図1は本発明の単層SCPパネル20の図式的な斜視図である。かかるSCPパネルの作製に使用される主要な出発材料は、無機結合剤(例えば硫酸カルシウムα型半水化物、水硬性セメントおよびポゾラン材)、軽量フィラーでコートされた膨張パーライトおよび任意で追加のセラミック微小球またはガラス微小球に加えて、超可塑剤(例えばポリナフタレンスルホン酸塩および/またはポリアクリル酸塩)、水、および任意の添加剤である。
所望されるならば、パネルは図1中に示されるように単層を有することができる。しかしながら、パネルは多層を適用するプロセスによって典型的には作製され、層がどのように適用され硬化されるかに加えて、層が同じまたは異なる組成物を有するかに応じて、最終的なパネル生産物において別個の層を保持してもしなくてもよい。層22、24、26および28を有するパネル21の多層構造物は、図2中に示される。多層構造物において、層の組成物は同じまたは異なり得る。層の典型的な厚みは、約1/32〜1.0インチ(約0.75〜25.4mm)の間にわたる。1つの外層だけが使用される場合、それは典型的には全パネル厚みの3/8よりも少ないだろう。
硫酸カルシウム半水化物
本発明のパネルにおいて使用することができる硫酸カルシウム半水化物は、天然に存在する鉱物である石膏鉱石(硫酸カルシウム二水塩CaSO4・2H2O)から作られる。特別の指示の無い限り、「石膏」は、硫酸カルシウムの二水和物形態を指す。採掘後に、未加工の石膏は熱加工されて凝結可能な硫酸カルシウムを形成し、それは無水であり得るが、典型的には半水化物(CaSO4・1/2H2O)である。よく知られている最終用途のために、凝結可能な硫酸カルシウムは水と反応して二水和物(石膏)を形成することによって凝固する。半水化物は2つの知られた形態(α型半水化物およびβ型半水化物と称される)を有する。これらはそれらの物理的特性および価格に基づいて様々な用途のために選択される。両方の形態は水と反応して硫酸カルシウムの二水和物を形成する。水和に際して、α型半水化物は石膏の長方形面の結晶を生ずることによって特徴づけられ、一方β型半水化物は水和して典型的には大きな縦横比を備えた石膏の針形状の結晶を生産することによって特徴づけられる。本発明において、α型もしくはβ型のいずれかまたは両方は所望される機械的性能に応じて使用することができる。β型半水化物はあまり稠密でない微細構造を形成し、低密度生産物に好ましい。α型半水化物は、β型半水化物によって形成されたものよりも高い強度および密度を有するより稠密な微細構造を形成する。したがって、α型半水化物でβ型半水化物を置換して強度および密度を増加させることができるか、またはそれらを組み合わせて特性を調節することができる。
本発明のパネルの作製に使用される無機結合剤についての典型的な実施形態は、水硬性セメント(ポルトランドセメント、高アルミナセメント、ポゾランブレンドのポルトランドセメントまたはその混合物等)からなる。
本発明のパネルの作製に使用される無機結合剤についての他の典型的な実施形態は、硫酸カルシウムα型半水化物、水硬性セメント、ポゾランおよび石灰を含むブレンドを含む。
水硬性セメント
ASTMは、「水硬性セメント」を、水との化学的相互作用によって凝結および固化し、水下でそうなることが可能なセメントと定義する。構築および建築の産業において使用される複数のタイプの水硬性セメントがある。水硬性セメントの例は、ポルトランドセメント、スラグセメント(高炉スラグセメントおよび超高硫酸塩セメント等)およびスルホアルミン酸カルシウムセメント、高アルミナセメント、膨張セメント、白色セメントならびに迅速に凝結および固化するセメントを含む。硫酸カルシウム半水化物は水との化学的相互作用によって凝結し固化するが、それは本発明の文脈では水硬性セメントの広義の定義内に含まれない。前述の水硬性セメントはすべて本発明のパネルの作製に使用することができる。
最も人気があり広く使用される水硬性セメントに密接に関連するファミリーは、ポルトランドセメントとして公知である。ASTM C 150は、「ポルトランドセメント」を、通常一体になった添加物として硫酸カルシウムの1つまたは複数の形態を含む水硬性ケイ酸カルシウムから本質的になるクリンカーを粉砕することによって生産された水硬性セメントとして定義する。ポルトランドセメント製造するために、石灰石、泥質岩および粘土の緻密な混合物を炉中で点火してクリンカーを生産し、次いでそれをさらに加工する。その結果、ケイ酸三カルシウム(3CaO・SiO2、C3Sとも称される)、ケイ酸三カルシウム(2CaO・SiO2、C2Sと呼ばれる)、アルミン酸三カルシウム(3CaO・Al2O3またはC3A)および鉄アルミン酸四カルシウム(4CaO・Al2O3・Fe2O3またはC4AF)のポルトランドセメントの4つの主要相が生産される。ポルトランドセメント中に少量で存在する他の化合物は、硫酸カルシウムおよびアルカリ性硫酸塩の他の複塩、酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムを含む。様々な承認されたクラスのポルトランドセメントのうち、タイプIIIポルトランドセメント(ASTM分類)は、その細度ゆえにより高い強度を提供することが見出されているので、本発明のパネルの作製のために好ましい。スラグセメント(高炉スラグセメントおよび超高硫酸塩セメント等)、スルホアルミン酸カルシウムセメント、高アルミナセメント、膨張セメント、白色セメント、迅速に凝結および固化するセメント(調節凝結セメントおよびVHEセメント等)、および他のポルトランドセメントタイプを含む他の承認されたクラスの水硬性セメントも、成功裏に使用して本発明のパネルを作製するすることができる。スラグセメントおよびスルホアルミン酸カルシウムセメントは低アルカリ性を有し、これも本発明のパネルの作製に好適である。
本明細書において使用される時、「水硬性セメント」は石膏を含まないと理解すべきであり、典型的にはある程度の石膏はポルトランドセメントでは含まれているが石膏は水下で強度を増さない。
セメントボードが作製される場合、ポルトランドセメントは、Blaine表面積方法(ASTM C 204)による測定で、粒子表面積が4,000cm2/グラムを超え、典型的には5,000〜6,000cm2/グラムの間にあるように、典型的には微細粒子の形態であるだろう。様々な承認されたクラスのポルトランドセメントのうち、ASTMタイプIIIポルトランドセメントは、その比較的より迅速な反応性および高い初期強度発生に起因して、セメント質組成物のセメント質反応性の粉末中で典型的には最も好ましい。
本発明において、タイプIIIポルトランドセメントの使用の必要性は最小限にされ、比較的迅速な早期強度発生はタイプIIIポルトランドセメントの代わりに他のセメントを使用して得ることができる。本発明の組成物中のタイプIIIポルトランドセメントの置換または補足に使用できる他の承認されたタイプのセメントは、白色セメント、スラグセメント(高炉スラグセメント等)、ポゾランブレンドセメント、膨張セメント、スルホアルミン酸塩セメントおよび油井セメントを含む、タイプIポルトランドセメントまたは他の水硬性セメントを含む。
繊維
ガラス繊維は絶縁材料として一般に使用されるが、それらは様々なマトリックスと共に強化材料としても使用されてきた。繊維自体が、それなしでは脆性破損し得る材料に引っ張り強度を提供する。荷重をかけられた時繊維は破壊し得るが、ガラス繊維を含む複合物の通常の破損モードは、繊維と連続相材料との間の結合の破壊および破損から起こる。したがって、強化繊維が複合物の延性および強度を経時的に増加させる能力を保持するものであるならば、かかる結合は重要である。典型的には、耐アルカリ性ガラス繊維(ARガラス繊維)、例えばNippon Electric Glass(NEG)350Yが使用される。かかる繊維は、マトリックスに優れた結合力を提供ことが見出されており、したがって本発明のパネルのために好ましい。
ガラス繊維は、典型的には約5〜25ミクロン(マイクロメートル)の直径、より典型的には約10〜15ミクロン(マイクロメートル)の直径を有するモノフィラメントである。フィラメントは、一般的には100本のフィラメントストランドへと組み合わせられ、これは約50本のストランドを含むロービングへと束ねることができる。ストランドまたはロービングは、一般的にはチョップされて、例えば約0.25〜3インチ(6.3〜76mm)の長さ、典型的には0.25〜2インチ(6.3〜50mm)または1〜2インチ(25〜50mm)の長さの好適なフィラメントおよびフィラメントの束へされるだろう。繊維はランダムな配向を有し、パネルの面において等方性機械的挙動を提供する。
本発明のパネルにおいて他の不燃性の繊維を含むことも可能であり、鋼繊維も可能性のある添加物である。
非可燃性を促進するために、実施形態はポリマー繊維が非存在があり得る。
ポゾラン材料
上述したように、大部分のポルトランドセメントおよび他の水硬性セメントは水和(硬化)の間に石灰を生産する。石灰を反応させてガラス繊維に対する攻撃を減少させることが所望される。硫酸カルシウム半水化物が存在する場合、それがセメント中のアルミン酸三カルシウムと反応してエトリンガイトを形成し、これは硬化した生産物の所望されないクラッキングをもたらし得ることも公知である。これは、当該技術分野において「硫酸塩攻撃」と称される場合が多い。かかる反応は「ポゾラン」材料を添加することによって防止することができ、この材料は、「・・・それ自体では殆どまたは全くセメントとしての価値はないが、微細に分割された形態で、および水分の存在下で常温で水酸化カルシウムと化学的に反応することによってセメント的特性を有する化合物を形成するケイ酸質、またはケイ酸質およびアルミナ質材料」としてASTM C618−97で定義されている。1つのしばしば使用されるポゾラン材料は、シリカフューム、即ち、金属シリコンおよびフェロシリコン合金製造の生産物である微細に分割された非晶質シリカである。特徴的としては、これはシリカ含有量が高くおよびアルミナ含有量は低い。軽石、パーライト、珪藻土、凝灰岩、トラス、メタカオリン、マイクロシリカ、高炉スラグ微粉末およびフライアッシュを含む、様々な天然材料および人工材料が、ポゾラン特性を有すると言われている。シリカフュームは本発明のパネルで使用するのに特に好都合なポゾランであるが、他のポゾラン材料が使用され得る。シリカフュームとは対照的に、メタカオリン、高炉スラグ微粉末および粉砕フライアッシュは、シリカ含有量がはるかに低く、多量のアルミナを有するが、効果的なポゾラン材料になり得る。シリカフュームを使用する場合、それは、反応性の粉末(すなわち水硬性セメント、硫酸カルシウムα型半水化物、シリカフュームおよび石灰)のうちの、約5〜30重量%、好ましくは10〜15重量%を構成するだろう。他のポゾランで置換されていれば、使用量は、シリカフュームに類似する化学的性能を提供するように選択される。
セメント質組成物のセメント質反応性の粉末ブレンドは、ポゾラン材料および/または非ポゾラン骨材(例えば炭酸カルシウム、雲母、タルクなど)等の鉱物添加剤を高濃度で含むことができる。
ASTM C618−97は、「それ自体では殆どまたは全くセメントとしての価値はないが、微細に分割された形態で、および水分の存在下で常温で水酸化カルシウムと化学的に反応することによってセメント的特性を有する化合物を形成するケイ酸質、またはケイ酸質およびアルミナ質材料」としてポゾラン材料を定義する。様々な天然材料および人工材料がポゾラン特性を保持するポゾラン材料と称されてきた。ポゾラン材料のいくつかの例は、軽石、珪藻土、シリカフューム、凝灰岩、トラス、籾殻、メタカオリン、高炉スラグ微粉末およびフライアッシュを含む。これらのポゾラン材料はすべて、本発明のセメント質反応性の粉末の一部として単独でまたは組み合わせた形態で使用することができる。
ポゾランの鉱物添加剤として使用される軽石は水和されていない形態であり、「それ自体では殆どまたは全くセメントとしての価値はないが、微細に分割された形態で、および水分の存在下で常温で水酸化カルシウムと化学的に反応することによってセメント的特性を有する化合物を形成するケイ酸質、またはケイ酸質およびアルミナ質材料」とするポゾラン材料のASTM C618−97の定義内である。
フライアッシュは、本発明のセメント質反応性の粉末ブレンドにおける好ましいポゾランである。以下に説明されるように、酸化カルシウムおよびアルミン酸カルシウムを高含有量で含むフライアッシュ(ASTM C618基準のクラスCフライアッシュ等)は好ましい。他の鉱物添加剤(炭酸カルシウム、粘土および粉砕雲母等)も含まれ得る。
フライアッシュは石炭の燃焼から形成される細粉副産物である。微粉炭を燃焼させる電力プラント設備のボイラーによって最も商業的に入手可能なフライアッシュが生産される。これらのフライアッシュは主にガラス質の球状の粒子に加えて、ヘマタイトおよびマグネタイトの残渣、炭、ならびに冷却の間に形成されたいくつかの結晶相からなる。フライアッシュ粒子の構造、組成および特性は、石炭の構造および組成、ならびにフライアッシュが形成される燃焼プロセスに依存する。ASTM C618基準では、コンクリートにおける使用のための2つの主要なクラス(クラスCおよびクラスF)のフライアッシュが承認される。これらの2つのクラスのフライアッシュは、地質年代にわたって起こる石炭形成プロセスにおける差異の結果である異なる種類の石炭に由来する。クラスFフライアッシュは通常は無煙炭または瀝青炭の燃焼から生産されるが、クラスCフライアッシュは通常は褐炭または亜瀝青炭から生産される。
ASTM C618基準は主としてそれらのポゾラン特性に従ってクラスFとクラスCフライアッシュを区別する。したがってASTM C618基準において、クラスFフライアッシュとクラスCフライアッシュとの間の主要な規格の差異は、組成におけるSiO2+ Al2O3+ Fe2O3の最小限値である。クラスFフライアッシュについてのSiO2+ Al2O3+ Fe2O3の最小限度は70%であり、クラスCフライアッシュについては50%である。したがって、クラスFフライアッシュはクラスCフライアッシュよりもポゾラン性が強い。ASTM C618基準において明確に認識されないが、クラスCフライアッシュは典型的には酸化カルシウムを高含有量で含む。酸化カルシウムの高含有量の存在は、クラスCフライアッシュに、水と混合した場合に、ケイ酸カルシウムおよびアルミン酸カルシウムの水酸化物の形成を引き起こすセメント質特性を保持させる。以下の実施例で理解されるように、クラスCフライアッシュは、特に高アルミナセメントおよび石膏が使用されない好ましい配合において、優れた結果を提供することが見出されている。
化学的にコートされた膨張パーライト
本発明のシステムにおいて典型的に用いられる軽量パネルは、50〜100ポンド/フィート3、好ましくは65〜85ポンド/フィート3、より好ましくは70〜80ポンド/フィート3の密度を有する。これとは対照的に、木材繊維のない典型的なポルトランドセメントのベースのパネルは95〜110pcf範囲中の密度を有し、その一方で木材繊維を含むポルトランドセメントベースのパネルはSCPとおよそ同じ(約65〜85pcf)であろう。
これらの低密度の達成を支援するために、パネルは軽量コートされた膨張パーライト充填剤粒子と共に提供される。膨張パーライトフィラーは、セメント質組成スラリーの約2〜10重量%、約7.5〜40体積%である(湿潤ベースで)。膨張パーライト充填剤粒子は、典型的には、20〜500ミクロンまたは20〜250ミクロンの間の、好ましくは20〜150ミクロンの間の、より好ましくは20〜90ミクロンの間の、および最も好ましくは20〜60ミクロンの間の中央粒子径を有する。さらに、膨張パーライト充填剤粒子は、好ましくは0.50g/cc未満、より好ましくは0.40g/cc未満および最も好ましくは0.30g/cc未満の有効粒子密度(比重)を有する。
膨張パーライト粒子は、本発明のパネルにおいて重要な目的を果たし、これを使わなければ建築物パネルに所望されるよりも重いものになるだろう。
膨張パーライト粒子は疎水性コーティングを有する。典型的には、膨張パーライト粒子は、1つまたは複数のシラン、シロキサンもしくはシリコーンコーティングまたはその混合物により化学的に処理される。
本発明のコートされたパーライト粒子の走査型電子顕微鏡写真は図26中に示される。図27中の走査型電子顕微鏡写真において示されるように、本発明のパーライト粒子は完全に中空でないが、ハニカム内部微細構造を有する。ハニカム微細構造は、パーライト粒子の中空の空間内に延びる薄い壁によって本質的にランダムに生成される。パーライト粒子中に存在する複数の壁は互いにランダムに交差し、それによって全体的な粒子体積を小セクションへと仕切る。このハニカム微細構造は、本発明のパーライト粒子およびセメント質組成に複数の利益を提供する。ハニカム微細構造によって提供された重要な利益は、以下のものを含む。
1.粒子の吸水の減少:粒子はそのハニカム構築物に起因して内部で小セクションへと細分されるので、粒子内の1つのセクションから他のセクションへの水の移動は、内部壁によって阻止される。結果として、パーライト粒子の絶対吸水は非常に有意に減少される。より低い吸水性を備えたパーライト粒子は、セメント質スラリーの水要求性を減少させ完成製品の機械性能および耐久性能を促進することを支援するので、本発明において有益である。
2.粒子の剛性および強度の増加:粒子内のハニカム壁は粒子の剛性および強度をかなり増加させることを支援する。結果として、パーライト粒子は、ライフサイクルの様々なステージでの製造の輸送および運搬の間の損傷を受けにくい。さらに、比較的高い粒子の剛性および強度は、粒子が大規模な剪断および粉砕の作用にかけられるセメント質スラリーを調製するための様々な混合操作においても非常に有益である。高い粒子剛性および強度は、侵略的な混合条件下での粒子保全性の維持を支援する。
結果として、パーライト粒子は、セメントパネル生産物の製造において使用した場合それらの軽量特性および低吸水性を維持することができる。パーライト粒子の粉砕および破壊により、粒子密度が有意に増加し、それによって軽量および低吸水性が減じられることが指摘されるべきである。
パーライトは、シリコーン、シランまたはシロキサンのコーティング(ジメチルシリコーン、ジメチルジクロロシランまたはポリジメチルシロキサン等)によりコートすることができる。所望されるならば、チタン酸塩またはジルコン酸塩のコーティングを用いることができる。典型的には、コーティングは、パーライト粒子のコートされていない重量の重量で0.01〜3%、より典型的には0.01〜2%の量で提供される。パーライト上のコーティングは典型的には架橋された疎水性フィルム形成性化合物である。典型的なシリコーンは一般式R−SiX3を有する有機官能性シランであり、式中、Rは、アルコキシおよびアセトキシ(アクリレート、メタクリレート、グリシドキシ、エポキシプロポキシ、エポキシシクロヘキシルおよびビニル等)からなる群から選択され、Xはハロゲン、アルコキシおよびアセトキシからなる群から選択される。
さらに、コートされた膨張パーライト充填剤粒子サイズは、化学的コーティングの適用による効果的な防水の閉鎖した細胞粒子構造の形成を可能にする。選択したコートされた膨張パーライトフィラーの使用は、低い水使用率で使用可能かつ加工可能なセメント質スラリーの調製物を可能にするのに重要である。組成中のより低い量の水は、優れた機械的特性および物理的特性を有する生産物をもたらす。パーライト粒子を防水および撥水にするために最も好ましい化学的塗料は、アルキルアルコキシシランである。オクチルトリエトキシシランは、本発明のセメント質組成と共に使用するためのパーライトのコートに最も好ましいアルキルアルコキシシランを代表する。
好ましい商業的に入手可能な化学的にコートされたパーライトフィラーの1つはSIL−CELL Silbrico Corporationから入手可能な35−23である。SIL−CELL 35−23パーライト粒子は、アルキルアルコキシシラン化合物により化学的にコートされる。他の好ましい化学的にコートされたパーライトフィラーはSIL−CELL Silbrico Corporationから入手可能な35−34である。SIL−CELL 35−34パーライト粒子も本発明のセメント質組成において有用であり、シリコーン化合物によりコートされる。DICAPERL 2010およびDICAPERL 2020は、Grefco Minerals Inc.によって生産された、本発明において好ましい他の商業用コートされたパーライトフィラー生産物である。アルキルアルコキシシラン化合物によるDICAPERL 2010パーライトは本発明のセメント質組成物において特に好ましい。シリコーン化合物によりコートされたDICAPERL 2020パーライトも本発明の組成物において有用である。
本発明のパーライトフィラーの他の非常に有用な特性は、それらが小粒子サイズおよびシリカベースの化学的性質であるために、ポゾラン特性を示すということである。それらのポゾラン挙動のために、本発明の選択されたパーライトフィラーは、セメント質結合剤と混合物中に存在する他の成分との改善された境界および向上した接着の発達が、セメント質複合物の化学耐久性および水耐久性を改善する。
さらに他の非常に重要な利益は、本発明のパーライト充填剤粒子の小サイズから生じる。本発明の選択されたパーライトフィラーは組成物中に存在する微細粒子(75ミクロン未満)の全体的な量を促進する。組成物中の微粒子の高い含有量の存在は、セメント質スラリーおよび強化繊維の間の結合を改善するのを支援するので、繊維強化構造用セメントパネルの迅速加工において非常に有用である。セメント質スラリーと強化繊維との間の改善された結合はより迅速なパネル加工スピードおよび改善された産生リカバリに結びつく。
追加の軽量フィラー/微小球
軽量フィラーとして使用されて、微小球は生産物のより低い平均密度を支援する。微小球が中空の場合、それらは時にマイクロバルーンと称される。
微小球は、それ自体が不燃性であるか、または燃焼性ならばSCPパネルを燃焼性にしないように十分に少量で添加される。本発明のパネルの作製に用いられた混合物中に含める典型的な軽量フィラーは、セラミック微小球、ポリマー微小球、ガラス微小球、および/またはフライアッシュセノスフェアからなる群から選択される。
セラミック微小球は様々な材料から製造することができ、異なる製造プロセスを使用することができる。本発明のパネル中のフィラー成分として様々なセラミック微小球を利用することができるが、本発明の好ましいセラミック微小球は、石炭燃焼副産物として生産され、石炭燃焼設備で見出されるフライアッシュの成分であり、例えばKish Company Inc.、Mentor、Ohioによって作製されるEXTENDOSPHERES−SG、またはTolsa.、Suwanee、Georgia USAによって作製されるFILLITE(登録商標)ブランドのセラミック微小球である。本発明の好ましいセラミック微小球の化学成分は、主に約50〜75重量%の範囲中のシリカ(SiO2)および約15〜40重量%の範囲中のアルミナ(Al2O3)であり、他の材料が最大35重量%である。本発明の好ましいセラミック微小球は、10〜500ミクロン(マイクロメートル)の範囲の直径、典型的には球直径の約10%の殻の厚み、および好ましくは約0.50〜0.80g/mLの粒子密度を備えた中空球状粒子である。本発明の好ましいセラミック微小球の破砕強度は、1500psi以上(10.3MPa)を超え、好ましくは2500psi(17.2MPa)を超える。
本発明のパネル中のセラミック微小球が好ましいのは、主としてそれらが大部分の合成ガラス微小球よりも約3〜10倍強いという事実に由来する。加えて、発明の好ましいセラミック微小球は熱的に安定であり、本発明のパネルに向上した寸法安定性を提供する。セラミック微小球は、一連の他の用途(接着剤、シーラント、コーキング剤、屋根ふき材化合物、PVC床張り材、塗料、工業用コーティングおよび耐高熱性プラスチック複合材等)における使用が見出される。セラミック微小球は好ましいが、本発明のパネルに低重量性および重要な物理的特性を提供するのは粒子密度および圧縮強度であるので、微小球が中空で球状であることが必要ではないことを理解すべきである。あるいは、生じたパネルが所望される性能を満たせば、多孔性不規則形状粒子で置換することができる。
ポリマー微小球は、存在するならば、典型的にはポリマー材料(ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリ塩化ビニルもしくはポリ塩化ビニリデンまたはその混合物等)から作製された殻を備えた中空球である。殻は、製造の間にポリマー殻を膨張させるために使用した気体を封入し得る。ポリマー微小球の外面はいくつかのタイプの不活性コーティング(炭酸カルシウム、酸化チタン、雲母、シリカおよびタルクなどの)を有することができる。ポリマー微小球は、好ましくは約0.02〜0.15g/mlの粒子密度を有し、10〜350ミクロン(マイクロメートル)の範囲中の直径を有する。ポリマー微小球の存在は、パネルの低密度および向上した切断性の同時達成および釘打ち性を促進し得る。
さらに、他の軽量フィラー(例えばガラス微小球、中空のアルミノ−シリケートセノスフェア、またはフライアッシュから誘導された微小球)は、本発明のパネルの作製に用いられるセラミック微小球と組み合わせて、またはその代わりに混合物中に含めるのに好適である。
ガラス微小球は、典型的には耐アルカリ性ガラス物質から作製し中空であり得る。典型的なガラス微小球は、GYPTEK INC.、Suite 135、16 Midlake Blvd SE、Calgary、AB、T2X 2X7、カナダから入手可能である。
他の化学添加物および成分
減水剤(超可塑剤等)、収縮制御剤、スラリー粘度修飾剤(増粘剤)、着色剤および内部硬化剤を含む他の添加剤は、本発明のセメント質組成物の加工可能性および用途に応じて所望されれば含まれ得る。
減水剤(超可塑剤)等の化学添加物は、本発明の組成物中に含まれ、乾燥形態または溶液形態で添加することができる。超可塑剤は混合物の水要求性を減少を支援する。超可塑剤の例は、ポリナフタレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリカルボン酸塩、リグノスルホン酸塩、メラミンスルホン酸塩および同種のものを含む。
使用される超可塑剤のタイプに応じて、反応性のセメント質粉末に対する超可塑剤(乾燥粉末ベースで)の重量比は、典型的には約2重量%以下、好ましくは約0.1〜1.0重量%、より好ましくは約0.0〜0.50重量%、および最も好ましくは約重量0.0〜0.20%であろう。したがって、例えば、超可塑剤が0.1〜1.0重量%の範囲中で存在する場合、混合物中に100ポンドのセメント質反応性の粉末ごとに約0.1〜1ポンドの超可塑剤が存在し得る。
他の添加剤(収縮制御剤、着色剤および粘度修飾剤(増粘剤)および内部硬化剤等)も、所望されるならば本発明の組成物中に添加することができる。
骨材およびフィラー
開示されたセメント質反応性粉末ブレンドは本発明のセメント質組成物の迅速凝結成分を定義するが、その意図された使用および用途に応じて、組成物中に他の材料が含まれ得ることは当業者によって理解されるだろう。
使用されるコートされた膨張パーライトの量および追加の選ばれた軽量フィラーの選択に応じて、反応性の粉末ブレンドに対する軽量フィラーの重量比は、典型的には2〜90%、好ましくは4〜50%およびより好ましくは8〜40%であり得る。
骨材の含水率は、セメント質混合物の凝結時間に悪影響を及ぼす。したがって、低い水分含有量を有する骨材およびフィラーが本発明において好ましい。
SCPパネルの配合
本発明の耐剪断性パネルの作製に使用される成分は、水硬性セメント、硫酸カルシウムα型半水化物、活性ポゾラン(シリカフューム等)、石灰、任意の中空のセラミック微小球またはガラス微小球の有無におけるコートされた膨張疎水性パーライト粒子、耐アルカリ性ガラス繊維、超可塑剤(例えばポリナフタレンスルホン酸塩のナトリウム塩)および水を含む。典型的には、水硬性セメントおよび硫酸カルシウムα型半水化物の両方が存在する。硫酸カルシウムα型半水化物がシリカフュームと共に存在しないならば、複合物の長期間耐久性が損なわれる。ポルトランドセメントが存在しない場合、水/湿気耐久性が損なわれる。少量の促進剤および/または緩結剤を組成物に加えて未熟な(すなわち硬化してない)材料の凝結特徴を制御する。典型的な非限定的添加剤は、塩化カルシウム等の水硬性セメントのための促進剤、石膏等の硫酸カルシウムα型半水化物のための促進剤、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)等の緩結剤、酒石酸または酒石酸のアルカリ塩(例えば酒石酸カリウム)、エチレングリコール等の収縮還元剤を含む。本発明のSCPパネルは追加の起泡剤を含まず、エントレインドエアを含まない。
本発明のパネルは、耐アルカリ性ガラス繊維および軽量フィラー(例えば微小球)が一様に分布する連続相を含むだろう。連続相は、反応性の粉末の水性混合物(すなわち好ましくは超可塑剤および/または他の添加剤を含む、水硬性セメント、硫酸カルシウムα型半水化物、ポゾランおよび石灰のブレンド)の硬化から生じる。
表1は、本発明の反応性の粉末(無機結合剤)中の成分(例えば水硬性セメント、硫酸カルシウムα半水化物、ポゾラン、石灰)の100容の反応性の粉末の乾燥重量に基づいた重量の割合を示す。
表1Aは、水と混合してスラリーを形成して本発明のパネルを形成するセメント質組成物中の成分(例えば反応性粉末、コートされた膨張パーライトフィラー、ガラス繊維)の100容の組成物の乾燥重量に基づいた重量の割合をリストする。
表1Bは、水と混合してスラリーを形成して本発明のパネルを形成するセメント質組成物中の成分(例えばセラミック微小球もフィラーとして使用される場合の反応性粉末、コートされた膨張パーライト、ガラス繊維)の100容の組成物の乾燥重量に基づいた重量の割合をリストする。
石灰は本発明のすべての配合において必要とされないが、石灰の添加は優れたパネルを提供することが見出されており、通常約0.2重量%を超える量で添加されるだろう。したがって、大部分の事例において、反応性粉末中の石灰の量は約0.2〜3.5)重量%であるだろう。
本発明の実施形態によれば、未燃炭素を本質的に含まない一般的に十分に不燃性のコートされた膨張パーライトが存在し、SCPパネルを燃焼性にする未燃炭素を含む中空セラミック微小球がほとんどない。
本発明の実施形態において、本発明のスラリー組成物は起泡剤を含まず、スラリーは、パネルの密度の減少にはいかなるエントレインドエアの使用も要求しない。
パネルは単層または多層として作製することができる。水についての典型的な添加率は、水に対する反応性粉末の比率がパネル密度を減少し釘打ち性を改善するように調整される場合、反応性粉末の重量の35〜70%の間にわたり、特に60%を超えて最大70%までであり、超可塑剤についての典型的な添加率は、反応性粉末の重量の1〜8%の間にわたるだろう。外層の好ましい厚みは1/32〜4/32インチ(0.8〜3.2mm)の間にわたり1つだけが使用されたときに外層の厚みはパネルの全厚みの3/8よりも小さくなる。
1つまたは複数のコア層および対向する外層を備えた多層の実施形態において、本発明のこの実施形態のコアおよび外層の両方は、上記のような(例えば表1、1Aおよび1B中の)組成物を独立して有する。
所望されるならば、少なくとも1つの外層は内層よりも高いパーセンテージガラス繊維のを有する。所望されるならば、少なくとも1つの外層は内層と比較して外層(複数可)中の水対セメントの比率の増加、および/またはフィラーの量の変化、および/または内層と比較して外層(複数可)中のポリマー微小球の量の添加、から生じた改善された釘打ち性を有する。パネルを不燃性するように、ポリマー微小球の量は十分低い。
本発明のパネルの作製
反応性粉末(例えば水硬性セメント、硫酸カルシウムα型半水化物、ポゾランおよび石灰のブレンド)および軽量フィラー(例えばコートされた膨張パーライト粒子)を、好適な製作ミキサー中で乾燥状態でブレンドする。
次いで、水および超可塑剤(例えばポリカルボキシル化エーテル)およびポゾラン(例えばシリカフュームまたはメタカオリン)を、1〜5分間他のミキサー中で混合する。所望されるならば、緩結剤(例えば酒石酸カリウム)をここで添加してスラリーの凝結特徴を制御する。乾燥成分を湿潤成分を含むミキサーへ添加し、2〜10分間の間混合して平滑な均質のスラリーを形成する。
次いで、スラリーは、一様なスラリー混合物を得る目的により、複数の方法のいずれかでガラス繊維と組み合わせる。次いで、セメント質パネルは、繊維を含むスラリーを所望される形状およびサイズの適切な型の中へ打設することによって形成される。必要であるならば、振動を型へ提供して型中の材料の良好な圧縮を得る。適切なスクリードバーまたはこてを使用して、パネルに要求される表面フィニッシング特徴を与える。
多層SCPパネルを作製する多数の方法のうちの1つは以下のとおりである。反応性粉末(例えば水硬性セメント、硫酸カルシウムα型半水化物、ポゾランおよび石灰のブレンド)およびコートされた膨張パーライト粒子を含む軽量フィラーを、好適なミキサー中で乾燥状態でブレンドする。次いで、水および超可塑剤(例えばポリカルボキシル化エーテル)およびポゾラン(例えばシリカフュームまたはメタカオリン)を、1〜5分間他のミキサー中で混合する。所望されるならば、緩結剤(例えば酒石酸カリウム)をこのステージで添加してスラリーの凝結特徴を制御する。乾燥成分および湿潤成分を10分間未満の間ミキサー中でともにブレンドして平滑な均質のスラリーを形成する。
スラリーは、一様な混合物を得る目的により、複数の方法でガラス繊維と組み合わせることができる。ガラス繊維は、典型的には短い長さへとチョップされたロービングの形態であるだろう。好ましい実施形態において、スラリーおよびチョップされたガラス繊維は、パネルの型の中へ同時に噴霧される。好ましくは、噴霧は薄い層を生産するために好ましくは最大約0.25インチ(6.3mm)の厚みまで多数のパスで行われ、それは特定のパターンを持たず1/4〜1インチ(6.3〜25.4mm)の厚みを備えた一様なパネルへと構築される。例えば、1つの用途において、3×5フィート(0.91×1.52m)のパネルは長さおよび幅の方向において6パスの噴霧で作製された。各々の層が堆積されるとき、スラリーとガラス繊維が緻密な接触を達成することを保証するためにローラーを使用することができる。層はロール処理工程後にスクリードバーまたは他の好適な手段で水平にすることができる。典型的には、圧縮空気がスラリーを霧化するために使用される。スプレーノズルから出て来るように、チョッパー機構によってロービングから切断されたガラス繊維とのスラリー混合物は、スプレーガンにマウントされる。スラリーおよびガラス繊維の一様な混合物は、パネルの型中で上記のように堆積される。
所望に応じて、ポリマー球の量が最終的なパネルを燃焼性にする量で未燃炭素を含まなければ、フレーミングへのパネルの付加に使用される締結が容易に行なわれるようにするために、パネルの外面層はポリマー球を含むか、または他の方法で構成することができる。かかる層の好ましい厚みは約1/32インチ〜4/32インチ(0.8〜3.2mm)であるだろう。パネルのコアの作製と上記された手順をパネルの外層の適用に使用することができる。
本発明のパネルを作製する他の方法は米国特許第7,445,738号(参照として本明細書に援用される)で開示した加工工程の使用による。米国特許7,445,738は移動ウェブ上にばらばらに分布したチョップド繊維またはスラリーの層のうちの1つの初回堆積後に、繊維をスラリー層上に堆積させることを開示する。埋め込み装置は直前に堆積した繊維をスラリーの中へ詰め、その後スラリーの追加層および次いでチョップド繊維を添加し、続いてさらに埋め込みを行う。所望に応じて、プロセスをボードの各層について繰り返す。完了に際して、ボードはより均一に分布した繊維成分を有しており、セメント質パネルについての先行技術生産技術中で教示されるように、それは強化繊維の厚いマットの必要性なしに比較的強いパネルをもたらす。
より具体的には、米国特許第7,445,738号は、(a.)移動ウェブを提供する工程と;(b.)ばらばらの繊維の第1の層を堆積する工程のうちの1つと(c.)ウェブ上に凝結可能なスラリーの層を堆積する工程と;(d.)スラリー上にばらばらの繊維の第2の層を堆積する工程と;(e.)スラリーの中へ繊維の第2の層を埋め込む工程と;(f.)パネル中で凝結可能な繊維増強されたスラリーの層の所望される数が得られるまで工程(c.)〜工程(d.)のスラリー堆積を反復する工程とを含む、構造用セメント質パネルを生産する多層プロセスを開示する。
図3は、米国特許第7,445,738号のプロセスの実行に好適な機器の立面図である。ここで図3を参照して、構造用パネル生産ラインは図解的に示され、一般的に310と示される。生産ライン310は、複数の脚313または他の支持を有する支持フレームまたは形成テーブル312を含む。支持フレーム312上に含まれているのは、移動キャリアー314(平滑な水を通さない表面を備えた端の無いゴム様のコンベヤーベルト等)であるが、多孔性表面が意図される。当該技術分野において周知のように、支持フレーム312は少なくとも1つのテーブル様のセグメントから作製することができ、それは指定の脚313を含み得る。支持フレーム312は、フレームの遠位端部318で主要駆動ロール316、およびフレームの近位端部322でのアイドラロール320も含む。さらに、少なくとも1つのベルトのトラッキングおよび/または伸張の装置324は、ロール316および320上のキャリアー314の所望される張力およびポジショニングの維持のために好ましくは提供される。
さらに、好ましい実施形態において、クラフト紙、剥離紙のウェブ326、および/または凝結の前にスラリーを支持するためにデザインされた支持材料の他のウェブを、当該技術分野において周知のように、キャリアー314上に提供および敷設して、キャリアーを保護および/または清浄に維持することができる。しかしながら、本ライン310によって生産されたパネルは、キャリアー314上に直接形成されることも意図される。後者の状況において、少なくとも1つのベルトの洗浄ユニット328が提供される。キャリアー314は、当該技術分野において公知のように、主要駆動ロール316を駆動するモータ、滑車、ベルトまたは鎖の組み合わせによって支持フレーム312に沿って動かされる。キャリアー314のスピードを変動させて用途に適合させることが意図される。
図3の機器において、構造用セメント質パネル製造は、ウェブ326上へのばらばらのチョップド繊維330の層の堆積またはスラリーの層の堆積のうちの1つによって開始される。スラリーの第1の堆積前に繊維330を堆積するという利点は、繊維が生じたパネルの外面の近くで埋め込まれることである。繊維を堆積しチョップする様々な装置が本ライン310によって意図されるが、好ましいシステムは、繊維ガラスコードの複数のスプール332を保持する少なくとも1つのラック331を用い、その各々から、繊維のコード334は、チョッピングステーションまたは機器(チョッパー336とも称される)に供給される。
チョッパー336は回転ブレード付きロール338を含み、それからはキャリアー314の幅にわたって横切って延長される半径方向延長ブレード340が突出し、それはアンビルロール342と密接した接触の回転関係性で配置される。好ましい実施形態において、ブレード付きロール338およびアンビルロール342は、ブレード付きロール338の回転がアンビルロール342も回転させるように比較的密接な関係性で配置されるが、その逆も意図される。さらに、アンビルロール342は好ましくは弾性のある支持体材料で覆われており、それに逆らってブレード340はコード334をセグメントへとチョップする。ロール338上のブレード340の間隔は、チョップド繊維の長さを決定する。図3において理解されるように、チョッパー336を近位端部322の近くのキャリアー314上に配置して、生産ライン310の長さの生産使用を最大にする。繊維コード334がチョップされるとともに、繊維330はキャリアーウェブ326にばらばらに落下する。
次いで、スラリー供給ステーションまたはスラリーフィーダー344は、遠方の混合ロケーション347(ホッパー、ビンまたは同種のもの等)からスラリー346の供給を得る。プロセスがキャリアー314上のスラリーの初回堆積から始めることができるようにも意図される。スラリーは、変動量のポルトランドセメント、石膏、骨材、水、促進剤、可塑剤、起泡剤、フィラーおよび/または他の成分、ならびに上記されたもの、ならびにSCPパネルの生産ために参照として援用された上でリストした特許におけるものから好ましくはなる。上記のもののうちのいくつかの除外または他の物の追加を含むこれらの成分の相対量は、使用に適合させるために変動させることができる。
移動キャリアー314上にスラリー346の薄い層を均一に堆積するスラリーフィーダー344の様々な立体配置が意図されているが、好ましいスラリーフィーダー344は、キャリアー314の移動の方向に横切って配置された主要計量ロール348を含む。コンパニオンロールまたはバックアップロール350を、計量ロール348に密接した並行の回転関係性で配置して、ニップ352をその間に形成する。1対の側壁354、好ましくはこびりつかない材料(テフロン(登録商標)ブランド材料または同種のもの等)は、ニップ352の中へ注がれたスラリー346がフィーダー344の側面から漏れることを防止する。
フィーダー344は、移動キャリアー314またはキャリアーウェブ326上にスラリー346の均一で比較的薄い層を堆積させる。好適な層の厚みは約0.05インチ〜0.20インチで変動する。しかしながら、本プロセスによって生産された好ましい構造用パネルにおいて4層が好ましく、好適な建築物パネルは約0.5インチであることにより、特に好ましいスラリー層厚みは約0.125インチである。
ここで図3および4を参照して、上記のようなスラリー層の厚みを達成するために、複数のフィーチャがスラリーフィーダー344へ提供される。最初に、全体のウェブ326にわたってスラリー346の一様な配置を確実にするために、スラリーは、当該技術分野において周知のタイプの、横に往復運動しケーブル駆動で液体動力のディスペンサー358中に位置するホース356を通してフィーダー344に送られる。そして、ホース356からのスラリーフローは、ロール348、350および側壁354によって画成されたリザーバー359を充填する横の往復運動で、フィーダー344の中へ注がれる。そして、計量ロール348の回転はリザーバーからスラリー346の層を引き出す。
次いで、厚みモニタリングロールまたは厚み制御ロール360を、主要計量ロール348の垂直な中心線のわずかに上および/またはわずかに下流に配置して、主要計量ロール348の外面362上の、フィーダーリザーバー357から引き出されたスラリー346の厚みを調節する。さらに、厚み制御ロール360は、異なる粘度および絶えず変化する粘度を備えたスラリーの取り扱いを可能にする。主要計量ロール348は、キャリアー314およびキャリアーウェブ326の移動方向と同じ方向の移動「T」で駆動され、主要計量ロール348、バックアップロール350および厚みモニタリングロール360はすべて同じ方向で回転自在に駆動され、それはそれぞれの移動する外面上のスラリーの早期凝結についての機会を最小限にする。外面362上のスラリー346がキャリアーウェブ326に向かって移動するにつれて、主要計量ロール348とキャリアーウェブ326との間に位置して横切るストリッピングワイヤ364は、スラリー346がキャリアーウェブ上に完全に堆積され、ニップ352およびフィーダーリザーバー359に向かって後ろに進まないことを確実にする。ストリッピングワイヤ364は、スラリーが時期尚早に凝結しないように主要計量ロール348を保つことも支援し、スラリーの比較的一様な幕を維持する。
第2のチョッパーステーションまたは機器366(好ましくはチョッパー336と同一)をフィーダー344の下流に配置して、スラリー346上に繊維368の第2の層を堆積する。好ましい実施形態において、チョッパー機器366は、チョッパー336を供給する同じラック331からコード334を与えられる。しかしながら、用途に応じて、個別のチョッパーに個別のラック331を供給できることが意図される。
ここで図3および5を参照して、次いで、埋め込み装置(一般的に370と示される)を、スラリー346および生産ライン310の移動キャリアー314に対して操作的関係性で配置して、スラリー346の中へ繊維368を埋め込む。バイブレータ、シープスフートローラーおよび同種のものを含むがこれらに限定されない様々な埋め込み装置が意図されているが、好ましい実施形態において、埋め込み装置370は、フレーム312上にキャリアーウェブ326の移動「T」の方向に対して横切ってマウントされた少なくとも1対の一般的に平行なシャフト372を含む。シャフト372は各々、小さな直径ディスク376によってシャフト上に互いから軸方向に分離される複数の比較的大きな直径ディスク374と共に提供される。
SCPパネル製造の間に、シャフト372およびディスク374、376は、シャフトの縦軸のまわりでともに回転する。当該技術分野において周知のように、シャフト372の1つまたは両方のいずれかに動力を供給することができ、1つだけに動力が供給されるならば、他のものをベルト、鎖、ギア駆動または他の公知の動力伝達技術によって駆動して駆動ロールに対応する方向およびスピードを維持することができる。隣接し好ましくは平行なシャフト372のそれぞれのディスク374、376は、「練る」または「もむ」行為を生じるために、それぞれが互いに噛み合わされ、それは以前にその上に堆積された繊維368を埋め込む。加えて、ディスク372および374の密接して互いに噛み合わされた回転関係性は、ディスク上のスラリー346の蓄積を防止し、有効に「セルフクリーニング」行為を生じ、このことは、スラリーのクランプの時期尚早の凝結に起因する生産ラインのダウンタイムを有意に減少する。
シャフト372上のディスク374、376の互いに噛み合わされた関係性は、小さな直径のスペーサーディスク376および比較的大きな直径の主要ディスク374の周囲で対向する密接した配置を含み、これもセルフクリーニング作用を促進する。ディスク374、376が隣接して互いに対して回転するにつれて(しかし好ましくは同じ方向において)、スラリーの粒子が機器中で捕らえられることおよび時期尚早に凝結することが難しくなる。互いと比較して横に補われる2セットのディスク374の提供によって、スラリー346は「練る」行為を生じる複数の破壊行為にかけられ、それはさらにスラリー346中に繊維368を埋め込む。
一旦繊維368が埋め込まれたら、または言いかえれば、移動キャリアーウェブ326が埋め込み装置370を通過するにつれて、SCPパネルの第1の層377は完成する。好ましい実施形態において、第1の層377の高さまたは厚みは0.05〜0.20インチの近似範囲中である。この範囲は、SCPパネルにおいて類似の層と組み合わせた場合所望される強度および剛性を提供することが見出されている。
所望される厚みの構造用セメント質パネルを構築するために、追加層は必要である。その目的のために、第2のスラリーフィーダー378(それはフィーダー344と実質的に同一である)は、移動キャリアー314に対して操作的関係性で提供され、既存層377上へのスラリー346の追加層380の堆積のために配置される。
次いで、追加のチョッパー382(チョッパー336および366と実質的に同一)をフレーム312に対して操作的関係性で提供して、類似した様式でフレーム312に対して構築および配置されたラック(図示せず)からラック331に提供された繊維384の第3の層を堆積する。繊維384はスラリー層380上に堆積され、第2の埋め込み装置386を使用して埋め込まれる。埋め込み装置370に構築および構成が類似して、第2の埋め込み装置386は、第1の層377が妨害されないように、移動キャリアーウェブ314と比較してわずかに高くマウントされる。この様式で、スラリーおよび埋め込まれた繊維の第2の層380を作成する。
ここで図3を参照して、凝結可能なスラリーおよび繊維の各々の連続した層と共に、追加のスラリーフィーダーステーション378、402、続いて繊維チョッパー382、404、および埋め込み装置386、406は、生産ライン310上に提供される。好ましい実施形態において、合計4層(例えば参照、図2のパネル21)が提供されて、SCPパネルを形成する。上記されるような繊維が埋め込まれた凝結可能なスラリーの4層の配置に際して、好ましくは形成装置394をフレーム312に提供して、パネルの上部表面396を形作る。かかる形成装置394は凝結可能なスラリー/ボードの生産技術分野で公知であり、典型的にはバネ荷重プレートまたは振動プレートであり、それらは多層パネルの高さおよび形状を一致させて所望される寸法の特徴に適合させる。
作製されたパネルは、凝結に際して、一体の繊維強化された塊を形成する多層(例えば図2のパネル21の層22、24、26、28を参照されたい)を有する。もし以下に開示および記載されるように、各々の層中の繊維の存在および配列が、特定の所望されるパラメータによって制御され、その内に維持されるならば、パネルを薄片に裂くのは実質的には不可能だろう。
このポイントで、スラリーの層は凝結し始め、それぞれのパネルは切断装置398によって互いから分離され、それは好ましい実施形態においてウォータージェットカッターである。移動ブレードを含む他の切断装置は、それらが本パネル組成物において好適にくっきりした縁部を生じることができるならば、この操作に適していると判断される。所望される長さを有してパネルが生産されるように、切断装置398はライン310およびフレーム312と比較して配置され、それは図3中で示される表示とは異なり得る。キャリアーウェブ314のスピードが比較的遅いので、切断装置398をマウントしてウェブ314の移動の方向に垂直に切断することができる。より迅速な生産速度では、かかる切断する装置は、生産ライン310に対してウェブ移動の方向の角度でマウントされることが公知である。切断と同時に、当該技術分野において周知のように、分離されたパネル321は、さらなる取り扱い、パッケージング、保存および/または出荷のために積み重ねられる。
繊維およびスラリーの層の数、パネル中の繊維の体積分率、ならびに各々のスラリー層の厚み、ならびに繊維ストランド直径は、繊維埋め込み効率に影響を及ぼす。以下のパラメータが同定された。
νT=複合物の全体積
νs=パネルスラリーの全体積
νf=パネル繊維の全体積
νf,l=繊維の全体積/層
νT,l=複合物の全体積/層
νs,l=スラリーの全体積/層
Nl=スラリー層の全数;繊維層の全数
Vf=パネル繊維の全体積分率
df=個別の繊維ストランドの等価直径
lf=個別の繊維ストランドの長さ
t=パネル厚み
tl=スラリーおよび繊維を含む個別の層の全厚み
ts,l=個別のスラリー層の厚み
nf,l,nf1,l,nf2,l=繊維層中の繊維の全数
スラリーおよび繊維層の等しい数からなるパネルを想定されたい。別個のスラリー層にわたって堆積されている繊維ネットワークの層の射影繊維表面積分率
は、以下の数学的関係によって与えられる。
式中、Vf はパネル繊維の全体積分率であり、t はパネルの全厚みであり、
df は繊維ストランドの直径であり、Nl は繊維層の全数であり、ts,l は使用されている別個のスラリー層の厚みである。
したがって、良好な繊維埋め込み効率を達成するために、目的関数は、特定の臨界値より下の繊維表面積分率を維持するようになる。方程式中に現われる1つまたは複数の変数を変動させることによって、射影繊維表面積分率を調整して、良好な繊維埋め込み効率を達成することができる。
射影繊維表面積分率の規模に影響を与える異なる変数が同定され、アプローチから、良好な繊維埋め込み効率を達成するために「射影繊維表面積分率」の規模を調整することが示唆される。これらのアプローチは、臨界閾値より下の射影繊維表面積分率を維持するために1つまたは複数の以下の変数を変動させることを含む。別個の繊維およびスラリー層の数、別個のスラリー層の厚みならびに繊維ストランドの直径。
射影繊維表面積分率の好ましい規模は以下のとおりであることが見出された。
デザインパネル繊維体積分率(Vf)について、射影繊維表面積分率の前述の好ましい規模の達成は、1つまたは複数の以下の変数を調整することによって可能にすることができる。別個の繊維層の全数、別個のスラリー層の厚みおよび繊維ストランド直径。特に、射影繊維表面積分率の好ましい規模をもたらすこれらの変数の所望される範囲は、以下のとおりである。
多層SCPパネル中の別個のスラリー層の厚み、ts,l
別個のスラリー層の好ましい厚み、ts,l≦0.30インチ
別個のスラリー層のより好ましい厚み、ts,l≦0.20インチ
別個のスラリー層の最も好ましい厚み、ts,l≦0.08インチ
多層SCPパネル中の別個の繊維層の数、Nl
別個の繊維層の好ましい数、Nl≧4
別個の繊維層の最も好ましい数、Nl≧6
繊維ストランド直径、df
好ましい繊維ストランド直径、df≧30テックス
最も好ましい繊維ストランド直径、df≧70テックス
特性
本発明のSCPパネル金属フレームシステムは、表2A〜2Fでリストされた特性の1つまたは複数を好ましくは有する。特性は表中で示される用途向けの1/2インチ(12.7mm)を超える厚みを備えたパネルのためのものである。
典型的には本発明のパネルは、1リニアフィートあたり少なくとも200ポンド、好ましくは1リニアフィートあたり720ポンド(リニアメートルあたり1072kg)の公称ラッキング剪断強度(剪断強度)を有する。金属フレーミングで機械的におよび/または接着的に横に補強された3/8〜3/4インチ(9〜19mm)、例えば1/2インチ(12.5mm)厚のCPパネルを有するシステムは、ASTM E−72に従って試験された場合に、典型的には200〜1200または400〜1200または800〜1200ポンド/リニアフィートの公称壁剪断能(公称ラッキング剪断強度としても公知)を有する。破損が起こる前に、典型的には本発明の剪断パネルは720ポンド/フィート(1072kg/m)の公称ラッキング剪断強度(剪断強度)を有する。例えば、壁に使用された場合、典型的には適切な金属スタッド、締結、スタッド間隔および締結間隔を使用して、ASTM E72試験によって測定された0.5インチ(12.7mm)の厚みパネルの公称ラッキング剪断強度は、リニアフィートあたり少なくとも720ポンド(リニアメートルあたり1072kg)である。
公称ラッキング剪断強度を測定して、パネルが破損のない可能なたわみ内で耐えることができる荷重を決定する。剪断レーティングは、一般的に3つの同一の8×8フィート(2.44×2.44m)のアッセンブリ(すなわちフレーミングに留められたパネル)の試験に基づく。1つの縁部を適所に固定するが、もはや荷重が保持されずアッセンブリが破損するまで、アッセンブリの自由端部に横力を適用する。測定される剪断強度は、パネルの厚み、およびアッセンブリにおいて使用される釘のサイズおよび間隔に応じて変動するだろう。例えば、典型的なアッセンブリ(例えば、公称1/2インチ(12.7mm)厚の合板は、16インチ(406.4mm)離れた間隔で配置された公称2×4インチ(50.8×101.6mm)の木製間柱に8d釘(下記の釘の記述を参照されたい)により留められ(中心上で)、釘は、境界線上に6インチ(152.4mm)離れておよび境界線内に12インチ(304.8mm)離れた間隔で配置されている)は、破損が起こる前に720ポンド/フィート(1072kg/m)の剪断強度を示すことが予想される。(ASTM E72試験が提供するように、釘のサイズおよび間隔が変化すると測定される強度が変動することに注目されたい。)この極限強度は安全係数(例えば3の係数)により減少されて、パネルのために剪断強度のデザインを設定する。
以下の例は、典型的な配合で中空セラミック微小球の部分的な置換または全置換として、微細コートされた膨張パーライトをSCPパネルに使用する性能および利益を説明する。すべての混合物は、全セメント結合剤の重量で、乾燥ベースで、65、22、12および1%の割合で、それぞれ硫酸カルシウムα型半水化物、ポルトランドセメント、シリカフュームおよび石灰からなる反応性粉末のセメント結合剤を含む。セラミック微小球のみを含む従来のSCP配合では、中空微小球フィラー対結合剤の比率は、重量で典型的には0.44:1.00である。
微細コートされた膨張パーライトおよび任意のセラミック微小球による本発明の配合では、パーライト対セラミック微小球対結合剤の比率は重量で0.053:0.20:1.00である。それは微細コートされた膨張パーライトフィラーをのみ使用する本発明の好ましい配合では、パーライト対結合剤の比率は重量で約0.07〜0.15:1.00の範囲内である。従来のSCP配合中で中空セラミック微小球の部分的置換または全置換として微細膨張パーライトを使用することによって引き起こされた性能および利益を説明する実施例が提供される。パーライトはSilbrico Corporation of Hodgkins、IL 60525からのSIL−CELL 35−23のパーライト粒子であり、アルキルアルコキシシラン化合物によりコートされる。本明細書において記載され、以下の実施例中で使用されるすべての混合物は、全セメント結合剤の重量で、乾燥ベースで、65、22、12および1%の割合で、それぞれ硫酸カルシウムα型半水化物、ポルトランドセメント、シリカフュームおよび石灰の反応性粉末のセメント結合剤を含む。
水対セメント結合剤が0.57:1.00の重量比で使用される従来のSCP配合とは対照的に、本発明における水対反応性粉末セメント結合剤の重量比はパーライトおよびセラミック微小球配合については0.47:1.00であり、コートされた膨張微細なパーライトが使用されセラミック微小球フィラーがない好ましい配合については0.44:1.00である。添加剤(水要求性の制御のための超可塑剤(ポリカルボン酸塩エーテル)および凝結制御のための酒石酸等)は、特定の実験の目的に従って変動させた。
実施例は、パーライト配合がどのように多数の性能要求事項に対して挙動するか、この配合をどのように特定の特性のためにセラミック微小球を使用するオリジナルの配合に対して類似させるかまたはより良好にすることができるかを示す。各々の実施例に関連する実験的な手順は、実施例により簡潔に記載される。「パーライト」という用語が使用される場合はいつでも、それは、1〜150μmの粒子サイズ範囲で、約20〜60μm(例えば40μm)の範囲中の中央粒子サイズを備え、シランコートにより処理された膨張パーライトを指す。略称「MS」はセラミック微小球を記載するために使用される。
実施例1
本実施例は、フィラーとしてセラミック微小球(MS)を用いるオリジナルの混合物中に異なる量のパーライトを含む混合物のスラリー特性を示す。対象となる典型的なスラリー特性は異なる時期(7、14および28日)でのスランプ、スラリー密度および凝結時間および圧縮強度である。すべての混合物成分を、混合の前に少なくとも24時間75〜80°Fで密封したビニール袋中で実験室条件に前条件付け、続いて中間スピードでHobartミキサーを使用してそれらを混合して一様な分散物を達成した。セメント結合剤およびフィラーを含む乾燥粉末は、実施例の項目下で、上で示された量の割合にした。超可塑剤を、セメント結合剤の重量で、MSの混合物については0.41%、部分的パーライト混合物については0.47%、および全パーライト混合物については0.53〜0.56%の用量で添加した。酒石酸は特定の実験に応じて変動用量で添加した。
スランプは、対象の混合物を含む4’’(10.2cm)の高さ×2’’(5.1cm)の直径の真鍮シリンダを充填すること、シリンダの上端をスクリーディングして過剰な材料を除去すること、5秒以内にシリンダを垂直に引き上げてスラリーが広がるようにすること、および形成されたスラリーパティーの直径を測定することによって測定した。スランプ密度は、混合物を含む6’’(15.2cm)高×3’’(7.6cm)直径のプラスチックシリンダを充填すること、シリンダの上端をスクリーディングして過剰な材料を除去すること、およびシリンダ中の材料の量を計量することによって測定した。シリンダの体積は既知であるので、次いでスラリーの密度を計算した。初期凝結時間および最終凝結時間はASTM C 266によってギルモア針を使用して決定し、一方圧縮強度はASTM C 109に従って2’’(5.1cm)の立方体で決定した。
様々なキャスト期日についての本実施例中に記載された混合物のスランプが、図6中に示される。特に、図6は、セラミック微小球、部分的パーライトおよび全パーライト(MS=微小球、部分的=部分的パーライト、全=全パーライト)を使用して調製された配合のスランプを示す。重量パーセントとしての酒石酸用量は、セメント結合剤の棒の上の値によって示される。
第1の2つの棒は、混合物のスランプをセラミック微小球(MS)および部分的パーライト(Part)で比較する。
残りの棒は、異なるキャスト期日の各々についての混合物のスランプをセラミック微小球(MS)および全パーライト(全)で比較する。全体として、添加剤の量に過剰な調整を要求せずに、MSによる配合と同程度の初期流動性および実行可能性のパーライト配合を作製できることは理解される(時間による流動性の変化は実施例2でカバーされる)。本明細書中に記載されるセメント結合剤の割合と混和剤の組み合わせを通して、使用可能な混合物を作製することができる。
図6でカバーされたスラリーの密度を図7中に示す。特に、図7は、セラミック微小球、部分的パーライトおよび全パーライト(MS=微小球、部分的=部分的パーライト、全=全パーライト)を使用して調製された配合のスラリー密度を示す。重量パーセントとしての酒石酸用量は、セメント結合剤の棒の上の値によって示される。本明細書中に記載されるセメント結合剤の割合と混和剤の組み合わせを通して、MSフィラーを含むオリジナルの混合物と同じ範囲の密度の混合物を、割合として作製できることができることが理解される。SCPパネルの商業的生産において、78〜83pcfの範囲中の密度を備えたスラリーが通常は得られる。
凝結時間は、ASTM C 266によるギルモア針を使用する初期凝結および最終凝結の期間で通常評価される。比較の目的のために、図6および7でカバーされた混合物について図8中に示される初期凝結のみがここで図示される。特に、図8は、セラミック微小球、部分的パーライトおよび全パーライト(MS=微小球、部分的=部分的パーライト、全=全パーライト)を使用して調製された配合の初期凝結を示す。重量パーセントとしての酒石酸用量は、セメント結合剤の棒の上の値によって示される。
一般に、パーライト(特に全パーライト)を含む混合物は、セメント結合剤のパーセント重量で酒石酸の用量を固定した場合、MSの混合物と比較して、より迅速に凝結する傾向があった。しかしながら、実際の凝結挙動は酒石酸のこの用量の調節によって修飾することができる。
立方体の圧縮強度は、初期キャスト後の様々な時期(7、14および28日)で通常評価される。比較の目的のために、図6〜8でカバーされた混合物について図9中に示される28日の圧縮強度のみがここで図示される。特に、図9は、セラミック微小球、部分的パーライトおよび全パーライト(MS=微小球、部分的=部分的パーライト、全=全パーライト)を使用して調製された配合の28日の圧縮強度を示す。図6〜9の日付けは、棒の上の値によって示されたセメント結合剤の重量パーセントとしてのこの酒石酸用量を反映する。
部分的パーライト混合物について、その強度はMS混合物のものと同じ範囲であった。全パーライト混合物については、試験結果においてより多くの変動があり、複数の事例において対応する対照混合物よりも高かった。SCP生産のための標的スラリー圧縮強度は28日で2500psiであり、本明細書において評価されたすべての混合物はそれを越える。
全体として、この実施例において示されるように、従来使用されたMSフィラーについて部分的置換または全置換のいずれかとして、本発明の膨張したコートされたパーライトフィラーを含む配合について一般に測定されるスラリー特性(スランプ、密度、凝結時間および圧縮強度)を調節して、SCPパネルの作製のために従来使用された配合と同じ特性を提供することができる。超可塑剤および酒石酸の用量の小さな調整を行って、実際の生産条件に特有のパーライト混合物を調整することができる。
実施例2−スラリースランプロス挙動
SCPパネルの製造における重要な1つの材料特性はスラリーのスランプロスである。通常、比較的高いスラリー流動性は、スラリーが混合および形成される形成ラインの初期ステージにおいて所望され、その一方で硬く非常に低い流動性(好ましくは既に凝結)の材料が、SCPパネルが切断されカートに移される形成ラインの後半ステージにおいて所望される。それゆえ、スランプロスのより高い率を備えた混合物がより所望される。
この実施例において、5つの混合物を酒石酸の変動含有量で評価した(MSを含むもの2つおよび全パーライトを含むもの3つ)。これらの混合物についてのセメント結合剤の割合は上記のようであり、超可塑剤を、MS混合物および全パーライト混合物について、セメント結合剤の重量でそれぞれ0.45%および0.56%の含有量で添加した。酒石酸を、2つのMSの混合物について、セメントの重量で0.008および0.02%の用量で、ならびに全パーライト混合物について、セメントの重量で0.01、0.02および0.03%の用量で添加した。これらの5つの混合物について、スランプロスおよび初期凝結を測定し、この挙動は図10a、b中で示される。特に、図10(a)および10(b)は、酒石酸の変動用量でのMS混合物および全パーライト混合物のスランプロス挙動を示す(横座標上のデータポイントは、スラリーにおいて初期凝結が行なわれた時間を表わす)。
図10aは各々の混合物についてのスランプvs時間挙動を示し、一方図10bは各々の混合物についてのその初期値のパーセンテージとしてのスランプvs時間を示す。横座標上の特異的なデータポイント(すなわちスランプ=0で)は、初期凝結が行なわれた時点を表わす。類似した用量の酒石酸が使用された場合、全パーライト混合物が、MS混合物よりもわずかにより早く凝結する傾向があることはここで理解される。恐らくより重要なことは、MSの混合物よりもより迅速な率で全パーライト混合物にスランプロスが起こったということ、およびこのスランプロスは添加された酒石酸の量にほとんど非感受性だったということである。このより高いスランプロス率は、形成および繊維埋め込みのためにより高い初期流動性、続いて最終段階操作のための材料の迅速な硬直を可能にするので、先に記載されるように製造するために有益である。加えて、より高いスランプロス率は、より迅速な製造スピードが達成可能であり得ることも示唆する。
実施例3−繊維強化パネルの屈曲性能
この実施例において、ガラス繊維強化セメントパネルは、パネル屈曲性能の評価のために、部分的パーライト配合および全パーライト配合を使用して作製された。セメント結合剤およびフィラーからなる乾燥粉末(CM、部分的パーライトまたは全パーライト)を、「記述」下で記載された比率に従って1回分にした。チョップされたARガラス繊維を、パネル中にもたらされる繊維含有量が体積で2.5%になるように、混合物に添加した。パネルは、スラリースプレーノズルに付加されたカッターを通してチョップされたガラス繊維も分注しながら、スプレーノズルを通してスラリーを送達するXY機器を使用して作製された。スラリーのフローおよび繊維のチョップ率は、生産物中でもたらされる繊維含有量が体積で2.5%であるようにキャリブレーションされた。3×6フィート(3’×’6)(0.91m×1.8m)パネルを生産し、6’’×12’’(15.2cm×30.5cm)の試料をこれらのパネルから鋸で切断した。パネルからの切断に続いて、試料は、14日または28日のいずれかのASTM C 1185に従う試験まで、湿潤硬化させた。各々の試験セットは6つの重複した試料からなっていた。合計2ラウンドのパネルを再現のために作製した。
構造用パネルの屈曲性能は、強度および剛性という2つの主要パラメータを介して特徴づけられる。生産されたパネルの変動する厚みに起因して、ここで様々な混合物は、これらのパラメータが試料寸法に関して正常化されるように、破壊係数(MOR)および見かけの弾性係数(AMOE)に基づいて比較される。図11(a)、(b)は、2ラウンドで作製されたパネルについての14日目のMORおよびAMOEを示す。特に、図11(a)および11(b)は、セラミック微小球、部分的パーライトおよび全パーライト(MS=微小球、部分的=部分的パーライト、全=全パーライト)を使用して作製された14日目のパネルでの屈曲性能を示す。
図12(a)、(b)は、2ラウンドで作製されたパネルについての28日目のMORおよびAMOEを示す。特に、図12(a)および12(b)は、セラミック微小球、部分的パーライトおよび全パーライト(MS=微小球、部分的=部分的パーライト、全=全パーライト)を使用して作製された28日目のパネルでの屈曲性能を示す。データセットについての95%の信頼範囲も棒上に示される。混合物中でのMSの部分的置換または全置換のパーライトにより、パネルにおいて類似またはより高い屈曲強度(MOR)を達成できることが理解される。これらの結果は、フィラーとしてのパーライトの存在下において、セメントマトリックスおよび繊維が、適切な境界面特性および複合物挙動をさらに生じることができたことを示す。屈曲剛性(AMOE)に関して、いくぶん多くの変動が試験データにおいて観察された。全体として、パーライト混合物はMS混合物におけるものと同じ範囲のAMOEを示し、試験されたすべての混合物について類似したマトリックス剛性を示した。これらの結果は、フィラーとしてパーライトを含む配合を、MSの部分的置換または全置換のいずれかで、類似した屈曲性能を保持するパネルを生産するために割合として作製できることを実証する。参考のために、床シージング用途のための最小限の規格要求事項はMORについて1288psiであり、これは、ICC−ES Acceptance Criteria AC−318およびASTM C 1705基準において確立されるように、3/4インチのピックパネルについて1450ポンドフォース−インチ/フィートの最小限のモーメント能力に対応する。AMOEについて最小限の規格要求事項は529ksiであり、これは、ICC−ES Acceptance Criteria AC−318およびASTM C 1705基準において確立されるように、3/4インチのピックパネルについて223,000ポンドフォース−インチ2/フィートの曲げ剛性に対応する。試験されたすべてのサンプルはこれらの規格を越えた。
実施例4−湿潤耐久性
実施例3において記載されていたパネルから、試料が湿潤耐久性試験のためにも得られた。この試験は、6’’×12’’の試料を室温の水中で48時間浸漬すること、続いて28日間硬化させること、次いでASTM C 1185によって屈曲性を試験することを含む。次いで、湿潤から乾燥の屈曲強度の比率は湿潤耐久性として計算され、典型的な床シージングパネル規格は最小で70%の強度保持を要求する。図13は、2つの試験ラウンドにおける様々な混合物についての湿潤MORを示す。特に、図13は、セラミック微小球、部分的パーライトおよび全パーライト(MS=微小球、部分的=部分的パーライト、全=全パーライト)を使用して作製されたパネルの48時間の浸漬後のMORを示す。
ここで、パーライトを含むパネルが対照パネルよりも高いMORを一貫して示したことが理解される(ほとんど10〜20%の差異)。評価した6枚のパネルについて、これらのパネルの湿潤強度保持を、(湿潤MORの平均)/(28日目の乾燥MORの平均)×100%として計算し、表3中で示す。この表は、配合中にコートされたパーライトを備えたパネルがより高い湿潤強度保持を有していたことを示し、パーライト配合においてより高い疎水性があることが示唆される。より高い強度保持は、現場での輸送および取り付けの間等の湿った条件に曝露されるパネルについて特に有利である。
図14は、セラミック微小球、部分的パーライトおよび全パーライト(MS=微小球、部分的=部分的パーライト、全=全パーライト)を使用して作製されたパネルの48時間の浸漬後のAMOEを示す。製品規格の一部ではないが、図14の湿潤AMOE値に基づいた剛性保持も計算し、表4中に示した。パーライト混合物はMS混合物に比較してより高い剛性保持値を有することが重ねて理解される。
表3中で示されるように、本発明の配合についての湿潤屈曲強度保持値はすべて70%を超え、それは、ICC−ES Acceptance Criteria AC−318およびASTM C 1705規格において確立されるような最小限の規格である。
実施例5−凍結融解耐久性
第1の生産ラウンドの間作製されたパネルから、試料がASTM C 1185による凍結融解試験のためにも得られた。この試験は、最初に試料(6’’×12’’)(15.2×30.5cm)を室温の水中に48時間浸漬すること、それらをシールすること、試験方法において規定された温度−時間レジームに従う凍結融解の50回の交互のサイクルにそれらをかけること、次いで水中で再び48時間浸漬すること、および屈曲性の試験をすることを含む。次いで、50回の凍結融解サイクルの完了後の強度を、室温水中で48時間の浸漬にのみ曝露された対照試料の強度(実施例4)と比較する。強度および剛性の保持値を計算し、表5−1中で示した。保持値は約100%以上で一般的に優れており、性能の損失がないことを示す。強度保持について、典型的な商業的規格値は75%であり、すべての混合物ははるかにそれを越える。
表5−1中で示されるように、本発明の配合についての湿潤屈曲強度保持値はすべて75%を超え、それは、ICC−ES Acceptance Criteria AC−318およびASTM C 1705規格において確立されるような最小限の規格より上である。
実施例6−長期間耐久性
試料は、第1の生産ラウンドからパネルからASTM C 1185による長期間耐久性試験のために調達された。この試験は、試料(6’’×12’’)(15.2×30.5cm)を140°F水中で56日間浸漬すること、続いてそれらの屈曲性を試験することを含む。次いで、湯への浸漬完了後の強度を、室温水中で48時間の浸漬にのみ曝露された対照試料の強度(実施例4)と比較する。問題のパネルについて、強度および剛性の保持値を計算し、表6−1中で示した。保持値は90%を超える値で一般的に優れていた。強度保持について、典型的な規格値は75%であり、パーライト配合を含むすべての混合物ははるかにそれを越える。
表6−1中で示されるように、本発明の配合は屈曲強度保持値で75%を超え、それは、ICC−ES Acceptance Criteria AC−318およびASTM C 1705規格において確立されるような最小限の規格である。
実施例7−側面締結抵抗性
生産の第2ラウンドの間作製されたパネルから、4’’×12’’(10.2cm×30.5cm)の試料を側面締結抵抗性の試験のために調達し、この試験は、側面締結の牽引に起因する剪断に対するパネル縁部の抵抗性を測定する。この特性は床パネルの剪断隔壁挙動のための重要な特性である。この評価のためにここで採用された具体的な手順は、試料の4’’(10.2cm)縁部から1/2’’(1.3cm)の距離で試料において1/4’’(0.64cm)の穴を空けることからなっていた。次いで、1/4’’(0.64cm)のシャンクを備えた鋼板を、試料の孔の中へ挿入されたシャンクにより試料にマウントした。次いで、鋼板および試料のアッセンブリを牽引して離し、1/2’’(1.3cm)のカバーにわたって試料を破損させる。破壊プロセスの間に記録された最大荷重を側面締結抵抗性として記録した。この試験は乾燥条件および湿潤条件(48時間の浸漬)の試料に対して行なった。この試験からの結果は、乾燥試料について図15および湿潤試料について図16中で示される。各々の試験セットは10の重複した試料からなっていた。図15は、セラミック微小球、部分的パーライトおよび全パーライトを使用して作製されたパネルからの試料についての乾燥側面締結抵抗性を示す。図16は、セラミック微小球、部分的パーライトおよび全パーライトを使用して作製されたパネルからの試料についての湿潤側面締結抵抗性を示す。
試験データの全体的な変動が図15および16から指摘され、これは測定された荷重に直接影響を与えた変動す試料厚の変動のためであった。平均試料厚もグラフ上に示される。しかしながら、95%の信頼度範囲から集団セットが本質的に類似したことが理解される。平均では、全パーライト混合物はMS混合物と比較して、いくぶんより薄いことにもかかわらず最も高い側面締結抵抗性を示した。この特性についての最小限の商業的規格要求事項は、ICC−ES Acceptance Criteria AC−318およびASTM C 1705規格において確立されるような最小限の規格によれば、210ポンド(乾燥)および160ポンド(湿潤)である。
パーライト混合物についての結果は、先行技術の軽量セメントベースのパネルからの対応するデータと共に以下の表7−1中で以下に再現され、この混合物は表7−2中で記載された組成物から調製されている。試料間の厚み差異に起因して、LFR値は表中で示されるように0.75’’の厚みに正規化された。パーライトSCP配合は、この特性において軽量セメントベースのパネル配合より4倍性能が優れていた。この差異についての1つの主要な理由は生産物中のガラス繊維のタイプおよび分布だった。SCPの事例において、先行技術の軽量セメントベースのパネルにおける配向性表面補強と比較して、小繊維化しランダムに分散させた繊維強化材により、パネルの厚みの全体にわたるすべての方向における亀裂成長の阻止がより効果的になった。2つの生産物間のコア構造の差異も、SCP配合がより稠密な生産物であることで、この差異における原因となる。表7−1および7−2の軽量セメントベースの先行技術のパネルの比較において、セメント質材料に対する水の比率は0.62である。
表7−2
1.重量でポルトランドセメント100容、重量でフライアッシュ30容、および重量で粉末石膏3容。
2.Sil−Cel 35−23パーライト:約40ミクロンの中央粒子サイズをシランコートした。
3.硫酸アルミニウム−0.10重量%;トリエタノールアミン−0.40重量%;ナフタレン硫酸塩ベースの可塑剤−0.30重量%およびクエン酸ナトリウム−0.20重量%の水溶液の液体の合計であり、ここで重量パーセントはすべてポルトランドセメントベースの結合剤の重量に基づく。
4.複合物中のエントレインドエアは、全重量に基づいて0.0069重量%の用量率でのアルファオレフィンスルホン酸ナトリウム界面活性剤の追加によって提供される。
実施例8−支持強度
以下の実施例14においさらにて記載されるように、繊維強化パネルを、MS、部分的パーライトおよび全パーライトの配合を使用して小規模火災試験のために作製した。これらの同じパネルから、6’’×6’’(15.2×15.2cm)の試料を支持強度評価のために抜き取った。この試験において、平らな端部を備えた2’’×2’’の正方形(5.1×5.1cm)鋼ブロックを、6’’×6’’(15.2×15.2cm)の試料の中心に配置した。普遍的な試験フレームを使用して、鋼ブロックおよび試料に約5ポンドの前荷重をかけた。次いで、たわみが測定されている間、鋼ブロックを0.012インチ/分(0.3mm/分間)の率で試料へと圧迫した。試料たわみが圧縮において0.10’’(25.4cm)になった場合に試験は完了した。試験の完了に際して、試料を除去し、圧縮した厚みおよび圧縮していない厚みを記録して「永久歪み」を決定する。
試験された様々な試料についての支持能力(ポンドで)を変動たわみレベルで図17中で示す。図17は、セラミック微小球、部分的パーライトおよび全パーライトを使用して作製されたパネルからの試料の支持能力を示す。
図17中でも示されるように、製造プラントからの実際の商業用生産パネル(MSを使用する)についての結果は比較として供される。各々の棒は5つの試料の平均に対応する。一般に、特に部分的パーライトの事例において、パーライト混合物はMSの混合物と同様に動作した。全パーライトについては、より低いたわみで比較的より高い値およびより高いたわみで比較的より低い値によって示されるように、試験結果はより変動した。これらの試料から測定された永久歪みは図18中で示され、すべての試験パネル(生産パネル以外)が同じ範囲の永久歪みを示したことが理解される。したがって、これらの試験結果から、パーライト混合物(部分的または全)がMS混合物と同レベルの支持能力を提供したことは明らかである。
実施例9−吸水
第2ラウンドの生産の間に作製されたパネルを、混合物の湿潤挙動について試験した。吸水は、パネルから鋸により切断された4’’×4’’(10.2×10.2cm)の試料を評価した。これらの試料(1セットあたり6)を室温の水中に浸漬し、それらの重量を21日の浸漬期間にわたってモニタリングした。初期重量からの重量におけるパーセント増加を吸水として記録した。評価された3つの混合物について、この特性は、セラミック微小球、部分的パーライトおよび全パーライトを使用して作製されたパネルからの試料についての吸水を示す図19中で示される。図19は、試験の期間にわたってパーライト混合物が微小球混合物(MS混合物)よりもかなり少ない水を吸収したことを示す。最初の1時間の吸収(それは接触と同時の水の吸引傾向を表す)は、5.0%(MS)、3.1%(部分的)および2.5%(全)であった。48時間の吸収値は、8.0%(MS)、5.6%(部分的)および4.7%(全)であった。したがって、水との接触後の最初のの2日間で、全パーライトは、MS混合物によって吸収された水の50〜60%を吸収した。48時間の吸収についての典型的な規格値は、ICC−ES Acceptance Criteria AC−318およびASTM C 1705規格において確立されるような最小限の規格によれば、最大15%である。
実施例10−線膨張
6’’×12’’(15.2×30.5cm)のパネル試料を生産の間に作製されたパネルから調製し、修飾したASTM C 1185試験手順を使用して線膨張試験を実行する。各々の試料にペアのセットの真鍮スタッドを試料表面の上部および底部の各々に10’’離れてマウントして、長さ変化測定についての参照点として供する。試料表面の上部および底部から測定された平均長変化は、その特定の試料の長さ変化として記録された。試料を、安定した長さが達成されるまで130°F(54℃)でオーブン中で最初に平衡化し(収縮後)、次いで再び安定した長さまで室温で水中に浸水した(膨張後)。次いで、初期試料の標点距離(10’’)(25.4cm)のパーセントとして表現された収縮状態と膨張状態との間の長さの差異として、線膨張を計算した。この実施例において、各々の試験セットは5〜6の重複した試料からなっていた。
評価された混合物についての線膨張を図20中で示す。特に、図20は、セラミック微小球、部分的パーライトおよび全パーライトを使用して作製されたパネルからの試料についての線膨張を示す。図20は、パーライト試料が、一般に、MS試料と比較して、いくぶんより膨張する傾向があることを示す。典型的な規格は、ICC−ES Acceptance Criteria AC−318およびASTM C 1705規格において確立されるような規格によって、試料の線膨張が最大0.10%ことを要求する。そしてこの試験では、線膨張は、73±4°Fおよび30±2%相対湿度での均衡条件から73±6°Fおよび90±5%相対湿度での均衡条件で、試料の長さのパーセント差異として測定される。
この研究において試料に行なわれた条件が、ASTM C 1185において記載されたものよりもかなりより厳格なので、この研究において調べられた混合物は、図20中で示されるもの(それらはASTM C 1185条件で試験された)よりも低い膨張値を示すことが予想された。
実施例11−非可燃性
この実施例において、提唱された配合の非可燃性性能が示される。実施例の項目下のパラグラフにおいて上記されたMS、部分的パーライトおよび全パーライト配合からのスラリー試料は、ASTM E 136に対する試験のために調製された。これらの試料にサーモカップル(内部および外部)をマウントし、750℃の炉中で置き、熱の獲得を可能にする。内部温度および表面温度の最大上昇に加えて重量変化および試料での燃焼の継続期間が記録された。これらの試験からの結果を表11−1中で要約する。部分的パーライト混合物について、以下の2つのバリアントを試験した。この混合物の他のすべての評価において使用される一般的な量の超可塑剤によるもの、およびより高い量の超可塑剤による他のもの。非可燃性についてのASTM E 136要求事項は以下のとおりである。a)記録された温度のどちらの1つも750℃の安定化した温度より30℃を超えて上昇しないものとする、b)重量損失は50%以下であるものとする、およびc)最初の30秒後に試料からの燃焼はないものとする。すべての試験された配合は非可燃性要求事項を合格した。しかしながら、微小球(MS)をのみ含む混合物と比較して、パーライト混合物については温度上昇はより低かった。例えば、各々のセットにおける3つの試料についての内部温度における平均上昇は次のとおりだった。19.7°F(−6.83℃)(MS)、17.3°F(−9.17℃)(部分的パーライト、低量の超可塑剤)および15.0°F(−9.44℃)(全パーライト)。MS混合物を超えるパーライト混合物の改善された非可燃性性能は、MS(LOIとして記録された)中に微量で通常は存在する有機材料の非存在に関連するだろう。それゆえ、パーライト配合(特に全パーライト)にはこの非可燃性特性に関して追加の長所がある。
本発明の配合は、ICC−ES Acceptance Criteria AC− 318の性能要求事項およびASTM C 1705規格に従う性能要求事項を満たした。
この研究において試料に行なわれた条件が、ASTM C 1185において記載されたものよりもかなりより厳格なので、この研究において調べられた混合物は、図20中で示されるもの(それらはASTM C 1185条件で試験された)よりも低い膨張値を示すことが予想された。
実施例12−高温収縮
第1の生産ラウンドの間に作製されたパネルから、試料が高温収縮試験のためにも調達された。この試験において、4’’(10.2cm)の直径の試料をパネルから鋸で切断し、初期は室温でマッフル炉中に置いた。次いでオーブンを850℃まで熱し、それは通常約35〜40分間を必要とした。および次いでさらに約30分間この温度で維持し、合計の試験時間では60〜70分間であった。試験の前後に2つの垂直方向に沿って試料直径を測定し、平均直径におけるパーセント変化を「高温収縮」として報告した。参照として、5%の最大収縮がFIRECODE(登録商標)ブランドのタイプX石膏パネルについて明示される。試験はペアで行ない、各々のペアはパーライト(部分的または全)混合物試料と共にMS混合物試料を含む。試験は再現性分析のためのPSLおよびCSLと標識された2台の個別のオーブン中でも行なわれた。収縮結果および重量損失を表12−1中に示す。パーライト混合物はMSの混合物と比較してより高い収縮および重量損失を示し、パーライト含有量が増加するにつれて収縮および重量損失が増加することが、一般的に観察された。パーライト混合物についての全体的な収縮値は石膏パネルに許容可能な商業用範囲内で適切であり、さらに重要なこととして、試料は試験の完了時に無傷で固体のままだった。
表12−2 表7−2の軽量セメントベースの先行技術パネルと比較した、表12−1からの構造用セメントパネル(SCP)パネルによる、コートされたパーライトを部分的および全て使用して作製された試料の高温収縮性能。
実施例13−熱伝達
第2生産ラウンドの間に作製されたパネルから、試料が熱伝達試験のためにも調達された。この試験において、サーモカップルを、対象の生産物の2つの4’’(10.2cm)の円板の間に「サンドイッチ」した。次いで、このアッセンブリを500℃に予熱したマッフル炉中に120分間置いた。次いで、サーモカップルによって測定した温度−時間記録を、生産物の挙動および性能のために評価した。これらの試験からの温度−時間曲線を図21中に示し、2つの重複した曲線を各々の混合物について示す。すべての混合物は、温度上昇はいったん遅くなって温度が約125℃に到達するという同じパターンを描いたことが観察される。このプラトーに続いて、温度はバックグラウンドの炉温度と最終的に平衡化するまで再び上昇した。パーライト混合物により作製されたパネルサンプルは、プラトーの期間を延長し、したがってサンプルにおける温度上昇を効果的に遅延させた。この遅延の程度は、配合中のコートされた膨張パーライトの量の増加により促進された。この遅延を特徴づけるために、250℃に到達するのに必要とされる時間が比較された。様々な混合物について、250℃に到達するのに必要とされる時間は、各々をを含む混合物について、35分(MS)、39分(部分的パーライト)および50分(全パーライト)であった。パーライト配合(特に全パーライト配合)は、試料を通した伝熱の遅延において有意により効果的であり、それは高温に曝露される床および壁のアッセンブリにとって非常に重要だろう。
実施例14−小規模水平炉試験
パーライトなしの微小球ベース(MS)、2分の1パーライトおよび2分の1パーライト(部分的)、および微小球なしのパーライト配合(全)の繊維強化パネルを、小規模水平炉試験のために作製した。この試験において、小規模(4’×5’)(1.2×1.5m)床アッセンブリを、フレーム部材として16ゲージ、91/4’’(23.5cm)の深さの鋼スタッドを使用して構築した。スタッドの上部は対象のパネルの1つの層により覆われ、一方スタッドの底部は5/8’’(1.6cm)の石膏パネルの1つの層により覆われた。パネルは、8’’(20.3cm)の間隔で1−5/8’’×8(4.1×20.3cm)Bugleヘッドセルフドリリング蝶ネジを使用して、スタッドに留められた。パネルを通した熱伝達を記録するために、3つのサーモカップルが試験パネルの上部表面にマウントされた。次いで、床アッセンブリ全体を炉に置き、アッセンブリを下側からASTM E 119温度−時間条件にさらし。温度上昇をサーモカップルから測定した。
これらの試験からの結果は、パネル表面上のサーモカップルについての平均温度−時間トレースを示す図22中に提示される。特に、MS、部分的パーライトおよび全パーライトのパネルについての温度−時間曲線を示す図22は、小規模水平炉で試験された。実際の商業用生産パネル(MSのみを使用する)で実行された試験についても曲線が示され、比較として供される。一般に、パーライトパネルはパネルを通した熱伝達の遅延により効果的であり、この遅延はパーライトの量の増加により明白だったことが観察される。この遅延は、200〜250°F(93.3〜121℃)の温度範囲のより長いプラトーによって明らかにされた。サーモカップルからの温度−時間反応を特徴づけるために、以下の2つの時間のパラメータを定義した。
すべてのサーモカップルについて325°F(163℃)に到達するのに必要とされる時間の平均;および最初の個別のサーモカップルについて400°F(204℃)に到達するのに必要とされる時間。これらの時間は表14−1中に要約され、パーライト混合物は、これらの規定された温度に到達するのに要求される時間を延長できることが示される。特に、パネル中のセラミック微小球をすべて置換した全パーライト混合物は、セラミック微小球を含む混合物よりもこの時間をさらに25〜30%延長した。この挙動は、熱伝達試験(実施例13)において観察された挙動(セラミック微小球をコートされた膨張パーライトで完全に置き換えた混合物が材料中の温度上昇を遅延させるより高い能力を有していた)を反映した。この実施例は、実際の床アッセンブリにおける高温度条件についてパーライト配合の追加の利益を再び証明する。
実施例15−コートされたパーライトおよびコートされていないパーライトにより作製されたスラリー組成物の比較
新鮮な状態におけるスラリーの様々な特性の中で、SCPパネルの製造のための1つの決定的性質はスランプである。実施例1において記載される技法を使用して測定された場合、スランプは、特定の範囲内(好ましくは5〜9’’)で維持されなくてはならないスラリー流動性の指標である。この範囲のスランプを備えたスラリーは、生産ライン上でポンプでくみ出して置くための容易性、形成ベルトにわたる適切な展延性、ガラス繊維の適切な湿潤、ならびに厚みおよびプロファイルの制御のための適切なスクリーディングが最適である。実験を行なって、シランコートされたパーライトおよびコートされていないパーライトにより作製されたスラリーの間の挙動の差異を特徴づけた。この実施例において、唯一の差異はパーライトのタイプであるように、2つの混合物を同一の比率により調製した。結合剤に対するパーライトの重量比は0.115〜1.00であり、一方水対結合剤の重量比が0.45:1.00であった。ポリカルボン酸塩エーテル超可塑剤もセメント結合剤の重量で0.41%の用量で使用した。両方の混合物は、セメント結合剤に対する酒石酸の重量比が0.061で作製され、両方の混合物は約45〜50分間で最終的な凝結に到達した。
図23はスランプを示し、図24は、コートされたパーライトおよびコートされていないパーライトにより作製されたスラリーの密度を示す。流動性における差異は、初期スランプにおいて明らかに現われ、コートされたパーライトを含む混合物は好ましい範囲の上位レベルの流動性を示し、一方コートされていないパーライトを含む混合物は非常に低い流動性を示した。経時的に、コートされていないパーライトによるスラリーは徐々に濃厚な非流動性混合物に変わり、一方でコートされたパーライトを含むスラリーは適切なレベルでその流動性を維持した。さらに経時的に、コートされていないパーライトを含むスラリーはより高い密度増加になり、それはパーライト中の水の吸収のためであった。この実施例は、より良好な全体的な製造性のためのSCPスラリーの特性を向上させるために、パーライト上の撥水性コーティングを有することの利点を示した。
実施例16−パーライトおよびセラミック微小球により作製された混合物の水要求性
フィラーとしてセラミック微小球またはコートされたパーライトを使用して作製されたSCP配合は、互いに根本的に異なる。2つのフィラー間の粒子密度における差異は、同じ生産物密度およびスラリー特性を維持するために、他の原材料の異なる体積を要求することになる。これは、粒子と全体的な流動学的挙動との間の相互作用に影響を与えるパーライト中の撥水性コーティングによってさらに影響を受ける。本発明からの予想外であるが重要な1つの結果はパーライト混合物の水要求性である。実施例1は、微小球対結合剤が重量で0.44:1.00の比率、水対セメント結合剤が0.57:1.00の比率、および超可塑剤用量がセメント結合剤の重量で0.41%で調製されたセラミック微小球フィラーを含むSCP配合を記載した(MS混合物)。パーライトフィラーを含む別の配合は、結合剤に対するパーライトが重量で0.092、0.105および0.115の比率、水対セメント結合剤が0.45:1.00の比率、および超可塑剤用量がセメント結合剤の重量で0.39%で調製された。この考察の焦点は、図25中のスランプによって示されるこれらの混合物の流動性である。セメント結合剤に対して近似的に同じ用量の超可塑剤で、微小球配合と比較して、すべての示されたパーライト含有量について、パーライト配合により実質的に多くのより流動性のある混合物は達成可能であった。パーライト粒子上の撥水性コーティングは、セメント結合剤に対する水のより低い比率でスラリー中の粒子分散を促進して、それがより高い流動性の達成を支援するようである。この結果は、コートされたパーライトおよびコートされていないパーライトにより作製された混合物間のフロー特徴を対比させた従来の実施例において解明された。セラミック微小球と比較して、これはパーライトによる配合が、結合剤に対する水のかなり低い比率を使用して作製できること、そしてそれはセメントマトリックスの強度および長期間耐久性に有利であることを意味する。
繊維強化構造用セメントパネル、石膏壁板および石膏セメント繊維ボードを含むセメント質ボードの当業者は、本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに、前述の実施形態における多くの置換および修飾を行えることを認識するだろう。