JP2014240825A - 土壌地力形質の分析方法及び分析装置 - Google Patents

土壌地力形質の分析方法及び分析装置 Download PDF

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Abstract

【課題】土壌の可給態窒素、可給態リン酸等の地力形質を簡便な方法によって推定する方法を提供する。
【解決手段】風乾土壌を被検体とし、被検体に励起光を照射し、被検体からの蛍光スペクトルを解析することにより被検体の土壌地力形質を推定する方法であって、異なる形質を備える複数種の評価用の土壌を定量分析して各々の土壌の地力形質の定量値を特定する工程と、前記評価用の土壌に前記励起光を照射して各々の土壌の蛍光スペクトルを取得し、蛍光スペクトルを解析することにより蛍光解析値を算出する工程と、前記土壌の地力形質の定量値と前記蛍光解析値との相関関係から、土壌の地力形質と蛍光解析値との検量線を作成する工程とを備え、前記検量線に基づき、前記被検体の蛍光スペクトルを解析して得られた蛍光解析値から当該被検体の土壌の地力形質を分析する。
【選択図】図1

Description

本発明は、土壌に含まれる可給態窒素、可給態リン酸、全炭素、全窒素等の土壌地力形質の分析方法及び土壌地力形質の分析装置に関する。
植物の生育に寄与する土壌成分として最も重要な成分は窒素分である。植物に最初に吸収される窒素分は土壌に含まれている無機態の窒素成分であるが、この無機態の窒素成分は植物の生長に寄与する窒素成分のうちの一部に過ぎず、植物の生長に最も重要な窒素成分は有機態の窒素成分(可給態窒素)であることが知られている(非特許文献1)。有機態の窒素成分(可給態窒素)は、いわゆる地力と称されるものであり、微生物等の分解作用により徐々に有機態から無機化し植物の生長に寄与する。
可給態窒素の量を分析する方法として、最も基本的な方法は培養法である。培養法では、測定しようとする土壌を風乾させた試料(風乾土壌)を検査用の容器に入れ、水分量を60%に調節しながら、30℃、4週間、保温静置して培養し、全窒素量から培養土壌の窒素量を差し引くことにより可給態窒素量を求める。この分析方法は、実際に一定期間の培養期間を設けて検出する方法であり、測定法としては最も信頼性は高いが、測定に時間がかかり、滴定等の煩雑な操作を行わなければならないことから、実験室レベルでは可能であっても、実際の土壌分析の用途には適さない。
このため、可給態窒素の量を簡便に分析する方法として、リン酸緩衝液を用いて土壌の有機酸を抽出した抽出液を可視吸光分光あるいは紫外吸光分光する方法、近赤外反射光分光を利用する方法等が提案されてきた(特許文献1、2、3)。
特開2003−106999号公報 特開2006−220647号公報 特開2010−197340号公報
Singo MATSUMOTO and Noriharu AE(2004) Characteristics of extractablesoil organic nitrogen determined by using various chemical solutions and itssignificance for nitrogen uptake ny crops, Soil Sci. Plant Nutr., 50(1): 1-9.Matsumotoand Ae(2004)
土壌中に含まれる可給態窒素量を簡便に検出する方法は、長年の懸案事項であり、従来も、簡便に検出する方法がいくつか提案されている。しかしながら、いずれの分析方法も、分析操作を行う上での簡便さ、あるいは測定精度の点で、必ずしも満足できるものとなっていない。
なお、土壌には窒素分の他にさまざまな有機成分、無機成分が含まれており、これらの成分もまた土壌の地力を反映している。たとえば、窒素肥沃度と関係の深い全窒素、腐植度や窒素の有機化に寄与する全炭素、可給態リン酸の含量、全炭素と全窒素の比(CN比)等が地力に関わる。本明細書においては、これらの土壌地力に関わる形質を土壌地力形質ということにする。
本発明は、非破壊分析方法により被検体である土壌に含まれる可給態窒素、可給態リン酸、全窒素、全炭素といった土壌地力形質を簡便な操作によって分析、推定することを可能にし、土壌分析に基づく施肥設計などを容易に行うことを可能にする土壌地力形質の分析方法及び分析装置を提供することを目的とする。
本発明に係る土壌地力形質の分析方法は、風乾土壌を被検体とし、被検体に励起光を照射し、被検体からの蛍光スペクトルを解析することにより被検体の土壌地力形質を分析する方法であって、異なる地力形質を備える複数種の評価用の土壌を定量分析して各々の土壌の地力形質の定量値を特定する工程と、前記評価用の土壌に前記励起光を照射して各々の土壌の蛍光スペクトルを取得し、蛍光スペクトルを解析することにより蛍光解析値を算出する工程と、前記土壌の地力形質の定量値と前記蛍光解析値との相関関係から、土壌の地力形質と蛍光解析値との検量線を作成する工程とを備え、前記検量線に基づき、前記被検体の蛍光スペクトルを解析して得られた蛍光解析値から当該被検体の土壌の地力形質を分析することを特徴とする。
また、本発明方法においては、前記検量線を作成する工程において、前記土壌の地力形質の定量値と蛍光分析値との相関関係から、土壌の複数の地力形質について、個別に土壌の地力形質と蛍光解析値との検量線を作成し、前記検量線に基づき、前記被検体の蛍光スペクトルを解析して得られた蛍光解析値から当該被検体の複数の地力形質を推定することにより、1回の蛍光スペクトルの計測結果に基づいて、被検体の土壌の異なる地力形質、たとえば可給態窒素量と可給態リン酸量といった異なる地力形質についての情報を得ることができる。
本発明方法においては、蛍光解析値を算出する方法として、前記蛍光解析値を算出する工程において、蛍光スペクトルの一次微分値を説明変数とし、土壌地力形質を従属変数とするPLS回帰分析法を利用して算出した推定値を蛍光解析値とすることができる。このPLS回帰分析法を利用する方法は、蛍光解析値と定量値との間に高い相関関係が得られることから高精度に土壌地力形質を分析、推定できるという特徴がある。
また、前記蛍光解析値を算出する工程において、蛍光スペクトルを一定波長範囲ごとに区切った波長域ごとの蛍光強度の積分値を、蛍光スペクトル全体の積分値により除した蛍光指数を蛍光解析値とすることが可能である。
また、前記蛍光解析値を算出する工程において、蛍光スペクトルの波長間の関係を正規化分光指数(NDSI値)として算出して蛍光解析値とし、前記検量線を作成する工程において、土壌の地力形質の推定に有効に寄与する波長の組み合わせに係るNDSI値と定量値との相関関係に基づいて検量線を作成する方法を利用することもできる。NDSI値を用いて土壌地力形質を分析、推定する方法は、土壌地力形質の推定に有効な2波長の組み合わせからなる蛍光解析値を利用するから、PLS回帰分析法と比較すると、解析に使用するデータ数が少なくて済むという利点がある。
本発明方法においては、被検体の土壌の地力形質として各種地力形質を分析対象とすることができ、地力形質を反映するものとして、可給態窒素、可給態リン段、全窒素、全炭素、CN比を分析対象とすることができる。
また、被検体に照射する励起光の波長、波長域はとくには限定されないが、励起光として、紫レーザ光を使用する方法は、励起力が強く蛍光分析に適する点、光ファイバを用いて検出光を引き回しする操作が容易にできる点で有用である。
また、本発明に係る土壌地力形質の分析装置としては、被検体である風乾土壌をセットするセット部と、前記被検体に励起光を照射する光照射部と、前記被検体からの蛍光を計測する蛍光測定部と、蛍光測定部の測定結果に基づき蛍光データを解析する解析部と、を備えるものが好適に使用できる。蛍光計測を行うことから、被検体及び被検体をセットするセット部、光照射部、蛍光測定部等の蛍光計測に関わる部位については、暗箱等に収容して外光の影響を遮断して測定する方法が好適である。
また、本発明に係る分析装置として、前記解析部が、地力形質が異なる複数の土壌について地力形質を定量した定量値と、前記蛍光データを解析して算出された蛍光解析値とに基づき、土壌の地力形質と蛍光解析値との検量線を作成する手段を備えることにより、容易に被検体の土壌地力形質を分析することができる。
また、前記解析部は、前記検量線に基づいて被検体の特定の形質を決定する手段を備えることが好ましい。
また、本発明に係る分析装置は、前記光照射部として、紫レーザ光源を備えることにより、的確に土壌地力形質を分析することができる。
本発明に係る土壌地力形質の分析方法及び分析装置によれば、被検体の蛍光スペクトルを計測するのみで、可給態窒素、可給態リン酸、全窒素、全炭素といった地力形質を容易に分析することができる。
分析装置の概略構成を示す説明図である。 蛍光スペクトルの例を示すグラフである。 正規化分光指数(NDSI)の関係を示す説明図である。 波長i、jの組み合わせについて算出する推定力(R2)のマトリクス表である。 可給態窒素についての実測値と蛍光スペクトルとの相関関係を示すR2分布図である。 可給態リン酸についての実測値と蛍光スペクトルとの相関関係を示すR2分布図である。 全炭素についての実測値と蛍光スペクトルとの相関関係を示すR2分布図である。 全窒素についての実測値と蛍光スペクトルとの相関関係を示すR2分布図である CN比についての実測値と蛍光スペクトルとの相関関係を示すR2分布図である 土壌試料の可給態窒素量と蛍光との相関関係を、NDSI値を横軸、可給態窒素の定量値を縦軸として示したグラフである。 蛍光指数の算出方法を示す説明図である。 蛍光スペクトルから算出した蛍光指数と、可給態窒素、可給態リン酸、全炭素、全窒素の定量値とCN比との相関関係を示すグラフである。 可給態窒素の定量値とB670−680/Aの相関関係を示すグラフである。 可給態リン酸の定量値とB600−610/Aの相関関係を示すグラフである。 全炭素の定量値とB840−850/Aの相関関係を示すグラフである。 全窒素の定量値とB840−850/Aの相関関係を示すグラフである。 CN比とB880−890/Aの相関関係を示すグラフである。 土壌試料について取得した蛍光スペクトルの例である。 図18に示す蛍光スペクトルの一次微分スペクトルである。 可給態窒素について、PLS回帰分析による推定値と定量値との関係及び検量線を示すグラフである。 全炭素について、PLS回帰分析による推定値と定量値との関係及び検量線を示すグラフである。 全窒素について、PLS回帰分析による推定値と定量値との関係及び検量線を示すグラフである。 可給態リン酸について、PLS回帰分析による推定値と定量値との関係及び検量線を示すグラフである。 CN比について、PLS回帰分析による推定値と定量値から求めたCN比との関係及び検量線を示すグラフである。 CEC(陽イオン交換容量)について、PLS回帰分析による推定値と定量値から求めたCECとの関係及び検量線を示すグラフである。
(分析装置)
図1は、土壌の地力形質の分析に利用した分析装置の構成を示す。この分析装置は、分析対象である土壌試料にレーザ光を照射し、試料からの蛍光を観察することにより、可給態窒素量、可給態リン酸、全炭素、全窒素等の土壌の地力に関わる形質を検出するものである。分析装置は、暗箱12内に、土壌の試料をセットするセット部10と、試料にレーザ光を照射するレーザヘッド13と、試料から放射される蛍光を受ける受光ヘッド16とを配置した構成を備える。
レーザヘッド13はケーブル14を介してレーザ電源15に接続される。本実施形態においては、レーザヘッド13として、中心波長405nm(紫色)の連続発振半導体レーザ(SU-62:株式会社オーディオテクニカ製)を使用し、レーザ電源15としてSUP-60M(株式会社オーディオテクニカ製)を使用した。レーザヘッド13及びレーザ電源15が試料に励起光を照射する光照射部を構成する。レーザ光の出力は光パワーメータを用いて測定した。レーザの出力は試料の照射部分で28mW/cm2であった。
受光ヘッド16は光ファイバの端面に蛍光を受光するためのもので、蛍光は石英光ファイバ17を介して分光器18に導かれる。受光ヘッド16の前部に、励起光をカットするフィルタ16aを配置する。フィルタ16aには470nm以下の光を遮断する短波長カットフィルタを使用した。分光器18にはマルチチャンネル分光器(浜松ホトニクス製)を使用し、分光器18の出力を解析部(PC)20に入力する。受光ヘッド16、フィルタ16a、石英光ファイバ17、分光器18が蛍光測定部に相当する。
本実施形態の分析装置では、光強度の強い紫レーザ光を励起光としたことにより、蛍光スペクトル分析が容易になり、暗箱12から分光器18に蛍光を導くといった引き回し操作に光ファイバが利用できるという利点がある。
試料はシャーレ内に平らに収納し、レーザヘッド13から試料の表面に対し45度の角度でレーザ光を照射し、受光ヘッド16の光軸を入射光に対して正反射位置とした。レーザヘッド13の端面と試料の上面の照射位置との離間間隔は1.5cm、受光ヘッド16の端面と試料上面のレーザ光の照射位置との離間間隔は45mmである。
レーザ光の照射光と蛍光の光軸を定める方法として、レーザヘッド13から放射されるレーザ光を光ファイバに導いて光ファイバの光軸を照射角度に設定し、受光ヘッド16のかわりに、試料からの蛍光を、光軸を正反射角度に設定した光ファイバに入射させることも可能である。
(蛍光強度を用いる分析方法:蛍光NDSI法)
長野県内の畑から採取した土壌(黒ボク土)24点を土壌試料とし、蛍光NDSIを利用して土壌地力形質を推定する方法について検討した。土壌試料にレーザ光を照射して得られる蛍光には土壌中の有機物に由来するものの他に、鉱物等を由来とするものが含まれている可能性がある。本調査においては、土壌試料の蛍光と可給態窒素、全窒素、全炭素、可給態リン酸、CN比等の土壌地力形質との相関関係を調べ、その解析結果に基づいて、土壌の蛍光スペクトルから土壌地力形質(可給態窒素、全窒素、全炭素、可給態リン酸、CN比等)を推定することが可能であるか否か研究した。
土壌地力形質の定量:
採取した土壌(24点)を風乾した後、乳鉢を用いて粉砕したもの(風乾粉砕土)を土壌試料とした。各々の土壌試料の地力形質を定量する方法としては、一般的な土壌分析方法を利用した。土壌の可給態窒素量については、培養の後に無機態窒素(NH4-N)をケルダール法などの滴定法で定量し、全窒素量と全炭素量は乾式燃焼法、可給態リン酸はトルオーグ法を用いて定量した。CN比は全炭素と全窒素の定量値から算出した。
表1に、上記分析方法により測定した各々の土壌試料について、可給態窒素、可給態リン酸、全炭素、全窒素、CN比を定量した結果を示す。
蛍光スペクトルの解析:
図1に示した分析装置を用いて、24点の土壌試料について蛍光計測を行った。計測は、1回の照射時間を500msecとし、1つのサンプルについて20回繰り返し計測を行い、20個のスペクトルの平均を各々のサンプルから得られたスペクトルとした。実際には、分光器18の検出データを2nm間隔に変換し、2nm間隔のスペクトルの隣り合う5波長の移動平均をとってスムージングし、これを1サンプルから得られる蛍光スペクトルとした。
図2に、紫レーザ光(405nm)励起による蛍光スペクトルの例を示す。470nmから800nmに後半にかけて広い範囲の蛍光が見られ、520nmと570nm付近にピークが見られる。
蛍光NDSIを用いる分析方法は、蛍光スペクトルの正規化分光指数(NDSI:Normalized
Difference Spectral Index)を利用して、正規化分光指数と土壌地力形質の実測値(定量値)との相関関係を解析する手法である。
正規化分光指数(NDSI)は、図3に示すように、任意の2波長(i、j)間の蛍光強度差の関係を数値化したものであり、波長iのスペクトル強度をLi、波長jのスペクトル強度をLとして、次式によって定義される。
NDSI=(Li−L)/(Li+L) ただし、−1≦NDSI≦1
各土壌試料の定量結果と蛍光スペクトルのNDSIと測定項目との相関行列(符号をはずすために二乗してR2行列とした)を求めることにより、土壌中の可給態窒素、全窒素、全炭素、可給態リン酸の含量とCN比の推定に寄与している波長の組み合わせを求めることができる。本実施形態では、図4に示すように、R2行列を2nm刻みのマトリクスの図とし、R2行列を可視化するため、推定力(R2)の高低を明暗によって表示するR2分布図を作成して評価した。
図5は可給態窒素について、実測値と蛍光スペクトルとの相関関係を示すR2分布図である。同図で、明るく表れている部分は暗く表れているい部分よりも推定力が高い波長の組み合わせである個所(ホットスポット)であり、NDSI値と実測値との相関における決定係数R2が高い個所を示す。この可給態窒素と実測値との相関関係については、660〜680nm付近の近接した2波長の組み合わせのNDSI値と可給態窒素との間に負の相関がみられ、決定係数は約0.4であった。本解析方法ではホットスポットでのNDSI値が蛍光解析値に相当する。
図6は可給態リン酸についての実測値と蛍光スペクトルとの相関関係を示すR2分布図である。この例では、500〜550nm付近の近接した2波長の組み合わせのNDSI値と可給態リン酸との間に正の相関がみられ、決定係数は0.4以上であった。
図7は全炭素についての実測値と蛍光スペクトルとの相関関係を示すR2分布図である。図8は全窒素についての実測値と蛍光スペクトルとの相関関係を示すR2分布図である。図7と図8は、同様の明暗の傾向を示し、750〜800nm付近の近接した2波長の組み合わせのNDSI値と全炭素、全窒素との間に正の相関がみられ、決定係数は0.4以上を示した。また、600nm付近と800nm付近の離れた2波長の組み合わせについて、NDSI値と全炭素、全窒素との間に負の相関がみられ、決定係数は0.3以上を示した。
図9はCN比と蛍光スペクトルとの相関関係を示すR2分布図である。この例では、750nm付近の近接した2波長の組み合わせのNDSI値とCN比との間に負の相関がみられ、、600nm付近と800nm付近の離れた2波長の組み合わせにおいても弱い負の相関がみられた。
図7〜10に示したR2分布図を見ると、可給態窒素、可給態リン酸、全炭素、全窒素、CN比について、推定力が高い領域(ホットスポット)がそれぞれ異なる分布になっている。この解析結果は、土壌試料に紫レーザ光を照射して得られる蛍光が、可給態窒素、可給態リン酸、全炭素、全窒素、CN比といった土壌地力形質についての情報を含むものであり、これらの情報から可給態窒素、可給態リン酸、全炭素、全窒素、CN比といった土壌地力形質を推定することが可能であることを示唆する。
図10は、土壌試料の可給態窒素量と蛍光との相関関係を、24個の土壌試料について波長(624nm、632nm)のNDSI値を横軸、可給態窒素の定量値(実測値)を縦軸としてグラフに示したものである。図中に回帰分析によって得られた検量線を示す。
この解析結果は、蛍光スペクトル解析によって得られた蛍光データの指標となるNDSI値と土壌に含まれる可給態窒素量とが良い相関関係にあることを示している。すなわち、この相関関係を利用すれば、検査対象である土壌の蛍光スペクトルのNDSI値を求めることにより、土壌の可給態窒素量を推定することができる。
なお、可給態窒素以外の可給態リン酸、全炭素、全窒素、CN比についても同様に、蛍光スペクトル解析に基づいて検量線を作成し、検査対象である土壌を蛍光測定することによりその土壌の地力形質を推定することができる。
(蛍光強度の積分値を用いる分析方法:蛍光NDSI法)
図5〜9に示す可給態窒素、可給態リン酸、全炭素、全窒素、CN比についてのR2分布図を見ると、可給態窒素や可給態リン酸のように、10nm以下の近接した波長間での蛍光NDSIと定量値との相関係数が高くなるもの、すなわちホットスポットが狭い領域にあるものと、全炭素や全窒素、CN比のようにホットスポットが比較的広い領域にあるものとがある。ホットスポットが比較的狭い領域にあるものは、狭い波長域に情報が集中していると考えられ、比較的広い領域にあるものは広い波長域に情報が存在していると考えられる。
図5〜9に示すNDSIマトリクス表に基づく分析方法は、蛍光強度と定量値との相関関係を解析する方法によるものであるが、蛍光スペクトルに存在する情報の波長域を考えると、蛍光強度の積分値あるいは微分値を考慮することによって、土壌地力形質の情報をさらに的確に把握することができる可能性が示唆される。
以下では、まず、蛍光強度の積分値と土壌の定量値との相関関係について検討する。蛍光強度の積分値を利用する場合は、各土壌から得られる蛍光強度そのものにばらつきがあるから、蛍光スペクトルの蛍光強度の積分値をそのまま利用することは適当でない。そこで、本実施形態では、土壌試料から得られた蛍光スペクトルを10nmごとに区切り、区切った波長域の積分値を蛍光スペクトル全体の積分値により除して規格化した蛍光指数をもとに解析した。
土壌試料の定量:
実験で使用した土壌試料は、前述した24点の土壌試料の他に、6点の畑作土壌(黒ボク土)を加えた30点である。土壌試料は、風乾後、乳鉢を用いて粉砕した。各々の土壌試料について、前述した方法と同様に、可給態窒素量については、培養の後に滴定法、全窒素量と全炭素量は乾式燃焼法、可給態リン酸はトルオーグ法を用いて分析して定量した。CN比は全炭素と全窒素の定量値から算出した。
表2に、上記分析方法により各々の土壌試料について、可給態窒素、可給態リン酸、全炭素、全窒素、CN比を定量した結果を示す。
蛍光スペクトルの解析:
図1に示した分析装置を用いて、24点の土壌試料について蛍光計測を行った。計測は、1サンプルについて20回繰り返して行い、得られた20個のスペクトルの平均を1つのサンプルから得られるスペクトルとし、30サンプル分のスペクトルを取得した。
分光器18の検出データを2nm間隔に変換し、2nm間隔のスペクトルの隣り合う5波長の移動平均をとってスムージングし、これを1サンプルから得られる蛍光スペクトルとした。
図11は、前述した蛍光指数の算出方法を示す。取得した蛍光スペクトルの470nmn〜900nmの蛍光強度の積分値をAとし、470nmn〜900nmの波長域を10nmごとに区切った波長域ごとの蛍光強度の積分値をBとすると、BをAで除した値を蛍光指数とする。本実施形態では、土壌試料の定量値と蛍光指数との相関関係について検討する。なお、以下では、たとえば470nm〜480nmの波長域の蛍光指数をB470−480/Aと記述する。本解析方法では蛍光スペクトルを解析して得られる蛍光指数が蛍光解析値に相当する。
図12に蛍光スペクトルから算出した蛍光指数と、可給態窒素、可給態リン酸、全炭素、全窒素の定量値と定量値から求めたCN比との相関関係を示す。
可給態窒素については、B610−620/A以下の蛍光指数と定量値との間に負の相関がみられ、B620−630/A以上では、蛍光指数と定量値との間に正の相関が見られる。蛍光指数と定量値との相関関係が高いのはB670−680/A付近である。
図13は、30個の土壌試料について、可給態窒素の定量値とB670−680/Aの相関関係をグラフ化し、検量線を作成した結果を示す。決定係数はB670−680/Aのときに最も高くなり、決定係数は0.2程度である。
図12から、可給態リン酸については、B550−560/A以下の蛍光指数と定量値との間に正の相関がみられ、B600−610/A周辺において負の相関が見られる。蛍光指数と定量値との相関関係が高いのはB600−610/A付近である。
図14は、各々の土壌試料について、可給態リン酸の定量値とB600−610/Aの相関関係をグラフ化したものである。決定係数はB600−610/Aのときに最も高くなり、決定係数は0.4程度である。
図12から、全炭素、全窒素については、蛍光指数と定量値との相関関係が同様の傾向を示すことがわかる。全炭素と全窒素については、B610−620/A以下の蛍光指数と定量値との間に負の相関が見られ、B620−630/A以上では正の相関が見られる。蛍光指数と定量値との相関関係が高いのはB840−850/A付近である。
図15は、全炭素の定量値とB840−850/Aの相関関係をグラフ化したものである。決定係数は0.4程度を示した。図16は、全窒素の定量値とB840−850/Aの相関関係をグラフ化したものである。決定係数は0.4程度である。
図12から、CN比については、B560−570/A以上の広い範囲の蛍光指数と定量値との間に正の相関が見られる。蛍光指数と定量値との相関関係はB800−810/A以上において比較的高い相関関係を示し、最も高くなるのはB880−890/A付近である。
図17は、CN比とB880−890/Aの相関関係をグラフ化したものである。決定係数は0.3程度を示した。
上記実験結果から、可給態窒素、全炭素、全窒素については、620nm以上の波長域において正の相関を示すことがわかる。このことから、有機物由来の蛍光は620nm以上の波長域に存在することが示唆される。
可給態窒素、全炭素、全窒素については正の相関を示す波長域が広いことに対し、可給態リン酸については600nm付近の積分値を用いたときに負の相関が認められた。このことは、600nm付近の波長域に可給態リン酸由来の情報が含まれていることを示唆する。リン酸は土壌中の鉄やアルミニウムの金属によって固定されることが知られている。すなわち、土壌中の金属量によって可給態リン酸量は増減すると考えられる。したがって、600nm周辺の蛍光には土壌中に含まれる鉄やアルミニウム等の金属に関する情報が含まれていることが考えられる。紫レーザ光によって金属が励起されることは考えにくいため、この実験結果は、金属を吸着した有機物由来の情報を反映したものであると考えられる。
図13〜17に示すように、土壌試料に紫レーザ光を照射して得られる蛍光強度の積分値と、土壌試料の可給態窒素、可給態リン酸、全炭素、全窒素、CN比等の土壌地力形質との間には一定程度の相関関係が認められる。したがって、蛍光強度(蛍光指数)と定量値との相関関係についての検量線をあらかじめ作成しておけば、土壌の蛍光測定を行うことによって、検査対象の土壌の土壌地力形質(可給態窒素、可給態リン酸等)を推定することができる。
しかしながら、図13〜17に示すように、蛍光強度の積分値と土壌地力形質の定量値との相関関係における決定係数は、可給態リン酸が最も高く、全炭素、全窒素、CN比、可給態窒素の順に低くなり、可給態リン酸の決定係数も0.4程度であり、必ずしも十分に高いとはいえず、むしろ、図10に示す、可給態窒素についてNDSI値を利用した相関関係に基づくものの方が高い決定係数が得られている。
(蛍光強度の微分値を用いる分析方法:PLS回帰分析法)
本実験においては、蛍光測定によって得られる蛍光スペクトルを一次微分スペクトルに変換し、PLS回帰分析(Partial Least Squares Regressions)法を利用して検量線を作成し、紫レーザ光励起による蛍光と土壌地力形質との相関関係について検討した。PLS回帰分析法は、変数同士に相関がある場合でも、それらを潜在変数と呼ばれる中間変数に集約したうえで分析を行うため、多重共線性がある場合でも安定したモデルが得られるという特徴がある。
使用した土壌試料は、蛍光強度の積分値を用いる分析方法において使用した30点の試料と同一のものである。蛍光測定も図1に示した分析装置を使用し、1サンプルについて20回繰り返して蛍光測定し、得られた20個のスペクトルの平均を1つのサンプルから得られるスペクトルとし、30サンプル分のスペクトルを取得した。
解析には470〜900nmの蛍光スペクトルを利用した。分光器18の検出データを4nm間隔に変換し、4nm間隔のスペクトルの隣り合う3波長の移動平均をとってスムージングし、スムージングした蛍光スペクトルを一次微分スペクトルに変換した。
472nmから868nmの100個の一次微分値を説明変数とし、可給態窒素、可給態リン酸、全炭素、全窒素の定量値と定量値から求めたCN比を従属変数としてPLS回帰分析を行い、検量線を作成し推定値を求めた。PLS回帰分析には多変数解析ソフトを使用した。最適な潜在変数はクロスバリデーション法を用いて決定した。
図18は、取得した蛍光スペクトルの例である。図19は、この蛍光スペクトルの一次微分スペクトルを示す。
PLS回帰分析による推定値は微分値の偏差に回帰係数を乗じた数値の和に定量値の平均値を加えることで算出する。算出に用いた式は下記の通りである。本解析方法では、蛍光スペクトル解析により求める推定値が蛍光解析値に相当する。
PLS回帰分析は、推定する項目の変動を良く説明する主成分を抽出し、最も適当な主成分を数個用いた回帰式を作るものである。スペクトルデータのように説明変数間に多重共線性がある場合に適しており、また説明変数の数に対してデータ数が少ない場合の推定式の作成に適している。
上式の最終項は、推定される項目の平均値でありバイアスを示す。一度作成した式は、回帰係数を大きく変更する必要性が低く、平均値の補正をすることで、他の土壌グループにも適合させることができる。
PLS回帰分析により、可給態窒素について推定値を算出した。可給態窒素を従属変数とし、クロスバリデーション法によりPLS回帰分析に最適な潜在変数を求めたところ潜在変数は5となった。表3に、このときに算出される回帰係数を示す。
図20に、可給態窒素について、PLS回帰分析による推定値と定量値との関係及び検量線を示す。PLS回帰分析による推定値と可給態窒素の定量値との間には強い相関がみられ、決定係数は0.82を示した。
全炭素を従属変数として、PLS回帰分析に最適な潜在変数を求めたところ、潜在変数は4と求められた。回帰係数についても表3と同様に求めることができる。図21に、全炭素について、PLS回帰分析により求めた推定値と全炭素の定量値との関係を示す。この推定値と定量値との間には強い相関関係がみられ、決定係数は0.88を示した。
全窒素を従属変数として、PLS回帰分析に最適な潜在変数を求めたところ、潜在変数は4と求められた。回帰係数についても表3に示すと同様に求めることができる。図22に、全窒素について、PLS回帰分析により求めた推定値と全炭素の定量値との関係を示す。この推定値と定量値との間には強い相関関係がみられ、決定係数は0.86を示した。
可給態リン酸を従属変数として、PLS回帰分析に最適な潜在変数を求めたところ潜在変数は3と求められた。回帰係数についても表3に示すと同様に求めることができる。図23に、可給態リン酸について、PLS回帰分析により求めた推定値と全炭素の定量値との関係を示す。この推定値と定量値との間には相関関係がみられ、決定係数は0.6を示した。
CN比を従属変数としたとき、最適な潜在変数は4と求められた。CN比についても表3と同様な回帰係数を求めることができる。図24に、CN比について、PLS回帰分析により求めた推定値とCN比の値との関係を示す。この推定値とCN比との間には強い相関関係がみられ、決定係数は0.69を示した。
上述したPLS回帰分析による推定値と定量値との相関関係を示す決定係数についてみると、全炭素、全窒素、可給態窒素、CN比、可給態リン酸の順に高い数値を示している。可給態窒素、全炭素、全窒素を従属変数としたときは、いずれも決定係数は0.82以上と高い数値を示すことから、土壌試料の蛍光スペクトルの一次微分値に基づきPLS回帰分析方法を利用して可給態窒素、全炭素、全窒素量を推定することにより確度の高い情報を得ることが可能である。また、潜在変数が3〜5といったように少ないことから、PLS回帰分析の成績は良い。
可給態リン酸については、決定係数が0.60であった。可給態リン酸の簡易推定法としては高感度反射式光度計を用いる簡易推定法がある。この簡易推定法による可給態リン酸の推定値と定量値との相関における決定係数は0.82であり、本実験における手法は、この簡易推定法と比べて精度は低くなっている。しかしながら、本実験方法の場合は、土壌を風乾させて蛍光スペクトルの測定を行うのみであり、従来法のように抽出液を用いてろ液を抽出するといった操作が不要で、簡便に測定できる点で優れている。
CN比については、決定係数が0.70と比較的高い数値を示した。CN比は全窒素と全炭素の定量値から算出して求める方法が従来法である。本実験方法によれば、全窒素と全炭素の算出結果に基づいてCN比を求めるのではなく、蛍光スペクトルデータから直接CN比を求めることができる点で特徴的である。この分析方法は、堆肥等の有機質肥料のCN比を推定する他に、水耕栽培における溶液中のCN比を推定するといった場合にも適用することが可能である。
なお、PLS回帰分析法と、前述したNDSI値を用いる解析方法、蛍光強度の積分値(蛍光指数)を用いる解析方法とを比較すると、PLS回帰分析法は、NDSI値、蛍光指数を用いる方法と比べて精度の高い推定が可能であるものの、100(少なくとも50)程度の解析データを用いる必要がある。一方、NDSI値を用いる方法は、PLS回帰分析法にくらべて精度は劣るものの、ホットスポットの2波長のNDSI値のみから容易に推定できるという利点があり、蛍光指数を用いる方法も特定の蛍光指数から土壌地力形質を推定することができるという利点がある。
なお、上述した各実施形態においては、検査対象である土壌の蛍光スペクトルに基づいて可給態窒素、可給態リン酸、全炭素、全窒素、CN比を求める方法について説明した。蛍光スペクトルの解析によって検出し得る土壌地力形質としては、これら以外に塩基置換容量(CEC)、易分解性炭素等がある。塩基置換容量は土壌が肥料を吸着することができる能力(保肥力)に関し、易分解性炭素は有機態窒素の無機化速度に関する。易分解性炭素が多いと有機態窒素の無機化速度が低下し、多すぎると、作物は普通「窒素飢餓」になる。
(CECについての追加実験)
PLS回帰分析方法を利用し、上述した30サンプルについて、塩基置換容量(CEC)について同様の解析を行った。図25に、PLS回帰分析法によって求めたCECの推定値とCECの定量値との関係を示す。CECについての決定係数R2=0.652であり、他の土壌地力形質と比較すると推定精度が若干低くなっているが、推定値とCECの定量値との相関関係が認められた。潜在変数は3である。
CECはCation Exchange Capacityの略であり、電気的にマイナスの土壌が、最大限どの程度、塩基(Ca・Mg・K・Na・アンモニア・H等)の陽イオンを吸着できるかの指標であり、肥効養分を蓄えておける量や緩衝力を示す数値である。
土壌の肥沃度は、CECが大きい場合に高く、作物の生育も良くなる。CECが小さい土壌では緩衝力も小さい肥培管理がむずかしい。一般に、粘土および腐植の多い土では、塩基置換容量(CEC)が大きく、緩衝力も大きくなる。
CECの従来法による測定では濾過が必要であり、測定には約2日要する。これに対して、本実施形態の紫レーザ光励起による方法によれば、1〜3時間で分析することができる。
本発明に係る土壌地力形質の分析方法は、レーザ光励起による蛍光スペクトル分析により土壌の地力形質を分析する手法であり、同一の計測系を使用して、可給態窒素、可給態リン酸等の複数の土壌地力形質を同時に計測することができる。従来、土壌地力形質を計測する場合は、測定しようとする土壌の地力形質、すなわち可給態窒素、可給態リン酸、全窒素、全炭素といった計測対象に応じて、別々の測定系や測定手段を用意して個別に測定している。本発明方法によれば、計測で得られた蛍光スペクトルを共通に利用して、複数の土壌地力形質を推定することができる点で有効である。
また、本発明方法では被検体である土壌は、風乾させただけで分析装置にセットして測定すればよく、計測のために、培養法や抽出法といった処理を行う必要がなく、きわめて簡便に、短時間のうちに測定することができる。また、蛍光スペクトルの分析も周知のデータ処理方法を利用するものであって、データ解析も容易である。
また、蛍光測定に使用する分析装置は、簡易な構成からなるものであり、あらかじめ、複数のサンプルを用いて検量線を作成することにより、この検量線に基づいて被検体の土壌の地力形質を分析し、推定することができる。
上記実施形態においては、土壌地力形質を推定する方法について説明したが、本発明方法は、土壌地力形質の分析に限らず、有機物の総量や、類似した分解特性を有する組成部分の近似分析に利用することが可能であり、食品中の易分解性のたんぱく質などへの適用が考えられる。近似分析による分析対象は、粗たんぱく質や粗繊維や粗灰分などのような特定の画分で、ひとつの物質ではなく類似した物質群をまとめた成分量である。食品成分や飼料成分では、類似した栄養特性をもつ成分がひとくくりにされて分析され、有用な情報として得ることができる。本発明方法はHPLC等の定量分析とは異なり、近似分析における定量に適するという特徴がある。
10 セット部
13 レーザヘッド
15 レーザ電源
16 受光ヘッド
16a フィルタ
17石英光ファイバ
18 分光器
20 解析部


Claims (11)

  1. 風乾土壌を被検体とし、被検体に励起光を照射し、被検体からの蛍光スペクトルを解析することにより被検体の土壌地力形質を分析する方法であって、
    異なる地力形質を備える複数種の評価用の土壌を定量分析して各々の土壌の地力形質の定量値を特定する工程と、
    前記評価用の土壌に前記励起光を照射して各々の土壌の蛍光スペクトルを取得し、蛍光スペクトルを解析することにより蛍光解析値を算出する工程と、
    前記土壌の地力形質の定量値と前記蛍光解析値との相関関係から、土壌の地力形質と蛍光解析値との検量線を作成する工程とを備え、
    前記検量線に基づき、前記被検体の蛍光スペクトルを解析して得られた蛍光解析値から当該被検体の土壌地力形質を分析することを特徴とする土壌地力形質の分析方法。
  2. 前記検量線を作成する工程においては、前記土壌の地力形質の定量値と蛍光分析値との相関関係から、土壌の複数の地力形質について、個別に土壌の地力形質と蛍光解析値との検量線を作成し、
    前記検量線に基づき、前記被検体の蛍光スペクトルを解析して得られた蛍光解析値から当該被検体の複数の地力形質を分析することを特徴とする請求項1記載の土壌地力形質の分析方法。
  3. 前記蛍光解析値を算出する工程においては、蛍光スペクトルの一次微分値を説明変数とし、土壌地力形質を従属変数とするPLS回帰分析法を利用して算出した推定値を蛍光解析値とすることを特徴とする請求項1または2記載の土壌地力形質の分析方法。
  4. 前記蛍光解析値を算出する工程においては、蛍光スペクトルを一定波長範囲ごとに区切った波長域ごとの蛍光強度の積分値を、蛍光スペクトル全体の積分値により除した蛍光指数を蛍光解析値とすることを特徴とする請求項1または2記載の土壌地力形質の分析方法。
  5. 前記蛍光解析値を算出する工程においては、蛍光スペクトルの波長間の関係を正規化分光指数(NDSI値)として算出して蛍光解析値とし、
    前記検量線を作成する工程においては、土壌の地力形質の推定に有効に寄与する波長の組み合わせに係るNDSI値と定量値との相関関係に基づいて検量線を作成することを特徴とする請求項1または2記載の土壌地力形質の分析方法。
  6. 被検体である土壌の地力形質として、可給態窒素、可給態リン段、全窒素、全炭素、CN比、CECのいずれかを分析することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の土壌地力形質の分析方法。
  7. 前記励起光として、紫レーザ光を使用することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の土壌地力形質の分析方法。
  8. 被検体である風乾土壌をセットするセット部と、
    前記被検体に励起光を照射する光照射部と、
    前記被検体からの蛍光を計測する蛍光測定部と、
    蛍光測定部の測定結果に基づき蛍光データを解析する解析部と、
    を備えることを特徴とする土壌地力形質の分析装置。
  9. 前記解析部は、地力形質が異なる複数の土壌について地力形質を定量した定量値と、前記蛍光データを解析して算出された蛍光解析値とに基づき、土壌の地力形質と蛍光解析値との検量線を作成する手段を備えることを特徴とする請求項8記載の土壌地力形質の分析装置。
  10. 前記解析部は、前記検量線に基づいて被検体の特定の地力形質を分析する手段を備えることを特徴とする請求項9記載の土壌地力形質の分析装置。
  11. 前記光照射部として、紫レーザ光源を備えることを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項記載の土壌地力形質の分析装置。





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