JP2021099281A - 陽イオン交換容量値算出法、陽イオン交換容量算出プログラム及び陽イオン交換容量算出システム - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、CECを簡易に測定するための方法が種々提案されており、例えば、特許文献1及び2において以下の提案がなされている。
特許文献1には、土壌中の陽イオン交換容量を簡単、且つ迅速に判定できる土壌中の陽イオン交換容量の測定方法及び土壌中の陽イオン交換容量の測定に好適な土壌分析器が提案されている。具体手には、土壌中の腐植物質の含有量に対応する指標値を測定し、該測定値を陽イオン交換容量に換算する土壌中の陽イオン交換容量の測定方法及び測定土壌に関するデータを入力するデータ入力手段、腐植物質含有抽出液の吸光度を測定する吸光度測定手段、腐植物質含有液の吸光度と腐植物質の含有量又は陽イオン交換容量との相関関係を示し、測定する土壌のpHにより選定される関係式を記憶する記憶手段、測定する土壌のpHにより利用する関係式を選定する選定手段、吸光度の測定値,土壌の秤量値に基づいて陽イオン交換容量を求める演算手段、算出した陽イオン交換容量の値を表示する表示手段を備えた土壌分析器が提案されている。
また、特許文献2には、土壌の地力を評価するための指標としてのCECを精度よく求められる土壌分析装置及び土壌分析方法が提案されている。具体的には、土壌分析装置は、励起コイルと検出コイルとを有するセンサと、分析対象となる土壌へ交番磁界を印加するために、励起コイルに入力する励起信号を周波数毎に生成すると共に、分析対象となる土壌へ交番磁界を印加することにより検出コイルから出力される検出信号を処理する計測部と、成分の異なる複数の土壌に関し、CECを含む土壌地力形質の定量値とセンサ及び計測部を用いて計測した処理後の検出信号から求めたCECを含む土壌地力形質の推定値との相関に関するデータを記憶する記憶部と、分析対象となる土壌に対してセンサにより交番磁界を印加して計測部を用いて処理した検出信号に基いて、記憶部に記憶されているデータを用いて、分析対象となる土壌のCECを含む土壌地力形質を推定する推定部と、を備える装置が提案されている。
すなわち、本発明は以下の各発明を提供するものである。
1.土壌における陽イオン交換容量の簡易的な算出法であって、
カルシウム当量、マグネシウム当量及びカリウム当量を測定するステップと
腐植率を測定するステップと、
得られた各実測値を以下の式に代入して陽イオン交換容量相関値を得るステップとを
具備する陽イオン交換容量値算出法。
式:陽イオン交換容量相関値=偏回帰係数Pc×腐植率(実測値)+偏回帰係数Pca×Ca当量(実測値)+偏回帰係数Pmg×Mg当量(実測値)+偏回帰係数Pk×K当量(実測値)+定数項の偏回帰係数Pct
(式中、偏回帰係数は、各測定対象物についての実測値の統計解析データ(重回帰分析)により算出した数値を示し、定数項は予め測定した陽イオン交換容量分析値の統計解析データ(重回帰分析)により算出した陽イオン交換容量偏回帰係数を示す)
2.コンピュータの記憶装置に格納されて、1記載の陽イオン交換容量値算出法による陽イオン交換容量値を算出するコンピュータ・プログラムであって、
入力されたカルシウム当量、マグネシウム当量及びカリウム当量、並びに腐植率を上記の式に代入して陽イオン交換容量相関値を得るステップを作動させる、コンピュータ・プログラム。
3.2記載のコンピュータ・プログラムが格納されたコンピュータと、
上記コンピュータにより算出された重回帰分析結果及び陽イオン交換容量相関値を表示する表示手段と、
カルシウム当量、マグネシウム当量及びカリウム当量を測定するステップ及び腐植率を測定するステップを行うための測定システムと
を具備する。
陽イオン交換容量算出システム
〔算出法〕
本発明の算出法は、土壌におけるCEC値の簡易的な算出法であって、
カルシウム当量、マグネシウム当量及びカリウム当量を測定するステップ(以下、このステップをステップAという)と
腐植率を測定するステップ(以下、このステップをステップBという)と、
得られた各実測値を所定の式に代入してCEC相関値を得るステップ(以下、このステップをステップCという)とを具備する。
ステップAは、カルシウム当量、マグネシウム当量及びカリウム当量を測定するステップである。
本ステップAは、例えば特許5379622号公報に記載されている分析方法によりイオン量を求め、当該イオン量から圃場全体の養分量を求め、その養分量を物質量(K2Oなら47、CaOなら28、MgOなら20)で割って当量を算出する。
具体的には、以下のように行うことができる。
まず、所定の土壌を所定深さで切り取り、所定量の試料を採取する。
ここで、所定の土壌とは、所望の作物の生育を行う土壌であって、分析のサンプリングを行う場所を意味する。サンプリングは、正確な分析結果が得られるように農場全体から必要なデータ収集が行えるように適当に分散された複数個所で行えばよいが、農場全体の四隅及び対角線上の任意の2点の計6点をサンプリング個所とするのが好ましい。なお、農場を複数の矩形状の区画に区分して各区画についてサンプリングを行うこととしてもよい。ここで、対角線上とは、同一対角線上でも、異なる対角線上でもよいが、図1に示すように一方の対角線上においては中心点(対角線の交点)を挟んで該中心点から対角線上の最端点までを3等分した際の2点位置(計4点)とし、他方の対角線上では最端点側の2点とするのが好ましい。
所定の深さは、目的により異なるが、所望の作物が生育している土壌部分の深さなどをいう。例えば、作物の生育に重要な部分である作物の主要根群域(根群の大部分(約90%以上)が分布する土層)や有効根群域の深さ(根が伸長できる土層)部分の土壌を採取するための深さとすることができ、具体的には10〜30cmとするのが好ましい。
採取は、目的とする場所を設定し、例えば、採取する土壌部分を直径が6cm、採土領域の長さが30cm程度の円筒状の採土器で円筒形状に採取するか、スコップ等で地表下の採土面を出現させ所定の深さの側面の土壌(地表面から底面に位置する側面土)を削りだし、その削りだした土壌を採土することにより実施できる。土壌を掘り出す際には、通常の地質調査で用いられる土壌サンプリング装置を特に制限なく用いて採取を行うことができる。
上記処理液に用いられる上記強酸は、塩酸と硫酸との無機酸混合物からなるものであり、土壌成分抽出効率が高いものである。また、使用する強酸の濃度は、0.001〜0.010mol/Lとするのが抽出効果と測定効率の点から好ましい。
上記処理液には、強酸以外に本発明の所望の効果を損なわない範囲で他の成分を混合してもよい。他の成分としては、塩化ナトリウムなどの塩等が挙げられる。
上記処理液として上記無機酸混合物を用いる場合の塩酸と硫酸との混合比は、体積比(塩酸及び硫酸共にモル濃度が同じ場合)で塩酸100に対して硫酸50〜150とするのが、抽出効率の観点から好ましく、60〜120とするのがさらに好ましく、60〜100とするのが最も好ましい。
上記処理液の使用量は、土壌の種類や測定対象の量などにもよるが、試料1重量部に対して、50〜150重量部とするのが、抽出効率を安定化させる点などの理由から好ましい。
抽出処理は、試料に処理液を投入し、ガラス製や繊維強化プラスチック(FRP)製のビーカーなどに入れ、30〜60分間振とうすること等により行うことができ、これにより成分の抽出を行い、イオンクロマト分析用の試料とする。
イオンクロマト装置としては、通常この種の化学分析用いられるものを特に制限なく用いることができる。具体的には、特に図示しないが、ポンプ部、インジェクション部、カラム部及び検出部からなり、必要に応じてサプレッサーが配設されてなるものを用いることができる。また、検出器としては、電気伝導度検出器が通常用いられるが、陰イオン分析の場合には吸光度検出器を、必要に応じてポストカラム誘導体化・吸光度検出器を用いてもよい。イオン分析に用いるカラムやクロマトグラフィーに用いる担体も通常の分析で用いられるものを特に制限なく使用することができる。
イオンクロマト分析を行う際の分析条件は、以下に示すようにすることができる。
陰イオン分析の測定条件:
イオンクロマト装置:(東亜DDK社製、装置名:IA−300)等
カラム:(東亜DDK社製、商品名:PCI−211、長さ:100mm、内径:4.6mm)等
試料注入量:10〜30μL
カラムオーブン温度:20〜60℃
溶離液:2.3mM フタル酸/2.8mM、6-アミノ-n-ヘキサン酸/200mM、ホウ酸 混合溶液等(溶離液の濃度は、この例の濃度〜この例の濃度の1000倍までの任意の濃度とすることができる)
流速:0.8〜1.5mL/min
検出器:電気伝導率検出器
測定陰イオン:
PO4 3−,Cl−、Br−、SO4 2−、F−、NO2 −、NO3 −
陽イオン分析の測定条件:
イオンクロマト装置:(東亜DDK社製、装置名:IA−300)等
カラム:(東亜DDK社製、商品名:PCI−322、長さ:250mm、内径:4.6mm)等
試料注入量:10〜30μL
カラムオーブン温度:20〜60℃
溶離液:6Mメタンスルホン酸等
流速:0.3〜1.5mL/min
検出器:電気伝導率検出器
測定陽イオン:K+,Ca2+,Mg2+
得られたイオン量は、mg/100gの単位で算出され、養分量(kg)へは公知の計算式mg/100g=kg/10aで換算することができる。
更に、得られた養分量を物質量で除することで各当量を得ることができる。
物理分析は、好ましくは土壌の測定仮比重を分析することにより行う。
測定仮比重は、乾土質量を生土容積で除した値をいう。
本発明者らは、測定仮比重の値が1.0から乖離するほど、栽培植物が要求する肥効成分量に過不足を生ずることを見出している。
測定仮比重は、下記式により求めることができる。
測定仮比重(グラム/ミリリットル)=乾土質量(グラム)/生土容積(ミリリットル)
(式中、乾土質量は、土壌試料10グラムを105℃で恒量(常圧下で30〜50分間乾燥させた状態)としたときの質量、生土容積は、土壌試料10グラムをあらかじめ所定量の水を投入しておいたメスシリンダーに投入し該所定量からの増加容積(ミリリットル)である)
すなわち、本発明においては物理性を測定するに際して、土壌試料10グラムを105℃で恒量(常圧下で30〜50分間乾燥させた状態)としたときの質量を測定して得られた乾土質量と、土壌試料10グラムをあらかじめ所定量の水を投入しておいたメスシリンダーに投入し該所定量からの増加容積(ミリリットル)を測定して得られる生土容積とを求める。
真比重とは、乾燥時の土壌の密度をいう。
真比重は、下記式により求めることができる。
真比重(グラム/ミリリットル)=乾土質量(グラム)/乾土容積(ミリリットル)
(式中、乾土質量は、土壌試料10グラムを105℃で恒量(常圧下で30〜50分間乾燥させた状態)としたときの質量、乾土容積は、土壌試料10グラムを105℃で恒量とし乾土を得、該乾土をあらかじめ所定量の水を投入しておいたメスシリンダーに投入し該所定量からの増加容積(ミリリットル)である)
物理分析に際しては、上記の土壌の仮比重の分析に加えてさらに固相率、液相率、気相率の三相分析などを適宜追加してもよい。
ステップBは、腐植率を測定するステップであり、具体的には以下のように測定することができる。
まず、採取した土2gを100ml採取し、そこに下記抽出液20mlを加える。抽出液を加えた後、3分間振とうし、ろ過する。ろ液1mlを25mlの試験管にとり、水11mlを加え、分光光度計(530nm)を用いて比色する。この際、水を比色しブランクとし、水の吸光度を0としてろ液の吸光度を測定する。
このとき、計算SPAD法の条件で、腐植率(%)をY、吸光度をXとすると、回帰式はY=(162.4×X+24.97)0.5―4.19である。
・抽出液:下記A液と下記B液とを混合し、水を加えて1リットルに調整したもの。
A液:特級ピロリン酸ナトリウム(Na4P2O7・10H2O)22.3gを約400mlの水に溶かしたもの。
B液:特級NaOH10gを約400mlの水に溶かしたもの。
ステップCは、得られた各実測値を以下の式に代入してCEC相関値を得るステップであり、重回帰分析を行って、CEC相関値を得るステップである。
本発明者は、CEC相関値を得るために種々実測値のうち何を重視するべきか種々検討した結果、CEC実測値と相関の高い実測値が、腐植率、Ca当量、Mg当量及びK当量であり、この他の実測値は無視できることを見出した。そして、これらのデータを回帰式に代入することにより、真のCEC値に近い値であるCEC相関値を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
ここで、各偏回帰係数は、それぞれ、CEC値、腐植率、Ca当量、Mg当量及びK当量の実測値を複数とり、それらを重回帰分析して得られるものであり、以下の表1〜3に示す数値を得、これらを下記式に代入して、係数を確定する。なお、本実施形態においては、134例をもって、各偏回帰係数を確定している。また、これらの係数の確定に際しては、市販の重回帰分析ソフトを用いて計算することも可能である。このような重回帰分析ソフトとしては、登録商標「BellCurve」株式会社社会情報サービス製などを挙げることができる。
係数を確定することで完成された式に、腐植率、Ca当量、Mg当量及びK当量の実測値を代入することで、CEC相関値を得ることができる。
また、本発明においては、得られたデータを加えて更に観測数を増やして重回帰分析を行い、測定を行うごとに係数を更新して信頼性を向上させることができる。
式:陽イオン交換容量相関値=偏回帰係数Pc×腐植率(実測値)+偏回帰係数Pca×Ca当量(実測値)+偏回帰係数Pmg×Mg当量(実測値)+偏回帰係数Pk×K当量(実測値)+定数項の偏回帰係数Pct
各偏回帰係数=各測定対象物についての実測値の統計解析データ(重回帰分析)により算出した数値
定数項の偏回帰係数Pct=予め測定したCEC分析値の統計解析データ(重回帰分析)により算出したCEC偏回帰係数
本発明においては、上述のステップA〜Cの他に、本発明の所望の効果を損なわない範囲で通常CECの算出に際して用いうる他のステップを行っても良い。
本発明のプログラムは、上述の本発明の土壌におけるCEC値の簡易的な算出法は、コンピュータに格納させてコンピュータに上記ステップCを作動させるコンピュータ・プログラムとして構成することもできる。
すなわち、本発明のコンピュータプログラムは、コンピュータの記憶装置に格納されて、コンピュータに土壌におけるCEC値の簡易的な算出法を作動させるものであって、入力されたカルシウム当量、マグネシウム当量及びカリウム当量、並びに腐植率を上記の式に代入してCEC相関値を得るステップ(上記ステップC)を作動させる。
また、本発明のコンピュータプログラムは、更に以下のステップを行わせるように構成する事もできる。
入力されたカルシウム当量、マグネシウム当量及びカリウム当量、並びに腐植率を測定値として記憶媒体に格納するとともに、上記ステップCで得られた重回帰分析結果も格納して、予め設定されているデータベースを更新する、データベース更新ステップ(ステップD)。
新規に、上記測定値、重回帰分析結果及びCEC相関値を格納するに際して、再度重回帰分析結果として得られた各偏回帰係数をもって、上記式を更新する、式更新ステップ(ステップE)。
以下に、ステップC、D及びEについて詳述する。
ここで、上記コンピュータとしては、入力装置としてのキーボード及びマウスと、出力装置としてのモニターと、演算処理装置としてのCPUと、ほかに各種データ及びシステム実行のためのプログラムを保存しデータベースを構築する記憶装置としてのハードディスクと、演算処理のためのデータを一時的に保存しておくための一時保存装置としてのメモリーを備えたものを用いることができる。
上記ステップCを行うに際しては、コンピュータの記憶装置に、予め、上記式及び上記ソフトウェアを格納する。これとは別に、上記記憶装置に、従来法(ショーレンベルガー法)により測定されたCEC値、カルシウム当量、マグネシウム当量及びカリウム当量、及び腐食率並びに各をそれぞれサンプルごとに関連付けて記憶させてデータベースを構築する。このデータベースに基づいて、上述のソフトウェアを用い、各偏回帰係数を求めて上記式を完成させておき、各実測値を上記式に代入する。これにより算出用の式を完成させる(以下の具体的に各偏回帰係数が決定された上記式を「算出用式」という)。これらの事前ステップを行った上で上記ステップCを行う。
また、コンピュータに入力されたカルシウム当量、マグネシウム当量及びカリウム当量、及び腐食率は、自動的に上記算出用式の該当箇所に代入されるように設定されている。この設定は常法により表計算ソフトの特定のセルに入力させることで式に代入するように設定すればよい。
そして、このように設定されたプログラムが格納されたコンピュータに、具体的にCEC値を求めたい農場における、ステップA及びBにより得られたカルシウム当量、マグネシウム当量及びカリウム当量、及び腐食率を入力すると、各偏回帰係数が決定されている上記算出用式に各データが代入されて、CEC算出値が得られる。
ステップDは、上述のデータを更新するステップであり、コンピュータの記憶装置に格納された上記のデータベースに、CEC算出値を求めるために入力されたカルシウム当量、マグネシウム当量及びカリウム当量、並びに腐植率を、それぞれ測定値として格納する。同時に、重回帰分析結果計算として得られた各偏回帰係数を更新して記憶媒体に格納して、データベースを更新する。
ステップEは、データベースを更新するに伴い、上記算出用式を更新するステップである。
上記測定値を重回帰分析した結果、各偏回帰係数が更新される、これをもって上記式における各偏回帰係数を変更して、より精度良くCEC算出値を得ることができる式に更新する。
本発明のCEC値算出システムは、
上記の本発明のコンピュータ・プログラムが格納されたコンピュータと、
上記コンピュータにより算出された上述の表1〜3に示す重回帰分析結果及びCEC相関値を表示する表示手段と、
上記ステップA及び上記ステップBを行う測定システムと
を具備する。
ここで、上記表示手段としては、通常のモニターを制限なく用いることができる。また、上記測定システムとしては、通常公知の当量の測定システム及び腐食率の測定システムを、特に制限なく用いることができる。
<試料の採取>
所定の農場の土壌について本発明の土壌分析方法を用いて分析を行った。
土壌試料の採取は、所定の矩形状区画に区分し、該矩形状区分の対角線上の6点において、所定の深さ(作土部分、深さ約10cm)部分を約420g採取することにより行った。
採取した土壌試料は、チャック付ポリ袋にいれ密閉した状態で、化学分析及び物理分析を行うまで、冷暗所にて保存した。
<化学分析>
(化学分析試料の前処理)
採取した土壌試料から目視できる異物を取り除いた。
次に、インキュベーターを用いて50℃、24〜30時間の条件で乾燥させ、さらに1mmの目の篩を用いて異物を除去した。
(抽出処理)
化学分析試料前処理後の試料0.5gを栓付試験管に測りとり処理液50mLを加え、振とう器で30分間振とうさせることにより、抽出処理を行った。
次に、抽出処理後の懸濁液を、3500rpm、常温で、6分間の条件で遠心分離し、得られた上澄み液をポアサイズ0.45μmのメンブランフィルターを用いてろ過することにより分離し、抽出液を得た。
なお、処理液は、塩酸を純水で濃度0.004mol/Lに調整し、硫酸を純水で濃度0.003mol/Lに調整し、上記0.004mol/L濃度の塩酸水溶液と、上記0.003mol/L濃度の硫酸水溶液とを(1:1、体積比)の割合で混合することにより調製した。
(イオンクロマト装置を用いた分析)
イオンクロマト装置を用い、得られた抽出液の陽イオンを行った。
分析は、以下の条件で行った。
・測定条件:
イオンクロマト装置:(東亜DDK社製、装置名:IA−300)
カラム:東亜DDK社製、商品名:PCI−322、長さ:250mm、内径:4.6mm
試料注入量:20μL
カラムオーブン温度:39.7℃
溶離液:6Mメタンスルホン酸
流速:0.8mL/min
検出器:(電気伝導率検出器)
測定イオン:K+、Ca2+、Mg2+
各イオン量は、ピーク面積を計算することによりにより算出し、更に、面積10aの圃場全体換算での土壌の保有する養分量を算出し、最終に養分量を物質量(K2Oなら47、CaOなら28、MgOなら20)で割って当量を算出した。得られた当量を以下に示す。
当量(K2O):2.46
当量(CaO):35.18
当量(MgO):3.16
となった。
上記腐植率の測定法に準じて腐植率を測定した。
具体的には、まず、採取した土2gを100ml採取し、そこに下記抽出液20mlを加える。抽出液を加えた後、3分間振とうし、ろ過する。ろ液1mlを25mlの試験管にとり、水11mlを加え、分光光度計(530nm)を用いて比色した。この際、水を比色しブランクとし、水を吸光度0とした。
このとき、計算SPAD法の条件で、腐植率(%)をY、吸光度をXとすると、回帰式はY=(162.4×X+24.97)0.5―4.19であるので、この式に吸光度を代入して腐植率を求めた。
・抽出液:下記A液と下記B駅とを混合し、水を加えて1リットルに調整したもの。
A液:特級ピロリン酸ナトリウム(Na4P2O7・10H2O)22.3gを約400mlの水に溶かしたもの。
B液:特級NaOH10gを約400mlの水に溶かしたもの。
得られた腐食率は3.30であった。また、pHは7であった。
上記各当量と腐植率とを、上記の式に代入してCEC相関値(CEC値)を得た。この際、偏回帰係数は、それぞれ表3に記載のものを用いた。
その結果、CEC相関値は、21.405であった。
また、別に、ショーレンベルガー法により測定したCEC値は、21.40であり、本発明のCEC値算出法は、最も制度が高いとされている測定法と比較して0.005の差しかなく、精度良くCECの簡易的な値を算出できることがわかる。
当量を、Ca及びKのみとした以外は、実施例1と同様にしてCEC相関値を算出した。
その結果、CEC相関値は、31.692であり、実測値との差が、10.292であり、実施例1に比して差があることがわかる。
〔比較例2〕
当量を、Ca及びMgのみとした以外は、実施例1と同様にしてCEC相関値を算出した。
その結果、CEC相関値は、20.686であり、実測値との差が、0.714であり、実施例1に比して差があることがわかる。
〔比較例3〕
当量を、Mg及びKのみとした以外は、実施例1と同様にしてCEC相関値を算出した。
その結果、CEC相関値は、21.992であり、実測値との差が、0.592であり、実施例1に比して差があることがわかる。
〔比較例4〕
腐食率を除いた以外は、実施例1と同様にしてCEC相関値を算出した。
その結果、CEC相関値は、31.837であり、実測値との差が10.437であり、実施例1に比して差があることがわかる。
〔比較例5〕
当量を、以下の式を用い、Ca、Mg及びKの偏回帰係数を、これらのすべての当量に対する偏回帰係数としてCEC相関値を算出した以外は、実施例1と同様にしてCEC相関値を算出した。
式:陽イオン交換容量相関値=偏回帰係数×腐植率(実測値)+偏回帰係数×(Ca当量(実測値)+Mg当量(実測値)+K当量(実測値))+定数項の偏回帰係数
その結果、CEC相関値は、24.983であり、実測値との差が3.583であり、実施例1に比して差があることがわかる。
農場を変えて表4に示すようにサンプル2〜24までのサンプルについて、実施例1と同様にして、各当量、腐食率を求め、得られた値を上記式に代入して、CEC算出値を求めた。
得られたCEC算出値の正しさを確認するために別途各農場サンプルについて、実施例1と同様にしてCEC測定値を求めた。
それらの結果を表4に示す。
表4に示す結果から明らかなように、いずれにおいて測定値との差が小さく、本発明の算出法によれば簡易かつ簡便な方法により、性格なCEC算出値を得ることが可能であることがわかる。
ステップBは、腐植率を測定するステップであり、具体的には以下のように測定することができる。
まず、採取した土2gを100mlの容器に秤量し、そこに下記抽出液20mlを加える。抽出液を加えた後、3分間振とうし、ろ過する。ろ液1mlを25mlの試験管にとり、水11mlを加え、分光光度計(530nm)を用いて比色する。この際、水を比色しブランクとし、水の吸光度を0としてろ液の吸光度を測定する。
このとき、計算SPAD法の条件で、腐植率(%)をY、吸光度をXとすると、回帰式はY=(162.4×X+24.97)0.5―4.19である。
・抽出液:下記A液と下記B液とを混合し、水を加えて1リットルに調整したもの。
A液:特級ピロリン酸ナトリウム(Na4P2O7・10H2O)22.3gを約400mlの水に溶かしたもの。
B液:特級NaOH10gを約400mlの水に溶かしたもの。
上記腐植率の測定法に準じて腐植率を測定した。
具体的には、まず、採取した土2gを100ml採取し、そこに下記抽出液20mlを加える。抽出液を加えた後、3分間振とうし、ろ過する。ろ液1mlを25mlの試験管にとり、水11mlを加え、分光光度計(530nm)を用いて比色した。この際、水を比色しブランクとし、水を吸光度0とした。
このとき、計算SPAD法の条件で、腐植率(%)をY、吸光度をXとすると、回帰式はY=(162.4×X+24.97)0.5―4.19であるので、この式に吸光度を代入して腐植率を求めた。
・抽出液:下記A液と下記B駅とを混合し、水を加えて1リットルに調整したもの。
A液:特級ピロリン酸ナトリウム(Na4P2O7・10H2O)22.3gを約400mlの水に溶かしたもの。
B液:特級NaOH10gを約400mlの水に溶かしたもの。
得られた腐植率は3.30であった。また、pHは7であった。
Claims (3)
- 土壌における陽イオン交換容量の簡易的な算出法であって、
カルシウム当量、マグネシウム当量及びカリウム当量を測定するステップと
腐植率を測定するステップと、
得られた各実測値を以下の式に代入して陽イオン交換容量相関値を得るステップとを
具備する陽イオン交換容量値算出法。
式:陽イオン交換容量相関値=偏回帰係数Pc×腐植率(実測値)+偏回帰係数Pca×Ca当量(実測値)+偏回帰係数Pmg×Mg当量(実測値)+偏回帰係数Pk×K当量(実測値)+定数項の偏回帰係数Pct
(式中、偏回帰係数は、各測定対象物についての実測値の統計解析データ(重回帰分析)により算出した数値を示し、定数項は予め測定した陽イオン交換容量分析値の統計解析データ(重回帰分析)により算出した陽イオン交換容量偏回帰係数を示す) - コンピュータの記憶装置に格納されて、請求項1記載の陽イオン交換容量値算出法による陽イオン交換容量値を算出するコンピュータ・プログラムであって、
入力されたカルシウム当量、マグネシウム当量及びカリウム当量、並びに腐植率を上記の式に代入して陽イオン交換容量相関値を得るステップを作動させる、コンピュータ・プログラム。 - 請求項2記載のコンピュータ・プログラムが格納されたコンピュータと、
上記コンピュータにより算出された重回帰分析結果及び陽イオン交換容量相関値を表示する表示手段と、
カルシウム当量、マグネシウム当量及びカリウム当量を測定するステップ及び腐植率を測定するステップを行うための測定システムと
を具備する。
陽イオン交換容量算出システム
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