JP2014513701A - 肥満および/または代謝症候群を治療する方法 - Google Patents

肥満および/または代謝症候群を治療する方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、STRO−1細胞および/もしくはその子孫が富化された細胞集団ならびに/またはそれに由来する可溶性因子を対象に投与することを含む、肥満を治療するまたは予防するまたは体重減少を生じるまたは代謝症候群を治療するまたは予防する方法を提供する。

Description

関連出願のデータ
本出願は、2011年5月19日に出願された、「肥満および/または代謝症候群を治療する方法」と題された米国特許仮出願第61/488037号からの優先権を主張し、その内容全体はここに参照により組み込まれる。
本開示は、肥満および/または代謝症候群を治療するまたは予防する方法に関する。
代謝症候群
代謝症候群(X症候群と同義)は、全世界規模で流行していると考えられている、社会経済学的に高いコストがかかる複合的な障害である。米国の人々の約32%が、代謝症候群を患っていると考えられており、その危険性は、年齢とともに増加している(例えば40歳と60歳の間の人の40%がこの症候群を患っていると考えられている)。代謝症候群は、冠動脈性心疾患、アテローム性動脈硬化に関連する病患、高血圧、脳卒中および2型糖尿病といった多くの障害の危険性増加に関係している。現在、代謝症候群は、以下の、
○胴囲の上昇:上昇の定義は、人種、国、性別による;
○トリグリセリドの上昇:≧150mg/dL血液(1.7mmol/L血液)またはトリグリセリド上昇の薬物治療;
○高比重リポタンパク質(HDL)コレステロールの減少:男性では<40mg/dL血液(1.0mmol/L血液)、女性では<50mg/dL血液(1.3mmol/L血液)または低い高比重リポタンパク質コレステロールの薬物治療;
○血圧の上昇:心臓収縮期≧130mmHgおよび/または心臓拡張期≧85mmHgまたは高血圧の薬物治療(すなわち高い血圧の薬物治療);および
○空腹時グルコースの上昇:≧100mg/dL血液(または高血糖症の薬物治療)
の、3つ以上の基準に基づいて診断されている。
代謝症候群の現在の非薬理学的治療には、運動と食事療法が挙げられる。薬学的治療は一般に、代謝症候群の症状の少なくとも一つを目標としている。例えば、トリグリセリドおよびHDLレベルを改善する化合物が、代謝症候群の治療に役立つと考えられている。しかし、これらの医薬は、多様な望ましくない副作用を抱えている。例えば、
●クロフィブラート(フィブリン酸誘導体)は、罹患率および死亡率を増加させる。さらに、造腫瘍性が、げっ歯類で明らかになっている。臨床試験は、いくつかのフィブラート系薬も血清クレアチンレベルの可逆的増加を生じることを示している。
●ナイアシンは、複数の有害作用を有し、その最悪なものは化学性肝炎である。他の副作用には、顔面紅潮、掻痒性、および発疹などがある。
●スタチンは、筋肉痛、横紋筋融解症(腎不全および死に至らしめる可能性がある)、筋力低下、神経障害、および記憶障害を伴う。さらに、スタチンは、半減期が比較的短く、治療的有用性を得るためには定期的な投薬が必要である。例えば、アトルバスタチンは、約20〜30時間の有効半減期を有し、長期間作用型スタチンであると考えられている。
である。
以上のことから、本技術分野において、代謝症候群の治療的/予防的方法の必要性があることは明らかであるだろう。例示的な、治療的/予防的方法は、代謝症候群のいくつかの症状を治療または予防するであろう。
肥満
肥満の発生率は、全世界で、とりわけ最近30年間で劇的に増加している。2000年までに、全体で3,880万人のアメリカ人成人、すなわちその国の人口の30%が肥満に分類された(すなわち、少なくとも、白人について30kg/m、日本人について25kg/m、および中国人について28kg/mの肥満度指数スコアを有する)。肥満は、いくつかの病患または障害に関係しており、または引き起こすと考えられていて、合衆国で毎年、およそ280,000例の死亡が肥満に関連する障害に起因すると見積もられている。
肥満は、例えば変形性関節症および呼吸器障害といった非致死性の消耗性状態から、例えば高血圧、2型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、心血管病患、がんおよび脳卒中のいくつかの形態といった、生命にかかわる慢性障害にまで、肥満関連の多くの合併症の発現に関する危険因子である。
肥満である対象の数は、増加しつつある(米国だけで肥満の発生率は、最近10年で3分の1増加した)ので、肥満および肥満関連の合併症を抑制する新規の効果的な戦略の必要性が、ますます重要になっている。
肥満の高い有病率と、それがいかに発現するかについての我々の理解の進歩にもかかわらず、現在の治療戦略は、長期の成功を達成するまでには、一貫して至っていない。さらに、体重を実際に減少させる対象の、およそ90%から95%は、減少したその体重を増加させている。
肥満の長期治療のためにFDAによって認可された治療薬物は、現在ほとんどない。これらの化合物の1つであるオルリスタット(orlistat)は、体内への脂肪吸収を遮断することにより作用する膵臓リパーゼ阻害剤である。しかし、この薬物の使用はまた、体からの未消化脂肪の排出という不快な副作用を伴っている。
肥満の治療に一般に使用される他の薬物は、シブトラミン(sibutramine)という食欲抑制薬である。シブトラミンは、脳でのノルアドレナリンおよびセロトニンの再摂取を選択的に阻害するβ−フェネチルアミンである。残念なことに、シブトラミンの使用はまた、血圧上昇と心拍数増加を伴う。これらの副作用の結果として、シブトラミンの投薬量は、もっとも効果的な用量以下のレベルに制限されている。
肥満の短期治療ための化合物には、アンフェタミン誘導体といった食欲抑制薬などがある。しかし、これらの化合物は、高度に中毒性である。さらに、対象は、これらの体重減少医薬に異なる応答をし、いくつかの対象は、他の対象より体重減少がより多く、またいくつかの対象は少しの体重減少もない。
当技術分野には、肥満を治療するもしくは予防するまたは体重を減少する必要性があることは、上記のことに基づけは当業者には明らかであるだろう。
本発明人は、STRO−1細胞調製物を用いた非ヒト霊長類モデルにおいて、体重を減少させる、および/または肥満を治療する、および/または代謝症候群を治療することが可能であることを発見した。例えば、本発明人は、STRO−1細胞調製物を投与することにより、トリグリセリドのレベルおよび超低比重リポタンパク質(VLDL)のレベルを減少させ、HDLのレベルを増加させ、耐糖能を改善し、空腹時インスリンおよびグルコースのレベルを減少させ、および体重を減少させたことを発見した。このように、本発明人は、代謝症候群の診断に要求される多くの症状を治療することができた。本発明人はまた、細胞調製物の単回投与が少なくとも3か月間、治療的有用性を提供すること、複数回投与がこの時間を延長し、有用性のレベルを増加させることができることを示した。
本開示は、対象の体重を減少させる方法であって、対象に、STRO−1細胞および/もしくはその子孫が富化された細胞集団ならびに/またはそれに由来する可溶性因子を投与することを含む方法を提供する。
一例では、対象は過体重である。一例では、対象は肥満である。
一例では、対象は2型糖尿病である。他の例では、2型糖尿病を患っていない。
本開示はさらに、対象において肥満を治療また予防する方法であって、対象に、STRO−1細胞および/もしくはその子孫が富化された細胞集団、ならびに/またはそれに由来する可溶性因子を投与する方法を提供する。
一例では、その集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子の投与は、投与の約4週間後に少なくとも約3%または3.5%、体重を減少させる。
一例では、その集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子の投与は、投与の約8間後に約4%または4.5%、体重を減少させる。
一例では、その集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子の投与は、投与の約12間後に約4%または4.5%、体重を減少させる。
例えば、体重の減少は、細胞の初期投与後である。
一例では、集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子を、少なくとも2回、投与することを含む。例えば、各投与は、約12週の期間、隔てられている。一例では、投与は、体重を少なくとも約5%、初期投与の16週間後までに減少させる。
一例では、方法は、集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子を少なくとも2回、投与することを含み、各投与は、約12週の期間、隔てられており、投与は、体重を少なくとも約6%、初期投与後20週までに減少させる。
一例では、集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子の投与は、対象の顕著に少量の食物消費の原因とはならない、および/または対象の食物消費の欲求を顕著には減少させない。このことは、方法が、(例えば、治療に先立ってまたは対象の治療の初期に摂取される量と比較して)より少量の食物消費をさらに含んでいるということではなく、投与それ自体は、対象の食物消費に影響しないということである。
本開示はまた、対象において代謝症候群もしくはその症状を治療するまたは予防する方法であって、対象に、STRO−1細胞および/もしくはその子孫が富化された細胞集団ならびに/またはそれに由来する可溶性因子を投与する方法も含む。
一例では、代謝症候群の症状は、トリグリセリド上昇、低比重リポタンパク質の上昇、高比重リポタンパク質の減少、リポタンパク質指標の減少、空腹時グルコースレベルの上昇、空腹時インスリンレベルの上昇、摂食後のグルコースクリアランスの減少、インスリン耐性、耐糖能異常、肥満、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
一例では、方法は、前述の症状の2つまたは3つまたは4つまたは5つまたはすべてを減少または予防する。
一例では、集団のおよび/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子の投与は、以下の、
(i)リグリセリドの減少;
(ii)低比重リポタンパク質の減少;
(iii)高比重リポタンパク質の上昇;
(iv)リポタンパク質指標の増加;
(v)空腹時グルコースレベルの減少;
(vi)空腹時インスリンレベルの減少;
(vii)摂食後のグルコースクリアランスの増加;
(viii)インスリン耐性の減少;および
(ix)体重の減少
の一つまたは複数を、結果として生じる。
一例では、集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子の投与は、前述の2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは全部を結果として生じる。
一例では、代謝症候群および/またはその症状の進行または悪化を予防する方法する。
一例では、本明細書でいずれかの実施例に記載される方法は、STRO−1強陽性(bright)細胞および/もしくはその子孫が富化された細胞集団ならびに/またはそれに由来する可溶性因子を投与することを含む。
一例では、本明細書でいずれかの実施例に記載される方法は、STRO−1および組織非特異型アルカリフォスファティーゼ(TNAP)細胞および/もしくはその子孫が富化された細胞集団ならびに/またはそれに由来する可溶性因子を投与することを含む。
一例では、STRO−1細胞および/もしくはその子孫が富化された集団ならびに/またはそれに由来する可溶性因子が、全身投与される。例えば、集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子は、静脈内投与される。
一例では、集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子は、複数回投与される。
例えば、集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子は、2以上の週毎に投与される。
例えば、集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子は、3以上の週毎に投与される。
例えば、集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子は、4以上の週毎に投与される。
一例では、方法は、対象をモニターし、以下の、
(i)トリグリセリドレベルが、集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子の投与の1か月または2月後に検出された以上のレベル、または集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子の初期投与前に検出されたのと同様なレベルに増加する;
(ii)低比重リポタンパク質レベルが、集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子の投与の1か月または2か月後に検出された以上のレベル、または集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因の初期投与前に検出されたのと同様なレベルに増加する;
(iii)高比重リポタンパク質レベルが、集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子の投与の1か月または2か月後に検出された以上のレベル、また集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子の初期投与前に検出されたのと同様なレベルに減少する;
(iv)リポタンパク質指標が、集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子の投与の1か月または2か月後に検出された以上のレベル、または集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子の初期投与前に検出されたのと同様なレベルに減少する;
(v)空腹時グルコースレベルが、集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子の投与の1か月または2か月後に検出された以上のレベル、または集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子の初期投与前に検出されたのと同様なレベルに増加する;
(vi)空腹時インスリンレベルが、集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子の投与の1か月または2か月後に検出された以上のレベル、または集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因の初期投与前に検出されたのと同様なレベルに減少する;
(vii)摂食後のグルコースクリアランスが、集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子の投与の1か月または2か月後に検出された以上のレベル、または集団および/または子孫および/可溶性因子の初期投与前に検出されたのと同様なレベルに減少する;
(viii)インスリン耐性が、集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子の投与の1か月または2か月後に検出された以上のレベル、または集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子の初期投与前に検出されたのと同様なレベルに増加する;および
(ix)体重が、集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子の投与の1か月または2か月後に検出された以上のレベル、または集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子の初期投与前に検出されたのと同様なレベルに増加する、
の一つまたは複数が発生するときに、集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子のさらなる用量を投与することを含む。
一例では、本明細書でいずれかの実施例に記載の方法は、以下の、
(i)トリグリセリドの減少;
(ii)低比重リポタンパク質の減少;
(iii)高比重リポタンパク質の増加;
(iv)リポタンパク質指標の増加;
(v)空腹時グルコースレベルの減少;
(vi)空腹時インスリンレベルの減少;
(vii)摂食後のグルコースクリアランスの増加;
(viii)インスリン耐性の減少;および
(ix)体重の減少
の、一つまたは複数を達成するのに十分な投与量の、集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子を投与することを含む。
一例では、用量は、前述の少なくとも2つまたは3つまたは4つまたは5つまたはすべてを達成するのに十分である。
一例では、本明細書でいずれかの実施例に記載の方法は、kgあたり0.1×10から5×10個の間のSTRO−1細胞および/またはその子孫を投与することを含む。
一例では、本明細書でいずれかの実施例に記載の方法は、kgあたり0.3×10から2×10個の間のSTRO−1細胞および/またはその子孫を含む。例えば、方法は、kgあたり約1×10または2×10個のSTRO−1細胞および/またはその子孫を投与することを含む。
一例では、本明細書でいずれかの実施例に記載の方法は、低用量のSTRO−1細胞および/またはその子孫を投与することを含む。例えば、低用量のSTRO−1細胞および/またはその子孫は、kgあたり0.1×10と0.5×10個の間のSTRO−1細胞および/またはその子孫を含む。例えば、低用量のSTRO−1細胞および/またはその子孫は、kgあたり約0.3×10δ個のSTRO−1の細胞および/またはそれらの子孫を含む。
一例では、集団および/または子孫細胞は、オートジェネイック(autogeneic)または同種異型であり、および/または可溶性因子は、オートジェネイックまたは同種異系細胞に由来してもよい。一例では、集団および/または子孫は、同種異系であり、および/または可溶性因子は同種異系細胞に由来するものである。
上述の例によれば、方法はさらに、集団および/もしくは子孫細胞ならびに/または可溶性因子を得ることを含んでもよく、またはさらに集団および/もしくは子孫細胞ならびに/または可溶性因子を単離することを含んでいてもよい。一例では、集団および/または子孫細胞は、STRO−1および/またはTNAPの発現に基づいている。
一例では、集団および/もしくは子孫細胞ならびに/または可溶性因子は、治療されている対象から得られる。他の例では、集団および/もしくは子孫細胞ならびに/または可溶性因子は、同一種の他の対象から得られる。
一例では、STRO−1細胞および/または子孫細胞が富化された集団は、投与に先立って、および/または可溶性因子を得るのに先立って、培養増殖された。
上述の例によれば、本明細書でいずれかの実施例に記載の方法はさらに、集団および/または子孫細胞を培養することを含んでもよい。
一例では、STRO−1細胞および/もしくはその子孫細胞ならびに/またはそれに由来する可溶性因子は、前記STRO−1細胞および/もしくはその子孫細胞および/またはそれに由来する可溶因子ならびに担体および/または賦形剤を含む組成物の形態で投与される。
上述の実施例によれば、本明細書でいずれかの実施例に記載の方法はさらに、集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子を組成物に製剤することを含む。
一例では、対象は、肥満を患っている、および/または代謝症候群を患っている。例えば、対象は治療を必要としている。
一例では、対象は、肥満を患うおよび/または代謝症候群を患う危険性がある。
本開示はまた、STRO−1および/もしくはその子孫が富化された集団ならびに/またはそれに由来する可溶性因子を提供し、肥満および/もしくは代謝症候群および/もしくは代謝症候群の症状を治療または予防するのに使用する。
本開示はまた、STRO−1細胞および/もしくはその子孫が富化された集団ならびに/またはそれに由来する可溶性因子を、対象における肥満および/もしくは代謝症候群および/もしくは代謝症候群の症状を治療または予防する薬剤を製造する場合に提供する。
本開示はまた、本明細書でいずれかの例に記載の方法における使用説明書と同梱された、STRO−1細胞および/もしくはその子孫が富化された細胞集団ならびに/またはそれに由来する可溶性因子、を含むキットを提供する。
例えば、本開示は、本明細書でいずれかの実施例に記載の方法における組成物の使用を指示する製品情報と同梱された、集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子を含む組成物、を含むキットを提供する。
成人BMMNCによるTNAP(STRO−3)および間葉系前駆細胞マーカー、STRO−1強陽性(bright)の共発現を示す。STRO−1 MACSで選別したBMMNCのインキュベーション、およびFITCに結合したヤギ抗マウスIgM抗体での間接標識(x軸)、およびPEに結合したヤギ抗マウスIgGで間接標識されたSTRO−3mAb(マウスIgG1)(y軸)によって、二色免疫蛍光法およびフローサイトメトリーを行った。ドットプロットヒストグラムはリストモードデータとして収集した5×10個の事象を表わしている。垂直線および水平線は、同条件下で処置したアイソタイプ一致の対照抗体、1B5(IgG)および1A6.12(IgM)で得られた平均蛍光の1.0%未満の活性レベルに設定した。結果は、少数のSTRO−1強陽性(bright)細胞集団がTNAPを共発現したが(右上の象限)、一方残りのSTRO−1細胞はSTRO−3mAbと反応しなかったことを示している。 ヤギ抗マウスIgMまたはIgG結合型FITC二次抗体を用いて検出したアイソタイプ(IgM、IgG2aおよびIgG1)陰性対照(破線)と比較した、間葉系幹細胞マーカー、STRO−1、STRO−4およびCD146(実線)の陽性細胞表面発現を伴うカニクイザルMPCに由来する培養増殖後骨髄の、単一細胞懸濁液を用いて生成した代表的なフローサイトメトリーのヒストグラムを示すグラフ表現である。代表的なヒストグラムはまた、カニクイザルのMPCが、単球/マクロファージ(CD14)、造血幹/前駆体細胞(CD34)および成熟白血球CD45)のマーカーについて、細胞表面発現を欠いていることを示している。アイソタイプ対照と比較された蛍光の1%より大きいレベルは、陽性を示している。 初期のインスリン応答(5〜20分;左側)、および静脈内グルコース負荷試験(IVGTT)後の後期(30〜60分;右側)について、1か月間の反復評価にわたる、平均での曲線下面積(AUC)を示すグラフ表現である。試験は、糖尿病および非糖尿動物で実行した(示すとおり)。 静脈内グルコース注入後の、平均での月ごとの曲線下面積(AUC30−60min)後期インスリン応答を示すグラフ表現である。個々のデータを、MPC治療の1か月前および6か月後について、糖尿病および糖尿病動物(示すとおり)について示す。矢印は、MPCが注入された時期を示す。 MPCの継続投与が、グルコース負荷に対する後期インスリン応答の漸進的増加を誘導することを示すグラフ表現である。パネル(a)にける表現は、非糖尿病および糖尿病動物の群(示すとおり)についての静脈内グルコース注入後の、平均での毎月の曲線下面積(AUC30−60min)後期インスリン応答を示す。MPC治療の1か月前および6か月後について、非糖尿病および糖尿病群についてのデータを示す。矢印は、MPCが注入された時期を示す。パネル3(b)にける表現は、未治療ベースラインと比較した群ごとの後期インスリン応答の、平均での毎月のパーセント変化を図示する。 静脈内グルコース注入後の後期インスリン応答の間(30〜60分)での平均での月ごとの血中グルコースクリアランス速度を示すグラフ表現である。個々のデータを、MPC治療の1か月前および6か月後について、各非糖尿病および糖尿病動物(示すとおり)について図示する。矢印は、MPCが注入された時期を示す。 MPCが、高グルコース負荷後のグルコースクリアランスの漸進的増加を誘導することを示すグラフ表現である。パネル(a)に、静脈内グルコース注入後の後期インスリン応答の間(30〜60分)の、平均での月ごとの血中グルコースクリアランス速度を示す。MPC治療の1か月前および6か月後について、非糖尿病および糖尿病群についての個々のデータを図示する。矢印は、MPCが注入された時期を示す。パネル5(b)に、治療前ベースラインと比較した群ごとのグルコース消費速度の、平均での月ごとのパーセント変化を図示する。 MPCで治療したサルでの、平均での月ごとの空腹時血中グルコースレベル(一番上のパネル)および平均での月ごとの空腹時インスリンレベル(一番下のパネル)を示すグラフ表現である。MPC治療の1か月前および6か月後について、非糖尿病(ベースラインでの空腹時BGL>110mg/dL)および糖尿病(ベースラインで空腹時BGL<110mg/dL)動物についての個々のデータを図示する。矢印は、MPCが注入された時期を示す。各動物についてのMPC用量を表示する。 MPCを投与された動物の、平均での月ごとの空腹時血中グルコースレベル(一番上のパネル)および平均での月ごとの空腹時インスリンレベル(一番下のパネル)を示すグラフ表現である。MPC治療の1か月前および6か月後について、非糖尿病(ベースラインでの空腹時BGL>110mg/dL)および糖尿(ベースラインで空腹時BGL<110mg/dL)動物群についてのデータを示す。矢印は、MPCが注入された時期を示す。 MPC治療が、継続的な高摂食にもかかわらず持続的な体重減少を誘導することを示すグラフ表現である。パネル(a)は、非糖尿病および糖尿病動物の両方にける、平均での月ごとの体重変化を示す。MPC治療の1か月前および6か月後について、非糖尿病および糖尿病動物についての個々のデータを示す。矢印は、MPCが注入された時期を示す。各動物に対するMPCの用量を各パネルの一番上に示す。パネル(b)に、体重測定期間をとおした、各個の動物についての食物消費量(週あたりの消費されたペレットの平均数)を示す。パネル(c)に、未治療ベースラインと比較してMPC治療後の動物のプールされた群における、平均での月ごとの体重減少パーセンテージを示す。体重減少は、MPC治療の経過中に4%から6%の範囲にあった。 MPC治療の1か月前および6か月後について、非糖尿病および糖尿病動物における、月ごとの空腹時脂質プロファイル(示すとおり)を示すグラフ表現である。非糖尿病および糖尿病動物についての個々のデータを示す。矢印は、MPCが注入された時期を示す。各動物についてのMPC用量を、各パネルの一番上に示す。 非糖尿病および糖尿病動物における、平均での月ごとの空腹時脂質プロファイル(示すとおり)を示すグラフ表現である。MPC治療の1か月前および6か月後について、非糖尿病および糖尿病群についてのデータを示す。矢印は、MPCが注入された時期を示す。
一般的技術および選択された定義
本明細書を通じて、それ以外に具体的に述べられている場合または文脈がそれ以外に要求する場合を除いて、単一ステップへの参照、物質の組成物、ステップの群または物質の組成物の群は、1つおよび複数(すなわち一つまたは複数)のそれらのステップ、物質の組成物、ステップの群または物質の組成物の群を包含すると解されるものとする。
本明細書に記載される各実施例は、それ以外に具体的に述べられて場合を除き、本開示のそれぞれおよびすべての他の例に準用されるものとする。
当業者は、本開示および個々のそれらの実施例が、具体的に記載されたもの以外の変形および修正を許容することができることを理解するであろう。本開示がそのような変形および修正すべてを含むことを理解すべきである。本開示はまた、本明細書で参照または表示されているステップ、機能、組成物および化合物のすべてを個々にまたは集合的に、ならびに、前記ステップもしくは機能のいずれかのおよびすべての組み合わせまたはいずれか2つ以上の組み合わせを含む。
本開示は、本明細書に含まれる具体的な実施例によって範囲を制限されるものではなく、例示を目的とすることだけを意図している。機能的に等価な生成物、組成物、および方法は、本明細書に記載される場合、明確に、本開示およびそれらの実施例の範囲内にある。
本開示は、それ以外に表示されている場合を除き、分子生物学、微生物学、ウイルス学、DNA組み換え技術、溶液中でのペプチド合成、固相ペプチド合成、および免疫学の従来技術を用いて過度の実験なしに実行される。そのような手順は、Sambrook, Fritsch & Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratories, New York, Second Edition (1989),Vol I,II,およびIIIの全部; DNA Cloning: A Practical Approach, Vols. I and II (D. N. Glover, ed., 1985), IRL Press, Oxford,のテキスト全体; Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach (M. J. Gait, ed, 1984) IRL Press, Oxford,のテキスト全体、および特にその中でのGaitによる,ppl−22の論文; Atkinson et al, pp35-81; Sproat et al, pp 83-115; および Wu et al, pp 135-151; 4. nucleic Hybridization: A Practical Approach (B. D. Hames & S. J. Higgins, eds., 1985) IRL Press, Oxford,のテキスト全体; Immobilized Cells and Enzymes: A Practical Approach (1986) IRL Press, Oxford,のテキスト全体; Perbal, B., A Practical Guide to Molecular Cloning (1984); Methods In Enzymology (S. Colowick and N. Kaplan, eds., Academic Press, Inc.),のシリーズ全体; J.F. Ramalho Ortigao, “The Chemistry of Peptide Synthesis” In: Knowledge database of Access to Virtual Laboratory website (Interactiva, Germany); Sakakibara, D., Teichman, J., Lien, E. Land Fenichel, R.L. (1976). Biochem. Biophys. Res. Commun. 73 336-342; Merrifield, R.B. (1963). J. Am. Chem. Soc. 85, 2149-2154; Barany, G. and Merrifield, R.B. (1979) in The Peptides (Gross, E. and Meienhofer, J. eds.), vol. 2, pp. 1-284, Academic Press, New York. 12. Wunsch, E., ed. (1974) Synthese von Peptiden in Houben-Weyls Metoden der Organischen Chemie (Muler, E., ed.), vol. 15, 4th edn., Parts 1 and 2, Thieme, Stuttgart; Bodanszky, M. (1984) Principles of Peptide Synthesis, Springer-Verlag, Heidelberg; Bodanszky, M. & Bodanszky, A. (1984) The Practice of Peptide Synthesis, Springer-Verlag, Heidelberg; Bodanszky, M. (1985) Int. J. Peptide Protein Res. 25, 449-474; Handbook of Experimental Immunology, VoIs. I-IV (D. M. Weir and C. C. Blackwell, eds., 1986, Blackwell Scientific Publications); および Animal Cell Culture: Practical Approach, Third Edition (John R. W. Masters, ed., 2000), ISBN 0199637970,のテキスト全体、に記載されている。
本明細書をとおして、文脈がそれ以外を要求する場合を除き、「comprise(含む)」という語、または「comprises」もしくは「comprising」といった変化形は、述べられたステップまたは要素または完全体またはステップ(複数)もしくは要素(複数)もしくは完全体(複数)の群の包含を意味するが、あらゆる他のステップまたは要素または完全体または要素もしくは完全体の群の排除を意味するものではないことが理解されるであろう。
本明細書で使用される場合、「由来する(derived from)」の用語は、特定の完全体が、具体的な源から、その源から必ずしも直接的ではないにしても、得られうることを表示すると解されるものとする。STRO−1細胞および/またはその子孫細胞に由来する可溶性因子という文脈では、この用語は、STRO−1細胞および/またはそれらの子孫細胞のin vitro培養の間に産生される一つまたは複数の因子、例えば、タンパク質、ペプチド、炭水化物等などを意味すると解されるものとする。
本明細書で使用される場合、「トリグリセリドの上昇」という用語は、dL血液あたり約150mg(1.7mmol/L血液)以上のトリグリセリドを意味すると理解されるであろう。対象における脂質および/またはリポタンパク質レベルを評価する方法は、当業者には明らかであろうし、超遠心分離、免疫測定を含む。
本明細書で使用される場合、「低比重リポタンパク質(LDL)の上昇」という用語は、心臓病またはアテローム性動脈硬化症を患う人々について、dL血液あたり100mg以上のLDL、またはdLあたり70mg以上のLDLを意味すると理解されるであろう。対象における脂質および/またはリポタンパク質レベルを評価する方法は、当業者には明らかであろうし、超遠心分離、免疫測定を含む。
本明細書で使用される場合、「高比重タンパク質(HDL)コレステロールの減少」いう用語は、男性においてdL血液あたり40mg(1.0mmol/L血液)以下のHDL、または女性においてdL血液あたり50mg(1.3mmol/L血液)以下のHDLを意味すると理解されるであろう。対象における脂質および/またはリポタンパク質レベルを評価する方法は、当業者には明らかであろうし、超遠心分離、免疫測定を含む。
本明細書で使用される場合、「リポタンパク質指標」という用語は、HDLの非HDLコレステロールに対する比を意味すると理解されるであろう。このように、HDLがより高いレベルおよび/または非HDLコレステロールがより低いレベルになると、この比はより高くなる。
本明細書で使用される場合、「空腹時グルコースレベルの上昇」という用語は、Lプラズマあたり5.6mmolグルコース(またはdLプラズマあたり1OOmgグルコース)から、Lプラズマあたり6.9mmolグルコース(またはdLプラズマあたり125mgグルコース)の空腹時血漿グルコースレベルを意味すると理解されるであろう。
本明細書で使用される場合、「空腹時インスリンレベルの上昇」という用語は、約60pmol/Lより大きい空腹時インスリンレベルを意味すると理解されるであろう。これはまた、インスリン耐性の証拠である。
本明細書で使用される場合、「耐糖能異常」という用語は、経口用量75グラムのグルコースを摂取した2時間後における、血漿グルコース濃度7.8mmol/dL(140mg/dL)以上(例えば7.8〜11mmol/dL(140〜197mg/dL)までを意味すると理解されるであろう。この定義はまた、受け入れられている定義、例えば、静脈内グルコース負荷試験を用いた評価を企図している。
本明細書で使用される場合、「インスリン耐性」という用語は、耐糖能異常および/または空腹時インスリンレベルの上昇で特徴づけられる状態を包含する。
本明細書で使用される場合、「過体重」または「過剰な体重」という用語は、肥満度指数25以上を意味する理解されるであろう。一部の例では、この用語は、肥満を包含すると理解されるであろう。一部の例では、この用語は、前肥満、すなわちBMI25〜30を包含する。「過体重」について他の臨床的に受け入れられている定義もまた、この用語により企図される。過体重である対象はまた、肥満を発症する危険性があると考えられる。
本明細書で「代謝症候群を発症する危険性のある対象」への言及は、50歳代の対象、ならびに/またはヒスパニック系および/もしくはアジア人種および/もしくは25才以上の対象、ならびに/または2型糖尿病の家族歴のある、および/もしくは妊娠期間に糖尿病(妊娠性糖尿病)の家族歴のある、および/もしくは肥満の家族歴のある、および/もしくは高血圧、心臓血管系病患もしくは多嚢胞性卵巣症候群の一つもしくは複数の診断のある対象を含む。
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、以下の、
(i)トリグリセリドの減少;
(ii)低比重リポタンパク質の減少;
(iii)高比重リポタンパク質の増加;
(iv)リポタンパク質指標の増加;
(v)空腹時グルコースレベルの減少;
(vi)膵臓インスリン分泌の増加;
(vii)摂食後のグルコースクリアランスの増加;
(viii)インスリン耐性の減少;および
(ix)体重の減少、
のうちの一つまたは複数を達成するのに十分な、STRO−1細胞および/もしくはその子孫細胞ならびに/またはそれに由来する可溶性因子の量を意味すると解されるものとする。
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、代謝症候群および/または肥満を治療するのに十分な量、すなわち対象が代謝症候群および/または肥満についての臨床基準をもはや満たさなくなるような量の、STRO−1細胞および/もしくはそれの子孫細胞ならびに/またはそれに由来する可溶性因子を意味すると解されるものとする。例えば、肥満対象の体重は、その対象がもはや肥満でない程度(例えば、それらは過体重または正常であってもよい)に減少する。
本明細書で使用される場合、「予防有効量」という用語は、代謝症候群および/もしくは肥満を予防するまたは抑制するまたはその開始を遅延させるのに十分な量、例えば、対象が代謝症候群および/または肥満の診断に関する臨床基準を発症するのを防ぐのに十分な量の、STRO−1細胞および/もしくはその子孫細胞ならびに/またはそれに由来する可溶性因子を意味すると解されるものとする。例えば、過体重の対象は、肥満とされる程度まで体重が増加し続けないように治療される。
本明細書で使用される場合、「低用量」という用語は、STRO−1細胞および/もしくはその子孫の、1×10個より少ないがそれでも本明細書で定義されている「有効量」ならびに/または本明細書で定義される「治療有効量」ならびに/または本明細書で定義される「予防有効量」であるのに十分な量を意味すると理解されるものとする。例えば、低用量は、0.5×10個以下の細胞、または0.4×10個以下の細胞、または0.3×10個以下の細胞または0.1×10個以下の細胞を含む。
本明細書で使用される場合、「治療する(treat)」または「治療(treatment)」または「治療すること(treating)」という用語は、治療有効量の可溶性因子および/もしくは細胞を投与すること、ならびに代謝症候群の症状(複数可)を、対象がもはやその症候群を伴うと臨床的に診断されないように減少させるもしくは阻害すること、ならびに/または対象がもはや肥満ではないように対象の体重を減少させることを意味すると理解されるものとする。
本明細書で使用される場合、「予防する(prevent)」、「予防すること(preventing)」、「予防(prevention)」という用語は、予防有効量の可溶性因子および/もしくは細胞を投与すること、ならびに代謝症候群の発症もしくは進行を停止するもしくは妨げるもしくは遅延させること、ならびに/または肥満の発症を停止もしくは妨げるもしくは遅延させることを意味すると解されるものとする。
本明細書で使用される場合、「可溶性因子」という用語は、STRO−1細胞および/またはその子孫によって産生される、水溶性のあらゆる分子、例えば、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質、糖ペプチド、リポタンパク質、リポペプチド、炭水化物を意味すると解されるものとする。そのような可溶性因子は、細胞内にありうる、および/または細胞によって分泌されうる。そのような可溶性因子は、複雑な混合物(例えば上清)および/もしくはその画分であり得る、並びに/または精製された因子であり得る。一例では、可溶性因子は、上清中に含有される。従って、一つまたは複数の可溶性因子の投与を目的とする本明細書のいかなる例も、上清の投与に準用されると解されるものとする。
本明細書で使用される場合、「上清」という用語は、例えば液状培地といった適切な培地においてSTRO−1+細胞および/またはその子孫のin vivoでの培養をおこなった後に生成される非細胞性物質をさす。典型的には、上清は、適切な条件と時間のもと培地中で細胞を培養し、その後に遠心分離といった過程により細胞性物質を除去することによって生成される。上清は、投与前にさらなる精製ステップを経ても経なくてもよい。一例では、上清は、10個より少ない、さらには10個より少ないといった、例えば、10個より少ない細胞を含み、例えば生細胞は含まない。
本明細書で使用される場合、「正常または健康な個体」という用語は、当技術分野で既知のおよび/または本明細書に記載のあらゆる方法により評価されている代謝症候群または肥満を患っていない対象を意味すると解されるものとする。一例では、「正常または健康な個体」は、代謝症候群のいかなる症状も患っていない、および/または35より低いBMI値を有する。
STRO−1 細胞または子孫細胞、およびそれに由来する上清または1つもしくは複数の可溶性因子
STRO−r細胞は、骨髄、血液、乳歯(例えば、脱落乳歯)、歯髄細胞、脂肪組織、皮膚、脾臓、膵臓、脳、腎臓、肝臓、心臓、網膜、脳、毛包、腸、肺、リンパ節、胸腺、骨、靱帯、腱、骨格筋、真皮、および骨膜に見出される細胞である。
一例では、STRO−1細胞は、一つまたは複数または2つまたはそれ以上および/または3つの、中胚葉および/または内胚葉および/または外胚葉等の生殖細胞系に分化することができる。
一例では、STRO−1細胞は、多数の細胞型、例えば、限定はされないが、脂肪組織、骨組織、軟骨組織、弾性組織、筋肉組織、および線維性結合組織に分化可能な多能性細胞である。これらの細胞が迎える具体的な細胞系譜の決定および分化経路は、増殖因子、サイトカイン、および/または宿主組織によって構築される局所的な微小環境の条件等の機械的影響および/または内在性生物活性因子からの種々の影響に依存する。従って、STRO−1多能性細胞は、分裂して、どちらも幹細胞である娘細胞を生じる非造血系前駆細胞であるか、または適切な時期に不可逆的に分化して表現型を持つ細胞(phenotypic cell)を生じる前駆細胞である。
一例では、STRO−1細胞は、対象、例えば、治療を受ける対象または近縁の(related)対象もしくは非近縁の(unrelated)対象(同一種か異種かに関わらない)から得られた試料から富化される。「富化された」、「富化」という用語またはその変化形は、無処置の細胞集団(例えば、天然環境にある細胞)と比較したときに、ある特定の細胞型の割合またはいくつかの特定の細胞型の割合が増加している細胞集団を記述するために本明細書では使用される。一例では、STRO−1細胞が富化された集団の割合は、少なくとも約0.1%または0.5%または1%または2%または5%または10%または15%または20%または25%または30%または50%または75%のSTRO−1_細胞を含む。この点において、「STRO−1細胞が富化された細胞集団」という用語は、「X%のSTR01細胞を含む細胞集団」という用語について明示的な支持を与えると解されるであろう。ここでX%は、本明細で列挙されているようにパーセンテージである。STRO−1細胞は、一部の例では、クローン原生コロニー、例えばCFU−F(線維芽細胞)を形成する可能性があり、またはそのサブセット(例えば50%または60%または70%または70%または90%または95%)がこの活性を有する可能性がある。
一例では、細胞集団は、選択可能な形態でSTRO−r細胞を含む細胞の調製物から富化される。この点において、「選択可能な形態」という用語は、STRO−1細胞の選択を可能にするマーカー(例えば細胞表面マーカー)を発現することを意味すると理解されるであろう。マーカーは、STRO−1であってもよいが、しかしそうである必要はない。例えば、本明細書に記載されているおよび/または例示されているように、STRO−2および/またはSTRO−3(TNAP)および/またはSTRO−4および/またはVCAM−1および/またはCD146および/または3G5を発現する細胞(例えばMPC)はまた、STRO−1(そしてSTRO−1強陽性(bright)である可能性がある)を発現する。従って、細胞がSTRO−1であるという表示は、細胞がSTRO−1発現によって選択されるということを意味するものではない。一例では、細胞は、少なくともSTRO−3発現に基づいて選択され、例えばそれらはSTRO−3(TNAP)である。
細胞またはその集団の選択への言及が、特定の組織源からの選択である必要はない。本名明細書に記載されるように、STRO−1細胞は、非常に多様な源から選択または分離または富化されうる。とはいうものの、一部の例では、これらの用語は、STRO−1細胞(例えばMPC)を含むあらゆる組織、または血管組織、または周皮細胞(例えばSTRO−1周皮細胞)を含む組織、または本明細書に列挙される組織のいずれかまたはそれ以上のものに支持を与える。
一例では、本開示の方法で用いられる細胞は、TNAP、VCAM−1、THY−1、STRO−2、STRO−4(HSP−90β)、CD45、CD146、3G5またはそれらのあらゆる組合せからなる群から、個々に、または集合的に選択される一つまたは複数のマーカーを発現する。
「個々に(Individually)」とは、本開示が、列挙されたマーカーまたはマーカー群を個別に包含すること、および、個々のマーカーまたはマーカー群が本明細書に個別には列挙されているわけではないにもかかわらず、添付の特許請求の範囲が、かかるマーカーまたはマーカー群を互いから個別に、且つ可分的に定義してもよいことを意味している。
「集合的に(Collectively)」とは、本開示があらゆる数の、またはあらゆる組合せの一覧にされたマーカーまたはペプチド群を含むこと、および、かかるあらゆる数の、またはあらゆる組合せの列挙されたマーカーまたはマーカー群が本明細書では具体的に一覧にされているわけではないにもかかわらず、添付の特許請求の範囲が、かかる組合せまたは部分的な組合せを、マーカーまたはマーカー群の他のあらゆる組合せから個別に、且つ可分的に定義してもよいことを意味している。
例えば、STRO−1細胞はSTRO−1強陽性(bright)(STRO−1強陽性(br)と同義)である。一例では、Stro−1強陽性細胞は、STRO−1弱陽性またはSTRO−1中間(intermediate)細胞と比較して優先的に富化される。
一例では、STRO−1強陽性細胞は、さらに、TNAP、VCAM−1、THY−1、STRO−2、STRO−4(HSP−90P)、STRO−2および/またはCD146のうちの一つまたは複数である。例えば、細胞は、1つ以上の前述のマーカーに選択されるおよび/または1つ以上の前記マーカーを発現することが示される。この点において、マーカーを発現することが示された細胞が、具体的に試験される必要はなく、むしろ、これまで富化されたまたは単離された細胞が試験されてもよく、引き続いて使用、単離または富化された細胞もまた、同一のマーカーを発現するものと、妥当に仮定されてもよい。
一例では、前記間葉系前駆細胞は、国際公開第WO2004/85630号で定義されたように、血管周囲の間葉系前駆細胞である。
所与のマーカーに関して「陽性」であると見なされる細胞は、用語が蛍光の強度に関連する場合、マーカーが細胞表面上に存在している程度に応じた、低(低(lo)または弱陽性(dim))レベルもしくは高(強陽性(bright、bri))レベルのマーカーどちらかを発現している場合がある。ここで、この用語は、細胞の分取過程で使用される他のマーカーの蛍光強度に関係している。低(または弱陽性もしくは微陽性)および強陽性の差異は、分取されている特定の細胞集団上の使用されるマーカーとの関連で理解されるだろう。所与のマーカーに関して「陰性」であるとみなされる細胞は、必ずしもその細胞に全く存在していないわけではない。この用語は、マーカーが、前記細胞によって相対的に非常に低いレベルで発現されていること、および、検出可能な程度に標識された場合に、マーカーが非常に小さなシグナルを発すること、またはバックグラウンドレベル、例えば、アイソタイプ対照抗体を用いて(suing)検出されたレベル以上には検出不能であること、を意味する。
「強陽性(bright)」という用語は、本明細書で使用される場合、検出可能な程度に標識された場合に、相対的に高いシグナルを発する細胞表面上マーカーを指している。理論に制限されることを望むものではないが、「強陽性」細胞は、試料中の他の細胞よりもいっそう多くの標的マーカータンパク質(例えばSTRO−1から識別される抗原)を発現すると提唱されている。例えば、STRO−1強陽性細胞は、FITC結合STRO−1抗体で標識された場合、蛍光標識細胞分取(FACS)分析によって測定される、非強陽性細胞(STRO−1微陽性/弱陽性)よりも大きな蛍光シグナルを発する。一例では、「強陽性」細胞は、出発試料中に含まれる最も明るく標識された骨髄単核細胞のうちの少なくとも約0.1%を構成している。他の例では、「強陽性」細胞は、出発試料中に含まれる最も明るく標識された骨髄単核細胞のうちの少なくとも約0.1%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約1.5%、または少なくとも約2%を構成している。一例では、STRO−1強陽性細胞は、「バックグラウンド」、すなわちSTRO−1である細胞と比較して、STRO−1の細胞表面発現が2対数分(2 log magnitude)高い。比較した場合、STRO−1弱陽性および/またはSTRO−1中間細胞は、「バックグラウンド」よりも、STRO−1の細胞表面発現が2対数未満分高く、典型的には、約1対数以下分高い。
本明細書で使用される場合、「TNAP」という用語は、組織非特異的アルカリホスファターゼの全てのアイソフォームを包含することが意図されている。例えば、その用語には、肝アイソフォーム(LAP)、骨アイソフォーム(BAP)および腎アイソフォーム(KAP)が包含される。一例では、TNAPはBAPである。一例では、TNAPは、本明細書で使用される場合、ブダペスト条約の規定に基づきPTA−7282の寄託受託番号で2005年12月19日にATCCに寄託されたハイブリドーマ細胞株によって産生されるSTRO−3抗体と結合することができる分子を指す。
さらに、好ましい一例では、STRO−1細胞はクローン原性のCFU−Fを生じさせることができる。
かなりの割合のSTRO−1多能性細胞が、少なくとも2種類の異なる生殖細胞系に分化することができることが好ましい。多能性細胞が分化決定され得る系譜の例としては、限定はされないが、骨前駆細胞;胆管上皮細胞および肝細胞への多分化能を有する肝細胞前駆細胞;乏突起膠細胞および星状膠細胞へと進行するグリア細胞前駆細胞を生じることができる神経限定細胞(neural restricted cell);ニューロンへと進行する神経前駆細胞;心筋および心筋細胞の前駆細胞、グルコース応答性インスリン分泌膵β細胞株が挙げられる。他の系譜としては、限定はされないが、象牙芽細胞、象牙質産生細胞および軟骨細胞、並びに以下の前駆細胞:網膜色素上皮細胞、線維芽細胞、ケラチノサイト等の皮膚細胞、樹状細胞、毛包細胞、尿細管上皮細胞、平滑筋細胞および骨格筋細胞、精巣前駆細胞、血管内皮細胞、腱、靱帯、軟骨、脂肪細胞、線維芽細胞、骨髄基質、心筋、平滑筋、骨格筋、周皮細胞、血管細胞、上皮細胞、グリア細胞、神経細胞、星状膠細胞および乏突起膠細胞が挙げられる。
別の例では、STRO−1細胞は、培養後、造血細胞を生じさせることができない。
一例では、本細胞は治療を受ける対象から採取され、標準的な技術を用いてin vitroで培養され、自己成分または同種異系成分としてその対象に投与するための上清または可溶性因子または増殖した細胞を得るために用いられる。別の例では、樹立されたヒト細胞株のうちの一つまたは複数の細胞が用いられる。本開示の別の有用な例では、非ヒト動物の(または、患者がヒトでない場合は別の種に由来の)細胞が用いられる。
本開示は、STRO−1細胞および/またはその子孫細胞(後者は増殖後細胞(expanded cell)とも称される)から得られる、または由来する、in vitroでの培養から生成される上清または可溶性因子の使用も企図している。本開示の増殖後細胞は、培養条件(培地中の刺激因子の数および/または種類を含む)、継代数等に応じて、種々様々な表現型を有し得る。ある例では、子孫細胞は、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、または約10回の継代後に、親集団から得られる。もっとも、子孫細胞は、任意の回数の継代後に親集団から得ることができる。
子孫細胞は任意の適切な培地中で培養することによって得ることができる。「培地」という用語は、細胞培養に関して使用される場合、細胞周辺の環境の成分を含む。培地は固体、液体、気体または相および物質の混合物であってもよい。培地には、液体の増殖培地、および細胞増殖を維持しない液体培地が含まれる。また、培地には、寒天、アガロース、ゼラチンおよびコラーゲン基質等のゼラチン質の培地も含まれる。気体培地の例としては、ペトリ皿または他の固体もしくは半固体の担体上で増殖している細胞が曝される気相が挙げられる。また、「培地」という用語は、それが未だ細胞と接触していない場合であっても、細胞培養での使用を目的としている物質を指す。すなわち、細菌培養用に調製された栄養分に富んだ液体が培地である。水または他の液体と混合されたときに細胞培養に適したものとなる粉末状混合物は、「粉末状培地」と称することができる。
一例では、本開示の方法に有用な子孫細胞は、STRO−3抗体で標識した磁気ビーズを用いて、TNAPSTRO−1細胞を骨髄から単離し、その後、その単離細胞を培養増殖することによって得られる(適切な培養条件の例は、Gronthos et al. Blood 85:929-940, 1995を参照)。
一例では、そのような増殖後細胞(子孫)(例えば、少なくとも5回継代後)は、TNAP、CC9、HLAクラスI、HLAクラスII、CD14、CD19、CD3、CD11a、CD31、CD86、CD34および/またはCD80であり得る。しかし、可能性としては、本明細書に記載の条件とは異なる培養条件下では、種々のマーカーの発現は異なる場合がある。また、これらの表現型の細胞は増殖後の細胞集団において優勢であり得るが、一方で、そのことはこの表現型を有さない細胞の割合が小さいことを意味するものではない(例えば、わずかな比率の増殖後細胞はCC9であり得る)。一例では、増殖後細胞は異なる細胞型への分化能をまだなお有している。
一例では、上清もしくは可溶性因子、または細胞それ自体を得るために用いられる消費後(expended)細胞集団が含む細胞は、そのうち少なくとも25%、例えば少なくとも50%等がCC9である。
別の例では、上清もしくは可溶性因子、または細胞それ自体を得るために用いられる増殖後細胞集団が含む細胞は、そのうち少なくとも40%、例えば少なくとも45%等がSTRO−1である。
さらなる例では、増殖後細胞は、LFA−3、THY−1、VCAM−1、ICAM−1、PECAM−1、P−セレクチン、L−セレクチン、3G5、CD49a/CD49b/CD29、CD49c/CD29、CD49d/CD29、CD90、CD29、CD18、CD61、インテグリンβ6−19、トロンボモジュリン、CD10、CD13、SCF、PDGF−R、EGF−R、IGF1−R、NGF−R、FGF−R、レプチン−R(STRO−2はレプチン−Rである)、RANKL、STRO−4(HSP−90P)、STRO−1強陽性およびCD146からなる群から集合的に、もしくは個々に選択される一つもしくは複数のマーカー、またはこれらのマーカーのあらゆる組合せを発現し得る。
一例では、子孫細胞は、国際公開第WO2006/032092号に定義および/または記載される、多能性増殖後STRO−1多能性細胞子孫(Multipotential Expanded STRO-1+ Multipotential cells Progeny)(MEMP)である。子孫が由来し得るSTRO−1多能性細胞が富化された集団を調製する方法は、国際公開第WO01/04268号および同第WO2004/085630号に記載されている。in vitroという文脈では、STRO−1多能性細胞は完全に純粋な調製物として存在することはまれであり、通常は組織特異的分化決定済み(committed)細胞(TSCC)である他の細胞と一緒に存在している。国際公開第WO01/04268号は、そのような細胞を骨髄から約0.1%〜90%の純度レベルで回収することに言及している。子孫が由来するMPCを含む集団は、組織源から直接回収してもよいし、あるいは、ex vivoで既に増殖させてある集団であってもよい。
例えば、子孫は、それらが存在する集団の全細胞の少なくとも約0.1、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80または95%を含む、収集され、増殖していない、実質的に精製されたSTRO−1多能性細胞の集団から得てもよい。このレベルは、例えば、TNAP、STRO−4(HSP−90P)、STRO−1強陽性、3G5、VCAM−1、THY−1、CD146およびSTRO−2からなる群から個々に、または集合的に選択される少なくとも1つのマーカーが陽性である細胞を選別することによって達成することができる。
MEMPSは、STRO−1強陽性マーカーに対し陽性であり、アルカリホスファターゼ(ALP)マーカーに対し陰性であるという点で、新たに収集されたSTRO−1多能性細胞と区別することができる。対照的に、新たに単離されたSTRO−1多能性細胞は、STRO−1強陽性およびALPの両方に対し陽性である。本開示の一例では、投与される細胞のうち少なくとも15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%が、STRO−1強陽性、ALPの表現型を有する。さらなる一例では、MEMPSはKi67、CD44および/またはCD49c/CD29、VLA−3、α3β1マーカーのうちの一つまたは複数に対し陽性である。さらなる例では、MEMPはTERT活性を示さず、および/または、CD18マーカーに対し陰性である。
STRO−1細胞出発集団は、国際公開第WO01/04268号または同第WO2004/085630号に記載される、あらゆる一つまたは複数の組織型、すなわち、骨髄、歯髄細胞、脂肪組織および皮膚由来、あるいは、より広範に、脂肪組織、歯、歯髄、皮膚、肝臓、腎臓、心臓、網膜、脳、毛包、腸、肺、脾臓、リンパ節、胸腺、膵臓、骨、靱帯、骨髄、腱および骨格筋由来であってもよい。
本開示に記載の方法を実施する際、任意の所与の細胞表面マーカーを保有している細胞の分別は、例示的な異なる方法によって達成できるが、一部の方法は、結合物質(例えば、抗体またはその抗原結合断片)を関係するマーカーに結合し、高レベル結合、または低レベル結合または結合なしのいずれかである、結合を示す細胞を分別することに依存することは理解されるだろう。最も都合のよい結合物質は、例えばモノクローナル抗体の、抗体または抗体ベースの分子であるか、またはこれらの後者の作用物質の特異性という理由からモノクローナル抗体(例えばその断片に結合する抗原を含むタンパク質)に基づいている。抗体は両方のステップに用いることができるが、他の作用物質を用いてもよく、従って、マーカーを保有している細胞、またはマーカーがない細胞を富化するために、これらのマーカーに対するリガンドを使用してもよい。
抗体またはリガンドを固体の担体に付着させることで、粗分別が可能となる
例えば、分別技術は、収集される画分の生存能の保持率を最大とする。異なる効率の種々の技術が、比較的粗い分別を行うために使用可能である。使用される具体的な技術は、分別効率、随伴する細胞毒性、実施の容易さおよび速さ、並びに高性能機器および/または技巧の必要性に応じたものとなるだろう。分別の手順には、限定はされないが、抗体被膜磁気ビーズを用いた磁気分別、アフィニティークロマトグラフィーおよび固体の基盤に付着した抗体での「パニング」が含まれ得る。正確な分別を提供する技術としては、限定はされないが、FACSが挙げられる。FACSを実施するための方法は、当業者には明らかであるだろう。
本明細書に記載のマーカーの各々に対する抗体は市販されており(例えば、STRO−1に対するモノクローナル抗体はR&Dシステム社、米国から購入できる)、ATCCまたは他の預託機関から入手可能であり、および/または、当該分野で認知されている技術を用いて作製することができる。
一例では、STRO−1細胞を単離するための方法は、例えば、STRO−1の高レベル発現を認識する磁気細胞分取(MACS)を利用する固相分取ステップである第一ステップを含む。所望であれば、より高レベルの前駆細胞発現をもたらすために、国際公開第WO01/14268号の特許明細書に記載される第二の分取ステップを続けることができる。この第二の分取ステップには、2つ以上のマーカーの使用が含まれ得る。
STRO−1細胞を得るための方法には、既知の技術を用いた第一富化ステップの前に、細胞の源を収集することが含まれてもよい。従って、組織が外科的に摘出される。源組織を構成する細胞は、その後分別されて、いわゆる単一細胞浮遊液にされる。この分別は、物理的手段および/または酵素的手段によって達成することができる。
適切なSTRO−1細胞集団を得た後、細胞を任意の適切な手段で培養または増殖させてMEMPを得ることができる。
一例では、前記細胞は治療を受ける対象から採取され、標準的な技術を用いてin vitroで培養され、その対象に自己または同種異系間の組成物として投与することを目的とした上清または可溶性因子または増殖後細胞を得るために用いられる。別の例では、樹立されたヒト細胞株のうちの一つまたは複数の細胞が、上清または可溶性因子を得るために使用される。本開示の別の有用な例では、非ヒト動物(または、患者がヒトでない場合は別の種に由来)の細胞が、上清または可溶性因子を得るために使用される。
本開示の方法および使用は、あらゆる非ヒト動物種由来の細胞、例えば、限定はされないが、非ヒト霊長類細胞、有蹄動物、イヌ、ネコ、ウサギ、げっ歯類、トリ、および魚の細胞を用いて実施できる。本開示の方法を実施することができる霊長類細胞としては、限定はされないが、チンパンジー、ヒヒ、カニクイザル、および他のあらゆる新世界ザルまたは旧世界ザルの細胞が挙げられる。本開示を実施することができる有蹄動物細胞としては、限定はされないが、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、水牛およびバイソンの細胞が挙げられる。本開示を実施することができるげっ歯類細胞としては、限定はされないが、マウス、ラット、モルモット、ハムスターおよびスナネズミの細胞が挙げられる。本開示を実施することができるウサギ種の例としては、家畜化されたウサギ、ノウサギ(jack rabbit、hare)、ワタオウサギ、カンジキウサギ、およびナキウサギが挙げられる。ニワトリ(Gallus gallus)は、本開示の方法を実施することができるトリ種の一例である。
一例では、細胞はヒト細胞である。
本開示の方法に有用な細胞は、使用前、または上清もしくは可溶性因子を得る前に、保存することができる。真核細胞、具体的には哺乳類細胞を保存および保管するための方法およびプロトコールは、当該技術分野において周知である(例えば、Pollard, J. W. and Walker, J. M. (1997) Basic Cell Culture Protocols, Second Edition, Humana Press, Totowa, N.J.; Freshney, R. I. (2000) Culture of Animal Cells, Fourth Edition, Wiley-Liss, Hoboken, N.J.を参照)。間葉系幹/前駆細胞、またはその子孫等の単離された幹細胞の生物活性を維持するための方法は、本開示と一緒に利用することができる。一例では、前記細胞は凍結保存を用いて維持および保管される。
遺伝子改変細胞
一例では、STRO−1細胞および/またはその子孫細胞は、遺伝子改変されて、例えば、関心のタンパク質を発現および/または分泌する。例えば、細胞は、代謝症候群または肥満の治療に有用なタンパク質、例えば、グルカゴン類似タンパク質−1(GLP−1)またはペプチドYY(PYY)またはその活性断片(例えばPYY[3−36])、エクステンディン−4すなわちエクセナチドを発現するように設計される。
細胞を遺伝子改変する方法は、当業者には明らかであるだろう。例えば、細胞で発現されるべき核酸は、細胞での発現を誘導するためのプロモーターと機能的に連結される。例えば、核酸は、例えば、ウイルスプロモーター、例えば、CMVプロモーター(例えば、CMV−IEプロモーター)またはSV−40プロモーター等の、対象の種々の細胞中で機能できるプロモーターに連結される。さらなる適切なプロモーターは当該技術分野において周知であり、本開示の本例に準用すると解されるものとする。
一例では、核酸は発現コンストラクトの形態で提供される。本明細書で使用される場合、「発現コンストラクト」という用語は、細胞中で機能的に連結された核酸(例えば、レポーター遺伝子および/または対抗選択可能な(counter-selectable)レポーター遺伝子)を発現させる能力を有する核酸を指す。本開示の文脈においては、発現コンストラクトは、プラスミド、バクテリオファージ、ファージミド、コスミド、ウイルスのサブゲノム断片もしくはゲノム断片、または異種DNAを発現可能な形態で維持および/または複製できる他の核酸を含むか、またはそれら自身であってもよいことは理解されるべきである。
本開示の方法を実施するための適切な発現コンストラクトを構築するための方法は、当業者には明らかであり、例えば、Ausubel et al (In: Current Protocols in Molecular Biology. Wiley Interscience, ISBN 047 150338, 1987)または Sambrook et al (In: Molecular Cloning: Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratories, New York, Third Edition 2001)に記載されている。例えば、発現コンストラクトの各成分は、例えばPCRを用いて適切な鋳型核酸から増幅され、その後、例えばプラスミドまたはファージミド等の適切な発現コンストラクト中にクローニングされる。
そのような発現コンストラクトに適切なベクターは、当該技術分野において周知であり、および/または、本明細書に記載されている。例えば、哺乳類細胞における、本発明の方法に適切な発現ベクターは、例えば、ライフテクノロジーズ社より提供されるpcDNAベクター一式のベクター、pCIベクター一式(プロメガ社)のベクター、pCMVベクター一式(クロンテック社)のベクター、pMベクター(クロンテック社)、pSIベクター(プロメガ社)、VP16ベクター(クロンテック社)またはpcDNAベクター一式(インビトロジェン社)のベクターである。
当業者は、さらなるベクター、および例えば、ライフテクノロジー社、クロンテック社またはプロメガ社等の、そのようなベクターの供給源は承知しているだろう。
単離された核酸分子またはそれを含む遺伝子コンストラクトを発現のために細胞に導入する手段は、当業者に周知である。所与の生物体に用いられる技術は、既知の優れた技術に依存する。組換えDNAを細胞に導入するための手段としては、マイクロインジェクション、DEAE−デキストランによって媒介されるトランスフェクション、例えばリポフェクタミン(ギブコ社、米国メリーランド州)および/またはセルフェクチン(ギブコ社、米国メリーランド州)による、リポソームによって媒介されるトランスフェクション、PEGによって媒介されるDNAの取り込み、エレクトロポレーション、並びに、例えばDNAを被膜したタングステンまたは金粒子(アグラセタス社(Agracetus Inc.)、米国ウィスコンシン州)による微小粒子照射(microparticle bombardment)が特に挙げられる。
あるいは、本開示の発現コンストラクトはウイルスベクターである。適切なウイルスベクターは当該技術分野において周知であり、市販されている。核酸の運搬および宿主細胞ゲノムへの核酸の組込みを目的とした従来のウイルスベースの系としては、例えば、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターまたはアデノ随伴ウイルスベクターが挙げられる。あるいは、アデノウイルスベクターが、エピソームのままの核酸を宿主細胞に導入するのに有用である。ウイルスベクターは、標的細胞および標的組織における遺伝子導入の、効率的で且つ用途の広い方法である。さらに、高い導入効率が、多くの異なる細胞型および標的組織で確認されている。
例えば、レトロウイルスベクターは、通常、最大6〜10kbの外来配列パッケージング容量を有する、シス作動性長末端反復配列(LTR)を含む。最小のシス作動性LTRであってもベクターの複製およびパッケージングには十分であり、その後、発現コンストラクトを標的細胞に組み込むのに使用され、長期発現を提供する。広く使用されているレトロウイルスベクターとしては、マウス白血病ウイルス(MuLV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLV)、サル免疫不全ウイルス(SrV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、およびその組合せをベースとするものが含まれる(例えば、Buchscher et al., J Virol. 56:2731-2739 (1992); Johann et al, J. Virol. 65:1635-1640 (1992); Sommerfelt et al, Virol. 76:58-59 (1990); Wilson et al, J. Virol. 63:274-2318 (1989); Miller et al., J. Virol. 65:2220-2224 (1991); PCT/US94/05700; Miller and Rosman BioTechniques 7:980-990, 1989; Miller, A. D. Human Gene Therapy 7:5-14, 1990; Scarpa et al Virology 75:849-852, 1991; Burns et al. Proc. Natl. Acad. Sci USA 90:8033-8037, 1993を参照)。
また、様々なアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター系が核酸運搬用に開発されている。AAVベクターは、当該技術分野において周知の技術を用いて容易に構築することができる。例えば、米国特許第5,173,414号および同第5,139,941号;国際公開第WO92/01070号および同第WO93/03769号;Lebkowski et al. Molec. Cell. Biol. 5:3988-3996, 1988; Vincent et al. (1990) Vaccines 90 (Cold Spring Harbor Laboratory Press);Carter Current Opinion in Biotechnology 5:533-539, 1992; Muzyczka. Current Topics in Microbiol, and Immunol. 755:97-129, 1992; Kotin, Human Gene Therapy 5:793-801, 1994; Shelling and Smith Gene Therapy 7:165-169, 1994;並びにZhou et al. J Exp. Med. 779:1867-1875, 1994を参照されたい。
本開示の発現コンストラクトを運搬するのに有用なさらなるウイルスベクターとしては、例えば、ワクシニアウイルスおよびトリポックスウイルス等の痘ファミリー(pox family)のウイルス由来のもの、またはアルファウイルス属または複合(conjugate)ウイルスベクター(例えば、Fisher-Hoch et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA 56:317-321, 1989に記載のもの)が挙げられる。
細胞および可溶性因子の治療/予防における有用性試験
細胞または可溶性因子の、代謝症候群もしくは肥満を治療するまたは予防するまたはその開始もしくは進行を遅延させる能力を測定する方法は、当業者には明らかであるだろう。
例えば、細胞または可溶性因子(例えば因子または単一因子の混合物または因子の画分(例えばアフィニティー精製またはクロマトグラフィーに由来する))は、代謝症候群および/または肥満のモデルに投与され、1つまたは複数の症状におよぼす影響が評価される。
代謝症候群の例示的なモデルには、高脂肪食摂取KK/Taマウス(Akagiri et al., J Clin Biochem Nutr. 42: 150-157, 2008)、C57Bl/6NCrl−Leprdb−lb/Crlマウス(Charles River Laboratories)、高フルクトース食摂取げっ歯類(Le and Tappy, Current Opinion in Clinical Nutrition and Metabolic Care, 9: 469^175, 2006)、高スクロース食摂取ラット(Coelho et al., Regulatory Peptides, 162: 61-67, 2010)、高脂肪食げっ歯類、並びに高脂肪および高炭水化物食摂取げっ歯類(例えばPanchal and Brown, Journal of Biomedicine and Biotechnology(2011)に概説されている)などが挙げられる。
肥満の例示的な遺伝モデルには、dbldbマウス、obiobマウス、ズッカー糖尿病肥満ラットおよび大塚ロングエバンス徳島肥満ラットなどが挙げられる。
肥満の例示的な誘導モデルには、高脂肪食げっ歯類ならびに/または高脂肪および高炭水化物食摂取げっ歯類などが挙げられる。
一実施例においては、代謝症候群及び/又は肥満モデルは、高脂肪食非ヒト霊長類、例えば、カニクイザルである。
上記のことから当業者には明らかであるが、本開示はまた、代謝症候群もしくは肥満の治療、防止もしくは遅延のための細胞もしくは可溶性因子を同定または単離するための方法を提供し、方法は、
(i)代謝症候群および/または肥満を患っている試験対象に細胞および/または可溶性因子を投与すること、ならびにその対象における代謝症候群の症状および/または体重を評価すること;
(ii)(i)での対象の代謝症候群の症状および/または体重レベルを、細胞または可溶性因子を投与されていない、代謝症候群および/または肥満を患っている対照となる対象の代謝症候群の症状および/または体重レベルと比較すること、
を含み、
ここで、対照となる対象と比較して、試験対象における症状の改善および/または体重の減少は、細胞または可溶性因子が代謝症候群および/または肥満を治療することを示唆する。
細胞は、本明細書に記載のいずれかの例に従う、いずれかの細胞であってよい。
例示的な症状は、本明細書に記載されている。
細胞性組成物
本開示の一例では、STRO−1細胞および/またはその子孫細胞は、組成物の形態で投与される。一例では、かかる組成物は薬剤的に許容できる担体および/または賦形剤を含む。
「担体」および「賦形剤」という用語は、貯蔵、投与、および/または活性化合物の生物活性を促進するために当該技術分野において従来用いられる組成物を指す(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 16th Ed., Mac Publishing Company (1980)を参照)。担体は活性化合物のあらゆる望ましくない副作用を減らすこともできる。適切な担体は、例えば、安定であり、例えば、担体中の他の成分と反応できない。一例では、担体は、治療に使用された投与量および濃度において、重大な局所的または全身的な有害作用をレシピエントにもたらさない。
本開示のための適切な担体には、従来的に使用されるものが含まれ、例えば、水、食塩水、水性デキストロース、ラクトース、リンゲル液、緩衝液、ヒアルロナンおよびグリコールは、特に(等張である場合)水剤用に、例示的な液体担体である。適切な医薬担体および賦形剤としては、デンプン、セルロース、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、塩化ナトリウム、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール等が挙げられる。
別の例では、担体は、例えば、その中で細胞が生育または懸濁される、培地組成物である。例えば、かかる培地組成物は、それを投与された対象においていかなる有害作用も誘導しない。
例示的な担体および賦形剤は、細胞の生存能、ならびに/または代謝症候群および/もしくは肥満を減少、防止もしくは遅延させる細胞の能力に悪影響を及ぼさない。
一例では、担体または賦形剤によって緩衝作用(buffering activity)がもたらされ、それにより細胞および/または可溶性因子が適切なpHに維持されることで生物活性が発現される。例えば、その担体または賦形剤はリン酸緩衝食塩水(PBS)である。PBSは、魅力的な担体または賦形剤であるが、その理由は、血流中または組織もしくは組織の周辺もしくは隣接領域中への、例えば、注射による直接的な適用を目的として、本開示の組成物が液体として製造されるような場合に、PBSが細胞および因子と最小限にしか相互作用せず、細胞および因子の迅速な放出を可能とするためである。
STPvO−1細胞および/またはその子孫細胞は、レシピエント適合性であり、レシピエントに対し有害ではない産物に分解される足場に組み込む、または埋め込むこともできる。これらの足場によって、レシピエントである対象に移植されるべき細胞に、支持および保護がもたらされる。天然および/または合成の生分解性足場は、そのような足場の例である。
種々の異なる足場が、本開示の方法の実施において成功裏に使用され得る。好ましい足場としては、限定はされないが、生物的で、分解可能な足場が挙げられる。天然の生分解性足場としては、コラーゲン、フィブロネクチン、およびラミニン足場が挙げられる。細胞移植の足場のための適切な合成材料は、広範な細胞成長および細胞機能を支持可能なものであるべきである。そのような足場は再吸収可能なものであってもよい。適切な足場としては、例えば、Vacanti, et al. J. Ped. Surg.23:3-9 1988; Cima, et al. Biotechnol. Bioeng. 35:145 1991; Vacanti, et al. Plast. Reconstr. Surg. 88:753-9 1991に記載されるような、ポリグリコール酸の足場;またはポリ酸無水物、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸等の合成高分子が挙げられる。
別の例では、本細胞はゲル状足場(アップジョン社のゼルフォーム等)に投与され得る。
本明細書に記載の方法に有用な本細胞性組成物は、単独で、または他の細胞との混合物として投与されてもよい。本開示の組成物と併せて投与され得る細胞としては、限定はされないが、他の多分化能もしくは多能性を有する細胞もしくは幹細胞、または骨髄細胞が挙げられる。異なる型の細胞は、本開示の組成物と、投与の直前または少し前に混合することができ、あるいは、それらを投与前にある一定期間一緒に共培養してもよい。
一例では、本組成物は、有効量または治療的もしくは予防的に有効量の細胞を含む。例えば、本組成物は、約1×10STRO−1細胞/kg〜約1×10STRO−1細胞/kgまたは約1×10STRO−1細胞/kg〜約5×10STRO−1細胞/kgを含む。投与されるべき細胞の正確な量は、種々の因子、例えば、患者の年齢、体重、および性別、並びに代謝症候群および/または肥満の範囲および重症度に応じて決定される。
一例では、低用量の細胞が対象に投与される。例示的な投与量は、kgあたり約0.1×10と0.5×10個の間の細胞、例えば、kgあたり約0.5×10と0.5×10個の間の細胞といった、kgあたり約0.1×10と0.5×10個の間の細胞、例えば、kgあたり約0.1×10と0.5×10個の間の細胞、kgあたり約0.2×10または0.3×10または0.4×10個の細胞を含む。
一部の例では、細胞は、細胞が対象の血行路に出て行くことを拒むが、細胞から分泌された因子が血行路に進入することは許すチャンバー内に含まれる。このように、本細胞が対象の血行路に因子を分泌することを可能とさせることにより、可溶性因子は対象に投与され得る。そのようなチャンバーは、対象におけるある部位に均等に埋め込むことで可溶性因子の局所レベルを増加させることができ、例えば、膵臓の中または近くに埋め込まれる。
本開示の一部の例では、細胞性組成物を用いた治療の開始前に患者を免疫抑制することは、必ずしも必要であったり、望まれたりするわけではない。従って、STRO−1細胞またはその子孫の、同種異系間、さらには異種間での移植であっても、場合によっては許容されることがある。
しかし、他の場合においては、細胞治療開始前に、患者を薬理学的に免疫抑制することおよび/または細胞組成物に対する対象の免疫応答を減少させることが望ましいか、または適切であり得る。これは、全身的または局所的な免疫抑制剤の使用によって達成することができ、あるいは封入デバイスにて本細胞を送達することによって達成することもできる。本細胞は、細胞および治療因子に必要とされる栄養分および酸素を透過させるが、免疫液性因子および細胞は透過させないカプセルに封入してもよい。例えば、カプセルの材料は、アレルギーを起こしにくいもので、標的組織内に容易に且つ安定して位置し、移植された構造体にさらなる保護を与える。移植細胞に対する免疫応答を低減または除去するためのこれらおよび他の手段は、当該技術分野において周知である。代わりに、本細胞を、それらの免疫原性を低減させるために、遺伝的に改変してもよい。
可溶性因子
一例では、STRO−1細胞由来の、および/もしくは子孫細胞由来の上清または可溶性因子は、例えば、適切な担体および/または賦形剤を含む組成物の形態で、投与される。一例では、担体または賦形剤は可溶性因子または上清の生物学的効果に悪影響を及ぼさない。
一例では、本組成物は、可溶性因子または上清の成分、例えば、プロテアーゼ阻害剤を安定化させるための組成物を含む。一例では、プロテアーゼ阻害剤は、対象に対し有害作用を有するのに十分な量では含まれない。
STRO−1細胞由来の、および/もしくは子孫細胞由来の上清または可溶性因子を含む組成物は、例えば、培地中で、または安定な担体もしくは緩衝溶液、例えば、リン酸緩衝食塩水中で、適切な液体懸濁液として調製してもよい。適切な担体は本明細書の上記の通りである。別の例では、STRO−1細胞由来の、および/または子孫細胞由来の上清または可溶性因子を含む懸濁液は、注射用の油状懸濁液である。適切な親油性溶媒またはビヒクルとしては、ゴマ油等の脂肪油;またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリド等の合成脂肪酸エステル;またはリポソームが挙げられる。注射用に使用されるべき懸濁液は、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストラン等の、懸濁液の粘度を増加させる物質を含有してもよい。所望により懸濁液は、化合物の溶解性を増加させ、高濃度での溶液の調製を可能とさせる、適切な安定剤または作用物質を含んでもよい。
無菌の注射剤は、必要とされる量の上清または可溶性因子を、上記成分のうちの一つまたは組合せと一緒に、適切な溶媒に組み入れ、必要に応じて、その後フィルター滅菌を行うことによって、調製できる。
通常、分散液は、上清または可溶性因子を、基本(basic)分散媒および上に列挙されたものから必要な他の成分を含有する無菌のビヒクルに組み入れることによって調製される。無菌注射剤調製用の無菌散剤の場合、例示的な調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、それによって、活性成分およびその予め細菌濾過した溶液由来の任意のさらなる所望の成分の粉末が得られる。本開示の別の例によれば、上清または可溶性因子は、その溶解性を増強する一つまたは複数のさらなる化合物と共に製剤化され得る。
担体または賦形剤の他の例は、例えば、Hardman, et al. (2001) Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, McGraw-Hill, New York, N. Y.; Gennaro (2000) Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott, Williams, and Wilkins, New York, N. Y.; Avis, et al. (eds.) (1993) Pharmaceutical Dosage Forms: Parenteral Medications, Marcel Dekker, NY; Lieberman, et al. (eds.) (1990) Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, Marcel Dekker, NY; Lieberman, et al. (eds.) (1990) Pharmaceutical Dosage Forms: Disperse Systems, Marcel Dekker, NY; Weiner and Kotkoskie (2000) Excipient Toxicity and Safety, Marcel Dekker, Inc., New York, N. Y.に記載されている。
治療組成物は、通常、製造および貯蔵の条件下では無菌且つ安定であるべきである。本組成物は、溶液、マイクロエマルション、リポソーム、または他の規則構造として製剤化することができる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール等)、および適切なその混合物を含有する溶媒または分散媒であり得る。例えば、レシチン等の被膜の使用によって、分散の場合に必要とされる粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって、適切な流動性を維持することができる。いくつかの場合、本組成物中に等張剤、例えば、糖類、多価アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール等、または塩化ナトリウムを含む。注射用組成物の持続的吸収は、本組成物中に、吸収を遅延させる作用物質、例えば、一ステアリン酸塩およびゼラチンを含むことによってもたらされ得る。さらに、可溶性因子を、徐放性製剤、例えば徐放性ポリマーを含む組成物中に、投与してもよい。例えば、移植片およびマイクロカプセル化した送達系を含む徐放性製剤等、活性化合物は化合物を急速な放出から保護する担体と一緒に調製することができる。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸およびポリ乳酸ポリグリコール酸コポリマー(PLG)等の、生分解性、生体適合性の高分子を使用することができる。そのような製剤を調製するための多くの方法が、特許されているか、または当業者に一般的に知られている。
上清または可溶性因子は、例えば、可溶性因子を除放させるために、適切な基質と併せて投与してもよい。
組成物のさらなる構成要素
STRO−1細胞由来の上清または可溶性因子、STRO−1細胞またはその子孫は、他の有益な薬物または生化学的分子(増殖因子、栄養因子)とともに投与されてもよい。他の薬剤とともに投与されるとき、それらは、単一の薬剤的組成物で、または独立した薬剤的組成物で、同時にまたは連続して、他の薬剤とともに(他の薬剤の投与の前後に)投与されてもよい。同時投与されてもよい生理活性因子には、反アポトーシス剤(例えばEPO、EPOミメチボディ、TPO、IGF−IおよびIGF−II、HGF、カスパーゼ阻害剤);抗炎症薬(例えばp38MAPK阻害剤、TGFベータ阻害剤、スタチン、IL−6およびIL−1阻害剤、ぺミロラスト、トラニラスト、レミケード、シロリムスおよびNSAID(非ステロイド性の抗炎症薬物;例えば、テポキサリン、トルメン、スプロフェン);免疫抑制/免疫修飾剤(例えば、シクロスポリン、タクロニムスのようなカルシニューリン阻害剤;mTOR阻害剤(例えば、シロリムス、エベロリムス);抗増殖剤(例えばアザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル);コルチコステロイド(例えばプレドニゾン、ヒドロコルチゾン);コルチコステロイド(例えば、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン);モノクローナル抗IL−2Rアルファ受容体抗体(例えば、バシリキシマブ、ダクリズマブ)といった抗体、(例えば、抗胸腺細胞グロブリン(ATG);抗リンパ球グロブリン(ALG);モノクローナル抗T細胞抗体OKT3)といったポリクローナル抗T細胞抗体;反血栓形成剤(例えば、ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、PPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)、抗トロンビン化合物、血小板受容体拮抗薬、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、ジピリダモール、プロタミン、ヒルジン、プロスタグランジン阻害剤および血小板阻害薬);および抗酸化剤(例えば、プロブコール、ビタミA、アスコルビン酸、トコフェノール、コエンザイムQ-10、グルタチオン、L−システイン、N−アセチルシステイン)とともに局所麻酔薬、などが挙げられる。
一例では、本明細書においていずれかの例に記載されているように、組成物は、代謝症候群および/もしくは肥満の治療または予防のためのさらなる因子、本明細書に記載されているように、例えばスタチンを含む。
代わりに、またはさらに、本明細書に記載のいずれかの例による、細胞、分泌因子および/または組成物は、代謝症候群および/または肥満の既知の治療と組み合わされる。
一例では、本明細書に記載のいずれかの例による薬剤的組成物は、代謝症候群および/または肥満を治療するのに使用される化合物を含む。代わりに、本明細書に記載の開示のいずれかの例による治療/予防の方法は、代謝症候群および/または肥満を治療するのに使用される化合物を投与することを、さらにふくむ。例示的な化合物が本明細書に記載され、本開示の例に準用されると解されるものとする。
他の例では、本明細書に記載のいずれかの例による組成物は、前駆体細胞の血管細胞への分化を誘導するまたは促進する因子を、さらに含む。例示的な因子には、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、血小板由来の成長因子(PDGF;例えば、PDGF−BB)、およびFGFが挙げられる。
他の例では、本明細書に記載のいずれかの例による組成物は、組織特異的分化決定済み細胞(TSCC)、をさらに含む。この態様では、国際特許出願番号第PCT/AU2005/001445号が、TSCCおよびSTRO−1細胞の投与が、TSCCの増殖の促進を導くことができることを示している。一例では、TSCCは、血管細胞である。組成物の対象への投与は、血管系産生の増加、例えば、罹患組織へ送達される栄養物の増加の誘導、を導くこともある。
医療デバイス
本開示はまた、本明細書に記載のいずれかの例による方法において使用される医療デバイスを提供する。例えば、本開示は、本明細書に記載のいずれかの例による、STRO−1細胞および/もしくはそれらの子孫細胞および/もしくはそれからの可溶性因子ならびに/または組成物を含む、注射器もしくはカテーテルまたは他の適切な送達デバイスを提供する。注射器またはカテーテルは、本明細書に記載のいずれかの例による方法における使用説明書と同梱されていてもよい。
他の例では、本開示は、本明細書に記載のあらゆる例にように、STRO−1細胞および/もしくはその子孫細胞および/もしくはその可溶性因子ならびに/または組成物を含む移植片提供する。移植片は、本明細書に記載のいずれかの例による方法における使用説明書と同梱されてもよい。適切な移植片は、例えば、本明細書で上述の足場、ならびにSTRO−1細胞および/もしくはその子孫細胞および/またはその可溶性因子とともに形成されてもよい。
投与様式
STRO−1細胞由来の上清もしくは可溶性因子、STRO−1細胞またはその子孫は、外科的に移植、注射、送達(例えば、カテーテルまたは注射器を手段として)されてもよいし、あるいは、修復または増強を必要としている部位、例えば脂肪体に直接的または間接的に投与されてもよい。
一例では、STRO−1細胞由来の上清または可溶性因子、STRO−1細胞またはその子孫は、対象の血流に送達される。例えば、STRO−1細胞由来の上清または可溶性因子、STRO−1細胞またはその子孫は非経口的に送達される。非経口投与の経路の例としては、限定はされないが、腹腔内、脳室内(intraventricular, intracerebroventricular)、くも膜下腔内、または静脈内が挙げられる。一例では、STRO−1細胞由来の上清または可溶性因子、STRO−1細胞またはその子孫は、動脈内、大動脈中、心臓の心房もしくは心室中、または血管中に、例えば、静脈内に送達される。
心臓の心房または心室への細胞送達の場合、肺への急速な細胞送達によって生じ得る合併症を避けるため、細胞は左心房または左心室に投与されることがある。
一例では、STRO−1由来の上清または可溶性因子、STRO−1細胞またはその子孫は、静脈内に送達される。
一例では、STRO−1細胞由来の上清または可溶性因子、STRO−1細胞またはその子孫は、例えば、注射器を用いて、またはカテーテルもしくは中心静脈カテーテル(central line)を通じて、送達部位に注入される。
治療製剤の投与計画の選択は、いくつかの因子、例えば、血清または組織での実体(entity)の代謝回転速度、症状レベル、および実体(entity)の免疫原性に依存する。一例では、投与計画は、許容できる副作用レベルを一貫させて、患者に送達される治療化合物の量を最大とする。従って、送達される製剤の量は、特定の実体(entity)および治療されている状態の重症度に部分的に依存する。
一例では、STRO−1細胞由来の上清または可溶性因子、STRO−1細胞またはその子孫は、単回急速投与量として送達される。あるいは、STRO−1細胞由来の上清または可溶性因子、STRO−1細胞またはその子孫は、持続点滴によって、または、例えば、1日、1週間の間隔の、もしくは週に1〜7回の投与によって、投与される。例示的な投与プロトコールは、重大な望ましくない副作用を回避する、最大の投与量または投与頻度を含むものである。週当たりの合計投与量は、使用される化合物/細胞のタイプおよび活性に応じて決定される。適切な投与量の決定は、臨床医によって、例えば、当該技術分野において、治療に影響を与えると知られている、もしくは疑われている、または治療に影響を与えると予想されるパラメーターまたは因子を用いて、行われる。通常、投与はやや適量未満の量から開始され、その後、あらゆる負の副作用と比較して所望の、または最適の効果が達成されるまで、小さな増加量で増加される。
本発明人は、STRO−1+細胞および/もしくはその子孫ならびに/またはそれに由来する可溶性因子によって提供される治療的有用性が、対象において少なくとも4週間、認められることを示した。したがって一部の例では、細胞は毎週、2週間ごとに、3週間に1回、または4週間に1回投与される。
代謝症候群および/もしくは肥満の治療またはその進行を遅延させることを目的とした本開示の例に従って、STRO−1細胞および/もしくはその子孫細胞ならびに/またはそれに由来する可溶性因子が、例えばこの技術分野で標準的な既知のまたは本明細書に記載の方法を用いて、障害の診断の後に投与される。
代謝症候群および/もしくは肥満を予防するまたはその開始を遅延させることを目的としたそれらの例について、STRO−1細胞および/もしくはその子孫細胞ならびに/またはそれに由来する可溶性因子を、障害の臨床診断に先立って投与することができる。
本開示は、以下の非限定的な実施例を含む。
実施例1:STRO−3 細胞の選択によるMPCの免疫選択
骨髄(BM)を、健康な正常成人の志願者(20〜35歳)から採取する。簡潔には、40mlのBMを、後腸骨稜から、リチウム−ヘパリン抗凝固剤含有チューブに吸引する。
BMMNCを、前述(Zannettino, A.C. et al. (1998) Blood92: 2613-2628)の通りに、Lymphoprep(商標)(ニコメッドファーマ(Nycomed Pharma)、ノルウェイ、オスロ)を用いて、密度勾配分別によって調製する。400×g、4℃、30分間の遠心分離後、淡黄色の層をホールピペットで除去し、5%ウシ胎仔血清(FCS、CSLリミテッド社(CSL Limited)、オーストラリア、ヴィクトリア)を含有するハンクス平衡塩類溶液(HBSS;ライフテクノロジー社(Life Technologies)、メリーランド州ゲイサーズバーグ)から成る「HHF」中で3回洗浄する。
続いて、STRO−3(またはTNAP)細胞を、前述(Gronthos et al. (2003) Journal of Cell Science 116: 1827-1835; Gronthos, S. and Simmons, P.J. (1995) Blood 85: 929-940)の通りに、磁気活性化細胞分取で単離した。簡潔には、およそ1〜3×10個のBMMNCを、HHF中10%(v/v)正常ウサギ血清から成るブロッキング緩衝液中で、20分間、氷上でインキュベートする。細胞を、ブロッキング緩衝液中10μg/mlのSTRO−3mAb溶液200μlと一緒に、氷上で1時間インキュベートする。続いて、細胞を400×gでの遠心分離によってHHF中で2回洗浄する。HHF緩衝液中1/50希釈のヤギ抗マウスγ−ビオチン(サザンバイオテクノロジー社(Southern Biotechnology Associates)、英国バーミンガム)を加え、細胞を氷上で1時間インキュベートする。細胞を、上記と同様に、MACS緩衝液(1%BSA、5mM EDTAおよび0.01%アジ化ナトリウムを補充したCa2+およびMn2+を含まないPBS)中で2回洗浄し、最終体積0.9mlのMACS緩衝液中に再懸濁する。
100μlのストレプトアビジンミクロビーズ(ミルテニーバイオテック社(Miltenyi Biotec);ドイツ、ベルギッシュグラートバハ)を細胞懸濁液に添加し、氷上で15分間インキュベートする。細胞懸濁液を2回洗浄し、0.5mlのMACS緩衝液に再懸濁した後、ミニMACSカラム(MS Columns、ミルテニーバイオテック社(Miltenyi Biotec))上に充填し、0.5mlのMACS緩衝液で3回洗浄して、STRO−3mAb(2005年12月19日にアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC)にPTA−7282の受託番号で寄託;国際公開第WO2006/108229号を参照)と結合しなかった細胞を回収する。さらに1mlのMACS緩衝液を加えた後、カラムを磁石から取り除き、TNAP細胞を陽圧で単離した。各画分からの細胞の一定分量をストレプトアビジン−FITCで染色し、純度をフローサイトメトリーで評価することができる。
実施例2:STRO−3mAbによって選択された細胞はSTRO−1 強陽性 細胞である。
STRO−3mAbを、STRO−1強陽性細胞を単離する単一試薬として用いることの可能性を確認する目的の実験を設計した。
STRO−3(IgG1)はSTRO−1(IgM)とは異なるアイソタイプであることを考慮し、STRO−3のクローン原性CFU−Fを同定する能力を、MACS方法を用いて単離されたSTRO−1のその共発現に基づく2色FACS分析によって評価した(図1)。ドットプロットヒストグラムは、リストモードデータとして収集された5×10個の事象を表わしている。垂直線および水平線は、同条件下で処理したアイソタイプ対応対照抗体、1B5(IgG)および1A6.12(IgM)で得られた平均蛍光の1.0%未満の反応性レベルに設定された。結果は、STRO−1強陽性細胞のうち微量の集団がTNAPを共発現したが(右上象限)、残りのSTRO−1細胞はSTRO−3mAbと反応しなかったことを示している。その後、4つの象限全てからFACSで単離された細胞をCFU−Fの発生率に対して評価した(表1)。

表1:細胞表面マーカーであるSTRO−1およびTNAPの共発現に基づく2重染色FACS分析によるヒト骨髄細胞の富化(図1参照)。FACSで分取した細胞を、20%FCSを補充したαMEM中で、標準的なクローン原性条件下で培養した。データは、播種された10個細胞当たりの14日目のコロニー形成細胞(CFU−F)の平均数±SE(nは3つの異なる骨髄穿刺液)を表わしている。これらのデータは、ヒトMPCがSTRO−1抗原を明るく共発現するBMのTNAP陽性画分だけに限定されていることを示している。
実施例3:カニクイザルSTRO−3 MPCの評価
サル骨髄前駆細胞(カニクイザル由来;cyno−MPC)は、雌のカニクイザルから収集したおよそ15mlの骨髄穿刺液から単離した。骨髄穿刺液懸濁液は、フィコール密度勾配遠心を用いて分離し、洗浄して無核細胞(赤血球)を除去した。有核細胞を計数し、その後、CA12抗体(抗STRO−3)およびダイナルビーズ(Dynalbeads)を付着することにより分別した。抗体およびビーズの付着した細胞は、MPC−1磁石の磁場により陽性選択した。陽性選択を受けた細胞を計数し、T型培養瓶に増殖培地(Growth Medium)において継代(p.)0で播種した。事前選択、陽性、および陰性の細胞を、コロニー形成試験(CFU−F)に使用した。
cyno−MPC細胞に、増殖培地(Growth Media)により栄養を与えた。すべての培養物(p.0〜p.5)に、所望のコンフルエンスに達するまで、2〜4日ごとに栄養を与えた。細胞を、その後、継代し、HBSS洗浄、およびさらにコラゲナーゼに続いてトリプシン/バーゼン液を用いて採取した。p.1の細胞を計数し、T型培養瓶に播種した。p.1のcyno−MPCが所望のコンフルエンスに達した時、細胞を採取し、速度制御冷凍庫に保存した。
継代1の凍結保存cyno−MPCを解凍してT型培養瓶に播種した(p.2)。p.2の細胞をセルファクトリー(Cell Factory)にて継代してp.3とした。p.3の細胞を採取し、セルファクトリーにおいてp.4に継代した。余分のp.3の細胞は、凍結保存した。p.4の細胞を6×セルファクトリーにおいて継代しp.5とした。p.5のcyno−MPCが所望のコンフルエンスに達した時、細胞を採取し、速度制御冷凍庫を用いて凍結保存した。細胞は、50%アルファMEM(AlphaMEM)、42.5%プロフリーズ(Profreeze)、および7.5%DMSO中で凍結保存した。試料を、CFU−F試験、FACS、無菌、マイコプラズマ、および内毒素について試験した。
培養されたcyno−MPCの免疫表現型をフローサイトメトリー分析した代表的な結果を図2に示す。示されるように、これらの細胞は、STRO−1、STRO−4およびCD146である。
p5のCyno−MPCを解凍し、実施例4に記述されるように、糖尿病および非糖尿病マカクザルの静脈注入に使用した。
実施例4:STRO−3MPCは、低投与量であっても代謝症候群および肥満を治療する点で有効である。
5(5)頭のマカクザルを、治療用に選択した。サルは、食餌由来の代謝症候群(肥満度指数>35、トリグリセリド>75mg/dLおよび低HDLレベルを有していた。サルを、空腹時グルコースレベル、空腹時インスリンレベル、および静脈内グルコース負荷試験(IVGTT)後のインスリン/グルコース応答に基づいた、糖尿病の明らかな兆候について、1か月の期間にわたり評価した。5頭のうち3頭のサルは、糖尿病(平均の月あたりの空腹時グルコース>110)を有すると確認された。サルのベースライン特性を、表2に示す。
表2:糖尿病および非糖尿病動物の特性
サルを、1、2、または3群に割り当てた。動物は、同種異型MPC(実施例2に記述されるように単離された)の単回遅速静脈内(IV)注入を、腕頭静脈または適切な末梢静脈に、以下の用量(用量は、記録された最近の体重に合わせた)で、受けた。

表3. 治療群のまとめ
3か月後に、サルはMPCの2回目の注入を同一用量で受けた。
1回目の注入後の6か月にわたり、サルを2週間ごとに、体重、脂質プロファイル、空腹時血中グルコースレベル、空腹時血中インスリンレベル、ならびにIVGTTに対するグルコースおよびインスリン応答について評価した。
結果
図3は、糖尿病動物が、MPCの注入に先立つ、グルコース負荷に対する後期インスリン応答不全を示すことを示している。
図4に示す結果は、非糖尿病動物において、MPCの1回目投与が、インスリン応答の中程度の変化を誘導し、2回目の投与が、3か月間(すなわち4か目ら6か月目まで)持続した重度のインスリン応答を誘導したことを示している。糖尿病群では、1回目および2回目のMPC投与が連続して、6か月の間持続した、インスリン応答の増加を示した。これらのデータは、MPCが、糖尿病および中程度の糖尿病動物における、グルコース負荷後のインスリン応答の誘導に示されるように、膵臓のベータ細胞機能を改善することができるということを支持している。
図5に示された個々の動物のデータと矛盾せずに、図5(パネルa)における非糖尿病動物について群分けしたデータは、2回目のMPC注入が、3か月間(すなわち4か月目から6か月目まで)持続した重度のインスリン応答を誘導したことを示している。このことは、MPC注入後の後期インスリン応答の50〜100%の誘導が存在することを示す図5(パネルb)において裏付けられている。
しかし、図5(パネルa)では、プールされた糖尿病群のデータは、1回目と2回目のMPC投与の両方が、6か月間持続した後期インスリン応答を続けて増加させたことを示している。後期インスリン応答の40〜75%および75〜175%の増加が、1回目よ2回目のMPC注入の後に、それぞれ認められた。これらのデータは、グルコース負荷後のMPCの継続投与が、後期インスリン応答を誘導させることを支持するものである。
MPC治療はまた、非糖尿病動物における1回目と2回目のMPC治療の後の、グルコースクリアランス速度の増加を生成した(図6)。例えば、2回目の投与は、3か月間(すなわち、4か月目から6か月目)持続した応答を誘導した。さらに、糖尿病動物では、1回目と2回目の両方のMPC投与が、6か月間持続したグルコースクリアランス速度の増加を続けて示した。これらのデータは、図6に示されるベースライン事前治療値と比較して、グルコース負荷後の後期インスリン応答の誘導が、図4および5に図示されているように、MPC治療後のグルコースクリアランスの増加の原因であることを示している。
グルコースクリアランス速度の増加はまた、1回目と2回目のMPC治療の後に非糖尿病群において認められた(図7パネルa)。増加を、グルコースクリアランスの平均パーセント変化(1か月目〜3か月目について5〜10%に対し、4か月目〜6か月目について15〜25%)として、図7(パネルb)に示す。
糖尿病群では、図7(パネルb)に示すように、1回目と2回目のMPC投与量の両方が、ベースラインと比較して、6か月間持続したグルコースクリアランス速度の安定した10%から20%の増加を続けて示した。これらデータは、継続したMPC治療が、ivグルコース負荷後のグルコースクリアランス速度の漸進的増加を誘導することを示唆している。
MPCの投与はまた、平均の月ごとの血中グルコースレベルの持続的な減少を誘導し、空腹時インスリンレベルを改善させることが示された(図8)。非糖尿病動物#1880(平均ベースライン80mg/dL)では、MPCの1回目の投与が、空腹時グルコースレベルの減少を生じた。動物#1880もまた、1回目の投与の後の空腹時インスリンレベルの減少を示した。
動物#3351は、第2の月の2回目のMPC投与の後の空腹時BGLの減少を示した。この動物(MPC治療に先立ってベースラインで高インスリン性であった)は、MPC注入の6か月後にインスリンレベルの正常化を示した。
すべての糖尿病動物が、事前治療ベースラインと比較して、MPC治療後の空腹時BGL値の重度の減少(ベースライン以下に6か月間持続した)を示した。これらのデータは、MPC治療が、平均の月ごとの血中グルコースレベルの持続する減少を誘導することを示している。
図9は、非糖尿病群では、1回目と2回目のMPC投与の両方が、MPC治療に先立つベースライン値と比較して、空腹時グルコースレベルの減少を誘導することを示している。MPC注入の後、6か月間持続したインスリンレベルの正常化もまた存在した。糖尿病群では、事前治療ベースライン値と比較して、MPC治療後に空腹時BGLの重度の減少が存在し、ベースライン以下に6か月間持続した。さらに、糖尿病群では、1回目のMPCが、事前治療ベースライン値と比較して、空腹時インスリンレベルを減少させた。これらのデータは、MPC治療が、平均での月ごとの空腹時血中グルコースレベルの持続する減少誘導することを示している。代謝症候群を患う非糖尿病動物における空腹時インスリンレベルの6か月間持続する減少が存在したが、この効果は糖尿病群では3か月間の一過性であった。
図9(a)に、非糖尿病と糖尿病動物の両方における、平均での月ごとの体重変化を示す。MPC治療の1か月前および6か月後について、非糖尿病および糖尿病動物についての個々のデータを示す。矢印は、MPCが注入された時期を示す。各動物についてのMPCの投与量を、各パネルの一番上に示す。
図10パネル(a)に示すように、事前治療体重と比較して、非糖尿病動物#1880において、1回目のMPC投与は、体重減少対し一過性の影響を有し、MPCの2回目の投与は、体重減少に対し進行性の影響を有していた。非糖尿病動物#3351は、MPCの両投与とともに進行性の体重減少パターンを示した。体重減少は驚くべきことに、図10パネル(b)に示すように、各個々の動物について、体重測定の期間をとおして安定した食物消費にもかかわらず、発現した。
糖尿病動物#1624および#7581では、1回目と2回目のMPCの投与の後に、一貫した体重減少が存在した。動物#2875の体重は、MPC治療をとおして未治療ベースライン以下であった。
図10パネル(c)は、プールされた動物の群における、未治療ベースラインと比較した、MPC治療後の平均での月ごとの体重減少パーセンテージを示す。体重減少は、MPC治療経過期間中、4%から6%までの範囲であった。
これらのデータは、非糖尿病と糖尿病動物の両方において、MPC治療が、空腹時血中グルコースレベルの減少に関連する体重減少を誘導し、グルコースクリアランス速度を増加させ、そしてグルコースに刺激された、MPC治療後のインスリン産生を誘導したことを示している。
図11は、非糖尿病動物では、事前治療値と比較して、MPC治療後の、トリグリセリドおよびVLDLの持続する減少およびHDLレベルの増加が存在したことを示す。動物#1880では、2回目のMPC投与の影響の証拠が存在し、これは1回目のMPC投与量と比較して、2回目のMPC投与量の後にリポタンパク質指標の増加を示した。非糖尿病動物の両方も、6か月間リポタンパク質指標の持続する増加を示した。図11に示すデータは、MPC治療が、脂質プロファイルを、非糖尿病動物では長期間、そして糖尿病動物では短期間、改善させることを示している。
非糖尿病群では、事前治療値と比較して、MPC治療後の、6か月の持続する、トリグリセリドおよびVLDLの持続する減少およびHDLレベルの増加が存在した(図12)。脂質プロファイルに従って、非糖尿病群は、6か月間の持続するリポタンパク質指標の増加を示した。糖尿病動物は、2か月の期間続いた、リポタンパク質指標に対する、MPCの1回目の投与に続く短期間の効果を示した。これらのデータは、MPC治療が、脂質プロファイルを、非糖尿病動物において長期間、そして糖尿病動物において短期間、改善することを示している。
本明細書で示されたデータは、研究されたモーリタニア産マカクザルが、食餌によって誘導された代謝症候群を有すること、および2型糖尿病への進行が、インスリンレベルの減少、およびグルコース負荷に対する後期インスリンレベル応答不全に関連していることを示している。3か月間隔の継続的なMPC投与が、6か月にわたりグルコース負荷に対する後期インスリン応答の進行性の増加、およびグルコースクリアランスの改善という結果を生じる。さらに、静脈内MPC注入が、いかなる低血糖症も伴わずに、6か月にわたり空腹時血中グルコースレベルを常化する。MPC治療はまた、6か月にわたる漸進的な体重減少という結果を生じ、代謝症候群に関連する異常脂質プロファイルを正常化する。脂質低下効果は、糖尿病をともなわない対象において6か月にわたり持続する。

Claims (22)

  1. 対象の体重を減少させる方法であって、対象に、STRO−1細胞および/もしくはその子孫が富化された細胞集団ならびに/またはそれに由来する可溶性因子を投与すること含む、前記方法。
  2. 対象における過度の体重もしくは肥満を治療または予防する方法であって、対象に、STRO−1細胞および/もしくはその子孫が富化された細胞集団ならびに/またはそれに由来する可溶性因子を投与することを含む、前記方法。
  3. 集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子が、投与の約4週間後に体重を少なくとも約3%減少させる、請求項1または2に記載の方法。
  4. 対象における代謝症候群もしくはその症状を治療または予防する方法であって、対象に、STRO−1細胞および/もしくはその子孫が富化された細胞集団ならびに/またはそれに由来する可溶性因子を投与することを含む、前記方法。
  5. 代謝症候群の症状が、トリグリセリドの上昇、低比重リポタンパク質の上昇、高比重リポタンパク質の減少、リポタンパク質指標の減少、空腹時グルコースレベルの上昇、空腹時インスリンの上昇、摂食後のグルコースクリアランスの減少、インスリン耐性、耐糖能異常、肥満およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
  6. 集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子の投与が、以下の、
    (i)トリグリセリドの減少;
    (ii)低比重リポタンパク質の減少;
    (iii)高比重リポタンパク質の増加;
    (iv)リポタンパク質指標の増加;
    (v)空腹時グルコースレベルの減少;
    (vi)膵臓によるインスリン分泌の増加;
    (vii)摂食後のグルコースクリアランスの増加;
    (viii)インスリン耐性の減少;および
    (ix)体重の減少
    の1つまたは複数の結果を生じる、請求項4または5に記載の方法。
  7. STRO−1強陽性細胞および/もしくはその子孫が富化された細胞集団ならびに/またはそれに由来する可溶性因子を投与することを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. STRO−1細胞および/もしくはその子孫が富化された細胞集団ならびに/またはそれに由来する可溶性因子が全身投与される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子が複数回投与される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  10. 集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子が、4週間以上毎に1回投与される、請求項9に記載の方法。
  11. 以下の、
    (i)トリグリセリドの減少;
    (ii)低比重リポタンパク質の減少;
    (iii)高比重リポタンパク質の増加;
    (iv)リポタンパク質指標の増加;
    (v)空腹時グルコースレベルの減少;
    (vi)膵臓によるインスリン分泌の増加;
    (vii)摂食後のグルコースクリアランスの増加;
    (viii)インスリン耐性の減少;および
    (ix)体重減少
    の1つまたは複数を達成するのに十分な用量の、集団および/もしくは子孫ならびに/または可溶性因子を投与することを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. kgあたり0.1×10から5×10個の間のSTRO−1細胞および/またはそれの子孫を投与することを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. kgあたり0.3×10から2×10個の間のSTRO−1細胞および/またはその子孫を投与することを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  14. 低用量のSTRO−1細胞および/またはその子孫を投与することを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  15. 低用量のSTRO−1細胞および/またはその子孫が、kgあたり0.1×10から0.5×10個の間のSTRO−1細胞および/またはその子孫を含む、請求項14に記載の方法。
  16. 低用量のSTRO−1細胞および/またはその子孫が、kgあたり約0.3×10個のSTRO−1細胞および/またはその子孫を含む、請求項14に記載の方法。
  17. STRO−1細胞および/または子孫細胞が富化された集団が、オートジェネイック(autogeneic)または同種異系である、および/または可溶性因子がオートジェネイックまたは同種異系細胞に由来しうる、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. STRO−1細胞および/または子孫細胞が富化された集団が、投与に先だって、および/または可溶性因子を得るのに先立って培養増殖された、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. STRO−r細胞が富化された集団が、STRO−1briであり、および/もしくは組織非特異型アルカリホスファターゼ(TNAP)を発現し、ならびに/または子孫細胞および/もしくは可溶性因子が、STRO−1briであるおよび/もしくはTNAPを発現するSTRO−1細胞に由来する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. STRO−1細胞および/もしくはその子孫細胞ならびに/またはそれに由来する可溶性因子が、前記STRO−1細胞および/もしくはその子孫細胞および/もしくはそれに由来する可溶性因子ならびに担体および/または賦形剤を含む組成物の形態で投与される、特許請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 肥満および/もしくは代謝症候群および/もしくは代謝症候群の症状の治療または予防において使用する、STRO−1細胞および/もしくはその子孫が富化された細胞集団ならびに/またはそれに由来する可溶性因子。
  22. STRO−1細胞および/もしくはその子孫が富化された細胞集団ならびに/またはそれに由来する可溶性因子の、対象における肥満および/もしくは代謝症候群および/もしくは代謝症候群の症状を治療するまたは予防する薬剤の製造のための使用。
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