以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施の形態1)
まず、本実施の形態に係る無線通信システムの構成を説明する。
図1は、本実施の形態に係る無線通信システム100の構成例を示す図である。図1に示すように、無線通信システム100は、管理装置101と、親機102(機器A)と、中継器103(機器B及び機器C)と、子機104(機器D、機器E及び機器F)とを含む。
無線通信システム100では、無線接続関係において上位及び下位が設定される。上位から下位へ向かう方法を下り方向と呼び、下位から上位へ向かう方法を上り方向と呼ぶ。また、無線接続関係とは無線通信が行われる伝播経路(伝文が伝播される経路)を示す。
管理装置101は、無線通信システム100の管理を行う。具体的には、管理装置101は、親機102及び中継器103を介して、子機104へ伝文を送信する。また、管理装置101は、子機104から、中継器103及び親機102を介して送信された伝文を受信し、受信した伝文に応じた処理を行う。また、管理装置101は、無線通信システム100の無線接続関係を設定するとともに、無線通信システム100の状態の監視を行う。
一例として、無線通信システム100は、建屋内で用いられる無線通信システムである。例えば、本実施の形態で用いられる無線信号は、IEEE802.15.4に準拠する2.4GHz帯の無線信号である。つまり、当該無線通信システム100は、比較的無線通信範囲が狭い無線通信に用いられる。
例えば、無線通信システム100は、集合住宅における呼び出しシステム等に適用可能である。具体的には、各子機104は、集合住宅の各部屋に配置される。また、中継器103は、集合住宅の各階に一つ又は複数配置されている。
なお、本実施の形態に係る無線通信システム100は、複数の中継器103を介して、管理装置101(親機102)から子機104へ、及び子機104から管理装置101(親機102)へ伝文を伝播するシステムに適用可能である。つまり、無線通信システム100の使用用途及び環境は、上記に限定されるものではなく、本実施の形態は、任意の無線通信システムに適用できる。
親機102、中継器103及び子機104は、複数の無線端末を含む無線通信システム100に用いられる無線端末である。なお、これらを特に区別しない場合には、機器又は無線端末とも記す。
親機102は、有線又は無線により管理装置101に接続されており、無線接続関係における最上位に位置する。なお、ここでは、親機102と管理装置101とを個別に記載しているが、親機102と管理装置101とは単一の機器に含まれてもよい。
複数の中継器103は、親機102から子機104へ、及び子機104から親機102へ伝文を中継する。
子機104は、無線接続関係における最下位に位置する。
なお、無線通信システム100では、少なくとも一部の中継器103の電波到達範囲(無線通信可能範囲)に3以上の機器が含まれるが、無線接続関係において、当該中継器103はその一部とのみ接続されるように設定されている。例えば、図1に示す機器Bの無線通信可能範囲には、機器A、機器C、機器D及び機器Eが含まれるが、機器Bは、機器A及び機器Dとのみ接続されるように設定されている。
また、ここでは、無線接続関係の一例として、所謂ツリー構造が用いられている例を示すが接続関係は、これに限定されない。また、親機102と各子機104とは一つの中継器103のみを介して接続されているが、2以上の中継器103を直列に介して接続されてもよい。また、管理装置101に一つの親機102が接続されているが複数の親機102が接続されていてもよい。
次に、無線通信システム100に含まれる各機器の構成を説明する。図2は、中継器103の構成を示すブロック図である。図2に示すように、中継器103は、無線通信部110と、通信制御部111と、設定記憶部112と、制御部113とを備える。
無線通信部110は、無線信号の受信及び送信を行う。
通信制御部111は、無線通信部110が受信した無線信号を中継するか否かを判定する。
設定記憶部112は、上位機器情報121と、下位機器情報122とを記憶する。上位機器情報121は、上位側(上り方向側)において当該機器と接続される上位機器を示す。下位機器情報122は、下位側(下り方向側)において当該機器と接続される下位機器を示す。図3は、図1に示す無線通信システム100における各機器の上位機器と下位機器とを示す図である。図3に示すように、中継器103の上位機器情報121には、1又は複数の上位機器が設定される。また、中継器103の下位機器情報122には、1又は複数の下位機器が設定される。
制御部113は、無線通信部110により受信された無線信号に応じて当該機器を制御する。例えば、制御部113は、画像の表示、出音、又は点灯/消灯等を制御する。
なお、親機102及び子機104の構成も基本的には図2に示す中継器103の構成と同様である。ただし、図3に示すように、親機102には上位機器が設定されないので、親機102の設定記憶部112は、上位機器情報121を保持せず、下位機器情報122のみを保持する。同様に、子機104には下位機器が設定されないので、子機104の設定記憶部112は、下位機器情報122を保持せず、上位機器情報121のみを保持する。なお、親機102と管理装置101とが無線接続されている場合には、親機102の上位機器として管理装置101が設定されてもよい。
また、中継器103が中継機能のみを有する場合には、制御部113を有さなくてもよい。
次に、無線通信システム100で用いられる伝文の構成を説明する。図4は、本実施の形態に係る伝文140の構成例を示す図である。この伝文140は、例えば、親機102(管理装置101)又は子機104で生成され、無線送信される。
図4に示す伝文140は、送信元情報141と、方向フラグ142と、データ部143とを含む。
送信元情報141は、伝文140を直前に送信した機器である送信元機器を示す。つまり、伝文140が中継された場合には、送信元機器は、伝文140を直前に中継した機器である。
方向フラグ142は、伝文140の伝播方向を示し、具体的には、下り(下り方向)と上り(上り方向)との一方を示す。
データ部143は、伝文140により伝播されるデータである。なお、データ部143の内容は、無線通信システム100が用いられるシステムに応じて決定されるものであり、特に限定しない。また、伝文140は、データ部143を必ずしも含む必要はない。また、データ部143は、伝播されるデータに加え、伝文140の種別を示す情報を含んでもよい。また、データ部143は、伝文140の種別を示す情報のみを含んでもよい。
次に、中継器103による中継処理について説明する。図5は、中継器103による中継処理のフローチャートである。
図5に示すように、無線通信部110は、伝文(無線信号)を受信する(S101)。次に、通信制御部111は、受信した伝文に含まれる方向フラグ142が「下り」及び「上り」のいずれを示すかを判定する(S102)。
方向フラグ142が「下り」を示す場合(S102でYes)、通信制御部111は、受信した伝文に含まれる送信元情報141で示される送信元機器が、設定記憶部112に記憶されている上位機器情報121に含まれるか否かを判定する(S103)。送信元機器が上位機器情報121に含まれる場合(S103でYes)、通信制御部111は、送信元情報141の送信元機器を自機器に変更し、変更後の伝文を、無線通信部110を介して、無線送信する(S104)。つまり、中継器103は、受信した無線信号を中継する。
一方、送信元機器が上位機器情報121に含まれない場合(S103でNo)、中継器103は、受信した無線信号を中継しない。
また、方向フラグ142が「上り」を示す場合(S102でNo)、通信制御部111は、受信した伝文に含まれる送信元情報141で示される送信元機器が、設定記憶部112に記憶されている下位機器情報122に含まれるか否かを判定する(S105)。送信元機器が下位機器情報122に含まれる場合(S105でYes)、通信制御部111は、送信元情報141の送信元機器を自機器に変更し、変更後の伝文を、無線通信部110を介して、無線送信する(S104)。つまり、中継器103は、受信した無線信号を中継する。
一方、送信元機器が下位機器情報122に含まれない場合(S105でNo)、中継器103は、受信した無線信号を中継しない。
このように、中継器103は、(1)方向フラグ142が「下り」を示し、かつ、送信元情報141で示される送信元機器が上位機器情報121に含まれる場合と、(2)方向フラグ142が「上り」を示し、かつ、送信元情報141で示される送信元機器が下位機器情報122に含まれる場合とに無線信号を中継し、それ以外の場合には無線信号を中継しない。
また、親機102及び子機104では、上記と同様の判定処理が行われるが、上記中継条件が満たされる場合には、親機102及び子機104は中継処理を行うのではなく、制御部113により、受信した無線信号に応じた動作が行われる。一方、上記中継条件が満たされない場合には、親機102及び子機104は処理を行わない。
なお、中継器103が親機102又は子機104の機能を兼ねる場合には、中継器103は、上記中継条件に応じた中継処理のみだけでなく、受信した無線信号に応じた動作も行う。言い換えると、中継器103は、親機102及び子機104と同様に、伝文140を生成し、生成した伝文140を他の機器宛に送信する機能を有してもよい。親機102及び子機104は、伝文140を生成し、生成した伝文140を中継器103宛に送信してもよい。
また、親機102及び子機104が中継機能も有する場合には、中継器103と同様の動作を行ってもよい。
また、ここでは、親機102、中継器103及び子機104の全てが、上記処理を行っているが、これらの一部のみが上記処理を行ってもよい。例えば、中継器103のみが上記処理を行うことで、複数の中継器103間において伝文140を中継できる。よって、親機102及び複数の子機104においては任意の通信インターフェースを用いることができる。例えば、子機104は、上記構成を有さず、単に無線信号を送信する。子機104の無線通信範囲に中継器103のいずれかが含まれる場合には、子機104が送信した無線信号は、中継器103で受信される。この場合、中継器103は、方向フラグ142を「上り」に設定した伝文140を生成して送信する。他の中継器103が上記処理を行うことで、この伝文140は、親機102へ伝播される。
また、上記説明では、伝文140には方向フラグ142が含まれるが、方向フラグ142の代わりに伝文140の伝播方向が上り方向及び下り方向のいずれであるかを判別するための方向情報が含まれてもよい。例えば、伝播方向が上り方向及び下り方向の一方である場合には、伝文140に特定の情報が含まれ、上り方向及び下り方向の他方である場合には、伝文140に上記特定の情報が含まれなくてもよい。
以下、無線通信システム100における伝文の伝播例を説明する。まず、下り方向に伝文が伝播される場合を説明する。
図6は、親機102から子機104に下り方向に伝文が伝播される様子を模式的に示す図である。図6に示すように、親機102から無線送信された無線信号は、上位機器情報121及び下位機器情報122で定義される無線接続関係に従い、複数の子機104へ伝播される。
具体的には、機器Aから送信された無線信号は、機器B及び機器Cで受信される。機器B及び機器Cでは、機器Aが上位機器に設定されているので、機器B及び機器Cの各々は、受信した無線信号を無線送信(中継)する。ここで、機器Bから無線送信された無線信号は、例えば、機器A、機器C、機器D及び機器Eで受信される。ここで、機器A、機器C、機器D及び機器Eのうち、機器Dにのみ上位機器として機器Bが設定されているので、機器Dは、機器Bで中継された無線信号を受理し(中継動作、又は無線信号に応じた動作を行い)、機器A、機器C及び機器Eは、当該無線信号を受理しない。このように、機器Aから送信された伝文は、機器A、機器B及び機器Dの順に伝播される。同様の処理により、機器Aから送信された伝文は機器Cで中継され、機器Cで中継された伝文が機器E及び機器Fに伝播される。
次に、上り方向に伝文が伝播される場合を説明する。図7は、子機104(機器E)から親機102に上り方向に伝文が伝播される様子を模式的に示す図である。図7に示すように、機器Eから無線送信された無線信号は、上位機器情報121及び下位機器情報122で定義される無線接続関係に従い、機器Cを介して機器Aへ伝播される。
以上により、本実施の形態に係る無線通信システム100では、中継器103は、無線信号に含まれる方向フラグ142及び送信元情報141と、記憶している機器情報(上位機器情報121及び下位機器情報122)とを用いて簡易な処理で、受信した無線信号を中継するか否かを判定できる。また、中継器103は、機器情報として当該中継器103と無線接続される設定機器の情報のみを保持すればよいので、例えば、無線通信システム全体の機器情報を保持する場合に比べ、機器設定に係る処理を簡略化できる。このように、当該無線通信システム100は中継器103の処理量を低減できる。
また、本実施の形態に係る無線通信システム100では、親機102とある子機104との間に複数の経路を設定できる。これにより、電波状況が悪い場合であっても、伝文の伝播を正しく行うことができる。また、ある中継器103が故障した場合であっても、システム全体の動作を継続できる。このように当該無線通信システム100は、可用性を向上できる。
以下、本実施の形態に係る無線通信システム100の変形例について説明する。
上記説明では、無線接続関係の一例として、所謂ツリー構造が用いられている例を示したが、図8に示すように、一つの子機104に対して複数の伝播経路が設定されていてもよい。このように、複数の伝播経路を設定することで、ある経路において通信エラーが発生した場合でも、他の経路を介して無線信号を正しく伝播できる。
ただし、この場合、一つの機器に対して同一の伝文が異なる経路を介して複数回送信されてしまう。これを回避するために、以下の処理を用いる。
図9は、本変形例に係る伝文140Aの構成例を示す図である。図9に示す伝文140Aは、図4に示す伝文140の構成に加え、伝文識別情報144を含む。伝文識別情報144は、伝文140Aを識別するための情報である。具体的には、伝文識別情報144は、発信元145及び伝文識別子146を含む。発信元145は、伝文140Aを最初に発信した発信元機器(伝文140Aを生成した機器)を示す。つまり、伝文140Aが中継された場合でも、この発信元機器は変更されない。伝文識別子146は、例えば、発信元機器から発信された複数の伝文を識別するための識別子である。なお、伝文識別子146として、発信元機器において伝文140Aが生成又は送信された時刻を示すタイムスタンプを用いてもよい。なお、伝文識別子146として、全ての機器から送信される伝文に対してユニークな識別子を付加してもよい。この場合、伝文識別情報144に発信元145が含まれなくてよい。
図10は、本変形例における中継処理のフローチャートである。図10に示す処理は図5に示す処理に対してステップS106が追加されている。
通信制御部111は、中継条件が満たされる場合(S102でYesかつS103でYes、又は、S102でNoかつS105でYes)、受信された伝文140Aと同じ伝文識別情報144を含む伝文を当該中継器103が過去に送信(中継)したか否かを判定する(S106)。同じ伝文識別情報144を含む伝文を当該中継器103が過去に送信(中継)している場合(S106でYes)、中継器103は、中継処理を行わない。一方、同じ伝文識別情報144を含む伝文を当該中継器103が過去に送信(中継)していない場合(S106でNo)、中継器103は、上記と同様に中継処理を行う(S104)。
例えば、通信制御部111は、中継処理を行った際に、中継した伝文に含まれる伝文識別情報144を記憶しておく。通信制御部111は、その後に受信した伝文に対して、記憶している伝文識別情報144を用いて上記処理を行う。
以上により、本変形例に係る無線通信システムは、ある経路において通信エラーが発生した場合でも、他の経路を介して無線信号を正しく伝播できるとともに、一つの機器に対して同一の伝文が異なる経路を介して複数回送信されてしまうことを防止できる。
また、管理装置101又は親機102は、親機102が複数の伝文を受信した場合、当該複数の伝文に含まれる伝文識別情報144を用いて、当該複数の伝文が同一であるか否かを判定してもよい。これにより、複数の経路を介して親機102へ複数の伝文が伝播された場合でも、管理装置101又は親機102は、重複している伝文を判別することができる。また、管理装置101に複数の親機102が接続されている場合には、上記判定を管理装置101で行うことで、管理装置101は、重複している伝文を判別することができる。
また、複数の伝播経路が設定される場合の処理として以下の処理を用いてもよい。
図11は、本変形例に係る伝文140Eの構成例を示す図である。図11に示す伝文140Eは、図4に示す伝文140の構成に加え、中継済情報151を含む。中継済情報151は、伝文140Eを中継した機器を示す。
図12は、本変形例における中継処理のフローチャートである。図12に示す処理は図5に示す処理に対してステップS107が追加されている。また、ステップS104AがステップS104と異なる。
通信制御部111は、中継条件が満たされる場合(S102でYesかつS103でYes、又は、S102でNoかつS105でYes)、受信された伝文140Eに含まれる中継済情報151に自機器が含まれるか否かを判定する(S107)。つまり、通信制御部111は、伝文140Eを以前に中継したか否かを判定する。中継済情報151に自機器が含まれる場合(S107でYes)、中継器103は、中継処理を行わない。一方、中継済情報151に自機器が含まれない場合(S107でNo)、通信制御部111は、送信元情報141を自機器を示す情報に更新するとともに、中継済情報151に自機器の情報を追加し、追加した後の伝文140Eを、無線通信部110を介して送信する(S104A)。
以上により、本変形例に係る無線通信システムは、ある経路において通信エラーが発生した場合でも、他の経路を介して無線信号を正しく伝播できるとともに、一つの機器に対して同一の伝文が異なる経路を介して複数回送信されてしまうことを防止できる。
なお、上記説明では、中継器103と子機104とを区別しているが、明確に区別しなくてもよい。例えば、図13及び図14に示すように、ある機器(図13及び図14の機器D)の下位機器として、ツリー構造において当該機器と同一階層の機器、又は、上位階層の機器が設定されてもよい。このように、上位機器及び下位機器を任意に設定することで、ツリー構造以外の任意の接続関係を設定できる。
また、上記説明では、下り方向の伝文が全ての子機104(及び中継器103)宛にブロードキャスト送信される例を述べたが、特定の子機104(又は中継器103)宛に伝文を送信する場合には、以下の伝文を用いればよい。
図15は、この場合の伝文140Bの構成を示す図である。図15に示す伝文140Bは、図4に示す伝文140の構成に加え、宛先情報147を含む。宛先情報147は、伝文140Bの最終の宛先を示す。この場合、子機104(又は中継器103)は、上記中継条件が満たされる場合であって、かつ、宛先情報147で自機器が示される場合に、受信した伝文に応じた動作を行い、宛先情報147で自機器が示されない場合には、当該動作を行わない。
また、機器(親機102、中継器103又は子機104)は、伝播経路を指定して伝文を送信してもよい。図16は、この場合の伝文140Cの構成を示す図である。図16に示す伝文140Cは、図4に示す伝文140の構成に加え、経路指定情報148を含む。また、伝文140Cは、方向フラグ142を含まない。経路指定情報148は、伝文140Cを伝播する複数の機器及びその伝播順序を示す。また、伝文140Cは、当該信号が経路を指定した伝文であることを識別可能な識別子等を含んでもよい。
図17は、この場合の中継処理のフローチャートである。図17に示す処理は図5に示す処理に対してステップS102、S103及びS105の代わりにステップS111及びS112を含む。
図17に示すように、無線通信部110は、伝文140Cを受信する(S101)。次に、通信制御部111は、経路指定情報148に自機器が含まれるか否かを判定する(S111)。経路指定情報148に自機器が含まれる場合(S111でYes)、通信制御部111は、送信元情報141で示される送信元機器が、経路指定情報148で自機器の直前の機器であるか否かを判定する(S112)。
送信元機器が自機器の直前の機器である場合(S112でYes)、通信制御部111は、送信元情報141の送信元機器を自機器に変更し、変更後の伝文を、無線通信部110を介して、無線送信する(S104)。つまり、中継器103は、受信した無線信号を中継する。
一方、経路指定情報148に自機器が含まれない場合(S111でNo)、又は、送信元機器が自機器の直前の機器でない場合(S112でNo)、中継器103は、受信した無線信号を中継しない。
以上の動作により、ある機器から送信された伝文140Cは、経路指定情報148で示される経路に従い伝播される。例えば、図1に示す接続関係では、子機104間で通信を行うことはできない。一方で、伝文140Cを用いることで、無線通信システム100に含まれる任意の機器間で伝文の送受信を行うことができる。例えば、通常の動作時には、接続関係を簡略化することで、各機器の処理量をできるだけ低減し、例外的に特定の端末間での通信が必要な場合にのみ経路指定を用いることで、処理量を低減しつつ、任意の機器間での通信を実現できる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、上述した実施の形態1の変形例を説明する。本実施の形態では、機器は、上位機器情報121のみを保持する。
図18は、本実施の形態に係る中継器103Aの構成を示す図である。図18に示す中継器103Aは、図2に示す構成に対して、通信制御部111A及び設定記憶部112Aの機能が異なる。
設定記憶部112Aは、下位機器情報122を保持せず、上位機器情報121のみを保持する。
また、下り方向への伝文の中継方法は、上記実施の形態1と同様であるので説明を省略し、以下では、主に上り方向への伝文の中継方法を説明する。
図19は、本実施の形態に係る上り方向への伝文140Dの構成例を示す図である。図19に示す伝文140Dは、図4に示す伝文140の構成に対して、送信元情報141の代わりに受信機器情報149を含む。受信機器情報149は、伝文140Dを受信(又は中継)する受信機器を示す。
図20は、本実施の形態に係る中継処理のフローチャートである。図20に示す処理は図5に示す処理に対して方向フラグ142が「上り」を示す場合(S102でNo)の処理が異なる。なお、方向フラグ142が「下り」を示す場合(S102でYes)の処理は、図5と同様である。
方向フラグ142が「上り」を示す場合(S102でNo)、通信制御部111Aは、受信した伝文に含まれる受信機器情報149で示される受信機器に自機器が含まれるか否かを判定する(S115)。受信機器に自機器が含まれる場合(S115でYes)、通信制御部111Aは、受信機器情報149の受信機器を、設定記憶部112Aに記憶されている上位機器情報121で示される上位機器に変更し、変更後の伝文を、無線通信部110を介して、無線送信する(S116)。つまり、中継器103Aは、受信した無線信号を中継する。なお、上位機器が複数設定されている場合には、受信機器も複数設定される。
一方、受信機器に自機器が含まれない場合(S115でNo)、中継器103Aは、受信した無線信号を中継しない。
以上の処理により、例えば、子機104から送信された伝文140Dは、上位機器情報121で定義される無線接続関係に従い、親機102へ伝播される。
以上のように、本実施の形態に係る中継器103Aは、上り方向の伝播において、受信機器情報149に自機器が示されるか否かに応じて、中継処理の有無を判定する。また、中継器103Aは、中継を行う場合には、伝文140Dに含まれる受信機器情報149で示される受信機器を、上位機器情報121で示される上位機器に変更したうえで送信する。
これにより、当該無線通信システム100は、上り方向及び下り方向の両方において、伝文を伝播することができる。また、実施の形態1と比較すると、本実施の形態では、各機器は、上位機器の情報のみを保持する。これにより、各機器が上位機器及び下位機器の両方の情報を保持する場合に比べ、機器設定に係る処理を簡略化できる。
なお、上記説明では、伝文140には方向フラグ142が含まれるが、方向フラグ142の代わりに伝文140の伝播方向が上り方向及び下り方向のいずれであるかを判別するための方向情報が含まれてもよい。例えば、伝播方向が上り方向及び下り方向の一方である場合には、伝文140に特定の情報が含まれ、上り方向及び下り方向の他方である場合には、伝文140に特定の情報が含まれなくてもよい。つまり、伝文140に方向情報が含まれるとは、特定の情報が伝文140に含まれていない状態を含む。また、この特定の情報として、受信機器情報149が用いられてもよい。つまり、通信制御部111Aは、無線通信部110が受信した無線信号に受信機器情報149が含まれる場合、当該無線信号の伝播方向が上り方向であると判定し、無線信号に受信機器情報149が含まれない場合、当該無線信号の伝播方向が下り方向であると判定してもよい。または、この特定の情報として、送信元情報141が用いられてもよい。つまり、通信制御部111Aは、無線通信部110が受信した無線信号に送信元情報141が含まれる場合、当該無線信号の伝播方向が下り方向であると判定し、無線信号に送信元情報141が含まれない場合、当該無線信号の伝播方向が上り方向であると判定してもよい。
(実施の形態3)
実施の形態2では、上位機器情報121を用いる例を述べたが、本実施の形態では、上位機器情報121は用いず、下位機器情報122のみを用いる場合について説明する。
図21は、本実施の形態に係る中継器103Bの構成を示す図である。図21に示す中継器103Bは、図2に示す構成に対して、通信制御部111B及び設定記憶部112Bの機能が異なる。
設定記憶部112Bは、上位機器情報121を保持せず、下位機器情報122のみを保持する。
なお、上り方向への伝文の中継方法は、上記実施の形態1と同様であるので説明を省略する。また、下り方向への伝文の中継方法は、上記実施の形態2における上り方向への伝文の中継方法と同様である。
図22は、本実施の形態に係る中継処理のフローチャートである。図22に示す処理は図5に示す処理に対して方向フラグ142が「下り」を示す場合(S102でYes)の処理が異なる。なお、方向フラグ142が「上り」を示す場合(S102でNo)の処理は、図5と同様である。
方向フラグ142が「下り」を示す場合(S102でYes)、通信制御部111Bは、受信した伝文に含まれる受信機器情報149で示される受信機器に自機器が含まれるか否かを判定する(S115)。受信機器に自機器が含まれる場合(S115でYes)、通信制御部111Bは、受信機器情報149の受信機器を、設定記憶部112Bに記憶されている下位機器情報122で示される下位機器に変更し、変更後の伝文を、無線通信部110を介して、無線送信する(S117)。つまり、中継器103Bは、受信した無線信号を中継する。なお、下位機器が複数設定されている場合には、受信機器も複数設定される。
一方、受信機器に自機器が含まれない場合(S115でNo)、中継器103Bは、受信した無線信号を中継しない。
以上の処理により、例えば、親機102から送信された伝文は、下位機器情報122で定義される無線接続関係に従い、子機104へ伝播される。
以上のように、本実施の形態に係る中継器103Bは、下り方向の伝播において、受信機器情報149に自機器が示されるか否かに応じて、中継処理の有無を判定する。また、中継器103Bは、中継を行う場合には、伝文140Dに含まれる受信機器情報149で示される受信機器を、下位機器情報122で示される下位機器に変更したうえで送信する。
これにより、当該無線通信システム100は、上り方向及び下り方向の両方において、伝文を伝播することができる。また、実施の形態1と比較すると、本実施の形態では、各機器は、下位機器の情報のみを保持する。これにより、各機器が上位機器及び下位機器の両方の情報を保持する場合に比べ、機器設定に係る処理を簡略化できる。
以上、実施の形態1〜3で説明したように、設定記憶部112、112A及び112Bは、上位機器情報121及び下位機器情報122の少なくとも一方である機器情報を記憶する。この機器情報は、無線通信システム100に含まれる複数の機器(無線端末)のうち、上り方向及び下り方向の一方である第1方向において当該機器と無線接続される設定機器(上記機器又は下位機器)を示す。
通信制御部111、111A及び111Bは、方向フラグ142と送信元情報141とを含む第1無線信号(伝文140等)を受信した場合であって、方向フラグ142が、上り方向及び下り方向のうち第1方向と異なる方向である第2方向を示し、かつ、送信元情報141に、機器情報で示される設定機器が示される場合、当該第1無線信号に含まれる送信元情報141を、当該機器を示す情報に更新し、更新された後の第1無線信号を、無線通信部110を介して送信する。
また、実施の形態2及び3で説明したように、通信制御部111A及び111Bは、無線通信部110が、第1方向を示す方向フラグ142と、受信対象の機器を示す受信機器情報149とを含む第2無線信号(伝文140D)を受信した場合であって、受信機器情報149に当該機器が示される場合、当該第2無線信号に含まれる受信機器情報149を、機器情報で示される設定機器に更新し、更新された後の第2無線信号を、無線通信部を介して送信する。
なお、実施の形態2と同様に、伝文140Dに、方向フラグ142の代わりに方向情報が含まれてもよい。また、方向情報に用いられる特定の情報として、受信機器情報149が用いられてもよい。つまり、通信制御部111Bは、無線通信部110が受信した無線信号に受信機器情報149が含まれる場合、当該無線信号の伝播方向が下り方向であると判定し、無線信号に受信機器情報149が含まれない場合、当該無線信号の伝播方向が上り方向であると判定してもよい。または、この特定の情報として、送信元情報141が用いられてもよい。つまり、通信制御部111Bは、無線通信部110が受信した無線信号に送信元情報141が含まれる場合、当該無線信号の伝播方向が上り方向であると判定し、無線信号に送信元情報141が含まれない場合、当該無線信号の伝播方向が下り方向であると判定してもよい。
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記無線通信システムにおける無線接続関係を構築する方法について説明する。
以下、図23に示すように、複数の機器が配置されている場合を例に説明する。図23に示す例では、機器Aの無線通信範囲150Aに機器B及び機器Cが含まれる。機器Bの無線通信範囲150Bに機器A、機器C及び機器Dが含まれる。機器Cの無線通信範囲150Cに機器A、機器B及び機器Dが含まれる。機器Dの無線通信範囲(図示せず)に機器B及び機器Cが含まれる。また、管理装置101は機器Aに接続されている。なお、各機器の構成は、例えば、図2に示す構成と同様である。
図24は、本実施の形態に係るネットワーク構成処理のシーケンス図である。
図24に示すように、管理装置101は、機器Aに問合せ信号を送信する(S121)。
図25A及び図25Bは問合せ信号160の構成例を示す図である。図25Aに示す問合せ信号160は、複数の機器の通信状態を確認するための無線信号であり、宛先情報161と、伝播経路情報162とを含む。宛先情報161は、問合せ信号160の最終の宛先を示す。伝播経路情報162は、問合せ信号160を中継した機器及びその中継の順番を示す。よって、管理装置101から送信された伝播経路情報162には機器は示されず、問合せ信号160を機器Aが中継した際に、伝播経路情報162に機器Aが加えられる。また、ここでは、宛先は機器Dであるとする。また、問合せ信号160は、当該信号が問合せ信号であることを識別可能な識別子等を含んでもよい。
図26は、各機器におけるネットワーク構成処理のフローチャートである。
まず、無線通信部110は問合せ信号160を受信する(S141)。次に、通信制御部111は、問合せ信号160に含まれる宛先情報161で示される宛先が自機器であるか否かを判定する(S142)。
宛先が自機器でない場合(S142でNo)、通信制御部111は、伝播経路情報162に自機器が含まれるか否かを判定する(S143)。つまり、通信制御部111は、当該問合せ信号160を以前に送信(中継)したか否かを判定する。
伝播経路情報162に自機器が含まれていない場合(S143でNo)、通信制御部111は、伝播経路情報162に自機器を追加することで問合せ信号160を更新する。また、図25Bに示すように、通信制御部111は、問合せ信号160を受信した際の、当該問合せ信号160の受信電波強度を示す受信電波強度情報163を問合せ信号160に追加する。例えば、無線通信部110が、当該無線通信部110が受信した無線信号の受信電波強度を測定する機能を有し、通信制御部111は、無線通信部110の測定結果を用いて、受信電波強度情報163を生成する。そして、通信制御部111は、更新後の問合せ信号160を、無線通信部110を介して送信する(S144)。
一方、伝播経路情報162に自機器が含まれている場合(S143でYes)、つまり、当該機器が当該問合せ信号160を以前に送信(中継)している場合、当該機器は、当該問合せ信号160を送信(中継)しない。
また、宛先が自機器である場合(S142でYes)、通信制御部111は、当該問合せ信号160に対する応答信号を、無線通信部110を介して送信する(S145)。なお、この処理の詳細は後述する。
再度、図24を参照して説明を続ける。問合せ信号160を受信した機器Aは、宛先が自機器でなく、かつ、伝播経路情報162に自機器が含まれていないので、伝播経路情報162に自機器を加えたうえで、問合せ信号(A)を送信する(S122)。なお、以降、機器Aで中継された後の問合せ信号を問合せ信号(A)と記す。同様に、機器A及び機器Bにこの順で中継された後の問合せ信号を問合せ信号(A−B)と記す。この問合せ信号(A)は、機器B及び機器Cで受信される。
問合せ信号(A)を受信した機器Bは、上記中継条件が満たされるので、問合せ信号(A−B)を送信する(S123)。この問合せ信号(A−B)は、機器A、機器C及び機器Dで受信される。機器Aは、伝播経路情報162に自機器が含まれているので(機器Aが当該問合せ信号を過去に送信しているので)、問合せ信号(A−B)に対する処理は行わない。
一方、機器Cでは、上記中継条件が満たされるので、問合せ信号(A−B−C)を送信する(S125)。この問合せ信号(A−B−C)は、機器A、機器B及び機器Dで受信されるが、機器A及び機器Bは、伝播経路情報162に自機器が含まれているので、問合せ信号(A−B−C)に対する処理は行わない。
同様に、機器Cは、問合せ信号(A)を受信し、問合せ信号(A−C)を送信する(S124)。また、機器Bは、問合せ信号(A−C)を受信し、問合せ信号(A−C−B)を送信する(S126)。
以上の処理により、機器Dは、問合せ信号(A−B)、問合せ信号(A−C)、問合せ信号(A−B−C)、及び問合せ信号(A−C−B)を受信する。宛先情報161に自機器が示されているので、機器Dは、問合せ信号(A−B)、問合せ信号(A−C)、問合せ信号(A−B−C)、及び問合せ信号(A−C−B)の各々に対する応答信号(B−A)、応答信号(C−A)、応答信号(C−B−A)及び応答信号(B−C−A)を、管理装置101へ送信する(S127〜S130)。
図27は、応答信号170の構成例を示す図である。なお、図27は、応答信号(B−A)の構成例を示す。図27に示すように応答信号170は、送信元情報141と、経路指定情報148と、受信電波強度情報172とを含む。なお、応答信号170は、当該信号が応答信号であることを識別可能な識別子等を含んでもよい。
送信元情報141及び経路指定情報148の意味は、図16と同様である。機器Dの通信制御部111は、受信した問合せ信号160に含まれる伝播経路情報162に示される、当該問合せ信号160を中継した順番とは逆の順番の経路を経路指定情報148に指定する。つまり、機器Dは、伝播経路情報162に示される、問合せ信号160を中継した順番とは逆の順番の経路を指定して、問合せ信号160に対する応答信号170を、無線通信部110を介して送信する。
受信電波強度情報172は、問合せ信号160を受信し、かつ中継した各機器における、問合せ信号160の受信電波強度と、機器Dにおける問合せ信号160の受信電波強度とを示す。具体的には、機器Dの通信制御部111は、問合せ信号に含まれる受信電波強度情報163に、機器Dにおける問合せ信号160の受信電波強度を加えることで受信電波強度情報172を生成する。
例えば、図27に示すように、問合せ信号(A−B)に対する応答信号(B−A)は、機器B及び機器Aをこの順で指定する経路指定情報148を含む。また、応答信号(B−A)は、応答信号(B−A)を中継した機器Bの受信電波強度と、機器Dの受信電波強度とを示す受信電波強度情報172を含む。
応答信号170を受信した各機器は、経路指定情報148に従い、応答信号170を中継する。なお、この動作は、上述した実施の形態1(図17等)と同様であるので詳細な説明は省略する。その結果、応答信号(B−A)、応答信号(C−A)、応答信号(C−B−A)及び応答信号(B−C−A)が、管理装置101へ伝播される。
管理装置101は、受信した応答信号(B−A)、応答信号(C−A)、応答信号(C−B−A)及び応答信号(B−C−A)を用いて、機器A〜機器Dの無線接続関係を決定する。
具体的には、管理装置101は、複数の応答信号に含まれる複数の経路指定情報148で示される複数の経路を、管理装置101と機器Dとを結ぶ複数の経路として抽出する。次に、管理装置101は、各経路のホップ数及び受信電波強度の少なくとも一方を用いて、最適な経路を決定する。ここで、ホップ数は、経路に含まれる機器の数である。管理装置101は、経路指定情報148からホップ数を判定するとともに、受信電波強度情報172から受信強度を取得する。なお、経路指定情報148とは別に、経路を示す情報及びホップ数を示す情報のうち少なくとも一方が応答信号に含まれ、管理装置101は、当該情報を用いて経路又はホップ数を判定してもよい。
また、ツリー構造の無線接続関係を構築する場合には、管理装置101は、管理装置101(機器A)と機器Dとを結ぶ一つの経路を決定する。
例えば、管理装置101は、ホップ数の最も少ない経路を選択し、ホップ数が最も少ない経路が複数存在する場合には、その中から受信電波強度の平均値が最も高い経路を選択する。または、管理装置101は、受信電波強度の平均値が最も高い経路を選択し、平均値が最も高い経路が複数存在する場合には、その中からホップ数の最も少ない経路を選択してもよい。なお、この場合には、管理装置101は、受信電波強度の合計値を算出し、合計値が最も少ない経路を選択することで、ホップ数の最も少ない経路を選択してもよい。この場合、受信電波強度情報172のみから、最適な経路を選択できるので処理量を削減できる。
なお、平均値の代わりに、中央値又は最小値等の、各経路の受信電波強度の指標を用いてもよい。
なお、管理装置101は、さらに、各機器の受信電波強度の各々が、閾値以上であるかを判定し、受信電波強度情報172に閾値より低い強度が含まれる場合には、対応する経路を、選択対象から除外してもよい。また、管理装置101は、条件を満たす経路が存在しない場合、又は、少ない場合には、上記閾値を下げて再判定してもよい。
また、管理装置101(機器A)から機器Dへの複数の経路を決定する場合には、管理装置101は、条件が良い側から複数の経路を選択すればよい。
そして、管理装置101は、選択した経路に従い、無線接続関係を設定する。例えば、ここでは、A−Bの経路が選択されたとする。この場合、管理装置101は、機器Dの上位機器に機器Bを設定し、機器Bの上位機器に機器Aを設定する。また、無線接続関係が設定されていない機器Cに関しては、管理装置101は、機器Cから機器Dに送信された問合せ信号(A−C)及び問合せ信号(A−B−C)の応答信号(C−A)及び応答信号(C−B−A)で示される機器Cまでの経路及び受信電波強度を用いて、上記と同様の方法により、機器Aから機器Cまでの経路を選択する。そして、管理装置は、選択した経路に従い、機器Cの無線接続関係を設定する。
なお、無線接続関係が設定されていない機器Cに関しては、管理装置101は、機器Cを宛先とする問合せ信号160を送信し、その応答信号を用いて機器Cへの経路を決定してもよい。または、管理装置101は、全ての機器に対して、順次問合せ信号160を送信し、得られた全ての応答信号を用いて、各機器への経路を選択してもよい。
最後に、管理装置101は、設定した無線接続関係を各機器に設定する(S131)。具体的には、管理装置101は、各機器に当該機器の上位機器及び下位機器を通知する。各機器は、通知された上位機器及び下位機器を上位機器情報121及び下位機器情報122として保持する。なお、上記実施の形態2又は3の例では、上位機器及び下位機器の一方のみが設定される。
以上により、本実施の形態に係る無線通信システムは、任意に配置されている複数の機器の無線接続関係を適切に設定することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、無線接続関係の設定方法の別の例を説明する。
本実施の形態では、問合せ信号は、宛先情報161を含まず、伝播経路情報162のみを含む。その代わりに、各機器は、問合せ信号を送信(中継)した際に確認信号を送信する。そして、各機器は、自身が送信した問合せ信号に対する他の機器からの確認信号が受信できなかった場合に、管理装置101へ応答信号を送信する。
図28は、本実施の形態に係るネットワーク構成処理のシーケンス図である。なお、図28に示す例では、機器Aの無線通信範囲に、機器Bは含まれるが、機器Cは含まれず、機器Bの無線通信範囲に機器A及び機器Cが含まれるとする。図29は、各機器におけるネットワーク構成処理のフローチャートである。
図29に示す処理は、図26に示す処理に対して、ステップS142の代わりにステップS161及びS162が追加されている。つまり、通信制御部111は、問合せ信号を送信(中継)した後(S144の後)、問合せ信号160の送信元の機器に確認信号を送信する(S161)。つまり、確認信号は、問合せ信号160が中継されたことを示す信号である。例えば、通信制御部111、受信した問合せ信号160に含まれる伝播経路情報162に含まれる最後の機器に対して確認信号を送信する。例えば、確認信号は、当該信号が確認信号であることを示す識別子等と、当該確認信号の宛先を示す情報とを含む。また、確認信号が送信されるタイミングは、問合せ信号を送信する前であってもよい。
次に、通信制御部111は、問合せ信号を送信した後の所定の期間において、自身が送信した問合せ信号に対する確認信号を他の機器から受信できたか否かを判定する(S162)。そして、通信制御部111は、確認信号を他の機器から受信できなかった場合(S162でNo)、無線通信部110を介して応答信号を送信する(S145)。なお、この処理の詳細は、実施の形態4と同様である。
図28に示す例では、まず、管理装置101は、問合せ信号を機器Aに送信する(S151)。機器Aは、問合せ信号(A)を送信する(S152)。この問合せ信号(A)は機器Bに受信される。機器Bは、問合せ信号(A−B)を送信する(S154)とともに、確認信号を機器Aへ送信する(S153)。
問合せ信号(A−B)は機器Cに受信される。機器Cは、問合せ信号(A−B−C)を送信する(S156)とともに、確認信号を機器Bへ送信する(S155)。問合せ信号(A−B−C)はいずれの機器にも転送されない。よって、機器Cは、問合せ信号(A−B−C)に対する確認信号を受信できないので、応答信号(B−A)を管理装置101へ送信する(S157)。
管理装置101は、受信した応答信号(B−A)を用いて、機器A〜機器Cの無線接続関係を設定し、設定した無線接続関係を機器A〜機器Cへ通知する(S158)。なお、この処理の詳細は実施の形態4と同様である。
以上により、本実施の形態に係る無線通信システムは、任意に配置されている複数の機器の無線接続関係を適切に設定することができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、無線接続関係の設定方法の別の例を説明する。
本実施の形態では、問合せ信号は、宛先情報161を含まず、伝播経路情報162のみを含む。その代わりに、各機器は、受信された問合せ信号が中継された回数(ホップ数)を確認し、ホップ数が所定値に達した場合に、管理装置101へ応答信号を送信する。
図30は、本実施の形態に係るネットワーク構成処理のシーケンス図である。なお、図30に示す例では、機器A〜機器Dと、各機器の無線通信範囲との関係は、図23と同じである。図31は、各機器におけるネットワーク構成処理のフローチャートである。
図31に示す処理は、図26に示す処理に対して、ステップS142の代わりにステップS142Aを含む。つまり、通信制御部111は、伝播経路情報162に自機器が含まれない場合(S143でNo)、受信した問合せ信号が中継された回数であるホップ数が予め定められた閾値に等しいか否かを判定する(S142A)。例えば、通信制御部111は、伝播経路情報162で示される機器の数をホップ数として用いる。ホップ数が閾値に等しい場合(S142AでYes)、通信制御部111は、無線通信部110を介して応答信号を送信する(S145)。なお、この処理の詳細は、実施の形態4と同様である。
一方、ホップ数が閾値より小さい場合(S142AでNo)、通信制御部111は、中継処理を行う(S144)。なお、この処理は実施の形態4と同様である。
図30に示す例では、ホップ数の閾値は2である。まず、管理装置101は、問合せ信号を機器Aに送信する(S171)。機器Aは、問合せ信号(A)を送信する(S172)。この問合せ信号(A)は機器B及び機器Cで中継される。機器Bは、問合せ信号(A−B)を送信する(S173)。
機器Cは、問合せ信号(A−B)を受信する。ここで、問合せ信号(A−B)のホップ数は2であるため、機器Cは、問合せ信号(A−B)に対する応答信号(C−B−A)を管理装置101へ送信する(S174)。同様に、機器Dは、問合せ信号(A−B)を受信し、応答信号(D−B−A)を管理装置101へ送信する(S175)。
また、機器Cは、問合せ信号(A)を受信し、問合せ信号(A−C)を送信する(S176)。機器Bは、問合せ信号(A−C)を受信する。ここで、問合せ信号(A−C)のホップ数は2であるため、機器Bは、問合せ信号(A−C)に対する応答信号(B−C−A)を管理装置101へ送信する(S177)。同様に、機器Dは、問合せ信号(A−C)を受信し、応答信号(D−C−A)を管理装置101へ送信する(S178)。
管理装置101は、受信した応答信号(C−B−A)、応答信号(D−B−A)、応答信号(B−C−A)、及び応答信号(D−C−A)を用いて、機器A〜機器Dの無線接続関係を設定し、設定した無線接続関係を機器A〜機器Dへ通知する(S179)。なお、この処理の詳細は実施の形態4と同様である。
なお、上記説明ではホップ数に対する閾値は、予め定められた値であるとしたが、閾値は可変であってもよい。例えば、この閾値は、問合せ信号又は別の伝文に含まれて各機器に通知されてもよい。
以上により、本実施の形態に係る無線通信システムは、任意に配置されている複数の機器の無線接続関係を適切に設定することができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、無線接続関係を再構成するネットワーク再構築方法を説明する。無線通信システムでは、機器の移動等により、無線通信が正しく行えなくなる場合がある。所定の期間ごとに無線接続関係を再構成することで、機器が移動した場合でも、直ちに最適な無線接続関係を構築できる。
なお、上記実施の形態4〜6のいずれかで説明した方法を、所定の期間ごとに行うことで無線接続関係の再構成を行うことが可能である。本実施の形態では、それ以外の方法について説明する。
図32は、本実施の形態に係るネットワーク再構成処理のシーケンス図である。
まず、機器Cは、予め定められた周期で、上位機器(機器B)にウォッチドッグ信号を送信する(S181)。例えば、ウォッチドッグ信号は、当該信号がウォッチドッグ信号であることを示す識別子等と、当該ウォッチドッグ信号の宛先を示す情報と、当該ウォッチドッグ信号の送信元の機器(自機器)を示す情報とを含む。また、ウォッチドッグ信号を受信した機器Bは、当該ウォッチドッグ信号に対する返答を、当該ウォッチドッグ信号の送信元である機器Cへ送信する。
機器Cは、ウォッチドッグ信号の送信に失敗した場合、新たな上位機器を設定するための接続要求信号を無線送信する(S182)。ここで、ウォッチドッグ信号の送信に失敗した場合とは、例えば、ウォッチドッグ信号に対する上位機器からの返答を受信できなかった場合である。また、接続要求信号は、例えば、当該信号が接続要求信号であることを示す識別子等と、当該接続が失敗した上位機器(機器B)を示す情報と、当該接続要求信号の送信元の機器(自機器)を示す情報とを含む。
機器Aは接続要求信号を受信し、機器Cとの接続の許可を確認するための接続確認を、管理装置101へ送信する(S183)。例えば、接続確認は、当該信号が接続確認であることを示す識別子等と、接続が失敗した上位機器(機器B)を示す情報と、接続対象機器(機器C)を示す情報と、当該接続確認の送信元の機器(機器A)を示す情報とを含む。なお、図32では、機器Aのみが接続要求信号を受信する例を示しているが、接続要求信号は、機器Cの無線通信範囲に含まれる全ての機器で受信される。接続要求信号を受信した全ての機器は、接続確認を管理装置101へ送信する。
管理装置101は、受信した1以上の接続確認のうち一つを選択し、選択した接続確認の送信元の機器へ接続許可を送信する(S184)。例えば、管理装置101は、上記実施の形態4〜6と同様に、ホップ数及び受信電波強度の少なくとも一方に基づき、複数の接続確認のうち一つを選択する。なお、ホップ数及び受信電波強度を示す情報は、例えば、接続確認に含まれ、管理装置101は、当該情報を用いる。ここでは、機器Aへ接続許可が送信される。例えば、接続許可は、当該信号が接続許可であることを示す識別子等を含む。
接続許可を受信した機器Aは、自機器の下位機器情報122に機器Cを追加するとともに、機器Cへ、自機器(機器A)を示す接続機器通知を送信する(S185)。例えば、接続機器通知は、当該信号が接続許可であることを示す識別子等と、新たな上位機器(機器A)を示す情報とを含む。
接続機器通知を受信した機器Cは、接続機器通知で示される機器Aを、上位機器情報121に加える。なお、このとき、機器Aは、ウォッチドッグ信号の送信に失敗した機器Bを上位機器情報121から除外してもよい。なお、接続機器通知は、管理装置101から直接機器Cへ送信されてもよい。
以上により、本実施の形態に係る無線通信システムでは、機器が移動した場合でも、直ちに最適な無線接続関係を再構築できる。
なお、全ての子機104及び中継器103は、親機102(管理装置101)に向けてウォッチドッグ信号を定期的に送信し、管理装置101は、いずれかの機器からのウォッチドッグ信号を受信ができなかった場合に、ユーザに警告を通知するとともに、無線接続関係の再構成を行ってもよい。
図33は、この場合の管理装置101の処理の流れを示すフローチャートである。管理装置101は、複数の子機104及び中継器103のいずれかからのウォッチドック信号を受信できない場合(S191でNo)、ユーザに警告を通知する(S192)。また、管理装置101は、無線通信可能な経路を検知するための問合せ信号を送信することにより、当該無線通信システムにおける無線接続関係を再設定する。具体的には、上述した実施の形態4〜6のいずれかの方法により、無線接続関係を再設定する。
以上、本発明の実施の形態に係る無線通信システム及び無線端末(機器)について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上述した伝文に含まれる各情報は、アプリケーションレベルで伝文に含まれてもよいし、プロトコルレベルで伝文に含まれてもよい。例えば、IEEE802.15.4のプロトコルには、上述した送信元情報141が含まれる。
また、上記複数の実施の形態で説明した複数の種類の伝文が無線通信システムで用いられる場合には、各伝文には当該伝文の種別を示す情報が含まれる。各機器は、伝文を受信した場合には、受信した伝文の種別を上記情報を用いて判別し、上記実施の形態で説明した、判別した伝文の種別に対応する処理を行う。
また、上記実施の形態に係る無線端末(親機、中継器及び子機)、及び管理装置に含まれる各処理部は典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
また、本発明の実施の形態に係る、無線端末又は管理装置の機能の一部又は全てを、CPU等のプロセッサがプログラムを実行することにより実現してもよい。
さらに、本発明は上記プログラムであってもよいし、上記プログラムが記録された非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体であってもよい。また、上記プログラムは、インターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
また、上記で用いた数字は、全て本発明を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
また、上記処理に含まれるステップが実行される順序は、本発明を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
以上、一つまたは複数の態様に係る無線通信システム及び無線端末について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。