用可能である。
図6は、液体を処理することができるガスタービンシステム300の例を示している。システム300は、燃料源136と液体源131とを含む。いくつかの実施形態において、液体源131は、ガス化装置から液体(例えば、水)とともに供給されることができる。このような実施形態において、液体は、反応室101内での段階的酸化過程の間、酸化されることができる汚染物質を含んでもよい。流体タンク104内の液体混合物138は、液体源131からの液体を含む。いくつかの実施態様において、システム300は、液体燃料とガス状の燃料の組み合わせによって動力が与えられる。例えば、ガス状の燃料は、燃料源136によって供給されてもよいし、そして、液体燃料は、液体源131によって供給されてもよい。いくつかの実施態様において、システム300は、液体源131からの液体燃料だけ、もしくは主としてその液体燃料により、動力が与えられ、そして、燃料源は、ほとんど、もしくは、まったく追加燃料を供給しない。いくつかの実施態様において、システム300は、燃料源136からのガス状の燃料だけ、もしくは、主としてそのガス状燃料により、動力をあたえられ、そして、液体源131は、ほとんど、もしくは、まったく追加燃料を供給しない。
例示の燃料源136は、システム300に燃料を供給し、それは、いくつかの例においては、反応室101内で酸化過程を維持するために、及び/又は反応室101を加熱するためである。例示のシステム300は、初期はガス状である燃料を利用することができる、及び/又は、システム300は、ガスもしくは蒸気に転換可能である、液体燃料もしくは固形燃料を利用することができる。
燃料源136は、一種類の燃料及び/又は複数の異なる種類の燃料を供給してもよい、それらの一つ、もしくはすべては、反応室101内で酸化されてもよい。燃料源136は、炭化水素燃料及び/又は異なる種類の燃料を供給してもよい。燃料源136は、弱い燃料を供給してもよい。弱い燃料は、BTUが低いガス(すなわち、1単位質量あたりのエネルギーが低い)及び/又は低い発熱量を有する燃料を含んでもよい。弱い燃料は、火気及び/又は他の燃焼反応を維持できる濃度より低い濃度の燃料を含有するガスを含んでもよい。例えば、燃料は、結果として生じた燃料に対する爆発下限界濃度(LEL)より低い燃料濃度である空気と混合されてもよい。
いくつかの例において、そのような弱い燃料を火花もしくは火炎に対し、さらに空気が存在する状態で、導入することが、混合物内の燃料の酸化をせずに火花もしくは火炎を消してもよい。しかし、弱い燃料がその自動点火温度より高い温度に上げられたとき、燃料は、火花もしくは火炎の導入をせずに空気の存在下で酸化されてもよい。弱い燃料の具体例は、少量のメタン、エタン、一酸化炭素、および他の種類の燃料を含有し、大部分が二酸化炭素もしくは窒素であるガスを含んでいる。そのようなガスは、非生産的な天然ガス井と言われるものから通常放出される。燃料源136は、弱い燃料以外の燃料を供給してもよいし、もしくは弱い燃料に追加して燃料を供給してもよい。例えば、いくつかの実施態様において、弱い燃料に追加的に、若しくは弱い燃料に変えて、燃料源136は、プロパン、ブタン、灯油、ガソリン、及び/又は他の種類の燃料を供給してもよい。いくつかの場合において、燃料源136は、水素燃料を供給してもよい。
燃料源136は、埋め立て地から発出しているガスを含んでもよい、そのガスは、メタン燃料を低いパーセンテージ(例えば、3%もしくはそれより低い)だけ含有している。そのような、低濃度のメタンを有しているガスは、爆発限界より低い濃度でもよい。燃料の爆発下限界濃度(LEL)は、点火装置の存在下で発火を起こすことができる、空気中での燃料の最も低い濃度を言及してもよい。LELより低い濃度は、概して燃焼に対して非常に弱い。異なる種類の燃料は、異なるLEL値を有していて、該して、おおよそ1容量パーセントから5容量パーセントの範囲内であるが、いくつかの燃料は、これらのおおよその範囲外側のLELを有している。いくつかのLEL値の具体例は、(およそ、量的基準で)エタンにおいては3パーセント、水素においては4パーセント、メタンにおいては5パーセント、そして、プロパンにおいては2パーセントである。
燃料源からの燃料は、天然の(例えば、人類学に関係しない)燃料源もしくは、人工の(例えば、人類学的な)燃料源でありうる。例えば、燃料源136は、うしのおくび、沼地、米農園からのメタン、及び/又は発酵によるメタン、又は他の生物学的もしくは化学的過程から生成されたメタンを供給してもよい。燃料源の他の例は、システム300もしくは他のシステムにおいて、肥料、都市廃棄物、湿地(湿原)、湖からのガスのしみ出し、そして、掘削や再生利用のオペレーションを含んでもよい。いくつかの実施態様において、燃料源136は、水と混合された燃料を含み、そして、燃料源136からの燃料は、水蒸気を含む。いくつかの実施態様において、燃料源136は、ガス燃料だけをシステム300に伝える。1つもしくは複数の追加燃料源は、また、システム300によって利用されてもよい。例えば、ガス燃料は、燃料源136によってシステムに供給されることができ、そして、液体燃料は、液体源131によって供給されることができる。
固形燃料が供給される例において、転換過程は、固形燃料をガス燃料に転換するよう用いられることができ、それから、そのガス燃料は、燃料のガスを燃料源136を介して注入することによって、システム300によって用いられることができる。転換過程は、上記説明のようにガス化装置を含むことができる。液体燃料が供給される例において、液体燃料は、液体源131によって液体タンク104に添加されることができ、その液体源は、液体混合物138とともにシステム内に引き入れられる。さらに、システム300は、個体、液体もしくはガス状態の燃料を収容するよう適用されることができる。
液体源131は、流体タンク104内に液体混合物138の全てもしくは一部を供給する。液体源131によって供給された液体混合物138は、本明細書記載の他の実施形態に関して記載されている液体燃料102を含んでもよいし、もしくは、これと同一でもよい。液体源131は、液状水、液体燃料、及び/又はシステム300によって処理される他の液体の複数の異なる源を含んでもよい。いくつかの実施形態において、液体混合物102は、ガス化装置内の気流をスクラブすることからの汚染物質を含んでもよい。いくつかの実施態様において、液体源131は、液状水だけ、液体の燃料だけ、もしくはそれら2つのある組み合わせを供給してもよい。
流体源のいくつかの例は、ワイン醸造設備、エタノール製造設備、埋め立て地、アルコール製造設備、炭鉱、製油所、製鉄工場、化学プラント、油田、沼地、下水処理設備、及び/又は他の液体燃料及び/又は液状水の源を含む。例えば、ワイン醸造、エタノール製造および醸造における流動物は、システム300で処理されることができる、水を含有する規格外の生成物を有してもよい。エタノールは、数百の方法で作られ、例えば、大きな蒸留器、そして小さな蒸留器等で作られ、それらのうちのいかなるものが液体源131として用いられてもよい。バイオ燃料の分野が拡大するにつれ、ますます多くの供給原料がエタノールを作るのに用いられる。原材料、藻類、葛や木のようなものがエタノール製造のために用いられる場合において、システム300は、リグニン、繊維そして周辺の流動物を分解してもよい。
液体混合物138は、40プルーフ、100プルーフ、及び/又は他の濃度のような、多くの異なる濃度のアルコールを含んでもよい。このように、システム300は、例えば、醸造所に、バイオリファイナリーに、もしくは、そこで中間生成物を使い尽くすエタノールプラントに配置されることができる。システム300は、また、離れた場所にもあることができ、配送若しくは配給によって中間生成物を受け入れることができる。これらの例に加えて、液体混合物138は、異なった方法で受けいられ、及び/又は生成される。
システム300は、燃料源136からの燃料に基づいて動作してもよく、システム300は、液体源131からの燃料に基づいて動作してもよく、及び/又は、システム300は、燃料源136と液体源131との同時に受けた両方からの燃料に基づいて動作しても、及び/又は異なるときに受けた両方からの燃料に基づいて動作してもよい。例えば、システム300は、初期は、炭鉱で液体源131からの灯油もしくはエタノールで動くことができ、その炭鉱では、メタンを取出し、そして、排出するよう井戸を掘るのにパワーが必要とされる。メタンが炭鉱から収集されるので、メタンは、燃料源136として役立つことができ、そして、排出されたメタンだけがシステム300に燃料として供給されるまで灯油もしくはエタノールに取って換わることができる。
いったん排出されたメタンが十分に使い果たされると、システム300は、クリーンパワーを提供し、そして、温室効果ガスを分解しながら、炭鉱の排出口のメタンで動くことができる。製鋼工場では、クリーンパワーは、液体源131から灯油やエタノールで動いているシステム300によって供給されることができる。溶鉱炉ガスが利用できるようになるときに、システム300は、燃料源136からの溶鉱炉ガスで動作することができる。製油所もしくは化学プラントでは、熱酸化装置内で燃焼されることの代わりとして、VOCを含む廃ガスは、システム300に燃料を供給することができる。ナフサのような規格外の中間生成物は、追加燃料として用いられることができ、そして、例えば、収集されてトラックによって処理場へ輸送されること等に代わって、クリーンパワーを製造することができる。メタン含有量が少ない埋め立て地からのガスは、クリーンパワーを製造するよう、埋め立て地の近くにある石油及びガス操業からのガスと組み合わせることができる。これらの例に加えて、システム300は、異なる方法で液体燃料及びガス状の燃料に基づいて動作できる。
液体混合物138が液体燃料を含むときは、システム300は、実質的に図4のシステム100として動作してもよい。例えば、蒸発室118は、液体混合物138を蒸発してもよい、そして、結果物としてのガス混合物は、空気と組み合わされてもよいし、反応室101内へ伝えられてもよい。蒸発室118からの蒸発した燃料は、燃料源136からの燃料なしにシステム300に動力を与えてもよい。いくつかの場合において、熱交換装置122からの気流は、燃料源136からの燃料を含む。そのように、燃料源136からの燃料と蒸発室118からの蒸発した燃料とは、組み合わされてもよいし、そして、反応室101内で両方が同時に酸化されてもよい。
いくつかの実施態様において、液体混合物138は、相当量の液体燃料を含まず、そしてシステム300は、完全にもしくは実質的に完全に燃料源136からの燃料で動作する。例えば、液体混合物138は、反応室101内でそれらが処理されるときに、液体燃料及び/又は相当量の熱エネルギーを解放しない他の物質を含んでもよい。そのような場合において、燃料源136からの燃料を酸化することによって、反応室101内で解放された熱は、液体混合物138内の汚染物質、中間生成物及び/又は他の物質を分解してもよい。一例のように、埋め立て地からの液状水は、有毒物質及び/又は反応室101内で分解されることができる、他の種類の汚染物質を含有していてもよい。そのように、液体源131は、埋め立て地流体(landfill fluids)を生成する埋め立て地の井戸(landfill well)でもよい。埋め立て地流体は、燃料源136へ供給されるメタンを含んでいてもよく、そして、埋め立て地流体は、凝縮されて、流動タンク104に供給される水を含んでもよい。
例示のシステム300において、液体混合物138は、図4のシステム100におけるのと同様、熱交換装置122からの熱を用いて蒸発室118内で蒸発される。液体混合物138は、あるいは、異なる方法で、もしくは追加的方法で蒸発させられてもよい。例えば、液体混合物138は、図5のシステム200におけるのと同様、その混合物を熱い気流の中に注入することによって蒸発させられてもよく、いくつかの実施態様において、液体混合物138は、反応室101内で蒸発させられてもよい。
いくつかの実施形態において、燃焼ガスは、システム300の性能、もしくは、動作を調整するよう、燃料源136を介して添加されることができる。例えば、燃料含有量が少ない混合物が自立分解に十分な燃料を含有していない、もしくは、酸化過程が液体混合物138中の燃料含有量だけに基づいて維持することができない実施形態において、燃焼ガスは、自立酸化過程のための十分な燃料を提供するよう、燃料源136を通過させて空気源110で空気に添加されることができる。燃料源136を通過させて添加されることができる燃焼ガスは、限定することなく、例えば、水素、メタン、エタン、エチレン、天然ガス、プロパン、プロピレン、プロパジエン、nブタン、イソブタン、ブチレン−1、ブタジエン、イソペンタン、nペンタン、アセチレン、ヘキサン、そして一酸化炭素を含む。
燃料源136によって添加された燃焼ガスの量は、液体燃料138の中で検知される燃料の量に基づいて調整できる。もし仮に、液体燃料138の燃料含有量が変化して、それにより、燃料の好ましくない凝縮が液体混合物138中であっても、それに応じて、燃料源136で添加された燃焼ガスの量は、増加させることも減少させることもできる。いくつかの実施形態において、燃料源136で添加された燃焼ガスの量は、システム300によって受け入れられた液体混合物138中の燃料含有量に基づく。いくつかの実施形態において、燃料源136で添加された燃焼ガスの量は、液体混合物138中の燃料含有量と反応室101内での温度とに基づく。いくつかの実施形態において、燃料源136に添加される燃焼ガスの量は、液体混合物138中の燃料含有量と、反応室101内での温度変化もしくは温度変化の割合との組み合わせに基づく。
燃料混合物138中の燃料含有量は、液体タンク104内、圧縮装置108と蒸発室118の間、もしくは、蒸発室118と反応室110の間で検知できる。液体混合物138中のいくらかの燃料は、いくつかの例において、液体混合物138が蒸発室118によって熱せられるときに、酸化してもよいし、いくつかの実施形態は、液体混合物138の燃料含有量が蒸発室118と反応室101との間で検知されることを提供する。そのような実施形態において、燃料源136で添加された燃焼ガスの量は、蒸発室118と反応室101との間で検知された液体混合物138の燃料含有量に基づく。
いくつかの例において、液体混合物138は、燃料として考慮されなくてもよい追加の構成要素を含有していてもよい。例えば、液体混合物は、いくつかの実施形態において、汚染物質と水とを含んで構成されてもよい。汚染水は、いくつかの他の過程の、中間生成物になることができ、そして、汚染水は、汚染水もしくは廃水を酸化するよう、システム300に案内されることができる。例えば、汚染水は、ガス化装置の一部である洗浄装置から生じうり、上述のように、それは、液体源131になってもよい。ガス化過程において、用いられるガス燃料を配給する前に、水は、結果として生じたガス燃料を浄化して汚染物質を取り除くために用いられる。それから、汚染水は、例えば、汚染水を液体タンク104中に置くことなどによって、システム300に案内される。その後、汚染水は、液体混合物138に関する、上記同様の方法でシステム300内へと引き入れられ、そして、汚染物質が反応室101内で酸化されている間に、その水は蒸発される。この方法において、システム300は汚染された、有毒な、もしくは廃棄される水を処理し、浄化する手段として動作することができる。システム300は、たとえあるとしても最小量の有害なガス中間生成物を生成している間、汚染水を洗浄する汚染制御装置として動作することができる。
液体燃料138の燃料含有量が非常に少ないもの、燃料含有量が少ないものと汚染水との組み合わせ、もしくは汚染水だけを含む実施形態において、追加ガス燃料は、上記説明のように、燃料源136によってシステム300内に導入されることができる。いくつかの実施形態において、そのガス燃料は、実質上、反応室101内での酸化過程を維持する最適の燃料である。いくつかの実施形態は、そのガス燃料がガス化装置により生成されたガス燃料の少なくとも一部であり、そして、ガス化装置の洗浄装置からの水が液体源131によってシステム300へ導入されることを提供する。
いくつかの例において、システム300に供給された汚染水は、反応室101内での酸化の前に液体燃料に追加されることができる。例えば、もし仮に、ガス化装置からの汚染水が液体タンク104内へ置かれたときに、液体燃料は、液体混合物138の燃料含有量を増加させるよう、液体タンク104に添加されることができる。この過程は、燃料源136による気合燃料の導入に追加してもしくは変わって実行されうる。
図5のシステム200は、液体源131からの液体及び/又は燃料源136からの燃料を受け入れるよう適合されてもよい。システム100,200,300のいずれかにおいて、液体混合物は、反応室内でガスに転換させられてもよい、及び/又は、混合物を反応室内に伝える前に転換させられてもよい。反応室の前で液体混合物がガスに転換される場合において、ガス状の混合物は、反応室内で空気、燃料及び/又は他のガスと組み合わせられてもよいし、及び/又は空気、燃料、または他のガスを反応室内へ伝える前に組み合わせられてもよい。例えば、様々なシステム構成物の間等の、システム100,200,300を通じた流体連結は、センサーによって、及び又はモニタリング装置によって計測されてもよいし、制御弁及び異なる種類のフローコントロール装置によって制御されても、及び/又は、調整されてもよい、及び/又は、導管、管、蒸気口、空間、及び/又は他の種類の構造体によって収容されてもよい。そのように、システム100,200,300は、図の中に特に示されていない追加の装置、構造物、およびサブシステムを含んでもよい。
図7A及び7Bは、例示の酸化反応システムにおける流体の流れを示す概略図である。図7A及び7Bにおいて、水、燃料及び空気の流れは、概略的に示されている。それらの図において、流体は分けて示されているが、様々な実施態様において、一つもしくは複数の適切な場所で流体は混合されてもよい。例えば、図7Aに示されている液状水及び液体燃料は、図1A−2Bの液体混合物102の構成要素であってもよい。他の例のように、図7Bにおいて示された燃料及び空気は、図6のコンプレッサ114内で受け入れられた空気/燃料混合物であってもよい。
流体は、反応室410に入り込み、そして、出ていくことが図7Aおよび7Bに示されている。流体のそれぞれは、他の示された流体から分かれて反応室410内へ伝えられてもよく、及び/又は、示された流体の一つもしくは複数は、他の流体とともに反応室410内へ伝えられてもよい。例えば、いくつかの実施態様において、空気及び燃料/水混合物は、分かれて反応室410内へ導入される(すなわち、第一インレットを通過する空気と及び、第2インレットを通過する燃料/水混合物とに)、そして、いくつかの実施態様において、空気及び燃料/水混合物は、燃料が反応室410に入り込む前に空気/燃料/水混合物を形成するよう混合される(すなわち、空気/燃料/水混合物は、共通のインレットを通過して加圧された反応室内へ導入されてもよい)。
いくつかの実施形態において、空気は、システムによって燃料と水の混合物と混合される。いくつかの実施形態において、燃料及び水の混合物は、蒸発したガスである。いくつかの実施形態において、空気/燃料混合物は、水混合物と混合される。いくつかの実施形態において、空気/燃料混合物は、蒸気と混合される。いくつかの実施形態において、空気/燃料混合物は、燃料及び水の混合物と混合される。いくつかの実施形態において、燃料及び水の混合物は、蒸発したガスである。
図7A及び図7Bにおける破線は、反応室410の外部で流体の温度を上昇させるのに用いられる、反応室からの熱エネルギーの概略的な表示である。いくつかの実施態様において、流体はm反応室410からの熱なしに反応室410の外部で加熱され、そして、図に示された一又は複数の熱伝達が省略されてもよい。いくつかの実施態様において、追加の、及び/又は異なる流体が反応室410からの熱によって、反応室410の外部で加熱される、そして、追加の、及び/又は異なる熱伝達が利用される。
図7A及び図7Bの両方は、燃料が反応室410内で空気で酸化されることを示す。燃料は、例えば、反応室内の燃料の最高温度を限界温度より低く維持することなどによって、燃料の温度を限界温度より高く上昇させることなく空気で酸化されてもよい。限界温度は、推奨された又は最高限度のタービンの操作温度、推奨された又は最高限度のタービンに対するインレット温度、窒素酸化物の形成を生じる温度、反応室410を通る燃料の流量に基づき選択された温度、及び/又は他の要素などになりうる。いくつかの実施において、燃料は、窒素酸化物の形成を生じる温度より低い温度で反応室410内で酸化される。反応室410は、本明細書に記載された他の実施形態に示された反応室101になりうる。反応室410は、異なる種類の酸化反応室であってもよい。反応室410は、加圧されてもよいし、加圧されなくてもよい。
示された例において、反応室410内での燃料の酸化から放出された熱エネルギーは、機械的エネルギーに転換される。そのようにして、ガスタービン、蒸気タービン、及び/又は、熱エネルギーを機械的エネルギーに転換する他のシステムは、反応室410と連結されて用いられてもよい。機械的エネルギーは、例えば、発電装置等によって、電気的エネルギーに転換されてもよい。いくつかの例において、反応室410内での燃料の酸化から放出されたエネルギーは、追加の、もしくは異なる方法で用いられる。
図7Aに示された、一例の酸化反応室400において、液状水401と液体燃料402は、ガス状の水403及びガス状の燃料404に転換される。燃料は、アルコール、灯油、ガソリン、及び/又は他の種類の燃料を含んでいてもよい。ガス状の水403は、燃料蒸気及び/又はガス状態が他の種類である燃料を含んでもよい。ガス状の水403は、水蒸気及び/又はガス状態が他の種類である水を含んでもよい。ガス状の水403、ガス状の燃料404及び空気405は、反応室410内に伝えられる。燃料404、空気405、及び、水403が反応室410内にある間に、燃料404は、反応室410内で空気405で酸化される。
汚染物質、有毒物質、及び/又は水403と混合された他の物質は、反応室410内で分解されても、酸化されても、及び/又は他の変化を起こされてもよい。有毒物質を含んでいてもよい汚染物質は、環境及び/又は生物に対して有害になりうる物質を含んでいる。燃料404及び空気405の酸化反応は、酸化製品ガス406を生成し、その酸化製品ガス406は、水403で反応室410の外へ伝えられる。水403の熱エネルギーと酸化製品406は、機械的エネルギーに転換される。
図7Bに示された、一例の酸化反応システム450において、液状水431は、反応室410内へ伝えられ、及び/又は、液状水431は、反応室の外部でガス状の水436に転換される。液状水431が反応室410内へ伝えられる実施態様において、液状水431は、反応室410内でガス状の水434に転換される。
反応室410の外部で液状水431がガス状の水436に転換される実施態様において、ガス状の水436は、反応室410内へ伝えられる。燃料432と空気433は、反応室410内に伝えられる。燃料432、空気433、並びに、水434、及び/又は、水436が反応室内にある間、燃料432は、反応室410内で空気433で酸化される。燃料432と空気433の酸化反応は、酸化製品ガス435を生成し、その酸化製品ガス435は、水434及び/又は水436で、反応室410の外に伝えられる。水434及び/又は水436、並びに、酸化製品435の熱エネルギーは、機械的エネルギーに転換される。
例示のシステム400,450の両方において、液体からガスへの転換は、反応室410内での燃料の酸化からの熱を利用する蒸発過程を含んでもよい。液体からガスへの転換は、蒸発、蒸気化、煮沸、及び/又は他の種類の過程を含んでもよい。汚染物質、有毒物質、及び/又は水403,434及び/又は436と混合された他の物質は、例示のシステム400,450の両方において反応室410内で分解され、酸化され、及び/又は、他の変化を起こされてもよい。水403,434及び/又は436の質量は、例示のシステム400,450の機械的エネルギーの出力を増加させてもよい。
図7C及び7Dは、図7A及び7Bに示されるのと同様の形式で描かれた概略図である。図7Cおよび7Dは、ガス化装置(図7C)に関係する、そして、必ずしもガス化装置(図7D)に関係しない、一例の酸化反応システムにおける流体流を示す。図7C及び7Dにおいて、水、燃料、及び空気の流れは、概略的に示されている。それらの図において、流体は分けて示されているが、様々な実施態様において、一つもしくは複数の適切な場所で流体は混合されてもよい。例えば、図7Cにおける反応室内とガス化装置の間のガス燃料及び空気は、分けて示されていて、そして、二つは、ガス混合物の構成要素であってもよい。
図7Cにおいて、ガス化装置は、固形燃料を受け入れ、そして、固形燃料をガス燃料に転換する。液状水は、ガス燃料をスクラブするよう供給され、そして、スクラブされたガスは、ガス化装置を離れ、直接的に反応室内へ置かれることができ、もしくは、それに代わって、システムの外部での利用のために方向を変更されることができる。ガス燃料をスクラブするよう用いられた汚染された液状水は、また、反応室に入るよう方向づけられる。図は、システムへ向けられた方向から方向変更されたガス燃料を示すが、これは、任意のステップであり、そして、いくつかの実施形態において、ガス化装置によって生成されたガス燃料のすべてが、反応室によって利用される。いくつかの実施形態において、記載されているように、ガス化装置によって生成されたガス燃料の一部分だけが反応室によって利用される。
液状水は、反応室内で熱せられ、ガス状の水となり、そして、いくつかの実施態様において、最初から熱せられたガス状の水は、熱エネルギーから機械的エネルギーへの転換に対する準備の中で、さらに熱せられる。反応室によって受け入れられた汚染された液状水は、ガス状の水と液状水中に含有された汚染物質とに転換される。汚染物質は、反応室に供給され、酸化製品を生成する任意の燃料で酸化され、それから、その酸化製品は、熱エネルギーを機械的エネルギーに転換するよう、ガス状の水とともに用いられる。
流体は、反応室に入り込み、そして、出ていくことが図7Cにおいて示されている。その流体は、示された他の流体から分かれて反応室内へ伝えられてもよいし、及び/又は、示された、一つもしくは複数の流体は、他の流体とともに反応室内へ伝えられてもよい。例えば、いくつかの実施態様において、空気と燃料/水混合物は、分かれて反応室内へ導入され(すなわち、第1インレットを通る空気と、第2インレットを通る燃料/水混合物)、そして、いくつかの実施態様において、空気と燃料/伊豆混合物は、燃料が反応室に入り込む前に、空気/燃料/水混合物を形成するよう混合される(すなわち、空気/燃料/水混合物は、共通のインレットを通過して加圧された反応室内に導入されてもよい)。
いくつかの実施形態において、空気は、システムによって燃料及び水の混合物と混合される。いくつかの実施形態において、燃料及び水の混合物は、蒸発したガスである。いくつかの実施形態において、空気/燃料混合物は、水混合物と混合される。いくつかの実施形態において、空気/燃料混合物は、蒸気と混合される。いくつかの実施形態において、空気/燃料混合物は、燃料及び水の混合物と混合される。いくつかの実施形態において、燃料及び水の混合物は、蒸発したガスである。
図7Cと7Dにおける破線は、反応室の外部で流体の温度を上昇させるために用いられる、反応室からの熱エネルギーの概略的な表示である。これは、例えば、図4における熱交換装置122もしくは蒸発室118等によって達成されうる。いくつかの実施態様において、流体は、反応室の外部で反応室からの熱なしに熱せられ、そして、図に示された一又は複数の熱伝達は、省略されてもよい。いくつかの実施態様において、追加の及び/又は異なった流体は、反応室の外部で反応室からの熱によって熱せられ、そして、追加の及び/又は異なった熱伝達が利用される。液体からガスへの転換は、反応室内での燃料の酸化からの熱を利用する蒸発過程を含んでもよい。液体からガスへの転換は、蒸発、蒸気化、煮沸、及び/又は他の種類の過程を含んでもよい。
図7C及び7Dは、燃料が反応室内で空気で酸化されることを示す。燃料は、例えば、反応室内の燃料の最高温度を限界温度より低く維持することなどによって、燃料の温度を限界温度より高く上昇させることなく空気で酸化されてもよい。限界温度は、推奨された又は最高限度のタービンの操作温度、推奨された又は最高限度のタービンに対するインレット温度、窒素酸化物の形成を生じる温度、反応室を通る燃料の流量に基づき選択された温度、及び/又は他の要素などになりうる。いくつかの実施態様において、燃料は、窒素酸化物の形成を生じる温度より低い温度で反応室内で酸化される。システムの他の部分と同様に図7C及び7Dの反応室は、本明細書に記載された他の実施形態に示された反応室であることができる。反応室は、異なる種類の酸化反応室であってもよい。反応室は加圧されてもよいし、加圧されなくてもよい。
示された一例の過程において、反応室内での燃料の酸化から放出された熱エネルギーは、機械的エネルギーに転換される。ガスタービン、蒸気タービン及び/又は熱エネルギーを機械的エネルギーに転換する他の種類のシステムは、反応室に連結されて用いられてもよい。機械的エネルギーは、例えば、発電装置等によって、電気的エネルギーに転換されてもよい。いくつかの例において、反応室内での燃料の酸化から放たれたエネルギーは、追加の又は異なる方法で用いられる。
図7Cと7Dの例において、燃料は、反応室へ供給される。その燃料は、ガス化装置からのガス燃料と組み合わされたガス燃料でありうる。その燃料は、反応室に供給される液体燃料だけ、もしくは、液状水と組み合わされた状態の液体燃料でもありうる。いくつかの実施形態において、ガス化装置からのガス燃料及び/又は汚染された液状水に加えて、システムに補足的に追加されたガス燃料もしくは液体燃料の量は、(i)ガス化装置からのガス燃料、(ii)液状水中の汚染物質、もしくは、(iii)ガス化装置からのガス燃料と液状水中の汚染物質との組み合わせによって反応室に供給されている燃料の含有量の決定に基づく。
図7Cに示された酸化反応システムにおいて、液状水、液体燃料、及び汚染水は、ガス状の水、ガス状の燃料及び汚染物質に転換される。燃料は、アルコール、灯油、ガソリン、及び/又は他の種類の燃料を含んでいてもよい。ガス状の燃料は、燃料蒸気及び/又はガス状態が他の種類である燃料を含んでもよい。ガス状の水は、水蒸気及び/又はガス状態が他の種類である水を含んでもよい。空気、ガス状の水、ガス状の燃料及び汚染物質は、反応室内へ伝えられ、もしくは反応室内でガス状態へ転換される。燃料及び汚染物質は、それらが反応室内にある間、空気で酸化される。
説明されているように、汚染物質、有毒物質、及び/又は水と混合された他の物質は、反応室内で、分解されても、酸化されても、及び/又は他の変化を起こされてもよい。有毒物質を含んでいてもよい汚染物質は、環境及び/又は生物に対して有害になりうる物質を含んでいる。燃料、空気及び汚染物質の酸化反応は、酸化製品ガスを生成し、それは、水で反応室の外へ伝えられる。水及び酸化製品の熱エネルギーは、機械的エネルギーに転換される。
図7Cおよび図7Dに示された、一例の酸化反応システムにおいて、液状水は、反応室内へ伝えられ、及び/又は、反応室の外部で液状水は、ガス状の水に転換される。液状水が反応室内へ伝えられる実施態様において、液状水は、反応室内でガス状の水に転換される。いくつかの実施形態において、液状水は、反応室内でガス状の水だけに転換され、そして、いくつかの実施形態において、液状水は、反応室の外部でガス状の水だけに転換される。いくつかの実施形態において、液状水のいくらかは、反応室の外部でガス状の水に転換され、そして、液状水のいくらかは、反応室の内側でガス状の水に転換される。反応室の外部で液状水がガス状の水に転換される実施態様において、ガス状の水は、ガス状の水をさらに熱するよう、反応室内へ入るよう方向を変更される。
図7Dは、図7Cに示されたものと同様の過程を示す。しかし、図7Dの過程において、汚染された液体は、ガス化装置の洗浄装置から必ずしも生じない。図7Dは、反応室の酸化過程がシステムへ供給される、以前は汚染されていた水を処理して実質的に無害にするよう利用されることができること、を示す。いくつかの実施形態において、汚染水は、処理されるという単一の目的のためにシステムに供給され、そして、反応室は、水中で汚染物質を酸化すること、及び、結果として生じた酸化製品及びガス状の水を、熱エネルギーから機械的エネルギーの転換のために供給することができる。
図7A−7Dは、液体及び結果として生じたガスを液状水とガス状の水として記載しているが、液体は、水以外の液体でありえ、もしくは液状水は、水以外の液体を含んで構成されることができる。
ガスタービン内で燃料されたガスへの水もしくは蒸気の注入は、タービンの出力を増加させることができる。しかし、そのような注入の結果として生じた温度低下を補うために、燃焼させる燃料の量を増加させることが必要であり、それは、より高温にして、有害なNOxガスの形成を増加させるという結果を生じる。いくつかの実施形態において、上述のように、本明細書に記載された段階的酸化システムは、システム内へ水を供給することによってシステムの出力を増加させつつも、NOxの形成を増加させることなく、燃料の酸化を提供することができる。
本明細書に記載された実施形態に関して説明されているように、システムの燃料は、空気/燃料混合物が反応室内の流路に沿って流れているときに酸化される。その燃料は、好ましくは、燃料の実質的に全てを分解する無火炎段階的酸化過程によって酸化される。その燃料は、好ましくは、窒素酸化物のような有害な化合物の形成及び/又は排出を減少させるか、防止するよう十分に低い温度で酸化され、そして、好ましくは、燃料と前記反応室内に導入される他の汚染物質を酸化させるよう十分に高い温度で酸化される。
空気/燃料混合物は、反応室を通って流れ、そして、反応室の内部から熱を吸収する。その反応室は、その室内にフィルマテリアル(fill material)を任意に含有していてもよい。結果として、混合物が反応室を通って流れていくとき、空気/燃料混合物の温度は、段階的に上昇する。空気/燃料混合物の温度が燃料の自動点火温度に達する、もしくは上回ったとき、燃料は、発熱酸化反応を受ける。このようにして、酸化反応は、酸化触媒物質もしくは点火源によらずに起こってもよい。いくつかの場合において、触媒物質は、燃料の自動点火温度より実際上低い温度に対し反応室内で供給されてもよいが、しかし、本明細書に記載されたシステムの利点は、空気/燃料混合物の段階的酸化を触媒なしに達成する反応室の運転を含むことである。
燃料が酸化されたとき、発熱反応は、反応室に、また、可能であればフィルマテリアルに熱を分け与え、そして、熱エネルギーは、反応室内の流路の他領域に伝えられる。反応室を通過して伝えられた熱エネルギーは、入り込んだ燃料の酸化を起こすのを容易にするよう、入り込んだ燃料に分け与えられてもよい。反応室は、操作条件の範囲内(例えば、最大限度の流量及び燃料濃度)で、空気/燃料混合物中の燃料の全て、もしくは、いくらかが実質的な完了まで酸化されることを可能にする、十分な滞留時間及び燃料温度が供給されるよう設計されてもよい。いくつかの場合において、反応室内の空気/燃料混合物の温度は、その空気/燃料混合物の最高温度を所望のタービンインレット温度に、もしくはそれより低い温度に維持するよう制御されることができる。
上述のように、いくつかの実施形態は、多くの理由(例えば、燃焼の見込みを減少させるため、温度を制御するため、効率性及び/又は出力を増加させるため、など)のうち、一つもしくは複数のために蒸気もしくは水をシステムに添加することが想定されている。蒸気もしくは水の導入に関する、これらのシステムと燃焼システムとの違いは、重要である。例えば、ガスタービン燃焼装置の上流側への蒸気もしくは水の導入は、完全燃焼を妨げることができ、燃焼しなかった炭化水素の放出という結果を生じてもよい。ガスタービン燃焼装置の下流への蒸気の導入は、ガスを冷却する効果を有し、そして、それゆえに、燃焼装置に追加の燃料を要求し、最高限度の火炎温度を上昇させ、そして、有害なNOx放出の成立を増加させる。燃焼装置の下流への水の導入は、より多量の、燃焼される燃料を要求し、さらに、さらなる多量の有害なNOxの形成によって状況の悪化をさせる。
本明細書に記載された段階的酸化システムの実施形態は、それらが上述のような起こりうる混乱状況から回復することができる十分な時間が与えられているので、そのような問題を避けることができる。これらの実施形態はいくつかの他の利点も有している。反応室は、燃焼装置より十分に大きい。それは、セラミックのフィルマテリアルで包まれていてもよい。水中にある任意の分解された固体は、フィルマテリアルの上に沈着し、このようにして、使用前の水の浄化に対する必要性を減少もしくは無くしている。いくつかの適用例において、埋め立て地及び水処理施設の蒸発解窯を備えるなどして、多くの汚染水は、現地に集められる。この水は、他の方法では、取り除かれ、そのような汚染水を処理する施設に移さなければならない。システム内部にその水を導入することにより、そしてさらに、反応室内に分解された汚染物質だけではなく、そのような汚染物質内の任意の燃料等価物が汚染物質の酸化を通じて補われる。
図8は、蒸気注入を伴うガスタービンシステム500における、プロセスフロー図の実施形態を示している。空気は、空気源110からシステム内へ引き入れられ、そして、ガス燃料は、燃料源136を介して導入される。空気と燃料は、大気圧でともに混合され、そして、混合物は、コンプレッサ114内で圧縮される。その圧縮された混合物は、熱交換装置122で熱せられ、そこから、それがパイプ128を通過して段階的酸化反応室101に運ばれる。
反応室101は、酸化熱が製品ガスの温度を上昇させて混合物中の燃料を酸化するのに十分な温度に維持されている。反応室101内の温度は、混合物中のすべての燃料を酸化するのに十分に高く、しかし、有害なNOxガスの形成を生じるだろう温度より低く維持されている。
反応室101からの排気ガスは、排気管132と導管130を通ってタービン115に取り込まれ、そこで、排気ガスは膨張させられ、コンプレッサ114を駆動させるのに役立つパワー、及び、発電機を通じての発電等の他の用途のためのパワーを送る。ガスの濃度は、その温度と反比例している。周辺の温度が上昇したときに、入り込む空気及び燃料/空気混合物の濃度は、減少し、そして、それゆえにコンプレッサを通って流れるガスの質量もまた減少する。この、より低いマスフローは、ガスタービンからの出力の減少といった結果を生じ、このため、電気に転換されるエネルギーを減少させる。
いくつかの地域において、最も高価な電気は、夏の日のピークの間であり、なぜなら、それは、需要が最も高いときであるからであり、そして、それは、従来の発電所の出力が落ちるときでもある。本明細書に記載されたガスタービンシステムは、ガスタービン発電所の発電量を増加させることができ、それにより、もっとも必要とされるときに電力を的確に生成する。このようなことが成し遂げられる一つの方法は、システム内へ水または蒸気を導入することによる。
水は、資源150から、もしくは、液体源131を有する液体タンク104から利用することができる。その水は、導管106を通過させてポンプもしくは加圧装置へ運ばれ、そこで、それは加圧される。それから、その水は、蒸発室118に伝えられ、そして、結果として生じる蒸気は、導管120を通って導管128に伝えられ、その後、それは、反応室101に導入される。水の蒸発のための熱は、タービン排気ガスから引き込まれ、それは導管126、熱交換装置122、導管124を通って、蒸発室118に伝わる。導管128によって反応室101へ案内された、その蒸気/空気/燃料混合物は、単なる空気/燃料混合物より高いマスフローを有する。より高いマスフローを伴った状態で、目下、反応室101を通りタービン115を通って増加したマスフローがあり、結果として電気の製造を増加させる。
いくつかの実施形態において、システム内へ注入された水もしくは蒸気は、約50容量%から約80容量%の、燃料と空気とを含んで構成された燃料混合物を含んで構成される。いくつかの実施対応において、システム内へ注入された水もしくは蒸気は、約40%から約85%の燃料混合物を含んで構成され、そして、さらなる実施形態においては、水もしくは蒸気は、約20%から約90%の燃料混合物を含んで構成される。
他の反応は、増加した出力を成し遂げることが容易にできる。導管128に入っていく蒸気は、燃料/空気混合物より低い温度であり、そして反応室101に入り込むガスの温度は、それゆえに、蒸気の導入なしの場合より低い。それによって、導管128内へ導入される蒸気の量に基づく、コンプレッサ113に入り込むガスの燃料/空気割合を増加させること、もしくは、他方調整することが有利である。
いくつかの実施形態において、燃料/空気の割合は、導管128内へ導入される蒸気の量に左右される。例えば、運転の間、システムは、導管128内へ蒸気を導入せずに初期状態で動作してもよい。この初期状態において、システムは、初期の燃料/空気の割合のもとで動作していてもよい。第2の状態において、蒸気は、導管128内へ導入されることができ、そして、所望の燃料/空気の割合は、反応室101内での段階的酸化過程を維持するために、導管128内へ導入された蒸気の量に基づいて決定されることができ、実施されることができる。反応室内部の燃料の完全な酸化が達成される間、酸化過程の維持は、反応室内部の最高温度を増加させないで達成されることができる。
増加したマスフローと燃料フローは、タービン115に運ばれるエネルギーを増加させることができ、そして、それゆえに、タービンシステムの出力を増加させることができる。コンプレッサ114によって消費されたエネルギーは、前記実施形態と同様に大きく残り、そして、その増加したタービン出力は、その発電量を増加させるよう発電装置によって用いられる。
図9は、改良されたフローパターンの実施形態を示している、そのパターンは、図8に記載された実施形態のように実質的に同様の結果を達成する。図9のガスタービンシステム600において、蒸気は、導管120によって運ばれて、導管155によって反応室101内に直接取り込まれる。蒸気は、インレット160によって反応室101内へ導管155から導入され、そのインレットは、例えば、ノズルでありうる。一方、導入の場所は、前記実施形態よりさらに下流であるが(すなわち、導管128内へ取り込む代わりに反応室101内に置かれる)、結果は実質的に同じである。追加燃料の流れは、燃料/空気の割合を増加させることによって提供されることができ、このため、反応室101内の追加の熱を解放し、そして、これにより前記実施形態と同様な限界まで温度を上昇させながら、結果として、さらなるエネルギーを電気に転換する。
反応室101からの排気ガスは、排気管132および導管130を通ってタービン115に排出され、そこで排気ガスは膨張させられて、コンプレッサ114を駆動させるためのパワーを運ぶ。タービン115内で排気ガスを膨張させた後に、それは、コンプレッサ114からの燃料/空気の混合物を加熱するために熱交換装置122に導入される。それから、排気ガスは、導管124を介して、加圧装置108からの水を加熱するため及び/又は蒸発させるために、蒸発室118に案内される。蒸発室118を通過した後に、排気ガスは、アウトレット112を通過させてシステムから排出されることができる。
図10は、反応室101内に直接導入される水を供給するガスタービンシステム700のさらなる実施形態を示す。この示されたフローパターンで、水の蒸発は、反応室101内部で起こる。これは、水を熱するのに必要なエネルギーを収容し、それを反応室101内で蒸発させて蒸気状態にするよう、前記実施形態よりもさらに高い燃料/空気の割合を要求する。
水は、液体源131から導管106を介して加圧装置108に供給される。それから、水は、加圧装置108から導管120を通過して直接反応室101に伝えられる。水は、導管120からインレット165を通って反応室内へ導入され、そのインレット165は、例えばノズルでありうる。反応室101からの排気ガスは、排気管132及び導管130を通ってタービン115に排出され、そこで、排気ガスは膨張させられ、コンプレッサ114を駆動させるためのパワーを伝える。タービン115内で排気ガスを膨張させた後に、それは、コンプレッサ114からの燃料/空気の混合物を加熱するために熱交換装置122に導入される。それから、排気ガスは、アウトレット170を通してシステムから排出されることができる。
そのシステムにおいて、蒸気を生成するために廃熱を利用することによって、効率性が改善されることができ、そして、蒸気の生成によってより多い熱を補い、システムは、より効率的になりうる。効率性の影響は、以下のように見積もられてもよい。仮に、100kWhの熱が燃料で利用可能であれば、およそ30kWhの熱が電気に転換される。蒸気の注入なしに、残りの70kWhの熱は廃棄され、結果として、例えば、約30%の効率性となる。しかし、もし仮に蒸気が注入されるならば、一方、廃棄された約35kWhの熱がシステムによって、蒸気を生成するよう水に転換されることができる。この蒸気は、直ちに、他のガスと混合されなければならず、そしてさらに、ガスの温度を所望の限界値まで上げるよう熱せられる。このように熱することは、供給されて酸化される追加燃料を要求する。例えば、追加燃料の10kWhは、蒸気を適切な温度に熱するのに必要であり、そして仮に、追加の3kWhが生成されたら、効率性は、蒸気と同様のままである(約30%の効率性)。追加の3kWhより多く生成されたとき、効率性は30%より大きく改善され、そして、仮に追加の3kWhより少なく生成されたときは、効率性は約30%より減少する。
更なる考察は、所望の圧力まで水をポンプするのに必要な電位エネルギー、そして、システム内の増加した流れから生じた損失を含む。記載されたシステムの効率性は、水もしくは蒸気を組み合わせないシステムをまさって、改良されることができるので、本明細書に記載された実施形態の一つの利点は、水もしくは蒸気による補足を含む段階的酸化システムは、特に、周辺の状況が他方発電量を減少させるだろうときに、より大きな発電量を達成することができる。
本開示のより好ましい実施形態は、詳細に記載されているが、ある変形例と改良例は、この技術分野における通常の知識を有する者にとって明らかであり、本明細書に記載されたすべての特徴及び利益を提供しない実施形態を含めながら、それは理解される。この技術分野の通常の知識を有するものに、本開示は、はっきりと開示された実施形態を超えて他の変更しうる、もしくは追加の実施形態及び/又は使用方法、及び明らかな改良例、そして、それらと同等なものまで拡張される。さらに、多くの変形例は、示されて、変形例の詳細に記載されているので、本開示の範囲内にある他の改良例は、この技術分野の通常の知識を有する者に対し本開示に基づいて容易に明らかとなる。
様々な組み合わせ、もしくは特定の機構と実施形態の態様との部分的組み合わせは、創作されてもよいし、そして、それらは、それでもなお本開示の範囲内に含まれることが想定されている。さらに、当然のことながら、様々な特徴および開示された実施形態の態様は、本開示の変形態様を形成するよう、他の一と組み合わされること、もしくは変更されることができる。それゆえ、本明細書に記載された、本開示の範囲は、特に開示された実施形態によって限定されるべきではないことが意図されている。