JP2014509585A - フェナントロリン化合物を配位子とする希土類金属錯体 - Google Patents
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Abstract
本発明は、下記式(I)で表される希土類金属錯体を提供する。
式(I):
【化1】
式(I):
【化1】
Description
本発明は、フェナントロリン化合物を配位子とする希土類金属錯体に関する。
近年、金属錯体が有する、光反応機能、電子移動機能および生理活性機能などが注目され、当該機能を活用して、数多くの研究がなされている。また、金属元素と結合する配位子に関しても研究がなされており、代表的な配位子として、例えばアンモニア、ピリジン、シアン化物イオンなどの単座配位子、例えばエチレンジアミン、ビピリジン、グリシナトなどの二座配位子、例えばエチレンジアミン四酢酸などの三座以上の多座配位子などが知られている。
代表的な二座配位子であるビピリジンは、キレート配位子構造を有し、金属元素に配位する機能を有している。しかしながら、ビピリジンの金属錯体は有機溶媒に溶解しづらいため、利用範囲が極めて狭いという問題があった。
代表的な二座配位子であるビピリジンは、キレート配位子構造を有し、金属元素に配位する機能を有している。しかしながら、ビピリジンの金属錯体は有機溶媒に溶解しづらいため、利用範囲が極めて狭いという問題があった。
特許文献1には、ヘキシル基、ペンチル基、オクチル基、デシル基のような長鎖アルキル基を、ポリビピリジンに導入した化合物が開示されている。
特許文献2には、芳香族環状基が置換したフェナントロリン化合物が開示されているが、当該フェナントロリン化合物を配位子とする金属錯体の記載はない。同文献中に記載された金属錯体の配位子は、フェニルピリジン、キノリン、ベンズイミダゾールなどであって、本発明の希土類金属錯体の配位子とは、全く構造が異なる化合物である。
非特許文献1には、2−ピリジルフェナントロリン化合物である配位子が開示され、当該配位子を有するルテニウム錯体が記載されている。また、非特許文献2には、2−ピリジル基またはフェニル基を有するフェナントロリン化合物が開示されているが、いずれも本発明の希土類金属錯体の配位子とは、全く構造が異なる化合物である。
特許文献2には、芳香族環状基が置換したフェナントロリン化合物が開示されているが、当該フェナントロリン化合物を配位子とする金属錯体の記載はない。同文献中に記載された金属錯体の配位子は、フェニルピリジン、キノリン、ベンズイミダゾールなどであって、本発明の希土類金属錯体の配位子とは、全く構造が異なる化合物である。
非特許文献1には、2−ピリジルフェナントロリン化合物である配位子が開示され、当該配位子を有するルテニウム錯体が記載されている。また、非特許文献2には、2−ピリジル基またはフェニル基を有するフェナントロリン化合物が開示されているが、いずれも本発明の希土類金属錯体の配位子とは、全く構造が異なる化合物である。
ORGANIC&BIOMOLECULAR CHEMISTRY, 2008, vol.6, no.15, pages 2755-2764
ANGEWANTE CHEMIE INTERNATIONAL EDITION, 2001, vol.40, no.4, pages 754-757
希土類金属を中心金属に有する錯体(希土類金属錯体)は、発光寿命が長く、発光収率も高い上、酸素による消光を受け難いなど、生体試料用の発光プローブとして、優位性を持つので、多くの検討がなされている。しかしながら、希土類金属錯体に水分子が配位すると、発光がきわめて弱くなるという問題があった。
また、希土類金属錯体を用いた蛍光検出については、配位子の吸収波長が短波長であるため、光源に高価な窒素レーザーを用いることが必要となり、汎用的なパルス光源として用いられるキセノン閃光ランプでは、錯体の励起に必要な紫外部の発光効率が悪いため、効率的に希土類金属錯体を励起できないという問題があった。
したがって、従来の希土類金属錯体をさらに改良した発光物質の創出が望まれている。
また、希土類金属錯体を用いた蛍光検出については、配位子の吸収波長が短波長であるため、光源に高価な窒素レーザーを用いることが必要となり、汎用的なパルス光源として用いられるキセノン閃光ランプでは、錯体の励起に必要な紫外部の発光効率が悪いため、効率的に希土類金属錯体を励起できないという問題があった。
したがって、従来の希土類金属錯体をさらに改良した発光物質の創出が望まれている。
上記課題を解決するために、本発明者らは、鋭意検討した結果、分子内に環状部分を有することを構造的な特徴とするフェナントロリン化合物を配位子とする新規な希土類金属錯体を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]
下記式(I)で表される希土類金属錯体。
式(I):
[上記式(I)中、
Mは、2価または3価の希土類金属イオンを示し、
R1およびR2は、同一または異なって、(1)水素原子、(2)ハロゲン原子、(3)水酸基、(4)シアノ基、(5)ニトロ基、(6)アミノ基、(7)C1−6アルキル基、(8)C3−8シクロアルキル基、(9)C2−6アルケニル基、(10)C2−6アルキニル基、(11)C1−6アルコキシ基、(12)C3−8シクロアルコキシ基、(13)C2−6アルケニルオキシ基、(14)C2−6アルキニルオキシ基、(15)C1−6アルキルチオ基、(16)C3−8シクロアルキルチオ基、(17)C2−6アルケニルチオ基、(18)C2−6アルキニルチオ基、(19)C1−6アルキルカルボニルオキシ基、(20)ホルミル基、(21)C1−6アルキルカルボニル基、(22)C1−6アルキルアミノ基、(23)ジC1−6アルキルアミノ基、(24)C1−6アルキルスルフィニル基、(25)C1−6アルキルスルホニル基、(26)C3−8シクロアルキルスルフィニル基、(27)C3−8シクロアルキルスルホニル基、(28)カルボキシル基、(29)C1−6アルキルオキシカルボニル基、(30)C6−14アリール基、(31)C7−20アラルキル基または(32)カルボキシルイオンを示し、
R3およびR4は、同一または異なって、(1)水素原子、(2)C1−6アルキル基、(3)C3−8シクロアルキル基、(4)C2−6アルケニル基、(5)C2−6アルキニル基、(6)C6−14アリール基、(7)C7−20アラルキル基または(8)陰電荷を示し、
X1およびX2は、同一または異なって、下記構造
(上記構造中、mは、1ないし6の整数を示し、R5は、(1)水素原子、(2)C1−6アルキル基、(3)C3−8シクロアルキル基、(4)C2−6アルケニル基、(5)C2−6アルキニル基、(6)C6−14アリール基、(7)C7−20アラルキル基または(8)陰電荷を示す。)を示し、
Yは陰イオンまたは非存在を示す。]
[2]
R3およびR4が、水素原子または陰電荷である、上記[1]に記載の希土類金属錯体。
[3]
希土類金属が、ユーロピウムである、上記[1]に記載の希土類金属錯体
[4]
上記[1]に記載の希土類金属錯体を含む蛍光ラベル剤。
[1]
下記式(I)で表される希土類金属錯体。
式(I):
Mは、2価または3価の希土類金属イオンを示し、
R1およびR2は、同一または異なって、(1)水素原子、(2)ハロゲン原子、(3)水酸基、(4)シアノ基、(5)ニトロ基、(6)アミノ基、(7)C1−6アルキル基、(8)C3−8シクロアルキル基、(9)C2−6アルケニル基、(10)C2−6アルキニル基、(11)C1−6アルコキシ基、(12)C3−8シクロアルコキシ基、(13)C2−6アルケニルオキシ基、(14)C2−6アルキニルオキシ基、(15)C1−6アルキルチオ基、(16)C3−8シクロアルキルチオ基、(17)C2−6アルケニルチオ基、(18)C2−6アルキニルチオ基、(19)C1−6アルキルカルボニルオキシ基、(20)ホルミル基、(21)C1−6アルキルカルボニル基、(22)C1−6アルキルアミノ基、(23)ジC1−6アルキルアミノ基、(24)C1−6アルキルスルフィニル基、(25)C1−6アルキルスルホニル基、(26)C3−8シクロアルキルスルフィニル基、(27)C3−8シクロアルキルスルホニル基、(28)カルボキシル基、(29)C1−6アルキルオキシカルボニル基、(30)C6−14アリール基、(31)C7−20アラルキル基または(32)カルボキシルイオンを示し、
R3およびR4は、同一または異なって、(1)水素原子、(2)C1−6アルキル基、(3)C3−8シクロアルキル基、(4)C2−6アルケニル基、(5)C2−6アルキニル基、(6)C6−14アリール基、(7)C7−20アラルキル基または(8)陰電荷を示し、
X1およびX2は、同一または異なって、下記構造
Yは陰イオンまたは非存在を示す。]
[2]
R3およびR4が、水素原子または陰電荷である、上記[1]に記載の希土類金属錯体。
[3]
希土類金属が、ユーロピウムである、上記[1]に記載の希土類金属錯体
[4]
上記[1]に記載の希土類金属錯体を含む蛍光ラベル剤。
本発明の希土類金属錯体を用いることにより、近紫外域から可視域を含む波長の光源で蛍光を測定することが可能となった。本発明の希土類金属錯体は、従来の課題を解決し、希土類金属錯体の本来の蛍光特性を生かした蛍光ラベル剤を得ることを可能にした。
本発明の希土類金属錯体は、下記式(I)で表される錯体であり、希土類金属を中心金属とし、フェナントロリン化合物を配位子とする金属錯体である。
上記式(I)中、
Mは、2価または3価の希土類金属イオンを示し、
R1およびR2は、同一または異なって、(1)水素原子、(2)ハロゲン原子、(3)水酸基、(4)シアノ基、(5)ニトロ基、(6)アミノ基、(7)C1−6アルキル基、(8)C3−8シクロアルキル基、(9)C2−6アルケニル基、(10)C2−6アルキニル基、(11)C1−6アルコキシ基、(12)C3−8シクロアルコキシ基、(13)C2−6アルケニルオキシ基、(14)C2−6アルキニルオキシ基、(15)C1−6アルキルチオ基、(16)C3−8シクロアルキルチオ基、(17)C2−6アルケニルチオ基、(18)C2−6アルキニルチオ基、(19)C1−6アルキルカルボニルオキシ基、(20)ホルミル基、(21)C1−6アルキルカルボニル基、(22)C1−6アルキルアミノ基、(23)ジC1−6アルキルアミノ基、(24)C1−6アルキルスルフィニル基、(25)C1−6アルキルスルホニル基、(26)C3−8シクロアルキルスルフィニル基、(27)C3−8シクロアルキルスルホニル基、(28)カルボキシル基、(29)C1−6アルキルオキシカルボニル基、(30)C6−14アリール基、(31)C7−20アラルキル基または(32)カルボキシルイオンを示し、
R3およびR4は、同一または異なって、(1)水素原子、(2)C1−6アルキル基、(3)C3−8シクロアルキル基、(4)C2−6アルケニル基、(5)C2−6アルキニル基、(6)C6−14アリール基、(7)C7−20アラルキル基または(8)陰電荷を示し、
X1およびX2は、同一または異なって、下記構造
Mは、2価または3価の希土類金属イオンを示し、
R1およびR2は、同一または異なって、(1)水素原子、(2)ハロゲン原子、(3)水酸基、(4)シアノ基、(5)ニトロ基、(6)アミノ基、(7)C1−6アルキル基、(8)C3−8シクロアルキル基、(9)C2−6アルケニル基、(10)C2−6アルキニル基、(11)C1−6アルコキシ基、(12)C3−8シクロアルコキシ基、(13)C2−6アルケニルオキシ基、(14)C2−6アルキニルオキシ基、(15)C1−6アルキルチオ基、(16)C3−8シクロアルキルチオ基、(17)C2−6アルケニルチオ基、(18)C2−6アルキニルチオ基、(19)C1−6アルキルカルボニルオキシ基、(20)ホルミル基、(21)C1−6アルキルカルボニル基、(22)C1−6アルキルアミノ基、(23)ジC1−6アルキルアミノ基、(24)C1−6アルキルスルフィニル基、(25)C1−6アルキルスルホニル基、(26)C3−8シクロアルキルスルフィニル基、(27)C3−8シクロアルキルスルホニル基、(28)カルボキシル基、(29)C1−6アルキルオキシカルボニル基、(30)C6−14アリール基、(31)C7−20アラルキル基または(32)カルボキシルイオンを示し、
R3およびR4は、同一または異なって、(1)水素原子、(2)C1−6アルキル基、(3)C3−8シクロアルキル基、(4)C2−6アルケニル基、(5)C2−6アルキニル基、(6)C6−14アリール基、(7)C7−20アラルキル基または(8)陰電荷を示し、
X1およびX2は、同一または異なって、下記構造
(上記構造中、mは、1ないし6の整数を示し、R5は、(1)水素原子、(2)C1−6アルキル基、(3)C3−8シクロアルキル基、(4)C2−6アルケニル基、(5)C2−6アルキニル基、(6)C6−14アリール基、(7)C7−20アラルキル基または(8)陰電荷を示す。)を示し、
Yは陰イオンまたは非存在を示す。
Yは陰イオンまたは非存在を示す。
本明細書中で使用する用語を説明する。
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などを示し、中でも塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、塩素原子、臭素原子がより好ましい。
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などを示し、中でも塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、塩素原子、臭素原子がより好ましい。
「C1−6アルキル基」とは、炭素数1ないし6の直鎖状または分枝状の脂肪族炭化水素基を示す。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基などが挙げられ、中でもメチル基、エチル基、プロピル基、tert−ブチル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。
「C3−8シクロアルキル基」とは、炭素数3ないし8の環状の脂肪族炭化水素基を示す。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられ、中でもシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましく、シクロプロピル基、シクロブチル基がより好ましい。
「C2−6アルケニル基」とは、二重結合を1ないし2個含む、炭素数2ないし6の直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基を示す。具体的には、エテニル基、2−プロペニル基、1−プロペニル基、1−メチルビニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ペンタジエニル基、1,4−ヘキサジエニル基、5−ペンテニル基、6−ヘキセニル基などが挙げられ、中でもエテニル基、2−プロペニル基、1−プロペニル基、1−メチルビニル基が好ましく、エテニル基、1−プロペニル基がより好ましい。
「C2−6アルキニル基」とは、三重結合を1ないし2個含む、炭素数2ないし6の直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基を示す。具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、ブチニル基、1,3−ペンタンジイニル基、1,4−ヘキサジイニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基などが挙げられ、中でもエチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、ブチニル基が好ましく、エチニル基、2−プロピニル基がより好ましい。
「C1−6アルコキシ基」とは、C1−6アルキル基が酸素原子に結合した基を示す。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基などが挙げられ、中でもメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
「C3−8シクロアルコキシ」とは、C3−8シクロアルキル基が酸素原子に結合した基を示す。具体的には、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロオクチルオキシ基などが挙げられ、中でもシクロプロポ゜キシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基が好ましく、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基がより好ましい。
「C2−6アルケニルオキシ基」とは、C2−6アルケニル基が酸素原子に結合した基を示す。具体的には、エテニルオキシ基、2−プロペニルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、1−メチルビニロキシ基、1−ブテニルオキシ基、2−ブテニルオキシ基、3−ブテニルオキシ基、1,3−ペンタジエニルオキシ基、1,4−ヘキサジエニルオキシ基、5−ペンテニルオキシ基、6−ヘキセニルオキシ基などが挙げられ、中でもエテニルオキシ基、2−プロペニルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、1−メチルビニロキシ基が好ましく、エテニルオキシ基、1−プロペニルオキシ基がより好ましい。
「C2−6アルキニルオキシ基」とは、C2−6アルキニル基が酸素原子に結合した基を示す。具体的には、エチニルオキシ基、1−プロピニルオキシ基、2−プロピニルオキシ基、ブチニルオキシ基、1,3−ペンタンジイニルオキシ基、1,4−ヘキサジイニルオキシ基、ペンチニルオキシ基、ヘキシニルオキシ基などが挙げられ、中でもエチニルオキシ基、1−プロピニルオキシ基、2−プロピニルオキシ基、ブチニルオキシ基が好ましく、エチニルオキシ基、2−プロピニルオキシ基がより好ましい。
「C1−6アルキルチオ基」とは、C1−6アルキル基が硫黄原子に結合した基を示す。具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、ヘキシルチオ基などが挙げられ、中でもメチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、tert−ブチルチオ基が好ましく、メチルチオ基、エチルチオ基がより好ましい。
「C3−8シクロアルキルチオ基」とは、C3−8シクロアルキル基が硫黄原子に結合した基を示す。具体的には、シクロプロピルチオ基、シクロブチルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基、シクロオクチルチオ基などが挙げられ、中でもシクロプロピルチオ基、シクロブチルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基が好ましく、シクロプロピルチオ基、シクロブチルチオ基がより好ましい。
「C2−6アルケニルチオ基」とは、C2−6アルケニル基が硫黄原子に結合した基を示す。具体的には、エテニルチオ基、2−プロペニルチオ基、1−プロペニルチオ基、1−メチルビニルチオ基、1−ブテニルチオ基、2−ブテニルチオ基、3−ブテニルチオ基、1,3−ペンタジエニルチオ基、1,4−ヘキサジエニルチオ基、5−ペンテニルチオ基、6−ヘキセニルチオ基などが挙げられ、中でもエテニルチオ基、2−プロペニルチオ基、1−プロペニルチオ基、1−メチルビニルチオ基が好ましく、エテニルチオ基、1−プロペニルチオ基がより好ましい。
「C2−6アルキニルチオ基」とは、C2−6アルキニル基が硫黄原子に結合した基を示す。具体的には、エチニルチオ基、1−プロピニルチオ基、2−プロピニルチオ基、ブチニルチオ基、1,3−ペンタンジイニルチオ基、1,4−ヘキサジイニルチオ基、ペンチニルチオ基、ヘキシニルチオ基などが挙げられ、中でもエチニルチオ基、1−プロピニルチオ基、2−プロピニルチオ基、ブチニルチオ基が好ましく、エチニルチオ基、2−プロピニルチオ基がより好ましい。
「C1−6アルキルカルボニルオキシ基」とは、C1−6アルキル基がカルボニルオキシ基に結合した基を示す。具体的には、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、ペンチルカルボニルオキシ基、イソペンチルカルボニルオキシ基、ヘキシルカルボニルオキシ基などが挙げられ、中でもメチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、プロピルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基が好ましく、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基がより好ましい。
「C1−6アルキルカルボニル基」とは、C1−6アルキル基がカルボニル基に結合した基を示す。具体的には、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基、sec−ブチルカルボニル基、tert−ブチルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、イソペンチルカルボニル基、ヘキシルカルボニル基などが挙げられ、中でもメチルカルボニル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、tert−ブチルカルボニル基が好ましく、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基がより好ましい。
「C1−6アルキルアミノ基」とは、C1−6アルキル基が窒素原子に結合した基を示す。具体的には、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N−イソプロピルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N−sec−ブチルアミノ基、N−tert−ブチルアミノ基、N−ペンチルアミノ基、N−イソペンチルアミノ基、N−ヘキシルアミノ基などが挙げられ、中でもN−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N−tert−ブチルアミノ基が好ましく、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基がより好ましい。
「ジC1−6アルキルアミノ基」とは、2個のC1−6アルキル基が窒素原子に結合した基を示し、アミノ基に2個結合するアルキル基は、同一または異なっていてよい。具体的には、N,N−ジメチルアミノ基、N−エチル−N−メチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジプロピルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N,N−ジ−sec−ブチルアミノ基、N,N−ジ−tert−ブチルアミノ基、N,N−ジペンチルアミノ基、N,N−ジイソペンチルアミノ基、N,N−ジヘキシルアミノ基などが挙げられ、中でもN,N−ジメチルアミノ基、N−エチル−N−メチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジプロピルアミノ基、N,N−ジ−tert−ブチルアミノ基が好ましく、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−エチル−N−メチルアミノ基がより好ましい。
「C1−6アルキルスルフィニル基」とは、C1−6アルキル基がスルフィニル基(−SO−)に結合した基を示す。具体的には、メタンスルフィニル基、エタンスルフィニル基、プロパンスルフィニル基、イソプロパンスルフィニル基、ブタンスルフィニル基、sec−ブタンスルフィニル基、tert−ブタンスルフィニル基、ペンタンスルフィニル基、イソペンタンスルフィニル基、ヘキサンスルフィニル基などが挙げられ、中でもメタンスルフィニル基、エタンスルフィニル基、プロパンスルフィニル基、tert−ブタンスルフィニル基が好ましく、メタンスルフィニル基、エタンスルフィニル基がより好ましい。
「C1−6アルキルスルホニル基」とは、C1−6アルキル基がスルホニル基(−SO2−)に結合した基を示す。具体的には、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基、イソプロパンスルホニル基、ブタンスルホニル基、sec−ブタンスルホニル基、tert−ブタンスルホニル基、ペンタンスルホニル基、イソペンタンスルホニル基、ヘキサンスルホニル基などが挙げられ、中でもメタンスルホニル基、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基、tert−ブタンスルホニル基が好ましく、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基がより好ましい。
「C3−8シクロアルキルスルフィニル基」とは、C3−8シクロアルキル基がスルフィニル基に結合した基を示す。具体的には、シクロプロパンスルフィニル基、シクロブタンスルフィニル基、シクロペンタンスルフィニル基、シクロヘキサンスルフィニル基、シクロオクタンスルフィニル基などが挙げられ、中でもシクロプロパンスルフィニル基、シクロブタンスルフィニル基、シクロペンタンスルフィニル基、シクロヘキサンスルフィニル基が好ましく、シクロプロパンスルフィニル基、シクロブパンスルフィニル基がより好ましい。
「C3−8シクロアルキルスルホニル基」とは、C3−8シクロアルキル基がスルホニル基に結合した基を示す。具体的には、シクロプロパンスルホニル基、シクロブタンスルホニル基、シクロペンタンスルホニル基、シクロヘキサンスルホニル基、シクロオクタンスルホニル基などが挙げられ、中でもシクロプロパンスルホニル基、シクロブタンスルホニル基、シクロペンタンスルホニル基、シクロヘキサンスルホニル基が好ましく、シクロプロパンスルホニル基、シクロブパンスルフィニル基がより好ましい。
「C1−6アルキルオキシカルボニル基」とは、C1−6アルキル基がカルボキシル基に結合したエステル結合を有する基を示す。具体的には、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基などが挙げられ、中でもメチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基が好ましく、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基がより好ましい。
「C6−14アリール基」とは、炭素数6ないし14の芳香族炭化水素基を示す。具体的には、フェニル基、ナフチル基、アンスラニル基などが挙げられ、中でもフェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
「C7−20アラルキル基」とは、C6−14、好ましくはC6−10アリール基がC1−6、好ましくはC1−4のアルキル基に結合した基を示し、C7−14アラルキル基であることが好ましい。具体的には、ベンジル基、フェネチル基またはナフチルメチル基などが挙げられる。
本明細書中で、「C1−6アルキルカルボニルオキシ基」などのようにC1−6アルキルのみで記載されている基である場合であっても、C1−6アルキルは、C3−8の環状部分のシクロアルキルや、C3−8シクロアルキルC1−2アルキルなどの、C3−8シクロアルキルと置換することができる
上記式(I)における、R1およびR2は、同一または異なって、(1)水素原子、(2)ハロゲン原子、(3)水酸基、(4)シアノ基、(5)ニトロ基、(6)アミノ基、(7)C1−6アルキル基、(8)C3−8シクロアルキル基、(9)C2−6アルケニル基、(10)C2−6アルキニル基、(11)C1−6アルコキシ基、(12)C3−8シクロアルコキシ基、(13)C2−6アルケニルオキシ基、(14)C2−6アルキニルオキシ基、(15)C1−6アルキルチオ基、(16)C3−8シクロアルキルチオ基、(17)C2−6アルケニルチオ基、(18)C2−6アルキニルチオ基、(19)C1−6アルキルカルボニルオキシ基、(20)ホルミル基、(21)C1−6アルキルカルボニル基、(22)C1−6アルキルアミノ基、(23)ジC1−6アルキルアミノ基、(24)C1−6アルキルスルフィニル基、(25)C1−6アルキルスルホニル基、(26)C3−8シクロアルキルスルフィニル基、(27)C3−8シクロアルキルスルホニル基、(28)カルボキシル基、(29)C1−6アルキルオキシカルボニル基、(30)C6−14アリール基、(31)C7−20アラルキル基または(32)カルボキシルイオンを示し、中でも(1)水素原子、(3)水酸基、(5)ニトロ基、(6)アミノ基、(7)C1−6アルキル基、(11)C1−6アルコキシ基、(12)C3−8シクロアルコキシ基、(22)C1−6アルキルアミノ基、(23)ジC1−6アルキルアミノ基または(29)C1−6アルキルオキシカルボニル基が好ましく、(1)水素原子、(5)ニトロ基、(6)アミノ基、(7)C1−6アルキル基、(22)C1−6アルキルアミノ基または(23)ジC1−6アルキルアミノ基または(29)C1−6アルキルオキシカルボニル基がより好ましい。
上記式(I)における、R3およびR4は、同一または異なって、(1)水素原子、(2)C1−6アルキル基、(3)C3−8シクロアルキル基、(4)C2−6アルケニル基、(5)C2−6アルキニル基、(6)C6−14アリール基、(7)C7−20アラルキル基または(8)陰電荷を示し、(1)水素原子、(2)C1−6アルキル基または(7)C7−20アラルキル基または(8)陰電荷が好ましく、(1)水素原子または(8)陰電荷がより好ましい。
上記式(I)における、X1およびX2は、同一または異なって、下記構造を示す。
上記構造における、mは、1ないし6の整数を示し、1ないし2の整数が好ましい。
上記構造における、R5は、(1)水素原子、(2)C1−6アルキル基、(3)C3−8シクロアルキル基、(4)C2−6アルケニル基、(5)C2−6アルキニル基、(6)C6−14アリール基、(7)C7−20アラルキル基または(8)陰電荷を示し、(1)水素原子または(8)陰電荷が好ましい。
上記式(I)における、Mは、2価または3価の希土類金属イオンを示す。
希土類金属とは、原子番号57番のランタンから、原子番号71番のルテチウムまでの15元素のグループ(ランタノイド)と原子番号21番のスカンジウム、39番のイットリウムを加えた17元素の総称を意味する。
「希土類金属」とは、具体的には、ユーロピウム、テルビウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ガドリニウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウムを示し、中でもユーロピウム、テルビウムが好ましく、ユーロピウムがより好ましい。
希土類金属とは、原子番号57番のランタンから、原子番号71番のルテチウムまでの15元素のグループ(ランタノイド)と原子番号21番のスカンジウム、39番のイットリウムを加えた17元素の総称を意味する。
「希土類金属」とは、具体的には、ユーロピウム、テルビウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ガドリニウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウムを示し、中でもユーロピウム、テルビウムが好ましく、ユーロピウムがより好ましい。
希土類金属イオンは、2価または3価の、好ましくは3価の希土類金属イオンとして用い、フェナントロリン化合物と配位している。
希土類金属は、希土類金属錯体の中心金属として、錯体中で、配位子であるフェナントロリン化合物における分子内環状上のヘテロ原子に配位して存在する。
上記式(I)で表される希土類金属錯体において、希土類金属が、Mとして点線からなる円内に記載されているが、当該記載は、フェナントロリン構造内の窒素原子と配位結合していることを意味する。また、希土類金属錯体において、希土類金属は、陽イオンの形態で存在し、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などの原子を含む配位子と配位結合していてもよい。斯かる希土類金属錯体の一例として、以下のような構造を有する錯体であってもよい。
希土類金属は、希土類金属錯体の中心金属として、錯体中で、配位子であるフェナントロリン化合物における分子内環状上のヘテロ原子に配位して存在する。
上記式(I)で表される希土類金属錯体において、希土類金属が、Mとして点線からなる円内に記載されているが、当該記載は、フェナントロリン構造内の窒素原子と配位結合していることを意味する。また、希土類金属錯体において、希土類金属は、陽イオンの形態で存在し、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などの原子を含む配位子と配位結合していてもよい。斯かる希土類金属錯体の一例として、以下のような構造を有する錯体であってもよい。
上記構造においては、希土類金属が、フェナントロリン構造内の窒素原子全てと配位しているように記載しているが、本発明の希土類金属錯体として、一態様として開示しているものであり、斯かる構造に限定されるものではない。
また、本発明の希土類金属錯体においては、希土類金属が、フェナントロリン構造内の窒素原子に加え、R1、R2、R3、R4、X1、X2の窒素原子、酸素原子、硫黄原子などの原子を含む配位子と配位結合していてもよく、また、希土類金属が、R1、R2、R3、R4、X1、X2の窒素原子、酸素原子、硫黄原子などの原子を含む配位子と配位結合していてもよい。
式(I)において、R3またはR4が、陰電荷を表す場合を本発明の一態様として記載すると、以下のような構造を有する錯体であってもよい。
式(I)において、R3またはR4が、陰電荷を表す場合を本発明の一態様として記載すると、以下のような構造を有する錯体であってもよい。
上記構造は、本発明の一態様として開示するものであり、本発明の希土類金属錯体は上記構造のみに限定されるものではないが、R3およびR4が陰電荷である場合には、陰電荷を有する酸素原子が希土類金属と配位結合していてもよい。
上記構造においては、R3およびR4に相当する部分との希土類金属との結合を特徴とすることを示すため、希土類金属とフェナントロリン構造内の窒素原子との配位結合を点線で記載しているが、点線と直線が実質的に異なる構造であることを意味するものではない。
上記構造においては、R3およびR4に相当する部分との希土類金属との結合を特徴とすることを示すため、希土類金属とフェナントロリン構造内の窒素原子との配位結合を点線で記載しているが、点線と直線が実質的に異なる構造であることを意味するものではない。
上記式(I)において、Yは陰イオンまたは非存在を示し、陰イオンとは、塩素イオン、ヨウ素イオン、臭素イオンなどのハロゲンイオン、硝酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオンなどが挙げられ、好ましくはハロゲンイオンである。
Yは、配位子であるフェナントロリン構造中に陰イオンが存在するときは、当該陰イオンと一緒になって、当該錯体中の金属イオンと対イオンを形成する。
Yは、配位子であるフェナントロリン構造中に陰イオンが存在するときは、当該陰イオンと一緒になって、当該錯体中の金属イオンと対イオンを形成する。
式(I)で表される希土類金属錯体は、常法の錯形成反応を行うことにより、製造することができる。
上記式(I)で表される希土類金属錯体において、配位子は、下記式(II)で表されるフェナントロリン化合物である。本発明の一態様として、式(I)で表される希土類金属錯体と共に、式(II)で表される化合物が提供される。
式(II)で表される化合物は、その塩であってもよく、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩などの塩基付加塩および例えば塩酸塩または硫酸塩などの酸付加塩などを意味し、式(II)で表される化合物に存在する、水酸基(具体的には、フェノール性水酸基など)もしくはカルボキシル基(−COOH)または塩基(具体的には、NH基など)における塩などが挙げられる。
式(II)で表される化合物は、その塩であってもよく、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩などの塩基付加塩および例えば塩酸塩または硫酸塩などの酸付加塩などを意味し、式(II)で表される化合物に存在する、水酸基(具体的には、フェノール性水酸基など)もしくはカルボキシル基(−COOH)または塩基(具体的には、NH基など)における塩などが挙げられる。
上記式(I)で表される希土類金属錯体において、好ましい配位子として、具体的には、R1、R2、R3およびR4が、同一で、水素原子であり、X1およびX2は、同一で、mが1であるメチレン基である、2,5−ビス−カルボキシメチル−2,5−ジアゾ[6]−(5’,5’)−シクロ−2,9−ジ−(2’−ピリジル)−1,10−フェナントロリノファンが配位子となるように用いて得られる錯体である。また、下記実施例において開示される化合物(26)および化合物(28)が、配位子として用いるのに好ましい化合物として挙げられる。
上記式(I)で表される希土類金属錯体の製造法について説明する。
上記式(I)の希土類金属錯体は、上記(II)で表される化合物と希土類金属塩とを混合することにより、希土類金属が配位した希土類金属錯体を得ることができる。好ましくは当該化合物と希土類金属塩とを1:1〜3の割合で混合する。反応で使用する希土類金属塩としては、例えば希土類金属元素の塩化物塩、硝酸塩、アセテートなどが挙げられ、中でも、塩化物塩が好ましい。希土類金属塩は、適宜2種以上の金属塩を混合して用いてもよい。反応に使用する溶媒としては、アルコール、水などが挙げられ、適宜2種以上の溶媒を混合して用いてもよい。具体的には、アルコールとしては、エタノール、メタノールなどが挙げられ、好ましくはメタノールが挙げられる。アルコールと水の混合溶媒を用いてもよい。反応温度は特に限定されないが、室温から溶媒の沸点、好ましくは20℃から60℃である。反応時間は特に限定されないが、反応は円滑に進行し、通常10分から1日程度で完結する。
希土類金属錯体を含む溶液は紫外線を照射すると発光を呈するようになる。
この反応溶液を濃縮すると、所望の希土類金属錯体が析出する。通常の分離手段で反応溶液より分離して、得られた固体を乾燥することにより、本発明の希土類金属錯体を得ることができる。
上記式(I)の希土類金属錯体は、上記(II)で表される化合物と希土類金属塩とを混合することにより、希土類金属が配位した希土類金属錯体を得ることができる。好ましくは当該化合物と希土類金属塩とを1:1〜3の割合で混合する。反応で使用する希土類金属塩としては、例えば希土類金属元素の塩化物塩、硝酸塩、アセテートなどが挙げられ、中でも、塩化物塩が好ましい。希土類金属塩は、適宜2種以上の金属塩を混合して用いてもよい。反応に使用する溶媒としては、アルコール、水などが挙げられ、適宜2種以上の溶媒を混合して用いてもよい。具体的には、アルコールとしては、エタノール、メタノールなどが挙げられ、好ましくはメタノールが挙げられる。アルコールと水の混合溶媒を用いてもよい。反応温度は特に限定されないが、室温から溶媒の沸点、好ましくは20℃から60℃である。反応時間は特に限定されないが、反応は円滑に進行し、通常10分から1日程度で完結する。
希土類金属錯体を含む溶液は紫外線を照射すると発光を呈するようになる。
この反応溶液を濃縮すると、所望の希土類金属錯体が析出する。通常の分離手段で反応溶液より分離して、得られた固体を乾燥することにより、本発明の希土類金属錯体を得ることができる。
希土類金属錯体の製造に使用する式(II)で表される化合物は、以下のスキーム(I)に示すように、式(III)で表される化合物と式(IV)で表される化合物とを反応させることにより製造することができる。
また、式(II)で表される化合物は、式(III)で表される化合物と式(IV)で表される化合物とを反応させた後に、適宜、常法により、所望の置換基を導入および/または変換することによっても製造することができる。
また、式(II)で表される化合物は、式(III)で表される化合物と式(IV)で表される化合物とを反応させた後に、適宜、常法により、所望の置換基を導入および/または変換することによっても製造することができる。
上記スキーム(I)における、R1〜R4ならびにX1およびX2は、前記と同様の基を示し、R10およびR20は、同一または異なって、R1およびR2と同様の基であってもよく、R1およびR2で表される基が保護されている基などのR1およびR2で表される基に変換可能な基であってもよい。
R30およびR40は、同一または異なって、R3およびR4と同様の基であってもよく、R3およびR4で表される基が保護基によって保護されている基などの、R3およびR4で表される基に変換可能な基であってもよい。ただし、R1〜R4(R10、R20、R30およびR40についても上記と同様)ならびにX1およびX2の定義中、カルボキシルイオンおよび陰電荷は、錯体形成時に存在することになるので、配位子の製造過程での定義からは除外される。
L1およびL2は、同一または異なって、脱離基を示す。
R30およびR40は、同一または異なって、R3およびR4と同様の基であってもよく、R3およびR4で表される基が保護基によって保護されている基などの、R3およびR4で表される基に変換可能な基であってもよい。ただし、R1〜R4(R10、R20、R30およびR40についても上記と同様)ならびにX1およびX2の定義中、カルボキシルイオンおよび陰電荷は、錯体形成時に存在することになるので、配位子の製造過程での定義からは除外される。
L1およびL2は、同一または異なって、脱離基を示す。
上記スキーム(I)における反応は、不活性溶媒中、塩基の存在下、式(III)で表される化合物と式(IV)で表される化合物を反応させることにより行うことができる。
式(IV)で表される化合物は、式(III)で表される化合物に対して、好ましくは1〜3当量、より好ましくは1〜1.5当量使用する。
式(IV)で表される化合物は、式(III)で表される化合物に対して、好ましくは1〜3当量、より好ましくは1〜1.5当量使用する。
反応で使用する不活性溶媒は、式(III)で表される化合物と式(IV)で表される化合物とが円滑に反応するものであれば、特に限定されないが、例えばエチルメチルケトン、アセトニトリル、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられ、中でも、エチルメチルケトン、アセトニトリル、アセトンが好ましく、エチルメチルケトンがより好ましい。
反応で使用する塩基は、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの炭酸アルカリ金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸アルカリ土類金属塩、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどの有機アルキルアミンなどが挙げられ、中でも、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウムなどが好ましく、炭酸ナトリウムがより好ましい。
塩基は、式(III)で表される化合物に対して、好ましくは1〜10当量、より好ましくは1〜5当量使用する。
通常、反応は、非水条件下で行うことが好ましく、好ましくは室温から溶媒の沸点まで、より好ましくは加熱還流下で行い、10時間〜10日で完結する。
塩基は、式(III)で表される化合物に対して、好ましくは1〜10当量、より好ましくは1〜5当量使用する。
通常、反応は、非水条件下で行うことが好ましく、好ましくは室温から溶媒の沸点まで、より好ましくは加熱還流下で行い、10時間〜10日で完結する。
上記式(II)で表される化合物は、式(III)で表される化合物と式(IV)で表される化合物とを反応させることにより直接製造される化合物であってもよく、下記スキーム(II)に示すように、式(II−1)で表される化合物を製造した後に、適宜、常法に従って、所望の式(II)で表される化合物に変換することができる。
上記式(IV)で表される化合物は、所望のR3またはR4を導入または脱離が可能な公知の化合物または市販されている化合物であるか、公知の方法に準じて製造可能な化合物である。R30またはR40は、カルボキシル基の保護基であってもよく、式(II−1)で表される化合物においてR30およびR40を脱保護してカルボキシル基とした後に、R3およびR4を導入してもよい。
式(II)で表される化合物を製造する上で、反応で使用する式(IV)で表される化合物に存在するR30およびR40は、カルボキシル基の保護基であってもよく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基などの低級アルキル基;例えば2,2,2−トリクロロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基などのハロ置換低級アルキル基;例えばアセトキシメチル基、プロピオニルオキシメチル基、ピバロイルオキシメチル基、1−アセトキシエチル基、1−プロピオニルオキシエチル基などの低級アルカノイルオキシアルキル基;例えば1−(メトキシカルボニルオキシ)エチル基、1−(エトキシカルボニルオキシ)エチル基、1−(イソプロポキシカルボニルオキシ)エチル基などの低級アルコキシカルボニルオキシアルキル基;例えば2−プロペニル基、2−クロロ−2−プロペニル基、3−メトキシカルボニル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、2−ブテニル基、シンナミル基などの低級アルケニル基;例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基、3,4−ジメトキシベンジル基、o−ニトロベンジル基、p−ニトロベンジル基、ベンズヒドリル基、ビス(p−メトキシフェニル)メチル基などのアラルキル基;例えば(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル)メチル基などの(5−置換−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル)メチル基;例えばトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基などの低級アルキルシリル基;インダニル基、フタリジル基、メトキシメチル基などが挙げられる。
カルボキシルの保護基の除去は、その種類および化合物の安定性により異なるが、特に限定されないが、例えば[Protective Groups In Organic Synthesis Second Edition by T.W.Greene and P.G.M.Wuts John Wiley&Sons,Inc.]に記載されている方法またはそれに準ずる方法に従って、例えば酸または塩基を用いる加溶媒分解、水素化金属錯体などを用いる化学的還元、パラジウム炭素触媒、ラネーニッケル触媒などを用いる接触還元などにより行うことができる。塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物が挙げられる。
本工程で用いられる溶媒は、特に限定されないが、原料物質と容易に反応しない不活性溶媒が好ましく、例えば水、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノールなどのアルコール類、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタンなどのエーテル類、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、例えばヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類、例えばアセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、例えばアセトニトリルなどのニトリル類、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホリルアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などの溶媒またはこれらの混合物が挙げられる。中でも、メタノールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル類が好ましい。
反応温度は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜30℃である。反応時間は、好ましくは1〜20時間、より好ましくは3〜10時間である。
カルボキシルの保護基の除去は、その種類および化合物の安定性により異なるが、特に限定されないが、例えば[Protective Groups In Organic Synthesis Second Edition by T.W.Greene and P.G.M.Wuts John Wiley&Sons,Inc.]に記載されている方法またはそれに準ずる方法に従って、例えば酸または塩基を用いる加溶媒分解、水素化金属錯体などを用いる化学的還元、パラジウム炭素触媒、ラネーニッケル触媒などを用いる接触還元などにより行うことができる。塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物が挙げられる。
本工程で用いられる溶媒は、特に限定されないが、原料物質と容易に反応しない不活性溶媒が好ましく、例えば水、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノールなどのアルコール類、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタンなどのエーテル類、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、例えばヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類、例えばアセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、例えばアセトニトリルなどのニトリル類、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホリルアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などの溶媒またはこれらの混合物が挙げられる。中でも、メタノールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル類が好ましい。
反応温度は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜30℃である。反応時間は、好ましくは1〜20時間、より好ましくは3〜10時間である。
式(II)で表される化合物を製造する上で、反応で使用する式(III)で表される化合物に存在する官能基は、適宜保護されていてもよく、反応で使用される保護基としては、例えば水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基などの保護基として通常使用されている保護基を用いることができ、特に限定されないが、例えば「Protective Groups In Organic Synthesis Second Edition by T.W.Greene and P.G.M.Wuts John Wiley&Sons,Inc.」に記載されている保護基が挙げられる。
水酸基の保護基としては、特に限定されないが、例えばメトキシメチル基、メチルチオメチル基、テトラヒドロフラニル基、1−エトキシエチル基、tert−ブチルジメチルシリル基、ベンジル基、tert−ブチル基、アリル基、トリフェニルメチル基などが挙げられる。
カルボキシル基の保護基としては、上記R30およびR40について記載した保護基であってもよく、特に限定されないが、例えばメチル基、エチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、エトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、ベンジル基、o−ニトロベンジル基、p−ニトロベンジル基、β−p−トルエンスルホニルエチル基、p−メトキシベンジル基、ベンジルオキシカルボニルなどが挙げられる。
カルボニル基の保護基としては、特に限定されないが、例えば1,3−ジオキサニル基、5−メチレン−1,3−ジオキサニル基、5,5−ジブロモ−1,3−ジオキサニル基などが挙げられる。
アミノ基の保護基としては、特に限定されないが、例えばN−ホルミル基、N−アセチル基、N−クロロアセチル基、N−ベンゾイル基、tert−ブチル基、N−フタルイミド基、ジフェニルメチル基、ベンジル基などが挙げられ、適宜、当該保護基の1ないし2個をアミノ基に導入することができる。
脱離基としては、脱離してC−N結合を形成する基であれば特に限定されないが、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、トリフルオロアセチル基、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基、ジフェノキシホスホリル基などが挙げられ、中でも塩素原子、臭素原子、メタンスルホニル基が好ましい。
式(III)で表される化合物は、下記スキーム(III)に従って製造することができる。
上記スキーム(III)における、R10およびR20ならびにL1およびL2は、前記と同様の基を示し、Xは、ハロゲン原子を示す。
R6、R70およびR80は、水酸基の保護基を示す。R70およびR80は、同一または異なって、水酸基の保護基を示し、また、式(VIII)で表される化合物のR6に由来する保護基であるので、R70およびR80の両方が、R6と同一であってもよい。
R6、R70およびR80は、水酸基の保護基を示す。R70およびR80は、同一または異なって、水酸基の保護基を示し、また、式(VIII)で表される化合物のR6に由来する保護基であるので、R70およびR80の両方が、R6と同一であってもよい。
上記式(II’)中、R10およびR20は、同一または異なって、(1)水素原子、(2)ハロゲン原子、(3)水酸基、(4)シアノ基、(5)ニトロ基、(6)アミノ基、(7)C1−6アルキル基、(8)C3−8シクロアルキル基、(9)C2−6アルケニル基、(10)C2−6アルキニル基、(11)C1−6アルコキシ基、(12)C3−8シクロアルコキシ基、(13)C2−6アルケニルオキシ基、(14)C2−6アルキニルオキシ基、(15)C1−6アルキルチオ基、(16)C3−8シクロアルキルチオ基、(17)C2−6アルケニルチオ基、(18)C2−6アルキニルチオ基、(19)C1−6アルキルカルボニルオキシ基、(20)ホルミル基、(21)C1−6アルキルカルボニル基、(22)C1−6アルキルアミノ基、(23)ジC1−6アルキルアミノ基、(24)C1−6アルキルスルフィニル基、(25)C1−6アルキルスルホニル基、(26)C3−8シクロアルキルスルフィニル基、(27)C3−8シクロアルキルスルホニル基、(28)カルボキシル基、(29)C1−6アルキルオキシカルボニル基、(30)C6−14アリール基もしくは(31)C7−20アラルキル基、または上記(1)〜(31)である基に置換可能な基を示し、
R7およびR8は、同一または異なって、水素原子または保護基を示す。
R7およびR8は、式(VI)で表される化合物のR70およびR80に由来する基であってもよく、式(II’)で表される化合物は、式(VI)で表される化合物と式(V)で表される化合物を包含する。
R7およびR8は、同一または異なって、水素原子または保護基を示す。
R7およびR8は、式(VI)で表される化合物のR70およびR80に由来する基であってもよく、式(II’)で表される化合物は、式(VI)で表される化合物と式(V)で表される化合物を包含する。
式(III)で表される化合物は、式(VIII)で表される化合物と式(VII)で表される化合物とを、トリフェニルホスフィンパラジウムジクロリドの存在下、カップリング反応に付すことにより、式(VI)で表される化合物とし、式(VI)で表される化合物の水酸基の保護基を除去し、次いで、水酸基を脱離基に変換することにより、製造することができる。
式(VIII)で表される化合物と式(VII)で表される化合物の反応は、不活性溶媒中、トリフェニルホスフィンパラジウムジクロリドの存在下、行うことができる。
式(VIII)で表される化合物は、式(VII)で表される化合物に対して、好ましくは1〜5当量、より好ましくは1〜3当量使用する。
反応で使用する溶媒は、式(VIII)で表される化合物と式(VII)で表される化合物とが円滑に反応するものであれば、特に限定されないが、例えばジメチルホルムアミド、ベンゼン、トルエン、塩化メチレンなどが挙げられ、中でも、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、ジメチルホルムアミドが好ましい。
通常、反応は、非水条件下で行うことが好ましく、好ましくは室温から溶媒の沸点まで、より好ましくは加熱還流下で行い、1時間〜3−5日で完結する。
式(VIII)で表される化合物は、式(VII)で表される化合物に対して、好ましくは1〜5当量、より好ましくは1〜3当量使用する。
反応で使用する溶媒は、式(VIII)で表される化合物と式(VII)で表される化合物とが円滑に反応するものであれば、特に限定されないが、例えばジメチルホルムアミド、ベンゼン、トルエン、塩化メチレンなどが挙げられ、中でも、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、ジメチルホルムアミドが好ましい。
通常、反応は、非水条件下で行うことが好ましく、好ましくは室温から溶媒の沸点まで、より好ましくは加熱還流下で行い、1時間〜3−5日で完結する。
式(VI)で表される化合物の水酸基の保護基を除去する反応は、不活性溶媒中、酸の存在下、行うことができる。
反応で使用する不活性溶媒は、特に限定されないが、例えばメタノールなどのアルコール類、エチルメチルケトン、アセトニトリル、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられ、中でも、メタノールが好ましい。
酸は、式(VI)で表される化合物に対して、好ましくは1〜5当量、より好ましくは1〜3当量使用する。
通常、反応は、好ましくは室温から溶媒の沸点まで、より好ましくは加温下で行い、1時間〜24時間で完結する。
反応で使用する不活性溶媒は、特に限定されないが、例えばメタノールなどのアルコール類、エチルメチルケトン、アセトニトリル、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられ、中でも、メタノールが好ましい。
酸は、式(VI)で表される化合物に対して、好ましくは1〜5当量、より好ましくは1〜3当量使用する。
通常、反応は、好ましくは室温から溶媒の沸点まで、より好ましくは加温下で行い、1時間〜24時間で完結する。
式(VII)で表される化合物は、
(1) Dictionary of Organic Compounds, 6th edition, Vol. 5, published by Chapman and Hall, London, UK, 1996, pages 5167-5168
(2) 大有機化学第16巻 複素環式化合物III、朝倉書房、昭和39年4月、小竹無二雄 監修 pages 356-363
などの文献に記載の方法によりフェナントロリンを製造し、次いで、J. C. S. Perkin I, 1974, pages 976-978などの文献に記載の方法により、フェナントロリン環の2−および9−位をハロゲン化することにより製造することができる。
(1) Dictionary of Organic Compounds, 6th edition, Vol. 5, published by Chapman and Hall, London, UK, 1996, pages 5167-5168
(2) 大有機化学第16巻 複素環式化合物III、朝倉書房、昭和39年4月、小竹無二雄 監修 pages 356-363
などの文献に記載の方法によりフェナントロリンを製造し、次いで、J. C. S. Perkin I, 1974, pages 976-978などの文献に記載の方法により、フェナントロリン環の2−および9−位をハロゲン化することにより製造することができる。
式(VIII)で表される化合物は、(6−ハロピリジン−2−イル)メタノールを出発原料として、下記スキーム(IV)に従って、従来公知の方法により製造することができる。
上記スキーム(IV)における、Xは、ハロゲン原子を示し、R6は、水酸基の保護基を示す。
式(V)で表される化合物の水酸基を脱離基に変換する方法は、常法によって行うことができ、例えば塩化チオニル、臭化チオニルなどのハロゲン化チオニル、p−トルエンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルブロミドなどのスルホン酸ハロゲン化物などのハロゲン化物を塩基の存在下、式(V)で表される化合物に反応させることにより行うことができる。反応に使用するハロゲン化物は、式(V)で表される化合物に対して、好ましくは1〜5当量、より好ましくは1〜3当量使用する。
反応で使用する溶媒は、式(V)で表される化合物とハロゲン化物とが円滑に反応するものであれば、特に限定されないが、例えば塩化メチレン、クロロホルム、エチルメチルケトン、アセトニトリル、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられ、中でも、塩化メチレン、エチルメチルケトン、アセトニトリル、アセトンなどが挙げられ、塩化メチレンが好ましい。
反応で使用する塩基は、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの炭酸アルカリ金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸アルカリ土類金属塩、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどの有機アルキルアミンなどが挙げられ、中でも、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、トリエチルアミンなどが好ましく、特にトリエチルアミンが好ましい。
塩基は、ハロゲン化物に対して、好ましくは1〜10当量、より好ましくは1〜5当量使用し、通常、反応は、非水条件下で行うことが好ましく、好ましくは室温から溶媒の沸点まで、より好ましくは加熱還流下で行い、10時間〜5日で完結する。
反応で使用する溶媒は、式(V)で表される化合物とハロゲン化物とが円滑に反応するものであれば、特に限定されないが、例えば塩化メチレン、クロロホルム、エチルメチルケトン、アセトニトリル、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられ、中でも、塩化メチレン、エチルメチルケトン、アセトニトリル、アセトンなどが挙げられ、塩化メチレンが好ましい。
反応で使用する塩基は、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの炭酸アルカリ金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸アルカリ土類金属塩、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどの有機アルキルアミンなどが挙げられ、中でも、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、トリエチルアミンなどが好ましく、特にトリエチルアミンが好ましい。
塩基は、ハロゲン化物に対して、好ましくは1〜10当量、より好ましくは1〜5当量使用し、通常、反応は、非水条件下で行うことが好ましく、好ましくは室温から溶媒の沸点まで、より好ましくは加熱還流下で行い、10時間〜5日で完結する。
式(IV)で表される化合物は、下記スキーム(V)に従って、従来公知の方法により製造することができる。
上記スキーム(V)における、R30およびR40ならびにX1およびX2は、前記と同様の基を示し、Xは、ハロゲン原子を示す。
式(IV)で表される化合物は、エチレンジアミンから得られる式(XIII)で表される化合物に対し、式(XII)で表される化合物と、式(X)で表される化合物とを、順次、アルキル化させて、式(IX)で表される化合物とし、式(IX)で表される化合物のアミノ基のN−ベンジル保護基を除去することにより、製造することができる。
式(XIII)で表される化合物と式(XII)で表される化合物の反応は、不活性溶媒中、塩基の存在下、行うことができる。
式(XII)で表される化合物は、式(XIII)で表される化合物に対して、1〜5当量、好ましくは1〜3当量使用する。
反応で使用する溶媒は、式(XIII)で表される化合物と式(XII)で表される化合物とが円滑に反応するものであれば、特に限定されないが、例えばジメチルホルムアミド、ベンゼン、トルエン、塩化メチレンなどが挙げられ、中でも、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、ジメチルホルムアミドが好ましい。
通常、反応は、非水条件下で行うことが好ましく、好ましくは室温から溶媒の沸点まで、より好ましくは加熱還流下で行い、1時間〜3−5日で完結する。
式(XII)で表される化合物は、式(XIII)で表される化合物に対して、1〜5当量、好ましくは1〜3当量使用する。
反応で使用する溶媒は、式(XIII)で表される化合物と式(XII)で表される化合物とが円滑に反応するものであれば、特に限定されないが、例えばジメチルホルムアミド、ベンゼン、トルエン、塩化メチレンなどが挙げられ、中でも、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、ジメチルホルムアミドが好ましい。
通常、反応は、非水条件下で行うことが好ましく、好ましくは室温から溶媒の沸点まで、より好ましくは加熱還流下で行い、1時間〜3−5日で完結する。
式(XIII)で表される化合物と式(XII)で表される化合物の反応により得られる式(XI)で表される化合物と、式(X)で表される化合物の反応は、式(XIII)で表される化合物と式(XII)で表される化合物の反応と同様に行うことができる。
式(IX)で表される化合物のアミノ基のN−ベンジル保護基を除去する反応は、従来公知の水素添加による還元反応により行うことができる。
本発明において用いられる略語は、当業界において慣用されている略語の意味を有する。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されることはない。
金属を入れる手順
実施例1
化合物(24)(18.7 mg;35μmol)の水溶液10mL(3.5mmol/L)に塩化ユーロピウム(EuCl3;25.6mg;70μmol )となるように、500mmol/L塩化ユーロピウム水溶液を加えた。反応溶液を50℃で1時間、次いで、室温で終夜攪拌することによりユーロピウム錯体を合成した。
減圧下で濃縮して得られた残渣をLH-20を用いて、メタノールで溶出し、所定の化合物(24)を配位子とするユーロピウム錯体、錯体1を得た。
実施例1
化合物(24)(18.7 mg;35μmol)の水溶液10mL(3.5mmol/L)に塩化ユーロピウム(EuCl3;25.6mg;70μmol )となるように、500mmol/L塩化ユーロピウム水溶液を加えた。反応溶液を50℃で1時間、次いで、室温で終夜攪拌することによりユーロピウム錯体を合成した。
減圧下で濃縮して得られた残渣をLH-20を用いて、メタノールで溶出し、所定の化合物(24)を配位子とするユーロピウム錯体、錯体1を得た。
ESIMS (positive) m/z 684.8, (M+H) (F.W = 684.5 for C30H24EuN6O4 )
(Waters社製 LCTpremier, Column:TOSOH ODS-100V)
化合物(26)および化合物(28)についても、化合物(24)と同様の方法で、ユーロピウム錯体として、それぞれ、錯体2および錯体3を得た。
(Waters社製 LCTpremier, Column:TOSOH ODS-100V)
化合物(26)および化合物(28)についても、化合物(24)と同様の方法で、ユーロピウム錯体として、それぞれ、錯体2および錯体3を得た。
錯体の蛍光特性
実施例2
錯体1のメタノール水溶液(1mmol/L:メタノール含有率6%)を分光蛍光光度計(F-7000形:日立ハイテクノロジーズ社製)で励起波長を360nmとして蛍光スペクトルの測定結果を図1に示す。
図1に示されているとおり、620nm付近にユーロピウムイオンからの強い赤色発光が観測されている。
実施例2
錯体1のメタノール水溶液(1mmol/L:メタノール含有率6%)を分光蛍光光度計(F-7000形:日立ハイテクノロジーズ社製)で励起波長を360nmとして蛍光スペクトルの測定結果を図1に示す。
図1に示されているとおり、620nm付近にユーロピウムイオンからの強い赤色発光が観測されている。
また、蛍光スペクトルのピーク波長付近である、620nmでの励起スペクトル測定結果を図2に示す。
図2に示されているとおり、380nm付近をピークに、400nm以上まで励起スペクトルを確認することができ、励起スペクトルが可視領域を含んでいることを確認した。
図2に示されているとおり、380nm付近をピークに、400nm以上まで励起スペクトルを確認することができ、励起スペクトルが可視領域を含んでいることを確認した。
励起波長を360nmとして蛍光寿命を測定した結果を図3に示す。この時の蛍光寿命はτは300μsecであり、水溶液中においても長寿命であることが確認できた。
錯体2のメタノール水溶液(1mmol/L:メタノール含有率4%)についても、同様の測定を行った。結果を図4、図5および図6に示す。
錯体2のメタノール水溶液(1mmol/L:メタノール含有率4%)についても、同様の測定を行った。結果を図4、図5および図6に示す。
DNAへのラベル他
実施例3
5'末端アミノ修飾オリゴDNA(42量体)10nmolと錯体1(200nmol)を縮合剤DMT-MM(ワコーケミカル社製;200nmol)存在下、室温で終夜反応させて、錯体1をオリゴDNAに結合させて標識した。反応液にエタノール及び3M酢酸ナトリウム水溶液(ニッポンジーン社製)を加え、遠心分離を行い、標識されたDNAを沈殿分離した。
得られた沈殿に70%エタノール水溶液を加え遠心分離を行い、再び標識されたDNAを沈殿分離した。沈殿を水に溶解させ、ゲルろ過法(G-50)で精製した。
精製した各フラクションについて紫外吸収スペクトルを測定し260nmの値からOligoDNAの濃度を算出した。
(紫外吸収測定:ND-1000/nanoDrop)
その後、標識オリゴDNAを、100nmol/L、10nmol/L、1nmol/Lの濃度の水溶液として調整し,分光蛍光光度計(F-7000形 日立ハイテクノロジーズ社製)で、励起波長360nmでの蛍光発光620nmでのカウント結果を測定した。
錯体2についても、錯体1と同様にして、標識オリゴDNAを得、蛍光発光620nmにおけるカウントを測定した。結果を表1に示す。
実施例3
5'末端アミノ修飾オリゴDNA(42量体)10nmolと錯体1(200nmol)を縮合剤DMT-MM(ワコーケミカル社製;200nmol)存在下、室温で終夜反応させて、錯体1をオリゴDNAに結合させて標識した。反応液にエタノール及び3M酢酸ナトリウム水溶液(ニッポンジーン社製)を加え、遠心分離を行い、標識されたDNAを沈殿分離した。
得られた沈殿に70%エタノール水溶液を加え遠心分離を行い、再び標識されたDNAを沈殿分離した。沈殿を水に溶解させ、ゲルろ過法(G-50)で精製した。
精製した各フラクションについて紫外吸収スペクトルを測定し260nmの値からOligoDNAの濃度を算出した。
(紫外吸収測定:ND-1000/nanoDrop)
その後、標識オリゴDNAを、100nmol/L、10nmol/L、1nmol/Lの濃度の水溶液として調整し,分光蛍光光度計(F-7000形 日立ハイテクノロジーズ社製)で、励起波長360nmでの蛍光発光620nmでのカウント結果を測定した。
錯体2についても、錯体1と同様にして、標識オリゴDNAを得、蛍光発光620nmにおけるカウントを測定した。結果を表1に示す。
比較例
市販されているユーロピウム錯体である、cryptate(CSIバイオ社製)を用いて、メーカー推奨条件である、5'末端アミノ修飾オリゴDNA(42量体)4nmol(1mM/L,0.25MHepes溶液(pH=8))にcryptate TBP monosubetate(CSIバイオ社製)63.7nmol(26.5mM/L,0.13MHepes溶液(pH=8))を加え、室温で終夜反応させた。反応液を0.25MHepes溶液(pH=8)で100μLに希釈後、ゲルろ過法(G-50)で精製し、オリゴDNAに標識した。その後実施例3と同様の方法で濃度を調整し、蛍光発光を測定した。結果を表1に示す。
市販されているユーロピウム錯体である、cryptate(CSIバイオ社製)を用いて、メーカー推奨条件である、5'末端アミノ修飾オリゴDNA(42量体)4nmol(1mM/L,0.25MHepes溶液(pH=8))にcryptate TBP monosubetate(CSIバイオ社製)63.7nmol(26.5mM/L,0.13MHepes溶液(pH=8))を加え、室温で終夜反応させた。反応液を0.25MHepes溶液(pH=8)で100μLに希釈後、ゲルろ過法(G-50)で精製し、オリゴDNAに標識した。その後実施例3と同様の方法で濃度を調整し、蛍光発光を測定した。結果を表1に示す。
測定の結果、錯体1および錯体2で標識されたオリゴDNAは、1nmol/Lから100nmol/Lの間で発光強度は直線的に増加することを確認した。
励起光360nmでの蛍光特性において、市販されているユーロピウム錯体で標識されたオリゴDNAと比較しても、優れた蛍光特性を持っていることが確認できた。
励起光360nmでの蛍光特性において、市販されているユーロピウム錯体で標識されたオリゴDNAと比較しても、優れた蛍光特性を持っていることが確認できた。
以下参考例、製造例について、特別の記載がない場合は、以下の条件で測定を行った。
プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR)は、Varian社製INOVA500 Spectrommeter(500MHz)を用いて測定し、化学シフトは、テトラメチルシランに対するδ単位(ppm)で記録し、カップリング定数はヘルツ(Hz)で記録した。
パターンは、s;シングレット、d;ダブレット、d,d;ダブルダブレット、t;トリプレット、m;マルチプレット、b;ブロード、b.s;ブロードシングレットを意味する。
液体クロマトグラフィー(HPLC)は、Shimadzu社製LC-2010A HTを用いて測定した。測定条件は以下のとおりである。
Column:YMC A302 S-5
UV:254nm
ESI-MSは、Shimadzu社製LCMS-2010Aを用いて測定した。Columnとして、Inertsil ODS-3を用いた。
分析薄層クロマトグラフィー(TLC)はプレコートしたシリカゲルプレート(60F-254)上で行い、UV光、エタノール性リンモリブデン酸を用いて視覚化検出した。
プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR)は、Varian社製INOVA500 Spectrommeter(500MHz)を用いて測定し、化学シフトは、テトラメチルシランに対するδ単位(ppm)で記録し、カップリング定数はヘルツ(Hz)で記録した。
パターンは、s;シングレット、d;ダブレット、d,d;ダブルダブレット、t;トリプレット、m;マルチプレット、b;ブロード、b.s;ブロードシングレットを意味する。
液体クロマトグラフィー(HPLC)は、Shimadzu社製LC-2010A HTを用いて測定した。測定条件は以下のとおりである。
Column:YMC A302 S-5
UV:254nm
ESI-MSは、Shimadzu社製LCMS-2010Aを用いて測定した。Columnとして、Inertsil ODS-3を用いた。
分析薄層クロマトグラフィー(TLC)はプレコートしたシリカゲルプレート(60F-254)上で行い、UV光、エタノール性リンモリブデン酸を用いて視覚化検出した。
参考例1
(2,9−ビス(6−((メトキシメチルオキシ)メチル)ピリジン−2−イル)−1,10−フェナントロリン) (20)
(2,9−ビス(6−((メトキシメチルオキシ)メチル)ピリジン−2−イル)−1,10−フェナントロリン) (20)
アルゴン気流中、2,9−ジブロモ−1,10−フェナントロリン(化合物(10);3.25g;9.6mmol)を無水ジメチルホルムアミド(45mL)に溶解した。2−メトキシメチルオキシメチルピリジン−6−イルトリブチルすず(化合物(12);17g;9.6mmol)およびトリフェニルホスフィンパラジウムジクロリド(3.83g;4.8mmol)を反応溶液に加え、反応溶液を70℃で22時間攪拌した。反応溶液を室温まで冷却し、ロッシェル塩を加えた後に、反応混合物を食塩水に注ぎ、次いで酢酸エチルを反応混合物に加えた。不溶物を濾別し、濾液を酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮することにより、油状物を得た。アルゴン気流中、得られた油状物を無水ジメチルホルムアミド(45mL)に溶解し、化合物(12)(17g;9.6mmol)およびトリフェニルホスフィンパラジウムジクロリド(2.72g;3.38mmol)を加え、反応液を70℃で20時間攪拌した。反応液を室温まで冷却し、ロッシェル塩を加えた後に、反応液を食塩水に注ぎ、次いで酢酸エチルを反応液に加えた。不溶物を濾別し、濾液を酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮することにより、残渣を得た。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマト(SiO2,200g;展開溶媒:クロロホルム/メタノール=30/1〜20/1〜10/1)にて分離精製し、標記化合物(20)1.1g(収率:23.7%)を得た。
1H NMR (DMSO−d6)δ:3.38 (s, 3H), 4.80〜4.83 (m, 8H), 7.64(d, J = 8Hz, 2H), 8.07〜8.20 (m, 4H), 8.65〜8.84 (m, 4H), 8.92 (d, J = 7Hz, 1H)
HPLC 移動相:40−95%アセトニトリル−水(0.1% トリフルオロ酢酸) ピーク保持時間:5.7分
ESIMS (positive) m/z 483.1, (M+H) (F.W = 482.53 for C28H26N4O4)
HPLC 移動相:40−95%アセトニトリル−水(0.1% トリフルオロ酢酸) ピーク保持時間:5.7分
ESIMS (positive) m/z 483.1, (M+H) (F.W = 482.53 for C28H26N4O4)
2,9−ビス(6−(ヒドロキシメチル)ピリジン−2−イル)−1,10−フェナントロリン (21)
化合物(20)(1.09g;2.26mmol)に6N−塩酸(5mL)およびメタノール(25mL)を加え、反応溶液を60℃にて4時間攪拌した。反応溶液を減圧下濃縮し、溶媒が残っている状態で、5%炭酸ナトリウム水溶液にてアルカリ性にし、析出した固体を濾取した。得られた固体をクロロホルム/メタノール=3/1に溶解した後、不溶物を除き、濾液を減圧下濃縮し、標記化合物(21)0.72g(収率:81%)を得た。
1H NMR (DMSO−d6)δ:4.76 (d, J = 5.5Hz, 1H), 5.58 (t, J = 6Hz, 2H), 7.65 (d, J =7.5Hz, 2H), 8.08 (s, 2H), 8.15 (t, J = 7.5Hz, 2H), 8.65 (d, J = 8.5Hz, 2H), 8.84 (d, J = 8.5Hz, 2H), 8.87 (d, J = 8.5Hz, 2H)
HPLC 移動相:30−80%アセトニトリル−水(0.1%トリフルオロ酢酸) ピーク保持時間:2.7分
ESIMS (positive) m/z 395.1, (M+H) (F.W = 394.43 for C24H18N4O2)
HPLC 移動相:30−80%アセトニトリル−水(0.1%トリフルオロ酢酸) ピーク保持時間:2.7分
ESIMS (positive) m/z 395.1, (M+H) (F.W = 394.43 for C24H18N4O2)
2,9−ビス(6−(クロロメチル)ピリジン−2−イル)−1,10−フェナントロリン (22)
アルゴン気流中、化合物(21)(0.7g;1.77mmol)を氷冷下、ジクロロメタン(15mL)に懸濁した。トリエチルアミン(0.54g;5.32mmol)および塩化チオニル(0.51g;4.25mmol)を反応混合物に順次加えた。反応混合物を室温で24時間攪拌した。反応混合物を5%炭酸ナトリウム水溶液でアルカリ性にした後、減圧下濃縮した。得られた残渣をクロロホルム/メタノール=3/1に溶かし、メンブレンフィルター濾過をして無機物を除いた。濾液を減圧下濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマト(SiO2,200g)(クロロホルム/メタノール=10/1〜5/1〜3/1)にて分離精製し、標記化合物(22)0.49g(収率:64%)を得た。
1H NMR (DMSO−d6)δ:4.98 (s, 4H), 7.74 (d, J =7.5Hz, 2H), 8.11 (s, 2H), 8.20 (t, J=7.5Hz, 2H), 8.69 (t, J = 8.5Hz, 2H), 8.84 (t, J = 8 Hz, 2H), 8.97 (d, J = 8.5Hz, 2H)
HPLC 移動相:30−80%アセトニトリル−水(0.1%トリフルオロ酢酸) ピーク保持時間:8.8分
ESIMS (positive) m/z 432.09, (M+H) (F.W = 431.32 for C24H15Cl2N4)
HPLC 移動相:30−80%アセトニトリル−水(0.1%トリフルオロ酢酸) ピーク保持時間:8.8分
ESIMS (positive) m/z 432.09, (M+H) (F.W = 431.32 for C24H15Cl2N4)
2,5−ビス−tert−ブチルオキシカルボニルメチル−2,5−ジアゾ[6]−(5’,5’)−シクロ−2,9−ジ−(2’−ピリジル)−1,10−フェナントロリノファン (23)
アルゴン気流中、化合物(22)(0.71g;1.64mmol)をエチルメチルケトン(100mL)に溶解し、反応溶液にN,N’−ジ−tert−ブチルオキシカルボニルメチル−1,2−エチレンジアミン(0.81g;4.92mmol)、ヨウ化カリウム(0.82g;4.92mmol)および炭酸ナトリウム(0.87g;8.2mmol)を加えた。反応混合物を110℃にて44時間攪拌還流した。反応混合物を室温まで冷却後、不溶物を除き、濾過後、減圧下濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマト(SiO2,200g)(クロロホルム/メタノール=20/1〜10/1)にて分離精製し、標記化合物(23)1.04g(収率:80%)を得た。
1H NMR (CDCl3)δ:1.53 (s, 18H), 2.91 (b.s, 4H), 3.52 (b.s, 4H), 4.10 (b.s, 4H), 7.34 (d, J = 7.5Hz, 2H), 7.57 (s, 2H), 7.61 (t, J = 7.5Hz, 2H), 8.17 (d, J = 8.5Hz, 2H), 8.74 (d, J = 8.5Hz, 2H), 8.80 (d, J = 8.5Hz, 2H)
HPLC 移動相:40−95%アセトニトリル−水(0.1%トリフルオロ酢酸) ピーク保持時間:12.2分
ESIMS (positive) m/z 647.1, (M+H) (F.W = 646.78 for C38H42N6O4)
HPLC 移動相:40−95%アセトニトリル−水(0.1%トリフルオロ酢酸) ピーク保持時間:12.2分
ESIMS (positive) m/z 647.1, (M+H) (F.W = 646.78 for C38H42N6O4)
2,5−ビス−カルボキシメチル−2,5−ジアゾ[6]−(5’,5’)−シクロ−2,9−ジ−(2’−ピリジル)−1,10−フェナントロリノファン (24)
アルゴン気流中、化合物(23)0.44gをジクロロメタン(3.5mL)に懸濁し、反応混合物にアニソール(0.4mL)およびトリフルオロ酢酸(1.5mL)を室温にて加えた。反応混合物を同温度で19時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮後、得られた残渣に1N塩酸を加えて酸性にした後、減圧下濃縮した。得られた残渣をHP−20SS(30mL)を用いて、10%,20%=アセトニトリル/水の溶出液で溶出した成分を集め、凍結乾燥し、標記化合物(24)を150mg得た。
1H NMR (DMSO−d6)δ:3.04 (s, 4H), 3.61 (s, 4H),4.08 (s, 4H), 7.23 (d, J = 7.5Hz, 2H), 7.47 (s, 2H), 7.66 (t, J = 7.5Hz, 2H), 8.09 (d, J = 8.5Hz, 2H), 8.35 (d, J = 8.5Hz, 2H), 8.46 (d, J = 7.5Hz, 2H)
HPLC 移動相:20−90%アセトニトリル−水(0.1% トリフルオロ酢酸) ピーク保持時間:5.3分
ESIMS (positive) m/z 535(M+H) (F.W = 534.57 for C30H26N6O4)
HPLC 移動相:20−90%アセトニトリル−水(0.1% トリフルオロ酢酸) ピーク保持時間:5.3分
ESIMS (positive) m/z 535(M+H) (F.W = 534.57 for C30H26N6O4)
2,5−ビス−tert−ブチルオキシカルボニルメチル−3−エトキシカルボニル−2,5−ジアゾ[6]−(5’,5’)−シクロ−2,9−ジ−(2’−ピリジル)−1,10−フェナントロリノファン (25)
アルゴン気流中、化合物(22)(30mg;70μmol)をエチルメチルケトン(8mL)に溶解し、反応溶液にジエチレンアミン誘導体(75.2mg;209μmol)、ヨウ化カリウム(34.6mg;0.209μmol)および炭酸ナトリウム(36.9mg;348μmol)を加えた。反応混合物を85℃にて21時間攪拌還流した。反応混合物を室温まで冷却後、クロロホルム(5mL)および水(5mL)を加え抽出した。さらに2回水(5mL)を加え抽出を行った.有機層を減圧下濃縮し粗製の標記化合物(25)を得た。この化合物は、精製することなく次の工程で使用した。
HPLC 移動相:0−90%アセトニトリル−水(0.1%トリフルオロ酢酸) ピーク保持時間:20分
(Waters社製 alliance2695:Colunm:TOSOH ODS-100V UV:254nm)
ESIMS (positive) m/z 719.4, (M+H) (F.W = 718.8 for C41H46N6O6 )
(Waters社製 LCTpremier: Column TOSOH ODS-100V)
(Waters社製 alliance2695:Colunm:TOSOH ODS-100V UV:254nm)
ESIMS (positive) m/z 719.4, (M+H) (F.W = 718.8 for C41H46N6O6 )
(Waters社製 LCTpremier: Column TOSOH ODS-100V)
2,5−ビス−カルボキシメチル−3−カルボキシ−2,5−ジアゾ[6]−(5’,5’)−シクロ−2,9−ジ−(2’−ピリジル)−1,10−フェナントロリノファン (26)
アルゴン気流中、化合物(25)(50.3mg)をジクロロメタン(2.1mL)に懸濁し、反応混合物にアニソール(0.172mL)およびトリフルオロ酢酸(0.046mL)を室温にて加えた。反応混合物を同温度で17時間攪拌した。反応混合物にクロロホルム(3mL),水(3mL)を加え抽出した。さらに3回12N塩酸(1mL)と水(1mL)を加え抽出を行った。得られた水層をカラムクロマト(LH-20/MeOH)にて分離し標記化合物(26)の水溶液を得た。
アルゴン気流中、化合物(22)(20mg;46μmol)をエチルメチルケトン(7mL)に溶解し、反応溶液にジエチレンアミン誘導体(52.4mg;139μmmol)、ヨウ化カリウム(23.1mg;139μmol)および炭酸カリウム(24.6mg;243μmol)を加えた。反応混合物を90℃にて19時間攪拌還流した。反応混合物を室温まで冷却後、クロロホルム(3mL),水(3mL)を加え抽出した。さらに2回水(3mL)を加え抽出を行った.有機層を減圧下濃縮し粗製の化合物(27)を得た。この化合物は,精製することなく次の工程で使用した。
HPLC 移動相:0−90%アセトニトリル−水(0.1%トリフルオロ酢酸) ピーク保持時間:19分
(Waters社製 alliance2695:Colunm:TOSOH ODS-100V UV:254nm)
ESIMS (positive) m/z , 735.3(M+H) (F.W = 734.8 for C40H42N6O8 )
(Waters社製 LCTpremier: Column TOSOH ODS-100V)
(Waters社製 alliance2695:Colunm:TOSOH ODS-100V UV:254nm)
ESIMS (positive) m/z , 735.3(M+H) (F.W = 734.8 for C40H42N6O8 )
(Waters社製 LCTpremier: Column TOSOH ODS-100V)
アルゴン気流中、化合物(27)(34.1mg)にメタノール(3mL)および12N塩酸(0.041mL)を加えた。反応混合物を85℃にて4時間攪拌還流した。反応混合物を室温まで冷却後、クロロホルム(3mL)および水(3mL)を加え抽出した。さらに3回水(1mL)を加え抽出を行った。得られた水層をカラムクロマト(LH-20/MeOH)にて分離し化合物(28)の水溶液を得た。
製造例1
1−メチル−1,10−フェナントロリニウム ヨウ化物 (1)
1−メチル−1,10−フェナントロリニウム ヨウ化物 (1)
アルゴン気流中、1,10−フェナントロリン(23g;127mmol)をニトロベンゼン(500mL)に溶解した。35℃でヨウ化メチル(45.29g;319mmol)を反応溶液に3.5時間かけて滴下した。更に35℃で反応溶液を24時間攪拌した。反応溶液を氷冷し、濾過を行い、得られた固体をニトロベンゼン、ベンゼンおよびエタノールで順次洗浄した後、減圧下乾燥して、標記化合物(1)36g(収率:88%)を得た。
1H NMR (DMSO−d6)δ:5.29 (s, 3H), 8.07 (d,d, J1 = 8Hz, J2 = 4.5Hz, 1H), 8.43 (d, J = 2.5Hz, 1H), 8.43 (q, J = 9Hz, 2H), 8.81 (d,d, J1 = 8.5Hz, J2 = 1.5Hz, 1H), 9.32〜9.60 ( m,3H)
製造例2
1−メチル−1,10−フェナントロリン−2(1H)−オン (2)
1−メチル−1,10−フェナントロリン−2(1H)−オン (2)
フェリシアン化カリウム(92.2g;280mmol)水溶液(1.12L)に、氷冷下(内温10〜15℃)攪拌しながら、化合物(1)(37.6g;117mmol)および水酸化ナトリウム(69.3g;1.73mol)水溶液(200mL)を交互に、20分間かけて加えた。反応混合物を室温で3時間攪拌し、析出した粗結晶を濾別し、乾燥した。得られた粗結晶をトルエン(1.1L)およびベンゼン(450mL)に溶解し、濾過することで不溶物を除去した。濾液を減圧下濃縮し、得られた残渣をイソプロピルエーテルおよび酢酸エチルで洗浄し、乾燥し、標記化合物(2)を23.7g(収率:75%)得た。
1H NMR (DMSO−d6)δ:4.22 (s, 3H), 6.84 (d, J = 9Hz, 1H), 7.69 (d,d, J1 = 8Hz, J2 = 2Hz, 1H), 7.77 (d, J =8Hz, 1H), 7.82 (d, J = 8.5Hz, 1H), 8.08 (d, J = 9.5Hz, 1H), 8.46 (d,d, J1 = 8Hz, J2 = 2Hz, 1H), 9.0 (d,d, J1 = 9.5Hz, J2 = 2Hz, 1H)
製造例3
2−クロロ−1,10−フェナントロリン (3)
2−クロロ−1,10−フェナントロリン (3)
アルゴン気流中、化合物(2)(8g;38mmol)に氷冷下、オキシ塩化リン(72mL)および五塩化リン(9.8g;4 7.6mmol)を加えた。反応溶液を8時間攪拌還流した後、減圧下過剰のオキシ塩化リンを除去した後、反応濃縮物に、氷水および濃アンモニア水を加え、反応混合物をアルカリ性にすることで粗結晶が析出した。粗結晶を濾取し、水洗した後、減圧下乾燥して、標記化合物(3)6.1g(収率:75%)を得た。
1H NMR (DMSO−d6)δ:7.80〜7.88 (m, 2H), 8.07 (s, 2H), 8.54(d, J =8.5Hz, 1H), 8.60 (d, J = 8.5Hz, 1H), 9.14 (d, J = 7Hz, 1H)
製造例4
9−クロロ−1−メチル−1,10フェナントロリニウム ハイドロジェンサルフェ−ト (4)
9−クロロ−1−メチル−1,10フェナントロリニウム ハイドロジェンサルフェ−ト (4)
アルゴン気流中、化合物(3)(5.2g;24.2mmol)にジメチル硫酸(22.1g;175mmol)を室温で10分間かけて加えた。反応温度を120℃に昇温して、反応溶液を1時間攪拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、反応溶液にジエチルエーテルを加え、析出した淡茶色の粗結晶を濾別した。粗結晶をジエチルエーテル/エタノール=1/1〜1/2の溶液で洗浄後、減圧下乾燥して、標記化合物(4)6.17gを得た。
1H NMR (DMSO−d6)δ:5.12 (s, 3H), 8.18 (d, J =8.5Hz, 1H), 8.40〜8.50 (m 3H), 8.88 (d, J = 9Hz, 1H), 9.42 (d, J = 9Hz, 1H), 9.60 (d, J = 7Hz, 1H)
製造例5
9−クロロ−1−メチル−1,10−フェナントロリン2(1H)−オン (5)
9−クロロ−1−メチル−1,10−フェナントロリン2(1H)−オン (5)
氷冷攪拌下、フェリシアン化カリウム(22.1g;673mmol)水溶液(200mL)に、化合物(4)(6.17g;26.9mmol)および水酸化ナトリウム(16.14g;404mmol)水溶液(110mL)を交互に20分間かけて加えた。同温度で反応混合物を攪拌し、更に室温で3.5時間攪拌した。析出した固体を濾別し、乾燥後メタノールに溶解し、活性炭処理を行った。濾液を減圧下濃縮して、標記化合物(5)を4.26g(化合物(3)より収率:72%)得た。
1H NMR (DMSO−d6)δ:4.35 (s, 3H), 6.87 (d, J = 9Hz, 1H), 7.76 (d, J = 8.5Hz, 1H), 7.83 (d, J = 8.5Hz, 1H), 7.89 (d, J = 8.5Hz, 1H), 8.09 (d, J = 9Hz, 1H), 8.54 (d, J = 9Hz,1H)
製造例6
2,9−ジクロロ−1,10−フェナントロリン (6)
2,9−ジクロロ−1,10−フェナントロリン (6)
アルゴン気流中、氷冷下にて、化合物(5)(4.26g;17.4mmol)にオキシ塩化リン(39mL)および五塩化リン(4.48g;21.8mmol)を加えた。反応溶液を7時間攪拌還流した。反応溶液を減圧下濃縮してオキシ塩化リンを除去し、残渣に氷水および濃アンモニア水を加えてアルカリ性にして、析出した固体を濾別し、水洗した後、減圧下乾燥を行い、標記化合物(6)4.06g(収率:94%)を得た。
1H NMR (DMSO−d6)δ:7.90 (d, J =8.5Hz, 1H), 8.12 (s, 2H), 8.63 (d, J = 8.5Hz, 1H)
HPLC 移動相:20−90%アセトニトリル−水(0.1%トリフルオロ酢酸) ピーク保持時間:13.2分
HPLC 移動相:20−90%アセトニトリル−水(0.1%トリフルオロ酢酸) ピーク保持時間:13.2分
製造例7
2−ブロモ−1,10−フェナントロリン (7)
2−ブロモ−1,10−フェナントロリン (7)
アルゴン気流中、化合物(2)(10g;47.6mmol)に五臭化リン(28g;65mmol)およびオキシ臭化リン(50g;174mmol)を室温にて加えた。反応温度を80℃に昇温後、反応溶液を6時間攪拌した。反応溶液を氷冷後、氷水に注ぎ、濃アンモニア水にてアルカリ性にした。反応混合物をクロロホルムで抽出し、有機層を水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマト(SiO2 250g)(トルエン/酢酸エチル=5/1〜3/1〜1/1〜酢酸エチル)にて精製し、標記化合物(7)6.9g(収率:94%)を得た。
1H NMR (CDCl3)δ:7.66 (d,d, J1 = 8Hz, J2 =4.5Hz, 1H), 7.76〜7.79 (m,2H), 7.83 (d, J = 8.5Hz, 1H), 8.08 (d, J = 8.5Hz, 1H), 8.26 (d,d, J1 = 8Hz, J2 = 2Hz, 1H), 9.24 (d, J1 = 4.5Hz, J2 = 2Hz, 1H)
HPLC 移動相:20−90%アセトニトリル−水(0.1%トリフルオロ酢酸) ピーク保持時間:4.2分
ESIMS (positive) m/z 260.9, 258.2 (M+H) (F.W = 259.1 for C12H7BrN2)
HPLC 移動相:20−90%アセトニトリル−水(0.1%トリフルオロ酢酸) ピーク保持時間:4.2分
ESIMS (positive) m/z 260.9, 258.2 (M+H) (F.W = 259.1 for C12H7BrN2)
製造例8
9−ブロモ−1−メチル−1,10−フェナントロリニウム ハイドロジェンサルフェ−ト (8)
9−ブロモ−1−メチル−1,10−フェナントロリニウム ハイドロジェンサルフェ−ト (8)
アルゴン気流中、化合物(7)(24.4g;94.2mmol)にジメチル硫酸(77g;610mmol)を氷冷下20分間かけて加えた。反応温度を120℃に昇温して、反応溶液を1時間攪拌した後、反応溶液に氷冷下、ジエチルエーテルを加え、析出した固体を濾別し、ジエチルエーテル/エタノール混合溶液(1/1〜1/2)にて洗浄し、減圧下乾燥して、標記化合物(8)33.6g(収率:96%)を得た。
1H NMR (DMSO−d6)δ:5.19 (s, 3H), 8.29 (d, J =8.5Hz, 1H), 8.43〜8.50 (m 3H), 8.77 (d, J = 8.5Hz, 1H), 9.44 (d, J = 8.5Hz, 1H), 9.64 (d, J = 6Hz, 1H)
HPLC 移動相:20−90%アセトニトリル−水(0.1%トリフルオロ酢酸) ピーク保持時間:5.2分
ESIMS (positive) m/z 274.9, 272.9 (M+H) (F.W = 274.14 for C13H10BrN2)
HPLC 移動相:20−90%アセトニトリル−水(0.1%トリフルオロ酢酸) ピーク保持時間:5.2分
ESIMS (positive) m/z 274.9, 272.9 (M+H) (F.W = 274.14 for C13H10BrN2)
製造例9
9−ブロモ−1−メチル−1,10−フェナントロリン−2(1H)−オン (9)
9−ブロモ−1−メチル−1,10−フェナントロリン−2(1H)−オン (9)
フェリシアン化カリウム(100g;303mmol)を含む水溶液(1.1L)に、氷冷下(内温4〜6℃)攪拌しながら、化合物(8)(42.7g;115mmo)および水酸化ナトリウム(76g;1.9mol)水溶液(110mL)を交互に、25分間かけて加えた。反応溶液を同温度にて1時間反応後、さらに室温で3.5時間攪拌した、析出した粗結晶を濾別し、水洗し、乾燥した。得られた粗結晶をシリカゲルカラムクロマト(SiO2 800g)(クロロホルム/メタノール=50/1〜30/1〜20/1)にて分離精製し、乾燥し、標記化合物(9)27.4g(収率:82%)得た。
1H NMR (CDCl3)δ:4.39 (s, 3H), 6.92 (d, J = 9.5Hz, 1H), 7.54 (d, J = 8.5Hz, 1H), 7.60 (d, J = 8.5Hz, 1H), 7.61 (d, J = 8.5Hz, 1H), 7.77 (d, J = 9.5Hz, 1H), 8.01 (d, J = 8.5Hz, 1H)
HPLC 移動相:20−90%アセトニトリル−水(0.1% トリフルオロ酢酸) ピーク保持時間:14.2分
ESIMS (positive) m/z 290.9, 288.2 (M+H) (F.W = 289.13 for C13H9BrN2O)
HPLC 移動相:20−90%アセトニトリル−水(0.1% トリフルオロ酢酸) ピーク保持時間:14.2分
ESIMS (positive) m/z 290.9, 288.2 (M+H) (F.W = 289.13 for C13H9BrN2O)
製造例10
2,9−ジブロモ−1,10−フェナントロリン (10)
2,9−ジブロモ−1,10−フェナントロリン (10)
アルゴン気流中、化合物(9)(8.4g;29.1mmol)に氷冷下、オキシ臭化リン(3 25g;174mmol)および五塩化リン(15.4g;35.8mmol)を加えた。反応温度を65〜75℃に昇温して、反応溶液を5.5時間攪拌した。反応溶液を氷冷した後、減圧濃縮して、過剰のオキシ臭化リンを除去し、反応濃縮液を氷水に注ぎ、濃アンモニア水にてアルカリ性にした。析出した固体を濾別しながら、水洗し、粗製の標記化合物(10) を得た。これを乾燥後、シリカゲルカラムクロマト(SiO2 300g)(CHCl3/メタノール=50/1〜40/1〜30/1)にて、分離精製し標記化合物(10)8g(収率:81%)を得た。
1H NMR (CDCl3)δ:8.02 (d, J =8.5Hz, 2H), 8.12 (s, 2H), 8.51 (d, J = 8.5Hz, 2H)
HPLC 移動相:20−90%アセトニトリル−水(0.1% トリフルオロ酢酸) ピーク保持時間:16分
ESIMS (positive) m/z 340.8, 338.8, 336.8 (M+H) (F.W = 338.00 for C12H6Br2N2)
HPLC 移動相:20−90%アセトニトリル−水(0.1% トリフルオロ酢酸) ピーク保持時間:16分
ESIMS (positive) m/z 340.8, 338.8, 336.8 (M+H) (F.W = 338.00 for C12H6Br2N2)
製造例11
2−ブロモ−6−((メトキシメチルオキシ)メチル)ピリジン (11)
2−ブロモ−6−((メトキシメチルオキシ)メチル)ピリジン (11)
アルゴン気流中、(6−ブロモピリジン−2−イル)メタノール(10g;53.2mmol)をジクロロメタン(50mL)に溶解した。氷冷下、反応溶液にジイソプロピルエチルアミン(9.6g;74.5mmol)およびクロロメチルメチルエーテル(5.35g;66.5mmol)を加え、更に反応溶液を室温で17時間攪拌した。反応溶液を氷水にあけ、クロロホルムで抽出し、有機層を水洗後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマト(SiO2,200g)(トルエン/酢酸エチル=10/1)にて、分離精製し、標記化合物(11)12.15g(収率:98%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ:3.42 (s, 3H),4.69 (s, 2H), 4.77 (s, 2H), 7.38〜7.44 (m, 2H),7.56 (t, J = 7.5Hz, 1H)
製造例12
2−((メトキシメチルオキシ)メチル)−6−(トリブチルスタンニル)ピリジン (12)
2−((メトキシメチルオキシ)メチル)−6−(トリブチルスタンニル)ピリジン (12)
アルゴン気流中、化合物(11)(24.7g;106mmol)を無水テトラヒドロフラン(270mL)に溶解し、−65〜−70℃で、反応溶液に1.54M n−ブチルリチウムヘキサン溶液を50分間かけて滴下し、同温で反応溶液を1時間攪拌した。反応溶液に塩化トリブチルすず40g(122mmol)のテトラヒドロフラン溶液(100mL)を30分間で滴下した。次第に反応溶液の温度を昇温(−20℃)しながら、同温度で20時間攪拌した。反応溶液に水(250mL)を加え、ジエチルエーテルで3回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧下濃縮し、粗製の標記化合物(12)58gを得た。この化合物は、精製することなく次の工程で使用した。
本発明のフェナントロリン化合物を配位子とする希土類金属錯体は、発光を利用する分析標識物質として有用である。
Claims (4)
- 下記式(I)で表される、希土類金属錯体。
式(I):
Mは、2価または3価の希土類金属イオンを示し、
R1およびR2は、同一または異なって、(1)水素原子、(2)ハロゲン原子、(3)水酸基、(4)シアノ基、(5)ニトロ基、(6)アミノ基、(7)C1−6アルキル基、(8)C3−8シクロアルキル基、(9)C2−6アルケニル基、(10)C2−6アルキニル基、(11)C1−6アルコキシ基、(12)C3−8シクロアルコキシ基、(13)C2−6アルケニルオキシ基、(14)C2−6アルキニルオキシ基、(15)C1−6アルキルチオ基、(16)C3−8シクロアルキルチオ基、(17)C2−6アルケニルチオ基、(18)C2−6アルキニルチオ基、(19)C1−6アルキルカルボニルオキシ基、(20)ホルミル基、(21)C1−6アルキルカルボニル基、(22)C1−6アルキルアミノ基、(23)ジC1−6アルキルアミノ基、(24)C1−6アルキルスルフィニル基、(25)C1−6アルキルスルホニル基、(26)C3−8シクロアルキルスルフィニル基、(27)C3−8シクロアルキルスルホニル基、(28)カルボキシル基、(29)C1−6アルキルオキシカルボニル基、(30)C6−14アリール基、(31)C7−20アラルキル基または(32)カルボキシルイオンを示し、
R3およびR4は、同一または異なって、(1)水素原子、(2)C1−6アルキル基、(3)C3−8シクロアルキル基、(4)C2−6アルケニル基、(5)C2−6アルキニル基、(6)C6−14アリール基、(7)C7−20アラルキル基または(8)陰電荷を示し、
X1およびX2は、同一または異なって、下記構造
Yは陰イオンまたは非存在を示す。] - R3およびR4が、水素原子または陰電荷である、請求項1に記載の希土類金属錯体。
- 希土類金属が、ユーロピウムである、請求項1に記載の希土類金属錯体。
- 請求項1に記載の希土類金属錯体を含む蛍光ラベル剤。
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