JP2014508022A - 超音波トランスデューサアレイに対して高い熱伝導性を持つ複合音響支持体 - Google Patents

超音波トランスデューサアレイに対して高い熱伝導性を持つ複合音響支持体 Download PDF

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Abstract

超音波プローブの超音波トランスデューサアレイスタックに関する支持ブロックが、音響緩衝物質の構造が埋め込まれる高い熱伝導性の物質の複合構造として形成される。構築された実施形態において、複合構造は、音響緩衝物質で充填される複数の円筒状穴が形成される熱伝導性黒鉛のブロックから形成される。穴は、トランスデューサスタックの後部から、Z軸方向に対して角度をつけられる。その結果、その方向に進行する反響エネルギーが、音響緩衝物質に遭遇する。穴周りの黒鉛は、プローブの後部に対して、並びにトランスデューサスタック及びそのASICから離れて、熱を伝導するのに有効である。

Description

本発明は、医療診断超音波システムに関し、より詳細には超音波トランスデューサアレイに関する支持体物質に関する。
2次元アレイトランスデューサは、3次元においてスキャンを行う超音波撮像において用いられる。2次元アレイは、方位角及び上昇方向の両方においてトランスデューサ要素の多数の行及び列を持つ。これは、プローブ及びメインフレーム超音波システムの間の信号を結合する大きな数のケーブル導体を必要とする。プローブケーブルにおける信号導体の数を最小化するための好ましい技術は、マイクロビーム形成器ASIC(特定用途集積回路)においてプローブにおけるビーム形成の少なくともいくつかを実行することである。この技術は、比較的少数の部分的にビーム形成された信号が、メインフレーム超音波システムに結合されることだけを必要とし、これにより、ケーブルにおいて必要とされる信号導体の数が減らされる。しかしながら、多数の信号接続が、2次元アレイ及びマイクロビーム形成器ASICの間で作られなければならない。これらの接続を作る効率的な態様は、フリップチップ相互接続を持つようトランスデューサアレイ及びASICを設計することである。これにより、トランスデューサアレイの導電性パッドが、ASICの対応する導電性パッドに対して直接バンプボンディングされる。
しかしながら、マイクロビーム形成器ASICの高密度電子回路は、その小さなICパッケージにおいてかなりの熱量を生成する可能性がある。この熱は、発散されなければならない。この熱が流れることができる2つの主方向が存在する。1つの方向は、プローブの患者接触端部でレンズの方へ音響スタックをフォワードスルーするものである。熱伝導性は、トランスデューサスタックにおける電気的導電要素によりこの方向において支援される。このフォワード経路は、熱フローに対して相対的に低い抵抗を示す。レンズにおける熱の集積は、送電電圧及び/又はパルス反復周波数を減らすことにより防止されなければならない。これは、プローブ性能に悪影響を与える。
好ましい熱伝導方向は、後部に向かう、レンズから離れる、及びプローブの背後のヒートスプレッダ(通常はアルミニウム)に向かうものである。しかし一般にトランスデューサスタック、アレイ要素及びマイクロビーム形成器ASICの後ろに配置されるのは、音響支持ブロックである。音響支持ブロックの目的は、音響スタックの後部から放射する超音波エネルギーを減衰させ、及びこのエネルギーが音響スタックの方へ反射される反射を引き起こすのを防止することである。音響支持ブロックは一般に、例えばマイクロバルーン又は他の防音材粒子が載せられたエポキシといった良好な音響減衰特性を持つ物質でできている。しかしながら、斯かる物質は通常、劣った熱伝導性を持つ。従って、ブロックに入る音響エネルギーの良好な音響減衰を示し、プローブの後部に向かって及びレンズから離れて良好な熱伝導性を示し、必要に応じて音響スタックを支持することができる良い構造安定性を示し、プローブの他の導電性要素からマイクロビーム形成器ASICの適切な電気絶縁性を示す、超音波プローブに関する音響支持ブロックを提供することが望ましい。
本発明の原理によれば、超音波トランスデューサアレイスタックに関する支持ブロックが、内部音響減衰部材を持つ高い熱伝導性の物質の行列で形成される。熱伝導性物質に関する好ましい物質は、高い熱伝導性を示す黒鉛である。黒鉛は、トランスデューサアレイスタックを支持するため、機械的な安定性を持つ剛性ブロックへと形成されることができる。音響減衰物質で充填される黒鉛ブロックにおいて穴を穿設することにより形成されることができる内部音響減衰部材は好ましくは、トランスデューサアレイスタックの後部面に垂直に進行する音響波が、音響減衰部材に遭遇し、及び音響的に減衰されなければならないよう、配置される。電気的単離層は、必要に応じて支持ブロックの上部又は底部に配置されることができる。
本発明の原理に基づき構築される熱伝導支持ブロックを持つ音響スタックを示す図である。 レンズカバーを持つトランスデューサプローブにおいて組立てられるときの図1の音響スタックを示す図である。 本発明の原理に基づき構築される熱伝導支持ブロックの透視図である。 本発明の原理に基づき構築される熱伝導支持ブロックの平面図である。 本発明の原理に基づき構築される熱伝導支持ブロックの側面断面図である。
図1を最初に参照すると、本発明の原理に基づき構築される熱伝導支持ブロックを持つ音響スタック100が、概略的に示される。PZTといった圧電層110及びこの圧電層に結合される2つの整合層が、個別のトランスデューサ要素175のアレイ170を形成するためにダイシングカット75によりダイシングされる。これのうちの4つが、図1に見られる。アレイ170は、単一の行のトランスデューサ要素(1Dアレイ)を有することができるか、又はトランスデューサ要素の2次元(2D)行列アレイを形成するため、2つの直交する方向においてダイシングされることができる。整合層は、一般に累進的な整合層におけるステップにおいて、診断される体の音響インピーダンスに圧電材料の音響インピーダンスを整合させる。この例において、第1の整合層120は、電気導電黒鉛複合体として形成され、第2の整合層130は、電気導電粒子が載せられたポリマーで形成される。接地平面180は、第2の整合層の上部に結合され、及び低密度ポリエチレン(LDPE)140の膜150上に導電層として形成される。接地平面は、電気導電整合層を通りトランスデューサ要素に電気的に結合され、フレックス回路185のグラウンド導電体に接続される。LDPE膜150は、スタックの3番目及び最終的な整合層140を形成する。
トランスデューサ要素の下には、集積回路160であるASICが存在する。これは、トランスデューサ要素175に関する送信信号を提供し、この要素から信号を受信しこれを処理する。集積回路160の上部表面にある導電性パッドは、スタッドバンプ190によりトランスデューサ要素の底部にある導電性パッドに電気的に結合される。これは、はんだ又は導電性エポキシで形成されることができる。信号は、フレックス回路185への接続により集積回路160へ/から提供される。集積回路160の下に、トランスデューサスタックの底部から放射する音響エネルギーを減衰させる支持ブロック165がある。本発明の原理によれば、この支持ブロックも、集積回路及びトランスデューサスタックから離れて、及びトランスデューサプローブの患者接触端部から離れて、集積回路により生成される熱を伝導する。
図2は、トランスデューサプローブ内部で組立てられるときの図1のトランスデューサスタック・アセンブリを示す。図2のプローブにおいて、第3の整合層140は、音響レンズ230に結合される。超音波は、レンズ230を通り、撮像の間、患者の体へと送信され、これらの波に対して受信されるエコーは、レンズ230を通りトランスデューサスタックにより受信される。LDPE膜150は、本実施形態においてトランスデューサスタックを囲むよう機能する。なぜなら、それがスタック周りで包まれ、エポキシボンディング210によりプローブ筐体220に結合されるからである。この構造の追加的な詳細は、米国特許出願公開第2010/0168581号(Knowlesその他)において見つけ出される。
支持ブロック165に関する好ましい実現が、残りの図面に示される。好ましい支持ブロック165は、黒鉛20のブロックで始まる。他の代替案は、例えば良い機械処理適性及び好ましい熱特性を提供するニッケル又は銅といった金属が載せられた黒鉛を含む。黒鉛ブロック20が、複数の性能目的を満たす複合支持構造体を形成するために用いられる。第1に、支持構造体は、良好なZ軸熱伝導性を持たなければならない。黒鉛は、良好な熱伝導性を持ち、Tcは、0℃〜100℃で80〜240
Figure 2014508022
である。結晶層に平行な伝導に関して、Tcは、300
Figure 2014508022
で1950
Figure 2014508022
に接近するであろう。Z軸方向は、トランスデューサスタック100及び集積回路160の背後の方向で、これらから離れる方向である。こうして、Z軸方向における熱フローに関して黒鉛ブロック20の結晶層を整列配置することが望ましい。他の実現において、横方向に、又は、横方向及びZ軸方向の両方において、好ましく熱を伝導することが望ましい場合がある。この場合、異なる方向の水晶整列が望まれるか、又は整列方向が設計にとって重要でなくなる場合がある。熱の一部を発散させるためにアルミニウムが用いられるとき(これは、プローブ筐体内部のアルミニウムヒートスプレッダ又はアルミニウムフレームを用いて行われることができる)、支持ブロックの熱伝導性が、アルミニウムの熱伝導性に匹敵するか又はこれより良好であることが望ましい。その結果、熱は、好ましい態様でアルミニウムに流れる。アルミニウムは、室温で、237
Figure 2014508022
に匹敵するTcを持つ。そこで、この性能目標は、黒鉛ブロック20により十分満たされる。
第2の目的は、支持ブロックが、音響スタック100及び集積回路160に関する構造的支持体を提供するということである。黒鉛ブロックは、構造的に頑丈である。従って、この目的が達成される。
第3の目的は、プローブのアルミニウム部材又はフレームから集積回路160の電気絶縁を提供することである。黒鉛は、電気導電であり、非導電性絶縁被覆で支持ブロックを被覆することにより、この目的を満たすことができる。いくつかの実現において、トランスデューサスタックと接触するブロックの側面だけを被覆することが望ましい場合がある。他の実現において、支持ブロックの複数の側面を被覆することが望ましい場合がある。例えば、横方向の音響反響を抑制する追加的な利益を提供する絶縁音響減衰物質でブロックの横方向の側面を被覆することが望ましい場合がある。
第4の目的は、支持ブロックが、ブロックに入る音響エネルギーを緩衝させなければならないということである。黒鉛は、音響エネルギーの良好な導体であり、ごくわずかな固有の音響減衰しか提供しない。この目的は、図3、4及び5に示されるように、内部音響緩衝部材の複合構造に関する枠組みとして黒鉛ブロックを使用することにより満たされる。これらの図面において、黒鉛は、ブロックの内部複合構造の説明の明確さのため半透明にレンダリングされる。緩衝部材は、支持ブロックにおける支持体物質の複数の角度をつけられたシリンダー30として形成される。シリンダー30は、黒鉛ブロック20へと切断又は穿設され、その後、例えばマイクロバルーン又は他の音響減衰粒子で充填されたエポキシといった音響緩衝物質で充填される。図4の支持ブロックの平面図が示すように、シリンダー30の上部は、集積回路の背部に対して音響緩衝物質の大きな領域を提供する。こうして、集積回路及び音響スタックの背部から放射する望ましくない相当な量の音響エネルギーが、緩衝物質へと直ちに進む。図3に見られるように、及び図5の断面図において最も良く示されるように、シリンダーに角度をつけることは、Z軸方向において進行する音響エネルギーが、進行の経路におけるいくつかのポイントで緩衝物質と交差しなければならないことを確実にする。好ましくは、完全に黒鉛で形成されるZ軸方向における経路は存在しない。シリンダーに角度をつけることは、集積回路に戻るエネルギーの反射を助長せず、集積回路から下方に離れる散乱角度を提供する。実際には、例えば経路の95%をブロックすることにより、大部分のZ軸経路をブロックすれば十分である。こうして、シリンダーに角度をつけることは、Z軸方向のエネルギーの全て又は実質的に全ての減衰を確実にする。
しかしながら、熱は、シリンダー30の間の黒鉛を通る連続的な経路を見つける。熱は、高い温度領域から低い温度領域へと(より大きな熱密度から小さな熱密度へと)流れるので、熱は集積回路160及び音響スタック100から支持ブロック165の下の構造へと流れることになる。支持ブロックにおいて、熱は安全に発散させられることができる。
例えばアルミニウム、黒鉛発泡又は窒化アルミニウムといった他の物質が、支持ブロックの熱伝導性物質に関して用いられることができる。緩衝物質で充填される穴のパターン、サイズ及び間隔は、性能及び製造容易性に関して変化及び最適化されることもできる。穿孔が円形穴を生成する間、矩形又は三角といった他の穴形が代替的に用いられることができる。例えば集積回路といったプローブの他の要素から電気導電支持ブロックを電気的に絶縁することが要求される又は必要である場合、例えばパリレン、窒化アルミニウム又はポリイミドといった非導電性物質の層が、支持ブロックの1つ又は複数の外部表面に加えられるか、又はブロック内部に構築されることができる。集積回路及び音響スタックの方に戻る音響エネルギーを反射するブロックの上部及び底部表面と平行なフラット表面がない限り、円筒状角度付き穴に配置されない緩衝物質の横方向の複合構造が、代替的に用いられることができる。

Claims (15)

  1. 超音波トランスデューサアレイアセンブリであって、
    超音波の送信に関する望ましい前方方向と、望ましくない後方の超音波放出方向とを持つトランスデューサ要素のアレイと、
    前記トランスデューサ要素のアレイの後方に配置される複合支持ブロックであって、少なくとも黒鉛の熱伝導性と同程度の熱伝導性を持つ物質で形成される、複合支持ブロックと、
    前記複合支持ブロックに配置される音響緩衝物質の複合構造とを有し、
    前記後方方向における超音波放出が、前記音響緩衝物質と交差し、熱は、前記支持ブロック物質により前記トランスデューサ要素のアレイから離れて伝導される、超音波トランスデューサアレイアセンブリ。
  2. 熱が、前記支持ブロック物質により金属構造に伝導される、請求項1に記載の超音波トランスデューサアレイアセンブリ。
  3. 前記複合構造が更に、音響緩衝物質で充填される前記支持ブロックにおける複数の穴を有する、請求項1に記載の超音波トランスデューサアレイアセンブリ。
  4. 前記穴が更に、前記複合支持ブロックにおいて形成され、及び前記支持ブロックの上部表面から前記支持ブロックの底部表面まで延在する複数の円筒状穴を有し、
    前記上部表面の穴における前記音響緩衝物質が、前記上部表面の領域の大部分を含む、請求項3に記載の超音波トランスデューサアレイアセンブリ。
  5. 前記穴が、前記後方方向に対して平行でない角度で角度をつけられる、請求項3に記載の超音波トランスデューサアレイアセンブリ。
  6. 前記穴が、前記後方方向に進行する音響エネルギーが前記トランスデューサ要素のアレイから離れて散乱されることをもたらす角度で角度をつけられる、請求項5に記載の超音波トランスデューサアレイアセンブリ。
  7. 前記支持ブロック物質が、黒鉛、アルミニウム、黒鉛発泡又は窒化アルミニウムのいずれかである、請求項1に記載の超音波トランスデューサアレイアセンブリ。
  8. 前記複合支持ブロックの表面が、非導電性物質の層で被覆される、請求項1に記載の超音波トランスデューサアレイアセンブリ。
  9. 前記非導電性物質の層が更に、音響減衰物質を有する、請求項8に記載の超音波トランスデューサアレイアセンブリ。
  10. 前記トランスデューサ要素のアレイの後部に電気的に結合される集積回路を更に有し、
    前記複合支持ブロックが、前記集積回路と熱伝導接触する、請求項1に記載の超音波トランスデューサアレイアセンブリ。
  11. 前記トランスデューサ要素のアレイが更に、トランスデューサ要素の2Dアレイを有し、前記複合支持ブロックの表面は、前記集積回路の表面と接触する、請求項10に記載の超音波トランスデューサアレイアセンブリ。
  12. 前記支持ブロックが、アルミニウムヒートスプレッダに熱を伝導し、前記複合支持ブロック物質は、アルミニウムの熱伝導性に匹敵する又はこれより良好な熱伝導性を示す、請求項1に記載の超音波トランスデューサアレイアセンブリ。
  13. 前記複合支持ブロック物質が、黒鉛であり、前記黒鉛支持ブロック物質は、超音波プローブ内部で金属部材に熱的に結合される、請求項1に記載の超音波トランスデューサアレイアセンブリ。
  14. 前記複合支持ブロックが更に、前記トランスデューサ要素のアレイを有する音響スタックに関する構造的支持体を提供する、請求項1に記載の超音波トランスデューサアレイアセンブリ。
  15. 前記音響スタックが更に、集積回路を有し、前記複合支持ブロックは、前記音響スタックから離れて、前記集積回路により生成される熱を伝導するよう作用する、請求項14に記載の超音波トランスデューサアレイアセンブリ。
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