JP2014502510A5 - - Google Patents

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分子核酸ベースの技法を使用する細胞の生存性を判断するための改善された方法
関連出願への相互参照
本願は、2010年12月31日に出願された米国仮出願第61/428,892号に対する優先権を主張し、当該仮出願は参照によりここに組み込まれる。
本発明は、分子検出において、生細胞および死細胞を含む混合物から死細胞のDNAを選択的に除外するための方法に関し、特に、菌血症、真菌血症、ウイルス血症および他のタイプの寄生虫の試料内の生存可能な微生物細胞との相関関係のための、直接的なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技法を血液および他の体液において実行するための改善された方法に関する。本発明によりもたらされる改善された方法は、敗血症の診断に特に有益である。
敗血症の診断においては、結果を得るまでの時間(TTR:time to result)が、患者の生存を決定するための最重要事項である。現在、血液培養がゴールドスタンダードであるが、それは陽性判定が出るまで比較的時間がかかり、後に行う識別のために15時間の妥当な平均時間(3時間から5日が一般的な範囲)で生存可能な微生物を生成し、その後、微生物の特定にあたり通常、解析のためにもう1日から2日が加わり得る。PCRのような分子方法は、微生物の特定のために大幅に改善されたTTRを供するが、試料調製中に、生存微生物細胞の選択性が不十分なことに主に起因する、特異性欠如の問題がある。従来型の血液に行う敗血症PCR試験は慣例的にPCR阻害因子を除去するために高コストのDNA単離が必要であるが、分離はまた、死んだ微生物細胞のDNAが含まれること、およびDNA単離手順中の試料処理に依存する損失が主な原因として、ゴールドスタンダードの血液培養と比較して、偽陽性および感度の損失を引き起こす。
従前、敗血症の血液試料のPCR調製は常に、長い間周知の、Taqポリメラーゼの血液由来PCR阻害因子を除去すべく、DNAを血液および血液製剤から分離してきた(以下に引用するKloucheおよびSchroderの記事を参照)。最近、この阻害を克服する試みとして、いくつかのグループが、これらのポリメラーゼに対する血液製剤の阻害影響を低減することをもくろみ、熱安定性ポリメラーゼ(例えば、周知の「omni taq」および「Phusion」技法)の改良に加え、PCR強化混合物を開発した(JMD、2010;12(2)、ページ152~161を参照)。しかしながら、これら両方のアプローチが持つ制約は、低許容量の血液に起因する感度の欠如、または分離システムに関連する高コストおよび試料損失および高度な複雑さの問題に依然悩まされている。さらに、DNA分離システムはしばしば、死細胞からの無細胞DNAを含み、それは、交絡偽陽性を発生させる影響を持ち得る。
Klouche,M.およびSchroder,Uは、2008年半ばにClin.Chem.Labで発行された「Rapid methods for diagnosis of bloodstream infections」というタイトルの記事(46(7)、ページ888~908)の中で、患者の血液中の微生物病原体に関する直接的な核酸ベースの検出および特定は、血流感染の迅速な診断のための有望なツールとなり得ることを開示している。しかしながら、この記事によると、血流感染のルーチンの精密検査のために、広範な分子手法により循環する細菌の核酸または真菌の核酸を検出する意義は、現在では明らかではない。血流感染における分子診断適用の品質および再現性の改善に対する有望な課題として、細菌の核酸の選択的な濃縮手順、余分なヒトDNAの遮断または除去方法、および微生物安全性解析からの経験において示されるような臨床的に関連する調査結果を区別するための生存性マーカーの使用が挙げられる。現在は費用がかかり技術的な要求の多い技術にもかかわらず、疾病向けのマルチプレックスPCR、病原体マイクロアレイおよびプロテオームプロファイリングが、感染症診断のための重要な迅速かつ高スループットの診断手段として発展する可能性を有している。現在、次の3つの主要な考慮事項により、血流感染のルーチン診断における分子法の独自の適用が阻害されている。それは、(1)外部コンタミネーションの高リスク、感染後の核酸の長期の持続性、および一過性菌血症、(2)臨床的に関連はあるが低い細菌負荷および特定のバクテリアおよび菌類の検出に対する限定的な解析感度、(3)分子およびプロテオミクス試験によるルーチンの抗菌薬感受性試験の欠如、に起因するNAT結果の解釈の難しさである。
生細胞および死細胞の区別は、微生物診断における重要な課題である。代謝活性および増殖能、および病原微生物の場合においては潜在的な健康リスクは、混合された微生物母集団の生きている画分に限定される。従来技術では、蛍光染色液を使用するフローサイトメトリーにおいて、次の4つの生理的状態が使用され区別される。すなわち、増殖可能な生存細胞、代謝的に活性な細胞、無傷の細胞、および透過性細胞である。条件によって、透過性細胞を除くすべての状態が蘇生時に修復の可能性を有し得、故に潜在的に生きていると考える必要がある。細胞の死後、数日から3週間にわたるDNAの比較的長い持続性に起因し、DNAベースの診断は、生細胞の数を過大に見積もる傾向がある。試料から抽出されたDNAは、死んだ透過性細胞を含む、上記4つの生理的状態のいずれかにおける細胞に由来する可能性がある。しかしながら、後者である死んだ透過性細胞の検出は望ましくない。生存細胞と、不可逆的に損傷された細胞との間を区別するための最も重要な基準は、膜の完全性である。膜が損傷した細胞に由来するノイズを選別することは、代謝活性および健康上のリスクを細菌集団のうちの無傷で生存可能な画分に帰することに役立つ。無傷な膜を持つ生細胞は、死細胞または膜が損傷した細胞に容易に浸透するDNA結合色素を除去するそれらの能力により区別されてきた。
最近、EMA‐PCRが、生細胞と死細胞との間を区別する微視的またはフローサイトメトリーの解析に代わる使いやすい代替手段として報告された。このDNAベースの診断方法は、生死を区別する染料の使用と、リアルタイムPCRの速度および感度とを組み合わせる。エチジウムモノアザイド(EMA)は、明るい可視光(最大吸収波長460nm)に露光されると、この化学物質とDNAとの共有結合を可能にするアジド基を有する、DNA‐インターカレート染料であるが、これがこの点において使用されてきた。細胞がEMAに5分間さらされると、当該染料が、損傷した細胞壁/膜を持つ死細胞に浸透し、それらのDNAに結合することが可能となる。明るい可視光を用いたEMAの光分解は、DNAおよび他の分子と共有結合を形成することができるナイトレン(nitrene)を生成する。
光誘起架橋が、死細胞由来のDNAのPCR増幅を阻害すると報告されている。DNAへのEMA架橋が実際にDNAを不溶性とし、ゲノムDNA抽出中において、細胞残屑とともに失われることが最近示された。溶液中に遊離したままの未結合のEMAは、水分子と反応することによって同時に不活性化され得る。結果的に生ずるヒドロキシルアミンは、もはやDNAに共有結合できない。生存可能な細胞からのDNAは、露光前に、無傷の細胞膜/細胞壁によって反応性EMAから保護され、従って、細胞溶解後に不活性化されたEMAによる影響を受けない。従って、生存可能な細胞および死細胞の混合物から構成される細菌培養のEMA処理は故に、死細胞からのDNAの選択的な除去をもたらす。試験された種は、大腸菌O157:H7、ネズミチフス菌、リステリア菌およびカンピロバクタージェジュニ菌であった。しかしながら、これらの研究では、死細胞からのDNAの選択的損失については調査しなかった。
この技法は有望ではあるが、DNA抽出の前にEMAを使用することは、大きな欠点があることがわかっている。場合によって、当該処理はまた、対数増殖期において採取された生存細胞のゲノムDNAの約60%の損失をもたらした。EMAが他の細菌種の生存細胞にも容易に浸透し、部分的なDNA損失をもたらすことも観測された。この選択性の欠如および全体的な適用可能性の欠如が、新たに開発された代替的な化学薬品、プロピジウムモノアジド(PMA)の試験につながった。Nockerその他による、2007年9月7日に公開された特許出願、国際公開第WO/2007/100762号において、生細胞および死細胞の規定された画分を持つ細菌培養から死細胞のゲノムDNAを検出することを、選択的に除くためのPMAの適格性が開示されている。PMAは、アジド基が追加で存在することにより、露光時にDNAへの架橋を可能にする点を除けば、ヨウ化プロピジウム(PI)と同一である。PIは、混合母集団における死細胞を識別すべく、拡張的に使用されてきた。PMA分子の電荷がより高いこと(EMAの場合の1つのみの正電荷と比較して、2つの正電荷)、およびPIを用いた非生存細胞の選択的染色が様々な細胞タイプに対し成功裏に行われてきたことにより、当業者は、PMAの使用はEMAにみられる欠点を低減する可能性があると考えるに至った。この公開特許公報では、PMA濃度およびインキュベーション時間は、これらのパラメータを異なる細菌種の広域スペクトラムの研究に適用する前に、1のグラム陽性生物および1のグラム陰性生物を用いて最適化された。称されるところによれば、当該開示された方法は、分子診断を無傷の細胞膜を持つ微生物群の部分に限定するとのことである。これは、無傷の細胞および膜が損傷した細胞から成る混合物を、フェナントリジウム誘導体にさらすことによって実現される。開示された好ましい実施形態において、PCRは混合物からのゲノムDNAをテンプレートとして使用して実行される。
また、2008年7月3日に公開された、Lorenzによる米国特許出願の公開特許公報第2008/0160528号は、ヌクレアーゼ、特に、1または複数のカオトロピック剤および/または1または複数の界面活性剤の存在下で、核酸を分解するための、DNAを分解するヌクレアーゼの使用を開示する。この特許出願はさらに、DNAおよびRNAから成る混合物からRNAを精製するための方法に加え、そのような方法を実行するためのキットを開示している。また、高等真核細胞をさらに備える、混合試料において提供される微生物細胞から核酸を特異的に分離するための方法に加え、そのような方法を実行するためのキットが開示されている。
2001年10月18日に公開された、Rudiその他による別の特許出願である国際公開第WO/2001/077379号は、試料中の細胞を検出する方法および試料内の細胞母集団に関する定量的情報を取得するための方法を開示する。特に、試料内の生細胞および死細胞間の区別のための方法が開示されている。当該方法は、試料を試料内の死細胞の核酸を修飾する生存性プローブに接触させる段階、および試料内の細胞から核酸を検出する段階を備える。また、試料内の細胞を検出する方法も開示されており、当該方法は、(a)試料を、試料内の死細胞の核酸に標識を付ける生存性プローブに接触させる段階と、(b)細胞からの核酸を、標識された画分と標識されていない画分とに分離する段階と、(c)当該画分のうちの1または両方において核酸を検出する段階と、を備える。
上記の背景技術に照らし、パラダイムシフトは、分子核酸ベースの解析技法の前(例えば、PCRセットアップ前)に、生きている微生物細胞のDNAと死んでいる微生物細胞のDNAを効果的に区別し、また、例えばPCR阻害因子を除去および標的DNAを濃縮するよう設計された従来の単離法のコストがかさむマイナス効果を回避する方法を開発することになるであろうことがわかる。驚くべきことに、本発明の一実施形態の実施によると、後の微生物細胞溶解およびPCRと併せて、選択的な血球溶解、洗浄、(および/または)DNaseを組み合わせて採用することで、PCRは血液由来の生存可能な微生物細胞と相関付けることが示された。
故に、上記の従来の方法とは対照的に、本発明は、高コストのDNA単離および試料調製を飛躍的に簡素化すること、およびDNAを分離するのではなく、死んだ微生物のDNAおよび細胞を素早く分離した後、迅速かつ簡便に直接分析を粗製微生物ライセートに対し行うことによって、PCRを含めた分子核酸ベースの技法の潜在的なTTRの利点を実現し、生存可能な微生物細胞の選択的な濃縮をもたらすことを目指す。これは特に、敗血症の診断において予想外に有益であり、以下の本発明の好ましい実施形態により達成される。
I.交絡する死んだ微生物細胞のDNAを除去した後の、コンタミネーションのないPCR陽性結果は生存細胞が存在することを示し、そうであるからPCR結果は、生存する敗血症微生物の存在、すなわち、血液微生物PCR=生存する敗血症微生物を示すであろう。
II.周知の通り、血液内の死んだ微生物細胞は、血液培養において増殖できないので、単一の血液培養ボトルからの微生物特異的PCRシグナルの著しい増大を測定する任意の2または2より多い時点は、生存微生物を測定しているにちがいない。
III.化学的変性剤(カオトロープ:界面活性剤、pH、塩、アルコール並びにアミン含有化合物といった有機化合物ベースの双極子モーメントを介するディファレンシャルサルベーション(differentail salvation)、およびヌクレアーゼやプロテイナーゼ等の酵素)と洗浄とを単純に組み合わせることによって、血液からPCR阻害因子が除去することができ、それによりDNA単離を回避し、微生物ライセート‐ダイレクトPCRを可能とする。
IV.血液および血液培養に存在する、生きている微生物/死んだ微生物の割合は故に、治療の有効性および治療の効果の試験の評価基準として使用可能である。
従って、本発明の目的は、分子検出において、生細胞および死細胞を含む混合物から死細胞のDNAを選択的に除去するための改善された方法を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、分子核酸ベースの解析またはPCRのセットアップの前に、生きている微生物細胞のDNAと死んだ微生物細胞のDNAを効果的に区別し、かつ、PCR阻害因子の除去と標的DNAの濃縮をするべく設計されたもののような従来の単離法の、コストがかさむマイナス効果を回避する改善された方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、例えば、後の微生物細胞溶解およびPCRと併せて、選択的な血球溶解、洗浄(および/または)DNaseの組み合わせを採用することにより、PCRおよび他の分子解析技法の結果を、血液由来の生存可能な微生物細胞の存在と相関付ける方法を提供することにある。
本発明のさらなる別の目的は、菌血症および真菌血症の試料内の生存可能な微生物細胞との相関付けのために、ダイレクトPCR技法を血液および他の体液において実施するための改善された方法を提供することにあり、本発明によりもたらされるそのような改善された方法は、敗血症の診断に特に有益である。
本発明のさらなる目的および利点は、以下の詳細な説明およびそれらの好ましい実施形態から明らかになるであろう。
フィルタ・ビーズミル・インサイチュ(filter−bead mill−in situ)微生物溶解およびDNAポリメラーゼ(PolMA)を介するアナライト解析、および定量的遺伝子特異的PCRを介するゲノムDNAを比較するために行われた実験結果を表形式で示す。 本発明によるライセート内の微生物の検出のための技法の例を略図形式で示す。 本発明により、トリプシンおよびDNaseを追加すると、2つの「難しい」臨床試料の処理中に観測される目詰まりを著しく減少することを可能にすることを示すフロー図を示す。
本発明が記載されるが、以下の実施例も本発明の実施形態の具体的な例示として、また明瞭な理解のために供されている。本明細書に記載の本発明の教示に照らせば、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、特定の変更および修正をそのように記載されたこれらの実施形態に加え得ることは当業者には容易に自明であろう。
カオトロピック剤は、カオトロピック試薬およびカオトロープとしても知られるが、それはタンパク質、DNA、またはRNAのような巨大分子の3次元構造を破壊し、それらを変性する物質である。カオトロピック剤は、水素結合、ファンデルワース力、および疎水性効果のような非共有結合力によって仲立ちされる分子間相互作用の安定化を妨げる。円偏光二色性のような手段によって検出される構造の特徴はしばしば、カオトロープ濃度依存的に滴定され得る。カオトロピック試薬には例えば、次のようなものが含まれる。
尿素6〜8mol/l。
塩化グアジニン6mol/l。
過塩素酸リチウム4.5mol/l。
変性(バイオケミストリー)。
また、高塩基性の塩は、電荷をシールドし、塩橋の安定化を妨げることにより、カオトロピック特性を有し得る。水素結合は非極性媒体においてより強く、よって、溶媒の双極子モーメントを増大させる塩はまた水素結合を不安定にし得る。
円偏光二色性のような手段によって検出される構造の特徴はしばしば、カオトロープ濃度依存的に滴定され得る。バイオケミストリーおよび分子生物学において歴史的に有用なカオトロピック試薬のいくつかの例としては、尿素6~8mol/l、塩化グアジニン6mol/l、過塩素酸リチウム4.5mol/l、アルコール、アミン(特に第4級アミン)、界面活性剤(特に非イオンの)、pH変化、ベタイン、プロリン、カルニチン、トレハロース、NP‐40等に加えBSAが含まれる。本発明によると、様々なカオトロープ(混合物若しくは複数の試薬または「カクテル」)の、効果的な配合組成の範囲および組み合わせの範囲の最適化のために、実験計画法(DoE)プロセスが使用された。すなわち、a)死細胞のサイズ(ろ過)および密度(遠心分離)に基づいて、死細胞が生細胞から容易に分離されるように、死細胞構造を変性させる。b)PCRおよび生細胞由来の内在性タンパク質のような下流の解析増幅アッセイと直接的に適合し、それらの測定可能な生化学的活性を維持する、結果として得られるカオトロープカクテルにさらされた生細胞分離溶液を生成する。判別の目安となるその差別的な膜の完全性に基づき、生細胞を死細胞から区別すべく、カオトロピックカクテルは効果的に最適化され、生存性相関解析のために、生細胞の内在性タンパク質の活性を維持する。
[試料調製]
選択的な血球溶解条件により、敗血症の血液培養試料内で検出されるもののような血液−微生物の混合物内の血球は、選択的にホモジナイズ(homogenize)される。ホモジナイゼーション(homogenization)は、所望されない血球の流体が供給側(所望の微生物細胞は保持される)からフィルタを通って、ろ液側へ通過することを可能とする(流体を生成するのに)十分なレベルで行われる必要があり、それにより効果的にこれら2つの母集団を分離する。これらの溶解条件において、微生物細胞を無傷のままにとどめることが可能であり、それにより、微生物細胞を保持することによる、ホモジナイズされた血球の迅速/高感度のフィルタベースの分離を可能にする。
本発明によると、差別的な血球溶解、およびそれらの結果として生ずる細胞残屑の十分なホモジナイゼーションを用いて、血球を流体レベルに低減し、差別的なろ過性を可能にする。その場合、フィルタは微生物を供給側で保持し、それにより後の滅菌流体解析のために無傷の微生物を分離する。孔径として当業者に既知のフィルタ孔径は直径0.45μm、0.22μm、0.1μmのサイズのものであれば十分であろう。しかしながら、微生物および差別的な細胞残屑サイズのろ過性により、これらの効果的な孔径は、0.1より小さくても、0.45より大きくてもよいだろう。所望の効果を達成すべく、条件には、界面活性剤、プロテイナーゼ、カオトロープ、変性剤およびヌクレアーゼの最適化された組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
微生物特異的フィルタ・インサイチュは本明細書において、物理的および生化学的細胞壁溶解方法を採用するものとして定義される一方で、微生物はフィルタの供給側で捕捉され、および/または後の微生物特異的なアナライトアッセイがインサイチュで適用される。さらに、本明細書において「インサイチュ」は、所望される微生物細胞を依然フィルタの供給側に保持したままで、所望されない妨害する細胞(すなわち、血球)を差別的に分離した後に行われる、溶解および/またはその後の解析を意味する。故に、捕捉された微生物は、フィルタを装填および洗浄するのに使用される残留供給フィルタ溶液で懸濁される可能性があることが予期される。これらの今分離された、フィルタに含まれる無傷の微生物を溶解するために用いられる当該複数の物理力は、本技術分野の当業者に周知であり、酵素による細胞壁消化に限定されない。さらに本発明によると、すべての微生物のフィルタ・インサイチュの超音波処理には、分離された微生物が含まれるフィルタ側の表面張力によって保持される残液に接触する直接プローブによるものや、代替として、微生物から見てフィルタの反対側に接触し、その溶菌エネルギーを、固体フィルタ材を介するのではなく、孔を介して伝達させる音波プローブによるものがある。また、驚くべきことに、細菌および酵母に対する微生物溶解のためのフィルタ・ビーズミル・インサイチュの効果は、密閉マイクロチューブ内においても発揮されることが判明した。理由は、血液中にスパイクされた微生物を捕捉後、それがフィルタ供給表面上で直接行われるからであり、血球は差別的に溶解され、フィルタ分離される。このような態様で、本明細書で定義されるフィルタ・インサイチュは、見事に簡素化された敗血症の試料調製であり、より少ない操作でより効率の良い処理を可能にし、コンタミネーションの可能性をより低く、手動および自動の両方のデバイスの設計に対し、より柔軟なフォーマットを実現する。
以下の実施例で使用される通り、ろ過は当該技術分野において一般的に使用される用語として採用されており、つまり、流体のみが通過可能な媒体を間に置くことにより、固体を流体(液体または気体)から分離するために使用される機械的または物理的な操作を指す。典型的な単純なろ過においては、ろ過される液体内の大き過ぎる粒子は、フィルタの格子構造を通過できず、他方、流体および小さな粒子は通過してろ液になる。
フィルタ・ビーズミル・インサイチュ微生物溶解およびDNAポリメラーゼを介するアナライト解析(PolMA)、および定量的遺伝子特異的PCRを介するゲノムDNAを比較するための実験が行われた。その結果は、図1の表に示されている。
ここでの実験で、有意な差であるとみなされるには、相対的なqPCR値を比較する際、デルタCtの読み取り値が2より大きいことが必要である。
[結果および結論]
最初に投入される微生物スパイクと、フィルタで捕捉される対応試料との間の相対的なqPCR差分値は概して、血液にスパイクされ、次にフィルタの供給側上で捕捉され、その次にフィルタの供給側上でビーズミル溶解(本明細書の用語である「フィルタ・ミル・インサイチュ」)される様々な微生物の非常に高い回収率を示す。PCRによって測定可能であった14種類の異なる微生物のうち、4つのみが(すべてカンジダ菌酵母)(28%)、有意なPCR回収の差分値を示した。しかしながら、これらの酵母についても、これらの同一試料から測定可能なDNAポリメラーゼ活性の増加はあった。全体的に、これは、DNAポリメラーゼの高活性および増幅可能なゲノムDNAの両方を生み出す、優れた回収および高効率のフィルタ・ミル・インサイチュを示した。予期せぬことに、赤の太字で示される有意な負の値は、本発明によるフィルタ・インサイチュ依存性のPolMaは、マイクロチューブ内での標準的な破砕に対し、顕著な改善となり得ることを示している。
本発明によるライセート内での微生物の検出のための技法は、本明細書に添付された図2に概略化できる。
本発明の一実施形態に係るこの実施例は、従来型のDNA単離技法の必要性を回避し、微生物ライセート直接プローブベースのPCR技術を実施可能にするための本発明の適格性を示している。a.黄色ブドウ球菌(SA)が標準的な血液培養(カンジダコンセンサスアッセイ、大腸菌、エンテロコッカス・フェシウム)にスパイクされ、次にWBC界面活性剤+アルカリ溶解、ペレット化、および洗浄が行われた。b.TaqManプローブおよびSYBRの両方を使用した、ライセートのダイレクトPCR後の本発明における直接プローブ手順は、それぞれの場合において、PCR内の%ライセートのより高い許容値(30μlのPCR中、5μlのミルライセートに少なくとも5000の微生物がいながら全く阻害が検出されずに17%まで)の観点において優れていたことが判明された。陽性の血液培養のボトルは、培養液中、約4000微生物/mlを含むことになり、2mlを調製に用いると、8000微生物/50μlライセートを産出し、それは、30μlPCR中5μlの反応=PCR中160の微生物である(上位BCレベルの必須アッセイ許容値)。現在見積もられているところによると、BC法の検出制限は、500微生物/ボトルまたは10微生物/mlであり、従って5μl=2である。10微生物/ボトル(一般的)の場合、5μl=0.2微生物であり、故に検出可能な640/ボトルになるには6世代の倍加が必要となる。c.従って、本発明によると、(カオトロープ+界面活性剤)MolYsisバッファーを通過され、DNase処理、次に1回のTEペレットおよび洗浄が行われたSA微生物は、ミル直接プローブPCRと適合性があることが示された。変性剤を有さない血液培養ビーズミルシステム(ベクトンディッキンソン社から市販されているベクトンディッキンソン Staph S/Rキット(試料の1/10e6のみがPCRに存在))を、本発明の改善によってもたらされる変性剤(DoE:グアニジン/Tween、Triton/NaOH、Tween/Triton等)を有するシステムと比較することによって、本発明に係る新規な改善された方法は、従来技術に対し、%血液の感度および許容値の観点から、利用される血液ミルの直接システムにおける改善がなされていることが示された。
さらに本発明の開発中の実験において、添付された図3に示されるフロー図に示されるように、本発明において2つの「難しい」臨床試料を処理中に観測される目詰まりを、トリプシンおよびDNaseを追加することで、著しく減らすことができることが実証された。
具体的に上記されたSAだけでなく、バクテリア、菌類、ウイルス、寄生虫等のような様々な病原体に係る様々な生物組織試料(血液、体液、および軟組織が含まれるがこれらに限定されない)に関する変性剤が有効な粗製ライセート(ビーズミルおよび超音波)直接プローブ/SYBR PCR解析のすべての変形例を最適化するために、本発明の広範な基本的原理および教示が適用可能であることが当業者には理解されるであろう。
上記実施例はまた、本発明により提供される方法の実施により、限定混合物、または生細胞および死細胞が含まれる限定混合物でスパイクされた環境試料内の死細胞からの、シグナルを効果的に抑制できることを示す。また、本発明による試料の処理は、膜が損傷した細胞を解析から除外するための良い方法である可能性がある点に留意する価値がある。
上記をまとめると、本発明は、さらなる下流解析前に、細菌母集団の前処理を迅速かつ容易に行うことを可能にする新規な方法を提供する。本発明の数多くの潜在的な適用が当業者に想起されるであろうが、本発明により提供される方法は、病原体診断、バイオテロ、および微生物生態を含む、様々な分野におけるDNAベースの診断に大きな影響を与える可能性がある。
本発明の好ましい実施形態の実施において、単一の血液培養からの等量で別々の分割物(aliquots)を使用した、少なくとも2つの別々の時点のうちの任意のPCR測定が、微生物ターゲットシグナルにおける顕著な増大を示す場合、細胞は増殖しないので、それは微生物の増殖に起因するにちがいなく、(コンタミネーションの影響を無視できれば)それによって生存微生物の存在を示すことが明らかであろう。PCR処理により誘発されるコンタミネーションを除外すれば、生存微生物の溶解およびPCRセットアップの前に、すべての死細胞DNAが除去された場合、細胞増殖に依らない単一時点での血液の陽性PCR解析は、生存微生物の存在を示すであろうことを理解されたい。これは、死細胞DNAをDNaseおよび洗浄することによって、実証可能である。
ここではPCRが具体的に言及されているが、本発明の改善は、PCRまたは類似の技法に限定されないことをさらに理解されたい。本発明における使用を意図された増幅アッセイは、DNA増幅アッセイ、熱安定性のポリメラーゼを組み込むPCRアッセイ、および等温増幅法のような他の周知の核酸ベースの技術を含むが、これらに限定されない。当業者は、本発明の実施において有用であろう様々な好適な増幅方法を想起可能であり、従って本発明はそれらによって限定されることは意図されていないことを理解されたい。
本発明は、DNA診断に関わる方法、手順、プロセスのうちの任意のものおよび全部において適用を有することを理解されたい。そのような適用例としては、食品、水の安全性、バイオテロ、医療/医薬、および/または病原体検出に関するあらゆるものに関する適用が含まれるが、それらに限定されない。食品業界においては、本発明は防腐剤の有効性の監視に使用可能である。本発明の方法は、あらゆる細胞に適用される可能性を有する。実施例において細菌性細胞が例示されたが、当業者は、本発明の方法が多くの他の細胞タイプに適用可能であることを容易に理解可能である。本発明はまた、膜を破壊および/または、例えば、細菌性細胞のような細胞を殺し得る物質の特定に使用可能である。多剤耐性生物が蔓延し、衛生施設および患者に広がっているので、現在、新しい消毒剤および/または抗生物質の特定が現在の優先事項である。
本発明の方法をツールとしての定量的PCRと組み合わせると、細胞を培養して、増殖まで待機する時間をかける必要なく、消毒剤および/または抗生物質の影響を素早くかつ正常に特定可能であることをさらに理解されたい。場合によっては、生物の培養には数日から数週間かかる可能性があり、故に候補物質が微生物のような細胞を殺滅可能であったかどうかを確認するのに多大な時間がかかる可能性がある。その他の場合としては、特定の生物は細胞培養で増殖せず、従って、ある物質が効果的であったかどうかの判断を困難にするであろう。故に、本発明の新規な方法を適用すると、新規な消毒剤および/または抗生物質の特定に対する時間およびリソースを節約することができる。
本発明による新規な方法のさらなる利点は、使用が簡単なことである。例えば、これらの方法を使用すると、例えば、バクテリアのような生存細胞の存在について、大量の試料を容易に試験できる。例えば、試料は、無傷の細胞膜を持つ潜在的に生きているバクテリアの存在について試験されてよい。別の実施形態において、環境試料は、例えば、バクテリアのような生存細胞の存在について試験されてよい。これらの試料は例えば、土壌から収集されてよく、または植物の一部であってよい。
本発明による方法はさらに、放出前および放出後両方の処理された廃水の試験に使用されてよい。本発明による方法はさらに医学的試料の試験に使用されてよく、それらには例えば、糞便試料、血液培養、喀痰、組織試料(またカット)、創傷材料、尿、および気道からの試料、インプラントおよびカテーテル表面が含まれる。
本発明による方法の別の適用分野は、食糧コントロールであってよい。他の複数の実施形態において、食品試料は牛乳または乳製品(ヨーグルト、チーズ、スイートチーズ、バター、およびバターミルク)、飲料水、飲料(レモネード、ビール、およびジュース)、ベーカリー製品または肉製品から取得される。本発明の方法は、食品内の防腐剤または食品の抗微生物処理(殺菌のような)が、細胞増殖を防止したかどうかを判断可能である。本発明による方法のさらなる適用分野は、例えば、軟膏、クリーム、チンキ剤、ジュース、溶液、ドロップ等の医薬品および化粧品の解析である。
本発明の方法は、適時の警告および予防措置に対し、旧方法が不適切となるインキュベーション時間が長い(数日にわたる)という問題を解決する。また、現行のPCRベースの方法は、偽陽性結果を提供する可能性がある(生物は生きていないにもかかわらず、その生物に対し陽性判定をする)。また、研究によって最近発見されたところによると、いくつかの生物は、特定の条件下で、それらが依然生きているにもかかわらず、複製能力を損失する。これらの「生きているが培養できない」(VBNC)バクテリアは、従来の培養を使用して検出できないが、より適切な環境に移されると、それらの増殖能力を取り戻す可能性がある。これらの欠点は、本発明の方法を組み合わせた、これら生物の遺伝子材料/DNAの検出に基づく分子アプローチを適用することによって、解決される。故に、例えば、汚染水、下水、食品、医薬品および/または化粧品といった試料内の生存生物に関する迅速かつ正確な結果が、汚染製品が公衆にリリースされるのを防ぐことを可能にする。本発明の方法は、現在の時間がかかる方法と比較して、偽陽性(病原体が生きていないのに、その病原体に陽性と判定する)を最小化し、試料の迅速な試験をすることによって、リソースを節約できる。
また、本発明の方法は、生態学研究のために、微生物群のうち潜在的に生きているメンバを特定したり、農業システムおよび/または生態系のために、特定の土壌の状態を特定したりできる。従前は、バクテリア群の特定は、培養ベースのアプローチまたはプレートカウントを使用して行われてきた。カウントされるコロニーの数が多いほど、より多くのバクテリアが元の試料に存在すると予測される。しかしながら、インキュベーション時間(数日にわたる)が長いことから時折問題が発生し、適時かつ正確な結果のために、この方法を不適切にする。これらの欠点に、本発明の方法が利用される。
本発明の方法を使用する解析または本発明の方法を使用する試料内の潜在的な生存性の検出の対象となり得るバクテリアの非限定的な例は、上記のSAに加え、以下の通りである。すなわち、百日咳菌、レプトスピラポモナ、パラチフスA、B、C菌、ジフテリア、破傷風菌、ボツリヌス菌、ウェルシュ菌、気腫疽菌および他のガス壊疽バクテリア、炭疽菌、ペスト菌、パスツレラムルトシダ、髄膜炎菌、淋菌、インフルエンザ菌、放線菌(例えば、ノカルジア菌)、アシネトバクター、バチルス(例えば、炭疽菌)、バクテロイデス(例えば、バクテロイデスフラジリス)、ブラストミセス症、ボルデテラ、ボレリア(例えば、ボレリアブルグドルフェリ)、ブルセラ菌、カンピロバクター、クラミジア、コクシジオイデス属、コリネバクテリウム属(例えば、ジフテリア菌)、大腸菌(例えば、腸管毒素原性大腸菌および腸管出血性大腸菌)、エンテロバクター属(例えば、エンテロバクターアエロゲネス)、腸内細菌(クレブシエラ属)、サルモネラ菌(例えば、チフス菌、サルモネラ腸炎菌、セラシア属、エルシニア属、赤痢菌)、エリジペロスリックス属、ヘモフィルス(例えば、ヘモフィルスインフルエンザタイプb)、ヘリコバクター、レジオネラ菌(例えば、レジオネラニューモフィラ)、レプトスピラ属、リステリア菌(例えば、リステリア菌)、マイコプラズマ、マイコバクテリウム属(例えば、マイコバクテリウムライ菌およびヒト型結核菌)、ビブリオ属(例えば、コレラ菌)、パスツレラセエ、プロテウス、シュードモナス菌(例えば、緑膿菌)、リケッチア、スピロヘータ(例えば、トレポネーマ属、レプトスピラ属、ボレリア属)、赤痢菌属、髄膜炎菌、肺炎球菌およびすべての連鎖球菌(例えば、肺炎連鎖球菌およびA3B群およびC群連鎖球菌)、ウレアプラズマ、梅毒、黄色ブドウ球菌、パスツレラヘモリチカ、コリネバクテリウムジフテリアトキソイド、髄膜炎菌多糖類、百日咳菌、肺炎連鎖球菌、破傷風菌トキソイド、およびウシ型結核菌である。上記一覧は、単なる例示を意図しており、本発明をこれら特定の細菌性生物の検出に限定する意図では決してない。
本発明の特に好ましい実施形態は、PCRを利用する。PCRの一般的な手順は、米国特許第4,683,195号(マリスその他)および米国特許第4,683,202号(マリスその他)に教示されている。しかしながら、各増幅反応に使用される最適なPCR条件は概して、経験的に決定されるか、または当業者によって一般的に採用されるコンピュータソフトウェアを用いて推測される。多数のパラメータが、反応の成功に影響を及ぼす。それらの中でも、アニーリング温度と時間、伸長時間、Mg2+、pH、およびプライマー、テンプレート、およびデオキシリボヌクレオチドの相対濃度が挙げられる。概して、テンプレート核酸は、ポリメラーゼ反応の前に、1分から10分間、少なくとも約95℃まで加熱することによって変性される。90℃から96℃の範囲で0.05から1分間の変性、48℃から72℃の範囲の温度で0.05から2分間のアニーリング、および68℃から75℃で少なくとも0.1分の伸長を使用し、最適な最後の1サイクルをあわせて約20から99サイクルの増幅が実行される。一実施形態において、PCR反応は、約100ngのテンプレート核酸、20μMの上流および下流プライマー、および各種類の0.05から0.5mMのdNTP、および0.5から5ユニットの市販の熱安定性DNAポリメラーゼを含んでよい。
従来のPCRのバリエーションとしては、逆転写PCR反応(RT‐PCR)があり、その場合、逆転写酵素が先にRNA分子を一本鎖のcDNA分子に変換し、cDNA分子が次に、後のポリメラーゼ鎖反応の増幅のためのテンプレートとして利用される。RNAの分離は、当該技術分野においてにおいて周知である。RT‐PCRの実行において、逆転写酵素は概して、ターゲット核酸が熱変性された後、反応試料に追加される。次に、反応は好適な温度(例えば、30~45℃)で十分な時間(10~60分間)維持され、スケジュールされた増幅サイクルが発生する前に、cDNAテンプレートを生成する。当業者は、定量的結果が所望される場合、増幅された核酸の相対コピー数を維持または調整する方法を使用する際、注意が必要である。「定量的」増幅に関する方法は、当業者に周知である。例えば、定量的PCRは、同一プライマーを使用して、コントロールとなる配列の既知量を同時に共増幅することを含み得る。これにより、PCR反応を較正するのに使用可能な内部標準を提供する。
PCRの別の代替法は、定量的PCR(qPCR)である。qPCRは、少数のヌクレオチドの挿入または削除によりターゲットとサイズが異なる内在性相同的コントロールを使用する競合的な技法により実施することができる。しかしながら、非競合的および速動性の定量的PCRも使用されてよい。標的配列と共に同時検出可能な内在性相同的コントロールと共にリアルタイムな速動性PCR検出を組み合わせると、有利となり得る。
特定の生物に対し選択されるDNA領域のみを増幅するPCR、RT‐PCR、および/またはqPCRのためのプライマーが領域または特定のバクテリア内で選択される。あるいは、すべての生物に共通のDNAセクションをハイブリダイズおよび増幅するプライマーが選択される。プライマー選択および構造は当該技術分野において一般的に知られている。一般に、増幅される配列の各末端に1つのプライマーが配置される。そのようなプライマーは通常、10から35ヌクレオチド長であり、好ましくは、18から22ヌクレオチドの間の長さであろう。増幅され得る最小配列は、約50ヌクレオチド長である(例えば、ともに20ヌクレオチド長であるフォワードおよびリバースプライマーの、その配列内における位置が、少なくとも10ヌクレオチドだけ離れている)。それよりはるかに長い配列が増幅可能である。1つのプライマーは「フォワードプライマー」と呼ばれ、増幅される領域の左末端に配置される。フォワードプライマーは、DNAのトップ鎖におけるある領域と配列において同一である(二重鎖DNAが、トップ鎖が5'から3'への方向の極性で示される慣例を用いて描かれる場合)。フォワードプライマーの配列は、トップ鎖DNAに相補的であるDNA鎖にハイブリダイズするものである。他のプライマーは、「リバースプライマー」と呼ばれ、増幅される領域の右末端に配置される。リバースプライマーの配列は、DNAのトップ鎖のある領域と、配列において相補的であり、すなわちそれは逆相補配列である。リバースプライマーは、DNAの上末端にハイブリダイズする。PCRプライマーも、多数の他の条件に対し、選ばれる主題となるべきである。PCRプライマーは、テンプレート内の1領域以外の他の領域にハイブリダイゼーションするのをできる限り抑えるための十分な長さ(好ましくは、10から30ヌクレオチド長)である必要がある。可能であれば、ある特定の一塩基が長く連なるようなプライマーは、回避されるべきである。好ましくは、プライマーは、40から60%の間のパーセントG+C含有量を有するべきである。可能であれば、プライマーの3'末端のパーセントG+C含有量は、プライマーの5'末端のパーセントG+C含有量よりも高くあるべきである。プライマーは、プライマー内の別の配列にハイブリダイズ可能な配列を含むべきでない(すなわち、パリンドローム)。同一PCR反応において使用される2つのプライマーは、互いにハイブリダイズ可能であるべきではない。PCRプライマーは上記推奨に対し好ましく選ばれる主題であるが、当該プライマーはこれらの条件に準拠する必要はない。他のプライマーも機能し得るが、良好な結果をもたらす可能性は低いかもしれない。
特定の配列内のDNAを増幅するのに使用可能なPCRプライマーは、利用可能な多数のコンピュータプログラムのうちの1つを使用して選択され得る。そのようなプログラムは、特定の配列の増幅に最適なプライマーを選択する(すなわち、そのようなプログラムは、上記条件に加え、PCRプライマーの機能を最大化可能な他の条件が課されるプライマーを選択する)。あるコンピュータプログラムは、Genetics Computer Group(GCGは最近アクセルリルになった)解析パッケージであり、それはPCRプライマーの選択のためのルーチンを有する。
以下に開示されるオリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブは、多数の方法で作成可能である。これらのオリゴヌクレオチドを作成するための1つの方法は、市販の核酸シンセサイザーを使用して、それらを合成することである。様々なそのようなシンセサイザーが存在し、当業者に周知である。
本発明との組み合わせで有用な別の代替的なPCRは、特定のDNAまたはRNAターゲットの検出のための等温核酸増幅アッセイである。核酸の等温増幅の非限定的な例としては、ホモジニアスリアルタイム鎖置換増幅、DNAシークエンシングのためのテンプレートのPhi29DNAポリメラーゼを用いたローリングサイクル増幅、PNAオープナーによって補助されるデュプレックスDNA配列のローリングサイクル増幅、またはDNAアナライトのループ介在等温増幅(loop−mediated isothermal amplification)が挙げられる。
核酸はまたハイブリダイゼーション法により検出されてよい。これらの方法において、標識された核酸が、標識されたまたは標識されていない核酸プローブを含む基質に追加されてよい。あるいは、標識されたまたは標識されていない核酸が、標識された核酸プローブを含む基質に追加されてよい。ハイブリダイゼーション法は、例えば、マーク シエーナによる「マイクロアレイ解析」(2003年ニュージャージ州ホーボーケンのジョンウィリー&サンズ出版)に開示されている。
核酸を検出する方法は、標識の使用を含むことができる。例えば、放射性標識は写真フィルムまたはフォスフォイメージャー(放射性リン酸の取り込みを検出および定量化するためのもの)を使用して検出可能である。蛍光マーカーは、放射光を検出する光検出器を使用して検出および定量化可能である(例示的な装置について、米国特許第5,143,854号を参照)。酵素標識は通常、基質に酵素を提供し、基質に対する酵素の作用により生成される反応生成物を測定することによって検出される。比色分析標識は、単純に色付き標識を視覚化することによって検出される。一実施形態において、増幅された核酸分子は、核酸インターカレート染料剤で増幅された生成物を直接染色することにより視覚化される。当業者にとって自明である通り、例示的な染料としては、SYBR green、SYBR blue、DAPI、ヨウ化プロピジウム、Hoeste、SYBR goldおよび臭化エチジウムが挙げられるが、これらに限定されない。増幅されたDNA分子にインターカレートされた発光染料の量は、増幅された生成物に正比例し、それはフルオルイメージャ(Molecular Dynamics)または他の同等のデバイスを使用して、メーカーの指示に従い、便利に定量化され得る。そのようなアプローチのバリエーションとして、増幅された生成物のゲル電気泳動があり、それは選択されたインターカレート剤で染色し、視覚化することを伴う。あるいは、標識されたオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブ(例えば、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)プローブおよび比色プローブのような蛍光プローブ)が、増幅を検出するのに使用されてよい。所望される場合は、検査対象の生命体を表わすゲノム配列の特定の増幅は、シークエンシングによって、または増幅された生成物は予測されたサイズを有し、予測された制限消化パターンを示し、または的確にクローニングされたヌクレオチド配列にハイブリダイズすることを示すことによって、検証されてよい。
本発明はまたキットを含む。例えば、キットは、特定のまたは一般的な生物に対応する核酸分子を増幅するのに有用なプライマー、DNAを分離するためのバッファーおよび試薬、およびPCRのための試薬を含むことができる。キットはまた、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドも含むことができ、それは、対象生物に応じたポリペプチドをコードする核酸配列にハイブリダイズする。キットはまた、アッセイ可能で、含まれる試験試料と比較可能な、対照試料または一連の対照試料を含むことができる。キットの各コンポーネントは、個々のコンテナ内に同梱可能であり、様々なコンテナのすべてを、キットを使用して行ったアッセイの結果を解釈するための指示書と共に単一のパッケージ内に収めることができる。
本願の随所で引用されたすべての参照文献、特許文献および公開された特許出願は、それぞれの出版物、特許または特許出願が具体的かつ個別的に、参照により組み込まれると示されていた場合と同程度において、参照により本明細書に組み込まれる。
上記詳細な説明は、明瞭な理解のためのみに供与されており、不要な制限として理解されるべきではない。当業者には修正形態は自明である。本明細書に共された情報はいずれも、特許請求された本発明に対する従来技術または関連技術であると理解されてはならない。あるいは具体的または暗黙的に言及された発行物はいずれも、従来技術であると理解されてはならない。
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。
本発明は、本発明に係る複数の具体的な実施形態に関連して記載されているが、本発明にはさらなる修正が可能であり、本願は、本発明の諸原理に概して従う、あらゆる変形例、使用または適合に及ぶ意図であり、本発明の属する技術分野における既知または慣例の実施の中で想起される、上記の必須の特徴に適用可能な、添付の特許請求の範囲に属するそのような本開示からの逸脱を含むことが理解されるであろう。
また、本発明に係る特定の好ましい実施形態が記載され、上記に具体的に例示されているが、本発明はそのような実施形態に限定されることは意図されておらず、そのような限定はすべて、以下の特許請求の範囲に含まれる。

Claims (7)

  1. 生細胞と死細胞を含む混合物における生存微生物を検出する方法であって、
    a)核酸増幅アッセイを実施する前に、死んだ微生物細胞のDNAを除く段階と、
    b)化学変性剤を加えることにより、前記混合物から増幅アッセイ阻害因子を除去する段階と、
    c)前記アッセイからコンタミネーションのない陽性結果を得ることは、生存細胞が存在することを示す、前記核酸増幅アッセイを実施する段階と、
    d)生存微生物の前記存在の指標として、前記増幅アッセイから微生物特異的シグナルの増加を2または2より多い時点で測定する段階と、
    を備える、方法。
  2. 前記混合物に存在する微生物の生死比率を判定する追加の段階を含み、任意に、前記混合物に存在する微生物の生死比率の判定は、治療有効性または化学薬剤の効能の評価基準として使用可能である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記化学変性剤が1または複数の化学薬剤の合物を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記増幅アッセイはPCRアッセイである、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記PCRアッセイは、qPCRアッセイである、請求項4に記載の方法。
  6. 前記混合物は血液又は他の複数の体液を含む、請求項1から5のいずれか1項に請求項に記載の方法。
  7. 前記PCRアッセイの実は、生存可能な敗血症微生物の存在を判定する、請求項4から6のいずれか1項に記載の方法。
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